(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】表示基板およびその製造方法、表示パネルおよび表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20231027BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231027BHJP
H05B 33/04 20060101ALI20231027BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20231027BHJP
H05B 33/06 20060101ALI20231027BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20231027BHJP
【FI】
G09F9/30 309
G09F9/00 338
H05B33/04
H05B33/10
H05B33/06
H10K50/844
(21)【出願番号】P 2020533780
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(86)【国際出願番号】 CN2019079620
(87)【国際公開番号】W WO2019192348
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】201810291817.7
(32)【優先日】2018-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】511121702
【氏名又は名称】成都京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1188,Hezuo Rd.,(West Zone),Hi-tech Development Zone,Chengdu,Sichuan,611731,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲呂▼ 浩▲銘▼
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107017277(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0311409(US,A1)
【文献】特開2015-180930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 - 9/46
H05B 33/00 - 33/28
H05B 44/00
H05B 45/60
H10K 50/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域と、前記表示領域の周囲に配置された非表示領域とを有し、
ベース基板(01)および前記ベース基板(01)の片側に配置されたバリア構造(02)を含み、前記バリア構造(02)は、前記非表示領域内に配置され、前記バリア構造(02)は、金属材料で作製されて
おり、
前記非表示領域は、前記表示領域をそれぞれ取り囲む第1環状領域および第2環状領域を含み、前記第1環状領域は、前記第2環状領域の前記表示領域から離れた側にはめ込まれ、前記バリア構造(02)は、前記第1環状領域内に配置され、前記バリア構造(02)と前記第2環状領域内に配置された膜層構造(03)との間に隙間があり、前記膜層構造(03)は、前記ベース基板上に順次配置された、第1絶縁層(M1)、第2絶縁層(M2)、ゲート金属配線(04)、第3絶縁増(M3)、ソースドレイン金属配線(05)、第4絶縁層(M4)、フレキシブル材料層(06)、およびパッケージ層(M7)を含み、前記バリア構造(02)およびゲート金属配線(04)は、同じ層に間隔をあけて配置され、前記バリア構造(02)は、間隔をあけて配置された複数の閉じた環状構造(021)を含み、前記複数の閉じた環状構造(021)は、中心点を共有し、かつ等間隔で配置されている、
表示基板。
【請求項2】
前記
複数の閉じた環状構造(021)は、
各々、前記表示領域を取り囲んでいる、
請求項1に記載の表示基板。
【請求項3】
前記バリア構造(02)の作製材料と前記ゲート金属配線の作製材料は、同じである、
請求項
1に記載の表示基板。
【請求項4】
前記バリア構造(02)の作製材料は、モリブデンを含む、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の表示基板。
【請求項5】
有機発光ダイオードOLED表示基板または量子ドット発光ダイオードQLED表示基板である、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の表示基板。
【請求項6】
表示領域と前記表示領域の周囲に配置された非表示領域とを有する表示基板の製造方法であって、
ベース基板を提供することと、
金属材料を用いて、前記ベース基板上の前記非表示領域内にバリア構造を形成することと、
を含
み、
前記非表示領域は、前記表示領域をそれぞれ取り囲む第1環状領域および第2環状領域を含み、前記第1環状領域は、前記第2環状領域の前記表示領域から離れた側にはめ込まれ、前記バリア構造は、前記第1環状領域内に配置され、前記第2環状領域内に配置された膜層構造との間に隙間があり、前記膜層構造は、前記ベース基板上に順次配置された、第1絶縁層、第2絶縁層、ゲート金属配線、第3絶縁増、ソースドレイン金属配線、第4絶縁層、フレキシブル材料層、およびパッケージ層を含み、前記バリア構造およびゲート金属配線は、同じ層に間隔をあけて配置され、前記バリア構造は、間隔をあけて配置された複数の閉じた環状構造を含み、前記複数の閉じた環状構造は、中心点を共有し、かつ等間隔で配置されている、
表示基板の製造方法。
【請求項7】
前記金属材料を用いて、前記ベース基板上の前記非表示領域内にバリア構造を形成することは、
前記金属材料を用いて、パターニングプロセスによって、前記ベース基板の前記非表示領域内に少なくとも1つの閉じた環状構造を形成し
、前記
少なくとも1つの閉じた環状構造は、
各々、前記表示領域を取り囲んでいること、
を含む、
請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前
記金属材料を用いて、パターニングプロセスによって、前記ベース基板の前記非表示領域内に少なくとも1つの閉じた環状構造を形成することは、
前記金属材料を用いて、前記パターニングプロセスによって、前記ベース基板の前記非表示領域内に、間隔をあけて
前記複数
の閉じた環状構造を形成すること、
を含む、
請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記非表示領域は、前記表示領域をそれぞれ取り囲む第1環状領域および第2環状領域を含み、前記第1環状領域は、前記第2環状領域の前記表示領域から離れた側にはめ込まれ、
前記金属材料を用いて、前記ベース基板上の前記非表示領域内にバリア構造を形成することは、
前記金属材料を用いて、一次パターニングプロセスによって、前記ベース基板上の前記第1環状領域内に前記バリア構造を形成し、前記ベース基板上の前記第2環状領域内に金属導電構造を形成し、前記バリア構造と前記金属導電構造との間に隙間があること、
を含む、
請求項
6から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前
記金属材料を用いて、一次パターニングプロセスによって、前記ベース基板上の前記第1環状領域内に前記バリア構造を形成し、前記ベース基板上の前記第2環状領域内に金属導電構造を形成することは、
前記金属材料を用いて、一次パターニングプロセスによって、前記ベース基板上の前記第1環状領域内に前記バリア構造を形成し、前記ベース基板上の前記第2環状領域内にゲート金属配線を形成し、前記バリア構造と前記ゲート金属配線との間に隙間があること、
を含む、
請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属材料を用いて、前記ベース基板上の前記非表示領域内にバリア構造を形成することは、
モリブデンを用いて、パターニングプロセスによって、前記ベース基板上の前記非表示領域内に前記バリア構造を形成すること、
を含む、
請求項
6から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から
5のいずれか一項に記載の表示基板を含む表示パネル。
【請求項13】
請求項
12に記載の表示パネルを含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は表示技術の分野に属し、特に表示基板およびその製造方法、表示パネルおよび表示装置に関するものである。
【0002】
本開示は、2018年04月03日に提出された出願番号第201810291817.7号、発明の名称「表示基板およびその製造方法、表示装置」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容を参照により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0003】
表示基板は、表示技術の分野における自律発光や受動発光が可能な製品である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施例は、表示基板およびその製造方法、表示パネルおよび表示装置を提供する。
【0005】
一側面において、表示領域と、前記表示領域の周囲に配置された非表示領域とを有し、 ベース基板および前記ベース基板の片側に配置されたバリア構造を含み、前記バリア構造は、前記非表示領域内に配置され、前記バリア構造は、金属材料で作製されている、表示基板に関する。
【0006】
選択肢の一つとして、前記バリア構造は、少なくとも1つの閉じた環状構造を含み、各前記閉じた環状構造は、いずれも前記表示領域を取り囲んでいる。
【0007】
選択肢の一つとして、前記バリア構造は、間隔をあけて配置された複数の前記閉じた環状構造を含む。
【0008】
選択肢の一つとして、複数の前記閉じた環状構造は、等間隔に配置されている。
【0009】
選択肢の一つとして、前記非表示領域は、前記表示領域をそれぞれ取り囲む第1環状領域および第2環状領域を含み、前記第1環状領域は、前記第2環状領域の前記表示領域から離れた側にはめ込まれ、
【0010】
前記バリア構造は、前記第1環状領域内に配置され、前記第2環状領域内に配置された膜層構造との間に隙間がある。
【0011】
選択肢の一つとして、前記第2環状領域内に配置された金属導電構造をさらに含み、前記バリア構造と前記金属導電構造は、同じ層に配置され、前記バリア構造の作製材料と前記金属導電構造の作製材料は、同じである。
【0012】
選択肢の一つとして、前記金属導電構造は、ゲート金属配線を含み、前記バリア構造と前記ゲート金属配線は、同じ層に配置され、前記バリア構造の作製材料と前記ゲート金属配線の作製材料は、同じである。
【0013】
選択肢の一つとして、前記バリア構造の作製材料は、モリブデンを含む。
【0014】
選択肢の一つとして、前記表示基板は、有機発光ダイオードOLED表示基板または量子ドット発光ダイオードQLED表示基板である。
【0015】
別の側面において、表示領域と前記表示領域の周囲に配置された非表示領域とを有する表示基板の製造方法であって、ベース基板を提供することと、金属材料を用いて、前記ベース基板上の前記非表示領域内にバリア構造を形成することと、を含む、表示基板の製造方法に関する。
【0016】
選択肢の一つとして、前記金属材料を用いて、前記ベース基板上の前記非表示領域内にバリア構造を形成することは、
【0017】
前記金属材料を用いて、パターニングプロセスによって、前記ベース基板の前記非表示領域内に少なくとも1つの閉じた環状構造を形成し、各前記閉じた環状構造は、いずれも前記表示領域を取り囲んでいること、
を含む。
【0018】
選択肢の一つとして、前記前記金属材料を用いて、パターニングプロセスによって、前記ベース基板の前記非表示領域内に少なくとも1つの閉じた環状構造を形成することは、前記金属材料を用いて、前記パターニングプロセスによって、前記ベース基板の前記非表示領域内に、間隔をあけて複数の前記閉じた環状構造を形成すること、を含む。
【0019】
選択肢の一つとして、前記非表示領域は、前記表示領域をそれぞれ取り囲む第1環状領域および第2環状領域を含み、前記第1環状領域は、前記第2環状領域の前記表示領域から離れた側にはめ込まれ、前記金属材料を用いて、前記ベース基板上の前記非表示領域内にバリア構造を形成することは、前記金属材料を用いて、一次パターニングプロセスによって、前記ベース基板上の前記第1環状領域内に前記バリア構造を形成し、前記ベース基板上の前記第2環状領域内に金属導電構造を形成し、前記バリア構造と前記金属導電構造との間に隙間があること、を含む。
【0020】
選択肢の一つとして、前記前記金属材料を用いて、一次パターニングプロセスによって、前記ベース基板上の前記第1環状領域内に前記バリア構造を形成し、前記ベース基板上の前記第2環状領域内に金属導電構造を形成することは、前記金属材料を用いて、一次パターニングプロセスによって、前記ベース基板上の前記第1環状領域内に前記バリア構造を形成し、前記ベース基板上の前記第2環状領域内にゲート金属配線を形成し、前記バリア構造と前記ゲート金属配線との間に隙間があること、を含む。
【0021】
選択肢の一つとして、前記金属材料を用いて、前記ベース基板上の前記非表示領域内にバリア構造を形成することは、モリブデンを用いて、パターニングプロセスによって、前記ベース基板上の前記非表示領域内に前記バリア構造を形成すること、を含む。
【0022】
また別の側面において、一側面に記載された表示基板を含む表示パネルに関する。
【0023】
さらに別の側面において、また別の側面に記載された表示パネルを含む表示装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の実施例による表示基板の概略構成図である。
【
図2】本開示の実施例による表示基板の平面図である。
【
図3】本開示の実施例による別の表示基板の平面図である。
【
図4】本開示の実施例による別の表示基板の概略構成図である。
【
図5】本開示の実施例による表示基板の製造方法のフローチャートである。
【
図6】本開示の実施例による別の表示基板の製造方法のフローチャートである。
【
図7】本開示の実施例によるゲート絶縁層を形成した後の概略図である。
【
図8】本開示の実施例による金属膜層を形成した後の概略図である。
【
図9】本開示の実施例によるフォトレジストを形成した後の概略図である。
【
図10】本開示の実施例によるフォトレジストを露光することを示す概略図である。
【
図11】本開示の実施例によるフォトレジストを現像した後の概略図である。
【
図12】本開示の実施例によるフォトレジストをエッチングした後の概略図である。
【
図13】本開示の実施例によるフォトレジストを剥離した後にバリア構造を形成することを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の目的、技術的手段および利点をより明確にするために、以下、図面を参照して本開示の実施形態をさらに詳しく説明する。
【0026】
有機発光ダイオード(organic light-emitting、OLED)表示基板は、自律発光が可能なフレキシブル表示基板である。発明者は、エッジにクラックダム(crack dam)が設けられたるOLED表示基板について知っている。当該クラックダムは、OLED表示基板のエッジに亀裂が生じたときに、亀裂がOLED表示基板の表示領域に延びるのを阻止するように構成されている。現在のOLED表示基板では、クラックダムは、一般に、酸化ケイ素や窒化ケイ素などで形成された無機誘電体層である。
【0027】
しかしながら、酸化ケイ素や窒化ケイ素を用いて作製した膜層の衝撃耐性が劣るため、OLED表示基板のエッジに外部からの衝撃や歪みが加わる場合、エッジに位置するクラックダムに亀裂が生じやすくなる。当該亀裂がOLED表示基板の第2環状領域に延びると、OLED表示基板のパッケージングが無効になる恐れがある。このとき、空気中の水蒸気や酸素などは、当該亀裂を通ってOLED表示基板の内部に侵入する可能性があり、内部の有機発光材料が失効し、さらにOLED表示基板上に黒点が発生してどんどん成長する(growing black spots、GDS)現象を引き起こし、表示基板の品質に影響を与える。
【0028】
図1は、本開示の実施例による表示基板の概略構成図である。
図1に示すように、当該表示基板は、表示領域Aと表示領域Aの周囲に配置された非表示領域Bとを有する。当該表示基板は、ベース基板01およびベース基板01の片側に配置されたバリア構造02を含む。当該バリア構造02は、クラックダムとも呼ばれる。
【0029】
図1を参照すると、バリア構造02は、非表示領域B内に配置される。バリア構造02は、金属材料で作製される。
【0030】
選択肢の一つとして、本開示の実施例による表示基板は、フレキシブル表示基板であってもよい。当該表示基板におけるベース基板はフレキシブル材料で作製することができる。例示的に、表示基板は、OLED表示基板または量子ドット発光ダイオード(quantum dot light emitting diodes、QLED)表示基板であってもよい。
【0031】
以上のように、本開示の実施例による表示基板において、非表示領域内に配置されたバリア構造は、金属材料で作製されている。金属材料の硬度が高く、延性がよく、耐衝撃性が高いので、表示基板のエッジに外部からの衝撃や歪みが加わる場合、バリア構造に亀裂が生じにくく、表示基板の内部構造が効果的に保護され、表示基板にGDS現象が発生するリスクが低減される。
【0032】
本開示の実施例では、バリア構造は、モリブデン(MO)を用いて作製でき、すなわちバリア構造の作製材料はモリブデンを含む。モリブデンの融点が高く、2620度(℃)に達することができ、モリブデンの化学安定性が良く、モリブデンの硬度と耐衝撃能力も高いので、モリブデンを用いてバリア構造を作製することにより、同時にバリア構造の構造安定性、硬度および耐衝撃能力を保証して、表示基板の内部構造の有効な保護を実現する。
【0033】
選択肢の一つとして、バリア構造は、少なくとも1つの閉じた環状構造を含み、即ち、バリア構造は、1つ以上の閉じた環状構造を含む。各閉じた環状構造は、いずれも表示領域を取り囲んでいる。
【0034】
例示的に、
図2は、本開示の実施例による表示基板の平面図である。
図2に示すように、バリア構造02は、1つの閉じた環状構造021を含む。また例示的に、
図3は、本開示の実施例による別の表示基板の平面図である。
図3に示すように、バリア構造02は、間隔をあけて配置された複数の閉じた環状構造021を含む。例えば、
図3において、バリア構造02は、間隔をあけて配置された3つの閉じた環状構造021を含む。
【0035】
選択肢の一つとして、閉じた環状構造の中心は表示領域の中心と重ね合わせてもよい。例示的に、
図3に示した表示基板において、間隔をあけて配置された複数の閉じた環状構造は、中心点を共有することができ、即ち、当該複数の閉じた環状構造の中心点は同じ点であってもよく、同じ点は表示領域の中心点である。
【0036】
選択肢の一つとして、バリア構造が間隔をあけて配置された複数の閉じた環状構造を含む場合、当該複数の閉じた環状構造は等間隔に配置されてもよく、即ち、任意の2つの隣接する閉じた環状構造の間隔は等しい。
【0037】
選択肢の一つとして、
図1を参照すると、非表示領域Bは、表示領域Aをそれぞれ取り囲む第1環状領域B1および第2環状領域B2を含む。第1環状領域B1は、第2環状領域B2の表示領域Aから離れた側にはめ込まれる。即ち、第2環状領域B2は、表示領域Aと第1環状領域B1との間に位置しており、表示領域Aは、第2環状領域B2で囲まれた領域内に位置している。ここで、表示領域Aと第2環状領域B2は、表示基板のパッケージ領域を共同で構成することができる。
【0038】
図1を参照すると、バリア構造02は、第1環状領域B1内に配置され、第2環状領域B2内に配置された膜層構造03との間に隙間がある。
【0039】
なお、第1環状領域内に配置されたバリア構造と第2環状領域内に配置された膜層構造との間に隙間があるため、表示基板のエッジに外部からの衝撃や歪みが加わってバリア構造に亀裂が生じた場合、バリア構造における亀裂が第2環状領域内に配置された膜層構造に延びることがなく、即ち、バリア構造における亀裂が表示基板のパッケージ領域における構造に影響を与えない。さらに、表示基板のパッケージングが無効になることを避けることができ、この結果、表示基板にGDS現象を引き起こすことを避け、表示基板の歩留まりと品質を向上させる。
【0040】
選択肢の一つとして、表示基板は、第2環状領域内に配置された金属導電構造をさらに含み、即ち、第2環状領域における膜層構造は、金属導電構造を含む。バリア構造と当該金属導電構造は、同じ層に配置され、かつ間隔をあけて配置されることができ、当該バリア構造の作製材料と当該金属導電構造の作製材料は、同じであり、即ち、バリア構造は、当該金属導電構造と同じ金属材料を用いて作製できる。
【0041】
なお、バリア構造と金属導電構造は、同じ層に配置されるため、一次パターニングプロセスによって、金属導電構造を形成し、金属導電構造と同じ層に配置されかつ間隔をあけて配置されたバリア構造を形成することができ、この結果、表示基板の製造コストの増加と製造プロセスの複雑さを避けることができる。
【0042】
選択肢の一つとして、第2環状領域内に配置された金属導電構造は、ゲート金属配線を含み、バリア構造とゲート金属配線は、同じ層に配置され、かつ間隔をあけて配置されても良い。ここで、ゲート金属配線と表示領域におけるゲートは、通常、同じ層で作製され、即ち、バリア構造とゲートは、同じ層に配置されてもよい。
【0043】
選択肢の一つとして、第2環状領域内に配置された金属導電構造は、ソースドレイン金属配線などの他の金属線層を含んでもよく、バリア構造と金属導電構造のいずれかの金属線層は、同じ層に配置されてもよく、本開示の実施例は、これについて限定しない。
【0044】
選択肢の一つとして、
図4は、本開示の実施例による別の表示基板の概略構成図である。ここで、
図4には、表示基板の非表示領域における膜層構造のみが示されている。
図4に示すように、表示基板の第2環状領域B2には、ベース基板01に順次配置された第1絶縁層M1、第2絶縁層M2、第1金属線層04、第3絶縁層M3、第2金属線層05、第4絶縁層M4、フレキシブル材料層06、パッケージ層07が含まれている。ここで、第1金属線層は、ゲート金属配線であってもよく、表示領域におけるゲートと同じ層に配置されてもよい。第2金属線層は、ソースドレイン金属配線であってもよく、表示領域におけるソースおよびドレインと同じ層に配置されてもよい。表示基板の第1環状領域B1にはバリア構造02が含まれる。バリア構造02と第1金属線層04または第2金属線層05は、同じ層に配置されてもよい。即ち、バリア構造02と第1金属線層04は、一次パターニングプロセスによって作製されることができる。または、バリア構造02と第2金属線層05は、一次パターニングプロセスによって作製されることができる。
【0045】
選択肢の一つとして、
図4に示した表示基板において、第1絶縁層は、全層構造であってもよいし、第2環状領域内のみに配置されてもよく、第2絶縁層は、全層構造であってもよいし、第2環状領域内のみに配置されてもよく、本開示の実施例は、これについて限定しない。
【0046】
以上のように、本開示の実施例による表示基板において、非表示領域内に配置されたバリア構造は、金属材料で作製されている。金属材料の硬度が高く、延性がよく、耐衝撃性が高いので、表示基板のエッジに外部からの衝撃や歪みが加わる場合、バリア構造に亀裂が生じにくく、表示基板の内部構造が効果的に保護され、表示基板にGDS現象が発生するリスクが低減される。また、第1環状領域内に配置されたバリア構造と第2環状領域内に配置された膜層構造との間に隙間があるため、表示基板のエッジに外部からの衝撃や歪みが加わってバリア構造に亀裂が生じた場合、バリア構造における亀裂が第2環状領域内に配置された膜層構造に延びることがなく、即ち、バリア構造における亀裂が表示基板のパッケージ領域における構造に影響を与えない。さらに、表示基板のパッケージングが無効になることを避けることができ、この結果、表示基板にGDS現象を引き起こすことを避け、表示基板の歩留まりと品質を向上させる。
【0047】
図5は、本開示の実施例による表示基板の製造方法のフローチャートである。当該表示基板は、表示領域と表示領域の周囲に配置された非表示領域とを有する。
図5に示すように、当該方法は以下のステップを含む。
【0048】
ステップ501において、ベース基板を提供する。
【0049】
本開示の実施例において、ベース基板は、膜層構造を作製するためのキャリアとして使用されている。選択肢の一つとして、当該ベース基板は、フレキシブルベース基板であってもよい。例えば、ベース基板は、ポリイミド(polyimide、PI)材料を用いて作製できる。
【0050】
ステップ502において、金属材料を用いて、ベース基板上の非表示領域内にバリア構造を形成する。
【0051】
選択肢の一つとして、表示基板の非表示領域は、表示領域をそれぞれ取り囲む第1環状領域および第2環状領域を含み、第1環状領域は、第2環状領域の表示領域から離れた側にはめ込まれる。バリア構造は、第1環状領域内に配置され、第2環状領域内に配置された膜層構造との間に隙間がある。また、第1環状領域におけるバリア構造と第2環状領域(または表示領域)における金属導電構造は、一次パターニングプロセスによって形成されることができる。
【0052】
以上のように、本開示の実施例による表示基板の製造方法において、金属材料を用いることにより、表示基板の非表示領域内にバリア構造を形成し、金属材料の硬度が高く、延性がよく、耐衝撃性が高いので、表示基板のエッジに外部からの衝撃や歪みが加わる場合、バリア構造に亀裂が生じにくく、表示基板の内部構造が効果的に保護され、表示基板にGDS現象が発生するリスクが低減される。
【0053】
選択肢の一つとして、上記のステップ502の実装プロセスは、金属材料を用いて、パターニングプロセスによって、ベース基板の非表示領域内に少なくとも1つの閉じた環状構造を形成し、各閉じた環状構造は、いずれも表示領域を取り囲んでいることを含む。選択肢の一つとして、金属材料を用いて、パターニングプロセスによって、ベース基板の非表示領域内に、間隔をあけて複数の閉じた環状構造を形成することができる。
【0054】
本開示の実施例において、非表示領域は、表示領域をそれぞれ取り囲む第1環状領域および第2環状領域を含むことができ、第1環状領域は、第2環状領域の表示領域から離れた側に位置し、これにより、上記のステップ502の実装プロセスは、金属材料を用いて、一次パターニングプロセスによって、ベース基板上の第1環状領域内にバリア構造を形成し、ベース基板上の第2環状領域内に金属導電構造を形成し、当該バリア構造と当該金属導電構造との間に隙間があることを含む。
【0055】
選択肢の一つとして、金属導電構造は、ゲート金属配線を含み、これにより、金属材料を用いて、一次パターニングプロセスによって、ベース基板上の第1環状領域内にバリア構造を形成し、ベース基板上の第2環状領域内にゲート金属配線を形成し、バリア構造とゲート金属配線との間に隙間がある。
【0056】
なお、一次パターニングプロセスによって、ベース基板上に金属導電構造およびバリア構造を形成し、表示基板の製造コストの増加と製造プロセスの複雑さを避けることができ、かつ、表示基板が効果的に保護され、表示基板の歩留まりを向上させることができる。
【0057】
選択肢の一つとして、金属材料は、モリブデンであってもよい。これにより、上記のステップ502の実装プロセスは、モリブデンを用いて、パターニングプロセスによって、ベース基板上の非表示領域内にバリア構造を形成する。モリブデンの硬度が高く、耐衝撃能力が高いので、モリブデンを用いてバリア構造を作製することにより、同時にバリア構造の構造安定性、硬度および耐衝撃能力を保証して、表示基板の内部構造の有効な保護を実現することができる。
【0058】
図6は、本開示の実施例による別の表示基板の製造方法のフローチャートである。ここで、金属導電構造がゲート金属配線である場合、すなわち、金属導電構造とゲート金属配線およびゲートが一次パターニングプロセスによって形成される場合を例にして、当該表示基板の製造プロセスを説明する。
図6に示すように、当該方法は以下のステップを含む。
【0059】
ステップ601において、ベース基板を提供する。
【0060】
本開示の実施例において、ベース基板は、膜層構造を作製するためのキャリアとして使用されている。選択肢の一つとして、当該ベース基板は、フレキシブルベース基板であってもよい。例えば、ベース基板は、PI材料を用いて作製できる。
【0061】
ステップ602において、ベース基板上にゲート絶縁層を形成する。
【0062】
選択肢の一つとして、物理蒸着(physical vapor deposition、PVD)の方法により、第1絶縁層M1が当該ベース基板01上に蒸着されることができ、当該第1絶縁層M1はゲート絶縁層であってもよい。
図7は、ゲート絶縁層M1が蒸着されたベース基板01の概略図である。
【0063】
ステップ603において、ゲート絶縁層が形成されたベース基板を洗浄する。
【0064】
選択肢の一つとして、ゲート絶縁層が形成された後、表示基板をフッ化水素酸(HF)溶液で洗浄することにより、表示基板の界面形態を改善することができる。
【0065】
ステップ604において、ゲート絶縁層が形成されたベース基板上に金属膜層を形成する。
【0066】
本開示の実施例において、当該ゲート絶縁層M1のベース基板01から離れた側に金属膜層Sを蒸着し続けることができる。例えば、マグネトロンスパッタリングによって、金属膜層Sを蒸着してもよい。当該金属膜層Sの材料は、モリブデンであってもよい。モリブデンの硬度が高く、化学性質が安定し、かつ耐衝撃能力が高い。
図8は、金属膜層Sが形成されたベース基板01の概略図である。
【0067】
ステップ605において、金属膜層にフォトレジストを塗布する。
【0068】
選択肢の一つとして、フォトレジストの材料は、感光樹脂材料であってもよい。
図9は、フォトレジストJが塗布されたベース基板01の概略図である。
【0069】
ステップ606において、フォトレジストが塗布されたベース基板を露光現像処理する。
【0070】
本開示の実施例において、紫外線を用いてマスクプレートYを介して当該ベース基板01を露光処理することができる。例示的に、
図10は、本開示の実施例によるフォトレジストを露光することを示す概略図である。
図10に示したマスクプレートYを用いて、当該ベース基板01を露光処理することができる。
図10には、当該マスクプレートYにおけるバリア構造を形成するための部分的な露光パターンのみが概略的に示されている。当該バリア構造が閉じた環状構造である場合、当該マスクプレートYにおけるバリア構造を形成するための露光パターンも閉じた環状となる。この後、当該露光されたベース基板01を現像液に入れて現像処理を行うことができる。
図11は、本開示の実施例によるフォトレジストを現像した後の概略図である。
【0071】
ステップ607において、金属膜層をエッチングし、フォトレジストを剥離して、ゲート金属パターンとバリア構造を形成する。
【0072】
ここで、ゲート金属パターンは、表示領域内にあるゲートおよび非表示領域(第2環状領域)内にあるゲート金属配線を含む。
【0073】
例示的に、
図12は、本開示の実施例によるフォトレジストをエッチングした後の概略図である。金属膜層04におけるフォトレジストで覆われていない部分をエッチングし、当該エッチングされた表示基板の概略構成図を
図12に示す。さらに、フォトレジストJを剥離することで、ゲート金属パターン(図示せず)とバリア構造を得ることができる。
図13は、本開示の実施例による表示基板の部分的な概略構成図である。
図13は、表示基板の非表示領域内に位置する部分的なバリア構造02を示している。当該バリア構造02は、環状であってもよい。
【0074】
本開示の実施例において、上記のステップ601~ステップ607の一次パターニングプロセス(バックプレーン製造(backplane process、BP)プロセスとも呼ばれる)により、ゲート金属パターンとバリア構造02を形成し、表示基板の製造コストの増加と製造プロセスの複雑さを避けることができ、かつ、当該バリア構造02が表示基板を効果的に保護することができる。
【0075】
なお、本開示の実施例による表示基板の製造方法のステップの順序は、適切に調整されてもよく、ステップは、状況に応じて増減されてもよい。当業者が本開示に開示された技術的範囲で容易に想定した変更および方法は、本開示の保護範囲内に含まれるべきであり、したがって、これ以上説明しない。
【0076】
以上のように、本開示の実施例による表示基板の製造方法において、金属材料を用いることにより、表示基板の非表示領域内にバリア構造を形成し、金属材料の硬度が高く、延性がよく、耐衝撃性が高いので、表示基板のエッジに外部からの衝撃や歪みが加わる場合、バリア構造に亀裂が生じにくく、表示基板の内部構造が効果的に保護され、表示基板にGDS現象が発生するリスクが低減される。また、第1環状領域内に配置されたバリア構造と第2環状領域内に配置された膜層構造との間に隙間があるため、表示基板のエッジに外部からの衝撃や歪みが加わってバリア構造に亀裂が生じた場合、バリア構造における亀裂が第2環状領域内に配置された膜層構造に延びることがなく、即ち、バリア構造における亀裂が表示基板のパッケージ領域における構造に影響を与えない。さらに、表示基板のパッケージングが無効になることを避けることができ、この結果、表示基板にGDS現象を引き起こすことを避け、表示基板の歩留まりと品質を向上させる。
【0077】
本開示の実施例は、
図1~
図4のいずれかに示す表示基板を含む表示パネルを提供する。当該表示パネルは、液晶パネル、電子ペーパー、OLEDパネル、アクティブマトリックスOLED(active matrix OLED)パネル、QLEDパネル、携帯電話、タブレットコンピュータ、テレビ、ディスプレイ、ノートパソコン、デジタルフォトフレーム、ナビゲーションなど、表示機能を備えたあらゆる製品または部品であってもよい。ここで、AMOLEDパネルは、フレキシブル表示パネルであってもよい。
【0078】
本開示の実施例は、上記表示パネルを含む表示装置を提供する。
【0079】
上記の説明は、本開示の選択可能な実施例であり、本開示を限定するものではない。本開示の精神および原則内でなされたいかなる変更、均等な効果を奏する構成への置換、および改良は、本開示の保護範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0080】
01 ベース基板
02 バリア構造
03 膜層構造
04 第1金属線層
05 第2金属線層
06 フレキシブル材料層
07 パッケージ層
021 環状構造