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特許7373962ピン接合構造およびこのピン接合構造に用いる金属プレート
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  • 特許-ピン接合構造およびこのピン接合構造に用いる金属プレート 図1
  • 特許-ピン接合構造およびこのピン接合構造に用いる金属プレート 図2
  • 特許-ピン接合構造およびこのピン接合構造に用いる金属プレート 図3
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  • 特許-ピン接合構造およびこのピン接合構造に用いる金属プレート 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】ピン接合構造およびこのピン接合構造に用いる金属プレート
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20231027BHJP
   E04B 1/26 20060101ALI20231027BHJP
   F16B 7/00 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
E04B1/58 506L
E04B1/26 G
F16B7/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019179504
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021055402
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】西塔 純人
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/157168(WO,A1)
【文献】特開2012-021303(JP,A)
【文献】特開2013-079542(JP,A)
【文献】特開2005-213964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/38-1/61
E04B 1/00-1/36
F16B 7/00-7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属プレートに第1貫通孔が形成されており、上記第1貫通孔の配置に対応する配置で第2貫通孔が形成された構造材に上記金属プレートが重ねられ、上記第1貫通孔および第2貫通孔に貫通してピンが差し込まれたピン接合構造であって、
上記ピンは上記第1貫通孔の一端側の円弧縁に位置し
当該第1貫通孔が上記構造材における他部材と接合する端面に近づく方向に長くされることで上記ピンの側面と当該第1貫通孔の他端側との間に空間が形成され、
当該空間の長さが10mm以上で150mm以下とされており、
上記第1貫通孔の長手方向に平行であって上記ピンの中心を通る中心線上において上記ピンが上記一端側の円弧縁に接触して当該円弧縁に荷重が加わることを特徴とするピン接合構造。
【請求項2】
請求項1に記載のピン接合構造において、上記第1貫通孔および第2貫通孔が、それぞれ、上記構造材における他部材と接合する端面に近づく方向に複数形成されており、上記第1貫通孔のうち、上記端面に最も近い位置の第1貫通孔に上記空間が形成されていることを特徴とするピン接合構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のピン接合構造において、上記空間を形成する第1貫通孔の互いに向き合う孔縁が、上記接合する端面に近づく方向に互いに平行に延びるか、または、上記接合する端面に近づく方向に互いに非平行に延びることを特徴とするピン接合構造。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のピン接合構造に用いられる、上記第1貫通孔が形成された金属プレート。
【請求項5】
請求項4に記載の金属プレートにおいて、上記空間が形成される側の端部に上記他部材との接合のための接合面部を有する金属プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば木材同士を、ホゾや羽子板を用いずに接合できるピン接合構造およびこのピン接合構造に用いる金属プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
図11に示すように、例えば、木製の柱101と木製の梁102とを接合する接合構造として、上記柱101に金属プレート103の基部103aをビス固定するとともに、上記金属プレート103の突出板部103bに梁102の端側に形成されたスリット部102aを差し込み、上記突出板部103bに形成されている貫通孔103cと上記梁102の端側に形成されている貫通孔102bとを位置合わせし、これら貫通孔102b、103cを貫通させてドリフトピン104を打ち込むピン接合構造100が知られている。
【0003】
なお、特許文献1には、柱と、当該柱の上面部または下面部に固定される梁とを接合するピン接合構造が開示されている。
【0004】
ところで、ピン接合構造における引張荷重時の変形・破壊の性状は、以下の3つに大きく分けることができる。
(1)ドリフトピンの曲げ変形(破壊には至らない)
(2)木質部材の割裂または引張破壊(脆性的である)
(3)鋼製の金属プレートの引張降伏および引張破壊(破壊には略至らない)
【0005】
一般的なピン接合構造では、上記(1)によってピン接合構造における変形性能を確保し、最終的に上記(2)の破壊に至ることが多い。この場合、上記(2)の変形・破壊の性状のバラツキが大きく、性能評価が低く見積もられることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-53499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、上記(3)を先行させて破壊させる設計では、接合側(負荷力側)のドリフトピンの周囲の小さな範囲でしか上記金属プレートに変形が生じないため、変形性能はあまり期待できない。
【0008】
この発明は、上記の事情に鑑み、ピン接合構造において、金属プレートの引張降伏・破壊を先行させる設計でも、金属プレートにおいて高い変形性能を得ることができるピン接合構造および金属プレートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のピン接合構造は、上記の課題を解決するために、金属プレートに第1貫通孔が形成されており、上記第1貫通孔の配置に対応する配置で第2貫通孔が形成された構造材に上記金属プレートが重ねられ、上記第1貫通孔および第2貫通孔に貫通してピンが差し込まれたピン接合構造であって、上記ピンは上記第1貫通孔の一端側に位置し、当該第1貫通孔が上記構造材における他部材と接合する端面の方向に長くされることで上記ピンの側面と当該第1貫通孔の他端側との間に空間が形成され、当該空間の長さが10mm以上で150mm以下とされたことを特徴とする。
【0010】
上記の構成であれば、上記第1貫通孔に上記空間が形成されたことによって、当該第1貫通孔の周囲縁において応力が広く分布し、変形領域が増えることで、全体として変形性能が向上する。すなわち、上記金属プレートの引張降伏・破壊を先行させる設計でも、高い変形性能を得ることができる。
【0011】
上記第1貫通孔および第2貫通孔が、それぞれ、上記構造材における他部材と接合する端面の方向に複数形成される場合、上記第1貫通孔のうち、上記端面に最も近い位置の第1貫通孔に上記空間が形成されるのがよい。すなわち、引張荷重が生じる際に最外縁にあるピンに対応する第1貫通孔が上記空間を持つことで、効率的に降伏後の変形性能を確保することができる。
【0012】
上記空間を形成する第1貫通孔の互いに向き合う孔縁が、上記接合する端面の方向に互いに平行に延びるか、または、上記接合する端面の方向に互いに非平行に延びてもよい。
【0013】
また、この発明の金属プレートは、上記ピン接合構造に用いられる、上記第1貫通孔が形成されたものである。この金属プレートにおいて、上記空間が形成される側の端部に上記他部材との接合のための接合面部を有してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明であれば、ピン接合構造において、金属プレートの引張降伏・破壊を先行させても、高い変形性能を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この実施形態のピン接合構造を示した斜視図である。
図2】同図(A)は、図1のピン接合構造に用いられる鋼製プレートおよびドリフトピンの配置関係を示した説明図であり、同図(B)は空間長さの説明図である。
図3】他の実施形態のピン接合構造を示した斜視図である。
図4図3のピン接合構造に用いられる鋼製プレートおよびドリフトピンの配置関係を示した説明図である。
図5】建物において、図1のピン接合構造および図3のピン接合構造の使用箇所を例示した説明図である。
図6】有限要素解析によって得られた鋼製プレートに形成される通常の丸貫通孔と実施形態の長貫通孔との変位と荷重の関係を示したグラフである。
図7】同図(A)は、鋼製プレートに丸貫通孔が形成された場合の各場所の応力の相違を色の濃さで示した説明図であり、同図(B)は、実施形態にかかる鋼製プレートに長貫通孔が形成された場合の各場所の応力の相違を色の濃さで示した説明図である。
図8】実施形態を示す図であって、鋼製プレートに形成される長孔の貫通孔例を示した説明図である。
図9】実施形態を示す図であって、鋼製プレートに形成される他の貫通孔例を示した説明図である。
図10】同図(A)は有限要素解析の対象とした金属プレートの寸法図であり、同図(B)は加力条件を示した説明図である。
図11】従来のピン接合構造を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この実施形態のピン接合構造10は、例えば、木製の梁1と、この上面に設けられる木製の束2とを接合する接合構造として利用される。
【0017】
上記梁1の上面には、鋼製プレート(金属プレート)3が取り付けられる。この鋼製プレート3は、構造材である上記束2にとっての他部材(この例では上記梁1)との接合のための接合面部3aを備えており、この接合面部3aに形成されている貫通孔にビス5がねじ込まれることによって上記鋼製プレート3が上記梁1に固定される。また、上記鋼製プレート3は、上記接合面部3aから上方向に突出する突出板部3bを備える。上記接合面部3aと上記突出板部3bとは、例えば、溶接によって互いに固定される。上記突出板部3bには、例えば、4個の第1貫通孔3cが、上記束2における上記梁1(他部材)と接合する端面の方向に2個、上記接合する端面の方向と直交する方向に2個の2行2列で形成されている。
【0018】
上記束2の端側には、上記突出板部3bが差し込まれるスリット2aが形成されている。また、上記束2の端側の側面には、4個の第2貫通孔2bが、上記第1貫通孔3cの配置と同じ配置で上記スリット2aを横切るように形成されている。上記スリット2aに上記突出板部3bを入れて、上記第1貫通孔3cと上記第2貫通孔2bとを位置合わせし、これら第1貫通孔3cおよび第2貫通孔2bを貫通させて4本の金属製のドリフトピン4が打ち込まれる。
【0019】
図2(A)にも示すように、上記束2における上記梁1と接合する端面の方向に並ぶ2個の上記第1貫通孔3cのうち、上記束2の端面に最も近い位置の第1貫通孔3cは、その向き合う孔縁が上記束2の端面方向(上記接合面部3aに近づく方向)に互いに平行に延びた長孔形状の第1貫通孔3c(L)となっている。
【0020】
そして、上記束2の端面に最も近い位置の2本のドリフトピン4は、上記第1貫通孔3c(L)の一端側(上記接合面部3aから遠い側)に位置しており、また、上記第1貫通孔3c(L)が、上記束2の上記梁1と接合する端面の方向に長いことで、上記ドリフトピン4の周面(側面)から当該第1貫通孔3c(L)の他端側の間に空間Gが形成されている。すなわち、引張荷重が生じる際に最外縁にあるドリフトピンに対応する第1貫通孔が上記空間Gを有している。
【0021】
また、図2(B)に示すように、上記空間Gの長さL、すなわち、上記第1貫通孔3c(L)の長手方向に平行であって上記ドリフトピン4の中心を通る中心線上の当該ドリフトピン4の周面上のP1点から、上記第1貫通孔3c(L)の他端側の上記中心線上のP2点までの長さLは、10mm以上で150mm以下、望ましくは、上記鋼製プレート3の変形領域の増大の観点から、20mm以上、さらに望ましくは、30mm以上とするのがよい。一方で、上記空間Gの長さLは、一般的な木質接合部の荷重変形の評価時に、変形長さ30mm以下で評価することを踏まえ、鋼材の伸び性能が20%以上であることや圧縮時の鋼板の安定性(座屈防止)等を考慮すると、望ましくは120mm以下、さらに望ましくは、100mm以下とするのがよい。
【0022】
なお、上記第1貫通孔3c(L)の上記形状例では、当該第1貫通孔3c(L)の一端側(上記接合面部3aから遠い側)に位置するドリフトピン4の中心と、上記第1貫通孔3c(L)の他端側(上記接合面部3aに近い側)に仮想的に位置させたドリフトピン4の中心間の距離は、上記空間Gの長さLに一致する。
【0023】
また、上記梁1はコンクリート基礎梁でもよい。この場合、上記接合面部3aに形成されている貫通孔(図1の例では、上記ビス5が設けられる)を例えば4つとし、これら貫通孔に、上記コンクリート基礎梁の上面から突出するアンカーボルトを挿通させて、図示しないナットで上記接合面部3を上記コンクリート基礎梁の上面に固定する。また、上記接合面部3aは平板ではなく、上記接合面部3aの上記4つの貫通孔間に立つ十字状の立板部上に平板を取り付け、この平板上に上記突出板部3bを設けた構造としてもよい。
【0024】
次に、他の実施形態のピン接合構造10Aを図3に示す。このピン接合構造10Aは、例えば、木製の柱11と木製の梁12とを接合する接合構造として利用される。
【0025】
上記柱11の上部には、鋼製プレート13が取り付けられる。この鋼製プレート13は、上記梁12にとっての他部材(この例では上記柱11)との接合のための接合面部(基部)13aを備えており、この接合面部13aに形成されている貫通孔にビス15がねじ込まれることによって上記鋼製プレート13が上記柱11に固定される。また、上記鋼製プレート13は、上記接合面部13aから水平方向に突出する突出板部13bを備える。上記突出板部13bには、例えば、8個の第1貫通孔13cが、構造材である上記梁12における上記柱11(他部材)と接合する端面の方向に2個で、上記接合する端面の方向と直交する方向に4個の4行2列で形成されている。
【0026】
上記梁12の端側には、上記突出板部13bが差し込まれる縦のスリット12aが形成されている。また、上記梁12の端側の側面には、8個の第2貫通孔12bが、上記第1貫通孔13cの配置と同じ配置で上記スリット12aを横切るように形成されている。上記スリット12aに上記突出板部13bを入れて、上記第1貫通孔13cと上記第2貫通孔12bとを位置合わせし、これら第1貫通孔13cと第2貫通孔12bとを貫通させて8本のドリフトピン14が打ち込まれる。
【0027】
図4にも示すように、上記梁12における柱11と接合する端面の方向に並ぶ2個の上記第1貫通孔13cのうち、上記梁12の端面に最も近い位置の第1貫通孔13cは、その互いに向き合う孔縁が上記梁12の端面方向(上記接合面部13aに近づく方向)に互いに平行に延びた長孔形状の第1貫通孔13c(L)となっている。
【0028】
そして、上記梁12の端面に最も近い位置の4本のドリフトピン14は、上記第1貫通孔13c(L)の一端側(上記接合面部13aから遠い側)に位置しており、また、上記第1貫通孔13c(L)が上記梁12の端面方向に長いことで、上記ドリフトピン14の周面(側面)と当該第1貫通孔13c(L)の他端側との間に空間Gが形成されている。上記空間Gの長さについては、先の実施形態で例示した長さLと同様の長さとしている。
【0029】
図5は、建物50において、上記ピン接合構造10、10Aが適用される箇所を例示している。上記ピン接合構造10は、柱、束、トラス等の軸方向引張圧縮力を受ける接合部(A箇所)に好適である。一方、上記ピン接合構造10Aは、曲げ剛性を受ける柱―梁接合部等(B箇所)に用いることができる。いずれの箇所も、初期の剛性だけでなく、2次的な靭性を確保することが求められる。
【0030】
図6は、鋼製プレートに形成される貫通孔の形状の相違によって、当該貫通孔に同一荷重が加えられた際の変位と荷重との関係について、有限要素解析で計算した結果を示したグラフである。この有限要素解析における解析対象である鋼製プレートの材料情報を表1に示し、鋼製プレートの各部寸法を表2に示す。また、図10(A)は表2に対応する鋼製プレートおよび貫通孔の各部寸法箇所の符号を示しており、図10(B)は鋼製プレートおよび貫通孔のへ加力条件を示している。この加力条件では、鋼製プレートの一端側(他部材との接合側)と貫通孔における円弧縁のうち上記一端側から遠い円弧縁に力が加わることを示している。また、降伏条件はミーゼス(Von Mises)とする。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
また、図7は、上記有限要素解析で計算した結果に基づいて、鋼製プレートの貫通孔の周囲縁に生じる応力値の相違を色の濃さで示した説明図であり、濃い色の箇所ほど、高い応力値となり、薄い色の箇所ほど、低い応力値となることが示されている。そして、図7(A)は、鋼製プレートに丸貫通孔が形成された場合を示しており、図7(B)は、鋼製プレートに長貫通孔が形成された場合を示している。これらの図から、上記鋼製プレート13に長貫通孔が形成されると、上記第1貫通孔3c(L)、13c(L)の周囲に応力が広く分布し、変形領域が増えていることが分かる。
【0034】
上記ピン接合構造10、10Aによれば、上記第1貫通孔3c(L)、13c(L)に上記空間Gが形成されたことによって、上記第1貫通孔3c(L)、13c(L)の周囲に応力が広く分布し、変形領域が増えることで、全体として変形性能が向上する。すなわち、上記鋼製プレートの引張降伏・破壊を先行させる設計としても、高い変形性能を得ることができる。
【0035】
上記の例では、上記第1貫通孔3c、13cおよび第2貫通孔2b、12bが、それぞれ、構造材である束2、梁12における他部材と接合する端面の方向に複数形成される場合に、上記第1貫通孔3c、13cのうち、上記束2、梁12の最も端面に近い位置の第1貫通孔3c(L)、13c(L)に上記空間Gが形成されたが、上記第1貫通孔3c、13cおよび第2貫通孔2b、12bが、上記束2、梁12の上記接合する端面の方向に1個される場合には、当該1個の第1貫通孔が長孔である第1貫通孔3c(L)、13c(L)となる。
【0036】
また、上記の例では、上記空間Gを形成している第1貫通孔3c(L)、13c(L)は、構造材である上記束2、梁12の端面方向に平行に延びた長孔とされたが、このような長孔には、図8に示すように、第1貫通孔3c(L)、13c(L)の互いに向き合う孔縁が、ドリフトピン4,14が挿通される円形箇所の直径よりも狭い幅を形成してもよいし、或いは、上記直径よりも広い幅を形成してもよい。
【0037】
また、上記のような長孔に限らず、例えば、図9に示すように、上記第1貫通孔3c(L)、13c(L)は、互いに向き合う孔縁を、上記束2、梁12の端面方向に非平行に長く有してもよい。
【0038】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 :梁(他部材)
2 :束(構造材)
2a :スリット
2b :第2貫通孔
3 :鋼製プレート
3a :接合面部
3b :突出板部
3c :第1貫通孔(丸孔)
3c(L) :第1貫通孔(長孔)
4 :ドリフトピン(ピン)
5 :ビス
10 :ピン接合構造
10A :ピン接合構造
11 :柱(他部材)
12 :梁(構造材)
12a :スリット
12b :第2貫通孔
13 :鋼製プレート
13a :接合面部
13b :突出板部
13c :第1貫通孔(丸孔)
13c(L) :第1貫通孔(長孔)
14 :ドリフトピン(ピン)
15 :ビス
50 :建物
G :空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11