(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/04 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
F25D23/04 K
(21)【出願番号】P 2019234263
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】岩上 栄生
(72)【発明者】
【氏名】石田 貴志
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102313433(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第3244148(EP,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0045749(KR,A)
【文献】特開平3-45882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
F25D 23/04
F25D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を含む冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体の前面側に配置されて、前記貯蔵室を開閉する断熱扉と、
前記断熱扉の裏面側に設けられ、被貯蔵物を収納する収納ラックと、
前記収納ラックの両側壁の各々から外方に突出すると共に、前記収納ラックの高さ方向に延在する一対のリブと、
断熱扉裏面の両側域に各々配されると共に、前記リブを上下移動可能に嵌め込むレール溝を備えた一対の収納ラック高さ位置調節部と、
を備え、
前記リブの前壁に、第1凸部が形成され、
前記リブの
背壁に、第2凸部が形成され、
前記第1凸部と係合可能な複数の第1凹部が、前記レール溝における第1側壁の高さ方向に順次並設され、
前記第2凸部と係合可能な複数の第2凹部が、前記レール溝における第2側壁の高さ方向に順次並設され、
前記リブを嵌め込む前記レール溝に沿って前記収納ラックを上下移動させ、前記第1凸部が、前記第1凹部のいずれかの高さ位置に至ると共に、前記第2凸部が、前記第2凹部のいずれかの高さ位置に至ることで、前記第1凸部と前記第1凹部とが係合し、且つ前記第2凸部と前記第2凹部とが係合して、前記収納ラックが所定の高さ位置に固定される
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記レール溝は、前記リブより幅広であって、
前記収納ラックの背方側を上昇又は降下させることで、前記第1凸部と前記第1凹部との係合及び前記第2凸部と前記第2凹部との係合が解除され、前記収納ラックの上下移動が可能となる
ことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記収納ラック高さ位置調節部の所定位置に、高さ方向に延在するラックギアが設けられ、
前記収納ラックは、
基板と、前記基板の表面側に設けられ、前記ラックギアと噛み合うピニオンギアと、前記基板の裏面側に設けられる環状部と、前記環状部の外周に沿って並設されると共に、前記環状部の径方向外側に各々突出する複数の爪部と、を備える回転体と、
前記回転体の前記爪部と衝突可能な衝突凸部を備え、前記収納ラックの降下に連動して回転する前記爪部と衝突し、前記爪部の回転をロックするロックレバーと、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記爪部は、
前記収納ラックの上昇に連動して回転する際、前記衝突凸部の一面と衝突する傾斜面と、
前記傾斜面に対向する面であって、前記収納ラックの降下に連動して回転する際、前記衝突凸部の他面と衝突する垂直面と、
を備え、
前記衝突凸部の前記一面は、前記傾斜面に対応するよう傾斜し、
前記衝突凸部の前記他面は、前記垂直面に対応するよう垂設され、
前記傾斜面が前記一面に衝突すると、前記傾斜面が前記一面上を摺動すると共に前記衝突凸部が押動されて、前記収納ラックの上昇に連動する前記爪部の回転が許容される一方、
前記垂直面が前記他面に衝突すると、前記垂直面と前記他面とが干渉し、前記爪部の回転がロックされる
ことを特徴とする請求
項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
上下隣設される収納ラックのうち、上方側の前記収納ラックの底壁に、下方側の収納ラックに収納された被貯蔵物の転倒を防止する転倒防止リブが形成される
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫内の貯蔵スペースを有効活用するため、例えば、冷蔵室内を区画するための複数の棚板が上下方向に並設されている。また、同様の目的で、冷蔵室の前面開口を開閉する断熱扉の裏面に、複数の収納ラックが上下方向に並設される。
【0003】
ところで、一般の冷蔵庫において、前記棚板や収納ラックの位置は固定されている。これに対して、被貯蔵物は、種類や包装形態によって種々の高さを有する。そのため、棚板や収納ラックの高さ位置が固定されていると、被貯蔵物とその直上に配置された棚板や収納ラックとの間に空域が生じる。この空域は、被貯蔵物を置き得ないデッドスペースとなるため、冷蔵庫内の貯蔵スペースの有効活用が阻害される。このような冷蔵庫内のデッドスペースの解消を想定する技術が、例えば下記特許文献1,2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-71577号公報
【文献】特開2005-43048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献に開示の技術は、いずれも冷蔵室内の棚板の高さ位置を調節するものであって、断熱扉の裏面に設けられる収納ラックの高さ位置を調節するものではない。収納ラックにも、種々の高さを有する被貯蔵物(例えば、飲料や液体調味料等を充填したボトル類など)が収納されるため、前記のデッドスペースの問題が同じく生じ得る。
【0006】
前記課題に鑑み、本発明は、被貯蔵物の貯蔵(収納)スペースの更なる有効活用を図るため、断熱扉の裏面において、高さ位置を調節可能な収納ラックを備える冷蔵庫の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る冷蔵庫は、
貯蔵室を含む冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体の前面側に配置されて、前記貯蔵室を開閉する断熱扉と、
前記断熱扉の裏面側に設けられ、被貯蔵物を収納する収納ラックと、
前記収納ラックの両側壁の各々から外方に突出すると共に、前記収納ラックの高さ方向に延在する一対のリブと、
断熱扉裏面の両側域に各々配されると共に、前記リブを上下移動可能に嵌め込むレール溝を備えた一対の収納ラック高さ位置調節部と、
を備え、
前記リブの前壁に、第1凸部が形成され、
前記リブの背壁に、第2凸部が形成され、
前記第1凸部と係合可能な複数の第1凹部が、前記レール溝における第1側壁の高さ方向に順次並設され、
前記第2凸部と係合可能な複数の第2凹部が、前記レール溝における第2側壁の高さ方向に順次並設され、
前記リブを嵌め込む前記レール溝に沿って前記収納ラックを上下移動させ、前記第1凸部が、前記第1凹部のいずれかの高さ位置に至ると共に、前記第2凸部が、前記第2凹部のいずれかの高さ位置に至ることで、前記第1凸部と前記第1凹部とが係合し、且つ前記第2凸部と前記第2凹部とが係合して、前記収納ラックが所定の高さ位置に固定されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る冷蔵庫において、
前記レール溝は、前記リブより幅広であって、
前記収納ラックの背方側を上昇又は降下させることで、前記第1凸部と前記第1凹部との係合及び前記第2凸部と前記第2凹部との係合が解除され、前記収納ラックの上下移動が可能となることを特徴とする。
【0009】
更に、本発明に係る冷蔵庫は、
前記収納ラック高さ位置調節部の所定位置に、高さ方向に延在するラックギアが設けられ、
前記収納ラックは、
基板と、前記基板の表面側に設けられ、前記ラックギアと噛み合うピニオンギアと、前記基板の裏面側に設けられる環状部と、前記環状部の外周に沿って並設されると共に、前記環状部の径方向外側に各々突出する複数の爪部と、を備える回転体と、
前記回転体の前記爪部と衝突可能な衝突凸部を備え、前記収納ラックの降下に連動して回転する前記爪部と衝突し、前記爪部の回転をロックするロックレバーと、
を備えることを特徴とする。
【0010】
更に、本発明に係る冷蔵庫において、
前記爪部は、
前記収納ラックの上昇に連動して回転する際、前記衝突凸部の一面と衝突する傾斜面と、
前記傾斜面に対向する面であって、前記収納ラックの降下に連動して回転する際、前記衝突凸部の他面と衝突する垂直面と、
を備え、
前記衝突凸部の前記一面は、前記傾斜面に対応するよう傾斜し、
前記衝突凸部の前記他面は、前記垂直面に対応するよう垂設され、
前記傾斜面が前記一面に衝突すると、前記傾斜面が前記一面上を摺動すると共に前記衝突凸部が押動されて、前記収納ラックの上昇に連動する前記爪部の回転が許容される一方、
前記垂直面が前記他面に衝突すると、前記垂直面と前記他面とが干渉し、前記爪部の回転がロックされる
ことを特徴とする。
【0011】
更に、本発明に係る冷蔵庫において、
上下隣設される収納ラックのうち、上方側の前記収納ラックの底壁に、下方側の収納ラックに収納された被貯蔵物の転倒を防止する転倒防止リブが形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、収納ラックの側壁から外方に突出するリブと、リブを嵌め込んでその上下方向への移動路としての役割を果たすレール溝を備えた収納ラック高さ位置調節部とを設けることで、収納ラックを上下方向に移動させることができる。また、収納ラックを所定の高さ位置まで移動し、リブの第1凸部とレール溝の第1凹部とが係合すると共に、リブの第2凸部とレール溝の第2凹部とが係合することで、収納ラックを固定できる。これにより、収納ラックに収納される被貯蔵物の高さに応じて、収納ラックの高さ位置を適宜調節できるため、デッドスペースが生じる事態を抑制できる。すなわち、収納ラックの高さ位置が常時固定される従来の冷蔵庫に比べて、断熱扉の裏面側に設けられる被貯蔵物の貯蔵スペースを有効に活用できる。また、前記の通り、リブの第1凸部及び第2凸部、並びにレール溝の第1凹部及び第2凹部のようなシンプルな構造によって収納ラックの高さ位置を調節できるため、冷蔵庫の過度なコストアップを防止できる。
【0013】
また、本発明によれば、レール溝を前記リブより幅広とすることで、レール溝とリブとの間に僅かな間隙を形成することができる。これにより、収納ラックの背方側を前方側より上昇又は降下させることで、レール溝内のリブが傾斜し、第1凸部と前記第1凹部との係合及び前記第2凸部と前記第2凹部との係合が解除される。その結果、所定の高さ位置に固定された収納ラックを上下移動可能な状態に戻すことができる。この態様によれば、前記のような簡易な動作で、収納ラックの固定を解除できる。そのため、収納ラックの高さ調節作業を容易に行うことができる。
【0014】
更に、本発明によれば、収納ラックが降下しようとする際、回転体の爪部がロックレバーの衝突凸部に衝突し、爪部の回転がロックされる。すなわち、本発明のこの態様は、リブの第1凸部とレール溝の第1凹部との係合及びリブの第2凸部とレール溝の第2凹部との係合構造に加え、前記したロックレバーによる爪部の回転ロック構造の双方によって、収納ラックを所定の高さ位置に固定できる。そのため、本発明によれば、リブの第1凸部とレール溝の第1凹部との係合又はリブの第2凸部とレール溝の第2凹部との係合が仮に不十分であっても、ロックレバーによる爪部の回転ロック構造によって収納ラックの降下が防止される。その結果、収納ラックが意図せず落下するなどの事態を有効に防ぐことができ、安全性を担保できる。また、ラックギアに噛み合うピニオンギアの作用によって、収納ラックの上昇移動がアシストされる。
【0015】
更に、本発明によれば、収納ラックが上昇する際、爪部の傾斜面と衝突凸部の一面とが衝突し、衝突凸部が押動されるため、収納ラックの上昇に連動する爪部の回転が許容される一方、収納ラックが降下しようとする際、爪部の垂直面と衝突凸部の他面とが衝突するため、収納ラックの降下に連動する爪部の回転がロックされる。すなわち、本発明によれば、収納ラックの上昇に連動する爪部の回転は阻害されないため、過度な作業負担を掛けることなく収納ラックを上昇させることができ、且つ収納ラックの降下に連動する爪部の回転は、ロックレバーによって阻害されるため、意図せず収納ラックが落下するなどの事態を有効に防ぐことができる。これにより、利便性及び安全性を共に向上させることができる。
【0016】
更に、本発明によれば、下方側の収納ラックに収納される被貯蔵物の高さに応じて、上方側の収納ラックの高さ位置を調節できるため、被貯蔵物の高さに合う適宜位置に転倒防止リブを配置できる。そのため、高さの異なる被貯蔵物が都度収納ラックに収納されたとしても、被貯蔵物の転倒を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図5】本実施形態における回転体及びロックレバーが示される収納ラックの部分斜視図。
【
図7】本実施形態における収納ラック高さ位置調節部の部分斜視図。
【
図8】本実施形態における、収納ラックを装着した状態の収納ラック高さ位置調節部の部分図。
【
図9】収納ラックの高さ位置の固定とその解除動作の説明図。
【
図10】本実施形態における収納ラックの回転体とロックレバーとの作用を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る冷蔵庫1を詳細に説明する。なお、本実施形態に係る冷蔵庫1を説明するにあたり、「上下」方向は、冷蔵庫1の高さ方向に対応し、「左右」方向は、冷蔵庫1の幅方向に対応し、「前後」方向は、冷蔵庫1の奥行き方向に対応する。また、断熱扉の各方向は、断熱扉が貯蔵室を閉じた状態を基準に規定される。すなわち、断熱扉の高さ方向(上下方向)は、冷蔵庫1の高さ方向に対応し、断熱扉の幅方向(左右方向)は、冷蔵庫1の幅方向に対応し、断熱扉の奥行き方向(前後方向)は、冷蔵庫1の奥行き方向に対応する。
【0019】
[構成]
図1を参照して、本実施形態に係る冷蔵庫1の全体構成を説明する。ここで、
図1は、冷蔵庫1の全体斜視図である。
図1に示されるように、本実施形態に係る冷蔵庫1は、冷蔵庫本体に相当する断熱箱体2を備える。断熱箱体2は、鋼板製の外箱、合成樹脂製の内箱、外箱と内箱との間に形成された間隙内に充填される発泡ポリウレタン製の断熱材を備える。
【0020】
断熱箱体2の内部には、断熱仕切壁が配設され、冷蔵室3、冷凍室4、野菜室5等が区画される。本実施形態に係る冷蔵庫1は、上から冷蔵室3、冷凍室4、野菜室5に対応する複数の貯蔵室を備える。ただし、各貯蔵室の配置順はこれに限定されない。また、貯蔵室の数もこれに限定されない。
【0021】
断熱箱体2に設けられる各貯蔵室の前面は開口する。これら各開口を開閉可能に塞ぐ断熱扉が設けられる。断熱扉10は、例えば冷蔵庫の正面視右端の上下端部がヒンジ部材(図示しない)によって回動可能に断熱箱体2に支持されて、冷蔵室3の前面開口部を塞ぐ。また、断熱扉6は、断熱箱体2に対して前後方向に引出可能に配設され、冷凍室4の前面開口部を塞ぐ。断熱扉7も同様に、断熱箱体2に対して前後方向に引出可能に配設され、野菜室5の前面開口部を塞ぐ。
【0022】
図1に示される断熱扉10は、裏面側(背面側)が開口する中空箱状の外装部11、外装部11の裏面側開口領域に装着される内装パネル部12、内装パネル部12の外周に沿って取り付けられ、内装パネル部12を装着した外装部11内を密閉するための枠体13を含む。断熱扉10内には、断熱材が充填される。
【0023】
内装パネル部12が装着される断熱扉10の裏面側に、複数の収納ラック20が、所定間隔を空けて上下方向に順次配される。
図1に、最下部に固設されるものを含めて3つの収納ラック20が示されているが、配される収納ラック20の個数はこれに限られない。個々の収納ラック20に、例えば、飲料や液体調味料といったボトル類等の被貯蔵物が収納される。
【0024】
また、内装パネル部12の両側方域から(断熱扉10が冷蔵室3を閉塞した状態において)冷蔵室3内側に向けて突出する長尺の突出壁121a,121bが設けられる。収納ラック20の高さ位置を調節する一対の収納ラック高さ位置調節部30a,30bは、突出壁121a,121bの内側に各々取り付けられる。なお、収納ラック高さ位置調節部30a,30bは、同一部材であるため、以下、収納ラック高さ位置調節部30a,30bの双方を示すものとして、「収納ラック高さ位置調節部30」と称する。
【0025】
次に、
図2から
図5を参照して、本実施形態に係る収納ラック20の構造を詳述する。
図2は、収納ラック20の斜視図である。また、
図3は、収納ラック20に備わる回転体22の斜視図である。また、
図4は、収納ラック20に備わる回転体22及びロックレバー23が収納ラック20の本体から取り外された状態を示す収納ラック20の分解図である。また、
図5は、回転体22及びロックレバー23を装着した状態の収納ラック20の部分斜視図である。
【0026】
図2に示されるように、収納ラック20は、両側壁20S1,20S2の各々に一対のリブ21a,21bを備える(以下、リブ21a,21bの双方を示すものとして、「リブ21」と称する。)。本実施形態において、内装パネル部121の突出壁121a,121bを収めるため、収納ラック20の両側壁20S1,20S2の前方側の領域に、収納ラック20の内側に窪む第1凹領域20S3,20S4が設けられる。各リブ21は、第1凹領域20S3,20S4に夫々配設される。
【0027】
各リブ21は、収納ラック20の両側壁20S1,20S2の各々から外方に突出すると共に、収納ラック20の高さ方向に延在する。また、前方側へ突出する第1凸部211が、リブ21の前壁21Fに形成される。同様に、背方側へ突出する第2凸部212が、リブ21の背壁21Bに形成される。
図2に示される第1凸部211の個数は1つであるが、これに限られない。また、第1凸部211の位置も図示されるものに限られない。同じく、
図2に示される第2凸部212の個数も1つであるが、これに限られない。また、第1凸部212の位置も図示されるものに限られない。
【0028】
更に、収納ラック20の両側壁20S1,20S2(第1凹領域20S3,20S4から更に内側に窪む第2凹領域20S5,20S6)の各々に、回転体22が設けられる。
図3に示されるように、回転体22は、基板221、ピニオンギア222、環状部223、複数の爪部224を備える。ここで、ピニオンギア222は、基板221の表面221Fに設けられる。また、環状部223及び爪部224は、基板221の裏面221Bに設けられる。
【0029】
複数の爪部224は、環状部223の径方向外側に各々突出すると共に、環状部223の外周に沿って並設される。更に、個々の爪部224は、径方向外側に向かうに従い爪部224の幅を狭めるよう傾斜する傾斜面224S、環状部223の外周面から垂直に立ち上がる垂直面224Vを備える。
【0030】
更に、
図4及び
図5に示されるように、収納ラック20の両側壁に凹設される第2凹領域20S5,20S6の各々に、一対のロックレバー23が設けられる。本実施形態における各ロックレバー23は、同じ凹領域に取り付けられる回転体22の上方に配設され、回転する回転体22に作用する部材である。
【0031】
本実施形態において、前記の第2凹領域20S5,20S6の上面20S51,20S61は開口する(ただし、
図4及び
図5には、第2凹領域20S6、開口上面20S61のみが図示される。以下、第2凹領域20S6とそれに装着されるロックレバー23の構造を例に説明するが、第2凹領域20S5とそれに装着されるロックレバー23も同様の構造を備える。)。
【0032】
ロックレバー23は、その一端側231が開口上面20S61の前端部20S62に回転可能に軸支されると共に、他端側232が一端側231を軸に回動可能な状態で開口上面20S61に収められる(
図5参照)。ただし、ロックレバー23の位置は、これに限られない。
【0033】
更に、
図5に示されるように、ロックレバー23は、他端側232の底部から下方に突出し、回転体22の爪部224と衝突する衝突凸部233を備える。衝突凸部233は、爪部224の傾斜面224Sと衝突する一面233S、一面233Sの対向面であって、爪部224の垂直面224Vと衝突する他面233Vを備える。
【0034】
衝突凸部233の一面233Sは、爪部224の傾斜面224Sに対応するよう傾斜する。また、衝突凸部233の他面233Vは、爪部224の垂直面224Vに対応するよう、ロックレバー23の底部から下方に向けて垂直に延設(垂設)される。
【0035】
なお、収納ラック20は、その収納ラック20の直下に配置される他の収納ラック20に収納される被貯蔵物の転倒を防ぐ転倒防止リブ24を備えることが好ましい。本実施形態における転倒防止リブ24は、
図6に示されるように、収納ラック20の底壁20Bから下方に延設される。転倒防止リブ24は、被貯蔵物の少なくとも上端前方域や側方域を覆うように延在する。例えば、何らかの衝撃で被貯蔵物が転倒しかかると、その上端と転倒防止リブ24とが衝突する。これにより、転倒防止リブ24と被貯蔵物の例えば上端が干渉する結果、被貯蔵物の転倒が防止される。
【0036】
後述のように、収納ラック20は、収納ラック高さ調節部30によって上下移動可能に支持される。そのため、上下隣設される収納ラック20のうち、少なくとも上方側に配置される収納ラック20は、下方側の収納ラック20に収納される被貯蔵物の上端近傍まで移動可能である。
【0037】
すなわち、常時、高さが一定な被貯蔵物が下方側の収納ラック20に収納されない場合でも、上方側の収納ラック20の上下移動によって、転倒防止リブ24を適宜位置に配置できる。これにより、高さ位置が固定される従来の収納ラック20に転倒防止リブ24を設ける態様に比べて、被貯蔵物の転倒をより有効に防止できる。
【0038】
次に、
図7及び
図8を参照して、収納ラック高さ位置調節部30の構造を詳述する。
図7は、収納ラック高さ位置調節部30の一部を示す部分斜視図である。また、
図8は、収納ラック20を装着した状態の収納ラック高さ位置調節部30の一部を示す部分図である。
【0039】
収納ラック高さ位置調節部30は、収納ラック20を上下移動可能に支持し、その高さ位置を調節する機能を有する。より詳しくは、収納ラック高さ位置調節部30は、その高さ方向に沿って延在するレール溝31、レール溝31と略平行に延在するラックギア32を備える(
図7参照)。
【0040】
本実施形態において、レール溝の第1側壁31S1に、各々、前方側へ窪む複数の第1凹部311が凹設される。
図7に示されるように、複数の第1凹部311は、レール溝31の高さ方向に沿って順次並設される。図示される複数の第1凹部311は、等間隔で並べられているが、これに限られない。
【0041】
更に、レール溝の第2側壁31S2に、各々、背方側へ窪む複数の第2凹部312が凹設される。
図7に示されるように、複数の第2凹部312は、レール溝31の高さ方向に沿って順次並設される。図示される複数の第2凹部312は、等間隔で並べられているが、これに限られない。
【0042】
図8に示されるように、レール溝31は、収納ラック20のリブ21より幅広であり、レール溝31内にリブ21が嵌め込まれる。この状態で、リブ21を上下移動させ、その第1凸部211が、レール溝31の第1凹部311の位置に至る。これにより、第1凸部211と第1凹部311とが係合する。同様に、リブ21の第2凸部212が、レール溝31の第2凹部312の位置に至る。これにより、第2凸部212と第2凹部312とが係合する。その結果、収納ラック20は、リブ21を介して、レール溝31の延在方向(上下方向)に移動可能な状態で、所定の高さ位置で収納ラック位置調節部30に支持される。
【0043】
また、本実施形態における収納ラック位置調節部30のラックギア32は、収納ラック20の回転体22に設けられるピニオンギア222と噛み合う要素である。そのため、ラックギア32は、ピニオンギア222に対向する位置に設けられる。特に限定されるものではないが、本実施形態におけるラックギア32は、
図8に示されるように、収納ラック高さ位置調節部30の前方側外壁33の高さ方向に沿って形成される。
【0044】
図示されるように(例えば
図1)、本実施形態における一対の収納ラック高さ位置調節部30a,30bは、断熱扉10の裏面側に略平行に設けられる。そのため、高さ位置の調節時に作用する第1凸部211、第2凸部212を含むリブ21a,21bを備えた収納ラック20であって、リブ21a,21b間の距離が略一定であれば、形状の異なる収納ラック20であっても、収納ラック高さ位置調節部30に適合させることができる。また、必要に応じて、収納ラック20の数を増やす場合でも、収納ラック20を収納ラック高さ位置調節部30に装着させる作業を容易に行うことができる。
【0045】
なお、本実施形態における収納ラック高さ位置調節部30は、内装パネル部12の突出壁121a,121bの内側に別部材として取り付けられるものであるが、この態様に限られない。他の態様として、例えば、内装パネル部12の突出壁121a,121bの内側に高さ方向に沿う長尺の凹空間を設け、そこをレール溝31とするような態様が挙げられる。この場合、突出壁121a,121bが、収納ラック高さ位置調節部に対応する。ただし、この態様に限られるものではない。
【0046】
[動作]
次に、
図9を参照し、収納ラック20の高さ位置の固定とその解除動作を説明する。ここで、
図9(a)は、前記
図8と同図であって、所定の高さ位置に固定された収納ラック20を示す。また、
図9(b)は、所定の高さ位置における固定が解除された収納ラック20を示す。
【0047】
まず、収納ラック20が所定の高さ位置まで移動すると、
図9(a)の左図に示されるように、リブ21の第1凸部211とレール溝の第1凹部311とが係合すると共に、リブ21の第2凸部212とレール溝31の第2凹部312とが係合する。これにより、収納ラック20は、収納ラック高さ位置調節部30のレール溝31に支持され、所定の高さ位置で固定される。
【0048】
このとき、
図9(a)の右下図に示されるように、リブ21の背壁21Bにおいて、第1凸部211に対向する領域21B1と、レール溝31の第2側壁31S2との間に間隙S1が形成されている。また、
図9(a)の右上図に示されるように、リブ21の前壁21Fにおいて、第2凸部212に対向する領域21F1と、レール溝31の第1側壁31S1との間に間隙S2が形成されている。
【0049】
この状態で、
図9(b)の左図に示されるように収納ラック20を傾ける(例えば、背方側を前方側より上昇させる)と、リブ21とレール溝31との間に間隙S1及びS2が形成されているため、
図9(b)の右上図に示されるように、リブ21の上方側が前方(図の右側)に向けて動くと共に、
図9(b)の右下図に示されるように、リブ21の下方側が背方(図の左側)に向けて動く。これにより、第1凸部211と第1凹部311との係合が解除されると同時に第2凸部212と第2凹部312との係合が解除される。その結果、収納ラック20の固定が解除される。
【0050】
固定が解除された収納ラック20は、再び、上下移動可能な状態に戻る。続いて、収納ラック20を上下移動させ、第1凸部211がレール溝31の別の第1凹部311に係合し、第2凸部211がレール溝31の別の第2凹部312に係合することで、収納ラック20を異なる高さ位置に固定することができる。
【0051】
本実施形態によれば、リブ21とレール溝31との非常にシンプルな構造によって、収納ラック20の高さ位置を調節できるため、製品の過度なコストアップを避けることができる。また、収納ラック20を傾けるだけの作業で、収納ラック20の固定を解除できるため、収納ラック20の高さ調節を簡便に行うことができる。
【0052】
ただし、収納ラック20の固定を解除する態様は、
図9に示される態様に限られない。例えば、第1凸部211がリブ21の上方側に設けられ、第2凸部212がリブ21の下方側に設けられれば、収納ラック20の背方側を前方側より降下させて(
図9(b)とは逆方向に収納ラック20を傾斜させて)、収納ラック20の固定を解除することができる。また、それ以外の態様であってもよい。
【0053】
次に、
図10を参照して、収納ラック20に備わる回転体22とロックレバー23との作用を説明する。ここで、
図10(a)は、収納ラック20上昇時の回転体22とロックレバー23との作用を説明する図である。また、
図10(b)は、収納ラック20降下時の回転体22とロックレバー23との作用を説明する図である。
【0054】
まず、収納ラック20が上昇すると、収納ラック高さ調節部30のラックギアに噛み合うピニオンギア222が回転する。それに連動して、基板221を介してピニオンギア222と連結する爪部224が、
図10(a)に示される矢印方向に回転する。このとき、爪部224の傾斜面224Sと、ロックレバー23の衝突凸部233を構成する一面233Sとが衝突する。
【0055】
前記の通り、一面233Sは、傾斜面224Sに対応して傾斜する。また、ロックレバー23の衝突凸部233を含む他端側232は、一端側231を軸に回動可能な状態とされている。そのため、傾斜面224Sが一面233Sに衝突した後、傾斜面224Sが一面233S上を摺動すると共に、傾斜面224Sの衝突圧力によって、ロックレバー23の他端側232は、上方に向けて押動される。
【0056】
すなわち、
図10(a)に示される爪部224の回転動作は、ロックレバー23によっては停止されない。このように、爪部224は、そのまま回転を継続できる結果、収納ラック20の動作も阻害されない。なお、収納ラック高さ調節部30のラックギア32と噛み合う回転体22のピニオンギア222の回転によって、収納ラック20の上昇操作がアシストされる。
【0057】
これに対して、収納ラック20が降下すると、ピニオンラック222及び爪部224は、
図10(b)に示される矢印方向に回転する。このとき、爪部224の垂直面224Vと、前記一面233Sと共にロックレバー23の衝突凸部233を構成する他面233Vとが衝突する。
【0058】
前記の通り、爪部224の垂直面224Vは、環状部223の外周面から垂直に立ち上がる。また、ロックレバー23の他面233Vは、ロックレバー23の底部から下方に向けて垂設される。そのため、他面233Vに衝突する垂直面224Vの移動方向は、他面233Vに略直交する。このことから、垂直面224Vと他面233Vとが物理的に干渉する。その結果、垂直面224Vのそれ以上の回転は、他面233Vによって阻害される。それに応じて、ピニオンギア222の回転も止まるため、収納ラック20の更なる降下が停止される。
【0059】
このように、ロックレバー23の作用によって、収納ラック20の降下が停止される。そのため、収納ラック20のリブ21と収納ラック高さ調節部30のレール溝31との係合が仮に不十分な場合であっても、爪部224とロックレバー23との作用によって、収納ラック20の落下やレール溝31からの脱落などの事態を防ぐことができる。
【0060】
なお、収納ラック20の高さ位置を意図的に下げたい場合、ロックレバー23の他端側232を持ち上げる操作を行う。これにより、爪部224と衝突凸部233との衝突が回避され、
図10(b)に示される爪部224の回転が阻害されない。その結果、ピニオンギア222がラックギア32に噛み合いながら回転でき、収納ラック20の降下が許容される。
【0061】
以上、本発明に係る実施形態を詳細に説明した。ただし、前記の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定する趣旨で記載されたものではない。本発明には、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るものを含み得る。また、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1…冷蔵庫
10…断熱扉
20…収納ラック
21…リブ
211…第1凸部
212…第2凸部
22…回転体
221…基板
222…ピニオンギア
223…環状部
224…爪部
224S…爪部の傾斜面
224V…爪部の垂直面
23…ロックレバー
233…衝突凸部
233S…衝突凸部の一面
233V…衝突凸部の他面
24…転倒防止リブ
30…収納ラック高さ位置調節部
31…レール溝
311…第1凹部
312…第2凹部
32…ラックギア