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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
A63F5/04 602A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019221400
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021090492
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 将治
(72)【発明者】
【氏名】岩田 旭
(72)【発明者】
【氏名】小林 大悟
【審査官】岡崎 彦哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-103987(JP,A)
【文献】特開2014-026813(JP,A)
【文献】特開2015-216027(JP,A)
【文献】特開平08-298042(JP,A)
【文献】特開2014-044833(JP,A)
【文献】特開2015-073840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者が押圧操作するボタン装置を備える遊技機であって、
前記ボタン装置は、
遊技者が押圧する部分であり、押圧操作に応じて押圧方向に剛性を有する形態で移動可能に支持されるトップ部と、
前記トップ部を支持し、前記トップ部が押圧されることに応じて弾性変形する複数のドーム部を有するラバー部とを備え、
前記ドーム部は、
前記トップ部側に膨らむドーム状であり、
前記トップ部が押し下げ方向に移動することに応じて、屈曲することなく変形し、
前記ドーム部の裏面に設けられ、前記ボタン装置が押圧操作されることに応じて電気基板のパターン設置部に接触することにより配線パターン間を短絡させて導通させる導通部を備え、
前記ボタン装置は、
遊技者の操作に応じて前記トップ部が移動可能なストローク範囲では、前記ドーム部が屈曲しないことによりクリック感を付与せず、
前記ドーム部及び前記パターン設置部の組み合わせが、円環状の範囲に複数設けられている
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記ラバー部を通過後、前記トップ部に到達する光を発する発光部を備え、
前記ラバー部は、
前記発光部が発した光を拡散させながら通過させて、前記トップ部に向けて出光する
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記トップ部の表面は、
微小な深さの凹部状に形成されていること
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記ボタン装置は、
押圧操作が可能であり、遊技機の電気回路のスイッチ機能を有さない少なくとも1つのダミーボタン部を備え、
前記ダミーボタン部は、
遊技者が押圧する部分であり、押圧操作に応じて押圧方向に剛性を有する形態で移動可能に支持されるダミーボタントップ部と、
前記ダミーボタントップ部が押圧されることに応じて弾性変形し前記ダミーボタントップ部側に膨らむドーム状のダミーボタンドーム部を有するダミーボタンラバー部とを備える
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記ボタン装置の前記トップ部の操作に応じて表示が変化可能な表示部を備え、
前記表示部は、
遊技者が前記ボタン装置の各ボタンを手で操作している状態において、前記手で覆える
程度の範囲内に配置されている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押しボタンを備える遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技者が操作することにより、ボーナスの成立状態等を告知可能な告知ボタンを備える遊技機があった(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-312998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の遊技機は、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、遊技者が押圧操作するボタン装置を備える遊技機であって、前記ボタン装置は、遊技者が押圧する部分であり、押圧操作に応じて押圧方向に剛性を有する形態で移動可能に支持されるトップ部と、前記トップ部を支持し、前記トップ部が押圧されることに応じて弾性変形する複数のドーム部を有するラバー部とを備え、前記ドーム部は、前記トップ部側に膨らむドーム状であり、前記トップ部が押し下げ方向に移動することに応じて、屈曲することなく変形し、前記ドーム部の裏面に設けられ、前記ボタン装置が押圧操作されることに応じて電気基板のパターン設置部に接触することにより配線パターン間を短絡させて導通させる導通部を備え、前記ボタン装置は、遊技者の操作に応じて前記トップ部が移動可能なストローク範囲では、前記ドーム部が屈曲しないことによりクリック感を付与せず、前記ドーム部及び前記パターン設置部の組み合わせが、円環状の範囲に複数設けられている構成にした。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の遊技機の斜視図である。
図2】実施形態の遊技機のブロック図である。
図3】実施形態のボタン装置の分解斜視図及び組み立てた状態の斜視図である。
図4】実施形態のボタン装置の分解斜視図及び組み立てた状態の斜視図である。
図5】実施形態のボタン装置を前側から見た図である。
図6】ボタン装置を下側から見た断面を拡大した図である。
図7】実施形態のボタン装置の大ボタン部の操作感と、一般的なボタン装置の操作感との違いを説明する模式的な断面図である。
図8】実施形態のボタン装置、表示窓近傍を示す図である。
図9】実施形態のスピーカ部の分解斜視図及び組み立てた状態の斜視図である。
図10】実施形態のスピーカ部の分解斜視図及び組み立てた状態の斜視図である。
図11】実施形態のスピーカ部を前側から見た図である。
図12】実施形態の意匠部材を取り外した状態のスピーカ部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明する。
実施形態では、遊技機1は、スロットマシンである例を説明するが、これに限定されず、パチンコ機等の種々の遊技装置であってもよい。
図1は、実施形態の遊技機1の斜視図である。
図1(A)は、遊技機1を前側Y1から見た斜視図である。
図1(B)は、前扉1bを開いた状態の斜視図である。
図2は、実施形態の遊技機1のブロック図である。
【0008】
実施形態、図面では、適宜、XYZ直交座標系を用いて説明する。この座標系は、図1に示すように、遊技機1の左右方向X(左側X1、右側X2)、前後方向Y(前側Y1(正面側)、後側Y2(背面側))、鉛直方向Z(下側Z1、上側Z2)を表す。
図1に示すように、本実施形態の遊技機1は、複数のリール4a,4b,4cを回転させることによって、遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
【0009】
図1図2に示すように、本実施形態の遊技機1は、回動可能に軸支された複数のリール4a,4b,4cが内蔵され前側Y1が開口した筐体1aと、筐体1aの前側Y1を開閉可能に覆う前扉1bとで構成されている。遊技機1の内部には、マイクロコンピュータ等で構成された主制御部10、主制御部10からの指令により、ランプユニット9、表示ユニット20、ボタン装置30、スピーカ部60等を制御する副制御部11、及び必要な機械、装置等が収納されている。
【0010】
前扉1bは、遊技機1の筐体1aにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられる扉体で、この前扉1bに遊技操作に係る複数の操作部が設けられて、遊技機1の正面部を構成している。
【0011】
前扉1bには、操作部として、例えば、メダルが投入されるメダル投入口2と、装置内部にクレジットとして貯留されたメダルをゲームに投じるベットボタン2aと、各リール4a,4b,4cの回転を始動させるスタートレバー3と、回転している各リール4a,4b,4cを停止させる3つの停止ボタン5a,5b,5c等が設けられている。
【0012】
筐体1aには、リール4a,4b,4cと、各リール4a,4b,4cを回転させる図示しないモータ及び回転位置を検出するセンサ等を備えるドラムユニット4が設けられる。
【0013】
前扉1bの中央には、アクリル樹脂等の透光部材から形成された中パネル6が装着されている。 中パネル6の中央部分には、各リール4a,4b,4cに表示された図柄を視認できる表示窓6aを備えている。
【0014】
筐体1aの下部には、メダルを貯留、払出するメダル払出装置7が設けられる。メダル払出装置7には、メダルを貯留するホッパー7aが設けられ、メダル投入口2より投入されたメダルは、メダルセレクタ2bにより検出されるとともに、ホッパー7aに誘導されるようになっている。
【0015】
主制御部10は、メインCPU、メインROM、メインRAM等が一体化された制御用チップの搭載された主基板、これを収容する基板ケース等から構成され、上記の各操作部からの信号やメダルセレクタ2bからの信号に基づき、ドラムユニット4、メダル払出装置7等の各装置を制御することで、以下のようなスロットマシン遊技を進行させる。
【0016】
遊技者によりメダル投入口2からメダルが投入されると、メダルがメダルセレクタ2bにより検出され、検出信号が主制御部10に入力される。また、ベットボタン2aが操作された場合は、その操作信号が主制御部10に入力される。主制御部10は、これらの信号の入力の有無からゲーム可能なメダル数を監視するとともに、スタートレバー3の操作を監視する。
ゲーム開始可能なメダル数となったときに、スタートレバー3が操作されると、主制御部10は、ドラムユニット4を駆動して、各リール4a,4b,4cを回転させる制御を行う。
【0017】
さらに、主制御部10は、スタートレバー3が操作されたときに、ボーナス遊技に移行する開始役であるボーナス役、小役、再遊技役等の複数の当選役(ハズレも含む)の中から今回ゲームの抽選結果をリール4a,4b,4cの停止前に事前に決定する内部抽選を行い、各停止ボタン5a,5b,5cが押下操作されたタイミングに基づき、抽選結果に応じた図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール4a,4b,4cの停止制御を行う。
【0018】
また、主制御部10は、各リール4a,4b,4cに停止表示される図柄の組合せを判定し、所定の図柄の組合せのときには、メダル払出装置7に対して所定数のメダルを払い出す制御を行い、メダルをメダル払出口7bから払い出す。
【0019】
上記スロットマシン遊技では、主制御部10は、所定の遊技タイミング(例えば、スタートレバー操作、停止ボタン操作、ボーナスゲーム開始、ボーナス役当選等)において所定の制御信号を副制御部11に出力する。副制御部11は、この制御信号に従い、予め記憶した演出プログラムに基づき、ランプユニット9、表示ユニット20、スピーカユニット65等の報知手段を制御して、所定の遊技演出を行うようになっている。
【0020】
また、主制御部10から副制御部11に出力される制御信号には、例えば、スタートレバー操作、停止ボタン操作、ボーナスゲーム開始等の遊技の進行を示す制御信号の他に、内部抽選の結果当選した抽選対象を示す当選対象信号(例えば、当選したボーナス役の種類(ビッグボーナス、レギュラーボーナス)、当選した小役の種類、再遊技役、ハズレ等を示す信号)等がある。
【0021】
副制御部11は、主制御部10と同様にコンピュータとして構成され、スピーカユニット65、表示ユニット20等を制御することで、所定の音響演出や表示演出を行う。
副制御部11は、サブCPU、サブROM、サブRAM等の演出用チップの搭載された副基板、これを収容する基板ケース等から構成され、サブCPUがサブROMに記憶されたプログラムを実行処理することで、表示ユニット20に所定の表示態様で表示演出を行わせるとともに、スピーカユニット65から所定の音データを出力させ、さらに、ランプユニット9の点灯制御を行う。
【0022】
このような構成からなる副制御部11は、サブCPUが、主制御部10からの制御信号に基づいて遊技機1のそのときの状態を判定し、その状態に応じた演出を行うようにスピーカユニット65、ランプユニット9、表示ユニット20を制御する。
例えば、主制御部10から内部抽選の結果当選した抽選対象を示す当選対象信号としてボーナス役の当選を示す制御信号を受信したときには、表示ユニット20を制御してボーナス当選に係る表示演出を行わせる。
また、ボーナス遊技に移行後は、ランプユニット9を所定のタイミングで点滅させるとともに、ファンファーレ音等の所定の効果音をスピーカユニット65から出力させる。
【0023】
また、遊技機1は、表示ユニット20、ボタン装置30、スピーカ部60を備える。
【0024】
[表示ユニット20、ボタン装置30に関連する構成]
(表示ユニット20)
図1に示すように、表示ユニット20は、液晶表示装置や複数の導光板を積層した表示装置等を備える表示装置である。表示ユニット20は、ボーナス役に内部当選したこと等の各種情報を遊技者に報知する。
表示ユニット20の表示内容は、中パネル6の表示窓25(表示部)を通して視認することができる。
表示窓25は、中パネル6の中央かつ下側Z1の領域に配置されている。
【0025】
(ボタン装置30)
図3図4は、実施形態のボタン装置30の分解斜視図及び組み立てた状態の斜視図である。
図3は、前側Y1から見た斜視図であり、図4は、後側Y2から見た斜視図である。
図5は、実施形態のボタン装置30を前側Y1から見た図である。
図5(A)は、ボタン装置30の外観図である。
図5(B)は、ボタン装置30を前側Y1から見た状態における、大トップ部41、十字リブ41i、導電部45c、パターン設置部33cの位置関係を示す図である。
図6は、ボタン装置30を下側Z1から見た断面を拡大した図である。
図6(A)、図6(B)は、それぞれ図5(A)の6A-6A断面図、6B-6B部断面図である。
【0026】
ボタン装置30の各トップ部41,51は、押圧方向を前後方向Yとして押圧可能に支持される。各トップ部41,51は、図6(A)、図6(B)に示された状態が最も前側Y1に配置された状態であり、この状態から押下方向である後側Y2に押圧されることにより後側Y2に移動する。
実施形態では、各トップ部41,51を押圧するために必要な力を、適宜、操作力ともいう。
【0027】
図1に示すように、ボタン装置30は、表示窓25の左側X1及び右側X2の領域にそれぞれ設けられている。ボタン装置30の操作に応じて、表示ユニット20の表示がボーナス役に内部当選したことを告知する情報に切り替わる等のように、必要に応じて変化する。なお、ボタン装置30へのボタン操作は、遊技進行に必要な操作ではなくてもよく、ボタン操作の有無に関わらず遊技状態の移行制御が変わらなくてもよい。
【0028】
左右のボタン装置30は、左右方向Xにおいてほぼ対称の構造である。以下、主に左側X1のボタン装置30の構成について説明するが、右側X2のボタン装置30についても同様な構成である。
【0029】
図3から図6に示すように、ボタン装置30は、基部31、ケース部32、電気基板33、大トップ部41、大ラバー部45、3つの小トップ部51(ダミーボタントップ部)、小ラバー部55(ダミーボタンラバー部)を備える。
実施形態では、適宜、大トップ部41に関連する構成であって大ラバー部45等を備えるボタン部分を大ボタン部40ともいい、また、小トップ部51に関連する構成であって小ラバー部55等を備えるボタン部分を小ボタン部50(ダミーボタン部)ともいう。
【0030】
ボタン装置30は、大ボタン部40のボタン操作に応じて、電気基板33の回路をオン、オフさせる。一方、小ボタン部50は、ボタン操作されても、電気基板33に対して何も動作をしない。つまり、小ボタン部50は、遊技機1の電気回路のスイッチ機能を有さず、遊技機1に対する入力機能を有さない押しボタンを構成する部分である。
【0031】
基部31、ケース部32、大トップ部41、小トップ部51は、樹脂の成型品等である。大ラバー部45、小ラバー部55は、ゴム材料(シリコンゴム等)の成型品等である。電気基板33は、リジット基板等である。
図3図4に示すように、大ボタン部40に関して、後側Y2から前側Y1に向けて、電気基板33、大ラバー部45、基部31、大トップ部41、ケース部32が順に配置される。小ボタン部50に関して、同様に、電気基板33、基部31、小ラバー部55、小トップ部51、ケース部32が順に配置される。
ボタン装置30は、電気基板33がケース部32、又は基部31にネジ止めされることにより、アッセンブリにされる。
【0032】
基部31、ケース部32は、ボタン装置30のケース部材である。基部31、ケース部32の色彩は、LED33a,33b(図3(A)等参照)の光を反射できるように、白色であることが好適である。
基部31は、平板状の部材である。基部31は、大ラバー部45のドーム部45b等を逃げる貫通穴等が設けられている。
ケース部32は、各トップ部41,51を挿通する貫通穴等が設けられている。
【0033】
電気基板33は、1つのLED33a(発光部)、3つのLED33b(発光部)が実装され、また、6つのパターン設置部33cを備える。
電気基板33の前面の色彩は、LED33a,33bの光を反射できるように、白色であることが好適である。この場合には、白色インクを電気基板33の表面にシルク印刷等すればよい。
図5(B)に示すように、前側Y1(押圧方向)から見た状態で、LED33a,33bは、それぞれトップ部41,51の中心の位置に配置され、また、6つのパターン設置部33cは、6つの導電部45c(図4(B)等参照)に重なる位置に配置されている。また、3つのLED33bは、それぞれ3つの小トップ部51の突起51i(図4(A)等参照)に重なる位置に配置されている。
LED33a,33bは、例えば、多色発光可能な発光ダイオードである。LED33a,33bは、それぞれトップ部41,51を発光するための光を発する光源である。
【0034】
なお、図示は省略するが、パターン設置部33c内には、2つの離間したパターンが配線されている。これら2つのパターン間は、大ラバー部45の導電部45cが電気基板33に接触すると短絡し、導電部45cが電気基板33から離れると開放される。これにより、電気回路のオン、オフが切り替わる。
【0035】
図3から図6等を参照しながら、大ボタン部40に関連する構成について説明する。
大トップ部41は、押圧操作に応じて前後方向Yに移動する移動子である。大トップ部41は、十分に高い剛性を有しており、ボタン操作においてほぼ変形せず、高い剛体を有する形態で移動する。
大トップ部41は、乳白部41a及びトップベース部41fが、爪構造等によって結合されて一体にされる。大トップ部41は、後側Y2の中央に開口穴を有する中空の容器状に形成される。
【0036】
図6(A)に示すように、乳白部41aの形状は、円筒状の筒部41bの前側Y1を、天部が塞ぐようなカップ状である。
乳白部41aは、その上部が、遊技機1の外部に露出しており、操作時に遊技者の指が実際に接触する部分である。乳白部41aは、透光性を有する乳白色の部材であるため、ボタン装置30の内部構造は、乳白部41aを通して視認できないようになっている。
乳白部41aの天部表面(前側Y1の面)には、例えば深さ0.5mm以内の微小な凹部41cが形成されている。このため、大トップ部41は、操作時に遊技者の手になじみやすく、操作性がよい。
【0037】
トップベース部41fは、乳白部41aの後側Y2に配置される部材である。トップベース部41fは、円筒状の筒部41gと、筒部41gの後側Y2の円環状の円環部41hとが連続したような形状である。
トップベース部41fの色彩は、LED33aの光を反射できるように、白色であることが好適である。
円環部41hがケース部32に当接することにより、トップベース部41fは、これ以上前側Y1に移動しないように規制される。
トップベース部41fの筒部41gは、乳白部41aの筒部41bの内側に配置される。
円環部41hは、6つの十字リブ41i、外周リブ41jが後側Y2に突出するように設けられている(図4図6(A)参照)。
6つの十字リブ41iは、それぞれ6つのドーム部45b(図3(A)等参照)に当接するリブである。
外周リブ41jは、大トップ部41が強く押された状態で基部31に当接することにより(図示は省略する)、大トップ部41がこれ以上、後側Y2に移動しないように規制するストッパである。
【0038】
大ラバー部45は、透光性を有する乳白色の部材である。
大ラバー部45は、穴部45a、6つのドーム部45bを有する。
穴部45aは、電気基板33に実装されたLED33aが配置される開口である。
【0039】
ドーム部45bは、前側Y1に湾曲するように膨らむドーム状の部分である。6つのドーム部45bは、大トップ部41の十字リブ41iに後側Y2から当接することにより、大トップ部41を支持する。
6つのドーム部45bは、穴部45aを囲む正六角形の頂点に配置され、パターン設置部33cに対応した位置に配置されている(図5(B)参照)。ドーム部45bは、大トップ部41が押圧されることに応じて弾性変形する。ドーム部45bの復元力によって、操作力が必要となり、遊技者に操作感を付与する。
【0040】
ドーム部45bの頂部は、大トップ部41の十字リブ41iが安定して当接できるように、高さの低い円柱状に形成されている。
ドーム部45bの裏面(後側Y2の面)には、導電部45c(導通部)が設けられている。導電部45cは、導電性を有する部分であり、例えば、導電ゴムをドーム部45bに接着したり、導電インクをドーム部45bに印刷すること等によって形成できる。
導電部45cは、大ボタン部40の大トップ部41が押圧操作されることに応じて電気基板33のパターン設置部33cに接触し、操作力が小さくなること等に応じて電気基板33から離れる。
【0041】
小ボタン部50に関連する構成について説明する。
小トップ部51は、遊技者が押圧する部分であり、押圧操作に応じて前後方向Yに移動する移動子である。また、小トップ部51は、大トップ部41と同様に、操作時には、ほとんど変形せず、高い剛体を有する形態で移動する。
3つの小トップ部51は、大トップ部41の上側Z2の範囲に、ほぼ左右方向Xに並べて配置されている。
【0042】
各小トップ部51は、乳白部51a、トップベース部51fを備える。
乳白部51a及びトップベース部51fは、大トップ部41と同様に、爪構造によって結合されている。
乳白部51aは、大トップ部41の乳白部41aの径を小さくしたような形状である。乳白部51aの表面は、乳白部41aと同様に、遊技機1の外部に露出する。但し、乳白部51aの天面は、凹部状ではなく、凸形状又はフラットに形成されている。
また、乳白部51aは、透光性を有する乳白色の部材により形成される。
【0043】
トップベース部51fは、乳白部51aの後側Y2に配置される部材である。トップベース部51fは、筒状の筒部51gの後側Y2に円盤状の円盤部51hが形成された形状である。トップベース部51fの筒部51gは、乳白部51aの筒部51bの内側に配置される。このように、トップベース部51fは、乳白部51aの後側Y2の開口を、蓋をするように配置される。
なお、トップベース部51fは、トップベース部41fとは異なり透明な部材である。
円盤部51hの後側Y2の面の中央には、後側Y2に突出する円柱状の突起51iが設けられている。突起51iは、ドーム部55b(図6(B)等参照)の頂部に当接する。
【0044】
小ラバー部55は、ドーム部55b(ダミーボタンドーム部)を備える。
ドーム部55bの形状は、大ボタン部40のドーム部45bと同様な、前側Y1に膨らむドーム状である。ドーム部55bは、小トップ部51が押圧されることに応じて弾性変形することにより、ドーム部45bと同様に、操作力、操作感を付与する。
図6(B)に示すように、ドーム部55b及び電気基板33間は、大ボタン部40のドーム部45b及び電気基板33間と比べると、十分に離れて配置されている。また、小トップ部51が押圧操作されて最も後側Y2に移動した状態状態でも、ドーム部55bは、電気基板33に接触することなく、LED33bとの間に隙間を有する。このため、小ボタン部50は、前述したように、電気基板33に対する入力機能を有しないことになる。
【0045】
上記構成により、ボタン装置30は、外観、操作、発光の形態に関して、例えば、以下のような作用、効果を奏する。
(ボタン装置30の外観)
大トップ部41の前面は、微小な凹部41cが形成されている。このため、一般的な大きな凹部が形成されたボタンの形状とは異なる。また、大トップ部41は、凹部41cが形成されていること、乳白色であること等によって、遊技機1の装飾の1つであるかのようにデザインされている。さらに、3つの小トップ部51が大トップ部41の上側Z2に並べて配置されているので、これらの部材は、装飾として設けられた部材であるという印象を、遊技者に対して、強く与える。加えて、ボタン装置30は、通常の遊技進行に必須の装置ではないので、一見は、操作可能な装置として認識されにくい。
このため、遊技者は、操作可能なボタンであることに気付いたときには、例えば意外であると感じたりする。このように、遊技機1は、遊技者に対して、遊び心があると印象付けることができる。
【0046】
(ボタン装置30の操作感)
(1)以下説明するように、ボタン装置30は、一般的な形状のボタン装置130とは異なり、クリック感を発生させることなく、操作することができる。なお、ボタン装置30の操作感は、ボタン装置30を実際に制作することにより確認した。
【0047】
図7は、実施形態のボタン装置30の大ボタン部40の操作感と、一般的なボタン装置130の操作感との違いを説明する模式的な断面図である。
ここでは、ボタン操作の操作力を1kgfから3kgfに徐々に増やした場合における、実施形態の大ボタン部40の操作感、一般的なボタン装置130の操作感について説明する。
図7(A1)、図7(A2)に示すように、実施形態のボタン装置30は、大トップ部41の操作力を1kgfから2kgfに増やすとドーム部45bが湾曲して、大トップ部41が後側Y2に移動する。
図7(A2)、図7(A3)に示すように、操作力をさらに3kgfに増やすと、ドーム部45bが屈曲することなく、つまり、湾曲の曲率半径が小さくなったような状態で、導電部45cが電気基板33のパターン設置部33cに当接した。
このように、大トップ部41は、操作力を増やすと、これに応じて移動するので、クリック感を発生させることなく操作できた。
【0048】
一方、図7(B1)に示すように、一般的なボタン装置130のラバー部145の凹凸部145b(ドーム部45bに対応する機能を有する部分)は、円錐台状に形成されている。つまり、凹凸部145bの円錐面(側面)の断面形状(円錐台の底面と円錐の頂点を結ぶ線)は、直線状である。
図7(B1)、図7(B2)に示すように、一般的なボタン装置130は、トップ部141の操作力を1kgfから2kgfに増やしてもラバー部145の凹凸部145bがほとんど変形せず、また、トップ部141の移動量は、実施形態よりも極端に少ない。
図7(B2)、図7(B3)に示すように、操作力をさらに3kgfに増やす過程で、凹凸部145bが屈曲し(この屈曲する位置をクリック位置ともいう)、また、導電部145cがパターン設置部33cに当接する。トップ部141の移動位置がクリック位置を通過することにより、凹凸部145bの復元力が増加から減少に転じる。これにより、一般的なボタン装置130は、操作される過程で、クリック感を発生する。すなわち、一般的なボタン装置130は、操作者に対して、ボタン操作したことを認識させるために、クリック感を発生するように設計されている。
【0049】
これに対して、実施形態の大ボタン部40は、前述したように、クリック感を発生させることなく操作するようになっている。
【0050】
(2)大トップ部41は、6つのドーム部45bで支持されるので、大トップ部41を操作するためには、大きな操作力を要する。また、大トップ部41は、6つのドーム部45bでバランスよく支持されることによって、どの部分が押圧操作されても複数のドーム部45bが変形するので、大きな操作力を要する。
これにより、遊技者が大ボタン部40を操作するには、遊技機1で一般的に操作されるボタンよりも、大きな操作力を要する。
【0051】
(3)上記(1)、(2)のように、大ボタン部40は、クリック感を発生せずに、かつ、大きな操作力を要することにより、遊技者に対して、独特の弾力を有する操作感(例えば、動物の肉球のようなモチモチ感、プニプニ感等)を与えることができる。
【0052】
(4)小ボタン部50に関しては、小トップ部51がドーム部55bによって支持されることにより、大トップ部41の押圧操作時と同様に、クリック感を発生しない。
但し、小トップ部51は、1つのドーム部55bによって支持されるので、小トップ部51の操作力は、大ボタン部40の操作力よりも小さい。これにより、小ボタン部50の操作時には、弾力を有し、かつその弾力が大ボタン部40の弾力よりも小さい操作感を付与することができる。
【0053】
(ボタン装置30の発光)
大ボタン部40の大トップ部41は、以下のように発光する。
図6(A)に示すように、LED33aが発した光の一部は、大ラバー部45を通過後、大トップ部41に到達する(矢印L1a,L1b,L1c参照)。大ラバー部45は、透光性を有する乳白色の材料であるので、LED33aが発した光は、大ラバー部45に入光することにより拡散されて、大ラバー部45から出光する(矢印L1b参照)。
また、LED33aは、大ラバー部45を介することなく、大トップ部41に直接到達する光も発する(矢印L1d参照)。
大トップ部41のトップベース部41fに到達した光は、トップベース部41fが円筒状であるので、この円筒内部で適度に拡散する。
そして、乳白部41aに入光した光は、乳白部41a内でさらに拡散して、乳白部41aの外部に出光する。これにより、乳白部41aは、1つのLED33aによって、十分に明るく、また均一に光る。
【0054】
小ボタン部50の小トップ部51は、以下のように発光する。
図6(B)に示すように、LED33bが発した光は、大ボタン部40と同様に、小ラバー部55を通過する過程で拡散後、小トップ部51に到達する(矢印L2参照)。但し、LED33bは、全体が小ラバー部55に覆われているので、小トップ部51に到達する光の全ては、小ラバー部55によって拡散されたものとなる。そして、このように拡散された光は、小トップ部51の透明なトップベース部51fを通過後、乳白部51aに入光することによりさらに拡散されて、乳白部51aから外部に出光する。これにより、乳白部51aは、十分に明るく、また均一に光る。
【0055】
次に、ボタン装置30、表示窓25の配置について説明する。
図8は、実施形態のボタン装置30、表示窓25近傍を示す図である。
なお、以下、理解を容易にするために、各部の寸法例を示したが、これに限定されず、各寸法は、適宜、設定することができる。
図8に示すように、左右方向Xにおいて、2つの大トップ部41間の距離L41Xは、例えば200mm程度である。また、小トップ部51及び大トップ部41間の距離L51は、十分に小さく、例えば10mm程度である。
表示窓25は、2つの大トップ部41間の中央に配置されている。表示窓25は、例えば直径50mm程度の円形等の窓である。
【0056】
このような位置関係であるため、遊技者は、2つの大トップ部41を片手でまとめて操作している状態で、その手で表示窓25を覆うことができ、つまり、2つの大トップ部41を操作しながら表示窓25を覆うことができる。
なお、図8に示す操作態様は、参考例であって、遊技者は、適宜、自分が操作しやすいと感じる操作態様で、ボタン操作することができる。
【0057】
ここで、図8は、スタートレバー3を操作後に、表示窓25に「Good!」と表示されており、ボーナス役が当選したことを報知している場面である。
この場面で大トップ部41が操作されることにより、副制御部11は、表示ユニット20の表示内容を切り替えて、例えば、レギュラーボーナス、ビッグボーナス等のボーナス種別等を告知する(図示は省略する)。この場合、副制御部11は、2つの大トップ部41のうち少なくとも1つが有効に操作(つまり、電気基板33に導電部45cが接触すること)をされれば、表示ユニット20の表示内容を切り替えるようにしてもよい。
なお、副制御部11は、このように大トップ部41の操作を受け付け可能な状態の場合に、大トップ部41を発光するように制御してもよい。
【0058】
このように表示が切り替わる場合に、各遊技者は、例えば、他の遊技者から自分の遊技状態を隠したいと思ったり、ボーナス種別等を自分のタイミングで確認したいと思ったりすることがある。また、希少な表示内容が表示された場合等には、遊技者は、自分だけその表示を楽しみたいと思うことがある。
【0059】
このような場合、前述したように、遊技者は、大トップ部41を手で押圧操作しながら、同じ手(指、掌等)で表示窓25を覆って隠すことができる。そして、遊技者は、他の遊技者に知られないように表示窓25をこっそりと確認したり、自分のタイミングで覆った手を表示窓25から離したりすることができる。
【0060】
また、遊技者は、表示窓25の周辺を手で触ることにより、大トップ部41が操作可能なボタンであると気が付くことがある。すなわち、前述したように、大トップ部41は、操作可能なボタンであるとは認識しにくいように構成されている。このため、遊技者は、大トップ部41が操作可能なボタンであるとは認識していない状態で、表示窓25の表示内容を手で覆って隠そうとした際等に、大トップ部41を思いがけず操作してしまう場合がある。これにより、遊技機1は、前述したような大トップ部41が操作可能なボタンであることが意外であると感じたりする効果を、向上することができる。
【0061】
また、小トップ部51(小ボタン部50)は、遊技機1に対する入力機能を有さないので、遊技者は、遊技で使っていない指で小トップ部51を押して指を遊ばせるすることもできる。さらに、遊技者は、例えば、大トップ部41を押圧操作している指を動して小トップ部51を押圧操作したり、大トップ部41を押圧操作している指とは異なる指で小トップ部51を同時に押圧操作したりすることができる。
【0062】
以上説明したように、実施形態の遊技機1は、ボタン装置30が、独特の操作感(例えば動物の肉球の感触)を有するので、遊技の興趣を向上できる。
これに対して、従来の遊技機(例えば特開2007-312998号公報に記載の遊技機)は、一般的な押しボタンを備えるに過ぎず、遊技の向上を図れるものではなかった。
【0063】
[スピーカ部60に関連する構成]
図9図10は、実施形態のスピーカ部60の分解斜視図及び組み立てた状態の斜視図である。
図9は、後側Y2から見た斜視図であり、図10は、前側Y1から見た斜視図である。
図11は、実施形態のスピーカ部60を前側Y1から見た図である。
図11(A)は、スピーカ部60を前扉1bの装飾部材1cに取り付けた状態を示す。
図11(B)は、スピーカ部60の単体を前側Y1から見た図である。
図12は、実施形態の意匠部材80を取り外した状態のスピーカ部60を示す図である。
図12(A)は、前側Y1から見た図であり、図12(B)は、下側Z1から見た図であり、図12(C)は、左側X1から見た断面図(図12(A)のC-C断面図)である。
【0064】
図1に示すように、スピーカ部60は、遊技機1の左右にそれぞれ設けられている。スピーカ部60は、前扉1bの装飾部材1cに取り付けられる。左右のスピーカ部60は、左右方向Xにおいて対称の構成である。以下、主に、左側X1のスピーカ部60の構成について説明するが、右側X2のスピーカ部60の構成も同様である。
【0065】
スピーカ部60は、BGM、効果音等の音をスピーカユニット65から出力したり、スピーカユニット65の前面を電飾したりする部分である。
スピーカ部60は、基板ホルダ61、電気基板62、スピーカユニット65、導光板70(発光部材)、意匠部材80を備える。
電飾をする発光装置は、電気基板62、導光板70等から構成される装置であり、スピーカユニット65の前面で導光板70の梨地面76(図12(C)参照)が発光することにより、スピーカユニット65の前側Y1の領域を装飾する。
【0066】
基板ホルダ61、電気基板62、導光板70、意匠部材80は、後側Y2から前側Y1に向けて、この順番で配置される。また、スピーカユニット65は、導光板70の後側Y2に配置される。
図9(A)等に示すように、スピーカ部60は、ネジ止めにより装飾部材1cに組み込まれる。
図9(A)、図11(A)等に示すように、装飾部材1cは、大きな開口1dを有している。前側Y1から見た状態で、開口1dには、意匠部材80の主要部分が露出する。また、図11(B)に示すように、意匠部材80の観察穴80a~80e(後述する)には、導光板70の一部が露出する。
基板ホルダ61、導光板70、意匠部材80は、樹脂の成型品等である。電気基板62は、リジット基板等である。
【0067】
基板ホルダ61は、電気基板62を保持する部材であり、電気基板62を保持した状態で導光板70にネジ止めされる。
電気基板62は、3つのLED62a,62b,62c(光源)が実装されている。LED62a,62b,62cの発光方向は、前側Y1である。3つのLED62a,62b,62cの配置の詳細は、後述する。
【0068】
スピーカユニット65は、例えばダイナミック型のスピーカ等である。
前側Y1から見た状態で、スピーカユニット65の形状は、左右方向Xに細長い長方形である。また、音を発生する部分である振動板65a(コーン紙等)の形状は、左右方向Xに細長いオーバル形状である。
【0069】
導光板70は、透明な樹脂等によって形成されている。
導光板70は、スピーカユニット65の振動板65aの前面側の全体を覆うように配置されている。
導光板70の形状は、後側Y2に開口する浅い箱状である(図9(A)等参照)。
図12(C)に示すように、導光板70の縦断面形状は、第1板部71、第2板部72、立壁73が連続した部分を有する。
【0070】
図12(C)等に示すように、第1板部71は、スピーカユニット65の前面の一部を覆うように配置される。第1板部71は、下側Z1に至るに従って徐々に後側Y2に至るように、緩やかに湾曲している。
図12(A)等に示すように、前側Y1から見た状態で、立壁73は、右側X2から左側X1に至る程、下側Z1に至るように傾斜するように設けられている。
このため、第1板部71の形状は、右側X2から左側X1に至る程、幅(鉛直方向Zの長さ)が大きくなるようなほぼ四角形状である。実施形態では、適宜、第1板部71のうち、左側X1の幅の大きい領域を幅広部71Wといい、幅広部71Wよりも幅が狭い右側X2の領域を幅狭部71Nという。
【0071】
第2板部72は、スピーカユニット65よりも下側Z1に配置される。第2板部72及び第1板部71間は、コーナ部(角部)で接続されている。第2板部72及び第1板部71は、異なる面上に配置されており、コーナ部によってほぼ直角に接続されている。
コーナ部は、ほぼ45度の角度で、外側の面が面取りされている。このコーナ部の面取り部分は、鏡面74である。
【0072】
導光板70は、音通過穴71a、梨地面76(面発光部)を有する。
音通過穴71aは、スピーカユニット65が発した音を通す複数の貫通穴である。音通過穴71aは、第1板部71に設けられている。音通過穴71aの全開口面積は、スピーカユニット65の音に関する機能を維持できる程度に、十分な大きさに設定されている。後述するように、音通過穴71aは、意匠部材80の観察穴80a~80e(図11(B)参照)に対応した範囲に配置されている。
梨地面76は、第1板部71、第2板部72によって導光された光を乱反射することにより拡散されて発光する部分である。梨地面76は、第1板部71の裏面、第2板部72の裏面、立壁73の裏面に形成されている。このため、梨地面76は、外部に露出しないので、遊技機1の使用時等において損傷することがない。
なお、遊技機1に組み込んだ状態で発光が観察される部分は、第1板部71であるので、第2板部72の裏面、立壁73の裏面には、梨地面76を設けなくてもよい。
【0073】
意匠部材80は、スピーカユニット65の前側Y1の領域の飾りとして、設けられる部材である。意匠部材80は、第1板部71の前面を覆うように配置される(図11(B)等参照)。また、上記構成により、意匠部材80は、発光面である梨地面76の前側Y1に配置される。意匠部材80は、光を通さない有色の樹脂によって形成される。
【0074】
図11(B)に示すように、意匠部材80は、複数の観察穴80a~80eを備える。
観察穴80a~80eは、梨地面76が面発光した光を観察可能な貫通穴である。また、観察穴80aは、左側X1に配置された星型の穴であり、観察穴80b~80eは、観察穴80aよりも右側X2に配置され、左右方向Xに細長い、ほぼ長方形の穴である。これにより、観察穴80a~80eは、流れ星をイメージさせるようにデザインされている。
【0075】
図11(B)、図12(A)に示すように、前側Y1から見た状態で、観察穴80a~80eは、第1板部71の音通過穴71aに重なる位置に配置されている。すなわち、意匠部材80の観察穴80a~80eは、音通過穴71aを露出するように配置されている。なお、実施形態では、意匠部材80は、音通過穴71aの一部に重なっているが、完全に覆わないようにしてもよい。
前側Y1から観察すると、導光板70の音通過穴71a及びその周囲の梨地面76は、観察穴80a~80eを通して視認可能である。また、観察穴80a~80eは、音通過穴71aを通過してきた音をさらに前側Y1に通過させることができる。
【0076】
(導光板70が発光する構成)
図12に示すように、電気基板62のLED62a~62cは、第2板部72の後端部の直下に配置される。また、LED62a~62cは、前側Y1に向けて光を発する。
このため、LED62a~62cが発した光は、導光板70に対して、第2板部72の後端部から入光し、第2板部72内で反射を繰り返しながら前側Y1に進む(図12(C)の矢印L62参照)。その後、光は、鏡面74で反射後、第1板部71内で反射を繰り返しながら上側Z2に進む(図12(C)の矢印L63参照)。
光は、第1板部71内を進む過程で、梨地面76で拡散する。このため、梨地面76が、発光する。梨地面76の発光は、観察穴80a~80eを通して視認可能することができる。
【0077】
これにより、発光装置は、LED62a~62cの光を、スピーカユニット65の前面まで導光して、スピーカユニット65の前面で拡散させて発光することができる。
ここで、遊技機1の前面の部分は、種々の飾りや、ボタン等の機能部品を配置する必要があるので、各種部品の配置スペースが大きく制限される場合がある。
このようにスペースの制限があっても、発光装置は、LED62a~62cからの光を、一旦、第2板部72を通過させるので、前後方向Yにおいて電気基板62及び第1板部71を、ある程度離して配置できる(図12(C)等参照)。つまり、前後方向Yにおいて、電気基板62は、第1板部71よりも第2板部72の長さ分だけ、遊技機1の内部側に配置できる。遊技機1の内部側は、遊技機1の前面の部分に比べて、各種部品の配置スペースを確保しやすい場合が多い。これにより、電気基板62の配置スペースは、十分に確保できる。
【0078】
(LED62a~62c、導光板70の位置関係)
前述したように、前側Y1から見た状態で、第1板部71の形状は、左側X1に至る程、幅が大きくなる。このため、第1板部71が導光する領域は、幅広部71W(大導光領域)は、幅狭部71N(小導光領域)に比べると、大きい。また、なお、実施形態では、第1板部71の裏面側が梨地面76であるので、発光する領域についても、幅広部71Wの方が、幅狭部71Nよりも大きい。
図12(A)、図12(B)に示すように、3つのLED62a~62cは、等間隔で配置されているが、全体として左側X1に寄せて配置されている。このため、第2板部72の左部分72Lに入光する光量は、右部分72Rに入光する光量よりも多い。
これにより、第1板部71の幅広部71Wは、幅狭部71Nよりも、より多くの光量が導かれる。
【0079】
図12(A)には、LED62a~62cの光が導光される範囲を説明するために、導光範囲L62a,L62b,L62cを模式的に図示した。
幅広部71Wは、2つの導光範囲L62a,L62bが重なる領域が広く、一方、幅狭部71Nは、2つの導光範囲L62b,L62cが重なる領域が狭く、かつ、1つの導光範囲L62cの領域が大きい。
このように、スピーカ部60は、発光面積の広い幅広部71Wの方が、発光面積の狭い幅狭部71Nよりも、より多くの光量の光が導かれるように構造になっているため、観察可能な梨地面76を、均一に光らせることができる。
これにより、スピーカ部60は、発光領域の幅が徐々に変化するような複雑な形状等であっても、発光領域を均一に発光できる。
【0080】
なお、実施形態では、第1板部71の幅広部71Wが幅狭部71Nよりも導光しにくい理由は、上記発光面積の要因に加えて、以下の2つ要因を有する。
(1)図12(B)に示すように、第2板部72の前後方向Yの長さは、第1板部71の湾曲形状に対応しているため、左部分72Lが右部分72Rよりも長くなる傾向を有する。このため、第2板部72内を進む光の距離も、左部分72Lの方が右部分72Rよりも長くなり、減衰しやすい。
(2)第1板部71の音通過穴71aは、幅広部71Wの方が幅狭部71Nよりも多い密度で配置されており、密集している。第1板部71内を進む光は、音通過穴71aに到達すると進行が妨げられるために、その先(つまり上側Z2)に進めない。
【0081】
これらの要因によっても、梨地面76は、幅広部71Wの方が幅狭部71Nよりも光りにくい。
実施形態では、3つのLED62a~62cを前述しように左側X1に寄せて配置することにより、梨地面76を均一に光らせることができる。なお、スピーカ部60を制作することにより、遊技機1としては十分な品位で、梨地面76が均一に光ることを確認した。
【0082】
以上説明したように、実施形態の遊技機1は、スピーカユニット65の直前の領域を、スピーカユニット65の機能を損なうことなく、電飾することができる。これにより、遊技機1のデザイン性を向上等できる。また、導光板70は、樹脂の成型品等を用いることができるので、低コストであり、また、簡単な構造にできる。
【0083】
これに対して、従来の遊技機(例えば、特開2007-312998号公報に記載の遊技機)は、スピーカユニットの直前の領域に光を導光する構成を備えていないため、この領域を電飾することができなかった。
【0084】
以上、本発明の遊技装置の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技装置は前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
なお、前述した実施形態の各構成及び後述する変形形態の各構成は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0085】
(変形形態)
(1)実施形態において、遊技機は、スロットマシンである例を示したが、これに限定されない。遊技機は、例えば、パチンコ、玉スロなどその他の遊技機でもよい。
また、遊技機は、メダルなどの現物の遊技媒体を用いることなく、データ形式の擬似遊技媒体を用いてゲームを実行可能な、いわゆるメダルレス遊技機でもよい。さらに、遊技機は、遊技球などの遊技媒体を外部に払い出さず、内部循環させてゲームを実行可能な、いわゆる封入式遊技機でもよい。
【0086】
(2)実施形態において、ボタン装置は、大ボタン部(大トップ部)、小ボタン部(小トップ部)の両方が、クリック感を有さない例を示したが、これに限定されない。
ボタン装置は、大ボタン部がクリック感を有さず、小ボタン部(小トップ部)がクリック感を有するようにしてもよい。
【0087】
(3)実施形態において、スピーカ装置は、面発光部が導光板の梨地面である例を示したが、これに限定されない。面発光部は、例えば、導光板に重ねて設けた拡散シート、スピーカネットとして設けた不織布等であってもよい。また、梨地面等の面発光部は、導光板の裏面に設けられるのではなく、導光板の表面(前側の面)に設けてもよく、導光板の裏面及び表面の両方に設けてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1:遊技機
25:表示窓
30:ボタン装置
40:大ボタン部
41:大トップ部
45b,55b:ドーム部
50:小ボタン部
51:トップ部
55:小ラバー部
60:スピーカ部
65:スピーカユニット
70:導光板
80a~80e:観察穴
71N:幅狭部
71W:幅広部
71a:音通過穴
72:第2板部
74:鏡面
76:梨地面
80:意匠部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12