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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20231027BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019225353
(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公開番号】P2021096284
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】尾形 洋一
【審査官】河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-516649(JP,A)
【文献】特開平11-095150(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0188619(US,A1)
【文献】米国特許第06147805(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を照射する光源部と、
前記光源部が照射した光の一部を第1方向に反射するとともに、残りの光を第2方向に透過する第1ビームスプリッタと、
前記第1方向に進行した光を空間上に結像させる第1結像光学部と、
前記第2方向に進行した光を空間上に結像させる第2結像光学部を備え
前記第1結像光学部または前記第2結像光学部の一方が、ヘッドマウントディスプレイを備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項に記載の画像表示装置であって、
前記第1結像光学部または前記第2結像光学部の他方が、
前記第1ビームスプリッタからの光の一部を反射するとともに、残りの光を透過する第2ビームスプリッタと、
前記第2ビームスプリッタで反射された光を再帰反射する第1再帰反射部と、
前記第1再帰反射部で反射された光を反射するダイクロイックミラーを備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項に記載の画像表示装置であって、
前記第2ビームスプリッタを透過した光を再帰反射する第2再帰反射部を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一つに記載の画像表示装置であって、
前記光源部が照射した光を分岐する第1ハーフミラーと、
前記第1ハーフミラーを透過した光を前記第1ビームスプリッタの第1面に向けて反射する第1ミラーと、
前記第1ハーフミラーで反射した光を前記第1ビームスプリッタの第2面に向けて反射する第2ミラーを備えることを特徴とする画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関し、特に空間の奥行方向に複数の画像を重ね合わせて結像させる画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両内に各種情報を表示する装置として、アイコンを点灯表示する計器盤が用いられている。また、表示する情報量の増加とともに、計器盤に画像表示装置を埋め込むことや、計器盤全体を画像表示装置で構成することも提案されている。
【0003】
しかし、計器盤は車両のフロントガラスより下方に位置しているため、計器盤に表示された情報を運転者が視認するには、運転中に視線を下方に移動させる必要があるため好ましくない。そこで、フロントガラスに画像を投影して、運転者が車両の前方を視認したときに情報を読み取れるようにするヘッドアップディスプレイ(以下HUD:Head Up Display)も提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このようなHUDでは、フロントガラスの広い範囲に画像を投影するための光学装置が必要であり、光学装置の小型化および軽量化が望まれている。
【0004】
一方で、小型の光学装置を用いて光を投影する画像表示装置としては、メガネ形状をしたヘッドマウント型のHUDが知られている(例えば、特許文献2を参照)。ヘッドマウント型のHUDでは、光源から照射された光を視聴者の眼に直接照射して、視聴者の網膜に画像を投影している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-118669号公報
【文献】特表2018-528446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のヘッドマウント型HUDでは、画像を投影するための光源に発光ダイオードや有機EL素子を用い、画像表示にも液晶表示装置を用いているため、空間に結像する画像(エアリアルイメージ)の光量を向上させることが困難であった。特に、現実の空間を背景としてエアリアルイメージを重ね合わせる場合には、日中において太陽光が照射された環境下でも画像の視認性を確保することが困難になる。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、奥行方向に結像させる画像の光量を向上させて、視認性を向上させることが可能な画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の画像表示装置は、レーザ光を照射する光源部と、前記光源部が照射した光の一部を第1方向に反射するとともに、残りの光を第2方向に透過する第1ビームスプリッタと、前記第1方向に進行した光を空間上に結像させる第1結像光学部と、前記第2方向に進行した光を空間上に結像させる第2結像光学部を備え、前記第1結像光学部または前記第2結像光学部の一方が、ヘッドマウントディスプレイを備えることを特徴とする。
【0009】
このような本発明の画像表示装置では、光源部が照射したレーザ光を第1ビームスプリッタで分岐して、第1結像光学部と第2結像光学部で結像させるため、奥行方向に結像させる画像の光量を向上させて、視認性を向上させることが可能となる。
【0011】
また本発明の一態様では、前記第1結像光学部または前記第2結像光学部の他方が、前記第1ビームスプリッタからの光の一部を反射するとともに、残りの光を透過する第2ビームスプリッタと、前記第2ビームスプリッタで反射された光を再帰反射する第1再帰反射部と、前記第1再帰反射部で反射された光を反射するダイクロイックミラーを備える。
【0012】
また本発明の一態様では、前記第2ビームスプリッタを透過した光を再帰反射する第2再帰反射部を備える。
【0013】
また本発明の一態様では、前記光源部が照射した光を分岐する第1ハーフミラーと、前記第1ハーフミラーを透過した光を前記第1ビームスプリッタの第1面に向けて反射する第1ミラーと、前記第1ハーフミラーで反射した光を前記第1ビームスプリッタの第2面に向けて反射する第2ミラーを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、奥行方向に結像させる画像の光量を向上させて、視認性を向上させることが可能な画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る画像表示装置100の構成を示す模式図である。
図2】画像表示装置100のうち第1結像光学部を用いた第3画像Hの結像および視認について説明する模式図である。
図3】画像表示装置100のうち第2結像光学部を用いた第1画像A1および第2画像A2の結像および視認について説明する模式図である。
図4】画像表示装置100を用いたエアリアルイメージの結像を示す写真である。
図5】第2実施形態に係る画像表示装置110の構成を示す模式図である。
図6】画像表示装置110を用いたエアリアルイメージの結像を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。図1は、本実施形態に係る画像表示装置100の構成を示す模式図である。図1に示すように画像表示装置100は、光源部CWと、レンズL1,L2と、ハーフミラーHM1,HM2と、ミラーM1,M2,M3と、アパチャAPと、プリズムPrと、ビームスプリッタBS1,BS2と、再帰反射部RR1,RR2と、ダイクロイックミラーDMと、ヘッドマウントディスプレイHMDを備えている。
【0017】
図1に示した画像表示装置100では、視聴者は、光源部CWから照射された光により投影される第1画像A1、第2画像A2、第3画像Hを奥行方向に異なる距離に視認する。図1においては、第1画像A1、第2画像A2、第3画像Hが並ぶ方向を奥行方向とし、奥行方向に直交する上下方向を垂直方向とし、奥行方向と垂直方向に直交する方向を横方向とする。
【0018】
光源部CWは、所定波長のレーザ光を照射する装置であり、例えば半導体レーザ素子と制御回路を備えた半導体レーザ装置を用いることができる。光源部CWから照射されるレーザ光は、可視光範囲の波長であれば限定されないが、赤色、青色、緑色の何れかであることが好ましい。また、光源部CWから照射される光は単色であってもよく、複数色が混色されたものであってもよい。また、赤色、青色、緑色の光を時分割で出射するとしてもよい。また、光源部CWが照射する光は、連続光であってもよくパルス光であってもよい。また、光源部CWにコリメータレンズやその他の光学要素を含めるとしてもよい。光源部CWが照射する光は、液晶表示素子やDMD(Digital Mirror Device)を用いることで所定の画像を含む光として照射することができる。
【0019】
レンズL1,L2は、光源部CWから照射されたレーザ光の経路中に配置されて、レーザ光の集光や拡大をする光学要素である。図1に示した例では、レンズL1は光源部CWとハーフミラーHM1の間に配置され、レンズL2はミラーM3とプリズムPrの間に配置されている。ここではレンズL1,L2の2つを用いた例を示しているが、後述するように空中に結像される第1画像A1、第2画像A2、第3画像Hの位置を調整するために、必要に応じて適宜いずれかの光路中に他のレンズを追加するとしてもよい。
【0020】
ハーフミラーHM1,HM2は、一方の面に入射した光の一部を反射して残りの一部を透過する略平板状の光学要素であり、垂直方向と奥行方向に対して45度の角度となるように配置されている。ハーフミラーHM1,HM2の反射率と透過率は限定されないが、例えば50%を反射して50%を透過するものを用いることができる。ミラーM1,M2,M3は、反射面に入射した光を反射する略平板状の光学要素であり、垂直方向と奥行方向に対して45度の角度となるように配置されている。
【0021】
アパチャAPは、限定された領域内に到達した光のみを透過して、光の照射領域を限定するための光学要素である。図1に示した例では、アパチャAPはレンズL2とプリズムPrの間に配置されており、レンズL2を透過して集光された光の径を限定してプリズムPrの光入射面に入射させる。プリズムPrは、ヘッドマウントディスプレイHMDの導光体内部に光を導入するための光学要素である。
【0022】
図1で示した例では、光源部CWから照射されたレーザ光は、レンズL1を経てハーフミラーHM1に入射し、一部が透過してミラーM1方向に進行し、残りが反射してミラーM2方向に進行する。ミラーM1に入射した光は、反射面で反射されてビームスプリッタBS1の一方の面に入射する。ミラーM2に入射した光は、反射面で反射されてビームスプリッタBS1の他方の面に入射する。
【0023】
ビームスプリッタBS1は、入射した光の一部を透過するとともに一部を反射する部材であり、表面に反射率を調整する膜が形成された部分反射板を用いることができる。ビームスプリッタBS1は垂直方向と奥行方向に対して45度の角度となるように配置されている。また、ミラーM1,M2から一方の面および他方の面に入射する光の光軸に対しても45度傾斜して配置されている。ビームスプリッタBS1は、本発明における第1ビームスプリッタに相当している。
【0024】
ヘッドマウントディスプレイHMDは、第3画像Hを空間上に結像させる画像投影部である。ヘッドマウントディスプレイHMDの具体的構成は限定されず、導光板と回折格子を用いるものや、レーザ光を網膜上にスキャンするもの等、公知の構成を用いることができる。図1に示した例では、ヘッドマウントディスプレイHMDは平板状の導光板と導光板内に形成されたハーフミラーHM2を備えており、プリズムPrから入射された光は導光板内部を伝搬して、ハーフミラーHM2で視聴者の視点方向に反射される。後述するように、ヘッドマウントディスプレイHMDのハーフミラーHM2で反射された光によって、第3画像Hが空間上で結像されるので、ミラーM3と、レンズL2と、アパチャAPと、プリズムPrと、ヘッドマウントディスプレイHMDは本発明における第1結像光学部を構成している。
【0025】
ビームスプリッタBS2は、入射した光の一部を透過するとともに一部を反射する部材であり、表面に反射率を調整する膜が形成された部分反射板を用いることができる。ビームスプリッタBS2は垂直方向と奥行方向に対して45度の角度となるように傾斜して配置されている。また、ビームスプリッタBS1から入射する光の光軸に対しても45度傾斜して配置されている。さらに、ビームスプリッタBS2とビームスプリッタBS1の傾斜方向は互いに反対であり、90度の角度で交差するように対向して配置されている。ビームスプリッタBS2は、本発明における第2ビームスプリッタに相当している。
【0026】
ここでは、ビームスプリッタBS1,BS2での光の透過率と反射率は任意のバランスを選択することができるが、例えば透過率を50%として反射率を50%とする。また、ビームスプリッタBS1,BS2の傾斜角度として45度と直交の例を示したが、レーザ光の進行方向と画像の結像位置との関係から適切な角度を用いることができる。
【0027】
再帰反射部RR1,RR2は、入射した光を入射方向に対して集光性を保ったまま反射させる光学部材であり、反射膜の表面側に微小なガラスビーズを敷き詰めた構造やプリズムを用いた構造の再帰反射部を用いることができる。再帰反射部RR1は、ビームスプリッタBS2の下方に配置され、主面が水平方向とされている。再帰反射部RR2は、ビームスプリッタBS1,BS2と並んで奥行方向に配置され、主面が垂直方向とされている。
【0028】
ダイクロイックミラーDMは、光源部CWが出射するレーザ光の波長を反射し、その他の波長の光を透過する光学部材である。ダイクロイックミラーDMは、再帰反射部RR1、ビームスプリッタBS2の上方に配置されており、奥行方向に45度の角度となるように傾斜して配置されている。後述するように、ダイクロイックミラーDMで反射された光によって、第1画像A1と第2画像A2が空間上で結像されるので、ビームスプリッタBS2と、再帰反射部RR1,RR2と、ダイクロイックミラーDMは本発明における第2結像光学部を構成している。
【0029】
また、図1では省略しているが、ビームスプリッタBS2とダイクロイックミラーDMとの間に結像光学系の一部として結像レンズを配置するとしてもよい。結像レンズは、ビームスプリッタBS2を透過してきた光を空間上の所定位置に結像させるための光学部材であり、複数のレンズ群を用いてもよい。また、光源部CWが照射したレーザ光によって空間に結像される第1画像A1、第2画像A2、第3画像Hは、静止画でも動画であってもよく、それぞれの投影する画像が同一であっても異なっていてもよい。
【0030】
図2は、画像表示装置100のうち第1結像光学部を用いた第3画像Hの結像および視認について説明する模式図である。ビームスプリッタBS1の一方の面に入射した光の一部は、ビームスプリッタBS1を透過してミラーM3に到達する。また、ビームスプリッタBS1の他方の面に入射した光の一部は、ビームスプリッタBS1で反射されてミラーM3に到達する。ミラーM3に到達した光は反射面で反射されて、レンズL2およびアパチャAPを経てプリズムPrに入射する。プリズムPrに入射した光は、プリズムPrとヘッドマウントディスプレイHMDの導光板内を進行してハーフミラーHM2に到達し、ハーフミラーHM2で反射された視聴者の視界に入射する。
【0031】
ここで、ハーフミラーHM2から視聴者の視界方向に進行する光は、ハーフミラーHM2の形状を適切に設計することで、図2中の破線で示したように視聴者方向に拡大する光路となる。したがって、視聴者は当該光路の延長上における空間上の結像位置に第3画像Hを視認する。また、ヘッドマウントディスプレイHMDおよびハーフミラーHM2は透光性材料で構成されているため、視線の延長線方向にある背景も視認することができる。
【0032】
図3は、画像表示装置100のうち第2結像光学部を用いた第1画像A1および第2画像A2の結像および視認について説明する模式図である。ビームスプリッタBS1の一方の面に入射した光の一部は、ビームスプリッタBS1で反射されてビームスプリッタBS2に到達する。また、ビームスプリッタBS1の他方の面に入射した光の一部は、ビームスプリッタBS1を透過してビームスプリッタBS2に到達する。
【0033】
ビームスプリッタBS2に到達した光の一部は反射されて再帰反射部RR1方向に進行し、再帰反射部RR1で再反射されてビームスプリッタBS2に再入射する。ビームスプリッタBS2に再入射した光は、ビームスプリッタBS2を透過し、ダイクロイックミラーDMで反射されて第1画像A1および第2画像A2として結像される。第1画像A1および第2画像A2として結像された光は、ヘッドマウントディスプレイHMDを透過して視聴者の目に到達する。したがって、視聴者は奥行方向における空中に第1画像A1と第2画像A2を視認する。
【0034】
ビームスプリッタBS2に到達した光の残りの一部は透過して再帰反射部RR2方向に進行し、再帰反射部RR2で再反射されてビームスプリッタBS2に再入射する。ビームスプリッタBS2に再入射した光は、ビームスプリッタBS2で反射され、ダイクロイックミラーDMで反射されて第1画像A1および第2画像A2として結像される。
【0035】
図3に示したように、再帰反射部RR1と再帰反射部RR2を用いることで、再帰反射部RR2で再帰反射された光もビームスプリッタBS2で反射されてダイクロイックミラーDMに到達して、第1画像A1および第2画像A2として結像される。したがって、ビームスプリッタBS2を透過した光と反射した光が第1画像A1および第2画像A2の結像に用いられるため、光量の低下が抑制される。
【0036】
このとき、再帰反射部RR1で再帰反射された光と、再帰反射部RR2で再帰反射された光は、ビームスプリッタBS2で分岐された同一内容の画像であり、互いに重ね合わされてダイクロイックミラーDMに到達する必要がある。したがって、再帰反射部RR1と再帰反射部RR2の光学的な特性が同一である場合には、再帰反射部RR1と再帰反射部RR2からビームスプリッタBS2の距離を等しくすることが好ましい。
【0037】
図1では、ミラーM1で反射された光の経路を一点鎖線で示し、ミラーM2で反射された光の経路を破線で示している。これらの光の経路中に別途レンズを挿入するなどして、一方の光の拡大率を変更すると、図1および図2に示すように第1画像A1と第2画像A2の結像位置を異ならせることができる。
【0038】
上述したように視聴者は、第1画像A1、第2画像A2および第3画像Hを結像させる光が、同一の視聴者における視野範囲に入射し、奥行方向に異なる位置である第1距離、第2距離および第3距離に、第1画像A1、第2画像A2および第3画像Hを視認できる。同時に、視聴者はダイクロイックミラーDMおよびヘッドマウントディスプレイHMDを透過して目に到達する背景を視認できる。したがって、視聴者は背景に第1画像A1、第2画像A2および第3画像Hを重ね合わせたエアリアルイメージを視認することになる。
【0039】
図4は、画像表示装置100を用いたエアリアルイメージの結像を示す写真である。図4の写真は、図1における視聴者の視点位置からヘッドマウントディスプレイHMDおよびダイクロイックミラーDM方向を撮影し、視聴者の視野範囲を画像として示している。図4中におけるx軸方向、y軸方向、z軸方向は、図1における横方向、垂直方向、奥行方向を示している。
【0040】
図4に示した例では、光源部CWから円形の画像を照射して、視聴者から奥行方向の第1距離に第1画像A1を結像し、第2距離に第2画像A2を結像し、第3距離に第3画像Hを結像した。図中に三角矢印Aで示した直径2mm程度の円は第2画像A2の結像であり、三角矢印Bで示した直径0.75mm程度の円は第1画像A1の結像であり、三角矢印*で示した直径0.5mmの円は第3画像Hの結像である。図4中の背景には、実験に用いた測定装置の各部品が視認可能とされており、エアリアルイメージである第1画像A1、第2画像A2、第3画像Hを背景に重ね合わせても、背景とエアリアルイメージの両者を良好に視認できることが確認できた。
【0041】
図4で示したように、本実施形態の画像表示装置100では、1つの光源部CWが照射したレーザ光を第1ビームスプリッタBS1で分岐して、第1結像光学部と第2結像光学部で結像させるため、奥行方向に結像させる画像の光量を向上させて、視認性を向上させることが可能となる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図5および図6を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。図5は、本実施形態に係る画像表示装置110の構成を示す模式図である。本実施形態の画像表示装置110では、ハーフミラーHM3とミラーM1の間にハーフミラーHM3を配置し、ミラーM2とビームスプリッタBS1の間にビームスプリッタBS3を配置した点が第1実施形態と異なっている。図5に示すように画像表示装置110は、光源部CWと、レンズL1,L2と、ハーフミラーHM1,HM2,HM3と、ミラーM1,M2,M3と、アパチャAPと、プリズムPrと、ビームスプリッタBS1,BS2,BS3と、再帰反射部RR1,RR2と、ダイクロイックミラーDMと、ヘッドマウントディスプレイHMDを備えている。
【0043】
図5に示したように、光源部CWから照射されたレーザ光は、レンズL1を経てハーフミラーHM1に入射し、一部が透過してハーフミラーHM3方向に進行し、残りが反射してミラーM2方向に進行する。ハーフミラーHM3に入射した光は、一部が透過してミラーM1方向に進行し、残りが反射してビームスプリッタBS3の一方の面に入射する。ミラーM1に入射した光は、反射面で反射されてビームスプリッタBS1の一方の面に入射する。
【0044】
ミラーM2に入射した光は、反射面で反射されてビームスプリッタBS3の他方の面に到達し、ビームスプリッタBS3を透過してビームスプリッタBS1の他方の面に入射する。ビームスプリッタBS3の一方の面に入射した光も、ビームスプリッタBS3で反射されてビームスプリッタBS1の他方の面に入射する。ビームスプリッタBS1の一方の面および他方の面に入射した光は、第1実施形態と同様に第1結像光学部および第2結像光学部によってエアリアルイメージとして結像される。
【0045】
本実施形態の画像表示装置110では、ハーフミラーHM1を透過したレーザ光をさらにハーフミラーHM3で分岐してビームスプリッタBS3を経てビームスプリッタBS2に到達させるため、レーザ光はダイクロイックミラーDMで反射されて第1画像A1、第2画像A2とは別の第4画像A4が空間中に結像される。また、第1実施形態と同様にハーフミラーHM3とビームスプリッタBS3の間には、適宜レンズ等の光学要素を配置して、第4画像A4の結像位置を調整するとしてもよい。
【0046】
上述したように視聴者は、第1画像A1、第2画像A2、第3画像H、第4画像A4を結像させる光が、同一の視聴者における視野範囲に入射し、奥行方向に異なる位置である第1距離、第2距離、第3距離および第4距離に、第1画像A1、第2画像A2、第3画像H、および第4画像A4を視認できる。同時に、視聴者はダイクロイックミラーDMおよびヘッドマウントディスプレイHMDを透過して目に到達する背景を視認できる。したがって、視聴者は背景に第1画像A1、第2画像A2、第3画像Hおよび第4画像A4を重ね合わせたエアリアルイメージを視認することになる。
【0047】
図6は、画像表示装置110を用いたエアリアルイメージの結像を示す写真である。図6の写真は、図5における視聴者の視点位置からヘッドマウントディスプレイHMDおよびダイクロイックミラーDM方向を撮影し、視聴者の視野範囲を画像として示している。
【0048】
図6に示した例では、光源部CWから円形の画像を照射して、視聴者から奥行方向の第1距離に第1画像A1を結像し、第2距離に第2画像A2を結像し、第3距離に第3画像Hを結像し、第4距離に第4画像A4を結像した。図中に三角矢印Cで示した直径1mm程度の円は第4画像A4の結像である。図4に示した第1画像A1、第2画像A2、第3画像Hに加えて、第4画像A4を背景と重ね合わせたエアリアルイメージとして結像し、視認できることが確認できた。
【0049】
図5および図6に示した例では、ハーフミラーHM3とビームスプリッタBS3をレーザ光の経路に一組だけ追加し、第4画像A4を結像しているが、さらに多数のハーフミラーおよびビームスプリッタを配置して結像するエアリアルイメージの数を増加させるとしてもよい。また、ハーフミラーとビームスプリッタを配置する位置は、レーザ光の経路中であれば図5に示したものに限定されない。
【0050】
上述したように、本実施形態の画像表示装置110でも、1つの光源部CWが照射したレーザ光を第1ビームスプリッタBS1で分岐して、第1結像光学部と第2結像光学部で結像させるため、奥行方向に結像させる画像の光量を向上させて、視認性を向上させることが可能となる。
【0051】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
100,110…画像表示装置
L1,L2…レンズ
RR1,RR2…再帰反射部
HM1,HM2,HM3…ハーフミラー
BS1,BS2,BS3…ビームスプリッタ
M1,M2,M3…ミラー
A1…第1画像
A2…第2画像
H…第3画像
A4…第4画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6