(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】軸受要素検査システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01M 13/04 20190101AFI20231027BHJP
F16C 33/32 20060101ALI20231027BHJP
F16C 33/34 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
G01M13/04
F16C33/32
F16C33/34
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023012805
(22)【出願日】2023-01-31
【審査請求日】2023-03-30
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】ジェッセン・コンパグナット
(72)【発明者】
【氏名】マルク・アンドレ・エシエ
(72)【発明者】
【氏名】マクシム・ボードイン-ポーリオット
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・カリギアニス
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ハレル
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-230602(JP,A)
【文献】特開平11-083756(JP,A)
【文献】特開2011-95133(JP,A)
【文献】特開2010-261837(JP,A)
【文献】特開2005-241488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00-99/00
F16C 33/32
F16C 33/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受要素を検査するためのシステムであって、前記システムは、
少なくとも1つの真空ポンプと、
少なくとも1つのセンサと、
少なくとも1つの駆動要素と、
前記少なくとも1つの真空ポンプおよび前記少なくとも1つの駆動要素に結合される第1の装着デバイスであって、前記少なくとも1つの真空ポンプを使用して軸受要素を固定するように構成される第1の装着デバイスと、
前記少なくとも1つの真空ポンプおよび前記少なくとも1つの駆動要素に結合される第2の装着デバイスであって、前記少なくとも1つの真空ポンプを使用して前記軸受要素を固定するように構成される第2の装着デバイスと、
前記少なくとも1つの真空ポンプ、前記少なくとも1つのセンサ、および前記少なくとも1つの駆動要素に結合される制御装置
と、
を備え、
前記制御装置は、
前記軸受要素を前記第1の装着デバイスにおいて初期に固定するために、前記少なくとも1つの真空ポンプの動作を制御すること、
前記第1の装着デバイスが前記第2の装着デバイスと隣接して位置合わせされ、前記軸受要素が前記第1の装着デバイスおよび前記第2の装着デバイスに少なくとも部分的に収容されるように、前記少なくとも1つの駆動要素を作動させて、前記第1の装着デバイスおよび前記第2の装着デバイスを位置合わせ状態へと応答可能なように移動させること、
前記第1の装着デバイスと前記第2の装着デバイスとの前記位置合わせが得られるとき、前記軸受要素が前記第1の装着デバイスから解放され、前記第2の装着デバイスにおいて固定されるように、前記少なくとも1つの真空ポンプの動作を制御することであって、前記第1の装着デバイスから前記第2の装着デバイスへの前記軸受要素のずれなしでの移動および固定は、前記軸受要素が前記第1の装着デバイスおよび前記第2の装着デバイスにあるときに使用される共通の基準系の維持をもたらす、制御すること、
前記軸受要素の画像を得るために前記少なくとも1つのセンサを作動させること、ならびに、
前記軸受要素の欠陥を決定するために前記画像を分析すること、
を行うように構成され
、
前記第1の装着デバイスは、第1のステージ構造に前記第1のステージ構造に対して移動可能に結合されると共に前記軸受要素を保持可能である第1のマニピュレータ構造を備え、前記第2の装着デバイスは、第2のステージ構造に前記第2のステージ構造に対して移動可能に結合されると共に前記軸受要素を保持可能である第2のマニピュレータ構造を備える、システム。
【請求項2】
前記第1のマニピュレータ構造は、前記少なくとも1つの真空ポンプに結合される第1の入れ子構造を備え、前記第2のマニピュレータ構造は、前記少なくとも1つの真空ポンプに結合される第2の入れ子構造を備え、前記第1の入れ子構造および前記第2の入れ子構造は、前記軸受要素を保持するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの駆動要素は、少なくとも1つのモータを備える、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の入れ子構造と前記第2の入れ子構造とは、異なる大きさの前記軸受要素を保持するように互換性がある、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのカメラを備える、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
軸受要素を検査するためのシステムであって、前記システムは、
1つまたは複数のカメラと、
1つまたは複数のモータと、
少なくとも1つの真空ポンプと、
1つまたは複数の軌道に結合され、前記1つまたは複数のモータによって前記1つまたは複数の軌道に沿って移動可能である第1のステージ構造と、
前記1つまたは複数の軌道に結合され、前記1つまたは複数のモータによって前記1つまたは複数の軌道に沿って移動可能である第2のステージ構造と、
前記第1のステージ構造に
前記第1のステージ構造に対して移動可能に配置され、第1の入れ子構造を含む第1のマニピュレータ構造であって、前記第1の入れ子構造は、軸受要素を固定するように構成される、第1のマニピュレータ構造と、
前記第2のステージ構造に
前記第2のステージ構造に対して移動可能に配置され、第2の入れ子構造を含む第2のマニピュレータ構造であって、前記第2の入れ子構造は、前記軸受要素を固定するように構成される、第2のマニピュレータ構造と、
前記1つまたは複数のカメラおよび前記1つまたは複数のモータに結合される制御装置であって、
前記軸受要素を前記第1の入れ子構造において初期に固定するために、前記第1の入れ子構造における第1の開口、および前記第2の入れ子構造における第2の開口と連通する前記少なくとも1つの真空ポンプの動作を制御すること、
前記第1の入れ子構造が前記第2の入れ子構造と隣接して位置合わせされ、前記軸受要素が前記第1の入れ子構造および前記第2の入れ子構造に少なくとも部分的に収容されるように、前記1つまたは複数のモータを作動させて、前記第1のステージ構造および前記第2のステージ構造を位置合わせ状態へと応答可能なように移動させること、
前記第1の入れ子構造と前記第2の入れ子構造との前記位置合わせが得られるとき、前記軸受要素が前記第1の入れ子構造から解放され、前記第2の入れ子構造において固定されるように、前記少なくとも1つの真空ポンプの動作を制御することであって、前記第1の入れ子構造から前記第2の入れ子構造への前記軸受要素の移動または固定は、ずれなしで起こり、前記軸受要素が前記第1の入れ子構造および前記第2の入れ子構造にあるときに使用される共通の基準系の維持をもたらす、制御すること、
前記軸受要素の画像を得るために前記1つまたは複数のカメラを作動させること、ならびに、
前記軸受要素の欠陥を決定するために前記軸受要素の前記画像を分析すること、
を行うように構成される制御装置と、
を備える、システム。
【請求項7】
前記第1のステージ構造に配置される前記第1のマニピュレータ構造は、第1のマニピュレータアームを備え、前記第1のマニピュレータアームの第1の移動は、前記1つまたは複数のモータによって制御され、前記第2のマニピュレータ構造は、第2のマニピュレータアームを備え、前記第2のマニピュレータアームの第2の移動は、前記1つまたは複数のモータによって制御される、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記第1のマニピュレータアームおよび前記第2のマニピュレータアームのうちの1つまたは複数を第3の移動において移動させるように、前記1つまたは複数のモータを作動させるようにさらに構成され、前記第1のマニピュレータアームまたは前記第2のマニピュレータアームの前記第3の移動は、前記第1の入れ子構造または前記第2の入れ子構造を移動させ、前記軸受要素の位置を前記1つまたは複数のカメラに対して調整するために有効である、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のマニピュレータアームの前記第1の移動と、前記第2のマニピュレータアームの前記第2の移動とは、回転である、
請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の入れ子構造と前記第2の入れ子構造とは、前記1つまたは複数のモータによって個別に移動可能である、
請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の入れ子構造は、椀状の構造を備え、前記椀状の構造の底に開口を有する、
請求項6に記載のシステム。
【請求項12】
前記軸受要素は、ボールまたはローラを備える、
請求項6に記載のシステム。
【請求項13】
軸受要素を検査するための方法であって、前記方法は、
1つまたは複数の軌道に結合され、1つまたは複数のモータによって前記1つまたは複数の軌道に沿って移動可能である第1のステージ構造、および、前記1つまたは複数の軌道に結合され、前記1つまたは複数のモータによって前記1つまたは複数の軌道に沿って移動可能である第2のステージ構造を提供するステップであって、
第1のマニピュレータ構造が、前記第1のステージ構造に
前記第1のステージ構造に対して移動可能に配置され、第1の入れ子構造を含み、前記第1の入れ子構造は、軸受要素を固定するように構成され、第2のマニピュレータ構造が、前記第2のステージ構造に
前記第2のステージ構造に対して移動可能に配置され、第2の入れ子構造を含み、前記第2の入れ子構造は、前記軸受要素を固定するように構成される、ステップと、
前記軸受要素を前記第1の入れ子構造において初期に固定するために、少なくとも1つの真空ポンプの動作を制御するステップと、 前記第1の入れ子構造が前記第2の入れ子構造と隣接して位置合わせされ、かつ前記軸受要素が前記第1の入れ子構造および前記第2の入れ子構造に少なくとも部分的に収容されるように、前記1つまたは複数のモータを作動させて、前記第1のステージ構造および前記第2のステージ構造を位置合わせ状態へと応答可能なように移動させるステップと、
前記第1の入れ子構造と前記第2の入れ子構造との前記位置合わせが得られるとき、前記軸受要素が前記第1の入れ子構造から解放され、かつ前記第2の入れ子構造において固定されるように、前記少なくとも1つの真空ポンプの動作を制御するステップあって、前記第1の入れ子構造から前記第2の入れ子構造への前記軸受要素の移動または固定は、ずれなしで起こり、前記軸受要素が前記第1の入れ子構造および前記第2の入れ子構造にあるときに使用される共通の基準系の維持をもたらす、ステップと、
前記軸受要素の画像を得るために1つまたは複数のカメラを作動させるステップと、
前記軸受要素の欠陥を決定するために前記軸受要素の前記画像を分析するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記第1のマニピュレータ構造に配置される第1のマニピュレータアームの第1の移動を制御するステップと、前記第2のマニピュレータ構造に配置される第2のマニピュレータアームの第2の移動を制御するステップと、をさらに含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の入れ子構造または前記第2の入れ子構造を移動させ、前記1つまたは複数のカメラに対する前記軸受要素の位置を調整するために、前記第1のマニピュレータアームおよび前記第2のマニピュレータアームのうちの1つまたは複数を移動させるステップをさらに含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のマニピュレータアームの前記第1の移動と、前記第2のマニピュレータアームの前記第2の移動とは、回転である、
請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の入れ子構造と前記第2の入れ子構造とは、前記1つまたは複数のモータによって個別に移動可能である、
請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の入れ子構造は、椀状の構造を備える、
請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記軸受要素は、ボールまたはローラを備える、
請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、一般に、産業用構成要素のための検査システムおよび方法に関し、特に、セラミックボールなどの軸受構成要素のための検査システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な機械組立体(航空機において使用されるタービンエンジンなど)が、車両用途および産業用途において利用されている。これらの組立体は、異なる種類の構成要素を含んでおり、構成要素は、組立体の適切な性能を確保するために規則的に検査される。検査の間、機械組立体は、サービス店へと運ばれることがあり、サービス店において、機械組立体は、その構成要素部品へと分解される。検査される構成要素の例には、例えば、金属またはセラミックのボールまたはローラといった軸受組立体構成要素が含まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に説明されている発明の主題は、添付の図面を参照して、非限定的な実施形態の以下の説明を読めば、より良く理解される。当業者を対象とした、最良のモードを含む本説明の態様の完全かつ実施可能な開示が、添付の図を参照する本明細書において述べられている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】一実施形態による検査システムのブロック図である。
【
図2】一実施形態による、
図1の検査システムの単純化された斜視図である。
【
図3A】一実施形態による、異なる位置における検査システムのアームおよび入れ子構造を示す図である。
【
図3B】一実施形態による、異なる位置における検査システムのアームおよび入れ子構造を示す図である。
【
図3C】一実施形態による、異なる位置における検査システムのアームおよび入れ子構造を示す図である。
【
図4A】一実施形態による、異なる位置におけるステージ構造を示す図である。
【
図4B】一実施形態による、異なる位置におけるステージ構造を示す図である。
【
図4C】一実施形態による、異なる位置におけるステージ構造を示す図である。
【
図5A】一実施形態による、入れ子構造同士の間の軸受要素の制御の移し替えを示す図である。
【
図5B】一実施形態による、入れ子構造同士の間の軸受要素の制御の移し替えを示す図である。
【
図5C】一実施形態による、入れ子構造同士の間の軸受要素の制御の移し替えを示す図である。
【
図5D】一実施形態による、入れ子構造同士の間の軸受要素の制御の移し替えを示す図である。
【
図6】一実施形態による、軸受要素を検査するための1つの手法の流れ図である。
【
図7】一実施形態による、軸受要素が第1の入れ子構造に配置されており、上向きに回転させられている検査システムを示す図である。
【
図8】一実施形態による、軸受要素が第1の入れ子構造に配置されているが、第2の入れ子構造に面するように回転させられている検査システムを示す図である。
【
図9】一実施形態による、軸受要素が第1の入れ子構造から第2の入れ子構造へと交換されている検査システムを示す図である。
【
図10】一実施形態による、軸受要素が第2の入れ子構造に配置されており、上向きに回転させられている検査システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
一般的に言えば、軸受要素(例えば、セラミックボール)のすべての視認可能な表面を全体的に網羅するように検証することができる画像を得ることによって、軸受要素を完全に検査することができる手法が提供される。軸受要素を撮像するための基準の固定システムが、軸受要素が画像を得るためにどれだけ移動、旋回、回転、または他に調整されようとも維持される。これらの手法は、きわめて正確な自動的な故障または欠陥の決定を提供し、コストの掛かる手作業の検査を実施する必要性を低減または排除する。
【0006】
これらの実施形態の多くにおいて、システムが、1つまたは複数のカメラと、1つまたは複数のモータと、第1のステージ構造と、第2のステージ構造と、第1のマニピュレータ構造と、第2のマニピュレータ構造と、制御装置とを備える。
【0007】
第1のステージ構造は、1つまたは複数の軌道に結合され、1つまたは複数のモータによって1つまたは複数の軌道(あるいは他の直線的な案内部または経路)に沿って移動可能である。第2のステージ構造も、1つまたは複数の軌道に結合され、1つまたは複数のモータによって1つまたは複数の軌道に沿って移動可能である。
【0008】
第1のマニピュレータ構造は、第1のステージ構造に配置され、第1の入れ子構造を含む。第1の入れ子構造は軸受要素を固定するように構成される。第2のマニピュレータ構造は、第2のステージ構造に配置され、第2の入れ子構造を含む。第2の入れ子構造も軸受要素を固定するように構成される。
【0009】
制御装置は、1つまたは複数のカメラおよび1つまたは複数のモータに結合される。制御装置は、ボールを第1の入れ子構造において初期に固定するために、少なくとも1つの真空ポンプの動作を制御するように構成される。制御装置は、第1の入れ子構造が第2の入れ子構造と隣接して位置合わせされ、ボールが第1の入れ子構造および第2の入れ子構造に少なくとも部分的に収容されるように、1つまたは複数のモータを作動させて、第1のステージ構造および第2のステージ構造を位置合わせ状態へと(into an alignment)応答可能なように移動(responsively move)させるように、さらに構成される。
【0010】
第1の入れ子構造と第2の入れ子構造との位置合わせが得られるとき、制御装置は、軸受要素が第1の入れ子構造から解放され、第2の入れ子構造において固定されるように、少なくとも1つの真空ポンプの動作を制御するように構成される。第1の入れ子構造から第2の入れ子構造への軸受要素の移動または固定は、ずれ(slippage)なしで起こり、軸受要素が第1の入れ子構造および第2の入れ子構造にあるときに使用される共通の基準系の維持をもたらす。
【0011】
制御装置は、軸受要素の画像を得るために1つまたは複数のカメラを作動させるように、および、軸受要素の欠陥を決定するために画像を分析するように、さらに構成される。
【0012】
他の態様では、第1のマニピュレータ構造は、第1のステージ構造に配置され、第1のマニピュレータアームを含む。第1のアームの移動は、1つまたは複数のモータによって制御される。第2のマニピュレータ構造は第2のマニピュレータアームを備え、第2のマニピュレータアームの移動は、1つまたは複数のモータによって制御される。制御装置は、第1のマニピュレータアームおよび第2のマニピュレータアームの1つまたは複数を移動または回転させるように、1つまたは複数のモータを作動させるようにさらに構成される。第1のマニピュレータアームまたは第2のマニピュレータアームの移動が、第1の入れ子構造または第2の入れ子構造も移動させ、1つまたは複数のカメラに対する軸受要素の位置を調整するために有効である。
【0013】
例では、第1のマニピュレータアームおよび第2のマニピュレータアームの移動は回転である。他の例では、第1の入れ子構造と第2の入れ子構造とは、1つまたは複数のモータによって個別に移動可能である。
【0014】
さらに他の態様では、画像は、機械学習アルゴリズムを使用して分析される。例えば、訓練されたニューラルネットワークが使用され得る。他の例が可能である。
【0015】
さらに他の例では、軸受要素はボールまたはローラを備え、欠陥は亀裂を含む。軸受要素および欠陥の他の例が可能である。
【0016】
さらに他の例では、第1の入れ子構造は、椀状の構造を備え、椀状の構造の底に開口(例えば、孔)を有する。態様では、開口は管を介して真空ポンプと連通している。真空の適用は、軸受要素を第1の入れ子構造において固定する。
【0017】
これらの実施形態のうちの他のものでは、軸受要素を検査するための手法が、1つまたは複数の軌道に結合され、1つまたは複数のモータによって1つまたは複数の軌道に沿って移動可能である第1のステージ構造、および、1つまたは複数の軌道に結合され、1つまたは複数のモータによって1つまたは複数の軌道に沿って移動可能である第2のステージ構造を提供することを含む。第1のマニピュレータ構造が、第1のステージ構造に配置され、第1の入れ子構造を含み、第1の入れ子構造は軸受要素を固定するように構成される。第2のマニピュレータ構造が、第2のステージ構造に配置され、第2の入れ子構造を含み、第2の入れ子構造も軸受要素を固定するように構成される。
【0018】
少なくとも1つの真空ポンプの動作は、軸受要素を第1の入れ子構造において初期に固定するように制御される。次に、1つまたは複数のモータは、第1の入れ子構造が第2の入れ子構造と隣接して位置合わせされ、軸受要素が第1の入れ子構造および第2の入れ子構造に少なくとも部分的に収容されるように、第1のステージ構造および第2のステージ構造を位置合わせ状態へと応答可能なように移動させるように作動させられる。
【0019】
第1の入れ子構造と第2の入れ子構造との位置合わせが得られるとき、少なくとも1つの真空ポンプの動作は、軸受要素が第1の入れ子構造から解放され、第2の入れ子構造において固定されるように制御される。第1の入れ子構造から第2の入れ子構造への軸受要素の移動、または固定の切り替えは、ずれなしで起こり、軸受要素が第1の入れ子構造および第2の入れ子構造にあるときに使用される共通の基準系の維持をもたらす。
【0020】
この過程の間、1つまたは複数のカメラが、軸受要素の画像を得るために作動させられる。画像は、軸受要素の欠陥を決定するために分析される。
【0021】
検査の間、機械組立体の様々な構成要素部品または加工対象物は、破砕、亀裂、傷、引っ掻き傷、ねじれ、または窪みなどの欠陥または異常について、個別に調査される。欠陥または異常の存在は、部品が損傷させられている可能性があり、機械組立体へと再び組み込まれた場合に機械組立体の完全性を危険に晒す可能性があることを示している。典型的には、このような検査は、部品を手で検査する作業者によって手作業で実施される。作業者は、欠陥を検出した場合、部品を廃棄もしくは処分するのか、部品を修理するのか、または、修理なしで機械組立体における再使用に向けて部品を承認するのかどうかを決定するために、欠陥の種類、欠陥の大きさなど、様々な因子を検討することができる。
【0022】
詳細な部品検査のための多くの知られている手作業の過程は、主観的であり、一貫性がなく、非効率的であり、および/または不正確である。軸受要素を検査するために使用されている以前の過程の場合、軸受要素が異なる位置へと手作業で移動または回転させられる必要があったため、軸受要素の完全な適用範囲を得ることが難しかった。この移動または回転は、軸受要素をしばしば意図せずに滑らせてしまう、または滑動させてしまい、一定の基準系を維持すること、および、要素の完全な検査の適用範囲が得られたかどうかを決定することを不可能にしてきた。
【0023】
ここで、添付の図面に1つまたは複数の例が示されている本開示の本実施形態が、詳細に参照される。詳細な説明は、図面における特徴に言及するために数字および文字の指示を使用している。図面および説明における同じような指示または同様の指示は、本開示の同じような部品または同様の部品に言及するために使用されている。
【0024】
「例示」という言葉は、本明細書では、「例、実例、または図示として供すること」を意味するように使用されている。「例示」として本明細書で説明されている任意の実装は、必ずしも他の実装に対して好ましいものまたは有利なものとして解釈されるべきではない。また、他に明示的に特定されていない場合、本明細書に説明されているすべての実施形態は、例示と見なされるべきである。
【0025】
本明細書で使用されているように、「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別するために相互に置き換え可能に使用でき、個別の構成要素の場所または重要性を表すようには意図されていない。
【0026】
本明細書で使用されている用語および表現は、異なる特定の意味が本明細書において他に述べられている場合を除いて、上に述べられている技術分野における当業者によってこのような用語および表現に認められるような通常の技術的な意味を有する。本明細書で使用されるときの「または」という言葉は、他に明示的に指示されていない場合、接続的な構文ではなく、選言的な構文を有するとして解釈される。「結合」、「固定」、および「取り付け」などの用語は、本明細書において他に明示されていない場合、直接的な結合、固定、または取り付けと、1つまたは複数の中間の構成要素または特徴を通じての間接的な結合、固定、または取り付けとの両方に言及している。
【0027】
「1つ(a、an)」および「その(the)」という単数形は、文脈が他に明らかに指示していない場合、複数の言及を含んでいる。
【0028】
明細書および請求項を通じて本明細書で使用されているような近似の文言は、関連する基本的な機能に変化をもたらすことなく許容可能に変化することができる任意の量的な描写を修飾するために適用される。したがって、「約」、「おおよそ」、および「実質的に」などの用語によって修飾される値は、明示された正確な値に限定されない。少なくともある例では、近似の文言は、値を測定するための器具の精度、または、構成要素および/もしくはシステムを構築もしくは製造するための方法もしくは機械の精度に対応する可能性がある。例えば、近似の文言は、1、2、4、10、15、または20パーセントのマージンの中にあると言える。これらの近似のマージンは、単一の値、数値範囲を定める一方もしくは両方の端点、および/または、端点同士の間の範囲についてのマージンに当てはまり得る。
【0029】
ここでは、ならびに、明細書および特許請求の範囲を通じて、範囲の限度は組み合わされて相互に置き換えられ、このような範囲は、特定され、文脈または文言が他に指示していない場合、そこに含まれるすべての下位範囲を含む。例えば、本明細書で開示されているすべての範囲は端点を含めており、端点同士は互いと独立して結び付けることができる。
【0030】
ここで
図1を参照すると、軸受要素を検査するためのシステム100の一例が描写されている。本明細書に説明されている手法は軸受要素に関連するが、これらの手法は、軸受システムまたは軸受組立体からの構成要素だけでなく、他の構成要素を検査することにも適用可能であることは、理解されるものである。
【0031】
システム100は、カメラ102と、照明104と、第1のステージ構造106と、第2のステージ構造108と、軌道(または直線的な案内部)110と、第1のマニピュレータ構造112(第1のマニピュレータアーム114を伴う)と、第2のマニピュレータ構造116(第2のマニピュレータアーム118を伴う)と、第1の入れ子構造120(第1のマニピュレータアーム114に結合されている)と、第2の入れ子構造122(第2のマニピュレータアーム118に結合されている)と、モータ124、126、128、130、132、および134と、制御回路または制御装置136と、記憶装置140に保存された機械学習アルゴリズム138と、表示装置142と、第1の真空ポンプ148と、第2の真空ポンプ150とを備える。
【0032】
カメラ102は、画像を得るように構成されている任意の種類のカメラまたはセンサである。画像は、可視光においてであり得るが、x線、赤外線、または他の波長を含め、任意の他の波長のものであってもよい。カメラ102は、検査される軸受要素に対して、異なる場所、位置、高さ、および角度に位置決めされる複数のカメラを備え得る。カメラ102は、適切なスタンドまたは他の構造に配置され得る、またはそれらによって保持され得る。カメラは、静止画または動画を撮ることができる任意の光学センサを含む任意の適切な撮像デバイスを表すことができる。適切な種類のカメラは、CMOSカメラ、CCDカメラ、アナログカメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、または、画像を撮ることができる任意の他の種類のデバイスであり得る。
【0033】
照明104は、例では軸受要素を含め、検査される構成要素の少なくとも一部分を照らす照明デバイスである。複数の照明または単一の照明が使用されてもよい。異なる色、波長、または他の特性が、照明104によって提供され得る。
【0034】
第1のステージ構造106および第2のステージ構造108は、軸受要素を担持または支持するだけの十分な強度および能力を有する任意の適切な材料(金属または硬質プラスチックなど)から構築されている。
図1の例では、第1のステージ構造106および第2のステージ構造108は、概してL字形の板であり、符号144および146が付された矢印によって指示されている方向に沿って、軌道110に沿って往復するように移動する。第1のステージ構造106は、軌道110に結合されており、モータ134によって軌道110に沿って移動可能である。第2のステージ構造108は、軌道110に結合されており、モータ124によって軌道110に沿って移動可能である。第1のステージ構造106と第2のステージ構造108とは互いと反対に位置合わせされている。他の例では、第1のステージ構造106および第2のステージ構造が同じモータによって作動させられることが可能である。
【0035】
第1のマニピュレータ構造112は第1のステージ構造106に配置されている。第1のマニピュレータ構造112は第1のマニピュレータアーム114を備える。第1のマニピュレータアーム114に取り付けまたは結合されているのは、第1の入れ子構造120である。第1の入れ子構造120は軸受要素(
図1には図示せず)を固定するように構成されている。軸受要素は、いくつかの例に言及するために、金属またはセラミックのボールまたはローラであり得る。第1の入れ子構造120は、軸受要素が配置される開口を伴う筐体を備える。
【0036】
第2のマニピュレータ構造116は第2のステージ構造108に配置されている。第2のマニピュレータ構造116は第2のマニピュレータアーム118を備える。第2のマニピュレータアーム118に取り付けまたは結合されているのは、第2の入れ子構造122である。第2の入れ子構造122も、軸受要素を固定するように構成されており、第1の入れ子構造120の概して反対にある。第2の入れ子構造122は、軸受要素が配置される開口を伴う筐体を備える。
【0037】
第1のマニピュレータ構造112および第2のマニピュレータ構造116は、第1のマニピュレータアーム114または第2のマニピュレータアーム118を支持、保持、案内、制御、含有、および/または包含する任意の種類の支持構造である。これらの点に関して、第1のマニピュレータ構造112および第2のマニピュレータ構造116は、第1のマニピュレータアーム114または第2のマニピュレータアーム118と、アームの移動を制御するモータ126、128、130、および132からのあらゆる機械的、電気的、または他の接続とを固定、保持、または支持する適切な金属またはプラスチックの要素から構築できる。これらの接続は、モータ126、128、130、および132から、第1のマニピュレータアーム114もしくは第2のマニピュレータアーム118へと、または、第1の入れ子構造120および第2の入れ子構造122へと、機械的な力を伝達するベルト、滑車、レバー、ワイヤ、または他のこのような構成要素などの伝達要素を含み得る。第1のマニピュレータ構造112および第2のマニピュレータ構造116を備える要素の正確な寸法、形、形態因子、および数は、システムおよび使用者の正確な要求に依存して変化することができることは、理解されるものである。
【0038】
第1のマニピュレータアーム114および第2のマニピュレータアーム118は、第1の入れ子構造120および第2の入れ子構造122を保持、包含、含有、またはそれらに接続するように構成されている細長い構造または部材である。第1のマニピュレータアーム114および第2のマニピュレータアーム118は、これらの接続を行って維持するための強度を有する適切な金属、硬質プラスチック、または他の要素から構築され得る。
【0039】
軸が第1のマニピュレータアーム114の長さに沿って長手方向に延びており、第1のマニピュレータアーム114は、ある例では360度、この軸の周りでモータ132によって回転可能である。他の軸が第2のマニピュレータアーム118の長さに沿って長手方向に延びており、第2のマニピュレータアーム118は、ある例では360度、この軸の周りでモータ126によって回転可能である。第1のマニピュレータアーム114が回転するとき、第1の入れ子構造120も第1のマニピュレータアーム114と共に回転する。第2のマニピュレータアーム118が回転するとき、第2の入れ子構造122も第2のマニピュレータアーム118と共に回転する。結果として、アームが回転させられるにつれて、軸受要素が第1の入れ子構造120または第2の入れ子構造122のいずれかに配置されているとき、軸受要素は、カメラ102によって異なる角度および位置で見られることが可能となり、これらの異なる角度および位置から異なる画像を得ることができる。
【0040】
第1のマニピュレータアーム114および第2のマニピュレータアーム118は、任意の適切な構成および寸法のものであり得る。一例では、第1のマニピュレータアーム114および第2のマニピュレータアーム118は単一の細長い要素または部材である。他の例では、第1のマニピュレータアーム114および第2のマニピュレータアーム118は複数の要素または複数の部材である。一例では、第1のマニピュレータアーム114および第2のマニピュレータアーム118は寸法および構成が同一である。しかしながら、他の例では、第1のマニピュレータアーム114および第2のマニピュレータアーム118は、異なる寸法を有することができ、異なる寸法および構成のものとできる。
【0041】
第1の入れ子構造120および第2の入れ子構造122は、軸受要素を固定および保持するように構成される。一例では、第1の入れ子構造120および第2の入れ子構造122は、各々において露出された開口を伴う筐体(金属またはプラスチックなどの任意の適切な材料から構築される)を備える。第1の入れ子構造および第2の入れ子構造を構築するために選択される材料は、軸受要素を支持および保持することができるように選択される。開口は、軸受要素がセラミックボールである一例では、第1の入れ子構造120および第2の入れ子構造122の中の露出された椀状の構造を形成し得る。第1の入れ子構造120および第2の入れ子構造122に形成された椀状の構造は、セラミックボールが椀状の構造に具合よく嵌まり、椀状の構造によって保持できるように、セラミックボールの形に一致する(または、大まかに一致する)。ボール形の物体以外の構成要素が保持される場合、椀状の構造の寸法、構成、および/または形は、構成要素の寸法、構成、および/または形に一致するように変更されることは、理解されるものである。一例では、セラミックボールが椀状の構造に配置されるとき、セラミックボールの少なくとも一部分が椀状の構造の中で保持される。さらなる非限定的な例として、これは、セラミックボールの半分が保持され、他の半分が椀状の構造から外に延びることを含み得る。
【0042】
真空配管149および真空配管151が、真空ポンプ148または150と(それぞれ)結合または連通しており、真空ポンプ148および真空ポンプ150は、椀状の構造においてセラミックボールを(適用されるときに)さらに固定する吸引力または他の力を提供する。真空配管149および真空配管151は、第1の入れ子構造120および第2の入れ子構造122に、例えばこれらの入れ子構造の椀の底における開口を介して(それぞれ)結合する。セラミックボールが椀状の構造に完全に配置されると、真空ポンプ148または150は作動させられ、セラミックボールは、ステージ構造、マニピュレータアーム、または入れ子構造のいずれの移動においても、第1の入れ子構造120または第2の入れ子構造122の中で滑らない、滑動しない、または他に移動しないように、固定される。
【0043】
第1の入れ子構造120または第2の入れ子構造122の筐体はまた、椀状の構造(延いては、椀状の構造に固定される軸受要素)を回転させることができるように構成されてもよい。例えば、ターンテーブル状のデバイスが、椀状の構造の中心から長手方向外向きに延びる軸の周りで第1の入れ子構造120または第2の入れ子構造122を回転させるように、筐体へと組み込まれてもよい。回転の間、軸受要素は、椀状の構造の中で滑らない、または滑動しない。
【0044】
モータ124、126、128、130、132、および134は、システムにおける要素を移動する、旋回する、回転する、押す、引っ張る、または他に制御するように作用する任意の種類の駆動要素またはモータデバイス(例えば、電気モータ)である。これらのモータ124、126、128、130、132、および134が他の伝達要素に結合し、結合(
図1および
図2で大まかにのみ示されている)が、滑車、ベルト、レバー、輪、歯車、シャフト、または他の同様の要素などの伝達のデバイスまたは構成要素を用いて遂行されることは、理解されるものである。使用される伝達要素の正確な組み合わせは、システムおよび使用者の要求に依存する。
【0045】
非限定的な例では、モータ124は第2のステージ構造108に結合している。モータ134は第1のステージ構造106に結合している。モータ126は第2のマニピュレータアーム118に結合している。モータ132は第1のマニピュレータアーム114に結合している。モータ128は第2の入れ子構造122に結合している。モータ130は第1の入れ子構造120に結合している。
【0046】
モータ124、126、128、130、132、および134のすべてが制御装置136に結合されている。制御装置136は、軸受要素のすべての表面が完全に撮像、検査、および/または網羅されるように、様々なステージ構造、マニピュレータアーム、および入れ子構造を移動させて、第1の入れ子構造120または第2の入れ子構造122における軸受要素を複数の角度および位置から調査および撮像するのを可能にするために、必要に応じてモータを選択的に作動および作動停止させる。
【0047】
記憶装置140は任意の種類の電子記憶保存デバイスである。記憶装置は1つまたは複数の機械学習アルゴリズム138を含み得る。機械学習アルゴリズム138は、ニューラルネットワークを含む任意の種類の機械学習アルゴリズムであり得る。機械学習アルゴリズム138は、カメラ102によって得られるデータ(例えば、画像)を分析するために使用されてもよい。例えば、機械学習アルゴリズム138は、欠陥が軸受要素に存在するかどうか、欠陥の種類(例えば、亀裂)、欠陥の寸法、および欠陥の性質(例えば、重度または軽度)を決定することができる。機械学習アルゴリズム138は、システムの使用者への警告(または、部品を廃棄すること、または部品を維持することなどの他のこと)を決定および発信することなどを取るために、行動を決定することもできる。
【0048】
他の態様では、機械学習アルゴリズム138は、欠陥を決定するために訓練されてもよい。一例では、機械学習アルゴリズム138がニューラルネットワークを備えるとき、ニューラルネットワークは、欠陥のある部品または欠陥のない部品からのものであると分かっている(および、分類されている)画像を使用して訓練され得る。ニューラルネットワークが訓練された後、システム100が検査局面で動作しているとき、カメラ102によって得られた画像は、画像が欠陥を示しているか示していないかについての決定を生み出すために、ニューラルネットワークに適用される。ニューラルネットワークは、欠陥の種類の結果、および/または、欠陥に関して取られる可能な行動(例えば、部品を交換すること)を生み出すように訓練させることもできる。
【0049】
表示装置142は、例えば視覚的画像といった情報を使用者に与える任意の種類の電子表示装置(例えば、画面またはタッチスクリーン)である。表示装置は使用者の電子機器へと組み込むことができ、ここで、使用者の電子機器には、いくつか例を挙げると、スマートフォン、携帯電話、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、またはタブレットがある。画像は、カメラ102によって得られた画像を含んでもよい。
【0050】
真空ポンプ148および150は、軸受要素を第1の入れ子構造120および第2の入れ子構造122において固定するために、吸引または力を提供する任意の種類のデバイスである。真空ポンプ148および150は、第1の入れ子構造120および第2の入れ子構造122にさらに結合する管に結合することができる。真空ポンプ148および150は、電圧を真空ポンプ148および150に適用することで作動させられてもよく、電圧を除去することで作動停止させられてもよい。交換動作(軸受要素が第1の入れ子構造120と第2の入れ子構造122との間で交換させられる)の間、一方の入れ子構造のための一方のポンプが初期に作動させられており、次に、軸受要素が他方の入れ子構造において固定されたとき、このポンプが作動停止させられる一方で、他方のポンプが作動させられる。この方法では、軸受要素と軸受要素の制御とは、一方の入れ子構造から他方の入れ子構造へと、入れ子構造の中でずれなしで移し替えられ、軸受要素を表現する共通の座標系を使用させることができる。
【0051】
制御装置136は、記憶装置140(機械学習アルゴリズム138を伴う)と、モータ124、126、128、130、132、および134と、照明104と、カメラ102と、表示装置142と、第1の真空ポンプ148と、第2の真空ポンプ150とに結合されている。本明細書で使用されているように、「制御装置」または「制御回路」という用語は、他の構成要素およびデバイスの動作を支配するように概して設計されている、処理装置、記憶装置、およびプログラム可能な入力/出力周辺装置を伴う任意のマイクロコントローラ、コンピュータ、または処理装置に基づくデバイスを幅広く言っていることは、理解されるものである。記憶装置、他の構成要素およびデバイスなどとの通信のための送受信装置を含め、共通の付随する補助デバイスを備えることは、さらに理解される。これらの構造上の選択肢は、当技術分野でよく知られて理解されており、本明細書ではさらなる説明を必要としない。
【0052】
制御装置136は、カメラ102、照明104、およびモータを動作させるコンピュータ命令(例えば、コンピュータプログラムの形態)がプログラムされ得る。例えば、コンピュータ命令は、照明104およびカメラ102を作動させることができる。感知するデバイスまたはセンサが、軸受要素が第1の入れ子構造120にいつ配置されたかを決定することができる(例えば、軸受要素は、手作業で配置され得る、または、ロボットもしくは自動デバイスによって配置され得る)。コンピュータ命令は、軸受要素を第1の入れ子構造120において固定するために、第1の真空ポンプ148を作動させることができる。
【0053】
次に、コンピュータ命令は、第1の入れ子構造120(または、第2の入れ子構造122)によって保持される軸受要素が回転するように、第1の入れ子構造120を回転させるためにモータ130を動作させる(または、第2の入れ子構造122を回転させるためにモータ132を動作させる)ことができる。次に、コンピュータ命令は、軸受要素の画像を複数の位置で得るためにカメラを作動させることができる。これが完了されたとき、コンピュータ命令は、軸受要素およびその制御が第1の入れ子構造120から第2の入れ子構造122へと(または、第2の入れ子構造122から第1の入れ子構造120へと)移し替えられ得るように、第1の入れ子構造120および/または第2の入れ子構造を位置合わせへと移動させるために、モータ134および/またはモータ124を動作させることができる。
【0054】
他の態様では、コンピュータ命令を実行する制御装置136は、第1のステージ構造106および第2のステージ構造108を移動させるために、モータ134および/またはモータ124を選択的に動作させる。他の例では、コンピュータ命令を実行することによる制御装置136は、第2のマニピュレータアーム118を操作するためにモータ126を選択的に動作させ、第1のマニピュレータアーム114を操作するためにモータ132を選択的に動作させる。この移動は、第2のマニピュレータアーム118または第1のマニピュレータアーム114を回転させることであり得、これは、第1の入れ子構造120または第2の入れ子構造122に保持される任意の軸受要素を回転させる。正確な移動(例えば、回転の量)は、あらかじめプログラムされてもよく、システムまたは使用者の必要性に依存してもよい。
【0055】
さらに他の態様では、制御装置136は、軸受要素が第1の入れ子構造120と第2の入れ子構造122との両方に位置決めされた後、第1の入れ子構造120から第2の入れ子構造122への軸受要素の移し替えを遂行するために、第1の真空ポンプ148を作動停止し、第2の真空ポンプ150を作動させることができる。作動は、電圧を真空ポンプに適用することで遂行でき、作動停止は、電圧を除去することで遂行できる。動作は、軸受要素を第2の入れ子構造122から第1の入れ子構造120へと移し替えるために反転されてもよい。
【0056】
軸受要素が第1の入れ子構造120から第2の入れ子構造122へと(または、第2の入れ子構造122から第1の入れ子構造120へと)移し替えられると、コンピュータ命令は、第2のマニピュレータアーム118を移動させるためにモータ126を動作させる、または、第2の入れ子構造を移動させるためにモータ128を動作させることができ、異なる位置にある間に軸受要素の画像を得るために、カメラ102を作動させることができる。これが完了した後、コンピュータ命令を実行する制御装置136は、第2の真空ポンプ150を作動停止することで軸受要素を解放することができる。軸受要素は、最終的な入れ子構造(第1の入れ子構造120または第2の入れ子構造122)から手作業で取り外すことができる、または、ロボット、もしくは自動のデバイスもしくは車両によって自動的に取り外すことができる。
【0057】
これらの手法では、軸受要素は座標系の座標によって表現することができ、それによって基準系を提供することができる。例えば、三次元座標(x,y,およびzの座標)または球面座標(r、θ、φ、ここで、r=球の半径、θ=極角、およびφ=方位角)が、軸受要素(例えば、軸受要素がセラミックボールであるとき)の表面における点、または、軸受要素の内部の点を表現するために使用できる。本手法において、この座標系は同じであり、軸受要素がどこに位置させられるか(つまり、どの入れ子構造に位置させられるか)に拘わらず、軸受要素のすべての位置において共通して使用される。より明確には、アームがどのように回転させられるかに拘わらず、または、ステージ構造がどこに移動させられているかに拘わらず、軸受要素が第1の入れ子構造または第2の入れ子構造にあるとき、同じ座標系が軸受要素を表現するために使用される。
【0058】
前述のとおり、軸受要素はすべての移動の間、入れ子構造に固定される。軸受要素は、移動が起こるとき、またはあらゆる他の時間において、入れ子構造の中で滑らない、滑動しない、または移動しない。これによって、軸受要素の点または領域を表現するために、共通の座標系または基準系を使用させることができる。これはさらに、軸受要素の欠陥を、正確性および確実性を伴って、繰り返すことなく、分析、分類、および特定させることができる。結果として、これらの手法は、欠陥もしくは他の特徴が軸受要素の表面(もしくは内部)においてどこに存在するか、および/または、軸受要素全体のすべての表面が調査されたかどうか(例えば、軸受要素がセラミックボールであるとき、軸受要素の表面全体)の確実性を伴って、結果の正確な分析を可能にする。
【0059】
例えば、これらの手法を使用することで、固定された座標系が領域をすでにタグ付けしており、軸受構成要素がどこに位置させられるかに拘わらず、および、どのような移動が起こったかに拘わらず、このタグとその座標とが正確であるため、異なる画像同士の間で、軸受要素における欠陥を重複して確認または分析してしまうという心配がない。前述のとおり、共通の座標系を維持することによって、どの領域が調査されたか、および、どの領域がまだ調査される必要があるかが、完全な確実性を伴って分かっているため、軸受要素全体が調査され得ることが確保される。これらの利点のすべてが、正確な画像処理、欠陥および潜在的な欠陥の特定およびタグ付け、これらの欠陥の分析、ならびに、使用者に与えられる欠陥または軸受要素の情報(例えば、写真)の提示を可能にする。
【0060】
ここで特に
図2を参照すると、
図1のシステムの(要素のうちのいくつかの)単純化された斜視図が描写されている。図示されているように、入れ子構造120および122が(第1のステージ構造および第2のステージ構造を移動させることで)近接または接触させられるとき、軸受要素が入れ子構造120または122の一方から入れ子構造120および122の他方へと移し替えられ得るように、入れ子構造120および122は線152に沿って位置合わせしている。これらの点において、第1の入れ子構造120と第2の入れ子構造とは互いに接触することができ、各々が同じ寸法および形状因子を有し得る。
【0061】
軸受要素は、入れ子構造120または122が矢印158または160によって指示された方向に回転させられるとき、入れ子構造120または122と共に回転するが、入れ子構造の中で滑らない、または移動しない。回転の量は、完全な360度など、任意の量であり得る。第1のマニピュレータアーム114および第2のマニピュレータアーム118も、矢印154および156によって指示されている方向に回転する。一例では、第1のマニピュレータアーム114および第2のマニピュレータアーム118は360度回転することができるが、他の例では、回転の量はより限られている。
【0062】
図1および
図2のシステムの動作の一例では、制御装置136は、軸受要素を第1の入れ子構造120において初期に固定するように第1の入れ子構造120の動作を制御するように構成されている。これは、第1の真空ポンプ148を作動させることで遂行され得る。制御装置136は、第1の入れ子構造120が第2の入れ子構造122と隣接して位置合わせされ、軸受要素(例えば、セラミックボール)が第1の入れ子構造120および第2の入れ子構造122に少なくとも部分的に収容されるように、モータ134および/または124を作動させて、第1のステージ構造および第2のステージ構造108を位置合わせ状態へと応答可能なように移動させるようにさらに構成されている。この交換の動作では、第1の入れ子構造120と第2の入れ子構造122とは互いと接触することができる。
【0063】
第1の入れ子構造120と第2の入れ子構造122との位置合わせが得られるとき、制御装置136は、軸受要素が第1の入れ子構造120から解放され、第2の入れ子構造122において固定されるように、第1の入れ子構造120および第2の入れ子構造122の動作を制御するように構成される。第1の入れ子構造120から第2の入れ子構造122への軸受要素の移動、および制御の移し替えは、いずれの入れ子構造の中でもずれなしで起こり、軸受要素が第1の入れ子構造120および第2の入れ子構造122にあるときに使用される共通の基準系の維持をもたらす。例えば、第1の真空ポンプ148は、軸受要素を第1の入れ子構造120において固定するために最初に作動させられる。位置合わせが起こり、軸受要素が各々の入れ子構造において少なくとも部分的に位置決めされた後、第1の真空ポンプ148は作動停止させられ、第2の真空ポンプ150は作動させられる。
【0064】
制御装置136は、第1のマニピュレータアーム114および第2のマニピュレータアーム118の1つまたは複数を移動または回転させるように、モータ132および126を作動させるようにさらに構成されている。第1のマニピュレータアーム114および/または第2のマニピュレータアーム118の移動が、第1の入れ子構造120および/または第2の入れ子構造122を移動させ、カメラ102に対する軸受要素の位置を調整するために有効である。第1のマニピュレータアーム114および第2のマニピュレータアーム118の移動は、軸受要素が対応する入れ子構造にあるときに起こり、様々な位置で軸受要素を撮像するように行われる。
【0065】
例では、モータ130および128は、第1の入れ子構造120および/または第2の入れ子構造122を回転させるために、制御装置136によって作動させられる。この回転は軸受要素も回転させる。これはさらに、複数の有利な位置から軸受要素の異なる領域にわたって画像を得るために、カメラ102を制御装置136によって作動させることを可能にする。
【0066】
制御装置136は、軸受要素の画像を得るためにカメラ102を作動させるように、および、軸受要素の欠陥を決定するために画像を分析するように、さらに構成されている。画像は、軸受要素の完全な視覚的適用範囲が得られるように、システム要素の様々な位置で得られる。
【0067】
ここで
図3A、
図3B、および
図3Cを参照すると、マニピュレータアームの移動を示す1つの例が説明されている。これらの図は、矢印308によって指示されている方向において軸307の周りで回転させられるマニピュレータアーム302を示している。軸受要素306を保持する入れ子構造304が示されている。入れ子構造304は、矢印310によって指示されている方向において軸309の周りで回転する。マニピュレータアーム302および入れ子構造304は、モータ(これらの図には図示せず)によって移動または旋回させられ、
図1および
図2のマニピュレータアームおよび入れ子構造に関して説明されているように構築および配置され得る。
【0068】
図3Aでは、入れ子構造が水平方向を向くようにマニピュレータアーム302が旋回させられることが見て取れる。
図3Bでは、マニピュレータアーム302は、入れ子構造304が上向きに傾斜するまで回転している。
図3Cでは、マニピュレータアーム302は、入れ子構造304が鉛直方向を向くようにさらに回転させられている。これらの移動のうちのいずれかの最中、移動ごとの間、または移動のうちのいずれかの後、入れ子構造304自体は軸309の周りで回転させられ得る。これらの回転を使用することで、軸受要素306の画像を撮るカメラによる軸受要素306の全体の検査の適用範囲が達成され得る。
【0069】
ここで
図4A、
図4B、および
図4Cを参照すると、異なる位置におけるステージ構造の移動が描写されている。これらの図は、レール(または直線的な案内部)410に沿って移動する第1のステージ構造402および第2のステージ構造404を含む。第1のステージ構造402および第2のステージ構造404は、本明細書における他の箇所で説明されているようなマニピュレータ構造(マニピュレータアームを含む)を含むが、簡潔さのため、これらは
図4A、
図4B、および
図4Cには示されていない。第1のステージ構造402は第1の入れ子構造406を含み、第2のステージ構造404は第2の入れ子構造408を含む。第1の入れ子構造406および第2の入れ子構造408は、軸受要素412を保持して固定する。軸受要素412は、第1の入れ子構造406と第2の入れ子構造408との間で移し替えられる、または交換される。
【0070】
図4Aに示されているように、軸受要素412は第1の入れ子構造406に固定される。第1のステージ構造402は、矢印414によって指示されている方向において、第2のステージ構造404に向けて、レール410に沿って移動させられる。第2のステージ構造404は、矢印416によって指示されている方向において、第1のステージ構造402に向けて、レール410に沿って移動させられる。第1のステージ構造402が移動するとき、軸受要素412を保持する第1の入れ子構造406が移動し、これは軸受要素を移動させる。
【0071】
図4Bに示されているように、第1の入れ子構造406と第2の入れ子構造408とは一体にさせられる。軸受要素412は、第1の入れ子構造406および第2の入れ子構造408に部分的に位置する。初めに、第1の入れ子構造406が軸受要素412を固定している。次に、第1の入れ子構造406は軸受要素412を解放し、第2の入れ子構造408が軸受要素412を固定する。軸受要素412の制御および固定が第1の入れ子構造406から第2の入れ子構造408へと移り替わった後、第1のステージ構造402と第2のステージ構造404とは離れるように移動させられる。
【0072】
図4Cに示されているように、軸受要素412は第2の入れ子構造408に固定されている。第1のステージ構造402は、矢印418の方向において、第2のステージ構造404から離れるように、レール410に沿って移動させられる。第2のステージ構造404は、矢印420の方向において、第1のステージ構造402から離れるように、レール410に沿って移動させられる。
【0073】
すべてのこれらの移動の最中に、軸受要素412は第1の入れ子構造406または第2の入れ子構造408の中で滑らず、または滑動せず、軸受要素412のための共通の基準系を維持させることができる。
【0074】
ここで
図5A、
図5B、
図5C、および
図5Dを参照すると、入れ子構造同士の間での軸受要素520の制御の移し替えが描写されている。第1の入れ子構造502が第1のマニピュレータアーム504において固定されており、第2の入れ子構造506が第2のマニピュレータアーム508に固定されている。第1の入れ子構造502、第1のマニピュレータアーム504、第2の入れ子構造506、および第2のマニピュレータアーム508は、本明細書における他の箇所で説明されている同様の要素に関して説明されているとおりである。第1の入れ子構造502と第2の入れ子構造506とは軸501に沿って位置合わせしている。
【0075】
図5Aに示されているように、軸受要素520は第1の入れ子構造502に固定される。第1の入れ子構造502は、矢印510によって指示されている方向において、第2の入れ子構造506に向けて移動させられる(例えば、第1のステージ構造を本明細書における他の箇所で説明されているように移動させることで)。第2の入れ子構造506は、矢印512によって指示されている方向において、第1の入れ子構造502に向けて移動させられる(例えば、第2のステージ構造を本明細書における他の箇所で説明されているように移動させることで)。第1の入れ子構造502は、移動するとき、軸受要素520を運ぶ。第1のマニピュレータアーム504は第1のステージ構造(図示せず)に配置でき、第2のマニピュレータアーム508は第2のステージ構造に配置され得る。ステージ構造の移動は、対応するアームおよび入れ子構造の移動をもたらす。
【0076】
図5Bに示されているように、第1の入れ子構造502は、矢印510によって指示されている方向において、第2の入れ子構造506に向けて移動し続ける。第2の入れ子構造506は、矢印512によって指示されている方向において、第1の入れ子構造502に向けて移動し続ける。第1の入れ子構造502は、移動するとき、軸受要素520を運び続ける。他の例では、入れ子構造のうちの一方だけが移動させられ、他方の入れ子構造は場所が固定される。
【0077】
図5Cに示されているように、第1の入れ子構造502と第2の入れ子構造506とは一体にさせられており、接触している。軸受要素520は、第1の入れ子構造502および第2の入れ子構造506に部分的に位置する。初めに、第1の入れ子構造502が軸受要素を固定している(例えば、軸受要素520が第1の入れ子構造502にある間に真空吸引を軸受要素520に適用することで)。次に、第1の入れ子構造502は軸受要素520を解放し(例えば、第1の入れ子構造502における真空吸引を停止することで)、第2の入れ子構造506が軸受要素520を固定する(例えば、第2の入れ子構造506において真空吸引を適用することで)。軸受要素520の制御および固定が第1の入れ子構造502から第2の入れ子構造506へと移り替わった後、第1の入れ子構造502と第2の入れ子構造506とは離れるように移動させられる。
【0078】
図5Dに示されているように、軸受要素520は第2の入れ子構造506に固定されている。第1の入れ子構造502は、矢印522の方向において、第2の入れ子構造506から離れるように移動させられる。第2の入れ子構造506は、矢印524の方向において、第1の入れ子構造502から離れるように移動させられる。
【0079】
ここで
図6を参照すると、軸受要素を検査する一例が描写されている。1つまたは複数の軌道に結合され、1つまたは複数のモータによって1つまたは複数の軌道に沿って移動可能である第1のステージ構造と、1つまたは複数の軌道に結合され、1つまたは複数のモータによって1つまたは複数の軌道に沿って移動可能である第2のステージ構造とが提供されている。第1のマニピュレータ構造が、第1のステージ構造に配置されており、第1の入れ子構造を含む。第1の入れ子構造は軸受要素を固定するように構成されている。第2のマニピュレータ構造が、第2のステージ構造に配置されており、第2の入れ子構造を含む。第2の入れ子構造は軸受要素を固定するように構成されている。これらの要素は、
図1~
図5の例に関して説明されたものと同じまたは同様の要素であり得る。
【0080】
初めに、602において、軸受要素が第1の入れ子構造に配置された後、軸受要素は、第1の入れ子構造で保持される。例えば、軸受要素を所定位置で固定する吸引または真空が利用され得る。
【0081】
603において、軸受要素は、第1の入れ子構造で保持されている間に操作され、第1の検査が実施される。例えば、第1の入れ子構造は、第1の入れ子構造に結合されたアームを移動させることで旋回させることができる。第1の入れ子構造自体が回転させられてもよい。これらの運動の間、軸受要素の画像を得ることができる、または、人による視覚的な検査を実施することができる。
【0082】
604において、1つまたは複数のモータが、第1の入れ子構造を第2の入れ子構造と位置合わせさせて隣接させるように作動させられ、軸受要素は、第1の入れ子構造および第2の入れ子構造に少なくとも部分的に収容される。一例では、入れ子構造同士は軸受要素と接触し、軸受要素を一方の入れ子構造から他方の入れ子構造へと移し替えさせることを可能にする。
【0083】
第1の入れ子構造と第2の入れ子構造との位置合わせが得られるとき、真空ポンプの動作は、606において、軸受要素が第1の入れ子構造から解放され、第2の入れ子構造において固定されるように制御される。第1の入れ子構造から第2の入れ子構造への軸受要素の移動は、ずれなしで起こり、軸受要素が第1の入れ子構造および第2の入れ子構造にあるときに使用される共通の基準系の維持をもたらす。第1の入れ子構造と第2の入れ子構造とは分離される。
【0084】
607において、軸受要素は、第2の入れ子構造にある間に操作され、第2の検査が実施することができる。例えば、第2の入れ子構造は、第2の入れ子構造に結合されたアームを移動させることで旋回させることができる。第2の入れ子構造自体が回転させられてもよい。これらの運動の間、軸受要素の画像を得ることができる、または、人による視覚的な検査を実施することができる。
【0085】
608において、1つまたは複数のカメラが、軸受要素の画像データを選択的に得るために動作させられる。これは、603における操作および検査、ならびに/または、607における操作および検査と同時に行われる可能性があることは、検討されている。
【0086】
610において、画像は、軸受要素の欠陥を決定するために分析される。612において、分析の結果として行動が取られ得る。行動は、部品が組立体に戻されて組み立てられる前に部品を自動または手作業で交換すること、部品を固定すること、または、部品を組立体へと戻して交換だけすることを含み得る。他の例では、警告が発せられてもよい。また、画像は使用者に表示されてもよい。
【0087】
ここで
図7、
図8、
図9、および
図10を参照すると、検査システムが示されており、ある入れ子構造から第2の入れ子構造への軸受要素の交換が説明されている。
【0088】
これらの図は、第1のステージ構造702と、第2のステージ構造705と、軌道(または直線的な案内部)722と、第1のマニピュレータ構造707(第1のマニピュレータアーム713を伴う)と、第2のマニピュレータ構造709(第2のマニピュレータアーム715を伴う)と、第1の入れ子構造704(第1のマニピュレータアーム713に結合されている)と、第2の入れ子構造712(第2のマニピュレータアーム715に結合されている)とを備えるシステムを示している。モータ706、710、716、718、および714も示されている。真空管717が第2の入れ子構造712に結合している。軸受要素720が、第1の入れ子構造704または第2の入れ子構造712のいずれかに示されている。
【0089】
システムは、制御装置または制御回路と、記憶装置に保存された機械学習アルゴリズムと、表示装置と、第2の真空ポンプと、1つまたは複数のカメラと、照明と、他のモータとを同様に備えることになる。簡潔さのために、これらの要素は、
図7、
図8、
図9、および
図10の例において示されていない。
【0090】
伝達要素708(この場合には、ベルト)が、モータ706と、第2のマニピュレータアーム715を旋回させる要素との間で結合している。モータ716は、第1のマニピュレータアーム713を旋回させるために使用される同様の伝達要素を有し得る。モータ710は第2の入れ子構造712を回転させるために使用でき、モータ718は第1の入れ子構造704を回転させるために使用できる。図示せず他の伝達要素が、モータから動力を伝達して入れ子構造704および712を回転させるために使用されてもよい。モータ714は、第2のステージ構造705を軌道722に沿って移動させるために使用される。同様のモータ(図示せず)が、第1のステージ構造702を移動させるために使用される。これらの要素は本明細書における他の箇所で説明されており、この説明はここでは繰り返されない。
【0091】
一般的に言えば、
図7は、軸受要素720が第1の入れ子構造704に配置されており、上向きに回転させられている検査システム700を示している。
図8は、軸受要素720が第1の入れ子構造704に配置されており、第2の入れ子構造712に面するように回転させられている検査システム700を示している。
図9は、軸受要素720が第1の入れ子構造704から第2の入れ子構造712へと交換されている検査システム700を示している。
図10は、軸受要素が第2の入れ子構造712に配置されており、検査のために上向きに回転させられている検査システム700を示している。
【0092】
ここで
図7を見ると、軸受要素720は第1の入れ子構造704に配置されており、上向きに回転させられている。カメラ(図示せず)が、軸受要素720の写真を撮るために概して第1の入れ子構造704の上方に位置決めされるように、スタンドに位置決めまたは固定され得る。第1の入れ子構造704は、様々な位置および視点から軸受要素720の写真を得るために最適な視野角がカメラに提供されるように回転することができる。第1の入れ子構造704が回転するとき、軸受要素720は第1の入れ子構造704の中で滑らない、滑動しない、または移動しない。これらの例では、カメラは固定位置にあり得るが、他の例では、カメラの位置が手作業または自動で調整可能であり得る。
【0093】
ここで
図8を見ると、軸受要素720は第1の入れ子構造704に配置されており、第2の入れ子構造712に面するように回転させられている。カメラはこの位置で軸受要素の追加の写真を撮ることができる。
【0094】
ここで
図9を見ると、軸受要素720の制御が第1の入れ子構造704から第2の入れ子構造712へと交換されて手渡されている。第1の入れ子構造704と第2の入れ子構造712とは、軸受要素が各々の入れ子構造の中に少なくとも部分的に配置されるように、一緒に移動している。この場合、軸受要素720はセラミックボールであり、軸受要素720の体積のおおよそ半分が第1の入れ子構造704に配置されており、軸受要素の体積の半分が第2の入れ子構造712に配置されている。初期に、真空吸引が、第1の真空ホース(図示せず)に結合されている第1の真空ポンプ(図示せず)を使用して、第1の入れ子構造704において軸受要素720を保持するために提供され、第1の真空ホースはさらに、第1の入れ子構造704における開口750(
図10に示されている)と連通している。開口750は椀状の形の入れ子構造の底にある。
【0095】
これが停止されると同時に(またはほとんど同時に)、吸引が(第2の真空ポンプ(図示せず)から、第2の入れ子構造712における第2の開口(図示せず)と連通している第2の真空管717を介して)提供され、軸受要素720を第2の入れ子構造712において固定する。したがって、軸受要素720の固定および取り付けは、第1の入れ子構造704から第2の入れ子構造712へと移動させられ、入れ子構造704および712に対して、ならびに、検査システム700と検査システム700における要素とを表す固定の座標系(x,y,z)または球面座標(r、θ、φ、ここで、r=球の半径、θ=極角、およびφ=方位角)に対して、軸受要素720の滑動、ずれ、または他の同様の移動なしで、第2の入れ子構造712において固定される。
【0096】
ここで
図10を見ると、軸受要素720は第2の入れ子構造712に配置されており、さらなる検査のために(例えば、カメラによってさらなる写真を得るために)、第2のマニピュレータアーム715によって上向きに回転させられている。前述のとおり、カメラ(図示せず)は、第2の入れ子構造712(第2のマニピュレータアーム715)の概して上方においてスタンド上に位置決めすることができ、軸受要素720の写真を撮るために、第2のステージ構造705は、軸受要素720の概して上方になるように、移動させることができる。第2の入れ子構造712も、軸受要素720が第2の入れ子構造712にある間に様々な位置および視点から軸受要素720の写真を得るために、最適な視野角がカメラに提供されるように回転することができる。
【0097】
写真が得られると、機械学習アルゴリズムが写真を分析でき(例えば、軸受要素720における欠陥を決定するために)、結果が、スマートフォンまたはパーソナルコンピュータなどの使用者の電子デバイスにおいて、使用者に視覚的に提示される。結果は、写真のうちの一部または全部、故障の決定、および/または取るべき推奨の行動を含み得る。他の例が可能である。
【0098】
本明細書に説明されている手法は、ずれなしで、および人の介入なしで、軸受要素の完全な検査の適用範囲を確保する軸受要素(例えば、ボールベアリング)の素早く正確な位置決めを提供する。例では、これらの手法は、軸受をしっかりと保持するために、軸受要素を入れ子構造において真空の作用で固定する。入れ子構造は、複数の軸受要素の大きさの要素(例えば、おおよそ7/8インチの直径から2と1/8インチの直径までのセラミックボール)に適合するように設計され得る。
【0099】
本明細書に説明されているように、ある実施形態では、2つのマニピュレータが同じ直線的な軸に搭載される。完全な適用範囲を達成するために、コンピュータに基づく移転順序が、一方のマニピュレータから他方のマニピュレータへの軸受要素の移し替えをもたらす。初期の固定では見えなかった表面が第2のマニピュレータにおいて視認可能であり、軸受要素の基準データムが維持される。ある実施形態では、システムは単一のカメラを備え、そのカメラの下で要素が操作される。他の実施形態では、複数のカメラまたは他の撮像デバイスがあり得る。
【0100】
態様では、システムはコンピュータ制御される。特定のルーチン(例えば、コンピュータソフトウェアによって少なくとも一部で実施される)が、例えば、セラミックボールの球全体の視覚的検査を、検出された欠陥の正確なタグ付けを伴って達成するために、利用され得る。他の態様では、システムは、異なる種類の人工知能(AI)アーキテクチャを利用して、様々な異常の自動化された検出および分類を可能とするために、様々な画像センサおよび照明デバイスを統合する。
【0101】
有利には、本明細書で提示されている手法は、正確な要素の位置決めを確保し、検査される軸受要素のための完全な適用範囲を提供する。本手法は、適用範囲およびデータムの維持に影響を与え得るずれの危険性を認めない。
【0102】
さらに、本手法は、軸受要素における自動化された蛍光浸透探傷検査を可能にし、セラミック軸受要素における自動化された白色光検査を可能にする。さらなる例では、セラミックボールの蛍光浸透探傷検査(FPI)のサイクル時間が相当に短縮される(例えば、最大で15倍の係数で)。
【0103】
ここで書かれている説明は、最良の様態を含め、本開示を開示するために例を使用しており、また、あらゆるデバイスまたはシステムを製作および使用することと、組み込まれたあらゆる方法を実施することとを含め、当業者が本開示を実施できるようにするために例を使用している。本開示の特許可能な範囲は、請求項によって定められており、当業者の思い付く他の例を含み得る。そのような他の例は、請求項の文字通りの言葉と異ならない構造的な要素を含む場合、または、請求項の文字通りの言葉と非実質的な違いを伴う均等の構造的な要素を含む場合、請求項の範囲内にあるように意図されている。
【0104】
本発明のさらなる態様は、以下の請求項の主題によって提供される。
【0105】
軸受要素を検査するためのシステムであって、少なくとも1つの真空ポンプと、少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つの駆動要素と、少なくとも1つの真空ポンプおよび少なくとも1つの駆動要素に結合される第1の装着デバイスであって、少なくとも1つの真空ポンプを使用して軸受要素を固定するように構成される第1の装着デバイスと、少なくとも1つの真空ポンプおよび少なくとも1つの駆動要素に結合される第2の装着デバイスであって、少なくとも1つの真空ポンプを使用して軸受要素を固定するように構成される第2の装着デバイスと、少なくとも1つの真空ポンプ、少なくとも1つのセンサ、および少なくとも1つの駆動要素に結合される制御装置であって、軸受要素を第1の装着デバイスにおいて初期に固定するために、少なくとも1つの真空ポンプの動作を制御すること、第1の装着デバイスが第2の装着デバイスと隣接して位置合わせされ、軸受要素が第1の装着デバイスおよび第2の装着デバイスに少なくとも部分的に収容されるように、少なくとも1つの駆動要素を作動させて、第1の装着デバイスおよび第2の装着デバイスを位置合わせ状態へと応答可能なように移動させること、第1の装着デバイスと第2の装着デバイスとの位置合わせが得られるとき、軸受要素が第1の装着デバイスから解放され、第2の装着デバイスにおいて固定されるように、少なくとも1つの真空ポンプの動作を制御することであって、第1の装着デバイスから第2の装着デバイスへの軸受要素のずれなしでの移動および固定は、軸受要素が第1の装着デバイスおよび第2の装着デバイスにあるときに使用される共通の基準系の維持をもたらす、制御すること、軸受要素の画像を得るために少なくとも1つのセンサを作動させること、ならびに、軸受要素の欠陥を決定するために画像を分析することを行うように構成される制御装置とを備えるシステム。
【0106】
第1の装着デバイスは、第1のステージ構造に結合される第1のマニピュレータ構造を備え、第2の装着デバイスは、第2のステージ構造に結合される第2のマニピュレータ構造を備える、いずれかの先行する条項のシステム。
【0107】
第1のマニピュレータ構造は、少なくとも1つの真空ポンプに結合される第1の入れ子構造を備え、第2のマニピュレータ構造は、少なくとも1つの真空ポンプに結合される第2の入れ子構造を備える、いずれかの先行する条項のシステム。
【0108】
少なくとも1つの駆動要素は、少なくとも1つのモータを備える、いずれかの先行する条項のシステム。
【0109】
第1の入れ子構造と第2の入れ子構造とは、異なる大きさの軸受要素を保持するように互換性がある、いずれかの先行する条項のシステム。
【0110】
少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのカメラを備える、いずれかの先行する条項のシステム。
【0111】
軸受要素を検査するためのシステムであって、1つまたは複数のカメラと、1つまたは複数のモータと、1つまたは複数の軌道に結合され、1つまたは複数のモータによって1つまたは複数の軌道に沿って移動可能である第1のステージ構造と、1つまたは複数の軌道に結合され、1つまたは複数のモータによって1つまたは複数の軌道に沿って移動可能である第2のステージ構造と、第1のステージ構造に配置され、第1の入れ子構造を含む第1のマニピュレータ構造であって、第1の入れ子構造は軸受要素を固定するように構成される、第1のマニピュレータ構造と、第2のステージ構造に配置され、第2の入れ子構造を含む第2のマニピュレータ構造であって、第2の入れ子構造は軸受要素を固定するように構成される、第2のマニピュレータ構造と、1つまたは複数のカメラおよび1つまたは複数のモータに結合される制御装置であって、軸受要素を第1の入れ子構造において初期に固定するために、第1の入れ子構造の動作を制御すること、第1の入れ子構造が第2の入れ子構造と隣接して位置合わせされ、軸受要素が第1の入れ子構造および第2の入れ子構造に少なくとも部分的に収容されるように、1つまたは複数のモータを作動させて、第1のステージ構造および第2のステージ構造を位置合わせ状態へと応答可能なように移動させること、第1の入れ子構造と第2の入れ子構造との位置合わせが得られるとき、軸受要素が第1の入れ子構造から解放され、第2の入れ子構造において固定されるように第1の入れ子構造および第2の入れ子構造の動作を制御することであって、第1の入れ子構造から第2の入れ子構造への軸受要素の移動または固定は、ずれなしで起こり、軸受要素が第1の入れ子構造および第2の入れ子構造にあるときに使用される共通の基準系の維持をもたらす、制御すること、軸受要素の画像を得るために1つまたは複数のカメラを作動させること、軸受要素の欠陥を決定するために軸受要素の画像を分析することを行うように構成される制御装置とを備えるシステム。
【0112】
第1のステージ構造に配置される第1のマニピュレータ構造は、第1のマニピュレータアームを備え、第1のアームの第1の移動は、1つまたは複数のモータによって制御され、第2のマニピュレータ構造は、第2のマニピュレータアームを備え、第2のマニピュレータアームの第2の移動は、1つまたは複数のモータによって制御される、いずれかの先行する条項のシステム。
【0113】
制御装置は、第1のマニピュレータアームおよび第2のマニピュレータアームのうちの1つまたは複数を第3の移動において移動させるように、1つまたは複数のモータを作動させるようにさらに構成され、第1のマニピュレータアームまたは第2のマニピュレータアームの第3の移動は、第1の入れ子構造または第2の入れ子構造を移動させ、軸受要素の位置を1つまたは複数のカメラに対して調整するために有効である、いずれかの先行する条項のシステム。
【0114】
第1のマニピュレータアームの第1の移動と、第2のマニピュレータアームの第2の移動とは、回転である、いずれかの先行する条項のシステム。
【0115】
軸受要素の画像は、機械学習アルゴリズムを使用して分析される、いずれかの先行する条項のシステム。
【0116】
第1の入れ子構造と第2の入れ子構造とは、1つまたは複数のモータによって個別に移動可能である、いずれかの先行する条項のシステム。
【0117】
欠陥は亀裂を含む、いずれかの先行する条項のシステム。
【0118】
第1の入れ子構造は、椀状の構造を備え、椀状の構造の底に開口を有する、いずれかの先行する条項のシステム。
【0119】
開口は、真空ポンプと連通する、いずれかの先行する条項のシステム。
【0120】
軸受要素は、ボールまたはローラを備える、いずれかの先行する条項のシステム。
【0121】
軸受要素を検査するための方法であって、1つまたは複数の軌道に結合され、1つまたは複数のモータによって1つまたは複数の軌道に沿って移動可能である第1のステージ構造、および、1つまたは複数の軌道に結合され、1つまたは複数のモータによって1つまたは複数の軌道に沿って移動可能である第2のステージ構造を提供するステップであって、第1のマニピュレータ構造は、第1のステージ構造に配置され、第1の入れ子構造を含み、第1の入れ子構造は、軸受要素を固定するように構成され、第2のマニピュレータ構造は、第2のステージ構造に配置され、第2の入れ子構造を含み、第2の入れ子構造は、軸受要素を固定するように構成される、ステップと、軸受要素を第1の入れ子構造において初期に固定するために、少なくとも1つの真空ポンプの動作を制御するステップと、第1の入れ子構造が第2の入れ子構造と隣接して位置合わせされ、軸受要素が第1の入れ子構造および第2の入れ子構造に少なくとも部分的に収容されるように、1つまたは複数のモータを作動させて、第1のステージ構造および第2のステージ構造を位置合わせ状態へと応答可能なように移動させるステップと、第1の入れ子構造と第2の入れ子構造との位置合わせが得られるとき、軸受要素が第1の入れ子構造から解放され、第2の入れ子構造において固定されるように、少なくとも1つの真空ポンプの動作を制御するステップあって、第1の入れ子構造から第2の入れ子構造への軸受要素の移動または固定は、ずれなしで起こり、軸受要素が第1の入れ子構造および第2の入れ子構造にあるときに使用される共通の基準系の維持をもたらす、ステップと、軸受要素の画像を得るために1つまたは複数のカメラを作動させるステップと、軸受要素の欠陥を決定するために軸受要素の画像を分析するステップとを含む方法。
【0122】
第1のマニピュレータ構造に配置される第1のマニピュレータアームの移動を制御するステップと、第2のマニピュレータ構造に配置される第2のマニピュレータアームの移動を制御するステップとをさらに含む、いずれかの先行する条項の方法。
【0123】
第1の入れ子構造または第2の入れ子構造を移動させ、1つまたは複数のカメラに対する軸受要素の位置を調整するために、第1のマニピュレータアームおよび第2のマニピュレータアームのうちの1つまたは複数を移動させるステップをさらに含む、いずれかの先行する条項の方法。
【0124】
第1のマニピュレータアームおよび第2のマニピュレータアームの移動は、回転である、いずれかの先行する条項の方法。
【0125】
軸受要素の画像を分析するステップは、機械学習アルゴリズムを使用して画像を分析することを含む、いずれかの先行する条項の方法。
【0126】
第1の入れ子構造と第2の入れ子構造とは、1つまたは複数のモータによって個別に移動可能である、いずれかの先行する条項の方法。
【0127】
欠陥は亀裂を含む、いずれかの先行する条項の方法。
【0128】
第1の入れ子構造は、椀状の構造を備え、椀状の構造は、底に開口を有する、いずれかの先行する条項の方法。
【0129】
開口は、真空ポンプと連通する、いずれかの先行する条項の方法。
【0130】
軸受要素は、ボールまたはローラを備える、いずれかの先行する条項の方法。
【0131】
当業者は、幅広い様々な変形、変更、および組み合わせが、本発明の範囲から逸脱することなく、前述の実施形態に関して行うことができることと、そのような変形、変更、および組み合わせが、本発明の概念の範囲内にあると見なされることとを認識するものである。
【0132】
本発明のさらなる態様は、以下の条項の主題によって提供される。
【0133】
1.軸受要素を検査するためのシステムであって、少なくとも1つの真空ポンプと、少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つの駆動要素と、少なくとも1つの真空ポンプおよび少なくとも1つの駆動要素に結合される第1の装着デバイスであって、少なくとも1つの真空ポンプを使用して軸受要素を固定するように構成される第1の装着デバイスと、少なくとも1つの真空ポンプおよび少なくとも1つの駆動要素に結合される第2の装着デバイスであって、少なくとも1つの真空ポンプを使用して軸受要素を固定するように構成される第2の装着デバイスと、少なくとも1つの真空ポンプ、少なくとも1つのセンサ、および少なくとも1つの駆動要素に結合される制御装置であって、軸受要素を第1の装着デバイスにおいて初期に固定するために、少なくとも1つの真空ポンプの動作を制御すること、第1の装着デバイスが第2の装着デバイスと隣接して位置合わせされ、軸受要素が第1の装着デバイスおよび第2の装着デバイスに少なくとも部分的に収容されるように、少なくとも1つの駆動要素を作動させて、第1の装着デバイスおよび第2の装着デバイスを位置合わせ状態へと応答可能なように移動させること、第1の装着デバイスと第2の装着デバイスとの位置合わせが得られるとき、軸受要素が第1の装着デバイスから解放され、第2の装着デバイスにおいて固定されるように、少なくとも1つの真空ポンプの動作を制御することであって、第1の装着デバイスから第2の装着デバイスへの軸受要素のずれなしでの移動および固定は、軸受要素が第1の装着デバイスおよび第2の装着デバイスにあるときに使用される共通の基準系の維持をもたらす、制御すること、軸受要素の画像を得るために少なくとも1つのセンサを作動させること、ならびに、軸受要素の欠陥を決定するために画像を分析することを行うように構成される制御装置とを備えるシステム。
【0134】
2.第1の装着デバイスは、第1のステージ構造に結合される第1のマニピュレータ構造を備え、第2の装着デバイスは、第2のステージ構造に結合される第2のマニピュレータ構造を備える、いずれかの先行する条項のシステム。
【0135】
3.第1のマニピュレータ構造は、少なくとも1つの真空ポンプに結合される第1の入れ子構造を備え、第2のマニピュレータ構造は、少なくとも1つの真空ポンプに結合される第2の入れ子構造を備え、第1の入れ子構造および第2の入れ子構造は軸受要素を保持するように構成される、いずれかの先行する条項のシステム。
【0136】
4.少なくとも1つの駆動要素は、少なくとも1つのモータを備える、いずれかの先行する条項のシステム。
【0137】
5.第1の入れ子構造と第2の入れ子構造とは、異なる大きさの軸受要素を保持するように互換性がある、いずれかの先行する条項のシステム。
【0138】
6.少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのカメラを備える、いずれかの先行する条項のシステム。
【0139】
7.軸受要素を検査するためのシステムであって、1つまたは複数のカメラと、1つまたは複数のモータと、少なくとも1つの真空ポンプと、1つまたは複数の軌道に結合され、1つまたは複数のモータによって1つまたは複数の軌道に沿って移動可能である第1のステージ構造と、1つまたは複数の軌道に結合され、1つまたは複数のモータによって1つまたは複数の軌道に沿って移動可能である第2のステージ構造と、第1のステージ構造に配置され、第1の入れ子構造を含む第1のマニピュレータ構造であって、第1の入れ子構造は軸受要素を固定するように構成される、第1のマニピュレータ構造と、第2のステージ構造に配置され、第2の入れ子構造を含む第2のマニピュレータ構造であって、第2の入れ子構造は軸受要素を固定するように構成される、第2のマニピュレータ構造と、1つまたは複数のカメラおよび1つまたは複数のモータに結合される制御装置であって、軸受要素を第1の入れ子構造において初期に固定するために、第1の入れ子構造における第1の開口、および第2の入れ子構造における第2の開口と連通する少なくとも1つの真空ポンプの動作を制御すること、第1の入れ子構造が第2の入れ子構造と隣接して位置合わせされ、軸受要素が第1の入れ子構造および第2の入れ子構造に少なくとも部分的に収容されるように、1つまたは複数のモータを作動させて、第1のステージ構造および第2のステージ構造を位置合わせ状態へと応答可能なように移動させること、第1の入れ子構造と第2の入れ子構造との位置合わせが得られるとき、軸受要素が第1の入れ子構造から解放され、第2の入れ子構造において固定されるように、少なくとも1つの真空ポンプの動作を制御することであって、第1の入れ子構造から第2の入れ子構造への軸受要素の移動または固定は、ずれなしで起こり、軸受要素が第1の入れ子構造および第2の入れ子構造にあるときに使用される共通の基準系の維持をもたらす、制御すること、軸受要素の画像を得るために1つまたは複数のカメラを作動させること、ならびに、軸受要素の欠陥を決定するために軸受要素の画像を分析することを行うように構成される制御装置とを備えるシステム。
【0140】
8.第1のステージ構造に配置される第1のマニピュレータ構造は、第1のマニピュレータアームを備え、第1のマニピュレータアームの第1の移動は、1つまたは複数のモータによって制御され、第2のマニピュレータ構造は、第2のマニピュレータアームを備え、第2のマニピュレータアームの第2の移動は、1つまたは複数のモータによって制御される、いずれかの先行する条項のシステム。
【0141】
9.制御装置は、第1のマニピュレータアームおよび第2のマニピュレータアームのうちの1つまたは複数を第3の移動において移動させるように、1つまたは複数のモータを作動させるようにさらに構成され、第1のマニピュレータアームまたは第2のマニピュレータアームの第3の移動は、第1の入れ子構造または第2の入れ子構造を移動させ、軸受要素の位置を1つまたは複数のカメラに対して調整するために有効である、いずれかの先行する条項のシステム。
【0142】
10.第1のマニピュレータアームの第1の移動と、第2のマニピュレータアームの第2の移動とは、回転である、いずれかの先行する条項のシステム。
【0143】
11.第1の入れ子構造と第2の入れ子構造とは、1つまたは複数のモータによって個別に移動可能である、いずれかの先行する条項のシステム。
【0144】
12.第1の入れ子構造は、椀状の構造を備え、椀状の構造は、底に開口を有する、いずれかの先行する条項のシステム。
【0145】
13.軸受要素は、ボールまたはローラを備える、いずれかの先行する条項のシステム。
【0146】
14.軸受要素を検査するための方法であって、1つまたは複数の軌道に結合され、1つまたは複数のモータによって1つまたは複数の軌道に沿って移動可能である第1のステージ構造、および、1つまたは複数の軌道に結合され、1つまたは複数のモータによって1つまたは複数の軌道に沿って移動可能である第2のステージ構造を提供するステップであって、第1のマニピュレータ構造が、第1のステージ構造に配置され、第1の入れ子構造を含み、第1の入れ子構造は軸受要素を固定するように構成され、第2のマニピュレータ構造が、第2のステージ構造に配置され、第2の入れ子構造を含み、第2の入れ子構造は軸受要素を固定するように構成される、ステップと、軸受要素を第1の入れ子構造において初期に固定するために、少なくとも1つの真空ポンプの動作を制御するステップと、第1の入れ子構造が第2の入れ子構造と隣接して位置合わせされ、軸受要素が第1の入れ子構造および第2の入れ子構造に少なくとも部分的に収容されるように、1つまたは複数のモータを作動させて、第1のステージ構造および第2のステージ構造を位置合わせ状態へと応答可能なように移動させるステップと、第1の入れ子構造と第2の入れ子構造との位置合わせが得られるとき、軸受要素が第1の入れ子構造から解放され、第2の入れ子構造において固定されるように、少なくとも1つの真空ポンプの動作を制御するステップあって、第1の入れ子構造から第2の入れ子構造への軸受要素の移動または固定は、ずれなしで起こり、軸受要素が第1の入れ子構造および第2の入れ子構造にあるときに使用される共通の基準系の維持をもたらす、ステップと、軸受要素の画像を得るために1つまたは複数のカメラを作動させるステップと、軸受要素の欠陥を決定するために軸受要素の画像を分析するステップとを含む方法。
【0147】
15.第1のマニピュレータ構造に配置される第1のマニピュレータアームの第1の移動を制御するステップと、第2のマニピュレータ構造に配置される第2のマニピュレータアームの第2の移動を制御するステップとをさらに含む、いずれかの先行する条項の方法。
【0148】
16.第1の入れ子構造または第2の入れ子構造を移動させ、1つまたは複数のカメラに対する軸受要素の位置を調整するために、第1のマニピュレータアームおよび第2のマニピュレータアームのうちの1つまたは複数を移動させるステップをさらに含む、いずれかの先行する条項の方法。
【0149】
17.第1のマニピュレータアームの第1の移動と、第2のマニピュレータアームの第2の移動とは、回転である、いずれかの先行する条項の方法。
【0150】
18.第1の入れ子構造と第2の入れ子構造とは、1つまたは複数のモータによって個別に移動可能である、いずれかの先行する条項の方法。
【0151】
19.第1の入れ子構造は、椀状の構造を備える、いずれかの先行する条項の方法。
【0152】
20.軸受要素は、ボールまたはローラを備える、いずれかの先行する条項の方法。
【符号の説明】
【0153】
100 システム
102 カメラ
104 照明
106 第1のステージ構造
108 第2のステージ構造
110 軌道、直線的な案内部
112 第1のマニピュレータ構造
114 第1のマニピュレータアーム
116 第2のマニピュレータ構造
118 第2のマニピュレータアーム
120 第1の入れ子構造
122 第2の入れ子構造
124、126、128、130、132、134 モータ
136 制御回路、制御装置
138 機械学習アルゴリズム
140 記憶装置
142 表示装置
148 第1の真空ポンプ
149 真空配管
150 第2の真空ポンプ
151 真空配管
152 線
302 マニピュレータアーム
304 入れ子構造
306 軸受要素
307 軸
309 軸
402 第1のステージ構造
404 第2のステージ構造
406 第1の入れ子構造
408 第2の入れ子構造
410 レール、直線的な案内部
412 軸受要素
501 軸
502 第1の入れ子構造
504 第1のマニピュレータアーム
506 第2の入れ子構造
508 第2のマニピュレータアーム
520 軸受要素
700 検査システム
702 第1のステージ構造
704 第1の入れ子構造
705 第2のステージ構造
706、710、714、716、718 モータ
707 第1のマニピュレータ構造
708 伝達要素、ベルト
709 第2のマニピュレータ構造
712 第2の入れ子構造
713 第1のマニピュレータアーム
715 第2のマニピュレータアーム
717 真空管
720 軸受要素
722 軌道、直線的な案内部
750 開口