(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】酸化染毛用又は毛髪脱色・脱染用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20231030BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20231030BHJP
A61Q 5/08 20060101ALI20231030BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
A61K8/44
A61Q5/10
A61Q5/08
A61K8/92
(21)【出願番号】P 2019154290
(22)【出願日】2019-08-27
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】原田 智広
(72)【発明者】
【氏名】後藤 実薫子
(72)【発明者】
【氏名】堀江 俊貴
(72)【発明者】
【氏名】中島 友紀
(72)【発明者】
【氏名】名和 哲兵
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-096743(JP,A)
【文献】特開2010-053102(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0165161(US,A1)
【文献】特開2017-031085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分を含有し、かつ、下記(B)成分を使用時に
0.5~10質量%含有
し、更に下記(C)成分を使用時に0.5~6.5質量%含有し、
前記(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の質量比(A)/(B)が使用時に0.005~0.7の範囲内であり、
前記(B)成分及び(C)成分の合計含有量に対する(A)成分の含有量の質量比(A)/{(B)+(C)}が使用時に0.007~0.5の範囲内である、酸化染毛用又は毛髪脱色・脱染用組成物。
(A)リジン又はその塩。
(B)
ロウ類、炭化水素及びエステル類から選択される、25℃で固体又はペースト状の油性成分
。
(C)25℃で液体の油性成分。
【請求項2】
2種以上の前記(B)成分を含有する請求項1に記載の酸化染毛用又は毛髪脱色・脱染用組成物。
【請求項3】
更に下記(D)成分を含有する請求項1
又は請求項2に記載の酸化染毛用又は毛髪脱色・脱染用組成物。
(D)
アスパラギン酸、グルタミン酸、タウリン、グリシン、アラニン、テアニン、アルギニン及びヒスチジンから選択されるアミノ酸又はその塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は酸化染毛用又は毛髪脱色・脱染用組成物に関する。より具体的には本発明は、自然で緩やかな天然カールの毛髪が酸化染毛処理や毛髪脱色・脱染処理により強いカール毛に変わることを防止する毛髪脱色・脱染用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化染毛剤、毛髪脱色剤又は毛髪脱染剤は、基本的に第1剤がアンモニア等のアルカリ剤を含有し、第2剤が過酸化水素等の酸化剤や過硫酸塩等の酸化助剤を含有する。従って、酸化染毛処理や毛髪の脱色・脱染処理によって毛髪がダメージを受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-102244号公報
【文献】特開2014-141468号公報
【文献】特開2014-240381号公報
【文献】特開2004-346040号公報
【0004】
上記特許文献1は、(A)カチオン化ヒアルロン酸、(B)炭化水素類及び/又はロウ類を含有し、好ましくは更にジメチルジアリルアンモニウム単位を含む両性高分子化合物を含有し、毛髪脱色剤や酸化染毛剤として用いる毛髪処理剤に関する。この毛髪処理剤は、毛髪の優れた脱色性等の本来の効果を確保すると共に、施術後の毛髪のごわつき感や毛先の硬い仕上がり感を抑制できる、としている。
【0005】
上記特許文献2は、(a)N-ステアロイルアミノ酸塩、(b)ノニオン性界面活性剤を含有する2剤式酸化染毛・脱色用第1剤に関する。特許文献2の段落0065以降の実施例2の記載によれば、この第1剤を所定の第2剤と組合わせて使用することにより、施術後の毛髪の破断強度の低下、滑りの悪化等のダメージや感触悪化を防止できる、としている。
【0006】
上記特許文献3は、(A)カチオン性界面活性剤、(B)高級アルコール、(C)塩基性アミノ酸を含有するプレシャンプー型毛髪処理剤組成物に関する。この毛髪処理剤は、加齢と共に細くなった毛髪の、シャンプー後におけるうねりを抑制できる、としている。
【0007】
上記特許文献4は、実質的に一定の酸性アミノ酸である(A)成分と実質的に一定の塩基性アミノ酸である(B)成分を含有する、パーマネントウェーブ処理によるダメージヘア用のスタイリング剤に関する。そして毛髪の引っ張り強度を回復させ、パーマネントウェーブ処理によりセットされた毛髪のウェーブの維持力を向上させる、としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、従来のダメージヘア用処理剤あるいは保護剤は、主として毛髪の外観や手触りの柔らかさを向上させたり、毛髪の物理的強度を維持させたり、あるいは加齢毛やパーマネントウェーブ処理毛も含めて毛髪のセット維持力を高めたりするものであった。
【0009】
しかるに本願発明者は、多くの人の毛髪が、一見ストレートな毛髪に思える場合でもロングヘアにすれば良く分かるように、実際には生まれつきの、自然で緩やかなカール毛(いわゆる天然カール又は天然パーマ)である場合が多い点に注目している。自然で緩やかなカール毛は、一般的に好印象を与えると思われる。ところが、そのような天然カール毛が酸化染毛処理や毛髪脱色・脱染処理等を受けるうちに、「くせ毛」と呼ばれるような不自然で強いカール毛に変わって行き、天然カールの好印象が薄れがちになることを見てきている。
【0010】
そこで本発明は、天然カールの毛髪が酸化染毛処理や毛髪脱色・脱染処理により強いカール毛に変わることを防止することを、解決すべき技術的課題とする。
【0011】
特許文献1、2は毛髪の手触りの良さや破断強度の低下防止を目的としており、本発明の上記課題に対応していない。また特許文献3、4は毛髪の「うねり」や「ウェーブ」に関する点では、一見、本発明の課題に類似する。しかし、特許文献3は天然カールではなく、「加齢と共に細くなりシャンプー後にうねりを生じるようになった毛髪」と言う特殊条件を前提としている。また、特許文献4はパーマネントウェーブ処理(還元剤による毛髪タンパク質のジスルフィド結合の開裂と、酸化剤による結合の再形成)に基づいて形成したウェーブ毛を対象としている。
従って、特許文献1~4に開示された発明によっては本発明の技術的課題を解決できない。
【0012】
本願発明者は、天然カールの毛髪が酸化染毛処理や毛髪脱色・脱染処理により強いカール毛に変わる過程を原子間力顕微鏡観察等を通じて詳細に研究した結果、以下の点を究明するに至った。
図1にカールの程度を誇張して表現した天然カールの毛髪1の一部を示す。毛髪1の天然カールの外側部分Xと内側部分Yでは、図示を省略するが、ミクロフィブリルの形態が異なり、多数のミクロフィブリルが外側部分Xでは交差線状であるのに対して、内側部分Yでは平行線状である。そして天然カールの外側部分Xと内側部分Yでは上記したミクロフィブリル及びその周辺のマトリックスタンパクの薬剤感受性が異なり、天然カールの毛髪1が例えば酸化染毛処理を受けた場合には、内側部分Yに比較して外側部分Xの方がマトリックスタンパクの酸化分解反応が進行し、相対的に外側部分Xの弾力性がより大きく低下する。その結果、
図1の想像線(一点鎖線)で示すように毛髪1のカールが強くなる。
【0013】
本願発明者は、以上の知見を基礎として、頭髪が強いカール毛となることを防止する手段を追及した。また、一般的に酸化染毛処理や毛髪脱色・脱染処理においては、処理後の毛髪の柔軟性、指通りの良さ、ツヤ等の良好な感触が求められるので、これらの効果も同時に追求した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(第1発明の構成)
本願第1発明は、下記(A)成分を含有し、かつ、下記(B)成分を使用時に0.1~10質量%含有する酸化染毛用又は毛髪脱色・脱染用組成物である。
(A)リジン又はその塩。
(B)25℃で固体又はペースト状の油性成分。
【0015】
(第2発明の構成)
本願第2発明では、前記第1発明に係る酸化染毛用又は毛髪脱色・脱染用組成物が、2種以上の(B)成分を含有する。
【0016】
(第3発明の構成)
本願第3発明では、前記第1発明又は第2発明に係る酸化染毛用又は毛髪脱色・脱染用組成物における(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の質量比(A)/(B)が使用時に0.005~0.7の範囲内である。
【0017】
(第4発明の構成)
本願第4発明では、前記第1発明~第3発明のいずれかに係る酸化染毛用又は毛髪脱色・脱染用組成物が更に下記(C)成分を使用時に0.5~6.5質量%含有する。
(C)25℃で液体の油性成分。
【0018】
(第5発明の構成)
本願第5発明では、前記第1発明~第4発明のいずれかに係る酸化染毛用又は毛髪脱色・脱染用組成物における(B)成分及び(C)成分の合計含有量に対する(A)成分の含有量の質量比(A)/{(B)+(C)}が使用時に0.003~0.5の範囲内である。
【0019】
(第6発明の構成)
本願第6発明では、前記第1発明~第5発明のいずれかに係る酸化染毛用又は毛髪脱色・脱染用組成物が更に下記(D)成分を含有する。
(D)前記(A)成分以外のアミノ酸又はその塩。
【0020】
(第7発明の構成)
本願第7発明は、下記(A)、(B)成分を含有する天然カール維持・修復剤である。
(A)リジン又はその塩。
(B)25℃で固体又はペースト状の油性成分 0.1~10質量%。
【発明の効果】
【0021】
(第1発明の効果)
具体例に即して述べると、
図2の(a-1)に示す天然カールの毛髪の毛束に対して通常の毛髪脱色剤による処理を3回繰り返して行ったところ、
図2の(a-2)に示すように毛髪のカールが全体に強くなった。
図2の(a-1)及び(a-2)に付記した矢印は毛束全体としてのカールの幅を示している。
しかし、
図2の(b-1)に示す天然カールの毛髪の毛束に対して(A)、(B)成分を含有する第1発明の毛髪脱色用組成物による処理を3回繰り返して行った場合は、毛髪のカールが
図2の(b-2)に示す状態であってカールの幅を示す矢印から分かるように、(b-1)からほとんど変化しておらず、不自然で強いカール毛に変わらなかった。即ち、毛髪脱色処理における天然カール維持効果が確認された。毛髪脱色剤と同様にアルカリ剤及び酸化剤を使用する酸化染毛処理や毛髪脱染処理においても、このような天然カール維持効果が予測される。
【0022】
天然カール維持効果は、基本的に毛髪に浸透した(A)リジン又はその塩によるものと考えられる。その点を前記した
図1に即して述べると、リジン又はその塩は天然カールの外側部分Xにあるミクロフィブリルおよびその周辺のマトリックスタンパクに作用し、外側部分Xの弾力性の低下を抑制することが確認された。これによって毛髪1の天然カールの外側部分Xと内側部分Yの弾力性の相違が小さくなるため、カールが強くなるという変化が抑制される、と推測している。又、天然カール維持効果は、リジン又はその塩以外のアミノ酸については、リジン以外の塩基性アミノ酸類及びそれらの塩を含めて、確認されなかった。
【0023】
但し、(A)成分を含有するが(B)成分を含有しない毛髪脱色用組成物等による処理では、例えば後述する比較例5から分かるように、天然カール維持効果はほとんど得られない。その理由は、(B)25℃で固体又はペースト状の油性成分が(A)成分を毛髪中に浸透させるキャリアとして機能しているからである、と推定している。この(B)成分のキャリア機能を有効に発揮させるには(B)成分の使用時含有量を0.1質量%以上とする必要がある。(B)成分の使用時含有量が10質量%を超えると、効果が飽和する。
【0024】
更に、第1発明の酸化染毛用又は毛髪脱色・脱染用組成物は、以上の効果に加え、処理後の毛髪に柔軟性、指通りの良さ、ツヤ等の良好な感触を付与することができる。
【0025】
(第2発明の効果)
酸化染毛用又は毛髪脱色・脱染用組成物には1種以上の(B)成分を含有させるが、2種以上の(B)成分を含有させることが、天然カール維持効果と、処理後の毛髪の良好な感触を両立させる上で、特に好ましい。「2種以上の(B)成分」の詳細は本発明の実施形態の項で述べる。
【0026】
(第3発明の効果)
(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の質量比(A)/(B)が使用時に0.005~0.7の範囲内であることも、天然カール維持効果と、処理後の毛髪の良好な感触を両立させる上で、特に好ましい。
【0027】
(第4発明の効果)
酸化染毛用又は毛髪脱色・脱染用組成物が更に(C)成分である「25℃で液体の油性成分」を特に使用時に0.5~6.5質量%含有すると、(B)成分と(C)成分の併用の結果として、処理後の毛髪の柔軟性及び指通りが特に良好になる。
【0028】
(第5発明の効果)
(B)成分及び(C)成分の合計含有量に対する(A)成分の含有量の質量比(A)/{(B)+(C)}が使用時に0.003~0.5であると、天然カール維持効果と、処理後の毛髪の良好な感触を両立させる上で、特に好ましい。
【0029】
(第6発明の効果)
酸化染毛用又は毛髪脱色・脱染用組成物が更に(D)成分である「(A)成分以外のアミノ酸又はその塩」を含有すると、(A)成分と(D)成分の併用の結果として、毛髪のツヤが特に優れる。
【0030】
(第7発明の効果)
第7発明の天然カール維持・修復剤は、酸化染毛処理や毛髪脱色・脱染処理を受ける直前の天然カールの毛髪に対する前処理剤、又は酸化染毛処理や毛髪脱色・脱染処理により強いカール毛に変わってしまった天然カールの毛髪に対する後処理剤として好適に使用できる。上記の前処理剤としては、酸化染毛処理や毛髪脱色・脱染処理における天然カールの維持を期待でき、上記の後処理剤としては、元の自然で緩やかな天然カール毛への修復を期待できる。
第7発明において上記の効果が得られる理由は、第1発明の場合と同様であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】天然カールの毛髪が酸化染毛処理等により不自然な強いカール毛となる過程を説明する図である。
【
図2】天然カールの毛髪に対する、通常の毛髪脱色剤による処理と、第1発明の毛髪脱色用組成物による処理とを対比して説明する図である。
【
図3】本発明の実施例における評価基準を説明する図である。
【符号の説明】
【0032】
1 毛髪
X 外側部分
Y 内側部分
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本発明の実施形態をその最良の形態を含めて説明する。本発明の技術的範囲は、以下の実施形態によって限定されない。
【0034】
第1実施形態群:酸化染毛用又は毛髪脱色・脱染用組成物
【0035】
第1実施形態群の1:酸化染毛用組成物
酸化染毛用組成物は、この種の組成物として一般的に必須又は重要とされる後述の成分に加え、少なくとも下記(A)、(B)成分を含有し、好ましくは下記(C)、(D)成分も含有する。
【0036】
〔酸化染毛用組成物の構成及び必須成分、重要成分〕
酸化染毛用組成物は、(A)~(D)成分以外には、通常の酸化染毛剤の構成を備える。即ち、通常は2剤式であって、第1剤がアンモニア等のアルカリ剤と酸化染料を含有し、第2剤が過酸化水素等の酸化剤を含有する。但し、第1剤や第2剤を複数の剤に分割して構成した3剤式以上の多剤式とすることもできる。
【0037】
2剤式の酸化染毛用組成物は、好ましくは、水をベースとする溶液状、乳液状、クリーム状又はジェル状等の剤型とするが、粉末剤型や顆粒剤型とすることもできる。粉末剤型や顆粒剤型の場合には1剤式とすることもできる。また、使用時の形態としては、塗布性を考慮して適宜選択され、例えば、水溶液や乳液等の液状、クリーム状、ジェル状、泡状、ミスト状等が挙げられる。泡状とする場合には、エアゾールフォーマー容器、ノンエアゾールフォーマー容器、振とう容器等を使用すればよい。ミスト状とする場合には、噴霧器を使用すればよい。
【0038】
2剤式及び多剤式の酸化染毛用組成物は使用時に各剤を混合して酸化染毛剤を調製する。混合操作は、毛髪へ適用する前でも毛髪へ適用した後でもよい。例えば毛髪へ適用する直前に混合してもよいし、第1剤と第2剤等をコーム等に取り、毛髪上でコーム等を用いて混合してもよい。
【0039】
〔アルカリ剤〕
アルカリ剤としてはアンモニアが代表的であるが、その他にも、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、イソプロピルアミン等のアルカノールアミンが例示される。ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩も例示される。炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウム、炭酸グアニジン等の炭酸塩も例示される。更に、各種の炭酸水素塩、メタケイ酸塩、リン酸塩、水酸化物等も例示される。
【0040】
〔酸化染料〕
酸化染料は主要中間体とカプラーに分類される。主要中間体の具体例として、パラフェニレンジアミン、パラトルエンジアミン、パラアミノフェノール、2,2'-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール及びこれらの塩等が挙げられる。その他にも、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、オルト-アミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、2-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、オルト-クロル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-m-クレゾール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4-ジアミノフェノール及びこれらの塩等が挙げられる。
【0041】
カプラーの具体例として塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノ-o-クレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、レゾルシンが挙げられる。その他にもm-アミノフェノール、カテコール、ピロガロール、フロログルシン、没食子酸、ハイドロキノン、m-フェニレンジアミン、トルエン-3,4-ジアミン、ジフェニルアミン、3,3’-イミノジフェニール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、タンニン酸、及びこれらの塩等が挙げられる。
【0042】
なお、酸化染毛用組成物は、染毛色の調整などの目的から、酸性染料、塩基性染料、天然染料、ニトロ染料、HC染料、分散染料等の直接染料も適宜に配合することができる。
【0043】
〔酸化剤〕
酸化剤としては過酸化水素が代表的であるが、その他にも過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及びピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。
【0044】
〔(A)成分〕
(A)成分はリジン又はその塩である。「塩」の種類は限定されない。(A)成分としては、例えばリジン及びその1種以上の塩、あるいはリジンの2種以上の塩を含有させても良い。
酸化染毛用組成物における(A)成分の含有量の範囲は特段に限定されないが、その下限値は使用時に0.01質量%が好ましく、0.05質量%が特に好ましい。また、その上限値は使用時に2質量%が好ましく、1質量%が特に好ましい。(A)成分は1剤中に配合することが、天然カール維持効果の観点から好ましい。
【0045】
〔(B)成分〕
(B)成分は25℃で固体又はペースト状の油性成分である。「25℃で固体又はペースト状の油性成分」の種類は限定されないが、動物起源又は植物起源のロウ類、炭化水素、高級脂肪酸、エステル類等が例示される。なお、高級アルコールには25℃で固体又はペースト状のものが多いが、本発明の(B)成分としての効果が認められないので、(B)成分には含めない。
ちなみに、後述する本発明の実施例及び比較例は全て高級アルコールであるセタノールとステアリルアルコールを含有するが、(B)成分としてではなく、組成物の乳化のために用いている。
【0046】
動物起源のロウ類としてはミツロウ、ラノリン等が、植物起源のロウ類としては、キャンデリラロウ、カルナウバロウ等がそれぞれ例示される。25℃で固体又はペースト状の炭化水素としては、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が例示される。25℃で固体又はペースト状の高級脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸等が例示される。25℃で固体又はペースト状のエステル類としては、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、ミリスチン酸ミリスチル等が例示される。
【0047】
以上の(B)成分の内でも、特にロウ類、炭化水素またはエステル類の1種以上を含有することが好ましく、(B)成分を2種類以上含有することがさらに好ましく、(B)成分2種以上のうち少なくとも動物起源のロウ類を含有することが特に好ましく、動物起源のロウ類、炭化水素及びエステル類がより一層好ましい。
【0048】
酸化染毛用組成物における(B)成分の含有量の範囲は特段に限定されないが、その下限値は使用時に0.1質量%が好ましく、0.5質量%が特に好ましい。また、その上限値は使用時に10質量%が好ましく、7質量%が特に好ましい。
【0049】
〔(C)成分〕
(C)成分は25℃で液体の油性成分であり、よって、高級アルコールを除き、前記(B)成分以外の全ての油性成分を包含する。25℃で固体又はペースト状の油性成分である(B)成分に加え、25℃で液体の油性成分である(C)成分を併用することにより、毛髪の柔軟性や指通りの一層の向上を期待できる。(C)成分としては、植物油であるアボカド油、オリーブ油、ヒマワリ油、サフラワー油、ツバキ油、大豆油、ナタネ油、コメヌカ油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油等が例示される。25℃で液体の炭化水素としては、軽質流動イソパラフィン、流動パラフィン、イソドデカン等が例示される。25℃で液体のエステル類として、エチルヘキサン酸セチル、ミリスチル酸イソプロピル等が例示される。25℃で液体の脂肪酸として、イソステアリン酸、オレイン酸等が例示される。シリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコン)、ヒドロキシ末端基を有するジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコノール)、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等が例示される。
【0050】
酸化染毛用組成物における(C)成分の含有量の範囲は特段に限定されないが、その下限値は使用時に0.1質量%が好ましく、0.5質量%が特に好ましい。また、その上限値は使用時に15質量%が好ましく、10質量%が特に好ましい。
【0051】
〔(D)成分〕
(D)成分は前記(A)成分以外のアミノ酸又はその塩である。リジン又はその塩である(A)成分に加え、(A)成分以外のアミノ酸又はその塩である(D)成分を併用することにより、毛髪のツヤの一層の向上を期待できる。(D)成分としては、酸性アミノ酸であるアスパラギン酸、グルタミン酸、タウリン、中性アミノ酸であるグリシン、アラニン、テアニン、塩基性アミノ酸であるアルギニンやヒスチジン等を限定なく包含する。なお本発明のアミノ酸は、広義のアミノ酸(アミノ基とカルボキシル基を併せ持つ全ての有機化合物)ではなく、狭義のアミノ酸(生体のタンパク質の構成単位となっている20種余りのα-アミノ酸)を意味している。(D)成分は1剤中に配合することが、毛髪のツヤの一層の向上効果の観点から好ましい。
【0052】
〔含有量比(A)/(B)〕
酸化染毛用組成物における(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の質量比(A)/(B)の範囲は、「第3発明の効果」欄で前記した理由から、その下限値が使用時に0.005であることが好ましく、0.01であることが特に好ましく、0.02であることがとりわけ好ましい。また、その上限値が使用時に0.7であることが好ましく、0.6であることが特に好ましい。
【0053】
〔含有量比(B)/(C)〕
酸化染毛用組成物における(B)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比(B)/(C)の範囲は、その下限値が使用時に0.1であることが好ましく、0.3であることが特に好ましく、0.5であることがとりわけ好ましい。また、その上限値が7.0であることが好ましく、6.0であることが特に好ましく、5.0であることがとりわけ好ましい。(B)/(C)が0.1以上であると指通りやツヤがより良好に維持され、(B)/(C)が7.0以下であると柔軟性がより向上する。
【0054】
〔含有量比(A)/{(B)+(C)}〕
酸化染毛用組成物における(B)成分及び(C)成分の合計含有量に対する(A)成分の含有量の質量比(A)/{(B)+(C)}の範囲は、「第5発明の効果」欄で前記した理由から、その下限値が使用時に0.003であることが好ましく、0.008であることが特に好ましく、0.01であることがとりわけ好ましい。また、その上限値が0.5であることが好ましく、0.4であることが特に好ましい。
【0055】
〔酸化染毛用組成物におけるその他の成分〕
(界面活性剤)
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0056】
非イオン性界面活性剤としてはエーテル型のもの、エステル型のもの、アルキルグルコシド等が例示される。
エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例として、POEセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル等が例示される。
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例として、モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、ショ糖脂肪酸エステル、モノミリスチン酸デカグリセリル等が例示される。
アルキルグルコシドの具体例として、アルキル(炭素数8~16)グルコシド、POEメチルグルコシド、POEジオレイン酸メチルグルコシド等が例示される。
【0057】
アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル、及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0058】
カチオン性界面活性剤としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、及びメチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0059】
両性界面活性剤としては、例えばココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、及びラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)が挙げられる。
【0060】
(高級アルコール)
高級アルコールは本発明の(B)成分、(C)成分ではないが、酸化染毛用組成物の製剤化において重要な成分である。高級アルコールの具体例として、セチルアルコール(セタノール)、2-オクチルドデカノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール等が例示される。
【0061】
(高分子化合物)
高分子化合物としては、カチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、4級化ポリビニルピロリドン誘導体等のカチオン性高分子、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、アラビアガム等のアニオン性高分子、グアーガム、寒天、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルデキストラン、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸アミド、ポリエチレングリコール等の非イオン性高分子が挙げられる。
【0062】
本発明の酸化染毛用組成物には、上記の成分以外にも、必要に応じ、あるいは本発明の効果を阻害しない限りにおいて、酸化染毛用組成物に配合されることがある公知の成分、例えばpH調整剤、糖類、溶剤、キレート剤、分散剤、安定剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤等を適宜に選択して含有させることができる。
【0063】
第1実施形態群の2:毛髪脱色用組成物
本発明の毛髪脱色用組成物は、上記した第1実施形態群の1に係る酸化染毛用組成物に比較して染料(酸化染料、直接染料)を含有しない点のみが異なり、その他の点の構成及び効果は第1実施形態群の1に係る酸化染毛用組成物に関して述べた通りであるので、説明を省略する。
【0064】
第1実施形態群の3:毛髪脱染用組成物
本発明の毛髪脱染用組成物は、上記した第1実施形態群の1に係る酸化染毛用組成物との比較では、染料(酸化染料、直接染料)を含有しない点、及び前記酸化剤に加えて以下に述べる酸化助剤を含有する点のみが異なり、その他の点の構成及び効果は第1実施形態群の1に係る酸化染毛用組成物に関して述べた通りであるので、説明を省略する。
【0065】
酸化助剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等を例示することができる。
(注)
【0066】
第2実施形態群:天然カール維持・修復剤
第2実施形態群に係る天然カール維持・修復剤を、酸化染毛処理や毛髪脱色・脱染処理を受ける直前の天然カールの毛髪に対する前処理剤として適用すると、酸化染毛処理や毛髪脱色・脱染処理における天然カールの維持効果を期待できる。また、天然カール維持・修復剤を、酸化染毛処理や毛髪脱色・脱染処理により強いカール毛に変わってしまった天然カールの毛髪に対する後処理剤として適用すると、元の自然で緩やかな天然カール毛への修復効果を期待できる。
また、毛髪に対して柔軟性、指通りの良さ、良好なツヤを付与するという効果も期待できる。
【0067】
第2実施形態群に係る天然カール維持・修復剤は、上記第1実施形態群に係る酸化染毛用組成物、毛髪脱色用組成物及び毛髪脱染用組成物組成物とは異なり、アルカリ剤、酸化染料、酸化剤、酸化助剤のいずれも含有しない。
【0068】
しかし(A)リジン又はその塩と0.1~10質量%の(B)25℃で固体又はペースト状の油性成分を必須成分として含有する。又、好ましくは0.5~6.5質量%の(C)25℃で液体の油性成分と、(D)前記(A)成分以外のアミノ酸又はその塩も含有する。(A)~(D)成分の配合効果は第1実施形態群に係る酸化染毛用組成物の場合と同様である
更に、(A)~(D)成分が前記第2発明~第6発明にそれぞれ該当する場合の効果も、第1実施形態群に係る酸化染毛用組成物の場合と同様である。
【0069】
また、天然カール維持・修復剤は1剤式でも複数剤式でも良く、剤型は溶液状、乳液状、クリーム状、ジェル状、粉末状等を選択できる。前記した〔酸化染毛用組成物におけるその他の成分〕の項の記載は天然カール維持・修復剤についても同様に適用される。
【実施例】
【0070】
以下に本発明の実施例及び比較例を説明する。本発明の技術的範囲はこれらの実施例及び比較例によって限定されない。
【0071】
〔2剤式酸化染毛用又は毛髪脱色用組成物の調製〕
末尾の表1に示す実施例1~6と比較例1~5、表2に示す実施例7~14、及び表3に示す実施例15~18に係る酸化染毛用(実施例2は毛髪脱色用)組成物の各第1剤を常法に従って調製した。これらの各実施例及び比較例に係る第1剤は、いずれも末尾の表4に示す同一組成の第2剤と1:1の質量比で混合して使用するものである。これらの第1剤の剤型はクリーム状、第2剤の剤型は乳液状である。
【0072】
表1~表4において、各成分の含有量を示す数値は、それぞれ第1剤又は第2剤中の含有量を質量%単位で表記したものである。表1~表3に示す各成分の内、本発明の(A)~(D)成分であるものは、当該成分名の左側の欄にそれぞれ「A」~「D」と表記した。但し、この欄に「not A」と表記したものは実際は(D)成分であるが、比較例2~4において(A)成分に対する比較用の成分として配合効果を評価している点を分かり易くするため、あえて「not A」と表記している。
【0073】
表1~表3には、各実施例、比較例に係る第1剤における所定成分の含有量の質量比(A)/(B)を「A/B」として表記し、質量比(B)/(C)を「B/C」として表記し、質量比(A)/{(B)+(C)}を「A/(B+C)」として表記した。なお、表4に示す第2剤は(A)~(D)成分を全く含有しないので、これらの質量比の数値は、そのまま使用時(第1剤と第2剤の混合時)の質量比となる。
【0074】
〔2剤式酸化染毛用又は毛髪脱色用組成物の評価〕
(天然カール維持)
化学処理履歴のない研究協力者の頭部毛髪であって、長さ約20cm程度の天然カール状態の毛髪150本を選出して構成した評価用の毛束1を、必要な数だけ準備した。これらの毛束1は写実的イラストレーションとして
図3(a)に示すが、室内に吊るした状態において水平方向の幅がいずれも3cm弱である。
【0075】
そして、表1~表3に示す各実施例の第1剤をそれぞれ表4に示す第2剤と質量比1:1で混合した酸化染毛用又は毛髪脱色用組成物をそれぞれ毛束1に塗布し、30℃で35分間放置してから洗浄し、次いで水に1分間浸漬した後、タオルドライを行った。その後、5%ラウリル硫酸ナトリウム液に30秒間浸漬してからタオルドライを行うサイクルを2回繰り返し、更に水に1分間浸漬してからタオルドライを行うサイクルを2回繰り返した後に、温度25℃、湿度50%の室内に1晩吊るして自然乾燥させた。
【0076】
以上の酸化染毛処理/毛髪脱色処理を3回繰り返した後、毛束1における天然カール維持の効果を評価した。評価は吊るした毛束1の水平方向の幅により評価し、その幅が3cm未満である場合は天然カールの維持が非常に良好であるとして「◎」、その幅が3cm以上で4cm未満である場合は天然カールの維持が良好であるとして「○」、その幅が4cm以上である場合は天然カールが維持されていないとして「×」とした。このような「×」の評価である毛束1を
図3(b)に写実的イラストレーションとして例示する。各実施例及び各比較例の評価結果を表1~表3の「天然カール維持」の欄に示す。
【0077】
(柔軟性、指通り、ツヤ)
表1~表3に示す各実施例の第1剤をそれぞれ表4に示す第2剤と質量比1:1で混合した酸化染毛用又は毛髪脱色用のクリーム状組成物を、長さ30cmの黒毛の毛束2(ビューラックス社製)に対して、毛束2の1g当り3gとなるように塗布してから、30℃で30分間放置した。その後、毛束2に付着したクリーム状組成物を水ですすいだ後、ホーユー(株)製のシャンプー用組成物であるプロマスターカラーケア スタイリッシュシャンプーを用いてシャンプーを2回行い、次いでホーユー(株)製のリンス用組成物であるプロマスターカラーケア スタイリッシュヘアトリートメントを用いてリンスを1回行った。これらのシャンプーやリンスでは、処理後にその都度、用いた組成物を水で洗い流した。
以上の処理に続いて毛束2を温風で乾燥し、乾燥後の毛束2について柔軟性、指通り、ツヤをそれぞれ以下の評価基準に基づいて評価した。
【0078】
(柔軟性評価)
柔軟性は毛束2の「柔らかさ」により評価した。評価が優れる場合を5点、評価が良好である場合を4点、評価が可である場合を3点、評価がやや不良である場合を2点、評価が不良である場合を1点として5名のパネラーが採点し、各パネラーの採点の平均値を算出した。
平均値が4.6点以上であればポイント「5」、平均値が4.6点未満で3.6点以上であればポイント「4」、平均値が3.6点未満で2.6点以上であればポイント「3」、平均値が2.6点未満で1.6点以上であればポイント「2」、平均値が1.6点未満であればポイント「1」とした。各実施例、比較例の評価結果を表1~表3の「柔軟性」の欄に示す。
【0079】
(指通り評価)
指通りは「手で毛束2に触れて指が毛束2中を滑らかに通るか」により評価した。評価が優れる場合を5点、評価が良好である場合を4点、評価が可である場合を3点、評価がやや不良である場合を2点、評価が不良である場合を1点として5名のパネラーが採点し、各パネラーの採点の平均値を算出した。
平均値が4.6点以上であればポイント「5」、平均値が4.6点未満で3.6点以上であればポイント「4」、平均値が3.6点未満で2.6点以上であればポイント「3」、平均値が2.6点未満で1.6点以上であればポイント「2」、平均値が1.6点未満であればポイント「1」とした。各実施例、比較例の評価結果を表1~表3の「指通り」の欄に示す。
【0080】
(ツヤ評価)
ツヤは毛束2の標準光源下での目視により評価した。評価が優れる場合を5点、評価が良好である場合を4点、評価が可である場合を3点、評価がやや不良である場合を2点、評価が不良である場合を1点として5名のパネラーが採点し、各パネラーの採点の平均値を算出した。
平均値が4.6点以上であればポイント「5」、平均値が4.6点未満で3.6点以上であればポイント「4」、平均値が3.6点未満で2.6点以上であればポイント「3」、平均値が2.6点未満で1.6点以上であればポイント「2」、平均値が1.6点未満であればポイント「1」とした。各実施例、比較例の評価結果を表1~表3の「ツヤ」の欄に示す。
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば、自然で緩やかな天然カールの毛髪が酸化染毛処理や毛髪脱色・脱染処理により強いカール毛に変わることを防止することができる。