IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社北電子の特許一覧

<>
  • 特許-遊技機 図1
  • 特許-遊技機 図2
  • 特許-遊技機 図3
  • 特許-遊技機 図4
  • 特許-遊技機 図5
  • 特許-遊技機 図6
  • 特許-遊技機 図7
  • 特許-遊技機 図8
  • 特許-遊技機 図9
  • 特許-遊技機 図10
  • 特許-遊技機 図11
  • 特許-遊技機 図12
  • 特許-遊技機 図13
  • 特許-遊技機 図14
  • 特許-遊技機 図15
  • 特許-遊技機 図16
  • 特許-遊技機 図17
  • 特許-遊技機 図18
  • 特許-遊技機 図19
  • 特許-遊技機 図20
  • 特許-遊技機 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
A63F5/04 620
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019202582
(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公開番号】P2021074231
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大平 祥太朗
【審査官】佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-016190(JP,A)
【文献】特開2016-036508(JP,A)
【文献】特開2017-086607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1遊技状態と、当該第1遊技状態よりも有利な第2遊技状態と、を含む複数の遊技状態のうち、何れかの遊技状態に制御可能な遊技状態制御手段と、
前記第1遊技状態において、第1モードと、当該第1モードよりも第2遊技状態に移行し易い第2モードと、を含む複数のモードのうち、何れかのモードに制御可能なモード制御手段と、
を備え、
前記モード制御手段は、
前記第2遊技状態の終了後におけるモードを、当該第2遊技状態が連荘した回数を示す情報である継続情報と、当該第2遊技状態に移行する前の前記第1遊技状態におけるモードと、に基づいて制御可能である
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
様々な遊技性の擬似ボーナスを設けることにより、擬似ボーナス中の興趣を向上させる遊技機が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-223235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の遊技機には、改良すべき余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の遊技機は、第1遊技状態と、当該第1遊技状態よりも有利な第2遊技状態と、を含む複数の遊技状態のうち、何れかの遊技状態に制御可能な遊技状態制御手段と、前記第1遊技状態において、第1モードと、当該第1モードよりも第2遊技状態に移行し易い第2モードと、を含む複数のモードのうち、何れかのモードに制御可能なモード制御手段と、を備え、前記モード制御手段は、前記第2遊技状態の終了後におけるモードを、当該第2遊技状態が連荘した回数を示す情報である継続情報と、当該第2遊技状態に移行する前の前記第1遊技状態におけるモードと、に基づいて制御可能である構成としてある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】遊技機の外観を示す正面図である。
図2】遊技機の内部構成を示す斜視図である。
図3】遊技機の制御構成を示すブロック図である。
図4】遊技機の表示窓における有効ラインを示す図である。
図5】当選役と当選役に対応する特典を示す図である。
図6】各当選役の内部抽選テーブルを示す図である。
図7】モード抽選テーブルを示す図である。
図8】天井ゲーム数抽選テーブルを示す図である。
図9】各モードと擬似ボーナスの当選確率の関係を示す図である。
図10】RT状態の状態遷移図である。
図11】AT状態の状態遷移図である。
図12】遊技区間の状態遷移図である。
図13】AT移行抽選テーブルを示す図である。
図14】1セットゲーム数抽選テーブルを示す図である。
図15】各モードの継続抽選テーブルを示す図である。
図16】継続書換抽選テーブルを示す図である。
図17】モードごとの次回モード移行率を示すシナリオテーブルである
図18】通常状態中に表示される演出画面を示す図である。
図19】前兆演出の発生ゲーム数とモード示唆の関係を示す図である。
図20】AT状態中に表示される演出画面を示す図である。
図21】キャラクタとモード示唆の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、本発明における遊技機の好ましい実施形態について説明する。
なお、遊技機は、遊技場などに設置されるものであり、様々な種類があるが、本実施形態の一例として、スロットマシン1に適用した場合について説明する。
【0008】
[スロットマシン]
スロットマシン1は、図1図3に示すように、正面側が開口した筐体1bと、筐体1bの正面側を開閉することができるように覆う前扉1aとで構成される遊技機である。
前扉1aの上部には、例えば、液晶表示器から構成され、遊技に応じた表示による演出や情報表示を行う表示器8(報知手段)を備えている。
この表示器8が表示する情報には、遊技者が狙う停止ボタン5の操作順序(以下、押し順という)に関する情報(特定情報)が含まれる。
表示器8の左右には、音声を出力するスピーカ9や、光による演出を行うLEDなどの発光手段を備えるランプ11が内蔵されている。
なお、遊技者に対し、表示器8の下方に備えるナビランプ12によっても、停止ボタン5に対応する押し順を報知することもできる。
【0009】
前扉1aの中央部には、後方を視認可能な表示窓6が形成されており、この表示窓6を透して、可変表示手段としてリール41に表された図柄を視認することができる。
表示窓6の下方には、前側に突出する段部が形成されており、この段部の上面には、メダルを投入するメダル投入口2と、ゲームの開始に際して遊技者が押下することにより掛け数を設定するベットボタン2aと、遊技者の押下により表示器8における演出などに変化を与える演出ボタン2dとを備えている。
段部の前面には、遊技者がゲームを開始する際に操作するスタートレバー3と、リール41を停止させる際に遊技者が押下する停止ボタン5とを備えている。
【0010】
表示窓6の下方には、遊技者に有利な有利区間(有利遊技状態)であることを報知する有利区間ランプ13を備えている。
前扉1aの下部には、メダルが払い出されるメダル払出口7bを備えている。
筐体1bの上部には、遊技を統括的に制御する主制御部10と、この主制御部10の制御下で遊技の演出などに関する制御を行う副制御部20を備えている。
【0011】
主制御部10は、遊技状態制御手段、モード制御手段、計数手段、特定回数決定手段、役抽選手段、移行抽選手段の一例であり、各種演算処理などを行うCPUと、制御プログラムや制御データなどが格納されたROMと、各種データを一時記憶する記憶領域やCPUの作業領域などを備えたRAMなどを備えている。
主制御部10には、ベットボタン2a、メダルセレクタ2b、スタートレバー3、停止ボタン5が接続され、各機器に内蔵されたセンサからの各種信号を受信できるように構成されている。
主制御部10は、役抽選手段として機能することで、遊技の開始処理や、乱数発生器からの乱数をサンプリングする処理などを行い、このサンプリングされた乱数に基づき役の内部抽選処理を行う。
【0012】
副制御部20は、演出ボタン2d、表示器8、スピーカ9、ランプ11、ナビランプ12が接続され、各機器に対して各種信号を送信できるように構成されている。
副制御部20は、主制御部10から受信する制御情報に基づき、これらを制御する。
筐体1bの中央部には、リール41を回転駆動させるドラムユニット4を備えている。
ドラムユニット4は、水平方向に並設されるリール41a、リール41b、リール41cを備え、これらリール41a~41cがステッピングモータ(不図示)の駆動によりそれぞれ回転可能に構成されている。
各リール41a~41cの外周面には、所定の配列にしたがって複数の図柄が表され、リール41の停止状態において、各リール41a~41cについて、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄が表示窓6を透して視認可能となっている。
筐体1bの下部には、メダルの払い出しを行うメダル払出装置7やメダルを貯留するホッパー7aを備え、このメダル払出装置7から払い出されたメダルはメダル払出口7bを介して遊技者に払い出される。
このようなスロットマシン1は、主制御部10が、制御手段として機能することにより、以下のようなゲームを制御する。
【0013】
まず、遊技者が遊技媒体となるメダルをメダル投入口2に投入した後、ゲームの開始にあたり、1ゲームにおけるメダルの掛け数の設定を行う。
このとき、掛け数の設定は、メダル投入口2から直接メダルを投入して設定する方法と、ベットボタン2aを押下して設定する方法とがある。
メダル投入口2から直接メダルを投入して設定する方法では、投入されたメダルが前扉1a裏面に設けられたメダルセレクタ2bによって検知されることにより、投入分のメダル枚数に対応する掛け数が設定されてゲームを開始することが可能な状態になる。
【0014】
一方、ベットボタン2aを押下して設定する方法では、1ゲームに掛けるメダルの取得先をクレジットメダルから指定するためのベットボタン2aを押下することで、掛け数が設定されてゲームを開始することが可能な状態になる。
すなわち、本実施形態のスロットマシン1では、1ゲームに対して最大3枚掛けることができ、最大3枚の掛け数を超えない範囲で、1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けの何れの掛け数でもゲームを開始することができる。
また、クレジットメダルは、メダル投入口2からのメダルの投入や入賞により加算され、例えば、メダル50枚まで記憶することができる。
このように、メダル投入口2からの直接メダルを投入して設定する方法やベットボタン2aを押下して設定する方法により、設定されるメダルの掛け数は、主制御部10が備えるRAMなどの記憶手段に記憶される。
このような状態で、スタートレバー3が操作されると、ゲームが開始され、各リール41a~41cを回転させることができる。
このとき、主制御部10は、スタートレバー3の操作とともに抽選対象となる「ハズレ」を含む複数の役の中から、1ゲームごとに内部抽選処理を行うことになる。
内部抽選処理では、複数の役の中からゲームが行われるたびに当選役を所定の当選確率に基づいて抽選により決定する。
すなわち、主制御部10は、掛け数が設定された状態で、かつ、スタートレバー3が操作されると、役の抽選を実行する役抽選手段として機能する。
【0015】
各リール41a~41cは、停止状態から徐々に回転速度を上げた後、一定の速度で回転する定常回転に達する。
このような定常回転に達すると、各リール41a~41cに対応して設けられた各停止ボタン5a~5cを押下できる状態となり、各停止ボタン5a~5cが押下されると、その操作タイミングと内部抽選処理の抽選結果により許容される図柄の組み合わせで停止するように、各リール41a~41cが停止制御される。
【0016】
そして、第3リール停止操作後に、後述する有効ライン上に停止した図柄の組み合わせを判定した結果、所定の図柄の組み合わせであるときに入賞と判定され、図柄の組み合わせに応じた特典が付与される。
このように、主制御部10は、各ゲームの終了に基づいて、遊技結果に応じた特典を付与する。
【0017】
そして、図4に示すように、表示窓6を介して視認される各リール41a~41cの停止図柄で表される図柄の組み合わせには、複数の有効ラインが設定されている。
有効ラインは、3つ水平に並んだ中段、上段、下段の有効ライン1、有効ライン2、有効ライン3と、斜めにクロスする2つの有効ライン4、有効ライン5の計5ラインが設けられている。
この有効ラインに沿って停止されたリール41に表された図柄の組み合わせによって、ゲームの結果が決定されるようになっている。
【0018】
[当選役及び当選役に対応する特典]
次に、図5を参照しながら、有効ラインに沿って停止され、表示窓6に表示される当選役とその当選役に対応する特典について説明する。
当選役には、大別すると「小役」、「リプレイ役」、「ボーナス役」などがある。
小役には、例えば、ベル役、チャンス目役、スイカ役、チェリー役がある。
なお、チャンス目役、スイカ役及びチェリー役は、以下の説明において、纏めて「レア役」ともいう。
また、以下の対応する図柄の組み合わせは、「左リール41a・中リール41b・右リール41c」の順として、説明する。
【0019】
ベル役には、対応する図柄の組み合わせがそれぞれ異なる「押し順ベル役」と「共通ベル役」が設けられている。
押し順ベル役には、例えば、3つの停止ボタン(左停止ボタン5a、中停止ボタン5b、右停止ボタン5c)についての6通りある押し順に対して、それぞれ1通りの押し順によって停止ボタン5a~5cが操作されることで、対応する図柄の組み合わせ(例えば、「ベル・ベル・リプレイ」)が有効ライン上に表示される小役で、6通りの押し順ベル1~6が設けられている。
【0020】
例えば、押し順ベル1役に当選した場合には、左停止ボタン5a→中停止ボタン5b→右停止ボタン5cの押し順で停止ボタン5a~5cを操作することで、「ベル・ベル・リプレイ」の図柄の組み合わせが揃うようになっている。
【0021】
このような押し順ベル1~6役は、他の5通りの押し順によって停止ボタン5a~5cが操作されると、対応する図柄の組み合わせ(「ベル・ベル・リプレイ」)が停止されず、「ベル・リプレイ・ベル」などの他の図柄の組み合わせ(「ベルこぼし目」という)が停止することになる。
また、押し順ベル1~6役が有効ライン上に停止した場合には、「15枚」のメダルが払い出される。
なお、押し順ベル役は、6通りに限らず、3通りの押し順ベル1~3役などでもよく、さらには、第1停止図柄(赤7、青7)も組み合わせに加えて、12通り以上になるようにしても良い。
【0022】
共通ベル役は、停止ボタン5a~5cの押し順に関係なく、対応する図柄の組み合わせ「ベル・ベル・ベル」などが停止する小役である。
共通ベル役が有効ライン上に停止した場合には、押し順ベル役と同様に、「15枚」のメダルが払い出される。
【0023】
チャンス目役は、対応する図柄の組み合わせを、「ベル・スイカ・リプレイ」などとする小役(レア役)であり、スイカ役は、対応する図柄の組み合わせを、「スイカ・スイカ・スイカ」などとする小役(レア役)である。
チャンス目役は、対応する図柄の組み合わせが停止した場合には、「3枚」のメダルが払い出される。
また、スイカ役は、対応する図柄の組み合わせの停止により、「3枚」のメダルが払い出される。
【0024】
チェリー役には、弱チェリー役及び強チェリー役があり、何れも左リール41aの有効ライン上にチェリー図柄が停止する。
弱チェリー役は、有効ライン上に「チェリー・チェリー・ベル」などの図柄の組み合わせが停止し、強チェリー役は、有効ライン上に「チェリー・チェリー・チェリー」などの図柄の組み合わせが停止する小役(レア役)である。
弱チェリー役及び強チェリー役は、ともに対応する図柄の組み合わせが停止した場合、次に説明するリプレイ役と同様に、次回のゲームにおいてメダルの投入を行うことなく遊技できる状態となる、いわゆる再遊技役となっている。
【0025】
リプレイ役は、対応する図柄の組み合わせを、「リプレイ・リプレイ・リプレイ」とする小役であり、このリプレイ役が入賞すれば、次回のゲームにおいてメダルの投入を行うことなく、すなわち、メダルを費やすことなく遊技できる状態となる。
【0026】
ボーナス役は、有効ライン上に「赤7・赤7・赤7」などの対応する図柄の組み合わせが停止しない限り、当選した権利を持ち越すことが可能な役になっている。
このため、対応する図柄の組み合わせが停止することでボーナス役が入賞するまでの期間は、ボーナス当選の成立状態が維持される(以下、この遊技状態を「ボーナス持越し状態」といい、一方、ボーナス役に当選していない遊技状態を「ボーナス非持越し状態」という)。
ボーナス役は、当選したゲームでのみ、入賞させることができ、入賞すると、チャンス目役のみに当選するボーナス状態に移行する。
また、ボーナス状態中は、3枚掛けでゲームが行われ、必ず当選するチャンス目役の払出枚数が「3枚」と設定されているため、実際に増加するメダルの純増枚数は「0枚」となっている。
すなわち、ボーナス状態では、遊技者は、獲得するメダルの増加を期待することができない。
【0027】
そして、スロットマシン1は、このようなボーナス状態への移行抽選の当選確率や、後述するAT状態への移行役(例えば、レア役)の当選確率などをスロットマシン1の電源部に設けられた設定変更手段を用いることで、変更することができる。
例えば、設定変更手段により、特定の当選役の当選確率の異なる1~6の6段階の設定値を設定することができる。
この1~6の設定値の何れかを設定することで、その日のスロットマシン1のレア役などに当選する確率が決定される。
以上、説明したような図柄の組み合わせに基づいて、小役、リプレイ役、ボーナス役の当選がそれぞれ判定され、判定の結果、対応する図柄の組み合わせが有効ラインに停止したときに、入賞が成立して各入賞の成立に応じた特典が付与される。
【0028】
次に、このような各当選役の内部抽選における当選確率について説明する。
図6は、1~6の6段階の設定値のうち、設定1における3枚掛けのゲーム時の各当選役に対応する内部抽選テーブルを示す図である。
図6に示すように、内部抽選テーブルは、各当選役と当選確率とを対応付けて規定される。
また、図には示していないが、スロットマシン1に設定する設定値ごとに、内部抽選テーブルが設けられている。
そして、レア役の当選確率は、高設定に設定されたスロットマシン1の設定値ほど高くなり、リプレイ役の当選確率が低くなる構成としている。
すなわち、本実施形態におけるスロットマシン1は、設定値1が設定されているよりも、設定値6が設定されている方が、遊技者にとって有利にゲームを進行するように制御される。
【0029】
また、当選役(例えば、リプレイ役)の中には、ボーナスの非持越し状態、又は持越し状態とで当選確率に差が設けられているものもある。
リプレイ役の当選確率は、ボーナスの非持越し状態時は、65536個中8870個(約1/7.3)の確率でリプレイ役に当選する
一方、ボーナスの持越し状態時は、65536個中17860個(約1/3.6)の確率でリプレイ役に当選する
そして、主制御部10は、ボーナスを持越し状態か否かで区分けして内部抽選テーブルを記憶し、ゲーム時の各当選役の抽選を行う。
なお、ボーナス役は、単独で当選する構成としているが、これに限られず、他の小役(例えば、チェリ―役)と重複して当選する構成としても良い。
また、ボーナス役は、ボーナスに当選したゲームでのみに入賞させることができる構成としているが、ボーナス持越し状態においても、ハズレに当選する確率を高めることで、ボーナスに当選したゲームより後のゲームでも、ボーナスを入賞させることができる構成としても良い。
また、全てのレア役(チャンス目役、スイカ役、弱チェリー役、強チェリー役)の当選確率は、高設定に設定されたスロットマシン1の設定値ほど高くなり、リプレイ役の当選確率が低くなる構成としているが、一部のレア役(例えば、チェリー役)のみ当選確率が高くなる構成としても良い。
さらには、低設定に設定されたスロットマシン1の設定値ほど一部、又は全部のレア役の当選確率を高くなる構成としても良い。
また、押し順ベル1~6役や共通ベル役などのレア役以外の当選役においても、高設定に設定されたスロットマシン1の設定値ほど当選確率を高く、又は低くなる構成としても良い。
【0030】
次に、モードについて説明する。
本実施形態におけるスロットマシン1では、「低モード」、「中モード」、「高モード」、「天国モード」の計4つのモードが設けられている。
また、本実施形態におけるスロットマシン1は、天井ゲーム数が設定されている。
天井とは、後述する有利区間中で非AT状態に移行した後、一定回数のゲームを行った後に、擬似ボーナスなどの遊技者に有利な遊技状態に突入することをいう。
そして、その一定回数のゲーム数を、天井ゲーム数という。
そのため、天井ゲーム数の少ない方が、遊技者にとってメダルを多く獲得できる機会が増えるため、遊技者にとっては、天井ゲーム数がなるべく小さい値の方が好ましいことになる。
また、主制御部10は、4つのモードごとで、天井ゲーム数が異なるように制御する。
例えば、「低モード」よりも「天国モード」の方が、少ない天井ゲーム数が設定される可能性が高くなるような制御を行うことで、「低モード」よりも「天国モード」の方が、遊技者が、メダルを多く獲得できる可能性が増えるため、遊技者にとって有利に遊技を行える構成になっている。
【0031】
ここで、図7及び図8を参照しながら、モード抽選処理及び天井ゲーム数抽選処理について説明する。
なお、各図に示す「低」は「低モード」、「中」は「中モード」、「高」は「高モード」、「天」は「天国モード」をそれぞれ示している。
【0032】
まず、モード抽選処理について説明する。
モード抽選処理は、後述する通常区間に滞在中に行われる内部抽選処理において、所定の小役(例えば、ベル役、又はレア役など)の当選を契機として行われ、天井ゲーム数がそれぞれ異なるモードのうち、何れかのモード(有利区間)に移行させるかを決定する。
図7は、主制御部10が、モードの抽選処理に用いる抽選テーブルを示している。
モードの抽選は、ベル役である押し順ベル役、共通ベル役、又はレア役であるチャンス目役、スイカ役、弱チェリー役、強チェリー役の何れかに当選したときに取得するモードの移行抽選用の乱数の判定により行われる。
そのため、押し順ベル1~6役、共通ベル役、チャンス目役、スイカ役、弱チェリー役、強チェリー役は、通常区間から有利区間に移行するための移行役といえる。
そして、これらの移行役が通常区間中において当選した場合に、モードの抽選処理が行われる。
図7に示す抽選テーブルは、取得する乱数の取得範囲(個数)を256個とし、設定値(設定1~6)ごとに割り振られる乱数値の個数が異なっており、当たり値が、モードと、設定値ごとに対応付けて規定される。
【0033】
例えば、「低モード」は、設定値1が設定されている場合、256個中の128個(約1/2.0)の確率で当選し、設定値2が設定されている場合、256個中の96個(約1/2.6)の確率で当選し、設定値3が設定されている場合、256個中の96個(約1/2.6)の確率で当選し、設定値4が設定されている場合、256個中の96個(約1/2.6)の確率で当選し、設定値5が設定されている場合、256個中の78個(約1/3.2)の確率で当選し、設定値6が設定されている場合、256個中の32個(約1/8.0)の確率で当選することになる。
一方、「天国モード」は、設定値1が設定されている場合、256個中の24個(約1/10.6)の確率で当選し、設定値2が設定されている場合、256個中の22個(約1/11.6)の確率で当選し、設定値3が設定されている場合、256個中の32個(約1/8.0)の確率で当選し、設定値4が設定されている場合、256個中の48個(約1/5.3)の確率で当選し、設定値5が設定されている場合、256個中の82個(約1/3.1)の確率で当選し、設定値6が設定されている場合、256個中の128個(約1/2.0)の確率で当選することになる。
【0034】
このように、主制御部10は、設定値1が設定されているときよりも設定値6が設定されているときの方が、「天国モード」が当選しやすいように制御する。
したがって、設定値が高設定ほど、「天国モード」に当選する確率が高くなっており、天井ゲーム数が少ない「天国モード」に当選した場合には、遊技者が期待を高められるようなゲーム構成になっている。
このとき、主制御部10は、第1遊技状態(非AT状態)において、第1モード(例えば、低モード)と、第1モード(低モード)よりも第2遊技状態(AT状態)に移行し易い第2モード(例えば、天国モード)と、を含む複数のモードのうち、何れかのモードに制御可能なモード制御手段として機能する。
なお、モードの抽選テーブルでは、設定値ごとに当選確率が異なる4つのモードを設けているが、3つ以下としても良く、さらには、5つ以上としても良く、適宜変更できるものとする。
また、設定値の変更などの制御は、主制御部10で行われるが、主制御部10から副制御部20への設定値に関する情報により、副制御部20が設定値に応じたモードの管理を行うモード制御手段として、機能する構成としても良い。
【0035】
次に、天井ゲーム数を決定する抽選処理について説明する。
本実施形態におけるモードは、上述の通り4つのモードを有する。
そして、モード抽選処理でモードを決定した後、さらに決定されたモードにおける天井ゲーム数を決定する天井ゲーム数抽選処理が行われる。
この4つのモードは、何れの状態においても、主制御部10が天井ゲーム数により管理する。
【0036】
以下、図8を参照して、4つのモードの天井ゲーム数を決定するときに用いる抽選テーブルについて説明する。
天井ゲーム数の抽選は、モード抽選処理によってモードが決定されたときに取得する天井ゲーム数の抽選用の乱数の判定により行われる。
図8に示す天井ゲーム数の抽選テーブルは、取得する乱数の取得範囲(個数)を256個とし、当たり値が、天井ゲーム数と、モードごとに対応付けて規定される。
【0037】
具体的には、最も多い天井ゲーム数が当選しやすい「低モード」と、2番目に多い天井ゲーム数が当選しやすい「中モード」と、3番目に多い天井ゲーム数が当選しやすい「高モード」と、最も少ない天井ゲーム数が当選しやすい「天国モード」とが設けられている。
そのため、図9に示すように、擬似ボーナスに当選するまでのゲーム数の少なさは、「低モード」<「中モード」<「高モード」<「天国モード」の関係性を有している。
【0038】
例えば、天井ゲーム数は、モード抽選処理により「低モード」が当選していた場合、「128ゲーム」が当選することは無く、「256ゲーム」が256個中24個(約1/10.6)の確率で当選し、「512ゲーム」が256個中64個(約1/4.0)の確率で当選し、「768ゲーム」が256個中168個(約1/1.5)の確率で当選することになる。
一方、モード抽選処理により「天国モード」が当選していた場合は、「256ゲーム」、「512ゲーム」、又は「768ゲーム」に当選することは無く、「128ゲーム」が256個中256個(確率100%)で必ず当選する。
【0039】
したがって、天井ゲーム数においては、「天国モード」は、必ず「128ゲーム」が天井となるため、最も遊技者に有利なモードであり、「低モード」は、天井ゲーム数として、最も多いゲーム数である「768ゲーム」が最も当選しやすいため、最も遊技者に不利なモードといえる。
しかし、「低モード」が当選していた場合でも、必ず最大天井ゲーム数である「768ゲーム」が当選するわけではなく、「256ゲーム」が当選することもあるため、「低モード」のときでも、遊技者が期待感を失わないような遊技性になっている。
【0040】
このように、主制御部10は、特定回数(例えば、天井ゲーム数)の異なる複数のモードに制御することができ、モードの種別に基づいて、特定回数を決定可能な特定回数決定手段として機能する。
そして、主制御部10は、特定回数決定手段として機能することで、第2モード(例えば、「天国モード」)に制御される場合の方が、第1モード(例えば、「低モード」)に制御される場合よりも、少ない特定回数(天井ゲーム数)を決定する確率が高くなるように制御する。
【0041】
また、主制御部10は、有利区間中で非AT状態に移行後、再び擬似ボーナスが当選するまでのゲーム数をカウントする天井ゲーム数カウンタを有している。
主制御部10は、非AT状態中に行われるゲームが開始されるたびにカウントし、そのカウント値が、抽選で決定された天井ゲーム数に到達しているか否かを判定する。
このとき、主制御部10は、決定された天井ゲーム数に到達していると判定した場合、AT状態に移行するためのフラグを設定し、AT状態に移行するように制御する。
したがって、主制御部10は、第2遊技状態(例えば、AT状態)の終了後に移行する第1遊技状態時(例えば、非AT状態)における遊技回数(ゲーム数)を計数する計数手段として機能する。
また、主制御部10は、遊技状態制御手段として機能することにより、計数手段による計数結果が特定回数(天井ゲーム数)に到達したことに基づいて、第2遊技状態(AT状態)に移行するように制御可能である。
なお、図8に示す天井ゲーム数の抽選テーブルの抽選値の区分けは、「128ゲーム」、「256ゲーム」、「512ゲーム」、「768ゲーム」としているが、他の区分けを適用しても良く、適宜変更できるものとする。
例えば、設定値ごとに天井ゲーム数の抽選テーブルを設け、同一モードでも、高設定の方が少ない天井ゲーム数が決定されるようにしても良い。
また、天井ゲーム数の決定は、抽選テーブルを用いて、抽選で行う構成を一例として説明したが、これに限られず、抽選を行わずに、一義的に決定するような構成でも良い。
【0042】
[遊技状態の遷移]
次に、主制御部10により制御される遊技状態の遷移について説明する。
図10に示すように、遊技状態は、RT0状態、RT1状態、ボーナス状態の間で移行するように制御される。
【0043】
[RT状態]
まず、本実施形態におけるスロットマシン1が有するRT状態について説明する。
図10に示すのは、RT状態の遷移図である。
RTは、リプレイタイムの略称であり、本実施形態のRT状態は、リプレイ役の当選確率が所定の確率で定められたRT0状態、RT1状態を有する。
このRT状態では、主制御部10が、制御手段として機能することにより、RT0状態、RT1状態を含む複数のRT状態のうち、何れかのRT状態に制御することができる。
【0044】
RT0状態への移行は、ボーナス状態の終了、又はスロットマシン1における初期化スイッチなどの操作に伴う電源投入(RAM初期化)、設定値の変更(同じ設定値を設定し直した場合(打ち直し)も含む)に基づいて、その後、RT0状態に移行する(図10の条件(a)、(b))。
ボーナス状態の終了は、ボーナス状態で、所定の枚数を超える払い出しが行われた時点で、終了する。
例えば、ボーナス状態は、遊技者にメダルの払い出し数が所定枚数(例えば、メダル60枚)を超えると終了する。
また、RT0状態の終了は、RT0状態におけるボーナス役の当選に基づく、RT1状態への移行により、終了する(図10の条件(c))。
【0045】
RT1状態への移行は、ボーナス役の当選に基づいて、その後、RT1状態に移行する(図10の条件(c))。
したがって、RT1状態では、ボーナス持越し状態といえる。
また、RT1状態の終了は、RT1状態でボーナス役に入賞したことに基づいて、その後、RT1状態からボーナス状態に移行することで、終了する(図10の条件(d))。
【0046】
このように、本実施形態では、移行条件がそれぞれ異なるRT0状態及びRT1状態が設けられ、RT0状態及びRT1状態ともに、予め遊技期間の定められていない無限の遊技状態(無限RT)となっている。
また、RT1状態は、ボーナス役に当選してから入賞するまで継続する、すなわち、ボーナス持越し中の状態に維持されることとなる。
また、ボーナス役は、3枚掛けのゲームでのみ当選し、2枚掛けや1枚掛けのゲームでは当選することはない。
したがって、基本的には、RT1状態で、かつボーナス持越し中に、3枚掛けでゲームを行う構成となっているため、遊技場の開店前に店員が事前に、ボーナス持越し状態にすることが好ましい。
なお、本実施形態のRT状態は、2つであるが、1つ、又は3つ以上であっても良い。
【0047】
[AT状態]
次に、主制御部10により制御されるAT状態(擬似ボーナスともいう)の遷移について説明する。
ATは、アシストタイムの略称であり、押し順ベル役当選時に、例えば、各停止ボタン5a~5cの押し順が報知され、押し順ベル役などの入賞を遊技者にアシストする遊技状態である。
【0048】
例えば、押し順の報知例として、押し順ベル1役に当選したときは、表示器8、スピーカ9及びナビランプ12などを介して、押し順が報知される。
このときの押し順ベル1役の報知は、表示器8では、停止ボタン5に対応する押し順を特定できるように数字「1(左)→2(中央)→3(右)」が表示される。
スピーカ9では、「左」、「中」、「右」の順でそれぞれの音声が出力される。
ナビランプ12を用いる場合は、「12a→12b→12c」の順でナビランプ12が点灯される。
したがって、表示器8以外のスピーカ9、ナビランプ12などでも報知手段として機能することができるが、本実施形態では、報知手段として、表示器8を用いることを一例として説明する。
AT状態は、通常、所定の遊技回数に亘って継続して行われ、報知することが決定されると、3つの停止ボタン(左停止ボタン5a、中停止ボタン5b、右停止ボタン5c)の全ての押し順が報知されるため、遊技者が初心者でもメダルを獲得しやすい状態といえる。
そのため、押し順(特定停止操作)に関する情報(特定情報)を報知するAT状態(第2遊技状態)は、押し順(特定停止操作)に関する情報(特定情報)を報知しない非AT状態(第1遊技状態)よりも、遊技者にとって有利な遊技状態である。
このように、主制御部10は、「押し順ベル」が停止するように、又は「ベルこぼし目」が停止しないようにアシストするという特典を遊技者に付与する。
すなわち、主制御部10は、非AT状態(第1遊技状態)と、非AT状態(第1遊技状態)よりも有利なAT状態(第2遊技状態)と、を含む複数の遊技状態のうち、何れかの遊技状態に制御可能な遊技状態制御手段として機能する。
なお、本実施形態におけるATは、一例として各停止ボタン5a~5cの押し順を報知して遊技者をアシストする遊技状態を挙げているが、これに限られず、例えば、第1リール(左リール41a)に停止すべき図柄を表示器8などの報知手段により表示するなどして、停止すべき図柄を報知して遊技者をアシストする遊技状態のATでも本発明を適用することができる。
【0049】
続いて、図11を参照しながら、AT状態への移行条件について説明する。
図11は、AT状態の遷移図であり、通常状態(非AT状態)と、AT状態とが示されている。
通常状態は、非AT状態であり、AT状態への移行は、非AT状態中の有利区間にて行われる。
AT状態への移行は、通常状態において、所定の特定役(例えば、レア役など)の当選を契機として、AT移行抽選が行われ、この抽選で当選することにより、その後、AT状態に移行する(図11の条件(e1))。
AT状態は、セット単位で管理されており、最大所定セット数(例えば、10セット)の特典が付与され、各セットが開始されるたびに、各セットで行われるゲーム数を、1セットゲーム数抽選によって、決定する。
そのため、主制御部10の記憶手段(RAM)には、10セット(完走)の途中の各セットの開始時に、セットごとで決定されるゲーム数が記憶される。
また、AT状態への移行は、AT移行抽選で当選する以外にも、天井ゲーム数に到達することでも移行する(図11の条件(e2))。
したがって、主制御部10は、AT移行抽選で非当選が続いた場合でも、天井ゲーム数に到達すれば、AT状態に移行するように制御することができ、天井ゲーム数に到達する前に、AT移行抽選で当選した場合には、AT状態に移行するようにも制御することができる。
【0050】
一方、AT状態の終了は、AT状態を継続するか否かを決定する継続抽選で非当選となった場合であって、この非当選を当選に書き換えるか否か決定する継続書換抽選においても、非当選となることで、終了する(図11の条件(f1))。
したがって、継続抽選又は継続書換抽選で当選しなければ、上限値である10セットまで継続することはできない構成になっている。
また、AT状態の終了は、継続抽選又は継続書換抽選で当選し続ければ、設定されたセット数の上限値(例えば、10セット)まで消化することで、終了する(図11の条件(f2))。
したがって、主制御部10は、継続抽選及び継続書換抽選で非当選になった場合には、AT状態を終了するように制御することができ、継続抽選又は継続書換抽選で当選し続けても、AT状態を10セット消化すれば、AT状態を終了するように制御することができる。
なお、セット数の上限値は、10セット以外にも、例えば、「50セット」など、適宜任意のセット数に変更することができる。
【0051】
[通常区間/有利区間]
このように、スロットマシン1は、主制御部10が遊技状態制御手段として機能することにより、複数のRT状態、ボーナス状態、及びAT状態(ART状態も含む)を制御している。
さらに、これらの遊技状態は、通常区間と、この通常区間よりも遊技者に有利な有利区間に区分される。
主制御部10は、以下に示す移行条件が成立することに基づいて、それぞれの区間を移行するように制御する。
【0052】
通常区間は、押し順(特定停止操作)に関する情報(特定情報)の報知が不能な区間である。
通常区間は、図12の条件(g)に示すように、内部抽選処理においてベル役、又はレア役に当選した場合に有利区間に移行する。
したがって、ベル役、又はレア役以外の役に当選した場合には、通常区間を維持し、一方、ベル役、又はレア役に当選した場合には、通常区間から有利区間へ移行するようになっている。
そのため、通常状態においても、通常区間と有利区間の双方に滞在する場合があるが、通常区間の滞在はすぐに終了するため、通常区間より有利区間に滞在していることがほとんどである。
【0053】
一方、有利区間は、押し順(特定停止操作)に関する情報(特定情報)の報知が可能な区間であり、AT状態(ART状態も含む)は、この有利区間に区分けされる。
また、有利区間は、AT状態が終了したとき、又は有利区間に移行後、以下に示す図12の条件(h1)~(h4)のうち少なくとも1つが成立したときに終了する。
<有利区間の終了条件>
(h1)AT状態を、10セット消化したこと
(h2)AT状態終了時に、有利区間での遊技回数が「800ゲーム」に到達したこと
(h3)AT状態終了時に、有利区間での獲得枚数が「1500枚」に到達したこと
(h4)有利区間のリミッタに到達したこと
【0054】
ここで、(h1)~(h4)に示す有利区間の終了条件について説明する。
まず、(h1)に示す有利区間の終了条件について説明する。
主制御部10は、ATカウンタを有しており、ATカウンタは、AT状態時中に行われるセット数をカウントし、そのカウンタ値が「0」になった時点で、AT状態の終了を判定するものである。
ATカウンタには、AT状態への移行を契機に、セット数の上限値(例えば、10セット)がセットされ、各セットが開始するたびに、カウントされる。
AT状態は、上述した通り、継続抽選又は継続書換抽選で当選し続ければ、設定されたセット数の上限値まで継続することができ、このセット数の上限値まで消化されることで、強制的に通常区間に移行し、ATカウンタが「10」にリセットされ、有利区間は終了する。
【0055】
次に、(h2)、(h3)に示す有利区間の終了条件について説明する。
主制御部10は、AT状態終了時に、有利区間中に行われるゲーム数と、有利区間中に獲得するメダルの獲得枚数とをそれぞれカウントする有利区間カウンタを有しており、これらをカウントする。
具体的には、有利区間カウンタには、有利区間への移行を契機に、有利区間中に行われるゲーム数の特定回数(例えば、800ゲーム)と、有利区間中に獲得する獲得枚数の特定枚数(例えば、1500枚)とがそれぞれセットされる。
有利区間カウンタは、ゲームが行われる(ゲームの開始操作を受け付ける)たびに、又は遊技者がメダルを獲得するたびに、カウントされる。
そして、(h2)、(h3)の条件のうち何れかが成立した場合には、有利区間には滞在することはできず、強制的に通常区間に移行するとともに、有利区間カウンタで管理される特定回数及び特定枚数は、「800ゲーム」及び「1500枚」にそれぞれリセットされる。
【0056】
最後に、(h4)に示す有利区間の終了条件について説明する。
主制御部10は、(h2)、(h3)の条件とは別に、有利区間のリミッタに到達した場合にも、有利区間を終了し、強制的に通常区間に移行する。
有利区間のリミッタとは、有利区間に滞在中、ゲーム数が終了値(リミッタ)である「1500ゲーム」に到達したこと、又は有利区間に滞在中、メダルの獲得枚数が終了値(リミッタ)である「2400枚」に到達したことの何れかの条件を満たしたときである。
そして、(h4)の条件を満たしたときには、AT状態のゲーム数が残っている場合でも、通常区間に移行することになり、有利区間カウンタで管理されるゲーム数及び獲得枚数の終了値(リミッタ)は、「1500ゲーム」及び「2400枚」にそれぞれリセットされる。
なお、この有利区間中の遊技回数の終了値(リミッタ)は、1500ゲーム以下が好ましく、例えば、500ゲームや1000ゲームなど、適宜任意のゲーム数にしても良く、さらには、遊技場の管理者によって、任意のゲーム数に変更できるようにしても良い。
さらに、有利区間中の獲得枚数の終了値(リミッタ)も、2400枚以下が好ましく、例えば、1000枚や1500枚などに適宜任意の枚数にしても良く、さらには、遊技場の管理者によって、任意の枚数に変更できるようにしても良い。
【0057】
したがって、有利区間は、通常区間から移行し、再度、通常区間に移行するまで継続して滞在できる区間となっており、主制御部10は、計数手段として機能することにより、AT状態中に管理されるセット数と、有利区間中に遊技が行われた遊技回数及び遊技者が獲得した獲得枚数とをそれぞれカウントする。
また、上述したモード抽選処理は、図12の条件(h1)~(h4)の何れか1つが成立し、通常区間に移行した後に行われる。
なお、AT状態中に管理されるセット数、有利区間中に管理されるゲーム数及び獲得するメダルの獲得枚数のカウント方法は、加算式、又は減算式の何れでも良い。
また、AT終了時に、上述した通常区間への移行条件(図12の条件(h1)~(h4))のうち、何れかの条件を満たした場合に、モードの移行抽選処理を行わずに、通常区間に移行する構成となっているが、通常区間への移行条件((h4)を除く移行条件)を満たした場合でも、通常区間には移行せずに、有利区間を継続させる構成としても良い。
【0058】
ここで、AT移行抽選処理及び1セットゲーム数抽選処理について説明する。
まず、AT移行抽選処理について説明する。
図13は、主制御部10が、AT状態への移行抽選に用いる抽選テーブルを示している。
AT状態への移行抽選は、有利区間であって非AT状態中に、内部抽選処理において、レア役であるチャンス目役、スイカ役、弱チェリー役、強チェリー役の何れかに当選したときに取得するAT状態への移行抽選用の乱数の判定により行われる。
図13に示す抽選テーブルは、取得する乱数の取得範囲(個数)を256個とし、当たり値(当選)及びハズレ値(非当選)が、当選役ごとにそれぞれ異なっており、抽選結果と、レア役とに対応付けて規定される。
このとき、主制御部10は、第1遊技状態中(非AT状態中)に行われる役抽選手段(内部抽選処理)による抽選結果が特定役(例えば、レア役)である場合に、第2遊技状態(AT状態)へ移行するか否かの抽選を行う移行抽選手段として機能する。
そして、主制御部10は、移行抽選手段として機能したときに、その抽選結果が当選である場合には、計数手段として機能したときに、その計数結果が特定回数(天井ゲーム数)に到達する前であっても、第2遊技状態(AT状態)へ移行するように制御する。
【0059】
具体的には、チャンス目役は、当たり値(当選)が232個で、ハズレ値(非当選)が24個に設定されていることから、チャンス目役の当選時には、256個中232個(約1/1.1)の確率で抽選に当選する。
スイカ役は、当たり値(当選)が248個で、ハズレ値(非当選)が8個に設定されていることから、スイカ役の当選時には、256個中248個(約1/1.0)の確率で抽選に当選する。
弱チェリー役は、当たり値(当選)が250個で、ハズレ値(非当選)が6個に設定されていることから、弱チェリー役の当選時には、256個中250個(約1/1.0)の確率で抽選に当選する。
強チェリー役は、当たり値(当選)が208個で、ハズレ値(非当選)が48個に設定されていることから、強チェリー役の当選時には、256個中208個(約1/1.2)の確率で抽選に当選する。
【0060】
このように、AT状態の当選確率は、レア役の中でも、弱チェリー役に当選したときが最も高く、一方、強チェリー役に当選したときが最も低く設定されている。
そのため、遊技者にとっては、AT移行抽選処理で強チェリー役よりも、弱チェリー役に当選した方が、好ましいといえる。
したがって、レア役の中でも、弱チェリー役に当選した場合は、遊技者が当選に対する期待を高められるようになっている。
なお、スロットマシン1に設定される全ての設定値で同一のAT移行抽選テーブルを用いているが、これに限られず、設定値ごとに当選確率を変化させて、高設定の方がAT状態に当選しやすい構成としても良い。
また、AT移行抽選の当選確率の状態を、「低確率状態」と「高確率状態」の2つの状態に分けて、「低確率状態」では、図13に示す抽選テーブルを用いて、「高確率状態」では、図13に示すAT移行抽選テーブルよりも一部、又は全てのレア役において、当選確率が高い抽選テーブルを用いる構成としても良い。
また、全てのモードで同一のAT移行抽選テーブルを用いているが、これに限られず、AT移行抽選の当選確率において、「低モード」<「中モード」<「高モード」<「天国モード」という関係性を持つようにモードごとに当選確率が異なるAT移行抽選テーブルを用いる構成としても良い。
【0061】
次に、10セットから構成されるAT状態における1セットのゲーム数を決定する抽選処理について説明する。
図14は、各セットで行われるゲーム数の抽選に用いる1セットゲーム数抽選テーブルを示している。
1セットゲーム数の抽選は、1~9セット目に関して、各セットが開始するたびに、モード抽選処理によって決定されたモードに基づく1セットゲーム数の抽選用の乱数の判定により行われる。
1セットゲーム数抽選テーブルは、取得する乱数の取得範囲(個数)を256個とし、当たり値(当選)が、モードごとにそれぞれ異なっており、付与される1セットのゲーム数と、モードとを対応付けて規定する。
【0062】
例えば、1セットゲーム数は、「低モード」の場合、256個中の112個(約1/2.2の確率)の確率で「20ゲーム」が当選し、256個中の96個(約1/2.6の確率)の確率で「30ゲーム」が当選し、256個中の48個(約1/5.3の確率)の確率で「50ゲーム」が当選することとなる。
一方、「天国モード」の場合、256個中の240個(約1/1.0の確率)の確率で「20ゲーム」が当選し、256個中の10個(約1/25.6の確率)の確率で「30ゲーム」が当選し、256個中の6個(約1/42.6の確率)の確率で「50ゲーム」が当選するため、高確率で「20ゲーム」が当選することになる。
【0063】
このように、1セットのゲーム数を決定する抽選処理では、「天国モード」よりも「低モード」の方が多いゲーム数が当選しやすい構成になっている。
すなわち、1セットのゲーム数は、「天国モード」<「高モード」<「中モード」<「低モード」の順で、多くなるような構成になっている。
これは、天井ゲーム数の少ないゲーム数が選ばれやすいモード(例えば、「天国モード」)ほど、1セットのゲーム数が少なくなるように制御することで、遊技者に対し過度にメダルが払い出されないようにするためである。
なお、10セット目は、「エンディング」として、「50ゲーム」が固定で設定されるように制御されるため、図14に示す抽選テーブルが用いられることはないが、10セット目においても、他のセットと同様に、1セットゲーム数抽選テーブルを用いて、1セットのゲーム数を抽選で決定する構成としても良い。
また、1セットのゲーム数を決定する抽選処理では、天井ゲーム数が多いゲーム数が選ばれやすいモード(「低モード」)ほど、1セットのゲーム数が多くなるように制御しているが、反対に、天井ゲーム数が少ないゲーム数が選ばれやすいモード(例えば、「天国モード」)ほど、1セットのゲーム数が多くなるように制御しても良い。
この場合、遊技者は、多くのメダルを獲得できる機会が増えるため、より「天国モード」に対する期待感を与えることができる。
また、スロットマシン1に設定される全ての設定値で同一の1セットゲーム数抽選テーブルを用いているが、高設定ほど、多いゲーム数が当選しやすいように、一部の設定、又は全設定において、1セットゲーム数抽選テーブルを異ならせる構成としても良い。
【0064】
次に、AT状態に移行後、AT状態を継続するか否かを抽選する継続抽選処理について説明する。
図15は、主制御部10が継続抽選処理に用いる抽選テーブルを示している。
図15に示すように継続抽選処理は、モードごとに異なる継続抽選テーブルが用いられ、取得する乱数の取得範囲(個数)を256個とし、設定値(設定1~6)ごとに割り振られる乱数値の個数が異なっており、当たり値(継続)及びハズレ値(非継続)が、抽選結果と、設定値ごとに対応付けて規定される。
【0065】
具体的には、継続抽選は、AT状態において、AT状態を、次のセットに継続させるか否かを抽選する。
継続抽選は、AT状態に当選したときのモードに応じて、用いる継続抽選テーブルが異なっており、同一モードでも、設定される設定値によって、当たり値(継続)が当選する確率が異なるように制御される。
また、「天国モード」を除く「低モード」、「中モード」及び「高モード」では、1,2,4~8セット目(3,9,10セット目を除く)の開始時に、図15(a)~(c)に示す継続抽選テーブルを用いて、継続抽選を行うことになる。
一方、「天国モード」では、1~9セット目(10セット目を除く)の開始時に、図15(d)に示す継続抽選テーブルを用いて、継続抽選を行うことになる。
したがって、「低モード」、「中モード」及び「高モード」では、3,9セット目は、必ず継続することになり、「天国モード」を含む、4つの全てのモードで、10セット目で、必ず終了することになる。
【0066】
また、AT状態の継続を決定する抽選処理では、「天国モード」よりも「低モード」の方が当たり値(継続)が当選しやすい構成になっている。
すなわち、AT状態は、「天国モード」<「高モード」<「中モード」<「低モード」の順で、継続し易い構成になっている。
これは、天井ゲーム数が少ないゲーム数が選ばれやすいモード(例えば、「天国モード」)ほど、AT状態が継続されにくく制御することで、遊技者に対し過度にメダルが払い出されないように出玉調整するためである。
なお、継続抽選において、モードごとで異なる抽選テーブルを用いた例を説明したが、この他にもセットごとで異なる抽選テーブルを用いて、セットごとに継続する確率が異なる構成としても良い。
【0067】
さらに、継続抽選において、抽選結果として、「非当選」が決定された場合には、継続書換抽選が行われる。
図16は、AT状態中に、継続抽選で、「非当選」が決定された場合に、用いられる継続書換抽選テーブルである。
この継続書換抽選テーブルは、取得する乱数の取得範囲(個数)を256個とし、当たり値(継続)及びハズレ値(非継続)が、当選役ごとにそれぞれ異なっており、抽選結果と、当選役とに対応付けて規定される。
そして、継続書換抽選テーブルは、継続抽選の結果が「非継続」の場合に、「継続」に書き換える抽選を行うための抽選テーブルである。
したがって、継続書換抽選において、「継続」が当選した場合には、たとえ、継続抽選の結果が「非継続」であっても、「継続」に書き換えられることになる。
また、図16に示す継続書換抽選テーブルの「その他」は、レア役以外の役のことである。
【0068】
具体的には、継続書換抽選テーブルでは、レア役以外の役(その他)でも、当たり値(継続)が当選する可能性があるが、レア役に比べるとかなり低い当選確率(256個中の1個(約1/256の確率))となっている。
チャンス目役は、当たり値(継続)が56個で、ハズレ値(非継続)が200個に設定されていることから、チャンス目役の当選時には、256個中56個(約1/4.5)の確率で抽選に当選する。
スイカ役は、当たり値(継続)が16個で、ハズレ値(非継続)が240個に設定されていることから、スイカ役の当選時には、256個中16個(約1/16.0)の確率で抽選に当選する。
弱チェリー役は、当たり値(継続)が12個で、ハズレ値(非継続)が244個に設定されていることから、弱チェリー役の当選時には、256個中12個(約1/21.3)の確率で抽選に当選する。
強チェリー役は、当たり値(継続)が96個で、ハズレ値(非継続)が160個に設定されていることから、強チェリー役の当選時には、256個中96個(約1/2.6)の確率で抽選に当選する。
【0069】
このように、継続書換抽選における当たり値(継続)の当選確率は、強チェリー役に当選したときが最も高く設定されている。
したがって、レア役の中でも、強チェリー役に当選した場合は、遊技者が当選に対する期待を高められるようになっている。
また、継続書換抽選では、継続抽選とは異なり、4つの全てのモードにおいて同一の抽選テーブルが用いられ、10セット(完走)の途中の各セットの開始時に行われる継続抽選又は継続書換抽選で継続(当選)し続ければ、10セットまで完走することになる。
なお、継続書換抽選テーブルを、セット数上乗せ抽選テーブルとして、取り扱うことで、セットの「継続」、又は「非継続」に関わらず、AT状態中にセット数の上乗せの抽選を行う構成としても良い。
この場合、継続書換抽選テーブルの「継続」に当選した場合には、セット数に「1」を上乗せ(加算)し、「非継続」の場合には、セット数の上乗せは行われないようにすることで、実現することができる。
また、スロットマシン1に設定される全ての設定値で同一の継続書換抽選テーブルを用いているが、高設定ほど、「継続」に当選しやすいように、一部の設定又は全設定において、継続書換抽選テーブルを異ならせる構成としても良い。
また、AT状態の当選時に滞在しているモードに関わらず、同一の当選確率で、継続書換抽選を行う構成となっているが、これに限られない。
例えば、AT状態の当選時に滞在しているモードごとに、異なる当選確率で、継続書換抽選を行う構成としても良い。
【0070】
次に、図17を参照して、擬似ボーナス(AT(ART)状態)の終了後における次回のモード移行率について説明する。
図17は、次回のモード移行率を示すシナリオテーブルである。
図17に示すように、AT状態は、1~10セットまでをグループ化したシナリオとして管理され、セットごとに、上述の通り所定の条件が成立することで、次のセットに進める構成となっている。
また、「天国モード」以外のモード(「低モード」、「中モード」、「高モード」)では、「3セット目」及び「9セット目」において、継続抽選処理が行われることが無く、必ず継続することになっているため、ハイフンで示している。
次回のモードへの移行率は、擬似ボーナスの当選時のモードごとに、擬似ボーナスが終了したときのセット数に応じて、設定されている。
したがって、擬似ボーナスの終了後におけるモードは、擬似ボーナスの当選時のモード、すなわち擬似ボーナスに移行する前の非AT状態におけるモードと、擬似ボーナス終了時のセット数、すなわち擬似ボーナスが連荘した回数によって、対応付けて記憶される。
そして、主制御部10は、この記憶したモード移行率を示すシナリオテーブルを用いて、AT状態終了後の次回のモードを決定する。
なお、擬似ボーナスの当選時のモードを、擬似ボーナス中のモードとして扱い、擬似ボーナス中のモードと擬似ボーナス終了時のセット数とに基づいて、擬似ボーナス終了時に移行するモードを決定する構成としても、同様の効果が得られる。
【0071】
以下、図17に示すシナリオテーブルを用いた複数例を示し、AT状態の当選時のモードとAT状態終了時のセット数とに対応付けられて、決定されるモード移行率について説明する。
まず、AT状態の当選時のモードが「低モード」であり、AT状態が「5セット目」で終了した場合を一例として説明する。
この場合は、AT状態の終了後の次回に移行するモードとして、「低モード」が80%の確率で当選し、「中モード」が10%の確率で当選し、「高モード」及び「天国モード」がともに5%の確率で当選することになる。
そのため、次回に移行するモードは、「低モード」である可能性が高いため、遊技者に対し過度にメダルが払い出されないようにするための出玉調整を行うことができる。
次に、AT状態の当選時のモードが4つの何れかのモードであり、AT状態が「2セット目」、又は「8セット目」で終了した場合を一例として説明する。
この場合は、「低モード」、「中モード」及び「高モード」の当選確率が何れも0%で、「天国モード」の当選確率が100%となっているため、必ず「天国モード」が次回に移行するモードとして決定される。
最後に、AT状態の当選時のモードが「天国モード」であり、AT状態が「9セット目」で終了した場合を一例として説明する。
この場合は、「天国モード」以外の「9セット目」は、必ず継続するため、「天国モード」でのみ「9セット目」で終了し、「天国モード」の当選確率が100%となっているため、「天国モード」が次回に移行するモードとして決定される。
【0072】
このように、AT状態の当選時のモードと、AT状態終了時のセット数に応じて、次回に移行するモードが決定され、しかもモードごとの移行率が一律ではないため、魅力ある遊技性を作ることができる。
そのため、遊技者は、「このモードとこのセット数で、AT状態が終了したら次はどのモードに・・・%で移行する可能性が高いな」などと次回のモードの移行比率を予測しながら遊技を行うことができ、遊技者に対し複雑で面白みのある遊技性を提供することができる。
すなわち、主制御部10は、第2遊技状態(AT状態)の終了後におけるモードを、第2遊技状態(AT状態)の継続に関する情報である継続情報(AT状態が連荘した回数)と、第2遊技状態(AT状態)に移行する前の第1遊技状態(非AT状態)におけるモードと、に基づいて制御するモード制御手段として機能する。
【0073】
本実施形態におけるスロットマシン1は、モード制御でもなくシナリオ制御でもない、モード制御とシナリオ制御を組合わせて、次回の遊技に関する情報を決定する。
その結果、モード制御のときに発生していた「天国モード」への移行が難しい点、同じモードを繰り返すといった点、次回に移行するモードがワンパターンであるため、推測が容易で、次の当選に対する期待感が少ないといった点などを解消することができる。
また、シナリオ制御のときに発生していた期待度の低いシナリオが当選したことを知ったときに、遊技者が遊技を継続する意思を喪失しかねないといった点を解消することができるため、従来にはない遊技性を提供することができる。
また、各モードへの移行と、図17のシナリオテーブルのAT状態が「5セット目」で行ったような出玉調整を、1つのシナリオテーブルで行えるため、メモリ容量の減少が見込める。
また、「5セット目」のような「天国モード」に移行しづらいセットを設けることで、過度な出玉を抑制することができる。
なお、図17に示すシナリオテーブルを複数用いることにより、より遊技者に対し複雑で面白みのある遊技性及び設定差を提供することもできる。
【0074】
[通常状態中に表示される演出画面]
次に、通常状態中(非AT状態中)における演出画面について説明する。
図18は、通常状態中(非AT状態中)に、表示器8に表示される演出画面の一例を示す図である。
図18(a)~(d)は、表示器8に表示される各モードにおける演出画面を示しており、(a)は、「低モード」時、(b)は「中モード」時、(c)は「高モード」時、(d)は「天国モード」時をそれぞれ示している。
図18に示すように表示器8に表示される演出画面の右上には、遊技状態が非AT状態であることを示す「通常モード」の文字が表示されている。
また、通常状態中(非AT状態中)では、上述した4つの何れのモードに滞在していても、同一のキャラクタ(例えば、仙人)が表示され、滞在してるモードを認識し難い構成となっている。
これは、表示されたキャラクタが発するセリフの内容やAT状態への移行に係る前兆演出が発生するゲーム数によって、滞在しているモードを遊技者に対し示唆するためである。
例えば、キャラクタが発するセリフには、「修行が足りん」、「まだまだ」、「あと一歩」、「その調子」などがあり、「修行が足りん」<「まだまだ」<「あと一歩」<「その調子」の順で、「低モード」から「天国モード」をそれぞれ示唆している。
なお、例えば、「低モード」時の演出画面においても「中モード」時に最も選択され易い「まだまだ」というセリフが表示されるなど、モードごとで最も選択され易いセリフ以外のセリフが表示されることもある。
【0075】
また、図19に示すように前兆演出が発生するゲーム数によっても、滞在しているモードを示唆する構成になっている。
前兆演出とは、AT状態へ移行する可能性があることを、遊技者に対し予感させる演出のことをいい、複数ゲームに亘って実行される演出のことを示す。
例えば、この前兆演出が発生するゲーム数が「351~400G」の場合は、「中モード」であることを示唆し、「300~350G」の場合は、「高モード」であることを示唆し、「1~200G」の場合は、「高モード」又は「天国モード」であることを示唆する構成になっており、前兆演出が早く発生すれば、遊技者に有利なモードであることを示している。
したがって、前兆演出の発生するゲーム数は、滞在するモードによって異なるため、遊技者は、前兆演出の発生するゲーム数を確認しておけば、滞在するモードを認識できるようになっている。
なお、演出画面の右上の表示される滞在しているモードを示唆する表示内容は、「通常モード」以外にも、「低モード」や「中モード」などのように、明確に滞在しているモードを表示するようにしても良い。
【0076】
[AT状態中に表示される演出画面]
続いて、AT状態中における演出画面について説明する。
図20は、AT状態中に、表示器8に表示される演出画面の一例を示す図である。
図20(a)~(d)は、各モードにおける演出画面を示しており、図18に示す通常状態と同様に、(a)は、「低モード」時、(b)は「中モード」時、(c)は「高モード」時、(d)は「天国モード」時をそれぞれ示している。
AT状態中に表示器8に表示される演出画面の右上には、遊技状態がAT状態であることを示す「ATモード」の文字が表示されている。
また、AT状態中は、演出画面の左上に、AT状態中に獲得したメダルの総獲得枚数が表示され、演出画面の左下に、1セットにおける残りゲーム数/1セットにおける全ゲーム数(消化可能ゲーム数)が表示される。
また、AT状態では、通常状態(非AT状態)とは異なり、4つのモードごとで、異なるキャラクタが表示されるため、滞在しているモードを、遊技者が確実に認識できるようになっている。
【0077】
例えば、図20及び図21に示すように、キャラクタとして、「仙人」が表示された場合には、「全モード」の何れかであることを示唆し、「熊」が表示された場合には、「中モード」であることを示唆し、「ミイラ男」が表示された場合には、「高モード」であることを示唆し、「宇宙人」が表示された場合には、「天国モード」であることを示唆する構成になっている。
したがって、遊技者は、「仙人」<「熊」<「ミイラ男」<「宇宙人」の順で、ゲームへの期待度が高められるようになっており、一目で滞在しているモードを認識できる構成になっている。
なお、例えば、「高モード」時の演出画面においても「中モード」時に最も選択され易い「熊」が表示されるなど、モードごとで最も選択され易いキャラクタ以外のキャラクタが表示されることもある。
【0078】
このように、表示器8は、報知手段として機能し、モードに関する情報である特別情報(例えば、キャラクタ)を報知可能であり、第1遊技状態(非AT状態)では、モード制御手段(例えば、主制御部10)により制御される全てのモードで、同一の特別情報(キャラクタ)が報知され、第2遊技状態(AT状態)では、モード制御手段(主制御部10)により制御されるモードごとで、異なる特別情報(キャラクタ)が報知される。
なお、AT状態中は、表示器8に異なるキャラクタを表示することで、AT状態の当選時のモードを示唆しているが、これに限られず、AT状態の開始から終了までの何れかのタイミングでAT状態の当選時のモードを報知するようにしても良い。
この場合、遊技者が次回のモードの移行比率を認識できるようになるため、遊技の興趣が向上する。
また、AT状態中にモードを示唆する方法は、モードごとで異なるキャラクタを表示器8に表示する以外にも、モードごとで異なる楽曲をスピーカ9から流したり、モードごとで異なる場所のランプ11を点灯又は消灯させることで、モードを示唆する構成としても良い。
【0079】
以上のように、本実施形態における遊技機によれば、擬似ボーナス当選時(例えば、AT状態の当選時)の「モード」と、この擬似ボーナス終了時の「継続数」に対応付けて、次回の「モード」を決定するように制御される。
そのため、擬似ボーナス当選時の「モード」と、擬似ボーナス終了時の「継続数」によって、通常状態の天井ゲーム数が規定される複数の「モード」のうち、どの「モード」に移行し易いかという確率が異なるため、擬似ボーナスと、この擬似ボーナス終了後に移行する通常状態の天井ゲーム数に関連性を持たせることができ、擬似ボーナスが終了することによって、遊技の興趣を向上させることができる。
すなわち、遊技者は、期待感が低下することなく遊技を継続することができる。
【0080】
一方、従来の遊技機では、特許文献1に開示されているように、本発明のように擬似ボーナス終了時の「継続数」と、擬似ボーナス終了後に移行する通常状態の天井ゲーム数に関連性がないため、擬似ボーナスが終了することによって、遊技の興趣を向上させることができなかった。
本発明の遊技機によれば、従来の遊技機が改善すべきこのような課題の全部又は一部を解決することができる。
【0081】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明における遊技機は上述した実施形態にのみに限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能である。
例えば、本実施形態では、本発明をスロットマシン1に適用して説明したが、これに限るものではなく、例えば、パチンコ機など、その他の遊技機にも適用することができる。
また、メダル、遊技球などの現物の遊技媒体を用いることなく、データ形式の擬似遊技媒体を用いてゲームを行う、いわゆる封入式遊技機にも適用することができる。
また、上述した各種抽選テーブルにおける当選値やその当選値の区分けなどは、一例であり、他の当選値やその当選値の区分けを用いることもできる。
さらには、遊技機に設定される設定値ごとに各種抽選テーブルにおける当選値やその当選値の区分けを変更することもできる。
また、本実施形態では、セット単位で管理するAT状態において本発明を適用した場合を一例として説明したが、この他にも、ゲーム数、小役(例えば、押し順ベル)の当選数、又は入賞数、遊技者に払い出された払出枚数、投入した投入枚数と払い出された払出枚数の差である差枚数など、異なる数値によって、管理するAT状態に本発明を適用することもできる。
また、各セット数において、セット数、又はゲーム数の上乗せを行う構成としても良い。
また、AT状態において、前セットの終了ゲームの次ゲームにおいて、次セットのAT状態が開始する構成としているが、これに限られず、各セットの間に、所定ゲーム数(例えば、10ゲーム)のインターバルを設け、所定ゲーム数のインターバルが終了した後に、次セットのAT状態を開始するなど適宜変更することもできる。
例えば、各セットの間は、AT状態中よりも遊技者がメダルを獲得する期待度が低い状態とし、AT状態中においては、AT状態のゲーム数の上乗せ確率が高確率となる、いわゆる「特化ゾーン」を設けることもできる。
【符号の説明】
【0082】
1 スロットマシン(遊技機)
8 表示器(報知手段)
9 スピーカ
10 主制御部(遊技状態制御手段、モード制御手段、計数手段、特定回数決定手段、役抽選手段、移行抽選手段)
12 ナビランプ
20 副制御部
41 リール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21