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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】撓み噛合い式歯車装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20231027BHJP
   C21D 9/32 20060101ALI20231027BHJP
   C21D 1/10 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
F16H1/32 B
C21D9/32 A
C21D1/10 A
C21D1/10 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023016574
(22)【出願日】2023-02-07
(62)【分割の表示】P 2019029798の分割
【原出願日】2019-02-21
(65)【公開番号】P2023054008
(43)【公開日】2023-04-13
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真司
(72)【発明者】
【氏名】石塚 正幸
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-115669(JP,A)
【文献】特表2017-517441(JP,A)
【文献】実開昭57-065229(JP,U)
【文献】特開2018-091444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
C21D 9/32
C21D 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
起振体と、前記起振体により撓み変形する外歯歯車と、前記外歯歯車が噛合う内歯歯車と、前記内歯歯車を支持する主軸受と、を備えた撓み噛合い式歯車装置の製造方法であって、
内周に前記内歯歯車の内歯が形成されるとともに、外周に前記主軸受の内輪転走面が一体的に設けられる内歯部材の形成材料に対して、前記内輪転走面を形成するための溝を外周に形成する溝形成工程と、
前記形成材料に対して、第一の熱処理を行う第一の熱処理工程と、
前記第一の熱処理工程後に、前記形成材料の前記内輪転走面を形成するための溝に対して、第二の熱処理を行う第二の熱処理工程と、
前記第二の熱処理工程後に、前記内歯を形成する内歯形成工程と、を有する撓み噛合い式歯車装置の製造方法。
【請求項2】
前記形成材料に対して、前記内歯を形成する位置よりも径方向内側に貫通孔を形成する貫通孔形成工程をさらに有し、
前記第二の熱処理工程では、前記貫通孔が形成された形成材料に対して、前記第二の熱処理が行われることを特徴とする請求項1に記載の撓み噛合い式歯車装置の製造方法。
【請求項3】
前記貫通孔形成工程においては、軸方向において内径が一定の貫通孔を形成し、
前記第二の熱処理工程後に、前記内歯と軸方向に隣接する部分に、内歯よりも内径の大きい隣接内周面を形成する隣接内周面形成工程をさらに有する請求項2に記載の撓み噛合い式歯車装置の製造方法。
【請求項4】
前記第一の熱処理工程においては、前記形成材料に対して、前記内歯を形成する位置よりも径方向内側に肉を残した状態で第一の熱処理を行い、
前記第二の熱処理工程においては、前記内歯を形成する位置よりも径方向内側に肉を残した状態で、前記形成材料の前記内輪転走面を形成するための溝に対して第二の熱処理を行い、
前記第二の熱処理工程後に、前記内歯を形成する位置よりも径方向内側の前記肉を除去する内周面形成工程を有する請求項1に記載の撓み噛合い式歯車装置の製造方法。
【請求項5】
前記第二の熱処理は、高周波焼入れである請求項1に記載の撓み噛合い式歯車装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撓み噛合い式歯車装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以前より、撓み変形する外歯歯車を備えた撓み噛合い式歯車装置がある(例えば特許文献1を参照)。この外歯歯車は、起振体軸受を介して起振体が内嵌され、起振体が内側で回転することで撓み変形する。さらに、外歯歯車は剛性を有する内歯歯車と噛合う。
そして、このような撓み噛合い式歯車装置には、減速回転の出力や入力を支持する軸受の内輪と内歯歯車とを一体化して部品点数の低減を行っているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-106626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、内歯歯車と軸受の内輪が一体化された部材(以下、内歯部材とする)は、内歯歯車の歯面部と軸受の内輪とで要求される硬度が異なる場合があり、部材の場所ごとに硬度の適正化が望まれていた。
【0005】
本発明は、内歯部材の硬度の適正化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撓み噛合い式歯車装置の製造方法は、
起振体と、前記起振体により撓み変形する外歯歯車と、前記外歯歯車が噛合う内歯歯車と、前記内歯歯車を支持する主軸受と、を備えた撓み噛合い式歯車装置の製造方法である。
【0007】
さらに、本発明の撓み噛合い式歯車装置の製造方法は、
内周に前記内歯歯車の内歯が形成されるとともに、外周に前記主軸受の内輪転走面が一体的に設けられる内歯部材の形成材料に対して、前記内輪転走面を形成するための溝を外周に形成する溝形成工程と、
前記形成材料に対して、第一の熱処理を行う第一の熱処理工程と、
前記第一の熱処理工程後に、前記形成材料の前記内輪転走面を形成するための溝に対して、第二の熱処理を行う第二の熱処理工程と、
前記第二の熱処理工程後に、前記内歯を形成する内歯形成工程と、を有するように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、内歯部材の硬度の適正化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る撓み噛合い式歯車装置を示す断面図である。
図2】内歯部材の周辺部分を示す拡大断面図である。
図3】内歯部材の径方向における硬度分布を示すグラフである。
図4図4(A)~図4(D)は内歯部材の製造方法の各工程を順番に示した説明図である。
図5図5(A)~図5(C)は図4に続く内歯部材の製造方法の各工程を順番に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
[撓み噛合い式歯車装置]
図1は、本発明の実施形態に係る撓み噛合い式歯車装置1を示す断面図である。本明細書では、回転軸O1に沿った方向を軸方向、回転軸O1に直交する方向を径方向、回転軸O1を中心とする回転方向を周方向と定義する。
【0012】
撓み噛合い式歯車装置1は、図1に示すように、起振体軸10、起振体軸10により撓み変形される外歯歯車12、外歯歯車12と噛合う2つの内歯歯車22g、23g及び起振体軸受15を備える。さらに、撓み噛合い式歯車装置1は、第1ケーシング22、内歯部材23、第2ケーシング24、第1カバー26、第2カバー27、軸受31、32及び主軸受33、シール用のOリング34,35,38及びオイルシール41,42,43を備える。
【0013】
起振体軸10は、中空軸状であり、回転軸O1に垂直な断面の外形が楕円状である起振体10Aと、起振体10Aの軸方向の両側に設けられ回転軸O1に垂直な断面の外形が円形である軸部10B、10Cとを有する。なお、楕円状とは、幾何学的に厳密な楕円に限定されるものではなく、略楕円を含む。起振体軸10は、回転軸O1を中心に回転し、起振体10Aの回転軸O1に垂直な断面の外形形状の中心は回転軸O1と一致する。
【0014】
外歯歯車12は、可撓性を有する円筒状の金属であり、外周に歯が設けられている。
【0015】
2つの内歯歯車(第1内歯歯車、第2内歯歯車)22g、23gは、一方が、外歯歯車12の軸方向の中央より片側の歯部に噛合し、他方が、外歯歯車12の軸方向の中央よりもう一方の片側の歯部に噛合する。内歯歯車22gは、第1ケーシング22の内周部の該当箇所に内歯が設けられて構成される。内歯歯車23gは、内歯部材23の内周部の該当箇所に内歯が設けられて構成される。
【0016】
起振体軸受15は、起振体10Aと外歯歯車12との間に配置される。起振体軸受15は、複数の転動体(コロ)15Aと、外輪15Bと、複数の転動体15Aを保持する保持器15Cとを有する。複数の転動体15Aは、一方の内歯歯車22gの径方向内方に配置され、周方向に並ぶ第1群の転動体15Aと、他方の内歯歯車23gの径方向内方に配置され、周方向に並ぶ第2群の転動体15Aとを有する。複数の転動体15Aは、起振体10Aの外周面と外輪15Bの内周面とを転走面として転動する。
【0017】
外歯歯車12、外輪15B及び保持器15Cの軸方向の両側には、これらに当接して、これらが軸方向に変位することを抑止するスペーサリング36、37が設けられている。
【0018】
第1ケーシング22及び第2ケーシング24は互いに連結されて、内歯歯車22g、23g及び外歯歯車12の径方向外方を覆う。
【0019】
第1カバー26は、第1ケーシング22と連結されて、起振体軸10の一端側における外周部を覆う。
【0020】
第2カバー27は、起振体軸10の他端側における外周部を覆う。第2カバー27及び内歯部材23には、負荷側の端部に軸方向に一続きに延びるボルト連結用穴27h、23hが設けられている。撓み噛合い式歯車装置1が相手装置と接続される際、第2カバー27と内歯部材23はボルト連結用穴27h、23hを介して相手装置の被駆動部材に共締めにより連結される。ボルト連結用穴27h、23hは、周方向の複数の箇所に設けられている。第2カバー27及び内歯部材23には、両者を仮止めするためのボルト穴27j、23jが設けられている。
【0021】
軸受31は、例えば玉軸受であり、起振体軸10の軸部10Bと第1カバー26との間に配置される。第1カバー26は、軸受31を介して起振体軸10を回転自在に支持する。
起振体軸10には、軸受31の配置箇所に隣接して(軸方向の中央側に)外径が大きく変化する段差h1が設けられている。第1カバー26には、軸受31の配置箇所に隣接して(軸方向の一端側に)内径が小さく変化する段差h2が設けられている。軸方向において、軸受31は、段差h1、h2の間に配置される。段差h1、h2は、軸受31が軸方向に移動するのを係止するストッパーとして機能する。つまり、軸受31は、第1カバー26及び起振体軸10のそれぞれに対してインロー嵌合構造によって取り付けられ、段差h1、h2が軸受31の軸方向の位置決めを行う。
【0022】
軸受32は、例えば玉軸受であり、起振体軸10の軸部10Cと第2カバー27との間に配置される。第2カバー27は、軸受32を介して起振体軸10を回転自在に支持する。
起振体軸10には、軸受32の配置箇所に隣接して(軸方向の中央側に)外径が大きく変化する段差h3が設けられている。第2カバー27には、軸受32の配置箇所に隣接して(軸方向の一端側に)内径が小さく変化する段差h4が設けられている。軸方向において、軸受32は、段差h3、h4の間に配置される。段差h3、h4は、軸受32が軸方向に移動するのを係止するストッパーとして機能する。つまり、軸受32は、第2カバー27及び起振体軸10のそれぞれに対してインロー嵌合構造によって取り付けられ、段差h3、h4が軸受32の軸方向の位置決めを行う。
【0023】
一方のオイルシール41は、軸方向の一端部で、起振体軸10の軸部10Bと第1カバー26との間に配置され、軸方向外側への潤滑剤の流出を抑制する。
もう一方のオイルシール42は、軸方向の他端部で、起振体軸10の軸部10Cと第2カバー27との間に配置され、軸方向外側への潤滑剤の流出を抑制する。
オイルシール43は、第2ケーシング24と内歯部材23との間に配置され、この部分からの潤滑剤の流出を抑制する。
【0024】
シール用のOリング34,35,38は、それぞれ、第1ケーシング22と第1カバー26との間、第1ケーシング22と第2ケーシング24との間、内歯部材23と第2カバー27との間を、シールし、潤滑剤の漏れを抑止するつまり、本実施形態の撓み噛合い式歯車装置1の内部空間(外歯歯車12や主軸受33の存在する空間)は、潤滑剤が封入される潤滑剤封入空間とされ、Oリング34,35,38やオイルシール41、42、43によって密封されている。
【0025】
図2は内歯部材23の拡大断面図である。主軸受33は、例えば、クロスローラ軸受であり、内歯部材23と第2ケーシング24との間に配置される。第2ケーシング24は、主軸受33を介して内歯部材23を回転自在に支持する。主軸受33は、内歯部材23と一体化された内輪331と、第2ケーシング24と一体化された外輪332と、内輪331と外輪332との間に配置される複数の転動体333とを有する。
内輪331は、内歯部材23の外周面上に形成された、溝底部の開き角度が90°となるV字溝(軸方向断面がV字型の溝)を有している。また、外輪332は、第2ケーシング24の内周面上に形成された、溝底部の開き角度が90°となるV字溝を有している。
内輪331のV字溝と外輪332のV字溝(逆V字溝)は同一の開口幅であって、互いに対向している。そして、内輪331のV字溝の内側には、互いに逆方向に傾斜した一対の内輪転走面334,335(図2参照)が形成されており、外輪332のV字溝の内側には、互いに逆方向に傾斜した一対の外輪転走面が形成されている。
さらに、内輪331のV字溝と外輪332のV字溝の内側には、周方向に間隔を空けてクロスローラである複数の転動体333が配置されている。複数の転動体333は、転動軸が各V字溝の一方の転走面に垂直となるものと、他方の転走面に垂直となるものとが周方向に交互に配置されている。
【0026】
上記内歯部材23は、前述したように、内周に内歯歯車23gの内歯が形成されている。そして、主軸受33の内輪331の内輪転走面334及び335は、径方向から見て、内歯歯車23gの内歯と重なる配置となっている。換言すると、内歯と内輪転走面334及び335は、軸方向について重なる配置となっている。
図2の例では、内歯歯車23gの内歯の軸方向全体の範囲と内輪転走面334及び335の軸方向全体の範囲とが、径方向から見て略一致するように重なっているが、内歯の一部の範囲と内輪転走面334又は335のいずれか一方の一部の範囲とが重なる配置であっても良い。なお、この場合、少なくとも、内輪転走面334又は335のいずれか一方の軸方向における中間点と内歯とが径方向から見て重なることが好ましい。
また、内歯部材23の内周には、内歯と軸方向に隣接して内歯よりも内径の大きい第1隣接内周面234および第2隣接内周面235が設けられている。第1隣接内周面234は、第1ケーシング22から遠い側に設けられ、軸方向端部の面取り部を除いて内径が一定とされている。第2隣接内周面235は、第1ケーシング22に近い側に設けられ、第1ケーシング22に向かって内径が徐々に大きくなる傾斜面とされている。なお、第1隣接内周面234および第2隣接内周面235は、いずれか一方のみ設けられてもよい。
【0027】
[撓み噛合い式歯車装置の動作]
上記撓み噛合い式歯車装置1では、図示略のモータ等から回転運動が入力され、起振体軸10が回転すると、起振体10Aの運動が外歯歯車12に伝わる。このとき、外歯歯車12は、起振体10Aの外周面に沿った形状に規制され、軸方向から見て、長軸部分と短軸部分とを有する楕円形状に撓んでいる。さらに、外歯歯車12は、固定された第1ケーシング22の内歯歯車22gと長軸部分で噛合っている。このため、外歯歯車12は起振体10Aと同じ回転速度で回転することはなく、外歯歯車12の内側で起振体10Aが相対的に回転する。そして、この相対的な回転に伴って、外歯歯車12は長軸位置と短軸位置とが周方向に移動するように撓み変形する。この変形の周期は、起振体軸10の回転周期に比例する。
【0028】
外歯歯車12が撓み変形する際、その長軸位置が移動することで、外歯歯車12と内歯歯車22gとの噛合う位置が回転方向に変化する。ここで、外歯歯車12の歯数が100で、内歯歯車22gの歯数が102だとすると、噛合う位置が一周するごとに、外歯歯車12と内歯歯車22gとの噛合う歯がずれていき、これにより外歯歯車12が回転(自転)する。上記の歯数であれば、起振体軸10の回転運動は減速比100:2で減速されて外歯歯車12に伝達される。
【0029】
一方、外歯歯車12はもう一方の内歯歯車23gとも噛合っているため、起振体軸10の回転によって外歯歯車12と内歯歯車23gとの噛合う位置も回転方向に変化する。一方、内歯歯車23gの歯数と外歯歯車12の歯数とは一致しているため、外歯歯車12と内歯歯車23gとは相対的に回転せず、外歯歯車12の回転運動が減速比1:1で内歯歯車23gへ伝達される。これらによって、起振体軸10の回転運動が減速比100:2で減速されて、第2内歯部材23g及び第2カバー27へ伝達される。そして、この減速された回転運動が相手部材に出力される。
【0030】
[内歯部材の硬度分布]
図3は内歯部材23の径方向における硬度分布を示すグラフである。この図3に基づいて、内歯部材23の特徴的な硬度分布について説明する。
内歯部材23は、金属材料、例えば、クロムモリブデン鋼鋼材(JISでいうSCM材)やS55C等の機械構造用合金鋼鋼材等を素材としている。
そして、内歯部材23は、前述したように、その外周に主軸受33の内輪331が一体的に設けられ、その内周に内歯歯車23gが一体的に設けられている。このため、内歯歯車23gの内歯と内輪331の内輪転走面334,335とで要求される硬度に差があることから、内歯部材23は、その製造工程において、全体的に焼き入れ、焼き戻しからなる第一の熱処理が行われ、その後に、内輪331の内輪転走面334,335に対して第二の熱処理である高周波焼き入れが行われている。そして、これにより、内歯部材23は、径方向における硬度分布に関して図3に示すような特徴を有している。
【0031】
図3のグラフでは、内歯部材23の内輪331の一方の内輪転走面334の表面からの深さとビッカース硬度との関係を示す。このグラフでは、製法が等しく、各部の寸法が異なる内歯部材23の二つの実施例(1)(白色菱形のドット)と実施例(2)(黒丸のドット)の硬度分布を示している。これら実施例(1)、(2)に対して、内歯部材23の内輪331の一方の内輪転走面334の軸方向の幅をlとした場合に、片側の内輪転走面334の軸方向における中間点Pから内歯歯車23gの内歯までの径方向の範囲Dにおける硬度を深さ0.25mm間隔で測定した硬度分布を示している。ただし、図3においては、一部領域(深さ4~6mm、6.5~7mm)については、0.5mm間隔で測定している。
【0032】
また、このグラフでは、横軸は内歯部材23の内輪転走面334の表面から内歯歯車23gの内歯に向かう径方向の深さを示す。横軸において、0[mm]は実施例(1)、(2)の内輪転走面334の表面、6.5[mm]は実施例(2)の内歯の表面、7.5[mm]は実施例(1)の内歯の表面の各位置を示している。
また、縦軸は、JIS Z2244に準拠したビッカース硬さ試験に準じた方法により測定された硬度を示しており、縦軸の一目盛りは200[HV0.3]である。
【0033】
図3に示す実施例(1)の内歯部材23は、内輪転走面334から内歯に向けて(径方向内側に向けて真っ直ぐ)、転走面硬度部H11と、当該転走面硬度部H11から硬度が急激に低下する硬度急低下部H12と、硬度急低下部H12よりも硬度変化の傾きの絶対値が小さくなるように硬度が上昇する硬度上昇部H13と、をこの順に有する硬度分布となっている。
また、実施例(2)の内歯部材23も実施例(1)と同様に、内輪転走面334から内歯に向けて、転走面硬度部H21と、当該転走面硬度部H21から硬度が急激に低下する硬度急低下部H22と、硬度急低下部H22よりも硬度変化の傾きの絶対値が小さくなるように硬度が上昇する硬度上昇部H23と、をこの順に有する硬度分布となっている。なお、硬度上昇部H13、H23の終点が、内歯の表面硬度となる。
【0034】
転走面硬度部H11は、内輪転走面334の表面から硬度急低下部H12まで連続し、転走面硬度部H21は、内輪転走面334の表面から硬度急低下部H22まで連続している。
硬度急低下部H12は、転走面硬度部H11から硬度上昇部H13まで連続し、硬度急低下部H22は、転走面硬度部H21から硬度上昇部H23まで連続している。
硬度上昇部H13は、硬度急低下部H12から内歯歯車23gの内歯の表面まで連続し、硬度上昇部H23は、硬度急低下部H22から内歯歯車23gの内歯の表面まで連続している。
【0035】
転走面硬度部H11、H21は、硬度分布において、内輪転走面334の表面硬度を示す測定点を起点とし、当該起点以降の各測定点における硬度が転走面に要求される硬度(例えば、500HV)以上の硬度であって、硬度の変動が小さく所定幅内に収まっている領域をいう。この所定幅は、硬度急低下部と識別できるように適宜設定すればよいが、本実施例においては、着目する測定点の硬度を一つ手前の(0.25mm深さの浅い)測定点の硬度と比較したときの硬度の低下量が50HV以下であれば、当該着目する測定点は転走面硬度部と判断し、硬度の低下量が50HVを超えていれば硬度急低下部と判断する。
【0036】
図3では、転走面硬度部H11が転走面334の表面からの深さがおよそ0~2.5[mm]までの範囲、転走面硬度部H21が転走面334の表面からの深さがおよそ0~2.25[mm]までの範囲である場合を例示する。
転走面334は、前述したように、高周波焼き入れによる表面硬化処理が施されており、上記の深さ範囲まで、マルテンサイト等を主相とする焼入れ組織からなる硬化層が形成されている。このため、転走面硬度部H11、H21では、一定の高硬度が維持されている。この転走面硬度部H11、H21における硬度は、内輪331の転走面334、335に要求される硬度を満足する範囲である。
【0037】
硬度急低下部H12,H22は、硬度分布において、硬度変化の傾きの絶対値が前述した規定の閾値を超える下降勾配に転じた測定点を起点とし、起点以降の規定の閾値を超えた下降勾配の傾きとなる他の測定点を全て含んだ範囲である。前述したように、本実施例においては、着目する測定点の硬度を一つ前の測定点の硬度と比較した硬度低下量が50HVを超えていれば、一つ前の測定点から当該着目する測定点の間は硬度急低下部であると判断する。ただし、この判断の基準となる硬度低下量は50HVに限定されるものではなく、測定点の間隔等により変化し、転走面硬度部や硬度上昇部と硬度急低下部を識別できる値に適宜設定すればよい。
【0038】
図3では、硬度急低下部H12が転走面334の表面からの深さがおよそ2.5~3[mm]までの範囲、硬度急低下部H22が転走面334の表面からの深さがおよそ2.25~2.5[mm]までの範囲である場合を例示する。
硬度急低下部H12,H22は、高周波焼き入れによる組織変化が及ばなくなる深さ範囲であり、その硬度は急激に低下を生じる。硬度急低下部H12,H22は、内歯歯車23gの内歯に要求される硬度又はそれよりも幾分低硬度まで低下を生じる。
【0039】
このように、硬度急低下部H12,H22は、硬度変化の傾きの絶対値が規定の閾値を超える下降勾配の傾きとなる測定点からなる範囲なので、径方向について硬度変化を生じる範囲を縮小することができる。このため、転走面334、335に適した硬度となる転走面硬度部H11と、内歯歯車23gの内歯に適した硬度となる硬度上昇部H13、H23の径方向の幅を広く確保し易くなる。
【0040】
硬度上昇部H13,H23は、硬度分布において、硬度変化の傾きの絶対値が前述した規定の閾値以下の勾配に転じた測定点を起点とし、当該起点以降の各測定点における硬度変化の傾きの絶対値が前述した規定の閾値以下となる範囲である。本実施例においては、着目する測定点の硬度を一つ前の測定点の硬度と比較した硬度変化量がプラスである(硬度が上昇している)か、マイナスであっても絶対値で50HV未満である場合には、一つ前の測定点から当該着目する測定点の間は硬度上昇部であると判断する。実際には、硬度急低下部以降で初めてこの条件を満たした測定点の一つ前の測定点を、硬度急低下部の終点かつ硬度上昇部の起点とし、以降の測定点は全て硬度上昇部としている。なお、硬度変化量がマイナスである場合の閾値である50HVについても50HVに限定されるものではなく、測定点の間隔等により変化し、硬度急低下部と識別できる値に適宜設定すればよい。例えば、本実施例においても測定間隔が0.5mmとなっている測定点については100HVで判定してもよい。また、硬度上昇部H13,H23に属する測定点における硬度は、内歯歯車23gの内歯に要求される硬度以上の硬度であることが好ましい。さらに、硬度上昇部H13,H23に属する測定点における硬度は、内輪331の転走面334、335に要求される硬度に満たない硬度であることが好ましい。内歯歯車23gの内歯は、歯切り加工により形成されるため、硬度を必要以上に高くしないことで歯切り加工の加工性が向上する。
【0041】
図3では、硬度上昇部H13が転走面334の表面からの深さがおよそ3~7.5[mm]までの範囲、硬度上昇部H23が転走面334の表面からの深さがおよそ2.5~6.5[mm]までの範囲である場合を例示する。
硬度上昇部H13,H23では、一部で硬度変化が増加しない測定点が含まれるが、硬度上昇部H13,H23の測定点の硬度変化の傾きの全体的な平均をとると、硬度は増加している。
【0042】
この硬度上昇部H13,H23における硬度変化の傾きの絶対値と硬度急低下部H12,H22における硬度変化の傾きの絶対値とを比較した場合、硬度急低下部H12,H22の硬度変化の傾きの絶対値は、硬度上昇部H13,H23の硬度変化の傾きの絶対値の少なくとも5倍以上、好ましくは10倍以上、より好ましくは15倍以上となっている。ここで、硬度上昇部(における硬度変化)の傾きとは、硬度上昇部の起点から終点までの硬度上昇量を、起点から終点までの深さで割った値である。また、硬度急低下部(における硬度変化)の傾きとは、硬度急低下部の起点から終点までの硬度低下量を、起点から終点までの深さで割った値である。
また、この硬度上昇部H13,H23の径方向における深さ範囲の幅は、前述した転走面硬度部H11、H21の径方向における深さ範囲の幅の1倍以上、3倍未満であることが好ましい。
【0043】
硬度上昇部H13,H23では、全体的に緩やかに硬度が増加しているので、例えば、前述した硬度急低下部H12,H22において、内歯歯車23gの内歯に要求される硬度よりも低い値まで低下した場合であっても、内歯歯車23gの内歯の表面に到るまでには硬度が増加して必要硬度の要求を満たすことができる。
また、この硬度上昇部H13,H23では、全体で(起点から終点までで)少なくとも20[HV0.3]以上の硬度の増加が生じることが好ましい。
【0044】
内歯部材23は、全体的に焼き入れと焼き戻し(第一の熱処理)を行い、内歯歯車23gの内歯に要求される硬度まで硬化させている。これに対して、主軸受33の内輪331の転走面334,335には、より高い硬度が要求される。
このため、転走面334,335には、表面硬化処理として高周波焼き入れ(第二の熱処理)を行っている。これにより、転走面334,335の表面に近い範囲では、硬度が増加して転走面に要求される硬度を満足することができる。一方、転走面334,335の表面から離れた部分では、転走面334,335よりも低温で高周波焼き入れの熱が伝わって、硬度の低下が生じる。
本実施形態では、内歯部材23を所定の製造方法で製造することにより、高周波焼き入れによる硬度低下の影響を抑制し、硬度上昇部H13,H23における硬度増加を図っている。
【0045】
[内歯部材の製造方法]
図4(A)~図5(C)は内歯部材23の製造方法の各工程を順番に示した説明図である。
内歯部材23の製造に当たっては、まず、内歯部材23の形成材料(母材)である円柱状の金属ブロック23Mが素材から切り出される(図4(A):素材切断工程)。
【0046】
次いで、金属ブロック23Mの中心に各種加工の際の位置決め或いは取り付け用となる貫通孔231Mが形成され、さらに、軸方向両端部の面取り加工及び内輪331のV字溝232Mの旋削加工が行われる(一次旋削工程(貫通孔形成工程、溝形成工程))。
なお、貫通孔231Mは、内歯歯車23gの内歯を形成する位置よりも内径が十分に小さい小孔であることが望ましく、例えば金属ブロック23Mの外径の3分の1未満であることが望ましい。従って、この段階では、金属ブロック23Mは、内歯を形成する位置よりも径方向内側に肉を残した状態となっている。この余分な肉は、後述する二次旋削工程において除去される。また、この貫通孔231Mは、軸方向に内径が一定とされる(ただし、貫通孔231Mの両端部に面取りを施した場合、当該面取り部は除く)。
【0047】
そして、この一次旋削工程済みの金属ブロック23Mに対して、焼き入れと焼き戻しとが実行される(第一の熱処理工程)。
このとき、第一の熱処理工程では、金属ブロック23Mは、内歯を形成する位置よりも径方向内側の肉を残した状態で焼き入れと焼き戻しとが行われる。
さらに、第一の熱処理工程済みの金属ブロック23MのV字溝232Mに対して、高周波焼き入れが実行される(図4(B):第二の熱処理工程)。
【0048】
次いで、第二の熱処理工程後の金属ブロック23Mの中心を軸方向に広く開口させて内周面233Mを形成する旋削加工が行われる(図4(C):二次旋削工程(内周面形成工程、隣接内周面形成工程))。
このとき、内周面233Mの軸方向における内歯歯車23gの内歯の形成位置については、軸方向両側の隣接内周面234,235よりも内径が小径となるように旋削が行われる。
【0049】
さらに、二次旋削工程後の金属ブロック23Mの内周面233Mの軸方向一端部にテーパ(第2隣接内周面235)を形成し、軸方向の他端部及び内歯の形成位置等に面取りを形成する旋削加工が行われる(図4(D):三次旋削工程)。
また、旋削後の内周面233Mの各部に研削が行われ、金属ブロック23Mの軸方向他端部側の端面に穴あけ加工が行われ、タップを使用してボルト連結用穴23h及びボルト穴23jが形成される。
【0050】
次いで、三次旋削工程後の金属ブロック23Mの内周面233Mの内側の内歯の形成位置に歯切りが行われ、内歯歯車23gの内歯が形成される(図5(A):内歯形成工程)。
さらに、金属ブロック23Mの外周面のV字溝232Mの内面の研削が行われ、目標とする表面粗さでV字溝232M内に内輪転走面334,335が形成される(図5(B):転走面形成工程)。これにより、内歯部材23が出来上がる。
なお、図4(A)~(D)および図5(A)、(B)に基づいて説明した上記各工程の順序は、上記説明した順序に限定されるものではなく、順序に意味のない工程については適宜順序を入れ替えてよい。例えば、内歯形成工程と転走面形成工程の順序は逆でもよい。
【0051】
次いで、転走面形成工程後の内歯部材23の内輪331と第2ケーシング24の外輪332との間に転動体333を介挿させた状態で、第2ケーシング24の内側に内歯部材23を嵌め込むことで、クロスローラ軸受からなる主軸受33が組み立てられる(図5(C):軸受組立工程)。
【0052】
[本発明の実施形態の技術的効果]
以上のように、撓み噛合い式歯車装置1は、内歯部材23が、内輪331の内輪転走面334,335から内歯歯車23gの内歯に向けて、転走面硬度部H11,H21と硬度急低下部H12,H22と硬度上昇部H13,H23とをこの順に有している。
このため、内歯部材23に、要求される硬度が異なる内輪331の内輪転走面334,335と内歯歯車23gの内歯とが設けられる場合でも、個々の硬度の要求に適正に対応する内歯部材23を提供することが可能となる。
【0053】
また、内歯部材23は、硬度が上昇する硬度上昇部H13,H23を備えているので、硬度急低下部H12,H22において、硬度の低下幅が大きくなる場合でも、硬度上昇部H13,H23で硬度が上昇するので、内歯の表面硬度は要求される硬度を確保することが容易となる。
【0054】
また、内歯部材23は、硬度急低下部H12,H22の傾きの絶対値が硬度上昇部H13,H23の傾きの絶対値の5倍以上を有するので、内輪転走面334,335に適した硬度の範囲となる転走面硬度部H11,H21と内歯に適した硬度範囲となる硬度上昇部H13,H23とを有する場合であっても、これらの間で硬度が遷移する硬度急低下部H12,H22の径方向の幅を十分に縮小化することができ、転走面硬度部H11,H21や硬度上昇部H13,H23を広く確保することが可能となる。
【0055】
また、内歯部材23において、内輪転走面334,335と内歯歯車23gの内歯が、径方向から見て重なる配置とした場合には、転走面硬度部H11,H21と硬度急低下部H12,H22と硬度上昇部H13,H23の硬度分布によって、内輪転走面334,335と内歯歯車23gの内歯とついて、それぞれ硬度の適正化を容易に実現することが可能となる。
【0056】
また、内歯部材23において、硬度上昇部H13,H23の径方向の深さ範囲を、転走面硬度部H11,H21の深さ範囲の3倍未満とした場合には、内歯部材23の外径の小型化を図ることが可能となる。
【0057】
また、上記撓み噛合い式歯車装置1の内歯部材23を製造する場合に、金属ブロック23Mの内側に内歯を形成する位置よりも径方向内側に肉を残した状態で第一の熱処理と第二の熱処理とが行われる。
このため、金属ブロック23Mの熱容量が高い状態で、内輪転走面を形成するための溝に対して第二の熱処理としての高周波焼き入れを行うことができる。従って、高い硬度が要求される内輪転走面を形成するための溝の表面付近よりも径方向内側部分への熱伝達量が低減することができる。これにより、第一の熱処理を行われた径方向内側部分に対して、高周波焼き入れの再加熱による硬度低下を抑制することができ、硬度上昇部H13,H23による必要硬度を容易に実現することが可能となる。
【0058】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られず、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、撓み噛合い式歯車装置として、所謂筒型の構成を示したが、これに限定されず、本発明に係る撓み噛合い式歯車装置は、例えば所謂カップ型又はシルクハット型の撓み噛合い式歯車装置であってもよい。
また、主軸受33は、クロスローラ軸受を例示したが、これに限定されず、各種軸受を採用でき、例えば4点接触玉軸受、深溝玉軸受、ころ軸受なども採用できる。この場合、内歯部材23には採用した軸受に対応した内輪転走面を有する溝が設けられる。
【0059】
また、内歯部材23に形成される内歯歯車23gの内歯と内輪転走面334及び335は、径方向から見て重なる配置となる内歯部材23を例示したが、これに限定されない。即ち、内歯部材23において、内歯と内輪転走面334及び335とは、径方向から見て全く重ならない配置としても良い。その場合でも、内歯部材に対して、前述と同じ第一及び第二の熱処理工程を経ている限り、内輪転走面334又は335の軸方向における中間点から径方向内側に向かって到達した内周面上の到達点の硬度分布は、内歯歯車23gの内歯と同じ硬度分布になると予測される。従って、内輪転走面334又は335の中間点から上記到達点までの範囲の硬度分布が、前述した転走面硬度部、硬度急低下部、硬度上昇部をこの順に有するように、内歯部材23を構成することで、内歯歯車23gの内歯に対しても、硬度の適正化を実現することができる。つまり、「内輪転走面から内歯に向けて」とは、内輪転走面から径方向内側に向かってまっすぐ硬度分布を測定した場合に、内周面での到達点が内歯でない場合も含む。この場合には、到達した内周面を内歯と擬制するということである。
【0060】
また、内歯部材23の製造方法において、第一及び第二の熱処理工程の前工程である一次旋削工程において、金属ブロック23Mの中心に貫通孔231Mを設ける例を示したが、貫通孔231Mは必須ではなく、貫通孔231Mのない中実の金属ブロック23Mに対して、第一の熱処理工程と第二の熱処理工程とを行っても良い。
【0061】
内歯部材23の製造方法における第一及び第二の熱処理工程の熱処理は、焼き入れと焼き戻し、高周波焼き入れに限らず、内輪転走面334及び335や内歯に要求される硬度を実現可能な他の熱処理を行っても良い。例えば、浸炭処理やレーザ焼入れ処理を採用してもよい。
また、これらの硬度分布を満たすための熱処理の具体的な諸条件は、実験や解析等によって定めてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 撓み噛合い式歯車装置
10 起振体軸
10A 起振体
12 外歯歯車
22g、23g 内歯歯車
23 内歯部材
23M 金属ブロック(形成材料)
33 主軸受
231M 貫通孔
232M V字溝
233M 内周面
234,235 隣接内周面
331 内輪
332 外輪
333 転動体
334,335 内輪転走面
H11、H21 転走面硬度部
H12,H22 硬度急低下部
H13、H23 硬度上昇部
O1 回転軸
P 中間点
図1
図2
図3
図4
図5