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  • 特許-無線電力充電用のシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】無線電力充電用のシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20231027BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20231027BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231027BHJP
   H01F 38/14 20060101ALN20231027BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J50/80
H02J7/00 301D
H01F38/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019548446
(86)(22)【出願日】2018-03-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 IL2018050266
(87)【国際公開番号】W WO2018163177
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/467,903
(32)【優先日】2017-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/492,204
(32)【優先日】2017-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/560,200
(32)【優先日】2017-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509212421
【氏名又は名称】パワーマット テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン,イタイ
(72)【発明者】
【氏名】グルズマン,イラヤ
(72)【発明者】
【氏名】マッハ,エリザー
(72)【発明者】
【氏名】サルハブ,アミール
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-517794(JP,A)
【文献】特開2017-022989(JP,A)
【文献】特開2015-164398(JP,A)
【文献】特開2017-005991(JP,A)
【文献】特開2016-092978(JP,A)
【文献】特開2015-053781(JP,A)
【文献】特開2015-181334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/12
H02J 50/80
H02J 7/00
H01F 38/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスに無線充電するための送信器であって、前記送信器が、
前記デバイスに充電するための電力の誘導的伝送のための設定可能なドライバと、
前記ドライバを制御し、充電の間に前記送信器の電流および/または電圧を測定するように構成されたコントローラであって、前記コントローラが、電力水準偏位を示す測定された電流および/または電圧、あるいは、前記デバイスからの、別の電力水準の再設定を示すメッセージの受信に基づいて、動作周波数、デューティサイクル、振幅、およびそれらの何れかの組合せから成る群から選択されるドライバパラメータを用いて前記ドライバを再構成することによって提供される電力の水準を調整するように構成される、コントローラと、
を備え、
前記送信器が、前記デバイスに電力を誘導的に伝送するように構成されるリレーに、電力を誘導的に送信するように構成され、前記送信器および前記リレーが、ガルヴァーニ接続なしで媒体によって隔てられており、前記送信器が、ある動作周波数範囲で動作するように構成され、
前記コントローラが、前記ドライバの交流電圧を前記ドライバの設定振幅によって除算した商を前記動作周波数範囲と比較することによってジョイント共振周波数(JRF)の変化を決定するために、前記測定された電流および/または電圧を利用するようにさらに構成され、前記JRFが、前記送信器および前記リレーの組合せによって形成される2つの共振周波数を備える、送信器。
【請求項2】
前記送信器によって提供される電力の水準の調整が、電力伝送の中止または出力電流の調整である、請求項1に記載の送信器。
【請求項3】
前記コントローラが、ジョイント共振周波数の変化の際に電力伝送を中止するようにさらに構成され、前記コントローラが、電力伝送の再較正その後再開を行うようにさらに構成される、請求項1に記載の送信器。
【請求項4】
前記コントローラが、反射インピーダンスの変化を計算し、それに応じて前記ドライバを再構成するようにさらに構成される、請求項1に記載の送信器。
【請求項5】
デバイスに無線充電するための方法であって、前記方法が、
送信器によって、前記デバイスに電力を誘導的に伝送するリレーに電力を送信することとであって、前記送信器および前記リレーが、ガルヴァーニ接続なしで媒体によって隔てられており、前記送信器が、ある動作周波数範囲で動作するように構成されることと、
前記デバイスに充電している間に、前記送信器の電流および/または電圧を測定することと、
電力水準偏位を示す測定された電流および/または電圧に基づいて、動作周波数、デューティサイクル、振幅、およびそれらの何れかの組合せから成る群から選択されるドライバパラメータを用いてドライバを再構成することにより、前記送信器によって提供される電力の水準を調整することと、
前記ドライバの交流電圧を前記ドライバの設定振幅によって除算した商を前記動作周波数範囲と比較することによってジョイント共振周波数(JRF)の変化を決定するために、前記測定された電流および/または電圧を利用することであって、前記JRFが、前記送信器および前記リレーの組合せによって形成される2つの共振周波数を備えることと、
を備える、方法。
【請求項6】
前記送信器によって提供される電力の水準を調整することが、
電力伝送を中止することと、
出力電流を調整することと、
を備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ジョイント共振周波数の変化の際に電力伝送を中止することと、
電力伝送の再較正その後再開を行うことと、
を備える、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
反射インピーダンスの変化を計算するために、かつ、それに応じて前記ドライバを再構成するために、前記測定された電流および/または電圧を利用すること
を備える、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、無線電力充電システムに関する。より詳細には、本開示の主題は、媒体を介した誘導充電および負荷追跡の方法に関する。
関連出願の相互参照
【0002】
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で以下の同時係属仮特許出願からの優先権を請求し、同仮特許出願を全ての目的で参考文献として援用する。
a. 2017年3月7日に出願された、Itay Sherman、Elieser Mach、Ilya Gluzman、Amir Salhuvによる「Large Range Inductive Tx」という名称の米国仮特許出願第62/467,903号。
b. 2017年4月30日に出願された、Itay Shermanによる「Smart Inductive」という名称の米国仮特許出願第62/492,204号。
c. 2017年9月19日に出願された、Itay Shermanによる「Improving robustness of standard inductive wireless power transfer system」という名称の米国仮特許出願第62/560,200号。
【背景技術】
【0003】
幅広い種類の場所において、劇的な配備増に導かれる、無線電力充電システムに対する需要が増えつつあることで、送信器と受信器との間の有効充電距離を増大させる必要性が増している。市販のシステムでは、そのようなシステムの送信器と受信器との間の最大距離が約10ミリメートルに制限されている。
【0004】
無線電力充電システムは、レストラン、コーヒーショップ、空港、バス発着所;駅、銀行、学校、図書館、ホテル、公用建築物等、などの公共施設に通常配備されている。典型的には、システムは、ユーザが接近可能である、テーブル、棒材等などの、表面の最上部上に据え付けられており、したがって、装飾的な外観、および危険のない設備が求められる。一方でこれらの要件、他方で距離制限を満たすには、配線が表面の最上部上に配索されること、ならびに距離制限のために表面をドリル加工することが必要となる。いくつかの事例では、そのような市販のシステムの送信器は、表面の切欠き穴の内部に据え付けられることができるが、これは、顧客の備品に損傷を与えることに加えて、設備を複雑にし、費用を上昇させる。
【0005】
明らかに、そのような市販の解決策は、消費者市場では所望されていない。さらに、これらの利用可能な解決策の無線電力充電水準は、15ワット未満を要求する手持ち型デバイスを充電することに限定される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の主題の第1の態様によれば、デバイスからメッセージを受信することができる送信器によってデバイスに無線充電するためのシステムであって、システムは、デバイスに充電するための誘導的伝送電力水準用に設定可能なドライバと、ドライバを制御するように構成され、充電の間、送信器の電流および電圧を連続的に測定するコントローラであって、その制御が、電力水準偏位の表示またはメッセージに基づいた別の電力水準の再設定を測定することに基づいて、動作周波数、デューティサイクル、振幅、およびそれらの何らかの組合せで構成される群から選択されたパラメータを用いてドライバを再構成することによって電力水準を調整している、コントローラとを備える。
【0007】
いくつかの例示的実施形態では、電力水準を調整することは、電力を増大させることと、電力を低減させることと、電力を止めることと、それらの何らかの組合せとで構成される群から選択される。
【0008】
いくつかの例示的実施形態では、コントローラは、大きな電流降下を測定したこと、および所定の期間デバイスから電力修正メッセージが受信されていないことに基づいて電力を伝送することを中止する。
【0009】
いくつかの例示的実施形態では、コントローラは、許容される所定の範囲に関するジョイント共振周波数の変化を決定するために連続的に測定することを利用する。
【0010】
いくつかの例示的実施形態では、コントローラは、ジョイント共振周波数が変化すると、伝送電力を中止して、再較正を行い、その後電力の伝送を再開する。
【0011】
いくつかの例示的実施形態では、コントローラは、反射インピーダンスの変化を計算するために、連続的に測定すること、およびそれに応じてドライバを再構成することを利用する。
【0012】
いくつかの例示的実施形態では、送信器は、デバイスに電力を誘導的に伝送するリレーに、電力を誘導的に伝送し、送信器およびリレーは、ガルヴァーニ接続なしで媒体によって隔てられている。
【0013】
いくつかの例示的実施形態では、電力水準を調整することは、電力を増大させることと、電力を低減させることと、電力を止めることと、それらの何らかの組合せとで構成される群から選択される。
【0014】
特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術的および科学的用語は、本開示の主題が属する技術の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において記載されるものと類似または同等の方法および材料は、本開示の主題の実践または試験で使用されることができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。矛盾する場合、定義を含む明細書が制御する。さらに、材料、方法、および例は、説明するためのものにすぎず、制限的であるようには意図されていない。
【0015】
記載される開示の主題のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照しながら、ほんの一例として記載される。これより特に図面を詳細に参照するにあたり、示される詳細は、一例として、本開示の主題の好適な実施形態の例証的な考察を目的とするものにすぎず、開示の主題の原理および概念上の態様についての最も有用な、かつ容易に理解される記述であると信じられるものを提供するために提示されていることを強調しておく。この点に関して、開示の主題の構造細部を、開示の主題の基本的な理解に必要なものより詳細に示そうとは試みられてはなく、記述を図面と合わせて読むことで、開示の主題のいくつかの形態が、実際に具現化される方法が、当業者には明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、無線電力充電システムの設備の断面図を示す。
図2】開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、別の無線電力充電システムの設備の断面図を示す。
図3】開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、媒体を介した無線電力充電用のシステムのブロック線図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
開示の主題の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、開示の主題は、その適用において、以下の記述で説明されるまたは図面に図示される構造の詳細、および構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。開示の主題は、他の実施形態でも可能である、またはさまざまな方法で実践される、もしくは遂行されることが可能である。さらに、本明細書において使用される言い回しおよび専門用語は、説明を目的としており、制限的とみなされてはならないことを理解されたい。図面は、概括的には正確な縮尺ではない。明暸性のために、非必須要素が省略された図面もある。
【0018】
用語「備える」、「備えること」、「含む」、「含むこと」、および「有すること」は、それらの同根語とともに、「含むこと、しかしこれに限定されるわけではない」ことを意味する。用語「で構成されること」は、「含み、かつこれに限定されること」と同じ意味を有する。
【0019】
用語「で本質的に構成されること」は、付加的な成分、段階、および/または部分が、請求される組成物、方法、または構造の基本的および新規な特性を実質的に変更しない場合に限り、組成物、方法、または構造は、付加的な成分、段階、および/または部分を含む可能性があることを意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合、コンテクストが特に明確に指図しない限り、単数形「a」、「an」、および「the」は、複数の言及を含む。例えば、用語「合成物」または「少なくとも1つの合成物」は、それらの混合物を含む複数の合成物を含む可能性がある。
【0021】
本出願を通して、本開示の主題のさまざまな実施形態は、適用範囲フォーマットの中で提示され得る。適用範囲フォーマット内の説明は、単に便宜上、および簡潔にするためのものであることを理解されるべきであり、開示の主題の範囲上の柔軟性のない制限として解釈されてはならない。したがって、適用範囲の説明は、明確に開示される全ての可能な部分範囲、ならびにその適用範囲の中の個別的な数値を有すると考えられなければならない。
【0022】
明暸性のために、別の実施形態との関連で記載される、開示の主題の特定の特徴は、単一の実施形態の中に組み合わせて提供されてもよいことを理解されたい。これとは逆に、簡潔さのために、単一の実施形態との関連で記載される、開示の主題のさまざまな特徴は、さらに、別々に、もしくは何らかの適切な下位組合せで、または開示の主題の何らかの他の実施形態において適切であるように提供されてもよい。さまざまな実施形態との関連で記載される特定の特徴は、実施形態が、そうした要素がなければ動作不能になるのでない限り、そうした実施形態の必須の特徴と考えられるべきではない。
【0023】
次に、開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、無線電力充電システムの設備の断面図を示す図1を参照する。無線電力充電システムは、送信器(Tx)100および少なくとも1つのリレー200を備えることができる。
【0024】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、媒体10の一方の側に取り付けられることができ、他方で、リレー200は、媒体10の反対側に取り付けられることができる。媒体10は、例えば木、可塑性花崗岩、大理石、それらの組合せ等などの、電気を導通しないどのような材料で作られてもよい。本開示では、媒体10は、公共の場所でユーザが接近することができるテーブル、机、棒材等などの、表面を指していることに留意されよう。例えば:レストラン、コーヒーショップ、空港、バス発着所;駅、銀行、学校、図書館、ホテル、公用建築物等。
【0025】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、送信器コイル(Lt)110、送信器コンデンサ(Ct)130、送信器フェライト(Tx-ferrite)119、および送信器電子回路(Tx-elec.)150を備え、全て、ファスナ102によって媒体10に固定され得る送信器エンクロージャ(Tx enclosure)101の内部に組み込まれている。
【0026】
いくつかの例示的実施形態では、リレー200は、リレーコイル(Lr)210、リレーフェライト219、およびリレーコンデンサ(Cr)230を備えることができ、全て、媒体10の反対側に固定され得るリレーエンクロージャ201の中に組み込まれている。エンクロージャ201は、マット、パッド、ソーサ、コースタ、それらの組合せ等の形状および形状因子を有していてもよい。リレー200のエンクロージャ201は、接着剤または何らかの他の方法で媒体10に固定されることができ、これは、リレー200およびTx100が、媒体10の両側から相互に重なることを保証する。リレー200およびTx100は、Lt110およびLr210が、図1に図示されるように、2つの間のインダクタンスを最適化するために、向かい合うように実質的に位置合わせされるべきであるように、相互に重なり合うことに留意されよう。
【0027】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、電源(PS:power supply)160(図示せず)によって電力を供給されていて、リレー200上に置かれる誘導的(無線)充電デバイス20のためにリレー200を利用するように構成されることができる。デバイス20は、タブレット、ラップトップ、多機能電話、または何らかの充電可能な可搬式ハンドセットなどのユーザのデバイスであってもよく、誘導電力を受容して、デバイス20の電池を充電するように構成された組込みコイル22を備える。組込みコイル22は、上で列挙されたデバイス用の受信器の標準コイルを指すことに留意されたい。典型的には、これらの標準コイルは、およそ40ミリメートルの直径を有する。
【0028】
本開示の中の構成要素Lt110、Lr210/Lr310、およびコイル22の専門用語は、関連仮特許出願の第1のTxコイル、第2のTxコイル、およびRxコイルにそれぞれ対応していることに留意されたい。
【0029】
Lr210およびLt110と同様の、コイル22およびLr210は、有効な充電判定基準の1つを満たすために、実質的に相互に向かい合って重なることができる、すなわち、コイル22およびLr210の中心は、位置合せされることができる。位置合せを確実にするために、リレー200のエンクロージャ201は、有効な充電を得るように、リレー200の最上部上にデバイス20を配置するのに最適な場所をユーザに指示するレイアウトに印を付けられることができる。しかしながら、図1に図示されるように、デバイス20が、リレー200の最上部上に正確に配置されていない場合であっても、無線電力充電システムは、電力充電を提供するように適合されることができる。
【0030】
いくつかの例示的実施形態では、Lr210およびLt100は両方とも、100mmより大きい直径を有する平坦な螺旋空心コイルであってもよい。そのような大きいコイルを利用することで、媒体10の30ミリメートル以上の厚さにもかかわらず、Lr210とLt100との間の比較的高度な結合が可能になる。図1に描写される実施形態では、Lr210とLt100との間の結合係数は、0.25より大きくなり得る。典型的なコイル22とLr210との間の結合は、図1に描写される実施形態では、0.15より大きくなり得る。
【0031】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、送信器フェライト(Tx-ferrite)119を備える。Tx-ferrite119は、透磁性及び磁心損失の適切な磁気的特性を備えたフェライト材でできた層であることができる。Tx-ferrite119を利用する1つの技術的理由は、Tx-electronics150を誘導エネルギーから防護するためのバッファを提供することである。Tx-ferrite119を利用する別の技術的理由は、リレー200に面する磁場、したがって、Lt110のインダクタンスを増大させるためであり得る。厚さ、可撓性、脆性、その組合せ等などのTx-ferrite119の特性は、本開示のシステムが提供される用途によって決められ得る。例えば、厚さおよび媒体10が作られている材料。Lt110が、円の形状を有する場合があるので、Tx-ferrite119の形状は、同様に、Lt110の外径以上の直径を有する円であり得る。あるいは、Lt110の外径が、幾何学的平面図形内の内接円であるのであれば、Tx-ferrite119は、何らかの幾何学的平面図形の形状を有する場合がある。
【0032】
いくつかの例示的実施形態では、リレー200は、リレーフェライト219を備えていてもよい。リレーフェライト219は、Tx-ferrite119と同様のフェライト材で作られた層であってもよい。リレーフェライト219を利用する1つの技術的理由は、デバイス20の電子回路構成を誘導エネルギーから防護するためのバッファを提供するためである。リレーフェライト219を利用する別の技術的理由は、Tx100に面する磁場、したがって、Lr210のインダクタンスを増大させるためであり得る。リレーフェライト219は、Tx-ferrite119の特性に類似した特性を持っている。Lr210が、円の形状を有する場合があるので、リレーフェライト219の形状は、同様に、Lr210の外径以上の直径を有する円であり得る。あるいは、Lr210の外径が、幾何学的平面図形内の内接円であるのであれば、リレーフェライト219は、何らかの幾何学的平面図形の形状を有する場合がある。
【0033】
リレーフェライト219は、中心に位置している切欠きを必要とすることに留意されたい。切欠きのサイズは、デバイス20のコイル22などの、充電可能なデバイスの典型的な受信器コイルの外径と等しくても、またはそれよりわずかに大きくてもよい。切欠きの形状は、Lr210とコイル22との間で磁束の通過を可能にするために、コイル22形状を取り囲む、円または何らかの幾何学的表面であってもよい。
【0034】
開示の主題のいくつかの例示的実施形態では、少なくとも1つの共振コンデンサ(Ct)130は、Lt110に直列で接続されることができ、少なくとも1つの共振コンデンサ(Cr)230は、Lr210に直列で接続されることができる。したがって、共振コンデンサは、それぞれのコイルの内径空間の中に置かれる。あるいは、したがって、共振コンデンサは、それぞれのコイルの外径空間の隣に、または関係するエンクロージャ内の他の場所に置かれることができる。
【0035】
本開示のリレーフェライト219は、市販の標準規格伝達コイルを用いてコイル22の挙動をよりよくシミュレートするために、コイル22およびLr210の結合係数を増大させ、さらに、本開示のシステムでは所望されない、Lt110からコイル22へのいくらかの直接結合を低減させる。さらに、Tx100およびリレー200両方の共振コンデンサは、システム動作点、コイル22装荷の依存度を安定させ、電力伝送の高効率を可能にすることを目的とする。いくつかの例示的実施形態では、Lt110およびCt130(すなわちTx100LC回路)の共振周波数は、コイル22などの典型的なコイルの共振周波数(およそ100kHz)よりかなり低く、Lr210およびCr230(すなわちリレー200LC回路)の共振周波数より大幅に低くなるように設定されることができる。
【0036】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100とリレー200LC回路の組合せは、負荷が存在していないとき、2つの異なる共振周波数、以下ジョイント共振周波数(JRF:joint resonance frequencies)を形成することができる。JRFの第1の共振周波数は、Tx100LC回路の共振周波数に近接していてもよいが、いずれの場合でも、それより低い。JRFの第2の共振周波数は、リレー200LC回路の共振周波数に近接していてもよいが、いずれの場合でも、それより高い。「Tx100およびリレー200LC回路の組合せ」という語句は、本開示では、図1に描写されたような、Tx100およびリレー200が相互に向かい合っており、電力がTx100に加えられている状態を指していることに留意される必要がある。第2の共振周波数、すなわちより高い共振周波数は、本開示システムでは主共振周波数(MRF:main resonance frequency)としてみなされるべきであることにさらに留意される必要がある。
【0037】
Tx100LC回路およびリレー200LC回路の共振周波数は、JRFが、上にCoil22がない状態で、Tx100の所望される最大動作周波数より低い特定の範囲(標準的には20~50kHz)であるように調整され、コイル22共振周波数より高くなるような方法で設計される。
【0038】
一例として、Lt110のインダクタンスは、およそ30μHであってもよく、Ct130のキャパシタンスは、およそ54kHzのTx100LC回路の共振周波数を提供する、およそ290μFであってもよい。他方で、Lr210のインダクタンスは、およそ60μHであってもよく、Ct130のキャパシタンスは、およそ106kHzのリレー200LC回路の共振周波数を提供するおよそ37.5nFであってもよい。そのような好ましい例示的実施形態では、システムMRFは、117kHz(すなわちリレー200LC回路の共振周波数の106kHzより高い)であってもよく、その場合、据え付けられたリレー200とTx110との間の間隙は、およそ30ミリメートルであり得る。
【0039】
いくつかの例示的実施形態では、動作周波数(OPF:operating frequency)は、121kHz~140kHzの範囲であってもよく、範囲の低い方のOPFは、MRF、すなわち117kHzより4kHz高くなり得、最大周波数は、規制限度、すなわち145kHzより5kHz低くなり得る。あるいは、最大OPFは、MRFおよび規制最大周波数限度を下回って設定されてもよい。上記例のように類似のコイルを有する設備では、0.5”の媒体10の厚さを備えていて、MRFは、140kHzであってもよい。したがって、動作範囲は、115kHz~136kHzに設定されてもよく、最大周波数は、MRFより4kHz低く、規制限度より低い。
【0040】
本開示のシステムは、共振周波数での動作を回避することを理解されたい。本開示システムの好適なOPFは、主共振周波数(MRF)より低いまたは高い周波数にシフトされる周波数の範囲にあることができる。
【0041】
次に、開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、別の無線電力充電システムの設備の断面図を示す図2を参照する。
【0042】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、媒体10の一方の側に取り付けられることができ、他方で、リレー300は、表面10の反対側に取り付けられることができる。媒体10は、例えば木、可塑性花崗岩、大理石、それらの組合せ等などの、電気を導通しないどのような材料ででも作られることができる。本開示では、媒体10は、公共の場所でユーザが接近することができるテーブル、机、棒材等などの、表面を指していることに留意されよう。例えば:レストラン、コーヒーショップ、空港、バス発着所;駅、銀行、学校、図書館、ホテル、公用建築物等。
【0043】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、送信器コイル(Lt)110、送信器コンデンサ(Ct)130、送信器フェライト(Tx-ferrite)119、および送信器電子回路(Tx-elec.)150を備え、全て、ファスナ102によって媒体10に固定され得る送信器エンクロージャ(Tx enclosure)101の内部に組み込まれている。
【0044】
いくつかの例示的実施形態では、リレー300は、リレーコイル(Lr)310、第2のリレーコイル(sLr)320、リレーフェライト319、第2のリレーフェライト329、およびリレーコンデンサ(Cr)330を備え、全て、媒体10の反対側に固定され得るリレーエンクロージャ301の中に組み込まれている。エンクロージャ301は、マット、パッド、ソーサ、コースタ、それらの組合せ等の形状および形状因子を有することができる。リレー300のエンクロージャ301は、リレー300およびTx100が、媒体10の両側から相互に重なることを保証する、接着剤または何らかの他の方法で媒体10に固定されることができる。リレー300およびTx100は、Lt110およびLr310が、図2に図示されるように、2つの間のインダクタンスを最適化するため向かい合うように実質的に位置合せされるべきであるように、相互に重なり合うことに留意されよう。
【0045】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、電源(PS)160(図2には図示されず、図3に図示される)によって電力を供給されていて、リレー300上に置かれる誘導的(無線)充電デバイス20のためにリレー300を利用するように構成されてもよい。デバイス20は、タブレット、ラップトップ、多機能電話、または何らかの充電可能な可搬式ハンドセットなどのユーザのデバイスであってもよく、誘導電力を受容して、デバイス20の電池を充電するように構成された組込みコイル22を備える。
【0046】
開示の主題のいくつかの例示的実施形態では、リレー300は、Lr310と直列で電気的に接続されることができる二次リレーコイルsLr320をさらに含んでいてもよい。代わりに、Lr310は、2つのより平らな高さに位置している2つの部分に配置されることができ、内側コイル(すなわちsLr320)または代わりにLr310の部分は、Lt110に面するLr310の外側部分と比べて高くなっている。
【0047】
コイル22およびsLr320は、実質的に相互に向かい合って重なることができる、すなわちコイル22およびsLr320の中心は、有効な充電判定基準の一方を満たすために、位置合せされる。位置合せのために、リレー300のエンクロージャ301は、有効な充電を得るためにリレー300の最上部上にデバイス20を配置するのに最適な場所をユーザに指示するレイアウトに印を付けられてもよい。しかしながら、図2に図示されるように、デバイス20が、リレー300の最上部上に正確に配置されていない場合であっても、無線電力充電システムは、電力充電を提供するように適合され得る。
【0048】
いくつかの例示的実施形態では、Lr310およびLt100は両方とも、100mmより大きい直径を有する平坦な螺旋空心コイルであってもよく、一方で、sLr320は、同様に平坦な螺旋空心コイルを有していて、コイル22などの典型的な受信器コイルに適するより小さい直径を有していてもよい。そのような大きいコイルを利用することで、媒体10の30mm以上の厚さを克服するために、Lr310とLt100との間の比較的高度な結合が可能になる。図2に描写される実施形態では、Lr310とLt100との間の結合係数は、最大30ミリメートルの媒体厚さでは、0.25より大きくなり得る。典型的なコイル22とsLr320との間の結合は、図2に描写される実施形態では0.15より大きくなり得る。
【0049】
第2のリレーフェライト329が、磁場を遮断する(下文でさらに詳細に記述される)ので、sLr320は、Lt110によって直接影響を及ぼされることはあり得ないが、Lr310およびsLr320が、直列に接続されているので、Lr310に誘導される同じ電流が、sLr320を流れることに留意されたい。
【0050】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、送信器フェライト(Tx-ferrite)119を備えていてもよい。Tx-ferrite119は、透磁性及び磁心損失の適切な磁気的な特性を備えたフェライト材でできた層であってもよい。Tx-ferrite119を利用する1つの技術的理由は、Tx-elec.150を誘導エネルギーから防護するためのバッファを提供するためであり得る。Tx-ferrite119を利用する別の技術的理由は、リレー300に面する磁場、したがって、Lt110のインダクタンスを増大させるためであり得る。厚さ、可撓性、脆性、その組合せ等などのTx-ferrite119特性は、本開示のシステムが提供され得る用途によって決められ得る。例えば、厚さおよび媒体10が作られる材料。Lt110が、円の形状を有する場合があるので、Tx-ferrite119の形状は、同様に、Lt110の外径以上の直径を有する円であり得る。あるいは、Lt110の外径が、幾何学的平面図形内の内接円であるのであれば、Tx-ferrite119は、何らかの幾何学的平面図形の形状を有する場合がある。
【0051】
いくつかの例示的実施形態では、リレー300は、リレーフェライト319を備えていてもよい。リレーフェライト319は、Tx-ferrite119に類似したフェライト材で作られた層であってもよい。リレーフェライト319を利用する1つの技術的理由は、デバイス20の電子回路構成を誘導エネルギーから防護するためのバッファを提供するためであり得る。リレーフェライト319を利用する別の技術的理由は、Tx100に面する磁場、したがって、Lr310のインダクタンスを増大させるためである。リレーフェライト319は、Tx-ferrite119の特性に類似した特性を持つことができる。Lr310が、円の形状を有する場合があるので、リレーフェライト319の形状は、同様に、Lr310の外径以上の直径を有する円であり得る。あるいは、Lr310の外径が、幾何学的平面図形内の内接円であるのであれば、リレーフェライト319は、何らかの幾何学的平面図形の形状を有することができる。
【0052】
リレーフェライト319は、中心に位置している切欠きを必要とし得ることに留意されたい。切欠きのサイズは、デバイス20のコイル22などの、充電可能なデバイスの典型的な受信器コイルの外径と等しくても、またはわずかに大きくてもよい。切欠きの形状は、Lr310とコイル22との間で磁束の通過を可能にするために、コイル22形状を取り囲む、円または何らかの幾何学的平面であってもよい。
【0053】
開示の主題のいくつかの例示的実施形態では、リレー300は、Lt110によってsLr320に誘導される磁場を遮断し、コイル22に向かうsLr320インダクタンスを強化するように構成された第2のリレーフェライト329をさらに備える。第2のリレーフェライト329は、Tx-ferrite119およびリレーフェライト319の特性に類似した特性を持っている。形状フェライト329は、リレーフェライト319の切欠き形状と等しくても、またはわずかに大きくてもよい。実際的には、リレーフェライト319の切欠きは、Lr310の内径の内部に、そして同じ平面に位置しているフェライト329として使用されることができ、一方でsLr320は、フェライト229の最上部上に位置していてもよい。
【0054】
開示の主題のいくつかの例示的実施形態では、少なくとも1つの共振コンデンサ(Ct)130は、Lt110に直列で接続されることができ、少なくとも1つの共振コンデンサ(Cr)330は、Lt310に直列で接続されてもよい。したがって、共振コンデンサは、それぞれのコイルの内径空間の内部に置かれてもよい。あるいは、したがって、共振コンデンサは、それぞれのコイルの外径空間の隣に、または関係するエンクロージャ内の他の場所に置かれることができる。
【0055】
本開示のリレーフェライト319は、市販の標準規格伝達コイルを用いてコイル22の挙動をよりよくシミュレートするために、コイル22およびLr310の結合係数を増大させ、さらに、本開示のシステムでは所望されない、Lt110からコイル22へのいくらかの直接結合を低減させる。さらに、Tx100およびリレー300両方の共振コンデンサは、システム動作点、コイル22装荷の依存度を安定させ、電力伝送の高効率を可能にすることを目的とする。いくつかの例示的実施形態では、Lt110およびCt130(すなわちTx100LC回路)の共振周波数は、典型的なコイル22の共振周波数(およそ100kHz)よりかなり低く、Lr310およびCr330(すなわちリレー300LC回路)の共振周波数より大幅に低くなるように設定されてもよい。
【0056】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100とリレー300LC回路の組合せは、負荷が存在していないとき、2つの異なる共振周波数、以下共振周波数(JRF)を形成することができる。JRFの第1の共振周波数は、Tx100LC回路の共振周波数に近接している場合があるが、いずれの場合でも、それより低いようになる。JRFの第2の共振周波数は、リレー300LC回路の共振周波数に近接している場合があるが、それより高いようになる。「Tx100およびリレー300LC回路の組合せ」という語句は、本開示では、図2に描写されたような、Tx100およびリレー300が相互に向かい合っており、電力がTx100に加えられている状態を指していることに留意される必要がある。第2の共振周波数、すなわちより高い共振周波数は、本開示システムでは主共振周波数(MRF)としてみなされるべきであることにさらに留意される必要がある。
【0057】
Tx100LC回路およびリレー300LC回路の共振周波数は、JRFが、上にCoil22がない状態で、Tx100の所望される最大OPFより低い特定の範囲(標準的には20~50kHz)であるように調整され、コイル22共振周波数より高くなるような方法で設計される。
【0058】
1つの好適な例示的実施形態では、Lt110のインダクタンスは、およそ30μHであることができ、Ct130のキャパシタンスは、およそ54kHzのTx100LC回路の共振周波数を提供するおよそ290μFであることができる。他方で、Lr310のインダクタンスは、およそ60μHであることができ、Ct130のキャパシタンスは、およそ106kHzのリレー300LC回路の共振周波数を提供するおよそ37.5nFであることができる。そのような好適な例示的実施形態では、システムMRFは、117kHz(すなわちリレー300LC回路の共振周波数の106kHzより高い)であることができ、その場合、据え付けられたリレー300とTx110との間の間隙が、およそ30ミリメートルであることができる。
【0059】
いくつかの例示的実施形態では、OPFは、121kHz~140kHzの間の範囲であり、範囲の低い方のOPFは、MRF、すなわち117kHzより4kHz高くなることができ、最大周波数は、規制限度、すなわち145kHzより5kHz低くなることができる。あるいは、最大OPFは、MRFおよび規制最大周波数限度を下回って設定されることができる。本明細書で上記した例のように類似したコイルを有する設備では、0.5”の媒体厚さを備えていて、MRFは、140kHzであることができる。したがって、動作範囲は、115kHz~136kHzに設定されることができ、最大周波数は、MRFより4kHz低く、規制限度より低い。
【0060】
次に、開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、媒体を介した無線電力充電用のシステムのブロック線図を示す図3を参照する。媒体を介した無線電力充電用のシステムは、PS160、Tx100送信器、およびリレー200もしくはリレー300のどちらかを備える。
【0061】
いくつかの例示的実施形態では、システムは、図1および図2のデバイス20などの、ユーザの充電可能なデバイスにリレー200またはリレー300を介して充電するためにTx100を利用するように適合されることができる。リレー200およびリレー300の両方とも、充電エネルギーをデバイス20等に無線で送信するための中継器として作用する受動的な電子回路であることができる。リレー200は、図1に描写されるような、LC共振回路を形成する、少なくとも1つのコイル(誘導子)および1つのコンデンサを備えることができる。インダクタンスおよびデバイス20のコイル22との結合を強化するために、代替リレー、すなわちリレー300が、提供されることができる。リレー300は、図2に描写される回路などのLC共振回路を形成する、少なくとも2つのコイルおよび1つのコンデンサを備える。
【0062】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、図1および図2にそれぞれ描写されるように、リレー200またはリレー300のどちらかのコイルに電流を誘導するために構成される送信器電子回路(Txelect)150、少なくとも1つのLx110コイル、およびコンデンサCt130を備えることができる。
【0063】
いくつかの例示的実施形態では、Tx-elect150は、コントローラ151、フルまたはハーフブリッジドライバ152、直流電流センサ153、直流電圧センサ154、および交流電流センサ155を備える。
【0064】
コントローラ151は、中央処理ユニット(CPU:central processing unit)、マイクロプロセッサ、電子回路、集積回路(IC:integrated circuit)等であることができる。さらにまたは代替的に、コントローラ151は、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)またはマイクロコントローラなどの特定のプロセッサ用に書き込まれた、または移植されたファームウェアとして実装されることができる、または、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)または特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)などのハードウェアまたは設定可能ハードウェアとして実装されることができる。コントローラ151は、Tx110、またはその下位構成要素のいずれかによって要求される計算を行うために利用されることができる。
【0065】
開示の主題のいくつかの例示的実施形態では、コントローラ151は、以下のパラメータを決定するように構成される:
a. 直流電圧センサ154の結果を取得するおよび測定することによって、PS160にわたる直流電圧。
b. 直流電流センサ153の結果を取得するおよび測定することによって、PS160によって供給される直流電流。
c. 交流電流センサ155の結果を取得するおよび測定することによって、Lt110に供給される交流電流。あるいは、出力交流電流は、直流電流センサ153を用いて電源からドライバに流れる瞬時電流を感知することによって決定されることができる。
【0066】
交流電流用のパラメータを決定することは、ピーク電流、絶対電流の平均値、RMS電流、基本振動の振幅、およびそれらの何らかの組合せ等を含むことができることに留意されたい。
【0067】
いくつかの例示的実施形態では、コントローラ151は、半導体メモリ構成要素(図示せず)を備える。メモリは、例えば、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM:random-access memory)、プログラマブル読出し専用メモリ(PROM:programable read only memory)、リプログラマブルメモリ(FLASH)、およびそれらの何らかの組合せ等などの、永続的または揮発性メモリであってもよい。
【0068】
いくつかの例示的実施形態では、メモリは、フルまたはハーフブリッジドライバ152を制御するパルス幅変調(PWM:pulse width modulation)信号を決定することに関連付けられた作用を行うためにコントローラ151を起動するプログラムコードを保持する。ドライバ152は、Lt110を通って流れる電流のOPFおよび/またはデューティサイクルを調節することによって、Lt110を通って流れる出力電流、すなわちTx100によって提供された電力を調整することができる。いくつかの例示的実施形態では、コントローラ151で生成されるPWM信号は、デバイス20などの電子機器を無線充電する必要性を満たすために、変調を調整する。代替実施形態では、直流電源の振幅が、制御されてもよい。
【0069】
PWM信号周波数およびデューティサイクルは、前述したように、OPF範囲の中でコントローラ151によって設定されることができることに留意されたい。さらに、コントローラ151は、デバイス20の電力要求に基づいて、OPF範囲の中でOPFを変更することができる。
【0070】
いくつかの例示的実施形態では、コントローラ151は、接続性ソフトウェア、モニター情報、構成および制御情報、および本開示システムの充電管理に関連付けられる適用を保持するためにメモリを利用することができる。
【0071】
いくつかの例示的実施形態では、コントローラ151は、以下の通信規格、パワーマターズアライアンス(PMA:power matters alliance);無線パワーコンソーシアム(WPC:wireless power consortium)、およびAirFuel Allianceに従うプロトコルに基づいて、デバイス20と通信するように構成されることができる。これらの通信方式によれば、これらに限定するわけではないが、コントローラ151は、充電サービスを許可して、調整することに関してユーザを認証するために、デバイス20からユーザの証明書を得るように構成されることができる。さらにまたは代替的に、コントローラ151は、デバイス20から所要電力を得るようにさらに構成されることができる。
【0072】
以下実施形態の説明を簡素化するために、リレー200およびリレー300は、「リレー」と呼ばれる場合があり、さらに、コイルLr210およびLr310は、「Lr」と呼ばれる場合がある。以下の解決方法および手順は、リレー200およびリレー300の両方、およびそれらの関係する下位構成要素に適用されることに留意される必要がある。
【0073】
以下記述される解決策/手順/方法は、本開示の図1図3に描写されるシステムに限定されるわけではなく、実際には、市販の誘導電力伝送システムの動作を強化するために適用されてもよいことに留意されよう。以下実施形態の説明は、他の誘導的電力伝送システムに適用してもよい、以下の解決策/手順を説明するための例として用いられる、図1図3に描写されるシステムの要素に関するものである。
【0074】
以下記述される解決策/手順は、同じ日付に本明細書に開示される主題の出願人によって提出された同時係属出願の中で開示された較正方法を利用してもよいことにさらに留意されよう。同時係属出願は、参考文献としてその全体が援用されている。いくつかの例示的実施形態では、較正方法は、Tx100とリレーとの間の結合係数(k)、Tx100のJRF、MRF、OPF、OPF範囲、デジタルピング、およびそれらの何らかの組合せ等を決定することをさらにもたらすことができる。いくつかの例示的実施形態では、結合係数(k)は、所定の値である。
【0075】
いくつかの例示的実施形態では、システムには、Tx100、リレー200、リレー300、およびデバイス20であり得る電子機器を損傷および危険な状態から防護するための解決策および手順が提供されている。そのような損傷は、電子機器をリレーマット上に置き誤ること、電子機器を突然動かすこと、突然の電子機器置換、磁場に影響を及ぼす外部からの人工物、それらの何らかの組合せ等によって生じる場合がある。追加的または代替的には、以下記述される解決策および手順は、通信信号プロトコル規格を強化するために用いられてもよい。
【0076】
本開示によって取り組まれる1つの技術的問題は、デバイス20の突然の変更、すなわちデバイス20を異なるものと置き換えること、デバイス20およびまたはTx100の付近に追加的に磁気的反応要素を置くことに対応するものである。そのような出来事は、デバイス20充電要求などの典型的なデバイスの範囲を超えてJRFおよび続いてOPFの変化につながるTX100のインダクタンスを場合によっては変える可能性がある。そのような変化は、結果的に、Tx100、リレー、デバイス20、それらの何らかの組合せ等に損傷を与える可能性のある過電圧およびまたは過電流状態をもたらす場合もある。
【0077】
いくつかの例示的実施形態では、上で描写された技術的問題の技術的解決策、ならびに本開示の中で列挙された他の技術的解決策は、コントローラ151によって実施される実時間測定および計算に基づいている。コントローラ151は、Tx100の直流電圧、直流電流、交流(出力)電流を、センサ154、153、および155をそれぞれ用いて絶えず監視することができる。センサ154によって与えられる直流電圧に基づいて、そして、コントローラ151が、PWM信号を用いてドライバ152の出力を調整するので、コントローラは、したがって、Tx100の交流(出力)電圧を計算することができる。これらの測定データおよび計算データに基づいて、コントローラは、交流電流位相、デューティサイクル、Tx100によって見られるインピーダンス、駆動回路の振幅、ならびに所定時間にTx100によって提供される出力電力を決定するようにさらに構成されることができる。さらにまたは代替的に、コントローラ151は、Tx100とリレーとの間の結合係数(k)、Tx100のJFRおよびOPF範囲を決定することでさらにもたらされ得る較正方法を実行するために利用されることができる。
【0078】
1つの技術的解決策は、交流電圧をドライバ152設定振幅によって除算した商を、予想値の所定の範囲と比較することによってJRF変化を検出している。いくつかの例示的実施形態では、振幅値は、駆動電圧およびドライバの最初の調波の振幅と相関があるデューティサイクルの関数であり得る。所定の範囲は、指定された動作周波数での典型的な負荷範囲での動作に関する比率を包括することができる。いくつかの例示的実施形態では、範囲は、特定のTx100設計の前較正としてのシミュレーションまたは経験的試験に基づいて決定されてもよい。OPFが、MRFからオフセットされる可能性があるので、全ての典型的な負荷にわたる比率の範囲は、比較的狭くなる可能性がある。例えば、最大許容比率は、最小許容比率の25%より高くない可能性がある。
【0079】
JRF変化を検出すると、Tx100は、電力伝送を止めて、その後、新しいOPFに基づいて電力伝送が再開されることになる較正手順を繰り返すことによって、JRFを再調査する可能性がある。いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、動作を維持しながら、較正手順を行ってもよい。手順は、修正されたOPFが問題を解決したかどうかを決定するために、交流電圧上の効果を監視しながら、OPFを漸進的に上下に修正することに基づいてもよい。
【0080】
市販の無線充電システムは、電子機器(デバイス20)のフィードバック調整を、電力追跡すること、およびしたがって送信器を制御することに利用するWPC、PMA、およびAirFuelプロトコルなどの規格にそれらの通信の基礎を置くことに留意されるべきである。
【0081】
本開示によって取り組まれる1つの技術的問題は、これらの通信プロトコルが、本質的に低速であることである。これは、JFRに比較的近いOPFを使用し、大きい負荷変動、ならびにリレー上でのデバイス20の制御できない動きを有する設計において問題を引き起こす可能性がある。
【0082】
1つの技術的解決策は、上に列挙された通信プロトコルを支援することに加えて、電力追跡プロセスを促進することである。いくつかの例示的実施形態では、促進された追跡プロセスは、フィードバックに基づく電力調整にかかわらず、コントローラ151によって、動作状態の変化に直ちに反応するように適合されていてもよい。そのうえ、促進された追跡プロセスは、OPFの変化を補償する目的で、動作の全モードにおいて実施されることができる。
【0083】
いくつかの例示的実施形態では、電子機器側での電力調整要求は、コントローラ151によって実施される実時間測定および計算のおかげで、Tx100側で反映および承認されることができる。結果的に、Tx100は、電子機器要求を満たすために、ドライバ152の振幅、デューティサイクル、OPF、それらの何らかの組合せ等を変更することによって、電力調整要求を補うことができる。
【0084】
一例として、一旦閾値セットポイントに達すると、コントローラ151は、中断させられて、動作点を採用することができる。あるいは、ピーク電圧または電流は、Tsampleの間隔(例えば20マイクロ秒)で、継続的に追跡されてもよい。閾値からコントローラ修正動作点に入る応答時間は、<Tsample>であるように設計される。コントローラは、Tsampleの間隔でピーク電圧をプールし続ける。Vsの駆動振幅を備えた作用点と想定すると、この点では、測定されたVpcピークは、Vpc_stabである。コントローラ151は、閾値をVpc_stabC1(C1=1.2のデフォルト値)に設定することができる。閾値が超えられて、測定されたピークがVpc_measである場合には、アルゴリズムは、駆動電圧VsをVstabVpc_stab/Vpc_measに設定することができる。コントローラ151は、Tsample毎にピークを追跡し続けて、Vs(n)=Vs(n-1)Vpc_stab/Vpc_measに従って、Vsを更新する。更新は、C2サイクル(デフォルト値C2=10)の間行われ得る。Vpc_meas/Vs>C3(デフォルト値C3=0.75)の値の場合。
【0085】
動作周波数Ftは、更新され、C4(デフォルト値C4=0.5khz)の段階だけ上げられる。Vpc_meas/Vs>C5(デフォルト値C3=0.225)の値の場合。周波数に対する更新は、比率がC5未満である限り行われる。これらのプロセスのどちらかが、Ftを、最後に較正されたFtからC6より多くシフトさせる場合、再較正手順が、適用される(デフォルトC6=2.5khz)。この試験の試料採取期間は、C7(デフォルトC5=200usec)であり、それは、上記の迅速な採用が完了された後、そしてそれが動作している間ではないときに、開始されなければならない。アルゴリズムは、追跡Ipc(すなわちTx主コイルまたはコンデンサを流れる電流)によって、さらに行われることもできる。上記実施は、一例として提供されたが、上記アルゴリズムに対するいかなる数の変更も可能であることが明白でなければならない。
【0086】
いくつかの例示的実施形態では、追跡された電圧/電流の急増が感知される場合、動作電圧Vsは、急激に(上で記述された補償係数を超えて)低減されることができ、予め知られている安定動作点は、高負荷用であった(受信器からの電力リポートによって示される、またはTxで測定されるように)。これは、高モードから低モードへの負荷切替えを表し、受信器電圧に危険な上昇を引き起こす可能性がある。上記機構は、電圧/電流上昇が何らかの損傷を引き起こす可能性が生じる前に、この電圧/電流上昇を迅速に止めるのに使用される。
【0087】
いくつかの例示的実施形態では、追跡された電圧/電流の急減が感知され、予め知られている安定動作点が、低負荷用であった(受信器からの電力リポートによって示される、またはTxで測定されるように)場合、動作電圧Vsは、『ブースト』係数だけ上記記述された補償係数を超えて増大され得る。これは、低負荷から高負荷への負荷切替えを表し、受信器電圧をシャットダウンの点まで激減させることができる。上記機構は、電圧/電流減少が受信器をシャットダウンさせることが可能になる前に、この電圧/電流減少を迅速に止めるために使用される。
【0088】
いくつかの例示的実施形態では、コントローラ151は、ドライバ152を、最大5ワットを提供するハーフブリッジモードから最大15ワットを提供するフルブリッジモードに自動的に切り替えるように構成されてもよい。モード(ハーフ、フル)間での切替えに関する判定基準の1つは、デバイス20に依存している可能性があり、それは、標準規格通信プロトコル上に示される可能性がある。さらに、典型的なデバイス20は、高電力の要求に合わせて、逆もまた同様に調整されるように、モード(低、高)間で切り替わり得ることに留意されるべきである。デバイス20のより高い電力要件の必要性を満たすために、Tx100は、MRFにより近いOPF範囲で動作し、フルモード、それらの何らかの組合せ等に切り替わることができる。それらのそれぞれは、Tx100によって、5W送信器の標準規格を上回る可能性のあるより高い動作エネルギー水準を提供する手段である。いくつかの例示的実施形態では、より高いエネルギー水準が、リレーに対して合っていないさまざまなずれた位置での負荷を補うために提供されることができる。対照的に、リレーに対して適切に位置合せされている同様の負荷(すなわち同じ電力の必要性を有する)には、より少ないエネルギー性水準が、提供される。
【0089】
デバイス20の整流段階で誘導される電圧は、誘導磁場の大きさ、およびデバイス20出力負荷によって決まることに留意されるべきである。低モードにあるデバイス20では、誘導電圧は、高モードにあるデバイス20に比べて、より高い。高モードで動作しているデバイス20が負荷をオフに切り替える、またはそれを低モードに変えるとき、電圧のサージが発生する。典型的には、市販のデバイス20は、損傷を受けることなくこの切替えの影響に適合するように設計されている。
【0090】
WPCの標準仕様は、送信器との通信の散発的な喪失に適応するために、0.25秒毎に周期的な電力制御メッセージ(すなわち標準規格通信プロトコル)を要求することに留意されるべきである。WPC仕様は、送信器が2秒以内にリプレイしない場合、送信器は、電力送出を止めなければならないと定義している。
【0091】
本開示によって取り組まれる1つの技術的問題は、有効高電力負荷を有するデバイス20が、必要とされる電力を補うために、Tx100を極端なエネルギー性水準で動作させる可能性のあるかなりずれた位置に置かれるときに発生する事例に関する。デバイス20を適切に合った位置に急に移動させると、必然的に、負荷を瞬間的に降下させることになり、一方で、それに気付いていないTx100は、極端なエネルギー性水準を保持して、結果的に、デバイス20に極端に高い整流電圧を送り、デバイス20回路構成に損傷を与える場合がある。同様に、送信器上でのデバイス20の急な除去および置換は、同様の結果につながる可能性がある。
【0092】
本開示によって取り組まれる別の技術的問題は、デバイス20が、高電力モード中に、高電力モードをサポートしていないデバイス20と急に置換されるときに発生する事例に関する。
【0093】
本開示によって取り組まれるさらに別の技術的問題は、Tx100とデバイス20との間での通信の散発的な喪失に関する。さらに、本開示の充電パッドまたはリレーは、磁場の近くに置かれた物体に損傷を与える可能性がある2秒もの長い間、過剰なエネルギー性の磁場にさらされる可能性がある。
【0094】
1つの技術的解決策は、Tx100による固定制限に基づくものである。いくつかの例示的実施形態では、固定制限は、Tx100が、最大電力動作点を制御するために使用することができる最小OPF範囲、最大デューティサイクル、または振幅を設定することによって、行われてもよい。市販のデバイス20用の最大電力点は、デバイス20上に作り出される整流電圧に影響を及ぼす最高のインダクタンスおよび結合が、適切に位置合せされたときに、デバイス20用の典型的な損傷電圧(15~20V)を下回ることができるように、選択され得る。
【0095】
別の技術的解決策は、反射インピーダンスへの変化を検出することに基づくものであり得る。いくつかの例示的実施形態では、コントローラ151は、実時間に受信器の反射インピーダンスの実数部の変化を検出する。反射インピーダンスは、前に描写したように、コントローラ151によって実施される電流、電圧振幅に基づく計算、および位相測定によって決定されてもよい。コントローラ151は、次いで、反射インピーダンス値を導出するために、全回路インピーダンスを計算し、自体の構成要素寄与を取り除くことができる。デバイス20の反射インピーダンスは、さらに、結合係数kに反映される、デバイス20回路のパラメータ、すなわちインダクタンス、リレーとの位置合せ、および電子機器、すなわち電池によって決まることに留意されるべきである。
【0096】
いくつかの例示的実施形態では、上記の問題のいずれか1つは、インピーダンス変化に反映されてもよい。例えば、デバイス20が高電力モードで動作していて、インピーダンスが比較的高い場合、デバイス20は除去され、インピーダンスの急な降下が、検出され得る。さらに別の例:適切に位置合せされてなく、その後より良く位置合せされるように動かされるデバイス20が、他方で、反射インピーダンスの急増を示す場合、低モードから高モードへの切替えが、インピーダンスの増大をさらにもたらす。
【0097】
さらに別の例:デバイス20が、実質的に位置合せされていなくて、低モードで動作している場合、デバイス20は、これらのエネルギー性キャリア設定に達する可能性がある。この場合でのモード切替えは、再位置合せと同様の効果を生み出す可能性がある。さらに別の例:反射インピーダンスの急減は、Tx100が高電力駆動しているとき、デバイス20の電力モード、すなわち高モードから低モードへの切替え、または完全除去のどちらかを示すものであり得る。さらに別の例:反射インピーダンスの急増は、Tx100が、エネルギー性OPFで動作しながら、高電力を提供するとき、不適切に位置合せされたデバイス20に関する再位置合せ、低モードから高モードへの切替えを示すものであり得る。
【0098】
これらのインピーダンス表示の後、コントローラ151は、電力シャットダウンを実施する、反射インピーダンスの測定に基づいて電力を制限する、OPFをより少ないエネルギー性にシフトする、何らかのそれらの組合せ等を行うことができる。これらの手順を用いることで、デバイス20を全ての上記列挙された問題のシナリオから防護して、デバイス20を過剰な電圧レベルにさらすことを最小限に抑えることができる。
【0099】
さらに別の技術的解決策は、Tx100の消費電力に基づくものであり得る。いくつかの例示的実施形態では、デバイス20をリレーパッドから除去すると、消費電力は、大幅に降下する可能性がある。同様の結果は、デバイス20が高モードから低モード、または負荷無しに切り替わる場合に、観察される可能性がある。消費駆動電力は、電流、OPF、デューティサイクル、振幅、および全電力消費を追跡することによって決定することができる。
【0100】
例示的実施形態では、OPFが、高エネルギー性を有している、すなわち、完全に位置合せされたデバイス20に損傷を与える可能性、および電力消費が、特定の閾値を上回っている。コントローラ151は、短期間に大きな電力降下を探して消費電力を監視し、メッセージを監視しながら、追加的期間(Twait)の間待機していなければいけない。電力制御メッセージが画定した時間間隔内に受信されなかった場合、コントローラ151は、電力をシャットダウンする、または周波数を上げること、もしくはデューティサイクルもしくは振幅を下げることによってエネルギーを大幅に低減させる、のどちらかをしなければならない。いくつかの例示的実施形態では、この手順は、制御されたデバイス20の切替えと望ましくない急な除去とを識別することを可能にする。デバイス20切替えの場合、デバイス20は、送給される電力を下げることの要求を表す電力制御メッセージをかなり迅速に送信すると予想される。望ましくない急な除去の場合には、そのようなメッセージは、送信されない。
【0101】
特定の閾値を上回る急な電力降下を検出した別の例示的実施形態では、コントローラ151は、周波数を上げる、またはデューティサイクルもしくは振幅を下げることによって電力キャリアエネルギを直ちに、かつ大幅に低減させなければいけない。
【0102】
一例として、Tx100は、完全なブリッジモードで110~200khzのOPF範囲で動作するように作られ、OPFは、145khz未満であり、コントローラ151は、電力消費を追跡する。消費電力が、5Wより大きく、1msecの間に1W未満に降下する場合、コントローラ151は、デバイス20から電力制御メッセージを受信するために、Twait=100msecの間待機する。この期間の間にメッセージが受信されない場合、コントローラ151は、電力のスイッチを切って、待機状態に戻らなければいけない。さらにまたは代替的に、Tx100は、OPF、デューティサイクル、もしくは振幅を下げて、または直ちに周波数を上げて、次いで、電力制御メッセージが、所定の時間間隔内に受信されない場合には、完全にシャットダウンすることによって上記変化に反応してもよい。
【0103】
本開示のいくつかの例示的実施形態では、上記描写された解決策および固定制限の手順:反射インピーダンスおよび消費電力は、組み合わされて、さらに他の代替解決策を提供することができる。例えば、除去の検出は、消費電力に基づくことができ、再位置合わせの検出は、反射インピーダンスの変化に基づくことができる。
【0104】
さらに別の技術的解決策は、WPC規格の利用可能な信号送信仕様を強化することに基づいていてもよい。いくつかの例示的実施形態では、周期的な電力制御メッセージは、デバイス20通信回路の負荷変調、例えば補助的負荷のトグル接続を用いて、0.25秒から2~10ミリ秒の範囲まで短縮され得る。さらにまたは代替的に、WPC規格の信号送信仕様は、標準WPC通信のない間に連続的に送信されるビーコン信号で補足されてもよい。ビーコンおよびWPCメッセージ受信を監視することは、Tx100の責任でなければならない。所定の間、例えば10~80ミリ秒の間、それらのどちらか1つが欠如すると、電力伝送を止めなければならない。
【0105】
いくつかの例示的実施形態では、デバイス20によって提供され、Tx100によって実行された消費電力に関する測定ウィンドウは、合図信号に同期され得る。
【0106】
開示の主題の標準的強化を利用する1つの技術的結果は、除去およびまたは置換に因ってデバイス20に損傷を与える危険性を低減しているだけでなく、デバイス20が、それに合うように設計されていないより高い電力水準にさらされる可能性がある持続時間を制限している。
【0107】
上で詳述された構成要素は、例えばコントローラ151によって、または別のプロセッサによって実行される、相互関係のあるコンピュータ命令の1つまたは複数のセットとして実施されてもよい。構成要素は、何らかのプログラミング言語で、そして何らかのコンピューティング環境下でプログラムされる、1つまたは複数の実行可能ファイル、ダイナミックライブラリ、スタティックライブラリ、方法、関数、サービス等として配置され得る。
【0108】
本開示の主題は、システム、方法、および/またはコンピュータプログラム製品であってもよい。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本開示の主題の態様を遂行させるためのコンピュータ可読プログラム命令をそこに有するコンピュータ可読記憶媒体(または複数の媒体)を含むことができる。
【0109】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによって使用される命令を保持および記憶することができる有形のデバイスであることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、これらに限定するわけではないが、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または前述のものの何らかの適切な組合せであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体のさらなる特定の例の網羅的ではない一覧は、以下を含む:可搬式コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM:read-only memory)、消去可能なプログラマブル読取り専用メモリ(EPROM:erasable programmable read-only memoryまたはフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM:static random access memory)、可搬式コンパクトディスクによる読み取り専用メモリ(CD-ROM:compact disc read-only memory)、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disk)、メモリスティック、フロッピディスク、穿孔カードまたはそこに記録される命令を有する溝の中の隆起構造物などの、機械的に符号化されたデバイス、および前述のものの何らかの適切な組合せ。本明細書で用いられるコンピュータ可読記憶媒体は、電波、または他の自由伝播電磁波、導波管または他の伝送媒体を通る電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通る光パルス)、またはワイヤを通って送信される電気信号などの、それ自体で一時的信号であると解釈されるべきではない。
【0110】
本明細書において記述されるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれの計算/処理デバイスに、またはネットワーク、例えばインターネット、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、および/または無線ネットワークを介して外部コンピュータもしくは外部記憶デバイスにダウンロードされることができる。ネットワークは、銅製伝送ケーブル、光学伝送ファイバ、無線通信等、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、および/またはエッジサーバを含むことができる。それぞれの計算/処理デバイスの中のネットワークアダプタカードまたはネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それぞれの計算/処理デバイスの中のコンピュータ可読記憶媒体内の記憶装置にコンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0111】
本開示の主題の動作を遂行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA:instruction-set-architecture)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、C++等などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語もしくは類似のプログラミング言語などの従来型の手続きプログラミング言語を含む1つまたは複数のプログラミング言語の何れかを組み合わせて書き込まれたソースコードもしくはオブジェクトコードのどちらかであってもよい。コンピュータ可読プログラム命令は、完全にユーザのコンピュータ上で、独立型ソフトウェアパッケージとして、一部分をユーザのコンピュータ上で、一部分をユーザのコンピュータ上、そして一部分を遠隔コンピュータ上で、または完全に遠隔コンピュータもしくはサーバ上で実行してもよい。後者のシナリオでは、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN:local area network)もしくは広域ネットワーク(WAN:wide area network)を含むどんな種類のネットワークを通してでも、ユーザのコンピュータに接続され得る、または外部コンピュータへの接続が、(例えばインターネットサービスプロバイダーを使用してインターネットを通して)作られてもよい。いくつかの実施形態では、例えばプログラマブルロジック回路構成、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはプログラマブルロジックアレイ(PLA:programmable logic arrays)を含む電子回路構成は、本開示の主題の態様を行うために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して、電子回路構成を個人化することによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0112】
本開示の主題の態様は、本明細書において、開示の主題の実施形態による、方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品の流れ図説明および/またはブロック線図を参照しながら記載される。流れ図説明および/またはブロック線図のそれぞれのブロック、および流れ図説明、および/またはブロック線図の中のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実施されることができることを理解されたい。
【0113】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを利用して行われる命令が、流れ図および/またはブロック線図の1つまたは複数のブロックの中に明記された機能/作用を実施するための手段を作成するように、機械を作り出すために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されることができる。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、その中に記憶された命令を有するコンピュータ可読記憶媒体が、流れ図および/またはブロック線図の1つまたは複数のブロックに明記された機能/作用の態様を実施する命令を含む製品を備えるように、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、および/または他のデバイスに特定の様式で機能するように指示することができるコンピュータ可読記憶媒体の中にさらに記憶されていてもよい。
【0114】
コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で実行する命令が、流れ図および/またはブロック線図の1つまたは複数のブロックの中に明記された機能/作用を実施するように、一連の動作段階を、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で行わせて、コンピュータ実施プロセスを生成するために、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイス上にさらにロードされてもよい。
【0115】
図中の流れ図およびブロック線図は、本開示の主題のさまざまな実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性、および動作を図示する。この点に関して、流れ図またはブロック線図の中のそれぞれのブロックは、明記された論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、または命令の一部を表すことができる。いくつかの代替的実装では、ブロックの中に書き留められた機能は、図中に書き留められた順序とは異なる順序で発生してもよい。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時発生的に実行されてもよく、またはブロックは、関係している機能性によっては、逆順で実行されることもあり得る。ブロック図、および/または流れ図説明のそれぞれのブロック、およびブロック図および/または流れ図説明の中のブロックの組み合わせは、明記される機能または作用を行う、または特殊目的ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせを遂行する特殊目的ハードウェアベースシステムによって実施されることができることにさらに留意されよう。
【0116】
本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、開示の主題を制限することを目的としていない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、コンテクストが特に明確に指示しない限り、さらに複数形も含むように意図されている。用語「備える」および/または「備えること」は、本仕様で使用されるとき、表示された特徴、整数、段階、動作、要素、および/または構成要素の存在を明記するものであるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、段階、動作、要素、構成要素、および/またはその群の存在または追加を排除していないことをさらに理解されたい。
【0117】
下記の特許請求の範囲の中の対応する構造物、材料、作用、および全ての手段または段階プラス機能素子の等価物は、明確に請求されるように、他の請求される要素と組み合わせて機能を行うためのどのような構造、材料、または作用でも含むように意図されている。本開示の主題の記載は、図解および説明のために提示されてきたが、網羅的であるようには、または開示された形態の開示の主題に限定されるようには意図されていない。開示の主題の範囲および精神から逸脱することのない、多くの修正および変更が、当業者には明らかとなろう。実施形態は、開示の主題の原理および実際の適用を最もうまく説明するために、そして、他の当業者が、想定される特定の用途に適しているようにさまざまな変更を加えたさまざまな実施形態に関する開示の主題を理解することを可能にするために、選択されて記載された。
図1
図2
図3