(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】装着式動作補助装置
(51)【国際特許分類】
A61H 3/00 20060101AFI20231027BHJP
A61H 1/02 20060101ALI20231027BHJP
B25J 11/00 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
A61H3/00 B
A61H1/02 K
B25J11/00 Z
(21)【出願番号】P 2020027617
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】506310865
【氏名又は名称】CYBERDYNE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 大雅
(72)【発明者】
【氏名】高間 正博
(72)【発明者】
【氏名】亘理 大樹
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-204426(JP,A)
【文献】特開2014-054273(JP,A)
【文献】国際公開第2018/092325(WO,A1)
【文献】特開2006-115971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/00
A61H 1/02
B25J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平形のアクチュエータの固定子側および回転子側がそれぞれ収納され、当該アクチュエータの駆動に応じて双方分かれて回転するように係合された第1および第2の筐体部を有し、当該第1および第2の筐体部からそれぞれ互いに反対方向に突出して同一構造の結合部が形成され、かつ、前記第1または第2の筐体部のいずれか一方に、前記アクチュエータの回転子の回転速度を所定の減速比に変換して出力する減速機の本体と、前記アクチュエータを駆動制御するアクチュエータドライバとが略同一平面状に収納され、当該減速機の本体に前記アクチュエータを挟ん
でタッチセンサを含む扁平形の操作部が固定されるとともに、前記第1または第2の筐体部のいずれか他方に、前記減速機の出力軸が固定されている駆動ユニットと、
前記駆動ユニットの前記各結合部にそれぞれ分離可能に結合される第1および第2のフレームユニットと、
前記第1または第2のフレームユニットに対して着脱自在に係合され、前記アクチュエータに電源供給するためのバッテリが搭載された電源ユニットと、
前記駆動ユニットに設けられ、前記アクチュエータを駆動制御するための制御部と、
前記アクチュエータに供給される駆動電流から前記第1および第2の筐体部間の回動動作に関する物理量を検出する物理量検出部と、
装着者の第1および第2の身体部位の間を連結する関節の動きに応じた生体信号を検出する生体信号検出部と、
タスクとして分類した前記装着者の動作パターンを構成する一連の最小動作単位であるフェーズの各々の基準パラメータを格納したデータ格納部と
を備え、前記駆動ユニットを前記装着者の関節の側方に配置するとともに、前記第1および第2のフレームユニットを前記装着者の第1および第2の身体部位にそれぞれ対応させて固定保持した状態において、
前記制御部は、前記生体信号検出部により検出された生体信号に基づいて、前記装着者の意思に従った動力を前記アクチュエータに発生させるように駆動制御しながら、前記データ格納部に格納された基準パラメータに基づいて、前記装着者のタスクおよびフェーズを推定し、当該フェーズに応じた動力を発生させるように、前記アクチュエータに対する前記駆動制御を調整するとともに、
前記物理量検出部により検出された物理量に基づいて、装置全体および前記装着者からなる系全体の制御対象の機械的インピーダンスを、当該装着者の粘弾性特性および当該系全体の制御対象の重力に合わせて補償する
ことを特徴とする装着式動作補助装置。
【請求項2】
前記物理量検出部は、
前記第1および第2の筐体部間の回動動作に関する物理量として、前記第1および第2の筐体部間の絶対角度、回動角度、角速度、角加速度および駆動トルクを検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の装着式動作補助装置。
【請求項3】
前記駆動ユニットの前記各結合部は、前記減速機の出力軸に対して垂直方向に沿った回動軸を有し、前記第1および第2のフレームユニットは、それぞれ対応する前記結合部の回動軸を中心として回動自在に結合されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の装着式動作補助装置。
【請求項4】
前記第1および第2のフレームユニットならびに前記電源ユニットは、それぞれ筐体の厚みが前記駆動ユニットを構成する前記第1および第2の筐体を係合させた厚みよりも薄く形成されている
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか
一項に記載の装着式動作補助装置。
【請求項5】
前記第1および第2のフレームユニットのいずれか一方または両方は、前記結合部との結合方向に沿って伸縮自在に調整可能である
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか
一項に記載の装着式動作補助装置。
【請求項6】
扁平形のアクチュエータの固定子側および回転子側がそれぞれ収納され、当該アクチュエータの駆動に応じて双方分かれて回転するように係合された第1および第2の筐体部を有し、当該第1および第2の筐体部からそれぞれ互いに反対方向に突出して
第1および第2の結合部が形成され、かつ、前記第1または第2の筐体部のいずれか一方に、前記アクチュエータの回転子の回転速度を所定の減速比に変換して出力する減速機の本体と、前記アクチュエータを駆動制御するアクチュエータドライバとが略同一平面状に収納され、当該減速機の本体に前記アクチュエータを挟ん
でタッチセンサを含む扁平形の操作部が固定されるとともに、前記第1または第2の筐体部のいずれか他方に、前記減速機の出力軸が固定されている駆動ユニットと、
前記駆動ユニットの前記第1の結合部に分離可能に結合されるフレームユニットと、
前記駆動ユニットの前記第2の結合部に結合され、前記アクチュエータに電源供給するためのバッテリが搭載された電源ユニットと、
前記駆動ユニットに設けられ、前記アクチュエータを駆動制御するための制御部と、
前記アクチュエータに供給される駆動電流から前記第1および第2の筐体部間の回動動作に関する物理量を検出する物理量検出部と、
装着者の第1および第2の身体部位の間を連結する関節の動きに応じた生体信号を検出する生体信号検出部と、
タスクとして分類した前記装着者の動作パターンを構成する一連の最小動作単位であるフェーズの各々の基準パラメータを格納したデータ格納部と
を備え、前記駆動ユニットを前記装着者の関節の側方に配置するとともに、前記
電源ユニットおよび前記フレームユニットを前記装着者の第1および第2の身体部位にそれぞれ対応させて固定保持した状態において、
前記制御部は、前記生体信号検出部により検出された生体信号に基づいて、前記装着者の意思に従った動力を前記アクチュエータに発生させるように駆動制御しながら、前記データ格納部に格納された基準パラメータに基づいて、前記装着者のタスクおよびフェーズを推定し、当該フェーズに応じた動力を発生させるように、前記アクチュエータに対する前記駆動制御を調整するとともに、
前記物理量検出部により検出された物理量に基づいて、装置全体および前記装着者からなる系全体の制御対象の機械的インピーダンスを、当該装着者の粘弾性特性および当該系全体の制御対象の重力に合わせて補償する
ことを特徴とする装着式動作補助装置。
【請求項7】
前記物理量検出部は、
前記第1および第2の筐体部間の回動動作に関する物理量として、前記第1および第2の筐体部間の絶対角度、回動角度、角速度、角加速度および駆動トルクを検出する
ことを特徴とする請求項6に記載の装着式動作補助装置。
【請求項8】
前記駆動ユニットの前記第1および第2の結合部は、前記減速機の出力軸に対して垂直方向に沿った回動軸を有し、前記フレームユニットおよび前記電源ユニットは、前記第1および第2の結合部の回動軸を中心としてそれぞれ回動自在に結合されている
ことを特徴とする請求項6または7に記載の装着式動作補助装置。
【請求項9】
前記フレームユニットおよび前記電源ユニットは、それぞれ筐体の厚みが前記駆動ユニットを構成する前記第1および第2の筐体を係合させた厚みよりも薄く形成されている
ことを特徴とする請求項6から8までのいずれか
一項に記載の装着式動作補助装置。
【請求項10】
前記フレームユニットは、前記結合部との結合方向に沿って伸縮自在に調整可能である
ことを特徴とする請求項6から9までのいずれか
一項に記載の装着式動作補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋力が失われた身体障害者や筋力が衰えた高齢者等の動作を補助ないし代行するための装着式動作補助装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
日本では総人口の減少傾向にもかかわらず、高齢化率が増加し続けるといった超高齢者社会を迎えており、高齢化に伴い要介護または要支援を受ける人々の数も高齢者数の増加を上回る勢いで年々増加している。
【0003】
高齢者は、加齢に伴い身体機能が低下し、歩行機能が衰えるため、転倒リスクが増加する。高齢者による転倒は、死に至らなくとも、転倒により生じる外傷、なかでも骨折は、身体機能に大きな影響を及ぼし、寝たきりや要介護状態につながる深刻な問題となる。
【0004】
従来から、運動による身体機能の維持・向上が転倒予防に有効とされており、歩行を含めたバランス訓練や筋力増強は、転倒予防効果のみならず、転倒から生じる骨折軽減効果も得られると報告されている。
【0005】
しかし、高齢者の歩行は、体幹・下肢の筋力や柔軟性の低下により、特徴的な歩容として、すり足、歩幅減少とそれに伴う歩行速度の低下、歩行姿勢の前傾等が現れやすく、わずかな段差等でも躓きやすくなる。そのため、高齢者の低下した身体機能を補助することで、正しい歩行姿勢を実現し、転倒リスクを低減することが重要であると考えられる。
【0006】
近年、筋力が失われた身体障害者や筋力が衰えた高齢者等の動作を補助あるいは代行するための種々のパワーアシスト装置が普及している。これらのパワーアシスト装置として、例えば、装着者の意図に応じた随意的な筋活動に伴う生体電位を基に、運動を制御および補助することが可能な装着式動作補助装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、高齢者の中には杖を使いたがらない方も存在するように、装着式動作補助装置を装着することに対する心理的抵抗感も大きい方も多数存在するものと思われる。このため、高齢者の身体的負担を軽減するために装置全体として軽量化を図る必要がある。
【0009】
また、高齢者が外出や日常生活を送るためには、椅子や乗り物に搭乗するケースも想定して、側部のみならず背部においても身体からの突出量を小さくすることが重要である。このため、装着式動作補助装置は、可能な限り小型化および薄型化して普段着に近い衣服型に設計することが望ましい。
【0010】
さらに、装着式動作補助装置は、装着者の歩行動作のみならず、上肢動作や腰部動作など身体の種々の関節部位に対応させて動作させることが非常に望ましい。
【0011】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、比較的軽量化および小型化かつ薄型化を図りつつ、装着者の身体における所望の関節部位に合わせて動作させることが可能な装着式動作補助装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を解決するため本発明においては、アクチュエータの固定子側および回転子側がそれぞれ収納され、当該アクチュエータの駆動に応じて双方分かれて回転するように係合された第1および第2の筐体部を有し、当該第1および第2の筐体部からそれぞれ互いに反対方向に突出して同一構造の結合部が形成された駆動ユニットと、駆動ユニットの各結合部にそれぞれ分離可能に結合される第1および第2のフレームユニットと、第1または第2のフレームユニットに対して着脱自在に係合され、アクチュエータに電源供給するためのバッテリが搭載された電源ユニットと、駆動ユニットに設けられ、アクチュエータを駆動制御するための制御部と、アクチュエータに供給される駆動電流から第1および第2の筐体部間の回動動作に関する物理量を検出する物理量検出部と、装着者の第1および第2の身体部位の間を連結する関節の動きに応じた生体信号を検出する生体信号検出部とを備え、駆動ユニットを装着者の関節の側方に配置するとともに、第1および第2のフレームユニットを装着者の第1および第2の身体部位にそれぞれ対応させて固定保持した状態において、制御部は、生体信号検出部により検出された生体信号に基づいて、装着者の意思に従った動力をアクチュエータに発生させるように駆動制御しながら、データ格納部に格納された基準パラメータに基づいて、装着者のタスクおよびフェーズを推定し、当該フェーズに応じた動力を発生させるように、アクチュエータに対する駆動制御を調整するとともに、物理量検出部により検出された物理量に基づいて、装置全体および装着者からなる系全体の制御対象の機械的インピーダンスを、当該装着者の粘弾性特性および当該系全体の制御対象の重力に合わせて補償するようにした。
【0013】
この結果、装着式動作補助装置では、衣服を着用した装着者の関節の側方に駆動ユニットを配置するとともに、装着者の第1および第2の身体部位に第1および第2のフレームユニットをそれぞれ対応させて固定保持した状態において、装着者に身体的負担や日常生活時の支障を与えることなく、装着者の関節の動きに応じたアクチュエータの駆動トルクを第1および第2の身体部位にアシスト力として伝達させることができる。
【0014】
また本発明においては、物理量検出部は、第1および第2の筐体部間の回動動作に関する物理量として、第1および第2の筐体部間の絶対角度、回動角度、角速度、角加速度および駆動トルクを検出するようにした。
【0015】
さらに本発明においては、駆動ユニットの第1および第2の結合部は、減速機の出力軸に対して垂直方向に沿った回動軸を有し、フレームユニットおよび通信ユニットは、第1および第2の結合部の回動軸を中心としてそれぞれ回動自在に結合されているようにした。
【0016】
この結果、装着式動作補助装置では、装着者の関節周りの第1および第2の身体部位の形状に合わせて、駆動ユニット、フレームユニットおよび通信ユニットを装着させることができる。
【0017】
さらに本発明においては、駆動ユニットは、扁平形のアクチュエータと、当該アクチュエータを駆動制御するアクチュエータドライバと、当該アクチュエータの回転子の回転速度を所定の減速比に変換して出力する減速機と、タッチセンサを含む扁平形の操作部とを有し、第1または第2の筐体部のいずれか一方に、減速機の本体およびアクチュエータドライバが略同一平面状に収納され、当該減速機の本体にアクチュエータを挟んで操作部が固定されるとともに、第1または第2の筐体部のいずれか他方に、減速機の出力軸が固定されているようにした。
【0018】
このように装着式動作補助装置では、駆動ユニットを可能な限り小型化および薄型化させることにより、装着者が衣服を着用した状態でも身体的負担を与えることなく装着させることが可能となる。
【0019】
さらに本発明においては、第1および第2のフレームユニットならびに電源ユニットは、それぞれ筐体の厚みが駆動ユニットを構成する第1および第2の筐体を係合させた厚みよりも薄く形成されているようにした。
【0020】
このように装着式動作補助装置では、駆動ユニットの厚みを基準として、フレームユニット、通信ユニットおよび電源ユニットを全て薄型化することにより、装着者が衣服を着用した状態でも身体的負担を与えることなく装着させることが可能となる。
【0021】
さらに本発明においては、第1および第2のフレームユニットのいずれか一方または両方は、結合部との結合方向に沿って伸縮自在に調整可能である。この結果、装着式動作補助装置では、装着者の身体部位に合わせた長さに調整することにより、装着者の身体における所望の関節部位に合わせて動作させることができる。
【0022】
さらに本発明においては、アクチュエータの固定子側および回転子側がそれぞれ収納され、当該アクチュエータの駆動に応じて双方分かれて回転するように係合された第1および第2の筐体部を有し、当該第1および第2の筐体部からそれぞれ互いに反対方向に突出して第1および第2の結合部が形成された駆動ユニットと、駆動ユニットの第1の結合部に分離可能に結合されるフレームユニットと、駆動ユニットの第2の結合部に結合され、アクチュエータに電源供給するためのバッテリが搭載された電源ユニットと、駆動ユニットに設けられ、アクチュエータを駆動制御するための制御部と、アクチュエータに供給される駆動電流から第1および第2の筐体部間の回動動作に関する物理量を検出する物理量検出部と、装着者の第1および第2の身体部位の間を連結する関節の動きに応じた生体信号を検出する生体信号検出部とを備え、駆動ユニットを装着者の関節の側方に配置するとともに、通信ユニットおよびフレームユニットを装着者の第1および第2の身体部位にそれぞれ対応させて固定保持した状態において、制御部は、生体信号検出部により検出された生体信号に基づいて、装着者の意思に従った動力をアクチュエータに発生させるように駆動制御しながら、物理量検出部により検出された物理量に基づいて、装置全体および装着者からなる系全体の制御対象の機械的インピーダンスを当該装着者の粘弾性特性に合わせて補償するように、アクチュエータに対する駆動制御を調整するようにした。
【0023】
この結果、装着式動作補助装置では、衣服を着用した装着者の関節の側方に駆動ユニットを配置するとともに、装着者の第1および第2の身体部位に通信ユニットおよびフレームユニットをそれぞれ対応させて固定保持した状態において、装着者に身体的負担や日常生活時の支障を与えることなく、装着者の関節の動きに応じたアクチュエータの駆動トルクを第1および第2の身体部位にアシスト力として伝達させることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明によれば、衣服を着た装着者に対する身体的負荷を極力低減させつつ、身体における所望の関節部位に合わせて動作させることが可能な装着式動作補助装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態による装着式動作補助装置の外観構成図である。
【
図2】
図1に示す第1および第2のフレームユニットを表す外観構成図である。
【
図3】
図1に示す装着式動作補助装置の駆動ユニットの構成を示す分解図である。
【
図4】一体化された通信ユニットおよび電源ユニットを表す外観構成図である。
【
図5】
図4に示す通信ユニットおよび電源ユニットの内部構造を示す透過図である。
【
図6】装着式動作補助装置の内部システム構成を示すブロック図である。
【
図7】第2実施形態による装着式動作補助装置の外観構成図である。
【
図8】
図7に示す装着式動作補助装置の駆動ユニットの構成を示す分解図である。
【
図9】
図8に示す駆動ユニットの結合部の内部構造を示す透過図である。
【
図10】第2実施形態による装着式動作補助装置の外観デザインの変形例を示す外観構成図である。
【
図11】
図7に示す装着式動作補助装置と吊りベルト式のコルセットとの組合せを表す略線図である。
【
図12】
図7の組合せによる装置を装着者が装着した状態を表す略線図である。
【
図13】第2実施形態による装着式動作補助装置の外観デザインの変形例を示す外観構成図である。
【
図14】
図13に示す装着式動作補助装置と吊りベルト式のコルセットとの組合せを表す略線図である。
【
図15】
図13の組合せによる装置を装着者が装着した状態を表す略線図である。
【
図16】第2実施形態による装着式動作補助装置のフレームユニット(腰ベルト)の変形例を示す外観構成図である。
【
図17】
図16のフレームユニットを含む装置を装着者が装着した状態を表す略線図である。
【
図18】
図13に示す装着式動作補助装置を装着者が足首に装着した状態を表す略線図である。
【
図19】
図7に示す装着式動作補助装置を装着者が上腕に装着した状態を表す略線図である。
【
図20】
図1および
図7に示す装着式動作補助装置と吊りベルト式のコルセットとの組合せを表す略線図である。
【
図21】
図20の組合せによる装置を装着者が装着した状態を表す略線図である。
【
図22】一体化された通信ユニットおよび電源ユニットの追加状態を表す外観構成図である。
【
図23】他実施形態による装着式動作補助装置の上半身型フレームユニットを示す外観構成図である。
【
図24】第1および第2実施形態による装着式動作補助装置の組合せを表す分解構成図である。
【
図25】
図24に示す組合せによる装置を装着者が装着した状態を表す略線図である。
【
図26】第1および第2実施形態による装着式動作補助装置の組合せの応用例を表す略線図である。
【
図27】第1および第2実施形態による装着式動作補助装置の組合せの応用例を表す略線図である。
【
図28】第1および第2実施形態による装着式動作補助装置の組合せの応用例を表す略線図である。
【
図29】他実施形態による装着式動作補助装置の上半身型フレームユニットの変形例を示す外観構成図である。
【
図30】装着者の身体サイズが非常に小さい場合における複数の装着式動作補助装置の組合せの応用例を表す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面について、本発明の一実施例を詳細する。
【0027】
(1)第1実施の形態による装着式動作補助装置の構成
図1(A)及び(B)は第1実施形態による装着式動作補助装置1を示す。装着式動作補助装置1において、駆動ユニット2は、アクチュエータ10(
図3)の固定子側および回転子側がそれぞれ収納され、当該アクチュエータ10の駆動に応じて双方分かれて回転するように係合された第1および第2の筐体部2A、2Bを有し、当該第1および第2の筐体部2A、2Bからそれぞれ互いに反対方向に突出して同一構造の結合部が形成されている。
【0028】
この駆動ユニット2の各結合部3には、第1および第2のフレームユニット5、6がそれぞれ分離可能に結合されている(
図2(B))。この第1および第2のフレームユニット5、6は、
図2(A)および(B)に示すように、それぞれ対応する結合部3との結合方向に沿って伸縮自在に調整可能である。この結果、装着式動作補助装置1では、装着者の身体部位に合わせた長さに調整することにより、装着者の身体における所望の関節部位に合わせて動作させることができる。
【0029】
さらに第1および第2のフレームユニット5、6は、それぞれ一端および他端に所定構造のコネクタCTが設けられ、当該コネクタCT同士がフレーム内部を介して可撓自在なエクステンダーケーブルECによって電気的に接続されている。
【0030】
駆動ユニット2は、
図3に示すように、例えばブラシレスDCモータからなる扁平形のアクチュエータ10と、当該アクチュエータ10を駆動制御するアクチュエータ制御部11と、当該アクチュエータ10の回転子の回転速度を所定の減速比に変換して出力する減速機12と、タッチセンサ13を含む扁平形の操作部14とを有する。
【0031】
アクチュエータ制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等が搭載されたMCM(Multi-Chip Module)が内蔵されている。
【0032】
操作部14は、筐体表面を構成するタッチパネル14Aと筐体中央の電源ボタン14Bとからなり、装着者の指先接触によるタッチパネル14Aへの操作内容がタッチセンサ13の検出結果としてアクチュエータ制御部11に反映されるとともに、電源ボタン14Bの押下に応じて電源のオンまたはオフが実行される。
【0033】
駆動ユニット2は、第1または第2の筐体部2A、2Bのいずれか一方に、減速機12の本体およびアクチュエータ制御部11が略同一平面状に収納され、当該減速機12の本体にアクチュエータ10を挟んで操作部14が固定されるとともに、第1または第2の筐体部2A、2Bのいずれか他方に、減速機12の出力軸が固定されている。
【0034】
このように駆動ユニット2を可能な限り小型化および薄型化させることにより、装着者が衣服を着用した状態でも身体的負担を与えることなく装着させることが可能となる。
【0035】
駆動ユニット2の各結合部3は、減速機12の出力軸に対して垂直方向に沿った回動軸RSを有し、第1および第2のフレームユニット5、6は、それぞれ対応する結合部3の回動軸RSを中心としてそれぞれ回動自在に結合されている。
【0036】
また駆動ユニット2の各結合部3には、所定構造のコネクタ(図示せず)が内蔵されており、第1および第2のフレームユニット5、6の結合時に対応するコネクタCT同士が嵌合されて電気的接続されるようになされている。
【0037】
これにより装着式動作補助装置1では、装着者の関節周りの第1および第2の身体部位の形状に合わせて、駆動ユニット2ならびに第1および第2のフレームユニット5、6を装着させることができる。
【0038】
図4(A)および(B)に示すように、装着式動作補助装置1には、通信ユニット20と電源ユニット21とが一体化して第1および第2のフレームユニット5、6に対して着脱自在に係合し得るようになされている。
【0039】
具体的には
図5(A)~(C)に示すように、通信ユニット20は、所定形状のハウジングを有し、Bluetooth(登録商標)やRF-IDなどの近距離無線通信方式によって接続されてデータを送受信するための通信機能が搭載されている。このハウジングの側面に第1または第2のフレームユニット5、6を固定保持するための固定保持部20Aが突出形成されるとともに、当該ハウジングの上端部に電源ユニット21と着脱自在かつ一体化し得るような嵌合口が形成されている。
【0040】
電源ユニット21と一体化した通信ユニット20は、第1または第2のフレームユニット5、6の係合時に近傍の駆動ユニット2に対して給電を行い得るように有線接続されている。なお電源ユニット21には、リチウムイオン二次電池からなるバッテリBTおよびバッテリドライバBDが内蔵され、通信ユニット20との係合時に電気的接続されるようなコネクタ構造を有する。
【0041】
さらに装着式動作補助装置1では、装着者の第1および第2の身体部位の間を連結する関節の動きに応じた生体信号を検出するための非接触型BESセンサからなる生体信号検出センサ41(
図6)を有する。
【0042】
このように装着式動作補助装置1では、衣服を着用した装着者の関節の側方に駆動ユニット2を配置するとともに、装着者の第1および第2の身体部位に第1および第2のフレームユニット5、6をそれぞれ対応させて固定保持した状態において、アクチュエータ制御部11は、生体信号検出センサ41により検出された検出信号に基づいて駆動ユニット2のアクチュエータ10を駆動制御することにより、装着者に身体的負担や日常生活時の支障を与えることなく、装着者の関節の動きに応じたアクチュエータ10の駆動トルクを第1および第2の身体部位にアシスト力として伝達させることができる。
【0043】
(2)第1実施形態による装着式動作補助装置の制御システム構成
図6は装着式動作補助装置1の内部システム構成を示すブロック図である。
図6に示されるように、駆動ユニット2のアクチュエータ制御部11は、随意的制御部30、自律的制御部31、フェーズ特定部32およびゲイン制御部33から構成されると統括制御部34と、電源ユニット21に対する電力制御用の電力制御部35と、アクチュエータ10に対する駆動制御用のアクチュエータドライバ36と、指令信号データベース37および基準パラメータデータベース38から構成されるデータ格納部39とを有する。
【0044】
この装着式動作装置1では、装着者に対してアシスト力を付与する駆動ユニット2において、アクチュエータドライバ36には、装着者の関節の回動に伴う第1および第2の筐体部10A、10Bの回動角度を検出する角度センサからなる動作・姿勢センサ40が設けられている。また装着者の生体電位等を含む信号(生体信号)を検出する生体信号検出センサ41(
図1では図示せず)も設けられている。
【0045】
統括制御部34において、随意的制御部30は、生体信号検出センサ41により検出された検出信号(生体信号)に応じた指令信号(随意制御の制御信号)を電力増幅部29に供給する。随意的制御部30は、生体信号検出センサ41に所定の指令関数f(t)またはゲインPを適用して指令信号を生成する。このゲインPは予め設定された値又は関数でも良く、操作部14の操作内容に応じてゲイン制御部33を介して調整することができる。
【0046】
また、駆動ユニット2は、アクチュエータ制御部11に設けられた動作・姿勢センサ40により検出された角度データに基づいて、アクチュエータ10の駆動トルク(トルクの大きさ及び回動角度)を制御する方法を選択することも可能である。
【0047】
この動作・姿勢センサ40によって検出された関節角度(θ)によって検出された角度データは、基準パラメータデータベース38に入力される。フェーズ特定部32では、動作・姿勢センサ40により検出された関節の回動角度を基準パラメータデータベース38に格納された基準パラメータの関節角度と荷重と比較することにより、装着者の動作のフェーズを特定する。
【0048】
そして、自律的制御部31では、フェーズ特定部32により特定されたフェーズの制御データを得ると、このフェーズの制御データに応じた指令信号(自律制御の制御信号)を生成し、この動力を駆動ユニット2のアクチュエータ10に発生させるための指令信号を電力増幅部29に供給する。
【0049】
また、自律的制御部31は、前述したゲイン制御部32により調整されたゲインが入力されており、このゲインに応じた指令信号を生成し、電力制御部35に出力する。電力制御部35は、駆動ユニット2のアクチュエータ10を駆動する電流を制御して駆動トルクの大きさおよび回動角度を制御して当該装着者の第1および第2の身体部位の間を連結する関節に駆動ユニット2のアクチュエータ10による駆動力をアシスト力として付与する。
【0050】
このように、装着式動作補助装置1は、装着者の関節を基準に貼り付けられた生体信号検出センサ41によって検出された検出信号に基づいて、駆動ユニット2を制御する制御信号が電力制御部35によって増幅されてアクチュエータ10に供給され、装着者の関節にアクチュエータ10の駆動力がアシスト力として伝達される。
【0051】
また装着式動作補助装置1において、駆動ユニット2のアクチュエータ制御部11は、データ格納部39に格納された基準パラメータに基づいて、装着者のタスクおよびフェーズを推定し、当該フェーズに応じた動力を発生させるように、アクチュエータ10に対する駆動制御を調整するとともに、動作・姿勢センサ40による絶対角度、回動角度、角速度および角加速度とアクチュエータドライバ36から得られる駆動トルクとに基づいて、装置全体および装着者からなる系全体の制御対象の機械的インピーダンス(慣性、粘性、剛性)を、当該装着者の粘弾性特性および当該系全体の制御対象の重力に合わせて補償するようにしてもよい。
【0052】
なお、上述した系全体の制御対象の機械的インピーダンスについて、装着者の粘弾性特性に合わせた補償方法については、本願発明者による公開特許(特再公表2018ー92325号)に詳述されており、当該系全体の制御対象の重力に合わせた補償方法については、本願発明者による登録特許(特許第4178187号)に詳述されている。
【0053】
(3)第2実施形態による装着式動作補助装置の構成
図7(A)及び(B)は第2実施形態による装着式動作補助装置50を示し、アクチュエータ10(
図2)が搭載された駆動ユニット51と、当該駆動ユニット51に対して可動自在に結合された通信ユニット52と、当該通信ユニット52に対して着脱自在かつ一体化して取り付けられ、アクチュエータ10に電源供給するためのバッテリが搭載された電源ユニット53とを有する。
【0054】
この装着式動作補助装置50は、上述した第1実施形態による装着式動作補助装置1(
図1)とは、駆動ユニット51を構成する第1および第2の筐体部51A、51Bおよび結合部54の形状および構造が異なることを除いて、ほぼ同一構成からなる。
【0055】
この駆動ユニット51は、アクチュエータ10の固定子側および回転子側がそれぞれ収納され、当該アクチュエータ10の駆動に応じて双方分かれて回転するように係合された第1および第2の筐体部51A、51Bと、当該第1および第2の筐体部51A、51Bからそれぞれ互いに反対方向に突出して形成された第1および第2の結合部54A、54Bとを有する。
【0056】
さらに具体的に
図3との対応部分に同一符号を付した
図8に示すように、駆動ユニット51は、例えばブラシレスDCモータからなる扁平形のアクチュエータ10と、当該アクチュエータ10を駆動制御するアクチュエータ制御部11と、当該アクチュエータ10の回転子の回転速度を所定の減速比に変換して出力する減速機12と、タッチセンサ13を含む扁平形の操作部14とを有する。
【0057】
駆動ユニット51は、第1または第2の筐体部51A、51Bのいずれか一方に、減速機12の本体およびアクチュエータ制御部11が略同一平面状に収納され、当該減速機12の本体にアクチュエータ10を挟んで操作部14が固定されるとともに、第1または第2の筐体部51A、51Bのいずれか他方に、減速機12の出力軸が固定されている。
【0058】
このように装着式動作補助装置50では、駆動ユニット51を可能な限り小型化および薄型化させることにより、装着者が衣服を着用した状態でも身体的負担を与えることなく装着させることが可能となる。
【0059】
図9に示すように、駆動ユニット51の第1および第2の結合部54A、54Bは、減速機12の出力軸に対して垂直方向に沿った回動軸RSを有し、第1および第2の筐体部51A、51Bの端部に対してそれぞれ回動自在に結合されている。
【0060】
また駆動ユニット51の第1および第2の結合部54A、54Bには、所定構造のコネクタCTが内蔵されており、フレームユニット(図示せず)および通信ユニット52の結合時に対応するコネクタCT同士が嵌合されて電気的接続されるようになされている。
【0061】
これにより装着式動作補助装置50では、装着者の関節周りの第1および第2の身体部位の形状に合わせて、駆動ユニット51、フレームユニット(図示せず)および通信ユニット52を装着させることができる。
【0062】
図7において、装着式動作補助装置50は、駆動ユニット51の第1の結合部54Aにフレームユニット(
図7では図示せず)が分離可能に結合されるとともに、駆動ユニット51の第2の結合部54Bに通信ユニット52(一体化された電源ユニット53を含む)が結合されている。
【0063】
これらフレームユニット(図示せず)、通信ユニット52および電源ユニット53は、それぞれ筐体の厚みが駆動ユニット51を構成する第1および第2の筐体51A、51Bを係合させた厚みよりも薄く形成されている。このように装着式動作補助装置50では、駆動ユニット51の厚みを基準として、フレームユニット(図示せず)、通信ユニット52および電源ユニット53を全て薄型化することにより、装着者が衣服を着用した状態でも身体的負担を与えることなく装着させることが可能となる。
【0064】
さらに装着式動作補助装置50では、上述した第1実施の形態と同様に、装着者の第1および第2の身体部位の間を連結する関節の動きに応じた生体信号を検出する生体信号検出センサ41(図示せず)を有する。
【0065】
この装着式動作補助装置50では、駆動ユニット51を装着者の関節の側方に配置するとともに、通信ユニット52およびフレームユニット(図示せず)を装着者の第1および第2の身体部位にそれぞれ対応させて固定保持した状態において、アクチュエータ制御部11は、生体信号検出センサ41により検出された検出信号に基づいて駆動ユニット51のアクチュエータ10を駆動制御する。
【0066】
この結果、装着式動作補助装置50では、衣服を着用した装着者に身体的負担や日常生活時の支障を与えることなく、装着者の関節の動きに応じたアクチュエータ10の駆動トルクを第1および第2の身体部位にアシスト力として伝達させることができる。
【0067】
(4)第2実施の形態による装着式動作補助装置の変形例
図10(A)および(B)に、上述した装着式動作補助装置50の外観デザインの変形例を表す装着式動作補助装置60を示す。
図7(A)および(B)に示す装着式動作補助装置50とは、駆動ユニット61の筐体構成の一部と、通信ユニット62および電源ユニット63の筐体構成とが異なることを除いて内部構造は同一に構成されている。
【0068】
この装着式動作補助装置60は、
図11(A)~(E)に示すような、装着者の腰部をサポートするための吊りベルト式のコルセット65に対して着脱自在に取り付けることにより、装着者の両方の股関節の動作をサポートし得るようになされている。
【0069】
すなわち
図11(A)~(E)および
図12(A)~(E)に示すように、一対の装着式動作補助装置60における通信ユニット62および電源ユニット63に、コルセット65の両側下部にそれぞれ固定して装着するとともに、各フレームユニット66に固着したカフ(図示せず)を両大腿部に当接させる。装置全体として両肩に接触する吊りベルトにより支持されるとともに、一対の駆動ユニット61を股関節の両側にそれぞれ位置合わせされる。
【0070】
このように装着者は装着式動作補助装置60を組み込んだコルセット65を装着することにより、装着者が屈んだ状態(中腰姿勢)から立ち上がる際に、腰部に対する大腿部の動きを補助するようにアシスト力を発生することができる。さらに中腰姿勢から立ち上がる動作以外にも、装着者の動作は、例えば、中腰姿勢から重量物を持ち上げる動作、移乗介助時の動作等も行い得る。
【0071】
さらに別デザインとして、
図7(A)および(B)との対応部分に同一符号を付した
図13(A)および(B)に装着式動作補助装置70を示す。この装着式動作補助装置70は、通信ユニット71および電源ユニット72が比較的スリム型の筐体であることを除いて、上述の装着式動作補助装置50と同一構成からなる。この装着式動作補助装置70を組み込んだコルセット65の装着状態を
図14(A)~(E)および
図15(A)~(E)に示す。
【0072】
この装着式動作補助装置70は、上述の装着式動作補助装置50と異なり、フレームユニット66をコルセット65の両側下部にそれぞれ固定して装着するとともに、一体化された通信ユニット71および電源ユニット72に固着したカフ(図示せず)を両大腿部に当接させるようになされている。
【0073】
さらに別タイプの装着方法として、
図16に示すような、両側に一対の固定保持部81A、81Bが形成された腰ベルト81をフレームユニット80として、一対の装着式動作補助装置70(50、60)を組み合わせることにより、装着者の両方の股関節の動作をサポートすることも可能である。
【0074】
すなわち、フレームユニット80のうち腰ベルト81に形成された一対の固定保持部81A、81Bに、それぞれ装着式動作補助装置70の駆動ユニット71の結合部を結合させるとともに、通信ユニット71および電源ユニット72に固着したカフ(図示せず)を両大腿部に当接させて、一対の駆動ユニット71を股関節の両側にそれぞれ位置合わせする。この装着状態を
図17(A)~(E)に示す。
【0075】
さらに別タイプの装着方法として、
図18(A)~(E)に示すように、踵の外側に固定保持部(図示せず)が形成された靴85を用いて、装着者の足首関節の動作をサポートすることも可能である。すなわち、左右の靴85に形成された固定保持部に、それぞれ装着式動作補助装置70の駆動ユニット71の結合部を結合させるとともに、通信ユニット71および電源ユニット72に固着したカフ(図示せず)を足首部に当接させて、一対の駆動ユニット71を足首関節の両側にそれぞれ位置合わせする。
【0076】
さらに別タイプの装着方法として、
図19(A)~(D)に示すように、肘の外側に
図7に示す装着式動作補助装置50の駆動ユニット51を合わせた状態で、フレームユニット86に固着したカフ87を手首に巻き付けて保持させるとともに、一体化された通信ユニット52および電源ユニット53に固着されたカフ(図示せず)を上腕に巻き付けて保持させることにより、装着者の肘関節の動作をサポートすることも可能である。
【0077】
(5)第1および第2実施形態による装着式動作補助装置の応用例
上述した第1および第2実施形態による装着式動作補助装置1、50、60、70を組み合わせて、装着者の身体における所望の関節部位に合わせて動作させることが可能となる。
【0078】
例えば
図11(A)~(E)との対応部分に同一符号を付した
図20(A)~(E)に示すように、上述した吊りベルト式のコルセット65を着脱自在に取り付けた一対の装着式動作補助装置70に対してさらに装着式動作補助装置1を所望数追加して組み合わせるようにしてもよい。
【0079】
実際に第1および第2の装着式動作補助装置1、50(
図1および
図7)を組み合わせて、装着者に対して装着した状態を
図21(A)~(E)に示す。これにより装着者は、両方の股関節と、両方の膝関節と、両方の足首関節との動作をそれぞれサポートすることが可能となる。
【0080】
また第1実施形態の装着式動作補助装置60における一体化された通信ユニット20および電源ユニット21は、必要に応じて追加して付加することが可能である。例えば、
図22(A)~(C)に示すように、一体化された通信ユニット20および電源ユニット21は非接触による通信および給電が可能であることから、コルセット65における所望位置(特に装着者の動作時に邪魔にならない箇所である腰背部の両側等)に取り付けることが可能となる。これによりバッテリ容量を実質的に増大させることができ、動作時間を延長させることができる。
【0081】
例えば
図23に示すような上半身型フレームユニット90を上述したフレームユニット80(
図16)に代えて適用することにより、装着者の上肢および腰における関節部位に対するアシスト動作を行うとともに、腰を基準として下肢における関節部位に対するアシスト動作も行うことが可能となる。
【0082】
この上半身型フレームユニット90は、装着者の腰を背面から装着される腰支持体91と、当該腰支持体91の右側端および左側端を支持するように結合された一対の固定保持部92A、92Bと、腰支持体91の中央部を挟んで両側から上方に延びるように装着者の背中を支持するための略二等辺三角形状のフレーム構造からなる背部支持体93とが一体となって形成されている。この背部支持体93の上端には水平方向に沿って結合部93Xが形成され、駆動ユニット2の結合部3と着脱自在に結合し得るようになされている。
【0083】
この上半身型フレームユニット90を含む複数の装着式動作補助装置1を組み合わせて、装着者の腰部および下肢の関節の動作をサポートすることが可能となる。例えば、
図24および
図25(A)~(C)に示すように、上半身型フレームユニット90の一対の固定保持部92A、92Bにそれぞれ装着式動作補助装置1の駆動ユニット2の一方の結合部3を股関節の動作サポート用に連結するとともに、当該駆動ユニット2の他方の結合部3にフレームユニット5(6)を介して別の装着式動作補助装置1の駆動ユニット2の一方の結合部3を膝関節の動作サポート用に連結する。
【0084】
さらに当該装着式動作補助装置1の駆動ユニット2の他方の結合部3にフレームユニット5(6)を介して別の装着式動作補助装置1の駆動ユニット2の一方の結合部3を足首関節の動作サポート用に連結する。この装着式動作補助装置1の駆動ユニット2の他方の結合部3に、上述の靴85における踝の外側に形成された固定保持部を連結する。
【0085】
その際、股関節の動作サポート用の駆動ユニット2と膝関節の動作サポート用の駆動ユニット2とを連結するフレームユニット5(6)と、膝関節の動作サポート用の駆動ユニット2と足首関節の動作サポート用の駆動ユニット2とを連結するフレームユニット5(6)とは、それぞれ装着者の股関節および膝関節間の長さと膝関節および足首関節間の長さとを調節することが可能である。
【0086】
また一体化された通信ユニット20および電源ユニット21は、股関節の動作サポート用の駆動ユニット2と膝関節の動作サポート用の駆動ユニット2とを連結するフレームユニット5(6)に着脱自在に取り付けることが可能である。さらに駆動ユニット2に対する供給電力を向上させたい場合など必要に応じて、一体化された通信ユニット20および電源ユニット21を所望のフレームユニット5(6)に取り付けるようにしてもよい。
【0087】
なお図示しないが、装着者の股関節、膝関節および足首関節の動作をそれぞれサポートする際に、フレームユニット5(6)の必要部位に固着したカフ(図示せず)を身体部位に当接させるようにしてもよい。
【0088】
この上半身型フレームユニット90を含む複数の装着式動作補助装置1を組み合わせた他の実施形態として、
図26(A)~(D)に示すように、装着者の上半身における肩関節および肘関節の動作をサポートすることが可能となる。
【0089】
すなわち、上半身型フレームユニット90における背部支持体93の上端部の結合部93Xに、装着式動作補助装置1の駆動ユニット2の一方の結合部3を肩関節の前額面方向に沿う動作サポート用に連結させるとともに、当該駆動ユニット2の他方の結合部3にフレームユニット5(6)を介して装着式動作補助装置1の駆動ユニット2の一方の結合部3を肩関節の矢状面方向に沿う動作サポート用に連結させる。
【0090】
さらに当該装着式動作補助装置1の駆動ユニット2の他方の結合部3にフレームユニット5(6)を介して装着式動作補助装置1の駆動ユニット2の一方の結合部3を肘関節の動作サポート用に連結させる。この装着式動作補助装置1の駆動ユニット2の他方の結合部3に、手首に巻き付けるためのカフが固着されたフレームユニット5(6)を連結する。
【0091】
その際、肩関節の前額面方向に沿う動作サポート用の駆動ユニット2と肩関節の矢状面方向に沿う動作サポート用の駆動ユニット2とを連結するフレームユニット5(6)と、肩関節の矢状面方向に沿う動作サポート用の駆動ユニット2と肘関節の動作サポート用の駆動ユニット2とを連結するフレームユニット5(6)とは、それぞれ装着者の肩幅の長さと肩関節および肘関節間の長さと肘関節および手首間の長さとを調節することが可能である。
【0092】
また一体化された通信ユニット20および電源ユニット21は、肩関節の矢状面方向に沿う動作サポート用の駆動ユニット2と肘関節の動作サポート用の駆動ユニット2とを連結するフレームユニット5(6)に着脱自在に取り付けることが可能である。
【0093】
さらに
図27(A)~(C)ならびに
図28(A)および(B)に示すように、上半身型フレームユニット90を含む複数の装着式動作補助装置1を組み合わせた他の実施形態として、装着者の上肢および下肢における各種関節の動作をサポートすることが可能となる。
【0094】
すなわち上述した
図25(A)~(C)に示す下半身(下肢)用の複数の装着式動作補助装置1の組合せと、上述した
図26(A)~(D)に示す上半身(上肢)用の複数の装着式動作補助装置1の組合せとをさらに融合させることにより、装着者の上肢および下肢における各種関節の動作をサポートすることができる。この融合した組合せでは、上半身型フレームユニット90を用いた装着者の腰部を基準として装置全体を支持するようになされている。
【0095】
(6)その他の実施の形態
なお上述の第1および第2の実施の形態においては、上半身型フレームユニット90として、
図23に示す形状および構造のものを適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、装着者の身体における所望の関節部位に合わせた複数の装着式動作補助装置1、50、60、70の組合せ内容に応じて種々の形状および構造のものを適用するようにしてもよい。
【0096】
例えば
図29に示すような上半身型フレームユニット100は、上述した
図23に示す上半身型フレームユニット90に加えて所定形状の通信ユニット101および電源ユニット102(図ではバッテリの記載なし)を一体化して構成されている。
【0097】
すなわち
図29に示す上半身型フレームユニット100は、装着者の腰を背面から装着される腰支持体105と、当該腰支持体105の右側端および左側端を支持するように結合された一対の固定保持部106A、106Bと、腰支持体105の中央部を上側に設けられた電源ユニット102と、当該電源ユニット102の上側に設けられた通信ユニット101と、当該通信ユニット101の内側から上方に延びるように装着者の背中を支持するための背部支持枠107とが一体となって形成されている。
【0098】
この上半身型フレームユニット100は、例えば、装着者が幼児や児童のように身体サイズが非常に小さい場合に非常に有効である。
図30(A)~(F)に示すように、装着者の身体サイズが非常に小さい場合(
図30(A)および(D))、複数の装着式動作補助装置1の組合せにおいて、駆動ユニット2に連結されるフレームユニット5(6)の長さが大人用に比べて非常に短くしなければ適用できない。
【0099】
フレームユニット5(6)の長さが十分確保できない場合、そのフレームユニット5(6)に一体化された通信ユニットおよび電源ユニットを直接取り付けることができないことから、上半身型フレームユニット100を適用することにより、身体サイズの小さい装着者であっても実用上十分に所望の関節部位に合わせて動作させることが可能となる。
【符号の説明】
【0100】
1、50、60、70…装着式動作補助装置、2、51、61…駆動ユニット、5…第1のフレームユニット、6…第2のフレームユニット、20、52、62、71…通信ユニット、21、53、63、72…電源ユニット、10…アクチュエータ、11…アクチュエータ制御部、12…減速機、13…タッチセンサ、14…操作部、30…随意的制御部、31…自律的制御部、32…フェーズ特定部、33…ゲイン制御部、34…統括制御部、35…電力制御部、36…アクチュエータドライバ、37…指令信号データベース、38…基準パラメータデータベース、39…データ格納部、40…動作・姿勢センサ、41…生体信号検出センサ、65…コルセット、66、80、86…フレームユニット、90、100…上半身型フレームユニット。