(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】電子ゲームのパラメータ設定システム、電子ゲームのパラメータ設定プログラム及び電子ゲームのパラメータ設定方法
(51)【国際特許分類】
A63F 13/792 20140101AFI20231027BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20231027BHJP
【FI】
A63F13/792
A63F13/55
(21)【出願番号】P 2022104894
(22)【出願日】2022-06-29
(62)【分割の表示】P 2019090477の分割
【原出願日】2019-05-13
【審査請求日】2022-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】599115217
【氏名又は名称】株式会社 ディー・エヌ・エー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】緒方 文俊
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-033859(JP,A)
【文献】特開2018-158018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ゲームに関するトークンであって取引市場において取引の対象となっている対象トークンに対して、当該電子ゲームとは異なる電子ゲームにおけるパラメータを設定する電子ゲームのパラメータ設定システムであって、
電子ゲーム毎に設定され
、電子ゲームのアカウント数及び前記対象トークンが属する電子ゲームが保有する金額量との少なくとも1つに応じて変更された調整係数に応じて、前記対象トークンに設定されたパラメータを調整する、ことを特徴とする電子ゲームのパラメータ設定システム。
【請求項2】
請求項
1に記載の電子ゲームのパラメータ設定システムであって、
前記対象トークンが属する電子ゲームのアカウント数が多いほど、前記異なる電子ゲームにおいて有利になるように前記対象トークンのパラメータを設定することを特徴とする電子ゲームのパラメータ設定システム。
【請求項3】
請求項
1に記載の電子ゲームのパラメータ設定システムであって、
前記対象トークンが属する電子ゲームが保有する金額量が多いほど、前記異なる電子ゲームにおいて有利になるように前記対象トークンのパラメータを設定することを特徴とする電子ゲームのパラメータ設定システム。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の電子ゲームのパラメータ設定システムであって、
前記対象トークンのレアリティが高いほど前記異なる電子ゲームにおいて有利になるように前記対象トークンのパラメータを補正することを特徴とする電子ゲームのパラメータ設定システム。
【請求項5】
電子ゲームに関するトークンであって取引市場において取引の対象となっている対象トークンに対して、当該電子ゲームとは異なる電子ゲームにおけるパラメータを設定する電子ゲームのパラメータ設定プログラムであって、
コンピュータを、
電子ゲーム毎に設定され
、電子ゲームのアカウント数及び前記対象トークンが属する電子ゲームが保有する金額量との少なくとも1つに応じて変更された調整係数に応じて、前記対象トークンに設定されたパラメータを調整する手段として機能させる、ことを特徴とする電子ゲームのパラメータ設定プログラム。
【請求項6】
電子ゲームに関するトークンであって取引市場において取引の対象となっている対象トークンに対して、当該電子ゲームとは異なる電子ゲームにおけるパラメータを設定する電子ゲームのパラメータ設定方法であって、
コンピュータに、
電子ゲームのアカウント数及び前記対象トークンが属する電子ゲームが保有する金額量との少なくとも1つに応じて電子ゲーム毎に設定された調整係数
を変更させるステップと、
前記調整係数に応じて、前記対象トークンに設定されたパラメータを調整させる
ステップと、
を実行させることを特徴とする電子ゲームのパラメータ設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ゲームのパラメータ設定システム、電子ゲームのパラメータ設定プログラム及び電子ゲームのパラメータ設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ゲームにおいて使用されるキャラクタやアイテム等をインターネット等の情報通信網を用いたマーケットにおいて売買するシステムが利用されている。例えば、1つの電子ゲームで使用されているキャラクタやアイテムを他の電子ゲームで使用するためのキャラクタやアイテムとして仮想通貨を用いて売買し、当該キャラクタやアイテムを他の電子ゲームで使用できるようにしたシステムがある(非特許文献1,非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】https://rinkeby.opensea.io/category/sugarpot/
【文献】https://www.cryptokitties.co/kittyverse
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子ゲームにおいて使用されるキャラクタやアイテム等を他の電子ゲームで使用する場合、当該他の電子ゲームにおけるゲーム上のパラメータを適切に設定する必要がある。しかしながら、電子ゲームのジャンル等に応じて必要とされるパラメータは異なり、異なる電子ゲーム間において不公平感無くパラメータを設定するための技術は確立されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様は、電子ゲームに関するトークンであって取引市場において取引の対象となっている対象トークンに対して、当該電子ゲームとは異なる電子ゲームにおけるパラメータを設定する電子ゲームのパラメータ設定システムであって、電子ゲーム毎に設定された調整係数に応じて、前記対象トークンに設定されたパラメータを調整する、ことを特徴とする電子ゲームのパラメータ設定システムである。
【0006】
本発明の別の態様は、電子ゲームに関するトークンであって取引市場において取引の対象となっている対象トークンに対して、当該電子ゲームとは異なる電子ゲームにおけるパラメータを設定する電子ゲームのパラメータ設定プログラムであって、コンピュータを、電子ゲーム毎に設定された調整係数に応じて、前記対象トークンに設定されたパラメータを調整する手段として機能させる、ことを特徴とする電子ゲームのパラメータ設定プログラムである。
【0007】
本発明の別の態様は、電子ゲームに関するトークンであって取引市場において取引の対象となっている対象トークンに対して、当該電子ゲームとは異なる電子ゲームにおけるパラメータを設定する電子ゲームのパラメータ設定方法であって、コンピュータに、電子ゲーム毎に設定された調整係数に応じて、前記対象トークンに設定されたパラメータを調整させる、ことを特徴とする電子ゲームのパラメータ設定方法である。
【0008】
ここで、前記調整係数は、電子ゲームのアカウント数及び前記対象トークンが属する電子ゲームが保有する金額量との少なくとも1つに応じて変更されることが好適である。
【0009】
また、前記対象トークンが属する電子ゲームのアカウント数が多いほど、前記異なる電子ゲームにおいて有利になるように前記対象トークンのパラメータを設定することが好適である。
【0010】
また、前記対象トークンが属する電子ゲームが保有する金額量が多いほど、前記異なる電子ゲームにおいて有利になるように前記対象トークンのパラメータを設定することが好適である。
【0011】
また、前記対象トークンのレアリティが高いほど前記異なる電子ゲームにおいて有利になるように前記対象トークンのパラメータを補正することが好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電子ゲームにおいて使用されるトークンに対して他の電子ゲームにおけるパラメータを適切に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態における電子ゲームのパラメータ設定システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態における電子ゲームのパラメータ設定システムの機能的な構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態におけるサーバコンピュータの構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態におけるユーザ端末の構成を示す図である。
【
図5】本発明の実施の形態に電子ゲームのパラメータ設定処理を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施の形態における処理に必要な情報の例を示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態における処理に必要な情報の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態における電子ゲームのパラメータ設定システム100は、
図1に示すように、サーバコンピュータ102及びユーザ端末104を含んで構成される。サーバコンピュータ102及びユーザ端末104は、インターネット等のネットワーク106を介して情報伝達が可能な状態で接続される。なお、ネットワーク106は、情報伝達可能であれば特に限定されるものではなく、有線通信網であってもよいし、無線通信網であってもよい。
【0015】
電子ゲームのパラメータ設定システム100は、電子ゲームにおいて使用されるトークンに対してゲーム上のパラメータを設定するパラメータ設定処理を行う。ここで、トークンとは、電子ゲームにおいて使用されるキャラクタ、アイテム、グッズ等のパラメータの設定対象となるもの全般を意味する。
【0016】
図2は、パラメータ設定システム100の機能的な構成を示す。サーバコンピュータ102は、パラメータ付与部200及び各電子ゲームのコントラクト202として機能する。また、ユーザ端末104の各々は、各電子ゲームを提供するためのアプリケーション204を介して、各電子ゲームのコントラクト202に基づいて各ユーザ206が使用するユーザ端末104に対して電子ゲームを提供する。パラメータ付与部200及び電子ゲームのコントラクト202は、電子ゲームにおいて使用されるトークンの取り引き(トランザクション)についてブロックチェーンを適用したブロックチェーン基盤208を構成する。ブロックチェーン基盤208は、例えば、ビットコインやイーサリアム等の既存のブロックチェーンシステムを適用するものとしてもよい。
【0017】
電子ゲームのパラメータ設定システム100では、サーバコンピュータ102を介して電子ゲームで使用されるトークンの取引が可能である。すなわち、ユーザは、ユーザ端末104を使用して、ネットワーク106を介してサーバコンピュータ102によって提供されるトークンの取引市場に取引対象とするトークンを譲渡対象として登録することができる。また、別のユーザは、ユーザ端末104を使用して、ネットワーク106を介してサーバコンピュータ102によって提供されるトークンの取引市場に登録されているトークンを譲受対象として指定することができる。これによって、譲渡元のユーザから譲受先のユーザへとトークンが取引される。トークンの譲渡が有償で行われる売買である場合、トークンに対する対価の支払いは、例えば、仮想通貨、クレジットカード等によって行うようにすればよい。
【0018】
パラメータ付与部200は、異なるコントラクト202の間において取り引きされるトークンに対してパラメータを付与する処理を行う。例えば、第1の電子ゲームのキャラクタ(トークン)を異なる第2の電子ゲームで使用するための指示を受けた場合、パラメータ付与部200は、当該キャラクタ(トークン)に対して第2の電子ゲームにおけるパラメータを付与する。付与されるパラメータには、第1の電子ゲームにおいては設定されていない種類のパラメータも含まれる。例えば、第1の電子ゲームがロールプレイングであり、キャラクタに対して体力・攻撃力のパラメータが設定されており、第2の電子ゲームがシューティングゲームであり、キャラクタに対して弾薬数や移動スピードのパラメータを設定する必要がある場合、パラメータ付与部200は当該キャラクタに対して弾薬数や移動スピードのパラメータを新たに付与する処理を行う。
【0019】
サーバコンピュータ102は、
図3に示すように、処理部10、記憶部12、入力部14、出力部16及び通信部18を含んで構成される。処理部10は、CPU等の演算処理を行う手段を含む。処理部10は、記憶部12に記憶されているパラメータ設定プログラムを実行することによって、本実施の形態における電子ゲームに使用されるトークンに対するパラメータを設定する機能を実現する。記憶部12は、半導体メモリやメモリカード等の記憶手段を含む。記憶部12は、処理部10とアクセス可能に接続され、パラメータ設定プログラム、その処理に必要な情報を記憶する。入力部14は、情報を入力する手段を含む。入力部14は、例えば、管理者からの入力を受けるキーボード、タッチパネル、ボタン等を備える。出力部16は、管理者から入力情報を受け付けるためのユーザインターフェース画面(UI)等のサーバコンピュータ102での処理結果を出力する手段を含む。出力部16は、例えば、管理者に対して画像を呈示するディスプレイを備える。通信部18は、ネットワーク106を介して、ユーザ端末104との情報の通信を行うインターフェースを含んで構成される。通信部18による通信は有線及び無線を問わない。
【0020】
ユーザ端末104は、
図4に示すように、処理部20、記憶部22、入力部24、出力部26及び通信部28を含んで構成される。ユーザ端末104は、例えば、スマートフォン、タブレット端末等とすることができる。処理部20は、CPU等の演算処理を行う手段を含む。処理部20は、記憶部22に記憶されているクライアントプログラムを実行することによって、本実施の形態におけるユーザ端末104の機能を実現する。記憶部22は、半導体メモリやメモリカード等の記憶手段を含む。記憶部22は、処理部20とアクセス可能に接続され、クライアントプログラム、その処理に必要な情報を記憶する。入力部24は、情報を入力する手段を含む。入力部24は、例えば、ユーザからの入力を受けるキーボード、タッチパネル、ボタン等を備える。出力部26は、ユーザから入力情報を受け付けるためのユーザインターフェース画面(UI)や情報を呈示する画面等のユーザ端末104での処理に必要な情報を出力する手段を含む。出力部26は、例えば、ユーザに対して画像を呈示するディスプレイを備える。通信部28は、ネットワーク106を介して、サーバコンピュータ102との情報の通信を行うインターフェースを含んで構成される。通信部28による通信は有線及び無線を問わない。
【0021】
本実施の形態では、トークンに対してパラメータを自動設定する処理に特徴を有する。したがって、以下の説明では、
図5のフローチャートを参照して、本実施の形態における電子ゲームで使用されるトークンに対するパラメータ設定処理について説明する。以下の処理は、サーバコンピュータ102においてパラメータ設定プログラムを実行することによって実現される。
【0022】
ステップS10では、パラメータ設定処理に必要な情報の取得が行われる。当該ステップにおける処理によって、電子ゲームのパラメータ設定システム100は初期設定手段として機能する。パラメータの設定処理には、市場で取引の対象とされているトークンについて、トークンが属する電子ゲームのアカウント数、市場におけるトークンの取引価格、トークンが属する電子ゲームが保有する金額量が用いられる。したがって、処理部10は、入力部14又は通信部18を介して、トークンが属する電子ゲームのアカウント数、市場におけるトークンの取引価格、トークンが属する電子ゲームが保有する金額量を取得する。
【0023】
ここで、電子ゲームにトークンが属するとは、パラメータ設定システム100においてトークンが取り引きされる前に当該電子ゲームにおいてトークンが使用されていることを意味する。なお、1つの種類のトークンが複数の電子ゲームにおいて使用されている場合、当該トークンは最初に使用された電子ゲームに属するものとして取り扱えばよい。
【0024】
トークンが属する電子ゲームのアカウント数とは、パラメータの設定対象となっているトークンが既に使用されている電子ゲームにおいてプレイヤ(ユーザ)として登録しているユーザのアカウントの合計数である。また、市場におけるトークンの取引価格とは、パラメータの設定対象となっている市場におけるトークンの売買における取引価格である。トークンが属する電子ゲームが保有する金額量とは、パラメータの設定対象となっているトークンが既に使用されている電子ゲームにおいて当該電子ゲームがリリースされてからプレイヤ(ユーザ)に課金して支払われた総額である。通常、トークンが属する電子ゲームが保有する金額量は履歴として記録されている。
【0025】
ステップS12では、トークンに対する相対基準値の算出処理が行われる。当該ステップにおける処理によって、電子ゲームのパラメータ設定システム100は相対基準値設定手段として機能する。処理部10は、ステップS10において取得された市場で取引の対象とされているトークンについて、トークンが属する電子ゲームのアカウント数、市場におけるトークンの取引価格、トークンが属する電子ゲームが保有する金額量に基づいてトークンの各々に対するゲーム上のパラメータを設定する。
【0026】
当該ステップの処理は、電子ゲームのパラメータ設定システム100に新たな電子ゲームが加わったタイミングで実行することが好適である。ただし、これに限定されるものではなく、電子ゲームのパラメータ設定システム100において処理の対象となっている電子ゲームが更新されたタイミングや電子ゲームの設定が変更されたタイミング等において当該ステップの処理を行うようにしてもよい。
【0027】
ここで、トークンが属する電子ゲームのアカウント数が多いほど評価値が高くなるように設定する。また、市場におけるトークンの取引価格が高いほど評価値が高くなるように設定する。また、トークンが属する電子ゲームが保有する金額量が多いほど評価値が高くなるように設定する。
【0028】
具体的には、例えば、トークンが属する電子ゲームのアカウント数A、市場におけるトークンの取引価格B、トークンが属する電子ゲームが保有する金額量Cとして、数式(1)によって評価値Dを算出する。
(数1)
D=A×B×C・・・(1)
【0029】
図6に示す第1のトークンの例では、第1のトークンが属する電子ゲームのアカウント数A=10000、第1のトークンの市場での取引価格B=100000000、第1のトークンが属する電子ゲームが保有する金額量C=1000000000であるので、評価値D=1000000000000000000000となる。
図6に示す第2のトークンの例では、第2のトークンが属する電子ゲームのアカウント数A=10000、第2のトークンの市場での取引価格B=100000000、第2のトークンが属する電子ゲームが保有する金額量C=2000000000であるので、評価値D=2000000000000000000000となる。
【0030】
処理部10は、市場において取引されているすべてのトークンについて評価値を算出する。そして、評価値の最大値が所定の基準最大値となるようにすべてのトークンに対する正規化して相対評価値を算出する。
【0031】
例えば、基準最大値を1000として、第2の電子ゲームで既に使用されている第2のトークンの評価値D=2000000000000000000000がすべてのトークンに対する評価値Dの最大値であるとすると、評価値D=2000000000000000000000を基準最大値である1000となるように正規化する。したがって、当該第2のトークンに対する相対評価値E=1000、第1のトークンに対する相対評価値E=500・・・となる。
【0032】
ステップS14では、相対評価値の補正処理が行われる。当該ステップにおける処理によって、電子ゲームのパラメータ設定システム100は評価値補正手段として機能する。処理部10は、ステップS16にて設定された相対評価値を補正する処理を行う。
【0033】
本実施の形態では、各トークンのレアリティに応じて相対評価値を補正する処理を行う。レアリティとは、電子ゲームにおける各トークンの出現し難さを表すパラメータであり、レアリティが高い(すなわち、出現頻度が低い)ほどトークンの価値は高まる傾向がある。例えば、トークンの発行枚数を当該トークンのレアリティを表わす指標として用いることができる。処理部10は、各トークンについて既に使用されている電子ゲームにおけるレアリティを取得し、当該レアリティが高いほど異なる電子ゲームにおいて有利になるようにトークンの相対評価値を補正する。
【0034】
例えば、上記第1のトークンの出現頻度が20%、すなわちレアリティが80%である場合、第1のトークンに対する相対評価値E=500にレアリティを乗算して補正後の相対評価値E=500×0.8=400とする。また、例えば、上記第2のトークンの出現頻度が80%、すなわちレアリティが20%である場合、第2のトークンに対する相対評価値E=1000にレアリティを乗算して補正後の相対評価値E=1000×0.2=200とする。
【0035】
また、各トークンのレアリティを示す指標として、トークンの発行枚数の他に、電子ゲーム内におけるトークンの取引価格を適用してもよい。この場合、処理部10は、各トークンについて電子ゲーム内での取引価格をレアリティとして取得し、当該レアリティが高いほど異なる電子ゲームにおいて有利になるようにトークンの相対評価値を補正する。
【0036】
なお、当該ステップにおける補正処理は必須の処理ではなく、必要に応じて行えばよい。
【0037】
ステップS16では、相対評価値に基づいて各トークンに対するパラメータを設定する処理を行う。当該ステップにおける処理によって、電子ゲームのパラメータ設定システム100はパラメータ設定手段として機能する。処理部10は、ステップS14で補正された相対評価値に基づいて各トークンに対するパラメータを設定する処理を行う。
【0038】
具体的には、各トークンに対する補正された相対評価値が高いほどパラメータ値が高くなるように設定する。例えば、第1のトークンに対する補正された相対評価値が400である場合に当該400を最大値として20%の範囲320~400でランダムに値を設定し、第2のトークンに対する補正された相対評価値が200である場合に当該200を最大値として20%の範囲160~200でランダムに値を設定する。そして、当該ランダムに設定された値を異なる電子ゲームにおける各トークンに対するパラメータとする。例えば、第1のトークンに対してランダムに設定された値が360であり、第2のトークンに対してランダムに設定された値が164であれば、それぞれを第1のトークン及び第2のトークンに対して第3の電子ゲームにおけるパラメータ値として設定する。
【0039】
なお、パラメータ値に応じて最大値が定められている場合、各トークンに対する相対評価値の最大値がパラメータ値の最大値に一致するように正規化する処理を行ってもよい。
【0040】
また、ステップS14における補正処理を行わない場合、ステップS12で算出された各トークンに対する相対評価値に基づいてパラメータ値を設定すればよい。
【0041】
このように、各トークンに対して定められた相対基準値に基づいてトークンが属する電子ゲームとは異なる電子ゲームにおけるトークンに対するパラメータを設定することによって、各トークンに対して適切なパラメータ設定を行うことができる。
【0042】
本実施の形態によれば、各トークンが属する電子ゲームのアカウント数が多いほど、異なる電子ゲームにおいて有利になるように各トークンに対するパラメータが設定される。また、市場におけるトークンの取引価格が高いほど、異なる電子ゲームにおいて有利になるようにトークンに対するパラメータが設定される。また、トークンが属する電子ゲームが保有する金額量が多いほど、異なる電子ゲームにおいて有利になるようにトークンに対するパラメータが設定される。
【0043】
また、トークンのレアリティが高いほど異なる電子ゲームにおいて有利になるようにトークンに対するパラメータを設定することができる。
【0044】
[変形例1]
上記パラメータ設定処理において、電子ゲーム毎に調整係数を設定し、当該調整係数に応じて異なる電子ゲームに対する各トークンのパラメータを調整してもよい。
【0045】
例えば、第1の電子ゲームに対する調整係数を1.0、第2の電子ゲームに対する調整係数を0.5、第3の電子ゲームに対する調整係数を0.3・・・と設定し、電子ゲーム毎にステップS16において各トークンに設定されたパラメータに調整係数を乗算することによってパラメータを調整するようにしてもよい。上記ステップS16において第1のトークンに対してパラメータが360に設定され、第2のトークンに対してパラメータが164に設定された場合、第3の電子ゲームに対しては第1のトークンに対するパラメータは360×0.3=108に調整され、第2のトークンに対するパラメータは164×0.3=49.2に調整される。
【0046】
このように、電子ゲーム毎に調整係数を設定し、当該調整係数を用いて電子ゲームで使用されていたトークンに対して異なる電子ゲームでのパラメータを調整することによって、複数の電子ゲームにまたがってトークンを使用させる際のパラメータの調整を行うことが可能となる。例えば、他の電子ゲームで使用されていたトークンを容易に使用されたくない電子ゲームの場合には調整係数を低く設定しておくことによって、当該電子ゲームにおいて他の電子ゲームで使用されていたトークンを使用する際の障壁を高めることができる。
【0047】
なお、調整係数は、電子ゲームのアカウント数及び電子ゲームが保有する金額量の少なくとも1つに応じて変更されるようにしてもよい。これによって、電子ゲームの状況に応じて調整係数を設定することができる。
【0048】
[変形例2]
また、さらにトークンが属する電子ゲームにおける当該トークンに対するパラメータを調整係数として、当該調整係数に基づいて異なる電子ゲームにおけるパラメータを設定するようにしてもよい。
【0049】
具体的には、例えば、トークンが属する電子ゲームのアカウント数A、市場におけるトークンの取引価格B、トークンが属する電子ゲームが保有する金額量C、トークンが属する電子ゲームにおける既存パラメータEとして、数式(2)によって評価値Dを算出する。
(数2)
D=A×B×C×E・・・(2)
【0050】
図7に示す例では、第1のトークンが属する電子ゲームのアカウント数A=10000、第1のトークンの市場での取引価格B=100000000、第1のトークンが属する電子ゲームが保有する金額量C=1000000000、第1の電子ゲームにおける第1のトークンの既存パラメータE=100であるので、評価値D=100000000000000000000000となる。また、第2のトークンが属する電子ゲームのアカウント数A=10000、第2のトークンの市場での取引価格B=100000000、第2のトークンが属する電子ゲームが保有する金額量C=2000000000、第2の電子ゲームにおける第2のトークンの既存パラメータE=50であるので、評価値D=100000000000000000000000となる。このようにして算出された基準値に基づいて、上記と同様に相対基準値を定め、当該相対基準値に基づいて異なる電子ゲームにおけるパラメータを設定すればよい。
【0051】
どの既存パラメータを使用するかは、電子ゲーム毎に設定すればよい。例えば、第1の電子ゲームでは、使用されているトークンの経験値のパラメータを調整係数として設定し、第2の電子ゲームでは、使用されているトークンの攻撃力のパラメータを調整係数として設定する等とすればよい。
【0052】
なお、上記実施の形態及び変形例において、トークンによって異なる電子ゲームで使用できるものと、使用できないものとを設定できるようにしてもよい。これによって、電子ゲームによってはキャラクタ等のトークンを他の電子ゲームで使用されたくないという要望がある場合に他の電子ゲームでの使用を禁止することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 処理部、12 記憶部、14 入力部、16 出力部、18 通信部、20 処理部、22 記憶部、24 入力部、26 出力部、28 通信部、100 パラメータ設定システム、102 サーバコンピュータ、104 ユーザ端末、106 ネットワーク、200 パラメータ付与部、202 コントラクト、204 アプリケーション、206 ユーザ、208 ブロックチェーン基盤。