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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20231027BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20231027BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231027BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20231027BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
B41J29/38 401
B41J29/38 303
B41J29/46 Z
G03G21/00 388
G03G21/00 386
G06F3/12 310
G06F3/12 334
G06F3/12 368
H04N1/00 127Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020022458
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021126816
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】大杉 実意
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-263393(JP,A)
【文献】特開2018-103571(JP,A)
【文献】特開2003-305928(JP,A)
【文献】特開2018-118419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/46
G03G 21/00
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器からネットワークを介して一連の画像データを順次受信する通信部と、
各画像データの受信時刻を計測する計時部と、
受信した前記各画像データを画像形成前に一時的に保存するスプール領域を有する記憶部と、
前記スプール領域に記憶された各画像データに基づき画像を形成する画像形成部と、
前記通信部、前記計時部、前記記憶部および前記画像形成部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記通信部が画像データを受信した後、予め定められた受信時間内に次の画像データを受信しなかった場合、前記一連の画像データの受信終了の処理を行い、前記受信終了の時刻と前記通信部が最後に受信した前記画像データの受信時刻との時間差を求め、当該時間差が予め定められたエラー判定時間以上である場合、前記最後に受信した画像データは不完全な画像データの可能性があるものと判定を行い、前記画像データが不完全な画像データの可能性があるものと判定した場合、予め定められた設定に基づき、前記不完全な画像データに基づく画像を前記画像形成部に画像形成させるべきか否かを決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記不完全な画像データに基づく画像を前記画像形成部に画像形成させない場合、前記外部機器に対してエラー通知を前記通信部に送信させ、前記不完全な画像データのみを画像形成することなく、前記記憶部から削除する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記不完全な画像データに基づく画像を前記画像形成部に画像形成させる場合、前記外部機器に対してエラー通知を前記通信部に送信させ、前記画像形成部に前記不完全な画像データに基づき画像を形成させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記不完全な画像データに基づく画像を前記画像形成部に画像形成させる場合、前記不完全な画像データをホールド画像データとして前記記憶部に保存し、前記外部機器に対してエラー通知を前記通信部に送信させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
ユーザーの操作を受け付ける操作部と、
前記ユーザーにメッセージを表示する表示部とをさらに備え、
前記制御部は、前記ホールド画像データに基づき画像を形成すべき旨の指示を前記操作部が受け付けた場合、前記表示部にエラー通知を表示させた後、前記画像形成部に前記ホールド画像データに基づき画像を形成させる請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
ネットワークを介して互いに接続された外部機器および画像形成装置からなる画像形成システムであって、
前記外部機器は、
ユーザーからの画像形成指令を受け付ける機器操作部と、
前記画像形成装置に前記画像形成指令に係る一連の画像データを送信する機器通信部と、
ユーザーへの通知を表示する機器表示部と、
前記機器操作部、前記機器通信部および前記機器表示部を制御する機器制御部とを備え、
前記画像形成装置は、
前記外部機器から前記ネットワークを介して前記画像形成指令に係る一連の画像データを受信する通信部と、
各画像データの受信時刻を計測する計時部と、
受信した各画像データを画像形成前に一時的に保存するスプール領域を有する記憶部と、
前記スプール領域に記憶された各画像データに基づき画像を形成する画像形成部と、
前記通信部、前記計時部、前記記憶部および前記画像形成部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記通信部が予め定められた受信時間内に次の画像データを受信しなかった場合、前記一連の画像データの受信終了の処理を行い、前記受信終了の時刻と前記通信部が最後に受信した前記画像データの受信時刻との時間差を求め、当該時間差が予め定められたエラー判定時間以上である場合、前記最後に受信した画像データは不完全な画像データの可能性があるものと判定を行い、前記画像データが不完全な画像データの可能性があるものと判定した場合、予め定められた設定に基づき、前記不完全な画像データに基づく画像を前記画像形成部に画像形成させるべきか否かを決定するとともに、前記外部機器に対してエラー通知を前記通信部に送信させ、
前記機器制御部は、前記画像形成装置から前記機器通信部が受信した前記エラー通知を前記機器表示部に表示させることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MFP(Multifunction Peripheral:多機能周辺装置)などの画像形成装置において、画像データを受信した場合、印刷処理やスキャン処理を行う前に当該データをMFP内のメモリやハードディスクドライブ(HDD)等の記憶領域(以下、スプール領域)に一時的に保存する機能(以下、スプール機能)を有するものが知られている。
【0003】
このようなスプール機能を有するMFPにおいて、パーソナルコンピューター(PC)等の外部機器から画像データを受信している最中に、何らかの原因でMFPによる画像データの受信処理が止まってしまうことがある。
【0004】
この場合、MFPの受信処理が止まってしまったとしても、PCはMFPの受信エラーを認識できないため、その後も継続して画像データをMFPに送信しつづける。
【0005】
そして、PCは、最後の画像データを送信した後、所定時間が経過すると、自動的に送信処理を終了する(タイムアウト)。
【0006】
その後、MFPの受信エラーが解消されて画像データの受信を再開しようとしても、PCからの画像データの送信が終了しているため、MFPは、画像データを途中までしか受信できなくなる。
【0007】
その結果、受信した画像データを解析して印刷処理やスキャン処理をおこなったとしても、中途半端な印刷結果しか得られないため、印刷用紙が無駄になってしまうおそれもある。
【0008】
また、画像データの受信状態によっては、部分的に印刷されることもあるため、画像データが正常に印刷できていないことにユーザーが気付かないという問題もあった。
【0009】
このような問題に関連して、従来、各ページの画像データがページとして完全か否かをチェックするページチェッカを備え、完全と判断されたページの画像データだけをプリンタに送ることで、データ送信途中に何らかの異常が発生してしまった場合であっても、異常のあったページから正しく画像データを再送して、完全なページが印刷されるようにする画像データ送信装置の発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
また、ホストコンピュータと印刷装置を組み合わせた印刷システムにおいて、ホストコンピュータから印刷装置に画像データが転送された後、印刷装置に異常が発生した場合、その旨をホストコンピュータに通知し、ホストコンピュータはこれに応じて画像データのスプールを一時保存している揮発性メモリから不揮発性メモリへコピーし、印刷装置のエラー復旧後、コピーしたスプールデータを印刷装置へ再転送することにより、操作者に煩雑な作業を強いることなく、引き続き印刷を行うことができる印刷システムの発明が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2000-992858号公報
【文献】特開2002-196916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、ページチェッカで各ページを判定する従来の方法は、送信の時点で完全なページであっても、データの受信の問題により画像データが正しく受信されない場合もある。
【0013】
また、印刷装置に異常がなくても、通信トラブル等により画像データ切れが発生する場合もあり、その場合、画像データが切れた箇所によっては、正常に印刷されたように見えるため、やはり問題となる。
【0014】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、画像データの受信中にエラーが発生した可能性を判定することで、従来よりもユーザーの利便性の高い画像形成装置および画像形成システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)この発明による画像形成装置は、外部機器からネットワークを介して一連の画像データを順次受信する通信部と、各画像データの受信時刻を計測する計時部と、受信した前記各画像データを画像形成前に一時的に保存するスプール領域を有する記憶部と、前記スプール領域に記憶された各画像データに基づき画像を形成する画像形成部と、前記通信部、前記計時部、前記記憶部および前記画像形成部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記通信部が画像データを受信した後、予め定められた受信時間内に次の画像データを受信しなかった場合、前記一連の画像データの受信終了の処理を行い、前記受信終了の時刻と前記通信部が最後に受信した前記画像データの受信時刻との時間差を求め、当該時間差が予め定められたエラー判定時間以上である場合、前記最後に受信した画像データは不完全な画像データの可能性があるものと判定を行い、前記判定の結果に応じて前記画像データに基づく画像を前記画像形成部に画像形成させるべきか否かを決定することを特徴とする。
【0016】
また、この発明による画像形成システムは、ネットワークを介して互いに接続された外部機器および画像形成装置からなる画像形成システムであって、前記外部機器は、ユーザーからの画像形成指令を受け付ける機器操作部と、前記画像形成装置に前記画像形成指令に係る一連の画像データを送信する機器通信部と、ユーザーへの通知を表示する機器表示部と、前記機器操作部、前記機器通信部および前記機器表示部を制御する機器制御部とを備え、前記画像形成装置は、前記外部機器から前記ネットワークを介して前記画像形成指令に係る一連の画像データを受信する通信部と、各画像データの受信時刻を計測する計時部と、受信した各画像データを画像形成前に一時的に保存するスプール領域を有する記憶部と、前記スプール領域に記憶された各画像データに基づき画像を形成する画像形成部と、前記通信部、前記計時部、前記記憶部および前記画像形成部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記通信部が予め定められた受信時間内に次の画像データを受信しなかった場合、前記一連の画像データの受信終了の処理を行い、前記受信終了の時刻と前記通信部が最後に受信した前記画像データの受信時刻との時間差を求め、当該時間差が予め定められたエラー判定時間以上である場合、前記最後に受信した画像データは不完全な画像データの可能性があるものと判定を行い、前記判定の結果に応じて前記画像データに基づく画像を前記画像形成部に画像形成させるべきか否かを決定するとともに、前記外部機器に対してエラー通知を前記通信部に送信させ、前記機器制御部は、前記画像形成装置から前記機器通信部が受信した前記エラー通知を前記機器表示部に表示させることを特徴とする。
【0017】
この発明において、「画像形成装置」は、トナーによる像形成に電子写真方式を用いるプリンタなどの複写(コピー機能)機能を有する複写機や複合機、または複写以外の機能をも含むMFP(Multifunctional Peripheral:多機能周辺装置)など、画像を形成して出力する装置である。
【0018】
この発明において、「一連の画像データ」は、複数の画像データのほか、一つの画像データのみであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、画像データの受信中にエラーが発生した可能性を判定して、当該判定結果に基づき当該画像データに基づく画像を形成すべきか否かを決定することで、従来よりもユーザーの利便性の高い画像形成装置および画像形成システムが実現される。
【0020】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
【0021】
(2)前記制御部は、前記画像データが不完全な画像データの可能性があるものと判定した場合、前記外部機器に対してエラー通知を前記通信部に送信させ、前記画像データを画像形成することなく、前記記憶部から削除するものであってもよい。
【0022】
このようにすれば、画像データの受信中のエラーによって、不完全な印刷結果になった可能性があることをユーザーに知らせて当該画像データを削除して無駄な印刷を減らすため、従来よりもユーザーの利便性の高い画像形成装置を実現できる。
【0023】
(3)前記制御部は、前記画像データが不完全な画像データの可能性があるものと判定した場合、前記外部機器に対してエラー通知を前記通信部に送信させ、前記画像形成部に前記画像データに基づき画像を形成させるものであってもよい。
【0024】
このようにすれば、画像データの受信中のエラーによって、印刷された画像について不完全な印刷結果になった可能性があることをユーザーに知らせるため、従来よりもユーザーの利便性の高い画像形成装置を実現できる。
【0025】
(4)前記制御部は、前記画像データが不完全な画像データの可能性があるものと判定した場合、前記画像データをホールド画像データとして前記記憶部に保存し、前記外部機器に対してエラー通知を前記通信部に送信させるものであってもよい。
【0026】
「ホールド画像データ」は、すぐに印刷せずに記憶部に保留(ホールド)しておく画像データである。
【0027】
このようにすれば、画像データの受信中のエラーによって、不完全な印刷結果になった可能性があることを外部機器のユーザーに知らせて、当該画像データを印刷せずにホールド画像データとして記憶部に保存することで無駄な印刷を減らすため、従来よりもユーザーの利便性の高い画像形成装置を実現できる。
【0028】
(5)ユーザーの操作を受け付ける操作部と、前記ユーザーにメッセージを表示する表示部とをさらに備え、前記制御部は、前記ホールド画像データに基づき画像を形成すべき旨の指示を前記操作部が受け付けた場合、前記表示部にエラー通知を表示させた後、前記画像形成部に前記ホールド画像データに基づき画像を形成させるものであってもよい。
【0029】
このようにすれば、画像データの受信中のエラーによって、不完全な印刷結果になった可能性があることをユーザーに知らせた上でホールド画像データを印刷することで無駄な印刷を減らすため、従来よりもユーザーの利便性の高い画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】この発明の画像形成システムの構成の一例を示す説明図である。
図2図1のデジタル複合機の概略構成を示すブロック図である。
図3図1のPCの概略構成を示すブロック図である。
図4図1のPCの画像データ送信処理の流れを示すフローチャートである。
図5】従来のデジタル複合機の画像データ送信処理の流れを示すフローチャートである。
図6】従来のデジタル複合機の印刷処理の流れを示すフローチャートである。
図7】従来のデジタル複合機の印刷処理の一例を示す説明図である。
図8図1のデジタル複合機の画像データ送信処理の流れを示すフローチャートである。
図9図1のデジタル複合機の画像データ送信処理の流れを示すフローチャートである。
図10図1のデジタル複合機の印刷処理の一例を示す説明図である。
図11】この発明の実施形態2のデジタル複合機の画像データ送信処理の流れを示すフローチャートである。
図12】この発明の実施形態2のデジタル複合機の画像データ送信処理の流れを示すフローチャートである。
図13】この発明の実施形態2のデジタル複合機の印刷処理の流れを示すフローチャートである。
図14】この発明の実施形態2のデジタル複合機の印刷処理の一例を示す説明図である。
図15】この発明の実施形態3のデジタル複合機の画像データ送信処理の流れを示すフローチャートである。
図16】この発明の実施形態3のデジタル複合機の画像データ送信処理の流れを示すフローチャートである。
図17】この発明の実施形態3のデジタル複合機のホールド処理の流れを示すフローチャートである。
図18】この発明の実施形態3のデジタル複合機のドキュメントファイリング表示処理の流れを示すフローチャートである。
図19】この発明の実施形態3のデジタル複合機のドキュメントファイリング表示処理の一例を示す説明図である。
図20】この発明の実施形態3のデジタル複合機の印刷処理の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
〔実施形態1〕
図1および図2に基づき、この発明の画像形成装置の一実施形態であるデジタル複合機1の概略構成について説明する。
【0032】
図1は、この発明の画像形成システム10の構成の一例を示す説明図である。また、図2は、図1のデジタル複合機1の概略構成を示すブロック図である。
【0033】
図1に示すように、この発明の画像形成システム10は、ネットワーク3を通じて接続されたデジタル複合機1およびPC2から構成される。
【0034】
デジタル複合機1は、画像データをデジタル処理し、コピー機能やプリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を有する複合機やMFP(Multifunction Peripheral:多機能周辺装置)などの装置である。
【0035】
図2に示すように、デジタル複合機1は、制御部100、画像データ取得部101、画像形成部102、記憶部103、画像処理部104、通信部105、タイマ106、タッチパネル107、給紙部108、データ解析部109、ジョブ管理部110およびメモリ管理部111を備える。
【0036】
以下、デジタル複合機1の各構成要素を説明する。
【0037】
制御部100は、デジタル複合機1を統合的に制御するものであって、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース回路等からなる。
【0038】
制御部100は、デジタル複合機1全体の動作をコントロールするために、各センサの検知、モーター、クラッチ、タッチパネル107等、あらゆる負荷の監視・制御を行う。
【0039】
画像データ取得部101は、原稿台に置かれた原稿や原稿トレイから搬送されてきた原稿を検知して読み取り、画像データを生成する部分である。
【0040】
また、画像データ取得部101は、PC2などの外部の装置で生成された画像データを有線または無線のネットワーク3を通じて取得する部分である。
【0041】
画像形成部102は、画像データ取得部101によって取得され、画像処理部104によって処理された画像データを用紙上に印刷出力する部分であり、LSU1021を備える。
【0042】
LSU1021は、デジタル信号からなる画像データの情報に対応するレーザー光を帯電状態にある感光体ドラムの表面に照射して、静電潜像を形成する装置である。
【0043】
記憶部103は、デジタル複合機1の各種機能を実現するために必要な情報や、制御プログラムなどを記憶する素子や記憶媒体である。例えば、RAMやROM等の半導体素子、ハードディスク、フラッシュ記憶部、SSD等の記憶媒体が用いられる。
【0044】
記憶部103は、印刷等のジョブに関する情報や画像データなどジョブの実行に必要なデータを記憶する。
【0045】
なお、データを保持する領域がハードディスクドライブで、プログラムを保持する領域がフラッシュ記憶部で構成するといったように、プログラムとデータが異なる装置に保持されてもよい。
【0046】
画像処理部104は、通信部105を通じて取得された印刷等のジョブの指令の解析結果に基づき、画像データ取得部101から入力された画像データを適正な電気信号に変換して拡大・縮小等の出力に適するように処理を行う部分である。
【0047】
通信部105は、ネットワーク3を介して、外部のPC2と通信をおこない、印刷等のジョブの指令や原稿画像データ等を取得する部分である。
【0048】
また、通信部105は、他の画像形成装置、携帯情報端末、情報処理装置、ファクシミリ装置等との通信をおこない、メール・FAX等の種々の情報をこれら外部の装置と送受信する部分である。
【0049】
タイマ106は、時間を計測してカウントする部分であり、例えば、内蔵時計やネットワーク3を通じて時刻を取得する。
【0050】
タッチパネル107は、液晶パネル等から構成された表示パネルと、表示パネルに重ねて配置され、指がタッチされた位置を検出する静電容量方式等のタッチパネルとから構成され、表示部1071および操作部1072を備える。
【0051】
表示部1071は、各種情報の表示を行う部分である。
【0052】
表示部1071は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイなどで構成され、オペレーティングシステムやアプリケーションソフトウェアが処理状態など電子的なデータを表示するためのモニタやラインディスプレイなどの表示装置である。
【0053】
制御部100は、表示部1071を通じて、デジタル複合機1の動作および状態の表示を行う。
【0054】
操作部1072は、デジタル複合機1を操作するためのインターフェースであり、ユーザーからの指令を受け付ける部分である。
【0055】
給紙部108は、給紙カセット、手差トレイに格納された用紙を画像形成部102まで搬送する部分である。
【0056】
データ解析部109は、通信部105を通じてPC2から受信した印刷等のジョブの指令に含まれた情報を解析する部分である。
【0057】
データ解析部109は、例えばジョブの指令に含まれた印刷情報を解析し、当該ジョブの種別、印刷すべき部数の指定、印刷用紙サイズおよびタイプ、印刷トレイの指定など、印刷に必要なデータの解析を行う。
【0058】
ジョブ管理部110は、通信部105を通じて受信した印刷等のジョブやタッチパネル107が受け付けたジョブの管理を行う部分である。
【0059】
ジョブ管理部110は、必要に応じてジョブに関するデータの記憶部103に保存する。
【0060】
メモリ管理部111は、ワーク領域を含む記憶部103の記憶容量の管理を行う部分である。
【0061】
また、メモリ管理部111は、通信部105から受信した印刷等のジョブに関するデータを一時的に保存しておくスプール領域の管理も行う。
【0062】
PC2は、ネットワーク3を通じて、デジタル複合機1に画像データを送信し、印刷等のジョブを実行させる。
<PC2の概略構成>
次に、図3に基づき、PC2の概略構成を説明する。
図3は、図1のPC2の概略構成を示すブロック図である。
【0063】
図3に示すように、PC2は、制御部200、記憶部201、画像処理部202、通信部203、表示部204および操作部205を備える。
【0064】
なお、制御部200、記憶部201、画像処理部202、通信部203、表示部204および操作部205はそれぞれ、図2の制御部100、記憶部103、画像処理部104、通信部105、表示部1071および操作部1072と同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0065】
<この発明の実施形態1のPC2の画像データ送信処理の一例>
次に、図4に基づき、この発明の実施形態1のPC2の画像データ送信処理の一例について説明する。
【0066】
図4は、図1のPC2の画像データ送信処理の流れを示すフローチャートである。
【0067】
最初に、図4に基づき、PC2からデジタル複合機1に一連の画像データを送信して印刷を実行した場合のPC2の画像データ送信処理について説明する。
【0068】
図4のステップS1において、PC2の制御部200は、カウンタIをI=1と設定する(ステップS1)。
【0069】
続いて、ステップS2において、制御部200は、デジタル複合機1に対し、通信部203にI番目の画像データを送信させる(ステップS2)。
【0070】
次に、ステップS3において、制御部200は、画像データの送信後、予め定められたタイムアウト時間が経過したか否かを判定する(ステップS3)。
【0071】
予め定められたタイムアウト時間が経過した場合(ステップS3の判定がYesの場合)、制御部200は、画像データの送信処理を終了する。
【0072】
一方、予め定められたタイムアウト時間が経過していない場合(ステップS3の判定がNoの場合)、制御部200は、ステップS4の判定を行う(ステップS4)。
【0073】
次に、ステップS4において、制御部200は、画像データの送信が完了したか否かを判定する(ステップS4)。
【0074】
画像データの送信が完了した場合(ステップS4の判定がYesの場合)、制御部200は、ステップS5において、送信済みの画像データを削除する(ステップS5)。
【0075】
その後、制御部200は、ステップS6の処理を行う(ステップS6)。
【0076】
一方、画像データの送信が完了していない場合(ステップS4の判定がNoの場合)、制御部200は、処理をステップS3の判定に戻す(ステップS3)。
【0077】
次に、ステップS6において、制御部200は、続きの画像データがあるか否かを判定する(ステップS6)。
【0078】
続きの画像データがある場合(ステップS6の判定がYesの場合)、制御部200は、ステップS7において、カウンタIをI+1に設定した後(ステップS7)、処理をステップS2に戻す(ステップS2)。
【0079】
一方、続きの画像データがない場合(ステップS6の判定がNoの場合)、制御部200は、一連の画像データの送信処理を終了させる。
【0080】
<従来のデジタル複合機1の印刷処理の一例>
次に、図5図7に基づき、PC2から画像データを受信した従来のデジタル複合機1の印刷処理の一例について説明する。
【0081】
図5は、従来のデジタル複合機1の画像データ受信処理の流れを示すフローチャートである。また、図6は、従来のデジタル複合機1の印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【0082】
図5のステップS11において、デジタル複合機1の制御部100は、カウンタI=1と設定する(ステップS11)。
【0083】
続いて、ステップS12において、制御部100は、PC2からI番目の画像データを受信する(ステップS12)。
【0084】
次に、ステップS13において、制御部100は、受信した画像データを記憶部103のスプール領域にコピーする(ステップS13)。
【0085】
続いて、ステップS14において、制御部100は、スプール領域への画像データのコピーが完了したか否かを判定する(ステップS14)。
【0086】
スプール領域への画像データのコピーが完了した場合(ステップS14の判定がYesの場合)、制御部100は、ステップS15において、I番目の画像データを受信データから削除する(ステップS15)。
【0087】
その後、制御部100は、ステップS16の判定を行う(ステップS16)。
【0088】
一方、スプール領域への画像データのコピーが完了していない場合(ステップS14の判定がNoの場合)、制御部100は、処理をステップS13に戻す(ステップS13)。
【0089】
次に、ステップS16において、制御部100は、続きの画像データがあるか否かを判定する(ステップS16)。
【0090】
続きの画像データがある場合(ステップS16の判定がYesの場合)、制御部100は、ステップS17において、カウンタIをI+1に設定した後(ステップS17)、処理をステップS12に戻す(ステップS12)。
【0091】
一方、続きの画像データがない場合(ステップS16の判定がNoの場合)、制御部100は、画像データの受信処理を終了させる。
【0092】
画像データを受信した後、制御部100は、印刷処理を開始する。
【0093】
図6のステップS21において、デジタル複合機1の制御部100は、カウンタIをI=1と設定する(ステップS21)。
【0094】
続いて、ステップS22において、デジタル複合機1の制御部100は、スプール領域内のI番目の画像データを解析する(ステップS22)。
【0095】
次に、ステップS23において、制御部100は、予め定められた印刷停止要因があるか否かを判定する(ステップS23)。
【0096】
印刷停止要因としては、例えば、用紙切れ、紙詰まり等のエラーの発生、排紙トレイの満杯検知などがあげられる。
これらの印刷停止要因は、図示しない用紙切れ検知センサ、紙詰まり検知センサ、排紙トレイの満杯検知センサ等により検知される。
【0097】
次に、ステップS23において、所定の印刷停止要因があると判定した場合(ステップS23の判定がYesの場合)、制御部100は、ステップS24において印刷停止要因が解除されるのを待つ(ステップS24)。
【0098】
例えば、用紙切れの場合は、用紙が補充された時点で印刷停止要因が解除されたものと判定する。
また、紙詰まり等のエラーが発生した場合は、当該エラーが解消した時点で印刷停止要因が解除されたものと判定する。
また、排紙トレイが満杯になった場合は、排紙トレイの用紙が取り除かれた時点で印刷停止要因が解除されたものと判定する。
【0099】
ステップS24において印刷停止要因が解除されると(ステップS24)、制御部100は、ステップS25において、I番目の画像データの印刷処理を実行する(ステップS25)。
【0100】
一方、ステップS23において、所定の印刷停止要因がない場合(ステップS23の判定がNoの場合)も、制御部100は、ステップS25において印刷処理を実行する(ステップS25)。
【0101】
続いて、ステップS26において、制御部100は、スプール領域内のI番目の画像データを削除する(ステップS26)。
【0102】
次に、ステップS27において、制御部100は、続きの画像データがあるか否かを判定する(ステップS27)。
【0103】
続きの画像データがある場合(ステップS27の判定がYesの場合)、制御部100は、ステップS28において、カウンタIをI+1に設定した後(ステップS28)、処理をステップS22に戻す(ステップS22)。
【0104】
一方、続きの画像データがない場合(ステップS27の判定がNoの場合)、制御部100は、印刷処理を終了させる。
【0105】
次に、図7に基づき、従来のデジタル複合機1の印刷処理の問題点について説明する。
【0106】
図7は、従来のデジタル複合機1の印刷処理の一例を示す説明図である。
【0107】
図7の例では、デジタル複合機1で用紙切れ状態が発生しているものと仮定し、この状態でPC2からデジタル複合機1に対して一連の画像を連続して印刷すべき旨のジョブが送信された場合を想定する。
【0108】
図7の例において、PC2がデジタル複合機1に画像データを送信すると、デジタル複合機1の通信部105は、当該画像データの受信を開始する。
【0109】
しかしながら、デジタル複合機1は、用紙切れで停止中のため、PC2から画像データを受信しても印刷ジョブを完了することができない。
【0110】
そのため、デジタル複合機1は、受信した画像データを処理することができず、スプール領域内に画像データが溜まり続ける。
【0111】
具体的には、図7に示すように、PC2がデジタル複合機1に1ジョブ~Nジョブの印刷ジョブを送信した場合を想定する。
【0112】
説明の便宜上、図7の例において、「abc」「def」「ghi」「jkl」「mno」~のN個の印刷ジョブを1ジョブ目、2ジョブ目、~、Nジョブ目の画像データとしている。
【0113】
なお、図7において、1ジョブの画像データは、文字列単位としているが、ページ単位や文書単位など、任意の単位のデータであってもよい。
【0114】
このとき、デジタル複合機1がNジョブ目の画像データを受信中にスプール領域の容量の空きがなくなってしまった場合、スプール領域の残りの部分にはNジョブ目の画像データが途中まで保存された状態となる。
【0115】
そして、PC2は、Nジョブ目の画像データを送信した後、所定時間が経過すると、タイムアウトにより画像データの送信処理を終了する。
【0116】
その後、デジタル複合機1の用紙が補充されて印刷処理のエラーが解除された場合、それまでスプール領域に溜まっていたジョブが順番に処理されて、スプール領域に空きができる。
【0117】
しかしながら、PC2の送信処理がすでに終了しているため、デジタル複合機1は、中途半端に受信したNジョブ目の続きのデータを受信することはできない。
【0118】
その結果、Nジョブ目の画像データが不完全な画像データとして残るため、Nジョブ目の画像データが正常に印刷されない。
【0119】
なお、Nジョブ目の画像データの切れ方によっては、ゴミデータが大量に印刷されるおそれがあるほか、キリのいい部分まで部分的に印刷されて不完全な印刷であることに気付かれない場合もあるため、問題となっていた。
【0120】
<この発明の実施形態1のデジタル複合機1の印刷処理の一例>
次に、図8および図9に基づき、この発明の実施形態1のデジタル複合機1の印刷処理の一例について説明する。
【0121】
図8および図9は、図1のデジタル複合機1の画像データ送信処理の流れを示すフローチャートである。
【0122】
なお、図8のステップS31,33~S37の処理は、図5のステップS11,13~S17の処理に対応するため、説明を省略する。
【0123】
ここでは、図5に記載のない図8のステップS32,S38および図9のステップS39~S42の処理について説明する。
【0124】
また、デジタル複合機1の印刷処理の流れについては、図6と同じであるため、説明を省略する。
【0125】
図8のステップS31において、カウンタIをI=1と設定した後(ステップS31)、ステップS32において、デジタル複合機1の制御部100は、PC2から受信したI番目の画像データを受信するとともに、画像データの受信間隔をチェックすべく、各画像データの受信時刻をタイマ106に取得させて、記憶部103に記憶させる(ステップS32)。
【0126】
なお、各画像データの受信時刻は、画像データの受信に時間がかかる場合は、当該画像データの受信終了時刻、すなわち、最後の受信時刻とするが、受信開始から受信終了までの間の任意の時刻であってもよい。
【0127】
次に、ステップS36において、続きの画像データがない場合(ステップS35の判定がNoの場合)、制御部100は、ステップS38において、一連の画像データの受信が終了したものとして、当該受信終了時刻を記憶部103に保存する(ステップS38)。
【0128】
ここで、続きの画像データがない場合の判断について、次の画像データがあるかどうかは関係なく、画像データの終了が分かっているため、これで終わりという判断ができる。
【0129】
次に、図9のステップS39において、一連の画像データの受信終了時刻と、最後に受信した画像データの受信時刻とを比較し、それらの間隔を算出する(図9のステップS39)。
【0130】
続くステップS40において、制御部100は、算出した間隔が予め定められた閾値(例えば、5分など。ユーザーが任意に設定可能とする)以上か否かを判定する(ステップS40)。
【0131】
算出した間隔が所定の閾値以上である場合(ステップS40の判定がYesの場合)、制御部100は、ステップS41において、スプール領域内の画像データの先頭を解析してIPアドレスとエラー通知設定を取得し、当該画像データを送信したPC2に対して通信部105にエラー通知を送信させる(ステップS41)。
【0132】
エラー通知としては、例えば、「途中で通信が切れた可能性があるため、キャンセルしました。再度送信してください」などの通知があげられる。
【0133】
その後、ステップS42において、制御部100は、スプール領域内の印刷済みの画像データを削除して(ステップS42)、画像データ受信処理を終了させる。
【0134】
一方、ステップS40において、算出した間隔が所定の閾値未満の場合(ステップS40の判定がNoの場合)、制御部100は、正常な画像データを受信したものと判断して、画像データ受信処理を終了させる。
【0135】
次に、図10に基づき、この発明の実施形態1のデジタル複合機1の印刷処理の利点について説明する。
【0136】
図10は、図1のデジタル複合機1の印刷処理の一例を示す説明図である。
【0137】
図10の例では、図7の場合と同様に、デジタル複合機1で用紙切れ状態が発生しているものと仮定し、この状態でPC2からデジタル複合機1に対して一連の画像を連続して印刷すべき旨のジョブが送信された場合を想定する。
【0138】
図10の例において、PC2がデジタル複合機1に画像データを送信すると、デジタル複合機1の通信部105は、画像データの受信を開始する。
【0139】
しかしながら、デジタル複合機1は、用紙切れで停止中のため、PC2から画像データを受信しても印刷ジョブを完了することができない。
【0140】
そのため、デジタル複合機1は、受信した画像データを処理することができず、スプール領域内に画像データが溜まり続ける。
【0141】
ここで、図7と同様に、PC2がデジタル複合機1に「abc」「def」「ghi」「jkl」「mno」~のN個の印刷ジョブを1ジョブ目、2ジョブ目、~、Nジョブ目の画像データとして送信した場合を想定する。
【0142】
このとき、デジタル複合機1がNジョブ目の画像データを受信中にスプール領域の容量の空きがなくなってしまった場合、スプール領域の残りの部分にはNジョブ目の画像データが途中まで保存された状態となる。
【0143】
そこで、この発明の実施形態1において、デジタル複合機1の制御部100は、各画像データの受信時刻および一連の画像データを受信が終了したときの受信終了時刻を記憶部103に記憶させ、当該受信終了時刻と最後に受信した画像データの受信時刻とを比較する。
【0144】
例えば、一定時刻(例えば5分間)以上間隔が開いてから、デジタル複合機1が画像データの受信を終了している場合、PC2でタイムアウトが発生してデータの送信が終了した可能性が高いものと考えられる。
【0145】
このとき、制御部100は、最後に受信したジョブNが、受信中のエラーによって途中でデータ切れした不完全な画像データであるものと判定する。
【0146】
その後、制御部100は、スプール領域内の印刷済みの画像データを削除するため、スプール領域内には不完全な画像データは残っていない。
【0147】
一方、制御部100は、スプール領域内のジョブNの先頭のみを解析して、送信元のIPアドレスおよびエラー通知設定を取得し、PC2にエラー通知を行う。
【0148】
このようにして、一連の画像データの受信終了時刻と最後に受信した画像データの受信時刻とを比較した結果、所定の閾値以上の場合、画像データの受信中にエラーが発生した可能性があるものとして、ユーザーにエラーを通知するとともに、ジョブNの受信データを印刷せずに削除するため、無駄な印刷がなくなり、従来よりもユーザーの利便性の高い画像形成システム10を実現できる。
【0149】
〔実施形態2〕
次に、図11図14に基づき、この発明の実施形態2のデジタル複合機1の印刷処理の一例について説明する。
【0150】
図11および図12は、この発明の実施形態2のデジタル複合機1の画像データ送信処理の流れを示すフローチャートである。
【0151】
なお、図11のステップS41~S48および図12のステップS49~S50の処理はそれぞれ、図8のステップS31~S38および図9のステップS39~S40の処理に対応するため、説明を省略する。
【0152】
ここでは、図8および図9に記載のない図12のステップS51の処理について説明する。
【0153】
図12のステップS50において、算出した間隔が所定の閾値以上である場合(ステップS50の判定がYesの場合)、制御部100は、PC2でタイムアウトが発生してデータの送信が終了した可能性が高いものと考えて、ステップS51において、受信した画像データのジョブ情報に不完全データフラグを立てた後(ステップS51)、画像データ受信処理を終了させる。
【0154】
図13は、この発明の実施形態2のデジタル複合機1の印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【0155】
なお、図13のステップS61~S66およびS69~S70の処理はそれぞれ、図6のステップS21~S28の処理に対応するため、説明を省略する。
【0156】
ここでは、図6に記載のない図13のステップS67およびS68の処理について説明する。
【0157】
ステップS66において、スプール領域内のI番目の画像データを削除した後(ステップS66)、続くステップS67において、制御部100は、不完全データフラグが立てられたジョブか否かを判定する(ステップS67)。
【0158】
不完全データフラグが立てられたジョブである場合(ステップS67の判定がYesの場合)、制御部100は、ステップS68において、ユーザーにエラー通知を行う(ステップS68)。
【0159】
例えば、制御部100は、PC2に対してエラー通知を行う。
また、制御部100は、デジタル複合機1の表示部1071にエラーメッセージを通知するようにしてもよいし、また、画像形成部102にエラーメッセージを印刷させるようにしてもよい。
【0160】
その後、制御部100は、ステップS69の判定を行う(ステップS69)。
【0161】
一方、不完全データフラグが立てられたジョブでない場合(ステップS67の判定がNoの場合)、制御部100は、正常な印刷であるものと判断して、ステップS69の判定を行う(ステップS69)。
【0162】
次に、図14に基づき、この発明の実施形態2のデジタル複合機1の印刷処理について説明する。
【0163】
図14は、この発明の実施形態2のデジタル複合機1の印刷処理の一例を示す説明図である。
【0164】
図14の例では、図10の場合と同様に、デジタル複合機1で用紙切れ状態が発生しているものと仮定し、この状態でPC2からデジタル複合機1に対して一連の画像を連続して印刷すべき旨のジョブが送信された場合を想定する。
【0165】
図14の例において、PC2がデジタル複合機1に画像データを送信すると、デジタル複合機1の通信部105は、画像データの受信を開始する。
【0166】
しかしながら、デジタル複合機1は、用紙切れで停止中のため、PC2から画像データを受信しても印刷ジョブを完了することができない。
【0167】
そのため、デジタル複合機1は、受信した画像データを処理することができず、スプール領域内に画像データが溜まり続ける。
【0168】
ここで、図10と同様に、PC2がデジタル複合機1に「abc」「def」「ghi」「jkl」「mno」~のN個の印刷ジョブを1ジョブ目、2ジョブ目、~、Nジョブ目の画像データとして送信した場合を想定する。
【0169】
このとき、デジタル複合機1がNジョブ目の画像データを受信中にスプール領域の容量の空きがなくなってしまった場合、スプール領域の残りの部分にはNジョブ目の画像データが途中まで保存された状態となる。
【0170】
そこで、この発明の実施形態1と同様に、デジタル複合機1の制御部100は、各画像データの受信時刻および一連の画像データを受信が終了したときの受信終了時刻を記憶部103に記憶させ、当該受信終了時刻と最後に受信した画像データの受信時刻とを比較する。
【0171】
例えば、一定時刻(例えば5分間)以上間隔が開いてから、デジタル複合機1が画像データの受信を終了している場合、PC2でタイムアウトが発生してデータの送信が終了した可能性が高いものと考えられる。
【0172】
このとき、制御部100は、最後に受信したジョブNが、受信中のエラーによって途中でデータ切れした不完全な画像データであるものと判定する。
【0173】
その後、制御部100は、スプール領域内の印刷済みの画像データを削除するため、スプール領域内には不完全な画像データは残っていない。
【0174】
この発明の実施形態2において、ジョブNのジョブ情報に不完全データフラグ(ユーザ通知要)のセットのみを行い、処理を継続する。
【0175】
その後、デジタル複合機1の用紙が補充されて印刷処理のエラーが解除された場合、それまでスプール領域に溜まっていたジョブが順番に処理されて、スプール領域に空きができる。
【0176】
この場合、ジョブNの画像データも解析するが、その際、ジョブNのジョブ情報に不完全データフラグが立っているため、制御部100は、不完全な印刷結果になる可能性があると判断し、ジョブNの印刷後に以下のいずれかの処理を行う。
【0177】
(1)PC2に対して、例えば、「途中で通信が切れた可能性があるため、印刷結果を確認してください。」というメッセージを通知する
【0178】
(2)画像形成部102に注意通告ページ(ユーザーに通知したいメッセージを印刷したページ)を印刷させてユーザーに通知する。
【0179】
(3)表示部1071上にメッセージを表示してユーザーに知らせる。
【0180】
このようにして、一連の画像データの受信終了時刻と最後に受信した画像データの受信時刻とを比較した結果、画像データの受信中にエラーが発生した可能性があるものとして、印刷された画像について不完全な印刷結果になった可能性があることをユーザーに知らせるため、従来よりもユーザーの利便性の高い画像形成システム10を実現できる。
【0181】
〔実施形態3〕
次に、図15図20に基づき、この発明の実施形態3のデジタル複合機1の印刷処理の一例について説明する。
【0182】
図15および図16は、この発明の実施形態3のデジタル複合機1の画像データ送信処理の流れを示すフローチャートである。
【0183】
なお、図15のステップS71~S78および図16のステップS79~S81の処理はそれぞれ、図11のステップS41~S48および図12のステップS49~S51の処理に対応するため、説明を省略する。
【0184】
ここでは、図11および図12に記載のない図16のステップS82の処理について説明する。
【0185】
図16のステップS81において、受信した画像データのジョブ情報に不完全データフラグを立てた後(ステップS81)、続くステップS82において、制御部100は、画像データを印刷せずに保存すべく、ホールドオンリージョブとして記憶部103に記憶させる(ステップS82)。
【0186】
図17は、この発明の実施形態3のデジタル複合機1のホールド処理の流れを示すフローチャートである。
【0187】
なお、図17のステップS91~S94,S97,S99およびS100の処理はそれぞれ、図13のステップS61~S64,S67,S69およびS70の処理に対応するため、説明を省略する。
【0188】
ここでは、図13に記載のない図17のステップS95,S96およびS98の処理について説明する。
【0189】
図17のステップS93において、所定の印刷停止要因がない場合(ステップS93の判定がNoの場合)、または、ステップS94において印刷停止要因が解除されると(ステップS94)、制御部100は、ステップS95において、I番目の画像データの保存処理を実行する(ステップS95)。
【0190】
続いて、ステップS96において、制御部100は、スプール領域内のI番目の画像データを削除する(ステップS96)。
【0191】
次に、ステップS97において、不完全データフラグが立てられたジョブである場合(ステップS97の判定がYesの場合)、制御部100は、ステップS98において、ユーザーにエラー通知を行う(ステップS98)。
【0192】
例えば、制御部100は、PC2に対してエラー通知を行う。
また、制御部100は、表示部1071にエラーメッセージを通知するようにしてもよいし、また、画像形成部102にエラーメッセージを印刷させるようにしてもよい。
【0193】
図18は、この発明の実施形態3のデジタル複合機1のドキュメントファイリング表示処理の流れを示すフローチャートである。また、図19は、この発明の実施形態3のデジタル複合機1のドキュメントファイリング表示処理の一例を示す説明図である。また、図20は、この発明の実施形態3のデジタル複合機1の印刷処理の一例を示す説明図である。
【0194】
実施形態3では、印刷処理が終了した後、ユーザーが操作部1072でドキュメントファイリング画面を選択した場合を想定する。
【0195】
図18のステップS101において、制御部100は、ファイリングフォルダのデータ一覧を表示部1071に表示させる(ステップS101)。
【0196】
図19(A)の例では、ファイリングデータの一覧(「File1」「File2」および「File3」)が表示部1071に表示されている。
【0197】
次に、図18のステップS102において、制御部100は、ユーザーによって選択されたファイリングデータのプレビューを表示部1071に表示させる(ステップS102)。
【0198】
続いて、ステップS103において、制御部100は、ユーザーから印刷指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS103)。
【0199】
図19(B)の例では、「File1」のプレビュー画面が表示部1071に表示されており、ユーザーは「印刷」「削除」および「終了」のいずれかを選択することができる。
【0200】
ユーザーから印刷指示を受け付けていない場合(ステップS103の判定がNoの場合)、制御部100は、ステップS104において、画像データの削除を受け付けたか否かを判定する(ステップS104)。
【0201】
ステップS104において、画像データの削除を受け付けた場合(ステップS104の判定がYesの場合)、制御部100は、ステップS109において、記憶部103から当該ファイリングデータを削除する(ステップS109)。
【0202】
一方、画像データの削除を受け付けなかった(キャンセルした)場合(ステップS104の判定がNoの場合)、制御部100は、ドキュメントファイリング表示処理を終了する。
【0203】
また、ステップS103において、ユーザーから印刷指示を受け付けた場合(ステップS103の判定がYesの場合)、制御部100は、ステップS105において、当該画像データのジョブ情報を参照して、不完全データフラグが立てられたジョブであるか否かを判定する(ステップS105)。
【0204】
不完全データフラグが立てられたジョブであると判定した場合(ステップS105の判定がYesの場合)、制御部100は、ステップS106において、表示部1071に通信エラーが発生した可能性がある旨のエラーメッセージを表示させる(ステップS106)。
その後、制御部100は、ステップS107の判定を行う(ステップS107)。
【0205】
図19(C)の例では、「通信エラーが発生した可能性があります。プレビューを確認してから再印刷して下さい」というエラーメッセージおよび確認ボタン(OKボタン)が表示部1071に表示されている。
【0206】
一方、図18のステップS105において、不完全データフラグが立てられたジョブでないと判定した場合(ステップS105の判定がNoの場合)、制御部100は、ステップS108において、画像形成部102に印刷処理を実行させる(ステップS108)。
【0207】
次に、ステップS107において、制御部100は、ユーザーから印刷指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS107)。
【0208】
ユーザーから印刷指示を受け付けた場合(ステップS107の判定がYesの場合)、制御部100は、ステップS108において、画像形成部102に印刷処理を実行させる(ステップS108)。
【0209】
続いて、制御部100は、ステップS109において、記憶部103から当該ファイリングデータを削除した後(ステップS109)、ドキュメントファイリング表示処理を終了させる。
【0210】
一方、ステップS107において、ユーザーから印刷指示を受け付けていない場合(ステップS107の判定がNoの場合)、制御部100は、ステップS104において、画像データの削除を受け付けたか否かを判定する(ステップS104)。
【0211】
その結果、図20に示すように、一連の画像データの受信終了時刻と最後に受信した画像データの受信時刻とを比較した結果、所定の閾値以上の場合にジョブNの画像データを保存した後、エラー発生の可能性をユーザーに通知して確認させることが可能になる。
【0212】
このようにして、画像データの受信中のエラーによって、不完全な印刷結果になった可能性があることを外部機器のユーザーに知らせて、当該画像データを印刷せずにホールド画像データとして記憶部に保存することで無駄な印刷を減らすため、従来よりもユーザーの利便性の高い画像形成システム10を実現できる。
【0213】
この発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
【0214】
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0215】
1:デジタル複合機、 2:PC、 3:ネットワーク、 10:画像形成システム、 100,200:制御部、 101:画像データ取得部、 102:画像形成部、 103,201:記憶部、 104,202:画像処理部、 105,203:通信部、 106:タイマ、 107:タッチパネル、 108:給紙部、 109:データ解析部、 110:ジョブ管理部、 111:メモリ管理部、 204,1071:表示部、 205,1072:操作部、 1021:LSU、 I:カウンタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20