IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許-車両用センサ装置 図1
  • 特許-車両用センサ装置 図2
  • 特許-車両用センサ装置 図3
  • 特許-車両用センサ装置 図4
  • 特許-車両用センサ装置 図5
  • 特許-車両用センサ装置 図6
  • 特許-車両用センサ装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】車両用センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/165 20060101AFI20231027BHJP
   B60T 8/171 20060101ALI20231027BHJP
   B60T 8/92 20060101ALI20231027BHJP
   B60T 17/18 20060101ALI20231027BHJP
   G08C 25/00 20060101ALI20231027BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20231027BHJP
   G08C 19/02 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
G01R19/165 L
B60T8/171 A
B60T8/92
B60T17/18
G08C25/00 F
G08C19/00 S
G08C19/02 301
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021558730
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 EP2020058176
(87)【国際公開番号】W WO2020200921
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】102019204619.3
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ヴィルト
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ケーゲル
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102016222628(DE,A1)
【文献】特開平8-026091(JP,A)
【文献】特開2000-112541(JP,A)
【文献】特開平8-178970(JP,A)
【文献】特開2011-174741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/00
G01R 15/00
G01R 31/36
G01R 31/00
B60T 8/00
B60T 17/00
G08C 25/00
G08C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定量を検出するセンサエレメント(WSS)と、それぞれ1つの第1,第2の測定回路(MS1,MS2)及び第1,第2のエネルギ源(VB1,VB2)を有する少なくとも2つの第1,第2の制御装置(ECU1,ECU2)とを備えた車両用センサ装置(1)であって、
前記センサエレメント(WSS)の第1の端子(WSS1)は、前記少なくとも2つの制御装置(ECU1,ECU2)の前記第1の制御装置(ECU1)の前記第1のエネルギ源(VB1)に接続されており、前記センサエレメント(WSS)の第2の端子(WSS2)は、前記少なくとも2つの制御装置(ECU1,ECU2)の前記第2の制御装置(ECU2)の測定回路(MS2)を介してグラウンド端子(GND)に接続されており、
前記センサエレメント(WSS)を通って流れるセンサ電流(Is)は、検出された測定量に関する情報によって変調されており、
前記第1の制御装置(ECU1)の前記第1の測定回路(MS1)は、前記第1のエネルギ源(VB1)と前記センサエレメント(WSS)との間のハイサイド路において検出されたセンサ電流(Is)を評価し、同時に、前記第2の制御装置(ECU2)の前記第2の測定回路(MS2)は、前記センサエレメント(WSS)と前記グラウンド端子(GND)との間のローサイド路において検出されたセンサ電流(Is)を評価し、
第1の非常時保護回路(20A)が、前記ローサイド路に対して並列に配置されていて、前記センサエレメント(WSS)の前記第2の端子(WSS2)における電圧降下(U12)を監視し、前記センサエレメント(WSS)の前記第2の端子(WSS2)における前記電圧降下(U12)が設定されたブレークオーバ電圧値(UK)に到達した場合、前記第1の非常時保護回路(20A)は、前記センサエレメント(WSS)のための代替のローサイド路を形成してセンサ電流(Is)を記録し、これにより、少なくとも前記第1の測定回路(MS1)が、検出されたセンサ電流(Is)をさらに評価することが可能であり、
前記第1の非常時保護回路(20A)は、付加的に、前記センサエレメント(WSS)の前記第2の端子(WSS2)における前記電圧降下(U12)を、前記ブレークオーバ電圧値(UK)より低いホールド電圧値(UH)へ低下させる、
センサ装置(1)。
【請求項2】
前記センサエレメント(WSS)の前記第2の端子(WSS2)における前記電圧降下(U12)が外部イベントによって前記ホールド電圧値(UH)よりも低い遮断電圧値(ABS)を下回って低下した場合、前記第1の非常時保護回路(20A)は、代替のローサイド路を自動で再び切り離す、
請求項1に記載のセンサ装置(1)。
【請求項3】
第2の非常時保護回路(20B)が、前記ハイサイド路に対して並列に配置されていて、前記センサエレメント(WSS)の前記第1の端子(WSS1)における電圧降下(U12)を監視し、前記センサエレメント(WSS)の前記第1の端子(WSS1)における前記電圧降下(U12)が設定されたブレークオーバ電圧値(UK)に到達した場合、前記第2の非常時保護回路(20B)は、前記センサエレメント(WSS)のための代替のハイサイド路を形成してセンサ電流(Is)を記録し、これにより、少なくとも前記第2の測定回路(MS2)が、検出されたセンサ電流(Is)をさらに評価することが可能であり、
前記第2の非常時保護回路(20B)は、付加的に、前記センサエレメント(WSS)の前記第1の端子(WSS1)における前記電圧降下(U12)を、前記ブレークオーバ電圧値(UK)より低いホールド電圧値(UH)へ低下させる、
請求項1又は2に記載のセンサ装置(1)。
【請求項4】
前記センサエレメント(WSS)の前記第1の端子(WSS1)における前記電圧降下(U12)が外部イベントによって前記ホールド電圧値(UH)よりも低い遮断電圧値(ABS)を下回って低下した場合、前記第2の非常時保護回路(20B)は、代替のハイサイド路を自動で再び切り離す、
請求項3に記載のセンサ装置(1)。
【請求項5】
各前記非常時保護回路(20A,20B)は、電圧識別部(22)及び電流シンク(24)を含み、前記電圧識別部(22)は、対応する前記非常時保護回路(20A,20B)の端子(A1,A2)間の電流路を形成するために、前記電流シンク(24)を駆動する、
請求項に記載のセンサ装置(1)。
【請求項6】
前記電圧識別部(22)は、対応する前記非常時保護回路(20A,20B)の第1の端子(A1)と第2の端子(A2)との間の電圧降下(U12)を検出し、対応する前記非常時保護回路(20A,20B)の前記第1の端子(A1)と前記第2の端子(A2)との間の、検出された前記電圧降下(U12)が設定されたブレークオーバ電圧値(UK)に到達した場合、対応する前記電流シンク(24)を駆動する、
請求項5に記載のセンサ装置(1)。
【請求項7】
前記電流シンク(24)は、対応する前記非常時保護回路(20A,20B)の前記第1の端子(A1)と前記第2の端子(A2)との間の前記電圧降下(U12)を設定されたホールド電圧値(UH)へ調整し、センサ電流(Is)を記録する、
請求項6に記載のセンサ装置(1)。
【請求項8】
前記電圧識別部(22)は、過電圧保護部(UeV)に接続された状態で、対応する前記非常時保護回路(20A,20B)の前記第1の端子(A1)と前記第2の端子(A2)との間の前記電圧降下(U12)が増加した場合、前記センサ電流(Is)が最小の電流量まで低減されるように又は完全に遮断されるように、対応する前記電流シンク(24)を駆動する、
請求項7に記載のセンサ装置(1)。
【請求項9】
対応する前記非常時保護回路(20A,20B)の前記第1の端子(A1)と前記第2の端子(A2)との間の、検出された前記電圧降下(U12)が設定された遮断電圧値(ABS)を下回る場合、前記電圧識別部(22)は、対応する前記電流シンク(24)の駆動を終了して電流路を再び遮断する、
請求項6乃至8のいずれか一項に記載のセンサ装置(1)。
【請求項10】
前記センサエレメント(WSS)は、回転数及び/又は回転速度及び/又は圧力及び/又は温度を測定量として検出する、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のセンサ装置(1)。
【請求項11】
複数のセンサエレメント(WSS)が設けられており、前記複数のセンサエレメントのそれぞれが1つずつの測定位置に配置されている、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のセンサ装置(1)。
【請求項12】
前記測定位置は、それぞれ1つの車輪に対応づけられており、対応づけられた前記センサエレメント(WSS)は、対応する車輪の少なくとも1つの回転数及び/又は回転速度を検出する、
請求項11に記載のセンサ装置(1)。
【請求項13】
電流センサ(10)が、ハイサイド路のセンサ電流(Is)を検出し、当該センサ電流(Is)の一部(Is/n)を分岐させて、測定電流(IM1)として、前記第1の制御装置(ECU1)の前記第1の測定回路(MS1)に供給し、
前記第2の制御装置(ECU2)の前記第2の測定回路(MS2)は、前記センサ電流(Is)を直接的に第2の測定電流(IM2)として受信して評価する、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のセンサ装置(1)。
【請求項14】
切替装置(30)が、前記センサエレメント(WSS)の前記第1の端子(WSS1)と、前記第1のエネルギ源(VB1)及び前記第2のエネルギ源(VB2)の一方とを接続し、
前記切替装置(30)は、接続された前記第1のエネルギ源(VB1)及び前記第2のエネルギ源(VB2)の前記一方が故障した場合、前記センサエレメント(WSS)の前記第1の端子(WSS1)を自動的に前記第1のエネルギ源(VB1)及び前記第2のエネルギ源(VB2)の他方へ接続する、
請求項1乃至13のいずれか一項に記載のセンサ装置(1)。
【請求項15】
電流センサ(10)が、ハイサイド路のセンサ電流(Is)を検出し、当該センサ電流(Is)の一部(Is/n)を分岐させて、測定電流(IM1)として、前記第1の制御装置(ECU1)の前記第1の測定回路(MS1)に供給し、
前記第2の制御装置(ECU2)の前記第2の測定回路(MS2)は、前記センサ電流(Is)を直接的に第2の測定電流(IM2)として受信して評価し、
切替装置(30)が、前記センサエレメント(WSS)の前記第1の端子(WSS1)と、前記第1のエネルギ源(VB1)及び前記第2のエネルギ源(VB2)の一方とを接続し、
前記切替装置(30)は、接続された前記第1のエネルギ源(VB1)及び前記第2のエネルギ源(VB2)の前記一方が故障した場合、前記センサエレメント(WSS)の前記第1の端子(WSS1)を自動的に前記第1のエネルギ源(VB1)及び前記第2のエネルギ源(VB2)の他方へ接続し、
前記電流センサ(10)及び前記切替装置(30)は、ASICチップとして構成された接続モジュール(40)に統合されている、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のセンサ装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の上位概念による車両用センサ装置を基礎とする。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、車輪ごとに少なくとも1つのセンサエレメントを備えたそれぞれ1つずつの車輪センサを有する車両用センサ装置が公知である。個々の車輪センサは、通常、2線撚りケーブルを介して車両ブレーキシステム用の制御装置に接続されており、例えば、ABS機能、ESP機能、ASR機能及び/又は登坂支援機能(ABS:アンチロックブレーキシステム、ESP:電子安定化プログラム、ASR:アンチスリップ制御)を実行する。通常、少なくとも1つのセンサエレメントの第1の端子が制御装置を介してエネルギ源に接続されており(ハイサイド路)、少なくとも1つのセンサエレメントの第2の端子が制御装置を介してグラウンドに接続されている(ローサイド路)。少なくとも1つのセンサエレメントを通って流れるセンサ電流は、対応する車輪の回転数及び/又は回転速度に関する情報によって変調されており、ここで、制御装置の評価制御ユニットが、少なくとも1つのセンサエレメントとグラウンドとの間において検出されたセンサ電流を評価する。
【0003】
独国特許出願公開第102016222628号明細書から、測定量を検出するセンサを含むセンサ装置が公知であり、当該センサ装置は、測定電圧降下を形成するために測定量を表すセンサのセンサ信号が供給される第1の測定抵抗を含む第1の評価ユニットと、測定電圧降下を形成するために測定量を表すセンサのセンサ信号が供給される第2の測定抵抗を含む第2の評価ユニットと、第1の評価ユニットに接続された第1の電圧源と、第2の評価ユニットに接続された第2の電圧源と、センサに接続されておりかつ評価ユニットの故障時に他方の評価ユニットの測定抵抗における測定電圧降下が形成可能であるように構成された切替手段と、を有する。なお、センサは、電圧側においては、第1の測定抵抗を介して第1の電圧源に接続されており、グラウンド側においては、第2の測定抵抗を介してグラウンドに接続されている。この場合、第1のダイオード‐ツェナーダイオードコンビネーション装置が第1の測定抵抗に対して並列に接続されており、第2のダイオード‐ツェナーダイオードコンビネーション装置が第2の測定抵抗に対して並列に接続されており、第1のダイオード‐ツェナーダイオードコンビネーション装置及び第2のダイオード‐ツェナーダイオードコンビネーション装置は、測定電圧降下よりも大きいそれぞれのブレークスルー電圧によって、評価ユニットの故障時に、対応するダイオード‐ツェナーダイオードコンビネーション装置のブレークスルーが発生するように構成されている。また、センサと第2の電圧源との間に配置される他の第1のダイオード‐ツェナーダイオードコンビネーション装置を設けることもできる。さらに、第2のダイオード‐ツェナーダイオードコンビネーション装置の一方端は第2の評価ユニットのグラウンド端子に接続可能であり、第2のダイオード‐ツェナーダイオードコンビネーション装置の他方端は第1の評価ユニットのグラウンド端子に接続可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第102016222628号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の開示
独立請求項1の特徴を有する車両用センサ装置は、第1の非常時保護回路がローサイド路を監視し、ローサイド路が故障した場合、電流検出なしでの、センサエレメントのための代替のローサイド路を提供するので、少なくとも第1の測定回路が、検出されたセンサ電流をさらに評価することが可能であるという利点を有する。第1の非常時保護回路は、センサエレメントの第2の測定端子における電圧降下が例えば2.0V乃至4.0Vの範囲で設定可能なブレークオーバ電圧値を上回る場合にアクティブとなる。アクティブとなった第1の非常時保護回路は、センサエレメントの第2の測定端子における電圧降下を例えば約0.8V乃至1.5Vのホールド電圧値まで制限し、50mAまでのセンサ電流の引き受けが可能である。従って、本発明の非常時保護回路は、アクティブな状態で、純粋なツェナーダイオード構造とは異なり、負荷電流が同等であれば著しく小さい電圧降下を有する。
【0006】
本発明の実施形態は、測定量を検出するセンサエレメントとそれぞれ1つの測定回路及びエネルギ源を有する少なくとも2つの制御装置とを備えた車両用センサ装置を提供する。センサエレメントの第1の端子は、少なくとも2つの制御装置の第1の制御装置のエネルギ源に接続されており、センサエレメントの第2の端子は、少なくとも2つの制御装置の第2の制御装置の測定回路を介してグラウンド端子に接続されている。ここで、センサエレメントを通って流れるセンサ電流は、検出された測定量に関する情報によって変調されており、第1の制御装置の測定回路は、エネルギ源とセンサエレメントとの間のハイサイド路において検出されたセンサ電流を評価し、同時に、第2の制御装置の第2の測定回路は、センサエレメントとグラウンド端子との間のローサイド路において検出されたセンサ電流を評価する。また、第1の非常時保護回路が、ローサイド路に対して並列に配置されていて、センサエレメントの第2の端子における電圧降下を監視する。当該電圧降下が設定されたブレークオーバ電圧値に到達した場合、第1の非常時保護回路が、センサエレメントのための代替のローサイド路を形成してセンサ電流を記録し、これにより、少なくとも第1の測定回路が、検出されたセンサ電流をさらに評価することが可能である。付加的に、第1の非常時保護回路は、当該電圧降下を、ブレークオーバ電圧値より低いホールド電圧値へ低下させる。
【0007】
こうした車両用センサ装置は、また、各センサエレメントのセンサ信号が、エネルギ源とセンサエレメントとの間(ハイサイド路)のタップを介して第1の制御装置内に、センサエレメントとグラウンドとの間(ローサイド路)のタップを介して第2の制御装置内に供給されて、これにより、2つの評価制御ユニットにより同時に評価可能となるという利点を有する。このために、第1の制御装置の第1の評価制御ユニットの測定回路は、ハイサイド路において検出されたセンサ電流を評価し、同時に、第2の制御装置の第2の評価制御ユニットの第2の測定回路は、ローサイド路において検出されたセンサ電流を評価する。測定位置ごとに、センサ信号が2つの制御装置によって冗長評価される単一の単純なセンサエレメントのみを使用することによって、測定位置ごとに2つのセンサエレメントを使用する場合に比較して、近似に等しい冗長度の評価の確実性において著しいコスト低減が達成される。これは、総ての測定位置のセンサ信号が2つの制御装置により評価され、センサエレメントの故障確率が小さくなるからである。
【0008】
通常、本発明に係るセンサ装置の実施形態は、車両内のそれぞれの測定位置に分散配置された複数のセンサエレメントを含み得る。よって、本発明に係るセンサ装置の実施形態は、好適には、車両ブレーキシステムにおいて使用可能である。こうしたブレーキシステムにおいては、測定位置は、例えば、それぞれ1つの車輪に対応づけることが可能であり、対応するセンサエレメントが対応づけられた車輪の少なくとも1つの回転数及び/又は回転速度を検出することができる。もちろん、センサエレメントは、車両内の他の測定位置に配置することもできる。また、センサエレメントは、他の測定量、例えば、温度、圧力などを検出することもできる。
【0009】
評価制御ユニットとは、本明細書においては、検出されたセンサ信号を処理又は評価する電気回路であると理解することができる。評価制御ユニットは、ハードウェア及び/又はソフトウェアによって構成可能な少なくとも1つのインタフェースを有することができる。ハードウェア構成においては、インタフェースは、例えば、いわゆるシステムASICのうち、評価制御ユニットの種々の機能を含む部分であるものとしてよい。また、インタフェースが固有の集積回路であるものとしてもよく、又は、少なくとも部分的に個別の構成要素から成るものとしてもよい。ソフトウェア構成においては、インタフェースは、例えば、他のソフトウェアモジュールと並んでマイクロコントローラ上に設けられたソフトウェアモジュールであるものとしてよい。また、機械可読担体上、例えば、半導体メモリ上、ハードディスクメモリ上又は光学メモリ上に記憶されており、かつ、評価制御ユニットによってプログラムが実行される際に評価の実施のために使用されるプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品も有利である。
【0010】
制御装置とは、本明細書においては、液圧式ブレーキシステムに接続されて、種々のブレーキ機能、例えば、ABS機能、ESP機能、ASR機能及び/又は登坂支援機能(ABS:アンチロックブレーキシステム、ESP:電子安定化プログラム、ASR:アンチスリップ制御)を実行可能な、例えばブレーキ制御装置のような電気機器であると理解することができる。この場合、2つの制御装置は、非常時動作において異なるブレーキ機能を実行することができる。一方の制御装置が故障した場合、他方の制御装置が故障した制御装置のブレーキ機能を引き受けるように構成可能である。
【0011】
センサ装置とは、本明細書においては、対応づけられた車輪の領域において物理量又は物理量の変化を直接的に又は間接的に検出し、好適には電気センサ信号へ変換する電気構成要素であると理解される。このことは、例えば、音波及び/又は電磁波の送受信によって、及び/又は、磁場又は磁場の変化によって、行うことができる。例えば、受信された波の強度、波長、周波数、角度などを検出するフォトプレート及び/又は蛍光面及び/又は半導体を有する、光学センサエレメント、例えば赤外センサエレメントも可能である。同様に、音響センサエレメント、例えば超音波センサエレメント及び/又は高周波センサエレメント及び/又はレーダセンサエレメント及び/又は磁場に感応するセンサエレメント、例えば、ホールセンサ素子及び/又はMRセンサ素子及び/又は磁場の変化を例えば磁気誘導により発生する電圧によって記録する誘導センサ素子も考えられる。
【0012】
各従属請求項に記載した措置及び発展形態により、独立請求項1に記載した車両用センサ装置の有利な改善が可能となる。
【0013】
特に有利には、電圧降下が外部イベントによってホールド電圧値よりも低い遮断電圧値を下回って低下した場合、第1の非常時保護回路が代替のローサイド路を自動で再び切り離すことができる。電圧降下の低下は、例えば、本来のローサイド路が再アクティブ化されて再び利用可能となったことによって発生し得る。
【0014】
センサ装置の有利な構成においては、第1の非常時保護回路の作用方式に対応する作用方式を有する第2の非常時保護回路が、ハイサイド路に対して並列に配置され、センサエレメントの第1の端子における電圧降下を監視することができる。ここで、電圧降下が設定されたブレークオーバ電圧値に到達した場合、第2の非常時保護回路が、センサエレメントのための代替のハイサイド路を形成してセンサ電流を記録することができ、これにより、少なくとも第2の測定回路が、検出されたセンサ電流をさらに評価することが可能である。付加的に、第2の非常時保護回路は、電圧降下を、ブレークオーバ電圧値より低いホールド電圧値へ低下させる。さらに、電圧降下が外部イベントによってホールド電圧値よりも低い遮断電圧値を下回って低下した場合、第2の非常時保護回路は、代替のハイサイド路を自動で再び切り離すことができる。遮断電圧値は、例えば0.4V乃至0.7Vの範囲に設定可能である。
【0015】
センサ装置の他の有利な構成においては、各非常時保護回路は、電圧識別部及び電流シンクを含み得る。ここで、電圧識別部は、対応する非常時保護回路の端子間の電流路を形成するために、電流シンクを駆動する。さらに、電圧識別部は、対応する非常時保護回路の第1の端子と第2の端子との間の電圧降下を検出し、検出された電圧降下が設定されたブレークオーバ電圧値に到達した場合、電流シンクを駆動することができる。さらに、電流シンクは、トランジスタを介した電圧降下を設定されたホールド電圧値へ調整し、センサ電流を記録することができる。
【0016】
センサ装置の他の有利な構成においては、電圧識別部は、過電圧保護部に接続された状態で、電圧降下が増加した場合、センサ電流が最小の電流量まで低減可能となるように又は完全に遮断可能となるように、電流シンクを駆動することができる。これにより、電流シンクは、有利には、電流シンク及び対応する非常時保護回路の損傷を招くことのある過度に大きい電流量又は過度に高い全損失電力に対して保護される。
【0017】
センサ装置の他の有利な構成においては、検出された電圧降下が設定された遮断電圧値を下回る場合、電圧識別部が、電流シンクの駆動を終了して電流路を再び遮断することができる。
【0018】
センサ装置の他の有利な構成においては、電流センサがハイサイド路のセンサ電流を検出し、当該センサ電流の一部を分岐させて、第1の測定電流として、第1の制御装置の第1の測定回路に供給することができる。ここで、第2の制御装置の第2の測定回路は、センサ電流を直接的に第2の測定電流として受信して評価することが可能である。電流センサは、例えば、電流路内にループとして接続可能であり、センサ電流の一部を分岐させ、残余のセンサ電流をセンサエレメントへ転送させることができる。これにより、対応するセンサエレメントの第1の端子へ流れるセンサ電流が測定され、等価であるが著しく小さいセンサ電流の部分が第1の測定回路へ転送される。これにより、第1の制御装置内の損失電力を低減することができる。
【0019】
センサ装置の他の有利な構成においては、切替装置が、センサエレメントの第1の端子と、第1のエネルギ源及び/又は第2のエネルギ源とを接続することができ、当該切替装置は、接続されたエネルギ源が故障した場合、センサエレメントの第1の端子を自動的に他方のエネルギ源へ接続することができる。さらに、電流センサ及び切替装置は、ASICチップとして構成可能な接続モジュールに統合可能である。
【0020】
本発明の各実施例を図示し、以下の説明において詳細に説明する。図中において、同一の機能又は類似の機能を実行する要素又はエレメントは、同一の参照番号により示されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る車両用センサ装置の第1の実施例を示す概略的なブロック図である。
図2】本発明に係る車両用センサ装置の第2の実施例を示す概略的なブロック図である。
図3】本発明に係る車両用センサ装置の第3の実施例を示す概略的なブロック図である。
図4】本発明に係る車両用センサ装置の第4の実施例を示す概略的なブロック図である。
図5図1乃至図4の本発明に係る車両用センサ装置における非常時保護回路の一実施例を示す概略的なブロック図である。
図6図5の非常時保護回路を示す回路図である。
図7図5及び図6の非常時保護回路の電流‐電圧特性を示す概略的なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の実施形態
図1乃至図6から見て取れるように、図示の各実施例においては、本発明に係る車両用センサ装置1,1A,1B,1C,1Dがそれぞれ、測定量を検出するセンサエレメントWSSと、それぞれ1つの測定回路MS1,MS2及びエネルギ源VB1,VB2を有する少なくとも2つの制御装置ECU1,ECU1A,ECU1B,ECU1C,ECU1D,ECU2,ECU2A,ECU2B,ECU2C,ECU2Dとを含む。ここで、センサエレメントWSSの第1の端子WSS1は、少なくとも2つの制御装置ECU1,ECU1A,ECU1B,ECU1C,ECU1D,ECU2,ECU2A,ECU2B,ECU2C,ECU2Dの第1の制御装置ECU1,ECU1A,ECU1B,ECU1C,ECU1Dのエネルギ源VB1に接続されており、センサエレメントWSSの第2の端子WSS2は、少なくとも2つの制御装置ECU1,ECU1A,ECU1B,ECU1C,ECU1D,ECU2,ECU2A,ECU2B,ECU2C,ECU2Dの第2の制御装置ECU2,ECU2A,ECU2B,ECU2C,ECU2Dの測定回路MS2を介して、グラウンド端子GNDに接続されている。センサエレメントWSSを通って流れるセンサ電流Isは、検出された測定量に関する情報によって変調されており、ここで、第1の制御装置ECU1,ECU1A,ECU1B,ECU1C,ECU1Dの第1の測定回路MS1がエネルギ源VB1とセンサエレメントWSSとの間のハイサイド路において検出されたセンサ電流Isを評価し、同時に、第2の制御装置ECU2,ECU2A,ECU2B,ECU2C,ECU2Dの第2の測定回路MS2がセンサエレメントWSSとグラウンド端子GNDとの間のローサイド路において検出されたセンサ電流Isを評価する。さらに、第1の非常時保護回路20Aがローサイド路に対して並列に配置されていて、センサエレメントWSSの第2の端子WSS2における電圧降下U12を監視する。第1の非常時保護回路20Aは、電圧降下U12が図7に示されている設定されたブレークオーバ電圧値UKに到達した場合、センサエレメントWSSのための代替のローサイド路を形成してセンサ電流Isを記録し、これにより、少なくとも第1の測定回路MS1が、検出されたセンサ電流Isをさらに評価することが可能である。付加的に、第1の非常時保護回路20Aは、電圧降下U12を、ブレークオーバ電圧値UKよりも低い図7に示されているホールド電圧値UHまで低下させる。
【0023】
図1乃至図4からさらに見て取れるように、2つの制御装置ECU1,ECU1A,ECU1B,ECU1C,ECU1D,ECU2,ECU2A,ECU2B,ECU2C,ECU2Dは、図示の各実施例においては、それぞれ1つのASICとして構成された評価制御ユニット3A,3Bを含み、当該評価制御ユニット3A,3B内に、各測定回路MS1,MS2及びエネルギ源VB1,VB2が統合されている。ここで、第1の制御装置ECU1,ECU1A,ECU1B,ECU1C,ECU1D内においては、それぞれ第1の評価制御ユニット3Aが、第1のエネルギ源VB1に接続されている。第2の制御装置ECU2,ECU2A,ECU2B,ECU2C,ECU2D内においては、それぞれ第2の評価制御ユニット3Bが、第2のエネルギ源VB2に接続されている。
【0024】
通常、本発明に係る車両用センサ装置1,1A,1B,1C,1Dの各実施形態には、こうしたセンサエレメントWSSをそれぞれ1つずつ備えた複数の測定位置が含まれる。見取りやすくするために、図1図2図3図4においては、複数のセンサエレメントWSSのうちそれぞれ1つしか示していない。よって、本発明に係るセンサ装置1,1A,1B,1C,1Dの各実施形態は、好適には、車両ブレーキシステムにおいて使用される。こうしたブレーキシステムにおいては、測定位置は、例えば、それぞれ1つの車輪に対応づけることが可能であり、センサエレメントWSSは、対応する車輪の少なくとも1つの回転数及び/又は回転速度を検出することができる。従って、4つの車輪を備えた通常の乗用車においては、センサ装置1,1A,1B,1C,1Dは、こうした4つのセンサエレメントWSSを有する。もちろん、こうした測定位置において他の測定量、例えば、温度、圧力などを検出することもできる。
【0025】
第1の非常時保護回路20Aは、電圧降下U12が外部イベントによってホールド電圧値UHよりも低い遮断電圧値ABSを下回って低下した場合に、代替のローサイド路を図示の実施例においては、自動的に再び切り離す。第1の非常時保護回路20Aの動作方式については、以下に図5乃至図7を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1及び図2からさらに見て取れるように、図示の各実施例においては、本発明に係るセンサ装置1に、任意手段として、点線により示されたそれぞれ1つの第2の非常時保護回路20Bが設けられており、当該第2の非常時保護回路20Bは、ハイサイド路に対して並列に配置されていて、センサエレメントWSSの第1の端子WSS1における電圧降下U12を監視する。第2の非常時保護回路20Bは、センサエレメントWSSのための代替のハイサイド路を形成してセンサ電流Isを記録し、これにより、電圧降下U12が設定されたブレークオーバ電圧値UKに到達した場合、少なくとも第2の測定回路MS2が、検出されたセンサ電流Isをさらに評価することが可能であり、ここで、第2の非常時保護回路20Bは、付加的に、当該電圧降下U12を、ブレークオーバ電圧値UKよりも低いホールド電圧値UHまで低下させる。第2の非常時保護回路20Bは、電圧降下U12が外部イベントによってホールド電圧値UHよりも低い遮断電圧値ABSを下回って低下した場合、代替のハイサイド路を自動で再び切り離す。
【0027】
2つの非常時保護回路の構造及び動作方式は同一であり、以下に図5乃至図7を参照して共通かつ詳細に説明する。
【0028】
図5及び図6からさらに見て取れるように、非常時保護回路20A,20Bは、それぞれ1つの電圧識別部22及び電流シンク24を含む。ここで、電圧識別部22は、対応する非常時保護回路20A,20Bの端子A1,A2間に電流路を形成するために、電流シンク24を駆動する。電圧識別部22は、対応する非常時保護回路20A,20Bの第1の端子A1と第2の端子A2との間の電圧降下U12を検出し、検出された電圧降下U12が図7に示されている設定されたブレークオーバ電圧値UKに到達した場合に電流シンク24を駆動する。電流シンク24は、電圧降下U12を設定されたホールド電圧値UHまで調整し、センサ電流Isを記録する。ここでの特性曲線は、破線によって図7に示されている。電圧識別部22は、過電圧保護部UeVに接続された状態で、電圧降下U12が増加した場合に、センサ電流Isが最小の電流量まで低減されるように又は完全に遮断されるように、電流シンク24を駆動する。当該保護特性SVは、図7に点線により示されている。電圧識別部22は、検出された電圧降下U12が設定された遮断電圧値ABSを下回ると電流シンク24の駆動を終了し、電流路を再び遮断する。当該遮断特性は、図7に破線により示されている。
【0029】
図6からさらに見て取れるように、電圧識別部22は、図示の実施例においては、複数のオーム抵抗R1,R2,R3,R4,R5と、バイポーラトランジスタとして構成された2つのトランジスタT1,T2と、相応の線路を介して図示のように相互に接続されたツェナーダイオードZD1とを含み、ここで、第1のトランジスタT1は、PNPトランジスタとして構成されており、第2のトランジスタT2は、NPNトランジスタとして構成されている。電流シンク24は、図示の実施例においては、2つのオーム抵抗R6,R7と、相応の線路を介して図示のように相互に接続された、バイポーラトランジスタとして構成された2つのトランジスタT3,T4とを含み、ここで、2つのトランジスタT3,T4は、NPNトランジスタとして構成されている。過電圧保護部UeVは、図示の実施例においては、オーム抵抗R8を含む。
【0030】
図6からさらに見て取れるように、抵抗R1,R2,R6は、トランジスタT1,T2,T3のベースを阻止状態に保持してリーク電流を導出させる、当該トランジスタT1,T2,T3のベースに対する導出抵抗である。第2の抵抗R2を通って流れるよりも大きい電流がツェナーダイオードZD1を通って流れる場合、第2のトランジスタT2がターンオンされ、これにより、第1のトランジスタT1もターンオンされる。このことは、図示の実施例においては、発生した電圧降下U12が約3Vのブレークオーバ電圧値UKを上回るケースである。当該ブレークオーバ電圧値は、ツェナーダイオードZD1のブレークスルー電圧(約2.3V)と第2のトランジスタT2のベース‐エミッタ電圧(約0.7V)との和に相当する。第1のトランジスタT1は、第4の抵抗R4を介して第2のトランジスタT2のベースへ電流を送出し、これにより、当該第2のトランジスタT2は、引き続き導通状態に切り替えられたまま保持される。第2のトランジスタT2及び第1のトランジスタT1は、サイリスタ構造を形成し、ツェナーダイオードZD1をブリッジするので、これにより、電圧降下U12は、約0.9Vのホールド電圧値UHへ調整される。第5の抵抗R5及び制御線路STを介して、電流シンク24の第4のトランジスタT4が駆動され、ここで、第4のトランジスタT4を通って流れるセンサ電流Isは、図示の実施例においては、約40mAへ制限される。制御線路STの駆動電流がきわめて高い場合、電流シンク24の第3のトランジスタT3が、第4のトランジスタT4を保護するために、この第4のトランジスタT4のための駆動電流の一部を引き受ける。
【0031】
図7に点線により示されている保護特性SVのような、例えば、短絡によって給電電圧VB1,VB2の一方へ向かって発生し得る過電圧のケースは、電流シンク24が、その最大負荷電流よりも大きい電流を発生させる場合、約0.9Vの電圧降下U12の低いホールド電圧値UHをもはや保持することができない。従って、過電圧保護部UeVの第8の抵抗R8を介した電流は増加する。これにより、第3のトランジスタT3が強くターンオンされ、第4のトランジスタT4の駆動が低減されることになる。これによって、第4のトランジスタT4のベースへ流れる電流が低減され、第4のトランジスタT4は、以後閉鎖し、損傷に対して保護される(過負荷保護)。短絡の場合には、第4のトランジスタT4は、阻止状態に移行可能である。
【0032】
外部イベント、例えば、第2の制御装置ECU2内の本来のローサイド路の再ターンオンによって、電圧U12が約0.6Vの遮断電圧値ABSまで低減された場合、トランジスタT1,T2から成るサイリスタ構造が再び遮断される。当該遮断特性は、図7に破線により示されている。
【0033】
図1乃至図4からさらに見て取れるように、図示の各実施例の車両用センサ装置1,1A,1B,1C,1Dは、ハイサイド路のセンサ電流Isを検出し、このセンサ電流Isの一部Is/nを分岐させて第1の測定電流IM1として第1の制御装置ECU1,ECU1A,ECU1B,ECU1C,ECU1Dの第1の測定回路MS1に供給する、それぞれ1つの電流センサ10を含む。また、電流センサ10は、センサ電流Isを、対応するセンサエレメントWSSの第1の端子WSS1に導通する。ここで、図示の各実施例の第2の制御装置ECU2,ECU2A,ECU2B,ECU2C,ECU2Dの第2の測定回路MS2は、センサ電流Isを直接的に第2の測定電流IM2として受信し、これを評価する。電流センサ10により、センサエレメントWSSの第1の端子WSS1へ流れるセンサ電流Isが測定され、等価であるが著しく小さい電流Is/nが第1の評価制御ユニット3Aへ供給されて、これにより、第1の制御装置ECU1,ECU1A,ECU1B,ECU1C,ECU1Dにおける損失電力が低減される。第1の測定電流IM1が評価される際に、第1の評価制御ユニット3Aは、第2の測定電流につき行われた低減を考慮する。このために、第1の測定回路MS1の入力部配線又は評価アルゴリズムの相応の調整を行うことができる。
【0034】
図1からさらに見て取れるように、第1の非常時保護回路20A及び最適化された第2の非常時保護回路20Bは、図示の第1の実施例の車両用センサ装置1Aにおいては、それぞれ別個のモジュール群として構成されており、2つの制御装置ECU1A,ECU2Aの1つとしては統合されていない。なお、ハイサイド路のセンサ電流Isを検出し、センサ電流Isの一部Is/nを分岐させる電流センサ10は、図示の第1の実施例においては、第1の制御装置ECU1A内に統合されている。
【0035】
図2からさらに見て取れるように、第1の非常時保護回路20Aは、図示の第2の実施例の車両用センサ装置1Bにおいては、第1の制御装置ECU1A内に統合されている。最適化された第2の非常時保護回路20Bは、車両用センサ装置1Bの図示の第2の実施例においては、第2の制御装置ECU2B内に統合されている。電流センサ10は、第1の実施例と同様に、第1の制御装置ECU1B内に統合されている。
【0036】
図3及び図4からさらに見て取れるように、図示の実施例の車両用センサ装置1C,1Dは、センサエレメントWSSの第1の端子WSS1と、第1の制御装置ECU1C,ECU1Dの第1のエネルギ源VB1及び/又は第2の制御装置ECU2C,ECU2Dの第2のエネルギ源VB2とを接続する、それぞれ1つの切替装置30を含む。切替装置30は、接続されたエネルギ源VB1,VB2が故障した場合、センサエレメントWSSの第1の端子WSS1を自動的に他方のエネルギ源VB2,VB1へ接続する。好適には、切替装置30は、センサエレメントWSSの第1の端子WSS1と、第1の制御装置ECU1C,ECU1Dの第1のエネルギ源VB1とを接続する。第1のエネルギ源VB1が故障した場合、切替装置30は、センサエレメントWSSの第1の端子WSS1を第2の制御装置ECU2C,ECU2Dの第2のエネルギ源VB2へ接続する。
【0037】
図3及び図4からさらに見て取れるように、図示の各実施例の電流センサ10及び切替装置30は、例えば、ASICチップとして構成可能な接続モジュール40内に統合されている。
【0038】
図3からさらに見て取れるように、車両用センサ装置1Cの図示の第3の実施例の第1の非常時保護回路20Aは、別個の構成要素として構成されており、2つの制御装置ECU1C,ECU2Cの一方には統合されていない。接続モジュール40も同様に、別個の構成要素として構成されており、制御装置ECU1C,ECU2Cの一方には統合されていない。ただし、図示していない代替的な実施例においては、第1の非常時保護回路20Aを、センサ装置1Bの第2の実施例と同様に、第1の制御装置ECU1C内に統合することができる。
【0039】
図4からさらに見て取れるように、車両用センサ装置1Dの図示の第4の実施例の第1の非常時保護回路20Aは、第1の制御装置ECU1D内に統合されている。接続モジュール40も同様に、第1の制御装置ECU1D内に統合されている。ただし、図示していない代替的な実施例においては、第1の非常時保護回路20Aを、センサ装置1Bの第1の実施例及び第3の実施例と同様に、別個の構成要素として構成し、第1の制御装置ECU1C内に統合しないものとしてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7