(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】センサの活性表面を使用するための構造体及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20231027BHJP
G01N 21/05 20060101ALI20231027BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20231027BHJP
G01N 33/552 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/146 A
G01N21/05
G01N33/53 M
G01N33/552
(21)【出願番号】P 2019571671
(86)(22)【出願日】2019-01-29
(86)【国際出願番号】 US2019015690
(87)【国際公開番号】W WO2019152425
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-02-19
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-22
(32)【優先日】2018-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514202402
【氏名又は名称】イラミーナ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】ドンライ ルー
(72)【発明者】
【氏名】シュウ カイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェニイ フェン
(72)【発明者】
【氏名】ハイ トラン
【合議体】
【審判長】石井 哲
【審判官】松本 隆彦
【審判官】渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0002834(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0322402(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0041094(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0194669(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0307954(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0086293(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/00-21/74
G01N15/00-15/04
JSTPlus/JMEDPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体と、
ダイと、
前記ダイ上のセンサであって、活性表面を有する当該センサと、
一対のコラムであって、各コラムが前記支持構造体上で
前記ダイと前記センサの両側に位置しているとともに前記支持構造体の頂面に対するコラム高を有し、このコラム高は前記支持構造体の頂面に対する前記センサの活性表面の高さよりも高くなり、各コラムは前記センサの前記活性表面上には配置されない、当該一対のコラムと、
前記一対のコラム上及び前記活性表面の上方にある蓋用の層であって、この蓋用の層はその両端で前記一対のコラムにより支持されている当該蓋用の層とを具える装置において、
前記ダイと前記センサは前記支持構造体上に設けられ、
前記センサの活性表面と、前記蓋用の層と、前記一対のコラムとが、前記センサの活性表面の少なくとも半分よりも多くの上方に開口部を形成しており、前記支持構造体と、前記センサと、前記蓋用の層と、前記一対のコラムとが相俟ってフローセルを形成しているようにした装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記一対のコラムの各コラムが、
前記センサの両側における底部コラム部分と、
これら底部コラム部分の各々の上方の頂部コラム部分とを具えている装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、前記一対のコラムが少なくとも1種類の充填材料を有している装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、前記少なくとも1種類の充填材料がエポキシ及びプラスチックの少なくとも一方の成型化合物を有している装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、前記蓋用の層がガラスを有している装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、前記蓋用の層がアルミノケイ酸ガラス及びフラットパネルディスプレイガラスの少なくとも一方を有している装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記支持構造体が1つ以上の誘電体層を有し、この1つ以上の誘電体層の各々がその中に1つ以上の導電性経路を有している装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、前記センサが1種類以上の半導体材料を有している装置。
【請求項9】
請求項7に記載の装置において、前記センサが、相補型金属酸化物半導体(CMOS)技術を用いて製造したイメージセンサを有している装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、前記センサの活性表面上の保護層が複数のチャネルを有している装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置において、この装置が生物学的分析及び化学的分析の少なくとも一方に対するカートリッジの一部となっている装置。
【請求項12】
フローセルの形成処理を有する方法であって、この形成処理が、
ダイと、活性表面を有するセンサを支持構造体上に配置
して、前記センサが前記ダイ上に設けられるようにするステップと、
前記ダイと前記センサの両側に各コラムが存在する一対のコラムを形成するステップであって、各コラムが前記支持構造体の頂面に対するコラム高を有し、このコラム高は前記支持構造体の頂面に対する前記センサの活性表面の高さよりも高く、各コラムは前記センサの前記活性表面上には配置されないステップと、
前記一対のコラムの頂面上に蓋用の層を配置して、この蓋用の層と前記一対のコラムとが前記センサの活性表面の少なくとも半分の上方にスペースを形成するようにするステップとを有するようにする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、前記センサを支持構造体上に配置するステップがCMOS技術を用いて製造したイメージセンサを配置するステップを有するようにする方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法において、前記一対のコラムを形成するステップが、
前記センサの両側に底部コラム部分を形成するステップと、
各底部コラム部分の上方に頂部コラム部分を形成するステップとを有するようにする方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法において、前記支持構造体が1つ以上の誘電体層を有し、この1つ以上の誘電体層の各々がその中に1つ以上の導電性経路を有するようにする方法。
【請求項16】
請求項12に記載の方法において、この方法が更に、前記フローセルと、生物学的分析及び化学的分析の少なくとも一方に対するカートリッジとを結合するステップを有するようにする方法。
【請求項17】
請求項12に記載の方法において、この方法が更に、シーケンシングのために前記フローセルを用いるステップを有するようにする方法。
【請求項18】
請求項12に記載の方法において、この方法が更に、遺伝子型判定のために前記フローセルを用いるステップを有するようにする方法。
【請求項19】
請求項12に記載の方法において、前記一対のコラムが少なくとも1種類の充填材料を有するようにする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、前記少なくとも1種類の充填材料がエポキシ及びプラスチックの少なくとも一方の成型化合物を有するようにする方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2018年2月3日に出願された出願番号62/626,021の米国特許仮出願の優先権を主張するものであり、その開示内容は、参照することによりその全体がここに導入されるものである。
【背景技術】
【0002】
現在では、オンチップ検出用のセンサに対して用いられるフローセルの蓋はこのセンサの活性表面上に位置するコラム(柱状体)によりこの活性表面の上方に支持されている。蓋をセンサの上方に配置する理由は、試薬が混入又は補足されることなしに流体の交換をきれいに行いうるようにするために、活性領域の平坦さ及び平滑さ(サブミクロンの粗さ)がしばしば必要となることにある。現在の構造体によれば、検出に用いうる活性表面の領域を低減させてしまう。ある場合には、センサの活性表面の3分の1(又はそれよりも低い値)しか用いることができない。
【0003】
従って、センサの活性表面をより多く用いる方法が必要となる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様における装置を提供することにより、既存の方法の欠点を回避しうるとともに更なる利点が得られる。この本発明の装置は、支持構造体と、この支持構造体上のセンサであって、活性表面を有する当該センサと、一対のコラムであって、各コラムが支持構造体上でセンサの両側に位置しているとともに支持構造体の頂面に対するコラム高を有し、このコラム高は支持構造体の頂面に対するセンサの活性表面の高さよりも高くなっている当該一対のコラムとを備えている。この装置は、一対のコラム上及び活性表面の上方にある蓋用の層であって、この蓋用の層はその両端で一対のコラムにより支持されている当該蓋用の層をも具えている。センサの活性表面と、蓋用の層と、一対のコラムとが、センサの活性表面の少なくとも約半分よりも多くの上方に開口部を形成しており、支持構造体と、センサと、蓋用の層と、一対のコラムとが相俟ってフローセルを形成している。
【0005】
本発明の他の態様では、方法を提供する。この方法は、フローセルの形成処理を有し、この形成処理が、活性表面を有するセンサを支持構造体上に配置するステップと、センサの両側に各コラムが存在する一対のコラムを形成するステップであって、各コラムが支持構造体の頂面に対するコラム高を有し、このコラム高は支持構造体の頂面に対するセンサの活性表面の高さよりも高くするステップと、一対のコラムの頂面上に蓋用の層を配置して、この蓋用の層と一対のコラムとがセンサの活性表面の少なくとも約半分の上方にスペースを形成するようにするステップとを有するようにする。
【0006】
本発明の上述した及びその他の目的、特徴及び利点は、添付図面と関連して行う以下の本発明の種々の態様の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0007】
図1~5は本発明で開示する装置を製造する種々の工程の一例の断面図である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の1つ以上の態様により、センサを上に有しているダイを具えるチップの一例を示す断面図である。このセンサは、例えば活性表面を有している。
【
図2】
図2は、本発明の1つ以上の態様により、
図1のセンサ及びダイを支持構造体上に準備及び配置する一例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の1つ以上の態様により、
図2のダイの両側に隣接して底部コラム部分を形成する一例を示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の1つ以上の態様により、
図3の底部コラム部分の上方に頂部コラム部分を形成する一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の1つ以上の態様により、頂部コラム部分上に蓋用の層を配置してセンサの活性表面の少なくとも半分(この場合、全て又はほぼ全て)の上方にスペースが得られるようにした後の最終構造体の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の1つ以上の態様により、本明細書に開示した装置を製造する処理の一例を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の態様や、その特定の特徴、利点及び細部は、添付図面に示す非限定的な例を参照してより一層完全となるように以下で説明する。周知の材料、製造工具、処理技術、等の説明は、関連の細部を不必要に不明瞭にしないように省略している。しかし、本発明の態様を開示するに際しての詳細な説明及び特定の例は例示的のみで与えるものであり、これに限定されるものではない。潜在的な本発明の概念の精神及び範囲の双方又は何れか一方内での種々の置換と、変更と、追加と、配置との何れか又は任意の組合せは本発明に関連する当業者にとって明らかとなるものである。
【0010】
本明細書及び特許請求の範囲を通して用いている近似言語は、これに関連する基本機能に変更を及ぼすことなく、許容範囲で変えることができる如何なる定量的表現にも変更するのに適用することができるものである。従って、「約」又は「ほぼ」のような用語により修飾された値は明記した正確な値に限定されるものではない。ある場合には、近似言語は、値を測定するための機器の精度に対応するようにすることができる。
【0011】
本明細書で使用する用語は、特定の例を説明する目的のみのものであり、これらの用語に限定されるものではない。本明細書で使用されるように、単数形の「1つの」、「1つの」及び「その」は、文脈上明らかに異なる場合を除いて、複数形も含むことを意図するものである。さらに、「備える」(「備え」のような備えるの他の形を含む)、「有する」(「有し」のような有するの他の形を含む)、「含む」(「含み」及び「含め」のような含むの他の形を含む)、「包含する」(「包含し」のような包含するの他の形を含む)は、非制限的な結合の動詞である。そのため、1以上のステップ又は要素を「備える」、「有する」、「含む」又は「包含する」方法又は装置は、それらの1以上のステップ又は要素を保有するが、それらの1以上のステップ又は要素のみを保有するものに限定されない。同様に、1以上の特徴を「備える」、「有する」、「含む」又は「包含する」方法のステップ又は装置の要素は、それらの1以上の特徴を保有するが、それらの1以上の特徴のみを保有するものに限定されない。更に、ある方法で構成したデバイス又は構造体は少なくともこの方法で構成しているが、記載していない方法でも構成しうるものである。
【0012】
本明細書で用いる用語「接続」は、2つの物理的要素を参照するのに用いる場合、これら2つの物理的要素間の直接接続を意味するものである。しかし、用語「結合」は、直接接続又は1つ以上の中間を介する接続を意味しうるものである。
【0013】
本明細書で用いる用語「できる(しうる)」は、一連の状況内で発生する可能性を表したり、特定の特性、特徴又は機能を保持することを表したりするものであり、又は適合させた動詞と関連する1つ以上の能力、素質又は可能性を表すことにより他の動詞を適合させるようにするものであり、或いはこれらの双方を達成するものである。従って、用語「できる」の使用は、変更された用語が、指示した容量(capacity)、機能又は用途にとって明らかに供しうるものであるか又は可能であるか又は適切であることを表すものであるが、ある状況では、変更された用語が、しばしば供しうるものにできないか又は可能にできないか又は適切にできない場合があることを考慮するものである。例えば、ある状況においては、ある事象(event)又は容量を予期しうるが、他の状況においては、この事象又は容量が生じ得ない場合があり、この相違を用語「できる」により捉えるものである。
【0014】
本明細書で用いる場合、特に指定しない限り、測定値、寸法、等のような値に対して用いる近似言語「約」、「ほぼ」、等は、この値の±10パーセントの可能な変化を意味するものである。
【0015】
本明細書で用いる場合、用語「接着」、「接着した」、「接着用」は、熱処理又は圧力と相俟って接合又は接着剤を用いて2つの物を互いに確実に結合させることを言及するものである。又、本明細書で用いる場合、用語「付着」は、ファスナ(例えば、ねじ留め、粘着剤又は接着剤、等)を用いて又は用いないで2つの物を互いに結合させることを言及するものである。従って、用語「接着」は用語「付着」のサブセット(「付着」に含まれるもの)である。
【0016】
以下においては、理解を容易にするために実際の物に正比例して描いていない図面を参照するに、異なる図面に亘り同じ又は類似の構成要素を示すのに同じ参照符号を用いている。
【0017】
本発明は、センサの活性表面の全体を用いるようにする装置と、この装置を製造する方法とに関する例を提供するものである。
【0018】
図1~5は、本発明において開示する装置を製造する種々の工程の一例を示す断面図である。本例は平面センサデバイスを有しているが、これに代えて非平面デバイスを用いるか、又はこれらの組合せを用いることができることが理解されるであろう。
【0019】
図1は、本発明の1つ以上の態様により、センサ104を上に有しているダイ102を具えるチップ100の一例を示す断面図である。このセンサは、例えば、活性表面105を有する。本明細書で用いる場合、用語「活性表面」は、検出が積極的に行われるセンサの表面又は表面部分を言及するものである。例えば、デジタル画像センサの活性表面は、光を検出するためのフォトサイト又はピクセルを有する表面である。センサの機能の非限定的な例には、例えば、(予め決定した波長範囲を検出する)光検出と、1つ以上の物質(例えば、生物学的物質又は化学的物質)の存在の検出と、何らかの濃度(例えば、イオン濃度)の変化の検出とが含まれる。センサには、例えば、1つ以上の半導体材料を含めることができるとともに、センサが、例えば、相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサ(例えば、CMOSイメージセンサ)又は電荷結合デバイス(CCD)や、その他の種類のイメージセンサの形態をとるようにすることができる。本例では、CMOSイメージセンサを用いるが、他の種類のセンサを用いることができる。当業者が知っているように、CMOSイメージセンサの回路は、クロック及びタイミング発生回路、アナログ‐デジタル変換器、等のような受動電子素子や、光子(光)を電子に変換し、その後電圧に変換する光検出器のアレイを有している。半導体に基づく場合、センサはシリコン基板(例えば、シリコンウエハ)上に製造でき、このシリコンウエハを切断すると、ダイが得られる。このダイの厚さは、シリコンウエハの寸法(直径)に依存させることができる。例えば、直径が51mmの標準のシリコンは約275ミクロンの厚さを有することができるが、直径が300mmの標準のシリコンは約775ミクロンの厚さを有することができる。本明細書で用いるセンサの活性領域は、検出のための試薬と接触するセンサ表面を言及するものである。ダイ上には1つよりも多いセンサを設けることができるとともに、同じダイ上に異なるセンサを含めることができる。
【0020】
当業者にとって理解されているように、「CMOS」は、集積回路を製造するのに用いられる技術を言及するものである。本明細書で用いる「CMOSセンサ」及び「CMOSイメージセンサ」は、CMOS技術を用いて製造されるセンサを言及するものである。名称における「相補」の態様は、CMOS技術を用いて製造した集積回路(IC)におけるn型及びp型の双方の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含むことを言及するものである。各MOSFETは、酸化物(従って、名称の「金属酸化物」)のようなゲート誘電体を具える金属ゲートと、このゲートの下側の(名称における「半導体」に相当する)半導体材料とを有している。ICは、製造後に切断される半導体基板又はウエハの一部であるダイ上に製造され、CMOS技術を用いて製造されたICには、例えば、雑音耐性が高く、(1つのトランジスタを常にオフ状態にした)静的電力消費が低いという特徴がある。
【0021】
本発明の一例では、CMOSイメージセンサに、例えば、ピクセルとも称される数百万の光検出器を含めることができる。各ピクセルは、光から電荷を蓄積する光センサと、蓄積された電荷を電圧に変換する増幅器と、ピクセル選択スイッチとを有する。各ピクセルは、例えば、より多くの光を補足する個々のマイクロレンズを具えるか、又は例えば、雑音を低減させるように画像を改善させるその他の強化手段を有するようにもすることができる。
【0022】
次に、CMOS技術を用いて製造する半導体デバイスの製造方法の一例を提供する。例えば、p型の半導体基板から開始し、NMOS領域を保護し、このNMOS領域内にn型ウェルを形成する。このことは、例えば、1回以上のリソグラフ処理を用いて達成しうる。次に、NMOS領域及びPMOS領域の双方に薄肉のゲート酸化物及びゲート(例えば、ポリシリコン)を形成する。NMOS領域のp型基板内でダミーゲートの両側にn+型ドーパントの領域を形成する(すなわち、ソース及びドレインを形成する)ことができ、n+型ドーパントの一方の領域はPMOS領域におけるボディ(この場合、ウェル)接点とする。このことは、例えば、マスクを用いて達成しうる。次に、マスキング及びドーピングの同じ処理を用いて、PMOS領域内にソース及びドレインを形成するとともに、ボディ接点をNMOS領域内に形成することができる。次に、NMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタの種々の領域(すなわち、ボディ、ソース、ドレイン及びゲート)に対する端子を形成する金属化を実行することができる。CCDとは相違し、CMOSイメージセンサには、追加費用を殆ど又は全くかけることなく同じチップ上に他の回路を含めて、チップ上での画像安定化及び画像圧縮のような機能を得るようにすることができる。
【0023】
図2は、本発明の1つ以上の態様により、
図1のダイ102及びセンサ104を支持構造体200上に準備及び配置する一例を示す断面図である。一例では、支持構造体200を、これを貫通する1つ以上の導電性経路202を有する誘電体層の形態とすることができる。他の例では、このようにせずに、この支持構造体を誘電体層のみの形態とすることができる。この誘電体層に用いることができる誘電体材料の非限定的な例には、フッ素をドーピングした二酸化シリコン、炭素をドーピングした二酸化シリコン及び多孔質の二酸化シリコンのようなkが低い(約3.9である二酸化シリコンの誘電率よりも低い誘電率の)誘電体材料や、窒化シリコン(SiNx)及び二酸化ハフニウムのようなkが高い(約3.9である二酸化シリコンの誘電率よりも高い誘電率の)誘電体材料が含まれるものである。ダイは、例えばセンサに与える応力を低応力又は超低応力としうるとともに温度の安定度を高くしうる例えばダイ取付け用の接着剤を用いて支持構造体に取付けることができる。
【0024】
図3は、本発明の1つ以上の態様により、
図2のダイ102の両側に隣接して底部コラム部分300及び302を形成する一例を示す断面図である。これらの底部コラム部分の材料の非限定的な例には、例えば、エポキシ又はプラスチックの成型化合物(例えば、フェノール硬化剤、シリカ、触媒、顔料及び離型剤)のような充填材料が含まれる。これらの底部コラム部分の形成に際しては、センサを、例えば、除去可能なフィルム(例えば、二酸化シリコン)で保護することができる。或いはまた、これらの底部コラム部分の材料を共形(コンフォーマル)的に堆積させ、次いでセンサに達するまで平坦化するようにするか、又はこれらの底部コラム部分を、例えば、直接堆積処理を用いて形成するようにすることができる。共形堆積及び平坦化の一例では、エポキシを構造体の上方に全面的に堆積させ、これに続いてこのエポキシに平坦化処理(例えば、化学‐機械研磨(CMP))を行うようにすることができる。
【0025】
図4は、本発明の1つ以上の態様により、
図3の底部コラム部分300及び302の上方に頂部コラム部分400及び402を形成する一例を示す断面図である。これらの頂部コラム部分の材料の非限定的な例には、例えば、底部コラム部分に関して上述したエポキシ又はプラスチックの成型化合物のような充填材料が含まれる。これらの頂部コラム部分の形成に際しては、センサ及びダイを、例えば、センサに損傷を及ぼすことのない容易に除去可能なフィルム(例えば、二酸化シリコン)で保護することができる。或いはまた、これらの頂部コラム部分の材料を共形的に堆積させ、次いでセンサに達するまで平坦化するようにすることができる。又、本例では、これらのコラムの各々は2部分を有しているが、このようにせずに、コラムの各々を1つの連続するコラムとするか、又はコラムの各々が2つよりも多い部分を有するようにすることができる。
【0026】
図5は、本発明の1つ以上の態様により、頂部コラム部分400及び402上に蓋用の層502を配置した後の最終構造体500(この場合、フローセル)の一例を示す断面図である。本明細書で用いる用語「フローセル」は、基板(例えば、ガラス)上の被試験流体に対する入口及び出口を有する小さなチャンバ(室)を言及するものであり、このチャンバには、固定位置に多数の(数十億としうる)ナノウエルを以ってパターン化しうるチャネルを設けることができる。基板上のチャネル及びナノウエルは、例えば、半導体製造技術を用いて形成でき、ナノウエルは例えば基板内にエッチング形成することができる。センサをチャンバに隣接して、例えば、基板の下側に位置させて、被試験流体に対し観測することもできる種々の反応の局所的検出(例えば、イメージセンサを用いる蛍光検出)を行うようにすることができる。
【0027】
上述した
図5の説明に続けるに、蓋用の層の配置は、例えば、(ピックアンドプレース機器としても知られている)比較的正確なロボット機器を用いて達成して、スペース504がセンサ104の活性表面105の少なくとも約半分よりも多くの上方にある(
図5の例ではスペースが全て又はほぼ全てを覆う)ようにすることができる。コラムをセンサの活性表面上に配置するのではなく、コラムをセンサの両側に配置することは、ファンアウトパッケージング処理と称することができる。蓋用の層は、センサ104の検出作用をトリガすることのできる入射光又はその他の波に対し反応せず且つ透過する材料を有するようにすることができる。自家(自己)蛍光が低い又は非蛍光性である蓋用の層の非限定的な例には、ガラス、例えば、アルミノケイ酸ガラス、又はフラットパネルディスプレイガラス(例えば、ニューヨーク州コーニングのコーニング社から入手しうる「eagle (登録商標)」ガラス )が含まれる。自家蛍光が低い又は存在しない材料は、例えば、フローセル内の如何なる蛍光反応をも見うるようになることを保証する。センサの活性表面によるオンチップ検出用のスペース内には、物質、例えば、生物学的又は化学的物質を導入させることができる。
【0028】
一例では、センサの活性表面の粗さは均一で小さく、すなわち、この活性表面はできる限り平滑としている。随意ではあるが、液体用の複数のチャネル506をスペース内でセンサの上方の二次的な層内に存在させることができる。この随意の二次的な層には、例えば、センサの表面上の上述したガラスを含めることができる。このような二次的な層は、センサの活性表面の粗さに等しい粗さと、この活性表面に対するシームレスインターフェースとを有し、流体の巻き込み及び閉じ込めを生じることなく流体の交換を可能にするようにすることができる。
【0029】
本発明の装置を製造する処理600の一例を
図6の流れ図に関して以下に説明する。センサの一例の製造602は
図1に関して上述してある。この例はCMOSイメージセンサに関するものであるが、他の種類のアクティブ(活性)ピクセルセンサを用いることができ、例えば、電荷結合デバイス(CCD)及び例えば(LIVE MOS(ライブモス)(登録商標)センサとしても知られている )NMOSイメージセンサのような他の技術や、種々のカラーフィルタ、例えば、フィルタが光を回折させて波長(カラー)の組合せが異なるフォトサイトに当るようにするベイヤーカラーフィルタアレイ(極めて小さいマイクロフィルタのアレイ)とは異なるマイクロカラースプリッタを有するイメージセンサを用いることができる。ライブモスセンサはCMOSセンサの低電力ニーズを有するフルフレームトランスファー(FFT)型のCCDセンサに匹敵しうる画質を提供し、長時間に亘る高品質の撮像能力に対して着目されている。各フォトダイオードからその対応するオンチップのマイクロレンズまでの距離を低減させて(より一層高密度の高解像度センサを形成する)簡略化回路は、光が高入射角でセンサに当る場合でも感度及び画質を確実に優れたものとする。或いはまた、センサを製造せずに既存の又は「在庫品」のセンサを用いることができる。
【0030】
ダイ及びセンサの配置604には準備処理を含めることができ、この準備処理には、例えばリソグラフ処理及びプレーティング処理を含めることができ、この配置は、例えば、(ピックアンドプレース機器としても知られている)正確なロボット機器を用いて達成することができる。次いで、パネライズ(panelization)処理606を実行してセンサチップと支持層とを結合させる。パネライズ処理には、例えば、キャリアのラミネート処理、ダイへのセンサの取付け、ダイを支持層上へ配置するとともに成形用コンパウンドで固定すること、成形用コンパウンドの平坦化(又は「頂部研磨」)及び裏面フィルムのラミネート処理を含めることができる。パネライズ処理に続いて、ファンアウト処理608を実行してセンサの活性表面を最大限使用するようにする。換言すれば、より詳細に前述したように、例えば、リソグラフ処理及びプレーティング処理を用いて、センサの両側に位置するコラムでセンサ上に対するオープンスペースを形成するのに続いて、例えば、表面実装処理610を用いてコラム上に蓋の層を配置することができる。表面実装処理では、例えば、蓋の層を上述した正確なロボット機器を用いてコラム上に配置するとともに、ある方法で(例えば、エポキシを用いて)取付ける。このような機器は、表面実装デバイスをプリント回路基板又はこれに類似するものの上に配置するのに用いることができる。又、このような機器は、例えば、3次元で操作する空気吸入カップを用いて蓋の層の配置を実行するようにすることができる。
【0031】
センサの活性表面の使用を最大にする他の方法には、例えば、蓋の領域外にある活性表面を有するセンサを設計及び使用することが含まれる。センサの活性表面の使用可能な領域を増大させる他の例には、例えばオーバーモールド処理又はゲートモールド処理を用いてセンサを低価格の複合ウエハ、例えば、プラスチック内に再構成することが含まれる。
【0032】
上述した第1の態様は装置である。この装置は、支持構造体と、この支持構造体上のセンサとを具えており、このセンサは活性表面を有している。この装置は更に、一対のコラムを具えており、それぞれのコラムはセンサの両側で支持構造体上に位置しており、これら一対のコラムの各々は支持構造体の頂面に対するコラム高を有し、このコラム高は支持構造体のこの同じ頂面に対するセンサの活性表面の高さよりも高くなっており、この装置は更に、前記一対のコラム上で前記活性表面の上方にあり且つ前記活性表面よりも高くした蓋用の層を具えており、この蓋用の層はその両端で前記一対のコラムにより支持されているものである。センサの活性表面と、蓋用の層と、一対のコラムとが相俟って、センサの活性表面の少なくとも約半分よりも多くの上方に開口部を形成しており、且つ支持構造体と、センサと、蓋用の層と、一対のコラムとが相俟って、フローセルを形成している。
【0033】
一例では、一対のコラムの各々が、例えば、センサの両側に底部コラム部分と、この底部コラム部分の上方に設けられこの底部コラム部分の材料と同じ又は異なるようにすることができる頂部コラム部分とを有するようにすることができる。一例では、一対のコラムの各々が、例えば、充填材料を含むようにすることができる。この充填材料は、例えば、エポキシ及びプラスチックの一方の成型化合物を有するようにすることができる。
【0034】
一例では、第1の態様の装置における蓋用の層が、例えば、ガラス、例えば、アルミノケイ酸ガラス及びフラットパネルディスプレイガラスの少なくとも一方を有するようにすることができる。
【0035】
一例では、第1の態様の装置の支持構造体が、例えば、誘電体層を有するようにすることができ、この誘電体層はその中に1つ以上の導電性経路を有するようにすることができる。
【0036】
一例では、第1の態様の装置におけるセンサが、例えば、CMOS技術を用いて製造したセンサ(例えば、上述したようなCMOSイメージセンサ)のような1つ以上の半導体材料を有するようにすることができる。
【0037】
一例では、第1の態様の装置におけるセンサの活性表面上の二次的な層が、例えば、チャネルを有するようにすることができる。
【0038】
一例では、第1の態様の装置を、例えば、生物学的分析及び化学的分析の少なくとも一方に対するカートリッジの一部とすることができる。このようなカートリッジは、シーケンシング、例えば、(ハイスループットシーケンシングとしても知られている)シーケンシング・バイ・シンセシス又は次世代シーケンシングのようなDNAシーケンシングを可能にするのに用いることができる。これ以外に、このようなカートリッジは、生物学的分析を用いて個人のDNA配列を検査してこれを他の個人の配列又は基準配列と比較することにより個人の遺伝子構造(遺伝子型)の相違を決定することを含む遺伝子型判定を可能にするのに用いることができる。
【0039】
第2の態様では、上述した方法を開示する。この方法はフローセルの形成処理を有しており、この形成処理は、活性表面を有するセンサを支持構造体上に配置するステップと、前記センサの両側に各コラムが存在する一対のコラムを形成するステップであって、各コラムが前記支持構造体の頂面に対するコラム高を有し、このコラム高は前記支持構造体の頂面に対する前記センサの活性表面の高さよりも高くするステップと、前記一対のコラムの頂面上に蓋用の層を配置して、この蓋用の層と前記一対のコラムとが前記センサの活性表面の少なくとも約半分の上方にスペースを形成するようにするステップとを含んでいるようにする。
【0040】
一例では、センサを配置するステップが、例えば、CMOS技術を用いて製造したセンサ(例えば、上述したようなCMOSイメージセンサ)を配置するステップを有するようにしうる。
【0041】
一例では、第2の態様の方法において一対のコラムを形成するステップが、例えば、センサの両側に底部コラム部分を形成するステップと、各底部コラム部分の上方に頂部コラム部分を形成するステップとを有するようにしうる。
【0042】
一例では、第2の態様の方法における支持構造体は、例えば、誘電体層を有するようにすることができ、この誘電体層はこれを貫通する導電性経路を有するようにすることができる。
【0043】
一例では、第2の態様の方法が更に、例えば、生物学的分析及び化学的分析の少なくとも一方に対しフローセルとカートリッジとを結合させるステップを有するようにすることができる。
【0044】
一例では、第2の態様の方法が更に、例えば、シーケンシングのためにフローセルを用いるステップを有するようにすることができる。
【0045】
一例では、第2の態様の方法が更に、例えば、遺伝子型判定のためにフローセルを用いるステップを有するようにすることができる。
【0046】
一例では、第2の態様の方法における一対のコラムが、例えば、充填材料を有するようにすることができる。
【0047】
一例では、第2の態様の方法における充填材料が、例えば、エポキシ及びプラスチックの少なくとも一方の成型化合物を有するようにすることができる。
【0048】
本明細書では本発明の幾つかの態様を説明し且つ開示したが、当業者によれば同じ目的を達成するために代替的な態様を実行することができる。従って、本発明の特許請求の範囲はこのような全ての代替的な態様にも及ぶことを意図するものである。
【0049】
上述した概念のあらゆる組合せをも(このような概念が互いに矛盾しないという条件で)本明細書に開示した本発明の主題の一部として考えられることを理解すべきである。特に、本明細書の特許請求の範囲に記載した主題のあらゆる組合せも本明細書に開示した本発明の主題の一部として考えられるものである。