(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】スイッチング電源回路
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20231027BHJP
H02M 1/08 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H02M1/08 C
H02M3/28 F
H02M3/28 W
(21)【出願番号】P 2021548327
(86)(22)【出願日】2020-05-18
(86)【国際出願番号】 JP2020019572
(87)【国際公開番号】W WO2021059583
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2019174084
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中小原 佑輔
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-136138(JP,A)
【文献】特開2013-099086(JP,A)
【文献】特開2007-259576(JP,A)
【文献】特開2004-015884(JP,A)
【文献】特開2008-301680(JP,A)
【文献】特開2004-228219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
H02M 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子と、
当該スイッチング電源回路の出力電力に関連する物理量を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に基づいて前記スイッチング素子のゲート駆動電圧を可変制御する可変制御部と、
を有するスイッチング電源回路
であり、
前記検出部は、前記物理量として当該スイッチング電源回路から負荷へ流れる出力電流または前記スイッチング素子に流れる電流を検出する電流検出部であり、
前記可変制御部は、
前記電流検出部から出力される電流検出信号に基づいて基準電圧を生成する基準電圧生成部と、
前記基準電圧に基づいて、前記ゲート駆動電圧となる出力電圧を出力するレギュレータと、
を、有するスイッチング電源回路。
【請求項2】
前記基準電圧生成部は、前記電流検出信号を分圧する分圧抵抗を有する請求項
1に記載のスイッチング電源回路。
【請求項3】
前記基準電圧生成部は、
前記電流検出信号が印加される第1端を有する第1抵抗と、
前記第1抵抗の第2端と接続される第1端とグランド電位が印加される第2端とを有する第1コンデンサと、
を有する、請求項
1または請求項
2に記載のスイッチング電源回路。
【請求項4】
前記レギュレータは、
入力電圧が印加される第1端と前記出力電圧が生成される第2端とを有する出力トランジスタと、
前記出力トランジスタの第2端と接続される第1端を有する第2抵抗と、
前記第2抵抗の第2端と接続される第1端とグランド電位が印加される第2端とを有する第3抵抗と、
前記第2抵抗と前記第3抵抗とが接続される接続ノードが接続される第1入力端と、前記基準電圧が印加される第2入力端と、前記出力トランジスタの制御端と接続される出力端とを有する第1エラーアンプと、
を有する、請求項
1から請求項
3のいずれか1項に記載のスイッチング電源回路。
【請求項5】
前記出力電圧が電源電圧として印加され、ドライバの出力が入力され、前記ドライバの出力に応じて前記ゲート駆動電圧をレベルを切り替えて出力するプッシュプル回路をさらに有する、請求項
1から請求項
4のいずれか1項に記載のスイッチング電源回路。
【請求項6】
スイッチング素子と、
当該スイッチング電源回路の出力電力に関連する物理量を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に基づいて前記スイッチング素子のゲート駆動電圧を可変制御する可変制御部と、
を有
し、
前記検出部は、前記物理量として前記スイッチング素子の温度を検出する温度検出部であり、
前記可変制御部は、
前記温度検出部から出力される温度検出信号と前記ゲート駆動電圧に基づいて前記スイッチング素子の導通損失を算出し、前記導通損失に基づいて基準電圧を生成する演算部と、
前記基準電圧に基づいて電源電圧を出力するレギュレータと、
前記電源電圧が印加され、当該電源電圧に応じた電圧レベルとなるように前記ゲート駆動電圧を変えて出力するプッシュプル回路と、
を有するスイッチング電源回路。
【請求項7】
当該スイッチング電源回路は絶縁型であり、
前記スイッチング素子は、2次側に配置される、請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載のスイッチング電源回路。
【請求項8】
第1入力電圧の印加端とグランド電位の印加端との間に直列接続される第1入力コンデンサおよび第2入力コンデンサと、
第1入力電圧の印加端とグランド電位の印加端との間に直列接続される第1スイッチング素子および第2スイッチング素子と、
前記第1入力コンデンサと前記第2入力コンデンサとが接続される第1接続ノードと、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子とが接続される第2接続ノードとの間に接続される1次巻線と、2次巻線とを有するトランスと、
前記2次巻線の第1端と接続される第1端を有する第1インダクタと、
前記2次巻線の第2端と接続される第1端を有する第2インダクタと、
前記第2インダクタの第1端と接続される第1端を有する第3スイッチング素子と、
前記第1インダクタの第1端と接続される第1端を有する第4スイッチング素子と、
前記第1インダクタの第2端と前記第2インダクタの第2端とが接続される第3接続ノードに接続される第1端と、前記第3スイッチング素子の第2端および前記第4スイッチング素子の第2端に接続される第2端と、を有する出力コンデンサと、
を有する請求項
7に記載のスイッチング電源回路。
【請求項9】
前記2次巻線、前記第1インダクタ、前記第2インダクタ、前記第3スイッチング素子、および前記第4スイッチング素子から構成される2次側回路を複数有し、
複数の前記2次側回路は並列に接続される、請求項
8に記載のスイッチング電源回路。
【請求項10】
前記検出部は、前記出力コンデンサの後段に配置される電流検出部である、請求項
8または請求項
9に記載のスイッチング電源回路。
【請求項11】
前記検出部は、前記第3スイッチング素子および前記第4スイッチング素子のそれぞれの電流を検出する電流検出部である、請求項
8または請求項
9に記載のスイッチング電源回路。
【請求項12】
前記検出部は、前記2次側回路ごとに1個ずつ設けられる電流検出部である、請求項
9に記載のスイッチング電源回路。
【請求項13】
前記検出部は、前記第3スイッチング素子および前記第4スイッチング素子のそれぞれの温度を検出する温度検出部である、請求項
8または請求項
9に記載のスイッチング電源回路。
【請求項14】
スイッチング素子と、
当該スイッチング電源回路の出力電力に関連する物理量を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に基づいて前記スイッチング素子のゲート駆動電圧を可変制御する可変制御部と、
を有するスイッチング電源回路
であり、
当該スイッチング電源回路は絶縁型であり、
前記スイッチング素子は、2次側に配置され、
第1入力電圧の印加端とグランド電位の印加端との間に直列接続される第1入力コンデンサおよび第2入力コンデンサと、
第1入力電圧の印加端とグランド電位の印加端との間に直列接続される第1スイッチング素子および第2スイッチング素子と、
前記第1入力コンデンサと前記第2入力コンデンサとが接続される第1接続ノードと、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子とが接続される第2接続ノードとの間に接続される1次巻線と、2次巻線とを有するトランスと、
前記2次巻線の第1端と接続される第1端を有する第1インダクタと、
前記2次巻線の第2端と接続される第1端を有する第2インダクタと、
前記第2インダクタの第1端と接続される第1端を有する第3スイッチング素子と、
前記第1インダクタの第1端と接続される第1端を有する第4スイッチング素子と、
前記第1インダクタの第2端と前記第2インダクタの第2端とが接続される第3接続ノードに接続される第1端と、前記第3スイッチング素子の第2端および前記第4スイッチング素子の第2端に接続される第2端と、を有する出力コンデンサと、
を有し、
前記2次巻線、前記第1インダクタ、前記第2インダクタ、前記第3スイッチング素子、および前記第4スイッチング素子から構成される2次側回路を複数有し、
複数の前記2次側回路は並列に接続され、
前記検出部は、前記2次側回路ごとに1個ずつ設けられる電流検出部であり、
前記電流検出部は、前記第3接続ノードの後段に配置され、
前記可変制御部は、
前記電流検出部から出力される電流検出信号に基づいて基準電圧を生成する基準電圧生成部と、
前記基準電圧に基づいて、前記ゲート駆動電圧となる出力電圧を出力するレギュレータと、
を、有し、
前記基準電圧生成部は、
前記電流検出信号が印加される第1端を有する第1抵抗と、
前記第1抵抗の第2端と接続される第1端とグランド電位が印加される第2端とを有する第1コンデンサと、
を有するスイッチング電源回路。
【請求項15】
前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子、および前記第4スイッチング素子は、GaN(窒化ガリウム)を半導体材料として構成される、請求項
8から請求項
14のいずれか1項に記載のスイッチング電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々なスイッチング電源回路が提案されており、その一例は特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1のスイッチング電源回路は、マルチフェーズ型DC/DCコンバータであり、出力電力に応じて高効率を実現するために、出力電力に応じて動作フェーズ数を切り替える構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のようにフェーズ数(相数)を切り替える方法であると、使用しないフェーズのスイッチング用のトランジスタを常時オフとしても、そのトランジスタのボディダイオードに電流が流れるような構成の場合、オンとなったトランジスタのオン抵抗により生じる導通損失よりも大きいボディダイオードによるダイオード損失が発生することになり効率の低下を招く虞があった。特に、大電流がトランジスタに流れる仕様では、効率がより低下する虞があった。また、上記特許文献1の方式は、マルチフェーズのDC/DCコンバータに適用範囲が限定され、単数フェーズのコンバータには適用不可という課題もある。
【0006】
上記状況に鑑み、本発明は、広い出力電力範囲で高効率を実現可能とするスイッチング電源回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスイッチング電源回路は、スイッチング素子と、当該スイッチング電源回路の出力電力に関連する物理量を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に基づいて前記スイッチング素子のゲート駆動電圧を可変制御する可変制御部と、を有する構成としている(第1の構成)。
【0008】
また、上記第1の構成において、前記検出部は、前記物理量として当該スイッチング電源回路から負荷へ流れる出力電流を検出する電流検出部であることとしてもよい(第2の構成)。
【0009】
また、上記第1の構成において、前記検出部は、前記物理量として前記スイッチング素子に流れる電流を検出する電流検出部であることとしてもよい(第3の構成)。
【0010】
また、上記第2または第3の構成において、前記可変制御部は、前記電流検出部から出力される電流検出信号に基づいて基準電圧を生成する基準電圧生成部と、前記基準電圧に基づいて、前記ゲート駆動電圧となる出力電圧を出力するレギュレータと、を有することとしてもよい(第4の構成)。
【0011】
また、上記第4の構成において、前記基準電圧生成部は、前記電流検出信号を分圧する分圧抵抗を有することとしてもよい(第5の構成)。
【0012】
また、上記第4または第5の構成において、前記基準電圧生成部は、前記電流検出信号が印加される第1端を有する第1抵抗と、前記第1抵抗の第2端と接続される第1端とグランド電位が印加される第2端とを有する第1コンデンサと、を有することとしてもよい(第6の構成)。
【0013】
また、上記第4から第6のいずれかの構成において、前記レギュレータは、
入力電圧が印加される第1端と前記出力電圧が生成される第2端とを有する出力トランジスタと、
前記出力トランジスタの第2端と接続される第1端を有する第2抵抗と、
前記第2抵抗の第2端と接続される第1端とグランド電位が印加される第2端とを有する第3抵抗と、
前記第2抵抗と前記第3抵抗とが接続される接続ノードが接続される第1入力端と、前記基準電圧が印加される第2入力端と、前記出力トランジスタの制御端と接続される出力端とを有する第1エラーアンプと、を有することとしてもよい(第7の構成)。
【0014】
また、上記第4から第7のいずれかの構成において、前記出力電圧が電源電圧として印加され、ドライバの出力が入力され、前記ドライバの出力に応じて前記ゲート駆動電圧をレベルを切り替えて出力するプッシュプル回路をさらに有することとしてもよい(第8の構成)。
【0015】
また、上記第1の構成において、前記検出部は、前記物理量として前記スイッチング素子の温度を検出する温度検出部であることとしてもよい(第9の構成)。
【0016】
また、上記第9の構成において、前記可変制御部は、前記温度検出部から出力される温度検出信号と前記ゲート駆動電圧に基づいて前記スイッチング素子の導通損失を算出する演算部を有することとしてもよい(第10の構成)。
【0017】
また、上記第1から第10のいずれかの構成において、当該スイッチング電源回路は絶縁型であり、前記スイッチング素子は、2次側に配置されることとしてもよい(第11の構成)。
【0018】
また、上記第11の構成において、第1入力電圧の印加端とグランド電位の印加端との間に直列接続される第1入力コンデンサおよび第2入力コンデンサと、
第1入力電圧の印加端とグランド電位の印加端との間に直列接続される第1スイッチング素子および第2スイッチング素子と、
前記第1入力コンデンサと前記第2入力コンデンサとが接続される第1接続ノードと、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子とが接続される第2接続ノードとの間に接続される1次巻線と、2次巻線とを有するトランスと、
前記2次巻線の第1端と接続される第1端を有する第1インダクタと、
前記2次巻線の第2端と接続される第1端を有する第2インダクタと、
前記第2インダクタの第1端と接続される第1端を有する第3スイッチング素子と、
前記第1インダクタの第1端と接続される第1端を有する第4スイッチング素子と、
前記第1インダクタの第2端と前記第2インダクタの第2端とが接続される第3接続ノードに接続される第1端と、前記第3スイッチング素子の第2端および前記第4スイッチング素子の第2端に接続される第2端と、を有する出力コンデンサと、
を有することとしてもよい(第12の構成)。
【0019】
また、上記第12の構成において、前記2次巻線、前記第1インダクタ、前記第2インダクタ、前記第3スイッチング素子、および前記第4スイッチング素子から構成される2次側回路を複数有し、複数の前記2次側回路は並列に接続されることとしてもよい(第13の構成)。
【0020】
また、上記第12または第13の構成において、前記検出部は、前記出力コンデンサの後段に配置される電流検出部であることとしてもよい(第14の構成)。
【0021】
また、上記第12または第13の構成において、前記検出部は、前記第3スイッチング素子および前記第4スイッチング素子のそれぞれの電流を検出する電流検出部であることとしてもよい(第15の構成)。
【0022】
また、上記第13の構成において、前記検出部は、前記2次側回路ごとに1個ずつ設けられる電流検出部であることとしてもよい(第16の構成)。
【0023】
また、上記第16の構成において、前記電流検出部は、前記第3接続ノードの後段に配置され、
前記可変制御部は、
前記電流検出部から出力される電流検出信号に基づいて基準電圧を生成する基準電圧生成部と、
前記基準電圧に基づいて、前記ゲート駆動電圧となる出力電圧を出力するレギュレータと、
を、有し、
前記基準電圧生成部は、
前記電流検出信号が印加される第1端を有する第1抵抗と、
前記第1抵抗の第2端と接続される第1端とグランド電位が印加される第2端とを有する第1コンデンサと、
を有することとしてもよい(第17の構成)。
【0024】
また、上記第12または第13の構成において、前記検出部は、前記第3スイッチング素子および前記第4スイッチング素子のそれぞれの温度を検出する温度検出部であることとしてもよい(第18の構成)。
【0025】
また、上記第12から第18のいずれかの構成において、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子、および前記第4スイッチング素子は、GaN(窒化ガリウム)を半導体材料として構成されることとしてもよい(第19の構成)。
【発明の効果】
【0026】
本発明のスイッチング電源回路によると、広い出力電力範囲での高効率を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】検討回路であるスイッチング電源回路の回路図である。
【
図2】モードAでのスイッチング電源回路の動作状態を示す図である。
【
図3】モードBでのスイッチング電源回路の動作状態を示す図である。
【
図4】モードCでのスイッチング電源回路の動作状態を示す図である。
【
図5】モードDでのスイッチング電源回路の動作状態を示す図である。
【
図6】スイッチング電源回路の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図7】2次側回路が並列接続されたスイッチング電源回路の回路図である。
【
図8】ゲート駆動電圧Vgsとゲート駆動損失Pgt_lossとの関係の一例を示すグラフである。
【
図9】2次側のスイッチング素子についてのゲート駆動電圧Vgsとオン抵抗Rdsonとの関係の一例を示すグラフである。
【
図10】2次側のスイッチング素子のゲート駆動電圧Vgsを変化させた場合の出力電力と効率との関係の一例を示すグラフである。
【
図11】2次側のスイッチング素子のゲート駆動電圧Vgsを可変制御した場合と固定とした場合とで、出力電力と効率との関係の一例を示すグラフである。
【
図12】第1実施形態に係るスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。
【
図13】第1実施形態に係るスイッチング電源回路におけるフィードバック制御とゲート駆動電圧可変制御に関する構成を示す回路図である。
【
図14】第2実施形態に係るスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。
【
図15】第2実施形態に係るスイッチング電源回路におけるフィードバック制御とゲート駆動電圧可変制御に関する構成を示す回路図である。
【
図16】第3実施形態に係るスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。
【
図17】第3実施形態に係るスイッチング電源回路におけるフィードバック制御とゲート駆動電圧可変制御に関する構成を示す回路図である。
【
図18】第3実施形態の一変形例に係るスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。
【
図19】第4実施形態に係るスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。
【
図20】第4実施形態に係るスイッチング電源回路におけるフィードバック制御とゲート駆動電圧可変制御に関する構成を示す回路図である。
【
図21A】プリント基板におけるスイッチング電源回路のレイアウトの一例を表側から視た概略平面図である。
【
図21B】プリント基板におけるスイッチング電源回路のレイアウトの一例を裏側から視た概略平面図である。
【
図22】トランスを配線によって形成する場合の一例を示す概略図である。
【
図24】
図23に示す半導体デバイスにおけるトランジスタの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0029】
<1.検討回路の構成>
まず、本願発明者が検討を行ったスイッチング電源回路について説明する。
図1は、本願発明者が検討を行ったスイッチング電源回路100の回路図である。スイッチング電源回路100は、絶縁型のハーフブリッジインターリーブ駆動回路である。
【0030】
図1に示すように、スイッチング電源回路100は、入力コンデンサC1,C2と、1次側のスイッチング素子SW1,SW2と、トランスTrと、2次側のスイッチング素子SW3,SW4と、インダクタL1,L2と、出力コンデンサC3と、を有している。
【0031】
入力コンデンサC1とC2は、直流電圧である入力電圧Vinの印加端と、グランド電位の印加端との間で直列に接続される。より具体的には、入力コンデンサC1の第1端には、入力電圧Vinの印加端が接続される。入力コンデンサC1の第2端は、入力コンデンサC2の第1端と接続ノードND1にて接続される。入力コンデンサC2の第2端は、グランド電位の印加端に接続される。
【0032】
スイッチング素子SW1,SW2は、nチャネルMOSFET(MOS電界効果トランジスタ)により構成される。スイッチング素子SW1のドレインは、入力コンデンサC1の第1端に接続される。スイッチング素子SW1のソースは、スイッチング素子SW2のドレインと接続ノードND2にて接続される。スイッチング素子SW2のソースは、グランド電位の印加端に接続される。すなわち、スイッチング素子SW1,SW2は、入力電圧Vinの印加端とグランド電位の印加端との間に直列に接続され、ハーフブリッジを構成する。
【0033】
接続ノードND1とND2との間には、トランスTrの1次巻線N1が接続される。トランスTrの2次巻線N2の第1端は、インダクタL1の第1端と接続ノードND3にて接続される。2次巻線N2の第2端は、インダクタL2の第1端と接続ノードND4にて接続される。インダクタL1の第2端は、インダクタL2の第2端と接続ノードND5にて接続される。
【0034】
接続ノードND5には、出力コンデンサC3の第1端が接続される。スイッチング素子SW3,SW4は、2次側の同期整流トランジスタであり、nチャネルMOSFETにより構成される。スイッチング素子SW3のドレインは、接続ノードND4に接続される。スイッチング素子SW4のドレインは、接続ノードND3に接続される。スイッチング素子SW3,SW4のソースは、出力コンデンサC3の第2端に接続される。
【0035】
出力コンデンサC3の両端間には、負荷Zが接続される。スイッチング素子SW1~SW4のスイッチング制御(オンオフ制御)を行うことにより、入力電圧Vinが直流電圧である出力電圧Voutに変換される。出力電圧Voutは、出力コンデンサC3の第1端に生成され、負荷Zに供給される。
【0036】
<2.検討回路の特徴>
上述した検討回路であるスイッチング電源回路100の特徴について述べる。まず、スイッチング電源回路100では、スイッチング素子SW1~SW4として、GaN(窒化ガリウム)を半導体材料として用いたトランジスタを使用している。これにより、スイッチング素子の高周波駆動が可能となり、例えば5MHzでの駆動が行われる。スイッチング素子の高周波駆動は、受動部品の小型化に寄与する。
【0037】
また、1次側のスイッチング素子SW1,SW2は、ハードスイッチングが行われる。ハードスイッチングによりスイッチング損失が発生するが、Siを半導体材料として用いたトランジスタよりもGaNを半導体材料として用いたトランジスタは、寄生容量が小さくスイッチング損失を抑えることが可能であり、高周波駆動ではスイッチング損失の低減がより顕著となる。なお、2次側のスイッチング素子SW3,SW4では、ソフトスイッチングが行われるので、スイッチング損失はほぼ0となる。
【0038】
また、耐圧が高いほど、Si,GaNを半導体材料として用いたトランジスタの寄生容量の差が大きくなり、1次側に用いるスイッチング素子SW1,SW2は高耐圧であるので、スイッチング素子SW1,SW2にGaNを半導体材料として用いる効果が大きい。例えば、スイッチング素子SW1,SW2の耐圧は、100Vとされる。
【0039】
また、スイッチング電源回路100では、入力電圧Vinはワールドワイド電圧に対応しており、例えば36V~75Vに対応している。入力電圧Vinが60V以上である場合は絶縁を行う必要があるという規制が存在し、そのためスイッチング電源回路100では、トランスTrを用いて絶縁を行っている。さらに、スイッチング電源回路100では、トランスでの損失を抑えるためにトランスTrとして空芯トランスを使用している。
【0040】
なお、スイッチング電源回路100は、例えば入力電圧Vin=48V、出力電圧Vout=1Vとして使用される。
【0041】
また、スイッチング電源回路100は、ハーフブリッジ構成であるので、トランスTrの1次巻線N1の巻き数をフルブリッジに比べて半分に低減することができ、トランス損失を抑えることが可能となる。
【0042】
また、スイッチング電源回路100は、1段変換でのコンバータであるので、高効率化を実現できる。
【0043】
また、スイッチング電源回路100では、2次側のスイッチング素子SW3,SW4を相をずらして駆動するインターリーブ駆動を行うので、出力コンデンサC3に流れる電流のリップルを抑えて、出力コンデンサC3の小型化を図ることができる。なお、インターリーブ駆動の詳細については、後述する。
【0044】
また、スイッチング電源回路100では、デューティ制御を行うことにより、出力電圧Voutの安定化を簡易に行うことができる。なお、デューティ制御の詳細については、後述する。
【0045】
<3.検討回路の動作>
次に、検討を行ったスイッチング電源回路100の動作について述べる。スイッチング電源回路100は、モードA,B,C,Dの4つのモードで動作する。
【0046】
図2は、モードAでのスイッチング電源回路100の動作状態を示す図である。
図2に示すように、モードAでは、スイッチング素子SW1をオン、SW2をオフ、SW3をオフ、SW4をオンとする。これにより、1次側では
図2の実線で示すように、入力電圧Vinの正極から、スイッチング素子SW1、1次巻線N1、入力コンデンサC2を介して入力電圧Vinの負極への経路で電流が流れる。これにより、トランスTrは励磁され、入力コンデンサC2は充電される。さらに、1次側では
図2の点線で示すように、入力コンデンサC1からスイッチング素子SW1、1次巻線N1を介して入力コンデンサC1への経路で電流が流れ、入力コンデンサC1は放電される。
【0047】
このとき、2次側では
図2の実線で示すように、2次巻線N2からインダクタL2、負荷Z、スイッチング素子SW4を介して2次巻線N2への経路で電流が流れる。また、後述するモードC(
図4)によりインダクタL1が励磁されるので、
図2の点線で示すように、インダクタL1から負荷Zおよびスイッチング素子SW4を介してインダクタL1への経路で電流が流れる。
【0048】
モードAの次にモードBに移行する。
図3は、モードBでのスイッチング電源回路100の動作状態を示す図である。
図3に示すように、モードBでは、スイッチング素子SW1をオフ、SW2をオフ、SW3をオン、SW4をオンとする。このとき、1次側には電流は流れない。
【0049】
2次側では、モードA(
図2)でインダクタL2が励磁されることにより、
図3の実線で示すように、インダクタL2から負荷Zおよびスイッチング素子SW3を介してインダクタL2への経路で電流が流れる。また、モードAと同じく、
図3の点線で示すように、インダクタL1から負荷Zおよびスイッチング素子SW4を介してインダクタL1への経路で電流が流れる。
【0050】
モードBの次にモードCに移行する。
図4は、モードCでのスイッチング電源回路100の動作状態を示す図である。
図4に示すように、モードCでは、スイッチング素子SW1をオフ、SW2をオン、SW3をオン、SW4をオフとする。これにより、1次側では
図4の実線で示すように、入力電圧Vinの正極から、入力コンデンサC1、1次巻線N1、スイッチング素子SW2を介して入力電圧Vinの負極への経路で電流が流れる。これにより、トランスTrは励磁され、入力コンデンサC1は充電される。さらに、1次側では
図4の点線で示すように、入力コンデンサC2から1次巻線N1およびスイッチング素子SW2を介して入力コンデンサC2への経路で電流が流れ、入力コンデンサC2は放電される。
【0051】
このとき、2次側では
図4の点線で示すように、2次巻線N2からインダクタL1、負荷Z、スイッチング素子SW3を介して2次巻線N2への経路で電流が流れる。また、モードBと同じく、
図4の実線で示すように、インダクタL2から負荷Zおよびスイッチング素子SW3を介してインダクタL2への経路で電流が流れる。
【0052】
モードCの次にモードDに移行する。
図5は、モードDでのスイッチング電源回路100の動作状態を示す図である。
図5に示すように、モードDでは、スイッチング素子SW1をオフ、SW2をオフ、SW3をオン、SW4をオンとする。このとき、1次側には電流は流れない。
【0053】
2次側では、モードC(
図4)と同じく、
図5の実線で示すように、インダクタL2から負荷Zおよびスイッチング素子SW3を介してインダクタL2への経路で電流が流れる。また、
図5の点線で示すように、モードC(
図4)でインダクタL1が励磁されることにより、インダクタL1から負荷Zおよびスイッチング素子SW4を介してインダクタL1への経路で電流が流れる。
【0054】
モードDの次はモードAに移行し、以降同様に繰り返される。
【0055】
図6は、スイッチング電源回路100の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図6では、上段より順に、スイッチング素子SW1~SW4のゲート信号、インダクタL1に流れるインダクタ電流IL1、インダクタL2に流れるインダクタ電流IL2、および、インダクタ電流IL1とIL2が合成されたインダクタ出力電流ILの各波形を示す(
図1)。なお、スイッチング素子SW1~SW4のゲート信号は、Highレベルがオンを示し、Lowレベルがオフを示す。
【0056】
図6に示すように、動作はモードA~Dの4つのモードに区分される。スイッチング素子SW3,SW4が180度位相をずらして駆動されるインターリーブ駆動が行われるので、インダクタ電流IL1はモードCで励磁により増加し、以降、モードD,A,Bでは、減少する挙動となり、インダクタ電流IL2はモードAで励磁により増加し、以降、モードB,C,Dでは、減少する挙動となる。
【0057】
このような挙動のインダクタ電流IL1とIL2の合成により、インダクタ出力電流ILのリップルが低減される。これにより、出力コンデンサC3に流れる電流Ic(
図1)のリップルが低減され、出力コンデンサC3を小型化することが可能となる。
【0058】
また、
図6の例は、スイッチング素子SW1のオン期間はスイッチング周期に対して1/4であり、デューティ制御におけるデューティは25%である。後述するように、出力電圧Voutを安定化すべくデューティは可変に制御される。
【0059】
<4.2次側並列駆動のスイッチング電源回路>
次に、
図7は、本願発明者が上述した検討回路であるスイッチング電源回路100をもとに考案したスイッチング電源回路100Xの構成を示す回路図である。
【0060】
図7に示すスイッチング電源回路100Xは、1次側の構成は上述したスイッチング電源回路100と同様であるが、2次側については、スイッチング電源回路100の2次側の回路を複数並列接続した構成としている。ここでは、一例として、4個の回路の並列接続としている。
【0061】
より具体的には、スイッチング電源回路100Xでは、2次側回路210~240を並列接続している。2次側回路210~240の各々は、スイッチング電源回路100における2次巻線N2、インダクタL1,L2、スイッチング素子SW3,SW4から構成される回路と同様の構成と有する。すなわち、2次側回路210~240の各々は、2次巻線N2に対応して2次巻線N21~N24、インダクタL1に対応してインダクタL11~L14,インダクタL2に対応してインダクタL21~L24、スイッチング素子SW3に対応してスイッチング素子SW31~SW34、スイッチング素子SW4に対応してスイッチング素子SW41~SW44を有する。
【0062】
なお、スイッチング電源回路100Xにおいて、トランスTrは、1次巻線N1と2次巻線N21~N24から構成される。2次巻線N21~N24は、1次巻線N1と磁気結合される。
【0063】
そして、2次側回路210~240の各々の出力側に出力コンデンサC3が共通接続される。出力コンデンサC3の両端間に負荷Zが接続される。
【0064】
このような構成のスイッチング電源回路100Xは、上述したスイッチング電源回路100と同様にモードA~Dで動作し、スイッチング素子SW3と同様にスイッチング素子SW31~SW34が同期して駆動され、スイッチング素子SW4と同様にスイッチング素子SW41~SW44が同期して駆動される。
【0065】
このようなスイッチング電源回路100Xであれば、インダクタ電流は、2次側回路210~240の各々におけるインダクタ出力電流IL21~IL24の4つに分流されるので、スイッチング素子SW31~SW34,SW41~SW44の各々に流れる電流を少なくすることで、これらのスイッチング素子のオン抵抗による導通損失を抑えることが可能となる。さらに、2次側回路210~240の各々でスイッチング素子を2個ずつ設けているので、さらに各スイッチング素子に流れる電流を小さくして導通損失を抑えることができる。
【0066】
<5.高効率化のための駆動方式の検討>
ここで、本願発明者は、
図7に示すような構成のスイッチング電源回路100Xにおいて、広い出力電力範囲で高効率を実現する駆動方式について検討した。
【0067】
上記特許文献1の駆動方式を仮にスイッチング電源回路100Xに適用する場合、2次側回路210~240のいずれかにおけるスイッチング素子を常時オフとしても、スイッチング素子のボディダイオードに電流が流れるので、ダイオード損失により効率が低下する問題がある。そこで、別の駆動方式を検討した。
【0068】
スイッチング電源回路100Xでは、1次側よりも2次側のほうが電流量が大きくなるので、上述したように2次側回路210~240を設け、各2次側回路にスイッチング素子を2個ずつ設けることで各スイッチング素子を流れる電流を小さくして導通損失を抑える意義が大きい。導通損失は、電流量の二乗で発生するからである。しかしながら、2次側のスイッチング素子の個数が2個×4=8個と大きくなるので、スイッチング素子のゲート容量への充電によるゲート駆動損失が大きくなりやすい。
【0069】
さらに、スイッチング電源回路100Xでは、電流量の大きい2次側のスイッチング素子には、導通損失を抑えるためにオン抵抗の小さい素子を使用するが、オン抵抗が小さいとサイズが大きくなり、結果としてゲート容量が大きくなる。従って、2次側のスイッチング素子でのゲート駆動損失が大きくなりやすい。
【0070】
ここで、
図8は、1次側のスイッチング素子2個分(SW1,SW2)と、2次側のスイッチング素子8個分(SW31~SW34,SW41~SW44)について、それぞれゲート駆動電圧Vgsとゲート駆動損失Pgt_lossとの関係を示すグラフである。1次側、2次側ともにスイッチング素子は、GaNを半導体材料として用いたトランジスタであるが、2次側のほうがゲート容量は大きい。また、
図8は、スイッチング周波数を高周波数の一例とした場合の結果である。
【0071】
2次側のほうがスイッチング素子の個数が多く、スイッチング素子のゲート容量が大きいために、
図8に示すように、2次側のスイッチング素子のほうがゲート駆動電圧Vgsを調整したときのゲート駆動損失Pgt_lossの変化が大きく、効率への影響が大きいことが分かる。
【0072】
また、
図9は、スイッチング電源回路100Xにおける2次側のスイッチング素子についてのゲート駆動電圧Vgsとオン抵抗Rdsonとの関係を示すグラフである。ただし、
図9は、所定のドレイン電流においての関係を示す。
図9に示すように、ゲート駆動電圧Vgsを低くするほどオン抵抗は大きくなる。一方、
図8で示したように、ゲート駆動電圧Vgsを低くするほどゲート駆動損失は小さくなる。従って、オン抵抗とゲート駆動損失は、トレードオフの関係となる。
【0073】
図10は、スイッチング電源回路100Xにおいて、2次側のスイッチング素子のゲート駆動電圧Vgsを所定の電圧V1,V2,V3(V1<V2<V3)で変化させた場合の出力電力と効率との関係を示すグラフである。
【0074】
図10に示すように、出力電力が小さい場合は、オン抵抗による導通損失よりもゲート駆動損失が支配的となるので、ゲート駆動電圧Vgsを小さくしたほうが効率は高くなり、出力電力が大きい場合は、ゲート駆動損失よりも導通損失のほうが支配的となるので、ゲート駆動電圧Vgsを大きくしてオン抵抗を小さくしたほうが効率が高くなる。すなわち、出力電力に応じて最適なゲート駆動電圧Vgsが存在することが確認された。
【0075】
従って、スイッチング電源回路100Xにおいては、出力電力に応じて2次側のスイッチング素子を駆動するゲート駆動電圧Vgsを可変制御する方式が有効であることが見出された。より具体的には、出力電力が小さいほど、ゲート駆動電圧Vgsを小さくする制御を行えばよい。
【0076】
図11は、スイッチング電源回路100Xにおいて、2次側のスイッチング素子のゲート駆動電圧Vgsを可変制御した場合と、上記電圧V3で固定とした場合とで、出力電力と効率との関係を示すグラフである。
図11に示すように、所定の効率E(例えば90%)以上となる出力電力範囲は、Vgsが可変の場合はΔP2で、Vgsが固定の場合はΔP1であり、ΔP2>ΔP1となる。すなわち、ゲート駆動電圧Vgsを可変制御したほうが広い出力電力範囲で高効率を実現できることが分かる。また、ゲート駆動電圧Vgsを可変制御したほうが最大効率を高くすることができることも
図11から分かる。
【0077】
<6.第1実施形態>
上述した駆動方式の検討結果より、以下の各種実施形態に係るスイッチング電源回路を考案した。まず、第1実施形態に係るスイッチング電源回路について述べる。
【0078】
図12は、第1実施形態に係るスイッチング電源回路100XAの構成を示す回路図である。
図12に示すスイッチング電源回路100XAは、上述したスイッチング電源回路100X(
図7)に対して電流検出部310を設けた構成としている。なお、
図12において、出力電圧Voutはフィードバック制御のために不図示のエラーアンプに入力される。当該エラーアンプを含むフィードバック制御の構成については後述する。
【0079】
電流検出部310は、例えばホール素子方式の電流センサであり、検出した電流を電圧信号である電流検出信号Idetとして出力する。電流検出部310は、出力コンデンサC3の後段に配置される。これにより、電流検出部310は、スイッチング電源回路100XAから負荷Zへ流れる出力電流Ioutを検出する。
【0080】
図13は、
図12に示したスイッチング電源回路100XAにおける2次側スイッチング素子のゲート駆動電圧可変制御に関する構成および出力電圧Voutのフィードバック制御に関する構成を示す回路図である。ただし、
図13では、2次側回路220~240については便宜上、図示を省略している。
【0081】
スイッチング電源回路100XAは、出力電圧Voutのフィードバック制御を行うフィードバック制御部41を有している。フィードバック制御部41は、エラーアンプER1と、絶縁部ISと、コンパレータCP1,CP2と、ドライバDr1~Dr4と、インバータIV1,IV2と、プッシュプル回路PP1,PP2と、を有する。
【0082】
エラーアンプER1の一方の入力端に出力電圧Voutが入力され、他方の入力端に参照電圧Vrefが入力される。エラーアンプER1は、出力電圧Voutと参照電圧Vrefとの誤差を増幅して誤差信号Err2として出力する。誤差信号Err2は、フォトカプラ等を有する絶縁部ISを介して誤差信号Err1としてコンパレータCP1の一方の入力端およびコンパレータCP2の一方の入力端に入力される。
【0083】
コンパレータCP1の他方の入力端には、三角波信号TS1が入力される。コンパレータCP1は、誤差信号Err1と三角波信号TS1とを比較し、比較結果としてのPWM信号pwm1を出力する。ドライバDr1は、PWM信号pwm1に基づいてスイッチング素子SW1のゲートを駆動するゲート駆動電圧G1を出力する。また、PWM信号pwm1は、インバータIV1によってレベル反転されてドライバDr3を介してプッシュプル回路PP1に入力される。なお、インバータIV1には、絶縁を行うためのフォトカプラ等が含まれる。
【0084】
プッシュプル回路PP1は、NPNトランジスタBP11と、PNPトランジスタBP12と、を有する。NPNトランジスタBP11のコレクタには、電源電圧Vddが印加される。NPNトランジスタBP11のベースとPNPトランジスタBP12のベースとが接続される接続ノードP1には、ドライバDr3の出力端が接続される。PNPトランジスタBP12のコレクタには、グランド電位が印加される。NPNトランジスタBP11のエミッタとPNPトランジスタBP12のエミッタとが接続される接続ノードP2からスイッチング素子SW31のゲートを駆動するゲート駆動電圧G3が出力される。
【0085】
ドライバDr3の出力がHighの場合、NPNトランジスタBP11がオン、PNPトランジスタBP12がオフとなり、ゲート駆動電圧G3はHighとしての電源電圧Vddとなる。一方、ドライバDr3の出力がLowの場合、NPNトランジスタBP11がオフ、PNPトランジスタBP12がオンとなり、ゲート駆動電圧G3はLowとしてのグランド電位となる。なお、電源電圧Vddは、後述する可変制御部42により可変である。
【0086】
また、コンパレータCP2の他方の入力端には、三角波信号TS2が入力される。三角波信号TS2は、三角波信号TS1に対して位相が180度ずれている。コンパレータCP2は、誤差信号Err1と三角波信号TS2とを比較し、比較結果としてのPWM信号pwm2を出力する。ドライバDr2は、PWM信号pwm2に基づいてスイッチング素子SW2のゲートを駆動するゲート駆動電圧G2を出力する。また、PWM信号pwm2は、インバータIV2によってレベル反転されてドライバDr4を介してプッシュプル回路PP2に入力される。なお、インバータIV2には、絶縁を行うためのフォトカプラ等が含まれる。
【0087】
プッシュプル回路PP2は、NPNトランジスタBP21と、PNPトランジスタBP22と、を有する。NPNトランジスタBP21のコレクタには、電源電圧Vddが印加される。NPNトランジスタBP21のベースとPNPトランジスタBP22のベースとが接続される接続ノードP3には、ドライバDr4の出力端が接続される。PNPトランジスタBP22のコレクタには、グランド電位が印加される。NPNトランジスタBP21のエミッタとPNPトランジスタBP22のエミッタとが接続される接続ノードP4からスイッチング素子SW41のゲートを駆動するゲート駆動電圧G4が出力される。
【0088】
ドライバDr4の出力がHighの場合、NPNトランジスタBP21がオン、PNPトランジスタBP22がオフとなり、ゲート駆動電圧G4はHighとしての電源電圧Vddとなる。一方、ドライバDr4の出力がLowの場合、NPNトランジスタBP21がオフ、PNPトランジスタBP22がオンとなり、ゲート駆動電圧G4はLowとしてのグランド電位となる。
【0089】
このようなフィードバック制御部41の構成により、出力電圧Voutに応じてPWM信号pwm1,pwm2のデューティが調整され、1次側のスイッチング素子SW1,SW2がゲート駆動電圧G1,G2によってスイッチング制御される。これにより、出力電圧Voutを簡易なデューティ制御によって安定化できる。なお、三角波信号TS1,TS2の周期がPWM信号pwm1,pwm2の周期、すなわちスイッチング周期となり、PWM信号pwm1とpwm2は位相が180度ずれる。
【0090】
また、インバータIV1,IV2によりPWM信号pwm1,pwm2のレベル反転がされるので、ゲート駆動電圧G3,G4はゲート駆動電圧G1,G2に対してレベル反転される。
【0091】
これにより、例えば上述した
図6(ただし、SW3,SW4はSW31,SW41に相当)のタイミングチャートに示すようなスイッチング制御が実現される。
【0092】
また、スイッチング電源回路100XAは、
図13に示すように出力電流Ioutの検出結果に基づいて電源電圧Vddの可変制御を行う可変制御部42を有する。可変制御部42は、基準電圧生成部42Aと、レギュレータRGと、を有している。
【0093】
基準電圧生成部42Aは、抵抗R1,R2と、コンデンサC4と、を有する。抵抗R1,R2は、電流検出部310の電流検出信号Idetを出力する出力端と、グランド電位の印加端との間に直列に接続される。抵抗R1とR2とが接続される接続ノードNR1と、グランド電位の印加端との間には、コンデンサC4が接続される。これにより、電圧信号である電流検出信号Idetは、抵抗R1,R2によって分圧され、コンデンサC4によって平滑化されて基準電圧REFとなる。すなわち、基準電圧生成部42Aは、電流検出信号に基づいて基準電圧REFを生成する。なお、コンデンサC4は、必須ではない。
【0094】
レギュレータRGは、エラーアンプER2と、出力トランジスタM1と、抵抗R3,R4と、を有する。エラーアンプER2の一方の入力端には、基準電圧REFが印加される。エラーアンプER2の出力端は、pチャネルMOSFETにより構成される出力トランジスタM1のゲートに接続される。出力トランジスタM1のソースには、所定の入力電圧VIが印加される。出力トランジスタM1のドレインは、抵抗R3の第1端と接続ノードNR2にて接続される。抵抗R3の第2端は、抵抗R4の第1端と接続ノードNR3にて接続される。接続ノードNR3は、エラーアンプER2の他方の入力端に接続される。抵抗R4の第2端は、グランド電位の印加端に接続される。
【0095】
このようなレギュレータRGの構成により、接続ノードNR3の電圧が基準電圧REFと一致するように制御され、接続ノードNR3の電圧に応じた出力電圧VOが接続ノードNR2に生成される。接続ノードNR2は、プッシュプル回路PP1のNPNトランジスタBP11のコレクタおよびプッシュプル回路PP2のNPNトランジスタBP21のコレクタに接続されるので、出力電圧VOが電源電圧VddとしてNPNトランジスタBP11,BP21のコレクタに印加されることとなる。
【0096】
このような構成により、出力電力に関連する物理量である出力電流Ioutを電流検出部310により検出した結果である電流検出信号Idetに応じて基準電圧REFが生成され、レギュレータRGが基準電圧REFに応じた出力電圧VO、すなわち電源電圧Vddを生成してプッシュプル回路PP1,PP2に印加させる。電源電圧Vddは、NPNトランジスタBP11,BP21がオンのときにゲート駆動電圧G3,G4となってスイッチング素子SW31,SW41をオンとさせる。
【0097】
具体的には、出力電流Ioutが大きくなるほど、基準電圧REFが高くなり、電源電圧Vddが高くなるので、スイッチング素子SW31,SW41をオンさせるゲート駆動電圧G3,G4が高くなる。すなわち、出力電力に応じて2次側のスイッチング素子のゲート駆動電圧を可変とする制御が可能となる。
【0098】
特に、本実施形態では、電流検出部310の個数が少なくて済むという効果を有する。なお、スイッチング電源回路100XAにおける2次側回路210以外の2次側回路220~240におけるスイッチング素子の駆動については、例えば、ドライバDr3,Dr4の出力端および電源電圧Vddの印加端が接続されるプッシュプル回路PP1,PP2と同様の回路を2次側回路220~240の各々に対しても設ければよい。これにより、スイッチング素子SW31~SW34、スイッチング素子SW41~SW44それぞれを同期させてスイッチング制御できる。
【0099】
なお、
図13に示したフィードバック制御部41の構成では、デッドタイムが考慮されていないが、必要に応じてデッドタイムを考慮した構成としてもよい。
【0100】
<7.第2実施形態>
次に、第2実施形態について述べる。ここでは、第1実施形態との相違点について主に述べる。
図14は、第2実施形態に係るスイッチング電源回路100XBの構成を示す回路図である。
【0101】
図14に示すようにスイッチング電源回路100XBの第1実施形態(
図12)との相違点は、電流検出部の配置位置である。具体的には、スイッチング電源回路100XBでは、2次側回路210においてスイッチング素子SW31,SW41それぞれに流れる電流を検出する電流検出部310A,310Bが設けられ、2次側回路220においてスイッチング素子SW32,SW42それぞれに流れる電流を検出する電流検出部320A,320Bが設けられ、2次側回路230においてスイッチング素子SW33,SW43それぞれに流れる電流を検出する電流検出部330A,330Bが設けられ、2次側回路240においてスイッチング素子SW34,SW44それぞれに流れる電流を検出する電流検出部340A,340Bが設けられる。
【0102】
図15は、
図14に示したスイッチング電源回路100XBにおける2次側スイッチング素子のゲート駆動電圧可変制御に関する構成および出力電圧Voutのフィードバック制御に関する構成を示す回路図である。ただし、
図15では、2次側回路220~240については便宜上、図示を省略している。
【0103】
図15に示すように、スイッチング電源回路100XBは、フィードバック制御部41を有している。フィードバック制御部41の構成は、第1実施形態(
図13)と同様であるので、詳述を省く。
【0104】
また、
図15に示すように、スイッチング電源回路100XBは、可変制御部421,422を有している。可変制御部421は、基準電圧生成部421Aと、レギュレータRG1と、を有している。基準電圧生成部421Aは、抵抗R11,R21と、コンデンサC41と、を有する。
【0105】
抵抗R11の第1端には、電流検出部310Aにより出力される電流検出信号Idet1が印加される。基準電圧生成部421Aの構成は、第1実施形態(
図13)の基準電圧生成部42Aと同様である。また、レギュレータRG1の構成は、第1実施形態のレギュレータRGと同様である。従って、電流検出信号Idet1に応じて基準電圧生成部421Aにより基準電圧REF1が生成され、レギュレータRG1は基準電圧REF1に応じた出力電圧VO1を生成し、電源電圧Vdd1としてプッシュプル回路PP1におけるNPNトランジスタBP11のコレクタに印加させる。
【0106】
また、可変制御部422は、基準電圧生成部422Aと、レギュレータRG2と、を有している。基準電圧生成部422Aは、抵抗R12,R22と、コンデンサC42と、を有する。
【0107】
抵抗R12の第1端には、電流検出部310Bにより出力される電流検出信号Idet2が印加される。基準電圧生成部422Aの構成は、第1実施形態(
図13)の基準電圧生成部42Aと同様である。また、レギュレータRG2の構成は、第1実施形態のレギュレータRGと同様である。従って、電流検出信号Idet2に応じて基準電圧生成部422Aにより基準電圧REF2が生成され、レギュレータRG2は基準電圧REF2に応じた出力電圧VO2を生成し、電源電圧Vdd2としてプッシュプル回路PP2におけるNPNトランジスタBP21のコレクタに印加させる。
【0108】
このような構成により、出力電力に関連する物理量である2次側のスイッチング素子SW31,SW41それぞれを流れる電流I3,I4を電流検出部310A,310B各々により検出した結果である電流検出信号Idet1,Idet2に応じて電源電圧Vdd1,Vdd2を生成してプッシュプル回路PP1,PP2に印加させる。電源電圧Vdd1,Vdd2は、NPNトランジスタBP11,BP21がオンのときにゲート駆動電圧G3,G4となってスイッチング素子SW31,SW41をオンとさせる。
【0109】
具体的には、電流I3,I4が大きくなるほど、基準電圧REF1,REF2が高くなり、電源電圧Vdd1,Vdd2が高くなるので、スイッチング素子SW31,SW41をオンさせるゲート駆動電圧G3,G4が高くなる。すなわち、出力電力に応じて2次側のスイッチング素子のゲート駆動電圧を可変とする制御が可能となる。
【0110】
なお、2次側回路220~240におけるスイッチング素子の駆動については、2次側回路220~240の各々の電流検出部に対応して可変制御部421,422と同様の回路を設け、ドライバDr3,Dr4の出力端および電源電圧Vdd1,Vdd2の印加端が接続されるプッシュプル回路PP1,PP2と同様の回路を2次側回路220~240の各々に対しても設ければよい。
【0111】
このような実施形態では、2次側回路210~240におけるインダクタ部品のバラツキや配線インピーダンスのバラツキがあった場合でも、2次側回路210~240におけるスイッチング素子それぞれに流れる電流を検出することで各スイッチング素子のゲート駆動電圧を可変制御するので、効率をより効果的に向上させることが可能となる。
【0112】
<8.第3実施形態>
次に、第3実施形態について述べる。ここでは、第1実施形態との相違点について主に述べる。
図16は、第3実施形態に係るスイッチング電源回路100XCの構成を示す回路図である。
【0113】
図16に示すようにスイッチング電源回路100XCの第1実施形態(
図12)との相違点は、電流検出部の配置位置である。具体的には、スイッチング電源回路100XCでは、2次側回路210においてインダクタL11,L12それぞれに流れる電流を合成して生成されるインダクタ出力電流IL21を検出する電流検出部310Cが設けられ、2次側回路220においてインダクタL12,L22それぞれに流れる電流を合成して生成されるインダクタ出力電流IL22を検出する電流検出部320Cが設けられ、2次側回路230においてインダクタL13,L23それぞれに流れる電流を合成して生成されるインダクタ出力電流IL23を検出する電流検出部330Cが設けられ、2次側回路240においてインダクタL14,L24それぞれに流れる電流を合成して生成されるインダクタ出力電流IL24を検出する電流検出部340Cが設けられる。
【0114】
図17は、
図16に示したスイッチング電源回路100XCにおける2次側スイッチング素子のゲート駆動電圧可変制御に関する構成および出力電圧Voutのフィードバック制御に関する構成を示す回路図である。ただし、
図17では、2次側回路220~240については便宜上、図示を省略している。
【0115】
図17に示すように、スイッチング電源回路100XCは、フィードバック制御部41を有している。フィードバック制御部41の構成は、第1実施形態(
図13)と同様であるので、詳述を省く。
【0116】
また、
図17に示すように、スイッチング電源回路100XCは、可変制御部42を有している。可変制御部42の構成は、第1実施形態(
図13)と同様であるので、詳述を省く。電流検出部310Cによりインダクタ出力電流IL21を検出した結果である電流検出信号Idet11は、抵抗R1の第1端に印加される。これにより、電流検出信号Idet11に応じて基準電圧生成部42Aにより基準電圧REFが生成され、レギュレータRGは基準電圧REFに応じた出力電圧VOを生成し、電源電圧Vddとしてプッシュプル回路PP1,PP2におけるNPNトランジスタBP11,BP21のコレクタに印加させる。
【0117】
このような構成により、出力電力に関連する物理量であるインダクタ出力電流IL21を電流検出部310Cにより検出した結果である電流検出信号Idet11に応じて電源電圧Vddを生成してプッシュプル回路PP1,PP2に印加させる。電源電圧Vddは、NPNトランジスタBP11,BP21がオンのときにゲート駆動電圧G3,G4となってスイッチング素子SW31,SW41をオンとさせる。
【0118】
具体的には、インダクタ出力電流IL21が大きくなるほど、基準電圧REFが高くなり、電源電圧Vddが高くなるので、スイッチング素子SW31,SW41をオンさせるゲート駆動電圧G3,G4が高くなる。すなわち、出力電力に応じて2次側のスイッチング素子のゲート駆動電圧を可変とする制御が可能となる。
【0119】
なお、2次側回路220~240におけるスイッチング素子の駆動については、2次側回路220~240の各々の電流検出部320C、330C、340Cに対応して可変制御部42と同様の回路を設け、ドライバDr3,Dr4の出力端および電源電圧Vddの印加端が接続されるプッシュプル回路PP1,PP2と同様の回路を2次側回路220~240の各々に対しても設ければよい。
【0120】
このような実施形態によれば、2次側回路210~240のそれぞれに流れる電流にバラツキがあるが、同じ2次側回路におけるスイッチング素子の各々にはほぼ同じ電流が流れる場合、2次側回路ごとにスイッチング素子のゲート駆動電圧を調整することで、効率をより効果的に向上させることが可能となる。また、本実施形態であれば、第2実施形態よりも電流検出部の個数を削減することができる。
【0121】
また、
図18は、第3実施形態の一変形例としてのスイッチング電源回路100XC’の構成を示す回路図である。スイッチング電源回路100XC’は、上述したスイッチング電源回路100XCと電流検出部の配置位置が異なる。より具体的には、2次側回路210において2次巻線N21の第1端と、スイッチング素子SW41のドレインとインダクタL11の第1端とが接続される接続ノードND31との間に電流検出部310Dを配置し、2次側回路220において2次巻線N22の第1端と、スイッチング素子SW42のドレインとインダクタL12の第1端とが接続される接続ノードND32との間に電流検出部320Dを配置し、2次側回路230において2次巻線N23の第1端と、スイッチング素子SW43のドレインとインダクタL13の第1端とが接続される接続ノードND33との間に電流検出部330Dを配置し、2次側回路240において2次巻線N24の第1端と、スイッチング素子SW44のドレインとインダクタL14の第1端とが接続される接続ノードND34との間に電流検出部340Dを配置している。
【0122】
このような構成であっても、第3実施形態と同様に、2次側回路ごとにスイッチング素子のゲート駆動電圧を調整することが可能となる。ただし、上述したモードA~モードDの動作から分かるように、電流検出部310D~340Dに電流が流れない期間が生じるので、可変制御部42における平滑化のためのコンデンサC4の容量を大きくする必要がある。その点では、電流検出部に電流が常時流れる第3実施形態のほうがコンデンサC4の容量が小さくなり、好ましい。
【0123】
<9.第4実施形態>
次に、第4実施形態について述べる。
図19は、第4実施形態に係るスイッチング電源回路100XDの構成を示す回路図である。
【0124】
図19に示すようにスイッチング電源回路100XDは、スイッチング素子SW31~SW34の各々の温度を検出する温度検出部T31~T34と、スイッチング素子SW41~SW44の各々の温度を検出する温度検出部T41~T44と、を有する。
【0125】
図20は、
図19に示したスイッチング電源回路100XDにおける2次側スイッチング素子のゲート駆動電圧可変制御に関する構成および出力電圧Voutのフィードバック制御に関する構成を示す回路図である。ただし、
図20では、2次側回路220~240については便宜上、図示を省略している。
【0126】
図20に示すように、スイッチング電源回路100XDは、フィードバック制御部41を有している。フィードバック制御部41の構成は、第1実施形態(
図13)と同様であるので、詳述を省く。
【0127】
また、
図20に示すように、スイッチング電源回路100XDは、可変制御部43を有している。可変制御部43は、演算部43Aと、レギュレータRG1,RG2と、を有する。レギュレータRG1,RG2は、第2実施形態(
図15)と同様の構成である。
【0128】
演算部43Aは、温度検出部T31によりスイッチング素子SW31の温度を検出した結果である温度検出信号Tdet1と、温度検出部T41によりスイッチング素子SW41の温度を検出した結果である温度検出信号Tdet2と、を取得する。また、演算部43Aは、スイッチング素子SW31を駆動するゲート駆動電圧G3と、スイッチング素子SW41を駆動するゲート駆動電圧G4も取得する。
【0129】
ここで、スイッチング素子の温度Tと、スイッチング素子における損失Plossとの関係は、
T=Rth×Ploss (1)
となる。ただし、Rth:熱抵抗である。従って、スイッチング素子の温度Tを検出できれば、Rthは既知であるので、損失Plossを算出できる。
【0130】
そして、損失Plossは、2次側のスイッチング損失はほぼ0であるので、次の式で表される。
Ploss=Pgate+Pcond (2)
ただし、Pgate:ゲート駆動損失、Pcond:導通損失である。
【0131】
ここで、ゲート駆動損失Pgateは、次の式で表される。
Pgate=C×Vgs2×f2 (3)
ただし、C:スイッチング素子のゲート容量、Vgs:ゲート駆動電圧、f:スイッチング周波数である。
【0132】
ゲート容量Cとスイッチング周波数fは既知であるので、ゲート駆動電圧Vgsを取得できれば、(3)式によりゲート駆動損失Pgateは算出可能である。
【0133】
そして、PlossとPgateが算出されれば、(2)式により導通損失Pcondが算出される。
【0134】
演算部43Aは、このような算出方法により、温度検出信号Tdet1とゲート駆動電圧G3によりスイッチング素子SW31の導通損失Pcondを、温度検出信号Tdet2とゲート駆動電圧G4によりスイッチング素子SW41の導通損失Pcondを算出する。
【0135】
そして、演算部43Aは、スイッチング素子SW31の導通損失Pcondの損失Plossにおける割合に応じて基準電圧REF1をレギュレータRG1に出力し、スイッチング素子SW41の導通損失Pcondの損失Plossにおける割合に応じて基準電圧REF2をレギュレータRG2に出力する。より具体的には、上記割合が大きいほど、基準電圧を高くする。
【0136】
レギュレータRG1により基準電圧REF1に応じた出力電圧VO1が電源電圧Vdd1としてプッシュプル回路PP1に印加され、レギュレータRG2により基準電圧REF2に応じた出力電圧VO2が電源電圧Vdd2としてプッシュプル回路PP2に印加される。従って、スイッチング素子SW31の導通損失Pcondの損失Plossにおける割合が大きいほど、電源電圧Vdd1が高くされ、スイッチング素子SW31をオンとさせるゲート駆動電圧G3は高くなる。同様に、スイッチング素子SW41の導通損失Pcondの損失Plossにおける割合が大きいほど、電源電圧Vdd2が高くされ、スイッチング素子SW41をオンとさせるゲート駆動電圧G4は高くなる。
【0137】
すなわち、出力電力に関連する物理量であるスイッチング素子の温度を検出することで、ゲート駆動電圧を可変制御することができる。これにより、特に2次側に大電流が流れる場合に電流検出部を用いた構成では損失が問題となるところ、本実施形態では、電流検出部を用いる必要がなくなる。
【0138】
なお、演算部43Aは、算出された導通損失Pcondと、既知のオン抵抗により、スイッチング素子に流れる電流を算出し、算出された電流に応じて基準電圧を生成してもよい。
【0139】
また、2次側回路220~240のスイッチング素子の駆動については、上述の可変制御部43およびプッシュプル回路PP1,PP2と同様の構成を2次側回路220~240のそれぞれについて設ければよい。
【0140】
<10.回路レイアウト>
ここでは、以上説明した各種実施形態に係るスイッチング電源回路のレイアウトについて述べる。
図21Aは、プリント基板PCBにおけるスイッチング電源回路のレイアウトの一例を表側から視た概略平面図である。
図21Bは、プリント基板PCBにおけるスイッチング電源回路のレイアウトの一例を裏側から視た概略平面図である。
【0141】
なお、
図21Aおよび
図21Bにおいて、矩形状であるプリント基板PCBの縦方向の辺に沿う方向をX方向とし、X方向一方側をX1、X方向他方側をX2として示し、プリント基板PCBの横方向の辺に沿う方向をY方向とし、Y方向一方側をY1、Y方向他方側をY2として示す。プリント基板PCBの縦方向の辺は例えば30mm、横方向の辺は例えば40mmである。
【0142】
図21Aに示すように、プリント基板PCBの表側から視ると、プリント基板PCBのY方向一方側の端部には、順にX方向他方側に向かってコンデンサC1A、C1B、C2A、およびC2Bが配置される。コンデンサC1AとコンデンサC1Bとの並列接続により入力コンデンサC1が形成され、コンデンサC2AとコンデンサC2Bとの並列接続により入力コンデンサC2が形成される。
【0143】
スイッチング素子SW1は、コンデンサC1BのY方向他方側に隣接して配置される。スイッチング素子SW2は、コンデンサC2AのY方向他方側に隣接して配置される。
【0144】
プリント基板PCBのY方向他方側の端部には、順にX方向他方側に向かってコンデンサC3A、C3B、C3C、およびC3Dが配置される。スイッチング素子SW31は、コンデンサC3AよりY方向一方側にコンデンサC3AとY方向に対向して配置される。スイッチング素子SW41は、コンデンサC3BよりY方向一方側にコンデンサC3BとY方向に対向して配置される。スイッチング素子SW32は、コンデンサC3CよりY方向一方側にコンデンサC3CとY方向に対向して配置される。スイッチング素子SW42は、コンデンサC3DよりY方向一方側にコンデンサC3DとY方向に対向して配置される。
【0145】
スイッチング素子SW1,SW2と、スイッチング素子SW31,SW41,SW32,SW42とによりY方向に挟まれて、トランスTrの配置領域TrAが形成される。トランスTrは、後述するように、配線によって形成される。
【0146】
プリント基板PCBの表の面よりも厚み方向奥側(
図21Aの紙面奥側)に、スイッチング素子SW31からコンデンサC3Aにかけて配線により形成されるインダクタL21が配置される。プリント基板PCBの表の面よりも厚み方向奥側に、スイッチング素子SW41からコンデンサC3Bにかけて配線により形成されるインダクタL11が配置される。プリント基板PCBの表の面よりも厚み方向奥側に、スイッチング素子SW32からコンデンサC3Cにかけて配線により形成されるインダクタL22が配置される。プリント基板PCBの表の面よりも厚み方向奥側に、スイッチング素子SW42からコンデンサC3Dにかけて配線により形成されるインダクタL12が配置される。
【0147】
スイッチング素子SW42およびコンデンサC3DのX軸方向他方側にスイッチング素子SW42およびコンデンサC3DとX方向に対向して2次側ドライバ部DRV2Aが形成される。2次側ドライバ部DRV2Aは、スイッチング素子SW31,SW41,SW32,SW42を駆動する。
【0148】
また、
図21Bに示すように、プリント基板PCBの裏側から視ると、プリント基板PCBのY方向一方側にX方向に延びる1次側ドライバ部DRV1が配置される。1次側ドライバ部DRV1は、スイッチング素子SW1,SW2を駆動する。
【0149】
プリント基板PCBのY方向他方側の端部には、順にX方向一方側に向かってコンデンサC3E、C3F、C3G、およびC3Hが配置される。コンデンサC3A~C3Hが並列接続されることで、出力コンデンサC3が形成される。スイッチング素子SW33は、コンデンサC3EよりY方向一方側にコンデンサC3EとY方向に対向して配置される。スイッチング素子SW43は、コンデンサC3FよりY方向一方側にコンデンサC3FとY方向に対向して配置される。スイッチング素子SW34は、コンデンサC3GよりY方向一方側にコンデンサC3GとY方向に対向して配置される。スイッチング素子SW44は、コンデンサC3HよりY方向一方側にコンデンサC3HとY方向に対向して配置される。
【0150】
1次側ドライバ部DRV1と、スイッチング素子SW33,SW43,SW34,SW44とによりY方向に挟まれて、トランスTrの配置領域TrAが形成される。
【0151】
プリント基板PCBの裏の面よりも厚み方向奥側(
図21Bの紙面奥側)に、スイッチング素子SW33からコンデンサC3Eにかけて配線により形成されるインダクタL23が配置される。プリント基板PCBの裏の面よりも厚み方向奥側に、スイッチング素子SW43からコンデンサC3Fにかけて配線により形成されるインダクタL13が配置される。プリント基板PCBの裏の面よりも厚み方向奥側に、スイッチング素子SW34からコンデンサC3Gにかけて配線により形成されるインダクタL24が配置される。プリント基板PCBの裏の面よりも厚み方向奥側に、スイッチング素子SW44からコンデンサC3Hにかけて配線により形成されるインダクタL14が配置される。
【0152】
スイッチング素子SW44およびコンデンサC3HのX軸方向一方側にスイッチング素子SW44およびコンデンサC3HとX方向に対向して2次側ドライバ部DRV2Bが形成される。2次側ドライバ部DRV2Bは、スイッチング素子SW33,SW43,SW34,SW44を駆動する。
【0153】
ここで、
図22は、トランスTrを配線によって形成する場合の一例を示す概略図である。
図22の紙面上下方向がプリント基板PCBの厚み方向である。
図22の例では、プリント基板PCBは、厚み方向に8つの配線層を有する。各配線層に厚み方向一方側から順に、それぞれ巻き数1回分の巻配線N1A、N21、N1B、N22、N1C、N23、N1D、N24が形成される。厚み方向に隣り合う配線層の間には絶縁層が配置される。巻配線N1A、N1B、N1C、N1Dの隣り合うもの同士の間は、厚み方向に延びるスルーホールTHによって導通される。巻配線N1A、N1B、N1C、N1DおよびスルーホールTHから1次巻線N1が形成される。すなわち、
図22では、1次巻線N1の巻き数は4回となる。また、巻配線N21~N24は、それぞれ2次巻線N21~N24に相当する。
【0154】
このようなトランスTrの構成によれば、1次側と2次側との磁気結合を強固とすることができる。
【0155】
<11.半導体デバイス>
本実施形態のスイッチング電源回路における各種スイッチング素子には、例えば以下に説明するような半導体デバイスを用いてもよい。
【0156】
図23は、半導体デバイスの斜視図である。
図24は、
図23に示す半導体デバイスにおけるトランジスタの平面図である。
【0157】
図23に示すように、半導体デバイス1は、回路基板(
図23では不図示)に電気的に接続するためのリードフレーム10と、リードフレーム10に載せられるトランジスタ20と、トランジスタ20を封止する封止樹脂30とを備える。トランジスタ20は、窒化物半導体を用いたHEMT(High Electron Mobility Transistor)である。半導体デバイス1は、半導体デバイス1の横方向となる第1の方向Xの寸法が略5mm、半導体デバイス1の縦方向となる第2の方向Yの寸法が略6mm、半導体デバイス1の高さ方向Zが略0.6mmのパッケージ(封止樹脂30)からなる。半導体デバイス1は、表面実装形であり、リードフレームが封止樹脂30の2方向から取り出される、所謂SOP(Small Outline Package)である。
【0158】
半導体デバイス1の使用周波数範囲は、1MHz以上かつ100MHz以下であり、好ましくは1MHz以上かつ30MHz以下である。本実施形態の半導体デバイス1は、30MHzで用いられる。また半導体デバイス1は、ドレイン電流の範囲が1A以上かつ200A以下の範囲の回路に適用可能であり、ドレイン電流の範囲が10A以上かつ100A以下の範囲の回路に適用することが好ましい。
【0159】
封止樹脂30は、例えばエポキシ樹脂により矩形板状に形成されている。封止樹脂30は、上面となる表面31と、高さ方向Zにおいて表面31と対向する底面となる裏面32を有する。裏面32は、回路基板に実装される面となる。また封止樹脂30は、第1の方向Xにおいて一方側の側面となる第1の横側面33と、第1の方向Xにおいて他方側の側面となる第2の横側面34と、第2の方向Yにおいて一方側の側面となる第1の縦側面35と、第2の方向Yにおいて他方側の側面となる第2の縦側面36とを有する。
【0160】
トランジスタ20は、矩形板状に形成されている。平面視におけるトランジスタ20の形状は、長方形である。トランジスタ20は、第1の方向Xが長手方向となるようにリードフレーム10に載せられている。
図24に示すように、トランジスタ20の外形サイズの一例は、平面視において長手方向の一辺の長さL1が略4200μmであり、他の一辺の長さL2が略2100μmであるような縦横比が2:1の長方形である。なお、以降のトランジスタ20の説明において、方向を示す場合は、トランジスタ20がリードフレーム10に載せられた状態におけるトランジスタ20の方向のことをいう。
【0161】
トランジスタ20は、リードフレーム10(
図23参照)側となる一方の面である表面20a及び表面20aと対向する他方の面である裏面20b(
図23参照)を有する。表面20aには、リードフレーム10と電気的に接続するための5個のドレイン電極パッド21、4個のソース電極パッド22、及び1個のゲート電極パッド23が設けられている。ドレイン電極パッド21は、長手方向の長さLDが長い4個のドレイン電極パッド21Pと、長手方向の長さLDEが短い1個のドレイン電極パッド21Qとからなる。なお、ドレイン電極パッド21、ソース電極パッド22、及びゲート電極パッド23の個数は任意の設定事項である。このため、例えばドレイン電極パッド21の個数とソース電極パッド22の個数とが異なってもよい。またトランジスタ20は、複数のゲート電極パッド23を有してもよい。また以降の説明において、5個のドレイン電極パッド全体を示すときはドレイン電極パッド21と称する。
【0162】
図24に示すように、ドレイン電極パッド21及びソース電極パッド22は、平面視においてトランジスタ20の長手方向(第1の方向X)において交互に配置されている。ドレイン電極パッド21及びソース電極パッド22のそれぞれは、トランジスタ20の長手方向と直交する方向(第2の方向Y)が長手方向となる略矩形状に形成されている。ドレイン電極パッド21及びソース電極パッド22は、互いに平行している。第1の方向Xにおいてトランジスタ20の両端には、それぞれドレイン電極パッド21が配置されている。
【0163】
ゲート電極パッド23は、第1の方向Xにおいてトランジスタ20の一端に配置されている。ゲート電極パッド23は、第1の方向Xにおいてトランジスタ20の一端に配置されたドレイン電極パッド21Qと第2の方向Yにおいて隙間を空けて対向している。ゲート電極パッド23はトランジスタ20の第2の方向Yの一端寄りに配置され、ドレイン電極パッド21Qはトランジスタ20の第2の方向Yの他端寄りに配置されている。
【0164】
4個のドレイン電極パッド21Pの長さLDと、4個のソース電極パッド22の長さLSとは互いに等しい。ドレイン電極パッド21Qの長さLDEは、長さLDの半分以下である。ゲート電極パッド23の長さLGは、長さLDEと等しい。ドレイン電極パッド21の幅WD、ソース電極パッド22の幅WS、及びゲート電極パッド23の幅WGは、それぞれ等しい。第2の方向Yにおいてドレイン電極パッド21、ソース電極パッド22、及びゲート電極パッド23の両端部は、第2の方向Yに向けて凸となる円弧状に形成されている。
【0165】
ドレイン電極パッド21は第1の方向Xにおいて等間隔に配置され、ソース電極パッド22は第1の方向Xにおいて等間隔に配置されている。4個のドレイン電極パッド21P及び4個のソース電極パッド22は、第2の方向Yにおいて同じ位置に配置されている。ドレイン電極パッド21とこのドレイン電極パッド21と第1の方向Xにおいて隣り合うソース電極パッド22との間の距離Ddsは、それぞれ等しい。ゲート電極パッド23と、第1の方向Xにおいてゲート電極パッド23と隣り合うソース電極パッド22との間の距離Dsgは、距離Ddsと等しい。
【0166】
図24のトランジスタ20の寸法関係は以下のとおりである。4個のドレイン電極パッド21Pの長さLD及び4個のソース電極パッド22の長さLSは、略1760μmであり、ドレイン電極パッド21Qの長さLDEは、略755μmである。ゲート電極パッド23の長さLGは、略755μmである。ドレイン電極パッド21の幅WD、ソース電極パッド22の幅WS、及びゲート電極パッド23の幅WGのそれぞれは、略240μmである。
【0167】
第2の方向Yにおけるゲート電極パッド23とドレイン電極パッド21Qとの間の距離Ddgは、略250μmである。ドレイン電極パッド21と、このドレイン電極パッド21と第1の方向Xにおいて隣り合うソース電極パッド22との間の距離Ddsのそれぞれは略200μmである。第1の方向Xにおいてゲート電極パッド23と隣り合うソース電極パッド22との間の距離Dsgは略200μmである。
【0168】
リードフレーム10は、ドレイン電極パッド21(
図24参照)と電気的に接続されるドレインフレーム11、ソース電極パッド22(
図24参照)と電気的に接続されるソースフレーム12、及びゲート電極パッド23(
図24参照)と電気的に接続されるゲートフレーム13を備える。ドレインフレーム11、ソースフレーム12、及びゲートフレーム13のそれぞれは、例えば銅板をエッチング加工することにより形成されている。ドレインフレーム11、ソースフレーム12、及びゲートフレーム13は、互いに隙間を空けて配置されることにより、互いに電気的に絶縁している。
【0169】
ドレインフレーム11は、平面視において封止樹脂30の第1の縦側面35寄りに配置されている。ドレインフレーム11は、4個のドレイン端子11aと、これらドレイン端子11aを連結するドレイン連結部11bと、ドレイン連結部11bから第2の方向Yにおける第2の縦側面36側に向けて延びる5本のドレインフレームフィンガー11cとを備える。ドレインフレームフィンガー11cは、第2の方向Yに沿って延びている。このように、ドレインフレーム11は、櫛歯状に形成されている。4個のドレイン端子11a、ドレイン連結部11b、及び5本のドレインフレームフィンガー11cは、例えば単一部材により形成されている。なお、ドレイン端子11aの個数及びドレインフレームフィンガー11cの本数は任意の設定事項である。例えばドレイン端子11aの個数とドレインフレームフィンガー11cの本数とが同じであっても異なってもよい。またドレインフレームフィンガー11cの本数は、
図24のトランジスタ20のドレイン電極パッド21の個数に応じて設定することが好ましい。
【0170】
ドレイン端子11aは、平面視において第2の方向Yが長手方向となる長方形に形成されている。ドレイン端子11aは、第1の方向Xにおいて等間隔に配置されている。ドレイン端子11aは、封止樹脂30の第1の縦側面35と隣り合う位置に配置されている。第2の方向Yにおいてドレイン端子11aの一方の端部は、第1の縦側面35から封止樹脂30の外部に向けて突出している。第2の方向Yにおいてドレイン端子11aの他方の端部は、ドレイン連結部11bに連結されている。
【0171】
第1の方向Xにおけるドレイン連結部11bの両端部には、母材となる鋼板(図示略)からドレインフレーム11を形成するときに鋼板とドレインフレーム11とを連結する第1タイバー部11dがドレイン連結部11bと一体に設けられている。第1タイバー部11dは、ドレイン連結部11bの両端部から第1の方向Xに沿って延びている。一方の第1タイバー部11dは、ドレイン連結部11bから第1の横側面33までに亘って形成されている。他方の第1タイバー部11dは、ドレイン連結部11bから第2の横側面34までに亘って形成されている。
【0172】
ドレインフレームフィンガー11cは、第2の方向Yの長さが長い4本のドレインフレームフィンガー11Pと、第2の方向Yの長さが短い1本のドレインフレームフィンガー11Qとからなる。
【0173】
ドレインフレームフィンガー11Pのうちの第1の横側面33側の端部のドレインフレームフィンガー11Pと、ドレインフレームフィンガー11Qとには、第2タイバー部11i,11jが設けられている。ドレインフレームフィンガー11Pに設けられた第2タイバー部11iは、封止樹脂30の第2の方向Yの中央位置から第1の横側面33に向けて第2の方向Yに沿って延びている。第2タイバー部11iは、第1の横側面33から露出する。ドレインフレームフィンガー11Qに設けられた第2タイバー部11jは、封止樹脂30の第2の方向Yの中央位置から第2の横側面34に向けて第2の方向Yに沿って延びている。第2タイバー部11jは、第2の横側面34から露出する。
【0174】
ソースフレーム12は、平面視において封止樹脂30の第2の縦側面36寄りに配置されている。またソースフレーム12は、平面視において封止樹脂30の第1の横側面33寄りに配置されている。ソースフレーム12は、3個のソース端子12aと、これらソース端子12aを連結するソース連結部12bと、ソース連結部12bから第2の方向Yにおける第1の縦側面35側に向けて延びる4本のソースフレームフィンガー12cとを備える。ソースフレームフィンガー12cは、第2の方向Yに沿って延びている。このように、ソースフレーム12は、櫛歯状に形成されている。複数のソース端子12a、ソース連結部12b、及び複数のソースフレームフィンガー12cは、例えば単一部材により形成されている。なお、ソース端子12aの個数及びソースフレームフィンガー12cの本数は任意の設定事項である。例えばソース端子12aの個数とソースフレームフィンガー12cの本数とが同じであっても異なってもよい。またソースフレームフィンガー12cの本数は、
図24のトランジスタ20のソース電極パッド22の個数に応じて設定することが好ましい。
【0175】
ソース端子12aは、平面視において第2の方向Yが長手方向となる長方形に形成されている。ソース端子12aは、第1の方向Xにおいて等間隔に配置されている。ソース端子12aは、封止樹脂30の第2の縦側面36と隣り合う位置に配置されている。第2の方向Yにおいてソース端子12aの一方の端部は、第2の縦側面36から封止樹脂30の外部に向けて突出している。第2の方向Yにおいてソース端子12aの他方の端部は、ソース連結部12bに連結されている。ソース端子12aの第1の方向Xの位置は、ドレイン端子11aの第1の方向Xの位置と等しい。ソース端子12aの幅(ソース端子12aの第1の方向Xの寸法)は、ドレイン端子11aの幅と等しい。
【0176】
ソース連結部12bにおける第1の横側面33側の端部には、母材となる鋼板(図示略)からソースフレーム12を形成するときに鋼板とソースフレーム12とを連結するタイバー部12dが設けられている。タイバー部12dは、ソース連結部12bの端部から第1の横側面33までに亘って第1の方向Xに沿って延びている。
【0177】
ゲートフレーム13は、平面視において封止樹脂30の第2の縦側面36寄りに配置されている。またゲートフレーム13は、平面視において封止樹脂30の第2の横側面34寄りに配置されている。ゲートフレーム13は、ゲート端子13a、ゲート連結部13b、及びゲートフレームフィンガー13cを備える。ゲートフレーム13は、第1の方向Xにおいてソースフレーム12と隣り合うように配置されている。
【0178】
ゲート端子13aは、平面視において第2の方向Yが長手方向となる長方形に形成されている。ゲート端子13aは、封止樹脂30の第2の縦側面36と隣り合う位置に配置されている。第2の方向Yにおいてゲート端子13aの一方の端部は、第2の縦側面36から封止樹脂30の外部に向けて突出している。第2の方向Yにおいてゲート端子13aの他方の端部は、ゲート連結部13bに連結されている。ゲート端子13aの第1の方向Xの位置は、ドレイン端子11aのうちの第2の横側面34側の端部に配置されたドレイン端子11aの第1の方向Xの位置と等しい。ゲート端子13aの幅(ゲート端子13aの第1の方向Xの寸法)は、ドレイン端子11aの幅と等しい。
【0179】
ゲート連結部13bは、ゲート端子13aとゲートフレームフィンガー13cとを連結している。ゲート連結部13bの第2の方向Yの位置は、ソース連結部12bの第2の方向Yの位置と等しい。ゲート連結部13bにおける第2の横側面34側の端部には、母材となる鋼板(図示略)からゲートフレーム13を形成するときに鋼板とゲートフレーム13とを連結するタイバー部13dが設けられている。タイバー部13dは、ゲート連結部13bの端部から第2の横側面34までに亘って第1の方向Xに沿って延びている。
【0180】
ゲートフレームフィンガー13cは、ゲート連結部13bに対してゲート端子13aとは反対側に配置されている。ゲートフレームフィンガー13cは、ゲート連結部13bの第1の横側面33側の端部から第2の方向Yに沿って延びている。ゲートフレームフィンガー13cの長さは、ソースフレームフィンガー12cの長さよりも短い。
【0181】
ゲートフレームフィンガー13cの第1の方向Xの位置は、ドレインフレームフィンガー11Qの第1の方向Xの位置と等しい。ゲートフレームフィンガー13cは、ソースフレームフィンガー12cと平行している。ゲートフレームフィンガー13cは、ドレインフレームフィンガー11Qよりも第2の縦側面36側に配置されている。すなわち、第2の方向Yにおいて、ゲートフレームフィンガー13cの先端部は、ドレインフレームフィンガー11Qの先端部と対向している。
【0182】
<12.その他>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変更が可能である。
【0183】
例えば、上述した各種実施形態に係るスイッチング電源回路において2次側のみに限らず1次側のスイッチング素子のゲート駆動電圧を可変制御してもよい。
【0184】
また、絶縁型のスイッチング電源回路に限らず、非絶縁型のスイッチング電源回路におけるスイッチング素子にゲート駆動電圧の可変制御を適用してもよい。例えば、非絶縁型の降圧DC/DCコンバータにおけるハイサイドおよび/またはローサイドのスイッチング素子に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0185】
本発明は、各種のスイッチング電源回路に利用することができる。
【符号の説明】
【0186】
100、100X、100XA~100XD スイッチング電源回路
210~240 2次側回路
310、310A~340A、310B~340B、310C~340C、310D~340D 電流検出部
41 フィードバック制御部
42、421、422 可変制御部
42A、421A、422A 基準電圧生成部
43 可変制御部
43A 演算部
RG、RG1、RG2 レギュレータ
PP1、PP2 プッシュプル回路
C1、C2 入力コンデンサ
SW1~SW4、SW31~SW34、SW41~SW44 スイッチング素子
Tr トランス
N1 1次巻線
N2、N21~N24 2次巻線
L1、L2、L11~L14、L21~L24 インダクタ
C3 出力コンデンサ
R1~R4、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42
抵抗
C4、C41、C42 コンデンサ
ER1、ER2、ER21、ER22 エラーアンプ
IS 絶縁部
CP1、CP2 コンパレータ
Dr1~Dr4 ドライバ
IV1、IV2 インバータ
M1、M11、M12 出力トランジスタ
BP11、BP21 NPNトランジスタ
BP12、BP22 PNPトランジスタ
T31~T34、T41~T44 温度検出部
Z 負荷