(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】ガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置、及び、ガスシールタンクシステム
(51)【国際特許分類】
B65D 90/22 20060101AFI20231030BHJP
B65D 90/32 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
B65D90/22 Z
B65D90/32
(21)【出願番号】P 2022179615
(22)【出願日】2022-11-09
【審査請求日】2023-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】592115504
【氏名又は名称】金子産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【氏名又は名称】青山 純
(72)【発明者】
【氏名】布川 直樹
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-161301(JP,A)
【文献】特開2005-240840(JP,A)
【文献】特開平9-273721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 90/22
B65D 90/32
B65D 90/44
F17C 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を貯留するタンクに連結され、前記タンクの内圧を調整し、かつ、前記タンクの内圧に基づいて前記タンクにシールガスを供給することができるガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置であって、
前記タンクに繋がる主流路、前記主流路から分岐する第1分岐流路、及び、前記主流路から分岐する第2分岐流路を有する主部と、
前記第1分岐流路から延びる吸気流路を有する吸気部と、
前記第2分岐流路から延びるシールガス流路を有するシールガス圧力調整部と、
前記主流路から延びる排出流路を有する排出部と、
前記主流路上に設けられた消炎部と、
を備え、
前記吸気部は、前記吸気流路を開放、又は、閉鎖することができる吸気弁機構を有し、
前記シールガス圧力調整部は、前記シールガス流路を開放、又は、閉鎖することができるシールガス弁機構を有し、
前記排出部は、前記主流路と前記排出流路とを連通させ、又は、連通を遮断することができる排出弁機構を有し、
前記吸気弁機構は、前記吸気流路を開放することで外部から前記吸気流路を通して吸入用流体を前記タンク内に吸入することができ、
前記シールガス弁機構は、前記シールガス流路を開放することで、シールガス供給源から前記シールガス流路を介して前記シールガスを前記タンク内に供給することができ、
前記排出弁機構は、前記主流路と前記排出流路とを連通させることで前記タンクの内部から排出される前記流体を前記排出流路から前記排出弁機構の下流側へ排出することができ、
前記消炎部は、前記消炎部を通過しようとする火炎を消炎することができる、
ガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置。
【請求項2】
前記消炎部は、前記主部のうち前記主流路が前記第1分岐流路に分岐する位置から前記排出流路までの間であって、前記主部のうち前記主流路が前記第2分岐流路に分岐する位置から前記排出流路までの間に設けられている、
請求項1に記載のガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置。
【請求項3】
前記消炎部は、逆火防止装置を有している、
請求項1に記載のガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置。
【請求項4】
前記消炎部は、前記逆火防止装置を支持している消炎部本体と、前記消炎部本体の前記排出部側の端部に着脱自在に取り付けられているプレッシャーシートと、を更に有し、
前記排出部は、排出部本体と、前記排出部本体に着脱自在に取り付けられ、前記排出弁機構を支持するベントカバーと、を更に有し、
前記逆火防止装置は、前記排出部本体から前記ベントカバーを取り外し、前記消炎部本体から前記プレッシャーシートを取り外した後に、前記消炎部本体に対して着脱可能となる、
請求項3に記載のガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置。
【請求項5】
前記タンクの内圧がシールガス供給圧を上回る場合では、前記シールガス弁機構は、前記シールガス流路を閉鎖し、
前記タンクの内圧が前記シールガス供給圧以下の場合では、前記シールガス弁機構は、前記シールガス流路を開放し、
前記タンクの内圧が第1圧力以下の場合では、前記吸気弁機構は、前記吸気流路を開放し、前記排出弁機構は、前記主流路と前記排出流路との連通を遮断し、
前記タンクの内圧が第2圧力以上の場合では、前記吸気弁機構は、前記吸気流路を閉鎖し、前記排出弁機構は、前記主流路と前記排出流路とを連通させ、
前記第1圧力は、前記第2圧力よりも低く、
前記シールガス供給圧は、前記第2圧力よりも低く、かつ、前記第1圧力よりも高い、
請求項1に記載のガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置。
【請求項6】
前記吸気弁機構は、前記吸入用流体に押されることにより前記吸気流路を開放する吸気弁を有しており、
前記排出弁機構は、前記タンクの内部から排出される前記流体に押されることにより前記主流路と前記排出流路とを連通させる排出弁を有している、
請求項1に記載のガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置。
【請求項7】
前記シールガス圧力調整部は、前記シールガス流路上であって、前記第1分岐流路と前記シールガス流路との境界に整流器を更に有している、
請求項1に記載のガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置と、
前記タンクと、
前記排出流路に連結され、流入した前記流体の可燃性及び有害性のうち少なくとも一つを低減させる処理を実施する処理機構と、
を備える、
ガスシールタンクシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスシールタンクの内圧を調整するガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置、及び、ガスシールタンクシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体貯留タンクにおいて、貯蔵液体の引火防止や、変質防止等の目的から、貯蔵液体の液面を不活性ガス等のシールガスで覆うために液体貯留タンクにシールガス圧力調整弁装置を設置し、シールガスを液体貯留タンクに充填・補充することができるガスシールタンクが知られている。一方で、液体貯留タンクの内圧を調整することができるブリザーバルブが知られており、ガスシールタンクには、シールガス圧力調整弁装置とブリザーバルブとが一体化されたタンク内圧力調整弁装置が用いられていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
流体貯留タンクには、可燃性を備える流体や人体又は環境に対する有害性を備える流体が貯留されている場合が多く、近年では、環境に配慮して、流体貯留タンクから排出される流体の可燃性や有害性を低減させることが求められていた。そのため、タンク内圧力調整弁装置の下流には、流体貯留タンクから排出される流体の可燃性や有害性を低減することができる処理機構が設けられることがあった。しかし、タンク内圧力調整弁装置の下流に配置した処理機構や当該処理機構に接続される配管等からの発火等、不測の事態に対して更なる安全対策を施す必要であった。
【0005】
本開示は、前述した課題に鑑み、ガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置の下流側で発生した火炎に対する安全対策が施されたガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置、及び、ガスシールタンクシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示のガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置は、
流体を貯留するタンクに連結され、前記タンクの内圧を調整し、かつ、前記タンクの内圧に基づいて前記タンクにシールガスを供給することができるガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置であって、
前記タンクに繋がる主流路、前記主流路から分岐する第1分岐流路、及び、前記主流路から分岐する第2分岐流路を有する主部と、
前記第1分岐流路から延びる吸気流路を有する吸気部と、
前記第2分岐流路から延びるシールガス流路を有するシールガス圧力調整部と、
前記主流路から延びる排出流路を有する排出部と、
前記主流路上に設けられた消炎部と、
を備え、
前記吸気部は、前記吸気流路を開放、又は、閉鎖することができる吸気弁機構を有し、
前記シールガス圧力調整部は、前記シールガス流路を開放、又は、閉鎖することができるシールガス弁機構を有し、
前記排出部は、前記主流路と前記排出流路とを連通させ、又は、連通を遮断することができる排出弁機構を有し、
前記吸気弁機構は、前記吸気流路を開放することで外部から前記吸気流路を通して吸入用流体を前記タンク内に吸入することができ、
前記シールガス弁機構は、前記シールガス流路を開放することで、シールガス供給源から前記シールガス流路を介して前記シールガスを前記タンク内に供給することができ、
前記排出弁機構は、前記主流路と前記排出流路とを連通させることで前記タンクの内部から排出される前記流体を前記排出流路から前記排出弁機構の下流側へ排出することができ、
前記消炎部は、前記消炎部を通過しようとする火炎を消炎することができる。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本開示のガスシールタンクシステムは、前記タンク内圧力調整弁装置と、
前記タンクと、
前記排出流路に連結され、流入した前記流体の可燃性及び有害性のうち少なくとも一つを低減させる処理を実施する処理機構と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示のガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置、及び、ガスシールタンクシステムによれば、ガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置の下流側で発生した火炎に対する安全対策が施されたガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置、及び、ガスシールタンクシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1によるガスシールタンクシステムを示す概略図である。
【
図2】
図1のシールガス圧力調整部のII-IIでの断面を示す断面図である。
【
図3】
図2のシールガス圧力調整部のIII-IIIでの断面を示す断面図である。
【
図4】
図1のタンクの内圧に基づいた吸気弁、及び、排出弁の状態を示す表である。
【
図5】
図1のブリザーバルブの吸気状態を示す概略図である。
【
図6】
図1のブリザーバルブの排出状態を示す概略図である。
【
図7】
図1の処理機構からブリザーバルブへ向かって爆轟が発生した状態を示す概略図である。
【
図8】実施の形態2によるガスシールタンクシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示を実施するための実施の形態について説明する。なお、以下では本開示の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本開示の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1によるガスシールタンクシステム1を示す概略図である。ガスシールタンクシステム1は、タンク3と、ガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置であるブリザーバルブ4と、処理機構8と、タンク3とブリザーバルブ4との連結に用いられる上流側フランジ90と、ブリザーバルブ4と処理機構8との連結に用いられる下流側フランジ91と、を備えている。
図1では、ブリザーバルブ4、上流側フランジ90、及び、下流側フランジ91は、流路の軸線を含む面での断面で示されている。ブリザーバルブ4の一方の端部は、上流側フランジ90を介してタンク3に連結されている。ブリザーバルブ4の他方の端部には、下流側フランジ91を介して処理機構8が連結されている。ここで、タンク3をブリザーバルブ4の上流側とし、処理機構8をブリザーバルブ4の下流側とする。即ち、ブリザーバルブ4の上流側には、タンク3が連結されており、ブリザーバルブ4の下流側には、処理機構8が連結されている。
【0012】
タンク3は、可燃性を備えた気体、又は、液体等の流体を貯留している。さらに、タンク3には、当該貯留されている流体が揮発した流体も含まれている。可燃性を備えた気体又は液体としては、例えば、化石燃料、及び、揮発性ガス等の流体である。タンク3では、貯留されている流体の表面がシールガスで覆われている。
【0013】
本実施の形態1において、タンク3の形状は、球形、直方体形状、及び、立方体形状等の形状であり、タンク3の上端に向かうに従ってタンク3の水平断面積が小さくなっている形状である。
【0014】
タンク3の上端には、連結部3aが設置されている。連結部3aには、タンク3の内部に通ずる貫通孔が形成されている。これにより、タンク3の内部の流体は、連結部3aを通して効率的に排出される。連結部3aには、上流側フランジ90を介してブリザーバルブ4を連結することができる。
【0015】
処理機構8は、タンク3から排出される気体、又は、液体等の流体を処理する機構である。処理機構8は、流体を処理することで、流体の可燃性及び有害性のうち少なくとも一つを低減することができる。処理機構8は、処理機構本体80と、処理機構本体80に接続された処理機構配管部82と、を有している。
【0016】
処理機構本体80の内部には、流体を一時的に貯留することができる貯留部81が形成されている。貯留部81では、貯留部81に貯留された流体に対して、燃焼、触媒、凝縮、吸着、及び、吸収等の方法で流体の可燃性及び有害性のうち少なくとも一つを低減することができる。
【0017】
貯留部81で可燃性及び有害性のうち少なくとも一つが低減された流体は、処理機構本体80を通って処理機構8の外部に排出される。
【0018】
処理機構配管部82は、配管部材である。処理機構配管部82の一方の端部には、処理機構フランジ82aが形成されている。処理機構フランジ82aは、下流側フランジ91に接続されている。
【0019】
処理機構配管部82の他方の端部には、処理機構本体80に接続されている。処理機構フランジ82aから流入した流体は、処理機構配管部82を通って、処理機構本体80の貯留部81の内部に流入し、貯留部81で処理され、処理機構本体80の外部に排出される。
【0020】
ブリザーバルブ4は、タンク3の内圧pに応じてタンク3の内部の流体をタンク3外部に排出し、かつ吸入用流体である大気をタンク3の内部に吸入することができる。更に、ブリザーバルブ4は、タンク3の内圧pに応じてシールガスをタンク3の内部に供給し、シールガスを補充・充填することができる。即ち、ブリザーバルブ4は、タンク3の内圧pを調節することができる。
【0021】
本実施の形態1では、ガスシールタンクシステム1は、屋外に設置されており、少なくともブリザーバルブ4、及び、処理機構8は、大気に暴露されている。
【0022】
ブリザーバルブ4は、主部10と、吸気部20と、シールガス圧力調整部30と、消炎部60と、排出部70と、を備えている。主部10は、分岐する二つの枝管を有した配管部材である。即ち、主部10は、四つの開口端部を有している。主部10の開口端部のそれぞれは、鉛直方向の下向きに開口した入側開口端部10aと、鉛直方向の上向きに開口した出側開口端部10bと、水平方向に開口した吸気側開口端部10cと、斜め上向きに開口したシールガス供給側開口端部10dと、である。
【0023】
即ち、ブリザーバルブ4がタンク3に連結された状態では、主部10は、下側に入側開口端部10aがあり、上側に出側開口端部10bがある姿勢で配置されている。入側開口端部10aから出側開口端部10bへ通ずる流路を主流路110とする。主部10は、主流路110の軸線が鉛直方向に沿うように配置されている。主流路110は、さらに消炎部60に向かって延びている。消炎部60については、後に説明をする。
【0024】
主流路110は、主流路110から分岐して吸気側開口端部10cに達する第1分岐流路111と、主流路110から分岐してシールガス供給側開口端部10dに達する第2分岐流路112と、を有している。第1分岐流路111の軸線は、水平方向に沿っている。第2分岐流路112の軸線は、主流路110から延びて斜め上方に向かう方向に沿っている。
【0025】
図1に示されるとおり、第2分岐流路112、及び、第1分岐流路111のそれぞれは、主流路110の上流側から、即ち、タンク3に近い方から第2分岐流路112、及び、第1分岐流路111の順で主流路110から分岐している。即ち、第2分岐流路112は、主部10のうち主流路110がタンク3に繋がる位置から第1分岐流路111が主流路110から分岐する位置までの間で主流路110から分岐している。
【0026】
主部10の吸気側開口端部10cには、吸気部20が接続されている。主部10のシールガス供給側開口端部10dには、シールガス圧力調整部30が接続されている。吸気部20、及び、シールガス圧力調整部30については、後に説明する。
【0027】
主部10の主流路110を形成する管壁には、制御配管用開口10eが形成されている。
図1に示されるとおり、制御配管用開口10eは、第1分岐流路111が主流路110から分岐した箇所よりも下流側の主流路110を形成する管壁に形成されている。
【0028】
吸気部20は、吸気部本体21と、吸気部本体21に設けられた吸気弁機構22と、を有している。吸気部本体21は、2つの開口端部を有した管状の部材である。
【0029】
吸気部本体21の一方の端部は、水平方向に開口している接続側開口端部21aである。吸気部本体21の他方の端部には、鉛直方向下向きに開口した、吸気口21bが形成されている。接続側開口端部21aと吸気口21bとを結ぶ流路を吸気流路120とする。
【0030】
吸気弁機構22は、開閉弁である吸気弁23と、吸気弁23に固定された吸気弁シャフト24と、吸気部本体21に配置された吸気弁ガイド25と、を有している。吸気弁23は、吸気口21bを開放、及び、閉鎖することができる。
【0031】
吸気弁ガイド25は、吸気弁シャフト24を鉛直方向に沿って移動可能に支持している。これにより、吸気弁23は、吸気弁シャフト24が鉛直方向に沿って移動することで、吸気閉鎖位置と吸気開放位置との間を移動可能である。吸気弁23は、開放弁である。吸気弁23は、吸気弁23、及び、吸気弁シャフト24の自重により、吸気弁ガイド25に沿って落下することで、吸気閉鎖位置に向かって移動することができる。
【0032】
吸気弁23が吸気閉鎖位置にあるとき、吸気弁23は、吸気口21bを閉鎖している。即ち、吸気流路120は閉鎖され、吸気流路120とブリザーバルブ4の外部との連通は、遮断されている。吸気弁23が吸気閉鎖位置から吸気開放位置に向かって自重に抗って上昇移動したとき、吸気弁23と吸気口21bとの間に隙間が生じる。即ち、吸気流路120は、開放され、吸気流路120は、ブリザーバルブ4の外部の大気と連通する状態となる。
【0033】
主部10の吸気側開口端部10cに吸気部20が接続されている状態では、吸気側開口端部10cと接続側開口端部21aとが接続されている。これにより、吸気部本体21の内部の吸気流路120は、主部10の内部の第1分岐流路111と通じている。即ち、吸気流路120は、第1分岐流路111から水平方向に沿って延びている。
【0034】
図2は、
図1のシールガス圧力調整部30のII-IIでの断面を示す断面図である。
図3は、
図2のシールガス圧力調整部30のIII-IIIでの断面を示す断面図である。シールガス圧力調整部30は、前述の特許文献1にも記載されている周知な構成である。
図1から
図3に基づいてシールガス圧力調整部30を説明する。
【0035】
シールガス圧力調整部30は、図示しないシールガス供給源に接続されたシールガス圧力調整部本体31と、制御配管32と、シールガス接続配管33と、を有している。シールガス供給源から供給されるシールガスは、不活性ガスが好ましい。不活性ガスとしては、例えば窒素ガスがあげられる。
【0036】
シールガス圧力調整部本体31には、本体入口31aと、本体出口31bと、シールガス圧用開口31cと、が形成されている。本体入口31aには、シールガス供給源が接続されている。
【0037】
本体出口31bには、シールガス接続配管33の一方の開口部が接続されている。シールガス接続配管33の他方の開口部は、シールガス供給側開口端部10dに接続されている。シールガス圧力調整部30には、本体入口31aから本体出口31b、及び、シールガス接続配管33を通って、シールガス供給側開口端部10dと接続されるシールガス接続配管33の他方の開口部まで延びるシールガス流路130が形成されている。
【0038】
シールガス接続配管33の他方の開口部とシールガス供給側開口端部10dとが接続している状態では、主流路110から分岐して延びた第2分岐流路112とシールガス流路130とが通じている。
【0039】
シールガス圧用開口31cには、制御配管32の一方の開口端部が接続されている。制御配管32の他方の開口端部は、主部10の制御配管用開口10eに接続されている。従って、主部10内の流体は、制御配管32を介してシールガス圧力調整部本体31に流入することができる。
【0040】
シールガス圧力調整部本体31は、シールガス弁機構35と、第1ダイヤフラム36と、第2ダイヤフラム37と、ニードル弁39と、パイロットバルブ本体40と、連結シャフト41と、第3ダイヤフラム38と、第3ダイヤフラム弾性部材38aと、を有している。
【0041】
シールガス弁機構35は、メインバルブ35aと、メインバルブ35aに一方の端部が連結されたメインバルブシャフト35bと、メインバルブ弾性部材35cと、を有している。メインバルブ35aは、第1ダイヤフラム36、及び、第2ダイヤフラム37の移動に伴ったメインバルブシャフト35bの移動により、シールガス開放位置とシールガス閉鎖位置との間を移動することができる。メインバルブ弾性部材35cは、メインバルブ35aをシールガス閉鎖位置に向かって押し付ける方向の力を発生している。
【0042】
シールガス圧力調整部本体31の内部には、空間が形成されている。この空間を第1空間としたときに、第1ダイヤフラム36と第2ダイヤフラム37とは、第1空間の内部に互いに対向して配置されている。これにより、第1空間は、3分割されている。第1ダイヤフラム36と第2ダイヤフラム37とには、メインバルブシャフト35bが連結されている。メインバルブシャフト35bのメインバルブ35aに連結された端部とは反対側の端部が第2ダイヤフラム37に連結されている。第1ダイヤフラム36は、メインバルブ35aと第2ダイヤフラム37との間に配置されるように、メインバルブシャフト35bに連結されている。
【0043】
第1空間のうち、シールガス圧力調整部本体31と第1ダイヤフラム36と第2ダイヤフラム37とで画定された空間を第1圧力室31gとする。第1空間のうち、第1ダイヤフラム36を挟んで第1圧力室31gの反対側に画定された空間を、第2圧力室31hとする。第2圧力室31hを画定するシールガス圧力調整部本体31の壁には、本体出口31bが形成されている。
【0044】
第1空間のうち、第2ダイヤフラム37を挟んで第1圧力室31gの反対側に画定された空間は、シールガス圧力調整部本体31に形成された貫通孔によって、大気開放されている。
【0045】
シールガス圧力調整部本体31の内部には、第1空間とはことなる空間である第2空間が更に形成されている。第3ダイヤフラム38は、第2空間を2分割するように配置されている。シールガス圧力調整部本体31と第3ダイヤフラム38とにより画定された空間を第3圧力室31jとする。
【0046】
シールガス圧力調整部本体31には、本体入口31aに繋がる第1圧力室31gと本体出口31bとを繋ぐ連通通路31kと、第1圧力室31gと本体入口31aとを繋ぐ第1バイパス31mと、第2圧力室31hと本体入口31aとを繋ぐ第2バイパス31nと、第2圧力室31hと本体出口31bとを繋ぐ第3バイパス31oと、が更に形成されている。
【0047】
メインバルブ35aがシールガス閉鎖位置にあるとき、メインバルブ35aによって連通通路31kが閉鎖される。メインバルブ35aがシールガス閉鎖位置からシールガス開放位置へ向かって移動したとき、メインバルブ35aによる連通通路31kの閉鎖が解除され、連通通路31kが開放される。
【0048】
シールガス流路130は、本体入口31aから連通通路31kを通って本体出口31bへと延びており、メインバルブ35aは、シールガス流路130を開放、又は、閉鎖することができる。即ち、シールガス弁機構35は、シールガス流路130を開放、又は、閉鎖することができる。シールガス流路130が連通すると、シールガス供給源からシールガス流路130を介して、シールガスが主部10内、及び、タンク3内に供給される。
【0049】
ニードル弁39は、第2バイパス31nの流路断面積を調整することができる。ニードル弁39を調整することにより、本体入口31aから第2バイパス31nを通って第2圧力室31hへ流れるシールガスの流量を調整することができる。
【0050】
連結シャフト41の一方の端部は、パイロットバルブ本体40に連結されており、連結シャフト41の他方の端部は、第3ダイヤフラム38に連結されている。パイロットバルブ本体40は、第3ダイヤフラム38の移動に伴った連結シャフト41の移動により、開放位置と閉鎖位置との間を移動することができる。パイロットバルブ本体40が閉鎖位置にあるとき、パイロットバルブ本体40によって第3バイパス31oが閉鎖される。パイロットバルブ本体40が閉鎖位置から開放位置へ向かって移動したとき、パイロットバルブ本体40による第3バイパス31oの閉鎖が解除され、第3バイパス31oが開放される。
【0051】
第3ダイヤフラム弾性部材38aは、パイロットバルブ本体40が開放位置に向かう方向に移動するように第3ダイヤフラム38を移動させる方向の力を発生している。即ち、第3ダイヤフラム弾性部材38aが第3ダイヤフラム38を押し、移動させることで、連結シャフト41が移動し、連結シャフト41の移動により、パイロットバルブ本体40が開放位置に移動する。
【0052】
シールガス圧用開口31cは、第3圧力室31jを画定するシールガス圧力調整部本体31の壁に形成されており、第3圧力室31jの内圧と主部10の内圧とは、制御配管32を通じて等しくなっている。また、主部10とタンク3とは連通しているため、主部10の内圧とタンク3の内圧pとは、等しい。
【0053】
ここで、シールガス圧力調整部30の動作について説明する。シールガス圧力調整部30は、主部10の内圧、即ち、タンク3の内圧pに基づいてシールガスを供給するが、そのシールガスの供給の基準となるタンク3の内圧をシールガス供給圧Psとする。まず、タンク3の内圧pがシールガス供給圧Psを上回っている場合には、シールガスは主部10内に供給されない。詳細には、以下のとおりである。なお、シールガス供給源から供給されるシールガスの圧力は、シールガス供給圧Psよりも高い。
【0054】
タンク3の内圧pがシールガス供給圧Psを上回っている場合には、第3圧力室31jの内圧もシールガス供給圧Psを上回る圧力となっている。第3圧力室31jの内圧がシールガス供給圧Psを上回る圧力である場合、第3ダイヤフラム38には、第3ダイヤフラム弾性部材38aに抗って、
図3の下側に向かうように力が働いている。
【0055】
これにより、パイロットバルブ本体40は、閉鎖位置に位置しており、第3バイパス31oは、閉鎖されている。従って、第2圧力室31h内のシールガスは、本体出口31bから流出することなく、第2圧力室31h内に留まっている。
【0056】
第1圧力室31g、及び、第2圧力室31hには、本体入口31aからシールガスが供給されているが、第2圧力室31h内のシールガスが本体出口31bから流出せずに、第2圧力室31h内に留まっているため、第1圧力室31g、及び、第2圧力室31hのそれぞれの内圧は、等しい圧力となっている。
【0057】
シールガスの供給圧力の設定により、この状態では、第1圧力室31gの内圧は、大気圧より大きくなっている。これにより、第2ダイヤフラム37が第1圧力室31gから大気開放された空間へ向かう方向に移動する。従って、第2ダイヤフラム37、及び、メインバルブシャフト35bと共にメインバルブ35aは、シールガス閉鎖位置に向かって移動し、本体入口31aと本体出口31bとの連通は、閉鎖される。このため、シールガス供給源から主部10内へのシールガスの供給は行われない。
【0058】
次に、タンク3の内圧pがシールガス供給圧Ps以下の場合について説明をする。タンク3の内圧pがシールガス供給圧Ps以下となると、制御配管32に接続された第3圧力室31jの内圧もシールガス供給圧Ps以下となる。第3圧力室31jの内圧の低下に応じて第3ダイヤフラム弾性部材38aの押し付け力により、第3ダイヤフラム38には、
図3の上側に向かって移動するように力が働く。
【0059】
第3ダイヤフラム38が
図3の上側に向かって移動すると、パイロットバルブ本体40は、開放位置に向かって移動し、第3バイパス31oが開放される。第3バイパス31oが開放されると、第2圧力室31hと本体出口31bとが連通し、第2圧力室31h内部のシールガスが徐々に主部10に向けて流出する。
【0060】
ここで、第2圧力室31hへの本体入口31aからのシールガスの流入量は、ニードル弁39の設定により調整されている。第3バイパス31oが開放されて本体出口31bから流出するシールガスの流量よりも、第2圧力室31h内に流入するシールガスの流量の方が少なくなるようにニードル弁39が調整されているため、第2圧力室31hの内圧は、徐々に低下する。なお、本実施の形態1では、上述の通り、第2圧力室31hへの本体入口31aからのシールガスの流入量の調整のためにニードル弁39を用いているが、これに限られたものではない。例えば、ニードル弁39に代えて、調整ニードルの先端に六角穴付きプラグに所定口径の穴を空けた固定オリフィスを備えた構造等を用いてもよい。
【0061】
第2圧力室31hの内圧の低下に伴い、第1圧力室31gの内圧が第2圧力室31hの内圧より大きくなり、第1ダイヤフラム36は、第1圧力室31gから第2圧力室31hの方向に向かって移動する。第1ダイヤフラム36が移動することで、メインバルブシャフト35b、及び、メインバルブ35aがメインバルブ弾性部材35cの押し付け力に抗って、シールガス開放位置に向かって移動する。
【0062】
メインバルブ35aがシールガス開放位置に向かって移動することで、連通通路31kが開放され本体入口31aと本体出口31bとが連通し、シールガスは、主部10へ一気に供給される。これにより、主部10、及び、タンク3内の内圧が調整される。
【0063】
シールガス圧力調整部本体31は、シールガス供給源から供給されるシールガスの圧力をシールガス圧力調整部30における弁機能の限界強度圧力以下に減圧するための減圧弁44を更に備えている。
【0064】
減圧弁44は、シールガス圧力調整部30の適宜な位置に配置されており、シールガス供給源から供給されるシールガスの圧力を低下させ、シールガス圧力調整部30の内部に供給することができる。減圧弁44には、周知な構成を採用することができる。なお、減圧弁44によりシールガスの圧力が低下しても、その低下した圧力は、シールガス供給圧Psよりも高い。
【0065】
図1に戻り、説明を続ける。主部10の出側開口端部10bには、消炎部60が接続されている。消炎部60は、消炎部本体61と、消炎部カバー62と、プレッシャーシート63と、消炎部本体61に設けられた逆火防止装置64と、プレッシャーシート固定具65と、を有している。
【0066】
消炎部本体61は、一対の開口端部を有した管状部材である。消炎部本体61の下側の開口端部には、下側の開口端部を塞ぐように消炎部カバー62が配置されている。消炎部カバー62は、円盤状の板部材である。
【0067】
消炎部カバー62の中心部分には、消炎部入側開口61aが形成されている。消炎部入側開口61aの内径は、消炎部本体61の内径よりも小さい。
【0068】
消炎部本体61の上側の開口端部には、上側の開口端部を塞ぐようにプレッシャーシート63が配置されている。プレッシャーシート63は、円盤状の板部材である。プレッシャーシート63の中心部分には、消炎部出側開口61bが形成されている。消炎部出側開口61bの内径は、消炎部本体61の内径よりも小さい。
【0069】
本実施の形態1では、プレッシャーシート固定具65は、複数のボルトである。プレッシャーシート63の縁部には、複数のボルトが貫通する複数の貫通孔が形成されている。消炎部本体61には、複数のボルトがねじ込まれる複数のねじ穴が形成されている。
【0070】
プレッシャーシート63が消炎部本体61の上側の開口端部に設置された状態で、プレッシャーシート63の各貫通孔を通って各ねじ穴に各ボルトがねじ込まれることで、プレッシャーシート63は、消炎部本体61の上側の開口端部に固定されている。
【0071】
主部10に接続された消炎部60の内部には、主部10の主流路110が消炎部入側開口61aを通って消炎部出側開口61bに向かって延びている。消炎部本体61は、管の軸線、即ち、消炎部60を通る主流路110の軸線が鉛直方向に沿うように配置されている。消炎部本体61の内部には、主流路110上に逆火防止装置64が配置されている。
【0072】
逆火防止装置64は、流体流路中で発生した火炎の伝播を抑制し、火炎を消炎させることができる。逆火防止装置64は、ハウジングと、ハウジング内部に配置される消炎素子とを有している。消炎素子には、金網タイプ、波板タイプ、多孔板タイプ、及び、平行板タイプ等の複数のタイプのうち好適なものを適宜選択することができる。
【0073】
消炎素子は、流体を通過させることができるが、流体流路中で発生した火炎を通過させない流路を有している。さらに、消炎素子は、消炎素子に達した火炎の速度を減衰させ冷却する。これらの効果から、消炎素子に達した火炎は、消炎素子を通過することができず、消炎される。
【0074】
本実施の形態1のように、ブリザーバルブ4内に、逆火防止装置64を配置することで、何らかの原因で発生した火炎をタンク3の内部に伝播することを防ぐことができる。
【0075】
消炎部本体61の上側の開口端部には、排出部70が接続されている。排出部70は、排出部本体71と、排出部本体71に設けられた排出弁機構72と、ベントカバー77と、ベントカバー固定具78と、を有している。
【0076】
排出部本体71は、T字形状の配管部材である。排出部本体71のT字形状の配管部材の端部のそれぞれは、鉛直方向の下向きに開口した排出部入側開口端部71aと、鉛直方向の上向きに開口した排出部出側開口端部71bと、水平方向に開口した処理側開口端部71cと、である。従って、排出部本体71は、排出部入側開口端部71aを下側に、排出部出側開口端部71bを上側にした姿勢で配置されている。
【0077】
排出部本体71は、排出部入側開口端部71aと排出部出側開口端部71bとを結ぶ流路の軸線が鉛直方向に沿って配置されている。この状態では、排出部入側開口端部71aと排出部出側開口端部71bとを結ぶ流路から分岐して処理側開口端部71cに達する流路の軸線は、水平方向に沿っている。
【0078】
ベントカバー77は、排出部出側開口端部71bを閉鎖するように、ベントカバー固定具78により排出部本体71に固定されている。本実施の形態1では、ベントカバー固定具78は、複数のボルトである。
【0079】
ベントカバー77の縁部には、複数のボルトが貫通する複数の貫通孔が形成されている。排出部本体71には、複数のボルトがねじ込まれる複数のねじ穴が形成されている。
【0080】
ベントカバー77が排出部本体71の上側の排出部出側開口端部71bに設置された状態で、ベントカバー77に形成された各貫通孔を通って各ねじ穴に各ボルトがねじ込まれることで、ベントカバー77は、排出部本体71の上側の排出部出側開口端部71bに固定されている。即ち、ベントカバー77は、ベントカバー固定具78によって排出部本体71に着脱自在に取り付けられている。
【0081】
ベントカバー固定具78には、複数のボルトのみならず、クリップ機構を有したもの等、周知な固定機構を採用することができる。
【0082】
排出部70には、消炎部出側開口61bから排出部出側開口端部71b、及び、処理側開口端部71cに向かう流路である排出流路140が形成されている。実施の形態1では、排出部出側開口端部71bは、ベントカバー77にて閉鎖されているため、排出流路140は、消炎部出側開口61bから処理側開口端部71cに向かう。即ち、排出流路140は、主流路110と繋がっており、消炎部60は、主部10のうち主流路110が第1分岐流路111に分岐する位置から排出流路140までの間、及び、主部10のうち主流路110が第2分岐流路112に分岐する位置から排出流路140までの間に設けられている。
【0083】
排出弁機構72は、消炎部出側開口61bを閉鎖することができる排出弁73と、排出弁73に固定された排出弁シャフト74と、ベントカバー77に配置された排出弁ガイド75と、を有している。即ち、排出弁機構72は、ベントカバー77に支持されている。
【0084】
排出弁ガイド75は、排出弁シャフト74を鉛直方向に沿って移動可能に支持している。排出弁73は、排出弁シャフト74が鉛直方向に沿って移動することで、排出閉鎖位置と排出開放位置との間を移動可能である。排出弁73は、開放弁である。排出弁73は、排出弁73、及び、排出弁シャフト74の自重により、排出弁ガイド75に沿って落下することで、排出閉鎖位置に向かって移動することができる。
【0085】
排出弁73が排出閉鎖位置にあるとき、排出弁73は、消炎部出側開口61bを閉鎖している。即ち、消炎部60の内部から延びた主流路110と、排出流路140とは、連通が遮断された状態となる。排出弁73が排出閉鎖位置から排出開放位置に向かって自重に抗って移動したとき、排出弁73と消炎部出側開口61bとの間に隙間が生じる。即ち、消炎部60の内部から延びた主流路110と、排出流路140とは、連通する状態となる。
【0086】
処理側開口端部71cには、下流側フランジ91が接続されている。下流側フランジ91の処理側開口端部71cが接続された反対側の端部には、処理機構フランジ82aが接続されている。
【0087】
ブリザーバルブ4がタンク3に連結された状態では、連結部3aに形成された貫通孔の軸線、主流路110の軸線、逆火防止装置64の軸線、及び、排出流路140の鉛直方向に沿った流路の軸線は、同一の直線上に存在している。
【0088】
次に、ブリザーバルブ4の動作について説明する。
図4は、
図1のタンク3の内圧pに基づいた吸気弁23、排出弁73、及び、シールガス弁機構35のメインバルブ35aの状態を示す表である。
図5は、
図1のブリザーバルブ4が吸気状態である状態を示す概略図である。
図6は、
図1のブリザーバルブ4が排出状態である状態を示す概略図である。
【0089】
ブリザーバルブ4は、タンク3の内圧pに基づいて動作する。ブリザーバルブ4の動作を、
図4に示される第1圧力P1、シールガス供給圧Ps、及び、第2圧力P2を基準としたタンク3の内圧pに基づいて説明する。なお、第1圧力P1は、第2圧力P2よりも低く、シールガス供給圧Psは、第2圧力P2よりも低く、かつ、第1圧力P1よりも高い。ここで、タンク3の内圧pがシールガス供給圧Psより高く、第2圧力P2以下であるとき、タンク3の内圧pを正常圧力とする。
【0090】
まず、タンク3の内圧pが正常圧力である場合について説明する。
図4に示されるとおり、Ps<p≦P2のときには、吸気弁23、排出弁73、及び、メインバルブ35aのそれぞれは、閉状態である。この状態では、吸気弁23は、自重によって吸気閉鎖位置に移動し、吸気口21bは、閉鎖されている。
【0091】
排出弁73は、自重によって排出閉鎖位置に移動し、消炎部出側開口61bは、閉鎖されている。メインバルブ35aは、前述の説明にあるとおり、シールガス閉鎖位置に移動し、シールガス流路130は、閉鎖されている。従って、タンク3の内部からの流体の排出、タンク3の内部への大気の吸入、及び、シールガスのタンク3の内部への供給は行われない。即ち、タンク3は、タンク3の内部と外部との連通が遮断された状態となっている。
【0092】
次に、タンク3の内圧pがシールガス供給圧Psよりも低い場合について説明する。
図4に示されるとおり、P1≦p≦Psのときには、メインバルブ35aは開状態であり、吸気弁23、及び、排出弁73は、閉状態である。
【0093】
この場合、主部10、吸気部20、及び、消炎部60の内圧もシールガス供給圧Ps以下となっている。従って、シールガス弁機構35は、シールガス流路130を開放し、シールガスが主部10、及び、タンク3の内部に供給される。また、タンク3の内圧pは、第1圧力P1以上となっているため、吸気弁23は、自重によって吸気閉鎖位置に移動しており、吸気口21bは、閉鎖されている。
【0094】
一方、消炎部60では、消炎部60の内圧が第2圧力P2より低くなっていることから、排出弁73は、自重により下方に移動しており、排出弁73は、排出閉鎖位置にとどまっている。即ち、消炎部出側開口61bは、排出弁73によって閉鎖された状態を維持しており、主流路110と排出流路140との連通を遮断している。このように、タンク3は、シールガスが供給されている状態となっている。
【0095】
シールガスの供給により、やがてタンク3の内圧pがシールガス供給圧Psを上回ると、メインバルブ35aは、シールガス閉鎖位置に移動し、シールガス流路130を閉鎖する。このように、シールガス供給圧Ps以下だったタンク3の内圧pは、シールガス供給圧Psを上回る正常圧力となる。
【0096】
次に、タンク3の内圧pが第1圧力P1よりも低い場合について説明する。
図4に示されるように、p<P1のときには、吸気弁23、及び、メインバルブ35aは、開状態であり、排出弁73は、閉状態である。前述のとおり、タンク3の内圧pがシールガス供給圧Ps以下となった場合では、シールガス圧調整部30の動作により、シールガスがタンク3に供給され、タンク3の内圧pは正常圧力に復帰する。しかし、何らかの原因によって、タンク3の内圧pが更に低下し、第1圧力P1よりも低くなる場合がある。
【0097】
この場合、主部10、吸気部20、及び、消炎部60の内圧も第1圧力P1よりも低くなっている。吸気部20では、吸気部20の内圧が低くなっていることから、大気により吸気弁23が押されている。従って、吸気弁23は、吸気閉鎖位置から吸気開放位置に向かって移動する。
【0098】
具体的には、吸気弁23は、大気に押されて自重に抗って上昇する。なお、吸気弁23、及び、吸気弁シャフト24の合計の重量は、吸気部20の内圧が第1圧力P1以下になると大気に押されて上昇する重量に設定されている。
【0099】
吸気弁23が自重に抗って上昇することで、吸気流路120は、開放され、大気が吸気口21bから吸気部20内部に侵入する。従って、
図5に示されるとおり、吸気口21bから吸入された大気は、タンク3の内部に流入する。即ち、吸気弁機構22は、吸気部20の内圧が第1圧力P1よりも低くなった場合には、吸気流路120が開放し、大気を吸入する。
【0100】
主部10の内圧は、第1圧力P1よりも低いためシールガス供給圧Psよりも低い。従って、シールガス弁機構35が機能してタンク3内へシールガスの供給が同時になされている。即ち、
図5に示されるとおり、タンク3内への大気の吸入と、シールガスの供給とが同時に行われている。
【0101】
一方、消炎部60では、消炎部60の内圧が低くなっていることから、排出弁73は、自重により下方に移動しており、排出弁73は、排出閉鎖位置にとどまっている。即ち、消炎部出側開口61bは、排出弁73によって閉鎖された状態を維持しており、主流路110と排出流路140との連通を遮断している。このように、タンク3は、大気が吸入され、シールガスが供給されている状態となっている。
【0102】
これにより、吸気口21bから大気が吸入され、シールガス流路130からシールガスが供給されると、やがてタンク3の内圧pが第1圧力P1に到達する。すると、吸気弁23は、自重により吸気閉鎖位置に移動し、吸気口21bを閉鎖する。なお、この状態でも、タンク3の内圧pは、シールガス供給圧Ps以下であるので、引き続き、シールガスの供給が行われている。しかし、更にシールガスが供給されていることで、やがてタンク内3の内圧pは、正常圧力となり、前述した通り、シールガスの供給も停止される。
【0103】
次に、タンク3の内圧pが第2圧力P2よりも高い場合について説明する。
図4に示されるとおり、P2<pのときには、吸気弁23、及び、メインバルブ35aは、閉状態であり、排出弁73は、開状態である。
【0104】
この場合、主部10、吸気部20、及び、消炎部60の内圧も高くなっている。このとき、吸気部20では、吸気部20の内圧が高くなっていることから、吸気部20の内圧と自重とにより吸気弁23は、吸気閉鎖位置にとどまっており、吸気口21bは閉鎖されている。メインバルブ35aは、シールガス閉鎖位置に移動し、シールガス流路130を閉鎖している。
【0105】
消炎部60では、タンク3、主部10、吸気部20、及び、消炎部60の内圧が高くなっていることから、排出弁73が排出閉鎖位置から排出開放位置に向かって移動する。具体的には、排出弁73は、タンク3の内部の流体に押されて自重に抗って上昇する。なお、排出弁73、及び、排出弁シャフト74の合計の重量は、消炎部60の内圧が第2圧力P2以上になると自重に抗って上昇する重量に設定されている。
【0106】
従って、
図6に示されるとおり、タンク3内の流体は、タンク3内から、主流路110、消炎部出側開口61b、排出流路140を通って処理機構8に向かって排出される。即ち、排出弁機構72は、排出部70の内圧が第2圧力P2よりも高くなった場合には、主流路110と排出流路140とを連通させる。これにより、タンク3の内部から排出される流体を排出流路140から排出弁機構72の下流側へ排出することができる。
【0107】
タンク3内の流体は、排出弁機構72の下流側にある処理側開口端部71cから処理機構配管部82を通って貯留部81に貯留される。貯留部81に貯留された流体は、貯留部81で処理され、可燃性及び有害性のうち少なくとも一つが低減される。可燃性及び有害性のうち少なくとも一つが低減された流体は、処理機構本体80を通過して大気に排出される。流体が大気に排出される状態が継続すると、タンク3の内圧pは、やがて第2圧力P2以下になる。
【0108】
これにより、排出弁73は、自重により排出閉鎖位置に移動し、消炎部出側開口61bを閉鎖すし、タンク3の内圧pが正常圧力となる。このように、ブリザーバルブ4は、タンク3の内圧pを正常圧力に維持することができる。
【0109】
なお、排出弁機構72の下流側に排出される流体は、タンク3に内部から排出される流体が排出流路140を通って排出されている。タンク3の内部の流体は、前述したとおり、タンク3の内部の流体と当該流体が揮発してガス化した流体とを含むものである。このため、排出弁機構72の下流側に排出される流体も、タンク3の内部の流体と当該流体が揮発してガス化した流体とを含むものである。
【0110】
次に、ブリザーバルブ4の安全対策について説明する。
図7は、
図1の処理機構8からブリザーバルブ4へ向かって爆轟が発生した状態を示す概略図である。
【0111】
タンク3内から排出され、処理機構8の貯留部81に流入した流体は、何らかの原因で着火し、爆轟が生じる場合がある。可燃性の流体が着火することで爆発的な燃焼が生じた際に、発生した火炎の伝播速度が約2000m/sとなることがある。爆轟とは、この音速を超えた火炎によって衝撃波が発生する現象である。音速を超えない亜音速の火炎については爆燃とも呼ばれるが、ここでは爆轟及び爆燃共に爆轟と称することとする。
【0112】
図7では、貯留部81で発生した火炎と、それに基づく爆轟の伝播を矢印にて示している。爆轟での衝撃波は、貯留部81から処理機構配管部82を逆流し、排出部70へ流入する。衝撃波と共に高速な伝播速度で伝播する火炎は、開放された排出弁73からタンク3に向かって伝播する可能性がある。爆轟による衝撃波を伴う火炎がタンク3へ流入すると、タンク3内の貯留物に着火してしまう危険がある。
【0113】
本実施の形態1では、主部10と排出部70との間に、内部に逆火防止装置64が配置された消炎部60が設置されている。このことから、開放された排出弁73から消炎部60に火炎が伝播したとしても、消炎部60にて、火炎を消炎することができる。
【0114】
これにより、消炎部60よりも下流で火炎が発生しても、消炎部60によって火炎が消炎され、タンク3内部に火炎が到達することはない。
【0115】
逆火防止装置64の保守、及び、交換等の作業については、次のように実施することができる。まず、作業者は、ベントカバー固定具78によるベントカバー77の固定を解除し、ベントカバー77を排出部本体71から取り外す。
【0116】
ベントカバー77、及び、排出弁機構72が排出部本体71から取り除かれ、作業者は、排出部本体71の内部を通ってプレッシャーシート固定具65である複数のプレッシャーシート固定ボルトを目視することができる。プレッシャーシート63は、消炎部本体61の排出部70側の端部にプレッシャーシート固定具65によって着脱自在に取り付けられている。作業者は、複数のプレッシャーシート固定ボルトを取り外し、プレッシャーシート63を取り外すことができる。
【0117】
作業者は、取り外したプレッシャーシート63を排出部本体71の内部を通して取り出すことができる。これにより、作業者は、逆火防止装置64を直接目視により確認することができる。更に、作業者は、排出部本体71の内部を通して逆火防止装置64を取り出し、例えば、新しい逆火防止装置64を設置することができる。このように、逆火防止装置64は、排出部本体71からベントカバー77を取り外し、消炎部本体61からプレッシャーシート63を取り外した後に、消炎部本体61に対して着脱可能となっている。
【0118】
作業者は、逆火防止装置64、プレッシャーシート63、排出弁機構72、及び、ベントカバー77を元の通り取り付けることで、作業を終了することができる。
【0119】
実施の形態1におけるブリザーバルブ4によれば、流体を貯留するタンク3に連結され、タンク3の内圧を調整し、かつ、タンク3の内圧に基づいてタンク3にシールガスを供給することができる。また、タンク3に繋がる主流路110、主流路110から分岐する第1分岐流路111、及び、主流路110から分岐する第2分岐流路112を有する主部10と、第1分岐流路111から延びる吸気流路120を有する吸気部20と、第2分岐流路112から延びるシールガス流路130を有するシールガス圧力調整部30と、主流路110から延びる排出流路140を有する排出部70と、主流路110上に設けられた消炎部60と、を備えている。また、吸気部20は、吸気流路120を開放、又は、閉鎖することができる吸気弁機構22を有している。また、シールガス圧力調整部30は、シールガス流路130を開放、又は、閉鎖することができるシールガス弁機構35を有している。また、排出部70は、主流路110と排出流路140とを連通させ、又は、連通を遮断することができる排出弁機構72を有している。また、吸気弁機構22は、吸気流路120を開放することで外部から吸気流路120を通して吸入用流体をタンク3内に吸入することができる。また、シールガス弁機構35は、シールガス流路130を開放することで、シールガス供給源からシールガス流路130を介してシールガスをタンク3内に供給することがでる。また、排出弁機構72は、主流路110と排出流路140とを連通させることでタンク3の内部から排出される流体を排出流路140から排出弁機構72の下流側へ排出することができる。また、消炎部60は、消炎部60を通過しようとする火炎を消炎することができる。これにより、排出流路140に発生している火炎は、タンク3に伝播する前に消炎部60にて消炎される。従って、ブリザーバルブ4の下流側で発生した火炎に対する安全対策が施されたブリザーバルブ4を提供することができる。
【0120】
実施の形態1におけるブリザーバルブ4によれば、 消炎部60は、主部10のうち主流路110が第1分岐流路111に分岐する位置から排出流路140までの間であって、主部10のうち主流路110が第2分岐流路112に分岐する位置から排出流路140までの間に設けられている。これにより、主流路110と第1分岐流路111との分岐点よりも下流側、かつ、主流路110と第2分岐流路112との分岐点よりも下流側に消炎部60が設けられているため、作業者は、消炎部60の保守作業、及び、点検作業等の作業を容易に実施することができる。また、主流路110と第1分岐流路111との分岐点よりも下流側に消炎部60が設けられているため、消炎部60による吸気流路の圧力損失を受けることがなく、吸気弁機構が効率よく吸気流路を通して吸入用流体をタンク内に吸入することができる。
【0121】
実施の形態1におけるブリザーバルブ4によれば、消炎部60は、逆火防止装置64を有している。これにより、逆火防止装置64の消炎能力を更に向上することができる。また、これにより、消炎部60の保守作業である交換作業では、消炎部60に有されている逆火防止装置64を交換すればよい。従って、消炎部60の保守作業性を向上させることができる。
【0122】
実施の形態1におけるブリザーバルブ4によれば、消炎部60は、逆火防止装置64を支持している消炎部本体61と、消炎部本体61の排出部70側の端部に着脱自在に取り付けられているプレッシャーシート63と、を更に有している。また、排出部70は、排出部本体71と、排出部本体71に着脱自在に取り付けられ、排出弁機構72を支持するベントカバー77と、を更に有している。また、逆火防止装置64は、排出部本体71からベントカバー77を取り外し、消炎部本体61からプレッシャーシート63を取り外した後に、消炎部本体61に対して着脱可能となる。これにより、ベントカバー77及びプレッシャーシート63を順次取り外すことで逆火防止装置64を取り外すことができる。従って、作業者は、保守作業の一部である逆火防止装置64の交換作業を容易に実施することができる。
【0123】
実施の形態1におけるブリザーバルブ4によれば、タンク3の内圧pがシールガス供給圧Psを上回る場合では、シールガス弁機構35は、シールガス流路130を閉鎖する。また、タンク3の内圧pがシールガス供給圧Ps以下の場合では、シールガス弁機構35は、シールガス流路130を開放する。また、タンク3の内圧pが第1圧力P1以下の場合では、吸気弁機構22は、吸気流路120を開放し、排出弁機構72は、主流路110と排出流路140との連通を遮断する。また、タンク3の内圧pが第2圧力P2以上の場合では、吸気弁機構22は、吸気流路120を閉鎖し、排出弁機構72は、主流路110と排出流路140とを連通させ、第1圧力P1は、第2圧力P2よりも低い。また、シールガス供給圧Psは、第2圧力P2よりも低く、かつ、第1圧力P1よりも高い。これにより、ブリザーバルブ4は、タンク3の内圧pを適切に調整することができ、タンク3の好適な吸気、及び、排出システムを構築することができる。また、これにより、タンク3の内圧pが低下した場合には、優先的にシールガスがタンク3内に供給され、タンク3に貯留された流体の表面をシールガスでより確実に覆うことができる。また、これにより、吸気弁機構22、及び、シールガス弁機構35のいずれか一方が作動不能となった場合でも、ブリザーバルブ4は、吸気弁機構22、及び、シールガス弁機構35のいずれかが正常動作をすることで、タンク3の内圧pの低下に対応することができる。
【0124】
実施の形態1におけるブリザーバルブ4によれば、吸気弁機構22は、大気に押されることにより吸気流路120を開放する吸気弁23を有している。また、排出弁機構72は、タンク3の内部から排出される流体に押されることにより主流路110と排出流路140とを連通させる排出弁73を有している。これにより、吸気弁23、及び、排出弁73は、タンク3の内圧pにより機械的に動作し、タンク3の内圧pを調整することができる。従って、ブリザーバルブ4の故障の頻度を低減することができる。
【0125】
実施の形態1におけるガスシールタンクシステム1によれば、前述のブリザーバルブ4と、タンク3と、排出流路140に連結され、流入した流体の可燃性及び有害性のうち少なくとも一つを低減させる処理を実施する処理機構8と、を備えている。これにより、ブリザーバルブ4の下流側で発生した火炎に対する安全対策が施されたブリザーバルブ4を有するガスシールタンクシステム1を提供することができる。また、これにより、タンク3内の可燃性を備える流体の大気中への排出を低減することができ、脱炭素等の環境対策に貢献することができる。
【0126】
実施の形態2.
図8は、実施の形態2によるガスシールタンクシステム1を示す概略図である。実施の形態2では、シールガス圧力調整部30が、整流器45を有する点で、実施の形態1とは異なる。
【0127】
シールガス圧力調整部30は、整流器45を更に有している。整流器45は、シールガス供給側開口端部10dに接続されているシールガス接続配管33の開口端部に接続されている。シールガス接続配管33の端部がシールガス供給側開口端部10dに接続された状態では、整流器45が、主部10の内部に入り込んでいる。
【0128】
整流器45は、シールガス流路130上に配置されており、かつ、シールガス流路130と第2分岐流路112との境界に配置されている。シールガスは、シールガス接続配管33から整流器45を通って主部10に供給される。
【0129】
整流器45には、周知の機構を採用することができる。例えば、整流器45は、有底の中空円筒状で、円筒を形成する円筒壁部には複数のスリットが形成されていてもよい。
【0130】
具体的には、環状の複数の板材を、互いの間に隙間を有するように積層して固定することで、中空円筒状の中間成形物が成形される。更に、複数の板材が積層された中空円筒状の中間成形物において、その一方を開口端部とし、他方を閉鎖端部として、整流器45としてもよい。整流器45の開口端部には、配管接続用のねじ等を適宜設けてもよい。複数の板材のそれぞれの間に設けられた複数の隙間は、複数のスリットとなる。整流器45の一方の開口端部は、シールガス接続配管33に接続されてもよい。
【0131】
その他のガスシールタンクシステム1の構成は、実施の形態1のガスシールタンクシステム1の構成と同じであるため、説明を省略する。
【0132】
実施の形態2におけるブリザーバルブ4によれば、シールガス圧力調整部30は、シールガス流路130上であって、第2分岐流路112とシールガス流路130との境界に整流器45を更に有している。これにより、主部10内に大きな圧力変動を引き起こすことなく、シールガスを供給することができる。従って、シールガス供給時のタンク3の内圧変動が少なくなり、にシールガス弁機構35は、より安定して動作することができる。
【0133】
なお、本実施の形態1、又は、実施の形態2によるブリザーバルブ4では、吸気口21bから吸気部20に大気が吸入されている。しかし、これに限られたものではない。例えば、吸気部20が吸気用の流体を貯留する装置に接続されていてもよい。吸気用の流体として大気以外の適宜な流体を用いてもよい。
【0134】
なお、本実施の形態1、又は、実施の形態2によるブリザーバルブ4では、前述した構成を有するシールガス圧力調整部30を有している。しかし、これに限られたものではない。シールガス供給路からのシールガスの任意に実施、又は、停止できる構成であれば、シールガス圧力調整部30の機械的構成は適宜選択してもよい。
【0135】
また、本実施の形態1、又は、実施の形態2によるブリザーバルブ4において、タンク3と主部10との接続、及び、排出部70と処理機構8との接続には、フランジを用いている。しかし、これに限られたものではない。例えば、溶接による接続等周知な接続方法を用いることができる。
【0136】
また、本実施の形態1、又は、実施の形態2によるブリザーバルブ4において、排出部出側開口端部71bは、ベントカバー77によって閉鎖されている。しかし、これに限られたものではない。ベントカバー77に替えて、例えば、排出部出側開口端部71bを大気に対して開放できる開閉機構を設置してもよい。開閉機構としては、逆止弁等のバルブ、又は、シャッター等の周知な開閉機構を用いてもよい。
【0137】
また、本実施の形態1、又は、実施の形態2によるブリザーバルブ4は、開放弁である吸気弁23、及び、排出弁73を用いている。しかし、これに限られたものではない。例えば、吸気弁23、及び、排出弁73のそれぞれに替えてシャッター等の周知な開閉機構を用いてもよい。なお、吸気弁23、及び、排出弁73のそれぞれには、逆止弁を用いることが好ましい。
【0138】
また、本実施の形態1、又は、実施の形態2によるブリザーバルブ4は、個個別別の主部10、吸気部20、消炎部60、及び、排出部70が組み合わせられることで構成されている。しかし、これに限られたものではない。例えば、主部10と吸気部20、主部10と消炎部60、消炎部60と排出部70、又は、主部10、吸気部20、消炎部60、及び、排出部70を一体に形成してもよい。
【0139】
また、本実施の形態1、又は、実施の形態2によるブリザーバルブ4は、下流に処理機構8が連結されている。しかし、これに限られたものではない。例えば、処理機構8の変わりに異なる機能を有した機構を連結してもよい。さらに、例えば、ブリザーバルブ4の下流には、処理機構8、及び、その他の機構を連結しなくてもよい。本実施の形態1、又は、実施の形態2によるブリザーバルブ4は、排出部70からタンク3内の流体をタンク3、及び、ブリザーバルブ4の外部に直接排出してもよい。本実施の形態1、又は、実施の形態2によるブリザーバルブ4は、ブリザーバルブ4の下流に連結された機構での発火のみならず、ブリザーバルブ4の外部の延焼等から伝播された排出部70に発生した火炎についても対応することができる。
【0140】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0141】
(付記1)
流体を貯留するタンクに連結され、前記タンクの内圧を調整し、かつ、前記タンクの内圧に基づいて前記タンクにシールガスを供給することができるガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置であって、
前記タンクに繋がる主流路、前記主流路から分岐する第1分岐流路、及び、前記主流路から分岐する第2分岐流路を有する主部と、
前記第1分岐流路から延びる吸気流路を有する吸気部と、
前記第2分岐流路から延びるシールガス流路を有するシールガス圧力調整部と、
前記主流路から延びる排出流路を有する排出部と、
前記主流路上に設けられた消炎部と、
を備え、
前記吸気部は、前記吸気流路を開放、又は、閉鎖することができる吸気弁機構を有し、
前記シールガス圧力調整部は、前記シールガス流路を開放、又は、閉鎖することができるシールガス弁機構を有し、
前記排出部は、前記主流路と前記排出流路とを連通させ、又は、連通を遮断することができる排出弁機構を有し、
前記吸気弁機構は、前記吸気流路を開放することで外部から前記吸気流路を通して吸入用流体を前記タンク内に吸入することができ、
前記シールガス弁機構は、前記シールガス流路を開放することで、シールガス供給源から前記シールガス流路を介して前記シールガスを前記タンク内に供給することができ、
前記排出弁機構は、前記主流路と前記排出流路とを連通させることで前記タンクの内部から排出される前記流体を前記排出流路から前記排出弁機構の下流側へ排出することができ、
前記消炎部は、前記消炎部を通過しようとする火炎を消炎することができる、
ガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置。
(付記2)
前記消炎部は、前記主部のうち前記主流路が前記第1分岐流路に分岐する位置から前記排出流路までの間であって、前記主部のうち前記主流路が前記第2分岐流路に分岐する位置から前記排出流路までの間に設けられている、
付記1に記載のガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置。
(付記3)
前記消炎部は、逆火防止装置を有している、
付記1または付記2に記載のガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置。
(付記4)
前記消炎部は、前記逆火防止装置を支持している消炎部本体と、前記消炎部本体の前記排出部側の端部に着脱自在に取り付けられているプレッシャーシートと、を更に有し、
前記排出部は、排出部本体と、前記排出部本体に着脱自在に取り付けられ、前記排出弁機構を支持するベントカバーと、を更に有し、
前記逆火防止装置は、前記排出部本体から前記ベントカバーを取り外し、前記消炎部本体から前記プレッシャーシートを取り外した後に、前記消炎部本体に対して着脱可能となる、
付記1から付記3のいずれか一項に記載のガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置。
(付記5)
前記タンクの内圧がシールガス供給圧を上回る場合では、前記シールガス弁機構は、前記シールガス流路を閉鎖し、
前記タンクの内圧が前記シールガス供給圧以下の場合では、前記シールガス弁機構は、前記シールガス流路を開放し、
前記タンクの内圧が第1圧力以下の場合では、前記吸気弁機構は、前記吸気流路を開放し、前記排出弁機構は、前記主流路と前記排出流路との連通を遮断し、
前記タンクの内圧が第2圧力以上の場合では、前記吸気弁機構は、前記吸気流路を閉鎖し、前記排出弁機構は、前記主流路と前記排出流路とを連通させ、
前記第1圧力は、前記第2圧力よりも低く、
前記シールガス供給圧は、前記第2圧力よりも低く、かつ、前記第1圧力よりも高い、
付記1から付記4のいずれか一項に記載のガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置。
(付記6)
前記吸気弁機構は、前記吸入用流体に押されることにより前記吸気流路を開放する吸気弁を有しており、
前記排出弁機構は、前記タンクの内部から排出される前記流体に押されることにより前記主流路と前記排出流路とを連通させる排出弁を有している、
付記1から付記5のいずれか一項に記載のガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置。
(付記7)
前記シールガス圧力調整部は、前記シールガス流路上であって、前記第1分岐流路と前記シールガス流路との境界に整流器を更に有している、
付記1から付記7のいずれか一項に記載のガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置。
(付記8)
付記1から付記7のいずれか一項に記載のガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置と、
前記タンクと、
前記排出流路に連結され、流入した前記流体の可燃性及び有害性のうち少なくとも一つを低減させる処理を実施する処理機構と、
を備える、
ガスシールタンクシステム。
【符号の説明】
【0142】
1 ガスシールタンクシステム、3 タンク、3a 連結部、4 ブリザーバルブ(ガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置)、8 処理機構、10 主部、10a 入側開口端部、10b 出側開口端部、10c 吸気側開口端部、10d シールガス供給側開口端部、10e 制御配管用開口、20 吸気部、21 吸気部本体、21a 接続側開口端部、21b 吸気口、22 吸気弁機構、23 吸気弁、24 吸気弁シャフト、25 吸気弁ガイド、30 シールガス圧力調整部、31 シールガス圧力調整部本体、31a 本体入口、31b 本体出口、31c シールガス圧用開口、31g 第1圧力室、31h 第2圧力室、31j 第3圧力室、31k 連通通路、31m 第1バイパス、31n 第2バイパス、31o 第3バイパス、32 制御配管、33 シールガス接続配管、35 シールガス弁機構、35a メインバルブ、35b メインバルブシャフト、35c メインバルブ弾性部材、36 第1ダイヤフラム、37 第2ダイヤフラム、38 第3ダイヤフラム、38a 第3ダイヤフラム弾性部材、39 ニードル弁、40 パイロットバルブ本体、41 連結シャフト、44 減圧弁、45 整流器、60 消炎部、61 消炎部本体、61a 消炎部入側開口、61b 消炎部出側開口、62 消炎部カバー、63 プレッシャーシート、64 逆火防止装置、65 プレッシャーシート固定具、70 排出部、71 排出部本体、71a 排出部入側開口端部、71b 排出部出側開口端部、71c 処理側開口端部、72 排出弁機構、73 排出弁、74 排出弁シャフト、75 排出弁ガイド、77 ベントカバー、78 ベントカバー固定具、80 処理機構本体、81 貯留部、82 処理機構配管部、82a 処理機構フランジ、90 上流側フランジ、91 下流側フランジ、110 主流路、111 第1分岐流路、112 第2分岐流路、120 吸気流路、130 シールガス流路、140 排出流路、p 内圧、Ps シールガス供給圧、P1 第1圧力、P2 第2圧力。
【要約】 (修正有)
【課題】ブリザーバルブの下流側で発生した火炎に対する安全対策が施されたガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置、及び、ガスシールタンクシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】開示のガスシールタンク用タンク内圧力調整弁装置は、タンク3に繋がる主流路110、及び、主流路110から分岐する第1分岐流路111、及び、第2分岐流路112を有する主部10と、第1分岐流路111から延びる吸気流路120を有する吸気部20と、第2分岐流路112から延びるシールガス流路130を有するシールガス圧力調整部30と、主流路110から延びる排出流路を有する排出部70と、吸気弁機構22と、シールガス弁機構と、排出弁機構72と、主流路110上に設けられた消炎部60と、を備え、吸気弁機構22は、外部から吸入用流体を吸入することができ、消炎部60は、消炎部60を通過しようとする火炎を消炎することができる。
【選択図】
図1