(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/622 20150101AFI20231027BHJP
E06B 3/36 20060101ALN20231027BHJP
【FI】
E05F15/622
E06B3/36
(21)【出願番号】P 2022079721
(22)【出願日】2022-05-13
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】522110256
【氏名又は名称】チャン,ヤ-チン
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ヤーチン
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2021/006067(JP,A1)
【文献】国際公開第2020/157593(WO,A1)
【文献】特開2008-161613(JP,A)
【文献】特開2020-176423(JP,A)
【文献】中国実用新案第212614298(CN,U)
【文献】中国実用新案第210422287(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
E06B 3/36
F16H 25/20-25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置であって、
中軸があるように延伸しているものであって、収容空間を画成すると共に外面に前記中軸と略平行している第1のガイド部が形成されている管状の内管壁を備え、前記中軸が通過する一端に前記収容空間と連通している穿孔が開いている内管と、
前記収容空間に取り付けられている駆動ユニットと、
前記収容空間内にある内端部と、前記内端部の前記中軸に沿う反対端にあって前記内管外にある外端部と、を備えると共に、前記穿孔に挿設されながら前記駆動ユニットの駆動により前記内管に対して前記中軸に沿って伸縮できるように前記駆動ユニットに連接している伸縮棒と、
気密に前記伸縮棒の前記外端部の近くに固定されているカバープレートと、気密に前記カバープレートと連接していて、摺動可能に前記内管壁を外嵌している外管壁と、を備え、前記伸縮棒に固設されている防水カバーと、を備え、
前記外管壁は、前記中軸と略平行していて、前記第1のガイド部と嵌め合うことができる少なくとも1つの第2のガイド部を備え
、
前記防水カバーの前記カバープレートは、
前記外端部側に向かっている外面と、
前記外面の前記中軸に沿う反対面である内面と、
前記外面から前記内面に貫通するように前記中軸が通過する部分に開いている孔と、
前記内面に形成されていて前記孔と連通している凹部と、を備え、
前記防水カバーは、前記カバープレートと前記伸縮棒とに気密に当接するように前記凹部に設置されている第1のシールリングを更に備えることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記内管の前記第1のガイド部は、
互いに間隔が開いていてガイド槽を画成する一対のガイド板を備え、
前記防水カバーの前記第2のガイド部は、
摺動可能に前記ガイド槽に嵌入できる板状のものに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記駆動ユニットは、
モータと、
前記モータに回転駆動されるスクリューロッドと、を備え、
前記伸縮棒は、
前記内端部から前記中軸に沿って前記外端部へ延伸していて前記スクリューロッドと螺合しているネジ孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記伸縮棒は、
前記内端部を含み、前記防水カバーに覆われている大径部と、
前記外端部を含み、前記大径部の先端から、前記中軸に沿って前記防水カバーの前記カバープレートを貫通して外へ突出している小径部と、
前記大径部と前記小径部とに連接している部分であるショルダー部と、
ナットと、を備え、
前記小径部は、前記ナットが前記外面を押圧できるように螺合して固定できるネジ山部が形成されており、
前記ナットは、前記小径部の前記ネジ山部に螺合して、前記外面を押圧しており、
前記第1のシールリングは、前記カバープレートと前記ショルダー部とに気密に当接していることを特徴とする請求項
1に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記防水カバーは、前記カバープレートと前記外管壁とに気密に当接している第2のシールリングを更に備えることを特徴とする請求項
4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記伸縮棒の前記外端部に設置されている第1の連接部と、
前記内管に設置されている第2の連接部と、を更に備え、
前記第1の連接部と前記第2の連接部とのうちの少なくとも1つは、低融点合金により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防設備に使用する駆動装置に関し、特に駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されている消防通風装置は、蓋板ユニットと、該蓋板ユニットと建物とに連接している第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットとを含む。
【0003】
該第1の駆動ユニットは、バネや気圧などの弾性回復力で、蓋板ユニットを、気流を遮断する遮断状態から気流を開放する開放状態にすることができるものであり、該第2の駆動ユニットは、電気伸縮棒を制御することにより蓋板ユニットを該遮断状態または該開放状態にすることができるものである。
【0004】
また、該電気伸縮棒は、第1の連接部及び第2の連接部により該蓋板ユニットと建物とに連接している。
【0005】
該第1の連接部及び該第2の連接部は、少なくとも一部が低融点合金により構成されている。
【0006】
それにより、環境温度が融点に達して該第1の連接部または該第2の連接部が融解して該蓋板ユニットまたは建物から外れると、該蓋板ユニットは、該第1の駆動ユニットの弾性回復力により該開放状態に切り替わる。
【0007】
しかし、該蓋板ユニットが該開放状態になっている間に、水が該第2の駆動ユニットに入ると、該第2の駆動ユニット内のモータ制御器等で短絡や破損が起こるので、該消防通風装置がタイムリーに予期の機能を奏することができなくなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、防水効果が優れる駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を実現するために、本発明は、
駆動装置であって、
中軸があるように延伸しているものであって、収容空間を画成すると共に外面に前記中軸と略平行している第1のガイド部が形成されている管状の内管壁を備え、前記中軸が通過する一端に前記収容空間と連通している穿孔が開いている内管と、
前記収容空間に取り付けられている駆動ユニットと、
前記収容空間内にある内端部と、前記内端部の前記中軸に沿う反対端にあって前記内管外にある外端部と、を備えると共に、前記穿孔に挿設されながら前記駆動ユニットの駆動により前記内管に対して前記中軸に沿って伸縮できるように前記駆動ユニットに連接している伸縮棒と、
気密に前記伸縮棒の前記外端部の近くに固定されているカバープレートと、気密に前記カバープレートと連接していて、摺動可能に前記内管壁を外嵌している外管壁と、を備え、前記伸縮棒に固設されている防水カバーと、を備え、
前記外管壁は、前記中軸と略平行していて、前記第1のガイド部と嵌め合うことができる少なくとも1つの第2のガイド部を備えることを特徴とする駆動装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
上記のように、本発明の駆動装置は、防水カバーの設置により優れた防水効果を有し、外部に水が当たっても、内部の駆動ユニットが水に影響されることを防止でき、駆動ユニットの使用寿命を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】上記の駆動装置を示す
図2の線III-IIIに沿った断面図
【
図6】上記の駆動装置が延伸した状態を示す部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明をより詳細に説明する前に、適切と考えられる場合において、符号又は符号の末尾部分は、同様の特性を有し得る対応の又は類似の要素を示すために各図面間で繰り返し用いられることに留意されたい。
【0014】
図1は本発明の駆動装置の設置態様の一例を示す図である。
図2は上記の駆動装置を示す断面図である。
図3は上記の駆動装置を示す
図2の線III-IIIに沿った断面図である。
図4は上記の駆動装置を示す部分拡大図である。
【0015】
図1に示されるように、本発明の駆動装置100は、消防通風装置1に適用するものである。消防通風装置1は、排煙口201を有する建物2(この実施形態において、建物2の屋根で例示する)に設置されているものであって、排煙口201を囲繞するように設置されている枠体101と、枠体101に枢設されている蓋板102とを備える。
【0016】
本発明の駆動装置100は、
図1及び
図2に示されるように、枠体101と蓋板102とに枢設されていて、蓋板102を枠体101に対して回転して、
図1に示される遮断状態と
図5に示される開放状態とに切り替える。
【0017】
また、本発明の駆動装置100は、
図1及び
図2に示されるように、内管10と、駆動ユニット20と、伸縮棒30と、防水カバー40と、第1の連接部50と、第2の連接部60とを備える。
【0018】
内管10は、
図2及び
図4に示されるように、中軸Lがあるように延伸している中空管状のものであり、また、収容空間14を画成する内管壁11と、内管壁11の中軸Lが通過する一端に固定されている第1の蓋12と、第1の蓋12が固定されている一端の中軸Lに沿う反対端に固定されている第2の蓋13とを備える。
【0019】
内管壁11は、
図3に示されるように、中軸Lと略直交する断面の形は四辺形であり、また、外面に中軸Lと略平行している一対の第1のガイド部111が形成されている。
【0020】
各第1のガイド部111は、互いに間隔が開いていてガイド槽113を画成する一対のガイド板112を備える。
【0021】
第1の蓋12は、中軸Lが通過すると共に収容空間14と連通している穿孔121が開いている。
【0022】
駆動ユニット20は、
図2に示されるように、収容空間14において第2の蓋13の内側に取り付けられており、且つ、モータ21と、モータ21に回転駆動されるスクリューロッド22とを備える。
【0023】
伸縮棒30は、穿孔121に挿設されながら駆動ユニット20の駆動により内管10に対して中軸Lに沿って伸縮できるように前記駆動ユニット20に連接しているものであある。また、伸縮棒30は、収容空間14内にある内端部31と、内端部31の中軸Lに沿う反対端にあって内管10外にある外端部32と、内端部31から中軸Lに沿って外端部32に延伸していてスクリューロッド22と螺合しているネジ孔33と、大径部34であって、内端部31を含み、防水カバー40に覆われている大径部34と、小径部35であって、外端部32を含み,大径部34の先端から、中軸Lに沿って防水カバー40の下述するカバープレート41を貫通して外へ突出している小径部35と、大径部34と小径部35とが連接している部分にあるショルダー部36と、ナット37とを備える。
【0024】
大径部34は、摺動可能に穿孔121に挿設されている。
【0025】
小径部35は、ナット37が螺合して固定できるネジ山部351が形成されている。
【0026】
ネジ孔33でスクリューロッド22と螺合している伸縮棒30は、駆動ユニット20がスクリューロッド22を回転駆動することにより、全体が中軸Lに沿って移動して、内管10に対して伸縮することができる。
【0027】
防水カバー40は、伸縮棒30に固設されているものである。また、防水カバー40は、気密に伸縮棒30の外端部32の近くに固定されているカバープレート41と、気密にカバープレート41と連接していて、摺動可能に内管壁11を外嵌している外管壁42と、カバープレート41及び伸縮棒30に気密に当接する第1のシールリング43と、カバープレート41と外管壁42とに気密に当接する第2のシールリング44とを備える。
【0028】
カバープレート41は、外端部32側に向かっている外面411と、外面411の中軸Lに沿う反対面である内面412と、外面411から内面412に貫通するように中軸Lが通過する部分に開いている孔413と、内面412に形成されていて孔413と連通している凹部414とを備える。
【0029】
伸縮棒30のショルダー部36は、カバープレート41の内面412に向いている。
【0030】
外管壁42は、
図3に示されるように、中軸Lと略直交する断面の形は四辺形であり、中軸Lと略平行していて、第1のガイド部111と嵌め合うことができる少なくとも1つの第2のガイド部421を備える。
【0031】
第2のガイド部421は、摺動可能にガイド槽113に嵌入できる板状のものに形成されている。
【0032】
また、小径部35のネジ山部351は、ナット37がカバープレート41の外面411を押圧できるように螺合して固定できるように形成されている。
【0033】
ナット37は、小径部35のネジ山部351に螺合して、カバープレート41の外面411を押圧している。
【0034】
第1のシールリング43は、カバープレート41とショルダー部36とに気密に当接しているように凹部414に設置されている。
【0035】
第1の連接部50は、伸縮棒30の外端部32に設置されていて、外端部32と消防通風装置1の蓋板102とを連接している。
【0036】
第2の連接部60は、内管10の第2の蓋13に設置されていて、外端部32と消防通風装置1の枠体101とを連接している。
【0037】
第1の連接部50と第2の連接部60とのうちの少なくとも1者は、低融点合金により構成されている。それにより、環境温度が融点に達すると融解して、上記背景技術に挙げた従来技術と同様の効果が得られる。なお、低融点合金としては、例えば融点が60℃~150℃のものを使用できる。
【0038】
上記の構成によれば、
図1~
図4に示されるように、消防通風装置1の蓋板102が枠体101に対して前記遮断状態になると、本発明の駆動装置100は、中軸Lに沿う長さが短く、カバープレート41が第1の蓋12に接近し、そして、防水カバー40が伸縮棒30に固設されていると共に、内管10の外周を覆っていることにより、即ち、ナット37が防水カバー40の外面411を押圧して、第1のシールリング43がカバープレート41と伸縮棒30のショルダー部36とに気密に当接し且つ第2のシールリング44がカバープレート41と外管壁42とに気密に当接することにより、水が簡単に内管10内に進入できなく、内管10内の駆動ユニット20が水に影響されることを防止でき、駆動ユニット20の使用寿命を維持でき、消防作用に影響がない。
【0039】
図5は上記の駆動装置の操作を示す図である。
図6は上記の駆動装置が延伸した状態を示す部分断面図である。
【0040】
図5~
図6に示されるように、駆動ユニット20のモータ21が作動して伸縮棒30を内管10に対して伸長させると、防水カバー40が連動されて中軸Lに沿って内管10に対して摺動して、カバープレート41が第1の蓋12から離れ、また、防水カバー40が内管10に対して摺動するのと同時に、中軸線Lと略平行する第2のガイド部421が第1のガイド部111と嵌まり合うことによりガイド作用が生じて、防水カバー40を安定に内管10に対して摺動させることができる。
【0041】
また、
図5に示されるように、伸縮棒30が内管10に対して所定の長さに伸びると、蓋板102が枠体101に対して開放状態になる。その場合、防水カバー40は、少なくとも内管10の第1の蓋12を含む端部を覆っているので、たとえ雨により水が枠体101内に進入しても、駆動装置100は、防水カバー40の設置により、水が内管10内に進入して駆動ユニット20を影響することを防止でき、駆動ユニット20の使用寿命を維持できる。
【0042】
従って、本発明の駆動装置は、全体の構造が簡単で、従来の駆動装置より使用寿命が延びて、より優れた消防効果を有する。
【0043】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の駆動装置は、水に当たる環境に使用でき、更に消防設備に使用することに好適である。
【符号の説明】
【0045】
1 消防通風装置
101 枠体
102 蓋板
2 建物
201 排煙口
100 駆動装置
10 内管
11 内管壁
111 第1のガイド部
112 ガイド板
113 ガイド槽
12 第1の蓋
121 穿孔
13 第2の蓋
14 収容空間
20 駆動ユニット
21 モータ
22 スクリューロッド
30 伸縮棒
31 内端部
32 外端部
33 ネジ孔
34 大径部
35 小径部
351 ネジ山部
36 ショルダー部
37 ナット
40 防水カバー
41 カバープレート
411 外面
412 内面
413 孔
414 凹部
42 外管壁
421 第2のガイド部
43 第1のシールリング
44 第2のシールリング
50 第1の連接部
60 第2の連接部
L 中軸
【要約】
【課題】防水できる駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置は、中軸Lに延伸しているものであって、収容空間14を画成すると共に外面に第1のガイド部が形成されている管状の内管壁11を備える内管10と、収容空間14に取り付けられている駆動ユニット20と、伸縮棒30であって、収容空間14内にある内端部31と、内端部31の中軸Lに沿う反対端にある外端部32と、を備えると共に、駆動ユニット20の駆動により内管10に対して中軸Lに沿って伸縮できるように駆動ユニット20に連接している伸縮棒30と、防水カバー40であって、気密に伸縮棒30の外端部32の近くに固定されているカバープレートと、気密に該カバープレートと連接していて、摺動可能に内管壁11を外嵌している外管壁42と、を備え、伸縮棒30に固設されている防水カバー40と、を備え、外管壁42は、該第1のガイド部と嵌め合うことができる少なくとも1つの第2のガイド部を備えている。
【選択図】
図2