(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】耐亀裂性ケイ素系平坦化組成物、方法、及びフィルム
(51)【国際特許分類】
C08L 83/04 20060101AFI20231027BHJP
C08K 5/5419 20060101ALI20231027BHJP
H01L 21/312 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
C08L83/04
C08K5/5419
H01L21/312 C
(21)【出願番号】P 2020532959
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(86)【国際出願番号】 US2018066139
(87)【国際公開番号】W WO2019126105
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-10
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ホアン、ホンミン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、ヘレン シャオ
【審査官】今井 督
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/195508(WO,A1)
【文献】特開2010-080658(JP,A)
【文献】特表2010-538143(JP,A)
【文献】特開2010-018776(JP,A)
【文献】特開2012-134302(JP,A)
【文献】特表2018-509510(JP,A)
【文献】特開2009-227910(JP,A)
【文献】国際公開第2007/072750(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/00- 83/16
C08K 3/00- 13/08
H01L 21/00- 21/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスの表面を平坦化するための組成物であって、
メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランおよびフェニルトリエトキシシランからなるモノマーから形成されるポリシロキサン樹脂
からなるケイ素系材料と、
少なくとも1つの溶媒と、
触媒と、
一般式:
【化1】
による化合物を含む架橋剤と、を含み、
式中、Rが、脂肪族含有基であり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6が、各々独立して、H、又は置換若しくは非置換の炭素を有するアルキル基からなる群から選択される、組成物。
【請求項2】
架橋剤が、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、及び1-(トリエトキシシリル)-2-(ジエトキシメチルシリル)エタンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
架橋剤が、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミンからなる、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
架橋剤の濃度が、組成物の0.01重量%~5重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1つの溶媒が、乳酸エチル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エタノール、イソプロピルアルコール、及びn-ブチルアセテートのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
触媒が、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムアセテート、セチルトリメチルアンモニウムアセテート、及びテトラメチルアンモニウムニトレートのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
さらに界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
平坦化組成物を製造するための方法であって、
ケイ素系材料を1つ以上の溶媒中に溶解してケイ素系材料溶液を形成することであって、前記ケイ素系材料が、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランおよびフェニルトリエトキシシランからなるモノマーから形成されるポリシロキサン樹脂
からなる、形成することと、
触媒を前記ケイ素系材料溶液に添加することと、
架橋剤を前記ケイ素系材料溶液に添加することと、を含み、前記架橋剤が、一般式:
【化2】
による化合物を含み、
式中、Rが、脂肪族含有基であり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6が、各々独立して、H、又は置換若しくは非置換の炭素を有するアルキル基からなる群から選択される、方法。
【請求項9】
架橋剤が、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、及び1-(トリエトキシシリル)-2-(ジエトキシメチルシリル)エタンのうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
架橋剤が、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミンからなる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
触媒が、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムアセテート、セチルトリメチルアンモニウムアセテート、及びテトラメチルアンモニウムニトレートのうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
架橋剤の濃度が、組成物の0.01重量%~5重量%である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
半導体デバイス用の平坦化フィルムであって、
メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランおよびフェニルトリエトキシシランからなるモノマーから形成されるポリシロキサン樹脂
からなる硬化ケイ素系ポリマーと、
触媒の残渣と、
架橋剤の残渣と、を含み、前記架橋剤の前記残渣が、一般式:
【化3】
による化合物の残渣を含み、
式中、Rが、脂肪族含有基であり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6が、各々独立して、H、又は置換若しくは非置換の炭素を有するアルキル基からなる群から選択される、平坦化フィルム。
【請求項14】
架橋剤の残渣が、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、及び1-(トリエトキシシリル)-2-(ジエトキシメチルシリル)エタンのうちの少なくとも1つの残渣を含む、請求項13に記載の平坦化フィルム。
【請求項15】
触媒の残渣が、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムアセテート、セチルトリメチルアンモニウムアセテート、及びテトラメチルアンモニウムニトレートのうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の平坦化フィルム。
【請求項16】
平坦化フィルムが3マイクロン以上である半導体デバイスの一部分にわたる膜厚を有する、請求項13に記載の平坦化フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦化材料に関し、具体的には、半導体及びディスプレイを製造するための平坦化誘電材料に関する。
【背景技術】
【0002】
先進の半導体製造において、例えば、マイクロプロセッサ、メモリデバイス、及び発光ダイオードを採用するディスプレイについては、デバイスの表面上にスピンコーティングされて、デバイス構造間の深い空間又は間隙を充填し、後続のデバイス層処理に適した比較的平坦な表面を提供することができる誘電材料が必要とされている。
【0003】
6マイクロメートルの深さ又はより深いトレンチを有する先進の半導体デバイスの平坦化を提供する誘電材料の平坦化の改善が望まれている。このような誘電体材料は、400℃を超える温度にさらされたときでも、このような厚さでの耐亀裂性があることが重要である。また、このような誘電体材料が高い光透過率を有することは、光電子用途にとって重要である。また、誘電材料は、400℃を超える温度にさらされたとき、熱的に安定であるべきである。
【発明の概要】
【0004】
半導体デバイス表面を平坦化するための組成物は、ケイ素系材料と、一般式:
【化1】
によるシロキサン化合物を含む架橋剤と、を含み、
式中、Rは、脂肪族含有基であり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6は、各々独立して、H、又は置換若しくは非置換の炭素を有するアルキル基からなる群から選択される。
【0005】
様々な実施形態は、半導体デバイスを平坦化するための組成物に関する。組成物は、ケイ素系材料と、少なくとも1つの溶媒と、触媒と、架橋剤と、を含む。ケイ素系材料は、シロキサン、シルセスキオキサン、ポリシロキサン、ポリシルセスキオキサン、及びポリシロキサン樹脂のうちの少なくとも1つを含む。架橋剤は、一般式:
【化2】
によるシロキサン化合物を含み、
式中、Rは、脂肪族含有基であり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6は、各々独立して、H、又は置換若しくは非置換の炭素を有するアルキル基からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、架橋剤は、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、及び1-(トリエトキシシリル)-2-(ジエトキシメチルシリル)エタンのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの更なる実施形態では、架橋剤は、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミンからなる。いくつかの実施形態では、ケイ素系材料は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びフェニルトリメトキシシランのうちの少なくとも1つを含むモノマーから形成されたポリシロキサン樹脂を含む。いくつかの更なる実施形態では、ポリシロキサン樹脂は、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、及びフェニルトリエトキシシランからなるモノマーから形成される。いくつかの実施形態では、架橋剤の濃度は、組成物の0.1重量%~5重量%である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの溶媒は、乳酸エチル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エタノール、イソプロピルアルコール、及びn-ブチルアセテートのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、触媒は、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムアセテート、セチルトリメチルアンモニウムアセテート、及びテトラメチルアンモニウムニトレートのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、界面活性剤を更に含む。
【0006】
様々な実施形態は、平坦化組成物の製造方法に関する。本方法は、ケイ素系材料を1つ以上の溶媒中に溶解してケイ素系材料溶液を形成することと、触媒をケイ素系材料溶液に添加することと、架橋剤をケイ素系材料溶液に添加することと、を含む。ケイ素系材料は、シロキサン、シルセスキオキサン、ポリシロキサン、ポリシルセスキオキサン、及びポリシロキサン樹脂のうちの少なくとも1つを含む。架橋剤は、一般式:
【化3】
によるシロキサン化合物を含み、
式中、Rは、脂肪族含有基であり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6は、各々独立して、H、又は置換若しくは非置換の炭素を有するアルキル基からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、架橋剤は、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、及び1-(トリエトキシシリル)-2-(ジエトキシメチルシリル)エタンのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの更なる実施形態では、架橋剤は、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミンからなる。いくつかの実施形態では、ケイ素系材料は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びフェニルトリメトキシシランのうちの少なくとも1つを含むモノマーから形成されたポリシロキサン樹脂を含む。いくつかの更なる実施形態では、ポリシロキサン樹脂は、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、及びフェニルトリエトキシシランからなるモノマーから形成される。いくつかの実施形態では、触媒は、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムアセテート、セチルトリメチルアンモニウムアセテート、及びテトラメチルアンモニウムニトレートのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、架橋剤の濃度は、組成物の0.1重量%~5重量%である。
【0007】
様々な実施形態は、半導体デバイス用の平坦化フィルムに関する。平坦化フィルムは、硬化ケイ素系ポリマーと、触媒の残渣と、架橋剤の残渣と、を含む。ポリマーは、ポリシロキサン、ポリシルセスキオキサン、及びポリシロキサン樹脂のうちの少なくとも1つを含む。架橋剤の残渣は、一般式:
【化4】
によるシロキサン化合物の残渣を含み、
式中、Rは、脂肪族含有基であり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6は、各々独立して、H、又は置換若しくは非置換の炭素を有するアルキル基からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、架橋剤の残渣は、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、及び1-(トリエトキシシリル)-2-(ジエトキシメチルシリル)エタンのうちの少なくとも1つの残渣を含む。いくつかの実施形態では、触媒の残渣は、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムアセテート、セチルトリメチルアンモニウムアセテート、及びテトラメチルアンモニウムニトレートのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、平坦化フィルムは、6マイクロメートル超である半導体デバイスの一部分にわたるフィルム厚を有する。
【0008】
添付の図面を考慮して、本発明の実施形態についての以下の記載を参照することによって、本発明の上述及び他の特性、並びにそれらを達成する様式がより明らかになり、本発明自体がより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】平坦化される表面微細構造を示す半導体デバイスの一部分の概略断面図である。
【0010】
【
図2】本開示の実施形態による平坦化フィルムによる表面微細構造の平坦化を示す、
図1の半導体デバイスの一部分の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態は、以下に記載するケイ素系材料及び架橋剤を含む組成物を採用して、マイクロプロセッサ、メモリデバイス、及び発光ダイオードを採用するディスプレイ又は他の種類のディスプレイなどの半導体デバイスの表面上にコーティングし、半導体デバイス表面を平坦化することができる。コーティングは、例えば、スピンコーティング又はスロットコーティングによって適用することができる。本開示の実施形態による硬化組成物によって形成された平坦化フィルムは、400℃を超える温度にさらされたときでも、6マイクロメートル超の厚さで優れた耐亀裂性を示すことが分かった。本開示の実施形態による硬化組成物によって形成された平坦化フィルムは、高い強度及び高い光透過性を示すことが分かった。本開示の実施形態による硬化組成物によって形成された平坦化フィルムは、400℃を超える温度にさらされたときに熱的に安定であることも分かった。
【0012】
図1は、平坦化される表面微細構造を示す半導体デバイスの一部分の概略断面図である。
図1は、基板12及び少なくとも1つの表面特徴部14を含む半導体デバイス10を示す。基板12は、例えば、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミニウム、銅、又は半導体デバイスにとって望ましい様々な厚さ及び配置の様々な層内の任意の他の材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、表面特徴部14は、基板12の中に形成されたトレンチであり得る。
【0013】
表面特徴部14は、幅W及び深さDを有するものとして記載され得る。いくつかの実施形態では、表面特徴部14の深さDは、0.01マイクロメートル、0.1マイクロメートル、0.5マイクロメートル、又は1マイクロメートルほど浅いか、3マイクロメートル、5マイクロメートル、10マイクロメートル、100マイクロメートルほど深くてもよい。いくつかの実施形態では、表面特徴部14の深さDは、0.01マイクロメートル~100マイクロメートル、0.1マイクロメートル~10マイクロメートル、0.5マイクロメートル~5マイクロメートル、又は1マイクロメートル~3マイクロメートルの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、表面特徴部14の幅Wは、0.01マイクロメートル、0.1マイクロメートル、1マイクロメートル、10マイクロメートルほど小さいか、又は50マイクロメートル、100マイクロメートル、500マイクロメートル、1000マイクロメートルほど大きくてもよい。いくつかの実施形態では、表面特徴部14の幅Wは、0.01マイクロメートル~1000マイクロメートル、0.1マイクロメートル~500マイクロメートル、1マイクロメートル~100マイクロメートル、又は10マイクロメートル~50マイクロメートルの範囲であり得る。
【0014】
図2は、本開示の実施形態による、平坦化フィルム16による表面特徴部14の平坦化を示す、
図1の半導体デバイス10の一部分の概略断面図である。
図2は、本開示の実施形態による、ケイ素系材料及び架橋剤組成物から平坦化フィルム16を形成した後の半導体デバイス10を示す。平坦化フィルム16は、表面特徴部14を充填して、実質的に平坦な表面18を提供し、その上に後続のデバイス層(図示せず)を形成することができる。いくつかの実施形態では、平坦化フィルム16は、6マイクロメートル超である半導体デバイスの一部分にわたる厚さTを有することができる。
【0015】
図1及び
図2は、本開示の実施形態による、平坦化フィルム16を形成することができる一例を示す。本開示の実施形態による平坦化フィルム16は、導電性、非導電性、及び半導体材料の異なる配置を伴う多くの他の微細構造上で形成することができることが理解される。説明を容易にするために、1つの表面特徴部14のみを
図1及び
図2に示す。しかし、実施形態は複数の表面特徴部14を含み得ることが理解される。
【0016】
平坦化フィルム16は、後述のように、例えば、ケイ素系材料、少なくとも1つの溶媒、触媒、及び架橋剤を含む組成物をスピンコーティング又はスロットコーティングにより、半導体デバイス10の少なくとも一部分をコーティングすることによって形成することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、界面活性剤を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、組成物は下記のように、ケイ素系材料、少なくとも1つの溶媒、触媒、界面活性剤、及び架橋剤を含む組成物から本質的になる。
【0017】
いくつかの実施形態では、ケイ素系材料としては、シロキサン、シルセスキオキサン、ポリシロキサン、又はポリシルセスキオキサン、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、ケイ素系樹脂としては、例えば、メチルシロキサン、メチルシルセスキオキサン、フェニルシロキサン、フェニルシルセスキオキサン、メチルフェニルシロキサン、メチルフェニルシルセスキオキサン、ジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ポリフェニルシルセスキオキサン、ポリフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシルセスキオキサン、ポリメチルシロキサン、又はポリメチルシルセスキオキサン、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、ケイ素系材料としては、更に又はあるいは、Techneglas(Perrysburg,Ohio)から入手可能なガラス樹脂ポリシロキサン樹脂のうちの1つ以上などの1つ以上のポリシロキサン樹脂を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリシロキサン樹脂は、1つ以上のケイ素系モノマーの限定的な加水分解及び縮合反応から形成されたケイ素系オリゴマーである。いくつかの実施形態では、ケイ素系モノマーとしては、メチルトリメトキシシラン(MTMOS)、メチルトリエトキシシラン(MTEOS)、ジメチルジエトキシシラン(DMDEOS)、フェニルトリエトキシシラン(PTEOS)、ジメチルジメトキシシラン、若しくはフェニルトリメトキシシラン、又はこれらの任意の組み合わせなどのSi-C結合を有するオルガノアルコキシシランを含み得る。いくつかの実施形態では、ケイ素系モノマーとしては、テトラエチルオルトケイ酸(TEOS)などのSi-C結合を欠くオルガノアルコキシシランを含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、組成物中のケイ素系材料の濃度は、組成物の総重量の5重量パーセント(重量%)、10重量%、20重量%、若しくは30重量%ほど低いか、又は40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、若しくは80重量%ほど高いか、又は前述の値のうちのいずれか2つによって定義される任意の範囲内であり得、例えば、いくつかの実施形態では、組成物中のケイ素系材料の濃度は、組成物の総重量の5重量%~80重量%、10重量%~60重量%、若しくは20重量%~40重量%の範囲であり得る。
【0020】
少なくとも1つの溶媒としては、グリコールエーテル、グリコールエーテルアセテート、n-ブチルアセテート、ケトン、又はアルコールなどの単一の溶媒を含み得る。グリコールエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールプロピルエーテル又はプロピレングリコールメチルエーテルを含み得る。グリコールエーテルアセテートとしては、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、2-エトキシエチルアセテート、又は2-メトキシエチルアセテートを含み得る。ケトンは、例えば、アセトン又はジエチルケトンを含み得る。アルコールとしては、例えば、イソプロピルアルコール、ブタノール、又はエタノールを含み得る。他の実施形態では、少なくとも1つの溶媒は、前述の溶媒のうちの2つ以上の混合物を含む。
【0021】
架橋剤は、一般式:
式I:
【化5】
によるシロキサン化合物を含み、
式中、Rは、脂肪族含有基であり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6は、各々独立して、H、又は置換若しくは非置換の炭素を有するアルキル基からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Rは、脂肪族基である。
【0022】
例えば、いくつかの実施形態では、架橋剤としては、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、若しくは1-(トリエトキシシリル)-2-(ジエトキシメチルシリル)エタン、又はこれらの任意の組み合わせであり得る。このような架橋剤は、高分子量鎖と低分子量オリゴマーとを連結する可能性がより大きい、高い官能性を有する。いかなる理論に束縛されることを望むものではないが、上記の架橋剤を含まない場合、高分子量鎖は、直接架橋し、高温曝露後に高い応力を蓄積する剛性構造を生成すると考えられる。更に、十分に結合されていない低分子量オリゴマーは、フィルム中の高い応力の蓄積により、コーティングがより弱く、より亀裂が生じる可能性が高いと考えられる。高官能性架橋剤は、より多くの位置で高分子量鎖と一緒に結合して、更なる強度を提供する一方で、架橋剤の脂肪族含有基は、鎖間に可撓性を提供して、フィルム応力を低減する。高官能性架橋剤はまた、鎖延長剤として作用する低分子量オリゴマーのより多くに結合して、フィルムの分子量を増やし、フィルム強度を高める。したがって、本開示の実施形態による平坦化フィルムは、6マイクロメートルを超える厚さであっても、400℃を超える温度にさらされた後であっても、亀裂に耐えることが可能である。
【0023】
いくつかの実施形態では、組成物中の架橋剤の濃度は、組成物の総重量の0.01重量%、0.1重量%、0.4重量%、0.6重量%、若しくは0.8重量%ほど低いか、又は1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、若しくは5重量%ほど高いか、又は前述の値のうちのいずれか2つによって定義される任意の範囲内であり得、例えば、いくつかの実施形態では、組成物中の架橋剤の濃度は、組成物の総重量の0.01重量%~5重量%、0.1重量%~4重量%、0.4重量%~3重量%、0.6重量%~2重量%、0.8重量%~1重量%、又は0.4重量%~0.8重量%の範囲であり得る。
【0024】
触媒としては、例えば、テトラメチルアンモニウムアセテート(TMAA)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラブチルアンモニウムアセテート(TBAA)、セチルトリメチルアンモニウムアセテート(CTAA)、テトラメチルアンモニウムニトレート(TMAN)、トリフェニルアミン、トリオクチルアミン、トリドデシルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルホスホニウムアセテート、テトラメチルホスホニウムヒドロキシド、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラントリフラート、及びこれらの任意の組み合わせを含み得る。このような触媒は、組成物が半導体デバイス10に適用された後に、熱によって活性化されて、組成物の重合及び架橋を引き起こし、平坦化フィルム16を形成することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、組成物は、界面活性剤を更に含むことができる。界面活性剤は、剥離(striations)を更に低減することができ、これは、組成物がより大きい直径の半導体デバイスウェハ又はディスプレイ基板上にスピンコーティングされるとき、特に有用であり得ることが分かった。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、BYK-Chemie(Wesel,Germany)から入手可能なBYK(登録商標)-306又はBYK(登録商標)-307などのポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン界面活性剤であり得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、組成物中の界面活性剤の濃度は、組成物の総重量の0.01重量%、0.1重量%、0.4重量%、0.6重量%、若しくは0.8重量%ほど低いか、又は1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、若しくは20重量%ほど高いか、又は前述の値のうちのいずれか2つによって定義される任意の範囲内であり得、例えば、いくつかの実施形態では、組成物中の界面活性剤の濃度は、組成物の総重量の0.01重量%~20重量%、0.1重量%~15重量%、0.4重量%~10重量%、0.6重量%~5重量%、又は0.8重量%~1重量%の範囲であり得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、組成物は、高温で揮発又は分解して組成物の安定化を助けることができる有機酸を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、有機酸としては、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、ギ酸、若しくは酢酸、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、有機酸の濃度は、組成物の総重量の0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、若しくは0.4重量%ほど小さいか、又は0.5重量%、0.6重量%、0.8重量%、若しくは1重量%ほど大きいか、又は前述の値のうちのいずれか2つによって定義される任意の範囲内であり得、例えば、いくつかの実施形態では、組成物中の有機酸の濃度は、組成物の総重量の0.1重量%~1重量%、0.2重量%~0.8重量%、0.3重量%~0.6重量%、又は0.4重量%~0.5重量%の範囲であり得る。
【0028】
本開示の実施形態による平坦化組成物の製造方法は、上記のようなケイ素系材料を提供することと、ケイ素系材料を1つ以上の溶媒中に溶解してケイ素系材料溶液を形成することと、を含み得る。ケイ素系材料の溶解は、ケイ素系材料を1つ以上の溶媒中で1~4時間混合することによって促進することができる。上記の架橋剤及び上記の触媒は、ケイ素系材料溶液に添加することができる。ケイ素系材料溶液を、もう数時間、例えば3時間撹拌して、組成物を形成することができる。次いで、組成物は、0.1マイクロメートルのフィルタを通して濾過され得る。
【0029】
使用中、本開示の実施形態による平坦化組成物は、例えばスピンコーティングによって半導体デバイス10(
図1)に適用することができる。次いで、コーティングされたデバイス10は、約160℃~約180℃の範囲の温度で焼成して、少なくとも1つの溶媒の実質的に全てを追い出し、未硬化のフィルムを形成することができる。少なくとも1つの溶媒が実質的に追い出されると、触媒が熱によって活性化され、ケイ素系材料と架橋剤とを重合及び架橋することによってフィルムを硬化し、平坦化フィルム16を形成することができる。架橋剤及び触媒の残渣は、硬化後に残存し得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、平坦化フィルム16は、250℃、260℃、280℃、300℃、若しくは350℃ほどの低い温度か、又は400℃、410℃、420℃、430℃、440℃、若しくは450℃ほどの高い温度か、又は前述の温度のいずれか2つの間の任意の温度で、硬化され得る。例えば、いくつかの実施形態では、平坦化フィルム16は、250℃~450℃、260℃~440℃、280℃~430℃、300℃~420℃、又は350℃~410℃の範囲の温度で硬化され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、平坦化フィルム18は、BYK(登録商標)-307などのポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン界面活性剤の残渣を含む、上記の実施形態のうちのいずれかによる界面活性剤残渣を更に含み得る。
【0032】
本発明は、例示的な設計に対するものとして説明したが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内で更に修正することができる。更に、本出願は、本発明が関連する技術分野における既知の又は慣習的な実践に属する本開示からのそのような逸脱を包含することが意図されている。
【実施例】
【0033】
比較例-PTSRE50C平面化組成物
PTSRE50Cは、Honeywell Electronic Materials(Santa Clara,California)から入手した平坦化組成物である。PTSRE50Cは、約0.15モル%のポリ(ジメチルシロキサン)ブロックと共に、3:1のモル比のポリ(メチルシルセスキオキサン)ブロックとポリ(フェニルシルセスキオキサン)ブロックとを含むポリ(シルセスキオキサン)樹脂を含み、触媒及び界面活性剤を含む平坦化組成物である。
【0034】
濾過した平坦化組成物を、スピンコーティングによって3つの4インチケイ素ウェハ上に、2つは1,000RPMで、1つは720RPMでコーティングした。キャストフィルムを有するウェハを、空気周囲中の連続する2枚のホットプレート(160℃の表面温度を有する第1のホットプレート及び180℃の表面温度を有する第2のホットプレート)上でそれぞれ60秒間焼成して、溶媒を蒸発させた。ウェハのそれぞれが、第2のコーティングを受け、それぞれ第1のコーティングと同じ速度で回転させ、上記のようにホットプレート上で再度焼成した。1,000RPMでコーティングした2つのウェハのうちの1つ及び720RPMでコーティングしたウェハは、第3のコーティングを受け、それぞれ第1のコーティングと同じ速度で回転させ、上記のようにホットプレート上で再度焼成した。焼成したコーティングの厚さをウェハのそれぞれについて測定し、1,000RPMでの二重コーティングについては34,368Å、1,000RPMでの三重コーティングについては52,646Å、及び720RPMでの三重コーティングについては63,992Åであることが分かった。焼成したコーティングを有する3つのウェハを、窒素周囲中で、410℃で30分間硬化させた。硬化したコーティングを、光学顕微鏡及び走査電子顕微鏡によって亀裂について検査した。最も薄いコーティングを有するウェハ上では、硬化したコーティングの亀裂は観察されなかった。より厚いコーティングを有する他の2つのウェハ上では、亀裂が観察された。
実施例1-GR150F/GR950F平面化組成物
【0035】
200mLのフラスコ内で、BK-Chemieから入手した10gのBYK(登録商標)-307界面活性剤を90gのエタノールに添加し、室温で1時間撹拌して、10重量%の界面活性剤溶液を調製した。別の200mLフラスコ内で、0.5gのテトラブチルアンモニウムニトレート(TBAA)触媒を24.5gの脱イオン水に添加し、室温で1時間撹拌し、その後、0.305gのトリフルオロ酢酸を添加し、混合物をもう1時間撹拌して、2重量%のTBAA触媒溶液を調製した。別の200mLフラスコ内で、11.4gのトリフルオロ酢酸及びMomentive Performance Materials(Waterford,New York)から入手した34.15gのSilquest(登録商標)A-1170(ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミン)架橋剤を54.4gのPGMEAに添加し、室温で1時間撹拌して、架橋剤溶液を調製した。別の200mLフラスコ内で、Techneglas(Perrysburg,Ohio)から入手した45.0gのGR150F樹脂を55.0gのPGMEAに添加し、室温で1時間撹拌して、GR150F樹脂溶液を形成した。GR150は、約0.3モル%のポリ(ジメチルシロキサン)ブロックを有する等モル量のポリ(メチルシルセスキオキサン)ブロック及びポリ(フェニルシルセスキオキサン)ブロックを含むポリ(シルセスキオキサン)樹脂である。別の200mLフラスコ内で、Techneglas(Perrysburg,Ohio)から入手した50.0gのGR950F樹脂を45.0gのPGMEAに添加し、室温で1時間撹拌して、GR950F樹脂溶液を形成した。GR950Fは、ポリ(フェニルシルセスキオキサン)樹脂である。別の200mLフラスコ内で、1.48gの10重量%界面活性剤溶液、2.25gのTBAA触媒溶液、及び0.45gの架橋剤溶液を、20gのPGMEAと共に、50gのGR150F溶液及び45gのGR950F溶液に添加し、室温で3時間撹拌して、平坦化組成物を形成した。平坦化組成物を0.1マイクロメートルのフィルタを通して濾過した。
【0036】
濾過した平坦化組成物を、1,500回転/分(RPM)でスピンコーティングすることにより、4インチケイ素ウェハ上にコーティングした。キャストフィルムを有するウェハを、空気周囲中の連続する2枚のホットプレート(160℃の表面温度を有する第1のホットプレート及び180℃の表面温度を有する第2のホットプレート)上でそれぞれ60秒間焼成して、溶媒を蒸発させた。均一なコーティングを得た。
実施例2-GR650F平面化組成物
【0037】
100mLのフラスコ内で、0.5gのテトラメチルアンモニウムニトレート(TMAN)触媒を24.5gの脱イオン水に添加し、室温で1時間撹拌して、2重量%のTMAN触媒溶液を調製した。別の200mLフラスコ内で、Techneglas(Perrysburg,Ohio)から入手した45.0gのGR650F樹脂を55.0gのPGMEAに添加し、室温で1時間撹拌して、GR650F樹脂溶液を形成した。GR650Fは、ポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂である。別の200mLフラスコ内で、上記のように調製した0.25gの10重量%界面活性剤溶液、0.023gのTMAN触媒溶液、及び上記のように調製した0.45gの架橋剤溶液を、20gのGR650F樹脂溶液に添加し、室温で3時間撹拌して、平坦化組成物を形成した。平坦化組成物を0.1マイクロメートルのフィルタを通して濾過した。
【0038】
濾過した平坦化組成物を、1,500RPMでスピンコーティングすることにより、4インチケイ素ウェハ上にコーティングした。キャストフィルムを有するウェハを、空気周囲中の連続する2枚のホットプレート(160℃の表面温度を有する第1のホットプレート及び180℃の表面温度を有する第2のホットプレート)上でそれぞれ60秒間焼成して、溶媒を蒸発させた。均一なコーティングを得た。
実施例3-PTSRE50C平面化組成物
【0039】
50mLフラスコ内で、0.06gのSilquest(登録商標)A-1170(ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミン)架橋剤を、20gのPTSRE50Cに添加し、室温で1時間撹拌して、平坦化組成物を形成した。平坦化組成物を0.1マイクロメートルのフィルタを通して濾過した。
【0040】
濾過した平坦化組成物を、1,000RPMでスピンコーティングすることにより、4インチケイ素ウェハ上にコーティングした。キャストフィルムを有するウェハを、空気周囲中の連続する2枚のホットプレート(160℃の表面温度を有する第1のホットプレート及び180℃の表面温度を有する第2のホットプレート)上でそれぞれ60秒間焼成して、溶媒を蒸発させた。焼成したコーティングの厚さを測定し、40,164Åであることが分かった。焼成したコーティングを有するウェハを、窒素周囲中で、410℃で30分間硬化させた。硬化したコーティングを、光学顕微鏡及び走査電子顕微鏡によって亀裂について検査した。硬化したコーティングの亀裂は観察されなかった。
実施例4-PTSRE50C平面化組成物
【0041】
200mLフラスコ内で、34.15gのSilquest(登録商標)A-1170(ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミン)架橋剤を、11.4gのトリフルオロ酢酸及び54.5gのPGMEAを添加し、室温で1時間撹拌して、架橋剤溶液を形成した。100mLのフラスコ内で、0.6gの架橋剤溶液を、20gのPTSRE50Cに添加し、室温で1時間撹拌して、平坦化組成物を形成した。平坦化組成物を0.1マイクロメートルのフィルタを通して濾過した。
【0042】
濾過した平坦化組成物を、スピンコーティングによって3つの4インチケイ素ウェハ上に、2つは1,500RPMで、1つは1,000RPMでコーティングした。キャストフィルムを有するウェハを、空気周囲中の連続する2枚のホットプレート(160℃の表面温度を有する第1のホットプレート及び180℃の表面温度を有する第2のホットプレート)上でそれぞれ60秒間焼成して、溶媒を蒸発させた。1,500RPMでコーティングした2つのウェハのうちの1つ及び1,000RPMでコーティングしたウェハは、第2のコーティングを受け、それぞれ第1のコーティングと同じ速度で回転させ、上記のようにホットプレート上で再度焼成した。焼成したコーティングの厚さをウェハのそれぞれについて測定し、1,500RPMでの一重コーティングについては14,100Å、1,500RPMでの二重コーティングについては27,723Å、及び1,000RPMでの三重コーティングについては34,451Åであることが分かった。焼成したコーティングを有する3つのウェハを、窒素周囲中で、410℃で30分間硬化させた。硬化したコーティングを、光学顕微鏡及び走査電子顕微鏡によって亀裂について検査した。ウェハのいずれにも、硬化したコーティングの亀裂は観察されなかった。
実施例5-PTSRE50C平面化組成物
【0043】
100mLのフラスコ内で、0.06gのSilquest(登録商標)A-1170(ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミン)架橋剤及び11.4gのトリフルオロ酢酸を、20gのPTSRE50Cに添加し、室温で1時間撹拌して、平坦化組成物を形成した。平坦化組成物を0.1マイクロメートルのフィルタを通して濾過した。
【0044】
濾過した平坦化組成物を、1,000RPMでスピンコーティングすることにより、2つの4インチケイ素ウェハ上にコーティングした。キャストフィルムを有するウェハを、空気周囲中の連続する2枚のホットプレート(160℃の表面温度を有する第1のホットプレート及び180℃の表面温度を有する第2のホットプレート)上でそれぞれ60秒間焼成して、溶媒を蒸発させた。これらのウェハのうちの一方を、窒素周囲中で、410℃で30分間硬化させ、もう一方を窒素周囲中で、410℃で24時間硬化させた。焼成したコーティングの厚さをウェハのそれぞれについて測定し、30分間硬化させたウェハについては31,740Å、24時間硬化させたウェハについては31,456Åであることが分かった。硬化したコーティングを、光学顕微鏡及び走査電子顕微鏡によって亀裂について検査した。30分間硬化させたウェハ上では、硬化したコーティングの亀裂は観察されなかった。24時間硬化させたウェハ上では、亀裂が観察された。
実施例6-PTSRE50C平面化組成物
【0045】
100mLフラスコ内で、0.06gの1,4-ビス-(トリエトキシシリル)メタン架橋剤を、30gのPTSRE50Cに添加し、室温で1時間撹拌して、平坦化組成物を形成した。平坦化組成物を0.1マイクロメートルのフィルタを通して濾過した。
【0046】
濾過した平坦化組成物を、1,300RPMでスピンコーティングすることにより、3つの4インチケイ素ウェハ上にコーティングした。キャストフィルムを有するウェハを、空気周囲中の連続する2枚のホットプレート(160℃の表面温度を有する第1のホットプレート及び180℃の表面温度を有する第2のホットプレート)上でそれぞれ60秒間焼成して、溶媒を蒸発させた。4つのウェハのそれぞれが、上記のように、第2のコーティング及びホットプレート焼成を受けた。ウェハのうちの3つはそれぞれ、上記のように、第3のコーティング及びホットプレート焼成を受けた。第3のコーティングを有する3つのウェハのうちの2つは、上記のように、第4のコーティング及びホットプレート焼成を受けた。第4のコーティングを有する2つのウェハのうちの1つは、上記のように、第5のコーティング及びホットプレート焼成を受けた。焼成したコーティングの厚さをウェハのそれぞれについて測定し、二重コーティングについては29,863Å、三重コーティングについては45,855Å、四重コーティングについては61,995Å、五重コーティングでは82,229Åであることが分かった。焼成したコーティングを有する4つのウェハを、窒素周囲中で、410℃で30分間硬化させた。硬化したコーティングを、光学顕微鏡及び走査電子顕微鏡によって亀裂について検査した。二重、三重、又は四重のコーティングを有するウェハ上では、硬化コーティングの亀裂は観察されなかった。五重コーティングを有するウェハ上では、硬化したコーティングの亀裂が観察された。
実施例7-PTSRE50C平面化組成物
【0047】
100mLフラスコ内で、0.12gの1,4-ビス-(トリエトキシシリル)メタン架橋剤を、30gのPTSRE50Cに添加し、室温で1時間撹拌して、平坦化組成物を形成した。平坦化組成物を0.1マイクロメートルのフィルタを通して濾過した。
【0048】
濾過した平坦化組成物を、1,300RPMでスピンコーティングすることにより、3つの4インチケイ素ウェハ上にコーティングした。キャストフィルムを有するウェハを、空気周囲中の連続する2枚のホットプレート(160℃の表面温度を有する第1のホットプレート及び180℃の表面温度を有する第2のホットプレート)上でそれぞれ60秒間焼成して、溶媒を蒸発させた。4つのウェハのそれぞれが、上記のように、第2のコーティング及びホットプレート焼成を受けた。ウェハのうちの3つはそれぞれ、上記のように、第3のコーティング及びホットプレート焼成を受けた。第3のコーティングを有する3つのウェハのうちの2つは、上記のように、第4のコーティング及びホットプレート焼成を受けた。第4のコーティングを有する2つのウェハのうちの1つは、上記のように、第5のコーティング及びホットプレート焼成を受けた。焼成したコーティングの厚さをウェハのそれぞれについて測定し、二重コーティングについては29,863Å、三重コーティングについては45,855Å、四重コーティングについては61,995Å、五重コーティングでは82,229Åであることが分かった。焼成したコーティングを有する4つのウェハを、窒素周囲中で、410℃で30分間硬化させた。硬化したコーティングを、光学顕微鏡及び走査電子顕微鏡によって亀裂について検査した。二重、三重、又は四重のコーティングを有するウェハ上では、硬化コーティングの亀裂は観察されなかった。五重コーティングを有するウェハ上では、硬化したコーティングの亀裂が観察された。
実施例8-PTSRE50C平面化組成物
【0049】
100mLフラスコ内で、0.30gの1,4-ビス-(トリエトキシシリル)メタン架橋剤を、30gのPTSRE50Cに添加し、室温で1時間撹拌して、平坦化組成物を形成した。平坦化組成物を0.1マイクロメートルのフィルタを通して濾過した。
【0050】
濾過した平坦化組成物を、1,300RPMでスピンコーティングすることにより、3つの4インチケイ素ウェハ上にコーティングした。キャストフィルムを有するウェハを
、空気周囲中の連続する2枚のホットプレート(160℃の表面温度を有する第1のホットプレート及び180℃の表面温度を有する第2のホットプレート)上でそれぞれ60秒
間焼成して、溶媒を蒸発させた。4つのウェハのそれぞれが、上記のように、第2のコーティング及びホットプレート焼成を受けた。ウェハのうちの3つはそれぞれ、上記のよう
に、第3のコーティング及びホットプレート焼成を受けた。第3のコーティングを有する3つのウェハのうちの2つは、上記のように、第4のコーティング及びホットプレート焼
成を受けた。第4のコーティングを有する2つのウェハのうちの1つは、上記のように、第5のコーティング及びホットプレート焼成を受けた。焼成したコーティングの厚さをウ
ェハのそれぞれについて測定し、二重コーティングについては29,443Å、三重コーティングについては44,628Å、四重コーティングについては59,910Å、五重
コーティングでは80,674Åであることが分かった。焼成したコーティングを有する4つのウェハを、窒素周囲中で、410℃で30分間硬化させた。硬化したコーティング
を、光学顕微鏡及び走査電子顕微鏡によって亀裂について検査した。二重、三重、又は四重のコーティングを有するウェハ上では、硬化コーティングの亀裂は観察されなかった。五重コーティングを有するウェハ上では、硬化したコーティングの亀裂が観察された。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1]
半導体デバイスの表面を平坦化するための組成物であって、
シロキサン、シルセスキオキサン、ポリシロキサン、ポリシルセスキオキサン、及びポリシロキサン樹脂のうちの少なくとも1つを含むケイ素系材料と、
少なくとも1つの溶媒と、
触媒と、
一般式:
【化6】
によるシロキサン化合物を含む架橋剤と、を含み、
式中、Rが、脂肪族含有基であり、R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、R
5
、及びR
6
が、各々独立して、H、又は置換若しくは非置換の炭素を有するアルキル基からなる群から選択される、組成物。
[2]
前記架橋剤が、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、及び1-(トリエトキシシリル)-2-(ジエトキシメチルシリル)エタンのうちの少なくとも1つを含む、[1]に記載の組成物。
[3]
前記ケイ素系材料が、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びフェニルトリメトキシシランのうちの少なくとも1つを含むモノマーから形成されたポリシロキサン樹脂を含む、[1]に記載の組成物。
[4]
前記触媒が、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムアセテート、セチルトリメチルアンモニウムアセテート、及びテトラメチルアンモニウムニトレートのうちの少なくとも1つを含む、[1]に記載の組成物。
[5]
平坦化組成物を製造するための方法であって、
ケイ素系材料を1つ以上の溶媒中に溶解してケイ素系材料溶液を形成することであって、前記ケイ素系材料が、シロキサン、シルセスキオキサン、ポリシロキサン、ポリシルセスキオキサン、及びポリシロキサン樹脂のうちの少なくとも1つを含む、形成することと、
触媒を前記ケイ素系材料溶液に添加することと、
架橋剤を前記ケイ素系材料溶液に添加することと、を含み、前記架橋剤が、一般式:
【化7】
によるシロキサン化合物を含み、
式中、Rが、脂肪族含有基であり、R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、R
5
、及びR
6
が、各々独立して、H、又は置換若しくは非置換の炭素を有するアルキル基からなる群から選択される、方法。
[6]
前記架橋剤が、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、及び1-(トリエトキシシリル)-2-(ジエトキシメチルシリル)エタンのうちの少なくとも1つを含む、[5]に記載の方法。
[7]
前記ケイ素系材料が、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びフェニルトリメトキシシランのうちの少なくとも1つを含むモノマーから形成されたポリシロキサン樹脂を含む、[5]に記載の方法。
[8]
前記触媒が、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムアセテート、セチルトリメチルアンモニウムアセテート、及びテトラメチルアンモニウムニトレートのうちの少なくとも1つを含む、[5]に記載の方法。
[9]
半導体デバイス用の平坦化フィルムであって、
ポリシロキサン、ポリシルセスキオキサン、及びポリシロキサン樹脂のうちの少なくとも1つを含む硬化ケイ素系ポリマーと、
触媒の残渣と、
架橋剤の残渣と、を含み、前記架橋剤の前記残渣が、一般式:
【化8】
によるシロキサン化合物の残渣を含み、
式中、Rが、脂肪族含有基であり、R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、R
5
、及びR
6
が、各々独立して、H、又は置換若しくは非置換の炭素を有するアルキル基からなる群から選択される、平坦化フィルム。
[10]
前記架橋剤の前記残渣が、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、及び1-(トリエトキシシリル)-2-(ジエトキシメチルシリル)エタンのうちの少なくとも1つの残渣を含む、[9]に記載の平坦化フィルム。