(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】蝶番、蝶番付き扉、並びに、扉取付部構成部材
(51)【国際特許分類】
E05D 7/04 20060101AFI20231030BHJP
E05D 5/02 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
E05D7/04
E05D5/02
(21)【出願番号】P 2019180393
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2018189238
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000147442
【氏名又は名称】株式会社WEST inx
(73)【特許権者】
【識別番号】000145437
【氏名又は名称】株式会社ウッドワン
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】西 康雄
(72)【発明者】
【氏名】筒井 亮
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/161024(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3166852(JP,U)
【文献】特開平10-259681(JP,A)
【文献】特開2001-336334(JP,A)
【文献】特開2018-076713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D1/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉を構造物に取り付ける蝶番であって、
扉側に固定される扉側固定部と、
構造物側に固定される構造物側固定部と、
扉側固定部と構造物側固定部を連結する連結部を有し、
前記扉側固定部と構造物側固定部が対面する姿勢で、両固定部の間隔が変化するように両固定部の相対位置を変更する位置調整機構を前記連結部に設け、
前記連結部は、扉側固定部と一体の扉側構成部と、構造物側固定部と一体の構造物側構成部を有し、
前記扉側構成部と構造物側構成部が相対移動可能であり、
前記扉側構成部と構造物側構成部の一方が、扉側固定部又は構造物側固定部に対して水平軸周りに回転可能な回転体を構成しており、
扉側構成部と構造物側構成部の他方が、水平方向に揺動可能な揺動体を有し、
前記回転体と揺動体の一方が、渦巻状の突条又は渦巻状の溝を有し、
回転体と揺動体の他方が、前記渦巻状の突条又は渦巻状の溝と係合する突起を有し、
前記渦巻状の突条又は渦巻状の溝に沿って、前記突起が相対移動可能であることを特徴とする蝶番。
【請求項2】
請求項1に記載の蝶番の前記扉側固定部が固定されたことを特徴とする蝶番付き扉。
【請求項3】
構造物に一体化される扉取付部
構成部材であって、請求項1に記載の蝶番の前記構造物側固定部が固定されたことを特徴とする扉取付部構成部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉を家屋等の構造物に揺動可能に取り付ける蝶番に関するものである。特に本発明は、構造物側に固定する構造物側固定部と扉側に固定する扉側固定部を有し、これら両固定部の相対位置を調整可能な蝶番に関するものである。また、本発明は、このような蝶番を有する蝶番付き扉に関するものである。さらに、本発明は、このような蝶番を介して扉を構造物に取り付けるための扉取付部構成部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家屋等の構造物の出入口には、別途工場で製造された扉が取り付けられる。扉を構造物の適切な位置にいきなり配置するのは極めて困難であるため、従来、構造物に対する扉の取り付け位置を調整する機構が発案されている。
【0003】
すなわち作業者は、構造物の出入口に扉を仮に取り付けて扉を開閉し、出入口に対する扉の取り付け位置が適切か否かを確認する。そして、扉の位置が適切な位置からずれている場合には、そのずれを解消するように扉の取り付け位置を調整する。
【0004】
このように構造物に対する扉の取り付け位置を調整することができる蝶番が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている蝶番は、扉の上下方向の位置を調整する機構の他に、扉の前後方向の位置を調整する機構と、扉の左右方向の位置を調整する機構と、構造物の出入口の任意の位置で扉の取り付け位置を仮に固定することができるロック機構を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているような従来の蝶番では、扉を開いた状態で構造物に対する扉の取り付け位置を調整している。すなわち、扉の取り付け位置が適切か否かを確認するために扉を閉じ、位置が不適切であった場合には、再度扉を開き、取り付け位置を調整し、さらに扉を閉じるという手順を繰り返す。
そのため、構造物に対する扉の取り付け位置の調整は、扉の開閉動作を伴うものであり、取り付け位置を適切に調整するのに手間と時間が掛かっていた。
【0007】
そこで本発明は、構造物に対する扉の取り付け位置を速やかに調整することができる蝶番を提供することを課題としている。また、本発明は、このような蝶番を有する蝶番付き扉を提供することを課題としている。さらに、本発明は、このような蝶番を介して扉を構造物に取り付けるための扉取付部構成部材を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、 扉を構造物に取り付ける蝶番であって、扉側に固定される扉側固定部と、構造物側に固定される構造物側固定部と、扉側固定部と構造物側固定部を連結する連結部を有し、前記扉側固定部と構造物側固定部が対面する姿勢で、両固定部の間隔が変化するように両固定部の相対位置を変更する位置調整機構を前記連結部に設け、前記連結部は、扉側固定部と一体の扉側構成部と、構造物側固定部と一体の構造物側構成部を有し、前記扉側構成部と構造物側構成部が相対移動可能であり、前記扉側構成部と構造物側構成部の一方が、扉側固定部又は構造物側固定部に対して水平軸周りに回転可能な回転体を構成しており、扉側構成部と構造物側構成部の他方が、水平方向に揺動可能な揺動体を有し、前記回転体と揺動体の一方が、渦巻状の突条又は渦巻状の溝を有し、回転体と揺動体の他方が、前記渦巻状の突条又は渦巻状の溝と係合する突起を有し、前記渦巻状の突条又は渦巻状の溝に沿って、前記突起が相対移動可能である蝶番である。
【0009】
請求項1に記載の発明では、扉側固定部と構造物側固定部が対面する姿勢で、両固定部の間隔が変化するように両固定部の相対位置を変更する位置調整機構を前記連結部に設けたので、蝶番を閉じた状態で扉側固定部と構造物側固定部の相対位置を調整することができる。すなわち、扉を閉じた状態で扉の取り付け位置を調整することができる。そのため、扉を開閉しなくても扉の取り付け位置を適切に調整することができる。その結果、構造物に対する扉の取り付け位置を、容易に、且つ速やかに調整することができる。
ここで、扉側固定部と構造物側固定部が対面する姿勢とは、扉側固定部と構造物側固定部における連結部とは反対側の端部同士が近接する姿勢であり、蝶番が閉じた状態の姿勢を意味している。
【0010】
また、連結部は、扉側固定部と一体の扉側構成部と、構造物側固定部と一体の構造物側構成部を有し、扉側構成部と構造物側構成部が相対移動可能であるので、扉側構成部と構造物側構成部を相対移動させると、扉側固定部と構造物側固定部の相対位置が変化する。
【0011】
さらに、回転体が回転して、渦巻状の突条又は渦巻状の溝に沿って突起が相対移動すると、回転体と揺動体の水平方向の相対位置が変化する。すなわち、扉側固定部と構造物側固定部の水平方向の相対位置が変化する。
また、回転体と揺動体の係合は、渦巻状の突条又は渦巻状の溝と突起とで成されているため、一方向の直線的な外力が作用するだけでは、突条又は溝に沿って突起は相対移動しない。そのため、回転体と揺動体の水平方向の相対位置が不用意に変動することがない。すなわち、扉側固定部と構造物側固定部の水平方向の相対位置が不用意に変動しない。
換言すると、渦巻状の突条又は渦巻状の溝に沿って突起が相対移動するためには、両者の間に作用する抵抗に打ち勝つだけの大きさの力で回転体を回転させる必要がある。そのため、回転体は抵抗に打ち勝つ力が作用して初めて回転する。そして、回転体が回転すると、渦巻状の突条又は渦巻状の溝に沿って突起が相対移動し、扉側固定部と構造物側固定部が水平方向に相対移動して両者の相対位置が変化する。
【0012】
扉は、請求項1に記載の蝶番の扉側固定部が固定されていて、蝶番付き扉とするのが好ましい(請求項2)。
【0013】
構造物に一体化される扉取付部構成部材に、請求項1に記載の蝶番の構造物側固定部が固定されているのが好ましい(請求項3)。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、蝶番を閉じた状態で蝶番の扉側固定部と構造物側固定部の水平方向の相対位置を調整することができる。また、本発明によると、構造物側の扉取付部構成部材に対する扉の相対位置を、扉を閉じた状態で調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る蝶番で構造物に扉を取り付けた状態を示す斜視図であり、開扉状態を示す。
【
図2】本実施形態に係る蝶番で構造物に扉を取り付ける直前の状態を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る蝶番で構造物に扉を取り付けた状態を示す斜視図であり、閉扉状態を示す。
【
図4】本実施形態に係る蝶番の受け側ユニットの斜視図である。
【
図6】
図5とは異なる方向から見た
図4の受け側ユニットの分解斜視図である。
【
図7】位置調整部材の渦巻状の係合部が、埋込部材側の一対の突部と係合している状態を示す背面図であり、(a)~(c)は、一対の突部に対して係合部の異なる部位が係合している状態を示す。
【
図9】
図8において、着脱機構部の係合部材が筐体内に退入した状態を示す受け側ユニットの側面図である。
【
図10】ガイド部材が装着された状態の着脱機構部の斜視図である。
【
図11】着脱機構部からガイド部材を外した状態を示す斜視図である。
【
図12】
図11とは異なる方向から見た着脱機構部からガイド部材を外した状態を示す斜視図である。
【
図14】
図13の着脱機構部をさらに分解した分解斜視図である。
【
図15】
図14の着脱機構部をさらに分解した分解斜視図である。
【
図16】
図15とは異なる方向から見た
図14の着脱機構部をさらに分解した分解斜視図である。
【
図17】
図11の位置調整機構部のA-A断面図であり、係合部材が筐体から突出している状態を示す。
【
図18】
図17において、係合部材が筐体内に退入している状態を示す位置調整機構部の断面図である。
【
図19】本実施形態に係る蝶番の挿入側ユニットの斜視図であり、開扉時の一つの姿勢を示す。
【
図20】本実施形態に係る蝶番の挿入側ユニットの斜視図であり、閉扉時の姿勢を示す。
【
図21】
図20の姿勢の蝶番の挿入側ユニットにおいて、カバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図22】本実施形態に係る蝶番の挿入側ユニットを、固定ユニットと可動ユニットに分離した状態を示す斜視図である。
【
図23】本実施形態に係る蝶番の挿入側ユニットの分解斜視図である。
【
図24】
図23とは異なる方向から見た蝶番の挿入側ユニットの分解斜視図である。
【
図25】挿入側ユニットの可動ユニットの上側の支持部材を下方側から見た斜視図である。
【
図26】挿入側ユニットの可動ユニットの位置調整部材の背面図であり、位置調整部材の渦巻状の突条と、揺動ガイド部材の一対の突起が係合している状態を示し、(a)~(c)は、一対の突起に対して渦巻状の突条の異なる部位が係合している状態を示す。
【
図27】挿入側ユニットにおいて、可動ユニットの固定部と、可動ユニット内部の揺動ガイド部材及び軸芯と、可動ユニットの可動部を示す平面図であり、(a)、(b)は、固定部と可動部の相対位置が変化している状態を示す。
【
図28】挿入側ユニットにおける上下の支持部材と位置調整部材の関係を示す正面図である。
【
図29】本実施形態にかかる蝶番の受け側ユニットと挿入側ユニットが分離されている状態を示す斜視図である。
【
図30】本実施形態にかかる蝶番の受け側ユニットと挿入側ユニットが分離されている状態を示す平面図である。
【
図31】本実施形態にかかる蝶番の受け側ユニットと挿入側ユニットが結合した状態を示す斜視図である。
【
図32】構造物側に取り付けられた挿入側ユニットと、扉に装着された受け側ユニットが結合する直前の状態を示す平面視した断面図である。
【
図33】
図32に続き、挿入側ユニットと受け側ユニットが結合する途中の状態を示す平面視した断面図である。
【
図34】
図33に続き、挿入側ユニットと受け側ユニットが結合した状態を示す平面視した断面図である。
【
図35】蝶番を介して構造物に取り付けられた扉が、構造物の出入口を閉じた状態を示す平面視した断面図である。
【
図36】
図35に示す状態の扉を、構造物に対して左右方向の左方側に取り付け位置を調整した状態を示す平面視した断面図である。
【
図37】
図36に示す状態の扉を、構造物に対して前後方向の後方側に取り付け位置を調整した状態を示す平面視した断面図である。
【
図39】開扉時の蝶番の正面図であり、
図38に示す扉の前後方向の位置を調整した状態を示す。
【
図40】構造物と扉の斜視図であり、閉扉状態の蝶番からカバー部材を取り外した状態を示す。
【
図41】構造物に固定される枠を構成する扉取付部構成部材と扉が、蝶番を介して連結されており、扉が開いている状態を示す斜視図である。
【
図42】
図41において、扉取付部構成部材と扉が分離している状態を示す斜視図である。
【
図43】
図42において、扉取付部構成部材が解体された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る蝶番1について説明する。
図1に示すように、蝶番1は、受け側ユニット2と挿入側ユニット3を有する。本実施形態では、受け側ユニット2を扉4に装着し、挿入側ユニット3を家屋等の構造物5に装着している。すなわち、本実施形態では、受け側ユニット2が扉側ユニットを構成し、挿入側ユニット3が構造物側ユニットを構成している。逆に、受け側ユニット2を構造物5に装着して構造物側ユニットとし、挿入側ユニット3を扉4に装着して扉側ユニットとしてもよい。すなわち、扉4は、蝶番付き扉である。扉4は、蝶番1を中心に回動し、
図1に示す全開状態や、
図3に示す全閉状態に姿勢を変更することができる。
【0017】
図1に示すように、扉4を構造物5に取り付ける際には、受け側ユニット2を挿入側ユニット3に連結する。また、
図2に示すように、扉4を構造物5から取り外す際には、受け側ユニット2と挿入側ユニット3を離間させる。すなわち、蝶番1は、受け側ユニット2と挿入側ユニット3を着脱することにより、構造物5に対して扉4を着脱することができる。
【0018】
以下、受け側ユニット2と挿入側ユニット3の詳細な構造を説明し、続いて受け側ユニット2と挿入側ユニット3の着脱の仕方と、構造物5に対する扉4の取り付け位置の調整の仕方について順に説明する。
【0019】
図4乃至
図6に示すように、受け側ユニット2は、埋込部材6、化粧部材7、着脱機構部8を有している。
【0020】
埋込部材6は、細長い板状の部材の中央部分が全幅に渡って略コの字状に凹んだ形状を呈している。埋込部材6の中央の凹みは、収容部9を構成している。また、埋込部材6の上下方向の両側には、フランジ部10a、10bが設けられている。すなわち収容部9は、フランジ部10a、10bの間に形成されている。フランジ部10a、10bには、埋込部材6を構造物5に固定するための孔が設けられている。
【0021】
略コの字形の収容部9は、
図5、
図6に示すように、底壁部9aと起立壁部9b、9cを有している。起立壁部9bは、フランジ部10aと交差(直交)して連続している。また、起立壁部9cは、フランジ部10bと交差(直交)して連続している。起立壁部9b、9cは、離間して対向しており、両者は底壁部9aを介して連続している。
【0022】
底壁部9aは、フランジ部10a、10bと平行な四角形の板状の部位であり、起立壁部9b、9cと連続する辺と交差する両辺には、隆起部11a、11bが設けられている。隆起部11a、11bは、互いに平行であって、起立壁部9b、9cの起立方向と同方向に隆起している。また、隆起部11a、11bは、埋込部材6の幅方向の両側付近に設けられており、起立壁部9b、9cと直交する方向にのびるように形成されている。底壁部9aには、さらに、一対の突起12a、12bが設けられている、突起12a、12bは、所定の間隔を置いて起立壁部9b、9cの起立方向と同方向に突出している。
【0023】
受け側ユニット2の化粧部材7は、細長い板状の部材である。化粧部材7は、埋込部材6の幅と同等の幅を有している。化粧部材7の両端は、固定部7b、7cを構成しており、固定部7b、7cの間の部位が閉塞部7aを構成している。固定部7b、7cには、埋込部材6のフランジ部10a、10bに設けられた孔に対応する孔が設けられている。また、閉塞部7aには、幅方向に延びる長孔13(貫通孔)が設けられている。
固定部7b、7cと閉塞部7aは、同一面上で直線状に並んでいる。固定部7b、7cは、埋込部材6のフランジ部10a、10bと合致し、図示しないネジで扉4に固定される。
閉塞部7aは、埋込部材6の収容部9と共に空間44を形成する。すなわち閉塞部7aによって、収容部9の開口が閉塞されて空間44が形成されている。
【0024】
受け側ユニット2の着脱機構部8は、
図5、
図6、
図10乃至
図12に示すように、ガイド部材14a、14bと、位置調整機構部15を備えている。
【0025】
位置調整機構部15は、着脱機構部8の位置調整機能を発揮する部材であり、略四角柱形状の外形を呈する筐体16(
図11乃至
図16)を有している。
図11乃至
図16に示すように、筐体16は、本体16aと蓋体16bで構成されている。
本体16aは、略四角柱状の外形を有し、
図14、
図15に示すように、中央に配置部17が設けられている。配置部17は、本体16aを貫通する孔であり、一方の開口には内向きのフランジ部18が設けられている。また、
図14、
図15に示すように、配置部17には、一方の開口側から他方の開口側へのびる突条部19(凸部)が設けられている。
また、本体16aの配置部17の上下の位置には、ネジ穴20a、20bが設けられている。
【0026】
蓋体16bは、
図13乃至
図16に示すように板状の部材であり、本体16aの配置部17の一方の開口を閉じる機能を有する。
蓋体16bの中央には、係合孔21が設けられている。係合孔21は、バーリング加工されており、孔が立ち上がり加工されている。すなわち、係合孔21は、短い筒構造を呈している。
【0027】
係合孔21の上下の位置には、ネジ23a、23bを通す孔22a、22bが設けられている。孔22a、22bは、本体16aのネジ穴20a、20bと一致する。そして、ネジ23a、23bによって本体16aと蓋体16bを一体化することができる。
【0028】
本体16aの配置部17には、
図15、
図16に示す位置調整部材24、ばね25、係合部材26が配置されている。
【0029】
位置調整部材24は、環状の外周部27と、平板状の基部28と、軸部29と、渦巻状の係合部30を備えている。
【0030】
外周部27は、円筒構造を呈している。外周部27の外周面には、凹凸が設けられている。すなわち、外周部27の外周面には、凸部27aと凹部27bが周方向に交互に連続して設けられている。換言すると、隣接する凸部27a同士の間に凹部27bが形成されている。各凸部27aは、外周部27の軸方向にのびる突条である。凹部27bは、隣接する凸部27aに沿った溝である。凸部27aと凹部27bは、位置調整部材24の中心角が等角度間隔で連続している。
【0031】
基部28は、円板形状を呈する部位であり、円板の外周部分が外周部27と連続している。すなわち基部28は、外周部27で形成された筒状空間の開口の一方側を閉塞しており、位置調整部材24の底部(背面壁)を構成している。
【0032】
図15に示すように、基部28における環状の外周部27の内側の面には、軸部29が設けられている。軸部29の中心は、環状の外周部27の中心と一致している。軸部29の一端は、基部28に一体化されており、軸部29の自由端側の端部には、操作穴29aが設けられている。操作穴29aは、六角穴であり、六角レンチと係合することができる。
【0033】
図16に示すように、基部28における外周部27の外側の面には、係合部30が設けられている。係合部30は、渦巻状の突条であり、基部28の中心側から外周側に向かって渦を描いている。係合部30には閉塞部30aが設けられている。閉塞部30aは、係合部30の渦の外側の開口を閉じている。すなわち、係合部30の渦状の突条の内側と外側は遮断されている。
【0034】
係合部30は、渦状の突条であるため、係合部30の各部位から、基部28(位置調整部材24)の中心までの距離は相違している。すなわち、係合部30の各部位から基部28(位置調整部材24)の中心までの距離は一様ではなく、渦の中心側から外側へいくほど基部28の中心からの距離は長い。
【0035】
位置調整機構部15のばね25は、螺旋構造の圧縮ばねであり、軸部29(
図15)の周囲に外嵌するように配置されている。すなわち、ばね25の一端は基部28に当接している。また、ばね25の他端は、後述の係合部材26に当接している。
【0036】
位置調整機構部15の係合部材26は、内部に貫通孔43を有する筒状の部材である。係合部材26の一端側には外向きフランジ部26aが設けられており、他端側には内向きフランジ部26bが設けられている。貫通孔43の内径は、ばね25の外径よりは若干大きい。よって、貫通孔43内にはばね25を配置することができる。
【0037】
係合部材26の外向きフランジ部26aの外径は、位置調整部材24の外周部27の内径よりも若干小さい。すなわち、外向きフランジ部26aは、外周部27内で円滑に移動することができる。
【0038】
また、内向きフランジ部26bは、貫通孔43の他端側の開口43aを狭めている。すなわち、内向きフランジ部26bは、貫通孔43の開口43aの縁から半径方向内方へ環状に突出している。この内向きフランジ部26bには、前述のばね25の他端が当接している。
図15に示すように、内向きフランジ部26bの外側の面は、曲面を構成して丸みを帯びている。すなわち、内向きフランジ部26bの外面の、外周側から内周側にかけて滑らかな曲面が形成されている。換言すると、内向きのフランジ部26bの外面は、端へいくほど小径になるように滑らかに湾曲した曲面を構成している。
【0039】
さらに、筒状の係合部材26の外径は、蓋体16bの係合孔21にちょうど挿通可能な大きさである。すなわち、係合部材26は、蓋体16bの係合孔21から突出することができる。また、外向きフランジ部26aは、係合孔21の内径よりも大きい。
【0040】
以上説明した受け側ユニット2の位置調整機構部15の各部材同士は、次のように構成されている。
【0041】
本体16aの配置部17に位置調整部材24が配置されている。
図6、
図12に示すように、位置調整部材24の基部28(係合部30より外周側の部位)が、配置部17に設けられた内向きのフランジ部18に当接している。
【0042】
位置調整部材24の軸部29(
図15)にはばね25が外嵌しており、ばね25の一端が位置調整部材24の基部28に当接している。また、筒状の係合部材26が、ばね25に外嵌するように配置されている。すなわち、係合部材26の貫通孔43内には、位置調整部材24の軸部29とばね25が配置されている。係合部材26、軸部29、ばね25は、同芯状に配置されている。ばね25の他端は係合部材26の内向きフランジ部26bの内面に当接している。すなわち、ばね25は、基部28と係合部材26の内向きフランジ部26bの間に配置(縮設)されている。
【0043】
本体16aのネジ穴20a、20bと蓋体16bの孔22a、22bが一致しており、これらにネジ23a、23bが挿通されて本体16aと蓋体16bが一体化され、筐体16(支持体)が構成されている。すなわち、筐体16内に位置調整部材24(回転体)、ばね25、係合部材26が収容されている。そして、
図17に示すように、ばね25によって押圧された係合部材26が、蓋体16bの係合孔21から突出している。ばね25に付勢されて、係合部材26の外向きフランジ部26aが蓋体16bの係合孔21の外周部分に当接し、係合部材26は係合孔21から突出した状態で停止している。
【0044】
すなわち、位置調整部材24の係合部材26(係合部)が係合孔21を挿通しており、位置調整部材24の係合部30(渦巻状の突条)が埋込部材6の一対の突起12a、12bに係合している。よって、位置調整部材24の正面側と背面側の両側が支持されている。すなわち、位置調整部材24の正面側が蓋体16bの係合孔21によって支持されており、背面側が埋込部材6によって支持されている。筐体16(蓋体16b)は、埋込部材6(突起12a、12b)と共に位置調整部材24を回転可能に支持している。換言すると、位置調整部材24(回転体)は、筐体16及び埋込部材6(受け側ユニット2)に対して回転可能である。
【0045】
係合部材26は、ばね25の押圧力に抗して押圧されると、
図18に示すように、筐体16内に退入することができる。その際、係合部材26は、係合孔21の内壁に沿って真っ直ぐに移動することができる。ばね25は、圧縮された状態であり、係合部材26に対する外力がなくなると、ばね25は係合部材26を押し出し、係合部材26は
図17に示すように係合孔21から突出する。
【0046】
筐体16内の位置調整部材24(回転体)は、
図13に示すように、外周部27の凸部27a、凹部27bが、本体16aの突条部19と係合している。そのため、突条部19(凸部)によって、位置調整部材24の回転には節度が付与されている。位置調整部材24の外周部27と突条部19は常時係合している。
【0047】
位置調整機構部15の筐体16には、
図10乃至
図12に示すガイド部材14a、14bが外嵌している。
【0048】
ガイド部材14aは、中央壁部31a、上壁部32a、下壁部33a、中央当接部34a、上部当接部35a、下部当接部36aを有している。
【0049】
中央壁部31aは、
図10、
図11に示すように、筐体16の蓋体16bに当接する板状の部位である。中央壁部31aには、切欠部37aが設けられている。切欠部37aは、中央壁部31aの一方側の端部に形成された凹部である。
中央壁部31aの上部には、中央壁部31aと直交する上壁部32aが連続している。また、中央壁部31aの下部には、中央壁部31aと直交する下壁部33aが連続している。上壁部32aと下壁部33aは互いに離間して対向している。すなわち、中央壁部31a、上壁部32a、下壁部33aは、略コの字形を呈している。
【0050】
図11、
図12に示すように、上壁部32aには、上部当接部35aが設けられており、下壁部33aには、下部当接部36aが設けられている。上部当接部35aは、上壁部32aの他方側(切欠部37aが設けられた側とは反対側)の端部において、上壁部32aよりもさらに上方へ突出しており、下部当接部36aは、下壁部33aの他方側(切欠部37aが設けられた側とは反対側)の端部において、下壁部33aよりもさらに下方へ突出している。すなわち、上部当接部35aの真下の位置に下部当接部36aが設けられている。
【0051】
上部当接部35aには、上方に突出する係合突起38aが設けられている。図示していないが、下部当接部36aにも、係合突起38aと同様の突起が下方に突出するように設けられている。
【0052】
中央壁部31aには、中央当接部34aが設けられている。中央当接部34aは、中央壁部31aと直交しており、中央壁部31aの他方側(切欠部37aが設けられた側とは反対側)の端部から上壁部32a及び下壁部33aとは反対側へ突出している。中央当接部34aは、上部で上部当接部35aと連続しており、下部で下部当接部36aと連続している。すなわち、中央当接部34a、上部当接部35a、下部当接部36aは、同一の鉛直面内に配置されている。
【0053】
ガイド部材14aの切欠部37aの上部及び下部の端部には、それぞれフック部40a、40bが設けられている。
【0054】
ガイド部材14bは、ガイド部材14aと同様の構造を有している。すなわち、ガイド部材14bは、中央壁部31b、上壁部32b、下壁部33b、中央当接部34b、上部当接部35b、下部当接部36b、切欠部37b、フック部41a、41bを有しており、ガイド部材14aと略左右対称の関係にある。
【0055】
図10に示すように、ガイド部材14bの係合突起38bに、遮蔽部材39の係合凹部39aが係合し、ガイド部材14bの端部が遮蔽されている。すなわち、
図11に示す上壁部32b、中央壁部31b、下壁部33bで形成されたコの字形の凹部の端部がガイド部材14bで閉鎖されている。
【0056】
そして、ガイド部材14aとガイド部材14bは、位置調整機構部15(筐体16)の両側から互いに係合して一体化する。すなわち、ガイド部材14aのフック部40a、40bと、ガイド部材14bのフック部41a、41bが係合することにより、ガイド部材14a、14bは、互いに左右方向に離間不能になる。
【0057】
図10に示すように、ガイド部材14a、14bが一体化されると、ガイド部材14aの中央壁部31a、上壁部32a、下壁部33aと、ガイド部材14bの中央壁部31b、上壁部32b、下壁部33bが連続する。すなわち、中央壁部31a、31b、上壁部32a、32b、下壁部33a、33bによって、上下と一方の側方が仕切られた略コの字形の凹部42(受け部)が形成される。凹部42の一端は、遮蔽部材39によって閉塞されている。
【0058】
また、ガイド部材14a、14bが一体化されると、ガイド部材14aの切欠部37aと、ガイド部材14bの切欠部37bが連続し、全体として一つの貫通孔37が形成される。貫通孔37は、凹部42と連通している。
なお、本実施形態では、別体のガイド部材14a、14bを一体化する構造を採用したが、これらは一体構造の部材であっても差し支えない。
【0059】
着脱機構部8は、位置調整機構部15の筐体16が、ガイド部材14a、14bの中央当接部34a、34b(
図12)の間に配置された構造を有している。筐体16の蓋体16bが、中央壁部31a、31bと対面(接触)している。位置調整機構部15(筐体16)の幅は、中央当接部34a、34bの間隔よりも若干小さい。すなわち、位置調整機構部15(支持体である筐体16)は、対向する中央当接部34a、34bの間で、受け側ユニット2に対して相対移動が可能であり、位置調整機構部15の左右方向の移動は、中央当接部34a、34bによって規制されている。
【0060】
また、
図10に示すように、位置調整機構部15の係合部材26が、貫通孔37を貫通して凹部42に突出している。
【0061】
受け側ユニット2は、
図4乃至
図6に示すように、埋込部材6と化粧部材7の間に着脱機構部8を配置した構造を有している。すなわち、埋込部材6の収容部9に着脱機構部8の位置調整機構部15が配置されており、ガイド部材14a、14bの上部当接部35a、35bと下部当接部36a、36bが、埋込部材6の起立壁部9b、9c、及びフランジ部10a、10bの縁に近接又は当接している。すなわち、着脱機構部8(ガイド部材14a、14b)は、埋込部材6に対してほとんど自由度がない。
【0062】
また、位置調整機構部15(筐体16)の両側には、
図5に示す埋込部材6の隆起部11a、11bが配置されている。すなわち、位置調整機構部15は、隆起部11a、11bの間、及びガイド部材14a、14b(中央当接部34a、34b)の間で左右に移動することができる。
【0063】
着脱機構部8を埋込部材6の収容部9に配置すると、渦巻状の突条である係合部30の一部が、収容部9の底壁部9aの突起12a、12bの間に配置される。すなわち、
図7に示すように、突起12a、12bの間に係合部30が嵌まり(挟まり)、突起12a、12bと係合部30が係合する。そのため、位置調整部材24が回転すると、係合部30は、突起12a、12bの間を走行する。
【0064】
また、
図8に示すように、凹部42の断面視してコの字の開口部分は、化粧部材7の閉塞部7aによって閉塞されており、断面四角形の筒状の空間44が形成されている。空間44には、後述の挿入側ユニット3の挿入部56(
図2)を挿入可能である。なお、
図8では、遮蔽部材39の描写を省略している。
【0065】
受け側ユニット2の埋込部材6は、扉4(
図2)の端面に埋設されており、扉4に装着された埋込部材6に対して化粧部材7が固定(ネジ止め)されている。すなわち、受け側ユニット2は、化粧部材7が扉4の端面と同一面となるように扉4に装着されている。
【0066】
次に、蝶番1の挿入側ユニット3について説明する。
図1、
図2に示すように、挿入側ユニット3は、構造物5に一体化された固定部材45(扉取付部構成部材)にネジ止め等の固定手段によって固定されている。固定部材45は、金属等の剛性を有する素材で構成されている。固定部材45は、挿入側ユニット3を取り付ける取付面45aを有している。
【0067】
図19、
図20に示すように、挿入側ユニット3は、固定ユニット46と可動ユニット47を有している。すなわち、挿入側ユニット3は、固定ユニット46と可動ユニット47が連結された構造を呈している。
【0068】
図23に示すように、固定ユニット46は、固定部51、軸芯61、支持部材62a、62b、揺動ガイド部材64、蓋部材66a、66b等を有している。
【0069】
固定部51は、取付部51aと連結部51bを有している。
取付部51aは、板状の部位であり、ネジを通す複数の孔54が設けられている。取付部51aは、固定部51(挿入側ユニット3)における、
図1に示す構造物5に固定された固定部材45の取付面45aにネジ止めされる部位である。すなわち、取付部51aは、挿入側ユニット3における構造物側固定部を構成している。
連結部51bは、挿通部55a、55bを有している。
図23に示すように挿通部55a、55bは、筒形状を呈した部位であり、互いに上下の位置関係にある。すなわち、挿通部55a真下に間隔を置いて挿通部55bが設けられており、両者の中心は一致している。挿通部55a、55bは、板状の取付部51aの一方側の側辺に設けられている。すなわち、挿通部55a、55bは、取付部51aに対して片持ち状に一体化されている。
【0070】
軸芯61は、細長い円柱状の部材であり、鉛直姿勢で配置されている。
【0071】
支持部材62a、62bは円柱形状の外形を有している。支持部材62a、62bの外周には、弾性を有する環状部材71a、71bが取り巻いている。また、支持部材62a、62bには、軸芯支持部72a、72bが設けられている。
【0072】
軸芯支持部72a、72bは筒状であり、穴73a、73bを有する。ただし、図示の都合上、穴73aは描写していない。軸芯支持部72a、72bは支持部材62a、62bの中心に配置されている。軸芯支持部72aは、支持部材62aの下面に設けられており、下方に突出している。また、軸芯支持部72bは、支持部材62bの上面に設けられており、上方に突出している。すなわち、軸芯支持部72aの穴73aは下向きの有底穴であり、軸芯支持部72bの穴73bは上向きの有底穴である。
【0073】
揺動ガイド部材64(構造物側構成部、揺動体、位置調整機構)は、略直方体形状を呈する部材であり、縦長方向が鉛直方向を向くように配されている。揺動ガイド部材64には貫通孔64aが設けられている。貫通孔64aは、揺動ガイド部材64の上下方向に沿ってのびており、揺動ガイド部材64における上下両側の面に開口している。すなわち、貫通孔64aは、上下方向にのび、揺動ガイド部材64の上面と下面に開口している。
【0074】
揺動ガイド部材64の四つの側面のうちの比較的面積が大きい一方の側面76a(以下、正面壁76aと称する。)には、一対の突起77a、77bが設けられている。突起77a、77bは、正面壁76aの一端側に偏った位置に設けられている。
【0075】
また、正面壁76aの上部と下部には、それぞれ上部突起78a、下部突起78bが設けられている。上部突起78aは、正面壁76aの上端の縁に沿って形成されており、下部突起78bは、正面壁76aの下端の縁に沿って形成されている。上部突起78aと下部突起78bは上下に対向しており、両突起の対向面は湾曲している。すなわち、上部突起78a、下部突起78bの各対向面は、正面壁76aを正面視すると、共通の円の円周上に配置されており、同じ大きさの円弧を描いている。
【0076】
揺動ガイド部材64の正面壁76aの反対側の背面壁76bは、
図24に示すように平坦面である。
【0077】
蓋部材66a、66bは、挿入部74a、74bと、フランジ部75a、75bを有している。挿入部74a、74bは、固定部51の挿通部55a、55bに装着される部位である。フランジ部75a、75bは、挿通部55a、55bの外観を整える(美化する)ものであり、挿通部55a、55bの外径と同程度の外径を有する。
【0078】
以上説明した各部材は、次のように固定ユニット46を構成している。
【0079】
固定部51の挿通部55a、55bには支持部材62a、62bが装着されている。
すなわち、支持部材62a、62bは、挿通部55a、55bに圧入されており、環状部材71a、71bが、挿通部55a、55bの内周面に押圧されて、支持部材62a、62bが挿通部55a、55b内に固定されている。支持部材62a、62bの軸芯支持部72a、72b(穴73a、73b)は、互いに対向しており、穴73a、73bの中心は一致している。また、軸芯支持部72a、72bの間隔は、揺動ガイド部材64の上下方向の長さと略一致している。
【0080】
揺動ガイド部材64の貫通孔64aには軸芯61が挿通されている。軸芯61は、貫通孔64aにちょうど挿通される大きさの外径を有している。すなわち、揺動ガイド部材64と軸芯61は、水平方向にガタつくことがない。
【0081】
支持部材62aは軸芯61の上端を支持しており、支持部材62bは軸芯61の下端を支持している。すなわち、軸芯61の両端は、支持部材62a、62bで支持されており、軸芯61は鉛直姿勢を呈している。支持部材62a、62bに支持された軸芯61は、固定部51の挿通部55a、55bの中心と一致している。
【0082】
蓋部材66aは、固定部51の挿通部55aの上側の開口に装着されており、蓋部材66bは、挿通部55bの下側の開口に装着されている。すなわち、蓋部材66a、66bは、挿通部55aの上側の開口と、挿通部55bの下側の開口を閉じ、固定ユニット46の外観を整えている。
【0083】
次に、挿入側ユニット3の可動ユニット47について説明する。
図23に示すように、可動ユニット47は、可動部52、支持部材63a、63b、位置調整部材65、カバー60等を有している。
【0084】
可動部52は、四角形の板状の挿入部56と、筒状の挿通部57を有している。挿入部56の一辺が、挿通部57の側面と連続して一体化されている。
【0085】
挿入部56の横断面は、空間44(
図8)の横断面よりも若干小さい。すなわち、挿入部56は、空間44に挿通可能な横断面形状を有している。
【0086】
挿入部56には係合孔56aが設けられている。係合孔56aの内径は、着脱機構部8(
図5)の係合部材26の外径よりも若干大きい。また、係合孔56aは、挿入部56を空間44(
図8)に挿通した際に、係合部材26と一致して係合可能な位置に設けられている。
【0087】
挿通部57は、筒形状を呈する部位であり、挿入部56の一端と連続している。挿通部57の高さ寸法は、固定部51の挿通部55a、55bの間隔と略一致している。すなわち、挿通部57は、挿通部55a、55bの間にちょうど配置可能である。挿通部57は、上下方向に貫通する孔を有している。
【0088】
挿通部57の内部には、
図23、
図24に示すように、厚肉部58a、58bが形成されている。厚肉部58a、58bは、挿通部57の一方側の開口側から他方側の開口側へのびる平面85a、85bと、当該平面85a、85bと直交する平面86a、86bを有している。
【0089】
平面85a、85bは鉛直面であり、平面86a、86bは水平面である。平面86a(水平面)は、平面85a(鉛直面)の上下に連続して設けられている。同様に、平面86b(水平面)は、平面85b(鉛直面)の上下に設けられている。厚肉部58a、58bの平面85a、85bは、挿通部57内で互いに離間して対向している。また、平面86a、86bには、上下方向のネジ穴が設けられている。
【0090】
挿通部57の筒状の側壁57aには、孔59が設けられている。孔59は、側壁57a(厚肉部58b)を貫通して挿通部57内で厚肉部58bの鉛直の平面85b(
図24)に開口しており、その軸線(中心線)上には厚肉部58aの鉛直の平面85a(
図23)がある。孔59の軸線は、厚肉部58a、58bの平面85a、85b(鉛直面)と直交している。
【0091】
また、可動部52の挿通部57には、側壁57aの周囲を覆うカバー60が装着されている。カバー60は、自然状態で中心角が180度~360度(好ましくは200度~270度)程度の円弧状の横断面を有する湾曲した板状の部材である。カバー60は、弾性を有しており、接近した両端60a、60bの間隔を広げるように変形させることができる。すなわち、カバー60を側壁57aに対して着脱する際には、両端60a、60bの間隔を広げる。カバー60は、側壁57aの孔59を覆って隠すことができる。
【0092】
支持部材63aは、水平姿勢のガイド部67aと、鉛直姿勢の摺動部68a、69aを有している。
ガイド部67aは円板状を呈する部位であり、ガイド部67aの中央部分には長孔70aが設けられている。また、長孔70aの両側に一対の孔87a(貫通孔)が設けられている。
【0093】
摺動部68a、69aは、ガイド部67aと直交する平板状の部位である。換言すると、ガイド部67aは、支持部材63aのフランジを構成し、当該フランジに対して摺動部68a、69aが直交するように設けられている。すなわち、摺動部68a、69aの上端が、ガイド部67aの下面と一体化されている。
【0094】
摺動部68a、69aは、離間していて互いに平行である。摺動部68a、69aは、長孔70aの長径方向と平行であり、それぞれ長孔70aと孔87aの間に設けられている。摺動部68aは、摺動部69aよりもガイド部67aからの垂下長さが若干長い。また、摺動部69aの自由端には、両側から中央へいくほど凹む凹部89a(
図25)が形成されている。凹部89aの湾曲の中央部分には、突部79(
図25)が設けられている。突部79は、凹部89aの湾曲の半径方向内方に突出している。さらに、摺動部69aには孔88(
図25)が設けられている。孔88は、突部79の直上の位置に設けられている。すなわち、孔88が設けられたことによって、摺動部69aには薄肉部90が形成されている。突部79は、薄肉部90に設けられている。
【0095】
摺動部68a、69aの間の距離は、
図23、
図24に示す前述の揺動ガイド部材64の正面壁76a(上部突起78a及び下部突起78bの先端)から背面壁76bまでの長さと略一致している。すなわち、摺動部68a、69aの間には、揺動ガイド部材64をちょうど配置することができる。
【0096】
支持部材63bは、支持部材63aと同様の構造を有しており、向きは上下逆向きである。本実施形態では、下側の支持部材63bの凹部89b(
図23)には、上側の支持部材63aの凹部89aの突部79(
図25)に相当する突起は設けられていない。また、下側の支持部材63bの凹部89bには、上側の支持部材63aの孔88(
図25)に相当する孔も設けられていない。各図では、支持部材63bにおける支持部材63aと同様の構成には同じ番号を付し、当該番号の末尾には「a」の代わりに「b」を付した。ここでは、支持部材63bについて重複する説明は省略する。
【0097】
位置調整部材65(扉側構成部)は、正面と背面と外周面を有する肉厚のある円板状の部材である。位置調整部材65の円形の外周面には凹凸80が形成されている。凹凸80は、等間隔の凸部と凹部が滑らかに連続した構造を有する。
【0098】
また、位置調整部材65の正面(一方側の面)の中心には筒状の操作部81が設けられている。すなわち、操作部81は、位置調整部材65の中心部から軸芯方向にのびて筒形状を呈する部位である。操作部81の筒の内部には係合穴81aが設けられている。係合穴81aは、工具と係合する横断面形状(開口形状)を有する。例えば、工具が六角レンチの場合には、係合穴81aは六角穴である。
【0099】
さらに、位置調整部材65の背面(他方側の面)には、
図24に示すように、渦巻状の突条82が設けられている。突条82は、位置調整部材65の背面の内周側から外周側へいくほど徐々に中心からの距離が大きくなっている。突条82のライン幅(渦を描く線の幅)は一様であり、前述の揺動ガイド部材64の突起77a、77bの間隔と略一致している。すなわち、
図26(a)に示すように、揺動ガイド部材64の突起77a、77b(
図23)の間に、位置調整部材65の突条82が挟まれた状態を維持しながら、位置調整部材65を回転させることができる。そして、揺動ガイド部材64と位置調整部材65は、前述の着脱機構部8に設けられた位置調整部材24による調整方向(扉4の前後方向)とは交差(直交)する方向(扉4の左右方向)に調整する交差方向調整機構を構成している。
【0100】
次に、可動ユニット47の組立構造について説明する。
可動部52の挿通部57(連結部)内には、揺動ガイド部材64(構造物側構成部、揺動体、位置調整機構)が配置されている。
図22は、挿通部57内の揺動ガイド部材64を抜き出した状態を示している。揺動ガイド部材64の貫通孔64aには軸芯61が挿通されている。軸芯61は、揺動ガイド部材64の上下の両側に突出している。
【0101】
図22に示すように、挿通部57の上側の開口には支持部材63aが嵌め込まれている。
図23に示す支持部材63aの摺動部68aは、挿通部57内の厚肉部58aの平面85a(鉛直面)に当接しており、摺動部69aは厚肉部58bの平面85b(
図24)に当接している。また、厚肉部58a、58bの上側の平面86a、86bにガイド部67aの下面が当接しており、ガイド部67aが厚肉部58a、58b(可動部52)にネジ83で固定されている。
【0102】
同様に、挿通部57の下側の開口には支持部材63bが嵌め込まれている。厚肉部58a、58bの下側の平面86a、86bにガイド部67bの上面が当接しており、ガイド部67bが厚肉部58a、58b(可動部52)にネジ84で固定されている。
【0103】
支持部材63a、63bの摺動部68a、68bは、厚肉部58aの鉛直面(平面85a)に沿っていて、同一の鉛直面内に配置されており、
図27(a)に示すように、摺動部68a、68bと揺動ガイド部材64の背面壁76bが接触(当接)している。同様に、支持部材63a、63bの摺動部69a、69bは、厚肉部58bの鉛直面(平面85b)に沿っていて、同一の鉛直面内に配置されており、摺動部69a、69bと揺動ガイド部材64の正面壁76aの上部突起78a及び下部突起78bが接触(当接)している。
【0104】
図27(a)に示すように、揺動ガイド部材64の上部(正面壁76aの上部突起78aと背面壁76bの上部)は、支持部材63aの摺動部68aと摺動部69aの間に配置されている。揺動ガイド部材64の下部(正面壁76aの下部突起78bと背面壁76bの下部)は、支持部材63bの摺動部68bと摺動部69bの間に配置されている。
【0105】
軸芯61は、支持部材63aの長孔70aと、支持部材63bの長孔70bを貫通しており、長孔70a、70bに沿って長孔70a、70b(
図22乃至
図24)の長径方向に往復移動が可能である。
【0106】
軸芯61の上端は、支持部材62aの
図22に示す軸芯支持部72aの穴73aに挿通されている。すなわち、軸芯61の上端は、支持部材62aで支持されている。支持部材62aは、固定部51の連結部51bの挿通部55a内に圧入されている。同様に、軸芯61の下端は、支持部材62bの
図22に示す軸芯支持部72bの穴73bに挿通されている。すなわち、軸芯61の下端は、支持部材62bで支持されている。支持部材62bは、固定部51の連結部51bの挿通部55b内に圧入されている。すなわち、軸芯61の上下の両端部が、固定部51側に支持されている。
よって、揺動ガイド部材64を上下に貫通した軸芯61の上下の両端は、軸芯支持部72a、72bによって支持されている。
【0107】
また、
図27(a)に示すように、揺動ガイド部材64の幅(正面壁76a及び背面壁76bの水平方向長さ)は、挿通部57の内径(厚肉部58a、58bの存在しない部分の内径)よりも小さい。長孔70a、70b(
図22)の長径方向と、正面壁76a及び背面壁76bの水平方向は一致している。
【0108】
図28に示すように、支持部材63a、63bの凹部89a、89bは、位置調整部材65の外周部分(凹凸80)に沿っており、凹部89a、89bと凹凸80の間には隙間が形成されている。また、凹部89aの中央に設けられた突部79は、位置調整部材65の凹凸80と係合している。
【0109】
図21、
図22に示すように、可動部52の挿通部57の孔59と、位置調整部材65(扉側構成部)の操作部81は一致している。すなわち、筒状の操作部81は、孔59の外側に突出していないが、係合穴81aに外部から孔59を介してアクセス可能である。普段は、孔59は、カバー60で覆われている。すなわち、
図20に示すように、挿通部57の外周部分には、カバー60が着脱可能に装着されている。よって、蝶番1の外観は、カバー60で美観が保たれている。
【0110】
位置調整部材65(扉側構成部)の正面側の操作部81(
図21、
図23)は、可動部52(挿通部57)の孔59で支持されている。また、位置調整部材65(扉側構成部)の背面側の渦巻状の突条82(
図24、
図26)が、揺動ガイド部材64(構造物側構成部)の一対の突起77a、77b(
図22、
図23)に係合している。すなわち、位置調整部材65の背面側は、揺動ガイド部材64によって支持されている。よって、位置調整部材65の正面側と背面側が、挿通部57(連結部)内で支持されている。
【0111】
位置調整部材65は、揺動ガイド部材64と共に固定ユニット46(
図23)に対して、可動ユニット47(
図23)を扉の左右方向(チリ方向)の位置を調整する機能を発揮することができる。
すなわち、位置調整部材65と揺動ガイド部材64は、位置調整機構部15が受け側ユニット2に対して挿入側ユニット3の位置を調整する方向と直交する方向の位置を調整する交差方向調整機構を構成している。
【0112】
図21に示すように、挿通部57が、挿通部55a、55bの間に配置されている。挿通部57の上下寸法は、挿通部55a、55bの間隔と略一致している。すなわち、挿通部57は、挿通部55a、55bの間にちょうど配置することができる。
【0113】
挿通部55aの上側の開口には蓋部材66aが装着されている。また、挿通部55bの下側の開口には蓋部材66bが装着されている。蓋部材66a、66bは、化粧部材として機能する。
【0114】
図23に示す可動ユニット47は、固定ユニット46の軸芯61(
図22)を中心に回動することができる。すなわち、軸芯61(
図22)を中心に回動して、挿入側ユニット3は、
図19に示すような姿勢や、
図20に示すような姿勢を呈することができる。
【0115】
蝶番1の挿入側ユニット3は、以上説明したように構成されている。
【0116】
次に、受け側ユニット2と挿入側ユニット3の着脱の仕方と、両ユニット2、3の相対位置の調整の仕方について説明する。
【0117】
図29、
図30に示すように、受け側ユニット2に挿入側ユニット3を対向させる。すなわち、
図29、
図30に示す受け側ユニット2と挿入側ユニット3は、結合する直前の状態であると共に、分離した直後の状態でもある。
【0118】
図31に示すように、受け側ユニット2の空間44に挿入側ユニット3の挿入部56を挿入する。
図31に示す状態では、受け側ユニット2の空間44内に挿入側ユニット3の挿入部56が挿入され、空間44内に突出していた
図8に示す着脱機構部8の係合部材26が、
図9に示すように筐体16(支持体)の内部に押し込められる。
【0119】
すなわち、
図17に示すように着脱機構部8の係合部材26は、ばね25の付勢力によって筐体16の外部に突出し、
図8に示すように係合部材26の先端部分が空間44内に配置されている。そして、空間44に挿入側ユニット3の挿入部56が挿入されると、係合部材26の先端部分は挿入部56と当接する。係合部材26は、
図18に示すようにばね25の付勢力に抗して筐体16内に押し込められ、空間44(
図9)から退避する。
【0120】
すなわち、係合部材26の先端部分(内向きのフランジ部26bの外面)は丸みを帯びており、また、挿入部56の先端部分は、
図29、
図30に示すように傾斜面56bが設けられていて先細り形状を呈している。そのため挿入部56は、係合部材26を筐体16側へ押圧しながら空間44内に進入することができる。
【0121】
挿入部56が空間44内に進入し、係合孔56aが係合部材26の位置に達すると、係合部材26を筐体16内に押し込めていた力がなくなり、ばね25の付勢力によって係合部材26が筐体16から突出して係合孔56aに嵌まる。その結果、挿入部56は空間44内で固定される。すなわち、受け側ユニット2と挿入側ユニット3が固定される。
図31に示す状態では、係合孔56a(
図29)に係合部材26(
図8)が嵌まっており、両ユニット2、3は互いに離反不能である。
【0122】
このとき、挿入部56は、扉4側に固着された受け側ユニット2(扉側ユニット)と一体化されており、挿入側ユニット3における扉側固定部を構成している。すなわち、挿入部56と一体化された受け側ユニット2が扉側固定部を構成している。説明の都合上、ここでは、挿入部56を扉側固定部とする。また、前述のように、挿入側ユニット3における固定部51の取付部51aが構造物側固定部を構成している。さらに、挿入側ユニット3における可動部52の挿通部57が、連結部を構成している。
【0123】
一方、空間44は、
図4に示す受け側ユニット2の化粧部材7の長孔13を介して外部と連通している。そのため、長孔13を介して係合部材26にアクセスすることができる。すなわち、長孔13を介して、細長い工具(例えばドライバ等)で係合部材26を押圧し、係合部材26を空間44から退避させることができる。よって、係合部材26を空間44から退避するように図示しない工具で押圧すると、係合部材26と挿入部56の係合孔56aの係合が外れ、挿入部56は空間44内を移動できるようになる。換言すると、係合部材26に特定の外力を作用させた場合にのみ係合部材26(係合部)と係合孔56a(挿入部)の係合が解除されて、受け側ユニット2と挿入側ユニット3が相対移動可能になり、両者は
図29に示すように分離することができる。
【0124】
よって、蝶番1は、空間44に挿入部56を挿入するだけで受け側ユニット2と挿入側ユニット3を一体化することができると共に、細長い工具(図示せず)等を使用して係合部材26を押し込むと、両ユニット2、3を分離することができる。
【0125】
次に、受け側ユニット2に対する挿入側ユニット3の取り付け位置の調整の仕方について説明する。
まず、受け側ユニット2に対する挿入側ユニット3の位置を、受け側ユニット2の幅方向に調整する方法について説明し、続いて、挿入側ユニット3を当該幅方向と直交する方向(水平面内)に調整する方法について説明する。
挿入側ユニット3を受け側ユニット2の幅方向に調整する際には、
図38に示すように蝶番1を開いた状態にして、受け側ユニット2の化粧部材7の長孔13を介して位置調整機構部15(
図5)を操作する。
また、受け側ユニット2の幅方向と直交する方向に調整する際には、
図31に示すように蝶番1を閉じた状態にして、カバー60を外して位置調整部材65(
図21)を操作する。
【0126】
受け側ユニット2内には、
図5に示す位置調整機構部15が配置されている。位置調整機構部15は、埋込部材6及び化粧部材7に対して埋込部材6及び化粧部材7の幅方向に移動可能である。位置調整機構部15の移動範囲は、ガイド部材14a、14bと位置調整機構部15の幅方向のクリアランスと一致しており、隆起部11a、11b(
図5)の間隔と位置調整機構部15のクリアランスとも一致している。
【0127】
位置調整機構部15は、
図11に示すように筐体16と係合部材26を有し、これらは一体化されている。係合部材26の先端部分は、空間44(
図8、
図29)に突出しており、空間44に挿入側ユニット3側の挿入部56(
図29)が挿入され、係合部材26と挿入部56の係合孔56aが係合すると、位置調整機構部15と挿入側ユニット3が一体化する。
【0128】
受け側ユニット2内の位置調整機構部15と挿入側ユニット3が一体化されているため、受け側ユニット2内で位置調整機構部15が移動すると、受け側ユニット2に対して挿入側ユニット3が移動する。すなわち、受け側ユニット2に対する挿入側ユニット3の位置が変化する。
【0129】
位置調整機構部15の位置調整部材24の渦巻状の係合部30(
図6、
図7)が、受け側ユニット2の埋込部材6に設けた突起12a、12b(
図5、
図7)の間に嵌め込まれている。
図4、
図15、
図17に示すように、位置調整部材24の軸部29は係合部材26の内部に配置されており、係合部材26の開口43aを介して外部から位置調整部材24の操作穴29aにアクセスすることができる。すなわち、操作穴29aは六角穴であり、係合部材26の外部から開口43aを介して操作穴29aに六角レンチを差し込み、位置調整部材24を回転操作することができる。
【0130】
位置調整部材24が回転すると、埋込部材6の一対の突起12a、12bに対して位置調整部材24の渦巻状の係合部30が移動する。そのため、一対の突起12a、12bに対する渦巻状の係合部30の係合部位が、渦の外側から内側、又は内側から外側に移動する。
【0131】
その結果、位置調整機構部15(挿入側ユニット3側)が、受け側ユニット2に対して相対移動し、受け側ユニット2に対する挿入側ユニット3の水平面内における所定方向(受け側ユニット2の幅方向)の位置が変化する。すなわち、受け側ユニット2に対する挿入側ユニット3の位置が調整される。
【0132】
次に、挿入側ユニット3の位置を受け側ユニット2の幅方向と直交する方向(水平面内)に調整する方法について説明する。
【0133】
図20に示すように、挿入側ユニット3を取付部51aと挿入部56が対面する姿勢にする。ここで、「取付部51aと挿入部56が対面する姿勢」とは、取付部51a(構造物側固定部)と挿入部56(扉側固定部)における軸芯61(挿通部57側)とは反対側の端部同士が近接する姿勢であり、挿入側ユニット3(蝶番1)が閉じた状態の姿勢を意味している。挿入側ユニット3と受け側ユニット2が連結された状態においては、
図31に示すように、取付部51aと化粧部材7が対面する姿勢である。すなわち、このときの姿勢は、蝶番1が構造物5と扉4に取り付けられた状態(
図35)では、扉4が構造物5の出入口を閉じたときの挿入側ユニット3(蝶番1)の姿勢である。
【0134】
そして、カバー60を、
図21に示すように挿通部57から取外し、挿通部57の孔59を露出させる。カバー60を外すと、位置調整部材65の操作部81の係合穴81aが孔59を介して露出し、外部から係合穴81aにアクセスすることができるようになる。係合穴81aは、例えば六角穴であり、六角レンチを挿通すると、位置調整部材65を回転操作することができる。すなわち、位置調整部材65は、水平軸周りに回転可能な回転体を構成している。
【0135】
挿入側ユニット3の固定部51と可動部52は、
図27(a)、(b)に示すように、互いに相対移動が可能である。また、揺動ガイド部材64は、固定部51と一体化されている。そして、揺動ガイド部材64の一対の突起77a、77bと、可動部52側の位置調整部材65の渦巻状の突条82(
図24)が、
図26に示すように係合している。
【0136】
そのため、位置調整部材65が回転すると、一対の突起77a、77bに対する突条82の係合する部位が変化する。すなわち、突条82の渦のどの部位が突起77a、77bと係合するかによって、固定部51側の揺動ガイド部材64と可動部52側の位置調整部材65の位置関係が、
図26(a)乃至
図26(c)に示すように変化する。よって、揺動ガイド部材64と位置調整部材65は、水平方向に相対的に揺動可能である。
【0137】
位置調整部材65の係合穴81aに工具(六角レンチ)を挿入し、位置調整部材65を回転させると、
図27(a)、
図27(b)に示すように、固定部51に対して可動部52が水平方向に移動する。すなわち、
図27(a)では、可動部52は固定部51に対して比較的接近した位置にあり、
図27(b)では、可動部52は固定部51に対して比較的離れた位置にある。この移動方向は、
図6に示す位置調整機構部15による受け側ユニット2に対する挿入側ユニット3の調整方向と直交する方向である。
【0138】
位置調整部材65が回転する際には、位置調整部材65の渦巻状の突条82が、揺動ガイド部材64の突起77a、77bから抵抗を受ける。そのため、位置調整部材65は、所定以上の大きさの回転力が付与されなければ回転しない。すなわち、位置調整部材65は不用意に回転することがない。換言すると、受け側ユニット2に対する挿入側ユニット3の相対位置は維持され易く、変動しにくい。
【0139】
次に、構造物5に扉4を取り付ける方法について説明する。
【0140】
図1に示すように、構造物5には固定部材45が固定されており、固定部材45が構造物5の一部を構成している。固定部材45は金属等の剛性を有する素材で構成されている。固定部材45は、構造物5の出入口である開口に設けられている。固定部材45には取付面45aが設けられており、
図2に示すように、取付面45aに蝶番1の挿入側ユニット3が埋設されている。そして、挿入側ユニット3の取付部51aは、構造物5の取付面45aと同一面内に配置されている。
【0141】
また、扉4の縁部分には、蝶番1の受け側ユニット2が固定されている。
図1、
図2に示すように、受け側ユニット2の化粧部材7が、扉4の端面と一致している。
図2に示すように、受け側ユニット2の空間44が扉4の外部に開口している。
【0142】
そして、扉4に固定した受け側ユニット2の空間44に、構造物5側に固定した挿入側ユニット3の挿入部56を挿入し、前述のように両ユニット2、3を結合すると、構造物5に対して扉4をワンタッチで取り付けることができる。
【0143】
図32に示すように、挿入部56の先端には傾斜面56bが設けられており、挿入部56の先端は先細りしている。また、係合部材26の先端部分は空間44を仕切る化粧部材7に至っておらず、空間44の中央付近まで突出している。さらに、係合部材26の先端部分は丸みを帯びている。そのため、挿入部56が空間44に進入すると、傾斜面56bは係合部材26の丸みを帯びた先端部分に当接し、係合部材26は、
図33に示すように空間44から退避し、筐体16内に収容される。そして、挿入部56は空間44内を進行し、係合孔56aが係合部材26の位置までくると、
図34に示すように、係合部材26がばね25の弾性力によって元の位置に復帰して係合孔56aに嵌まる(係合する)。この状態では、受け側ユニット2と挿入側ユニット3が結合して蝶番1が構成されている。すなわち、構造物5に対して扉4が蝶番1によって回動可能に取り付けられている。構造物5に扉4を取り付け後、蝶番1を中心に扉4を回動すると、
図3に示すように、扉4によって構造物5の出入口(開口)を閉じることができる。
【0144】
次に、構造物5に取り付けられた扉4の取り付け位置の調整の仕方について説明する。すなわち、扉4が、構造物5の出入口(開口)を確実に開閉することができ、確実に施錠できるように、構造物5に対する扉4の取り付け位置を調整する。ただし、本実施形態では、錠設備(錠箱、戸当り等)の図示や説明は省略している。
【0145】
構造物5に対する扉4の取り付け位置が適切ではない場合には、蝶番1の位置調整機構部15(
図4)や位置調整部材65(
図21)を操作し、構造物5に対して扉4が適切な位置にくるように取り付け位置を調整する。
【0146】
図35は、構造物5(固定部材45)に対して扉4を取り付け、取り付け位置の調整を行わずに扉4を閉じた状態の一例を示している。本実施形態では、
図35に示す方向を前後方向及び左右方向と定義する。すなわち、室内側から室外側へ向かう方向を前方とし、その逆を後方とする。また、室内側から見て扉4の左側を左方とし、右側を右方とする。
【0147】
図35に示す位置にある扉4の取り付け位置を、後方で且つ左方に調整する場合について説明する。最初に扉4の取り付け位置を左方に移動させる操作について説明し、続いて後方に移動させる操作についてする。
【0148】
構造物5に対して扉4の取り付け位置を左右方向(チリ方向)に調整する場合には、
図40に示すように扉4を閉じ、カバー60を取り外し、挿通部57の側壁57aを露出させる。
図21に示すように側壁57aには孔59が設けられており、孔59を介して挿通部57の内部の位置調整部材65の操作部81の係合穴81aが露出している。
【0149】
図40に示す閉扉状態で、係合穴81aに工具(六角レンチ)を差し込み、位置調整部材65(
図23、
図26)を回転させると、位置調整部材65の背面側の渦巻状の突条82(
図24、
図26)が回転する。その結果、突条82と係合した揺動ガイド部材64の一対の突起77a、77b(
図23、
図26)が、位置調整部材65の半径方向に移動する。すなわち、
図26(a)~(c)に示すように、突条82における突起77a、77bと係合する部位が変化する。
図26(a)に示す状態では、突起77a、77bは、位置調整部材65の比較的外周側に位置しており、
図26(b)に示す状態では、
図26(a)の状態よりも内周側に位置しており、
図26(c)に示す状態では、
図26(b)の状態よりもさらに内周側に位置している。
【0150】
よって、位置調整部材65が回転すると、位置調整部材65(
図22に示す挿入側ユニット3の可動ユニット47)と、揺動ガイド部材64(
図22に示す挿入側ユニット3の固定ユニット46)の水平方向の位置関係が変化する。この位置関係の変化する方向は、
図7(a)~(c)に示す位置調整部材24と突起12a、12bの位置関係の変化する方向(水平方向)と直交している。
【0151】
図26(a)~
図26(c)に示すように位置調整部材65と突起77a、77bが相対移動すると、
図27(a)、
図27(b)に示すように、挿入側ユニット3の固定部51と可動部52の位置関係が変化する。
【0152】
位置調整部材65は、可動部52と一体化されており、揺動ガイド部材64は軸芯61を介して固定部51と一体化されている。よって、位置調整部材65と突起77a、77b(揺動ガイド部材64)が相対移動すると、
図23に示す挿入側ユニット3の挿入部56(扉側固定部)と固定部51の取付部51a(構造物側固定部)が相対移動する。
【0153】
本実施形態では、挿通部57の側壁57aに設けた孔59に位置調整部材65の操作部81が挿通されており、位置調整部材65は、挿通部57に対して水平方向及び鉛直方向に移動せず、挿通部57(側壁57a)に対する回転のみが可能である。また、位置調整部材65が回転(右回り及び左回り)すると、揺動ガイド部材64(突起77a、77b)は、渦巻状の突条82に押圧されて水平方向に所定の範囲内で往復移動する。すなわち、揺動ガイド部材64は、水平方向往復移動部材として機能する。
【0154】
すなわち、本実施形態に係る蝶番1では、揺動ガイド部材64と位置調整部材65(位置調整機構)を設けたことによって、蝶番1を閉じた状態(挿入部56(扉側固定部)と取付部51a(構造物側固定部)が対面する姿勢)で、挿入部56と取付部51a(両固定部)の間隔が変化するように両固定部の相対位置を変更することができる。換言すると、扉4を閉じた状態で構造物5に対する扉4の左右方向の取り付け位置を調整することができる。そのため、調整時に扉4を開閉する必要がなく、構造物5に対する扉4の左右方向の取り付け位置の調整が容易であり、速やかに調整することができる。
【0155】
ここで、位置調整部材65は、外力が作用しない限り回転しない。よって、工具(六角レンチ)で位置調整部材65を回転操作しない限り、位置調整部材65は回転しない。すなわち扉4が、適切な取り付け位置で維持される。そのため、蝶番1には位置調整部材65の不用意な回転を阻止するロック機構を設ける必要がない。その結果、蝶番1の構成は簡素になり、小型化を図ることができる。
【0156】
位置調整部材65の外周部分には凹凸80が設けられており、この凹凸80が支持部材63aに設けられた突部79(
図25、
図28)と係合している。そのため、位置調整部材65の回転には節度が付与されている。よって、位置調整部材65を決まった角度位置で停止させ易い。
【0157】
そして、位置調整部材65を回転操作し、
図27(a)、
図27(b)に示すように固定部51に対して可動部52を移動させると、可動部52と一体の受け側ユニット2(扉4)が移動する。すなわち、構造物5に対する扉4の左右方向の取り付け位置が変化する。本実施形態では、
図35に示す状態から
図36に示す状態に扉4の取り付け位置を調整する。
【0158】
本実施形態では、位置調整部材65に渦巻状の突条を設け、揺動ガイド部材64に突起77a、77bを設けた例を示したが、位置調整部材65に突起77a、77bを設け、揺動ガイド部材64に渦巻状の突条(又は渦巻状の溝)を設けてもよい。
【0159】
次に、扉4の取り付け位置を前後方向に調整する場合には、作業者が扉4の端面に固定した受け側ユニット2にアクセスし易くなるように、
図34に示すように扉4を開く。
図34に示す状態では、受け側ユニット2の化粧部材7に設けられた長孔13と、係合部材26の開口43aを介して、図示しない工具(六角レンチ)を位置調整機構部15の位置調整部材24の操作穴29aに挿入し、位置調整部材24を回転操作することができる。
【0160】
位置調整部材24が回転すると、位置調整部材24に設けられた渦巻状の突条である係合部30(
図6)と、受け側ユニット2の筐体を構成する埋込部材6に設けられた一対の突起12a、12b(
図6)の相対位置が変化する。すなわち、係合部30と一対の突起12a、12bは、例えば
図7(a)乃至
図7(c)に示すような位置関係になる。
【0161】
位置調整部材24が
図7(a)に示す回転位置から
図7(b)又は
図7(c)に示す回転位置まで回転すると、一対の突起12a、12bは、位置調整部材24の外周側から内周側へ移動している。すなわち、突起12a、12bは、位置調整部材24の外周側から内周側へ移動している。ここで、位置調整部材24と挿入側ユニット3の挿入部56は、係合部材26を介して一体化されており、位置調整部材24が移動すると、挿入部56も追従して移動する。
【0162】
挿入部56は、構造物5(固定部材45)に固定されているため、実際には、位置調整部材24はその場で回転するだけであり、受け側ユニット2(扉4)が前後方向に移動する。ここでは、閉時に扉4の取り付け位置が後方に移動するように調整するので、
図34に示す開時では、扉4が前方に移動するように、図示しない工具で位置調整部材24(操作穴29a)を回転操作する。
【0163】
図38は、開いた状態の扉4が、構造物5に対して比較的後方側に取り付けられている状態を示している。すなわち、このとき係合部材26は、
図38で見て化粧部材7の長孔13の右側(前方側)に偏った位置にある。
【0164】
これを係合部材26が長孔13の左側(後方側)へ移動するように、図示しない工具で操作穴29aを回転操作する。
図39は、開いた状態の扉4が、
図38に示す位置よりも、構造物5に対して比較的前方側に取り付けられている状態を示している。すなわち、このとき係合部材26は、
図39で見て化粧部材7の長孔13の左側(後方側)に偏った位置にある。
【0165】
扉4を閉じると、
図37に示すように、構造物5に対して扉4の取り付け位置が
図36に示す位置よりも後方側へ調整されているのがわかる。この調整が不十分である場合には、再度扉4を開き、同様の操作を行う。その際、作業者は、
図36の状態から
図37の状態に扉4を移動させた位置調整部材24の回転操作量を基準にして、どの程度位置調整部材24を回転操作すれば扉4が適切な取り付け位置に移動するかを判断することができる。
【0166】
また、位置調整部材24は、外周部27に凸部27aと凹部27bが連続的に設けられており、筐体16側には凹部27bと係合する突条部19が設けられている。そのため位置調整部材24は、突条部19が凸部27aと接する回転位置では不安定であり、突条部19が凹部27bと噛み合う回転位置で安定する。すなわち、位置調整部材24の回転には節度が付与されている。よって、位置調整部材24は、決まった角度位置で停止し、調整作業が容易である。
【0167】
ここで、位置調整部材24は、外力が作用しない限り回転しない。よって、工具(六角レンチ)で位置調整部材24を回転操作しない限り、位置調整部材24は回転せず、蝶番1には位置調整部材24の不用意な回転を阻止するロック機構を設ける必要がない。そのため、蝶番1の構成は簡素であり、小型化を図ることができる。
【0168】
本実施形態では、位置調整部材24には渦巻状の突条の係合部30(
図6)を設けた例を示したが、係合部30の代わりに渦巻状の溝を設けてもよい。この場合には、当該溝に係合する突起を埋込部材6に設ける。また、本実施形態では、位置調整部材65には渦巻状の突条82(
図24)を設けた例を示したが、突条82の代わりに渦巻状の溝を設けてもよい。この場合には、当該溝に係合する突起を揺動ガイド部材64に設ける。
【0169】
また、本実施形態に係る蝶番1では、扉4側に受け側ユニット2を設け、構造物5側に挿入側ユニット3を設けたが、逆に、扉4側に挿入側ユニット3を設け、構造物5側に受け側ユニット2を設けてもよい。
【0170】
従来の蝶番では、構造物に対する扉の前後方向(左右方向)の取り付け位置を先に調整して固定し、続いて左右方向(前後方向)の取り付け位置を調整することはできなかった。そのため、構造物に対する扉の前後方向の位置も左右方向の位置も同時に調整しなければならなかった。そして、たとえ前後方向(左右方向)の位置が適切に調整されても、左右方向(前後方向)の位置が適切ではない場合には、再度前後方向(左右方向)と左右方向(前後方向)の位置を調整し直さなければならなかった。
【0171】
一方、本発明によると、構造物に対する扉の前後方向の位置調整と左右方向の位置調整を個別に独立して行うことができる。すなわち、構造物に対する扉の前後方向(左右方向)の取り付け位置が適切に調整された場合には、扉の前後方向(左右方向)の取り付け位置を固定した状態で、扉の左右方向(前後方向)の取り付け位置のみを調整することができる。その結果、本発明による蝶番では、構造物に対して扉を速やかに適切な取り付け位置に取り付けることができる。
【0172】
特に、本実施形態に係る蝶番1では、挿通部57(連結部)に操作部81を設け、操作部81を操作することによって、位置調整部材65と揺動ガイド部材64の左右方向の相対位置を変更(調整)することができるので、扉4を閉鎖した状態で構造物5に対する扉4の左右方向の取り付け位置を調整することができる。そのため、常に扉4と構造物5の位置関係を確認しながら扉4の取り付け位置の調整作業を行うことができ、扉4を速やかに適切な取り付け位置に配置することができる。
【0173】
本実施形態では、蝶番1は、受け側ユニット2と挿入側ユニット3がワンタッチで着脱できる構造を有したものとしたが、蝶番1は、扉4に固定される部位と構造物5側に固定される部位とが一体化されていても差し支えない。すなわち、本発明の蝶番は、蝶番1の受け側ユニット2と挿入側ユニット3のように着脱できる構造を有している必要はなく、両ユニットが離脱不能に一体化されたものであっても実施可能である。
【0174】
本実施形態における蝶番1は、
図2に示すように、扉4に固定される受け側ユニット2と構造物5側に固定される挿入側ユニット3を有している。
図2では、蝶番1の構造が把握し易くなるように、構造物5側を簡略して示した。蝶番1を介して構造物5側に扉4を連結固定する際、構造物5側には
図41~
図43に示す枠部材95を一体的に固定するのが好ましい。枠部材95は、鉛直姿勢で使用される2つの縦部材45(固定部材45)、97と、水平姿勢で使用される2つの横部材98、99で構成されている。これらの縦部材45、97、横部材98、99によって構造物5の開口(図示せず)に装着される枠形状の枠部材95が構成されている。ここで、横部材99(構造物の床面に装着される横部材)は省略することもできる。
【0175】
枠部材95は、本実施形態では木製であるが、ステンレス等の耐久性に優れた素材で構成されていてもよい。
【0176】
2つの縦部材45、97のうちの一方の縦部材45(扉取付部構成部材)に蝶番1の挿入側ユニット3が取り付けられている。また、扉4の縁に蝶番1の受け側ユニット2が取り付けられている。
【0177】
本実施形態では、扉4の上下二カ所に同一構造の蝶番1(受け側ユニット2)が取り付けられている。また、縦部材45(枠部材95)にも、対応する挿入側ユニット3が二カ所に取り付けられている。
【0178】
枠部材95は、縦部材45、97、横部材98、99が分解された状態(
図43)で束ね、工場等から設置現場へ搬送するのが好ましい。設置現場では、構造物5の開口(図示せず)に枠部材95を装着し、さらに蝶番1の各ユニット2、3を連結することにより、構造物5に扉4を非常に簡単に取り付けることができる。
【0179】
図41に示すように、枠部材95に扉4を取り付けた状態では、扉4は全開状態である。矢印Aで示すように扉4を回動させることにより、扉4によって枠部材95で囲われた開口が閉じられる。
【符号の説明】
【0180】
1 蝶番
4 扉
5 構造物
45 固定部材(縦部材、扉取付部構成部材)
51a 取付部(構造物側固定部)
56 挿入部(扉側固定部)
57 挿通部(連結部)
64 揺動ガイド部材(構造物側構成部、揺動体、位置調整機構)
65 位置調整部材(扉側構成部、回転体、位置調整機構)
77a、77b 突起
81 操作部(水平軸)
82 渦巻状の突条