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特許7374105シリンジと保護アセンブリを備える注入システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】シリンジと保護アセンブリを備える注入システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20231027BHJP
   A61M 5/31 20060101ALI20231027BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20231027BHJP
   A61M 5/50 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
A61M5/32 510K
A61M5/31 530
A61M5/315 510
A61M5/50
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020544031
(86)(22)【出願日】2019-02-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2019053467
(87)【国際公開番号】W WO2019158538
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】18157458.3
(32)【優先日】2018-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック ペロー
(72)【発明者】
【氏名】サリム ボーヤイアオウィ
(72)【発明者】
【氏名】ギレス ベルネード
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/032989(WO,A2)
【文献】国際公開第2012/117837(WO,A1)
【文献】特表2008-536597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
A61M 5/315
A61M 5/31
A61M 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バレル(3)と、プランジャーロッド(6)と、および針(4)とを含むシリンジ(2)の保護アセンブリであって、軸(9)を有する保護アセンブリ(10)は
前記シリンジ(2)を受け入れるための本体(11)と、
前記本体(11)に対する軸方向の動きに関して前記バレル(3)にしっかりと接続されるように構成され、前記本体(11)の内部に配置されるカップリングデバイス(30)であって、前記カップリングデバイス(30)と前記プランジャーロッド(6)を軸方向に固定するために前記プランジャーロッド(6)と係合状態、または前記カップリングデバイス(30)と前記プランジャーロッド(6)が、互いに軸方向に自由である解放状態を構成される、取付け手段(32)を含む、カップリングデバイスと、備え、
前記カップリングデバイス(30)は、保管位置から、前記取付け手段(32)が前記係合状態にある第1の移動距離に沿って遠位に、前記針(4)が前記本体(11)を超えて延びる注入位置に、前記取付け手段(32)が前記解放状態に向かって移動することを自由とし、前記本体(11)内で軸方向に移動可能であり、前記注入位置から、安全位置に向かって近位に、前記取付け手段(32)が前記係合状態にある第2の移動距離に沿って、前記針(4)が前記本体(11)によって覆われ、
前記取付け手段(32)が、プランジャーロッド(6)と協働するように構成されたプランジャーロッド係合部分(33)を含み、
前記本体(11)は、前記カップリングデバイス(30)が前記保管位置から前記注入位置へ、および前記カップリングデバイス(30)が前記注入位置から前記保管位置へ移動するときから移動したとき、前記取付け手段(32)を前記係合状態に維持するように構成された保持手段(12)と、を備えることを特徴とする、保護アセンブリ(10)。
【請求項2】
前記取付け手段(32)が、外向きに偏向可能であることにより、前記係合状態から前記解放状態に弾性変形可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の保護アセンブリ。
【請求項3】
前記保持手段(12)は、前記取付け手段(32)が外向きに前記解放状態に向かって撓むのを防止する、前記係合状態にあるときに、前記取付け手段(32)に半径方向に隣接して配置された停止面を備える、ことを特徴とする請求項1および2に記載の保護アセンブリ。
【請求項4】
前記本体(11)は、前記カップリングデバイス(30)が前記注入位置であるとき、前記解放状態に向かって外向きに撓むための前記取付け手段(32)を可能にするための内側凹部(13)を含む、ことを特徴とする請求項2と組み合わせた、請求項2または3に記載の保護アセンブリ。
【請求項5】
前記注入位置にある前記本体(11)に対する前記カップリングデバイス(30)の遠位移動を防止するための遠位軸方向ブロック手段(18、83)をさらに備える、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の保護アセンブリ。
【請求項6】
前記カップリングデバイス(30)を前記本体(11)に対して前記注入位置から前記安全位置に向けて近位に付勢するように構成された付勢手段(21)をさらに備える、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の保護アセンブリ。
【請求項7】
前記本体(11)は、休止位置にあるとき、前記カップリングデバイス(30)の近位移動を防止し、前記保管位置から前記本体(11)に対して相対的であり、前記カップリングデバイス(30)が前記本体(11)に対して前記注入位置から前記安全位置に向かって、近位方向に前記保管位置を超えて移動できるように偏向できるように構成された近位歯(15)を含む、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の保護アセンブリ。
【請求項8】
前記安全位置にある前記カップリングデバイス(30)のブロック手段をさらに備え、好ましくは、
近位アバットメント(19)と、
-および/または、前記安全位置に向かって近位に移動するとき、前記カップリングデバイス(30)によって外側に偏向可能であり、内側に形成する遠位アバットメントを突出する少なくとも1つの安全アームと、を備える、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の保護アセンブリ。
【請求項9】
前記カップリングデバイス(30)は、カラー(61)であって、軸(9)について前記本体(11)に対して回転することができるカラー(61)と、前記カラー(61)とは異なり、前記カラー(61)から近位に配置され、前記取付け手段(32)を含む、リング(62)と、を備えることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の保護アセンブリ。
【請求項10】
前記本体(11)は、案内経路(70)を備え、前記カラー(61)が案内経路(70)に係合され、または逆の構成を含む、ラグ(64)を備え、前記案内経路(70)は、前記カップリングデバイス(30)が前記保管位置から前記注入位置に移動するときに前記ラグ(64)を案内するためのものであり、前記軸(9)に対して傾斜した第1の部分(81)と、前記カップリングデバイス(30)が前記注入位置から前記安全位置に移動するときに前記ラグ(64)を案内するためのものであり、前記軸(9)に平行である第2の部分(82)と、を備えることを特徴とする請求項9に記載の保護アセンブリ。
【請求項11】
前記本体(11)は、ユーザが自分の指を置くことができる外向きに延びるフランジ(60)を有する、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の保護アセンブリ。
【請求項12】
注入システム(1)であって、
バレル(3)と、プランジャーロッド(6)と、針(4)と、を含むシリンジ(2)と、請求項1から11のいずれか一項に記載の保護アセンブリ(10)と、前記カップリングデバイス(30)によって支持されている、前記バレル(3)と、を備えることを特徴とする注入システム(1)。
【請求項13】
前記プランジャーロッド(6)は、
前記カップリングデバイス(30)が前記保管位置から前記注入位置に移動するとき、前記取付け手段(32)と協働するように構成された第1の相補的取付け手段(41)と、
前記第1の相補的取付け手段(41)とは異なり、それらの近位に配置され、前記カップリングデバイス(30)が前記注入位置から前記安全位置に移動するとき、前記取付け手段(32)と協働するように構成される第2の相補的取付け手段(42)と、を含み、
記第1および/または第2の相補的な取付け手段(41、42)は、前記取付け手段(32)のプランジャーロッド係合部分(33)を受け入れるための空洞を備える、ことを特徴とする請求項12に記載の注入システム(1)。
【請求項14】
前記注入システム(1)は、前記カップリングデバイス(30)が前記注入位置から前記安全位置に向かって移動するとき、前記本体(11)の近位歯(15)を偏向するように構成される作動部材(43、44、32)を備える、ことを特徴とする、請求項12または請求項13に記載の注入システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の首部内のストッパをブロックすることを意図した、首部を備える容器用のキャップに関する。本発明は、特に、製品、例えば製品を抽出または再構成するためにストッパおよびキャップを完全に取り外す必要がある医薬品などのボトルに適したロックキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、シリンジのための保護アセンブリ、シリンジおよびそのような保護アセンブリを含む注入システム、およびそのような注入システムを操作するためのプロセスに関する。
【0003】
多発性硬化症または関節炎などのいくつかの病気は、毎日または毎週のように定期的に薬剤を患者に注入する必要がある。薬剤は、プレフィルドシリンジなどの事前充填薬剤配達デバイスの形で入手できる。
【0004】
通常、患者は自己注入するように訓練され、自分で薬剤の注入に取り掛かることが可能である。それにもかかわらず、注入システムは、患者にとって注入を容易にするために提供されている。
【0005】
したがって、注入システムは、注入が適切に実行されることを保証し、特に偶発的な針刺し損傷に関する安全性を高め、患者の不安を軽減することを目的としている。
【0006】
既知の注入システムは、一般的に満足できるものであるが、それらは常にユーザの期待のすべてを満たすとは限らない。特に、穿刺するステップと注入するステップを完了するために連続して異なる手の動きを必要とする場合は、使用がかなり難しい場合がある。その上、それらは、例えば注入が痛みを伴う場合など、一部の患者が望むかもしれない注入の停止を許可せず、完全な安全性と完全な注入の質の両方を確保しながら注入を再開する。
【0007】
したがって、自己注入をより簡単に、安全に、そして感情的に困難にすることのない改良された注入システムが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、第1の態様によれば、本発明は、バレルと、プランジャーロッドと、および針とを備えるシリンジのための保護アセンブリに関し、保護アセンブリは、軸を有し、
-シリンジを受け入れるための本体と、
-本体に対する軸方向の動きに関してバレルにしっかりと接続されるように構成される本体の内部に配置されたカップリングデバイスであって、カップリングデバイスとプランジャーロッドが互いに対して軸方向に自由である解放状態、またはカップリングデバイスとプランジャーロッドを軸方向に固定するために、プランジャーロッドと係合状態のいずれかになるように構成された取付け要素または取付け手段を含む、カップリングデバイスと、
カップリングデバイスは、本体内で軸方向に移動可能であり、
-取付け要素または取付け手段が係合状態にある第1の移動距離に沿った遠位の保管位置から、針が本体を超えて延び、取付け要素または取付け手段が解放状態で自由である注入位置まで移行し、
-注入位置から、針が本体によって覆われている近位な安全位置に向かって、取付け要素または取付け手段が係合状態にある第2の移動距離に沿っている、カップリングデバイスを備える。
【0009】
したがって、本発明により、患者は、シリンジを受け入れる本体を皮膚上に配置し、注入プロセス全体にわたってプランジャーロッドを一回の動きで押し下げることができる。プランジャーロッドのこの遠位移動は、取付け要素または取付け手段がプランジャーロッドとの係合状態にある限り、第1にシリンジ全体が遠位方向に移動することを伴う。つまり、第1の段階では、注入が開始されていない間、針が皮膚を穿刺する。穿刺が完了しない限り、注入はできない。次に、第2段階では、取付け要素または取付け手段がプランジャーロッドからの解放状態にあるときに注入が開始することができる一方で、ユーザはプランジャーロッド上で同じ遠位移動を続ける。注入は穿刺が完了したときにのみ発生し、注入が適切に行われることが保証される。
【0010】
最後に、注入が完了すると、患者はプランジャーロッドから患者の指を外すことができ、これにより、シリンジが安全位置で本体の近位側に自動的に後退し、針による刺傷を回避できる。
【0011】
実際には、カップリングデバイスは、バレルを支持するように構成されることが好ましい。
【0012】
具体的には、注入位置は、本体に対するカップリングデバイスの軸方向位置に対応し、注入プロセス全体の間、すなわち、薬剤が患者に注入されているとき、変化しないままである。しかしながら、カップリングデバイスは、この注入プロセス中に軸方向の動き以外の他の変形または動きを受けてもよい。したがって、注入位置では、保護アセンブリまたは注入システムのいくつかの構成要素は、注入が始まる前の瞬間から注入が完了する瞬間まで、注入プロセス中に移動してもよい。
【0013】
本出願では、一部またはデバイスの遠位端は、ユーザの手から最も遠い端であると理解され、近位端は、ユーザの手に最も近い端であると理解される。同様に、本出願では、「遠位方向」は注入の方向であると理解され、「近位方向」は注入の方向と反対の方向であると理解される。
【0014】
本発明は、使用前と使用後の両方で針が覆われることによる偶発的な針刺しの恐れを低減し、感情的に困難である可能性があるため、穿刺するのが困難な患者のための注入プロセスをさらに容易にする。
【0015】
取付け要素または取付け手段は、好ましくは外向きに偏向可能であることにより、係合状態から解放状態まで弾性変形可能であり得る。
【0016】
取付け要素または取付け手段は、プランジャーロッドと協働するように構成されたプランジャーロッド係合部分を含み得る。
【0017】
一実施形態では、このような協働により、一方では、取付け要素または取付け手段の係合状態で、プランジャーロッドを用いてカップリングデバイスを軸方向に固定し、他方では、プランジャーロッドは、取り付け要素または取り付け手段を、係合状態から解放状態に移動することができる。言い換えれば、そのような構成では、取付け要素または取付け手段を解放状態に向かって動かすのはプランジャーロッドであり、一方、取付け要素または取付け手段は、注入が完了すると、自動的に弾性的に係合状態に戻る。
【0018】
プランジャーロッド係合部分は、プランジャーロッドの空洞(cavity)に挿入されるように構成された突起であり得る。
【0019】
取付け要素または取付け手段はまた、弾性的に変形可能な部分を含み得る。弾性変形可能部分は、プランジャーロッド係合部分またはカップリングデバイスの別の部分、例えば、カップリングデバイスの側面であってもよい。
【0020】
より正確には、取付け要素または取付け手段は、好ましくは、弾性変形可能な側壁と、側壁から内向きに延びる突出部とを含み、突出部は、プランジャーロッドとカップリングデバイスとともに軸方向に互いに固定するためにプランジャーロッドの空洞に挿入されるように構成される。側壁は、好ましくは円筒形である。
【0021】
本体は、カップリングデバイスが保管位置から注入位置に移動したとき、およびカップリングデバイスが注入位置から保管位置に移動したときに、取付け要素または取付け手段を係合状態に維持するように構成された保持要素または保持手段を備えることができる。さらに、カップリングデバイスがもはや移動せず、注入位置にあるとき、取付け要素または取付け手段は、反対に、自由に解放状態に移動する。
【0022】
一実施形態では、保持要素または保持手段は、それらが係合状態にあるときに取付け要素または取付け手段に半径方向に隣接して配置された停止面を含み、取付け要素または取付け手段が解放状態に向かって外側に撓むのを防止する。停止面は、好ましくは円筒形である。本体はさらに、カップリングデバイスが注入位置にあるとき、取付け要素または取付け手段が解放状態に向かって外向きに撓むことを可能にするための内側凹部を含み得る。内側凹部は、好ましくは円筒形である。
【0023】
保護アセンブリは、注入位置にある本体に対するカップリングデバイスの遠位への移動を防止するための遠位軸方向ブロック要素または遠位軸方向ブロック手段を備えることができる。シリンジと保護アセンブリを注入位置に維持すると、プランジャーロッドへの作用が解除されても、システム全体が元の位置にあることを確認しながら、患者は必要に応じていつでも注入を一時的に停止できる。その結果、注入は問題なく、特に薬剤が失われることなく再開できる。
【0024】
遠位軸方向ブロック要素または遠位軸方向ブロック手段は、遠位アバットメントを含み得る。一実施形態によれば、カップリングデバイスと遠位アバットメントとの間に直接の接触がない場合があってもよい。例えば、付勢要素または付勢手段は、カップリングデバイスの遠位移動を防止するために、注入位置において完全に圧縮された状態にある付勢要素または付勢手段が、カップリングデバイスと遠位アバットメントとの間に配置され得る。別の実施形態によれば、例えば、案内経路に配置された(または逆の構成)、カップリングデバイス上のラグおよび本体上の当接面が提供されてもよい。
【0025】
保護アセンブリは、取付け要素または取付け手段が解放状態にある限り、注入位置での本体に対するカップリングデバイスの近位移動を防止するための近位アバットメントをさらに含むことができる。
【0026】
一実施形態では、保護アセンブリは、保管位置に軸方向にカップリングデバイスを保持するための軸方向保持要素または軸方向保持手段を備えてもよい。軸方向保持要素または軸方向保持手段は、以下を含むことができる、すなわち、溝のような、案内経路、カップリングデバイスのラグは移動でき、または、十分な力が加えられた場合にのみカップリングデバイスが通過できる歯、または、プランジャーロッドに加えられた所定の力を超えて折りたたむことができる少なくとも1つのウイングである。
【0027】
保護アセンブリは、本体に対してカップリングデバイスを注入位置から安全位置に向かって近位方向に付勢するように構成された付勢要素または付勢手段をさらに備えてもよい。付勢要素または付勢手段は、典型的には、注入位置で圧縮され得る。付勢要素または付勢手段は、好ましくは、ばねを含む。一実施形態では、本体は、休止位置にあるときに、保管位置からの本体に対するカップリングデバイスの近位への移動を防止するように構成され、注入位置から安全位置に向かって、保管位置を超えて近位方向に本体に対して相対的に偏向してカップリングデバイスを移動させることができる近位歯を含む。このような構成では、第2の移動距離は第1の移動距離よりも大きい。
【0028】
保護アセンブリは、安全位置にあるカップリングデバイスのブロック要素またはブロック手段をさらに含むことができる。例えば、ブロック要素またはブロック手段は、以下を含むことができる、すなわち、
-近位アバットメントと、
-および/または少なくとも1つの安全アームが内側に突出して遠位アバットメントを形成し、それが安全位置に向かって近位方向に移動するときにカップリングデバイスによって外側に偏向可能である。
【0029】
カップリングデバイスは、バレルを支持するように構成されたカラーを含み得る。
【0030】
一実施形態によれば、カップリングデバイスは以下を含む、すなわち、
-カラーであって、本体に対して軸を中心に回転できることが好ましい、カラーと、
-および/またはカラーとは異なり、カラーから近位に配置されるリングであって、リングは、取付け要素または取付け手段を含む。
【0031】
カラーおよびリングは、シリンジフランジのいずれかの側に配置されるように構成することができ、フランジに固定されないが、本体に対する軸方向の動きに関してそれと一体に維持される。例えば、これは、付勢要素または付勢手段によって、カラー、フランジおよびリングを近位に押すことにより、プランジャーロッド上の補足的な取付け要素または取付け手段と組み合わせて達成され得、これは、リングの取付け要素または取付け手段を軸方向に保持する。
【0032】
あるいは、カップリングデバイスは、シリンジバレル、典型的にはシリンジバレルのフランジに軸方向に固定して取付けられる固定要素または固定手段を含む単一の部分を含むことができる。「単一の部分」とは、取付け位置において、カップリングデバイスが、互いに対して動くことができる2つの別個の部分で作られていないことを意味する。しかしながら、実際には、そのような「単一の部分」は、取付け目的で最初に別々の部分を組み立てることから生じ得る。
【0033】
有利には、本体は案内経路を含み、カラーは案内経路に係合するラグ、または逆の構成を含む。案内経路は、好ましくは、カップリングデバイスが保管位置から注入位置に移動するときにラグを案内するために軸に対して傾斜した第1の部分と、カップリングデバイスが注入位置から安全位置に移動するときにラグを案内するために軸に平行な第2の部分とを含む。
【0034】
案内経路は、遠位を指すV字の形状を有する予備部分をさらに含み得る。Vの一端は、保管位置にあるラグを受け入れる案内経路の第1の部分に接続され、Vの他端は、最初に本体の開いた遠位端に取付けられ、針シードルに固定されているキャップリムーバを取り外す前に、ラグを受け入れる。予備部分は、シリンジと保護アセンブリを含む注入システムを使用する前に、キャップリムーバと針シールドの取り外す間にラグを案内する。このような構成により、キャップリムーバおよび針シールドが取り外されたとき、シリンジへの衝撃を回避することが可能になる。
【0035】
本体は、ユーザが外向きに延びるフランジの下に2本の指とプランジャーロッドに1本の指を置くことができるように構成された外向きに延びるフランジを有することができる。この機能により、患者の皮膚ではなく、プランジャーロッドと本体との間に穿刺するような力がかかり、注入が患者にとって不快になりにくくなる。
【0036】
第2の態様によれば、本発明は、シリンジを備える注入システムに関し、シリンジはバレル、プランジャーロッドおよび針を備え、前述の保護アセンブリをさらに備え、バレルはカップリングデバイスによって支持される。
【0037】
プランジャーロッドは次のものが含まる、すなわち、
-カップリングデバイスが保管位置から注入位置に移動するときに、カップリングデバイス取付け要素または取付け手段と協働するように構成される第1の相補的取付け要素または取付け手段と、
-第1相補的取付け要素または取付け手段とは異なり、それらから近位に位置し、カップリングデバイスが注入位置から安全位置に移動するとき、カップリングデバイス取付け要素または取付け手段と協働するように構成される、第2の相補的取付け要素または取付け手段と、
例えば、第1および/または相補的な取付け要素または取付け手段は、取付け要素または取付け手段のプランジャーロッド係合部分を受け入れるための空洞を含む。
【0038】
空洞は、例えば、ノッチまたは溝であり得る。一実施形態によれば、溝は環状であってもよい。注入システムは、カップリングデバイスが注入位置から安全位置に向かって移動するときに本体の近位歯を偏向させるように構成された作動部材を備えることができる。
【0039】
一実施形態によれば、作動部材は、例えば近位傾斜面を有する外向き突起の形状でプランジャーロッド上に提供される。
【0040】
別の実施形態によれば、作動部材は、例えば、カップリングデバイスに関連するリング上、カップリングデバイス上に提供される。
【0041】
注入システムはさらに、使用前に針が収容される針シールドを備えてもよい。針シールドは、使用前に針が埋め込まれる内側軟質部分を含むことができる。針シールドはまた、内側軟質部分を少なくとも部分的に取り囲む外側硬質部分を含み得る。注入システムはさらに、最初に本体の開いた遠位端に取り付けられ、針シールドに固定されたキャップリムーバを備え、その結果、キャップリムーバの取り外しは、シリンジからの針シールドの取り外しを伴う。そのような構成では、シリンジおよび保護アセンブリを含む注入システムの使用前に、案内経路の予備部分はキャップリムーバの取り外す間にカップリングデバイスに設けられたラグを案内するために、本体を設けることができる。これにより、キャップリムーバおよび針シールドが取り外されたとき、シリンジへの衝撃を回避することが可能になる。
【0042】
第3の態様によれば、本発明は、シリンジを含む注入システムを操作する方法に関し、シリンジはバレル、プランジャーロッドおよび針を含み、注入システムは保護アセンブリをさらに含み、バレルはカップリングによって支持され、プロセスは次のステップを含む、すなわち、
-注入システムを保管位置に配置し、本体の遠位端を注入部位に接触させるステップと、
-プランジャーロッドを本体に対して遠位に押し上げ、プランジャーロッドの最も遠位の位置まで押すステップと、それによって、以下が生じる、すなわち、
-第1の段階では、プランジャーロッドがバレルに対して軸方向に移動しない一方で、バレルが本体に対して遠位方向に移動し、注入位置まで針が本体を超えて延び、注入部位を穿刺し、
-次の第2の段階では、プランジャーロッドがバレルに対して遠位に移動するが、バレルは本体に対して軸方向に移動せず、注入を引き起し、-プランジャーロッドを解放し、注入部分から注入システムを取り外すことにより、プランジャーロッドとバレルの両方を、針が本体で覆われた安全位置に向かって移動できるようにしている。
【0043】
プロセスは、注入システムの使用前にキャップリムーバおよび針シールドを取り外すことからなる予備ステップをさらに含み得る。
【0044】
本発明はまた、シリンジのプランジャーロッドに関し、プランジャーロッドは以下を含む、すなわち、
-第1の補足的な取り付け要素または取り付け手段と、
-第1の相補的取り付け要素または取り付け手段とは異なり、それらから近位に位置する第2の相補的取り付け要素または取り付け手段と、
第1および第2の相補的取り付け要素または取り付け手段は、カップリングデバイスおよびプランジャーロッドを軸方向に固定するために、シリンジのバレルを支持するカップリングデバイスの取付け要素または取付け手段と選択的に協働するように構成される。
【0045】
別の実施形態によれば、本発明は、バレル、プランジャーロッド、および針を含むシリンジのための保護アセンブリに関する。保護アセンブリは、軸と、シリンジを受け入れて軸に沿って延びる本体と、本体の内部に配置されたカップリングデバイスとを含む。カップリングデバイスは、本体に対する軸方向の動きに関して、バレルにしっかりと接続されるように構成されている。カップリングデバイスは、カップリングデバイスとプランジャーロッドを軸方向に固定するためにプランジャーロッドとの係合状態、またはカップリングデバイスとプランジャーロッドが相対的に軸方向に互いに自由である解放状態のいずれかに構成された取り付け要素を含む。カップリングデバイスは、取付け要素が係合状態にある第1の移動距離に沿った保管位置から、針が本体を超えて延び、取付け要素が挿入される注入位置まで、解放状態に向かって自由に移動がし、本体内で軸方向に移動可能である。カップリングデバイスは、針が本体に覆われている安全位置に向かって近位方向に、取付け要素が係合状態にある第2の移動距離に沿って、注入位置から、本体内で軸方向に移動可能である。
【0046】
別の実施形態によれば、本発明は、バレル、プランジャーロッド、および針、および保護アセンブリを含むシリンジを含む注入システムに関する。保護アセンブリは、軸と、シリンジを受け入れて軸に沿って延びる本体と、本体の内部に配置されたカップリングデバイスとを含む。カップリングデバイスは、本体に対する軸方向の動きに関して、バレルにしっかりと接続されるように構成されている。カップリングデバイスは、カップリングデバイスとプランジャーロッドを軸方向に固定するためにプランジャーロッドとの係合状態、またはカップリングデバイスとプランジャーロッドが相対的に軸方向に互いに自由である解放状態のいずれかに構成された取付け要素を含む。カップリングデバイスは、取付け要素が係合状態にある第1の移動距離に沿った保管位置から、針が本体を超えて延び、取付け要素が挿入される注入位置まで、解放状態に向かって自由に移動がし、本体内で軸方向に移動可能である。カップリングデバイスは、針が本体に覆われている安全位置に向かって近位方向に、取付け要素が係合状態にある第2の移動距離に沿って、注入位置から、本体内で軸方向に移動可能である。シリンジのバレルは、保護アセンブリのカップリングデバイスによって支持されている。
【0047】
別の実施形態によれば、本発明は、バレル、プランジャーロッド、および針を含むシリンジを含む注入システムを操作するためのプロセスに関し、保護アセンブリ、バレルは保護アセンブリのカップリングデバイスによって支持されている。プロセスは、注入システムを保管位置に配置することを含み、本体の遠位端を注入部位に接触する。このプロセスはさらに、プランジャーロッドを本体に対して遠位に押し上げて、プランジャーロッドの最も遠位位置まで押し上げるステップを含み、それによって次の原因を引き起こす、すなわち、第1の段階では、プランジャーロッドがバレルに対して軸方向に移動しない一方で、バレルが本体に対して遠位方向に移動し、注入位置まで針が本体を超えて延び、注入部位を穿刺し、そして、次の第2の段階では、プランジャーロッドがバレルに対して遠位に移動するが、バレルは本体に対して軸方向に移動せず、注入を引き起す。このプロセスはさらに、プランジャーロッドを解放し、注入地点から注入システムを取り外すことを含み、それにより、プランジャーロッドおよびバレルの両方が、針が本体によって覆われる安全位置に向かって移動することを可能にする。
【0048】
次に、本発明の可能な実施形態は、添付の図面を参照して非限定的な例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、保管位置にある、本発明の実施形態による注入システムの2つの直交平面における概略断面図であり、
図2図2は、図1の注入システムの断面図であり、それぞれ、注入が開始する前の注入位置、注入が完了したときの注入位置、および安全位置における2つの直交平面であり、
図3図3は、図1の注入システムの断面図であり、それぞれ、注入が開始する前の注入位置、注入が完了したときの注入位置、および安全位置における2つの直交平面であり、
図4図4は、図1の注入システムの断面図であり、それぞれ、注入が開始する前の注入位置、注入が完了したときの注入位置、および安全位置における2つの直交平面であり、
図5図5は、本発明の別の実施形態による注入システムの分解斜視図であり、
図6図6は、図5の注入システムの上面図であり、
図7a図7aは、使用前のキャップリムーバを備えた注入システムを示し、それぞれ、図6のAA線に沿った断面図、図6のBB線に沿った断面図、および2つの異なる見方によるカップリングデバイスの周りを詳細に示しており、
図7b図7bは、使用前のキャップリムーバを備えた注入システムを示し、それぞれ、図6のAA線に沿った断面図、図6のBB線に沿った断面図、および2つの異なる見方によるカップリングデバイスの周りを詳細に示しており、
図7c図7cは、使用前のキャップリムーバを備えた注入システムを示し、それぞれ、図6のAA線に沿った断面図、図6のBB線に沿った断面図、および2つの異なる見方によるカップリングデバイスの周りを詳細に示しており、
図7d図7dは、使用前のキャップリムーバを備えた注入システムを示し、それぞれ、図6のAA線に沿った断面図、図6のBB線に沿った断面図、および2つの異なる見方によるカップリングデバイスの周りを詳細に示しており、
図8a図8aは、キャップリムーバの取り外す間に、図7aおよび7bと同様の図であり、
図8b図8bは、キャップリムーバの取り外す間に、図7aおよび7bと同様の図であり、
図9図9は、キャップリムーバの取り外す、次のステップの間の図8aと同様の図である。
図10a図10aは、図9と同様の詳細図に従って、図6のAA線に沿った断面図で、キャップリムーバが取り外された後の、保管位置にある注入システムを示す。
図10b図10bは、図9と同様の詳細図に従って、図6のAA線に沿った断面図で、キャップリムーバが取り外された後の、保管位置にある注入システムを示す。
図11a図11aは、図6のAA線に沿った断面図、図6のBB線に沿った断面図、および2つの異なる表示方向について注入によるカップリングデバイスの周りの詳細で、注入開始前の注入位置での穿刺後の注入システムを示し、
図11b図11bは、図6のAA線に沿った断面図、図6のBB線に沿った断面図、および2つの異なる表示方向について注入によるカップリングデバイスの周りの詳細で、注入開始前の注入位置での穿刺後の注入システムを示し、
図11c図11cは、図6のAA線に沿った断面図、図6のBB線に沿った断面図、および2つの異なる表示方向について注入によるカップリングデバイスの周りの詳細で、注入開始前の注入位置での穿刺後の注入システムを示し、
図11d図11dは、図6のAA線に沿った断面図、図6のBB線に沿った断面図、および2つの異なる表示方向について注入によるカップリングデバイスの周りの詳細で、注入開始前の注入位置での穿刺後の注入システムを示し、
図12a図12aは、図6のAA線に沿った断面で、それぞれ、注入が完了したときの注入位置にある注入システムを示し、カップリングデバイスの周りを詳細に示し、
図12b図12bは、図6のAA線に沿った断面で、それぞれ、注入が完了したときの注入位置にある注入システムを示し、カップリングデバイスの周りを詳細に示し、
図13a図13aは、安全位置にある注入システムを、それぞれ図6のAA線に沿った断面、図6のBB線に沿った断面、および3つの異なる視方向によるカップリングデバイスの周りの詳細を示す図であり、
図13b図13bは、安全位置にある注入システムを、それぞれ図6のAA線に沿った断面、図6のBB線に沿った断面、および3つの異なる視方向によるカップリングデバイスの周りの詳細を示す図であり、
図13c図13cは、安全位置にある注入システムを、それぞれ図6のAA線に沿った断面、図6のBB線に沿った断面、および3つの異なる視方向によるカップリングデバイスの周りの詳細を示す図であり、
図13d図13dは、安全位置にある注入システムを、それぞれ図6のAA線に沿った断面、図6のBB線に沿った断面、および3つの異なる視方向によるカップリングデバイスの周りの詳細を示す図であり、
図13e図13eは、安全位置にある注入システムを、それぞれ図6のAA線に沿った断面、図6のBB線に沿った断面、および3つの異なる視方向によるカップリングデバイスの周りの詳細を示す図であり、
図14図14は、カップリングデバイスをそれぞれ保管位置に、および保持位置に、および折りたたまれたときに軸方向に保持するための手段を含む注入システムを概略的かつ部分的に示す。
図15図15は、カップリングデバイスをそれぞれ保管位置に、および保持位置に、および折りたたまれたときに軸方向に保持するための手段を含む注入システムを概略的かつ部分的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明は、シリンジ2と、針刺し損傷を防止するために特に設計された保護アセンブリ10とを含む注入システム1に関する。
【0051】
シリンジ2は、患者に注入される薬剤を含むように設計されたバレル3を含む。バレル3は、針4を備えた遠位端と、典型的には半径方向外向きに突出することができるフランジ5を含む近位端とを有する。プランジャーロッド6がバレル3に挿入され、針4を通して薬剤を遠位に放出する。プランジャーロッド6は、ユーザがプランジャーロッド6を遠位に押すことを可能にするために、典型的にはディスク形状の遠位ストッパ7および近位部材8を含む。
【0052】
保護アセンブリ10は、基本的に、シリンジ2を受け入れる本体11と、本体11の内部に配置されたカップリングデバイス30とを備える。使用では、注入システム1、シリンジ2および保護アセンブリ10は、共通の軸9を有する。
【0053】
本体11は、好ましくは円筒形である。本体11は以下を含む、すなわち、
-好ましくは円筒形である近位部分12と、
-近位部分12よりも大きな内径を有する内側凹部13と、を含む。内側凹部13は、好ましくは円筒形である。内側凹部13は、近位部分12と内側凹部13とを接合する近位面14によって近位方向に区切られ得る。近位面14は、好ましくは傾斜している。
【0054】
本体11は、カップリングデバイス30を軸方向に停止するように構成された遠位アバットメント18をさらに含むことができる。
【0055】
内側に延びる歯15は、本体11の近位端の近くまたは近位端に設けることができる。歯15は、所定の力よりも強い力で押されたときにカップリングデバイス30がそれを横切ることができるように、好ましくは可撓性である。歯15は、傾斜した近位面16と、例えば放射状に延びるブロック遠位面17とを有することができる。
【0056】
内向延伸器官は、本体11の近位端設けて、近位アバットメント19を形成することができる。さらに、本体11は、近位アバットメント19と遠位アバットメント18との間に配置された少なくとも1つの安全アーム20を備えてもよい。一実施形態では、安全アーム20は、静止時に内側に突出し、外側に偏向可能である。
【0057】
さらに、ばねなどの付勢要素または付勢手段21は、本体11に対してカップリングデバイス30を近位に付勢するように構成される。ばねはらせん状であることが好ましい。ばねはバレル3の周りに配置されることが好ましい。ばねは好ましくは本体11の内側にある。付勢要素または付勢手段21は、好ましくは、カップリングデバイス30と遠位アバットメント18との間に軸方向に配置される。
【0058】
カップリングデバイス30は、本体11内で軸方向に移動可能である。カップリングデバイス30は、本体11に対する軸方向の動きに関して、バレル3にしっかりと接続されるように構成されている。
【0059】
注入システム1は、患者が簡単かつ安全に操作できるように構成されている。最も正確には、患者はプロセス全体を通して同じ方法でシステムを保持し、穿刺と注入を含むプロセス全体を実行するために、プランジャーロッドに1回の動き、つまり遠位圧力を加えることができる。これは、安定性と制御が強化される。注入システム1は、穿刺が第1に起こることを確実にするように設計されており、穿刺が完了した場合にのみ、注入を開始することができる。本体11は、皮膚に対して直角に容易に配置されるように設計されている。具体的には、注入システム1の全体的な動作は以下の通りである。患者は、注入システム1を皮膚上に配置し、注入システムは保管位置にあり、すぐに使用できる状態であり、次に、プランジャーロッドを本体に対して遠位に押す。これは以下を引き起こす、すなわち、
-第1の段階では、プランジャーロッド6がバレル3に対して軸方向に移動しない一方で、バレル3が本体11に対して遠位方向に移動し、注入位置まで針4が本体11を超えて延び、注入部位を穿刺し、
-次の第2の段階では、プランジャーロッド6がバレル3に対して遠位に移動するが、バレル3は本体11に対して軸方向に移動せず、注入が行われる。
【0060】
プランジャーロッド6がその最も遠位の位置まで押し上げられると、患者は注入システム1を皮膚から取り外し、ユーザの指をプランジャーロッド6から取り外すことができ、それにより、プランジャーロッド6とバレル3の両方が可能になり、針4が本体11によって覆われている安全位置に向かって移動する。
【0061】
注入システム1を上記のように操作できるように、カップリングデバイス30は、プランジャーロッド6と協働するように設計されたプランジャーロッド係合部分33を有する取付け要素または取付け手段32を備える。
【0062】
より具体的には、取付け要素または取付け手段32は、カップリングデバイス30およびプランジャーロッド6を軸方向に固定するために、プランジャーロッド6と係合状態にあり得る。そのために、プランジャーロッド係合部分33は、プランジャーロッド6の第1の相補的取付け要素または取付け手段41と、またはプランジャーロッド6の第2の相補的取付け要素または取付け手段42と協働することができ、第1の相補的取付け要素または取付け手段41およびそれらから近位に配置される。実際には、プランジャーロッド係合部分33は、突起33、すなわち、プランジャーロッド6に向かって突出する部分であり得、相補的な取付け要素または取り付け手段41、42は、部分33を受容するための空洞であり得る。突出部33は、好ましくは、角度が付けられた近位表面35、および/または角度が付けられた遠位表面36を含む。空洞および突起33は、対応する形状を有することができる。そのような係合状態では、取付け要素または取付け手段32は、休止位置にあり得る。取付け要素または取付け手段32は、本体11の近位部分12によって、プランジャーロッド6との係合状態に維持することができ、これにより、カップリングデバイス30の外向きの動きが防止される。
【0063】
その上、係合状態から、取付け要素または取付け手段32は、例えば弾性外向き変形によって、カップリングデバイス30およびプランジャーロッド6が互いに対して軸方向に自由である解放状態に移動することができる。係合状態から解放状態へのこの移動は、取付け要素または取付け手段32の突起33とプランジャーロッド6との間の協働に起因し得る。この移動は、カップリングデバイス30が本体11の近位部分12にもはや面しておらず、内側凹部13に面しているときに可能である。
【0064】
より正確には、一実施形態では、取付け要素または取付け手段32は、以下を含み得、すなわち、
-弾性変形可能な、好ましくは円筒形の側壁などの弾性変形可能な部分と、
-側壁から内側に延びる突起33と、を含む。突起33は、プランジャーロッド6とカップリングデバイス30とを一緒に軸方向に固定するために、プランジャーロッド6の空洞41、42に挿入されるように構成される。
【0065】
次に、本発明の第1の実施形態を示す図1から図4を参照する。これらの図のそれぞれにおいて、第1の長手方向平面における注入システム1の断面図の左半分、第1の平面に直交する平面第2の長手方向平面における注入システム1の断面図の右半分に留意すべきである。
【0066】
この実施形態では、カップリングデバイス30は単一の部品でできている。ただし、複数のパーツで構成することもできる。バレル3は、カップリングデバイス30に支持されている。カップリングデバイス30は、固定要素または固定手段31により、バレル3に対して、典型的にはフランジ5に固定して取り付けることができる。固定要素または固定手段31は、その中にフランジ5が受け入れられる環状溝を備えることができる。
【0067】
図1に示す保管位置では、取付け要素または取付け手段32は係合状態にあり、突起33はプランジャーロッド6の第1の相補的取付け要素または取付け手段41に係合されている。ばね21は部分的に圧縮され、カップリングデバイス30を、したがってバレル3およびプランジャーロッド6を近位に押す。近位歯15は休止位置にあり、本体11に対するカップリングデバイス30およびシリンジ2の近位移動を防止する。針4は、保護アセンブリ10の本体11によって覆われている。
【0068】
プランジャーロッド6が遠位に押されると、カップリングデバイス30とプランジャーロッド6は、第1の相補的取付け要素または取付け手段41に係合した突起33により軸方向に固定されるので、カップリングデバイス30の同じ遠位移動を伴う。したがって、固定要素または固定手段31により、バレル3もまたプランジャーロッド6と共に遠位に移動される。これにより、針4が本体の遠位端を越えて移動し、患者の皮膚を穿刺するが、穿刺するような努力は患者の皮膚には及ばず、前に説明したように、外側に延びるフランジのために、プランジャーロッド6と本体11の間で行われる。動きのこの第1の段階の間、本体11の近位部分12は、取付け要素または取付け手段32を係合状態に維持する保持要素または保持手段を形成し、したがって、プランジャーロッド6がバレルに対して移動できないようにしする、すなわち、注入を開始できない。
【0069】
この動きの間、ばね21は徐々に圧縮される。たとえば、これは限定的ではないが、完全に圧縮された状態に到達できる。
【0070】
穿刺が完了すると、注入システム1は注入位置にある。次に、カップリングデバイス30は内側凹部13に入る。カップリングデバイス30は、好ましくは遠位アバットメント18または他の任意の軸方向遠位アバットメントに対して圧縮されたばね21によって、軸方向遠位にブロックされる。結果として、プランジャーロッド6がさらに遠位に押されると、突起33は、第1の相補的取付け要素または取付け手段41から外れ、取付け要素または取付け手段32は外向きに変形する。カップリングデバイス30は、本体11の近位部分12ではなく凹部13に面しているので、この外向きの移動は可能である。図2に示すこの位置では、注入を開始できる。
【0071】
注入位置では、カップリングデバイス30は、安全アーム20から遠位に配置されることが好ましいことに留意されたい。その結果、安全アーム20は自由に内側に突出する。
【0072】
患者はプランジャーロッド6を遠位に押し続ける。バレル3がさらに遠位に動くことができず、取付け要素または取付け手段31が解放状態にあるので、これによりプランジャーロッド6がバレル3の内部で遠位に動く、すなわち薬剤が注入される。カップリングデバイス30は、この例では、一方ではばね21および遠位アバットメント18によって、そして他方では凹部13の近位面14によって軸方向に維持されるので、患者は移動するためのプランジャーロッドなしで、プランジャーロッド6を解放することができる。その後、注入は問題なく再開させることができる。
【0073】
注入の終わりに、図3に示されるように、突起33は、プランジャーロッド6の第2の相補的な取付け要素または取付け手段42に面し、その係合状態に戻る弾性運動によってそれに係合する。したがって、カップリングデバイス30は、再びプランジャーロッド6に軸方向に固定される。
【0074】
患者が注入システム1を注入部位から取り外し、その指をプランジャーロッド6から取り外すと、ばね21の力により、カップリングデバイス30、バレル3およびプランジャーロッド6は、全体として、図4に示すように、安全位置に向かって近位方向に移動するために、針4は保護アセンブリ10の本体11によって覆われている。カップリングデバイス30は、取付け要素または取付け手段32を係合状態に維持する本体11の近位部分12により、プランジャーロッド6に軸方向に固定されたままである。
【0075】
この移動の間、カップリングデバイス30は、安全アーム20を外側に偏向させ、さらに遠位方向に移動し、それにより、安全アーム20は、それが内側に突出するその休止位置に弾性的に戻ることを可能にする。
【0076】
さらに、本体11の近位歯15は、プランジャーロッド6に設けられた作動部材によって外向きに偏向されており、シリンジ2が保管位置を越えて近位方向に移動できるようにしている。作動部材は、歯15のブロック近位面17と協働するための近位傾斜面44を有する外向き突出部43であり得る。
【0077】
カップリングデバイス30およびシリンジ2は、近位アバットメント19および安全アーム20の手段によって、本体11に対して安全位置に維持され、針4が本体11によって覆われたままであることを確実にする。
【0078】
次に、本発明の第2の実施形態を示す図5から13eを参照する。
【0079】
保護アセンブリは、取付け要素または取付け手段32を係合状態に維持するように構成された近位部分12と、取付け要素または取付け手段32が解放状態に向かって移動するために自由にする近位部分12よりも大きな内径を有する内側凹部13とを含む本体11を含む。内側凹部13は、近位部分12から遠位に配置される。
【0080】
この実施形態では、図5に示されるように、本体11は、遠位部分50と、近位部分を形成する2つの半分51、52とで作られ得、これらは組み立てられ、例えば互いにスナップ留めされる。さらに、本体11の近位開口端は、プランジャーロッド6をスライド可能に受容するプラグ53によって閉鎖される。あるいは、本体11は、単一の部品から作製されてもよい。
【0081】
本体11は、ユーザが自分の指を置くことができる外向きに延びるフランジ60を有することができ、それにより、プランジャーロッド6と本体11との間に注入力が加えられる。
【0082】
注入システム1はまた、使用前に針4が埋め込まれる内側軟質部分55を含む針シールド54を備えてもよい。針シールドはまた、外側剛性部分56を含み得る(図7aおよび7bを参照)。
【0083】
図示の実施形態では、注入システム1は、針シールド54を針から取り外すように構成されたキャップリムーバ57をさらに備える。キャップリムーバ57は、最初に、本体11の開口遠位端に取り付けられ、例えば、取り付けアーム58によって、針シールド54に固定されてもよい。したがって、キャップリムーバ57は、シリンジ遠位端に取り外し可能に取り付けられる。
【0084】
保護アセンブリは、バレル3を支持するように構成された取付け要素または取付け手段32を備えるカップリングデバイス30を備える。カップリングデバイス30は、カップリングデバイス30とプランジャーロッド6を軸方向に固定するためにプランジャーロッドとの係合状態、またはカップリングデバイス30とプランジャーロッド6が相対的に軸方向に互いに自由である解放状態のいずれかに構成された取付け要素または取付け手段32を含む。
【0085】
この実施形態によれば、カップリングデバイス30は、2つの分離部品、すなわち、カラー61およびリング62から作製される。カラー61はバレルフランジ5から遠位に配置され、リング62はフランジ5から近位に配置される。さらに、カラー61とばね21との間の摩擦、特に回転摩擦を回避するために、カラー61から遠位のバレル3の周りにワッシャー63が設けられてもよい。
【0086】
ばね21は、ワッシャー63が存在するときにワッシャー63を押し、カラー61をフランジ5に対して近位に押し、フランジ5をリング62に対して近位に押す。したがって、カップリングデバイス30を形成するリング62およびカラー61は、カップリングデバイス30がバレル3に軸方向に固定されていなくても、本体11に対する軸方向の動きに関してバレル3に堅固に接続することができる。
【0087】
カラー61は、好ましくは、軸9の周りで本体11に対して回転することができる。それは、外側に突出し、好ましくは近位先端を形成する先細形状を有するラグ64を含む。リング62は、取付け要素または取付け手段32を含む。より正確には、リング62は、空間66またはスロットによって分離された2つのジョー65を含むことができ、それらは、係合状態から解放状態へ、互いから弾性的に離れることができる。
【0088】
さらに、本体11は、案内経路70を備える。案内経路70は、貫通開口であってもよい。カラー61のラグ64は、案内経路70に係合している。図7aに示すように、例えば、案内経路70は以下を含み、すなわち、
-遠位を指すV字形のオプションの予備部分75と、を含む。予備部分は、案内経路70の端部73から予備部分75の先端76まで延びる第1のブランチ71と、予備部分75の先端76からポイント77まで延びる第2のブランチ72とを備え、
-ポイント77からポイント83まで遠位に延び、軸9に対して傾斜している第1の部分81と、
-ポイント83からポイント84まで近位方向に延び、軸9に平行な第2の部分82と、備える。ポイント84は、案内経路70の他端であり得る。一実施形態では、軸9に対して反対側に配置された本体に2つの同一の案内経路70が設けられ、各案内経路70は、カラー61に設けられた2つの対向するラグ64のうちの1つのラグ64を受け入れる。
【0089】
次に、この第2の実施形態による注入システム1の動作について説明する。
【0090】
最初に、図7a~7dに示すように、取付け要素または取付け手段32は係合状態にあり、突起33はプランジャーロッド6の第1の相補的取付け要素または取付け手段41に係合している。遠位アバットメント18を形成する本体11の肩にあるばね21は、部分的に圧縮することができる。それは、ワッシャー63、カラー61、フランジ5およびリング62を軸方向に近位方向に押し、リング62は、休止位置にある近位歯15に当接する。したがって、この位置では、これ以上の近位移動は不可能である。針4は、保護アセンブリ10の本体11によって覆われている。図7cに示すように、カラー61のラグ64は、案内経路70の端部73の近くに配置される。
【0091】
注入システム1が使用前にキャップリムーバ57を備える場合、前述のように、実行される予備ステップは、針シールド54をシリンジ2から取り外すことを伴うキャップリムーバ57を取り外すことである。
【0092】
そのために、患者はキャップリムーバ57を遠位に引っ張り、これにより、取付けアーム58のために、針シールド54も遠位に引っ張られる。針シールド54は、シリンジ2を遠位に引っ張る傾向があり、カラー61も遠位に移動させる。
【0093】
カラー61のラグ64は、案内経路70の予備部分75内を移動するように作られ、カラー61を強制的に回転させる。キャップリムーバ57の取り外す間、ラグ64は、端部73から予備部分75の第1のブランチ71内を移動する。図8aおよび8bに示すように、ラグ64が先端76に到達すると、それ以上の遠位移動は不可能であり、針リムーバ54と共にキャップリムーバ57を取り外すことができる。これらの特徴により、シリンジ2は、針シールドの取り外す間に近位方向に移動することが防止され、これにより、シリンジ2が破損または損傷する可能性がある。したがって、これらの特徴により、針シールド54が取り外されているときに、シリンジ2を本体11に対して軸方向に固定することができる。
【0094】
一実施形態では、保護アセンブリ10は、保管位置に軸方向にカップリングデバイス30を保持するための軸方向保持要素または軸方向保持手段を備えてもよい。
【0095】
そのような軸方向保持要素または軸方向保持手段の例示的な実施形態は、図14および15に示されている。これらの図は概略図であり、保護アセンブリを部分的にのみ示していることに注意が必要である。特に、第2の相補的取付け要素または取付け手段42も作動部材43も図示されている。さらに、保護アセンブリは図1~4の1つと同様であるが、軸方向保持要素または軸方向保持手段は、図5~13eの1つと同様の保護アセンブリ上に実装され得る。
【0096】
図14に示されるように、軸方向保持要素または軸方向保持手段は、プランジャーロッド6に取り付けられた少なくとも1つのウイング80、例えば、遠位を指すVに従って配置された2つのウイング80を備えることができる。ウイング80は、保管位置において、本体11に当接する、例えば近位アバットメント19に当接する遠位端82を有してもよい。ウイング80は、プランジャーロッド6に接続された近位端をさらに有してもよく、好ましくは軸9に直交する軸81を中心に旋回する。したがって、ウイング80は、カップリングデバイス30の軸方向の動きを防止する。
【0097】
十分な力がプランジャーロッド6に遠位に及ぼされると、例えば、針シールド54に連結されたキャップリムーバ57の取り外す間に、ウイング80は、好ましくは軸81を中心に枢動することにより、潰れ得る。これは、作動脚部83などのプランジャーロッド6上に配置された適切なアクチュエータによって引き起こされ得、各脚部83は、1つのウイング80を押す。脚部83は、遠位に開口する空洞84の境界を定めることができ、図15に示すように、折りたたまれたとき、すなわち、それらが互いに向かって折りたたまれたときに、ウイング80の一部を受け入れることができる。
【0098】
キャップリムーバ57と針シールド54が取り外されると、遠位の引っ張り力が働かなくなるので、ばね21はワッシャー63とカラー61を近位に押し、カラー61がバレル3のフランジ53と接触するまで、最初の位置に戻す。この移動中に、ラグ64は、予備部分75の第2のブランチ72内で、先端76からポイント77まで移動する。図9に示されるように、ラグテーパー形状および予備部分75の形状は、ラグ64が端部73に戻ることができないが、ポイント77に向かって動くことを確実にする。
【0099】
キャップリムーバ57が取り外されると、注入システム1は保管位置にあり、使用の準備ができている。
【0100】
注入システム1は必ずしもキャップリムーバを備えている必要はなく、したがって、上記のステップは、案内経路70の予備部分75と同様に任意選択であることに留意しなければならない。
【0101】
図10aおよび10bに示されている保管位置から、注入プロセスは開始することができる。
【0102】
そのために、患者はプランジャーロッド6を遠位に押す。リング62の取付け要素または取付け手段32の突起33が、プランジャーロッド6の第1の相補的取付け要素または取付け手段41に係合するので、プランジャーロッド6の遠位移動は、リング62の同じ遠位移動を伴う。これは結果として、バレル3のフランジ5、カラー61およびワッシャー63の同じ遠位移動を引き起こす。
【0103】
換言すれば、バレル3はプランジャーロッド6と共に遠位方向に動かされる。これにより、針4が本体の遠位端を越えて移動し、患者の皮膚を穿刺する。移動のこの第1段階の間、本体11の近位部分12は、取付け要素または取付け手段32を係合状態に維持する、すなわち、ジョー65が互いに離れるのを防ぐ、保持要素または保持手段を形成する。これにより、プランジャーロッド6がバレルに対して移動できない、つまり、注入を開始できないことが保証される。穿刺している間、ばね21は、ワッシャー63と遠位アバットメント18との間で徐々に圧縮される。
【0104】
プランジャーロッド6およびバレル3のこの共通の遠位移動中に、保管位置から注入位置へと、カラー61のラグ64は、本体11の案内経路70の第1の部分81内を、ポイント83に到達するまで移動する。したがって、カップリングデバイス30は、軸方向で遠位方向にブロックされる。穿刺が完了すると、注入システム1は注入位置にある。
【0105】
結果として、デバイス30は軸方向で遠位方向にブロックされ、プランジャーロッド6がさらに遠位に押されると、突起33は、第1の相補的取付け要素または取付け手段41から外れ、取付け要素または取付け手段32は外向きに変形する。カップリングデバイス30は、本体11の近位部分12ではなく内側凹部13に面しているので、この外向きの移動は可能である。この位置では、図11a~11dに示され、注入は開始することができる。
【0106】
注入位置では、カップリングデバイス30は、安全アーム20から遠位に配置されることが好ましいことに留意されたい。その結果、図11bに示すように、安全アーム20は自由に内側に突出する。
【0107】
患者がプランジャーロッド6を遠位に押し続けると、取付け要素または取付け手段31が解放状態にあるため、プランジャーロッド6は、バレル3内で遠位方向に動かされ、すなわち、薬剤が注入される。実際、ラグ64は案内経路70のポイント83に当接しているので、カラー61は軸方向に遠位にブロックされ、その結果、バレル3は本体11に対して遠位に移動することができない。
【0108】
カラー61、フランジ5、およびリング62を含むアセンブリは、一方ではラグ64によって、および他方では凹部13の近位面14によって軸方向に維持され、患者は、プランジャーロッドを移動することなく、プランジャーロッド6を解放することができる。その後、問題なく注入は再開され得る。注入の終わりに、図12aおよび12bに示されるように、リング62のジョー65の突起33は、プランジャーロッド6の第2の相補的取付け要素または取付け手段42に面し、それらの係合状態に戻る弾性運動によって係合する。したがって、リング62が再びプランジャーロッド6に軸方向に固定される。
【0109】
薬剤注入の間、ラグ64は、案内経路70の内側に移動しておらず、図11cに示されている位置のままである。
【0110】
患者が注入システム1を注入部位から外し、指をプランジャーロッド6から外すと、ばね21の力は、ワッシャー63、カラー61、バレルフランジ5、リング62およびプランジャーロッド6がリングに係合され、全体として、安全位置に向かって近位方向に移動するために、図13a~13eに示され、針4は保護アセンブリ10の本体11によって覆われている。リング62は、第2の相補的取付け要素または取付け手段42においてジョー65を係合状態に維持する本体11の近位部分12により、プランジャーロッド6に軸方向に固定されたままである。
【0111】
この移動中、カップリングデバイス30(すなわち、リング62およびカラー61)は、安全アーム20を外側に偏向させ、さらに遠位に移動し、それにより、図13dに示すように、安全アーム20が弾性的に移動して、内向きに突出する休止位置に戻る。
【0112】
さらに、本体11の近位歯15は、リング62に設けられた作動部材によって外向きに偏向されており、つまり、ジョー65に、シリンジ2が保管位置を越えて近位に移動できるようにしている。
【0113】
注入位置から保管位置まで、カラー61のラグ64は、本体11に設けられた案内経路70の第2の部分82内をポイント83からポイント84まで移動する(図13e)。
【0114】
リング62、カラー61、およびシリンジ2は、近位アバットメント19および安全アーム20(図13d)によって、本体11に対して安全位置に維持され、針4が本体11によって覆われたままであることを確実にする。
【0115】
本発明は、例として上記の実施形態に限定されず、むしろ、記載された手段のすべての技術的等価物および変形形態、ならびにそれらの組み合わせを含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図8a
図8b
図9
図10a
図10b
図11a
図11b
図11c
図11d
図12a
図12b
図13a
図13b
図13c
図13d
図13e
図14
図15