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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   F01P 5/06 20060101AFI20231027BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20231027BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
F01P5/06 511D
F01P5/06 511H
F01P5/06 504Z
E02F9/00 N
B60K11/04 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019208193
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2021080867
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】今村 一哉
(72)【発明者】
【氏名】溝上 高明
(72)【発明者】
【氏名】松田 直綱
(72)【発明者】
【氏名】中川 剛志
(72)【発明者】
【氏名】安藤 直也
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-275662(JP,A)
【文献】特開平11-158916(JP,A)
【文献】特開2003-201720(JP,A)
【文献】特開2005-282362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 5/06
E02F 9/00
B60K 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口及び排気口が設けられエンジンルームを形成する区画部材と、
前記エンジンルームに配置されるエンジンと、
前記エンジンルームにおいて前記エンジンよりも吸気口側に配置され、左右方向に延伸する回転軸を中心に回転する冷却ファンと、
前記エンジンからの排気を排出する排気管と、
前記エンジンルームに配置され前記冷却ファンからの空気が流入する流入口と流出口とを有する筒状の排気ダクトと、を備え、
前記排気ダクトの少なくとも一部は、前記エンジンの上方に配置され、前記エンジンに対向する対向面と、前記対向面に設けられる貫通孔とを有し、
前記排気管の少なくとも一部は、前記貫通孔に配置され、
前記排気管の外面と前記貫通孔の内面との間に、間隙が形成され
前記流入口は、前記冷却ファンよりも排気口側に配置され、
筒状の前記排気ダクトは、前記流入口を規定する端面を有し、
前記冷却ファンは、前記流入口よりも前方側から前記流入口に空気が流入するように回転し、
前記端面は、前方側に向かって排気口側に傾斜する、
作業機械。
【請求項2】
前記冷却ファンから前記流入口を介して前記排気ダクトに流入した空気と、前記エンジンの周囲から前記間隙を介して前記排気ダクトに流入した空気とは、前記流出口から流出する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記流出口は、前記流入口よりも大きい、
請求項1又は請求項に記載の作業機械。
【請求項4】
前記排気ダクトの少なくとも一部に配置される吸音材を備える、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような、冷却ファン及びエンジンを備える建設機械が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-282362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷却ファン又はエンジンから騒音が発生する。作業機械の周囲において騒音を抑制できる技術が要望される。
【0005】
本開示は、騒音を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、吸気口及び排気口が設けられエンジンルームを形成する区画部材と、前記エンジンルームに配置されるエンジンと、前記エンジンルームにおいて前記エンジンよりも吸気口側に配置される冷却ファンと、前記エンジンからの排気を排出する排気管と、前記エンジンルームに配置され前記冷却ファンからの空気が流入する流入口と流出口とを有する排気ダクトと、を備え、前記排気ダクトの少なくとも一部は、前記エンジンの上方に配置され、前記エンジンに対向する対向面と、前記対向面に設けられる貫通孔とを有し、前記排気管の少なくとも一部は、前記貫通孔に配置され、前記排気管の外面と前記貫通孔の内面との間に、間隙が形成される、作業機械が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、騒音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る作業機械を模式的に示す側面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る作業機械を模式的に示す後面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る作業機械の排気構造を模式的に示す後面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る作業機械の排気構造を模式的に示す断面図である。
図5図5は、第2実施形態に係る作業機械の排気構造を模式的に示す後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
実施形態においては、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、作業機械1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。後述するように、作業機械1は、下部走行体2と、上部旋回体3と、作業機4とを備える。下部走行体2の接地面と直交する方向を上下方向とし、作業機4の回動軸と平行な方向を左右方向とし、上下方向及び左右方向のそれぞれと直交する方向を前後方向とする。下方向は、下部走行体2の接地面から地面に向かう方向であり、上方向は、下方向の逆方向である。前方向は、上部旋回体3から作業機4に向かう方向であり、後方向は、前方向の逆方向である。左方向は、前方向を向いたときの左方向であり、右方向は、左方向の逆方向である。
【0011】
[第1実施形態]
<作業機械>
図1は、本実施形態に係る作業機械1を模式的に示す側面図である。図2は、本実施形態に係る作業機械1を模式的に示す後面図である。本実施形態においては、作業機械1が油圧ショベルであることとする。
【0012】
図1及び図2に示すように、作業機械1は、下部走行体2と、上部旋回体3と、作業機4とを備える。
【0013】
下部走行体2は、一対の履帯を有する。履帯が回転することにより、作業機械1は走行する。
【0014】
上部旋回体3は、エンジンルーム7を形成する区画部材8を有する。エンジンルーム7は、区画部材8の内部空間である。区画部材8は、底板部8Aと、天板部8Bと、左壁部8Cと、右壁部8Dと、前壁部8Eと、後壁部8Fとを有する。また、上部旋回体3に運転室5が設けられる。
【0015】
区画部材8に吸気口9及び排気口10が設けられる。吸気口9は、区画部材8の左壁部8Cに設けられる。排気口10は、区画部材8の右壁部8Dに設けられる。区画部材8の外部空間の空気CAは、吸気口9を介してエンジンルーム7に流入することができる。エンジンルーム7の空気CAは、排気口10を介して区画部材8の外部空間に流出することができる。
【0016】
なお、実施形態においては、区画部材8に第2排気口17が設けられる。第2排気口17は、区画部材8の底板部8Aに設けられる。なお、第2排気口17は無くてもよい。
【0017】
図2に示すように、作業機械1は、クーリング装置11と、ファンシュラウド12Cと、冷却ファン12と、エンジン13と、油圧ポンプ14と、排ガス処理装置15と、排気管16とを備える。
【0018】
クーリング装置11、ファンシュラウド12C、冷却ファン12、エンジン13、油圧ポンプ14、排ガス処理装置15、排気ダクト20、及び吸音材30のそれぞれは、エンジンルーム7に配置される。排気管16の少なくとも一部は、エンジンルーム7に配置される。排気管16の少なくとも一部は、区画部材8の外部空間に配置される。
【0019】
クーリング装置11は、エンジン13を冷却するラジエータを含む。クーリング装置11は、エンジンルーム7において吸気口9と冷却ファン12との間に配置される。クーリング装置11は、吸気口9に面するように配置される。
【0020】
冷却ファン12は、エンジンルーム7においてエンジン13よりも吸気口9側(左方側)に配置される。冷却ファン12は、回転軸AXを中心に回転して、クーリング装置11に空気CAを流通させる。冷却ファン12は、軸流ファンである。冷却ファン12は、クーリング装置11とエンジン13の間に配置される。実施形態において、冷却ファン12の少なくとも一部は、ファンシュラウド12Cよりも右方に配置される。冷却ファン12が回転することにより、区画部材8の外部空間の空気CAが吸気口9を介してエンジンルーム7に流入する。エンジンルーム7に流入した空気CAは、クーリング装置11を通過した後、ファンシュラウド12Cを介して冷却ファン12に流入する。
【0021】
ファンシュラウド12Cは、クーリング装置11よりも右方に配置される。ファンシュラウド12Cは、クーリング装置11に接続される。ファンシュラウド12Cの少なくとも一部は、クーリング装置11と冷却ファン12との間に配置される。ファンシュラウド12Cの少なくとも一部は、冷却ファン12の周囲に配置される。冷却ファン12が回転することにより、クーリング装置11を通過した空気CAのみがファンシュラウド12Cを介して冷却ファン12に流入する。ファンシュラウド12Cは、クーリング装置11と冷却ファン12との間において空気CAの流れを整える。ファンシュラウド12Cは、クーリング装置11の冷却性能の低下を抑制する。
【0022】
エンジン13は、作業機械1の動力源である。エンジン13として、ディーゼルエンジンが例示される。エンジン13は、エンジンルーム7に配置される。
【0023】
油圧ポンプ14は、作動油を吐出する。油圧ポンプ14は、エンジンルーム7においてエンジン13よりも排気口10側(右方側)に配置される。油圧ポンプ14は、エンジン13に接続される。エンジン13が駆動することにより、油圧ポンプ14が駆動する。油圧ポンプ14から吐出された作動油の少なくとも一部は、作業機4を駆動するための油圧シリンダに供給される。
【0024】
排ガス処理装置15は、エンジン13からの排ガスEGを処理する。排ガス処理装置15は、例えば触媒を用いて排ガスEGを処理するディーゼル酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)及びディーゼルパーティキュレートフィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)を含む。
【0025】
エンジン13からの排ガスEGは、排ガス処理装置15により処理された後、排気管16から排出される。排気管16は、エンジン13から上方に延伸する。排気管16の下端部は、エンジンルーム7に配置される。排気管16の上端部は、区画部材8の外部空間に配置される。
【0026】
<排気構造>
図3は、本実施形態に係る作業機械1の排気構造を模式的に示す後面図である。図4は、本実施形態に係る作業機械1の排気構造を模式的に示す断面図であり、図3のA-A線断面矢視図に相当する。
【0027】
図2図3、及び図4に示すように、作業機械1の排気構造は、排気ダクト20と、吸音材30とを備える。
【0028】
排気ダクト20は、エンジンルーム7に配置される。排気ダクト20は、冷却ファン12からの空気CAが流入する流入口21と、排気口10に繋がる流出口22と、流入口21と流出口22とを結ぶ流路23とを有する。
【0029】
排気ダクト20の少なくとも一部は、エンジン13の上方に配置される。また、排気ダクト20の少なくとも一部は、油圧ポンプ14の上方に配置される。エンジン13の上方に配置されることは、エンジン13の直上に配置されることのみならず、エンジン13の斜め上方に配置されることも含む概念である。
【0030】
排気ダクト20は、天板部8Bの内面に面するように配置される。本実施形態において、排気ダクト20は、下板部20Aと、前板部20Bと、後板部20Cとを有する。下板部20Aの下面は、エンジン13の上方に配置され、エンジン13に対向する。下板部20Aの前端部と前板部20Bの下端部とが結ばれる。下板部20Aの後端部と後板部20Cの下端部とが結ばれる。前板部20Bの上端部及び後板部20Cの上端部のそれぞれは、天板部8Bの内面に接続される。排気ダクト20は、エンジン13等から発生した音SDが低減されるように、上流から下流まで閉空間であることが好ましい。
【0031】
なお、排気ダクト20の内面は、上流から下流までフラットな面で構成されてもよいし、凹凸面でもよい。
【0032】
流入口21は、エンジン13よりも上方において、冷却ファン12よりも排気口10側(右方側)に配置される。冷却ファン12が回転すると、エンジンルーム7において気流が生成される。冷却ファン12からの空気CAの少なくとも一部は、流入口21に流入する。
【0033】
流路23は、流入口21と流出口22とを結ぶように設けられる。本実施形態において、流路23は、排気ダクト20と天板部8Bとにより規定される。流路23は、下板部20Aの上面と、前板部20Bの後面と、後板部20Cの前面と、天板部8Bの下面とにより規定される。下板部20Aの上面、前板部20Bの後面、後板部20Cの前面、及び天板部8Bの下面のそれぞれは、排気ダクト20の流路23に面する流路面である。
【0034】
なお、排気ダクト20は、筒状でもよい。排気ダクト20は、例えば円筒状でもよい。
【0035】
流出口22は、排気口10に結ばれる。流入口21を介して流路23に流入し、流路23を流通した空気CAは、流出口22から流出する。流出口22から流出した空気CAは、排気口10を介して、区画部材8の外部空間に排出される。
【0036】
排気口10は、排気ダクト20の流出口22に結ばれる。
【0037】
排気ダクト20は、エンジン13に対向する下面25(対向面)と、下面25に設けられる貫通孔である第1孔41とを有する。排気ダクト20の下面25は、下板部20Aの下面である。第1孔41は、下板部20Aの下面25と下板部20Aの上面26(流路面)とを貫く。排気管16の少なくとも一部は、第1孔41に配置される。排気管16の下端部は、第1孔41よりも下方に配置される。
【0038】
本実施形態において、排気管16の外面と第1孔41の内面との間に間隙50が形成される。本実施形態において、第1孔41の内径は、排気管16の外径よりも大きい。空気CAは、間隙50を流通することができる。
【0039】
区画部材8は、天板部8Bの下面と上面とを貫く第2孔42を有する。天板部8Bの下面は、エンジンルーム7に面する区画部材8の内面である。天板部8Bの上面は、区画部材8の外部空間に面する区画部材8の外面である。排気管16の少なくとも一部は、第2孔42に配置される。排気管16の上端部は、第2孔42よりも上方に配置される。
【0040】
本実施形態において、排気管16の外面と第2孔42の内面とは、接続される。排気管16の外面と第2孔42の内面との間に間隙は形成されていない。排気管16の外面と第2孔42の内面とが密着することによって、間隙が形成されないようにしてもよい。排気管16の外面と第2孔42の内面との間にシール部材が配置されることによって、間隙が形成されないようにしてもよい。空気CAは、排気管16の外面と第2孔42の内面との間を流通することができない。
【0041】
図4に示すように、流入口21を規定する排気ダクト20の端面24は、冷却ファン12の回転軸AXに対して傾斜する。端面24は、冷却ファン12からの空気の流れに基づいて傾斜する。本実施形態において、回転軸AXは、左右方向に延伸する。端面24は、前方側に向かって排気口10側(右方側)に傾斜する。
【0042】
冷却ファン12は、区画部材8の外部空間の空気CAが吸気口9を介してエンジンルーム7に流入するように、規定の形状を有し、規定の方向に回転する。本実施形態において、冷却ファン12は、図4の矢印Rで示す方向に回転する。
【0043】
流入口21は、冷却ファン12及びエンジン13よりも上方において、冷却ファン12よりも排気口10側に配置される。冷却ファン12が矢印Rで示す方向に回転することにより、冷却ファン12からの空気CAは、専ら前方側から流入口21に流入する。すなわち、本実施形態において、冷却ファン12は、流入口21よりも前方側から流入口21に空気CAが流入するように回転する。本実施形態において、端面24は、前方側に向かって排気口10側(右方側)に傾斜する。これにより、冷却ファン12からの空気CAは、流入口21に円滑に流入することができる。
【0044】
なお、後方側から流入口21に空気が流入するように冷却ファン12が回転する場合、排気ダクト20の端面24は、後方側に向かって排気口10側(右方側)に傾斜することが好ましい。
【0045】
吸音材30は、排気ダクト20の少なくとも一部に配置される。吸音材30は、少なくとも流路23に面するように配置される。吸音材30は、下板部20Aの上面、前板部20Bの後面、及び後板部20Cの前面の少なくとも一部に配置される。本実施形態においては、図3及び図4に示すように、下板部20Aの上面、下板部20Aの下面、前板部20Bの後面、後板部20Cの前面、及び天板部8Bの下面のそれぞれに配置される。
【0046】
吸音材30は、音を吸収することができる部材である。吸音材30として、多孔部材(porous)が例示される。多孔部材として、発泡ウレタン、及びスポンジが例示される。なお、吸音材30は、不織布でもよい。
【0047】
[動作]
次に、本実施形態に係る作業機械1の動作について説明する。エンジン13の駆動により、冷却ファン12が回転し、油圧ポンプ14が駆動する。冷却ファン12が回転することにより、区画部材8の外部空間の空気CAが吸気口9を介してエンジンルーム7に流入する。エンジンルーム7に流入した空気CAは、クーリング装置11を通過した後、冷却ファン12に流入する。
【0048】
冷却ファン12を通過した空気CAの少なくとも一部は、エンジン13の周囲及び油圧ポンプ14の周囲に供給される。エンジン13及び油圧ポンプ14のそれぞれは、空気CAとの接触により冷却される。
【0049】
本実施形態において、排気口10は、排気ダクト20の流出口22に結ばれる。エンジンルーム7に流入し、冷却ファン12を通過した空気CAの少なくとも一部は、排気ダクト20の流入口21を介して、排気ダクト20の流路23に流入する。
【0050】
また、本実施形態においては、冷却ファン12の回転による空気CAの流通方向に併せて、排気ダクト20の端面24が傾斜している。そのため、冷却ファン12からの空気CAは、流入口21を介して流路23に円滑に流入する。
【0051】
流入口21から排気ダクト20の流路23に流入した空気CAは、流路23を流通した後、流出口22及び排気口10を介して、区画部材8の外部空間に排出される。
【0052】
また、冷却ファン12を通過した空気CAの少なくとも一部は、排ガス処理装置15の周囲に供給される。排ガス処理装置15は、空気CAとの接触により冷却される。
【0053】
排ガス処理装置15及び排気管16の下端部は、第1孔41よりも下方に配置される。すなわち、エンジンルーム7において、排ガス処理装置15及び排気管16の下端部は、流路23の外側の空間に配置される。本実施形態において、排気管16の外面と第1孔41の内面との間に間隙50が形成される。排ガス処理装置15の周囲の空気CA及び排気管16の下端部の周囲の空気CAは、間隙50を介して排気ダクト20の流路23に流入する。流入口21から流出口22に向かって流路23を流れる空気CAにより、流路23と排ガス処理装置15の周囲の空間及び排気管16の下端部の周囲の空間との間に圧力差が発生する。流路23の圧力は、排ガス処理装置15の周囲の空間の圧力及び排気管16の下端部の周囲の空間の圧力よりも低い。圧力差が発生することにより、排ガス処理装置15の周囲の空気CA及び排気管16の下端部の周囲の空気CAは、間隙50を介して排気ダクト20の流路23に円滑に流入することができる。
【0054】
このように、冷却ファン12から流入口21を介して排気ダクト20に流入した空気CAと、エンジン13の周囲から間隙50を介して排気ダクト20に流入した空気CAとは、流出口22から流出する。すなわち、クーリング装置11を通過して暖められた空気CAは、流入口21から流路23に流入する。エンジン13の周囲、油圧ポンプ14の周囲、及び排ガス処理装置15の周囲を通過して暖められた空気CAは、間隙50から流路23に流入する。暖められた空気CAは、流路23を流通した後、流出口22及び排気口10を介して、区画部材8の外部空間に排出される。暖められた空気CAが区画部材8の外部空間に排出されることにより、エンジンルーム7の温度上昇が抑制される。エンジンルーム7に電子機器が存在する場合、エンジンルーム7の温度上昇が抑制されるので、電子機器の故障又は劣化が抑制される。なお、エンジンルーム7に存在する電子機器として、エンジン13の状態を監視するためのセンサが例示される。
【0055】
冷却ファン12及びエンジン13の少なくとも一方から音SDが発生する。本実施形態において、冷却ファン12及びエンジン13は、エンジンルーム7において、排気ダクト20の外側に配置される。エンジンルーム7において、冷却ファン12及びエンジン13が配置される部分空間は、区画部材8の外部空間とは結ばれていない。そのため、冷却ファン12又はエンジン13から音SDが発生しても、冷却ファン12又はエンジン13から発生した音SDが、区画部材8の外部空間に漏れ出ることが抑制される。
【0056】
冷却ファン12及びエンジン13の少なくとも一方から発生した音SDの少なくとも一部は、排気ダクト20の流路23を伝搬する。音SDは、排気ダクト20の流路面に当たりながら伝搬する。音SDは、排気ダクト20の流路面に当たることにより、減衰される。すなわち、音SDは、流出口22及び排気口10に到達するまでに、減衰される。そのため、排気口10から区画部材8の外部空間に漏れ出る音SDは、小さい。
【0057】
本実施形態においては、排気ダクト20に吸音材30が配置される。そのため、排気ダクト20の流路23を伝搬する音SDは、流出口22及び排気口10に到達するまでに、十分に減衰される。
【0058】
排気管16の外面と第2孔42の内面との間に間隙は形成されていない。したがって、音SDが排気管16の外面と第2孔42の内面との間から区画部材8の外部空間に漏れ出ることが抑制される。
【0059】
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、エンジンルーム7に排気ダクト20が設けられるので、エンジンルーム7において暖められた空気CAは、排気ダクト20を介して区画部材8の外部空間に円滑に排出される。そのため、エンジンルーム7の温度上昇が抑制される。
【0060】
また、冷却ファン12又はエンジン13から発生した音SDは、排気ダクト20の流路23を伝搬するとき、排気ダクト20の流路面に当たる。そのため、音SDは、流出口22及び排気口10に到達するまでに、十分に減衰される。すなわち、排気口10から区画部材8の外部空間に漏れ出る音SDは小さい。したがって、騒音の発生が抑制される。
【0061】
本実施形態において、排気ダクト20の少なくとも一部は、エンジン13の上方に配置され、排気ダクト20の十分な長さが確保される。したがって、音SDは、排気口10に到達するまでに、十分に減衰される。
【0062】
本実施形態において、排気ダクト20は、エンジン13に対向する下面25(対向面)と流路23に面する上面26(流路面)とを貫く第1孔41(貫通孔)を有する。排気ダクト20の下面が面する空間(排気ダクト20よりも下方の空間)には、エンジン13及び排ガス処理装置15が配置される。排気管16の外面と第1孔41の内面との間に間隙50が形成される。エンジン13及び排ガス処理装置15との接触により暖められた空気CAは、間隙50を介して流路23に流入することができる。したがって、エンジン13及び排ガス処理装置15との接触により暖められた空気CAは、排気ダクト20を介して区画部材8の外部空間に円滑に排出される。
【0063】
排気管16の上端部は、区画部材8の外部空間に配置される。そのため、エンジン13からの排ガスEGは、区画部材8の外部空間に円滑に排出される。区画部材8は、区画部材8の内面と外面とを貫く第2孔42を有する。排気管16の少なくとも一部は、第2孔42に配置される。排気管16の外面と第2孔42の内面とは、接続される。排気管16の外面と第2孔42の内面との間に間隙が形成されていないので、音SDが排気管16の外面と第2孔42の内面との間から区画部材8の外部空間に漏れ出ることが抑制される。
【0064】
排気ダクト20の流入口21は、エンジン13の上方において冷却ファン12よりも排気口10側に配置される。そのため、冷却ファン12を通過した空気CAは、流入口21に円滑に流入することができる。
【0065】
冷却ファン12は、前後方向の一方側から流入口21に空気CAが流入するように回転する。流入口21の周囲に配置される排気ダクト20の端面24は、前後方向の一方側に向かって排気口10側に傾斜する。そのため、冷却ファン12を通過した空気CAは、流入口21に円滑に流入することができる。
【0066】
排気ダクト20の少なくとも一部に吸音材30が配置される。そのため、排気ダクト20の流路23を伝搬する音SDは、流出口22及び排気口10に到達するまでに、十分に減衰される。
【0067】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0068】
図5は、本実施形態に係る作業機械1の排気構造を模式的に示す後面図である。図5に示すように、本実施形態において、流出口22は、流入口21よりも大きい。下板部20Aの流路面は、流出口22に向かって下方に傾斜する。
【0069】
本実施形態によれば、流路23を伝搬する音SDが当たる流路面の面積が大きくなる。そのため、音SDは、流出口22及び排気口10に到達するまでに、十分に減衰される。
【0070】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、吸音材30は設けられなくてもよい。
【0071】
上述の実施形態において、冷却ファン12の回転軸AXと排気ダクト20の端面24とは直交してもよい。
【0072】
上述の実施形態において、流入口21は、冷却ファン12の上方に配置されてもよい。
【0073】
上述の実施形態において、吸気口9とクーリング装置11とファンシュラウド12Cと冷却ファン12とエンジン13と油圧ポンプ14と排気ダクト20と排気口10との相対位置は任意に設定可能である。上述の実施形態においては、エンジンルーム7において、空気CAは、冷却ファン12の駆動により、左から右に向かって流れることとした。空気CAは、右から左に向かって流れてもよい。
【0074】
上述の実施形態において、作業機械1は、排ガス処理装置15を備えることとした。排ガス処理装置15は無くてもよい。
【0075】
上述の実施形態において、作業機械1が油圧ショベルであることとした。油圧ショベルとして、小旋回の小型油圧ショベルが例示される。小旋回の小型油圧ショベルは、細い路地などの工事に使用される。小旋回の小型油圧ショベルのようにエンジンルーム7を大きくすることが困難である場合においても、上述の実施形態で説明した構成要素により、騒音を低減することができる。
【0076】
上述の実施形態においては、作業機械1が油圧ショベルであることとした。作業機械1は、例えばブルドーザでもよいし、ホイールローダでもよいし、フォークリフトでもよい。作業機械1は、作業機を有していればよい。
【符号の説明】
【0077】
1…作業機械、2…下部走行体、3…上部旋回体、4…作業機、5…運転室、7…エンジンルーム、8…区画部材、8A…底板部、8B…天板部、8C…左壁部、8D…右壁部、8E…前壁部、8F…後壁部、9…吸気口、10…排気口、11…クーリング装置、12C…ファンシュラウド、12…冷却ファン、13…エンジン、14…油圧ポンプ、15…排ガス処理装置、16…排気管、17…第2排気口、20…排気ダクト、20A…下板部、20B…前板部、20C…後板部、21…流入口、22…流出口、23…流路、24…端面、25…下面(対向面)、26…上面(流路面)、30…吸音材、41…第1孔(貫通孔)、42…第2孔、50…間隙、AX…回転軸、CA…空気、EG…排ガス、SD…音。
図1
図2
図3
図4
図5