(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 61/00 20060101AFI20231027BHJP
【FI】
A01D61/00 301F
(21)【出願番号】P 2020215661
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】福田 功貴
(72)【発明者】
【氏名】山本 洋也
(72)【発明者】
【氏名】永田 哲治
(72)【発明者】
【氏名】福井 祐己
(72)【発明者】
【氏名】井本 弘平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祐人
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-112024(JP,A)
【文献】特開2010-110302(JP,A)
【文献】特開昭62-175111(JP,A)
【文献】特開平06-343325(JP,A)
【文献】実開昭57-036826(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0141894(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植立穀稈の株元を切断して植立穀稈を刈り取る刈取部、および、前記刈取部によって刈り取られた刈取穀稈を後方に搬送する供給搬送装置を有する刈取前処理部と、
前記供給搬送装置によって刈取穀稈が供給される脱穀フィードチェーンを有し、刈取穀稈の脱穀処理を行う脱穀装置と、が備えられ、
前記供給搬送装置に、刈取穀稈の株元側部を無端回動株元搬送体と株元搬送ガイド杆とによって挟持搬送する株元挟持搬送部と、刈取穀稈の穂先側部を無端回動穂先搬送体と穂先搬送ガイド杆とによって係止搬送する穂先係止搬送部と、前記株元搬送ガイド杆および前記穂先搬送ガイド杆を支持する支持フレームと、が備えられ、
前記支持フレームは、基端側フレーム部と遊端側フレーム部とに分割されており、
前記株元搬送ガイド杆および前記穂先搬送ガイド杆は、前記遊端側フレーム部に支持されており、
前記遊端側フレーム部の上端部を前記基端側フレーム部の下端部に脱着可能に連結する連結機構が備えられ、
前記連結機構に、前記下端部に設けられた受止め部と、前記上端部に設けられ、前記受止め部に対して前記無端回動株元搬送体に対する前記株元搬送ガイド杆の近接離間方向に沿う方向に近接離間可能な当付け部と、前記当付け部を前記受止め部に対して前記無端回動株元搬送体に対する前記株元搬送ガイド杆の近接離間方向に沿う方向に押し付けて前記上端部を前記下端部に固定する固定部
と、前記固定部を作用状態と解除状態とに切り換える操作具と、が備えられているコンバイン。
【請求項2】
前記受止め部は、前記近接離間方向に直交する方向の受止め面であり、
前記当付け部は、前記近接離間方向に直交する方向の当付け面であり、
前記遊端側フレーム部に、前記上端部から下向きに、かつ前記近接離間方向に対して直交する方向に延びる上下向き杆部、および、前記上下向き杆部の下部から前記無端回動株元搬送体に向けて前記近接離間方向に沿う方向に延びる横向き杆部を有する支持杆が備えられ、
前記株元搬送ガイド杆は、前記横向き杆部の前記上下向き杆部とは反対側の端部に支持されている請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記固定部とは別に、前記上端部を前記下端部に係止させる係止部が備えられている請求項1または2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記係止部は、前記近接離間方向に沿う方向において前記固定部とは異なる位置に備えられている請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記係止部と前記固定部とは、前記近接離間方向に沿う方向において対向している請求項4に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記係止部は、ピン穴および前記ピン穴に係脱可能なピンを備え、
前記ピンは、前記近接離間方向に沿う方向に延びる状態で備えられている請求項3から5のいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記株元搬送ガイド杆の軸芯に沿う方向視において、前記株元搬送ガイド杆から前記固定部までの距離と、前記株元搬送ガイド杆から前記係止部までの距離とが略同じである請求項3から6のいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項8】
前記遊端側フレーム部に、前記遊端側フレーム部の支持が可能な持ち手が備えられている請求項1から7のいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項9】
前記持ち手は、前記上端部から前記株元搬送ガイド杆の延び方向に沿う方向に延びている請求項8に記載のコンバイン。
【請求項10】
前記刈取部に、植立穀稈の引き起こし処理を行う引起装置が後上がり傾斜姿勢で備えられており、
前記連結機構は、前記引起装置の後方に位置しており、
前記固定部に、前記固定部を作用状態と解除状態とに切り換える
前記操作具としての操作レバーが左右向き軸芯まわりに回動可能な状態で備えられており、
前記操作レバーは、下方へ揺動操作されて前記固定部を解除状態に切り換えるように構成されている請求項1から9のいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項11】
前記固定部を解除状態に切り換えた前記操作レバーの位置保持を行う第1保持具が備えられている請求項10に記載のコンバイン。
【請求項12】
前記固定部を作用状態に切り換えた前記操作レバーの位置保持を行う第2保持具が備えられている請求項10または11に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインには、植立穀稈の株元を切断して植立穀稈を刈り取る刈取部、および、刈取部によって刈り取られた刈取穀稈を後方に搬送する供給搬送装置を有する刈取前処理部と、供給搬送装置によって刈取穀稈が供給される脱穀フィードチェーンを有し、刈取穀稈の脱穀処理を行う脱穀装置と、が備えられたものがある。
この種のコンバインとしは、たとえば特許文献1に示されるものがある。特許文献1に示されるコンバインでは、植立穀稈を株元側で刈り取る刈取装置、刈取装置からの刈取穀稈を後方向きに搬送する供給装置を有する刈取前処理部が備えられ、供給装置によって刈取穀稈が供給される脱穀フィードチェーンを有する脱穀装置が備えられている。
この種のコンバインにおいては、供給搬送装置に、刈取穀稈の株元側部を無端回動株元搬送体と株元搬送ガイド杆とによって挟持搬送する株元挟持搬送部と、刈取穀稈の穂先側部を無端回動穂先搬送体と穂先搬送ガイド杆とによって係止搬送する穂先係止搬送部と、を備えられたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、供給搬送装置に刈取穀稈が詰まった際、詰まった刈取穀稈を取り除き易いように、株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆を供給搬送装置から取り外されるが、株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆を支持部に連結している複数の連結ボルトによる連結を解除する必要があるなど、株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆の取り外しに手間が掛かり、刈取穀稈の詰まりを解消する作業に必要な時間が多くなっている。
【0005】
本発明は、株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆を供給搬送装置から迅速に取り外すことができ、かつ株元搬送ガイド杆に掛かる穀稈挟持反力が強くても刈取穀稈がスムーズに搬送されるコンバインを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるコンバインは、
植立穀稈の株元を切断して植立穀稈を刈り取る刈取部、および、前記刈取部によって刈り取られた刈取穀稈を後方に搬送する供給搬送装置を有する刈取前処理部と、前記供給搬送装置によって刈取穀稈が供給される脱穀フィードチェーンを有し、刈取穀稈の脱穀処理を行う脱穀装置と、が備えられ、前記供給搬送装置に、刈取穀稈の株元側部を無端回動株元搬送体と株元搬送ガイド杆とによって挟持搬送する株元挟持搬送部と、刈取穀稈の穂先側部を無端回動穂先搬送体と穂先搬送ガイド杆とによって係止搬送する穂先係止搬送部と、前記株元搬送ガイド杆および前記穂先搬送ガイド杆を支持する支持フレームと、が備えられ、前記支持フレームは、基端側フレーム部と遊端側フレーム部とに分割されており、前記株元搬送ガイド杆および前記穂先搬送ガイド杆は、前記遊端側フレーム部に支持されており、前記遊端側フレーム部の上端部を前記基端側フレーム部の下端部に脱着可能に連結する連結機構が備えられ、前記連結機構に、前記下端部に設けられた受止め部と、前記上端部に設けられ、前記受止め部に対して前記無端回動株元搬送体に対する前記株元搬送ガイド杆の近接離間方向に沿う方向に近接離間可能な当付け部と、前記当付け部を前記受止め部に対して前記無端回動株元搬送体に対する前記株元搬送ガイド杆の近接離間方向に沿う方向に押し付けて前記上端部を前記下端部に固定する固定部と、前記固定部を作用状態と解除状態とに切り換える操作具と、が備えられている。
【0007】
本構成によると、
連結機構を解除状態にすることによって遊端側フレーム部を基端側フレーム部から外すことができ、遊端側フレーム部を外せば、株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆の両方が遊端側フレーム部に付いて基端側フレーム部から外れるので、遊端側フレーム部を基端側フレーム部から外すだけで迅速に株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆を供給搬送装置から取り出すことができる。
【0008】
株元搬送ガイド杆に掛かる穀稈挟持反力によって当付け部が受止め部に当て付けられて遊端側フレーム部が穀稈挟持反力に抗して基端側フレーム部によって支持されるが、無端回動株元搬送体に対する株元搬送ガイド杆の近接離間方向に沿う方向において当付け部が受止め部に押し付けられるので、遊端側フレーム部が穀稈挟持反力に抗して基端側フレーム部によってしっかり支持されて株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆が株元搬送ガイド杆に掛かる穀稈挟持反力に抗してしっかり支持され、株元搬送ガイド杆に掛かる穀稈挟持反力が強くても、株元搬送ガイド杆による刈取穀稈に挟持が的確に行われ、穂先側搬送ガイド杆による刈取穀稈の搬送ガイドが的確に行われて刈取穀稈がスムーズに搬送される。
【0009】
本発明においては、
前記受止め部は、前記近接離間方向に直交する方向の受止め面であり、前記当付け部は、前記近接離間方向に直交する方向の当付け面であり、前記遊端側フレーム部に、前記上端部から下向きに、かつ前記近接離間方向に対して直交する方向に延びる上下向き杆部、および、上下向き部の下部から前記無端回動株元搬送体に向けて前記近接離間方向に沿う方向に延びる横向き杆部を有する支持杆が備えられ、前記株元搬送ガイド杆は、前記横向き杆部の前記上下向き杆部とは反対側の端部に支持されていると好適である。
【0010】
本構成によると、受止め部に対する当付け部の押し付けが無端回動株元搬送体に対する株元搬送ガイド杆の近接離間方向に直交する方向の受止め面および当付け面によって行われるので、遊端側フレーム部が穀稈挟持反力に抗して基端側フレーム部によってよりしっかり支持される。さらに、株元搬送ガイド杆が上下向き杆部および横向き杆部を有する支持杆を介して遊端側フレーム部に支持されるので、株元搬送ガイド杆が穀稈挟持反力によって無端回動株元搬送体に対してずれ動いても、無端回動株元搬送体に対する株元搬送ガイド杆の近接離間方向とは異なる方向にずれ動き難く、株元搬送ガイド杆に掛かる穀稈挟持反力が強くても無端回動株元搬送体と株元搬送ガイド杆によって刈取穀稈がスムーズに挟持搬送される。
【0011】
本発明においては、
前記固定部とは別に、前記上端部を前記下端部に係止させる係止部が備えられていると好適である。
【0012】
本構成によると、株元搬送ガイド杆に掛かる挟持反力に抗しての基端側フレーム部による遊端側フレーム部の支持が固定部による支持と、固定部とは別の係止部による支持とによって行われるので、株元搬送ガイド杆に掛かる挟持反力が強くても株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆がしっかり支持されて刈取穀稈がスムーズに搬送される。
【0013】
本発明においては、
前記係止部は、前記近接離間方向に沿う方向において前記固定部とは異なる位置に備えられていると好適である。
【0014】
本構成によると、株元搬送ガイド杆に掛かる挟持反力に抗しての基端側フレーム部による遊端側フレーム部の支持が固定部による支持と、固定部とは別の係止部による支持とに行われるのみならず、固定部による支持と係止部による支持とが無端回動株元搬送体に対する株元搬送ガイド杆の近接離間方向において異なる位置で行われるので、株元搬送ガイド杆に掛かる挟持反力が強くても、遊端側フレーム部が基端側フレーム部によってよりしっかり支持されて刈取穀稈がスムーズに搬送される。
【0015】
本発明においては、
前記係止部と前記固定部とは、前記近接離間方向に沿う方向において対向していると好適である。
【0016】
本構成によると、
株元搬送ガイド杆に掛かる挟持反力に抗しての基端側フレーム部による遊端側フレーム部の支持が固定部による支持と、固定部とは別の係止部による支持とに行われるのみならず、固定部による支持と係止部による支持とが無端回動株元搬送体に対する株元搬送ガイド杆の近接離間方向に沿う方向において異なる位置で行われるので、株元搬送ガイド杆に掛かる挟持反力が強くても、遊端側フレーム部が基端側フレーム部によってよりしっかり支持されて刈取穀稈がスムーズに搬送される。
【0017】
本発明においては、
前記係止部は、ピン穴および前記ピン穴に係脱可能なピンを備え、前記ピンは、前記近接離間方向に沿う方向に延びる状態で備えられていると好適である。
【0018】
本構成によると、遊端側フレーム部を株元搬送ガイド杆の近接離間方向と異なる方向に動かそうとする方向の操作力が発生しても、この操作力に抗して係止部が遊端側フレーム部をしっかり支持するので、係止部の構造をピン穴およびピンを備えるだけの簡素なものにしつつ、株元側搬送ガイド杆および穂先側搬送ガイド杆が刈取穀稈に対して的確に作用して刈取穀稈がスムーズに搬送される。
【0019】
本発明においては、
前記株元搬送ガイド杆の軸芯に沿う方向視において、前記株元搬送ガイド杆から前記固定部までの距離と、前記株元搬送ガイド杆から前記係止部までの距離とが略同じであると好適である。
【0020】
本構成によると、株元搬送ガイド杆に掛かる挟持反力に抗しての基端側フレーム部による遊端側フレーム部の支持が固定部による支持と、固定部とは別の係止部による支持とによって行われるのみならず、固定部に掛かる支持反力と係止部に掛かる支持反力とが略同じになるので、固定部に備えさせる強度と係止部に備えさせる強度とにあまり差が出ないようにしつつ、株元搬送ガイド杆が挟持反力に抗してよりしっかり支持されて刈取穀稈がスムーズに搬送されるようにできる。
【0021】
本発明においては、
前記遊端側フレーム部に、前記遊端側フレーム部の支持が可能な持ち手が備えられていると好適である。
【0022】
本構成によると、持ち手を持って遊端側フレーム部を容易に支持しつつ遊端側フレーム部を基端側フレーム部に対して脱着できるので、遊端側フレーム部を基端側フレーム部に対し脱着し易く、株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆を脱着し易い。
【0023】
本発明においては、
前記持ち手は、前記上端部から前記株元搬送ガイド杆の延び方向に沿う方向に延びていると好適である。
【0024】
本構成によると、持ち手を持って遊端側フレーム部を支持するのに、株元搬送ガイド杆が上下揺動し難いようにバランスよく支持できるので、遊端側フレーム部を基端側フレームに対してより脱着し易く、株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆をより脱着し易い。
【0025】
本発明においては、
前記刈取部に、植立穀稈の引き起こし処理を行う引起装置が後上がり傾斜姿勢で備えられており、前記連結機構は、前記引起装置の後方に位置しており、前記固定部に、前記固定部を作用状態と解除状態とに切り換える前記操作具としての操作レバーが左右向き軸芯まわりに回動可能な状態で備えられており、前記操作レバーは、下方へ揺動操作されて前記固定部を解除状態に切り換えるように構成されていると好適である。
【0026】
本構成によると、操作レバーを機体横外側から操作し易いので、さらに、操作レバーを下げる操作の方が上げ操作よりも行い易いので、連結機構を機体横外側から作用状態と解除状態とに切換え易い。また、刈取部の前方で巻き上がった塵埃を引起装置によって連結機構に掛り難くできる。
【0027】
本発明においては、
前記固定部を解除状態に切り換えた前記操作レバーの位置保持を行う第1保持具が備えられていると好適である。
【0028】
本構成によると、固定部を解除状態に切り換えたとき、操作レバーを第1保持具によってふら付かないしつつ株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆を取り出すことができるので、株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆の取り出し易い。
【0029】
本発明においては、
前記固定部を作用状態に切り換えた前記操作レバーの位置保持を行う第2保持具が備えられていると好適である。
【0030】
本構成によると、固定部を作用状態に切り換えたとき、操作レバーを第2保持具によって動かないようにできるので、固定部を作用状態にしっかり保持しつつ収穫作業を行える。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図3】株元搬送ガイド杆、穂先搬送ガイド杆および中搬送ガイドの支持構造を示す平面図である。
【
図4】株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆の支持構造、連結機構を示す前面図である。
【
図7】遊端側フレーム部を基端側フレーム部から取り外した状態での株元搬送ガイド杆、穂先搬送ガイド杆および中搬送ガイドを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、コンバインの走行機体に関し、
図1に示される矢印Fの方向を「機体前方」、矢印Bの方向を「機体後方」、矢印Uの方向を「機体上方」、矢印Dの方向を「機体下方」、紙面表側の方向を「機体左方」、紙面裏側の方向を「機体右方」とする。
【0033】
〔コンバインの全体〕
図1に示されるように、コンバインは、角パイプ材などの複数の鋼材を連結して構成された機体フレーム1、機体フレーム1の下部に備えられた左右一対のクローラ式走行装置2を有する走行機体を備えている。走行機体の前部における横一側部に、運転座席3を有する運転部4が設けられている。走行機体の前部における運転部側とは反対側の横側部に、稲や麦の植立穀稈を刈取り、刈取穀稈を後方に搬送する刈取前処理部5が設けられている。刈取前処理部5は、下降作業状態と上昇非作業状態とに昇降操作可能に設けられている。走行機体の後部に、脱穀装置6が設けられている。脱穀装置6は、刈取前処理部5によって刈取穀稈が供給される脱穀フィードチェーン7を有し、刈取穀稈の株元側部を脱穀フィードチェーン7によって後方に挟持搬送して刈取穀稈の穂先側部を扱室(図示せず)に挿入し、穂先側部を回転する扱胴(図示せず)によって脱穀処理し、脱穀処理によって得られた穀粒と切れワラなどの塵埃とを選別する選別処理を行う。走行機体の後部に、脱穀装置6と横並び状態で穀粒タンク8が設けられている。穀粒タンク8は、脱穀装置6によって得られた穀粒を回収して貯留する。穀粒タンク8の後部に、穀粒タンク8から穀粒を排出する穀粒排出装置9が接続されている。
【0034】
〔刈取前処理部の構成〕
図1,2に示されるように、刈取前処理部5は、刈取前処理部5の前部に設けられ、植立穀稈の刈取りを行う刈取部5Aと、刈取部5Aの後部から後向きに延ばされ、刈取部5Aによって刈り取られた刈取穀稈を後方に搬送する供給搬送装置5Bと、を備えている。
【0035】
刈取部5Aは、
図1,2に示されるように、3条の植え付け条の植立穀稈を機体走行によって各別に導入する3つの引起経路10と、各引起経路10に設けられ、引起経路10に導入した植立穀稈の引起しを行う引起装置11と、引起装置11の後方に設けられ、3条分の植立穀稈の株元を切断するバリカン形の刈取装置12と、を備えている。各引起装置11は、
図7に示されるように、後上がりの傾斜姿勢で設けられている。各引起装置11の後方に、引起し処理される植立穀稈の株元側部を刈取装置12に掻き込み供給する無端回動掻込体13が設けられている。
【0036】
供給搬送装置5Bは、
図2に示されるように、刈取装置12の上方において各無端回動掻込体13の終端部に対応させて回転可能に設けられ、刈取穀稈の株元側部を刈取装置12よりも後側に掻き込む後方に掻き込む回転輪体15と、三つの回転輪体15のうちの左端の回転輪体15からの刈取穀稈を合流箇所14に無端回動搬送体によって搬送する左搬送装置15aと、三つの回転輪体15のうちの右端および中央の回転輪体15からの刈取穀稈と、左端の回転輪体15からの刈取穀稈とを合流箇所14で合流させ、合流した3条分の刈取穀稈を後方に搬送して脱穀フィードチェーン7の始端部に供給する合流搬送部16と、を備えている。
【0037】
合流搬送部16は、
図2に示されるように、刈取穀稈の株元側部を無端回動株元搬送体17と株元搬送ガイド杆18とによって後方に挟持搬送して脱穀フィードチェーン7の始端部に供給する株元挟持搬送部16Aと、刈取穀稈の穂先側部を無端回動穂先搬送体19と穂先搬送ガイド杆20とによって脱穀フィードチェーン7に向けて係止搬送する穂先係止搬送部16Bと、を備えている。穂先係止搬送部16Bは、株元挟持搬送部16Aが刈取穀稈の株元側部を脱穀フィードチェーン7に供給するとき、刈取穀稈の穂先側部を脱穀フィードチェーン7よりも機体内側に引き寄せ、脱穀フィードチェーン7に供給される刈取穀稈を横倒れ姿勢に姿勢変更する。無端回動株元搬送体17は、三つの回転輪体15のうちの右端および中央の回転輪体15からの刈取穀稈の株元側部を合流箇所14に搬送する始端側の株元搬送体17aと、合流箇所14に搬送された刈取穀稈の株元側部を脱穀フィードチェーン7に向けて搬送する終端側の株元搬送体17bと、を備えている。無端回動株元搬送体17は、突起付きリンク17c(
図3参照)を有する無端回動チェーンによって構成されている。無端回動穂先搬送体19は、係止アーム19a(
図3参照)を有する無端回動チェーンによって構成されている。
【0038】
株元搬送ガイド杆18は、
図2,7に示されるように、無端回動株元搬送体17の搬送始端側の部位に対抗する始端側ガイド杆部18aと、無端回動株元搬送体17の搬送終端側の部位に対抗する終端側ガイド杆部18bと、を備えている。
図3,7に示されるように、始端側ガイド杆部18aと終端側ガイド杆部18bとは、始端側ガイド杆部18aの後端部に備えられた連結部18xと、終端側ガイド杆部18bの前端部に備えられた連結部18yとが連結ボルトによって連結することによって分離可能に連結されている。
【0039】
図1,8に示されるように、穂先係止搬送部16Bの上方に、合流搬送部16の駆動機構(図示せず)を上方から覆い、かつ、刈取穀稈のうち、穂先係止搬送部16Bが係止する部位よりも穂先側の部位を受け止め支持する搬送カバー22が設けられている。
図2,7に示されるように、穂先係止搬送部16Bに、穂先搬送ガイド杆20の前部から後上向きに延ばされ、刈取穀稈の穂先側部を機体横外側方から支持しつつ搬送案内する穂先側ガイド杆23が備えられている。株元挟持搬送部16Aと穂先係止搬送部16Bとの間に、刈取穀稈のうち、株元挟持搬送部16Aが挟持する部位と穂先係止搬送部16Bが係止する部位との間に位置する稈身部分を機体横外側方から支持しつつ搬送案合する中搬送ガイド杆24が設けられている。中搬送ガイド杆24は、
図7,8に示されように、二つの帯板部材24aによって構成されている。
【0040】
〔株元搬送ガイド杆および穂先搬送ガイド杆の構成〕
図1,2に示されるように、株元搬送ガイド杆18、穂先搬送ガイド杆20および中搬送ガイド杆24は、供給搬送装置5Bに備えられた支持フレーム21に支持されている。支持フレーム21は、前処理部フレーム25(
図1参照)から延ばされ、合流搬送部16よりも機体横内側から合流搬送部16の上方を通って合流搬送部16よりも機体横外側に向かって延びている。本実施形態では、支持フレーム21は、円形のパイプ材によって構成されているが、角パイプ材、アングル部材などの採用が可能である。
【0041】
支持フレーム21は、
図3,4に示されるように、前処理部フレーム25に支持される基端側フレーム部21Aと、株元搬送ガイド杆18、穂先搬送ガイド杆20および中搬送ガイド杆24を支持する遊端側フレーム部21Bとに分割されている。支持フレーム21の分割は、支持フレーム21のうちの合流搬送部16よりも機体横外側に位置する部位において行われている。遊端側フレーム部21Bの上端部26を基端側フレーム部21Aの下端部27に脱着可能に連結する連結機構40が設けられている。たとえば合流搬送部16に詰まった刈取穀稈の取り除きを行うとき、連結機構40を解除状態に操作することにより、遊端側フレーム部21Bを基端側フレーム部21Aから取り外す。すると、株元搬送ガイド杆18、穂先搬送ガイド杆20および中搬送ガイド杆24が遊端側フレーム部21Bに付いて基端側フレーム部21Aから外れて供給搬送装置5B(合流搬送部16)から取り出せる。
【0042】
図3,4,7に示されるように、遊端側フレーム部21Bに、遊端側フレーム部21Bを支持することが可能な持ち手28を備えられている。本実施形態では、持ち手28は、
図34,7に示されるように、上端部26から株元搬送ガイド杆18の延び方向に沿う方向に延ばされている。遊端側フレーム部21Bの脱着を行うとき、持ち手28によって遊端側フレーム部21Bを支持しつつ行える。本実施形態では、持ち手28は、丸鋼管材によって構成されている。持ち手28には、丸鋼管材の他、角鋼管材、アングル材などが採用可能である。
【0043】
株元搬送ガイド杆18の遊端側フレーム部21Bへの支持は、次の如く行われている。
図3,4,7に示されるように、遊端側フレーム部21Bに、上端部26から無端回動株元搬送体17に向かって延びる支持杆29が備えられ、支持杆29の延伸端部に、株元搬送ガイド杆18の前後方向での中間部が連結されている。
【0044】
具体的には、
図4に示されるように、上端部26に、機体横幅方向に並ぶ第1上端部26aと第2上端部26bが備えられている。支持杆29は、第1上端部26aと第2上端部26bのうちの内側の第1上端部26aから下向きに延びる上下向き杆部29aと、上下向き杆部29aの下部から無端回動株元搬送体17に向かって延びる横向き杆部29bと、が備えられている。横向き杆部29bの上下向き杆部29a側とは反対側の端部に株元搬送ガイド杆18が連結されている。上下向き杆部29aは、株元搬送ガイド杆18に穀稈挟持力を付与する2枚の帯状のばね板によって構成されている。上下向き杆部29aは、無端回動株元搬送体17に対する株元搬送ガイド杆18の近接離間方向A(
図4参照)に対して直交する方向に延びている。横向き杆部29bは、近接離間方向Aに沿う方向に延びている。無端回動株元搬送体17に対する株元搬送ガイド杆18の近接離間方向Aのうちの近接方向は、株元搬送ガイド杆18が刈取穀稈を無端回動株元搬送体17に押し付ける方向である。近接離間方向Aのうちの離間方向は、株元搬送ガイド杆18が刈取穀稈を挟持することによって受ける穀稈挟持反力の方向である。
【0045】
穂先搬送ガイド杆20の遊端側フレーム部21Bへの支持は、
図3,4,7に示されるように、遊端側フレーム部21Bの上端部26から無端回動穂先搬送体19に向かって延びる第1支持部材31と、穂先搬送ガイド杆20の前後方向での中間部に備えられた連結部材32とを連結ボルトによって連結することによって行われている。第1支持部材31は、第1上端部26aから延ばされている。
【0046】
中搬送ガイド杆24の遊端側フレーム部21Bへの支持は、
図3,7に示されるように、中搬送ガイド杆24の前端部と第1支持部材31とを連結ボルトによって連結することによって行われている。
【0047】
図4に示されるように、連結機構40に、基端側フレーム部21Aの下端部27に設けられた受止め部41と、遊端側フレーム部21Bの上端部26に設けられた当付け部42と、当付け部42を受止め部41に押し付けて上端部26を下端部27に固定する固定部43と、固定部43とは別に設けられ、上端部26を下端部27に係止させる係止部44が備えられている。
【0048】
固定部43を解除状態に切り換えて受止め部41に対する当付け部42の押し付けを解除し、係止部44を解除状態に切り換えて上端部26の下端部27に対する係止を解除することにより、連結機構40が解除状態に切り換わり、遊端側フレーム部21Bを基端側フレーム部21Aから取り外して株元搬送ガイド杆18、穂先搬送ガイド杆20および中搬送ガイド杆24を供給搬送装置5B(合流搬送部16)から取り外すことができる。係止部44を作用状態に切り換えて上端部26を下端部27に係止させ、固定部43を作用状態に切り換えて当付け部42を受止め部41に押し付けさせることにより、連結機構40が作用状態に切り換わり、遊端側フレーム部21Bを基端側フレーム部21Aに連結して株元搬送ガイド杆18、穂先搬送ガイド杆20および中搬送ガイド杆24を供給搬送装置5B(合流搬送部16)に備えられる。遊端側フレーム部21Bは、上端部26の下端部27への係止、および当付け部42の受止め部41への押し付けによって基端側フレーム部21Aに連結され、遊端側フレーム部21Bは、株元搬送ガイド杆18に掛かる穀稈挟持反力に抗して基端側フレーム部21Aにしっかり支持される。
【0049】
図4に示されるように、下端部27に、機体横幅方向に並ぶ第1下端部27aと第2下端部27bとが備えられ、受止め部41に、第1下端部27aに形成された第1受止め部41aと、第2下端部27bに形成された第2受止め部41bと、が備えられている。当付け部42に、第1上端部26aに形成され、第1受止め部41aに当て付けられる第1当付け部42aと、第2上端部26bに形成され、第2受止め部41bに当て付けられる第2当付け部42bと、が備えられている。係止部44は、第1上端部26aと第1下端部27aとに亘って設けられ、固定部43は、第1上端部26aと第2上端部26bのうち、第2上端部26bの方に設けられている。
【0050】
図4に示されるように、係止部44は、無端回動株元搬送体17に対する株元搬送ガイド杆18の近接離間方向Aにおいて固定部43とは異なる位置に位置している。詳述すると、係止部44と固定部43とは、近接離間方向Aにおいて対向している。連結機構40は、株元搬送ガイド杆18の軸芯Zに沿う方向視において、株元搬送ガイド杆18から固定部43までの距離L1と、株元搬送ガイド杆18から係止部44までの距離L2とがほぼ同じになるように構成されている。株元搬送ガイド杆18から固定部43までの距離L1は、株元搬送ガイド杆18の軸芯Zから、固定部43における頭付きピン46のうちのクサビ部材47が掛かる部位までの距離である。株元搬送ガイド杆18から係止部44までの距離L2は、株元搬送ガイド杆18の軸芯Zから、係止部44におけるピン49のうちの第1上端部26aが嵌合する部位までの距離である。
【0051】
図4,6に示されるように、受止め部41における第1受止め部41aおよび第2受止め部41bは、近接離間方向Aに直交する方向の受止め面によって構成されている。当付け部42における第1当付け部42aおよび第2当付け部42bは、近接離間方向Aに直交する方向の当付け面によって構成されている。
【0052】
〔係止部の構成〕
図4,6に示されるように、係止部44は、ピン穴50、および、ピン穴50に係脱可能なピン49を備えている。ピン49は、近接離間方向Aに沿う方向に延びる状態で備えられている。本実施形態では、
図6に示されるように、ピン穴50は、第1上端部26aに設けられ、ピン49は、第1下端部27aに設けられているが、第1下端部27aに設けたピン穴、および、第1上端部26aに設けたピンの採用が可能である。
【0053】
〔固定部〕
図4,5,6に示されるように、固定部43は、2本の頭付きピン46と、第2上端部26bと、第2上端部26bの第2下端部27b側とは反対側の側部に備えられた支持板部52とにわたって設けられた2つのピン孔部48と、第2上端部26bに対して第2下端部27bが位置する側とは反対側に設けられたクサビ部材47と、を備えている。
【0054】
2本の頭付きピン46は、第2下端部27bから第2上端部26bに向けて延出されている。2つのピン孔部48の大きさは、頭付きピン46の頭部46aよりも大きくされ、頭部46aのピン孔部48への挿通が可能になっている。
【0055】
クサビ部材47は、
図5,6に示されるように、第2受止め部41bに当接された第2上端部26bが有する支持板部52と、ピン孔部48に挿通された頭付きピン46の頭部46aとの間の隙間に嵌入する作用状態と、第2上端部26bと頭部46aとの間の隙間から外される作用解除と、に姿勢変更である。
図5,6に示されるように、クサビ部材47の一端部が支持ピン51を介して支持板部52に支持されている。クサビ部材47は、支持ピン51を揺動支点にして揺動操作されることによって作用状態と作用解除状態とに姿勢変更される。
【0056】
固定部43においては、
図4,6に示されるように、クサビ部材47を作用状態に姿勢変更すると、クサビ部材47が支持板部52と頭部46aとの隙間に嵌入して頭部46aを反力点にして第2上端部26bを押圧操作し、第2当付け部42bが第2受止め部41bに押し付けられる。第2当付け部42bが第2受止め部41bに押し付けられると、第1当付け部42aが第1受止め部41aに押し付けられる。固定部43は、上端部26を下端部27に押し付けて固定するように作用状態になる。
【0057】
固定部43においては、
図6に二点鎖線で示されるように、クサビ部材47を解除状態に姿勢変更すると、クサビ部材47が支持板部52と頭部46aとの隙間から抜け出し、クサビ部材47による第2当付け部42bの第2受止め部41bへの押し付けが解除される。第2当付け部42bの第2受止め部41bへの押し付けが解除されると、第1当付け部42aの第1受止め部41aへの押し付けが解除される。固定部43は、上端部26の下端部27に対する押し付けを解除するように解除状態になる。
【0058】
図4,6に示されるように、頭付きピン46は、第2下端部27bから機体横外側向きに延出され、当付け部42は、受止め部41に対して機体横外側から当接されるように構成されている。クサビ部材47は、第2上端部26bに対して機体横外側に配置されている。
【0059】
クサビ部材47は、
図5に二点鎖線で示される如く支持ピン51の左右向き軸芯Pを揺動軸芯にして下方に揺動操作されると、固定部43を解除状態に切り換える。固定部43を解除状態に切り換えたクサビ部材47を第1保持具53によって位置保持できるように構成されている。第1保持具53は、クサビ部材47に設けられたボルト孔と、支持板部52に設けられたネジ孔54とに脱着可能なノブ付きボルトによって構成されている。
【0060】
クサビ部材47は、
図5に実線で示される如く左右向き軸芯Pを揺動軸芯にして上方に揺動操作されると、固定部43を作用状態に切り換える。固定部43を作用状態に切り換えたクサビ部材47を第2保持具55によって位置保持できるように構成されている。第2保持具55は、クサビ部材47に設けられたボルト孔と、支持板部52に設けられたネジ孔56とに脱着可能なノブ付きボルトによって構成されている。第1保持具53と第2保持具55とは、同一のノブ付きボルトによって構成されている。
【0061】
クサビ部材47は、
図5に二点鎖線で示される如く支持ピン51の左右向き軸芯Pを揺動軸芯にして下方に揺動操作されると、固定部43を解除状態に切り換える。固定部43を解除状態に切り換えたクサビ部材47を第1保持具53によって位置保持できるように構成されている。第1保持具53は、クサビ部材47に設けられたボルト孔と、支持板部52に設けられたネジ孔54とに脱着可能なノブ付きボルトによって構成されている。
【0062】
クサビ部材47は、
図5に実線で示される如く左右向き軸芯Pを揺動軸芯にして上方に揺動操作されると、固定部43を作用状態に切り換える。固定部43を作用状態に切り換えたクサビ部材47を第2保持具55によって位置保持できるように構成されている。第2保持具55は、クサビ部材47に設けられたボルト孔と、支持板部52に設けられたネジ孔56とに脱着可能なノブ付きボルトによって構成されている。第1保持具53と第2保持具55とは、同一のノブ付きボルトによって構成されている。
【0063】
図1,8に示されるように、連結機構40は、3つの引起装置11のうちの左端の引起装置11の後方に配置されている。
図8に示される56は、引起装置11を支持する支柱フレームである。固定部43を作用状態と解除状態とに切り換える操作レバーとしてのクサビ部材47は、左右向き軸芯Pまわりに作用状態から下方へ揺動操作されて解除状態になって固定部43を解除状態に切り換える。クサビ部材47を機体横外側方から解除状態に操作し易く、連結機構40を機体横外側方から解除状態に切り換え操作し易い。固定部43を解除状態に切り換えたクサビ部材47を揺れ動かないように第1保持具53によって位置保持しつつ、株元搬送ガイド杆18、穂先搬送ガイド杆20および中搬送ガイド杆24を基端側フレーム部21Aから外すことができる。株元搬送ガイド杆18、穂先搬送ガイド杆20および中搬送ガイド杆24を基端側フレーム部21Aに支持させると、固定部43を作用状態に切り換えたクサビ部材47を緩まないように第2保持具55によって位置保持できる。
【0064】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施形態では、3条刈りが可能に構成された例を示したが、これに限らない。たとえば、2条刈り、あるいは、4条刈り以上を可能に構成されたものであってもよい。
【0065】
(2)上記した実施形態では、連結機構40に、受止め部41、当付け部42および固定部43が備えられた例を示したが、これに限らない。たとえば、上端部26と下端部27とを連結ボルトなどによって連結するものであってもよい。
【0066】
(3)上記した実施形態では、受止め部41は、近接離間方向Aに直交する方向の受止め面によって構成され、当付け部42は、近接離間方向Aに直交する方向の当付け面によって構成された例を示したが、これに限らない。たとえば、受止め部41および当付け部42が近接離間方向Aに対して傾斜する面によって構成されたものであってよい。また、受止め部41および当付け部42の一方が凹面によって構成され、他方が凹面に嵌入りする凸面によって構成されたものであってもよい。
【0067】
(4)上記した実施形態では、第1上端部26aの方に係止部44を設け、第2上端部26bの方に固定部43を設けた例を示したが、第2上端部26bの方に係止部44を設け、第1上端部26aの方に固定部43を設けたものであってもよい。
【0068】
(5)上記した実施形態では、クサビ部材47を備える固定部43を採用した例を示したが、これに限らない。たとえば締め付けネジなど各種の締め付け手段を備える固定部の採用が可能である。
【0069】
(6)上記した実施形態では、係止部44を備えた例を示した、係止部44を備えないものであってもよい。また、係止部44を備えるものにおいては、係止部44と固定部43との位置関係が如何なるものであってもよい。また、ピン穴50およびピン49を備えるに係止部44を採用するに限らず、フックなどの係止具を備える係止部を採用するものであってもよい。
【0070】
(7)上記した実施形態では、持ち手28を備えた例を示した、持ち手28を備えないものであってもい。また、持ち手を備えるものにおいては、持ち手が株元搬送ガイド杆18の延び方向と異なる方向に延びるものであってもよい。
【0071】
(8)上記して実施形態では、第1保持具53および第2保持具55を備えた例を示したが、これに限らない。たとえば、第1保持具53および第2保持具55のいずれか一方のみを備えるもの、あるいは、第1保持具53および第2保持具55の両方を備えないものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、刈取部によって刈り取られた刈取穀稈を後方に搬送する供給搬送装置を有する刈取前処理部と、供給搬送装置によって刈取穀稈が供給される脱穀フィードチェーンを有し、刈取穀稈の脱穀処理を行う脱穀装置と、が備えられ、供給搬送装置に、刈取穀稈の株元側部を無端回動株元搬送体と株元搬送ガイド杆とによって挟持搬送する株元挟持搬送部と、刈取穀稈の穂先側部を無端回動穂先搬送体と穂先搬送ガイド杆とによって係止搬送する穂先係止搬送部とが備えられたコンバインに適用できる。
【符号の説明】
【0073】
5 刈取前処理装置
5A 刈取部
5B 供給搬送装置
6 脱穀装置
7 脱穀フィードチェーン
11 引起装置
16A 株元挟持搬送装置
16B 穂先係止搬送装置
17 無端回動株元搬送体
18 株元搬送ガイド杆
19 無端回動穂先搬送体
20 穂先搬送ガイド杆
21 支持フレーム
21A 基端側フレーム部
21B 遊端側フレーム部
26 上端部
27 下端部
28 持ち手
29 支持杆
29a 上下向き杆部
29b 横向き杆部
40 連結機構
41 受止め部
42 当付け部
43 固定部
44 係止部
47 操作レバー(クサビ部材)
49 ピン
50 ピン穴
53 第1保持具
55 第2保持具
L1 距離
L2 距離
P 左右向き軸芯