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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】撹拌装置および杭埋設孔の地盤改良方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
E02D3/12 102
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019124573
(22)【出願日】2019-07-03
(65)【公開番号】P2021011679
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(73)【特許権者】
【識別番号】519142169
【氏名又は名称】株式会社アイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】丸 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】三嶋 伸也
(72)【発明者】
【氏名】金子 誠一
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-213667(JP,A)
【文献】特開平04-306311(JP,A)
【文献】特開昭51-031055(JP,A)
【文献】特開平03-140520(JP,A)
【文献】特開昭63-051515(JP,A)
【文献】特開2009-256999(JP,A)
【文献】特開2015-183501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンで吊り下げられ油圧モータにより回転駆動される掘削装置のケーシングの下端の掘削ケーシング分割体に置き換えられて用いられ、杭埋設孔に堆積する堆積土砂および泥水と固化材とを撹拌する撹拌装置であって、
前記撹拌装置は、上下方向に軸心を向けて配置され前記掘削ケーシング分割体の直上の前記ケーシングの部分に対して着脱可能で下端外周部に掘削用のカッターを有する筒状の撹拌用ケーシング分割体と、前記撹拌用ケーシング分割体の内部に配置された撹拌羽根と、前記撹拌用ケーシング分割体の下端に水を供給する水供給部と、前記撹拌用ケーシング分割体の下端に前記固化材を供給する固化材供給部と、前記油圧モータの回転制御を行なう回転制御部とを備え、
前記撹拌羽根は、前記軸心に沿って延在し前記撹拌用ケーシング分割体の軸心方向に移動不能でかつ前記軸心上で回転可能に配置された回転軸と、前記回転軸の上下中間部から下部における前記回転軸の長手方向に間隔をおいた箇所で周方向に間隔をおいた箇所から前記回転軸の半径方向外方に延びる複数の第1回転羽根と、前記回転軸の上部の周方向に間隔をおいた箇所から前記回転軸の半径方向外方に延びる複数の制動羽根とを有し、前記撹拌用ケーシング分割体の上下中間部から下部における前記軸心方向に間隔をおいた箇所で前記撹拌用ケーシング分割体の内周面の周方向に間隔をおいた箇所に、前記撹拌用ケーシング分割体の半径方向内側延びる複数の第2回転羽根が、前記第1回転羽根に対して前記軸心方向に位置をずらして設けられ
記回転制御部は、前記油圧モータの回転速度と前記油圧モータに供給される作動油の油圧との相関関係を示すマップあるいは回帰式に基づいて前記油圧が前記油圧モータに定められた許容範囲の上限値近傍でかつ前記上限値を超えないように前記油圧モータの回転制御をし、
前記マップまたは前記回帰式は、予め互いに性状が異なる複数種類の前記堆積土砂のそれぞれに対応して作成される
ことを特徴とする撹拌装置。
【請求項2】
クレーンで吊り下げられ油圧モータにより回転駆動される掘削装置の下端の掘削ケーシング分割体に置き換えられ、杭埋設孔に堆積する堆積土砂および泥水と固化材とを撹拌する撹拌装置であって、
前記撹拌装置は、
上下方向に軸心を向けて配置される筒状の撹拌用ケーシング分割体と、
前記撹拌用ケーシング分割体の内部に配置された撹拌羽根と、
前記撹拌用ケーシング分割体の下端に前記固化材を供給する固化材供給部と、
前記油圧モータの回転制御を行なう回転制御部とを備え、
前記撹拌羽根は、
前記軸心に沿って延在する回転軸と、
周方向に間隔をおいて前記回転軸の半径方向外方に延びる複数の第1回転羽根と、
前記回転軸において複数の第1回転羽根より上部に設けられ、周方向に間隔をおいて前記回転軸の半径方向外方に延びる複数の制動羽根とを有し、
前記撹拌用ケーシング分割体は、内周面の周方向に間隔をおいて前記撹拌用ケーシング分割体の半径方向内側に延びる複数の第2回転羽根を有し、
前記複数の第2回転羽根が、前記複数の第1回転羽根に対して前記軸心方向に位置をずらして設けられ、
前記回転制御部は、前記油圧モータの回転速度と前記油圧モータに供給される作動油の油圧との相関関係を示すマップあるいは回帰式に基づいて、前記油圧が前記油圧モータに定められた許容範囲の上限値近傍でかつ前記上限値を超えないように前記油圧モータの回転制御をし、
前記マップまたは前記回帰式は、予め互いに性状が異なる複数種類の前記堆積土砂のそれぞれに対応して作成される
ことを特徴とする撹拌装置。
【請求項3】
切り換え部を有し、前記切り換え部は、前記回転軸を前記撹拌用ケーシング分割体に対して回転可能な状態と、前記回転軸を前記撹拌用ケーシング分割体と一体回転可能な状態とに切り換える、
ことを特徴とする請求項1または2記載の撹拌装置。
【請求項4】
前記油圧モータに供給される作動油の油圧を検出する油圧検出部を備え、
前記回転制御部は、前記油圧モータの回転速度と前記油圧検出部で検出された油圧とに基づいて前記マップあるいは前記回帰式を選択する、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の撹拌装置。
【請求項5】
前記切り換え部の切り換え制御を行なう切り替え制御部を備え、
前記切り換え制御部による前記切り換え部の切り換え制御は、前記油圧検出部で検出された油圧と予め定められた油圧しきい値との比較結果に基づいてなされる、
ことを特徴とする請求項記載の撹拌装置。
【請求項6】
前記切り換え部の切り換え制御を行なう切り替え制御部を備え、
前記撹拌用ケーシング分割体に近接センサを設け、
前記切り換え制御部による前記切り換え部の切り換え制御は、前記近接センサの検出結果に基づいてなされる、
ことを特徴とする請求項記載の撹拌装置。
【請求項7】
前記撹拌用ケーシング分割体はワイヤを介して前記クレーンに吊り下げられており、
前記ワイヤの巻き上げ量を検出する巻き上げ量検出部を設け、
前記切り換え部の切り換え制御を行なう切り替え制御部を備え、
前記切り換え制御部による前記切り換え部の切り換え制御は、前記巻き上げ量検出部により検出された前記ワイヤの巻き上げ量と予め定められた巻き上げ量しきい値との比較結果に基づいてなされる、
ことを特徴とする請求項記載の撹拌装置。
【請求項8】
前記回転制御部は、前記油圧検出部で検出された油圧の単位時間当たりの変化量が予め定められた変化量しきい値を上回った場合に、前記油圧モータの回転方向を反転させる、
ことを特徴とする請求項記載の撹拌装置。
【請求項9】
前記切り換え部は、前記撹拌用ケーシング分割体の内周面に取着されたアクチュエータと、前記アクチュエータにより前記第1回転羽根から前記撹拌用ケーシング分割体の軸心方向に離れた退避位置と、前記軸心の周方向において前記第1回転羽根に当接し前記第1回転羽根を前記撹拌用ケーシング分割体と一体に回転させる当接位置との間で移動する当接部材とを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項記載の撹拌装置。
【請求項10】
上下方向に軸心を向けて配置され軸心方向の両端が開放された筒状の撹拌用ケーシング分割体と、前記撹拌用ケーシング分割体の内部に配置された撹拌羽根と、前記撹拌用ケーシング分割体の内部に固化材を供給する固化材供給部とを備える撹拌装置を設け、
前記撹拌羽根は、前記軸心に沿って延在し前記撹拌用ケーシング分割体の軸心方向に移動不能でかつ前記軸心上で回転可能に配置された回転軸と、前記回転軸の上下中間部から下部における前記回転軸の長手方向に間隔をおいた箇所で周方向に間隔をおいた箇所から前記回転軸の半径方向外方に延びる複数の第1回転羽根と、前記回転軸の上部で周方向に間隔をおいた箇所から前記回転軸の半径方向外方に延びる複数の制動羽根とを有し、
前記撹拌用ケーシング分割体の上下中間部から下部における前記軸心方向に間隔をおいた箇所で前記撹拌用ケーシング分割体の内周面の周方向に間隔をおいた箇所に、前記撹拌用ケーシング分割体の半径方向内側延びる複数の第2回転羽根が、前記第1回転羽根に対して前記軸心方向に位置をずらして設けられ
記撹拌用ケーシング分割体を回転させる油圧モータが設けられ、
め互いに性状が異なる複数種類の前記堆積土砂のそれぞれに対応して作成された、前記油圧モータの回転速度と前記油圧モータに供給される作動油の油圧との相関関係を示すマップあるいは回帰式に基づいて前記油圧が前記油圧モータに定められた許容範囲の上限値近傍でかつ前記上限値を超えないように前記油圧モータの回転制御を行なって前記撹拌用ケーシング分割体を回転させる
ことを特徴とする杭埋設孔の地盤改良方法。
【請求項11】
上下方向に軸心を向けて配置され軸心方向の両端が開放された筒状の撹拌用ケーシング分割体と、前記撹拌用ケーシング分割体の内部に配置された撹拌羽根と、前記撹拌用ケーシング分割体の内部に固化材を供給する固化材供給部とを備える撹拌装置を設け、
前記撹拌羽根は、
前記軸心に沿って延在する回転軸と、
周方向に間隔をおいて前記回転軸の半径方向外方に延びる複数の第1回転羽根と、
前記回転軸において複数の第1回転羽根より上部に設けられ、周方向に間隔をおいて前記回転軸の半径方向外方に延びる複数の制動羽根とを有し、
前記撹拌用ケーシング分割体は、内周面の周方向に間隔をおいて前記撹拌用ケーシング分割体の半径方向内側に延びる複数の第2回転羽根を有し、
前記複数の第2回転羽根が、前記複数の第1回転羽根に対して前記軸心方向に位置をずらして設けられ、
前記撹拌用ケーシング分割体を回転させる油圧モータが設けられ、
予め互いに性状が異なる複数種類の前記堆積土砂のそれぞれに対応して作成された、前記油圧モータの回転速度と前記油圧モータに供給される作動油の油圧との相関関係を示すマップあるいは回帰式に基づいて、前記油圧が前記油圧モータに定められた許容範囲の上限値近傍でかつ前記上限値を超えないように油圧モータの回転制御を行なって前記撹拌用ケーシング分割体を回転させる
ことを特徴とする杭埋設孔の地盤改良方法
【請求項12】
さらに、前記回転軸を前記撹拌用ケーシング分割体に対して回転可能な状態と、前記回転軸を前記撹拌用ケーシング分割体と一体回転可能な状態とに切り換える切り換え部が設けられることを特徴とする杭埋設孔の請求項10または11記載の地盤改良方法
【請求項13】
前記撹拌装置が粘性が低い泥水中に位置するときに、前記切り換え部により前記回転軸を前記撹拌用ケーシング分割体に対して回転可能な状態に切り換え、固化材を供給しつつ前記撹拌用ケーシング分割体を回転させると共に前記撹拌装置を上下に移動させるようにした、
ことを特徴とする請求項12記載の杭埋設孔の地盤改良方法。
【請求項14】
前記撹拌用ケーシング分割体は、クレーンで吊り下げられて回転駆動される掘削装置のケーシングの下端の掘削ケーシング分割体の直上の前記ケーシングの部分に対して着脱可能に取着される、
ことを特徴とする請求項10から13の何れか1項記載の杭埋設孔の地盤改良方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋設杭の撤去後に残る杭埋設孔の埋戻し工事に用いられる撹拌装置および杭埋設孔の地盤改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物や構造物の建て替えに際しては、建築物や構造物を撤去した後、地中に埋設された既存の埋設杭を引き抜き、引き抜いたあとに残る杭埋設孔を埋め戻す必要がある。
従来、埋設杭の撤去に際しては、図12に示すような掘削装置10が用いられている。
掘削装置10は、クレーン12と、リーダ14と、回転駆動部16と、ケーシング18と、給水装置20とを含んで構成されている。
クレーン12は、下部走行体1202と、下部走行体1202の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体1204と、上部旋回体1204に上下方向に起伏可能にかつ伸縮可能に設けられたブーム1206とを備えている。
ブーム1206の先端の取り付け部材1208から滑車1210を介してワイヤ1212が吊り下げられており、ワイヤ1212はブーム1206に沿って上部旋回体1204に導かれて上部旋回体1204の不図示の巻上装置によってワイヤ1212の巻き取り、繰り出しがなされる。
リーダ14は、ブーム1206の先端の取り付け部材1208から揺動可能に吊り下げられ、リーダ14の下端は、地盤G上に設置されている。
【0003】
回転駆動部16は、ケース1602と、ケース1602に収容された油圧モータ1604と、油圧モータ1604により回転駆動される回転軸1606とを備えている。
ケース1602は、リーダ14によって案内される被案内部1608を有し、回転軸1606を鉛直下方に向けてワイヤ1212の先端に連結され、ワイヤ1212の巻き取り、繰り出しにより、リーダ14に沿って上下方向に移動される。
ケーシング18は、各々の円筒状のケーシング分割体26の軸心方向の上端と下端がボルトを介して連結されることで構成され、本例では、ケーシング18は4つのケーシング分割体26が連結されて構成されている。
各ケーシング分割体26は、その内径が埋設杭22の外径よりも大きな寸法で形成されている。
最も上位に位置するケーシング分割体26は、その上部が回転軸1606と一体回転可能に着脱可能に連結される連結部2802を有する上端ケーシング分割体28である。
最も下位に位置するケーシング分割体26は、掘削ケーシング分割体34であり、掘削ケーシング分割体34は、その外周面の下端に沿って間隔をおいた箇所に掘削用のカッター(不図示)が取着されている。
上端ケーシング分割体28と掘削ケーシング分割体34とを連結するケーシング分割体26は中間ケーシング分割体30、32である。
さらに、回転駆動部16の回転軸1606からケーシング18の全長にわたって不図示の水供給管が設けられ、掘削ケーシング18の下端には、水供給管からの水を噴射する不図示の水噴射孔が形成されている。
給水装置20は、水を水供給管に供給するものであり、給水装置20と水供給管とは回転駆動部16に設けられた不図示の管路とこの管路に接続された水供給ホース21によって接続されている。
【0004】
掘削装置10を用いた埋設杭22の撤去の手順は以下の通りである。
図12に示すように、予め、埋設杭22の上部が露出するように地盤Gを掘削しておく。
次に、埋設杭22の周囲に支持枠24を設置し、埋設杭22の近傍に掘削装置10を移動させ設置する。
クレーン12の上部旋回体1204を旋回させると共にブーム1206を伸長させ、ケーシング18が埋設杭22の上方に位置し、かつ、ケーシング18の軸心が埋設杭22の軸心と一致するように位置決めする。
この際、リーダ14の下端を支持枠24の上部に設置しリーダ14が鉛直方向に延在した状態が保持されるようにする。
【0005】
次いで、回転駆動部16によりケーシング18を回転させつつ、クレーン12のワイヤ1212を繰り出すことにより、ケーシング18で埋設杭22の周囲の地盤Gを掘削する。この際、給水装置20から水供給管に向けて水が供給されることで掘削ケーシング分割体34の先端の水噴射孔から水が噴射される。
これにより、図13(A)に示すように、水噴射孔から噴射された水により地盤Gが解かされて泥水状となり、掘削ケーシング分割体34は、ケーシング18の自重と回転力により地盤Gに進入し、埋設杭22の半径方向外側の地盤Gを円筒状に掘削していく。
やがて、図13(B)に示すように、掘削ケーシング分割体34の先端が埋設杭22の下端とほぼ同じ位置に到達したならば、クレーン12のワイヤ1212を巻き取ることによりケーシング18を回転させつつ地盤Gから抜き取る。
これにより、図13(C)に示すように、埋設杭22の全長にわたって埋設杭22の外周面と地盤Gとが縁切りされた状態となり、埋設杭22の外周面と掘削孔36の内周面との間には、噴射された水と掘削された土砂とが混じった泥水38が残存している。
次いで、埋設杭22に不図示のワイヤを巻回し、このワイヤの地上部側の一端を他の重機によって引き上げることで埋設杭22が地盤Gから引き抜かれ撤去される。
図13(D)に示すように、掘削孔36から埋設杭22が引き抜かれた地盤Gには、杭埋設孔40が形成され、この杭埋設孔40には泥水38が溜まっている。
この泥水38は時間経過と共に沈殿するため、杭埋設孔40の下部には比重が重く粘性が高い堆積土砂42が堆積する一方、杭埋設孔40の上部は細粒土が浮遊する比重が軽く粘性が低い泥水44が溜まることになる。
【0006】
ここで、杭埋設孔40に自硬性の溶液である固化材を注入してエアブローによって撹拌を行なうことで泥水固化を実施して杭埋設孔40の地盤を周囲の地盤Gと同様に改良することが行なわれる。
あるいは、スクリューオーガでセメントミルクなどの固化材を杭埋設孔40に注入しながら撹拌することで泥水固化を行ない杭埋設孔40の地盤を周囲の地盤Gと同様に改良することが行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2015-183501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記従来技術では、エアブローによる撹拌を用いる場合は、杭埋設孔40に堆積した堆積土砂42の粘性が高いと、堆積土砂42の全体と固化材とを十分に撹拌することが難しく、杭埋設孔40に堆積した堆積土砂42の全体に固化材を行き渡らせる上で改善の余地があり、埋設杭22の撤去後の地盤を周辺の地盤Gと同等の強度、剛性に改良する上で不利がある。
また、スクリューオーガを用いる場合は、掘削装置10とは別の重機であるスクリューオーガを用意しなくてはならず施工コストが嵩む不利がある。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、杭埋設孔に堆積した堆積土砂の全体に固化材を行き渡らせることで埋設杭の撤去後の地盤を周辺の地盤と同等の強度、剛性に改良する上で有利となり、かつ、施工コストの低減を図る上で有利な撹拌装置および杭埋設孔の地盤改良方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、クレーンで吊り下げられ油圧モータにより回転駆動される掘削装置のケーシングの下端の掘削ケーシング分割体に置き換えられて用いられ、杭埋設孔に堆積する堆積土砂および泥水と固化材とを撹拌する撹拌装置であって、前記撹拌装置は、上下方向に軸心を向けて配置され前記掘削ケーシング分割体の直上の前記ケーシングの部分に対して着脱可能で下端外周部に掘削用のカッターを有する筒状の撹拌用ケーシング分割体と、前記撹拌用ケーシング分割体の内部に配置された撹拌羽根と、前記撹拌用ケーシング分割体の下端に水を供給する水供給部と、前記撹拌用ケーシング分割体の下端に前記固化材を供給する固化材供給部と、前記油圧モータの回転制御を行なう回転制御部とを備え、前記撹拌羽根は、前記軸心に沿って延在し前記撹拌用ケーシング分割体の軸心方向に移動不能でかつ前記軸心上で回転可能に配置された回転軸と、前記回転軸の上下中間部から下部における前記回転軸の長手方向に間隔をおいた箇所で周方向に間隔をおいた箇所から前記回転軸の半径方向外方に延びる複数の第1回転羽根と、前記回転軸の上部の周方向に間隔をおいた箇所から前記回転軸の半径方向外方に延びる複数の制動羽根とを有し、前記撹拌用ケーシング分割体の上下中間部から下部における前記軸心方向に間隔をおいた箇所で前記撹拌用ケーシング分割体の内周面の周方向に間隔をおいた箇所に、前記撹拌用ケーシング分割体の半径方向内側延びる複数の第2回転羽根が、前記第1回転羽根に対して前記軸心方向に位置をずらして設けられ、さらに、前記回転軸を前記撹拌用ケーシング分割体に対して回転可能な状態と、前記回転軸を前記撹拌用ケーシング分割体と一体回転可能な状態とに切り換える切り換え部が設けられ、前記回転制御部による前記油圧モータの回転制御は、予め互いに性状が異なる複数種類の前記堆積土砂のそれぞれに対応して作成された、前記油圧モータの回転速度と前記油圧モータに供給される作動油の油圧との相関関係を示すマップあるいは回帰式に基づいて前記油圧が前記油圧モータに定められた許容範囲の上限値近傍でかつ前記上限値を超えないようになされることを特徴とする。
また、本発明は、上下方向に軸心を向けて配置され軸心方向の両端が開放された筒状の撹拌用ケーシング分割体と、前記撹拌用ケーシング分割体の内部に配置された撹拌羽根と、前記撹拌用ケーシング分割体の内部に固化材を供給する固化材供給部とを備える撹拌装置を設け、前記撹拌羽根は、前記軸心に沿って延在し前記撹拌用ケーシング分割体の軸心方向に移動不能でかつ前記軸心上で回転可能に配置された回転軸と、前記回転軸の上下中間部から下部における前記回転軸の長手方向に間隔をおいた箇所で周方向に間隔をおいた箇所から前記回転軸の半径方向外方に延びる複数の第1回転羽根と、前記回転軸の上部で周方向に間隔をおいた箇所から前記回転軸の半径方向外方に延びる複数の制動羽根とを有し、前記撹拌用ケーシング分割体の上下中間部から下部における前記軸心方向に間隔をおいた箇所で前記撹拌用ケーシング分割体の内周面の周方向に間隔をおいた箇所に、前記撹拌用ケーシング分割体の半径方向内側延びる複数の第2回転羽根が、前記第1回転羽根に対して前記軸心方向に位置をずらして設けられ、さらに、前記回転軸を前記撹拌用ケーシング分割体に対して回転可能な状態と、前記回転軸を前記撹拌用ケーシング分割体と一体回転可能な状態とに切り換える切り換え部が設けられ、前記撹拌用ケーシング分割体を回転させる油圧モータが設けられ、前記制動羽根が粘性が高い堆積土砂中に位置するときに、切り換え部により前記回転軸を回転可能な状態に切り換え、固化材を供給しつつ前記撹拌用ケーシング分割体を回転させ、前記制動羽根が粘性が低い泥水中に位置するときに、前記切り換え部により前記回転軸を前記撹拌用ケーシング分割体と一体回転可能な状態に切り換え、固化材を供給しつつ前記撹拌用ケーシング分割体を回転させると共に前記撹拌装置を上下に移動させるようにし、油圧モータの回転制御を、予め互いに性状が異なる複数種類の前記堆積土砂のそれぞれに対応して作成された、前記油圧モータの回転速度と前記油圧モータに供給される作動油の油圧との相関関係を示すマップあるいは回帰式に基づいて前記油圧が前記油圧モータに定められた許容範囲の上限値近傍でかつ前記上限値を超えないように行なうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、制動羽根が粘性が高い堆積土砂中に位置するときに、回転速度が速い複数の第2回転羽根と、回転速度が遅い複数の第1回転羽根との双方により、埋設杭を撤去した杭埋設孔に堆積する堆積土砂の撹拌が促進されるため、固化材供給部から供給される固化材と堆積土砂が効率よく均一に混合される。
また、制動羽根が粘性が低い泥水中に位置するときに、第1回転羽根と第2回転羽根の回転速度が一致した場合であっても、撹拌装置を上下に移動させることで埋設杭を撤去した杭埋設孔に堆積する堆積土砂の撹拌が促進されるため、固化材供給部から供給される固化材と堆積土砂が効率よく均一に混合される。
したがって、杭埋設孔に堆積した堆積土砂の全体に固化材を行き渡らせることで埋設杭の撤去後の地盤を周辺の地盤と同等の強度、剛性に改良する上で有利となる。
また、掘削装置により撹拌装置を回転させて使用することができ、従来のように掘削装置と異なる他の重機を用いずに地盤改良を行え、地盤改良に要する時間を大幅に短縮でき、施工コストの低減を図る上で有利となる。
また、本実施の形態では、撹拌用ケーシング分割体を回転させる油圧モータの回転制御を、予め互いに性状が異なる複数種類の堆積土砂のそれぞれに対応して作成された、油圧モータの回転速度と油圧モータに供給される作動油の油圧との相関関係を示すマップに基づいて油圧が油圧モータに定められた許容範囲の上限値近傍でかつ上限値を超えないように行なうようにした。
したがって、油圧モータの耐久性や寿命に影響を与えることなく、撹拌する堆積土砂の性状に対応して第1回転羽根および第2回転羽根の回転速度を最大限高くすることができるため、固化材と堆積土砂を効率よく均一に混合できることは無論のこと、地盤改良に要する時間を大幅に短縮でき、施工コストの低減を図る上でより有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態の撹拌装置が適用された掘削装置の説明図である。
図2】第1の実施の形態に係る撹拌装置の一部を破断した斜視図である。
図3】第1の実施の形態に係る撹拌装置の縦断面図である。
図4図1から撹拌羽根の図示を省略した斜視図である。
図5図1から筒体をなす撹拌用ケーシング分割体の図示を省略した斜視図である。
図6】(A)は結合部材の退避位置を示す説明図、(B)は結合部材の結合位置を示す説明図である。
図7】回転制御装置の構成を示すブロック図である。
図8】(A)-(D)は油圧モータの回転速度と油圧モータに供給される油圧との相関関係を示すマップの線図である。
図9】第1の実施の形態に係る撹拌装置の動作フローチャートである。
図10】第2の実施の形態における回転制御装置の構成を示すブロック図である。
図11】第3の実施の形態における回転制御装置の構成を示すブロック図である。
図12】従来から使用されている掘削装置の説明図である。
図13】掘削装置を用いた埋設杭の撤去工法の説明図であり、(A)は掘削ケーシングによる地盤の掘削が開始された状態を示し、(B)は掘削ケーシングによる地盤の掘削が終了した状態を示し、(C)はケーシングが地盤から引き抜かれ埋設杭の外周面と地盤との間に泥水が残存した状態を示し、(D)は埋設杭が撤去された杭埋設孔に堆積土砂および泥水が溜まった状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
以下に図1図9を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
なお、以下の実施の形態では、図10と同様の部分、部材については同一の符号を付してその説明を省略する。
図1は、本実施の形態の撹拌装置が適用された掘削装置10の説明図である。
掘削装置10は、ケーシング18のうち、最も下位に位置する掘削ケーシング分割体34が本発明の撹拌装置46を構成する撹拌用ケーシング分割体34Aに置き換えられ、また、残りの上端ケーシング分割体28および複数の中間ケーシング分割体30、32は、撹拌装置46に対して水を供給する水供給管48と作動油を供給する作動油供給管50と固化材を供給する固化材供給管52とが取着された上端ケーシング分割体28Aおよび複数の中間ケーシング分割体30A、32Aに置き換えられる。
なお、上端ケーシング分割体28A、複数の中間ケーシング分割体30A、32A、撹拌用ケーシング分割体34Aの外形寸法や、それら分割体28A、30A、32A、34Aを係脱可能に連結する構造などは従来の掘削装置10に用いられる上端ケーシング分割体28、複数の中間ケーシング分割体30、32、掘削ケーシング分割体34と同様である。
また、各分割体28A、30A、32A、34Aは鋼製である。
【0013】
そして、水供給管48と作動油供給管50と固化材供給管52とが上端ケーシング分割体28、複数の中間ケーシング分割体30A、32A、撹拌用ケーシング分割体34Aにわたって接続され、上端ケーシング分割体28A、複数の中間ケーシング分割体30A、32A、撹拌用ケーシング分割体34Aが連結されてケーシング18Aが構成される。
【0014】
回転駆動部16Aは、図10と同様に、油圧モータ1604を含んで構成され、ケーシング18Aを回転駆動する箇所であり、回転駆動部16Aと上端ケーシング分割体28との結合は、例えば、回転駆動部16Aの下端の回転軸1606の六角筒部と上端ケーシング分割体28の上端の連結部2802の六角筒部とを結合することで、あるいは、回転駆動部16Aの下端の回転軸1606の外周筒部を上端ケーシング分割体28の上端の小径筒部に被せボルトナットで結合するなど従来公知の様々な連結結合構造が採用可能である。
回転駆動部16Aは、回転軸1606から上端ケーシング分割体28A、複数の中間ケーシング分割体30A、32A、撹拌用ケーシング分割体34Aの水供給管48と作動油供給管50と固化材供給管52に対して水、作動油、固化材を供給する何れも不図示の水管路、作動油管路、固化材管路を有する回転駆動部16Aに置き換えられる。
【0015】
また、回転駆動部16Aの水管路、作動油管路、固化材管路に、水供給用ホース21を介して水を供給する水供給装置20と、作動油用ホース55を介して作動油を供給する作動油供給装置54と、固化材用ホース57を介して液状の固化材を供給する固化材供給装置56とが接続されている。
固化材としては、セメントミルクなど堆積土砂42と混合されて固化する従来公知の様々な材料が使用可能である。
【0016】
なお、給水装置20は手動操作により水の供給、供給の停止を行なうように構成され、作動油供給装置54は回転制御装置58の切り換え制御部96(図7参照)により作動油の供給、供給の停止を行なうように構成され、固化材供給装置56は手動操作により固化材の供給、供給の停止を行なうように構成されている。
回転制御装置58は、回転駆動部16Aによるケーシング18Aの回転を制御するものであり、回転制御装置58は、油圧モータ1604の回転のオンオフ、回転速度(単位時間当たりの回転数)、回転方向の正逆転の切り換えを制御するものである。
【0017】
図2図4に示すように、撹拌装置46は、筒体をなす撹拌用ケーシング分割体34Aと、撹拌羽根60と、第2回転羽根62と、軸受64と、切り換え部66とを含んで構成されている。
撹拌用ケーシング分割体34Aは、軸心方向の両端が開放された円筒状を呈し、上下方向に軸心を向けて配置されている。
撹拌用ケーシング分割体34Aの上端は、撹拌用ケーシング分割体34Aの直上のケーシング18Aの部分、すなわち、最も下位に位置する中間ケーシング分割体32Aの下端に対してボルトを介して着脱可能に連結されている。この連結構造は、従来の中間ケーシング分割体32と掘削ケーシング分割体34の連結構造と同様である。
また、撹拌用ケーシング分割体34Aの下端外周部には掘削用のカッター68が設けられている。
【0018】
さらに、撹拌用ケーシング分割体34Aは、水供給管48と、作動油供給管50と、固化材供給管52と、水噴射孔70(図1参照)と、固化材噴射孔72とを備えている。
図2図3に示すように、水供給管48は、撹拌用ケーシング分割体34Aの外周面に撹拌用ケーシング分割体34Aの軸線方向に沿って撹拌用ケーシング分割体34Aの上端から撹拌用ケーシング分割体34Aの下端の掘削用のカッター68の箇所まで延在している。
水供給管48の上端は、撹拌装置46(撹拌用ケーシング分割体34A)が連結される中間ケーシング分割体32Aの水供給管48の下端に接続され、水供給管48の下端に水噴射孔70が設けられている。
したがって、給水装置20から供給される水は、水供給用ホース21、回転駆動部16Aの水管路、水供給管48を介して水噴射孔70から撹拌用ケーシング分割体34Aの下方に噴射される。
本実施の形態では、給水装置20、水供給用ホース21、回転駆動部16Aの水管路、ケーシング18Aの水供給管48が、特許請求の範囲の水供給部を構成している。
【0019】
図2図3に示すように、作動油供給管50は、撹拌用ケーシング分割体34Aの外周面に撹拌用ケーシング分割体34Aの軸線方向に沿って撹拌用ケーシング分割体34Aの上端から撹拌用ケーシング分割体34Aの中間部まで延在している。
作動油供給管50の上端は、撹拌装置46(撹拌用ケーシング分割体34A)が連結される中間ケーシング分割体32Aの作動油供給管50の下端に接続され、撹拌用ケーシング分割体34Aに設けられた作動油供給管50の下端は、後述する切り換え部66に接続されている。
したがって、作動油供給装置54から供給される作動油は、作動油用ホース55、回転駆動部16Aの作動油管路、作動油供給管50を経て切り換え部66に供給される。
【0020】
図2図3に示すように、固化材供給管52は、撹拌用ケーシング分割体34Aの外周面に撹拌用ケーシング分割体34Aの軸線方向に沿って撹拌用ケーシング分割体34Aの上端から撹拌用ケーシング分割体34Aの下端の掘削用のカッター68の箇所まで延在している。
固化材供給管52の上端は、撹拌装置46(撹拌用ケーシング分割体34A)が連結される中間ケーシング分割体32Aの固化材供給管52の下端に接続され、固化材供給管52の下端に固化材噴射孔72が設けられている。
したがって、固化材供給装置56から供給される固化材は、固化材用ホース57、回転駆動部16Aの固化材管路、固化材供給管52を介して固化材噴射孔72から撹拌用ケーシング分割体34Aの下方に噴射される。
本実施の形態では、固化材供給装置56、固化材用ホース57、回転駆動部16Aの固化材管路、ケーシング18Aの固化材供給管52が、特許請求の範囲の固化材供給部を構成している。
【0021】
なお、回転駆動部16Aの水管路、作動油管路、固化材管路に接続するため、上端ケーシング分割体28Aでは、水供給管48、作動油供給管50、固化材供給管52は上端ケーシング分割体28Aの内部に設けられている。
また、撹拌用ケーシング分割体34Aの水供給管48、作動油供給管50、固化材供給管52に接続するため、少なくとも撹拌用ケーシング分割体34Aの直上に位置する中間ケーシング分割体32Aでは、水供給管48、作動油供給管50、固化材供給管52の下部は撹拌用ケーシング分割体34Aの半径方向外方に延在し、中間ケーシング分割体32Aを貫通して中間ケーシング分割体32Aの外周面に配置されている。
【0022】
図2図5に示すように、撹拌羽根60は、撹拌用ケーシング分割体34Aの軸心に配置されている。
撹拌羽根60は、回転軸74と、複数の第1回転羽根76と、複数の制動羽根78とを有している。
回転軸74は鋼製であり、撹拌用ケーシング分割体34Aの軸心上で回転可能に配置されている。
複数の第1回転羽根76は、回転軸74の上下中間部から下部における回転軸74の長手方向に間隔をおいた箇所で周方向に間隔をおいた箇所からそれぞれ回転軸74の半径方向外方に延びている。
本実施の形態では、第1回転羽根76は、回転軸74の長手方向に間隔をおいた2箇所で周方向に180°の間隔をおいた2箇所に設けられ、したがって、第1回転羽根76は合計4枚設けられている。
また、回転軸74の長手方向において同一の箇所から延びる複数の第1回転羽根76毎にそれら第1回転羽根76の半径方向外側の端部を連結する円筒状の連結リング80が設けられている。
連結リング80の上下方向の幅は、第1回転羽根76の幅よりも大きく、連結リング80の上下方向の端部は第1回転羽根76の上下方向の端部よりもそれぞれ上方、下方に突出している。
複数の制動羽根78は、回転軸74の上部の周方向に間隔をおいた箇所からそれぞれ回転軸74の半径方向外方に延びている。
本実施の形態では、制動羽根78は、回転軸74の上端の周方向に90°の間隔をおいた4箇所に設けられ、したがって、制動羽根78は合計4枚設けられている。
【0023】
複数の第2回転羽根62は、撹拌用ケーシング分割体34Aの上下中間部から下部における軸心方向に間隔をおいた箇所で撹拌用ケーシング分割体34Aの内周面の周方向に間隔をおいた箇所に、撹拌用ケーシング分割体34Aの半径方向内側に延びており、複数の第2回転羽根62は、第1回転羽根76に対して軸心方向に位置(位相)をずらして設けられている。
本実施の形態では、複数の第2回転羽根62は、軸心方向に間隔をおいた3箇所で撹拌用ケーシング分割体34Aの内周面の周方向に180°の位相をずらした2箇所に設けられており、第2回転羽根62は合計6枚設けられている。
なお、第1回転羽根76と制動羽根78と第2回転羽根62は、それぞれ一定幅、一体長さを有する鋼製の平板で形成され、幅方向を軸心方向に向け長さ方向を撹拌用ケーシング分割体34Aの半径方向に向けて配置され、堆積土砂42と固化材との混合が効率よく行なわれるように図られている。
また、第1回転羽根76と制動羽根78と第2回転羽根62の枚数は、実施の形態に限定されるものではなく、適宜設定可能である。
【0024】
軸受64は、撹拌用ケーシング分割体34Aの内周面に、回転軸74を回転可能かつ回転軸74をその軸方向に移動不能に支持するものである。
本実施の形態では、軸受64は、連結リング80の上下方向の端部を回転可能かつ回転軸74の軸方向に移動不能に支持することで、回転軸74を回転可能かつ回転軸74をその軸方向に移動不能に支持している。
図3に示すように、軸受64は、撹拌用ケーシング分割体34Aの内周面に上下に間隔をおいた複数箇所に設けられた一対の下係止片82と上係止片84が、周方向に間隔をおいた複数箇所に設けられて構成されている。
下係止片82は、撹拌用ケーシング分割体34Aの内周面から半径方向内側に突出する下基部8202と、下基部8202の先端から上方に起立する下起立部8204とを備えている。
上係止片84は、撹拌用ケーシング分割体34Aの内周面から半径方向内側に突出する上基部8402と、上基部8402の先端から下方に起立した上起立部8404とを備えている。
連結リング80の下方の端部と上方の端部に、下基部8202と上基部8402とが移動可能に接触し、連結リング80の厚さ方向の両面に下起立部8204および上起立部8404と、撹拌用ケーシング分割体34Aの内周面とが移動可能に接触し、連結リング80が撹拌用ケーシング分割体34Aの軸心方向に移動不能にかつ周方向に移動可能に支持されている。
【0025】
図6(A)、(B)に示すように、切り換え部66は、撹拌用ケーシング分割体34Aの内周面に、回転軸74を撹拌用ケーシング分割体34Aに対して回転可能な状態と、回転軸74を撹拌用ケーシング分割体34Aと一体回転可能な状態とに切り換えるものである。
切り換え部66は、アクチュエータ86と、当接部材88とを含んで構成されている。
アクチュエータ86は、撹拌用ケーシング分割体34Aの内周面に取着されている。
当接部材88は、図6(A)に示すようにアクチュエータ86により第1回転羽根76から撹拌用ケーシング分割体34Aの軸心方向に離れた退避位置と、図6(B)に示すように軸心の周方向において第1回転羽根76に当接し第1回転羽根76を撹拌用ケーシング分割体34Aと一体に回転させる当接位置との間で移動する。
本実施の形態では、アクチュエータ86は、油圧シリンダであり、油圧シリンダは、作動油供給管50から供給される作動油によって伸縮するピストンロッドを備え、当接部材88はピストンロッドで構成されている。
ピストンロッドは、油圧シリンダに内蔵されたスプリングによって常時没入する方向に付勢されており、作動油が供給されることでピストンロッドが付勢力に抗して突出する。
したがって、作動油の非供給時、ピストンロッドが没入することで当接部材88は退避位置に位置し、作動油の供給時、ピストンロッドが突出するすることで当接部材88は当接位置に位置する。
なお、アクチュエータとして電気シリンダなど従来公知の様々なアクチュエータが使用可能である。
【0026】
次に、回転制御装置58について詳細に説明する。
図7に示すように、回転制御装置58は、タンク5802、油圧ポンプ5804、方向切り換え弁5806、油圧センサ5808、制御装置本体90を含んで構成されている。
タンク5802は作動油を蓄えるものである。
油圧ポンプ5804は、電動ポンプであり、タンク5802から吸引した作動油を供給流路5810と供給流路5810に設けられた方向切り換え弁5806を介して油圧モータ1604に供給するものである。
油圧ポンプ5804による作動油の油圧モータ1604への供給量は、後述する回転制御部94によって制御され、作動油の供給量が制御されることで油圧モータ1604の回転速度が制御される。
【0027】
方向切り換え弁5806は、油圧モータ1604の第1、第2給排ポート1604A、1604Bに正転側供給流路5812、反転側供給流路5814を介して接続されている。
方向切り換え弁5806は、回転制御部94の制御に基づいて、正転側供給流路5812を介して第1給排ポート1604Aに作動油を供給することで油圧モータ1604を正転させると共に、第2給排ポート1604Bから反転側供給流路5814を介して排出される作動油を排出流路5816を介してタンク5802に戻す状態と、反転側供給流路5814を介して第2給排ポート1604Bに作動油を供給することで油圧モータ1604を反転させると共に、第1給排ポート1604Aから正転側供給流路5812を介して排出される作動油を排出流路5816を介してタンク5802に戻す状態とに切り換えられるように構成されている。
油圧センサ5808は、油圧ポンプ5804から油圧モータ1604に供給される作動油の油圧を検出して後述する回転制御部94に供給するものであり、特許請求の範囲の油圧検出部を構成している。
【0028】
制御装置本体90はコンピュータ90Aで構成され、コンピュータ90Aは、何れも不図示のCPU、ROM、RAM、ハードディスク装置(あるいはRAMディスク装置)、マウス、キーボード、ディスプレイ装置、入出力インターフェースなどを有している。
ROMは例えばフラッシュメモリなどで構成され、制御プログラムなどを格納し、RAMはワーキングエリアを提供するものである。
ハードディスク装置は種々の情報を記憶する記憶部を構成するものである。
本実施の形態では、記憶部によってマップ記憶部92が構成されている。
マップ記憶部92は、後述するように、油圧モータ1604の回転速度と油圧モータ1604に供給される作動油の油圧との相関関係を示すマップ(相関マップ)を記憶するものである。
マウス、キーボードはオペレータによる操作を受け付けるものである。
ディスプレイ装置は各種情報を表示するものである。
入出力インターフェースは、方向切り換え弁5806、油圧ポンプ5804と接続され、方向切り換え弁5806に切り換え信号を、油圧ポンプ5804に回転制御信号を供給するものである。
CPUが制御プログラムを実行することで、回転制御部94、切り換え制御部96が実現される。
【0029】
マップ記憶部92に格納されるマップは、撹拌用ケーシング分割体34Aによって杭埋設孔40に堆積した堆積土砂42を撹拌する際の撹拌用ケーシング分割体34Aの回転速度、すなわち、油圧モータ1604の回転速度と油圧モータ1604に供給される作動油の油圧との相関関係を示すものであり、様々な性状の堆積土砂42の撹拌を行なうことで実測されるデータに基づいて作成されるものである。
具体的には、マップは、図8(A)-(D)に示すように、横軸に油圧モータ1604の回転速度N(rpm)、縦軸に作動油の油圧Pをとったものであり、各マップの線図は相関関係を示す回帰式を示しており、堆積土砂42の性状に応じて複数設けられている。
例えば、図8(A)、(B)、(C)のマップは、それらの順番で線図の傾きが次第に小さくなっており、上記の順番で堆積土砂42の粘性が低くなっていることを示す。このような場合、堆積土砂42はほぼ均一な粒度の土砂で構成され、含まれる礫の割合は低い。
また、図8(D)のマップでは、回転速度Nが大きくなるにつれて一定の傾きで油圧Pが上昇し、ある回転速度Nを超えると傾きが急に増加し、さらにある回転速度Nを超えると傾きが低下していることを示す。このような場合、堆積土砂42には比較的多くの礫(小石)が含まれていることが多い。
本実施の形態では、堆積土砂42の性状が、堆積土砂42の粘性と堆積土砂42に含まれる礫の割合の大小である場合について説明したが、堆積土砂42の性状としては、堆積した堆積土砂42を撹拌する際の撹拌用ケーシング分割体34Aの回転速度、すなわち、油圧モータ1604の回転速度Nと、油圧モータ1604に供給される作動油の油圧Pとの相関関係に影響を与える従来公知の様々な堆積土砂42の性状が含まれる。
【0030】
回転制御部94は、上記のマップに基づいて油圧が油圧モータ1604に定められた許容範囲の上限値近傍でかつ上限値を超えないように油圧モータ1604の回転制御を行なうものである。
具体的には、回転制御部94は、油圧ポンプ5804の回転制御を行ない油圧モータ1604に供給される作動油の流量を制御することで油圧モータ1604の回転制御を行なう。
【0031】
また、回転制御部94は、油圧モータ1604の回転速度Nと油圧センサ5808で検出された油圧Pとに基づいてマップを選択する。
具体的には、回転制御部94は、当初、杭埋設孔40が形成された地盤の土砂の性状に対応すると考えられるマップに基づいて回転制御部94による油圧モータ1604の回転制御を行なうが、時間経過と共に、油圧モータ1604の回転速度Nと検出された油圧Pの関係が当初選択したマップの線図から外れた場合には、油圧モータ1604の回転速度Nと検出された油圧Pとの関係に対してより精度良く一致する他のマップを選択し直す。
すなわち、回転制御部94は、堆積土砂42の性状が当初予想されたものと異なった場合、実際の堆積土砂42に近いマップを選択し直す。
【0032】
また、回転制御部94は、油圧センサ5808で検出された油圧Pの単位時間当たりの変化量が予め定められた変化量しきい値を上回った場合に、油圧モータ1604の回転方向を正転から反転に、あるいは、反転から正転に切り換えるものであり、具体的には、方向切り換え弁5806の切り換えを行なうことで油圧モータ1604の回転方向を切り換える。
これは、堆積土砂42に礫が多く分布している部分と少なく分布している部分が混在している場合、礫が多く分布している部分で油圧Pの単位時間当たりの変化量が急激に変化するため、撹拌用ケーシング分割体34Aの回転方向をそれまでと反転させることで礫を多く含む堆積土砂42の撹拌を促進させるためである。
【0033】
切り換え制御部96は、前述した、制動羽根78および第1回転羽根76と、第2回転羽根62とを一体的に回転させる状態(制動羽根78および第1回転羽根76と、第2回転羽根62とを共回りさせる状態)と、制動羽根78および第1回転羽根76と第2回転羽根62とを切り離して回転させる状態(制動羽根78および第1回転羽根76と、第2回転羽根62とを共回りさせない状態)とを切り換える切り換え部66の切り換え制御を行なうものである。
切り換え制御部96による切り換え部66の切り換え制御は、油圧センサ5808で検出された油圧と予め定められた油圧しきい値との比較結果に基づいて作動油供給装置54を制御して、作動油供給装置54からアクチュエータ86へ作動油の供給、供給の停止を行なうことでなされる。
切り換え制御部96の具体的な動作については後述する。
【0034】
次に、撹拌装置46の使用方法について図9のフローチャートを参照して説明する。
掘削装置10による埋設杭22の周囲の地盤Gの掘削および埋設杭22の撤去は前述した図11(A)~(D)の手順と同様であるため説明を省略する。
図11(D)に示すように、埋設杭22が撤去されたのち、杭埋設孔40の下部には比重が重く粘性が高い堆積土砂42が堆積し、杭埋設孔40の上部には細粒土が浮遊する比重が軽く粘性が低い泥水44が溜まった状態となる(ステップS10)。
ここで、図1に示すように、既存の回転駆動部16、上端ケーシング分割体28、複数の中間ケーシング分割体30、32、撹拌用ケーシング分割体34を取り外す。
そして、水管路、作動油管路、固化材管路が設けられた回転駆動部16A、水供給管48、作動油供給管50、固化材供給管52が設けられた上端ケーシング分割体28A、複数の中間ケーシング分割体30A、32A、撹拌用ケーシング分割体34A(撹拌装置46)と交換し、ケーシング18Aを組み立てる(ステップS12)。
また、給水装置20、作動油供給装置54、固化材供給装置56をそれぞれ水供給用ホース21、作動油用ホース55、固化材用ホース57を介して回転駆動部16Aの水管路、作動油管路、固化材管路に接続すると共に、回転駆動部16Aの水管路、作動油管路、固化材管路に上端ケーシング分割体28Aの水供給管48、作動油供給管50、固化材供給管52を接続する(ステップS14)。
【0035】
この際、作動油供給装置54は非作動であり、作動油はアクチュエータ86に供給されておらず、当接部材88は退避位置に位置し、第1回転羽根76は撹拌用ケーシング分割体34Aに対して回転可能な状態となっている(ステップS16)。言い換えると、制動羽根78および第1回転羽根76と、第2回転羽根62とは共回りしない状態となっている。
そして、回転制御装置58が動作を開始し、回転駆動部16Aによりケーシング18Aを回転させつつ、クレーン12のワイヤ1212を繰り出すことにより、ケーシング18Aを杭埋設孔40の内部へ挿入していく(ステップS18)。
この際、作業者が給水装置20を操作することで給水装置20から水を供給して水噴射孔70から水を噴射させる。
ケーシング18Aの下端に位置する撹拌装置46は、ケーシング18Aの自重と回転駆動部16Aによる回転力により泥水44を経て回転しつつ堆積土砂42に進入し、水噴射孔70から噴射される水により堆積土砂42を拡散させつつ杭埋設孔40の底部に向かって移動する。
なお、回転制御装置58によって制御される油圧モータ1604の回転速度Nは、撹拌装置46が水噴射孔70から噴射される水により堆積土砂42を拡散させつつ杭埋設孔40の底部に向かって移動するに足る回転速度Nであればよく、予め設定された値となっている。
撹拌装置46が全長にわたって堆積土砂42の内部に入り込み杭埋設孔40の底部に到着したならば、給水装置20による水の供給を停止し、ケーシング18Aの回転を維持したままでクレーン12のワイヤ1212の繰り出しを停止する(ステップS20)。
【0036】
そして、ケーシング18Aの回転を維持したまま作業者が固化材供給装置56を操作することで固化材供給装置56を作動させ、固化材噴射孔72から固化材を噴射させることにより杭埋設孔40の底部への固化材の供給を開始する(ステップS22)。
ここで、固化材の供給量は、杭埋設孔40の地盤Gの目標強度に応じて適宜設定される。
【0037】
そして、回転制御部94は、予め、杭埋設孔40の土壌の性状に対応した選択されたマップに基づいて油圧モータ1604の回転速度Nを設定し、その回転速度Nで油圧モータ1604が回転するように油圧ポンプ5804を制御する(ステップS24)。
これにより、ケーシング18A(撹拌用ケーシング分割体34A)の回転と一体的に複数の第2回転羽根62が回転することで堆積土砂42が撹拌される。
一方、制動羽根78は、粘性が高い堆積土砂42中に位置するため、制動羽根78は第2回転羽根62と一体には回転せずに第2回転羽根62の回転速度よりも遅い回転速度で回転する。
したがって、制動羽根78と回転軸74を介して連結された第1回転羽根76も制動羽根78と一体に第2回転羽根62の回転速度よりも遅い回転速度で回転する。言い換えると、制動羽根78により第1回転羽根76の回転が制動されることになる。
すなわち、回転速度が速い複数の第2回転羽根62と、回転速度が遅い複数の第1回転羽根76との双方により堆積土砂42が撹拌されることにより、堆積土砂42の撹拌が促進され、したがって、固化材噴射孔72から噴射された固化材と堆積土砂42が効率よく均一に混合される。
そして、ケーシング18Aの回転を維持しつつ、また、固化材の供給を行ないつつ、クレーン12によるワイヤ1212の巻き上げを開始することにより撹拌装置46を上方へ移動させ、杭埋設孔40の下部から上部に向けて堆積土砂42と固化材との混合が行なわれていく(ステップS26)。
【0038】
次いで、回転制御部94は、現在選択しているマップの線図を基準として、油圧モータ1604の回転速度Nに対して油圧センサ5808で検出される油圧Pが合致しているか否か、すなわち、現在選択しているマップが妥当であるか否かを判定する(ステップS28)。
ステップS28が否定ならば、現在の油圧モータ1604の回転速度Nと、油圧センサ5808で検出された油圧Pとに基づいて他のマップを選択し直す(ステップS30)。
ステップS28が肯定ならば次のステップS32に進む。
【0039】
次いで、回転制御部94は、油圧センサ5808で検出された油圧Pの単位時間当たりの変化量が予め定められた変化量しきい値を上回ったか否かを判定する(ステップS32)
ステップS32が肯定ならば、回転制御部94は、方向切り換え弁5806を作動させ油圧モータ1604の回転方向をそれまでとは反転させる(ステップS34)。
ステップS32が否定ならば次のステップS36に進む。
【0040】
撹拌装置46の上方の移動に伴い、やがて制動羽根78が粘性が高い堆積土砂42から抜け出して粘性が低い泥水44中に入ると、制動羽根78による第1回転羽根76の制動が解除される。
ここで、切り換え制御部96による切り換え部66の制御がなされる。
堆積土砂42により制動羽根78が制動されている状態では、第2回転羽根62の回転によって移動する堆積土砂42に追従して第1回転羽根76および制動羽根78が回転するが、第1回転羽根76は制動羽根78によって制動されているため、ケーシング18Aを回転させる油圧モータ1604の負荷は高く、油圧センサ5808で検出される油圧Pは高い油圧P1となっている。
制動羽根78が堆積土砂42から泥水44内に移動すると、制動羽根78による第1回転羽根76の制動が効かない状態となり、第2回転羽根62の回転によって移動する堆積土砂42に追従して第1回転羽根76および制動羽根78が回転するが、制動羽根78によって第1回転羽根76が制動されていないため、第1回転羽根76および制動羽根78が回転しやすくなることから、ケーシング18Aを回転させる油圧モータ1604の負荷が低下し、油圧センサ5808で検出される油圧Pは、堆積土砂42による制動羽根78が制動されている状態での油圧P1よりも低下した油圧P2となる。
そこで、油圧P1よりも小さく、油圧P2よりも大きな第1しきい値Pr1(油圧しきい値)を設定しておき、油圧Pが第1しきい値Pr1を下回ったか否かを判定する(ステップS36)。
【0041】
ステップS36が否定ならば、ステップS28に戻る。
ステップS36が肯定ならば、切り換え制御部96は、作動油供給装置54を制御することで作動油の供給を行ない、アクチュエータ86を作動させ当接部材88を退避位置から当接位置に移動させる(ステップS38)。
これにより、第1回転羽根76が当接部材88に係合されることで、第1回転羽根76はケーシング18A(撹拌用ケーシング分割体34A)と一体に回転し、言い換えると、制動羽根78および第1回転羽根76と、第2回転羽根62とが共回りする状態となるので、第1回転羽根76の回転速度と第2回転羽根62の回転速度とが一致する。
したがって、第1回転羽根76および第2回転羽根62の近傍の堆積土砂42は、第1回転羽根76および第2回転羽根62の回転に追従して移動するため、第1回転羽根76の回転速度が第2回転羽根62の回転速度よりも遅い場合に比較して堆積土砂42の撹拌が抑制される。
そこで、当接部材88を退避位置から当接位置に移動させたならば、ケーシング18Aの回転を維持したままクレーン12による巻き上げと繰り出しを交互に繰り返して撹拌装置46を上下に往復移動させつつ撹拌装置46を徐々に上方に移動させることで堆積土砂42の撹拌を促進させ、堆積土砂42と固化材との混合を効率よく行なわせる(ステップS40)。
すなわち、ケーシング18Aを上下に往復動させるので第1回転羽根76、第2回転羽根62は粘性の高い堆積土砂42と粘性の低い泥水44とが入り混じった領域で回転することでそれら堆積土砂42と泥水44を効率よく撹拌することになる。
【0042】
なお、上述したように、制動羽根78が堆積土砂42から泥水44内に移動し、制動羽根78による第1回転羽根76の制動が効かない状態となったことをステップS36で検出すると、ステップS38で制動羽根78および第1回転羽根76と、第2回転羽根62とが共回りする状態とした。
これは、撹拌用ケーシング分割体34Aが泥水44と堆積土砂42との境目近傍に移動した際に、制動羽根78および第1回転羽根76と、第2回転羽根62とが独立して回転可能な状態のまま放置しておくと、第1回転羽根76と第2回転羽根62の回転が不安定になることが実験的に明らかとなり、ここで、制動羽根78および第1回転羽根76と、第2回転羽根62とが共回りする状態に切り替えると、第1回転羽根76と第2回転羽根62が安定して回転することが実験的に明らかとなったためである。
【0043】
やがて、撹拌装置46が堆積土砂42から抜け出して泥水44中に移動し、言い換えると、制動羽根78、第1回転羽根76、第2回転羽根62の全てが堆積土砂42から抜け出して泥水44中に移動する。
ここで、再度、切り換え制御部96による切り換え部66の制御がなされる。
すなわち、制動羽根78および第1回転羽根76、第2回転羽根62の全てが泥水44内に移動すると、制動羽根78および第1回転羽根76、第2回転羽根62は粘性が低い泥水44内で回転するため、ケーシング18Aを回転させる油圧モータ1604の負荷がさらに低下し、油圧センサ5808で検出される油圧Pは、上記油圧P2よりも低下した油圧P3となる。
そこで、油圧P2よりも小さく、油圧P3よりも大きな第2しきい値Pr2(油圧しきい値)を設定しておき、油圧Pが第2しきい値Pr2を下回ったか否かを判定する(ステップS42)。
なお、第1しきい値Pr1、第2しきい値Pr2は、撹拌装置46を用いて様々な性状の堆積土砂42の撹拌を行ない、油圧P2、P3を実測した上で設定すればよい。
ステップS42が否定ならば、ステップS42を繰り返す。
ステップS42が肯定ならば、切り換え制御部96は、作動油供給装置54を制御することで作動油の供給を停止し、アクチュエータ86により当接部材88を当接位置から退避位置に移動させる(ステップS44)。
これにより、第1回転羽根76と当接部材88との係合が解除されることで、第1回転羽根76は撹拌用ケーシング分割体34Aに対して回転可能な状態となる。言い換えると、制動羽根78および第1回転羽根76と、第2回転羽根62とが共回りしない状態となる。
そして、クレーン12による撹拌装置46の上下の往復移動を維持しつつ、撹拌装置46を低速度で引き上げながら撹拌装置46の回転を維持しつつ固化材の噴射を維持する。
この場合、泥水44内では制動羽根78の制動が効かない状態であり、第2回転羽根62(ケーシング18A)の回転によって移動する泥水44に追従して第1回転羽根76および制動羽根78が回転するが、第1回転羽根76と第2回転羽根62とは一体に回転せず、互いに独立して回転することになり、第1回転羽根76の回転速度と第2回転羽根62の回転速度とは異なるものとなる。
そのため、第1回転羽根76および第2回転羽根62が上下往復移動しつつ、第1回転羽根76および第2回転羽根62が互いに異なる回転速度で回転するため、泥水44と固化材が効率よく撹拌されることにより、泥水44と固化材の撹拌が促進され、したがって、固化材噴射孔72から噴射された固化材と泥水44が効率よく均一に混合される。
撹拌装置46が杭埋設孔40の上部に到達し、混合された固化材と泥水44が杭埋設孔40の上端まで到達したか否かを判定し(ステップS46)、ステップS46が否定ならばステップS46を繰り返し、ステップS46が肯定ならば、撹拌装置46を杭埋設孔40の上方へ抜き出し、一連の作業が終了する(ステップS48)。
時間経過と共に、杭埋設孔40の下部においては堆積土砂42と混合された固化材が固化し、杭埋設孔40の上部においては固化材と混合された泥水44が固化することで、杭埋設孔40の地盤が周囲の地盤Gと同様の強度、剛性を有する地盤に改良される。
【0044】
本実施の形態によれば、制動羽根78が粘性が高い堆積土砂42中に位置するときに、回転速度が速い複数の第2回転羽根62と、回転速度が遅い複数の第1回転羽根76との双方により、埋設杭22を撤去した杭埋設孔40に堆積する堆積土砂42の撹拌が促進されるため、固化材供給部から供給される固化材と堆積土砂42が効率よく均一に混合される。
また、制動羽根78が粘性が低い泥水44中に位置すると共に、第1回転羽根76と第2回転羽根62が粘性の高い堆積土砂42中に位置し、したがって、第1回転羽根76と第2回転羽根62が共回りし、それら回転羽根76,62の回転速度が一致した場合であっても、撹拌装置46を上下に移動させることで埋設杭22を撤去した杭埋設孔40に堆積する堆積土砂42の撹拌が促進されるため、固化材供給部から供給される固化材と堆積土砂42が効率よく均一に混合される。
したがって、杭埋設孔40に堆積した堆積土砂42の全体に固化材を行き渡らせることで埋設杭22の撤去後の地盤を周辺の地盤Gと同等の強度、剛性に改良する上で有利となる。
また、埋設杭22の撤去を行なうために地盤Gを掘削する掘削装置10を利用して地盤改良を行え、従来のように掘削装置10と異なる他の重機が不要となる。
すなわち、掘削装置10のケーシング18Aを交換することで、掘削装置10により撹拌装置46を回転させて使用することができ、従来のように掘削装置10と異なる他の重機を用いずに地盤改良を行え、地盤改良に要する時間を大幅に短縮でき、施工コストの低減を図る上で有利となる。
【0045】
また、本実施の形態では、掘削ケーシング分割体34を回転させる油圧モータ1604の回転制御を、予め互いに性状が異なる複数種類の堆積土砂42のそれぞれに対応して作成された、油圧モータ1604の回転速度Nと油圧モータ1604に供給される作動油の油圧との相関関係を示すマップに基づいて油圧が油圧モータ1604に定められた許容範囲の上限値近傍でかつ上限値を超えないように行なう。
したがって、油圧モータ1604の耐久性や寿命に影響を与えることなく、撹拌する堆積土砂42の性状に対応して第1回転羽根76および第2回転羽根62の回転速度を最大限高くすることができる。
そのため、固化材と堆積土砂42を効率よく均一に混合できることは無論のこと、地盤改良に要する時間を大幅に短縮でき、施工コストの低減を図る上でより有利となる。
【0046】
また、マップ記憶部92に格納されるマップは、撹拌装置46を用いて様々な性状の堆積土砂42の撹拌を行なうことで実測されるデータに基づいて作成される。
そして、このようなデータを多数実測してより多くのマップを作成してマップ記憶部92に格納しておけば、掘削ケーシング分割体34を回転させる油圧モータ1604の回転制御を、堆積土砂42の性状に対応してよりきめ細かく制御でき、撹拌する堆積土砂42の性状に対応して第1回転羽根76および第2回転羽根62の回転速度を最大限高くする上でより有利となる。
また、多数のデータを実測し多数のマップを作成することにより、それらマップの線図に基づいて堆積土砂42の撹拌が効率よくなされるように、制動羽根78、第1回転羽根76、第2回転羽根62の数や寸法などを設計する上で有利となる。
【0047】
また、本実施の形態では、回転制御部94は、油圧モータ1604の回転速度Nと油圧センサで検出された油圧Pとに基づいてマップを選択するようにした。
したがって、撹拌装置46が堆積土砂42を撹拌しつつ杭埋設孔40の下方から上方へ移動する際、時間経過と共に、油圧モータ1604の回転速度Nと検出された油圧Pとの関係が当初選択したマップの線図から外れた場合には、油圧モータ1604の回転速度Nと検出された油圧Pとの関係に対してより精度良く一致するマップを選択し直すので、実際の体制土砂の性状に対応して油圧モータ1604の回転速度Nを適切なものとすることができ、油圧モータ1604の耐久性や寿命に影響を与えることなく、固化材と堆積土砂42を効率よく均一に混合する上でより有利となり、地盤の改良工事の工期の短縮化を図る上でより有利となる。
【0048】
また、本実施の形態では、切り換え制御部による切り換え部の切り換え制御を、油圧センサで検出された油圧Pと予め定められた油圧しきい値Pr1、Pr2との比較結果に基づいて行なうようにしたが、以下のようにしてもよい。
すなわち、制動羽根78が堆積土砂42から泥水44に移動したこと、あるいは、撹拌装置46の全体が堆積土砂42から泥水44に移動したことを、作業者がクレーン12によるワイヤ1212の巻取り量、すなわち、撹拌装置46が底部から引き上げられた移動距離によって判断し、作業者が作動油供給装置54を操作することで作動油の供給あるいは供給の解除を行ない、アクチュエータ86を動作させ、当接部材88を退避位置から当接位置へ移動させ、あるいは、当接位置から退避位置に移動させるようにしてもよい。
しかしながら、本実施の形態のようにすると、切り換え制御部96による切り換え部66の切り換え制御を自動的に行なうことができ、作業者が煩雑な操作を行なう必要がなくなり、作業の効率化を図る上で有利となる。
【0049】
また、本実施の形態では、回転制御部94は、油圧検出部で検出された油圧Pの単位時間当たりの変化量が予め定められた変化量しきい値を上回った場合に、油圧モータ1604の回転方向を反転させるようにした。
したがって、例えば、堆積土砂42に礫が多く分布している部分と少なく分布している部分が混在している場合、礫が多く分布している部分で油圧Pの単位時間当たりの変化量が急激に変化した際、撹拌用ケーシング分割体34Aを反転させることで、第1回転羽根76および第2回転羽根62が反転するため、これら回転羽根の動きにより礫を多く含む堆積土砂42の撹拌を促進させ、固化材と堆積土砂42を効率よく均一に混合する上でより有利となる。
【0050】
また、回転軸74を撹拌用ケーシング分割体34Aの内周面から突設させた複数のステーにより回転可能に支持してもよいが、本実施の形態のように、複数の第1回転羽根76の半径方向外側の端部を連結する連結リング80を設け、連結リング80を回転可能かつ軸心方向に移動不能に支持する軸受64を設けると、ケーシング18Aの内部の空間を大きく確保でき、堆積土砂42と固化材とを効率よく混合させ、地盤の改良を効率よく行う上で有利となる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、第1回転羽根76と制動羽根78と第2回転羽根62は、それぞれ一定幅、一体長さを有する鋼製の平板で形成し、幅方向を軸心方向に向け長さ方向を撹拌用ケーシング分割体34Aの半径方向に向けて配置したので、撹拌用ケーシング分割体34Aの内部の周方向において、それら第1回転羽根76と制動羽根78と第2回転羽根62は大きな面積を有することとなり、堆積土砂42と固化材とを効率よく混合させ、地盤の改良を効率よく行う上で有利となる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、切り換え部66を、撹拌用ケーシング分割体34Aの内周面に取着されたアクチュエータ86と、アクチュエータ86により第1回転羽根76から離れた退避位置と、第1回転羽根76に当接し第1回転羽根76を撹拌用ケーシング分割体34Aと一体に回転させる当接位置との間で移動する当接部材88とを含んで構成した。
したがって、ケーシング18Aの回転方向を問わず、第1回転羽根76を撹拌用ケーシング分割体34Aと一体に確実に回転させる上で有利となり、堆積土砂42と固化材とを効率よく混合させ、地盤の改良を効率よく行う上で有利となる。
【0053】
また、本実施の形態によれば、撹拌用ケーシング分割体34Aは、クレーン12で吊り下げられて回転駆動される掘削装置10のケーシング18Aの下端の掘削ケーシング分割体34の直上のケーシング18Aの部分(中間ケーシング分割体32A)に対して着脱可能に取着されるので、撹拌装置46の掘削装置10への取り付け、取り外し作業の簡素化を図る上で有利となる。
【0054】
なお、実施の形態では、回転制御部94による油圧モータ1604の回転制御を、油圧モータ1604の回転速度Nと油圧モータ1604に供給される作動油の油圧Pとの相関関係を示すマップに基づいて行なった場合について説明したが、マップに代えてモータ1604の回転速度Nと作動油の油圧Pとの相関関係を示す回帰式に基づいて行なうようにしてもよい。
この場合、回転制御部94は、油圧モータ1604の回転速度Nと油圧センサで検出された油圧Pとに基づいて土壌の性状に基づいて作成された複数の回帰式を選択することになる。
【0055】
また、本実施の形態では、既存の上端ケーシング分割体28、複数の中間ケーシング分割体30、32、撹拌用ケーシング分割体34と、水供給管48、作動油供給管50、固化材供給管52が設けられた上端ケーシング分割体28A、複数の中間ケーシング分割体30A、32A、撹拌用ケーシング分割体34A(撹拌装置46)とを交換してケーシング18Aを組み立てる場合について説明した。
しかしながら、既存の上端ケーシング分割体28、複数の中間ケーシング分割体30、32に対して水供給管48、作動油供給管50、固化材供給管52を取り付けるようにしてもよく、このようにすれば、既存の既存の上端ケーシング分割体28、複数の中間ケーシング分割体30、32の交換作業が不要となり、作業時間の短縮を図る上で有利となる。
【0056】
また、本実施の形態では、上端ケーシング分割体28A、複数の中間ケーシング分割体30A、32A、撹拌用ケーシング分割体34A(撹拌装置46)のそれぞれにおいて、水供給管48と固化材供給管52とを独立して設ける場合について説明した。
しかしながら、固化材供給管52を省略し、水供給管48を固化材供給管52として兼用するようにしてもよい。
この場合は、回転駆動部16Aの固化材管路と、固化材用ホース57とを省略すると共に、水供給用ホース21の端部と、水供給装置20および固化材供給装置56との間に切替部を設け、切替部によって、水供給装置20から供給される水と、固化材供給装置56から供給される固化材とを切り替えて水供給用ホース21の端部に供給するようにすればよい。
このようにすれば、撹拌用ケーシング分割体34Aの固化材供給管52を省略することができるため、撹拌装置46の構成の簡素化、コストダウンを図る上で有利となることは無論のこと、残りのケーシング分割体28A、30A、32Aの固化材供給管52と、回転駆動部16Aの固化材管路と、固化材用ホース57とを省略することができるため、掘削装置10の構成の簡素化、コストダウンを図る上でも有利となる。
【0057】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について図10を参照して説明する。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分、部材については第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について重点的に説明する。
第1の実施の形態では、切り換え制御部96による切り換え部66の切り換え制御を、油圧センサ5808で検出された油圧と予め定められた油圧しきい値との比較結果に基づいて行なった。
これに対して第2の実施の形態では、図10に示すように、撹拌用ケーシング分割体34の外周面に物体の有無を検出する、すなわち、堆積土砂の有無を検出する近接センサ98を設けた。
そして、近接センサ98の検出結果に基づいて、すなわち、撹拌用ケーシング分割体34が堆積土砂42から泥水44に移動したと検出されたときに切り換え制御部96による切り換え部66の切り換え制御を行なうようにしたものである。
近接センサ98として、静電容量センサなど従来公知の様々なセンサを用いることができる。
このような第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
【0058】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について図11を参照して説明する。
第3の実施の形態では、図11に示すように、クレーン12の巻き上げ装置によるワイヤ1212の巻き上げ量を検出するワイヤ巻き上げ量検出部1220を設けた。
そして、切り換え制御部96による切り換え部66の切り換え制御を、巻き上げ量検出部1220により検出されたワイヤ1212の巻き上げ量と予め定められた巻き上げ量しきい値との比較結果に基づいて行なうようにした。
すなわち、巻き上げ量しきい値は、撹拌用ケーシング分割体34が堆積土砂42から泥水44に移動するに足る巻き上げ量として予め設定されており、この巻き上げ量しきい値は、例えば、泥水44と堆積土砂42との境界の杭埋設孔40の底部からの高さを実測し、あるいは、推測して設定される。
このような第3の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
【符号の説明】
【0059】
10 掘削装置
12 クレーン
1212 ワイヤ
1220 ワイヤ巻き上げ量検出部
16 回転駆動部
1604 油圧モータ
18 ケーシング
20 給水装置(水供給部)
21 水供給用ホース(水供給部)
22 埋設杭
34 掘削ケーシング分割体
34A 撹拌用ケーシング分割体
40 杭埋設孔
42 堆積土砂
44 泥水
46 撹拌装置
48 水供給管(水供給部)
52 固化材供給管(固化材供給部)
56 固化材供給装置(固化材供給部)
57 固化材供給用ホース(固化材供給部)
58 回転制御装置
5804 油圧ポンプ
5808 油圧センサ(油圧検出部)
60 撹拌羽根
62 第2回転羽根
64 軸受
66 切り換え部
74 回転軸
76 第1回転羽根
78 制動羽根
80 連結リング
86 アクチュエータ
88 当接部材
90 制御装置本体
90A コンピュータ
92 マップ記憶部
94 回転制御部
96 切り換え制御部
98 近接センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13