(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】ロック可能なストラップおよび三脚アダプタを有するカメラ携帯システム
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20231027BHJP
【FI】
G03B17/56 D
G03B17/56 J
(21)【出願番号】P 2022500560
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 US2020040764
(87)【国際公開番号】W WO2021003437
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-03-03
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522004852
【氏名又は名称】ジンクス、イノベーションズ、リミテッド、ライアビリティー、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JINX INNOVATIONS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ジム、カースリー
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0093230(US,A1)
【文献】国際公開第2009/020401(WO,A1)
【文献】中国実用新案第202972432(CN,U)
【文献】実開昭57-046192(JP,U)
【文献】国際公開第2018/127546(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0330063(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0101784(US,A1)
【文献】特開平05-309010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラの底面に添付されるように構成されたベースアタッチメントであって、空間的に離間した第1底部アイレットおよび第2底部アイレットを含むベースアタッチメントを備えるカメラ携帯システムであって、
第1ストラップ端部および第2ストラップ端部を有するショルダストラップが、前記第1底部アイレットおよび前記第2底部アイレットに接続されると、第1束縛ポイントおよび第2束縛ポイントが形成され、
前記第1束縛ポイントおよび前記第2束縛ポイントは、回転軸を構成し、前記回転軸は、前記カメラの前記底面に対して実質的に平行であるとともに、前記カメラの後面に対して実質的に平行であり、かつ前記カメラの質量中心の下方にあ
り、
前記カメラ携帯システムは、
前記ショルダストラップが通される単数または複数のループを有するショルダパッドと、
ロック機構と、
をさらに含み、
前記ロック機構は、係合時には、前記ショルダストラップと前記ショルダパッドとの間の摩擦を増加させて、前記ショルダストラップが前記ショルダパッドに沿って摺動することを防止するとともに、係合解除時には、前記ショルダストラップと前記ショルダパッドとの間の摩擦を減少させて、前記カメラの移動に応じて前記ショルダストラップが前記ショルダパッドに沿って摺動することを容易にする、
カメラ携帯システム。
【請求項2】
前記ショルダパッドの外側を向く面が第1材料から構成され、前記ショルダストラップが第2材料から構成され、
前記第1材料および前記第2材料は、前記第1材料と前記第2材料との間の選択された動的摩擦係数に基づいて選定される、
請求項1に記載のカメラ携帯システム。
【請求項3】
前記ベースアタッチメントは、貫通孔を含み、
前記貫通孔は、前記貫通孔を貫通するネジが、前記ベースアタッチメントを前記カメラに固定するために、前記カメラの三脚ソケットにねじ込まれるように構成される、
請求項1に記載のカメラ携帯システム。
【請求項4】
前記第1底部アイレットおよび前記第2底部アイレットは、前記ベースアタッチメントの後面に添付される、
請求項1に記載のカメラ携帯システム。
【請求項5】
前記第1底部アイレットおよび前記第2底部アイレットは、前記ベースアタッチメントの第1側面および第2側面に添付される、
請求項1に記載のカメラ携帯システム。
【請求項6】
前記第1底部アイレットおよび前記第2底部アイレットは、前記ベースアタッチメントの底面に添付される、
請求項1に記載のカメラ携帯システム。
【請求項7】
物体を携帯するためのショルダストラップシステムであって、
前記物体に接続するように構成された第1ストラップ端部および第2ストラップ端部を有するショルダストラップと、
前記ショルダストラップが通される単数または複数のループを有するショルダパッドと、
ロック機構と、
を備え、
前記ロック機構は、係合時には、前記ショルダストラップと前記ショルダパッドとの間の摩擦を増加させて、前記ショルダストラップが前記ショルダパッドに沿って摺動することを防止するとともに、係合解除時には、前記ショルダストラップと前記ショルダパッドとの間の摩擦を減少させて、前記物体の移動に応じて前記ショルダストラップが前記ショルダパッドに沿って摺動することを容易にし、
前記第1ストラップ端部および前記第2ストラップ端部の各々は、コードループコネクタと、取り付けられた物体への接続のための長さを有するコードと、を含み、
前記コードループコネクタは、対応する長さの前記コードを受容する開口部を形成する折り返し部を有し、前記コードループコネクタは、前記コードループコネクタの端部を選択的に締結および締結解除するためのスナップコネクタを有し、
前記第1ストラップ端部および前記第2ストラップ端部の各々は、対応する長さの前記コードを受容するグロメットをさらに含む、
ショルダストラップシステム。
【請求項8】
カメラの底面に添付されるように構成されたベースアタッチメントであって、ベースプレート、及び前記ベースプレートに接続されたベースプレートインサートを含むベースアタッチメントと、
前記ベースアタッチメントに固定されるとともに空間的に離間した第1底部アイレットおよび第2底部アイレットと、
前記
ベースプレートの露出面に形成されたネジチャンバであって、カメラ係止ネジを受容するように構成されたネジチャンバと、
を備えるカメラ携帯システムであって、
第1ストラップ端部および第2ストラップ端部を有するショルダストラップが、前記第1底部アイレットおよび前記第2底部アイレットに接続されると、第1束縛ポイントおよび第2束縛ポイントが形成され、
前記第1束縛ポイントおよび前記第2束縛ポイントは、回転軸を構成し、前記回転軸は、前記カメラの前記底面に対して実質的に平行であるとともに、前記カメラの後面に対して実質的に平行であり、かつ前記カメラの質量中心の下方にあ
り、
前記ベースアタッチメントに選択的に係合する三脚アダプタと、前記三脚アダプタを前記ベースアタッチメントに解放可能に固定するためのピンと、をさらに含み、
前記ピンがバネ負荷を受けることにより、前記ピンの一方向における移動は、前記ピンと連通するバネを圧縮させて前記三脚アダプタを前記ベースアタッチメントにロックし、前記ピンの反対方向における移動は、前記バネを解放して前記三脚アダプタをロック解除し、前記三脚アダプタを前記ベースアタッチメントから取り外すことができる、カメラ携帯システム。
【請求項9】
前記三脚アダプタは、前記ベースプレートに形成された中央スロットの対向する側面に配置された対応する凹部と一致する少なくとも1つの凸部を含む、
請求項
8に記載のカメラ携帯システム。
【請求項10】
前記ベースアタッチメントは、前記カメラ係止ネジを受容するネジ穴をさらに含む、
請求項
8に記載のカメラ携帯システム。
【請求項11】
前記ベースアタッチメントおよび前記三脚アダプタは、前記カメラ係止ネジを受容する整列したネジ穴をさらに含む、
請求項
9に記載のカメラ携帯システム。
【請求項12】
ベースプレートと、前記ベースプレートに接続されたベースプレートインサートとを含むベースアタッチメントと、
前記ベースアタッチメントに固定されるとともに空間的に離間した第1底部アイレットおよび第2底部アイレットと、
前記
ベースプレートの露出面に形成されたネジチャンバであって、カメラ係止ネジを受容するように構成されたネジチャンバと、
を備えるカメラ携帯システムでの使用に特に適したベースアタッチメントであって、
前記ベースアタッチメントは、カメラの底面に、前記カメラの底面に形成された三脚ソケットと係合する前記カメラ係止ネジにより固定されるように構成され
、
前記ベースアタッチメントに選択的に係合する三脚アダプタと、前記三脚アダプタを前記ベースアタッチメントに解放可能に固定するためのピンと、をさらに含み、
前記ピンがバネ負荷を受けることにより、前記ピンの一方向における移動は、前記ピンと連通するバネを圧縮させて前記三脚アダプタを前記ベースアタッチメントにロックし、前記ピンの反対方向における移動は、前記バネを解放して前記三脚アダプタをロック解除し、前記三脚アダプタを前記ベースアタッチメントから取り外すことができる、
ベースアタッチメント。
【請求項13】
前記カメラ係止ネジは、前記ベースプレートインサートの隣接又は近接する面を超えて外側に延び出さないように構成される、
請求項
12に記載のベースアタッチメント。
【請求項14】
ベースプレート、及び前記ベースプレートに接続されたベースプレートインサートを含むベースアタッチメントと、
前記ベースプレートに形成された中央スロットと、
前記ベースアタッチメントに固定されるとともに空間的に離間した第1底部アイレットおよび第2底部アイレットと、
前記
ベースプレートの露出面に形成されたネジチャンバであって、カメラ係止ネジを受容するように構成されたネジチャンバと、
前記ベースプレートの前記中央スロットに選択的に係合する三脚アダプタと、
を備えるカメラ携帯システムでの使用に特に適したベースアタッチメントであって、
前記ベースアタッチメントは、カメラの底面に、前記カメラの底面に形成された三脚ソケットと係合する前記カメラ係止ネジにより固定されるように構成される、
ベースアタッチメント。
【請求項15】
前記三脚アダプタは、前記ベースプレートの前記中央スロットの対応する凹部に配置される少なくとも1つの凸部を含む、
請求項
14に記載のベースアタッチメント。
【請求項16】
前記ベースアタッチメントに装着された作動ピンであって、前記三脚アダプタの前記ベースアタッチメントに対する係合をロックおよびロック解除するように選択的に動作可能な作動ピンをさらに含む、
請求項
14に記載のベースアタッチメント。
【請求項17】
ショルダストラップによってカメラの携帯を安定化させる方法であって、
前記カメラの底面に添付されるように構成されたベースアタッチメントであって、空間的に離間した第1底部アイレットおよび第2底部アイレットを含むベースアタッチメントを備えるカメラ携帯システムを提供するステップと、
ショルダストラップを提供するステップと、
前記ショルダストラップの第1ストラップ端部および第2ストラップ端部を、前記第1底部アイレットおよび前記第2底部アイレットにそれぞれ接続するステップと、
を備え、
前記接続するステップにより、第1束縛ポイントおよび第2束縛ポイントが形成され、前記第1束縛ポイントおよび前記第2束縛ポイントは、回転軸を構成し、前記回転軸は、前記カメラの前記底面に対して実質的に平行であるとともに、前記カメラの後面に対して実質的に平行であり、かつ前記カメラの質量中心の下方にあ
り、
前記ショルダストラップが通される単数または複数のループを有するショルダパッドを提供するステップと、
ロック機構を提供するステップと、
前記ロック機構を前記ショルダストラップに対して係合するステップであって、前記ショルダストラップと前記ショルダパッドとの間の摩擦を増加させて、前記ショルダストラップが前記ショルダパッドに沿って摺動することを防止するステップと、
前記ロック機構を選択的に係合解除して、前記ショルダストラップと前記ショルダパッドとの間の摩擦を減少させて、前記カメラの移動に応じて前記ショルダストラップが前記ショルダパッドに沿って摺動することを容易にするステップと、
をさらに含む、
方法。
【請求項18】
前記カメラに固定される三脚アダプタであって、前記ベースアタッチメントに選択的に係合する三脚アダプタを提供するステップと、
前記
三脚アダプタを前記ベースアタッチメントに選択的に係合および係合解除するステップと、をさらに含み、
係合解除時には、前記三脚アダプタおよび前記カメラは前記ベースアタッチメントから分離し、係合時には、前記三脚アダプタおよび前記カメラは前記ベースアタッチメントに接続する、
請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1ストラップ端部および前記第2ストラップ端部の各々は、コードループコネクタと、取り付けられた物体への接続のための長さを有するコードと、を含み、
前記コードループコネクタは、対応する長さの前記コードを受容する開口部を形成する折り返し部を有し、前記コードループコネクタは、前記コードループコネクタの端部を選択的に締結および締結解除するためのスナップコネクタを有し、
前記第1ストラップ端部および前記第2ストラップ端部の各々は、対応する長さの前記コードを受容するグロメットをさらに含む、
ことをさらに含む
請求項
17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ用の付属品に関し、より詳細には、カメラを便利に、かつ安定して携帯するためのカメラ携帯システム、ならびに一体型の三脚アダプタを含む本発明の実施形態に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのカメラ撮影者は、カメラ本体に直接添付されたアイレット(eyelet,ハトメ)や突起に接続するカメラストラップを使用してカメラを携帯する。ストラップを撮影者の首、肩、または手頸にかければ、ストラップにより撮影者が誤ってカメラを落とすことが防止される。したがって、カメラストラップは、カメラを損傷から保護するのに役立つ。
【0003】
多くのカメラは、カメラ本体の上部に直接添付された一対のアイレットを含んでいる。これには、一眼レフ(SLR)カメラ、デジタル一眼レフ(DSLR)カメラ、ミラーレスレンズ交換式カメラ、コンパクトデジタルカメラ、ブリッジカメラが含まれる。アイレットは、カメラ本体の上面、カメラ本体の前面の上部、カメラ本体の後面の上部、またはカメラ本体の2つの側面の各々の上部に配置され得る。いずれの場合にも、アイレットは、アイレット同士を結ぶ線がカメラ本体が回転し得る軸を形成するように、カメラ本体の対向する側面(すなわち左と右)に配置される。より具体的には、ショルダストラップまたはネックストラップが一対のアイレットに接続されることで対応する一対の束縛ポイントが形成されると、カメラの重量、および軸に対するカメラの質量中心(COM)の位置により、カメラ本体を軸を中心として回転させるトルクが発生し得る。撮影者が直立している場合、カメラの前面は、撮影者から見て外向きの状態で静止することとなる。したがって、交換レンズがカメラ本体に接続している場合、レンズは撮影者の外側を向くこととなり、周囲の人や物と衝突する可能性がある。このような衝突によりレンズが損傷し得る。そして、損傷のリスクは、撮影者からの突出距離が短いレンズよりも長い望遠レンズ等の長尺レンズで顕著である。発生したトルクにより、カメラが撮影者の体に絶え間なく当たり、カメラの後下端部が撮影者に接触することになり、煩わしく不快な思いをすることになる。
【0004】
本明細書において、カメラ本体の底部またはその近傍に一対の底部アイレットを形成することにより、カメラの損傷のリスクを有利に低減して安定化させるカメラ携帯システムが記載される。ショルダストラップまたはネックストラップを底部アイレットに取り付け、直立した撮影者がストラップ/カメラを装着すると、カメラ本体前面は、下を向いた状態(地面に向いた状態)で静止することとなる。このため、カメラ本体に接続された交換レンズは、撮影者の外側ではなく下を向くため、その損傷が最小とされる。いくつかの実施形態において、安定化カメラ携帯システムは、底部アイレットとともに、底面の三脚ソケットに挿入されるネジによってカメラ本体に固定され得るベースアタッチメントを形成する。別の実施形態において、底部アイレットは、カメラ本体に直接、すなわち、底面、前面の底部、後面の底部、または2つの側面の各々の底部に直接形成される。
【0005】
カメラ本体の前面が下に向いているため、本明細書に記載の安定化カメラ携帯システムは、また、カメラ本体の後面のLCDまたはLEDスクリーンが上を向くようにカメラを方向付ける。この方向付けは、撮影者との物理的な接触を最小限にすることでスクリーンを有利に保護する。例えば、撮影者は、デニム、ベルトのバックル、ベルト、ジーンズのリベット等、スクリーンを傷つけたり割ったりする可能性のある硬質および/または摩耗性の表面を有する洋服を着ている場合がある。安定化カメラ携帯システムを使用することにより、撮影者は、これらの衣類要素がスクリーンを傷つけることを心配する必要がなくなる。
【0006】
米国特許番号8,047,729および8,979,397は、ショルダストラップが底面に配置された単一の束縛ポイントにおいてカメラに接続されるカメラ携帯システムを記載している。単一の束縛ポイントの使用では、カメラがねじれてしまう。したがって、撮影者がカメラを素早く構えて写真を撮ろうとするとき、カメラが理想的でない向きとなっているかもしれない。このため、カメラストラップが巻き付いたり絡んだりしないように、回転可能なカプラが使用され得る。
【0007】
本明細書に記載の安定化カメラ携帯システムでは、底部アイレットが空間的に離間してため、回転可能なカプラや他の可動部品を必要とせずに、カメラストラップがねじれることを有利に防止する。底部アイレット同士を結ぶ線が、底面に平行な回転軸を形成することにより、カメラが自由に上下に回転できるように方向付けされている。カメラ本体の左/右回転(すなわち、垂直軸を中心とした回転)を抑制することにより、カメラの底面は常に同一の向きで撮影者に対して静止する(すなわち、レンズが下を向き、カメラの底面が撮影者に対して静止する)ため、撮影者は、カメラの向きを直したりストラップをほどいたりすることなく、カメラをより素早く構えて写真を撮ることができる。
【0008】
カメラを携帯するために使用される多くのショルダストラップでは、快適性と応答速度との間にトレードオフが存在している。より具体的には、これらのショルダストラップには、撮影者の肩に接触する際の快適性を向上させるようにパッドがついている。パッドは、通常、肩とストラップとの接触面積を増加させるように撮影者の肩に容易に適合する圧縮可能な材料である。パッドの厚さが大きければ、パッドは肩の変化により良好に適合可能となり、接触面積がさらに増加し得る。また、ストラップ(およびパッド)の幅を大きくすることでも、接触面積をある程度増加させることができる。接触面積が大きければ肩への圧力が減少するため、快適性が高まるとともに筋肉痛や疲労の軽減に資する。
【0009】
しかしながら、肩とストラップとの接触面積が大きくなればなるほど、肩とストラップの底面との間の摩擦も大きくなる。撮影者がカメラを自分の目の高さまで持ち上げるためには、撮影者は、摩擦に打ち勝つのに十分な大きさの力をカメラに加えなければならない。一般に、摩擦が大きいほど、カメラを上方に加速する速度は遅くなる。したがって、厚いパッドおよび/または幅広のストラップは、薄いおよび/または幅狭のストラップよりも快適ではあるが、撮影者が所望のショットを撮影するように十分に素早く応答することを妨げる場合がある。
【0010】
このトレードオフを克服するために、ショルダストラップを、撮影者の肩に対して静止するショルダパッドに通すことができる。ショルダパッドの幅および/または厚さは、快適性を提供するよう肩との大きな接触面積を得るように選択され得る。同時に、ショルダパッドは、ショルダストラップをショルダパッドに対して容易に摺動させ得る材料で構成され得る。これにより、カメラを素早く移動させることが容易とされる。換言すれば、肩とショルダパッドの底面との間の摩擦を、ショルダストラップとショルダパッドの上面との間の摩擦とは別個に設計することができるため、快適性と迅速性との両方が同時に達成される。
【0011】
いくつかの実施例によれば、安定化カメラ携帯システムは、ロック可能なショルダストラップを特徴としている。ショルダストラップのロック解除時には、ショルダストラップは、撮影者の肩に固定されたままであるショルダパッドに対して容易に摺動することが可能とされる。上述のように、ショルダストラップとショルダパッドとの間の摩擦が低いことにより、カメラの上方への素早い加速が容易となり、応答速度が向上する。ロック時には、ショルダストラップはショルダパッドに対して摺動しないため、撮影者が移動しつつカメラを使用していないときに、カメラがねじれたり、ずれたり、ぶらついたりすることを有利に防止する助けとなる。例えば、撮影者が体を傾けた場合(例えば、膝をつく、または自転車に乗る場合)、ロックされたショルダストラップは、カメラが前方にずれて撮影者の胴体から垂れ下がって、損傷を受けやすくなること、および不快な位置に留まり得ることを防止する。他の例において、ロックされたショルダストラップは、撮影者が走ったり、登山したり、散策したりしている間に、カメラがずれることを防止する。ロック機構(例えば、カムバックルまたはカムレバー)を、ショルダストラップを所定位置にロックするように係合する、またはショルダストラップをショルダパッドに対して自由に摺動させ得るよう係合解除することが素早くできる。
【発明の概要】
【0012】
本発明の上述の特徴を考慮すると、一態様において、本発明は、カメラの底面に添付されるように構成されたベースアタッチメントであって、空間的に離間した第1底部アイレットおよび第2底部アイレットを含むベースアタッチメントを備えるカメラ携帯システムであって、第1ストラップ端部および第2ストラップ端部を有するショルダストラップが、前記第1底部アイレットおよび前記第2底部アイレットに接続されると、第1束縛ポイントおよび第2束縛ポイントが形成され、前記第1束縛ポイントおよび前記第2束縛ポイントは、回転軸を構成し、前記回転軸は、前記カメラの前記底面に対して実質的に平行であるとともに、前記カメラの後面に対して実質的に平行であり、かつ前記カメラの質量中心の下方にあるカメラ携帯システムであるとみなされ得る。
【0013】
本発明のこの第1態様に関して、任意の特徴が組み込まれ得る。これらの任意の特徴は、以下を含み得る。(1)前記ショルダストラップが通される単数または複数のループを有するショルダパッドと、ロック機構と、をさらに含み、前記ロック機構は、係合時には、前記ショルダストラップと前記ショルダパッドとの間の摩擦を増加させて、前記ショルダストラップが前記ショルダパッドに沿って摺動することを防止するとともに、係合解除時には、前記ショルダストラップと前記ショルダパッドとの間の摩擦を減少させて、前記カメラの移動に応じて前記ショルダストラップが前記ショルダパッドに沿って摺動することを容易にする。(2)前記ショルダパッドの外側を向く面が第1材料から構成され、前記ショルダストラップが第2材料から構成され、前記第1材料および前記第2材料は、前記第1材料と前記第2材料との間の選択された動的摩擦係数に基づいて選定される。(3)前記ベースアタッチメントは、貫通孔を含み、前記貫通孔は、前記貫通孔を貫通するネジが、前記ベースアタッチメントを前記カメラにしっかり固定するために、前記カメラの三脚ソケットにねじ込まれるように構成される。(4)前記第1底部アイレットおよび前記第2底部アイレットは、前記ベースアタッチメントの後面に添付される。(5)前記第1底部アイレットおよび前記第2底部アイレットは、前記ベースアタッチメントの第1側面および第2側面に添付される。(6)前記第1底部アイレットおよび前記第2底部アイレットは、前記ベースアタッチメントの底面に添付される。
【0014】
本発明の他の態様によれば、物体を携帯するためのショルダストラップシステムであって、前記物体に接続するように構成された第1ストラップ端部および第2ストラップ端部を有するショルダストラップと、前記ショルダストラップが通される単数または複数のループを有するショルダパッドと、ロック機構と、を備え、前記ロック機構は、係合時には、前記ショルダストラップと前記ショルダパッドとの間の摩擦を増加させて、前記ショルダストラップが前記ショルダパッドに沿って摺動することを防止するとともに、係合解除時には、前記ショルダストラップと前記ショルダパッドとの間の摩擦を減少させて、前記物体の移動に応じて前記ショルダストラップが前記ショルダパッドに沿って摺動することを容易にするショルダストラップシステムが考えられる。
【0015】
ショルダストラップシステムの任意の特徴は、さらに以下を含み得る。(1)前記第1ストラップ端部および前記第2ストラップ端部の各々は、コードループコネクタと、取り付けられた物体への接続のための長さを有するコードと、を含む。(2)前記コードループコネクタは、対応する長さの前記コードを受容する開口部を形成する折り返し部を有し、前記コードループコネクタは、前記コードループコネクタの端部を選択的に締結および締結解除するためのスナップコネクタを有する。(3)前記第1ストラップ端部および前記第2ストラップ端部の各々は、対応する長さの前記コードを受容するグロメット(grommet、ハトメ)をさらに含む。
【0016】
本発明のさらに他の態様によれば、カメラの底面に添付されるように構成されたベースアタッチメントであって、ベースプレート、及び前記ベースプレートに接続されたベースプレートインサートを含むベースアタッチメントと、前記ベースアタッチメントに固定されるとともに空間的に離間した第1底部アイレットおよび第2底部アイレットと、前記ベースプレートインサートの露出面に形成されたネジチャンバであって、カメラ係止ネジを受容するように構成されたネジチャンバと、を備えるカメラ携帯システムであって、第1ストラップ端部および第2ストラップ端部を有するショルダストラップが、前記第1底部アイレットおよび前記第2底部アイレットに接続されると、1束縛ポイントおよび第2束縛ポイントが形成され、前記第1束縛ポイントおよび前記第2束縛ポイントは、回転軸を構成し、前記回転軸は、前記カメラの前記底面に対して実質的に平行であるとともに、前記カメラの後面に対して実質的に平行であり、かつ前記カメラの質量中心の下方にあるカメラ携帯システムが考えられる。
【0017】
本発明のこの第3態様によれば、任意の特徴は、前記ベースアタッチメントに選択的に係合する三脚アダプタをさらに含み得る。前記三脚アダプタは、前記ベースプレートに形成された中央スロットから延びる対応する凸部を受容する少なくとも1つのスロットを含む。
【0018】
本発明のさらに他の態様によれば、ベースプレート、及び前記ベースプレートに接続されたベースプレートインサートを含むベースアタッチメントと、前記ベースアタッチメントに固定されるとともに空間的に離間した第1底部アイレットおよび第2底部アイレットと、前記ベースプレートインサートの露出面に形成されたネジチャンバであって、カメラ係止ネジを受容するように構成されたネジチャンバと、を備えるカメラ携帯システムでの使用に特に適したベースアタッチメントであって、前記ベースアタッチメントは、カメラの底面に、前記カメラの底面に形成された三脚ソケットと係合する前記カメラ係止ネジにより固定されるように構成されるベースアタッチメントが考えられる。
【0019】
本発明のこの第4態様によれば、任意の特徴では、前記カメラ係止ネジが、前記ベースプレートインサートの隣接又は近接する面を超えて外側に延び出さないように構成されることを含み得る。
【0020】
本発明のさらに他の態様によれば、ベースプレート、及び前記ベースプレートに接続されたベースプレートインサートを含むベースアタッチメントと、前記ベースプレートに形成された中央スロットと、前記ベースアタッチメントに固定されるとともに空間的に離間した第1底部アイレットおよび第2底部アイレットと、前記ベースプレートインサートの露出面に形成されたネジチャンバであって、カメラ係止ネジを受容するように構成されたネジチャンバと、前記ベースプレートの前記中央スロットに選択的に係合する三脚アダプタと、備えるカメラ携帯システムでの使用に特に適したベースアタッチメントであって、前記ベースアタッチメントは、カメラの底面に、前記カメラの底面に形成された三脚ソケットと係合する前記カメラ係止ネジにより固定されるように構成されるベースアタッチメントが考えられる。
【0021】
本発明のこの第5態様によれば、任意の特徴は、さらに以下を含み得る。(1)前記三脚アダプタは、前記ベースプレートの前記中央スロットから延びる対応する凸部を受容する少なくとも1つのスロットを含む。(2)前記ベースアタッチメントに装着された作動ピンであって、前記三脚アダプタの前記ベースアタッチメントに対する係合をロックおよびロック解除するように選択的に動作可能な作動ピン。
【0022】
本発明のさらに他の態様によれば、ショルダストラップによってカメラの携帯を安定化させる方法であって、前記カメラの底面に添付されるように構成されたベースアタッチメントであって、空間的に離間した第1底部アイレットおよび第2底部アイレットを含むベースアタッチメントを備えるカメラ携帯システムを提供するステップと、ショルダストラップを提供するステップと、前記ショルダストラップの第1ストラップ端部および第2ストラップ端部を、前記第1底部アイレットおよび前記第2底部アイレットにそれぞれ接続するステップと、を備え、前記接続するステップにより、第1束縛ポイントおよび第2束縛ポイントが形成され、前記第1束縛ポイントおよび前記第2束縛ポイントは、回転軸を構成し、前記回転軸は、前記カメラの前記底面に対して実質的に平行であるとともに、前記カメラの後面に対して実質的に平行であり、かつ前記カメラの質量中心の下方にある方法が考えられる。
【0023】
本発明のこの第6態様によれば、任意の特徴を以下を含み得る。(1)前記ショルダストラップが通される単数または複数のループを有するショルダパッドを提供するステップと、ロック機構を提供するステップと、前記ロック機構を前記ショルダストラップに対して係合するステップであって、前記ショルダストラップと前記ショルダパッドとの間の摩擦を増加させて、前記ショルダストラップが前記ショルダパッドに沿って摺動することを防止するステップと、前記ロック機構を選択的に係合解除して、前記ショルダストラップと前記ショルダパッドとの間の摩擦を減少させて、前記カメラの移動に応じて前記ショルダストラップが前記ショルダパッドに沿って摺動することを容易にするステップと、をさらに含む。(2)前記カメラに固定される三脚アダプタであって、前記ベースアタッチメントに選択的に係合する三脚アダプタを提供するステップと、前記三脚を前記ベースアタッチメントに選択的に係合および係合解除するステップと、をさらに含み、係合解除時には、前記三脚アダプタおよび前記カメラは前記ベースアタッチメントから分離し、係合時には、前記三脚アダプタおよび前記カメラは前記ベースアタッチメントに接続する。(3)前記三脚アダプタは、前記ベースプレートの中央スロットから延びる対応する凸部を受容する少なくとも1つのスロットを含む。本発明の他の特徴および利点は、本明細書に記載された図と併せて以下の詳細な説明を検討することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、実施形態において、撮影者の右腰に接触するようにカメラを配置する安定化カメラ携帯システムを使用する撮影者の正面図である。
【
図2】
図2は、
図1のカメラの背面図であって、実施形態において、どのようにベースアタッチメントがカメラに添付されるかを説明する図である。
【
図3】
図3は、
図1のカメラの側面図であって、実施形態において、どのようにベースアタッチメントがカメラに添付するかを説明する図である。
【
図4】
図4は、実施形態における、
図1~
図3のベースアタッチメントの上面図である。
【
図5】
図5は、
図1のカメラの側面図であって、どのように舌部付きベースアタッチメントがカメラに添付するかを説明する図である。
【
図6】
図6は、実施形態における、
図5の舌部付きベースアタッチメントの上面図である。
【
図7】
図7は、実施形態における、ベースアタッチメントの第1底部アイレットおよび第2底部アイレットの代替構成を示す。
【
図8】
図8は、実施形態における、ベースアタッチメントの第1底部アイレットおよび第2底部アイレットの代替構成を示す。
【
図9】
図9は、実施形態における、ベースアタッチメントの第1底部アイレットおよび第2底部アイレットの代替構成を示す。
【
図10】
図10は、実施形態において、
図1の安定化カメラ携帯システムが、レンズが下を向くように、どのようにカメラを
図1の撮影者の腰に対して配置するかを示す力図である。
【
図11】
図11は、実施形態において、カメラを撮影者の背中に面して配置するように
図1の安定化カメラ携帯システムを使用する
図1の撮影者の背面図である。
【
図12】
図12は、実施形態において、
図1の安定化カメラ携帯システムのロック機構の一例であるカムバックルの横断側面図である。
【
図13】
図13は、実施形態において、
図1の安定化カメラ携帯システムのロック機構の一例であるカムバックルの横断側面図である。
【
図14】
図14は、他の実施形態におけるカメラベースアタッチメントの分解斜視図である。
【
図19】
図19は、三脚アダプタを組み込んだ他の実施形態におけるカメラベースアタッチメントの分解斜視図である。
【
図20】
図20は、カメラベースアタッチメントから分離された三脚アダプタを示す
図19の実施形態の斜視図である。
【
図21】
図21は、カメラベースアタッチメントに接続された三脚アダプタを示す
図19の実施形態の斜視図である。
【
図22】
図22は、カメラベースアタッチメントから分離された三脚アダプタを示す
図19の実施形態の下部または底部斜視図である。
【
図23】
図23は、カメラベースアタッチメントに接続された三脚アダプタを示す
図19の実施形態の上平面図である。
【
図24】
図24は、ショルダストラップとともに使用するための、他の実施形態によるショルダストラップアセンブリの上平面図である。
【
図27】
図27は、カムバックルを示す
図24のショルダストラップアセンブリの中央部分の拡大斜視図である。
【
図29】
図29は、カメラコードを取り外した状態の
図26のショルダストラップアセンブリの端部分を非常に拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、撮影者102の右腰に接触するようにカメラ100を配置する安定化カメラ携帯システム118を使用する撮影者102の正面図である。カメラ携帯システム118は、ベースアタッチメント120を含んでいる。ベースアタッチメント120は、カメラ100の底面126に添付するとともに、ショルダストラップ144の第1ストラップ端部142(1)および第2ストラップ端部142(2)を受容することにより、第1束縛ポイント140(1)および第2束縛ポイント140(2)をそれぞれ形成する。束縛ポイント140(1)、140(2)は回転軸150を形成し、矢印162で示すように、この回転軸150を中心としてカメラ100が回転可能である。カメラ100が撮影者102の右腰で静止するようになるとき、カメラ100は、以下の態様で方向付けされる。すなわち、カメラ100の底面126が撮影者102の腰に対面し、カメラ100の後面124が上を向き、カメラ100に取り付けられたレンズ122が下を向く。
【0026】
図1において、撮影者102は、ショルダストラップ144を左の肩174にかけている。ショルダストラップ144は、カメラ100の重量を肩174上で分散させるショルダパッド172を通過している。ショルダパッド172は、ショルダストラップ144が通される単数または複数のループ176を含んでいる。ループ176は、ショルダストラップ144がショルダパッド172の外側を向く面170に接触し続けるように、ショルダストラップ144をショルダパッド172を横切って案内する。これにより、ショルダストラップ144がカメラ100の重量をショルダパッド172に伝達することが保証される。
図1において、ループ176は空間的に離間していることにより、ショルダストラップ144は、隣接するループ176間において覆われていない。これは、ズボンのベルトループと同様である。しかしながら、ループ176は、代替的に、ショルダパッド172上で延びるショルダストラップ144を覆う単一のシース(sheath)を形成してもよい。代替的に、ショルダパッド172は、
図1に示すように、ショルダストラップ144がショルダパッド172を横切るように配置される異なるタイプのガイド、溝、または形状を形成し得る。
【0027】
カメラ100で写真を撮るために、撮影者102は、カメラ100を(例えば、右手で、または両手で)保持し得るとともに、(例えば、カメラ100のファインダを覗くために)カメラ100を顔の高さまで持ち上げ得る。ショルダストラップ144は、摺動可能なストラップであり、撮影者102がカメラ100を上方や下方に移動させるのにつれて、ショルダストラップ144は方向152に沿って移動する。より具体的には、ショルダパッド172が肩174に対して固定された状態で、ショルダストラップ144は、ループ176を通過して移動する。
【0028】
ショルダパッド172は、ロック機構178を含んでいる。ロック機構178は、係合時には、ショルダストラップ144がショルダパッド172に対して摺動しないようにする。
図1では、ロック機構178はボタンとして示されている。撮影者102は、これを押したり摺動させたりして、ショルダストラップ144とショルダパッド172の外側を向く面170との間の摩擦を増加させ得る。本発明の範囲から逸脱せずに、他のタイプのロック機構178が使用され得る。
【0029】
ロック機構178が係合解除されると、ショルダストラップ144は、方向152に沿って自由に摺動可能となる。摺動を容易とするように、ショルダストラップ144およびショルダパッド172の外側を向く面170は、低い動摩擦係数を有する材料から構成され得る。例えば、ショルダストラップ144は、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、綿、または他のタイプの織布から作られたストラップまたはウェブから構成され得る。ショルダパッド172の外側を向く面170は、同様の材料で構成され得る。ショルダパッド172の内側を向く面であって肩174に接触する側面は、肩174(すなわち、肩174を覆う衣類材料)との高い静摩擦係数を有する材料から構成され得る。ショルダストラップ144、ショルダパッド172の外側を向く面170および/または内側を向く面を構成するために使用され得る他の材料には、合成ゴム(例えば、ネオプレン)、天然ゴム、ウール、シルク、レザー、竹繊維、リネン、およびエラスタンが含まれる。いくつかの実施形態において、ショルダストラップ144は、外側を向く面170を形成する外側層、および内側を向く面を形成する内側層に加えて単数または複数の内側層を含む多層構造を有している。
【0030】
ロック機構178は、係合時に、ショルダストラップ144を押してショルダストラップ144とショルダストラップ172の外側を向く面170との間の摩擦力を増加させる。
【0031】
摩擦力を、ショルダストラップ144がショルダパッド172に対して摺動しないよう十分に増加させる。
図1に示す例において、ロック機構178は、撮影者102が簡単にアクセスできるショルダパッド172の端ループ176(4)に収容されている。ショルダストラップ144がループ176の代わりにシースを含む場合、ロック機構178は、同じく撮影者102が簡単にアクセスできるシースの一部分(例えば、撮影者102の胸の付近)に収容され得る。
【0032】
図2および
図3は、それぞれ、どのようにベースアタッチメント120が
図1のカメラ100に添付するかを説明する、カメラ100の背面図および側面図である。
図4は、ベースアタッチメント120の上面図である。
【0033】
図2~
図4は、以下の説明とともに参照することが最適である。
【0034】
ベースアタッチメント120は、ベースアタッチメント120の後面242に添付された第1底部アイレット204(1)および第2底部アイレット204(2)を含んでいる。アイレット204は、ストラップ端部142(1)およびストラップ端部142(2)を受容するように構成される。これにより、
図1の束縛ポイント140(1)および140(2)が形成される。したがって、第1底部アイレット204(1)と第2底部アイレット204(2)とを結ぶ線が、回転軸150を構成する。第1底部アイレット201(1)と第2底部アイレット204(2)との間の距離は、カメラ100の安定性を向上させるように、すなわちカメラ100がz方向を中心としてねじれないように選択され得る。一般に、第1底部アイレット204(1)と第2底部アイレット204(2)との間の距離が大きいほど、カメラ100はねじれにくくなる。したがって、本明細書の実施形態では、カメラ100の第1側面228(1)および第2側面228(2)の付近に配置された第1底部アイレット204(1)および第2底部アイレット204(2)を示す。
【0035】
図3において、第2ストラップ端部142(2)は、第2底部アイレット204(2)に接続する三角形のラグリング305に接続されている。
図3には示さないが、第1ストラップ端部142(1)は、同様の三角形のラグリングで第1底部アイレット204(1)に接続し得る。バー、ループ、円形のリング、バックル、及び/または回転可能なカプラ(例えば、スイベル)を使用して、同様にストラップ端部142をアイレット204に接続し得る。一実施形態において、ケブラーコード材料等のパラコードのループが、第1底部アイレット204(1)および第2底部アイレット204(2)の各々を、それぞれのストラップ端部142(1)、142(2)に接続する。各パラコードループは、アイレット204の一方によって形成される穴よりも大きくてもよい。これにより、ストラップ端部142のベースアタッチメント120に対する着脱が容易になる。また、パラコードループは、撮影者102の移動中に、カメラ100の特に垂直方向における動きを有利に低減し得る機械的減衰を提供する。パラコードに代えて、バンジーコード、ナイロンロープ、ケルンマントル・ロープ等の別のタイプの弾性コードが使用され得る。
【0036】
ベースアタッチメント120は、貫通孔210を形成する。ネジ212が貫通孔210を貫通してカメラ100の底面126に形成された三脚ソケット208に係合し得る。明瞭性を期して、貫通孔210および三脚ソケット208を、
図2および
図3において断面図で示す。矢印214で示すように、ネジ212が三脚ソケット208にねじ込まれると、ベースアタッチメント120は、カメラ100にしっかりと添付される。
図2の例において、貫通孔210は、ネジ212が三脚ソケット208に完全にねじ込まれたとき、ネジ212がベースアタッチメント120の底面240より下方(すなわち、負のY方向;右側の座標系220を参照)に延び出さないように構成されたザグリ孔である。ベースアタッチメント120をカメラ100に添付するこの手段により、カメラ100を例えばテーブル上やカウンター上に置いた場合、カメラ100は、底面240で有利に平らになる。
【0037】
ベースアタッチメント120を、x方向においてカメラ100の長さと等しい長さを有するものとして
図2に示す。より具体的には、
図2は、第1側面228(1)および第2側面228(2)と同一平面にある第1側面244(1)および第2側面244(2)を有するベースアタッチメント120を示す。しかしながら、ベースアタッチメント120は、
図2に示す長さと異なる長さを有し得る。すなわち、第1側面244(1)は、x方向において、第1側面228(1)の前または後ろに位置し得る。同様に、第2側面244(2)は、x方向において、第2側面228(2)の前または後ろに位置し得る。一実施形態において、ベースアタッチメント120の長さは、カメラ100の長さよりも長く、ベースアタッチメント120は、第1底部アイレット204(1)および第2底部アイレット204(2)を、それらの間の距離がカメラ100の長さよりも長くなるように形成する。この実施形態において、第1底部アイレット204(1)と第2底部アイレット204(2)との間の距離が大きいため、カメラ100がz方向を中心としてねじれることが防止されることにより、カメラ100の安定性が高まる。
【0038】
ベースアタッチメント120を、z方向においてカメラ100の幅と等しい幅を有するものとして
図3に示す。より具体的には、
図3は、カメラ100の後面124と同一平面にある後面242と、カメラ100の前面329(すなわち、カメラ100の本体の前面)と同一平面にあるベースアタッチメント120の前面342を有するベースアタッチメント120を示す。しかしながら、ベースアタッチメント120は、
図3に示す幅と異なる幅を有し得る。すなわち、後面242は、z方向において、後面124の前または後ろに位置し得る。同様に、前面342は、z方向において、前面329の前または後ろに位置し得る。
【0039】
ベースアタッチメント120は、
図2~
図4において矩形プレートとして示されているが、代替的に、ベースアタッチメント120は、カメラ100のサイズおよび形状に基づいて構成され得る。また、ベースアタッチメント120は、スロット、ストップ、キー、および/または他の物理的特徴を用いて、ベースアタッチメント120が1つの向きにのみカメラ100に添付されるように構成され得る。したがって、ネジ212が三脚ソケット208にねじ込まれる際、ベースアタッチメント120は、ネジ212の回転を理由としてx-z平面内で回転しない。また、貫通孔210が三脚ソケット208と整列してネジ212が貫通可能となることを保証するように、必要に応じて、ベースアタッチメント120は、
図2~
図4に示す位置とは異なる位置(すなわちxおよびz方向において)に貫通孔210を形成し得る。
【0040】
ベースアタッチメント120は、金属(例えば、アルミニウム)、プラスチック(例えば、ABSまたはPVC)、木材、複合材料(例えば、炭素繊維強化ポリマー)、または他の材料から形成され得る。ベースアタッチメント120がカメラ100よりも柔軟性のある材料から形成される場合、カメラ100をテーブル上やカウンター上に直接置く場合に比較してカメラ100が置かれたテーブルやカウンターを、底面240で傷つけることが少ない。ベースアタッチメント120がカメラ100の材料と同等またはそれ以上の硬度を有する材料から形成される場合、テーブルやカウンターを傷や他の形態の物理的損傷から保護することために、底面240は柔軟性のある材料(例えば、フェルト、皮、プラスチック)で覆われ得る。
【0041】
ベースアタッチメント120は、別個に構成されたプレートに(例えば、エポキシ樹脂、溶接、はんだ付け等を介して)アイレット204を添付することにより形成され得る。代替的に、ベースアタッチメント120は、アイレット204を直接形成するように構成され得る。例えば、ベースアタッチメント120は、アイレットとして機能する貫通孔を各側に有するように機械加工され得る。代替的に、ベースアタッチメント120は、各側に凹部を有するように機械加工されてもよく、凹部を横切るように添付されたピンが、アイレットとして機能するストラップマウントを形成する。
【0042】
図5は、カメラ100の側面図であって、どのように舌部付きベースアタッチメント521がカメラ100に添付するかを説明する図である。
図6は、舌部付きベースアタッチメント521の上面図である。
図5および
図6は、以下の説明とともに参照することが最適である。
【0043】
舌部付きベースアタッチメント521は、正のz方向に沿って延びる舌部530を形成している点を除いて、
図1~
図4のベースアタッチメントと同様である。貫通孔210に加えて、舌部付きベースアタッチメント521は、ねじ込み三脚ソケット540も形成している。ねじ込み三脚ソケット540により、撮影者は、カメラ100およびベースアタッチメント521を、三脚ソケットを必要とする追加のカメラ付属品(例えば、三脚)とともに使用することができる。したがって、舌部付きベースアタッチメント521が三脚ソケット208を使用しつつ、舌部付きベースアタッチメント521は、三脚ソケット208の代わりとして三脚ソケット540を形成する。明瞭性を期して、貫通孔210、三脚ソケット208、および三脚ソケット540を、
図5において断面図で示す。
【0044】
舌部付きベースアタッチメント521は、x方向およびz方向において舌部530の中心に三脚ソケット540を形成するものとして
図5および
図6に示されているが、舌部付きベースアタッチメント521は、三脚ソケット540を舌部530のいずれの位置においても形成し得る。代替的に、舌部付きベースアタッチメント521は、三脚ソケット540を、これが貫通孔210と干渉しない限りにおいて、舌部530に位置しないように形成し得る。一実施形態において、
図1~
図4のベースアタッチメント120は、三脚ソケット540を形成する。
【0045】
図7~
図9は、第1底部アイレット204(1)および第2底部アイレット204(2)の代替構成を示す。
図7において、底部アイレット204は、後面242に添付されているが、
図2~
図4に比較すると、垂直方向を向いている。すなわち、底部アイレット204の各々は、x-z平面内において平らとなるループを形成している。
図8において、第1底部アイレット204(1)が、ベースアタッチメント120の第1側面244(1)に添付され、第2底部アイレット204(2)がベースアタッチメント120の第2側面244(2)に添付されている。
図9において、底部アイレット204は、ベースアタッチメント120の底面240に添付されている。
図7~
図9は、ベースアタッチメント120での代替構成を示しているが、これらは舌部付きベースアタッチメント521でも実現され得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、底部アイレット204は、いかなるベースアタッチメント(例えば、ベースアタッチメント120または舌部付きベースアタッチメント521)も用いずに、カメラ100に直接添付される。底部アイレット204は、
図1~
図9に示すものと同様の位置、幾何形状、および/または向きで、カメラ100に直接添付され得る。他の実施形態において、底部アイレット204は、カメラ100の上部またはその付近に配置された一対の上部アイレットに加えて、カメラ100に直接添付される。これらの上部アイレットは、従来技術のカメラに現在含まれているものと同様であり得る。したがって、これらの実施形態においては、カメラ100は4つのアイレットを有し、そのうちの任意の2つがカメラストラップと主に使用され得る。これらの実施形態は、撮影者にカメラストラップをカメラに添付する複数の方法を提供する。例えば、撮影者は、従来技術のカメラで現在行われているように、カメラストラップを上部アイレットに接続し得る。代替的に、撮影者は、
図1~
図9に示す機能を提供する底部アイレットを使用し得る。また、撮影者は、カメラの一側の両方のアイレット(例えば、上部の左側および底部の左側)、または対向する隅部に配置されたアイレット(例えば、上部の左側および底部の右側)を使用し得る。
【0047】
図10は、安定化カメラ携帯システム118が、レンズ122が正のz方向(右側の座標系220を参照)において下を向くように、どのようにカメラ100を撮影者102の腰1020に対して配置するかを示す力図である。以下の説明における明瞭性を期して、撮影者102およびカメラ100は、
図1と同様の向きを向いている。すなわち、撮影者102は、ショルダストラップ144を左肩174にかけた状態で垂直方向に立っており、腰1020は撮影者102の右腰である。重力は、正のz方向に向く。
【0048】
第2ストラップ端部142(2)は、第2底部アイレット204(2)に接続して、第2束縛ポイント140(2)を形成している。
図10に示さないが、第1ストラップ端部142(1)も、第1底部アイレット204(1)に接続して、第1束縛ポイント140(1)を形成している(
図1参照)。束縛ポイント140(1)と束縛ポイント140(2)とを結ぶ線は、x軸に平行な回転軸150を形成する。すなわち、回転軸150は、カメラ100の底面126および後面124の両方に対して平行である。カメラ100の重量1004は、カメラ100の質量中心(以下、COMとも称する)1002に対して下方に(すなわち正のz方向に)作用する。COM1002は、回転軸150からy方向において第1ずれ量1012だけずれている。第1ずれ量1012と重量1004との積は、カメラ100(およびレンズ122(これは、レンズ122がカメラ100に取り付けられている場合))を回転軸150を中心として回転させようとする第1トルク1062を形成する。第1トルク1062は、正のx軸を中心として時計周りの向きとなるため、レンズ122を腰1020に向かって駆動する。
【0049】
図10に示すように、第1トルク1062が正のx軸を中心として時計周りの向きとなることを保証するためには、第1ずれ量1012は正でなければならない。すなわち、COM1002のy座標は、回転軸150のy座標よりも大きい必要がある。したがって、
図3のように、カメラ100がベースアタッチメント120の底面240上にある場合、回転軸150は、COM1002の下方に配置される。安定化カメラ携帯システム118のベースアタッチメント120は、回転軸150からz方向において第2ずれ量1016だけずれている有効接触点1014で、右腰1020に接触する。
【0050】
有効接触点1014において、腰1020は、ベースアタッチメント120に垂直抗力1018を及ぼす。第2ずれ量1016と垂直抗力1018との積は、カメラ100を回転軸150の周りに第1トルク1062の方向と反対の方向に回転させようとする第2トルク1064を形成する(すなわち、第2トルク1064は、正のx軸を中心として反時計周りの向きとなる)。腰1020は、第1トルク1062および第2トルク1064が等しい大きさと反対の方向とを有するような大きさ、したがって、カメラ100が腰1020で静止しているときの合計が0になるような大きさの垂直抗力1018を生成する。
【0051】
重量1004および垂直抗力1018を受けて、張力1024がショルダストラップ144に沿って形成される。張力1024の垂直成分1026は、重量1004と同じ大きさを有しているが、反対方向(すなわち、負のz方向)の向きを有するため、カメラ100が腰1020で静止しているとき、カメラ100に作用するz方向の力の合計はゼロになる。張力1024の水平成分1028は、垂直抗力1018と同じ大きさを有しているが、反対方向(すなわち、負のy方向)の向きを有するため、カメラ100が腰1020で静止しているとき、カメラ100に作用するy方向の力の合計はゼロになる。
【0052】
図10は、撮影者102の右腰(すなわち、腰1020)に対して静止しているカメラ100を示しているが、カメラ100が撮影者102の別の部位、例えば、撮影者102の腹、背中、左腰で静止している場合にも同様の論旨が適用される。
【0053】
図11は、カメラ100を撮影者102の背中に面して配置するように安定化カメラ携帯システム118を使用する撮影者102の背面図である。
図1と同様に、撮影者102は、カメラ100を、肩174に配置されたショルダパッド172上で延びるショルダストラップ144で携帯している。第1束縛ポイント140(1)および第2束縛ポイント140(2)は、回転軸150を構成する。回転軸150を中心として、カメラ100は、レンズ122が下を向くように回転し得る。撮影者102は、撮影者102が歩いたり膝をついたりしてカメラ100を一時的に使用していないとき、
図11に示すようにカメラ100を携帯することを選択し得る。この場合、撮影者102は、歩行中にカメラ100が前後に揺れることを防ぐように、カメラ100を自分の背中に面するように配置し得る。撮影者がロック機構178(
図1参照)を係合してショルダストラップ144が方向152に沿って摺動できないようにすれば、カメラ100は
図11に示す位置でさらに安定し、撮影者102の移動中(例えば、歩いているとき、膝をついているとき、自転車に乗っているとき、走っているとき、散策しているとき、登山しているとき等)にカメラ100が保護されるとともに、カメラ100が撮影者102の移動を阻害することが防止される。
【0054】
図12および
図13は、ロック機構178の一例であるカムバックル1200の横断面図である。
図12において、カムバックル1200は、開放位置、すなわちロック解除位置にあるため、ショルダストラップ144はショルダパッド172に対して方向152に沿って自由に並進し得ることが示されている。
図13において、カムバックル1200は、閉鎖位置、すなわちロック位置にあるため、ショルダストラップ144はショルダパッド172に対して並進できないことが示されている。カムバックル1200は、カムバックル1200がショルダパッド172に対して摺動できないように、ショルダパッド172に添付されている(例えば、縫い付けられている、またはリベット留めされている)。
【0055】
カムバックル1200は、テクスチャー加工された表面1204を有するレバー1206を含んでいる。カムバックル1200を
図12のロック解除位置から
図13のロック位置に変更するには、レバー1206を方向1210に移動させることで、レバー1206およびテクスチャー加工された表面1204を軸1208を中心として反時計回りに回転させる。ロック位置において、テクスチャー加工された表面1204がショルダストラップ144と物理的に連結して、ショルダストラップ144とカムバックル1200のプラットフォーム1214との間の摩擦が増加することにより、ショルダストラップ144が所定位置にロックされる。テクスチャー加工された表面1204は、ローレット面、鋸歯状面、またはショルダストラップ144をつかむように設計された他の面であり得る。カムバックル1200をロック位置からロック解除位置に変更するには、レバー1206を方向1210の反対方向に移動させて、レバー1206およびテクスチャー加工された表面1204を軸1208を中心として時計回りに回転させる。
【0056】
図12および
図13には示さないが、カムバックル1200は、軸1208を構成するピンの端部を支持する2つのサイドプレートを含む。サイドプレートは、レバー1206およびプラットフォーム1214と協働して、ショルダストラップ144が通過するチャネルを構成する。サイドプレートおよび/またはレバー1206は、レバー1206が閉鎖位置にある場合にそれらの間の摩擦を増加させるように構成され得る。これにより、レバー1206が閉鎖位置に留まることが確保される。
【0057】
図12および
図13は、ロック機構178の一例としてのカムバックル1200を示しているが、ショルダストラップ144をショルダパッド172に対して固定するためのロック機構178として、異なるタイプの締結具が使用され得る。例えば、ロック機構178は、ショルダストラップ144とショルダパッド172とを互いに直接押し付けてそれらの間の摩擦を増加させるカムレバーであり得る。代替的に、ロック機構178は、押し上げ/引き上げ式バックル、軍隊式バックル、腕時計留め具、またはショルダストラップ144をショルダパッド172に対して固定および解放するように作動可能な他のタイプの締結具であり得る。
【0058】
ショルダストラップ144、ショルダパッド172、およびロック機構178は、ベースアタッチメント120の有無にかかわらず、カメラ100以外の物体を、装着者の肩にかけて携帯するように、装着者によって使用され得る。例えば、装着者は、ショルダストラップ144、ショルダパッド172、およびロック機構178を使用して、銃やライフルを装着者の腰に対して携帯し、銃/ライフルの銃身が下に向く状態に(すなわち、銃がホルスタ内に配置されているのと同様の態様で)向け得る。装着者の移動中に(例えば、歩いているとき、腰を下ろしているとき、膝をついているとき等)、銃/ライフルが前後に摺動することを防ぐ助けとなるように、装着者はロック機構178を係合し得る。ユーザの肩にかけて同様に携帯され得る他の物体には、ハンドバッグ(例えば、財布、札入れ)、おむつバッグ、背負いバッグ、バックパック、ノート型PCバッグ、メッセンジャーバッグ、カメラバッグ、スポーツ用品(例えば、アーチェリーの弓)、双眼鏡、楽器ケース等が含まれる。
【0059】
図14を参照すると、他の実施形態におけるカメラベースアタッチメント300が示されている。図示のように、ベースアタッチメント300は、ベースプレート302と、ベースプレート302に接続するベースプレートインサート320とを備える2部品構成を含んでいる。
図14の図によれば、上部平面304は、グリップパッド308を受容する単数または複数の窪み306を含み得る。これらのグリップパッドは、さらなる摩擦抵抗を提供するため、ベースアタッチメントがカメラに固定されているとき、ベースアタッチメントは滑ったりずれたりしない。ベースプレートインサート320は、好適には、ゴムのような弾性エラストマー材料から作製される。したがって、このインサートは、ベースアタッチメントにある程度の衝撃保護を提供するとともに、カメラが置かれ得る表面(例えば、自動車のボンネット、またはガラス面)に傷がつくことを防止する。
【0060】
上述したカメラベースアタッチメントの実施形態と同じく、本実施形態も、ベースアタッチメントをカメラストラップ装置に固定するように使用されるアイレットを受容し得るアイレット312を含む。アイレットは、ベースプレート302の一側の対向する端部に示されているが、アイレットは、上述した実施形態で説明したように、ベースプレートの他の位置に配置され得ることを理解されたい。
【0061】
ベースアタッチメント300の形状は、アタッチメントが固定されるカメラの外周形状と一致することできる特徴を含んでいる。形状に関して本実施形態で示す例示的な特徴は、カメラの多くの背面側の形状に従い得るノッチ316およびスロット315を含む。しかしながら、ノッチおよびスロット315等の特徴は、カメラベースアタッチメントを任意の形状のカメラに適合させるように変更され得ることを理解されたい。特に、外周面すなわち外側リム310は、ベースアタッチメントが固定され得るカメラに関して可能性のある任意の適切な形状を取り得る。
【0062】
ベースプレートインサート320は、ベースプレート302に比較して相補的な形状を有している。このため、ベースプレートインサート320も、対応するノッチ322およびスロット324を含んでいる。ベースプレートインサートの外周面328も、ベースプレート302の形状に合わせて形状が変更され得る。ベースプレートインサートは、カメラ係止ネジ332を受容するサイズの中央切欠326と、切欠の内縁とカメラ係止ネジ332の外側または周囲面との間の間隙または空間と、をさらに含んでいる。この間隙により、ユーザは、ネジ332を取り外したり取り付けたりするためのDリング336を便利に把持することができる。ベースプレートをカメラから取り外したり取り付けたりするためにより大きな力が必要な場合には、ネジ332は、六角レンチを受容する六角ネジアダプタソケット333も含む。
【0063】
また、
図15を参照すると、この斜視図は、本図で方向付けされたカメラベースアタッチメントにおける、下面からのカメラベースアタッチメントのさらなる詳細を示している。ベースプレートインサート320の外周面328が外側リム310の内周面に当接するように、ベースプレートインサート320は、外側リム310により形成されたキャビティ内に受容される。ベースプレート302は、円形の形状のネジチャンバ344をさらに備えている。チャンバ344の中心にはネジ穴314がある。ネジ332のネジ部は、ネジ穴314を貫通して配置され、上述した実施形態に関して説明したように、カメラの三脚ソケット208と係合する。ネジチャンバ344の深さは、ネジ頭部334の露出した外面が、ベースプレートインサート320の露出した下面を超えて突出することがないように十分なものとされている。
【0064】
図17および
図18も参照すると、カメラベースアタッチメント300は、カメラ係止ネジ332が所定位置にある状態で組み立てられた状態で示されている。図示のように、ベースプレートインサート320は、外側リム310の下端部の下方に延びている。さらに、ベースプレートインサート320の下面は、わずかな凹状の湾曲を有している。凹状の湾曲において、ベースプレートインサート320の対向する端部は、ベースプレートインサートの中央領域よりもわずかに厚くなっている。インサート320のこの凹形状は、ユーザの身体の凸状の湾曲と一致し、使用中のより良好な快適性が提供される。
【0065】
図18は、ネジ頭部334の露出面に形成された三脚支柱開口部346も示している。開口部346は、三脚(図示せず)の接続支柱またはネジを受容するように適合されている。
図18では六角形状の開口部346を示されているが、開口部346は、三脚の特定タイプの接続支柱を受容するように、ねじ切りされ得る、または他の形状の開口部を有し得ることを理解されたい。
【0066】
上述した実施形態と同様に、撮影者がカメラを携帯したい場合、カメラベースアタッチメント300をカメラのベースに固定し、ショルダストラップ端部をアイレットに固定する。ユーザがカメラを三脚に取り付けたい場合、またはその他の理由でカメラをベースアタッチメントから分離したい場合、ユーザは、Dリング336を把持してカメラ係止ネジ332を回して外すことで、カメラをカメラベースアタッチメントから分離することができる。ベースプレートインサート320においてDリング336が中央に配置されていることにより、撮影者がベースアタッチメントをカメラに取り付ける、または再び取り付けることが非常に簡単になる。
【0067】
図19~
図21は、カメラベースアタッチメント360のさらに他の実施形態を示す。本実施形態も、三脚アダプタ380に関連する機能を有している。
図19は、ベースアタッチメント360を示す。ベースアタッチメント360は、スロット315およびノッチ316を含むベースアタッチメント300と同様の形状を有している。アイレット312も、ベースプレート362の外側リムすなわち外周面310の同様の位置にあることが示されている。
【0068】
ベースプレート362は、三脚アダプタ380の着脱に対応する構造的特徴を採用している。具体的には、ベースプレート362は、内縁部すなわち側壁364により構成される大きな中央スロットを有している。2つの対面または対向する側壁364は、V字状スロット切欠または凹部368を各々有している。
【0069】
図14の実施形態と同様に、ベースアタッチメント360も、ベースプレートインサート375を含んでいる。ベースプレートインサート375は、衝撃保護を提供するとともに、カメラが置かれ得る表面に傷がつくことを防止するように、好適には弾性エラストマー材料から作製される。ベースプレートインサート375を中実材料とすることに代えて、重量を削減しつつ適切な合成を維持し、ベースプレート362をその外周に沿って支持するように、隆起領域377が設けられ得る。
【0070】
三脚アダプタ380は、ベースプレート362に対して選択的に接続または接続解除される。これにより、ベースアタッチメント360は、カメラを携帯し、かつ便利にカメラを三脚に接続または接続解除する独特の機能を提供し得る。アダプタ380の構造は、アダプタ380の対向する横側面に形成された横方向凸部382を含んでいる。これらの横方向凸部382は、以下でさらに詳述するように、ベースプレート362の凹部368と一致するように構成されている。本図で方向付けされたベースアタッチメントにおける、三脚本体384の上面は、複数のグリップパッド388を含み得る。グリップパッド388は、べースアタッチメントが取り付けられるカメラの下面に当接する、べースアタッチメントの摩擦を増加させることを補助する。図示のように、4つのグリップパッドが存在しているが、これらのグリップパッドは任意であり、単数または複数のグリップパッドが使用され得ることを理解されたい。三脚アダプタ本体384の下方には、ベースプレート362の大きな中央スロットの下面370に摺動接触して配置される足部386が延びている。ネジ穴392が、アダプタ本体384を貫通して延び、カメラ係止ネジ332を受容する。本実施形態で説明するネジ332も、付属のDリング336とともに示されているが、いずれの実施形態においても、任意のタイプのねじ付きネジが使用され得ることを理解されたい。
【0071】
また、
図19は、三脚アダプタ380をベースプレート362に対して選択的に係止または係止解除するために使用される作動ピン394を示している。作動ピン394の具体的な構造は、小径部398と、小径部398とピン本体399との接合部を構成する肩部396と、を備えている。ピン延長部400は、小径部398の遠位端を超えて延びるともに、ネジ穴402を有している。バネ部材404が、ピン延長部400を覆うように配置され、かつ小径部398を覆うように存在する。ピン開口部390が、ベースプレート362の側壁を貫通して形成されている。ピン開口部390は、図示のように、ベースプレート362の下面370に露出していることにより、そこにスロットまたは溝を形成している。
図20を参照すると、ピン394およびバネ404が、ピン開口部390を介して挿入されている。保持ネジ408ならびにワッシャ410がネジ穴402と整列し、保持ネジが締められることにより、作動ピン394はベースプレート362にしっかりと締結される。図示のように、保持ネジ408の頭部409は、下面370の上方に延び出す。
【0072】
また
図22を参照すると、三脚アダプタ380の下面が示されている。足部386は、ロックタブ412の形状にあるロック機能を有している。三脚アダプタ380がベースプレート362に係合する際のネジ頭部409の配置に関して2つの位置が示されている。具体的には、凸部382が相補的な凹部368と整列し、三脚アダプタが所定位置に摺動する。ネジ頭部409(1)の第1位置は、ネジ頭部が最初にロックタブ412の角度付き面414に接触することを示す。三脚アダプタがさらに矢印A
1の方向に挿入されるにつれて、ネジ頭部409が第2ロック位置409(2)に移動するように、作動ピン394は、矢印A
2の方向に移動する必要があり、これにより、ネジ頭部は矢印A
3の方向に変位して、ネジ頭部がタブ412の尖った先端を通過することができる。作動ピン394の露出した端部をベースプレート362に向けて押圧することにより、作動ピンを矢印A
2の方向に移動させる。作動ピン394に対する圧力を解除してネジ頭部409をタブ412の湾曲面416に保持させることにより、三脚アダプタ380が所定位置にロックされる。三脚アダプタのロック解除は、以下のように達成される。作動ピン394の露出した端部を再び押圧することにより、ネジ頭部409がタブ412の尖った先端を通過することができる。この時点で、三脚アダプタを、ベースプレート362から引き離すことができる。
【0073】
また、
図22は、ベースプレート362の下面372に形成されたスロット418と連通するピン開口部390を示す。ネジ406の遠位端部が、スロット418に延び入るように示されている。これは、作動ピン394を、矢印A
2の方向に沿った制御された移動に合わせて維持することを支援する。
【0074】
図23は、ベースプレート362と係合した三脚アダプタ380を示す。アダプタの前方または前面374は、好適には、外側リム310の隣接又は近接する表面に対して同一平面にある。
【0075】
動作において、カメラ係止ネジ332をカメラの三脚ソケット208内に挿入することにより、三脚アダプタ380をカメラに固定する。ユーザがカメラを三脚に装着したい場合、ユーザは、作動ピン394の露出した端部を押圧し、カメラおよび取り付けられた三脚アダプタ380をベースプレート362から離れるように摺動させる。この時点で、ユーザは、例えば、三脚(図示せず)の接続支柱またはネジをネジ332のネジチャンバ344に挿入することにより、カメラを三脚に装着し得る。このモードにおいて、ベースプレート302は、ユーザが装着するショルダストラップに取り付けられたままである。
【0076】
ユーザがカメラを三脚から移動させて、カメラをベースプレート362に再び取り付けたい場合、ユーザは、三脚アダプタの凸部382をベースプレートの凹部368に整列させ、三脚アダプタを中央スロット内に摺動させると同時に作動ピン394の露出した端部を押圧する。三脚アダプタがベースプレートと完全に係合すると、作動ピンが解放され、
図22の位置409(2)に関して示し説明したように、三脚アダプタが所定位置にロックされる。
【0077】
三脚アダプタの使用により、ユーザがカメラを三脚およびカメラベースアタッチメントの両方に便利に接続または接続解除し得るという改良された機能が提供されることを認識されたい。この機能は、三脚に対して別個の、または追加の要素を提供することなく達成される。三脚アダプタのシンプルでありながら信頼性の高いロックおよびロック解除により、ユーザは、カメラを三脚およびカメラ携帯システムの両方とともに途切れなく使用することができる。
【0078】
図24は、他の実施形態によるショルダストラップアセンブリの上平面図である。
図25は、
図24のショルダトラップアセンブリの側面立面図である。図示のように、ショルダストラップアセンブリ500の部品は、ショルダパッド502と、ショルダパッド502にストラップ保持体506により固定されたメインストラップまたはウェブ部504と、を含む。
図25に示すように、ショルダパッド502の下面は、ショルダパッドとユーザとの密着を確保するように、溝または他の摩擦を増加させる特徴を有し得る。ショルダパッドは、快適性を最適化する柔軟で弾性的でパッド付きの材料から作製され得る。複数のストラップ保持体506が示されているが、ストラップ保持体の個数および間隔は変更可能であることが理解される。カムバックル508等の固定装置が、バックル508のカム部の下方に位置するメインストラップを固定するように使用される。上述した実施形態と同様に、ショルダパッド502がユーザの肩に対して固定されたままの状態で、メインストラップ504はストラップ保持体506を通過して摺動可能である。このようにして、ユーザは、メインストラップの長さを選択的に調整することができるとともに、メインストラップの端部に取り付けられたカメラの正確な位置決めを調整することができる。
【0079】
図27の拡大図を参照すると、カムバックルの詳細が示されている。カムバックルは、ピン511によりバックルベース507に固定された回転可能なラッチ509を有している。
図27の図によれば、ラッチ509を反時計方向に回転することにより、メインストラップ504が解放され得る。一方、ラッチを本図に示す位置まで時計方向に回転することにより、メインストラップ504はショルダパッド502の上面にロックされる。
【0080】
また
図28を参照すると、ユーザ上でメインストラップの長さおよび位置を調整するための摺動アジャスタ512が設けられている。
図28に示すように、ストラップ504の一端部は、ストラップ端部コネクタ514に、ループ516により接続されている。ループ516により、ストラップ504の取付端部とストラップ端部コネクタ514との柔軟で回転可能な接続が可能とされる。端部コネクタ514は、半可撓性を有しつつ弾力性を有する材料、例えば革から作製され得る。コードループコネクタ518が、カメラコード524の一端部を保持することを目的として、端部コネクタ514に装着されている。コードは、例えば、カメラのアイレットまたはカメラベースアタッチメント(図示せず)に接続される反対側の端部を有している。
【0081】
図26および
図29を参照すると、メインストラップ504の反対側の端部が示されている。反対側の端部も、ストラップ端部コネクタ514と、コードループコネクタ518と、取付カメラコード524と、を含んでいる。コードループコネクタ518は、折り返し部519を各々含んでいる。折り返し部519は、コード524の通過を可能にする。コードループコネクタの自由端部は、衣類に使用される従来のスナップコネクタ等の解放可能なスナップ520により固定される。スナップコネクタは、剪断力によりスナップが開放してしまうことを防止するのに特に有効である。コード524は対応するスナップ520に向けられているため、コード524は、主として剪断力を生成する。したがって、スナップコネクタは、コードをショルダストラップアセンブリに固定することに関して、信頼性がありながらシンプルな選択である。
図26と
図28と
図29とを特に参照すると、コード524のループ状端部は、グロメット522を通って導かれ、折り返し部519のチャネルに固定されている。コード524を開放するためには、スナップ520を締結解除またはスナップ解除し、コードのループ状端部をループコネクタ518から取り外す。スナップコネクタおよびグロメットを利用するショルダストラップアセンブリの特に有利な1つの特徴は、もしスナップコネクタが不注意で締結解除されたとしても、ユーザがコードのループ状端部を意図的に把持してループコネクタの締結解除された端部を外さなければ、コードはグロメットを通過しないということである。このようにしなければ、ループコネクタの締結解除された端部およびコードは、グロメット522の開口部の選択されたサイズに基づき、グロメットを通過することができない。したがって、開口部のサイズは、コードのループ状端部のみがこれを通過するが、コードおよびループコネクタの締結解除された端部の両方はこれを通過しないように選択される。
【0082】
ショルダストラップアセンブリは、一体成形された構造を有し得るとともに、所望の熱可塑性材料から作製され得る。代替的に、ショルダストラップアセンブリは、布製材料から作製され得る。この場合、ロック機構は、その後布地本体に装着され得る。しかしながら、本発明のショルダストラップアセンブリは、いかなる特定の材料または材料の組み合わせにも限定されないことを理解されたい。
【0083】
本発明の範囲を逸脱することなく、上記の方法およびシステムは変更され得る。したがって、上記の説明に含まれる事項または添付図面に示した事項は、限定的なものではなく例示的なものとして解釈されるべきであることに留意されたい。以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載された全ての包括的な特徴および特定の特徴、ならびに、言語の問題としてその間にあると言える本方法およびシステムの範囲の全ての記述を含むことが意図されている。