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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】電池ユニットおよび電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/105 20210101AFI20231027BHJP
   H01M 50/131 20210101ALI20231027BHJP
   H01M 50/133 20210101ALI20231027BHJP
   H01M 50/138 20210101ALN20231027BHJP
   H01M 50/14 20210101ALN20231027BHJP
   H01M 50/141 20210101ALN20231027BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20231027BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALN20231027BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALN20231027BHJP
【FI】
H01M50/105
H01M50/131
H01M50/133
H01M50/138
H01M50/14
H01M50/141
H01M10/052
H01M10/0566
H01M10/0587
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022548490
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 CN2020075089
(87)【国際公開番号】W WO2021159390
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲ヤン▼▲東▼▲陽▼
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-200824(JP,A)
【文献】特開2001-325925(JP,A)
【文献】特開2013-157286(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0126305(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10
H01M 10/04
H01M 10/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池ユニットであって、
前記電池ユニットの厚さ方向において厚さT1mmを有する電極組立体と、
前記電極組立体を収容し、前記厚さ方向において厚さT2mmを有するケースと、を備え、
前記ケースは、
第1の表面と、
前記第1の表面に対向する第2の表面と、
前記第2の表面に接続され、半径がRmmである円弧状の第1の側辺と、
前記第1の側辺に接続され、前記電極組立体の側面の少なくとも一部を取り囲む第3の表面と、
第1の部分と第2の部分を含む第2の側辺と、を備え、
前記第1の部分は前記第1の表面の第1のエッジおよび前記第3の表面の第2のエッジを始点として前記電極組立体から離れる方向に向かって延在し、前記第2の部分は前記電極組立体に接近する方向に向かって延在し、且つ前記第2の部分が末端縁を有し、前記末端縁は前記第3の表面に接続され、前記第3の表面の第2のエッジが前記厚さ方向に位置する平面と前記末端縁が前記厚さ方向に位置する平面との間は前記厚さ方向に沿って長さZmmを有し、且つ(T2-Z)/2≦R≦T1/2+0.3である
ことを特徴とする、電池ユニット。
【請求項2】
前記厚さ方向に垂直する前記電池ユニットの幅方向に沿って、前記第2の側辺と前記第2の側辺の隣の前記電極組立体との最大距離はDmmであり、0.3<D<0.9である
ことを特徴とする、請求項1に記載の電池ユニット。
【請求項3】
前記長さZは、前記第1の側辺の半径Rの扇形領域Sの前記厚さ方向における高さHmm以下であり、前記高さHは、前記第3の表面の第2のエッジが前記厚さ方向に位置する平面から、前記厚さ方向に沿って、前記扇形領域Sの前記厚さ方向における最も低い位置まで測定されるものである
ことを特徴とする、請求項2に記載の電池ユニット。
【請求項4】
<0.8T2である
ことを特徴とする、請求項3に記載の電池ユニット。
【請求項5】
2T2<Zである
ことを特徴とする、請求項4に記載の電池ユニット。
【請求項6】
<T2-T1<0.2である
ことを特徴とする、請求項1に記載の電池ユニット。
【請求項7】
前記第2の側辺は、一回折り曲げ構造又は二回折り曲げ構造であり、前記第2の部分の少なくとも一部が前記ケースの第3の表面に密接的に貼り付けられている
ことを特徴とする、請求項1に記載の電池ユニット。
【請求項8】
前記電極組立体は、間隔を空けて設けられた第1の電極シートと第2の電極シートを巻き付けて形成され、前記第1の電極シートと第2の電極シートとの間にセパレータが設けられている
ことを特徴とする、請求項1に記載の電池ユニット。
【請求項9】
前記電池ユニットは、前記ケース内にある電解液を含む
ことを特徴とする、請求項8に記載の電池ユニット。
【請求項10】
電子デバイスであって、請求項1~9のいずれか一項に記載の1つ又は複数の電池ユニットを備えることを特徴とする、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池の技術分野に関し、特に、電池ユニットおよび電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
環境に優しい二次電池として、リチウムイオン電池は、携帯電話、カメラ、ノートパソコンなどの分野で広く適用されている。リチウムイオン電池のエネルギー密度と安全性能に対する業界の需要がますます高まっている。リチウムイオン電池が高いエネルギー密度を有するとともに、優れた安全性能も有することをどのように確保するかについては、業界には早急に解決すべき技術的問題がたくさんある。
【0003】
したがって、エネルギー密度および安全性能に優れた電池ユニットを設計する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本願の1つの目的として、電極組立体およびケースの構造を特別に設計することにより、電池ユニットおよび電子デバイスの安全性能とエネルギー密度を向上させる電池ユニットおよび電子デバイスを提供することである。
【0005】
本願の一実施形態に係る電池ユニットは、電極組立体と、ケースと、を備える。前記電極組立体は、前記電池ユニットの厚さ方向における厚さT1mmを有する。前記ケースは、前記電極組立体を収容し、前記厚さ方向における厚さT2mmを有する。前記ケースは、第1の表面と、前記第1の表面に対向する第2の表面と、前記第2の表面に接続され、半径がRmmである円弧状の第1の側辺と、前記第1の側辺に接続され、前記電極組立体の側面の少なくとも一部を囲む第3の表面と、第1の部分と第2の部分を含む第2の側辺と、を備え、前記第1の部分は前記第1の表面の第1のエッジおよび前記第3の表面の第2のエッジを始点として前記電極組立体から離れる方向に向かって延在し、前記第2の部分は前記電極組立体に近接する方向に向かって延在し、且つ前記第2の部分が末端縁を有し、前記末端縁は前記第3の表面に接続され、前記第3の表面の第2のエッジが前記厚さ方向に位置する平面と前記末端縁が前記厚さ方向に位置する平面との間は前記厚さ方向に沿って長さZを有し、且つ(T2-Z)/2≦R≦T1/2+0.3である。
【0006】
本願のいくつかの実施形態において、前記厚さ方向に垂直な前記電池ユニットの幅方向に沿って、前記第2の側辺と前記第2の側辺に近接する前記電極組立体との最大距離はDmmであり、0.3<D<0.9である。
【0007】
本願のいくつかの実施形態において、前記長さZは、前記第1の側辺の半径Rの扇形領域Sの前記厚さ方向における高さHmm以下であり、前記高さHは、前記第3の表面の第2のエッジが前記厚さ方向に位置する平面から、前記厚さ方向に沿って、前記扇形領域Sの前記厚さ方向における最も低い位置まで測定されるものである。
【0008】
本願のいくつかの実施形態において、前記長さZの範囲は、Z<0.8T2である。
【0009】
本願のいくつかの実施形態において、前記長さZの範囲は、0.2T2<Zである。
【0010】
本願のいくつかの実施形態において、前記ケースの厚さT2と前記電極組立体の厚さT1との差の範囲は、0<T2-T1<0.2である。
【0011】
本願のいくつかの実施形態において、前記第2の側辺は、一回折り曲げ構造又は二回折り曲げ構造であり、前記第2の部分の少なくとも一部が前記ケースの第3の表面に封止されて貼り付けられる。
【0012】
本願のいくつかの実施形態において、前記電極組立体は、間隔を空けて設けられた第1の電極シートと第2の電極シートによって巻回して形成され、前記第1の電極シートと第2の電極シートとの間にセパレータが設けられている。
【0013】
本願のいくつかの実施形態において、前記電池ユニットは、前記ケース内にある電解液を含む。
【0014】
本願の別の実施形態に係る電子デバイスは、上記実施形態のいずれか一実施形態に記載の電池ユニットを備える。
【0015】
本願の実施形態によって提供される電池ユニットおよび電子デバイスは、電極組立体およびケースの構造を特別に設計することにより、電池ユニットおよび電子デバイスの安全性能とエネルギー密度を向上させる。
【0016】
本願の実施形態の他の態様及び利点は、部分的に、後記の説明において、記載・表現され、或いは、本願の実施形態の実施によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下、本願実施例を容易に説明するように、本願実施例または従来技術を説明するための必要な図面を簡単に説明する。下記に記載の図面は本願の一部の実施例であることが明らかである。当業者であれば、進歩性を有する努力をせずに、依然としてこれらの図面に例示した構造に基づいて他の実施例の図面を得る。
【0018】
図1図1は、本願の一実施形態に係る電池ユニットの構造の模式図を示す。
図2a図2aは、図1に示される電池ユニットのA-Aに沿う断面の模式図を示す。
図2b図2bは、図2aに示される電池ユニットのB-Bの部分的な拡大模式図を示す。
図3図3は、本願の別の実施形態に係る電池ユニットの断面の模式図を示す。
図4図4は、本願の別の実施形態に係る電池ユニットの断面の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本願の実施例を詳細に説明する。本願明細書の全体において、同一又は類似の構成要素及び同一又は類似の機能を有する構成要素は、同様の符号で示されている。ここで、説明される図面に関する実施例は、説明・図解的で本願に関する基本的な理解を提供するために用いられる。本願の実施例は、本願を限定するものであると理解されるべきではない。
【0020】
本明細書では、特に指定又は限定されない限り、例えば、「中央の」、「縦方向の」、「側方の」、「前方の」、「後方の」、「右側の」、「左側の」、「内部の」、「外部の」、「比較的低い」、「比較的高い」、「水平の」、「垂直の」、「よりも高い」、「よりも低い」、「上方の」、「下方の」、「頂部の」や「底部の」という相対的な用語とそれらの派生用語(例えば、「水平的に」、「下向きに」、「上向きに」等)は、説明される又は図面に示される方向を引用すると解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜上のために使用され、本願が必ずしも特定の方向に沿って構築又は動作するわけではない。
【0021】
本明細書で使用される「約」、「ほぼ」、「大体」、「実質的に」、及び「近似」という用語は、小さな変化を記述・説明するために用いられる。イベント又は状況と組み合わせて使用される場合、上記用語は、イベント又は状況が正確に発生した例、及びイベント又は状況に極めて類似的に発生する例を指すことができる。例として、数値と組み合わせて使用される場合、用語は、当該数値の±10%以下の変化範囲を指すことができる。例えば、±5%以下、±4%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.1%以下、±0.05%以下である。例として、2つの数値の差が当該値の平均値の±10%以下(例えば、±5%以下、±4%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.1%以下、±0.05%以下)である場合、当該2つの数値は「大体的に」同じおよび「接近」であると考えられる。
【0022】
また、容易に説明するために、本明細書において、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、1つの図面又は一連の図面における異なる部品を区別するために用いられる。「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、対応の部品を特定するためのものではない。
【0023】
本願では、特に指定又は限定されない限り、「設置」、「接続」、「結合」、「固定」および類似な用語は、汎用のものであり、当業者は具体的な状況に応じて、上記の用語について、例えば、固定的に接続することや、取り外し可能に接続することや、一体的に接続することと、または、機械的に接続することや、電気的に接続することと、または、直接的に接続することや、他の部材を介して間接的に接続することと、または、2つの部品の内部通信という意味を理解し得る。
【0024】
リチウムイオン電池のエネルギー密度と安全性能は、リチウムイオン電池の性能を評価するための2つの重要な指標である。従来のソフトパックリチウムイオン電池は、通常、アルミプラスチックフィルムでパッケージされ、パッケージした後に、リチウムイオン電池に対して、落下、ローラー、高温高湿度などの様々な種類の安全性能テストを行う必要がある。しかし、従来のリチウムイオン電池は、安全性能テストを行った後、アルミニウムプラスチックフィルムの損傷、パッケージの故障、折り曲げられた辺の開き、液体の漏れなどの様々な問題が発生しやすく、それにより、リチウムイオン電池の製品歩留まりが低下し、リチウムイオン電池は安全に隠れた危険が多くある。上記のような不良を改善するために、従来技術では、一般的に、通常よりも厚いアルミプラスチックフィルムを用いてパッケージ化したり、接着剤の使用量を増やしてアルミプラスチックフィルムのパッケージを強固にしたりすることで、リチウムイオン電池の安全性能を向上させることが望ましい。しかしながら、これらの方法は、リチウムイオン電池のエネルギー密度を低減させるだけでなく、リチウムイオン電池の製造コストを増加させ、実際に望まれた技術的効果を実現することができない。
【0025】
上記の問題を鑑み、本願は電池ユニットおよび電子デバイスを提供する。当該電池ユニットおよび電子デバイスは、電極組立体とケースの構造を特別に設計することで、電極組立体の受けた力がバランスされ、ケースによって電極組立体が損傷されることを防止するとともに、電極組立体の側面およびケースの空間占有率を低減することができ、且つ、電池ユニットの安全性能テスト又は実際の使用中に、ケースの側辺の封止箇所が損傷又は故障することを回避できる。したがって、本願によって提供される電池ユニットおよび電子デバイスは、より優れた安全性能を有するとともに、より高いエネルギー密度を有する。以下、本願によって提供される電池ユニットおよび電子デバイスについて詳しく説明する。
【0026】
図1は、本願の一実施形態に係る電池ユニット10の模式的な斜視図である。図2aは、図1に示される電池ユニット10のA-Aに沿う断面の模式図を示す。図2bは、図2aに示される電池ユニット10のB-Bの部分的な拡大模式図を示す。図1図2aおよび図2bに示すように、本願の一実施形態に係る電池ユニット10は、電極組立体100と、ケース200と、を備える。
【0027】
電極組立体100は、電池ユニット10の厚さに沿って延在する厚さ方向F1と、電池ユニット10の幅に沿って延在して厚さ方向F1に垂直な幅方向F2と、を有する。電極組立体100は、厚さ方向F1における厚さT1mmを有する。電極組立体100は、間隔を空けて設けられた第1の電極シートと第2の電極シート(図示せず)によって巻回されて形成されている。第1の電極シートと第2の電極シートとの間にセパレータ(図示せず)が設けられている。第1の電極シートは正電極シートであり、第2の電極シートは負電極シートである。本願の他の実施形態において、電極組立体100は任意の数および極性の電極シートを備える。電極組立体100は、第1の辺101と、第1の辺に接続している第2の辺102と、を含む。電極組立体100は電極シートを巻回することで形成されるため、第1の辺101と第2の辺102がそれぞれ円弧状の形状であり、且つ第1の辺101と第2の辺102の半径が約T1/2であってもよい。第1の辺101と第2の辺102とは、電極組立体100の側面103を構成する。ケース200の内部は電極組立体100を収容するために用いられる。ケース200は、アルミプラスチックフィルムであってもよい。本願の他の実施形態において、ケース200の材料は、当技術分野で一般的に使用されるソフトパック電池に適した任意のパッケージ材料である。ケース200は厚さ方向F1における厚さT2mmを有し、本願の実施例形態では、第2の方向F2におけるケース200と電極組立体100との距離を短くするように、ケース200の厚さT2と電極組立体100の厚さT1との差を0<T2-T1<0.2の範囲内に設定することで、電池ユニット10の空間利用率をさらに向上させる。
【0028】
電池ユニット10のエネルギー密度を向上させるために、電池のケース200と電極組立体100との間の距離は小さければ小さいほどよい。T2とT1との差が大きすぎると、アルミプラスチックフィルムなどのケース材料の厚さが同じである場合、ケース200と電極組立体100との間の距離が大きくなることを意味する。このため、使用中またはテスト中に電池ユニット10が振れる場合、電極組立体100がケース200内で振れやすくなり、それにより、長時間の使用又は安全性能テスト後に電池ユニット10が容易に損傷し、さらに電池ユニット10の安定性が低下させる。複数の実験によって、T2とT1の差が0.2mmを超えると、電池ユニット10の安全性能が著しく低下することを見出した。したがって、本願の実施形態では、0<T2-T1<0.2を設定することで、厚さ方向F1に沿うケース200と電極組立体100との距離を短くして電池ユニット10の空間利用率を向上させ、それにより、電池ユニット10のエネルギー密度を向上させるとともに、電池ユニットの優れた安全性能を確保する。
【0029】
ケース200は、第1の表面201と、第2の表面203と、第1の側辺205と、第2の側辺207と、第3の表面209と、を含む。
【0030】
第1の表面201は第2の表面203に対向している。第1の表面201と第2の表面203は平面状である。本願の他の実施形態において、第1の表面201と第2の表面203は、曲面であってもよく、または水平面および曲面の両方を含んでもよい。第1の表面201は第1のエッジ201aを有する。第2の表面203は第1のエッジ203aを有する。
【0031】
第1の側辺205は、円弧状であり、開始端205aと終了端205bを有する。開始端205aは第2の表面203の第1のエッジ203aに接続されている。終了端205bはの表面209に接続されている。第1の側辺205は、第2の表面203と第3の表面209とを接続する。第1の側辺205は、絞り加工によって形成され、円弧半径Rおよび円心Oを有する。第1の境界線M1は、第1の側辺205の開始端205aから円心Oまでに直線で接続することで区画され、第2の境界線M2は、第1の側辺205の終了端205bから円心Oまでに直線で接続することで区画される。第1の境界線M1、第2の境界線M2、第1の側辺205、および円心Oによって取り囲まれる領域は、扇形領域Sとして定義される。
【0032】
第3の表面209は第1のエッジ209aと第2のエッジ209bを有する。第3の表面209の第1のエッジ209aは第1の側辺205の終了端205bに接続されている。第3の表面209の第2のエッジ209bは第2の側辺207に接続されている。第3の表面209は電極組立体100の側面103の少なくとも一部を取り囲んでいる。ケース200が絞り加工で形成された後に、第3の表面209は平面状になる。巻回された電極組立体100および電解液をケース200に入れた後、第3の表面209は、電極組立体100の円弧形状および電解液の充填により微小な弧度を有する。
【0033】
第2の側辺207は、第1の部分207aと第2の部分207bとを含む。第1の部分207aは、第1の表面201の第1のエッジ201aおよび第3の表面209の第2のエッジ209bを始点として電極組立体100から離れる方向に向かって延在している。第2の部分207bは、電極組立体100に近接する方向に向かって延在している。第2の部分207bは、末端縁207cを有する。末端縁207cを含む第2の部分207bの少なくとも一部は第3の表面209に接続されている。第2の側辺207の第2の部分207bの少なくとも一部は、接着剤によって第3の表面209に貼り付けられることができる。本願の他の実施形態において、第2の側辺207の第2の部分207bの少なくとも一部は、任意の適切な方法で第3の表面209に貼り付けられることができる。第2の側辺207の末端部207dは、熱接着または接着剤または当技術分野で一般的に使用される他の手段によって密封される。第3の表面209の第2のエッジ209bが厚さ方向F1に位置する平面A1と末端縁207cが厚さ方向F1に位置する平面A2との間は、厚さ方向F1に沿って長さZを有し、且つ0.2T2<Z<0.8T2である。長さZは、第2の側辺207の第2の部分207bの厚さ方向F1での投影であると理解されてもよい。
【0034】
本願の実施形態では、長さZは、ケース200の厚さT2以下であり、且つ第1の側辺205の扇形領域Sの厚さ方向F1における高さHmm以下であるように設定される。高さHは、第3の表面209の第2のエッジ209bが厚さ方向F1に位置する平面A1から厚さ方向F1に沿って、扇形領域Sの厚さ方向F1における最も低い位置まで測定されるものである。電池ユニット10では、第2の側辺207は、ケース200の第3の表面209に密接的に貼り付けられる必要がある。第2の側辺207がケース200に密接的に貼り付けられていない場合、第2の側辺207は、第1の側辺205から外したりまたは開いたりしやすくなり、それにより、電池ユニット10の安全性能を低減させる。第2の側辺207の厚さ方向F1での投影の長さZが高さH又はケース200の厚さT2よりも大きい場合、第2の側辺207をケース200に貼り付けるとき、第2の部分207bが第1の側辺205に接触するので、第1の側辺205に接触する第2の部分207bも第1の側辺205に密接的に貼り付けられていることを確保する必要がある。しかしながら、第1の側辺205の弧度が大きいため、実際の製造中、第2の側辺207は第1の側辺205に密接的に貼り付けることが困難である。また、第2の側辺207が第1の側辺205に貼り付けられても、電池ユニット10の実際使用中、第2の側辺207は、密接的に貼り付けないことにより、第1の側面205から容易に外したり、開いたりする。さらに、外したまたは開いた第2の側辺207は、外力の影響を容易に受けてケース200をさらに摩損し、電池ユニット10の安全性能を低減させる。Z=0.1T2、またはZ=0.9T2、またはZ=0.85T2を設定する場合、電池ユニット10の安全性能が著しく低下することが見出した。本願の実施形態では、サイズZの範囲を0.2T2<Zに設定することにより、第2の側辺207が有効な封止の範囲内になるように確保でき、サイズZの範囲をZ<0.8T2に設定することにより、電池ユニット10の安全性能に有利することを確保することができ、第2の側辺207がケース200の第3の表面209に密接的に貼り付けられることができる。第3の表面209は微小な弧度のみを有するので、第2の側辺207と第3の表面209を容易に密接的に貼り付けることができ、第2の側辺207がケース200の第3の表面209から外しにくく、さらに、安全性能テスト中または実際の使用中に電池ユニット10の第2の側辺207が開くことによってケース200の損傷または故障を引き起こすことを低減する。
【0035】
第2の側辺207が幅方向F2に第2の側辺207に近接する電極組立体100との間の最大距離はDmmであり、且つ0.3<D<0.9である。本願の実施形態では、最大距離Dを設定することにより、第2の側辺207が幅方向F2に電極組立体100との間の距離を短くすることができ、電池ユニット10の幅方向F2における空間利用率をさらに向上させることができる。それに、第2の側辺207と電極組立体100との間の距離を短くすることは、第2の側辺207がケース200の第3の表面209に密接的に貼り付けられるのに有利であり、それにより、長時間の使用または安全性能テストを行った後に電池ユニット10の第2の側辺207が開くリスクを低減する。
【0036】
第1の側辺205の半径Rmmの範囲は、(T2-Z)/2≦R≦T1/2+0.3である。本願の実施形態では、(T2-Z)/2≦R≦T1/2+0.3を設定することにより、電池ユニット10は、高い空間利用率を有するだけでなく、優れた安全性能も有することができる。本願の実施形態では、第1の側辺205の半径Rは、電極組立体100の第1の辺101の弧度に可能な限り近くなるように設計されている。電極組立体100の第1の辺101は、1/4円構造の円弧であるため、RをT1/2に等しくように設定すると考慮することができる。しかし、複数の実験によって、R≦T1/2+0.3を設定する方が適切であることが見出した。ここで、0.3mmは経験的補正値である。R=T1/2+0.4を設定すると、電池ユニット10の安全性能が著しく低下することが見出した。また、RがT1/2より大きい場合、電池ユニット10の空間利用率が低下し、更に電池ユニット10のエネルギー密度が低下する。Rが0に等しい場合、第1の側辺205は直角構造であるので、電池ユニット10の空間利用率も低下する。本願の実施形態では、R≧(T2-Z)/2を設定することにより、電池ユニット10の第2側辺207の高さが扇形領域Sの厚さ方向F1における最も低い位置を超えないことで、第1の側辺205がケース200を摩損することを防止する。
【0037】
電池ユニット10は、ケース200内にある電解液を更に含む。
【0038】
本願の実施形態では、ケース200の第2の側辺207の長さZと第1の側辺205の半径R、および第2の側辺207と電極組立体100との間の最大距離Dを設定することにより、電池ユニット10がより高い空間利用率を具備するように確保し、さらに電池ユニット10のエネルギー密度を向上させ、且つ、電池ユニット10の第2の側辺207がケース200から容易に外れにくいようにして、第2の側辺207が開いてケース200をさらに摩損するリスクを低減する。
【0039】
図3は、本願の別の実施形態に係る電池ユニット10’の断面の模式図を示す。
【0040】
図3に示される電池ユニット10’は、第2の側辺207が2回折り曲げによる二回折り曲げ構造である点だけが図1に示される電池ユニット10と異なる。
【0041】
出願人は、本願によって提供された様々な実施形態の電池ユニットに対して以下のテストを行った。本願によって提供された下記10組の異なる実施例および従来技術による1組の比較例を提供した。各実施例では、同じタイプとサイズの15個の電池ユニットに対してテストを行った。そして、同じタイプとサイズの15個の電池ユニットを3つのグループに分けた。1番目のグループに対して、1.8メートルで18回の落下テストを行った。2番目のグループに対して、0.5メートルで2500回のローラーテストを行った。3番目のグループに対して、4800回の僅かな落下及びHTHH(高温高湿度)テストを行った。下記の表は、各実施例における電池ユニットのサイズと対応するテストの結果を示す。
【0042】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0043】
上記の表からわかるように、本願の実施形態に従って設定された(T2-Z)/2≦R≦T1/2+0.3を満たす電池ユニットは、1.8メートルで18回の落下テスト、0.5メートルで2500回のローラーテスト、4800回の僅かな落下及びHTHHテストにおいて、いずれも側辺の開き、電池ユニットの膨張及びケースの損傷などが発生しなかった。しかしながら、従来技術に従って設計された電池ユニットは、1.8メートルで18回の落下テスト、0.5メートルで2500回のローラーテスト、4800回の僅かな落下及びHTHHテストにおいて、いずれも2つの電池ユニットが不合格の場合があった。上記により、本願の実施形態によって提供される電池ユニットによれば、電池ユニットのエネルギー密度を向上させるだけでなく、電池ユニットの安全性能も向上させる。
【0044】
図4は、従来技術による電池ユニット40の4800回の僅かな落下及びHTHHテスト後の断面の模式図を示す。図4に示される電池ユニット40は、ケース400の第1の側辺405の半径Rが(T2-Z)/2≦R≦T1/2+0.3を満たさず、且つ第2の側辺407の長さZが0.2T2<Z<0.8T2を満たさないという点が図1に示される電池ユニット10と異なり、ここで、T1=3.753、T2=3.810、サイズZ=3.310、R=2.350である。4800回の僅かな落下及びHTHHテストを行った後、電池ユニット40の右側の第2の側辺407が電池ユニット40のケース400から外し、ケース400のケース表面の損傷が発生する。
【0045】
したがって、本願の実施形態では、電池ユニットのケースのサイズ、およびケースと電極組立体との間のサイズの関係を改善することで、電池の安全性能を効果的に改善するとともに、電池ユニットのエネルギー密度をさらに向上させる。
【0046】
本願の技術的手段および技術的特徴は上記のように開示されているが、当業者にとって、本願の教示および開示に基づいて、本願の精神から逸脱することなく、依然として様々な代替および変更を行うことができる。したがって、本願の保護範囲は、実施形態に開示された内容に限定されるべきではなく、本願から逸脱しない様々な代替および変更を含むべきであり、本願の特許請求の範囲に含まれるべきである。
図1
図2a
図2b
図3
図4