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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】樹脂サッシ
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20231027BHJP
   E06B 3/22 20060101ALI20231027BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B3/22
E06B3/46
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020091763
(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公開番号】P2021188283
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】米道 貴広
(72)【発明者】
【氏名】大西 久夫
(72)【発明者】
【氏名】草開 常徳
(72)【発明者】
【氏名】穴井 伊知郎
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-60070(JP,A)
【文献】特開2019-65486(JP,A)
【文献】特開2015-48598(JP,A)
【文献】特開2013-133686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/04-3/30
E06B 3/42-3/46
E06B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の枠体と、樹脂製の内、外障子と、複数のクレセントとを備え、
内、外障子は召合框を有し、
内、外障子の召合框は、中空部を有し、中空部内には補強部材が配置されているとともに、召合框間には、複数の開き防止部材が設けられており、
クレセントは、内障子の召合框に設けられるクレセント錠と、外障子の召合框に設けられるクレセント受をそれぞれ有し、
開き防止部材は、内障子の召合框に設けられる内側部材と、外障子の召合框に設けられ、障子の閉鎖時に内側部材を係合する外側部材をそれぞれ有し、
クレセントと開き防止部材は隣接した位置に配置されているとともに、開き防止部材はクレセントと離間した位置にも配置されており、
開き防止部材の内側部材及び外側部材は、それぞれ召合框の中空部内に配置された補強部材に固定されており、
クレセントのクレセント錠及びクレセント受は、それぞれ召合框の中空部内に配置された補強部材に固定されている樹脂サッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に配置される樹脂サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂製の枠材と樹脂製の框材を有し、建物開口部に配置される樹脂サッシが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-108909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上記文献1に記載されているような樹脂サッシにおいても、防火性が求められている。
【0005】
本発明は、建物開口部に配置される樹脂サッシにおいて、防火性能をさらに高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、樹脂製の枠体と、樹脂製の内、外障子と、複数のクレセントとを備え、内、外障子は召合框を有し、内、外障子の召合框は、中空部を有し、中空部内には補強部材が配置されているとともに、召合框間には、複数の開き防止部材が設けられており、クレセントは、内障子の召合框に設けられるクレセント錠と、外障子の召合框に設けられるクレセント受をそれぞれ有し、開き防止部材は、内障子の召合框に設けられる内側部材と、外障子の召合框に設けられ、障子の閉鎖時に内側部材を係合する外側部材をそれぞれ有し、クレセントと開き防止部材は隣接した位置に配置されているとともに、開き防止部材はクレセントと離間した位置にも配置されており、開き防止部材の内側部材及び外側部材は、それぞれ召合框の中空部内に配置された補強部材に固定されており、クレセントのクレセント錠及びクレセント受は、それぞれ召合框の中空部内に配置された補強部材に固定されている樹脂サッシである。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、建物開口部に配置される樹脂サッシにおいて、防火性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の樹脂サッシの内観図である。
図2】一実施形態の樹脂サッシの竪断面図である。
図3】一実施形態の樹脂サッシの横断面図である。
図4】一実施形態の樹脂サッシの召合部の斜視図であり、(a)は内、外召合框の閉鎖を説明する図であり、(b)は開き止め金具の内側部材の図であり、(c)は開き止め金具の外側部材の図であり、(d)は障子閉鎖状態における開き止め金具の図である。
図5】一実施形態の樹脂サッシの召合部を説明するための図であり、(a)は内障子の召合框の横断面図であり、(b)は内障子の召合框の室外側面の一部を室外側から見た図であり、(c)は外障子の召合框の横断面図であり、(d)は外障子の召合框の室内側面の一部を室内側から見た図である。なお、(b)は、説明上、左右逆に記載している。
図6】一実施形態の樹脂サッシの召合部の図であり、(a)は障子閉鎖時の召合部の横断面図であり、(b)は通常時の開き止め金具の状態を示す図であり、(c)は火災時の開き止め金具の状態を示す図である。
図7】他の実施形態の樹脂サッシの召合部の斜視図であり、(a)は内、外召合框の閉鎖を説明する図であり、(b)は開き止め金具の内側部材の図であり、(c)は開き止め金具の外側部材の図であり、(d)は障子閉鎖状態における開き止め金具の図である。
図8】他の実施形態の樹脂サッシの召合部を説明するための図であり、(a)は内障子の召合框の横断面図であり、(b)は内障子の召合框の室外側面の一部を室外側から見た図であり、(c)は外障子の召合框の横断面図であり、(d)は外障子の召合框の室内側面の一部を室内側から見た図である。なお、(b)は、説明上、左右逆に記載している。
図9】他の実施形態の樹脂サッシの召合部の斜視図であり、(a)は内、外召合框の閉鎖を説明する図であり、(b)は開き止め金具の内側部材の図であり、(c)は開き止め金具の外側部材の図であり、(d)は障子閉鎖状態における開き止め金具の図である。
図10】他の実施形態の樹脂サッシの召合部を説明するための図であり、(a)は内障子の召合框の横断面図であり、(b)は内障子の召合框の室外側面の一部を室外側から見た図であり、(c)は外障子の召合框の横断面図であり、(d)は外障子の召合框の室内側面の一部を室内側から見た図である。なお、(b)は、説明上、左右逆に記載している。
図11】樹脂サッシの召合部の図であり、(a)は障子閉鎖時の召合部の横断面図であり、(b)は外力が加わった状態の召合部の横断面図である。
図12】樹脂サッシの火災時における召合部の図であり、(a)はクレセント部分における横断面図であり、(b)は召合部の上端近傍における横断面図である。
図13】本実施形態の樹脂サッシの召合部の図であり、(a)は通常時のクレセント部分における横断面図であり、(b)は火災時のクレセント部分における横断面図である。
図14】本実施形態の樹脂サッシの召合部の図であり、(a)は通常時の上端近傍における横断面図であり、(b)は火災時の上端近傍における横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態の樹脂サッシについて、図面を参考にして説明する。
本実施形態の樹脂サッシは、図1に示すように、建物開口部に配置される枠体1と、枠体1に対して摺動自在に配置される内障子2及び外障子3を備えている。
【0010】
本実施形態のサッシの枠体1は、上枠11,下枠12及び左、右竪枠13,14を有しており、各枠材は枠組されることなく、上枠11,下枠12及び左、右竪枠13,14がそれぞれ建物開口部の内周面にビス等の固定手段によって固定されることで建物開口部の四周に亘る枠体1が形成されている。
【0011】
本実施形態のサッシの内障子2は、上框21、下框22、左竪框(召合框)23及び右竪框(戸先框)24を四周に組んで、その内周にパネル体25を取り付けて形成されており、外障子3は、上框31、下框32、左竪框(戸先框)33及び右竪框(召合框)34を四周に組んで、その内周にパネル体35を取り付けて形成されている。
そして、内、外障子2,3の召合せ部には、内、外障子2,3を閉鎖状態でロックする複数のクレセント6,6が設けられている。
【0012】
(枠体の構成)
枠体1の上枠11は、図2に示すように、樹脂材料からなる略平板状の上枠本体111と、アルミ合金等の金属材料からなり上枠本体111の内周面(下面)に配置された上レール部材112を有している。
上枠本体111と上レール部材112は、ビス等の固定手段bにより、建物開口部の内周面(下面)に共締め固定されている。
【0013】
上枠本体111は、建物開口部の内周面に配置される上枠本体部111aと、上枠本体部111aの室内側端から垂下する室内側壁部111bを有している。
【0014】
上レール部材112は、上枠本体111と共に建物開口部に固定される上レール固定部112aと、上レール固定部112aの室内側より下方に垂設される上内レール112bと、上レール固定部112aの室外側より下方に垂設される上外レール112cを有している。
【0015】
上内レール112bと上外レール112cとの間であって、内障子2及び外障子3の召合框23,34の上方位置にはヒレ状の風止め部を有する風止め部材41が配置されている。
【0016】
枠体1の下枠12は、図2に示すように、樹脂材料からなる略平板状の下枠本体121と、アルミ合金等の金属材料からなり下枠本体121の内周面(上面)に配置された下レール部材122を有している。
下枠本体121と下レール部材122は、ビス等の固定手段bにより、建物開口部の内周面(上面)に共締め固定されている。
【0017】
下枠本体121は、建物開口部に固定される下枠本体部121aと、下枠本体部121aの室内側端から上方に立設する室内側壁部121bを有している。
【0018】
下レール部材122は、下枠本体121と共に建物開口部に固定される下レール固定部122aと、下レール固定部122aの室内側より上方に立設する下内レール122bと、下レール固定部122aの室外側より上方に立設する下外レール122cを有している。
【0019】
下枠12の下内レール122bと下外レール122cとの間であって、内障子2及び外障子3の召合框23,34の下方位置にはヒレ状の風止め部を有する風止め部材42が配置されている。
【0020】
枠体1の左、右竪枠13,14は、図3に示すように、ほぼ同様の構成をしているので、ここでは主に、右竪枠14ついて説明する。
なお、図面には、左竪枠の対応する部位に適宜符号を付与しておく。
【0021】
右竪枠14は、樹脂材料からなり、略平板状に形成された右竪枠本体部141aと、右竪枠本体部141aの見込み方向略中央位置から内周方向に突設される中央壁部141bと、右竪枠本体部141aの室内側端から内周方向に突設される室内側壁部141cと、右竪枠本体部141aの室外側端から内周方向に突設される室外側壁部141dを有し、ビス等の固定手段によって建物開口部の内周面に固定されている。
【0022】
中央壁部141bは、内周端に室内外両側に延びるヒレ状の気密片を有している。ヒレ状の気密片は、障子の閉鎖時において、内障子2の戸先框24に当接して内障子2と右竪枠14との気密をはかっている。
【0023】
右竪枠14は、右竪枠本体部141aの内周側であって中央壁部141bの室内側に、アルミ合金やスチール等の金属材料からなり断面略L字状もしくは断面略U字状の補強部材142を有しており、補強部材142の内周面に、内障子2の戸先框24に対向するように加熱膨張材が配置されている。
【0024】
なお、左竪枠13は、左竪枠本体部131aの内周側であって中央壁部131bの室外側にアルミ合金やスチール等の金属材料からなり断面略L字状もしくは断面略U字状の補強部材132を有しており、補強部材132の内周面に、外障子3の戸先框33に対向するように加熱膨張材が配置されている点で右竪枠14と異なっている。
【0025】
本実施形態のサッシの枠体1を建物開口部に固定するに際しては、例えば、左竪枠13→下枠12→右竪枠14→上枠11の順番で建物開口部の四周に配置、固定することで、枠体10を建物開口部の四周に対して配置することができる。
【0026】
このとき、建物開口部の四隅において、横枠(上枠11,下枠12)の少なくとも上内レール112b、上外レール112c及び下内レール122b、下外レール122cの一部、もしくは、竪枠(左竪枠13,右竪枠14)の中央壁部131b,141bの一部を切欠くこと等によって、上枠11,下枠12及び左、右竪枠13,14同士が取付けに際して干渉することを防止することができる。
【0027】
(内障子の構成)
内障子2の上框21は、図2に示すように、樹脂材料からなる上框本体211と、アルミ合金等の金属材料からなり上框本体211に内装される補強芯材212を有している。
上框本体211は、パネル体25を保持するためのパネル間口部211aと、パネル間口部211aの外周側に形成され上内レール112bに案内される開口部211bを有し、開口部211b内に補強芯材212が配置されている。
【0028】
パネル間口部211a内には、スチール等の金属材料からなる補強部材213が配置されており、パネル体25が、補強部材213及び難燃性のグレイジングチャンネルを介してパネル間口部211aに保持されている。
開口部211bを構成する室内、外側壁の上端には上内レール112bに当接もしくは近接する気密片が設けられている。
【0029】
補強芯材212は、開口部211bの底部に沿って配置される底壁部212aと、底壁部212aの室内側端部に連続して開口部211bの室内壁に沿って延びる室内壁部212bと、底壁部212aの室外側端部に連続して開口部211bの外側壁に沿って延びる室外壁部212cを有している。
【0030】
底壁部212aの上面には、スチール等の薄板からなる補強部材214が配置されており、開口部211bに配置された補強芯材212と薄板からなる補強部材214は、パネル間口部211aに配置された補強部材213に対して開口部211bの底壁を間に挟んで連結手段により連結されている。
【0031】
補強芯材212の室内壁部212bと室外壁部212cの内側面上方部位と、薄板の補強部材214の上面と、パネル間口部211aに配置された補強部材213には、必要に応じて加熱膨張材が配置されている。
なお、枠体及び障子には、適宜位置に加熱膨張材(図においては、長方形に斜線で示している)が配置されている。
【0032】
内障子20の下框22は、図2に示すように、樹脂材料からなる下框本体221と、アルミ合金等の金属材料からなり下框本体221に内装される第1補強芯材222及び第2補強芯材223を有している。
下框本体221は、内周側のパネル間口部221aと、パネル間口部221aの外周に配置される中空部221bと、外周側の開口部221cとを有している。
【0033】
第1補強芯材222は、断面略矩形の中空形状をなしており、下框本体221の中空部221b内に配置されている。第2補強芯材223は、矩形中空部と下方に開口する開口部を備える断面形状をなしており、下框本体221の開口部221cの開口内に配置されている。
【0034】
第1補強芯材222の中空部内には、スチール等からなる断面略U字状の第1補強部材224が外周方向に開口するように配置され、第2補強芯材223の中空部内及び開口部内には、断面略U字状の第2補強部材225及び第3補強部材226がそれぞれ室内方向に開口するように配置されている。
【0035】
パネル間口部221a内には、スチール等の金属材料からなる第4補強部材227が配置されており、パネル体25が、第4補強部材227及び難燃性のグレイジングチャンネルを介してパネル間口部221aに保持されている。
【0036】
第4補強部材227と第1補強芯材222及び第1補強部材224は、パネル間口部221aの底壁を挟んで連結手段を介して連結されている。
また、第1補強芯材222と第2補強芯材223及び第2補強部材225は、下框本体221の中空部221bの底壁を挟んで連結手段により連結されており、第2補強部材225と第3補強部材226は、第2補強芯材223の中間壁を間に挟んで連結手段により連結されている。
下框本体221の開口部221cの所定位置には、下内レール122b上を走行する車輪92が配置され、下内レール122b上を走行自在に配置されている。
【0037】
内障子20の右竪框(戸先框)24は、図3に示すように、樹脂材料からなり、断面略矩形の中空部を有する右竪框本体部241bと、右竪框本体部241bの内周側に形成されパネル体25を保持するためのパネル間口部241aを有している。
【0038】
右竪框本体部241bの中空部内には、スチール等の金属材料からなり外周側に向けて開口する断面略U字状の第1補強部材242が配置されている。パネル間口部241a内には、金属材料からなり内周側に向けて開口する断面略U字状の第2補強部材243が配置されており、パネル体25が、第2補強部材243及び難燃性のグレイジングチャンネルを介してパネル間口部241aに保持されている。
第1補強部材242と第2補強部材243とは、右竪框本体部241bの内周側の壁部を挟んで連結手段により連結されている。
なお、右竪框本体部241bの中空部内に配置される第1補強部材242は、略U字状の断面形状に限らず、例えば、断面略矩形のホロー構造等でもよい。
【0039】
内障子2の左竪框(召合框)23は、樹脂材料からなり、図3に示すように、中空部を有する左竪框本体部231bと左竪框本体部231bの室外側内周に形成されるパネル間口部231aを有している。
【0040】
左竪框23の内周側端には、室外側に延びる当接片231cが形成されており、外障子3の右竪框(召合框)34の外周側端の室内側に設けられた気密材sが当接している。
左竪框23の外周面には例えば防火性能を有するクレセント錠61が取り付けられている。
【0041】
左竪框本体部231bの中空部内には、スチール等の金属材料からなりパネル間口部231aの底壁に沿う見込面部232aと左竪框本体部231bの室外側面に沿う見付面部232bと外周側の見込面部を有する第1補強部材232が配置されている。
【0042】
パネル間口部231a内には、内周側に向けて開口する断面略U字状の第3補強部材234が配置されており、パネル体25が、第3補強部材234及び難燃性のグレイジングチャンネルを介してパネル間口部231aに保持されている。
【0043】
第1補強部材232と第3補強部材234は、左竪框本体部231bの内周側の壁及び加熱膨張材を間に挟んで連結手段により連結されている。
内障子20に使用されるパネル体25は、耐火性、耐熱性を有するガラス、例えば、結晶化ガラスにより形成されている。
【0044】
(外障子の構成)
以下に、外障子3について説明するが、外障子3と内障子2とは、上下枠および戸先框について基本的にその構成を同じくするものであるから、ここでは、特に外障子3の右竪框(召合框)34について説明し、内障子2の構成と同様の構成については、その説明を省略する。
【0045】
外障子3の右竪框(召合框)34は、樹脂材料からなり、図3に示すように、中空部を有する右竪框本体部341bと右竪框本体部341bの内周側に形成されるパネル間口部341aを有している。
【0046】
右竪框34の右竪框本体部341bの中空部内には、見込壁342aと室内側見付壁342bと室外側見付壁342cを有し外周方向に開口する断面略U字状の第1補強部材342が配置されており、パネル間口部341a内には、内周側に向けて開口する断面略U字状の第2補強部材343が配置されている。
【0047】
第1補強部材342と第2補強部材343は、右竪框本体部341bの内周側の壁を間に挟んで連結手段により連結されており、パネル体35が、第2補強部材343及び難燃性のグレイジングチャンネルを介してパネル間口部341aに保持されている。
第1補強部材342には、必要に応じて、火災時の加熱により膨張する加熱膨張材が配置されている。
【0048】
右竪框34の内周側端には、室内側に延びる当接片341cが形成されており、内障子2の左竪框(召合框)23の外周側端の室外側に設けられた気密材sが当接している。
内障子2の左竪框23と外障子3の右竪框34との間には、開き止め部材(開き防止金具)7が設けられており、右竪框(召合框)34の室内側面に、防火性能を有するクレセント受62が設けられている。
【0049】
以上、本実施形態の樹脂サッシは、上下左右の枠体が略平板状の部材と上下のレール部材等により構成されているので、略平板状の部材を建物開口部に順次配置して固定し、上、下枠体の内周面に上、下レール部材を配置して、ビス等の固定手段によって建物開口部に固定して施工することができるので、例えば、室外側に建具が既に施工されている建物の開口部に対しても、後付けで簡単に施工することができ、また、施工後の開口面積の減少を少なく抑えることができる。
【0050】
-開き防止構造-
以下、実施形態の樹脂サッシの召合せ部分の開き防止構造について、図 を参考にして説明する。
一般に、サッシは、内障子2の召合框23と外障子3の召合框34をクレセント6によって拘束しているが、高さ寸法が2000mmを超える樹脂サッシ等は、図11に示すように、風等の外圧等によって内障子2の召合框23と外障子3の召合框34を見込み方向に離間させる力F1が生じるなどしてクレセント6に大きなモーメント力F2がかかり、クレセント6や竪框が変形したり破損する危険性があった。
【0051】
また、図12(a)に示すように、火災時には、各框材の伸びや反り等の変形が発生することによってクレセント6にモーメント力F3がかかると、クレセント6が変形や破損などして内、外障子2,3の拘束が維持できないことがある。そのため、内、外障子2,3の召合框23,34に配置した加熱膨張材fが膨張しても、召合框23,34間に隙間が生じてしまい、室内外の十分な閉塞ができなかった。
【0052】
また、図12(b)に示すように、内、外障子2,3の召合框23,34の上下端部付近においても、火災時には、各框材の伸びや反り等の変形によって内、外障子2,3の召合框23,34を見込み方向に離間させる力F4がかかると、召合框23,34の間に隙間が生じることがあり、加熱膨張材fによる室内外の十分な閉塞ができなかった。
【0053】
そこで、実施形態の樹脂サッシは、図1に示すように、内、外障子2,3の召合せ部のクレセント6に隣接して、開き防止金具7が配置されている。
なお、実施形態の樹脂サッシにおいては、開き防止金具7は、上下のクレセント6,6の下方に隣接して設けられているとともに、召合框の上端近傍、下端近傍及び上のクレセント6の上方位置にも設けられており、合計5つの開き防止金具7が設けられている。
【0054】
開き防止金具7は、内障子2の召合框23の室外側面に設けられる内側部材71と、外障子3の召合框34の室内側面に設けられる外側部材72を有している。
【0055】
-第1の実施形態の開き防止金具-
本実施形態の開き防止金具7の内側部材71は、スチール等の金属材料からなり、図4(b)に示すように、内障子2の召合框23に固定するための固定部71bと、固定部71bの室外側に配置されて内周方向に延設される引掛け部71aと、固定部71bに積層されるスペーサ71cを有している。
【0056】
内側部材71は、図4(a)に示すように、内障子2の召合框23の室外側面にクレセント錠61に隣接して配置されており、図5(a)に示すように、召合框23の中空部内に配置される補強部材232の見付面部232bにビスbにより固定されている。
なお、内側部材71は、召合框23にビス孔を形成することで、召合框23及び補強部材232に固定されるようにしてもよい。
【0057】
内障子2の召合框23は、図5(b)に示すように、内側部材71が固定された領域において、当接片231cに欠除部231dが設けられており、障子の閉鎖時に外障子3の召合框34に固定した外側部材72が当接片231cに干渉することを防いでいる。
なお、スペーサ71cは必ずしも必要ではなく、スペーサ71cの積層数は、召合わせ框の寸法によって適宜設定すればよい。
【0058】
本実施形態の開き防止金具7の外側部材72は、スチール等の金属材料からなり、図4(c)に示すように、外障子3の召合框34に固定するための上固定部72d及び下固定部72eと、上固定部72d及び下固定部72eから立ち上がる上脚部72b及び下脚部72cと、上脚部72bと下脚部72cを連続する引掛け部72aを有している。
【0059】
外側部材72は、図4(a)に示すように、外障子3の召合框34の室内側面にクレセント受62に隣接して配置されており、図5(c)に示すように、召合框34の中空部内に配置される補強部材342の室内側見付壁342bにビスbにより固定されている。
なお、外側部材72は、召合框34にビス孔を形成することで、召合框34及び補強部材342に固定されるようにしてもよい。
【0060】
外障子3の召合框34は、図5(d)に示すように、外側部材72が固定された領域において、当接片341cに欠除部341dが設けられており、障子の閉鎖時に内障子2の召合框23に固定した内側部材71が干渉することを防いでいる。
【0061】
そして、内、外障子2,3が閉鎖された状態では、図4(d),図6(a),(b)に示すように、内側部材71の引掛け部71aが外側部材72の引掛け部72aの室外側に位置することとなり、風等の外圧や火災時の熱によって框材に反り等の変形が生じても内障子2の召合框23と外障子3の召合框34が室内外方向に離間することを防止してクレセント6等に過度な力が加わり、クレセント6や框等が破壊することを抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態の開き防止金具7においては、図6(c)に示すように、内側部材71の引掛け部71aが外側部材72の上、下脚部72b,72c間に位置しているので、内障子2の召合框23と外障子3の召合框34の熱延びに相違が生じた場合にも、内側部材71と外側部材72の上下方向のずれを防止することができ、さらに、クレセント6や框等が破壊することを抑制することができる。
【0063】
-第2の実施形態の開き防止金具-
本実施形態の開き防止金具7の内側部材71は、第1の実施形態の内側部材71と同様であり、スチール等の金属材料からなり、図7(b)に示すように、内障子2の召合框23に固定するための固定部71bと、固定部71bの室外側に配置されて内周方向に延設される引掛け部71aと、固定部71bに積層されるスペーサ71cを有している。
内側部材71は、図7(a)に示すように、召合框23の室外側面にクレセント錠61に隣接して配置されており、図8(a)に示すように、召合框23の中空部内に配置される補強部材232の見付面部232bにビスbにより固定されている。
【0064】
内障子2の召合框23は、図8(b)に示すように、召合框23の内側部材71が固定された領域において、当接片231cに欠除部231dが設けられており、障子の閉鎖時に外障子3の召合框34に固定した外側部材72が干渉することを防いでいる。
【0065】
本実施形態の開き防止金具7の外側部材72は、スチール等の金属材料からなり、図7(c)に示すように、外障子3の召合框34に固定するための固定部72fと、固定部72fの室内側に配置されて内周方向に延設される引掛け部72aと、固定部72fに積層されるスペーサ72gを有している。
外側部材72は、図7(a)に示すように、一部切り欠いた召合框34の室外側面にクレセント受62に隣接して配置されており、図8(c)に示すように、召合わせ框の中空部内に配置される補強部材342の室内側見付壁342bにビスbにより固定されている。
なお、外側部材72は、召合框34にビス孔を形成することで、召合框34及び補強部材342に固定されるようにしてもよい。
また、内側部材71及び外側部材72のスペーサ71c,72gは必ずしも必要ではなく、スペーサ71c,72gの積層数は、召合わせ框の寸法によって適宜設定すればよい。
【0066】
召合框34は、図8(d)に示すように、外側部材72が固定された領域において、当接片341cに欠除部341dが設けられており、障子の閉鎖時に内障子2の召合框23に固定した内側部材71が干渉することを防いでいる。
【0067】
そして、内、外障子2,3が閉鎖された状態では、図7(a),(d)に示すように、内側部材71の引掛け部71aが外側部材72の引掛け部72aの室外側に位置することとなり、風等の外圧や火災時の熱によって框材に反り等の変形が生じても内障子2の召合框23と外障子3の召合框34が室内外方向に離間することを防止してクレセント等に過度な力が加わり、クレセントや框等が破壊することを抑制することができる。
【0068】
-第3の実施形態の開き防止金具-
本実施形態の開き防止金具7の内側部材71は、スチール等の金属材料からなり、図9(b)に示すように、内障子2の召合框23に固定するための固定部71bと、固定部71bの室外側に配置されて上方向及び内周方向に延設される引掛け部71aと、固定部71bに積層されるスペーサ71cを有している。
【0069】
内側部材71は、図9(a)に示すように、召合框23の室外側面にクレセント錠61に隣接して配置され、図10(a)に示すように、召合框23の中空部内の補強部材232の見付面部232bにビスbにより固定されている。
【0070】
内側部材71は、図10(b)に示すように、召合框23の内側部材71が固定された領域付近において、当接片231cに欠除部231dが設けられており、障子の閉鎖時に外障子3の召合框34に固定した外側部材72が干渉することを防いでいる。
【0071】
本実施形態の開き防止金具7の外側部材72は、スチール等の金属材料からなり、図9(c)に示すように、外障子3の召合框34に固定するための固定部72fと、固定部72fの室内側に配置されて下方向及び内周方向に延設される引掛け部72aと、固定部72fに積層されるスペーサ72gを有している。
【0072】
外側部材72は、図9(a)に示すように、召合框34の室外側面にクレセント受62に隣接して配置され、図10(c)に示すように、召合わせ框の中空部内に配置される補強部材342の室内側見付壁342bにビスbにより固定されている。
なお、内側部材71及び外側部材72のスペーサ71c,72gは必ずしも必要ではなく、スペーサ71c,72gの積層数は、召合わせ框の寸法によって適宜設定すればよい。
【0073】
召合框34は、図10(d)に示すように、外側部材72が固定された領域付近において、当接片341cに欠除部341dが設けられており、障子の閉鎖時に内障子2の召合框23に固定した内側部材71が干渉することを防いでいる。
【0074】
そして、内、外障子2,3が閉鎖された状態では、図9(a),(d)に示すように、内側部材71の引掛け部71aが外側部材72の引掛け部72aの室外側に位置することとなり、風等の外圧や火災時の熱によって框材に反り等の変形が生じても内障子2の召合框23と外障子3の召合框34が室内外方向に離間することを防止してクレセント等に過度な力が加わり、クレセントや框等が破壊することを抑制することができる。
【0075】
以上のように、本実施形態にかかる樹脂サッシは、内、外障子2,3の召合せ部に、クレセントに隣接して開き防止部材が設けられているので、風等の外圧によってクレセントに外力がかかっても内障子2の召合框23と外障子3の召合框34が室内外方向に離間することを防止して、クレセントが破壊することを抑制することができる。
【0076】
また、火災時には、内、外障子2,3の召合框23,34が反るなど変形しても、開き止め部材の内側部材71の引掛け部71aと外側部材72の引掛け部72aとが見込み方向に係合して召合框同士が見込み方向に離間することを防止する。
このとき、図13(a)に示すように、内障子2の召合框23の中空部内に配置された補強部材232を介してクレセント錠61と開き防止金具7の内側部材71が連結され、外障子3の召合框34の中空部内に配置された補強部材342を介してクレセント受62と開き防止金具7の外側部材72が連結されているので、クレセント部分における召合框の補強部材同士の強固な連結を達成しており、図13(b)に示すように、加熱膨張材による内外の連通を確実に防止することができる。
【0077】
また、図14(a)に示すように、召合框23,34の上端近傍及び下端近傍に設けられた開き防止金具7は、火災時に、内、外障子2,3の召合框23,34が反るなど変形しても、図14(b)に示すように、開き防止金具7の内側部材71の引掛け部71aと外側部材72の引掛け部72aとが見込み方向に係合して召合框同士が見込み方向に離間すること防止することができる。
【0078】
そして、樹脂材料からなる召合框が火災により溶融した場合にも、同様に開き防止金具7によって召合框の中空部内に配置された補強部材が見込み方向に離間することを抑制し、合わせてガラス間口内の補強部材の分離を抑制することができるので、各補強部材間に加熱膨張材を充満させることができ、召合せ部における室内外の連通を抑制することができる。
【0079】
以上、実施形態の樹脂サッシについて説明したが、樹脂サッシに設けるクレセントの数は2つに限定されるものではなく、また、開き防止部材の数や位置も限定されるものではない。例えば、クレセントは一つでもよく、クレセントの上方に隣接して開き防止部材を設けてもよい。
【0080】
その他、以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0081】
23 :左竪框(召合框)
232 :補強部材(第1補強部材)
34 :右竪框(召合框)
342 :補強部材(第1補強部材)
61 :クレセント錠
62 :クレセント受
7 :開き防止金具(開き防止部材)
71 :内側部材
72 :外側部材

図1
図2
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