(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】モノリシックセラミック体及びアセンブリ
(51)【国際特許分類】
C04B 38/00 20060101AFI20231027BHJP
B01D 39/20 20060101ALI20231027BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20231027BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20231027BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20231027BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20231027BHJP
B01J 35/04 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
C04B38/00 303Z
B01D39/20 D
B33Y10/00
B33Y70/00
B33Y80/00
B01J37/08
B01J35/04 331B
B01J35/04 331Z
(21)【出願番号】P 2021564627
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(86)【国際出願番号】 US2020030531
(87)【国際公開番号】W WO2020223390
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-11-11
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593150863
【氏名又は名称】サン-ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】SAINT-GOBAIN CERAMICS AND PLASTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】One New Bond Street, Worcester, MA 01615, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンプデン - スミス、マーク
(72)【発明者】
【氏名】ミッリ、フランチェスカ
(72)【発明者】
【氏名】マッガーン、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ランテ、ボジャナ
(72)【発明者】
【氏名】シマディリス、エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】センダー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】レーリグ、ポール ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】グエン、ヴァン ヌオイ、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ダハ―ル、スティーブン リー
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-527482(JP,A)
【文献】特開平11-190593(JP,A)
【文献】特開昭62-114658(JP,A)
【文献】特開2009-256187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 38/00
B01D 39/20
B33Y 10/00
B33Y 70/00
B33Y 80/00
B01J 37/08
B01J 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノリシックセラミック体であって、
前記モノリシックセラミック体の一部を通って延びる細孔の相互接続されたネットワークを画定する複数の細孔を含む第1の部分と、
前記第1の部分と一体的に形成され、前記モノリシックセラミック体の外周面の少なくとも一部を画定する第2の部分とを含み、前記第2の部分が、少なくとも1つの相補的係合構造を含み、前記第2の部分の平均孔径が前記第1の部分の平均孔径よりも小さく、前記第2の部分の多孔度が50体積%未満である、
モノリシックセラミック体。
【請求項2】
少なくとも1つの第1のモノリシックセラミック体と少なくとも1つの第2のモノリシックセラミック体を含む、多孔質セラミックアセンブリであって、
前記少なくとも1つの第1のモノリシックセラミック体は、第1の部分と第2の部分を含み、
前記第1の部分は、前記第1のモノリシックセラミック体の一部を通って延びる細孔の相互接続されたネットワークを画定する複数の細孔を含み、
前記第2の部分は、前記第1の部分と一体的に形成され、前記第1のモノリシックセラミック体の外周面の少なくとも一部を画定し、前記第2の部分が、少なくとも1つの第1の相補的係合構造を含み、前記第2の部分の平均孔径が前記第1の部分の平均孔径よりも小さく、前記第2の部分の多孔度が50体積%未満であり、
前記少なくとも1つの第2のモノリシックセラミック体は、少なくとも1つの第2の相補的係合構造を含み、
前記少なくとも1つの第1のモノリシックセラミック体及び前記少なくとも1つの第2のモノリシックセラミック体は、前記少なくとも1つの第1の相補的係合構造及び前記少なくとも1つの第2の相補的係合構造を介して互いに結合される、
多孔質セラミックアセンブリ。
【請求項3】
前記第2のモノリシックセラミック体が、前記第1のモノリシックセラミック体の第1の部分の前記複数の細孔と同じ構造を有する相互接続されたネットワークを画定する複数の細孔を含む第1の部分を含む、請求項2に記載の多孔質セラミックアセンブリ。
【請求項4】
前記第1の部分の前記複数の細孔が、少なくとも30ミクロンの平均孔径を有し、前記第1の部分の総多孔度が、少なくとも50体積%である、請求項1、2、及び3のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【請求項5】
前記第1の部分の前記複数の細孔が、少なくとも500ミクロンの平均孔径を有する、請求項4に記載のモノリシックセラミック体。
【請求項6】
相互接続されたネットワークを画定する前記第1の部分の前記複数の細孔が、前記第1の部分の総多孔度の少なくとも80%を含む、請求項1、2、及び3のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【請求項7】
前記第1の部分の前記複数の細孔が、前記第1の部分の第1の外面から前記第1の部分の第2の外面までの前記平均孔径のサイズ勾配を含み、前記サイズ勾配が、前記第1の外面から前記第2の外面までの前記平均孔径を少なくとも20%減少させる、請求項1、2、及び3のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【請求項8】
前記
モノリシックセラミック
体が、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1、2、及び3のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【請求項9】
前記
モノリシックセラミック体が、フィルタ、触媒担体、絶縁材料、電極材料、反応器のガードベッド、電池の足場、燃料電池の材料、又はバイオ足場である、請求項1、2、及び3のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【請求項10】
前記少なくとも1つの相補的係合構造が、少なくとも1つの第1の相補的係合構造及び少なくとも1つの第2の相補的係合構造を含む、請求項1に記載のモノリシックセラミック体。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第1の相補的係合構造が凹部を含み、前記少なくとも1つの第2の相補的係合構造が凸部を含む、請求項2又は10に記載のモノリシックセラミック体。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第1の相補的係合構造の形状が、非多角形であり、前記少なくとも1つの第2の相補的係合構造の形状が、前記少なくとも1つの第1の相補的係合構造の形状と相補的である、請求項2又は10に記載のモノリシックセラミック体。
【請求項13】
前記モノリシックセラミック体が、矩形構造を含み、2つの側面の各々が、前記
モノリシックセラミック体の厚さ全体にわたって1つの相補的係合構造を含む、請求項1に記載のモノリシックセラミック体。
【請求項14】
モノリシックセラミック体を調製するプロセスであって、
付加製造プロセスによってモノリシックのグリーン体を形成することであって、前記グリーン体がセラミック粒子及びバインダを含むことと、
前記グリーン体のバインダを熱処理により除去することと、
前記グリーン体を少なくとも700℃の温度で焼結して前記
モノリシックセラミック体を得ることと、を含み、
前記
モノリシックセラミック体が、細孔の相互接続されたネットワークを画定する複数の細孔を含む第1の部分と、前記第1の部分と一体的に形成され、前記モノリシックセラミック体の外周面の少なくとも一部を画定する第2の部分とを含み、前記第2の部分が、少なくとも1つの相補的係合構造を含み、前記第2の部分の平均孔径が前記第1の部分の平均孔径よりも小さく、前記第2の部分の多孔度が50体積%未満である、
プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、相互接続されたネットワーク(interconnected network)を画定する複数の細孔を含むモノリシックセラミック体(monolithic ceramic body)と、相補的係合構造(complementary engagement structure)によって互いに結合されたモノリシックセラミック体のうちの少なくとも2つを含むアセンブリ(assembly)とに関する。
【背景技術】
【0002】
相互接続された細孔の画定された多孔質構造を含む複雑な三次元セラミック体の製造は、広範囲の分野、例えば、濾過、絶縁、又は触媒担体を含む用途に用途を見出すことができる。細孔構造を任意の特定の必要性及び用途に適したものにすることができるように、制御された多孔質構造を有するセラミック体を調製する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、モノリシックセラミック体は、モノリシックセラミック体の一部を通って延びる細孔の相互接続されたネットワークを画定する複数の細孔を含む第1の部分と、第1の部分と一体的に形成され、モノリシックセラミック体の外周面の少なくとも一部を画定する第2の部分とを含むことができ、第2の部分は、少なくとも1つの相補的係合構造を含む。
【0004】
別の実施形態では、モノリシックセラミック体は、モノリシックセラミック体の一部を通って延びる細孔の相互接続されたネットワークを画定する複数の細孔を含む第1の部分と、第1の部分と一体的に形成され、モノリシックセラミック体の外周面の少なくとも一部を画定する第2の部分とを含むことができ、モノリシックセラミック体は、体の長さ及び幅によって画定される平面で見たときに非多角形の二次元形状を含むことができる。
【0005】
更なる実施形態では、モノリシックセラミック体は、セラミック体を通って延びる細孔の相互接続されたネットワークを画定する複数の細孔を画定するセラミックマトリックス構造を含む第1の部分と、第1の部分と一体的に形成され、第1の部分を通って延び、セラミックマトリックスの対応する寸法よりも大きい長さ、幅、又は厚さの少なくとも1つの寸法を有する第2の補強部分とを含む。
【0006】
一実施形態では、多孔質セラミックアセンブリ(porous ceramic assembly)は、モノリシックセラミック体の一部を通って延びる細孔の相互接続されたネットワークを画定する複数の細孔を含む第1の部分、及び第1の部分と一体的に形成され、モノリシックセラミック体の外周面の少なくとも一部を画定する第2の部分を含む少なくとも1つの第1のモノリシックセラミック体であって、第2の部分が、第1の相補的係合構造を含む、第1のモノリシックセラミック体と、第2の相補的係合構造を含む少なくとも1つの第2のモノリシックセラミック体とを含むことができ、第1のモノリシックセラミック体及び第2のモノリシックセラミック体は、第1の相補的係合構造及び第2の相補的係合構造を介して互いに結合される。
【0007】
また更なる実施形態では、モノリシックセラミック体を調製するプロセスは、付加製造プロセスによってモノリシック成形体を形成することであって、成形体がセラミック粒子及びバインダを含むこと、成形体のバインダを熱処理により除去すること、成形体を少なくとも700℃の温度で焼結してセラミック体を得ることを含むことができ、セラミック体は、細孔の相互接続されたネットワークを画定する複数の細孔を含む第1の部分と、第1の部分と一体的に形成され、モノリシックセラミック体の外周面の少なくとも一部を画定する第2の部分とを含み、第2の部分は、少なくとも1つの相補的係合構造を含む。
【0008】
本開示は、添付の図面を参照することによって、よりよく理解することができ、その多くの特徴及び利点が当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態によるモノリシックセラミック体の斜視図を示す。
【
図2】一実施形態によるモノリシックセラミック体の斜視図を示す。
【
図3】一実施形態によるモノリシックセラミック体の斜視図を示す。
【
図4】一実施形態によるモノリシックセラミック体の斜視図を示す。
【
図5】一実施形態によるモノリシックセラミック体の斜視図を示す。
【
図6】一実施形態によるモノリシックセラミック体の斜視図を示す。
【
図7】一実施形態によるモノリシックセラミック体の斜視図を示す。
【
図8】一実施形態によるモノリシックセラミック体の斜視図を示す。
【
図9A】一実施形態による多孔質セラミックアセンブリを形成するための相補的係合構造を含む2つのモノリシックセラミック体の上面図を示す。
【
図9B】一実施形態による互いに結合された第1のモノリシックセラミック体及び第2のモノリシックセラミック体を含む多孔質セラミックアセンブリの斜視図を示す。
【
図10A】例1で得られたモノリシックセラミック体(左)及び一実施形態による対応する成形体(右)の斜視側面画像を示す。
【
図10B】例1で得られたモノリシックセラミック体(左)及び一実施形態による対応する成形体(右)の上面画像を示す。
【
図11A】一実施形態によるモノリシックセラミック体の上面図画像を示す。
【
図11B】一実施形態による
図11Aに示すモノリシックセラミック体の斜視側面図画像を示す。
【
図12A】一実施形態によるモノリシックセラミック体の上面図画像を示す。
【
図12B】一実施形態による
図12Aに示すモノリシックセラミック体の斜視側面図画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、又はそれらの任意の他の変形は、非排他的包含を網羅することを意図している。例えば、特徴のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されず、明示的に列挙されていない、又はそのようなプロセス、方法、物品、又は装置に固有の他の特徴を含むことができる。
【0011】
本明細書で使用される場合、反対のことが明示的に述べられていない限り、「又は(or)」は、排他的論理和ではなく包括的論理和を指す。例えば、条件A又はBは、以下の、Aが真(又は存在する)であり、Bが偽(又は存在しない)、Aが偽(又は存在しない)であり、Bが真(又は存在する)、及びAとBの両方が真(又は存在する)のいずれか1つによって満たされる。
【0012】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載の要素及び構成要素を説明するために使用される。これは、単に便宜上、及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われる。この説明は、1つ又は少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、そうでないことを意味することが明らかでない限り、単数形は複数形も含む。
【0013】
本開示の様々な実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例として説明する。
【0014】
一実施形態では、本開示は、第1の部分として細孔の相互接続されたネットワークを画定する複数の細孔を含むモノリシックセラミック体に関する。モノリシックセラミック体は、第1の部分と一体的に形成された第2の部分を更に含み、第2の部分は、少なくとも1つの相補的係合構造を含むことができる。該係合構造は、モノリシックセラミック体のうちの少なくとも2つを互いに結合すること、又はモノリシックセラミック体をより大きな構造に固定することを可能にすることができる。本開示のモノリシックセラミック体は、相互接続された開孔構造が必要とされるか又は有利である多種多様な用途に適し得る。非限定的な例は、フィルタ、触媒の担体構造、絶縁材料、電極材料、電池の足場(scaffold for battery)、又はバイオ足場(bio-scaffold)であり得る。
【0015】
図1は、モノリシックセラミック体の一実施形態を示し、第1の部分は、相互接続されたネットワーク(11)を形成する複数の細孔を含み、第2の部分(12)は、第1の部分の一方の側面に配置され、第2の部分は、非多角形の窪み(non-polygonal indent)の形態の相補的係合構造(13)を含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、相補的係合構造という用語は、凸部(雄構造ユニット)又は窪み(雌構造ユニット)のいずれかであることを意味し、凸部及び窪みは、互いに一致する構造を有し、例えば、2つのモノリシックセラミック体を互いに結合することができ、又はモノリシックセラミック体を保持構造に取り付けることができる。一態様では、凸部は第1の相補的係合構造とすることができ、窪みは第2の相補的係合構造とすることができる。特定の態様では、凸部及び窪みは、ジグソーパズルの相互接続ユニット(タブ及びブランクと呼ばれることが多い)と同様の非多角形構造を有することができる。
【0017】
図2は、
図1と同様の構造を示し、第2の部分(22)は、複数の相互接続された細孔(21)を含む第1の部分の一方の側面に配置され、第2の部分(22)は、凸部の非多角形形状を有する相補的係合構造(23)を含む。
【0018】
図3は、第1の部分の多孔質構造(31)が対向する側面に第2の部分(32)を含み、一方の第2の部分が相補的係合構造(33a)として凸部を含み、他方の第2の部分が相補的係合構造(33b)として窪みを含む実施形態を示す。
【0019】
図4では、第1の部分(41)の多孔質構造が第2の部分(42)によって完全に取り囲まれ、各側面が1つの相補的係合構造(43a、43b)を含む実施形態が示されている。
【0020】
図5は、モノリシックセラミック体の一実施形態を示し、第1の部分は、複数の相互接続された細孔(51)を含み、第2の部分は、各側面(53a及び53b)に1つずつある相補的係合構造である。
【0021】
別の実施形態では、本開示のモノリシックセラミック体は、複数の細孔を含む第1の部分内に一体的に形成された補強部分を含むことができる。そのような実施形態の一例を
図7に示す。この実施形態では、複数の細孔(71)は、二つの斜めに交差する壁構造(73)によって安定化される。
【0022】
図8は、モノリシックセラミック体の一実施形態を示し、複数の細孔(81)の第1の部分は、内側細孔構造を取り囲むフレーム(82)の形態の第2の部分に一体的に接続され、それによって、例えば濾過プロセス中の側壁漏れを防止することができる。
【0023】
図6は、制御された多孔度及び相互接続された細孔構造を有する複雑な多孔質構造を有するモノリシックセラミック体の図である。
【0024】
別の実施形態では、本開示は多孔質セラミックアセンブリに関し、上述のモノリシックセラミック体のうちの少なくとも2つは、第1の相補的係合構造及び第2の相補的係合構造を介して互いに結合される。本開示の2つのモノリシックセラミック体を含むアセンブリの図は、
図9A及び
図9Bで見ることができる。
図9Aでは、2つのモノリシックセラミック体(同じ構造を有する第1のモノリシックセラミック体及び第2のモノリシックセラミック体)が示されており、各側面は、1つの相補的係合構造を含み、係合構造を有する2つの対向する側面は、凸部(93a)、すなわち第1の相補的係合構造であり、係合構造を有する他の2つの対向する側面は、窪み(93b)、すなわち第二の相補的係合構造である。
図9Bは、
図9Aの2つのモノリシックセラミック体を第1及び第2の相補的係合構造を介して互いに結合することができる方法の一実施形態を示す図である。
【0025】
実施形態
実施形態1.モノリシックセラミック体であって、モノリシックセラミック体の一部を通って延びる細孔の相互接続されたネットワークを画定する複数の細孔を含む第1の部分と、第1の部分と一体的に形成され、モノリシックセラミック体の外周面の少なくとも一部を画定する第2の部分とを含み、第2の部分が、少なくとも1つの相補的係合構造を含む、モノリシックセラミック体。
【0026】
実施形態2.モノリシックセラミック体であって、モノリシックセラミック体の一部を通って延びる細孔の相互接続されたネットワークを画定する複数の細孔を含む第1の部分と、第1の部分と一体的に形成され、モノリシックセラミック体の外周面の少なくとも一部を画定する第2の部分とを含み、モノリシックセラミック体が、体の長さ及び幅によって画定される平面で見たときに非多角形の二次元形状を含む、モノリシックセラミック体。
【0027】
実施形態3.モノリシックセラミック体であって、
セラミック体を通って延びる細孔の相互接続されたネットワークを画定する複数の細孔を画定するセラミックマトリックス構造を含む第1の部分と、第1の部分と一体的に形成され、第1の部分を通って延び、セラミックマトリックスの対応する寸法よりも大きい長さ、幅、又は厚さの少なくとも1つの寸法を有する第2の補強部分とを含む、モノリシックセラミック体。
【0028】
実施形態4.少なくとも1つの第1のモノリシックセラミック体と少なくとも1つの第2のモノリシックセラミック体を含む、多孔質セラミックアセンブリであって、少なくとも1つの第1のモノリシックセラミック体が、第1の部分と第2の部分を含み、第1の部分は、第1のモノリシックセラミック体の一部を通って延びる細孔の相互接続されたネットワークを画定する複数の細孔を含み、第2の部分が、第1の部分と一体的に形成され、第1のモノリシックセラミック体の外周面の少なくとも一部を画定し、第2の部分が、少なくとも1つの第1の相補的係合構造を含み、少なくとも1つの第2のモノリシックセラミック体が、少なくとも1つの第2の相補的係合構造を含み、少なくとも1つの第1のモノリシックセラミック体と少なくとも1つの第2のモノリシックセラミック体は、少なくとも1つの第1の相補的係合構造及び少なくとも1つの第2の相補的係合構造を介して互いに結合される、多孔質セラミックアセンブリ。
【0029】
実施形態5:第2のモノリシックセラミック体が、第1のモノリシックセラミック体の第1の部分の複数の細孔と同じ構造を有する相互接続されたネットワークを画定する複数の細孔を含む第1の部分を含む、実施形態4に記載の多孔質セラミックアセンブリ。
【0030】
実施形態6.第2のモノリシックセラミック体が、第1のモノリシックセラミック体の第1の部分の複数の細孔とは異なる構造を有する相互接続されたネットワークを画定する複数の細孔を含む第1の部分を含む、実施形態4に記載の多孔質セラミックアセンブリ。
【0031】
実施形態7.第1の部分の複数の細孔が、少なくとも20ミクロンの平均孔径を有し、第1の部分の総多孔度が、少なくとも50体積%である、実施形態1から6のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0032】
実施形態8.第1の部分の複数の細孔が、10cm以下の平均孔径を有し、第1の部分の総多孔度が少なくとも50体積%である、実施形態1から7のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0033】
実施形態9.第1の部分の複数の細孔の平均孔径が、少なくとも30ミクロン、少なくとも50ミクロン、少なくとも100ミクロン、少なくとも200ミクロン、少なくとも500ミクロン、少なくとも800ミクロン、少なくとも1000ミクロン、少なくとも2000ミクロン、少なくとも5000ミクロン、少なくとも1cm、少なくとも2cm、又は少なくとも5cmである、実施形態7に記載のモノリシックセラミック体。
【0034】
実施形態10.第1の部分の総多孔度が、少なくとも55体積%、少なくとも60体積%、少なくとも70体積%、少なくとも80体積%、少なくとも85体積%、又は少なくとも90体積%である、実施形態7に記載のモノリシックセラミック体。
【0035】
実施形態11.第1の部分の総多孔度が、99体積%以下、例えば97体積%以下、95体積%以下、85体積%以下、80体積%以下、又は70体積%以下である、実施形態7に記載のモノリシックセラミック体。
【0036】
実施形態12.第2の部分の総多孔度が、第1の部分の総多孔度よりも小さい、実施形態1から11のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0037】
実施形態13.第2の部分の開放多孔度が、第1の部分の開放多孔度よりも小さい、実施形態1から12のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0038】
実施形態14.第2の部分が、第1の部分の総多孔度よりも小さい総多孔度を有する、実施形態1から13のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0039】
実施形態15.第2の部分の平均孔径が、第1の部分の平均孔径よりも小さい、実施形態1から14のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0040】
実施形態16:第2の部分の密度が、第1の部分の密度よりも大きい、実施形態1から15のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0041】
実施形態17:第2の部分が、50体積%未満の多孔度及び少なくとも10nm及び1cm以下の平均孔径を有する、実施形態1から16のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0042】
実施形態18.第2の部分の平均孔径が、0.5cm以下、0.1cm以下、500ミクロン以下、200ミクロン以下、100ミクロン以下、50ミクロン以下、20ミクロン以下、10ミクロン以下、1ミクロン以下、0.5ミクロン以下、0.3ミクロン以下、0.1ミクロン以下、0.05ミクロン以下、又は0.02ミクロン以下である、実施形態17に記載のモノリシックセラミック体。
【0043】
実施形態19.第2の部分の多孔度が、40体積%以下、又は30体積%以下、又は25体積%以下、又は20体積%以下、又は15体積%以下、又は10体積%以下、又は5体積%以下、又は3体積%以下である、実施形態17に記載のモノリシックセラミック体。
【0044】
実施形態20.相互接続されたネットワークを画定する複数の細孔が、総多孔度の少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%を含む、実施形態1から19のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0045】
実施形態21.複数の細孔が0.2以下のサイズ変動(size variation)を有し、サイズ変動が、(P90-P10)/P50として計算され、P90が細孔の90%の孔径であり、P10が細孔の10%の孔径であり、P50は細孔の50%の孔径である、実施形態1から20のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0046】
実施形態22:第1の部分の複数の細孔が、第1の部分の第1の外面から第1の部分の第2の外面までの平均孔径のサイズ勾配(size gradient)を含む、実施形態1から20のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0047】
実施形態23:サイズ勾配が、第1の外面から第2の外面までの平均孔径を少なくとも20%、例えば少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%及び少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%減少させる、実施形態1から20のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0048】
実施形態24.セラミックが、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態1から23のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0049】
実施形態25.セラミックが、アルミナ、シリカ、コーディエライト、炭化ケイ素、ジルコニア、ジルコン、炭化タングステン、窒化ケイ素、六方晶窒化ホウ素、立方晶窒化ホウ素、SiAlON、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態24に記載のモノリシックセラミック体。
【0050】
実施形態26.モノリシックセラミック体が、ガラス質材料、多結晶材料、単結晶材料、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態1から25のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0051】
実施形態27.セラミック体が、フィルタ、触媒担体、絶縁材料、電極材料、反応器のガードベッド、電池の足場、燃料電池の材料、又はバイオ足場である、実施形態1から26のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0052】
実施形態28.セラミック体がフィルタである、実施形態27に記載のモノリシックセラミック体。
【0053】
実施形態29.フィルタが溶融金属濾過に適合されている、実施形態28に記載のモノリシックセラミック体。
【0054】
実施形態30:第2の部分が、少なくとも1つの相補的係合構造を更に含む、実施形態2又は3に記載のモノリシックセラミック体。
【0055】
実施形態31.少なくとも1つの相補的係合構造が、少なくとも1つの第1の相補的係合構造及び少なくとも1つの第2の相補的係合構造を含む、実施形態1又は30に記載のモノリシックセラミック体。
【0056】
実施形態32:少なくとも1つの第1の相補的係合構造が凹部を含み、少なくとも1つの第2の相補的係合構造が凸部を含む、実施形態31に記載のモノリシックセラミック体。
【0057】
実施形態33:第1の相補的係合構造の形状が非多角形であり、第2の相補的係合構造の形状が第1の相補的係合構造の形状と相補的である、実施形態31又は32に記載のモノリシックセラミック体。
【0058】
実施形態34:モノリシックセラミック体が矩形構造を含み、少なくとも1つの相補的係合構造が、体の厚さ全体にわたってモノリシックセラミック体の側面の中心に配置される、実施形態1又は30から33のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0059】
実施形態35.モノリシックセラミック体が矩形構造を含み、2つの側面の各々が、体の厚さ全体にわたって1つの相補的係合構造を含む、実施形態1又は30から33のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0060】
実施形態36.モノリシックセラミック体が矩形構造を含み、4つの側面の各々が、体の厚さ全体にわたって相補的係合構造を含む、実施形態1又は30から33のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0061】
実施形態37.モノリシックセラミック体が円形構造を含み、少なくとも1つの相補的係合構造が体の厚さ全体にわたってモノリシックセラミック体の周囲に配置される、実施形態1又は30から33のいずれか一項に記載のモノリシックセラミック体。
【0062】
実施形態38.モノリシックセラミック体を調製するプロセスであって、付加製造プロセスによってモノリシック成形体を形成することであって、成形体がセラミック粒子及びバインダを含むことと、成形体のバインダを熱処理により除去することと、成形体を少なくとも700℃の温度で焼結して前記セラミック体を得ることと、を含み、セラミック体が、細孔の相互接続されたネットワークを画定する複数の細孔を含む第1の部分と、第1の部分と一体的に形成され、モノリシックセラミック体の外周面の少なくとも一部を画定する第2の部分とを含み、第2の部分が、少なくとも1つの相補的係合構造を含む、プロセス。
【0063】
実施形態39.付加製造プロセスが、セラミック粉末層を形成することと、粉末層の上に液体バインダを選択的に印刷することとを交互に含む粉末ベースの三次元印刷プロセスである、実施形態38に記載のプロセス。
【0064】
実施形態40.セラミック粉末が、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態39に記載のプロセス。
【0065】
実施形態41.セラミック粉末が、アルミナ、シリカ、コーディエライト、炭化ケイ素、ジルコニア、ジルコン、炭化タングステン、窒化ケイ素、六方晶窒化ホウ素、立方晶窒化ホウ素、SiAlON、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態40に記載のプロセス。
【0066】
例
以下の非限定的な例は、本発明を説明する。
【0067】
例1
三次元コーディエライト体の付加製造。
【0068】
ExOne社製のInnovent 3Dプリンタを使用して、バインダジェッティングプロセスを介して、コーディエライト粒子及びバインダで作製された成形体を印刷した。バインダジェッティング印刷に使用した粉末材料は、20ミクロンの平均粒径を有するコーディエライト粉末であった。液体バインダBA 005は、プリンタ製造業者の専売品であった。
【0069】
プリンタに提供されたCADモデルのデジタル画像は、
図4に見ることができる。相互接続された孔構造41の平均内孔径は、約1000ミクロンであった。印刷は、セラミック粉末の薄層を圧延し、続いて、プリンタに供給されるデジタル画像に対応する粉末層の選択された場所に液体バインダを噴射することを繰り返すことによって行った。完全な成形体(green body)が形成されるまで、粉末層を形成し、続いてバインダを噴射するステップを繰り返した。
【0070】
成形体を印刷した後、構築体積全体(entire build volume)を180℃の温度を有する乾燥オーブンに4時間入れてバインダを完全に硬化させた。その後、バインダで飽和していない遊離粉末を圧縮空気で成形体から除去した。粉末が除去された成形体(101)の画像を
図10Aに見ることができる。
【0071】
粉末を除去した後、成形体を5℃/分の速度で600℃まで加熱し、600℃で30分間保持してバインダを除去した。その後、脱バインダ体を更に5℃/分の速度で1300℃まで昇温して焼結し、最高焼結温度で6時間保持し、5℃/分の速度で冷却した。
【0072】
図10Aは、焼結後に得られた対応するモノリシックセラミック体(102)に隣接する成形体(101)の斜視画像を示す。
図10Bは、例1の成形体(101)及び焼結体(102)の上面図を示す画像である。焼結後、得られたセラミック体は、成形体と比較していくらかの収縮を受けたことが分かる。焼結体中の複数の細孔の細孔内径は約1000ミクロンであり、この寸法の全ての細孔は相互接続され、開いていた。
【0073】
例2
ガラス化アルミナ体の付加製造。
【0074】
アルミナとガラスの粉末混合物を用いて成形体を印刷した。バインダ及び3D印刷機は、例1と同じであった。
【0075】
プリンタに提供されたデジタル画像は、直径が50mmの円形体、フィルタの外周に枠付けされた厚さ1mmの固体領域(第2の部分)であり、体の中央部分(第1の部分)は、ランダムな配向で直径1000ミクロンの相互接続された細孔を含んでいた。
【0076】
180℃でバインダを硬化させ、遊離粉末を除去し、600℃で熱処理してバインダを除去した後(全て例1と同様に行った)、脱バインダ体を915℃まで昇温して焼結し、915℃で8時間放置した後、室温まで自由冷却した。
【0077】
図11A及び
図11Bは、焼結フィルタの上面図及び斜視側面図の画像を示す。測定された細孔内径は750ミクロン~1250ミクロンの範囲であり、この寸法の全ての細孔は相互接続され、開いていた。焼結体は、サイズ及び形状が元のデジタル画像と非常に類似していた。
【0078】
例3
補強部分を含むガラス化アルミナ体の付加製造。
【0079】
プリンタに提供されるデジタル画像が、液体の通過を許容せず、フィルタにより安定性を与える機能を有する複数の細孔の高密度領域の領域間に含まれることを除いて、例2に記載したものと同じ直径サイズを有し、同じ材料及び印刷プロセスを使用して円形の成形体を印刷した。
図12A及び
図12Bは、焼結フィルタの上面図及び側面図である。このセラミック体の細孔構造はランダムな配向であり、孔径750ミクロン~1250ミクロンの範囲であった。この寸法の全ての細孔は相互接続され、開いていた。セラミック体は、サイズ及び形状が元のデジタル画像と非常に類似していた。
【0080】
前述の明細書では、概念は特定の実施形態を参照して説明されている。しかし、当業者は、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができることを理解する。したがって、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきであり、そのような修正は全て本発明の範囲内に含まれることが意図されている。