(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】遠心圧縮機用ディフューザ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/44 20060101AFI20231027BHJP
F02B 39/00 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
F04D29/44 S
F04D29/44 Y
F02B39/00 G
(21)【出願番号】P 2020509003
(86)(22)【出願日】2018-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2018072247
(87)【国際公開番号】W WO2019034740
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-03-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102017118950.5
(32)【優先日】2017-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522066067
【氏名又は名称】ターボ システムズ スウィツァーランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラッシュ,ダニエル・ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】フンツィカー,レネ
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】長馬 望
【審判官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】実開平6-76697(JP,U)
【文献】特開2009-281155(JP,A)
【文献】国際公開第2016/102594(WO,A1)
【文献】特開2013-119828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/44
F02B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボチャージャの遠心圧縮機(1)用のディフューザ(2)であって、
第1の側壁(4)と第2の側壁(5)とによって規定される流通チャネル(3)と、
複数のディフューザベーン(6)を有するディフューザベーンリングとを備え、前記複数のディフューザベーン(6)は少なくとも部分的に前記流通チャネル中に配置され、前記ディフューザベーンの各々は圧力側(7)および吸入側(8)を有し、さらに
複数のディフューザ通路(13)を備え、これらのディフューザ通路は、各々の場合、前記複数のディフューザベーンのうち2つの隣接するディフューザベーンの間に形成され、さらに
循環開口(11)を備え、これらの循環開口の各々は前記流通チャネルをディフューザキャビティに接続し、少なくとも2つの循環開口はディフューザ通路に割当てられ、ディフューザ通路に割当てられる循環開口は、前記ディフューザキャビティを介して、同じディフューザ通路に割当てられるさらなる循環開口または別のディフューザ通路に割当てられる循環開口に流体的に接続され
、
ディフューザ通路に割当てられる前記循環開口は、流れの方向において異なる位置に配置されることにより、供給される流体の前記ディフューザキャビティへの排出は、各々の場合下流に配置される前記循環開口によって行なわれ、前記ディフューザキャビティから前記ディフューザ通路への流体の戻りは、各々の場合上流に配置される前記循環開口によって行なわれ、ディフューザ通路に割当てられる前記循環開口の少なくとも1つは、前記ディフューザ通路の最も狭い地点の上流に位置決めされる、ディフューザ。
【請求項2】
各々の場合、前記ディフューザキャビティを介して互いに接続される2つ以上の循環開口は、前記ディフューザ通路のすべてまたは一部のみに割当てられ
る、請求項
1に記載のディフューザ。
【請求項3】
ディフューザ通路に割当てられる少なくとも1つの循環開口は、前記ディフューザ通路の
前記最も狭い地点の上流に位置決めされ、前記ディフューザ通路に割当てられる前記循環開口の少なくともさらなる1つは、前記ディフューザ通路の前記最も狭い地点の下流に位置決めされ
る、請求項1に記載のディフューザ。
【請求項4】
前記ディフューザ通路の前記最も狭い地点の上流に位置決めされる循環開口の数は、前記ディフューザ通路の前記最も狭い地点の下流に位置決めされる循環開口の数以上であ
る、請求項
3に記載のディフューザ。
【請求項5】
前記ディフューザ通路の前記最も狭い地点の上流に位置決めされる前記循環開口の少なくとも1つは、ディフューザベーンの前記圧力側と隣接するディフューザベーンの前記吸入側との間の前記ディフューザ通路内に配置され
る、請求項
1に記載のディフューザ。
【請求項6】
前記ディフューザ通路の前記最も狭い地点の上流に位置決めされる前記循環開口の少なくとも1つは、
前記流れの方向において前記ディフューザ通路の入口の手前に位置決めされ、前記ディフューザ通路の前記入口はベーン入口半径円によって定められ
る、請求項
1に記載のディフューザ。
【請求項7】
前記ディフューザ通路の前記最も狭い地点の上流に位置決めされる前記循環開口の少なくとも1つは、ディフューザベーンの前記圧力側と隣接するディフューザベーンの前記吸入側との間の前記ディフューザ通路内に位置決めされ、前記ディフューザ通路の前記最も狭い地点の上流に位置決めされる前記循環開口の少なくともさらなる1つは、
前記流れの方向において前記ディフューザ通路の入口の手前に位置決めされ、前記ディフューザ通路の前記入口はベーン入口半径円によって定められ
る、請求項
1に記載のディフューザ。
【請求項8】
前記ディフューザ通路の前記最も狭い地点の下流に位置決めされる前記循環開口の少なくとも1つは、ディフューザベーンの前記圧力側と隣接するディフューザベーンの前記吸入側との間の前記ディフューザ通路内に配置され
る、請求項
3に記載のディフューザ。
【請求項9】
前記ディフューザ通路の前記最も狭い地点の下流に位置決めされる前記循環開口の少なくとも1つは、前記ディフューザ通路の出口の後方に位置決めされ、前記ディフューザ通路の前記出口はベーン出口半径円によって定められ
る、請求項
3に記載のディフューザ。
【請求項10】
前記ディフューザ通路の前記最も狭い地点の下流に配置される前記循環開口の少なくとも1つは、ディフューザベーンの前記圧力側と隣接する前記ディフューザベーンの前記吸入側との間の前記ディフューザ通路内に位置決めされ、前記ディフューザ通路の前記最も狭い地点の下流に配置される前記循環開口の少なくともさらなる1つは、前記ディフューザ通路の出口の後方に位置決めされ、前記ディフューザ通路の前記出口はベーン出口半径円によって定められ
る、請求項
3に記載のディフューザ。
【請求項11】
循環開口を有する各々のディフューザ通路には、別個のディフューザキャビティが割当てられ
る、請求項
1に記載のディフューザ。
【請求項12】
循環開口を有する前記ディフューザ通路のいくつかまたはすべてには、結合ディフューザキャビティが割当てられ
る、請求項
1に記載のディフューザ。
【請求項13】
前記結合ディフューザキャビティは環状チャネルであ
る、請求項
12に記載のディフューザ。
【請求項14】
1つ以上のディフューザキャビティが二次流体源に接続され
る、請求項
12または13に記載のディフューザ。
【請求項15】
ディフューザ通路に割当てられる前記循環開口は、各々の場合、前記ディフューザ通路の前記最も狭い地点の上流に位置決めされ
る、請求項
2に記載のディフューザ。
【請求項16】
ディフューザ通路には、断面表面積および/または断面形態および/または向きが異なる循環開口が割当てられ
る、請求項
1に記載のディフューザ。
【請求項17】
前記循環開口の数および/または配置および/または断面表面積は、ディフューザベーンリングの周方向に異な
る、請求項
1に記載のディフューザ。
【請求項18】
請求項
1に記載のディフューザと、前記ディフューザの上流に配置されかつ圧縮機ホイールベーンを有する圧縮機ホイールと、前記ディフューザの下流に配置される螺旋状筐体とを備える、遠心圧縮機。
【請求項19】
請求項
18に記載の遠心圧縮機を有するターボチャージャ。
【請求項20】
ターボチャージャにおける、請求項
1に記載のディフューザの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、遠心圧縮機用ディフューザに関する。遠心圧縮機という呼称は、以下、圧縮機インペラの軸流流入および半径流流出を伴う混流圧縮機として公知のものも含む。本発明の適用の分野は、圧縮機インペラの純粋に半径方向の流れまたは斜め方向の流れの流入または流出を伴う圧縮機にも及ぶ。本発明はさらに、遠心圧縮機用ディフューザであって、遠心圧縮機はターボチャージャにおいて用いることができ、ターボチャージャは、軸流タービンまたはラジアルタービンまたは混流タービンとして公知のものを有することができる、遠心圧縮機用ディフューザに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術
ターボチャージャ適用例のために遠心圧縮機において用いるためのディフューザは先行技術から公知である。遠心圧縮機において、たとえば空気などの流体は、まず、ディフューザの上流に接続される圧縮機ホイールを介して軸方向に吸入され、圧縮機ホイール中で加速されかつ事前圧縮される。圧力、温度、および運動エネルギの形態で存在するエネルギが流体に供給される。圧縮機ホイールの出口では、高い流速が支配的である。加速されかつ圧縮された空気は、ディフューザの方向に接線方向に圧縮機ホイールを離れる。加速された空気の運動エネルギは、ディフューザ中で圧力に変換される。これは、ディフューザ中での流れの減速によって生じる。ディフューザの流れの断面は、径方向への拡張の結果、大きくなる。流体はこのように減速されて圧力が上昇する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
遠心圧縮機を有するターボチャージャにおいてできるだけ高い圧縮条件を達成するために、その中で用いられるディフューザにはブレード配列を設けることができる。DE10 2008 044 505は、ブレード付きディフューザの例を示す。先行技術から公知のブレード配列付きディフューザは一般的に、たとえばUS4,131,389に示されるものなどの、ブレード配列付きラジアル平行壁ディフューザとして形成される。所与の全体的な圧縮比率でより高い圧縮機効率を達成するために、ディフューザ中の流れを大幅に遅延させることができる。この結果、螺旋状の流速が低減され、その結果、壁の摩擦損失が低減され、圧縮機段での効率が向上する。
【0004】
先行技術からは、側壁が径方向に発散するディフューザの使用により、平行壁ディフューザと比較して、構造の長さが同じであっても、より大きな減速が可能になることが公知である。
【0005】
しかしながら、所与の動作点について幾何学的変化によってディフューザにおいて達成可能な減速または圧力の上昇は制限される。なぜなら、ディフューザにおける境界層の剥離の結果、過剰な減速の場合には、流れが不安定になってしまうからである。このように、ディフューザの安定した動作範囲の限界によって、圧縮機特性図における圧縮機のサージ限界の位置が決まる。平行壁ディフューザの代わりに、側壁発散ディフューザ-そのようなディフューザはたとえばWO2012/116880A1に記載されている-を用いれば、圧縮機の圧力比率が同じ場合は効率は実際に向上するが、同時に、より大きな質量流に向かって平行壁ディフューザを有する圧縮機と比較して、所与の圧縮機圧力比率についてのサージ限界が変位してしまう。この影響は望ましくない。この結果、圧縮機特性図の幅は小さくなり、この結果、ターボチャージャにおける適用のための圧縮機段の有用性が制限されてしまう。
【0006】
1つの解決策は、隣接するディフューザベーンによって形成される、ディフューザの個別のディフューザ通路間の均圧を可能にするように、均圧開口を介して、ブレード付きディフューザのディフューザチャネル部を環状チャネルに流体的に接続することにある。しかしながら、均圧開口を用いるこの解決策の場合、環状チャネルおよび/または個々の均圧開口が、たとえば、圧縮機のクリーニングから生じる残留物および堆積物の結果として、または油分含有吸気中にある粒子によって塞がれてしまうという問題が生じる可能性がある。これは、圧縮機のサージ限界に対して好ましくない影響を及ぼし、極端な場合、ディフューザに接続されるモータの動作不能に繋がる可能性がある。
【0007】
WO2016/102594は、以上で言及した問題が生じない遠心圧縮機用ディフューザを開示する。このディフューザは、第1の側壁および第2の側壁によって形成されるディフューザチャネル部を有し、第1の側壁および第2の側壁は、流れの方向に少なくとも部分的に互いに対して発散するように配置される。ディフューザはさらに、多数のベーンを有するベーンリングを備え、ベーンはディフューザチャネル部の中に少なくとも部分的に配置され、ベーンの各々は圧力側と吸入側とを有する。各々のベーンの圧力側および吸入側は、このベーンのベーン入口端縁およびベーン出口端縁によって規定される。ディフューザはさらに、ディフューザチャネル部の2つの側壁のうち少なくとも1つの中に組入れられる多数の均圧開口を備え、多数の均圧開口の各々は、ベーンの圧力側とベーンリングの隣接するベーンの吸入側との間に配置される。ディフューザはさらに、均圧開口の後方に配置される環状チャネルを備え、環状チャネルは均圧開口を介してディフューザチャネル部に流体的に接続される。環状チャネルは、接続チャネルを介して圧力プレナムに接続可能であり、その結果、流体は、圧力プレナムから環状チャネル中に流入することができ、これにより、環状チャネルは流体で濯がれる。そのような構造は、環状チャネルおよび均圧開口を塞ぎ得る、油分含有吸気による炭化からの潜在的な堆積物および残留物が、濯ぎ媒体として形成される流体によって環状チャネルからおよびしたがって均圧開口からも洗い流される、という利点を有する。流体は、圧力プレナムから環状チャネルに流れ出て環状チャネルを流体で濯ぐ。
【0008】
発明の要約
本発明の根底をなす目的は、動作範囲を大きくするようにブレード付きディフューザをさらに発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に示される特徴を有するディフューザによって達成される。発明の有利な構成およびさらなる発展例が従属請求項に示される。
【0010】
発明に従うディフューザは、第1の側壁および第2の側壁によって規定される流通チャネルと、流通チャネルの中に少なくとも部分的に配置される複数のディフューザベーンを有するディフューザベーンリングとを有し、ディフューザベーンの各々は圧力側および吸入側を有し、ディフューザはさらに複数のディフューザ通路を有し、これらのディフューザ通路は、各々の場合、複数のディフューザベーンの2つの隣接するディフューザベーンの間に形成され、ディフューザはさらに循環開口を有し、これらの循環開口の各々は流通チャネルをディフューザキャビティに接続し、少なくとも2つの循環開口がディフューザ通路に割当てられ、ディフューザ通路に割当てられる循環開口は、ディフューザキャビティを介して、同じディフューザ通路に割当てられるさらなる循環開口または別のディフューザ通路に割当てられる循環開口に流体的に接続され、ディフューザ通路に割当てられる循環開口は、流れの方向において異なる位置に配置され、これにより、供給される流体のディフューザキャビティへの排出は、各々の場合下流に配置される循環開口によって行なわれ、ディフューザキャビティからディフューザ通路への流体の戻りは、各々の場合上流に配置される循環開口によって行なわれ、ディフューザ通路に割当てられる循環開口の少なくとも1つは、ディフューザ通路の最も狭い地点の上流に位置決めされる。
【0011】
ディフューザ通路という用語は、2つの隣接するディフューザベーンの間の領域を指し、この領域は、入口側ではベーン入口半径円(Schaufeleintrittsradiuskreis; vane inlet radius circle)によって、かつ出口側ではベーン出口半径円(Schaufelaustrittsradiuskreis; vane outlet radius circle)によって定められる。ディフューザ通路に割当てられる循環開口は、ディフューザ通路内、ディフューザ通路の手前またはディフューザ通路の後方に位置決め可能である。
【0013】
実施形態に従うと、ディフューザ通路に割当てられる循環開口は、流れの方向において互いに隣り合って配置される。
【0014】
本発明の一実施形態に従うと、各々の場合、ディフューザキャビティを介して互いに接続される2つ以上の循環開口は、すべてのディフューザ通路またはディフューザ通路のうちの一部のみに割当てられる。
【0015】
本発明の一実施形態に従うと、ディフューザ通路に割当てられる少なくとも1つの循環開口は、ディフューザ通路の最も狭い地点の上流に位置決めされ、ディフューザ通路に割当てられる少なくとも1つのさらなる循環開口は、ディフューザ通路の最も狭い地点の下流に位置決めされる。
【0016】
本発明の一実施形態に従うと、ディフューザ通路の最も狭い地点の上流に位置決めされる循環開口の数は、ディフューザ通路の最も狭い地点の下流に位置決めされる循環開口の数以上である。
【0017】
本発明の一実施形態に従うと、ディフューザ通路の最も狭い地点の上流に位置決めされる循環開口の少なくとも1つは、ディフューザベーンの圧力側と隣接するディフューザベーンの吸入側との間のディフューザ通路内に配置される。
【0018】
本発明の一実施形態に従うと、ディフューザ通路の最も狭い地点の上流に位置決めされる循環開口の少なくとも1つは、流れの方向においてディフューザ通路の入口の手前に位置決めされ、ディフューザ通路の入口は、ベーン入口半径円によって定められる。
【0019】
本発明の一実施形態に従うと、ディフューザ通路の最も狭い地点の上流に位置決めされる循環開口の少なくとも1つは、ディフューザベーンの圧力側と隣接するディフューザベーンの吸入側との間のディフューザ通路内に位置決めされ、ディフューザ通路の最も狭い地点の上流に位置決めされる循環開口の少なくともさらなる1つは、流れの方向においてディフューザ通路の入口の手前に位置決めされ、ディフューザ通路の入口は、ベーン入口半径円によって定められる。
【0020】
本発明の一実施形態に従うと、ディフューザ通路の最も狭い地点の下流に位置決めされる循環開口の少なくとも1つは、ディフューザベーンの圧力側と隣接するディフューザベーンの吸入側との間のディフューザ通路内に配置される。
【0021】
本発明の一実施形態に従うと、ディフューザ通路の最も狭い地点の下流に位置決めされる循環開口の少なくとも1つは、ディフューザ通路の出口の後方に位置決めされ、ディフューザ通路の出口は、ベーン出口半径円によって定められる。
【0022】
本発明の一実施形態に従うと、ディフューザ通路の最も狭い地点の下流に位置決めされる循環開口の少なくとも1つは、ディフューザベーンの圧力側と隣接するディフューザベーンの吸入側との間のディフューザ通路内に配置され、ディフューザ通路の最も狭い地点の下流に配置される循環開口の少なくともさらなる1つは、ディフューザ通路の出口の後方に位置決めされ、ディフューザ通路の出口は、ベーン出口半径円によって定められる。
【0023】
本発明の一実施形態に従うと、循環開口を有する各々のディフューザ通路には別個のディフューザキャビティが割当てられる。
【0024】
本発明の一実施形態に従うと、循環開口を有するディフューザ通路のいくつかまたはすべてには、結合ディフューザキャビティが割当てられる。
【0025】
本発明の一実施形態に従うと、結合ディフューザキャビティは環状チャネルである。
本発明の一実施形態に従うと、1つ以上のディフューザキャビティが二次流体源に接続される。
【0026】
本発明の一実施形態に従うと、ディフューザ通路に割当てられる循環開口は、各々の場合、ディフューザ通路の最も狭い地点の上流に位置決めされる。
【0027】
本発明の一実施形態に従うと、ディフューザ通路には、異なる断面表面積および/または断面形態および/または向きを有する循環開口が割当てられる。
【0028】
本発明の一実施形態に従うと、循環開口の数および/または配置および/または断面表面積は、ディフューザベーンリングの周方向に異なる。
【0029】
本発明の一実施形態に従うと、遠心圧縮機には、発明に従うディフューザと、ディフューザの上流に配置されかつ圧縮機ホイールベーンを有する圧縮機ホイールと、ディフューザの下流に配置される螺旋状筐体とが具備される。
【0030】
本発明の一実施形態に従うと、ターボチャージャには、発明に従うディフューザを有する遠心圧縮機が嵌合される。
【0031】
図面に基づいてより詳細に説明される例示的な実施形態に基づいて発明を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】ブレード付きディフューザを有する遠心圧縮機を通る圧縮機軸に沿った断面図である。
【
図2】ディフューザの全周方向領域に沿ったディフューザベーンの分布を示す見取り図である。
【
図3】公知のディフューザの2つのディフューザベーンの間の均圧開口の配置を示す見取り図である。
【
図4】発明の第1の例示的な実施形態に従う循環開口の配置を示す見取り図である。
【
図5】発明の第2の例示的な実施形態に従う循環開口の配置を示す見取り図である。
【
図6】発明の第3の例示的な実施形態に従う循環開口の配置を示す見取り図である。
【
図7】発明の第4の例示的な実施形態に従う循環開口の配置を示す見取り図である。
【
図8】発明の第5の例示的な実施形態に従う循環開口の配置を示す見取り図である。
【
図9】発明の第6の例示的な実施形態に従う循環開口の配置を示す見取り図である。
【
図10】発明の第7の例示的な実施形態に従う循環開口の配置を示す見取り図である。
【
図11】発明の第8の例示的な実施形態に従う循環開口の配置を示す見取り図である。
【
図12】発明の第9の例示的な実施形態に従う循環開口の配置を示す見取り図である。
【
図13】発明の第10の例示的な実施形態に従う循環開口の配置を示す見取り図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面の詳細な説明
以下の説明では、同一の部分および同じ作用を伴う部分については同一の参照番号を用いる。
【0034】
図1は、ブレード付きディフューザを有する遠心圧縮機を通る圧縮機軸に沿った断面を示す。
【0035】
示される遠心圧縮機は、シャフト17上に配置されかつハブ19を備える圧縮機ホイール18と、このハブ上に配置される圧縮機ホイールベーン20とを備える。この圧縮機ホイールは、一般的にいくつかの構成要素を備える圧縮機筐体の中に配置される。これらは、螺旋状筐体21および入口筐体22を含む。シャフト17が搭載される軸受筐体24は、
図1には示されない圧縮機とタービンとの間に位置する。圧縮機の流通チャネルは圧縮機筐体によって規定される。圧縮機ホイールの領域において、圧縮機ホイールのハブ19は径方向内側の範囲を占め、圧縮機ホイールベーン20は流通チャネルの中に配置される。
【0036】
流通チャネル3を有しかつ圧縮機ホイールによって加速される流れを減速させるように働くディフューザ2は、圧縮対象の媒体の流れの方向において圧縮機ホイールの下流に配置される。これは、一方ではディフューザベーンリングのディフューザベーン6によって、他方ではディフューザ2の流通チャネル3への遷移領域に螺旋状筐体舌部を有する螺旋状筐体21によって行なわれる。圧縮された媒体は、螺旋状筐体から内燃機関の燃焼室に供給される。ディフューザベーン6は、流通チャネル3の一方側または両側で第1の側壁4または第2の側壁5に接続される。
【0037】
図2は、ディフューザのベーンリングの全周方向領域に沿ったディフューザベーンの分布を示す見取り図である。示される例示的な実施形態の場合、合計で18のディフューザベーン6
1から6
18が全周方向領域に沿って設けられることが明らかである。各々の場合、ディフューザ通路は、各々の場合、2つの隣接するディフューザベーンの間に位置する。示される例示的な実施形態の場合、合計18のディフューザ通路13
1,…,13
18が設けられる。示される18個のディフューザベーンは、各々の場合、全周方向領域に沿って互いから20°離間され、その結果、全周方向領域に沿って等距離に配置される。ディフューザベーンの各々は、ディフューザベーン6
18の場合は、
図2に示されるように、圧力側7および吸入側8を有する。ディフューザ通路13
1の中心は0°に位置し、ディフューザ通路13
6の中心は100°に位置し、ディフューザ通路13
10の中心は180°に位置し、ディフューザ通路13
14の中心は260°に位置する。ディフューザの下流に配置される螺旋状筐体21の螺旋状筐体舌部21aはディフューザ通路13
10のすぐ近傍に配置される。
【0038】
さらに、公知のディフューザの場合、各々の場合、2つの隣接するディフューザベーンの間に、
図2には示されない均圧開口が位置する。これは、ディフューザベーンの吸入側と、各々の場合は隣接するディフューザベーンの圧力側との間に設けられる。
【0039】
図2に示されるディフューザベーンはすべて同じプロファイルを有し、各々の場合、ベーン入口領域およびベーン出口領域を有する。
【0040】
図3は、公知のディフューザの2つの隣接するディフューザベーンの間の均圧開口の配置を示す見取り図である。この見取り図では、ディフューザベーン6
1および隣接するディフューザベーン6
2が示される。ディフューザベーンは両者とも、圧力側7および吸入側8を含有する。ディフューザベーンは両者とも、ベーン入口端縁9およびベーン出口端縁10をさらに含有する。
図3に示される均圧開口11はスロット状に形成され、ディフューザベーン6
1の吸入側8とディフューザベーン6
2の圧力側7との間に延在する。ディフューザ通路13
1は、両方のディフューザベーン6
1と6
2との間に延在する。均圧開口11は、喉部とも称される、ディフューザ通路13
1の最も狭い地点の領域の中に配置される。均圧開口11は、ディフューザ通路13
1をディフューザキャビティに流体的に接続し、キャビティはその下に配置されかつ波線で示され、ディフューザキャビティは、示される例示的な実施形態の場合は、環状チャネル15である。この環状チャネルは、ディフューザベーンリングの全周方向領域の周りに延在し、結果的に、ディフューザ通路13
1から13
18を、これらのディフューザ通路の均圧開口11を介して、互いに流体的に接続する。
【0041】
1つの代替的な実施形態は、各々のディフューザ通路に、それぞれの均圧開口11を介してそれぞれのディフューザ通路に接続される個々のディフューザキャビティを割当てることにある。
【0042】
別の代替的な実施形態は、スロット状ではなく円形に均圧開口11を形成することにある。
【0043】
図3に基づいて説明される実施形態に対し、本発明に従うディフューザのディフューザ通路には、各々の場合、ディフューザキャビティを介して互いに接続される少なくとも2つの循環開口が割当てられる。そして、ディフューザキャビティは、すべてのディフューザ通路またはディフューザ通路の一部のみに割当てられる、たとえば環状チャネルなどの結合ディフューザキャビティ、またはそれぞれのディフューザ通路に個々に割当てられるディフューザキャビティであることができる。
【0044】
ディフューザ通路に割当てられるいくつかの循環開口の位置決めの結果、上流に配置される位置への下流に配置される位置の接続、好ましくはそれぞれのディフューザ通路の最も狭い地点の上流に配置される位置へのそれぞれのディフューザチャネルの最も狭い地点の下流に配置される位置の接続がディフューザキャビティを介して行なわれる。ディフューザ通路に割当てられる循環開口のそのような位置決めの結果、各々の場合に下流に配置される循環開口によって、供給される流体がディフューザキャビティに排出され、各々の場合に上流に配置される循環開口によって、流体がディフューザキャビティからディフューザ通路に戻ることが達成され、これは、流れの断面を空気力学的に局所的に小さくし、流れの方向および速度に影響を及ぼす。シュラウド側、すなわち軸受筐体から遠ざかる方を向くディフューザの側でこの配置が具現化されると、循環開口の対応する位置決めによって、上流方向に延在するディフューザベーンの空気力学的拡張をこうして達成することができる。循環開口のそのような位置決めの場合、既存の圧力差をそれぞれ用いてディフューザキャビティを通る流体質量流を駆動する。
【0045】
これらの手段の結果、ディフューザ通路を過ぎて導通する質量流量および戻される質量流量によって、ディフューザの上流に配置される圧縮機の所望の回転速度特性曲線に従う自動調整がなされるということが有利に達成される。これは、圧縮機動作の安定化に繋がる。流体の戻りの結果、圧縮機のサージ限界が、より低い流体質量流量の方向に有利に変位し、流体の排出の結果、圧縮機のチョーク限界が、より高い流体質量流量の方向に変位する。これは、圧縮機の作動範囲の大きさの拡大に対応する。この場合、流体の流れの減速または消滅すらが、サージ限界とチョーク限界との間の範囲で生じることができ、これは、達成可能な最大効率の観点での利点を有する。
【0046】
発明の上述の利点をさらに高めるため、それぞれのディフューザ通路に割当てられる循環開口の数を増やすことができる。これは特に、記載される手段の安定化効果を増す。これは特に、記載される手段が少なくとも、ディフューザのシュラウド側および/またはストローク側での臨界流体流動の状況の発生を遅らせ、その結果、圧縮機の作動範囲を拡張することによるものである。
【0047】
ディフューザ通路の循環開口は、すべて同じ断面形態および同じ断面表面積を有することができる。これに代えて、ディフューザ通路に割当てられる循環開口は、異なる断面形態および/もしくは断面表面積ならびに/または異なる向きを有することも可能である。
【0048】
これらの循環開口およびそれらの互いに対する相対的な位置決めは、いずれにせよ、公知のディフューザの作動範囲と比較してディフューザの作動範囲が拡大するように、循環開口を通って流れる流体の流れが十分に大きくなるように構成されなければならない。
【0049】
たとえば、一実施形態は、流れの方向において互いから離間される循環開口の間隔を、ディフューザベーンのコード長の少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、または少なくとも35%になるように選択することにある。
【0050】
別の実施形態は、流れの方向に垂直な互いに隣接する循環開口の間隔を、互いに隣接する2つのディフューザベーンの間の間隔の少なくとも25%になるように選択することにある。
【0051】
さらなる実施形態は、少なくとも1つの動作点において、循環開口を通って循環する質量流の割合が全質量流の1%よりも大きいことにある。
【0052】
ディフューザ通路に割当てられる循環開口の可能な配置を示す見取り図を、
図4から
図13に基づいて以下により詳細に説明する。
【0053】
図4は、発明の第1の例示的な実施形態に従う循環開口を示す見取り図である。ディフューザベーン6
1およびそれに隣接するディフューザベーン6
2がこの見取り図に示される。ディフューザベーンは両者とも、圧力側7および吸入側8を含有する。ディフューザベーンは両者とも、ベーン入口端縁9およびベーン出口端縁10をさらに含有する。ディフューザ通路13
1は両方のディフューザベーン6
1と6
2との間に延在する。このディフューザ通路内に2つの循環開口11が設けられ、そのうち一方がディフューザ通路の最も狭い地点12の上流に位置決めされ、他方がディフューザ通路の最も狭い地点12の下流に位置決めされる。流れの方向は矢印14で示される。循環開口11は両者とも、ディフューザベーン6
1の吸入側8とディフューザベーン6
2の圧力側7との間に配置される。
【0054】
循環開口11は両者とも環状チャネルとして形成され、すべてのディフューザ通路に共通のディフューザキャビティによって互いに流体的に接続される。この環状チャネルは、ディフューザベーンリングの全周方向領域の周りに延在し、その結果、ディフューザ通路131から1318を、これらのディフューザ通路の循環開口11を介して互いに流体的に接続する。
【0055】
図5は、発明の第2の例示的な実施形態に従う循環開口を示す見取り図である。この第2の例示的な実施形態は、各々のディフューザ通路に、このディフューザ通路に割当てられる両方の循環開口11を介してディフューザ通路に流体的に接続される、
図5で破線で示される個々のディフューザキャビティ16が割当てられている点において、
図4に示される第1の例示的な実施形態とは異なる。この第2の例示的な実施形態の場合も、ディフューザ通路に割当てられる2つの循環開口11は、流れの方向において異なる位置に配置され、一方の循環開口はディフューザ通路の最も狭い地点の下流に配置され、他方の循環開口はディフューザ通路の最も狭い地点の上流に配置される。次に、循環開口11は両者とも、2つの隣接するディフューザベーンの間であって実際にはベーン入口半径円25によって定められるベーン入口領域とベーン出口半径円26によって定められるベーン出口領域との間の領域に配置される。
【0056】
図6は
、第3の例示的な実施形態に従う循環開口を示す見取り図である。この第3の例示的な実施形態の場合、流れの方向において互いに隣り合って配置される2つの循環開口11がディフューザ通路の最も狭い地点12の上流に設けられる一方で、ディフューザ通路の最も狭い地点12の下流には循環開口11は設けられない。これらの循環開口11は次に、
図6には示されないディフューザキャビティによって互いに流体的に接続される。循環開口11は、この例示的な実施形態の場合も、2つの隣接するディフューザベーンの間であって実際にはベーン入口半径円25によって定められるベーン入口領域とベーン出口半径円26によって定められるベーン出口領域との間の領域に配置される。
【0057】
図7は、発明の第4の例示的な実施形態に従う循環開口を示す見取り図である。この第4の例示的な実施形態の場合、ディフューザ通路の最も狭い地点12の上流に3つの循環開口11が設けられる一方で、ディフューザ通路の最も狭い地点12の下流に2つの循環開口11が設けられる。これらの合計5つの循環開口11は次に、
図7には示されないディフューザキャビティによって互いに流体的に接続される。すべての5つの循環開口11は次に、2つの隣接するディフューザベーンの間であって実際にはベーン入口半径円25によって定められるベーン入口領域とベーン出口半径円26によって定められるベーン出口領域との間の領域に配置される。
【0058】
図8は、発明の第5の例示的な実施形態に従う循環開口を示す見取り図である。この第5の例示的な実施形態の場合、2つの循環開口11がディフューザ通路の最も狭い地点12の上流に設けられる一方で、ディフューザ通路の最も狭い地点12の下流に3つの循環開口11が設けられる。これらの合計5つの循環開口11は次に、
図8には示されないディフューザキャビティによって互いに流体的に接続される。ディフューザ通路の最も狭い地点12の上流に配置される2つの循環開口11は、この例示的な実施形態の場合、流れの方向においてディフューザ通路の入口の手前に位置決めされ、この入口は、ベーン入口半径円25によって定められる。ディフューザ通路の最も狭い地点12の下流に配置される3つの循環開口11は、2つの隣接するディフューザベーンの間であって実際にはディフューザ通路の最も狭い地点12とベーン出口半径円26によって定められるベーン出口領域との間の領域に配置される。
【0059】
図9は、発明の第6の例示的な実施形態に従う循環開口を示す見取り図である。この第6の例示的な実施形態の場合、2つの循環開口11がディフューザ通路の最も狭い地点12の上流に設けられる一方で、ディフューザ通路の最も狭い地点12の下流に循環開口11が1つだけ設けられる。これらの合計3つの循環開口11は次に、
図9に示されないディフューザキャビティによって互いに流体的に接続される。この例示的な実施形態の場合、ディフューザ通路の最も狭い地点12の上流に配置される2つの循環開口11のうち、一方の循環開口が流れの方向においてディフューザ通路の入口の手前に配置され、この入口は、ベーン入口半径円25によって定められ、他方の循環開口は2つの隣接するディフューザベーンの間であってベーン入口領域とディフューザ通路の最も狭い地点12との間の領域に配置される。ディフューザ通路の最も狭い地点12の下流に配置される循環開口11は、2つの隣接するディフューザブレードの間であって実際にはディフューザ通路の最も狭い地点12とベーン出口半径円26によって定められるベーン出口領域との間の領域に配置される。
【0060】
図10は、発明の第7の例示的な実施形態に従う循環開口を示す見取り図である。この第7の例示的な実施形態の場合、2つの循環開口11はディフューザ通路の最も狭い地点12の上流に設けられる一方で、ディフューザ通路の最も狭い地点12の下流には循環開口は設けられない。これらの2つの循環開口11は次に、
図11には示されないディフューザキャビティによって互いに流体的に接続される。この例示的な実施形態の場合、ディフューザ通路の最も狭い地点12の上流に配置される循環開口11は両者とも、2つの隣接するディフューザベーンの間であって実際にはベーン入口半径円25によって定められるベーン入口領域とディフューザ通路の最も狭い地点12との間の領域に位置決めされる。
【0061】
図11は、発明の第8の例示的な実施形態に従う循環開口を示す見取り図である。この第8の例示的な実施形態の場合、2つの循環開口11がディフューザ通路の最も狭い地点12の上流に設けられる一方で、ディフューザ通路の最も狭い地点12の下流には循環開口が設けられない。これらの2つの循環開口11は次に、
図11に示されないディフューザキャビティによって互いに流体的に接続される。この例示的な実施形態の場合、ディフューザ通路の最も狭い地点の上流に配置される2つの循環開口11のうち、一方の循環開口は流れの方向においてディフューザ通路の入口の手前に位置決めされ、この入口はベーン入口半径円25によって定められ、他方の均圧開口は、2つの隣接するディフューザベーンの間であって実際にはベーン入口半径円25によって定められるベーン入口領域とディフューザ通路の最も狭い地点12との間の領域に位置決めされる。
【0062】
図12は、発明の第9の例示的な実施形態に従う循環開口を示す見取り図である。この第9の例示的な実施形態の場合、1つの循環開口11がディフューザ通路13の最も狭い地点12の上流に設けられる。同様に、1つの循環開口11がディフューザ通路13の最も狭い地点12の下流に設けられる。ディフューザ通路13の最も狭い地点12の上流に配置される循環開口11は、流れの方向14においてディフューザ通路13の入口の手前に配置され、入口はベーン半径入口円25によって定められる。ディフューザ通路13の最も狭い地点12の下流に配置される循環開口11は、流れの方向14においてディフューザ通路13の出口の後方に配置され、出口はベーン出口半径円26によって定められる。
【0063】
図13は、発明の第10の例示的な実施形態に従う循環開口を示す見取り図である。この第10の例示的な実施形態の場合、2つの循環開口11がディフューザ通路13の最も狭い地点12の上流に設けられる。1つの循環開口11がディフューザ通路13の最も狭い地点12の下流に設けられる。ディフューザ通路13の最も狭い地点12の上流に配置される2つの循環開口11の一方は、流れの方向14においてディフューザ通路13の入口の手前に配置され、入口はベーン入口半径円25によって定められる。ディフューザ通路13の最も狭い地点12の上流に配置される2つの循環開口11の他方は、2つのディフューザベーン6の間のディフューザ通路13に配置される。ディフューザ通路13の最も狭い地点12の下流に配置される循環開口11は、流れの方向14においてディフューザ通路13の出口の後方に配置され、出口はベーン出口半径円26によって定められる。
【0064】
上述のすべての例示的な実施形態で用いることができる発明の有利なさらなる発展例は、環状チャネルとして形成される結合ディフューザキャビティを二次流体源に接続することにある。この二次流体源によって与えられる流体を用いて、必要な場合、流体で環状チャネルを濯ぐことができる。その結果、環状チャネルおよび循環開口を塞ぐ可能性がある、油分含有吸気による炭化からの潜在的な堆積物および残留物を環状チャネルおよびしたがって循環開口からも洗い落とすことができる。
【0065】
発明の1つの代替的な実施形態は、たとえばディフューザの流通チャネルの螺旋状舌部側出口の近傍など、たとえば動作の際に近傍で不安定性が発生する可能性があるディフューザベーンリングの周方向領域に配置されるディフューザ通路などの或るディフューザ通路に循環開口を単に割当てることにある。
【0066】
発明の1つの有利な実施形態は、ディフューザのシュラウド側側壁にディフューザキャビティを1つ/複数と循環開口とを設けることにある。
【0067】
発明のさらなる有利な実施形態は、ディフューザの側壁を少なくとも部分的に発散するように具現化することにある。
【0068】
発明のさらなる有利な実施形態は、プロファイルが異なるディフューザベーンを用いることにある。
【0069】
発明のさらなる有利な実施形態は、ディフューザベーンを回転させることによってディフューザ通路の入力角度を変えることにある。
【0070】
発明のさらなる実施形態は、循環開口を有する各々のディフューザ通路に別個のディフューザキャビティを割当てることにある。このディフューザキャビティは、単純な接続線であることができる。
【0071】
さらなる実施形態は、ディフューザキャビティを介して、たとえば、ディフューザ通路の最も狭い地点の上流に配置される循環開口を、最も狭い地点の下流のすぐ隣接するディフューザ通路に割当てられる循環開口に接続するなど、ディフューザ通路に割当てられる循環開口を、異なるディフューザ通路に割当てられる循環開口に、好ましくは隣接するディフューザ通路に割当てられる循環開口に、流体的に接続することにある。
【符号の説明】
【0072】
参照番号の一覧
1 遠心圧縮機
2 ディフューザ
3 流通チャネル
4 ディフューザの第1の側壁
5 ディフューザの第2の側壁
6 ディフューザベーン
61,…,618 ディフューザベーン
7 ディフューザベーンの圧力側
8 ディフューザベーンの吸入側
9 ベーン入口端縁
10 ベーン出口端縁
11 循環開口
12 喉部;ディフューザ通路の最も狭い地点
13 ディフューザ通路
131,…,1318 ディフューザ通路
14 流れの方向
15 結合ディフューザキャビティ;環状チャネル
16 個々のディフューザキャビティ
17 シャフト
18 圧縮機ホイール
19 ハブ
20 圧縮機ホイールベーン
21 螺旋状筐体
21a 螺旋状筐体舌部
22 入口筐体
23 ディフューザチャネルの螺旋状筐体側出口
24 軸受筐体
25 ベーン入口半径円
26 ベーン出口半径円