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特許7374153NTNモビリティを実現する方法及びユーザ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】NTNモビリティを実現する方法及びユーザ装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20231027BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20231027BHJP
   H04W 48/08 20090101ALI20231027BHJP
【FI】
H04W48/16 110
H04W84/06
H04W48/08
【請求項の数】 31
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021139156
(22)【出願日】2021-08-27
(65)【公開番号】P2022040102
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】63/071,371
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/412,203
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509024640
【氏名又は名称】エイサー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ACER INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】鄭 靜紋
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-508524(JP,A)
【文献】国際公開第2020/038824(WO,A1)
【文献】3GPP TR 38.821 V16.0.0,2020年01月16日,pages 90-93,106-107
【文献】Fraunhofer IIS, Fraunhofer HHI,NR-NTN: Tracking Areas Management[online],3GPP TSG-RAN WG3 Meeting #102 R3-186764,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_102/Docs/R3-186764.zip>,2018年11月03日
【文献】Huawei, HiSilicon,Discussion on SMTC configuration for early measurement[online],3GPP TSG-RAN WG2 Meeting#105bis R2-1904580,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_105bis/Docs/R2-1904580.zip>,2019年03月28日
【文献】Nokia (Email discussion rapporteur),Report of Email Discussion [106#72] [NR/NTN] TP on NTN-TN Service continuity[online],3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #107 R2-1910692,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_107/Docs/R2-1910692.zip>,2019年08月16日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ装置(UE)が非地上系ネットワーク(NTN)モビリティを実現するために用いる方法であって、
セル探索及び測定の設定を非地上系ネットワーク(NTN)から受信するステップであって、該セル探索及び測定の設定が、少なくとも1つのキャリア周波数、及び該キャリア周波数に関連するNTNトラッキングエリア(TA)の情報を含むステップと、
地上系ネットワーク(TN)に属するセルについてセル探索及び測定手順を開始するステップと、
前記セル探索及び測定の設定を適用することによって、前記セル探索及び測定手順を実行するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記セル探索及び測定の設定が、セルの少なくとも1つのアイデンティティに関連する少なくとも1つのキャリア周波数の情報を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セル探索及び測定の設定を受信するステップが、
前記セル探索及び測定の設定を専用の信号伝達により受信するステップを含み、該専用の信号伝達は、ダウンリンク共有チャネル経由で送信され、前記UEへの送信専用である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記セル探索及び測定の設定を受信するステップが、
前記セル探索及び測定の設定を、ブロードキャストされる信号伝達により受信するステップを含み、該ブロードキャストされる信号伝達は、ブロードキャスト・チャネル経由で送信される、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記セル探索及び測定の設定における前記少なくとも1つのキャリア周波数が許可セルリストに関連し、該許可セルリストはセルの少なくとも1つのアイデンティティを含み、前記セル探索及び測定手順を実行するステップが、
前記キャリア周波数に関連する前記許可セルリスト上に出現するセル間のみで、前記セル探索及び測定手順を実行するステップを更に含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記セル探索及び測定の設定における前記少なくとも1つのキャリア周波数が禁止セルリストに関連し、該禁止セルリストはセルの少なくとも1つのアイデンティティを含み、前記セル探索及び測定手順を実行するステップが、
前記キャリア周波数に関連する前記禁止セルリスト上に出現するセル間で、前記セル探索及び測定手順を実行しないステップを更に含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つのキャリア周波数が、前記UEが決定した非地上系ネットワーク・トラッキングエリア(NTN TA)に関連する際に、前記UEが決定したNTN TAに関連する前記少なくとも1つのキャリア周波数上のみで、前記セル探索及び測定手順を実行するステップを更に含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記UEが決定したNTN TAに関連する前記セル探索及び測定の設定中にキャリア
周波数またはセルが存在しない際に、前記セル探索及び測定手順を実行しないステップを更に含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記セル探索及び測定の設定が期限切れまたは無効である際に、前記セル探索及び測定の設定を適用することによって前記セル探索及び測定手順を実行するステップを停止するステップを更に含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記セル探索及び測定の設定の期限切れまたは無効を、前記セル探索及び測定の設定に関連する有効時間に応じて判定するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記有効時間をタイマーの値によって設定することができ、該タイマーが時間切れになる前に前記セル探索及び測定の設定が有効である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記有効時間が、前記セル探索及び測定の設定の適用可能期間の開始時刻及び停止時刻によって設定される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記セル探索及び測定の設定の期限切れまたは無効を、有効領域に応じて判定するステップを更に含み、該有効領域は、1つ以上のNTNトラッキングエリア識別子(TAI)に関連し、あるいは緯度及び経度の座標の形式で表される地理的領域に関連し、あるいは1つ以上のNTNセルのアイデンティティに関連する、請求項9~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記UEの位置に関連するNTN TAを前記UEが特定することができない際に、前
記セル探索及び測定の設定を適用することによる前記セル探索及び測定手順の実行を停止するステップを更に含む、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのキャリア周波数がタイミング設定に更に関連し、該タイミング設定は、前記セル探索及び測定手順を前記キャリア周波数上で実行するための時間領域の設定情報である、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記タイミング設定が有効期間に関連し、該有効期間は当該有効期間の開始時刻及び停止時刻によって表される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記タイミング設定が有効領域に関連し、該有効領域は、1つ以上のNTN TAIに
関連し、あるいは緯度及び経度の座標の形式で表される地理的領域に関連し、あるいは1つ以上のNTNセルのアイデンティティに関連する、請求項15または16に記載の方法
【請求項18】
前記セル探索及び測定手順を実行するステップが、
前記セル探索及び測定の設定からタイミング設定を決定するステップと、
前記タイミング設定を用いることによって、前記セル探索及び測定手順を実行するステップと
を含む、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記タイミング設定が、
オフセット値と、
継続時間の値と、
周期性の値とを含み、
前記オフセット値はオケージョンの開始を示し、該オケージョンは、第1サブフレームが1つのシステムフレーム番号(SFN)で発生することを、基準信号を受信して測定するための前記タイミング設定の基準タイミングに基づいて示し、
前記継続時間中に前記基準信号を受信して測定し、
前記周期性の値は、前記基準信号を受信する周期を示す、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記セル探索及び測定手順を実行するステップが、
前記セル探索及び測定手順用に利用可能なものと判定された第1基準タイミングが存在しない際に、複数のセルのうちの第1セルの第1キャリア周波数について、前記セル探索及び測定手順を、前記セル探索及び測定の設定における前記第1キャリア周波数に関連するタイミング設定を適用せずに実行するステップと、
前記第1セルが検出された場合に、前記第1基準タイミングが前記セル探索及び測定の設定から得られないことに応答して、前記第1セルの前記第1キャリア周波数に関連するタイミングを、前記セル探索及び測定手順用に決定される第1基準タイミングとして用いるステップと
を含む、請求項1~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記セル探索及び測定手順を実行するステップが、
前記セル探索及び測定の設定から前記第1基準タイミングが得られることに応答して、前記第1キャリア周波数に関連するタイミング設定のオフセット値と、第2キャリア周波数に関連するタイミング設定のオフセット値との差分値を計算することによって、前記第2キャリア周波数に適用可能なオフセット値を決定するステップと、
前記適用可能なオフセット値を用いて、前記第2キャリア周波数に関連するタイミング設定のオフセット値を代替することによって、前記第2キャリア周波数に関連する実行可能なタイミング設定を生成して、前記セル探索及び測定手順を前記第2キャリア周波数上で実行するステップと
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記セル探索及び測定手順を実行するステップが、
前記第2キャリア周波数に関連する実行可能なタイミング設定を用いることによって、前記複数のセルのうちの第2セルの前記第2キャリア周波数について前記セル探索及び測定手順を実行するステップを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記セル探索及び測定の設定が許可セルリストを含み、前記セル探索及び測定手順を実行するステップが、前記セル探索及び測定手順を隣接するセル間で実行するステップを含み、前記セル探索及び測定手順を隣接するセル間で実行するステップが、前記許可セルリスト上に出現する隣接するセル間のみで前記セル探索及び測定手順を実行するステップを更に含む、請求項19~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記セル探索及び測定の設定が禁止セルリストを更に含み、前記セル探索及び測定手順を実行するステップが、前記セル探索及び測定手順を隣接するセル間で実行するステップを含み、前記セル探索及び測定手順を隣接するセル間で実行するステップが、前記禁止セルリスト上に出現する隣接するセル間でセル探索及び測定手順を実行しないステップを更に含む、請求項19~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記セル探索及び測定の設定が公衆陸上移動通信ネットワーク(PLMN)リストを更に含み、前記セル探索及び測定手順を実行するステップが、
前記UEのホームPLMN、前記UEの登録PLMN、前記UEの等価ホームPLMN(EHPLMN)、または前記UEの等価登録PLMN(ERPLMN)のいずれも前記PLMNリスト上に出現しない場合に、前記セル探索及び測定手順を実行しないステップを更に含む、請求項1~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記セル探索及び測定の設定が、当該セル探索及び測定の設定におけるキャリア周波数に関連する、同期信号ブロック(SSB)ベースの無線リソース管理(RRM)測定タイミング設定(SMTC)を含む、請求項1~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記許可セルリストのエントリが、前記セル探索及び測定の設定によって示されるタイミング設定に関連する、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記禁止セルリストのエントリが、前記セル探索及び測定の設定によって示されるタイミング設定に関連する、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記PLMNリストのエントリが、前記セル探索及び測定の設定によって示されるタイミング設定に関連する、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記SMTCが、前記SSBを受信するオケージョンの開始時刻、前記SSBを受信するための継続時間ウィンドウ、及び測定ウィンドウの周期性を計算するためのオフセット値を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
無線受信機と、
前記無線受信機に結合されたプロセッサとを具えたユーザ装置(UE)であって、前記プロセッサが、
セル探索及び測定手順を実行するための、少なくとも1つのキャリア周波数及び該キャリア周波数に関連するNTNトラッキングエリア(TA)の情報を含むセル探索及び測定の設定を非地上系ネットワーク(NTN)から受信し、
地上系ネットワーク(TN)に属するセルについて前記セル探索及び測定手順を開始し、
前記セル探索及び測定の設定を適用することによって、前記セル探索及び測定手順を実行する
ように構成されているUE。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ装置がNTN-NT通信を実現するために用いる方法、及び同じ方法を用いるユーザ装置に指向したものである。
【背景技術】
【0002】
現在、第5世代(5G:fifth generation)通信システム及びその先のものは、非地上系(非地上波)ネットワーク(NTN:non-terrestrial network)を含む通信と地上系(地上、地上波)ネットワーク(TN:terrestrial network)を含む通信とを統合しようと試みている。NTNは、現在、航空または宇宙輸送機に搭載される送信または受信機能(装置)を介した伝送の手段によるUE(user equipment:ユーザ装置)への非地上系NR(new radio:新無線)アクセスを含む通信の形態で存在する。NTNは、gNB(次世代ノードB)を含むNG-RAN(next generation-radio access network:次世代無線アクセスネットワーク)を含み、NG-RANは、航空または宇宙NTN輸送機上に組み込まれたNTNペイロード及びNTNゲートウェイを用いたUEへの非地上系NRアクセスをもたらす。NTNペイロードはネットワークノードであり、衛星または高高度プラットフォーム・ステーション上に搭載され、サービスリンクとフィーダリンクとの間の接続機能を提供する。この仕様の現行版では、NTNノードがトランスポート・ネットワーク層(TNL:transport network layer)ノードである。NTNを通してメッセージをルーティング(経路設定)することによって、ネットワークはいつでもどこでも無線送受信可能範囲を人に提供することができる。TNは、現在、地球ベースの地域ネットワークの形態で存在する。NTNについては、NTNトラッキングエリア(TA:tracking area:追跡領域)が固定の地理的領域に対応する。地球の表面を複数のNTNトラッキングエリアに分割して、ユーザ装置(UE)のモビリティ(移動性)を明らかにする、というのは、UEは1つのNTN TAから他のNTN TAへ移動するからである。UEがTNに接続すると、UEは、以前に構成された同期信号ブロック(SSB:synchronization signal block)ベースの無線リソース管理(RRM:radio resource management)測定タイミング設定(SMTC:SSB-based RRM measurement timing configuration)からの情報に基づくセル探索及び測定を実行して、周波数内、周波数間、またはRA・T間(inter radio access technology:無線アクセス技術間)の測定を効率的に実行することができる。SMTCの構成はキャリア(搬送波)周波数毎である。また、SMTCの構成は、新無線(NR)プライマリセル(Pセル:primary cell)またはプライマリ・セカンダリセル(Psセル:primary secondary cell)のタイミングに基づき、このため、SFN(System Frame Number:システムフレーム番号)、サブフレーム番号、及びサブフレーム境界の開始時刻が、SMTC構成の状態を評価するための関心事である。従って、UEのNR PセルまたはPsセルのタイミングが、SMTCの構成の基準タイミングである。SMTCは、周期性パラメータ、オフセット・パラメータ、及び継続時間パラメータを含む。
【0003】
図1に、SMTCを用いることによってセル探索用のタイミング設定を構成する例を示す。本例では、セルの基準信号がSSBである。図1に示すように、SMTCのフィールドは、基準信号の周期性、オフセット、及び継続時間を規定するパラメータを含む。継続時間パラメータは測定ウィンドウ(窓)の継続時間を示し、この継続時間内に基準信号を受信する。周期性パラメータは、UEが基準信号を受信する周期性を示す。オフセット・パラメータは、UEが基準信号を受信するオフセット・サブフレーム番号を示す。UEは、当該UEのPsセル(即ち、マスターセル・グループが当該UE用に構成された際の当該UEのPセル、あるいはセカンダリセル・グループが当該セル用に構成された際の当該UEのPsセル)のサブフレーム境界をセル探索用のタイミングとして解釈して、あるセルとの時刻同期及び周波数同期をとって、このセルの物理層セルID(identification:身元証明)を検出する。測定ギャップ設定用のSMTCのタイミング設定により、UEは、キャリア周波数上の基準信号を盲目的に探索することなしに、セル探索を実行することができ、それに応じて基準信号の信号強度及び信号品質を測定することができる。図2の例において選択したパラメータの例では、周期性がsf10であり、これは10サブフレームまたは10ミリ秒(ms)であり、オフセットは2であり、これは2msであり、そして継続時間はsf5であり、これは5サブフレームである。SMTCの各フィールドの意味は現在周知であり、現在の5G規格に整合する。
【0004】
しかし、SMTCを用いることを任意にすることはできても、SMTCを用いないことは、端末装置が特にNTNに接続する際にセル探索及び測定を実行するに当たり、より電力を消費することを生じさせ得る。現在、NTNは、TNにおいて以前に規定されていたSSB周期をサポートすることができる、というのは、NR SSBの周期性は、5、10、20、40、80、及び160msのうちの1つを選択することができるからである。SMTCがサービングセル(サービス提供中のセル)によって提供されない場合、UEは5msの周期性をキャリア周波数毎に仮定し、ある期間(例えば、20ms)のブラインド(盲目的)検出をあるキャリア周波数上で実行して、あるセルがこの特定のキャリア周波数で展開されているか否かを判定することができる。従って、ネットワークが、SMTCなしにキャリア周波数上でセル探索を実行するようにUEを構成していると、UEは、セルが展開されない時間ウィンドウ(時間窓)中にこのキャリア周波数上でセル探索を実行するために電力を消費しなければならない。
【0005】
UEがNTN通信及びTN通信の能力を共に有する際に、NTNとTNとが共存する環境では、セル探索及び測定を実行することが挑戦的になり得る。図3にNTNセルの無線送受信可能範囲を示し、この無線送受信可能範囲はTNセルの無線送受信可能範囲よりも相対的に大きい。NTNセルは複数のTNセルとオーバーラップ(重複)することができる。TNセルは複数の公衆陸上移動通信ネットワーク(PLMN:public land mobile network)によって種々のキャリア周波数上で動作することができる。従って、NTNセルにおける隣接するセルは、異なるオペレータによって動作させることができ、複数の国または非常に広大な領土に及ぶことができる。図3aに示すように、NTNセルは、多数のTNセルの無線送受信可能範囲とオーバーラップする無線送受信可能領域を有し、これらのTNセルはキャリア周波数f1で動作するTNセル及びキャリア周波数f2で動作するTNセルを含む。NTNセルにおける隣接するセルの数及び隣接する周波数の数は、TNセルにおける隣接ずるセル及び隣接する周波数の数よりも大幅に多いものと考えることができる。TNセルの無線送受信可能範囲が部分的または全体的にNTNセルの無線送受信可能範囲とオーバーラップする際に、このTNセルはこのNTNセルの隣接セルと考えられるが、UEが位置する所から遠くにある(例えば、TNセルとUEとが異なる島または陸地に位置する)場合が存在し得る。
【0006】
NTNとTNとが共存する展開では、2つの問題が生じ得る。第1の問題は、UEが位置する所から遠くにあり得る周波数またはセルを探索するに当たり、UEの電力消費を低減することを考慮して、隣接するTNセルのセル探索及び測定を開始するために、サービングセルがUEを支援する方法に関係する。第2の問題は、NTNとTNとの間での基準タイミングの扱いに関係する。
【0007】
TNでは、UEのSpセル(特別セル)のタイミングを、隣接セルの測定ギャップ設定用及び基準信号検出用の基準タイミングとして利用する。しかし、NTNでは、NTNペイロードが搭載された航空または宇宙輸送機が時間と共に移動する際に、UEとサービングgNBとの間の伝搬遅延が時間と共に変化する。gNBとNTNペイロードとの間の伝搬遅延、並びにNTNペイロードとUEとの間の時間遅延が時間と共に変化するので、UEのSpセル(即ち、NTNセル)のタイミングは時間と共に変化し、NTNセルのタイミングを、隣接セルの測定ギャップ設定用またはセル探索/基準信号検出用の基準タイミングと解釈することは実現可能ではない。従って、上記第2の問題が発生する。図4に示すように、UEが静止したUEであり、第1信号伝達経路401が、時刻t1にgNB1から出て衛星Sat1を経由してUEに伝送される信号を有するものと仮定すれば、こうした信号がUEによって時刻(t1+Δt)に受信され、ここにΔtはgNB1とUEとの間の伝搬遅延である。しかし、時間txが経過した後には、衛星Sat1が距離dxだけ移動し、このため、第2信号伝達経路402が時刻(t1+tx)にgNB1から出て衛星Sat1を経由してUEに伝送される信号を有するものと仮定すれば、こうした信号はUEによって時刻(t1+tx+Δt+Δt’)に受信され、ここにΔt’は、衛星Sat1が時刻t1から時刻(t1+tx)までに移動した距離dxに応じた、UEとgNBとの間の伝搬遅延のタイミングゆらぎ(タイミング・ドリフト)である。従って、図4の例に示すように、TN基準信号のセル探索及び測定を実行する際には、UEのNTNサービングセルのタイミングを適用することは実現可能ではない。更に、異なる領域にわたる複数のTNセルはタイミングが合っていないことさえもある。
【0008】
各NTNトラッキングエリア(TA)は、固定の地理的領域に対応するように設定されている。図5に示すように、このことは、NTNトラッキングエリア(TA)が固定の地理的領域に関連することを暗に意味する。NTNセルの無線送受信可能範囲によってカバーされる複数のNTN TA(例えば、NTN TA1、NTN TA2、等)が存在し得る。各NTN TAはTNセルのグループに関連することができ、これらのTNセルも地上に固定され、固定の地理的位置/領域に関連する。図5の例では、NTN TA1が第1キャリア周波数f1で動作するTNセルのグループに関連し、NTN TA2が第2キャリア周波数f2で動作するTNセルのグループに関連する。UEは、当該UEの位置に関連するNTN TAを、例えば、地理的領域とNTN TAとのマッピング(対応付け)の事前設定により、あるいはNTNサービングセルがブロードキャストする(広く伝える)システム情報により決定する。UEがNTN TA内に位置する際には、キャリア周波数f1で動作する隣接セルしか存在せず、これらの隣接セルはUEによって検出することができる。しかし、専用のRRC(radio resource control:無線リソース制御)信号伝達によって、あるいはブロードキャストされるシステム情報によって設定されるセル再選択情報を含むレガシー(遺産的)セル(TNセル)探索及び測定の構成によれば、キャリア周波数f1及びf2は共に、(例えば、セル再選択またはセル選択のために)セル探索及び測定手順を開始する際に、UEがセル探索及び測定を実行する必要のある隣接するセルの周波数と考えられる。NTNセルによってサービス提供されるNTN及びTNが可能なUEが、NTNとTNとが共存する環境内で動作する際に、隣接するTNセルの周波数を測定することを可能にするメカニズム、及びUEが測定ギャップ用及びセル探索用のタイミングを処理して、隣接するセルのセル探索及び測定を実行することを可能にするメカニズムが必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
技術課題
従って、本発明は、ユーザ装置がNTNモビリティを実現するために用いる方法、及び同じ方法を用いるユーザ装置に指向している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
課題の解決策
好適例のうちの1つでは、本発明は、ユーザ機器がNTNモビリティを実現するために用いる方法に指向している。この方法は:セル探索及び測定の設定を非地上系ネットワーク(NTN)から受信するステップであって、セル探索及び測定の設定が、少なくとも1つのキャリア周波数、及びこのキャリア周波数に関連するNTNトラッキングエリア(TA)の情報を含むステップと;セル探索及び測定手順を開始するステップと;セル探索及び測定の設定を適用することによって、セル探索及び測定手順を実行するステップとを含み、但しこれらのステップに限定されない。
【0011】
好適例のうちの1つでは、本発明はユーザ装置に指向し、このユーザ装置は:受信機、及びこの受信機に結合されたプロセッサを含み、但しこれらに限定されない。プロセッサは、少なくとも:セル探索及び測定手順を実行するためのセル探索及び測定の設定を非地上系ネットワーク(NTN)から受信し、地上系ネットワーク(TN)に属するセルについてセル探索及び測定手順を開始し、セル探索及び測定の設定を適用することによってセル探索及び測定手順を実行するように構成され、但しこれらの動作に限定されない。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、5G通信システム及びその先の通信システムにおいて使用するのに適し、UEがNTNモビリティを実行する際にセル探索及び測定を電力効率の良い方法で実行することを可能にすることができる。
【0013】
前述した本発明の特徴及び利点を分かり易くするために、図面を添付した好適な実施形態を以下に詳細に説明する。以上の一般的説明及び以下の詳細な説明は共に例示的なものであり、特許請求する本発明の更なる説明を提供することを意図していることは明らかである。
【0014】
しかし、この概要は本発明の態様及び好適例の必ずしもすべてを含まず、従って、いかなる方法でも限定的または制限的であることを意味しないことは明らかである。また、本発明は、当業者にとって明らかな改良及び変更を含む。
【0015】
添付した図面は、本発明の更なる理解をもたらすために含め、本明細書に含まれ本明細書の一部を構成する。これらの図面は、本発明の実施形態を示し、その説明と共に本発明の原理を説明する役目を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】SMTCを用いることによってタイミング設定を構成する例を示す図である。
図2】SMTCを用いることによってタイミング設定を構成することどうしの比較を示す図である。
図3】NTNとTNとの共存に関係する第1の問題を示す図である。
図4】NTNとTNとの共存に関係する第2の問題を示す図である。
図5】NTNの近年の特徴を示す図である。
図6】本発明の好適な実施形態による、NTNモビリティを実現するためにユーザ装置が用いる方法を示す図である。
図7】本発明の好適な実施形態による、図6の方法を用いるユーザ装置のハードウェア図である。
図8】本発明の好適な実施形態による、NTN-TAベースのMeasConfigの導出及びその内容を示す図である。
図9】本発明の好適な実施形態による、UEがNTN-TA-based-MeasConfigを用いることによってTNセルのキャリア周波数を測定する方法を示す図である。
図10】本発明の好適な実施形態による、UEが、基準タイミングを用いつつ隣接するTNセルを探索する方法を示す図である。
図11】本発明の好適な実施形態による、図8の代案実施形態を示す図である。
図12】本発明の好適な実施形態による、図9の代案実施形態を示す図である。
図13】本発明の好適な実施形態による、図10の代案実施形態を示す図である。
図14】本発明の好適な実施形態による、図12の代案実施形態を示す図である。
図15】本発明の好適な実施形態による、図10の代案実施形態を示す図である。
図16】本発明の好適な実施形態による、隣接するTNセル用のSMTCの基準タイミングとして1つのタイミングを利用する方法を示す図である。
図17】本発明の好適な実施形態による、SMTCを有するNTN-TAベースの構成を用いる例を示す。
図18】本発明の好適な実施形態による、UEがNTN-TA-based-MeasConfigを用いることによってTNセルのキャリア周波数を特定する方法を示す図である。
図19】本発明の好適な実施形態による、UEが、基準タイミングを採用しつつ、隣接するTNセルを探索する方法を示す図である。
図20】本発明の好適な実施形態による、UEがタイミング設定にオフセット値を適用する例を示す図である。
図21】本発明の好適な実施形態による、NTN-TAベースのMeasConfigの導出及びその内容を示す図である。
図22図21の変更に基づく、UEが、NTN-TAベースのMeasConfigを用いることによってTNセルのキャリア周波数を測定する方法を示す図である。
図23】本発明の好適な実施形態による、NTN-TAベースのMeasConfigへの追加を示す図である。
図24図23の変更に基づく、UEが、NTN-TAベースのMeasConfigを用いることによってTNセルのキャリア周波数を測定する方法を示す図である。
図25】本発明の好適な実施形態による、図23の変更に基づく、UEがSMTCを有するNTN-TAベースの構成を用いる方法の代案実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
開示する実施形態の詳細な説明
以下、本発明の実施形態を詳細に参照し、その例を添付した図面中に示す。可能ならばいつでも、図面及びその説明中では、同じ参照番号は同一または同様の部分を参照するために用いる。
【0018】
上述した問題を解決するために、本発明は、ユーザ機器がNTNモビリティを実現するために用いる方法、及び同じ方法を用いるユーザ機器を提供する。本発明は、隣接するNTNセル及びTNセルのキャリア周波数を整理するメカニズム、及びUEが隣接するセルのキャリア周波数のセル探索及び測定用の基準タイミングを処理するためのメカニズムを提供することを目的とする。隣接するTNキャリア周波数またはセルの整理は、これらのTNキャリア周波数またはセルのNTN TAとの関連性に基づくことができる。UEにサービス提供中のNTNセルは、UEがセル探索及び測定を実行するためのタイミング設定の情報を含む設定をUEに提供することができる。UEは、最初に検出したTNセル(即ち、セル探索手順によって探索/検出した最初のTNセル)のタイミングを利用することによってタイミング設定を処理して、タイミング設定(例えば、SMTC)のオフセット値をTNキャリア周波数またはセル用に調整することができる。UEは、最初にTNセルについての基準タイミングの支援なしに、セル探索を盲目的に実行する必要があり得る。最初のTNセルの探索に成功した後に、UEはTNセルのタイミングを適用して、隣接する他のTNセルのセル探索及び測定を実行することができる。
【0019】
図6は、ユーザ装置がNTNモビリティを実現するために用いる方法のフローチャートである。図6を参照すれば、ステップS601では、UEがセル探索及び測定の設定をNTNから受信し、セル探索及び測定の設定は、少なくとも1つのキャリア周波数、及びこのキャリア周波数に関連する少なくとも1つのNTN TAの情報を含む。ステップS602では、UEがセル探索及び測定手順を開始する。ステップS603では、UEが、セル探索及び測定の設定を適用することによって、セル探索及び測定手順を実行する。セル探索及び測定手順は、例えば、UEが1つの領域から他の領域へ移動する際の、あるいはUEがちょうど電源投入される際の、あるいはセル再選択のプライオリティ(優先度)の設定に応じた状況下で発生することができる。基本的に、UEは、TNのセルのセル探索を、NTNからの情報に従うことによって実行することができ、但しUEがその現在のNTN TAを識別することができ、当該UEのサービングNTNセルから情報を受信することもできるものと仮定し、こうした情報は、セル探索及び測定の設定を適用可能であるNTN TAに当該セル探索及び測定の設定を関連付けることにより整理することができる。
【0020】
好適な実施形態によれば、セル探索及び測定の設定を受信するステップは、セル探索及び測定の設定を専用の信号伝達により受信するステップを含むことができ、この信号伝達は、ダウンリンク共有チャネル経由で送信され、UEへの送信専用である。同様に、セル探索及び測定の設定を受信するステップは、セル探索及び測定の設定をブロードキャストされる信号伝達により受信するステップを含むことができ、このブロードキャストされる信号伝達は、ブロードキャスト・チャネル経由で送信される。
【0021】
好適な実施形態によれば、セル探索及び測定の設定における少なくとも1つのキャリア周波数が許可セルリスト(許可されたセルのリスト)に関連し、この許可セルリストはセルの少なくとも1つのアイデンティティ(身元証明)を含むことができ、セル探索及び測定手順を実行するステップが、このキャリア周波数に関連する許可セルリスト上に出現するセル間のみでセル探索及び測定手順を実行するステップを更に含む。同様に、セル探索及び測定の設定における少なくとも1つのキャリア周波数が禁止セルリスト(禁止されたセルのリスト)に関連することができ、この禁止セルリストはセルの少なくとも1つのアイデンティティを含み、セル探索及び測定手順を実行するステップが、このキャリア周波数に関連する禁止セルリスト上に出現するセル間でセル探索及び測定手順を実行しないステップを更に含むことができる。
【0022】
好適な実施形態によれば、上記方法が、少なくとも1つのキャリア周波数が、UEが決定したNTN TAに関連する際に、UEが決定したNTN TAに関連する少なくとも1つのキャリア周波数上のみでセル探索及び測定手順を実行するステップを更に含むことができる。上記方法は、UEが決定したNTN TAに関連するセル探索及び測定の設定中にキャリア周波数またはセルが何ら存在しない際に、セル探索及び測定手順を実行しないステップを更に含むこともできる。上記方法は、セル探索及び測定の設定が期限切れまたは無効である際に、セル探索及び測定の設定を適用することによってセル探索及び測定手順を実行するステップを停止するステップを更に含むこともできる。上記方法は、セル探索及び測定の設定の期限切れまたは無効を、有効時間に応じて判定するステップを更に含むこともできる。この有効時間はタイマーの値によって設定することができ、このタイマーが時間切れになる前にセル探索及び測定の設定が有効である。この有効時間は、セル探索及び測定の設定の適用可能期間の開始時刻及び停止時刻によって設定することもできる。
【0023】
好適な実施形態によれば、上記方法は、セル探索及び測定の設定の期限切れまたは無効を、有効領域に応じて判定するステップを更に含むこともできる。この有効領域は、1つ以上のNTN TAC(tracking area code:トラッキングエリアコード)/TAI(tracking area identifier:トラッキングエリア識別子)に関連することができ、あるいは緯度及び経度の座標の形式で表される地理的領域に関連することができ、あるいは1つ以上のNTNセルのアイデンティティに関連することができる。上記方法は、UEが位置するNTN TAをUEが特定することができない際に、セル探索及び測定手順の実行を停止するステップを更に含むこともできる。上記少なくとも1つのキャリア周波数はタイミング設定に更に関連することができ、このタイミング設定は、セル探索及び測定手順をこのキャリア周波数上で実行するための時間領域の基準情報である。同様に、このタイミング設定は有効期間に関連することができ、この有効期間は当該有効期間の開始時刻及び停止時刻によって表すことができる。同様に、このタイミング設定は有効領域に関連することができる。
【0024】
好適な実施形態によれば、セル探索及び測定手順を実行するステップが、セル探索及び測定の設定からタイミング設定を決定するステップと、このタイミング設定を用いてセルを探索することによってセル探索及び測定手順を実行するステップとを含むことができる。同様に、セル探索及び測定手順を実行するステップは、セル探索及び測定手順用に利用可能なものと判定された第1基準タイミングが存在しない際に、セル探索及び測定の設定における第1キャリア周波数に関連するタイミング設定を適用せずに、上記セルのうちの第1セルの第1キャリア周波数についてセル探索及び測定手順を実行するステップと、第1基準タイミングがセル探索及び測定の設定から得られないことに応答して、第1セルのサブフレーム境界のタイミングを、セル探索及び測定手順用に決定される第1基準タイミングとして用いるステップとを含むことができる。
【0025】
同様に、セル探索及び測定手順を実行するステップは、セル探索及び測定の設定から第1タイミング設定が得られることに応答して、第1キャリア周波数に関連するタイミング設定のオフセット値と、第2キャリア周波数に関連するタイミング設定のオフセット値との差分値を計算することによって、第2キャリア周波数に適用可能なオフセット値を決定するステップと、この適用可能なオフセット値を用いて、第2キャリア周波数に関連するタイミング設定のオフセット値を代替することによって、第2キャリア周波数に関連する実行可能なタイミング設定を生成して、セル探索及び測定手順を第2キャリア周波数上で実行するステップとを含むことができる。セル探索及び測定手順を実行するステップは、第2キャリア周波数に関連する実行可能なタイミング設定を用いることによって、上記セルのうちの第2セルの第2キャリア周波数についてセル探索及び測定手順を実行するステップを更に含むことができる。
【0026】
好適な実施形態によれば、セル探索及び測定の設定が許可セルリストを含むことができ、セル探索及び測定手順を隣接するセル間で実行するステップが、許可セルリスト上に出現する隣接するセル間のみでセル探索及び測定手順を実行するステップを更に含むことができる。同様に、NTN TAベースのセル探索及び測定の設定が禁止セルリストを更に含むことができ、セル探索及び測定手順を隣接するセル間で実行するステップが、禁止セルリスト上に出現する隣接するセル間でセル探索及び測定手順を実行しないステップを更に含むことができる。同様に、セル探索及び測定の設定がPLMNリストを更に含むことができ、セル探索及び測定手順を実行するステップが、UEのホームPLMN、UEの登録PLMN、UEの等価ホームPLMN(EHPLMN:equivalent home PLMN)、またはUEの等価登録PLMN(ERPLMN:equivalent registered PLMN)のいずれもPLMNリスト上に出現しない場合に、セル探索及び測定手順を実行しないステップを更に含むことができる。
【0027】
好適な実施形態によれば、セル探索及び測定の設定が、セル探索及び測定の設定におけるキャリア周波数に関連するSMTCを含むことができる。許可セルリスト、禁止セルリスト、及びPLMNリストのエントリは、セル探索及び測定の設定によって示されるSMTCに関連することができる。SMTCは、SSBを受信するためのタイミング、継続時間ウィンドウ、及び測定ウィンドウの周期性を計算するためのオフセット値を含むことができる。
【0028】
図7は、図6に記載した方法を用いる好適なUEのハードウェア・ブロック図である。UEは、ハードウェア・プロセッサ701、送信機702、受信機703、及び非一時的記憶媒体を含むことができ、但しこれらに限定されない。ハードウェア・プロセッサ701は、送信機702及び受信機703、及び非一時的記憶媒体に電気接続され、少なくとも、図6に記載した方法及びそれに続く好適な実施形態を実現するように構成されている。
【0029】
送信機702と受信機703とは、1つ以上の統合型または分離型のトランシーバ・モジュールとして統合することができ、これらのトランシーバ・モジュールの各々が1つ以上のトランシーバを含むことができ、これらのトランシーバは統合型または分離型の送信機及び受信機とすることができ、それぞれ無線周波数またはmm波周波数で信号を送信及び受信するように構成されている。ハードウェア・トランシーバ(例えば、702、703)は、低ノイズ増幅、インピーダンス整合、周波数混合、周波数のアップ・コンバージョン及びダウン・コンバージョン、フィルタ処理、増幅、等のような動作を実行することもできる。ハードウェア・トランシーバは、各々が1つ以上のアナログ-デジタル(A/D:analog-to-digital)変換器及びデジタル-アナログ(D/A:digital-to-analog)変換器を含むことができ、これらは、アップリンク信号処理中にはアナログ信号フォーマットからデジタル信号フォーマットへ変換し、ダウンリンク信号処理中にはデジタル信号フォーマットからアナログ信号フォーマットへ変換するように構成されている。ハードウェア・トランシーバは、各々がアンテナアレイを更に含むことができ、このアンテナアレイは、無指向性アンテナビームまたは指向性アンテナビームを送信及び受信するための1つまたは複数のアンテナを含むことができる。
【0030】
ハードウェア・プロセッサ701は、デジタル信号を処理して、提案する本発明の好適な実施形態による提案する方法の手順を実行するように構成されている。また、ハードウェア・プロセッサ701は非一時的記憶媒体にアクセスすることができ、非一時的記憶媒体は、ハードウェア・プロセッサ701によって割り当てられたプログラミングコード、コードブック構造、バッファ記憶データ、及び記録構造を記憶する。ハードウェア・プロセッサ701は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSP(digital signal processor:デジタルシグナルプロセッサ)チップ、FPGA(field programmable gate array:フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ)、等を用いることによって実現することができる。ハードウェア・プロセッサ701の機能は、別個の電子デバイスまたはIC(integrated circuit:集積回路)で実現することもできる。なお、ハードウェア・プロセッサ701の機能はハードウェアでもソフトウェアでも実現することができる。
【0031】
図6及び図7に記載した概念を更に明らかにするために、本開示は、図8~25に示し、これらの図に対応する記載によって説明するいくつかの好適な実施形態を提供する。本開示中に提供する全体的メカニズムは、2つの段階、即ち設定段階及び実行段階を有することができる。設定段階中には、UEはセル探索及び測定の設定を、現在UEにサービス提供中のNTNセルから受信することができる。実行段階中には、UEは、TNセルについてのセル探索及び測定手順を、NTNセルから受信したセル探索及び測定の設定を用いることによって実行することができる。
【0032】
設定段階中には、隣接するTNの周波数またはセルが、当該周波数またはセルに関連するNTN TAに関連している。このTNの周波数またはセルは、更に、関連するNTN TAに基づいてグループ化することができる。あるTNセルのセル無線送受信可能範囲があるNTNセルのセル無線送受信可能範囲とオーバーラップする際に、このTNセルが、このNTNセルに隣接するTNセルと考えられる。従って、隣接するセルのキャリア周波数はNTNセルの隣接周波数と考えることができる。
【0033】
NTNセルが探索及び測定の設定をUEに提供するために、UEは、当該UEのNTNサービングセルから情報を受信する。UEは、こうした情報を当該UEのNTNサービングセルから2つの方法で受信することができる。UEがNTNサービングセルに対してRRC_CONNECTED(RRC接続)状態である際には、UEは、探索及び測定の設定を、当該UEのNTNサービングセルから専用の信号伝達により受信することができ、あるいは、UEがNTNサービングセルに対してRRC_CONNECTED、RRC_IDLE(RRCアイドル(待機))、またはRRC_INACTIVE(RRC非アクティブ(機能停止))状態である際には、UEは、探索及び測定の設定を、ブロードキャストされるシステム情報(SI:system information)により受信することができる。
【0034】
設定段階後に、UEは実行段階に入ることができる。実行段階中に、UEは、セル探索及び測定手順を、このUEの位置をカバーするNTN TAに関連するTN周波数のみについて実行すればよい。換言すれば、UEは、TNセル探索及び測定を、サービングNTNセルから提供されるセル探索及び測定の設定に応じて実行することができる。図8~15は、UEがセル探索及び測定を実行する第1組の好適な実施形態を記載し、図16~25は、UEがタイミング設定情報(例えば、SMTC)を用いることによってセル探索及び測定を実行する第2組の好適な実施形態を記載する。本開示は、第1組の好適な実施形態を説明することに移る。
【0035】
セル探索及び測定の設定情報の1つの実現は、パラメータNTN-TA-based-MeasConfig(NTN-TAベースの測定設定)を用いることとすることができる。図8は、NTN-TA-based-MeasConfig及びその内容の導出を示すフローチャートである。ステップS801では、UEがNTNトラッキングエリア識別子(TAI:tracking area identifier)リストを受信するか既に保有していることができ、TAIリストは、モバイル国(カントリー)コード(MCC:mobile country code)、モバイル・ネットワークコード(MNC:mobile network code)、及びトラッキングエリアコード(TAC:tracking area code)のリストを含む。NTN TAIリストより、ステップS802では、UEがNTN TAIを取得することができる。ステップS803では、NTN TAIを用いることによって、UEは、当該UEのNTNサービングセルから、NTN TAIリスト中のこのNTN TAIに関連するNTN-TA-based-MeasConfigを受信することができる。NTN-TA-based-MeasConfigのリストは、1つ以上のNTN-TA-based-MeasConfigを含み、各NTN-TA-based-MeasConfigはキャリア周波数に関連する。ステップS804では、UEがNTN-TA-based-MeasConfigを取得する。ステップS805では、UEが、NTN-TA-based-MeasConfigから、DLキャリア周波数、及びSSB周波数のサブキャリア(副搬送波)空間に関する情報を取得して、TNセル探索及び測定を実行する。
【0036】
NTN-TA-based-MeasConfigを受信した後に、UEはTNセル探索及び測定手順を開始することができる。図9は、本発明の好適な実施形態による、UEがNTN-TA-based-MeasConfigを用いることによってTNセルのキャリア周波数を測定する方法を示すフローチャートである。ステップS901では、UEがTNセル探索を開始しているものと仮定する。UEは、TNセル探索を、UEが最初に電源投入された際、UEがその移動性により異なるTNセルへ切り換えなければならない際のようなある状況下で、あるいはセル再選択プライオリティの設定に応じて、TNセル探索を開始することができる。ステップS902では、UEが専用の信号伝達により、隣接するTNセルの周波数プライオリティを与えられている場合、UEは、専用の信号伝達により設定されたプライオリティを適用して、TNセルの周波数に関連する周波数プライオリティに応じてTNセルのセル探索及び測定を実行することができ、システム情報から得られたプライオリティは無視することができる。そうでない場合、UEは、ブロードキャストされるシステム情報から得られたプライオリティを適用することによって、TNセルに対するセル探索及び測定を実行する。ステップS903では、UEがNTN-TA-based-MeasConfigを、専用の信号伝達またはブロードキャストされるシステム情報のいずれかから取得しており、UEはNTN-TA-based-MeasConfigが有効であるか否か、及び実現することができるか否かを判定する。この判定が「いいえ」である場合、ステップS904で、UEはTNセル探索を開始しないで済み、この処理の反復を終了する。この判定が「はい」である場合、処理はステップ905に進む。NTN-TA-based-MeasConfigが有効であり適用可能であるか否かをUEが判定するための、NTN-TA-based-MeasConfigの有効性/適用可能領域のタイマーまたはアイデンティティが存在することができる。タイマーが時間切れになるか、有効性/適用可能領域がUEの位置と一致しない際には、NTN-TA-based-MeasConfigが有効でなく実現することができないものと考える。
【0037】
ステップS905で、UEが、当該UEの現在位置に関連するNTN TAIである当該UEのUE NTN TAIを特定することができない場合、ステップS906で、UEは、周波数プライオリティによる最高のプライオリティまたはより高いプライオリティを有する周波数のうちの1つ以上を適用することによって、TNセル探索及び測定を実行する。UEが、専用の信号伝達により受信した周波数プライオリティを有効であるものと判断する場合、UEは、専用の信号伝達により受信した周波数プライオリティに応じてTNセル探索及び測定手順を実行するだけでよい。UEが、当該UEの現在位置に関連するNTN TAIであるUE NTN TAIを特定することができる場合、ステップS907で、UEは、UE NTN TAIに関連するTNセルの周波数が設定されているか否かを判定する。この判定が「はい」である場合、ステップS908で、UEは、TNセル探索及び測定を、UE NTN TAIまたはNTNサブエリア(副領域)に関連するTN周波数に基づいて実行することができる。NTNサブエリアは1つ以上のNTN TAIに関連することができ、あるいは緯度及び経度の座標の形式で表される地理的領域に関連することができ、あるいは1つ以上のNTNセルのアイデンティティに関連することができる。上記判定が「いいえ」である場合、ステップS909で、UEはTNセル探索を開始しなくてもよく、この処理の反復を終了する。
【0038】
図10に、本発明の好適な実施形態による、UEが、基準タイミングを用いつつ隣接するTNセルを探索する方法を示す。ステップS1001では、UEが、UE NTN TAIまたはNTNサブエリアに関連するTNセルのキャリア周波数上でセル探索及び測定を実行することによって、隣接するTNセルを探索する手順を開始する。ステップS1002では、TNセルのキャリア周波数が設定されている場合に、UEが、セル探索及び測定を、UE NTN TAIに関連するものとして識別されているTNセルのキャリア周波数上で、周波数リスト中のプライオリティに応じて実行する。基準タイミングをNTN-TA-based-MeasConfig用に用いている場合、UEはこの基準タイミングを用いてセル探索及び測定手順を上記キャリア周波数について実行する。そうでない場合、UEは、識別した隣接するTNセルのキャリア周波数が5msのSSB周期性を有するものと仮定することができ、UEはキャリア周波数上でSSBを盲目的に検出することができる。
【0039】
ステップS1003では、UEが、セル探索及び測定をあるキャリア周波数上で実行した後に、隣接するTNセルfが検出されているか否かを判定する。NTN-TA-based-MeasConfig内に含まれる周波数からセルが検出されていない場合、ステップS1004で、UEは、例えば、識別した隣接するTNセルのキャリア周波数上でセル探索及び測定手順を実行するためのウィンドウを広げることによって、当該UEのセル探索及び測定基準を緩和することができる。ステップS1003でUEがセルを検出している場合、ステップS1005で、UEは、検出されたセルのPLMNが当該UEによってサポートされているか否かを判定する。この判定が「はい」である場合、ステップS1006で、UEは、検出したセルを適切なセルと考える。この判定が「いいえ」である場合、ステップ1007で、UEは、基準タイミングがNTN-TA-based-MeasConfig用に設定または採用されていない場合、ステップ1003からの検出したセルのタイミングを、その後の、同じNTN-TA-based-MeasConfigからのTNセルのキャリア周波数上でのセル探索及び測定手順用の基準タイミングとして用いることができる。UEは、ステップS1002におけるように、セル探索及び測定を、他のキャリア周波数上で、NTN-TA-based-MeasConfig中に含まれるTN周波数に関連する周波数プライオリティに応じて更に実行することができる。
【0040】
図11に、図8の代案実施形態を示す。図11のステップS1101~S1104は図8のステップS801~S804と同じであるが、図11は追加的ステップであるステップS1105を含む。ステップS1105では、UEが更に、NTN-TA-based-MeasConfigから、隣接するTNセルの少なくとも1つのセル・アイデンティティを特定することができる。隣接するTNセルのセル・アイデンティティは、特定の隣接するTNセルを、例えばロード・バランシング(負荷分散)のようなネットワーク問題用に選択することをUEに指定する手段とすることができる。隣接するTNセルのセル・アイデンティティは、許可セルリスト(即ち、パラメータallowedCellList)の一部とすることができ、許可セルリストからのセルのみをUEが(再)選択することができる。更に、ステップS1106では、UEがNTN-TA-based-MeasConfigから禁止セルリスト(即ち、パラメータforbiddenCellList)を得て、特定目的用に予約された特定のセルをUEが(再)選択することを防止することができる。
【0041】
図8の修正版としての図11は、図9の実施形態に影響を与える。図12図9の代案実施形態を示す。図12は、UEが、NTN-TA-based-MeasConfigを、ステップS1203及びS1204を除いて図9の実施形態と同じ方法で用いることによって、TNセルのキャリア周波数を特定する方法を示す。ステップS1201では、UEが、UE NTN TAIに関連するTNセルの周波数が設定されているか否かを判定する。この判定が「いいえ」である場合、ステップS1202で、UEはTNセル探索を開始しなくてもよく、この処理の反復を終了する。この判定が「はい」である場合、ステップS1203で、UEは、forbiddenCellListが構成されている場合、forbiddenCellListに含まれるいずれのTNセルも候補セルと考えず、UEは、allowedCellListが構成されている場合、allowedCellListに含まれるセルのみを候補セルと考える。ステップS1204では、UEが、TNセル探索及び測定を、UE NTN TAまたはNTNサブエリアに関連するTNに基づいて実行することができる。
【0042】
図13に、図8の代案実施形態を示す。図13の好適な実施形態については、NTN-TA-based-MeasConfigがPLMNリストを更に含むことができ、このPLMNリストは少なくとも1つのPLMNアイデンティティを含む。UEが前述したセル探索及び測定情報を受信している場合、UEは、まず、TNセルの可能なキャリア周波数のうち最良のセルをNTN-TA-based-MeasConfigから識別する必要がある。これに続いて、UEは、この最良のセルからシステム情報を取得することができ、そして、このセルのPLMNを非アクセス層(NAS:non-access stratum)に提供して、あるセルが適切なセルであるか否かを判定することができる。UEが、等価ホームPLMN(EHPLMN)または等価登録PLMN(ERPLMN)または好適なPLMNを有して構成される場合、UEは、こうした情報を利用して、TNセル探索を開始するか否かを判定することができる。図13の手順は次の通りである。ステップS1301では、UEがNTN TAIリストを受信するか既に保有していることができ、NTN TAIリストは1つ以上のNTN TAIのリストを含む。NTN TAIリストより、ステップS1302では、UEがNTN TAI(例えば、現在のUE位置に関連するNTN TAI)を取得することができる。ステップS1303では、このNTN TAIを用いることによって、UEは、このNTN TAI に関連するNTN-TA-based-MeasConfig情報のリストを取得することができる。NTN-TA-based-MeasConfigのリストは1つ以上のNTN-TA-based-MeasConfigを含み、各NTN-TA-based-MeasConfigはキャリア周波数に関連する。ステップS1304では、関心事のキャリア周波数がセル探索及び測定用に設定されている場合、UEが、この関心事のキャリア周波数に関連するNTN-TA-MeasConfigを取得する。NTN-TA-based-MeasConfigはPLMNリストを更に含み、PLMNリストは1つ以上のPLMN IDで構成されている。従って、ステップS1305では、UEがPLMNリストをNTN-TA-based-MeasConfigから取得し、ステップS1306では、UEが1つ以上のPLMN IDをNTN-TA-based-MeasConfigから取得する。各PLMN IDは、当該PLMN IDをサポートするセルが展開する1つ以上のキャリア周波数情報に関連する。このキャリア周波数情報は、DLキャリア周波数、及びこのPLMN IDをサポートするセルが展開するSSB周波数のサブキャリア空間で構成される。ステップS1307では、UEが、DLキャリア周波数、及び上記SSB周波数のサブキャリア空間を取得して、TNセル探索及び測定を実行する。
【0043】
図14に、図9の実施形態に対する図13の実施形態の影響を示す。図14は更新したフローチャートであり、UEが、NTN-TA-based-MeasConfigを用いることによってTNセルのキャリア周波数を特定して、EHPLMNまたはERPLMNを取得する方法を示す。図14のステップは、ステップS1401を除いて図9のステップと同じである。UEが当該UEのNTN TAIを特定することができ、このNTN TAIは当該UEの現在位置に関連するNTN TAIである場合、ステップS1401では、UEが、当該UEのEHPLMNまたはERPLMNの少なくとも一方がNTN-TA-based-MeasConfigのPLMNリストに含まれるか否かを判定し、但しこうした情報がNTN-TA-based-MeasConfig内で入手可能である場合である。この判定が「はい」である場合、ステップS1402で、UEは、上記UE NTN TAIに関連するTNセルの周波数が設定されているか否かを判定する。この判定が「はい」である場合、ステップS1404で、UEは、セル探索及び測定手順を、上記UE NTN TAIまたは上記NTNサブエリアに基づいて実行することができる。この判定が「いいえ」である場合、ステップS1403で、UEはTNセル探索を開始しなくてもよく、この処理の反復を終了する。
【0044】
図15に、図10の代案実施形態を示し、この代案実施形態は、図10の実施形態に対する図13の実施形態の影響に基づく。図15のステップは、ステップS1801を除いて図10のステップと同じである。UEがステップS1303におけるようにセルを検出している場合、ステップS1801では、NTN-TA-based-MeasConfigにより基準タイミングが設定または採用されていない場合に、UEが、検出したセルのタイミングを、その後の、同じNTN-TA-based-MeasConfigからの、TNセルのキャリア周波数上でのセル探索及び測定手順用の基準タイミングとして採用する。
【0045】
本開示は第2組の好適な実施形態を説明することに移り、ここでは、UEが、SMTCを用いることによってセル探索及び測定を実行する。本開示は、仮想基準タイミングまたはアンカー基準タイミングを、隣接するTNセル用のSMTC用の基準タイミングとして用いることの概念を提供する。従って、SMTCのオフセット値は、サービングセルのタイミングに基づく代わりに仮想基準タイミングに基づいて計算することができる。図16に、仮想基準タイミングの基準タイミングとしての利用を示す。図16に示すように、サービングセルのタイミングに基づく代わりに、t0が基準タイミングであるので、キャリア周波数f1を有するTNセルがSMTCオフセット値offset_1を有し、キャリア周波数f2を有するTNセルがSMTCオフセット値offset_2を有する。
【0046】
図17に、SMTCによるセル探索及び測定の設定を示す。この好適な実施形態では、各NTN-TA-based-MeasConfigが、1つ以上のsmtc_on_TN_timing(TN上のSMTCのタイミング)に更に関連する。各smtc_on_TN_timingは、オフセット、継続時間、及び周期性を含むパラメータのうちの1つ以上を更に含む。オフセット・パラメータは、基準タイミングに対するオフセットを示す。継続時間パラメータは、測定継続時間の長さを示し、この測定継続時間中に、同期信号ブロック(SSB)のような基準信号を受信することになる。周期性パラメータは、UEが基準信号を受信する周期性を示す。オフセット値の値は、0、正の値、または負の値にすることができる。オフセット値の単位は、msまたはタイムスロットとすることができる。図17に示すように、ステップS2001及びS2002及びS2003は、ステップS1101、S1102、及びS1103と同じである。ステップS2004では、UEがNTN-TA-based-MeasConfigを取得することができる。ステップS2005では、NTN-TA-based-MeasConfigに関連するパラメータを、DLキャリア周波数、及びSSB周波数のサブキャリア空間、及びsmtc_on_TN_timimgを含めて検索して、TNセル探索及び測定を実行することができる。smtc_on_TN_timimgは、オフセット、継続時間、及び周期性の領域を含む。従って、ステップS2006では、パラメータであるオフセット、継続時間、及び周期性を、更にsmtc_on_TN_timimgから取得することができる。
【0047】
図18に、本発明の好適な実施形態による、UEがNTN-TA-based-MeasConfigを用いることによってTNセルのキャリア周波数を特定する方法を示す。ステップS1801では、UEがTNセル探索を開始しているものと仮定する。ステップS1802では、UEがセル探索及び測定用の周波数プライオリティを信号伝達により与えられている場合、UEはこの周波数プライオリティを適用して、TNセルに対するセル探索及び測定を実行することができる。UEがセル探索及び測定用の周波数プライオリティを信号伝達により与えられていない場合、UEは、TNセルに対するセル探索及び測定手順を、システム情報から取得した周波数プライオリティに基づいて実行する。専用の信号伝達及びブロードキャストされるシステム情報の両方からの周波数プライオリティが存在する場合、専用の信号伝達により取得したプライオリティを優先する。ステップS1803では、UEが、NTN-TA-based-MeasConfigが有効であり実現することができるか否かを判定する。この判定が「いいえ」である場合、ステップS1804で、UEはセル探索を開始しなくてもよく、この処理の反復を終了する。この判定が「はい」である場合、処理はステップS1805に進む。
【0048】
ステップS1805では、UEが、当該UEの現在位置に関連するNTN TAIである当該UEのUE NTN TAIを特定することができない場合、ステップS1806で、UEは、上記周波数プライオリティを適用することによってセル探索及び測定を実行する。専用の信号伝達により受信した周波数プライオリティが有効であるものとUEが判断する場合、UEは、専用の信号伝達により受信した周波数プライオリティに応じてセル探索及び測定手順を実行するだけでよい。一旦、周波数プライオリティにより関心周波数を識別すると、UEは、この周波数に関連するsmtc_on_TN_timingパラメータが設定されている場合に、更に、このsmtc_on_TN_timingパラメータを適用してセル探索及び測定を実行することができる。この周波数に関連するsmtc_on_TN_timingパラメータが設定されていない場合、UEは、5msのSSB周期性を仮定して、セル探索及び測定を実行することができる。
【0049】
UEが、当該UEの現在位置に関連するNTN TAIである当該UEのUE NTN TAIを特定することができる場合、ステップS1807で、UEは、このUE NTN TAIに関連するTNセルの周波数が設定されているか否かを判定する。この判定が「いいえ」である場合、ステップS1808で、UEはセル探索を開始しなくてもよく、この処理の反復を終了する。この判定が「はい」である場合、ステップS1809で、UEは、上記周波数に関連するNTN-TA-based-MeasConfigに関連するsmtc_on_TN_timingが入手可能であり有効であるか否かを判定する。この判定が「はい」である場合、ステップS1810で、UEは、このNTN-TA-based-MeasConfigに関連するsmtc_on_TN_timingを適用して、セル探索及び測定手順を実行する。この判定が「いいえ」である場合、ステップS1811で、UEは、ある周波数に関連するsmtc_on_TN_timingが、上記UE NTN TAIに関連する周波数上でのセル探索を実行するために設定されていない場合に、5msのSSB周期性を仮定することができる。
【0050】
図19に、本発明の好適な実施形態による、UEが、smtc_on_TN_timingパラメータからのタイミング設定を採用しつつ、隣接するTNセルを探索する方法を示す。ステップS1901では、UEが、キャリア周波数に関連するNTN-TA-based-MeasConfigに関連するsmtc_on_TN_timingを適用して、このキャリア周波数のセル探索及び測定を実行する。ステップS1902では、UEが、UE NTN TAIまたはNTNサブエリアに関連するTNセルのキャリア周波数上でセル探索及び測定を実行することによって、隣接するTNセルを探索する手順を開始する。ステップS1902では、UEが、周波数プライオリティが設定されている場合に、この周波数プライオリティに応じて、UE NTN TAIに関連するものと識別されるTNセルのキャリア周波数上でセル探索及び測定を実行する。NTN-TA-based-MeasConfigによる基準タイミングを採用している場合、UEはこの基準タイミングを採用して、このキャリア周波数に関連するsmtc_on_TN_timingを調整して、このキャリア周波数についてセル探索及び測定を実行する。そうでない場合、UEは、キャリア周波数の5msのSSB周期性を仮定する。
【0051】
ステップS1903では、UEが、セル探索及び測定手順を実行した後にセルが検出されているか否かを判定する。セルが検出されていない場合、ステップS1904で、UEは、例えば、セル探索及び測定手順をキャリア周波数上で実行するためのウィンドウを広げることによって、セル探索及び測定基準を緩和する。UEがステップS1903でセルを検出している場合、ステップS1905で、UEは、検出したセルのPLMNを当該UEがサポートするか否かを判定する。この判定が「はい」である場合、ステップS1906で、UEは検出したセルが適切なセルであるものと考える。ステップS1907では、基準タイミングがNTN-TA-based-MeasConfig用に設定または採用されていない場合、UEは、検出したセルのタイミングを、同じNTN-TA-based-MeasConfigのキャリア周波数上でのセル探索及び測定用の基準タイミングとして採用する。
【0052】
同じNTN-TA-based-MeasConfigのキャリア周波数上でのセル探索及び測定を実行する際に、UEは、このキャリア周波数のタイミング設定を、上記基準タイミング、及びこのキャリア周波数に関連するsmtc_on_TN_timingに基づいて調整することができる。図20に、UEがオフセット値調整を適用する概念を示す。UEが関心事のキャリア周波数y 2301を識別しているものと仮定すれば、UEは、調整したタイミング設定(即ち、実行可能なタイミング設定)を適用して、関心事の周波数としての周波数y 2301についてセル探索及び測定手順を実行しなければならない。NTN-TA-based-MeasConfigに含まれる第1周波数xのセルが検出され、基準タイミングがNTN-TA-based-MeasConfig用に設定または採用されていない際には、第1周波数xのセルのタイミングを、NTN-TA-based-MeasConfigに関連する基準タイミングとして採用する。第1周波数xのセルが適切なセルでない場合、UEは、この基準タイミングを適用して、第2周波数yのセル探索及び測定に適用可能なタイミングを調整することによって、第2周波数yのセル探索及び測定を更に実行する。UEは、まずsmtc_on_TN_timing_xを取得することができ、smtc_on_TN_timing_xは第1キャリア周波数xに関連するsmtc_on_TN_timingである。smtc_on_TN_timing_xは、パラメータ集合{offset_x(オフセットx), duration_x(継続時間x), periodicity_x(周期性x)}を含むことができる。次に、UEはsmtc_on_TN_timing_yを取得することができ、smtc_on_TN_timing_yは第2キャリア周波数y 2301に関連するsmtc_on_TN_timingである。smtc_on_TN_timing_yは、パラメータ集合{offset_y(オフセットy), duration_y(継続時間y), periodicity_y(周期性y)}を含むことができる。次に、UEは、smtc_on_TN_timing_yと基準タイミングとのオフセット差(即ち、この場合offset_yとoffset_xとの差)を計算して、第2周波数y用の実行可能なタイミング設定を生成することによって、セル探索及び測定を第2周波数y上で実行するためのオフセット値を調整する。実行可能なタイミング設定は、パラメータであるオフセット、継続時間、及び周期性に関連する値{(offset_y-offset_x), duration_y, periodicity_y}を含み、これによりUEは、実行可能なタイミング設定に基づいて、第2周波数yのセル探索及び測定手順を実行する。
【0053】
第2組の実施形態については、NTN-TA-based-MeasConfigがTNセルの少なくとも1つのセル・アイデンティティを更に含むことができる。隣接するTNセルのセル・アイデンティティは、許可セルリスト(即ち、パラメータallowedCellList)の一部とすることができ、許可セルリストからのセルのみをUEが(再)選択することができる。更に、NTN-TA-based-MeasConfigは、特定目的用に予約された特定のセルをUEが(再)選択することを防止するための禁止セルリスト(即ち、パラメータforbiddenCellList)を含むことができる。図21に、セルリストをNTN-TA-based-MeasConfigに含めることを示す。図21の実施形態は図11の実施形態と同様であるが、NTN-TA-based-MeasConfigがsmtc_on_TN_timingを更に含むことができる(ステップS2401)。
【0054】
図22に、図18の実施形態の代案実施形態を示し、この代案実施形態は、図21の実施形態において説明するように追加的特徴をセルリストに含めることによる。図22では、ステップS2501を除いたステップは図18と同じである。ステップS2501では、UEは、forbiddenCellListが構成されている場合、こうしたリスト(forbiddenCellList)に含まれるいずれのセルも候補TNセルと考えず、UEは、allowedCellListが構成されている場合、こうしたリスト(allowedCellList)に含まれるあらゆるセルを候補セルと考える。従って、NTN-TA-based-MeasConfigに関連するsmtc_on_TN_timingが入手可能であり有効であるものと判断されている場合、UEは、当該UEの可能な候補セルを考える際に、セルリストを考慮する。
【0055】
第2組の好適な実施形態については、NTN-TA-based-MeasConfigが、隣接するTNセルのPLMNリストを更に含むことができ、このPLMNリストは少なくとも1つのPLMNアイデンティティを含む。こうした概念を図23に示し、図23は、TNセル探索及び測定情報をTNセル探索及び測定情報のリストから取得するステップ(S2601)を示し、TNセル探索及び測定のリストは、NTN-TA-based-MeasConfig情報のリストとすることができる。TNセル探索及び測定情報より、ステップS2601では、UEがPLMNリストを取得することができる。ステップS2603では、サブキャリア空間のDLキャリア周波数を取得することに加えて、UEは、隣接するTNセル用のsmtc_on_TN_timingをPLMNリスト上で取得することができる。UEがセル探索及び測定情報を受信している場合、UEは、まず、最良のセルを、NTN-TA-based-MeasConfigにより識別する必要がある。これに続いて、UEは、必要に応じて、この最良のセルからシステム情報を取得することができ、このPLMNをPLMN選択用に非アクセス層(NAS)に提供して、あるセルが適切なセルであるか否かを判定することができる。UEが、等価ホームPLMN(EHPLMN)または等価登録PLMN(ERPLMN)または好適なPLMNを有して構成される場合、UEは、こうした情報を利用して、TNセル探索を開始するか否かを決定することができる。NTN-TA-based-MeasConfigに含まれるPLMNのいずれもUEによってサポートされない場合、UEはそれに応じてセル探索及び測定手順を開始しなくてもよい。
【0056】
PLMNリストがNTN-TA-based-MeasConfig情報から入手可能であるものと仮定すれば、図18の好適な実施形態は相応に変更することができ、図18の好適な実施形態を変更したものを図24に示す。図24のステップは、ステップS2701を除いて図18のステップと同じである。ステップS2701では、PLMNリストがTNセル探索及び測定情報から入手可能である場合(ステップS2601)、UEは、当該UEがサポートする少なくとも1つのPLMN(例えば、UEのEHPLMNまたはERPLMN)がこうしたリスト(PLMNリスト)に含まれるか否かを判定する。UEがサポートするPLMNのいずれもPLMNリストに含まれない場合、UEはセル探索及び測定を開始しない。そうでない場合、UEは図18中の手順の残りを継続する。
【0057】
図25に、本発明の好適な実施形態による、図23の変更に基づく、SMTCを有するセル探索及び測定構成を用いたUEの代案実施形態を示す。ステップ2801では、UEがNTN-TA-based-MeasConfigに関連するsmtc_on_TN_timingを適用して、TNセル探索及び測定を実行する。ステップS2202では、UEが、UE NTN TAIまたはNTNサブエリアに関連するキャリア周波数上でセル探索及び測定を実行することによって、隣接するTNセルを探索する手順を開始する。ステップS2802では、周波数プライオリティが設定されている場合に、UEが、これらの周波数プライオリティによりUE NTN TAIに関連するものと識別されるTNセルのキャリア周波数上でセル探索及び測定を実行する。NTN-TA-based-MeasConfig用に基準タイミングを採用している場合、UEは、この基準タイミングを用いて、関心事のキャリア周波数に関連するsmtc_on_TN_timingを調整する。そうでない場合、UEは関心事のキャリア周波数が5msのSSB周期性を有するものと仮定することができる。
【0058】
ステップS2803では、UEが、セル探索及び測定手順を実行した後に、隣接するTNセルが検出されたか否かを判定する。セルが検出されていない場合、ステップS2804で、UEが、例えば、識別された隣接するTNセルのキャリア周波数上でセル探索及び測定手順を実行するためのウィンドウを広げることによって、セル探索及び測定基準を緩和することができる。ステップS2803でUEがセルを検出している場合、ステップS2805で、基準タイミングがNTN-TA-based-MeasConfig用に設定または採用されていない場合に、UEは、最初に検出したセルのタイミングを、同じNTN-TA-based-MeasConfigのキャリア周波数上でのセル探索及び測定用の基準タイミングとして採用する。
【0059】
以上の説明を考慮すれば、本発明は、5G通信システム及びその先のものにおいて用いるのに適し、UEが、NTNモビリティを実行する際に、セル探索及び測定を電力効率の良い方法で実行することを可能にする。
【0060】
本願に開示する実施形態の詳細な説明に用いる要素、動作、または命令は、特に明示的断りのない限り、本発明にとって絶対的に重要または不可欠であるものと解釈するべきでない。また、本明細書中に用いる「ある」及び「1つの」は、2つ以上のアイテムを含み得る。1つだけのアイテムを意図する場合、「単一の」または同様の文言を用いる。更に、本明細書中に用いる、複数のアイテム、またはアイテムの複数のカテゴリの列挙が先行する「...のいずれか」は、これらのアイテム及び/またはアイテムの複数のカテゴリの「任意のもの」、「任意の組合せ」、「任意数のもの」、及び/または「任意数のものの任意の組合せ」を、単独で、あるいは他のアイテム及び/またはアイテムの他のカテゴリと共に含むことを意図している。更に、本明細書中に用いる「集合」とは、0個を含めた任意数のアイテムを含むことを意図している。更に、本明細書中に用いる「数」とは、0を含めた任意の数を含むことを意図している。
【0061】
本発明の範囲または精神から逸脱することなしに、開示する実施形態の構造に種々の変更及び変形を加えることができることは、当業者にとって明らかである。以上のことを考慮すれば、本発明の変更及び変形が以下の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内に入るものとすれば、本発明はこれらの変更及び変形をカバーすることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、5G通信システム及びその先のものにおいて用いるのに適し、UEが、NTNモビリティを実行する際に、セル探索及び測定を電力効率の良い方法で実行することを可能にする。
【符号の説明】
【0063】
参照符号リスト
701:ハードウェア・プロセッサ
702:送信機
703:受信機
2301:周波数
dx:距離
f1、f2:キャリア周波数
offset_1、offset_2:SMTCオフセット値
t0:基準タイミング
t1、t1+tx、tx:時刻
S601、S602、S603、S801、S802、S803、S804、S805、S901、S902、S903、S904、S905、S906、S907、S908、S909、S1001、S1002、S1003、S1004、S1005、S1006、S1007、S1101、S1102、S1103、S1104、S1105、S1106、S1201、S1202、S1203、S1204、S1301、S1302、S1303、S1304、S1305、S1306、S1307、S1401、S1402、S1403、S1404、S1801、S2001、S2002、S2003、S2004、S2005、S2006、S2101、S2102、S2103、S2104、S2105、S2106、S2107、S2108、S2109、S2110、S2111、S2201、S2202、S2203、S2204、S2205、S2206、S2207、S2401、S2501、S2601、S2602、S2603,S2701、S2801、S2802、S2803、S2804、S2805:ステップ
Δt:伝搬遅延
Δt’:タイミングゆらぎ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図16
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