(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】対向流チャネルを含むセラミックマトリックス複合材構成要素および製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 35/80 20060101AFI20231027BHJP
C04B 35/84 20060101ALI20231027BHJP
F01D 5/18 20060101ALI20231027BHJP
F01D 5/28 20060101ALI20231027BHJP
F01D 9/02 20060101ALI20231027BHJP
F01D 9/04 20060101ALI20231027BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20231027BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20231027BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20231027BHJP
F23R 3/42 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
C04B35/80
C04B35/84
F01D5/18
F01D5/28
F01D9/02 102
F01D9/04
F01D25/00 L
F01D25/00 X
F02C7/00 C
F02C7/00 D
F02C7/18 C
F23R3/42 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020210200
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2021-02-16
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-09
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・アール・ダイソン
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・グレン・デセザーレ
(72)【発明者】
【氏名】チャンジエ・サン
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】立木 林
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-219044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/80
F02C 7/00
F01D 5/18
F01D 5/28
F01D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックマトリックス複合材構成要素(10、50)であって、
緻密体を形成する複数の長手方向に延在するセラミックマトリックス複合材プライ(34)と、
前記緻密体内に形成された複数の細長い機能特徴部(30)であって、前記複数の
細長い機能特徴部(30)のそれぞれが、長手方向に延在し、前記複数の
長手方向に延在するセラミックマトリックス複合材プライ(34)と向きを合わせて構成され、前記複数の細長い機能特徴部(30)のそれぞれが、プライを横切る構成に構成された入口(36)であって前記複数の
長手方向に延在するセラミックマトリックス複合材プライ(34)の少なくとも二つを横断する前記入口(36)、およびプライを横切る構成に構成された出口(38)であって前記複数の
長手方向に延在するセラミックマトリックス複合材プライ(34)の少なくとも二つを横断する前記出口(38)のうちの少なくとも1つを含み、前記複数の細長い機能特徴部(30)が、流体源から流体(40)の流れを前記セラミックマトリックス複合材構成要素(10、50)の外部に供給するように構成され、前記複数の
細長い機能特徴部(30)が交互流れ構成に構成される、機能特徴部(30)と
を備えるセラミックマトリックス複合材構成要素(10、50)。
【請求項2】
前記複数の細長い機能特徴部(30)が、複数の対向流冷却チャネル(32)を含む、請求項1に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素(10、50)。
【請求項3】
前記複数の対向流冷却チャネル(32)が、複数の前方に流れる流体(42)の流路および複数の後方に流れる流体(44)の流路を交互構成に画定する、請求項2に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素(10、50)。
【請求項4】
前記複数の対向流冷却チャネル(32)の第1の部分(32a)が、内部に含まれる前方に流れる流体(42)を含み、前記複数の対向流冷却チャネル(32)の第2の部分(32b)が、内部に含まれる後方に流れる流体(44)を含み、前記複数の対向流冷却チャネル(32)の第3の部分(32c)が、内部に含まれる後方に流れる流体(44)を含み、流体流れの熱の取り出しが、より低温の流体とより高温の流体との間で分配されるように、前記複数の対向流冷却チャネル(32)の前記第1の部分(32a)の入口(36)が、前記複数の対向流冷却チャネル(32)の前記第3の部分(32c)の入口(36)の近くに配置される、請求項2に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素(10、50)。
【請求項5】
高温ガス通路タービン構成要素である、請求項1に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素(10、50)。
【請求項6】
前記高温ガス通路タービン構成要素が、燃焼器ライナ、ブレード、シュラウド、ノズル、ノズル端壁、およびブレードプラットフォームからなる群から選択される、請求項5に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素(10、50)。
【請求項7】
セラミックマトリックス複合材(CMC)製品(10、50)を形成する方法(100)であって、
マトリックス前駆体、複数の強化繊維、および複数の犠牲繊維を含むCMCプリフォームを形成するステップ(102)と、
複数の細長い機能特徴部(30)が、前記CMCプリフォームに沿って対向流構成に形成されるように、前
記複数の犠牲繊維を除去するステップ(106)、または
前記CMCプリフォームに流体含浸剤を塗布するステップ(104)であって、それによって前記CMCプリフォームを緻密化する、ステップ(104)
のうちの一方を実行するステップと、
複数の細長い機能特徴部(30)が、前記CMCプリフォームに沿って対向流構成に形成されるように、前
記複数の犠牲繊維を除去するステップ(106)、または
前記CMCプリフォームに流体含浸剤を塗布するステップ(104)であって、それによって前記CMCプリフォームを緻密化する、ステップ(104)
のうちの他方を実行するステップと
を含み、
前記CMCプリフォームは複数のセラミックマトリックス複合材プライ(34)を含み、
前記複数の細長い機能特徴部(30)のそれぞれが、前記複数のセラミックマトリックス複合材プライ(34)の少なくとも二つを横断するように構成された入口(36)、および前記複数のセラミックマトリックス複合材プライ(34)の少なくとも二つを横断するように構成された出口(38)のうちの少なくとも1つを含む、方法(100)。
【請求項8】
前記複数の細長い機能特徴部(30)が、複数の対向流冷却チャネル(32)を含む、請求項7に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記複数の対向流冷却チャネル(32)が、複数の前方に流れる流体(42)の流路および複数の後方に流れる流体(44)の流路を交互構成に画定する、請求項8に記載の方法(100)。
【請求項10】
前記
CMC製品(10、50)が、高温ガス通路タービン構成要素である、請求項7に記載の方法(100)。
【請求項11】
前記出口(38)が前記
複数の長手方向に延在するセラミックマトリックス複合材プライ(34)の第一側及び
前記複数の長手方向に延在するセラミックマトリックス複合材プライ(34)の第二側に存在し、前記入口(36)が前記
複数の長手方向に延在するセラミックマトリックス複合材プライ(34)の第一側と前記
複数の長手方向に延在するセラミックマトリックス複合材プライ(34)の第二側との間に存在し、前記第二側は前記第一側の反対側であ
り、
前記第一側及び前記第二側は、前記複数の細長い機能特徴部(30)の延在方向と交差する側である、請求項1~6のいずれか一項に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素(10、50)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、発電用ガスタービンに関し、より詳細には、ガスタービンの高温ガス通路タービン構成要素用のセラミックマトリックス複合材構成要素を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素(SiC)系セラミックマトリックス複合材(CMC:ceramic matrix composite)材料は、タービンブレード、ベーン、ノズル、シュラウド、およびバケットなど、ガスタービンエンジンの特定の構成要素向けの材料として提案されてきた。Silicomp、溶融含浸(MI:melt infiltration)、化学気相含浸(CVI:chemical vapor infiltration)、ポリマー含浸焼成(PIP:polymaer infiltration pyrolysis)、および酸化物/酸化物法を含む、SiC系構成要素を製作するための様々な方法が知られている。これらの製作技法は互いに大きく異なるが、それぞれ、様々な方法の段階において加熱を含む方法を通じてニアネットシェイプ部品を生成するために、ハンドレイアップおよび治工具またはダイの使用を含む。
【0003】
より一般的な超合金材料から形成されるタービンブレードおよびベーンと同様に、CMCブレード、ベーン、およびシュラウドは、主として、構成要素の軽量化、遠心荷重の低減、および動作温度の低下のためにキャビティおよび冷却空所を備えている。これらの特徴部は、典型的には、取り外し可能工具と使い捨て工具の組み合わせ、または穿孔などを用いてCMC構成要素に形成される。内部冷却チャネルは、冷却流要件および熱勾配/応力を低減するので、金属およびCMC高温ガス通路ハードウェアの両方を冷却するためには有利である。
【0004】
多くの例では、CMCガスタービン構成要素は、極端な熱勾配および高温の形態の極端な条件を受ける。前述のようにCMC構成要素にキャビティや冷却空所があったとしても、この極端な条件は、CMC構成要素に亀裂の生成、コーティングの破砕、および減肉を起こさせることがある。これらの問題から運用寿命が短縮され、それによってCMC構成要素はその潜在能力を最大限発揮することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第10,384,981号
【文献】「Methods of Forming Ceramic Matrix Composites Using Sacrificial Fibers and Non-Wetting Coating」という名称および弁理士側処理番号第328251-1号の米国特許出願
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、極端な熱勾配および高温などの極端な条件を受けるときに、CMCガスタービン構成要素に改善された冷却を提供する、セラミックマトリックス複合材構成要素およびセラミックマトリックス複合材構成要素を製造する方法に対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の態様および利点は、以下の説明に一部が記載されるか、またはその説明から明らかにすることができ、あるいは本開示の実施を通じて学ぶことができる。
【0008】
セラミックマトリックス複合材(CMC)構成要素が、この構成要素を形成する方法とともに全体的に提供される。一実施形態では、セラミックマトリックス複合材構成要素は、緻密体を形成する複数の長手方向に延在するセラミックマトリックス複合材プライと、緻密体内に形成された複数の細長い機能特徴部とを含む。複数の機能特徴部のそれぞれは、長手方向に延在し、複数のセラミックマトリックス複合材プライと向きを合わせて構成される。複数の細長い機能特徴部のそれぞれは、プライを横切る(cross-ply)構成に構成された入口、およびプライを横切る構成に構成された出口のうちの少なくとも1つを含む。複数の細長い機能特徴部は、流体源から流体の流れをセラミックマトリックス複合材構成要素の外部に供給するように構成される。複数の機能特徴部は交互流れ構成に構成される。
【0009】
代替の実施形態では、セラミックマトリックス複合材構成要素は、緻密体を形成する複数の長手方向に延在するセラミックマトリックス複合材プライと、緻密体内に形成され、流体源からセラミックマトリックス複合材構成要素の外部までの後方に流れる流体の流路を画定する第1の複数の冷却チャネルと、緻密体内に形成され、流体源からセラミックマトリックス複合材構成要素の外部までの前方に流れる流体の流路を画定する第2の複数の冷却チャネルとを含む。第1の複数の冷却チャネルのそれぞれは、複数のセラミックマトリックス複合材プライと向きを合わせて長手方向に延在し、プライを横切る構成に構成された入口を有して構成される。第2の複数の冷却チャネルのそれぞれは、複数のセラミックマトリックス複合材プライと向きを合わせて長手方向に延在し、プライを横切る構成に構成された入口を有して構成される。第1の複数の冷却チャネルと第2の複数の冷却チャネルは、交互流れ構成に構成される。
【0010】
さらに別の実施形態では、セラミックマトリックス複合材(CMC)製品を形成する方法は、マトリックス前駆体、複数の強化繊維、および複数の犠牲繊維を含むCMCプリフォームを形成するステップと、複数の細長い機能特徴部が、CMCプリフォームに沿って対向流構成に形成されるように、1つまたは複数の犠牲繊維を除去するステップ、またはCMCプリフォームに流体含浸剤を塗布するステップであって、それによってCMCプリフォームを緻密化する、ステップのうちの一方を実行するステップと、複数の細長い機能特徴部が、CMCプリフォームに沿って対向流構成に形成されるように、1つまたは複数の犠牲繊維を除去するステップ、またはCMCプリフォームに流体含浸剤を塗布するステップであって、それによってCMCプリフォームを緻密化する、ステップのうちの他方を実行するステップとを含む。
【0011】
本開示のこれらのおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照すれば、よりよく理解されるであろう。添付の図面は、この明細書に組み込まれ、その一部を構成するものであり、本開示の実施形態を例示して、本説明と併せて本開示の原理を説明する働きをしている。
【0012】
当業者を対象として、最良の態様を含む完全かつ有効な開示を、添付の図面を参照して本明細書に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態による、セラミックマトリックス複合材(CMC)構成要素、より詳細には、CMCシュラウドの一部分の斜視図である。
【
図2】本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態による、
図1の2-2の方向に見た
図1のシュラウドセグメントの一部分の断面図である。
【
図3】本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態による、
図1のセラミックマトリックス複合材(CMC)構成要素の
図2の3-3の方向に見た断面図である。
【
図4】本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態による、
図1のセラミックマトリックス複合材(CMC)構成要素の
図2の4-4の方向に見た断面図である。
【
図5】本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態による、シュラウドセグメントの別の実施形態の一部分の概略等角図である。
【
図6】本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態による、シュラウドセグメントの別の実施形態の一部分の断面図である。
【
図7】本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態による、セラミックマトリックス複合材(CMC)構成要素の
図6の7-7の方向に見た断面図である。
【
図8】本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態による、セラミックマトリックス複合材(CMC)構成要素の
図6の8-8の方向に見た断面図である。
【
図9】本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態による、CMC構成要素を形成するための方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
可能である限り、図面全体を通して、同じ部品を表すために同じ参照符号を使用する。
【0015】
本開示の実施形態は、例えば、本明細書に開示される特徴の1つまたは複数を含まない概念と比べると、CMC構成要素に複数の対向流冷却チャネルの形成を可能にし、チャネルは1つまたは複数のCMC層と向きを合わせて構成される。対向流冷却チャネルが1つまたは複数のCMC層と向きを合わせて含まれることによって、構成要素の構造的一体性が維持される。本開示による方法は、低コストで複雑性を軽減し、部品の冷却要求量および冷却流量を低減することができるより効率的な冷却を有する。
【0016】
本発明の様々な実施形態の要素を導入するときに、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、および「前記(said)」は、それらの要素の1つまたは複数があることを意味することを意図する。用語「備える、含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」は、列挙した要素以外に追加の要素があり得ることを含み、また意味することを意図する。次に、1つまたは複数の例が図面に示されている本開示の実施形態を詳細に参照する。それぞれの例は本開示を説明するために提示されており、本開示を限定するためではない。実際、本開示の範囲または趣旨から逸脱せずに、本開示において様々な修正および変更を施すことができることは、当業者には明らかであろう。例えば、1つの実施形態の一部分として図示または記述された特徴は、別の実施形態とともに使用してさらなる実施形態をもたらすことができる。したがって、本開示がこのような修正および変更を添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内にあるものとして包含することが意図されている。
【0017】
本開示では、ある層が、別の層または基材の「上に(on)」または「上方に(over)」あるとして説明されている場合、そうではないと明示的に述べられていない限り、それら層が互いに直接接触することが可能であるか、または層間に別の層または特徴部を有することができることは理解されよう。したがって、これら用語は、互いに対する層の相対位置を説明しているに過ぎず、上方または下方という相対位置は、見る人に対するデバイスの向きに依存するため、こうした用語は、「~の上部に(on top of)」あること必ずしも意味しない。
【0018】
化学元素は、本開示では、元素の周期律表に通常見出されるものなど、それらの通常の化学略語を使用して論じられる。例えば、水素は、その通常の化学略語Hにより表され、ヘリウムは、その通常の化学略語Heにより表される、などである。
【0019】
本書では、「平均粒子直径」または「平均繊維直径」は、粒子または繊維の約50%がその直径より大きい直径を有し、粒子または繊維の約50%がその直径より小さい直径を有するような、粒子または繊維の直径を指す。
【0020】
本書では、「実質的に(substantially)」とは、記載された群の少なくとも約90%またはそれより多くを指す。例えば、本書では、「実質的にすべて」は、それぞれの群の少なくとも約90%またはそれより多くが当てはまる特性を有することを示し、「実質的にない」または「実質的に存在しない」は、それぞれの群の少なくとも約90%またはそれより多くが当てはまる特性を有していないことを示す。本書では、「大部分」は、記載された群の少なくとも約50%またはそれより多くを指す。例えば、本書では、「の大部分」は、それぞれの群の少なくとも約50%またはそれより多くが当てはまる特性を有することを示す。
【0021】
セラミックマトリックス複合材製品(「CMC製品」)、特に溶融含浸から形成されたセラミックマトリックス複合材製品が、このような製品を形成する方法とともに本書において全体的に提供される。本CMC製品は、CMCプリフォーム内の冷却チャネルなど、CMCの機能を強化するために対向流配置に構成された複数の細長い機能特徴部を含む複数のプライ層から形成される。
【0022】
発電用に使用されるシステムとしては、限定するものではないが、ガスタービン、蒸気タービン、および発電用に使用される他のタービン組立体、例えば地上用航転タービンなどが挙げられる。特定の用途では、内部にターボ機械(例えば、タービン、圧縮機、およびポンプ)および他の機械を含む発電システムは、過酷な摩耗条件に曝される構成要素を含む場合がある。例えば、ブレード、バケット、ケーシング、ロータホイール、シャフト、シュラウド、およびノズルなどの特定の発電システム構成要素は、高熱および/または高回転の環境において動作する場合がある。これらの構成要素は、セラミックマトリックス複合材を用いて製造され、これらの構成要素はまた冷却通路を含むことがある。本開示は、複数の対向流冷却通路またはチャネルを含むCMC構成要素、およびセラミックマトリックス複合材(CMC)構成要素を形成する方法を提供する。本開示の例示的な実施形態は、タービンシュラウドの一部分として
図1~
図8に示されているが、本開示は、図示の構造体に限定されるものではない。
【0023】
図1は、限定するものではないが、タービンシュラウドのセグメントなどの構成要素10の斜視図である。
図1は、タービンシュラウドセグメント12を示しているが、本開示による他の好適な構成要素としては、限定するものではないが、燃焼器ライナ、ブレード、ノズル、ノズル端壁、ブレードプラットフォーム、または他の高温ガス通路構成要素が挙げられる。構成要素10は、セラミックマトリックス複合材(CMC)材料から形成されることが好ましい。本書では、セラミックマトリックス複合材または「CMC」は、セラミック繊維によって強化されたセラミックマトリックスを含む複合材を指す。本書において使用許容可能なCMCのいくつか例としては、限定されるものではないが、マトリックスと、酸化物、炭化物、窒化物、オキシカーバイド、酸窒化物、およびそれらの混合物を含む強化繊維とを有する材料を挙げることができる。非酸化物材料の例としては、限定されるものではないが、炭化ケイ素マトリックスと炭化ケイ素繊維とを有するCMC(ケイ素溶融含浸によって作られるとき、このマトリックスは残留遊離ケイ素を含む)、炭化ケイ素/ケイ素マトリックス混合物と炭化ケイ素繊維とを有するCMC、窒化ケイ素マトリックスと炭化ケイ素繊維とを有するCMC、ならびに炭化ケイ素/窒化ケイ素マトリックス混合物と炭化ケイ素繊維とを有するCMCが挙げられる。さらに、CMCは、マトリックスと、酸化セラミックからなる強化繊維とを有することができる。特に、酸化物-酸化物のCMCは、マトリックスと、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、二酸化ケイ素(SiO
2)、アルミノケイ酸塩、およびそれらの混合物などの酸化物系材料を含む強化繊維とから構成されてもよい。したがって、本書では、「セラミックマトリックス複合材」という用語は、限定されるものではないが、炭素繊維強化炭素(C/C:carbon-fiber-reinforced carbon)、炭素繊維強化炭化ケイ素(C/Si C:carbon-fiber-reinforced silicon carbide)、および炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素(SiC/SiC:silicon-carbide-fiber-reinforced silicon carbide)を含む。一実施形態では、セラミックマトリックス複合材料は、(強化されていない)モノリシックセラミック構造体と比較して、伸び、破壊靱性、熱衝撃、および異方特性が改善されている。
【0024】
SiC-SiCのCMCを製作するために使用することができる方法はいくつかある。1つの手法では、マトリックスは、CMCプリフォームに、合金を含む溶融ケイ素またはケイ素を溶融含浸(MI)させて部分的に形成または緻密化される。別の手法では、マトリックスは、CMCプリフォームに、炭化ケイ素を化学気相含浸(CVI)させて少なくとも部分的に形成される。第3の手法では、マトリックスは、炭化ケイ素になるプレセラミックポリマーを熱分解させることで少なくとも部分的に形成される。この方法は、ポリマー含浸焼成(PIP)としばしば称される。上記3つの技術を組み合わせて使用することもできる。
【0025】
MI CMCプロセスの一例では、窒化ホウ素系コーティングシステムがSiC繊維に堆積される。次いで、コーティングされた繊維は、プリプレグテープを形成するために、マトリックス前駆体物質を含浸させる。テープを製作する1つの方法はフィラメントワインディングである。繊維は、マトリックス前駆体スラリの浴槽を通して引き出され、含浸させた繊維はドラムに巻かれる。マトリックス前駆体は、炭化ケイ素およびまたは炭素微粒子、ならびに有機材料を含むことができる。次いで、含浸させた繊維は、ドラムの軸に沿って切断され、繊維が通常は同じ方向に延びている平坦なプリプレグテープを生み出すためにドラムから取り外される。その結果生じる材料は一方向プリプレグテープである。プリプレグテープはまた、連続プリプレグ化機械を使用して、または、他の手段によって作ることができる。次いで、テープは、プリフォームを生産するために、所定の形状に切断され、レイアップされ、積層される。プリフォームは、マトリックス前駆体からのすべての有機物質を炭化させるために、および多孔性にするために、熱分解または燃焼される。次いで、溶融ケイ素を多孔性プリフォームに含浸させ、ここで、これは、炭素と反応して炭化ケイ素を形成することができる。理想的には、過剰な遊離ケイ素が、残っているすべての小孔を満たし、高密度の複合材料が得られる。このようにして生産されたマトリックスは、典型的には残留遊離ケイ素を含む。
【0026】
プリプレグMIプロセスは、複数の一次元のプリプレグプライを互いに積み重ねることで、繊維の向きがプライ間で変わる、二次元の繊維構造を有する材料を生成する。プライは、連続した繊維の向きに基づいてしばしば特定される。ゼロ度の向きを確立し、他のプライを、ゼロ度の方向に対するそれらの繊維の角度に基づいて設計する。繊維がゼロ度の方向に対して垂直に延びるプライは、90度プライ、公差プライ、または横断プライとして知られている。
【0027】
MIの手法はまた、二次元または三次元の織り構造で使用することができる。この手法の例は、スラリーキャストプロセスであり、この場合、繊維はまず三次元のプリフォームまたは二次元の布に織られる。布の場合、布の層は、プリフォームを生成するために、所定の形に切断されて積み重ねられる。化学気相含浸(CVI)技術は、界面コーティング材(典型的には、窒化ホウ素系または炭素系)を繊維に堆積させるために使用される。CVIはまた、炭化ケイ素マトリックスの層を堆積させるために使用することができる。マトリックスの残りの部分は、マトリックス前駆体スラリをプリフォームに鋳込み成形し、次いで、溶融ケイ素を含浸させることで形成される。
【0028】
MI手法の代替策は、炭化ケイ素マトリックスを一次元、二次元、または三次元の構造に緻密化するためにCVI技術を使用することである。同様に、複合材のマトリックスを緻密化するためにPIPを使用することができる。CVIおよびPIPで生成されるマトリックスは、過剰な遊離ケイ素なしで生産することができる。また、MI、CVI、およびPIPを組み合わせて使用して、マトリックスを緻密化することができる。
【0029】
複数のシュラウドセグメント12(そのうちの単一のシュラウドセグメントのみが図示されている)はシュラウド構成体を画定し、タービンブレードが取り付けられるロータの周囲にロータと同心で配置される。一般に、シュラウドはリング状に生成され、セグメント化され、次いで、一組として最終用途に提供される。前述したように、本開示は、図示の特定のシュラウドセグメントに限定することを意図したものではない。
【0030】
各シュラウドセグメント12は一般に、複数のCMCプライ(まもなく説明する)から作られ、軸方向の構成要素を有する弧状のシュラウド基部14を含む。一対の直立したリブ18および20が、弧状のシュラウド基部14に対して実質的に垂直に形成される。リブ18、20は、弧状のシュラウド基部14を支える働きをし、これらが組み合わさって、シュラウド基部14内の冷却通路(まもなく説明する)、およびチャンバ、例えばチャンバ22を画定する。リブ18、20、および含まれる任意選択のいかなるフランジ(図示せず)も、シュラウドセグメント12をエンジンケーシングおよび取付け構造体内に取り付けるのに役立つ。さらなる冷却通路がリブ18、20に配置されることがある。発電システムの動作中、冷却空気の流れ(図示せず)は、シュラウドセグメント12の温度を下げるために、シュラウド基部14の冷却通路を通るように向けられる。
【0031】
典型的には、ガスタービンエンジンでは、シュラウドセグメント12と概ね類似の複数の静止シュラウドセグメントが、軸流エンジンの軸線周りに周方向に、および回転翼部材、例えばタービンブレード周りに半径方向外側に組み付けられて、ブレードの半径方向外側の流路境界の一部分を画定する。さらに、シュラウドセグメントの組立体は、ノズルおよび/またはエンジンフレームのような軸方向に隣接するエンジン部材間に軸方向にエンジンに組み付けられる。静止シュラウドは、燃焼ガスを最大効率で利用してガスタービンを回すように、燃焼ガスをガス流路に閉じ込める。この流路の動作温度は500℃より高くなり得る。内径を画定する表面28を含むシュラウドセグメント12は、図面を通して、矢印26によって示されるように、全体を符号11で示すシュラウドセグメントの前方から、全体を符号13で示すシュラウドセグメントの後方に流れる高温ガス流路に曝される。
【0032】
次に、
図2~
図4を参照すると、
図1の構成要素10の部分断面図が示されている。
図2は、
図1の2-2の方向に見た構成要素10の部分断面図である。
図3は、
図2の3-3の方向に見た構成要素10の部分断面図である。
図4は、
図2の4-4の方向に見た構成要素10の部分断面図である。構成要素10に形成された複数の細長い機能特徴部30、より具体的には複数の冷却チャネル32が
図2~
図4に示されている。複数の細長い機能特徴部30は、複数の犠牲繊維を使用して、CMCプリフォーム内に画定される。犠牲繊維を使用した細長い機能特徴部の製作は、本願と譲渡人が同じであり、全体が本明細書に援用される、「Methods of Forming Ceramic Matrix Composites Using Sacrificial Fibers and Related Products」という名称のD. Hallらによる米国特許第10,384,981号、および、D. Dunnらによって本明細書と同時に出願され、全体が本明細書に援用される、「Methods of Forming Ceramic Matrix Composites Using Sacrificial Fibers and Non-Wetting Coating」という名称および弁理士側処理番号第328251-1号の米国特許出願に論じられている。
【0033】
前述のように、構成要素10は、分かりやすくするために数本だけ示された複数のセラミックマトリックス複合材(CMC)プライ34(
図3および
図4)から構成される。
図2に示されるように、機能特徴部30は、複数の入口(まもなく説明する)を経てプレナム(図示せず)と、および、複数の出口(まもなく説明する)を経て構成要素10の外部と流体連通している。代替の実施形態では、複数の機能特徴部30の少なくとも1つは、冷却流体の代替源(図示せず)と流体連通していてもよい。
【0034】
図2をより詳細に参照すると、複数の機能特徴部30、より具体的には複数の冷却チャネル32が示されている。複数の冷却チャネル32のそれぞれは、入口36および出口38を含む。各入口36は、プレナム(図示せず)または代替源などの冷却流体源と流体連通している。各出口38は、構成要素10の外部と流体連通している。
【0035】
各冷却チャネル32内を冷却流体40が流れる。図示のように、複数の冷却チャネル32は、前方に流れる冷却流体42および後方に流れる冷却流体44を供給するように対向流構成で構成される。より詳細には、前方に流れる冷却流体42を含む冷却チャネル32が、後方に流れる冷却流体44を含む冷却チャネル32と隣り合うように、冷却チャネル32は交互構成に構成され、したがって、互いの隣に配置される冷却チャネル32は、逆方向または反対方向に流れる冷却流体を有する。
【0036】
図2に示されているように、複数の冷却チャネル32は、前方に流れる流体42を含む複数の冷却チャネル32の第1の部分32aのそれぞれに対して入口36を含んで構成される。さらに、後方に流れる流体44を含む複数の冷却チャネル32の第2の部分32bのそれぞれに対して入口36が含まれる。後方に流れる流体44を含む複数の冷却チャネル32の第3の部分32cのそれぞれに対する入口36は、複数の冷却チャネル32の第1の部分32aのそれぞれの入口36の近くに配置され、その結果、流体流れの熱の取り出しは、より低温で流れる流体とより高温で流れる流体との間で分配されるので、より一様な温度場が生成される。この特定の実施形態では、複数の冷却チャネル32は、
図3に示されるように、複数の前方に流れる流体の長い流路52および複数の後方に流れる流体の短い流路56、ならびに
図4に示されるように、複数の後方に流れる流体の長い流路54を含むように構成される。
【0037】
図3および
図4に示されるように、複数の冷却チャネル32のそれぞれは、構成要素10の構造的一体性を保つように、複数のセラミックマトリックス複合材(CMC)プライ34と向きを合わせて構成される。
【0038】
図2~
図4の実施形態では、複数の冷却チャネルは、高温ガス流26と向きが合わされる。代替の実施形態では、
図5に示されるように、類似の符号が前述の要素を指すために使用されており、複数の機能特徴部30、より具体的には複数の冷却チャネル32は、高温ガス流26に対して垂直方向に向きが合わされている。高温ガス流26に対する冷却チャネル32の向きは、熱伝達の必要性および外部負荷に依存する。
【0039】
次に、
図6~
図8を参照すると、
図1の構成要素10と概ね同様の構成要素50の代替の実施形態の部分断面図が示されている。
図6は、シュラウドセグメントの一部分を、
図2と同じ方向に見た構成要素50の部分断面図である。
図7は、
図6の7-7の方向に見た構成要素50の部分断面図である。
図8は、
図7の8-8の方向に見た構成要素50の部分断面図である。他に特記なければ、構成要素50は、
図2~
図4の構成要素10の説明中に特定された構成要素と同じ構成要素を含む。構成要素50に形成された複数の細長い機能特徴部30、より具体的には複数の冷却チャネル32が
図6~
図8に示されている。構成要素10と同様に、構成要素50は、分かりやすくするために数本だけ示された複数のセラミックマトリックス複合材(CMC)プライ34(
図7および
図8)から構成される。
図6に示されるように、機能特徴部30は、複数の入口(まもなく説明する)を経てプレナム(図示せず)と、および、複数の出口(まもなく説明する)を経て構成要素50の外部と流体連通している。代替の実施形態では、複数の機能特徴部30の少なくとも1つは、冷却流体の代替源(図示せず)と流体連通していてもよい。
【0040】
図6をより詳細に参照すると、複数の機能特徴部30、より具体的には複数の冷却チャネル32が示されている。複数の冷却チャネル32のそれぞれは、入口36および出口38を含む。各入口36は、プレナム(図示せず)または代替源などの冷却流体源と流体連通している。各出口38は、構成要素50の外部と流体連通している。
【0041】
各冷却チャネル32内を冷却流体40が流れる。図示のように、複数の冷却チャネル32は、前方に流れる冷却流体42および後方に流れる冷却流体44を供給するように対向流構成で構成される。より詳細には、前方に流れる冷却流体42を含む冷却チャネル32が、後方に流れる冷却流体44を含む冷却チャネル32と隣り合うように、冷却チャネル32は交互構成に構成され、したがって、互いの隣に配置される冷却チャネル32は、逆方向または反対方向に流れる冷却流体を有する。
【0042】
図6に示されているように、複数の冷却チャネル32は、前方に流れる流体42を含む複数の冷却チャネル32の第1の部分32aのそれぞれに対して入口36を含んで構成される。さらに、後方に流れる流体44を含む複数の冷却チャネル32の第2の部分32bのそれぞれに対して入口36が含まれる。後方に流れる流体44を含む複数の冷却チャネル32の第3の部分32cのそれぞれに対する入口36は、複数の冷却チャネル32の第1の部分32aのそれぞれの入口36の近くに配置され、その結果、流体流れの熱の取り出しは、より低温で流れる流体とより高温で流れる流体との間で分配されるので、より一様な温度場が生成される。この特定の実施形態では、複数の冷却チャネル32は、
図7に示されるように、後方に流れる流体の長い流路54、
図8に示されるように、前方に流れる流体の長い流路52、ならびに
図7および
図8に示されるように、後方に流れる流体の短い流路56を含むように構成される。
図2~
図4の実施形態とは対照的に、この特定の実施形態では、後方に流れる流体の短い流路56は、長さを長くして圧力降下を増やすために、「上-下(over-under)」設計およびさらなる方向転換を有して構成される。
【0043】
図6~
図8の実施形態では、複数の冷却チャネルは、高温ガス流26と向きが合わされる。代替の実施形態では、
図5と同様に、複数の機能特徴部30、より具体的には複数の冷却チャネル32は、熱伝達の必要性および外部負荷に応じて高温ガス流26に対して垂直方向に向きが合わされている。
【0044】
図示の実施形態では、セラミックマトリックス複合材プライ34および冷却チャネル32の配置は概略的なものであり、例示する目的で拡大されている。CMCプライ34、および冷却チャネル32などの空所の大きさおよび形状は、
図2~
図8に示されているものに限定されない。
【0045】
図9は、内部に配置された複数の細長い機能特徴部30、より具体的には複数の対向流冷却チャネル32を有する、本開示によるCMC構成要素10、50を形成する方法100を概略的に示す(
図2~
図8も参照のこと)。構成要素10、50は、レイアップ技法を使用して形成される。方法100は、まず、ステップ102において、マトリックス前駆体、複数のセラミック強化繊維、および複数の犠牲繊維を含むCMCプリフォームを形成するステップを含む。CMCプリフォームを形成するステップは、まず、セラミックマトリックス複合材プライ34を用意することを含む。セラミックマトリックス複合材プライ34は、単一のプライであってもよいし、積層スタックに形成された一連のプライなどの複数のプライであってもよい。プライ34用の材料の例としては、限定するものではないが、前述のように、例えば、炭素繊維織物、結合剤材料、およびコーティングされたSiC繊維を含むプリプレグ複合材プライが挙げられる。
【0046】
前述のように、本方法、より具体的には、CMCプリフォームを形成するステップ102は、複数の犠牲繊維を使用するなどして、内部に複数の機能特徴部を画定するための手段を含む。犠牲繊維によって、CMCプリフォーム内の複数の対向流冷却チャネル32など、CMCの機能を強化するための1つまたは複数の細長い機能特徴部30の形成が可能になる。CMCプリフォーム内に画定された機能特徴部30の形状は、丸みを帯びた、湾曲した、楕円形の、直線の、または他の適切な形状を含む任意の適切な形状を含む。
【0047】
さらなるプライ34が、犠牲繊維を取り囲むように配置される。プリフォーム構成要素はオートクレーブに入れられ、マトリックス前駆体、複数のセラミック強化繊維、および複数の犠牲繊維を含むCMCプリフォームを形成するためにオートクレーブサイクルを完了させる。プリフォーム構成要素は、当業界でセラミック複合材料に使用される典型的なオートクレーブ圧力および温度サイクルを受ける。オートクレーブ処理は、プライに残っているいかなる揮発性物質も引き出し、オートクレーブ条件は、プライ材料に応じて変えることができる。オートクレーブ処理の後、プリフォーム構成要素内のいかなる残存材料、またはさらなる結合剤を除去するためにバーンアウト法が実施される。バーンアウト法は一般に、約426~648℃(約800~1200°F)の温度において実施される。
【0048】
バーンアウト後、ステップ104において、プリフォーム構成要素は、緻密化するために真空炉に入れられる。緻密化は、限定するものではないが、Silicomp、溶融含浸(MI)、化学気相含浸(CVI)、ポリマー含浸焼成(PIP)、酸化物/酸化物法を含む任意の知られている緻密化技法を使用して実施される。緻密化は、ケイ素または他の含浸材料がプリフォーム構成要素内に溶融含浸することができるように、1200℃を越える温度の確立された雰囲気の真空炉内で行うことができる。1つの好適な緻密化の方法は溶融含浸であり、その場合、溶融マトリックス材料はプライ34内に引き込まれて固化することができる。緻密化後、緻密化されたプリフォーム構成要素または緻密体は、ステップ204に示されるように、内部に配置された複数の犠牲繊維を含み、構成要素10、50の少なくとも一部分を形成する。
【0049】
緻密化に続いて、複数の機能特徴部30は、ステップ106において、複数の細長いチャネルを後に残すように犠牲繊維を除去して対向流冷却チャネル32を画定することによってさらに形成される。犠牲繊維を除去して細長いチャネルを形成することは、上で参照された、本願と譲渡人が同じであり、米国特許第10,384,981号および弁理士側処理番号第328251-1号の米国特許出願で論じられている。
【0050】
代替の実施形態では、複数の機能特徴部30は、ステップ104において説明されたような緻密化の前に、複数の対向流冷却チャネル32を後に残すように複数の犠牲繊維を除去することによってさらに形成される。
【0051】
一実施形態では、複数の機能特徴部30のそれぞれの内部中空部分は、冷却剤または他の流体を、構成要素10、50内を通すように誘導して構成要素10、50を冷却することができるように、構成要素10、50内で十分大きく、開いている。しかしながら、セラミックマトリックス複合材プライ34において形成された緻密化されたマトリックス材料は、冷却剤または他の流体の流れを実質的に妨げる封鎖部を形成することがあり、より詳細には、構成要素10、50の内部にある閉じた構造体として機能特徴部30を形成する。一実施形態では、構成要素10、50に開口が機械加工されまたは他の方法で開口が形成されて、1つまたは複数の細長い機能特徴部30内を流れることができるように、機能特徴部30のそれぞれに対して入口36および/または出口38を提供する。
【0052】
1つまたは複数の実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができ、また本発明の要素に対して等価物を置き換えることができることは当業者には理解されるであろう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるように多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良の態様として開示された特定の実施形態に限定されるのではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲内に当てはまるすべての実施形態を含むことが意図されている。
【0053】
本発明のさらなる態様は以下の項の主題によって提示される。
【0054】
[項1]
セラミックマトリックス複合材構成要素であって、
緻密体を形成する複数の長手方向に延在するセラミックマトリックス複合材プライと、
緻密体内に形成された複数の細長い機能特徴部であって、複数の機能特徴部のそれぞれが、長手方向に延在し、複数のセラミックマトリックス複合材プライと向きを合わせて構成され、複数の機能特徴部のそれぞれが、プライを横切る構成に構成された入口、およびプライを横切る構成に構成された出口のうちの少なくとも1つを含み、複数の細長い機能特徴部が、流体源から流体の流れをセラミックマトリックス複合材構成要素の外部に供給するように構成され、複数の機能特徴部が交互流れ構成に構成される、機能特徴部と
を備えるセラミックマトリックス複合材構成要素。
【0055】
[項2]
複数の細長い機能特徴部が緻密体内に取り囲まれている、先行するいずれかの項に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
【0056】
[項3]
複数の細長い機能特徴部が、複数の対向流冷却チャネルを含む、先行するいずれかの項に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
【0057】
[項4]
複数の対向流冷却チャネルが、高温ガス通路流れに関して前方から後方に長手方向に延在する、先行するいずれかの項に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
【0058】
[項5]
複数の対向流冷却チャネルが、複数の前方に流れる流体の流路および複数の後方に流れる流体の流路を交互構成に画定する、先行するいずれかの項に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
【0059】
[項6]
複数の冷却チャネルの第1の部分が、内部に含まれる前方に流れる流体を含み、複数の冷却チャネルの第2の部分が、内部に含まれる後方に流れる流体を含み、複数の冷却チャネルの第3の部分が、内部に含まれる後方に流れる流体を含み、流体流れの熱の取り出しが、より低温の流体とより高温の流体との間で分配されるように、複数の冷却チャネルの第1の部分の入口が、複数の冷却チャネルの第3の部分の入口の近くに配置される、先行するいずれかの項に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
【0060】
[項7]
複数の冷却チャネルの第3の部分が、複数の後方に流れる流体の流路の長さを長くするためかつ内部に含まれる後方に流れる流体の圧力降下を増やすために、上-下設計および複数の方向転換を有して構成される、先行するいずれかの項に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
【0061】
[項8]
高温ガス通路タービン構成要素である、先行するいずれかの項に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
【0062】
[項9]
高温ガス通路タービン構成要素が、燃焼器ライナ、ブレード、シュラウド、ノズル、ノズル端壁、およびブレードプラットフォームからなる群から選択される、先行するいずれかの項に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
【0063】
[項10]
セラミックマトリックス複合材構成要素であって、
緻密体を形成する複数の長手方向に延在するセラミックマトリックス複合材プライと、
緻密体内に形成され、流体源からセラミックマトリックス複合材構成要素の外部までの後方に流れる流体の流路を画定する第1の複数の冷却チャネルであって、第1の複数の冷却チャネルのそれぞれが、複数のセラミックマトリックス複合材プライと向きを合わせて長手方向に延在し、プライを横切る構成に構成された入口を有して構成される、第1の複数の冷却チャネルと、
緻密体内に形成され、流体源からセラミックマトリックス複合材構成要素の外部までの前方に流れる流体の流路を画定する第2の複数の冷却チャネルであって、第2の複数の冷却チャネルのそれぞれが、複数のセラミックマトリックス複合材プライと向きを合わせて長手方向に延在し、プライを横切る構成に構成された入口を有して構成される、第2の複数の冷却チャネルと
を備え、
第1の複数の冷却チャネルと第2の複数の冷却チャネルが、交互流れ構成に構成される
セラミックマトリックス複合材構成要素。
【0064】
[項11]
複数の冷却チャネルが緻密体内に取り囲まれている、先行するいずれかの項に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
【0065】
[項12]
第1の複数の冷却チャネルおよび第2の複数の冷却チャネルのそれぞれがさらに流体出口を含む、先行するいずれかの項に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
【0066】
[項13]
複数の冷却チャネルの第1の部分が、内部に含まれる前方に流れる流体を含み、複数の冷却チャネルの第2の部分が、内部に含まれる後方に流れる流体を含み、複数の冷却チャネルの第3の部分が、内部に含まれる後方に流れる流体を含み、流体流れの熱の取り出しが、より低温の流体とより高温の流体との間で分配されるように、複数の冷却チャネルの第1の部分の入口が、複数の冷却チャネルの第3の部分の入口の近くに配置される、先行するいずれかの項に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
【0067】
[項14]
複数の冷却チャネルの第3の部分が、複数の後方に流れる流体の流路の長さを長くするためかつ内部に含まれる後方に流れる流体の圧力降下を増やすために、上-下設計および複数の方向転換を有して構成される、先行するいずれかの項に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
【0068】
[項15]
高温ガス通路タービン構成要素である、先行するいずれかの項に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
【0069】
[項16]
高温ガス通路タービン構成要素が、燃焼器ライナ、ブレード、シュラウド、ノズル、ノズル端壁、およびブレードプラットフォームからなる群から選択される、先行するいずれかの項に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
【0070】
[項17]
セラミックマトリックス複合材(CMC)製品を形成する方法であって、
マトリックス前駆体、複数の強化繊維、および複数の犠牲繊維を含むCMCプリフォームを形成するステップと、
複数の細長い機能特徴部が、CMCプリフォームに沿って対向流構成に形成されるように、1つまたは複数の犠牲繊維を除去するステップ、または
CMCプリフォームに流体含浸剤を塗布するステップであって、それによってCMCプリフォームを緻密化する、ステップ
のうちの一方を実行するステップと、
複数の細長い機能特徴部が、CMCプリフォームに沿って対向流構成に形成されるように、1つまたは複数の犠牲繊維を除去するステップ、または
CMCプリフォームに流体含浸剤を塗布するステップであって、それによってCMCプリフォームを緻密化する、ステップ
のうちの他方を実行するステップと
を含む方法。
【0071】
[項18]
複数の細長い機能特徴部が、複数の対向流冷却チャネルを備える、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0072】
[項19]
複数の対向流冷却チャネルが、複数の前方に流れる流体の流路および複数の後方に流れる流体の流路を交互構成に画定する、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0073】
[項20]
セラミックマトリックス複合材構成要素が高温ガス通路タービン構成要素である、先行するいずれかの項に記載の方法。
【符号の説明】
【0074】
10 構成要素
11 シュラウドセグメントの前方
12 タービンシュラウドセグメント
13 シュラウドセグメントの後方
14 シュラウド基部
18 リブ
20 リブ
22 チャンバ
26 高温ガス流
28 表面
30 機能特徴部
32 冷却チャネル
32a 冷却チャネルの第1の部分
32b 冷却チャネルの第2の部分
32c 冷却チャネルの第3の部分
34 セラミックマトリックス複合材(CMC)プライ
36 入口
38 出口
40 冷却流体
42 前方に流れる冷却流体
44 後方に流れる冷却流体
50 構成要素
52 前方に流れる流体の長い流路
54 後方に流れる流体の長い流路
100 方法