(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】リリース時間を低減させたソレノイド組立体
(51)【国際特許分類】
H01F 7/16 20060101AFI20231027BHJP
H01F 7/11 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
H01F7/16 D
H01F7/11
(21)【出願番号】P 2021503157
(86)(22)【出願日】2019-07-22
(86)【国際出願番号】 IB2019056256
(87)【国際公開番号】W WO2020021436
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-04-26
(32)【優先日】2018-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399132320
【氏名又は名称】ティーイー・コネクティビティ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】プリースト,マーカス
【審査官】木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-027773(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0122562(US,A1)
【文献】特開2011-113974(JP,A)
【文献】特開2015-043302(JP,A)
【文献】特開2010-010058(JP,A)
【文献】特開2005-183283(JP,A)
【文献】特開2003-229043(JP,A)
【文献】特開平06-050453(JP,A)
【文献】特表平09-510040(JP,A)
【文献】特開昭61-078110(JP,A)
【文献】特表2008-537348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/16
H01F 7/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソレノイドアーマチュア(126)組立体(118)であって、
- 反対側にある第1の端部(122)および第2の端部(124)を有する、磁束管(120)と、
- 反対側にある第3の端部(128)および第4の端部(130)を有し、前記磁束管(120)内を共通の軸線に沿って
、かつ中心コア(134)に対して摺動可能に移動可能なアーマチュア(126)であって、前記アーマチュア(126)の前記第4の端部(130)は、前記磁束管(120)の前記第2の端部(124)を越えて摺動可能に移動可能である、アーマチュア(126)と、
- 前記アーマチュア(126)の前記第
3の端部(
128)の方を向いている頂部プレート(140)であって、
前記中心コア(134)を摺動可能に受け入れるための開口部(142)を有する、頂部プレート(140)と、を備え、
前記アーマチュア(126)には、1つまたは複数の固定電気コンタクト(148)と選択的に接触状態となるように構成されている可動電気コンタクト(146)が取り付けられており、
以下の1)、2)、3)のうちの少なくとも1つに、スロット(220、245、265)が形成されている、
ソレノイドアーマチュア組立体。
1)前記第1の端部(122)と前記第2の端部(124)の間に延在する前記磁束管(120);
2)前記第3の端部(128)と前記第4の端部(130)の間に延在する前記アーマチュア(126);
3)前記開口部(142)から縁部(270)に向かって延在する前記頂部プレート(140)の両面(266、268)
【請求項2】
前記スロット(220、245、265)は貫通スロットである、
請求項1に記載のソレノイドアーマチュア組立体(118)。
【請求項3】
以下の1)、2)、3)のうちの少なくとも2つに、スロット(220、245、265)が形成されている、
請求項1に記載のソレノイドアーマチュア組立体(118)。
1)前記第1の端部(122)と前記第2の端部(124)の間に延在する前記磁束管(120);
2)前記第3の端部(128)と前記第4の端部(130)の間に延在する前記アーマチュア(126);
3)前記開口部(142)から縁部(270)に向かって延在する前記頂部プレート(140)の両面(266、268)
【請求項4】
以下の1)、2)、3)の各々に、スロット(220、245、265)が形成されている、
請求項1に記載のソレノイドアーマチュア組立体(118)。
1)前記第1の端部(122)と前記第2の端部(124)の間に延在する前記磁束管(120);
2)前記第3の端部(128)と前記第4の端部(130)の間に延在する前記アーマチュア(126);
3)前記開口部(142)から縁部(270)に向かって延在する前記頂部プレート(140)の両面(266、268)
【請求項5】
1インチあたり2ポンド超のばね定数を有するアーマチュアばね(150)を更に備える
とともに、
前記アーマチュアばね(150)は、前記頂部プレート(140)よりも下方で、前記中心コア(134)に取り付けられている、
請求項1に記載のソレノイドアーマチュア組立体(118)。
【請求項6】
1インチあたり100ポンド超のばね定数を有するコンタクトばね(156)を更に備える
とともに、
前記コンタクトばね(156)は、前記頂部プレート(140)よりも上方で、前記中心コア(134)に取り付けられている、
請求項5に記載のソレノイドアーマチュア組立体(118)。
【請求項7】
前記磁束管(120)、前記アーマチュア(126)、および前記頂部プレート(140)のうちの少なくとも1つに形成されている前記スロット(220、245、265)は、前記スロット(220、245、265)が配置されている前記アーマチュア(126)、前記磁束管(120)、または前記頂部プレートの厚さと等しい幅を有する、
請求項1に記載のソレノイドアーマチュア組立体(118)。
【請求項8】
前記スロット(220、245、265)は整列されていない、
請求項3に記載のソレノイドアーマチュア組立体(118)。
【請求項9】
前記アーマチュア(126)の前記第3の端部(128)の方を向いている底部プレート(158)を更に備え、
前記底部プレート(158)は前記中心コア(134)を摺動可能に受け入れるための開口部を有する、
請求項1に記載のソレノイドアーマチュア組立体(118)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソレノイド組立体を対象とする。より詳細には、本発明は、コンタクト間のリリース時間の改善または低減をもたらすソレノイドアーマチュア組立体を有するソレノイド組立体を対象とする。
【背景技術】
【0002】
迅速な切り換えを行うために電子回路でソレノイドが頻繁に採用される。従来のソレノイドは、約3から4ミリ秒程度のリリース時間を呈する。切り換え中に生成される渦電流によって、ソレノイドのオーバートラベル(overtravel)を迅速に断ち切る能力が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
可動コンタクトと固定コンタクトの間のリリース時間の改善または低減を可能にするソレノイドを提供することが、有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
解決法は、反対側にある第1の端部と第2の端部とを有する磁束管または磁気ベアリングを含む、ソレノイドアーマチュア組立体によって提供される。アーマチュア組立体は追加的に、反対側にある第3の端部と第4の端部とを有し磁束管または磁気ベアリング内で共通の軸線に沿って移動可能な、アーマチュアを含む。アーマチュアの第4の端部は、磁束管または磁気ベアリングの第2の端部を越えて摺動可能に移動可能である。頂部プレートはアーマチュアの第4の端部の方を向いており、この頂部プレートは、中心コアを摺動可能に受け入れるための開口部を有する。(第1の端部と第2の端部の間に延在する)磁束管または磁気ベアリング、(第3の端部と第4の端部の間に延在する)アーマチュア、および(開口部から縁部に向かって延在する)頂部プレートの両面のうちの少なくとも1つに、スロットが含まれている。
【0005】
ここで本発明について、以下の添付の図面を参照して、例示により記載する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】開位置で示された、ある実施形態に係るソレノイドの斜視図である。
【
図2】閉位置で示された、ある実施形態に係るソレノイドの斜視図である。
【
図3】ある実施形態に係るソレノイドアーマチュアの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
可能な場合は常に、図面の全体を通して、同じ部品を表すために同じ参照符号を使用する。
【0008】
ある実施形態では、ソレノイドアーマチュア組立体は、反対側にある第1の端部と第2の端部とを有する磁束管または磁気ベアリングを含む。アーマチュア組立体は追加的に、反対側にある第3の端部と第4の端部とを有し磁束管または磁気ベアリング内で共通の軸線に沿って移動可能な、アーマチュアを含む。アーマチュアの第4の端部は、磁束管または磁気ベアリングの第2の端部を越えて摺動可能に移動可能である。頂部プレートはアーマチュアの第4の端部の方を向いており、この頂部プレートは、中心コアを摺動可能に受け入れるための開口部を有する。(第1の端部と第2の端部の間に延在する)磁束管または磁気ベアリング、(第3の端部と第4の端部の間に延在する)アーマチュア、および(開口部から縁部に向かって延在する)頂部プレートの両面のうちの少なくとも1つに、スロットが含まれている。
【0009】
別の実施形態では、ソレノイド組立体は反対側にある第1の端部と第2の端部とを有する磁束管または磁気ベアリングを有する、ソレノイドアーマチュア組立体を含む。アーマチュア組立体は追加的に、反対側にある第3の端部と第4の端部とを有し磁束管または磁気ベアリング内で共通の軸線に沿って移動可能な、アーマチュアを含む。アーマチュアの第4の端部は、磁束管または磁気ベアリングの第2の端部を越えて摺動可能に移動可能である。頂部プレートはアーマチュアの第4の端部の方を向いており、この頂部プレートは、中心コアを摺動可能に受け入れるための開口部を有する。(第1の端部と第2の端部の間に延在する)磁束管または磁気ベアリング、(第3の端部と第4の端部の間に延在する)アーマチュア、および(開口部から縁部に向かって延在する)頂部プレートの両面のうちの少なくとも1つに、スロットが含まれている。
【0010】
ソレノイドスイッチが提供される。本開示の実施形態は、例えば、本明細書に開示する1つまたは複数の特徴を含んでいない概念と比較して、ソレノイドスイッチの迅速なリリースを実現する。このスイッチは渦電流の低減を呈しより短いリリース時間を実現する。
【0011】
図1および
図2には、ソレノイド組立体100の実施形態が示されている。ソレノイド組立体100は、ハウジング壁104を貫通して延在する少なくとも1つの開口106を含むハウジング壁104を有する、ハウジング102を含む。ハウジング壁104は空洞108を更に画定している。空洞108の中には隔壁110が配置されており、これによって空洞108内に少なくとも2つの領域112、114を画定されている。隔壁110は、少なくとも2つの領域112、114の間の連絡を可能にするように配置されている、隔壁開口116を更に含む。
【0012】
ソレノイド組立体100は、空洞108内に配置されているアーマチュア組立体118を更に含む。アーマチュア組立体118は、反対側にある第1の端部122と第2の端部124とを有する磁束管または磁気ベアリング120を含む。アーマチュア組立体118は、反対側にある第3の端部128と第4の端部130とを有するアーマチュア126を更に含む。アーマチュア126は、磁束管または磁気ベアリング120内で共通の軸線132に沿って中心コア134に対して摺動可能に移動可能である。アーマチュア126の第4の端部130は、磁束管または磁気ベアリング120の第2の端部124を越えて摺動可能に移動可能である。アーマチュア126に近接して頂部コアプレート140が配置されており、これはアーマチュア126の第4の端部130の方を向いている。
頂部コアプレート140は、アーマチュア126を摺動可能に受け入れるための開口部142(
図3に最もよく示されている)を有する。いくつかの実施形態では、頂部コアプレート140は、隔壁110の面と隣り合っている。いくつかの実施形態では、頂部コアプレート140は、隔壁110と同じ範囲に延在する。
【0013】
アーマチュア組立体118は、ソレノイド組立体100内に摺動可能に配置されている。アーマチュア126は、隔壁開口116を通って少なくとも2つの領域112、114の両方の中へと摺動可能に延在する。アーマチュア126には可動電気コンタクト146が取り付けられており、これは1つまたは複数の固定電気コンタクト148と選択的に接触状態となるように構成されており、電気コンタクト146と固定電気コンタクト148の間の連絡が可能になるよう、中心コア134を選択的に配置できるようになっている。固定電気コンタクト148は、少なくとも1つの開口106を介して外部の回路(図示せず)と選択的に連絡するように、更に構成され得る。
【0014】
アーマチュア組立体118は、領域114内に配置されているアーマチュアばね150を更に含む。アーマチュアばね150は、隔壁110およびアーマチュア組立体118の両方に取り付けられている。アーマチュアばね150は、アーマチュア組立体118にアーマチュアばね力を加えるように構成されている。アーマチュアばね力は、コイル電流が小さいときにアーマチュア組立体118を後退位置まで移動させるために、隔壁110およびアーマチュア組立体118の両方に対して向けられる(directed)。アーマチュアばね力によって、アーマチュア組立体118を隔壁開口116を通して摺動可能に少なくとも部分的に後退させることができ、このことによって、アーマチュア組立体118を、電気コンタクト146が固定電気コンタクト148と連絡しないように、選択的に配置することができる。
中心コア134の端部には、分離の力(parting force)および速度の向上を可能にするために、アーマチュア組立体118の移動中にアーマチュア組立体118とハウジング壁104の間で衝撃を伝えるための保持クリップ152が追加される。いくつかの実施形態では、アーマチュア組立体118と隔壁110の間の空隙154が維持されて、アーマチュア組立体118上に存在する磁力を電気コンタクト146に直接結合することが可能になる
【0015】
アーマチュア組立体118は、任意選択で領域112内に配置されているコンタクトばね156を更に含んでもよい。コンタクトばね156は、アーマチュア組立体118にコンタクトばね力を加えるように構成されてもよい。コンタクトばね力は、アーマチュア組立体118を伸長位置まで移動させるために、隔壁110およびアーマチュア組立体118の両方に対して向けられてもよい(directed)。コンタクトばね力によって、アーマチュア組立体118を隔壁開口116を通して摺動可能に少なくとも部分的に伸長させることができ、このことによって、アーマチュア組立体118を、電気コンタクト146と固定電気コンタクト148とが連絡するように、選択的に配置することができる。
【0016】
頂部コアプレート140の反対側に、コアダブラー(core doubler)として機能する任意選択的な底部コアプレート158を配置してもよい。底部プレート158はアーマチュア126の第3の端部128の方を向いており、アーマチュア126を摺動可能に受け入れるための開口部162を有する。いくつかの実施形態では、底部コアプレート158は、ハウジング壁104と隣り合っていてもよい。一実施形態では、底部コアプレート158は、ハウジング壁104と同じ範囲に延在してもよい。
【0017】
ソレノイド組立体100は、ハウジング102内に配置されており導電コイル160内のコイル電流に応じてアーマチュア組立体118に磁力を印加するように構成されている、導電コイル160を更に含む。この磁力は、アーマチュア組立体118に作用するアーマチュアばね力に対向するものであり得る。この磁力によって、アーマチュア組立体118を隔壁開口116を通して摺動可能に少なくとも部分的に伸長させることができ、このことによって、アーマチュア組立体118を、電気コンタクト146と固定電気コンタクト148とが連絡するように、選択的に配置することができる。磁力に応じたアーマチュア組立体118の機械的な動きの迅速さは、ソレノイド組立体100がどれほど短時間でコイル電流の印加に応答することになるかを決定する。ソレノイドの典型的な起動応答時間は、約5x10-2から2x10-4秒である。
【0018】
図3はアーマチュア組立体118の分解図を提示する。
図3の例では、アーマチュア組立体118は、アーマチュア126の長さに延在する中央軸方向開口部210を有する、アーマチュア126を含む。いくつかの実施形態では、中央軸方向開口部210は円形の断面を呈する。アーマチュア126は、中央軸方向開口部210から半径方向にアーマチュア126の外面225まで延在する、アーマチュアスロット220を追加的に含み得る。いくつかの実施形態では、アーマチュアスロット220はアーマチュア126の長さに延在する。いくつかの実施形態では、アーマチュアスロット220は貫通スロットであってよい。
【0019】
アーマチュア組立体118は追加的に、磁束管または磁気ベアリング120の長さに延在する中央軸方向開口部235を有する、磁束管または磁気ベアリング120を含む。いくつかの実施形態では、中央軸方向開口部235は円形の断面を呈する。磁束管または磁気ベアリング120は、中央軸方向開口部235から半径方向に磁束管または磁気ベアリング120の外面250まで延在する、磁束管スロット245を追加的に含み得る。いくつかの実施形態では、磁束管スロット245は貫通スロットであってよい。いくつかの実施形態では、磁束管スロット245は、磁束管または磁気ベアリング120の長さに延在する。磁束管または磁気ベアリング120は、中央軸方向開口部235内にアーマチュア126を受け入れるように構成され得る。アーマチュア126は、磁束管または磁気ベアリング120の中央軸方向開口部235内に、摺動可能に配置され得る。
【0020】
頂部コアプレート140は、開口部142から頂部コアプレート140の外面または縁部270まで半径方向に延在する、頂部コアプレートスロット265を含み得る。頂部コアプレートスロット265は、頂部コアプレート140の両面266、268の間に延在する。いくつかの実施形態では、頂部コアプレートスロット265は貫通スロットであってよい。
【0021】
スロットの寸法および構成は様々であり得る。様々な実施形態において、スロットは、スロットが配置されている特定のアーマチュア、磁束管、または頂部コアプレートの厚さと、一致しているかまたは等しい場合のある幅を有する。様々な実施形態において、スロットは、アーマチュア組立体の長手軸線に平行であってもよく、アーマチュア組立体の長手軸線に平行でなくてもよい。様々な実施形態において、スロットは直線状であってもよくまたは湾曲していてもよい。
【0022】
ばね力、ばね応答時間、残留電流(渦電流)、コンタクトのオーバートラベル、および磁性材料の質量を含む多くの要因が、リリース時間に寄与し得る。特定の理論に拘束されることなく、アーマチュア組立体118の構成要素のうちの1つまたは複数にスロットを含めることで、ソレノイド組立体100の電力が低下する結果生じる渦電流の流れの経路が不連続になることにより、ソレノイド組立体100のリリース時間が短くなると考えられている。
【0023】
構成要素(アーマチュア126、磁束管もしくは磁気ベアリング120、および/または頂部コアプレート140)のうちの1つまたは複数にスロットが設けられている場合、構成要素のそれらのスロットは整列されていてもよい。別法として、スロットは互いに整列されていなくてもよい。
【0024】
1つの例示的な実施形態では、アーマチュア組立体118は、(第1の端部122と第2の端部124の間に延在する)磁束管または磁気ベアリング120、(第3の端部128と第4の端部130の間に延在する)アーマチュア126、および(開口部142から縁部270に向かって延在する)頂部プレート140のうちの少なくとも2つに、スロットが形成されている。スロットは、直線状に、整列されずに、または無作為に形成または配置され得る。
【0025】
別の例示的な実施形態では、アーマチュア組立体118は、(第1の端部122と第2の端部124の間に延在する)磁束管または磁気ベアリング120、(第3の端部128と第4の端部130の間に延在する)アーマチュア126、および(開口部142から縁部270に向かって延在する)頂部プレート140のうちの各々に、スロットが形成されている。スロットは、直線状に、無作為に、15度以内の角度で、5度以内の角度で、または他の角度で形成または配置され得る。
【0026】
図2の例では、アーマチュア組立体118は、1インチあたり2ポンド超のばね定数を有するアーマチュアばね150を含む。いくつかの実施形態では、アーマチュア126に与える分離力を大きくするために、アーマチュアばね150および/またはコンタクトばね156のばね定数を大きくしてもよい。いくつかの実施形態では、アーマチュアばね150は、1インチあたり100ポンド超の高いばね定数(例えば限定するものではないが、1インチあたり約300ポンド超)を呈し、ソレノイド組立体100の電力低下中の力の増大およびしたがってより迅速な応答を可能にする。アーマチュアばね150の高いばね定数を単独でまたはスロットを設けたアーマチュア材料と組み合わせて用いて、ソレノイド組立体100のリリース時間を短くすることができる。
【0027】
実施例
アーマチュア組立体は、材料の磁気動作曲線(飽和未満)の線形領域内で動作する。
【0028】
【0029】
従来のソレノイドの典型的な停止時リリース時間(de-activation release time)は、約3ミリ秒を超える。上記の結果が示すように、アーマチュア組立体118にスロットを設けた構成要素を1つまたは複数含めることによって、リリース時間が低減し、しかも依然としてコンタクトの完全なオーバートラベルおよび完全な接触力が実現でき、このことにより、可動コンタクトが移動して固定コンタクトと係合するときに、確実な電気接続が作用することが保証される。更に、上記の結果が示すように、高いばね定数を有するアーマチュアばね150を単独で、または1つもしくは複数のスロットを設けた構成要素と組み合わせて含めることによって、リリース時間の低減がもたらされる。いくつかの実施形態では、リリース時間は2ミリ秒未満である。