(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
B65B 11/20 20060101AFI20231030BHJP
B65B 41/04 20060101ALI20231030BHJP
B65B 59/00 20060101ALI20231030BHJP
B65B 57/02 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
B65B11/20
B65B41/04
B65B59/00
B65B57/02 G
(21)【出願番号】P 2020009179
(22)【出願日】2020-01-23
【審査請求日】2022-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】515061754
【氏名又は名称】エムケー技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【氏名又は名称】福田 信雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】平山 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】三國 公太郎
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3197553(JP,U)
【文献】特開2013-244980(JP,A)
【文献】特開2004-307046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 11/20
B65B 41/04
B65B 59/00
B65B 57/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3種類の容器の形状を識別するセンサを配した搬入部と、容器を所定位置に保持する位置決め部と、処理した容器を送り出す搬出部と、から成る容器搬送機構と、
フィルムを載せる載置ローラと引出し面の先にカッターを配したフィルム供給部を別々に2系統に配し、そのうちの第1系統は2種類の容器に対応し、第2系統は1種類の容器に対応するフィルム供給機構と、
引出し面上のフィルムの両辺を掴んでカット位置まで引き出し、カットされたフィルムを容器の上面を被う位置まで降ろし、フィルムの粘着層を容器の側面に貼着させる、シリンダとスライダとに連結した爪付きアームを配して成るフィルム包着機構と、を備え、
前記第1系統に対応した2種類の容器は、小容器の長手外法Lb
1が、大容器の長手内法La
2よりも大きく、且つ、大容器の長手外法La
1よりも小さい関係、La
2<Lb
1<La
1の関係とし、
前記第1系統に使用するフィルムの帯幅W1は、大容器の貼り付け寸法を含めたフィルムの帯幅tDaよりも大きく、且つ、小容器の貼り付け寸法を含めたフィルムの帯幅tDbよりも小さい関係、tDa<W1<tDbの関係とし、
前記第1系
統に使用するフィルムのカット長さK1は、大容器の長手内法La
2よりも大きく、且つ、小容器の長手外法Lb
1よりも小さい関係、La
2<K1<Lb
1の関係とし、
上記第2系統の容器は、上記第1系統の容器とは独立に選定されることを特徴とする包装装置。
【請求項2】
容器搬送機構、フィルム供給機構及びフィルム包着機構の作動の制御を、予め記憶させた容器のサイズに応じた既定値による自動制御としたことを特徴とする請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
容器の形状を識別するセンサを、搬入中の容器の接触開始と接触終了でオン・オフされるマイクロスイッチとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に盛り込まれた内容物にフィルムを被せて包装する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プラスチック製の箱形の容器に、盛り込んだイチゴ等の内容物が脱落しないようフィルムを被せて包装することが行われている。
【0003】
このイチゴやサクランボのような柔らかな食品は、フィルムの圧力で傷付けてしまうこともあり、これを避けるために手加減しながら包装している。
本発明者は、そのような人による煩わしい包装作業を解消すべく、下記特許文献1の包装装置を提案した。
該装置では、内蔵したマイクロプロセッサによって、フィルムを掴んだ上下の爪の開閉や上下、前後及び左右の移動や、容器供給ラインによって容器を搬送するための駆動を、粘着層付きの包装用フィルムで容器が包装されるよう制御している。
そして、該装置によって、大きさの異なった容器が不規則的に連続して搬入されても、容器検出手段で検出した個々の容器の形状の違いに即応して内容物を傷付けずに自動的に包装することが可能となった。
【0004】
ところで、近年、イチゴ等の果物については、数年毎に粒の大きさや形状の異なる新しい品種が開発され、それに伴って消費量の増大と種類の多様化が進んでおり、それを盛り込む容器を包装する装置の数量的及び時間的処理能力の向上が求められるようになった。
すると、上記特許文献1の包装装置では、種類の多様化に対応しつつ、それを迅速且つ大量に処理するという能力が不足するという問題が生じた。
なお、従来技術として、盛り込みタイプの箱詰の包装を自動的に行う下記特許文献2及び3の包装装置の技術が提案されているが、上記多様化に対応するものではなく、これに対する何らの解決手段を有するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3197553号公報
【文献】特開2008-44673号公報
【文献】特開平11-29111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決しようとするもので、3種類の形状の異なる容器を対象としながら、それを2つのフィルムに対応した2系統の機構及び制御で対応させ、装置の簡素化と制御の省力化を図り、種類の多様化に対応しつつ、それを迅速且つ大量に処理する能力を備えた装置を開発せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため本発明の包装装置は、3種類の容器の形状を識別するセンサを配した搬入部と、容器を所定位置に保持する位置決め部と、処理した容器を送り出す搬出部と、から成る容器搬送機構と、フィルムを載せる載置ローラと引出し面の先にカッターを配したフィルム供給部を別々に2系統に配し、そのうちの第1系統は2種類の容器に対応し、第2系統は1種類の容器に対応するフィルム供給機構と、引出し面上のフィルムの両辺を掴んでカット位置まで引き出し、カットされたフィルムを容器の上面を被う位置まで降ろし、フィルムの粘着層を容器の側面に貼着させる、シリンダとスライダとに連結した爪付きアームを配して成るフィルム包着機構と、を備え、前記第1系統に対応した2種類の容器は、小容器の長手外法Lb1が、大容器の長手内法La2よりも大きく、且つ、大容器の長手外法La1よりも小さい関係、La2<Lb1<La1の関係とし、前記第1系統に使用するフィルムの帯幅W1は、大容器の貼り付け寸法を含めたフィルムの帯幅tDaよりも大きく、且つ、小容器の貼り付け寸法を含めたフィルムの帯幅tDbよりも小さい関係、tDa<W1<tDbの関係とし、前記第1系統に使用するフィルムのカット長さK1は、大容器の長手内法La2よりも大きく、且つ、小容器の長手外法Lb1よりも小さい関係、La2<K1<Lb1の関係とし、上記第2系統の容器は、上記第1系統の容器とは独立に選定されることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記包装装置において、容器搬送機構、フィルム供給機構及びフィルム包着機構の作動の制御を、予め記憶させた容器のサイズに応じた既定値による自動制御としたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、上記包装装置において、容器の形状を識別するセンサを、搬入中の容器の接触開始と接触終了でオン・オフされるマイクロスイッチとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、対象とする容器を、第1系統に属する2種類の容器と第2系統に属する1種類の容器の3種類の容器とし、該第1系統に属する2種類の容器は、小容器の長手外法Lb1が大容器の長手内法La2よりも大きく、且つ、大容器の長手外法La1よりも小さい関係、La
2
<Lb
1
<La
1
の関係とし、同時に、フィルムF1のカット長さK1を大容器Taの長手内法La2よりも大きく、且つ、小容器Tbの長手外法Lb1よりも小さい関係、La
2
<K1<Lb
1
の関係とした。
この結果、大小の異なる2種類の容器を対象とする第1系統における制御機構を、実質的に単一の容器であるかの如くに扱うことができ、大幅な装置の簡略化を実現することが可能となった。
【0011】
請求項2に記載の包装装置では、容器搬送機構、フィルム供給機構及びフィルム包着機構の作動の制御を、予め記憶させた容器のサイズに応じた既定値による自動制御とし、センサで検出したデータからの駆動部の作動命令を出すまでの演算時間を短縮化することで、作業を遅らせる要因となっている駆動部への作動命令の出るまでの演算時間を短縮化し、形状の異なる3種類の容器を不規則に搬入しても、極めて素早い反応で包装作業を進行させることが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の包装装置では、容器の形状を識別するセンサを、搬入中の容器の接触開始と接触終了でオン・オフされるマイクロスイッチとすることで、容器が搬入部を通過する際に、容器が接触しているオン・オフ間の時間の長さから容器の形状の違い感知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】
図1の形態の(イ)は容器にフィルムを被せる途中の状態を示し、(ロ)は容器にフィルムを貼着している状態を示すフィルム供給機構を省略した各側面図である。
【
図3】
図1の形態のフィルム包着機構を省略した平面図である。
【
図4】
図1の形態のフィルム包着機構における(イ)は内容物入り容器にフィルムを被せる途中を示し、(ロ)は内容物入り容器にフィルムを包着した状態を示す各正面図である。
【
図5】(イ)はフィルムを被せる途中の状態を示す容器の平面図、(ロ)はフィルムを包着した状態を示すその容器の側面図、(ハ)はフィルムを包着した状態を示すその容器の正面図である。
【
図6】(ニ)はフィルムを被せる途中の状態を示す別の容器の平面図、(ホ)はフィルムを包着した状態を示すその容器の側面図、(ヘ)はフィルムを包着した状態を示すその容器の正面図である。
【
図7】(ト)はフィルムを被せる途中の状態を示すその他の容器の平面図、(チ)はフィルムを包着した状態を示すその容器の側面図、(リ)はフィルムを包着した状態を示すその容器の正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の包装装置の実施形態を図面に基づいて以下説明する。
図は、本装置の実施形態の1例を示し、
図1はその正面図、
図2はその側面図、
図3はその平面図である。
本装置は、
図3に示すように、一列に連続したベルトコンベア11a、12a、13aに3種類の容器Ta、Tb、Tcを載せて搬送する容器搬送機構1と、
図1及び
図2に示すように、その容器搬送機構1の中間のベルトコンベア12aを跨いだ支持枠4の上部の搬入側と搬出側に設けたロール状フィルムFrから帯状のフィルムFを支持枠4内へ供給する前側と後側のフィルム供給部21、22を有するフィルム供給機構2と、前記帯状のフィルムFをカットして得た矩形のフィルムFの両辺を掴んで、前記支持枠4内のベルトコンベア12a上の内容物P入り容器Tを包装するフィルム包着機構3と、を備えるものである。
図1及び
図2の(イ)中、一点鎖線で囲って、前記容器搬送機構1、フィルム供給機構2、フィルム包着機構3を示している。
又、
図2の側面図は前記フィルム供給機構を省略し、
図3の平面図は前記フィルム包着機構を省略して示している。
なお、本装置の方向を含む説明においては、容器Tの搬出方向を前方向、搬入方向を後方向とし、その前方向と水平に直交行する方向を左右方向として以下説明する。
【0015】
前記容器搬送機構1、フィルム供給機構2及びフィルム包着機構3は、夫々の機能を満たすよう装置を稼働するためのモータ等の各種の動力発生源及びそこで発生させた動力を伝達して各機構を構成するアーム、フィンガー、爪等を可動させる動力伝達手段を含む各種駆動手段は相互に関連して制御部5によって作動が制御される。
【0016】
例えば、前記フィルム供給機構2の2つのフィルム供給部21、22は、そのうちの前側の供給部21は形状の異なる容器(以下、大きい方を大容器Ta、小さい方を小容器Tbと呼ぶ)の2種類を対象とし、後側のフィルム供給部22は、その他の形状の容器Tc(以下、他の容器Tcと呼ぶ)を対象とする。
イチゴ等の食品の内容物Pでは、通常、容器Tは大きさの異なる大中小の3種類の使用頻度が高いので、3種類の容器Tが正常に包装できればそれで充分だからである。
又、例えば、2種類の容器Tに対して2種類のフィルムを使用する場合には、2種類の容器の形状に合う帯幅のフィルムを2つ用意すれば何の問題もない。これに対して、2つの帯幅のフィルムで対応できる容器が3種類である場合には、1つのフィルムは1種類の容器の形状に合う帯幅を用意すれば良いが、もう一方の1つの帯幅のフィルムで2種類の容器Tに対応させるには、容器の形状に大きな差がある場合には対応できなくなる可能性がある。
【0017】
そこで、本発明は、2種類のフィルムに対して容器の形状は3種類とするので、容器Tの形状を大容器Taと小容器Tbの2種類を扱う方を第1系統と、その他の形状の1種類を扱う方を第2系統とし、夫々を1種類のフィルムで対応させることした。
例えば、
図1に示すように、支持枠4の前側の第1系統のフィルム供給部21と、支持枠4の後側の第2系統のフィルム供給部22とに分けて、別系統で容器Tの包装を行うこととする。
【0018】
対象となる容器Tは、
図5、
図6及
図7に示すように、矩形の箱体の開口部が外側に広がったプラスチック製の容器が対象であり、同
図5の(ロ)、
図6の(ホ)及
図7の(チ)に示すように、イチゴの如き小塊状の内容物Pがその容器の開口上縁より高く突出して盛り込まれる場合の包装を想定している。
同
図5の(ロ)、
図6の(ホ)及
図7の(チ)には、各大容器Ta、小容器Tb、他の容器Tcの深さDa、Db、Dcに対して、底面T4からの内容物Pの盛り上げ高さHa、Hb、Hcの方が高くなった状態で容器Ta、Tb、Tcに内容物Pが盛り込まれていることを示している。
このとき包着したフィルムFは各容器Tの両側の上端部の位置から上に膨らんだ状態で内容物Pを包接することなる。
なお、本発明における内容物Pには、例えば、イチゴやサクランボ等の果物を主たる対象物とし、その他食品も対象物に含めることができる。
【0019】
次いで、前記各機構のうち、先ず容器搬送機構1について説明する。
該容器搬送機構1は、
図1に示すように、包装前の内容物Pが盛り込まれた容器Tをベルトコンベア11aで搬入する搬入部11と、該容器Tを搬送する途中でベルトコンベア12aを停止させ、その容器を所定位置に一旦保持する位置決め部12と、フィルムFにより包装が終了した容器Tを集積場所までベルトコンベア13aで送り出す搬出部13とを容器Tが順次受け渡せるように一列に連続して設ける。
【0020】
そして、搬入部11には、容器Tをベルトコンベア11aの中央に寄せる中央寄せガイド11cを備える。
該中央寄せガイド11cは、
図3に示すように、モータ11dで駆動されるベルトコンベア11aの上方で左右両側の板の内側端辺を前側は平行とし、その後側は後向きにハ字形に開いた左右対称な板が、バネ等の付勢で平行部分が容器Tの横幅よりも狭い間隔に閉じられる構造とすることができる。この構造では、ベルトコンベア11aで搬送中の不規則の置かれた大小異なる容器Tが中央寄せガイド11cの間を通過する際に、両側から同じ押圧力で容器Tに向けて付勢されることで、容器が平行な内側端辺に倣ってベルトコンベア11aの中央に寄せられて、容器の側辺がベルトコンベア11aと平行になるよう容器の向きが整えられることとなる。
【0021】
該搬入部11には、3種類の大容器Ta、小容器Tb、他の容器Tcが不規則な順序で搬入されることを想定しており、その3種類は、大容器Ta及び小容器Tbと他の容器Tcとを別系統に分けるため、前記中央寄せガイド11cの後側には、搬入された個々の容器の形状を識別するセンサ11bを配設する。
該センサ11bは、例えば、
図1に示すように、マイクロスイッチ111を使用することができる。そして、このマイクロスイッチ111は、ベルトコンベア11aで搬送される容器Tに接触してオン・オフされ、その間の通過時間から換算されて容器Tの一部分の長さが計測できマイクロスイッチを使用する。
容器Tの計測部分については限定するものではないが、例えば、ベルトコンベア11a上方にマイクロスイッチ111を突設した場合には、計測できるのは通過する容器の進行方向の前側に当って接触開始し、後側で容器から離れて接触終了となる。
この計測数値によって、3種類の容器Tのうちのどの種類の容器Tであるが識別されることとなる。
【0022】
又、前記位置決め部12は、
図1に示すように、支持枠4内で容器Tをベルトコンベア12aに載せて搬送し、その途中で容器Tをフィルムで包装する位置に停止させ、容器Tの包装が終わるまで一旦そのままの状態に保持するものである。
例えば、第1系統の前側のフィルム供給部21が起動した場合にはフィルム供給部21側の、容器TをカットされたフィルムF1が容器Tの縁の外へ食み出すことなく正しく包装できるよう設定したカットされたフィルムFの直下位置に、後側の第2系統のフィルム供給部22が起動した場合にはフィルム供給部22側の正しく包装できるよう設定したカットされたフィルムの直下位置に停止させることができる。
この停止位置を決めるため、ベルトコンベア12aの後部の上方に、搬送中の容器Tとの接触によりオン・オフされ、ベルトコンベア12a上の容器の位置を検出する位置センサ12bを設ける。
そして、該位置センサ12bは、例えば、
図1に示すように、ベルトコンベア12aの上方に突出したマイクロスイッチ121が使用可能であり、このマイクロスイッチ121としては、ベルトコンベア11aで搬送される容器Tに接触してオン・オフされて、搬送中の容器の位置が検出できるマイクロスイッチを使用する。
【0023】
該位置決め部12のベルトコンベア12aからの容器Tの搬出は、次の搬出部13のベルコンベア13aへの容器Tの受け渡し及び搬出と同時的に連続するため、位置決め部12のベルトコンベア12aは、
図1に示す態様では、前側の搬出部13のベルトコンベア13aを駆動するモータ13dによって、該ベルトコンベア13aと連動させる駆動回転伝達部12dを介して駆動させる構造としている。
従って、この態様では、位置決め部12のベルトコンベア12aの停止位置は、その前側の搬出部13のベルトコンベア13aを駆動するモータ13dの制御によって決められることとなる。
【0024】
又、盛り込まれた容器T内の内容物Pは、必ずしも均一ではなく、容器Tの底面T4からの高さが他より高く盛られることもあり、フィルムFを包接させる際に、柔らかい内容物PであるとフィルムFを引き下げた際に、高く突出している内容物Pが押し潰されるおそれがある。
これを避けるため、前記位置決め部12のベルトコンベア12aには緩衝構造構12cを設けることができる。
該緩衝構造12cは、例えば、ベルトコンベア12aの後側には該ベルトコンベア12aを上下回動可能に支持する枢支部122を設け、該ベルトコンベア12aの前側には弾性で下支えするバネ123を設けることができる。
該緩衝構造12cは、容器TにフィルムFを包接させるとき、内容物Pが盛り込まれた容器Tに対してフィルムFを下げる圧力で、ベルトコンベア12aが上下に回動し、バネ123の弾性で、内容物Pにフィルムの押し付けて生じる張力を緩和させて受け止め、容器Tに高く盛られた内容物Pが押し潰されるのを防止することができる。
又、内容物PにフィルムFを被せる際の、フィルムFの高さ位置の制御を、例えば、既定値で行うため1つの設定した高さとしたとき、定数化できない不規則な内容物Pの盛り込み高さに対応して、フィルムFを包接させるときのフィルムFの張力をバネ123の付勢力を変えることで調節することができる。そして、内容物Pの盛り込み高さが低く、フィルムFに張力が生じにくい場合であっても、その低さに対応した張力で内容物Pが漏れ出さないよう包装することができるようになる。
【0025】
又、前記搬出部13は、前記位置決め部12のベルトコンベア12aから送り渡された包装終了後の容器Tを、モータ13dでベルトコンベア13aを駆動して、支持枠4の外の集積場所へ搬出するものであり、該搬出部13には、搬出された容器Tをベルトコンベア13aの側方に設けた集積板駆動部13cによりベルトコンベア13aの外へ押し出す容器集積板13bを備える。
そして、ここでベルトコンベア13aの側方へ押し出された容器Tは、別に設けた集積台に集められ、ダンボール等に梱包されて出荷されることとなる。
【0026】
上記形態の容器搬送機構1では、大きさの異なる容器Tが不規則的に投入されても、その容器TをフィルムFで包装する際の適正な位置に容器Tを一旦停止させて正確な包装作業を行えるようにし、各ベルトコンベア11a、12a、13aは、包装作業の進行状況に合わせて遅滞なく容器Tが送り渡されるように各モータ11d、13dが制御されて稼働することとなる。
【0027】
次いで、前記フィルム供給機構2について説明する。
該フィルム供給機構2には、
図1に示すように、支持枠4の前側と後側に、ロール状フィルムFrを載せる前後平行な載置ローラ21b、22bを夫々備えたロール載置台21a、22aと、該ロール載置台21a、22aから支持枠4の内部に向けて突出させた引出し面21c、22cと、その先端部211、221上の近傍にカッター21d、22dと、を備えた前後対称な2つのフィルム供給部21、22が、支持枠4の前側と後側に備えられる。
そのうちの前側のフィルム供給部21は2種類の大容器Taと小容器Tbに対応させ、後側のフィルム供給部22は他の容器Tcに対応させる。
【0028】
前記ロール状フィルムFrは、帯状のフィルムを芯に巻回してロール状としたもので、
図5の(イ)に示すように、表側の両辺に沿って線状、破線状又は帯状等に粘着材Nが積層された包装用フィルムFを使用する。
両側のフィルム供給部21、22の各ロール状フィルムFrは、両側の平行な載置ローラ21b、21b、22b、22bの上の載り、各載置ローラ21b、22bは、フィルムFの引き出しに従動して自由回転してフィルムの引き出し抵抗を緩和する機能を有する。
各載置ローラ21b、22bには、フィルムの粘着層Nが付着しないよう表面が載置面から離れるよう両側に周溝が形成れたローラを用いる。
そして、引出し面21c、22cから前記フィルム包着機構3により引き出されたフィルムFは、カッター21d、22dで所定長さにカットされる。なお、該カッター21d、22dには下ろしたときのみ通電されて加熱され、樹脂製のフィルムFを熱切断できる通電熱線が使用できる。
前記両側のフィルム供給部21、22のロール載置台21a、22に載置されたロール状フィルムFrは、前記容器搬送機構1のセンサ11bで識別された容器の形状に応じて選択され、前後のいずれか一方のフィルム供給部21、22からフィルムFが引き出されることとなる。
【0029】
次いで、前記フィルム包着機構3を説明する。
該フィルム包着機構3は、
図1に示すように、前後の支持枠4の中心に前後方向に向けて架橋したレール32aに、前後方向への移動用のスライダ32を載せ、該スライダ32にはレール32aに添って架設した駆動ベルト32bを接続し、該駆動ベルト32bには駆動でモータ32cを装着する。
この結果、前記スライダ32はモータ32cによって駆動ベルト32bが駆動され、レール32a上を前後に往復可能となる
又、該スライダ32にはシリンダ31を、該シリンダ31から出没するシャフト31aを下に向けて直立に固設する。
そして、該シャフト31aの下部には、爪35付きアーム33を吊着する。
即ち、前記アーム33は支持枠4内を前記シリンダ31とスライダ32で上下及び前後に移動可能となる。
【0030】
又、
図2に示すように、前記アーム33は左右方向に長い中央アーム33cに沿って平行な開閉スライド軸33dを架設し、該開閉スライド軸33dにフィルムFの帯幅以上の間隔を置いた左右両側に側部アーム33a、33bを配着する。
該側部アーム33a、33bは中央アーム33cに設けた駆動モータ33eにより駆動されて開閉スライド軸33d上を左右に均等に開閉可能とする。
図2の(イ)は、内容物Pを盛り込んだ容器TにフィルムFを被せる途中を示し、(ロ)は内容物Pを盛り込んだ容器TにフィルムFを包着した状態を示すものである。
【0031】
該側部アーム33a、33bの下部には、前後に長い板状の上フィンガー34aと下フィンガー34bを上下対向するように設け、下フィンガー34bは左右の側部アーム33a、33bに添ったフィンガー開閉シャフト33fの下部に固定し、該フィンガー開閉シャフト33fを上下に駆動する上下駆動モータ33gを設ける。
この結果、上下駆動モータ33gでフィンガー開閉シャフト33fを駆動して、下フィンガー34bを上下に移動することによって、上フィンガー34aと下フィンガー34bとの間が開閉可能となる。
【0032】
又、前記上フィンガー34aの内側先端には上爪35aを備え、下フィンガー34bの内側先端には下爪35bを備え、該上爪35aと下爪35bとは上フィンガー34aと下フィンガー34bとによって上下に開閉してフィルムFの両辺を水平に掴めるように形成する。
なお、下爪35bは該シャフト33fの下に固定した水平な下フィンガー34bの先端側を前記上爪35aに対向するよう上向きに折り曲げて形成すると、その細い接触面でフィルム下面の粘着層Nに接触しないように水平に置かれたフィルムFの両辺をその爪の先端辺で摘まむように掴めるようになる。
【0033】
又、前記上フィンガー34a先端部の上爪35aの上部にはフィルム押当部36を設ける。
該フィルム押当部36は、上フィンガー34a先端部上にパッド枢支軸36bを設け、該パッド枢支軸36bにパッド36aをパッド面が斜め内側に前に向けて自由に上下回動するように枢支した構造とする。
【0034】
次いで、上記フィルム包着機構3の作動状態について説明する。
上記の如き構成としたフィルム包着機構3は、
図4の(イ)及び(ロ)中の矢印で示すように、シリンダ31とスライダ32とで、アーム33を前後方向と上下方向への移動が行われる。
図4の(イ)は、アーム33をシリンダ31で上方へ移動させ、スライダ32で前方へ移動させた状態を示す。
そして、
図2に示すように、アーム33の左右の側部アーム33a、33bは、開閉スライド軸33d上を左右に開閉する。
図2の(イ)は、側部アーム33a、33bが開いた状態を示し、(ロ)は、閉じた状態を示す。
左右の側部アーム33a、33bの上下のフィンガー34a、34bは、シャフト33fの上下移動により下フィンガー34bが上下に移動し、上下の爪35有する上と下のフィンガー34a、34bとの間が開閉する。
図4の(イ)は、上下の爪35を閉じた状態を示し、(ロ)は、開いた状態を示す。
即ち、上下のフィンガー34a、34bを閉じて、上爪35aと下爪35bによって薄いフィルムFの両辺を挟むよう掴むことが可能となる。
【0035】
そして、例えば、左右の側部アーム33a、33bを大きく開いて、アーム33をシリンダ31とスライダ32とで前後方向と上下方向へ移動させ、前記フィルム供給機構2の前側のフィルム供給部21の引出し面21cの左右両側に、上爪35aと下爪35bを開いた状態にして近づけ、設定された位置で上爪35aと下爪35bを閉じてロール状フィルムFrから引出し面21cに引き出されたフィルムFの両辺を掴むことができる。
前記上爪35aと下爪35bで掴んだフィルムFは、スライダ32の前後の駆動で引出し面21cから所定のカット長さに引き出され、引出し面21cの先端部211の上にあるカッター21dを下げてフィルムを切断すれば矩形のフィルムFが得られる。
【0036】
そして、その矩形のフィルムFの両辺を上爪35aと下爪35bで掴んだままで、シリンダ31の駆動で、
図4の(ロ)に示すように、ベルトコンベア12a上の容器Tに向かって、フィルムFを容器Tの側面T1の付着位置に粘着層Nが至るまでアーム33を下降させる。
更に、
図2の(ロ)に示すように、側部アーム33a、33b間を駆動モータ33eで閉じると、前記パッド36aがフィルムFの粘着層Nを容器Tの側面T1に押し付けてフィルムFを容器Tに確実に付着させる。
【0037】
この際、フィルム押当部36のパッド36aは、
図2の(ロ)に示すように、フィルムFを押しつつ容器Tの側面T1の傾斜に追従するように姿勢を変化させ、フィルムFに対する押圧力を効率的に働かせて面接触させ容器にフィルムFを確実に貼着させることが可能となる。
なお、前記後側のフィルム供給部22も前記後側のフィルム供給部21と前後対称な同一構造なので、方向が前後で逆となるが前記フィルム包着機構3のアーム33と上下の爪35とは同様な作動をさせることができる。
【0038】
次いで、本発明の対象とする3種類の容器について説明する。
3種類の容器のうち、大容器Taを
図5に、小容器Tbを
図5に、他の容器Tcを
図7に夫々示す。
本発明では、上記各機構により、両側からロール状フィルムFrが供給され、そのうち、一方側(第1系統)には2種類の容器Ta、Tbに対応した帯幅W1のロール状フィルムFrから1つのカット長さK1でカットされて供給され、他方側(第2系統)にはその他の容器に対応した帯幅W2のロール状フィルムFrが1つのカット長さK2でカットされて供給され、両者にはそれぞれ別系統の制御が行われて、3種類の全ての内容物Pを盛り込んだ容器に対してカットされたフィルムFによる正常な包装が実行できるようにする。
【0039】
その第1系統と第2系統は、例えば、容器の種類に対応させて予め設定した既定値による自動制御とすることもできる。
この場合、搬入部11のセンサ11bによって、搬入中の容器Tの異なる形状を識別し、大容器Ta、小容器Tbを識別したときには第1系統を選択し、他の容器Tcを識別したときには第2系統を選択して、選択された系統による容器搬送機構1、フィルム供給機構2及びフィルム包着機構3の制御が自動的に行われる。
例えば、大容器Taでは、前記センサ11bを用いて前側と後側との間を測れば、これが大容器Taの規格寸法の長手外法La1と照合されて大容器Taであることが特定される。
又、小容器Tbでは、同様に前側と後側との間を測れば、これが小容器Tbの規格寸法の長手外法Lb1と照合されて小容器Tbであることが特定される。
又、他の容器Tcでは、同様に前側と後側との間を測れば、これが小容器Tbの規格寸法の長手外法Lb1と照合されて小容器Tbであることが特定される。
【0040】
例えば、前記センサ11bとして、搬入中の容器Tの接触開始と接触終了でオン・オフされるマイクロスイッチ111を用いた場合には、容器Tが長手方向に移動すると、その前側の一部にマイクロスイッチが当ると接触が開始し、マイクロスイッチが容器の後側から離れると接触が終了する。
そして、その接触時間の長さを距離に換算することで容器Tの長手方向の長さが計測され、その実測値を、予め記憶させてある、小容器Tb及び他の容器Tcの既定値の規格寸法に照合することで、容器Tの一部の測定だけで3種類の容器Tのうちのどの1つの容器であるかを素早く容易に認識することが可能となる。
【0041】
前記フィルム供給機構2の2つの種類の容器に対応した前側のフィルム供給部21と、その他の種類の容器に対応した後側のフィルム供給部22とは、支持枠4の前側と後側として説明したが、両者は前後いずれの側に配しても良い。
そこで、例えば、2つの種類の容器に対応した前側のフィルム供給部21を第1系統とし、その他の種類の容器に対応した後側のフィルム供給部22を第2系統として以下説明する。
搬入される個別の容器が3種類のうちのどの種類に該当するかは、前記センサ111で識別されて、その識別と同時に第1系統と第2系統のうちの該当した方の系統が起動されることとなる。
【0042】
使用する2つのロール状フィルムFrの帯幅W1、W2については、いずれも容器Tをカットした矩形のフィルムで正常に包装できるものでなければならない。
フィルムFは、包装後に容器Tを逆さにしても高く盛り込まれた内容物Pが容器Tから漏れ出ないよう、両側が容器Tの開口部の両側の内側端縁T3に達するよう容器の長手内法La2、La2、La2と同じ長さ以上で、且つ、両側が容器Tの開口部の両側の外側端縁T2からは突出して、多数を密に並べたときにその後に接触して緩衝し合うことないよう長手外法La1、Lb1、Lc1と同じ長さ以下のカット長さK1、K2とし、又、容器Tの長辺の両側の側面T1に粘着層Nが容易に剥がれてしまうことのない幅に付着し、且つ、フィルムTの両側の端辺が容器Tの底面T4より下へは突出しない帯幅W1、W2とすることが、要求される。
本発明は、3種類の異なった種類の容器の包装において、そのような要求に応えられる包装、即ち、両側の外側端縁T2からはフィルムが突出せず且つ内容物Pが容器Tから漏れ出さない正常な包装を可能とするものである。
【0043】
従って、上記の如き正常な包装となるように、前記2系統の内いずれの系統においても、対象となる容器Tと、フィルムFの帯幅とカット長さKとは、関係がある。
【0044】
次に、それらの関係について説明するに当って、先に上記符号の詳細について説明する。
(1)大容器Taは、
図5に示すように、長手外法をLa
1とし、長手内法をLa
2とし、短手外法をRa
1とし、短手内法をRa
2とする。
(2)小容器Tbは、
図6に示すように、長手外法をLb
1とし、長手内法をLb
2とし、短手外法をRb
1とし、短手内法をRb
2とする。
(3)他の容器Tcは、
図7に示すように、長手外法をLc
1とし、長手内法をLc
2とし、短手外法をRc
1とし、短手内法をRc
2とする。
(4)2種類の容器に対応したフィルムF1は、大容器Taの内容物Pの盛り上げ寸法を含めた短手方向のフィルムの幅をmRa
1とし、小容器Tbの内容物Pの盛り上げ寸法を含めた短手方向のフィルムの幅をmRb
1とし、大容器Taの貼り付け寸法を含めたフィルムの帯幅をtDaとし、小容器Tbの貼り付け寸法を含めたフィルムの帯幅をtDbとする。
大容器Taと小容器Tbの内容物Pの盛り上げ寸法を含めた短手方向のフィルムの幅mRa
1、mRb
1とは、内容物Pの盛り上げ高さHa、Hbに影響されて大容器Taと小容器Tbの長手外法をLa
1、Lb
1よりも長くなった幅のことである。
又、大容器Taと小容器Tbの貼り付け寸法を含めたフィルムの帯幅tDa、tDbとは、容器Tの側面T1に粘着層Nを貼り付けたときに、容器Tの開口外側縁から容器Tの側面T1に向かって斜めに折り返され、フィルムFの下端部が容器Tの底面T4から下側には突出しない内容物Pの盛り上げ寸法を含めた短手方向のフィルムの幅mRa
1、mRb
1を含んだフィルムFの帯幅W1のことである。
(5)他の容器Tcに対応したフィルムF2は、内容物Pの盛り上げ寸法を含めた短手方向のフィルムの幅をmRc
1とし、貼り付け寸法を含めたフィルムの帯幅をtDcとする。
【0045】
次に、上記(1)から(5)で説明した符号に基づいてそれぞれの関係を説明する。
例えば、
図5及び
図6に示すように、形状の異なる大容器Taと小容器Tbに対しては、前記フィルム供給機構2の搬出側のフィルム供給部21で帯幅W1のロール状フィルムFrを使用し、
図7に示すように、形状の異なるその他の容器Tcに対しては、搬入側のフィルム供給部22で帯幅W2のロール状フィルムFrを使用する。
その際、合計3種類の容器Tのうち、サイズが近い方の大容器Taと小容器Tbの2つの容器Tは第1系統とし、他の1つは第2系統とする。
【0046】
そこで、先ず、前記第1系統の大容器Taと小容器Tbとの関係について説明する。
図5の(イ)から(ハ)に示す大容器Taと、
図6の(ニ)から(ヘ)に示す小容器Tbとは、形状に大小の差があるのにも係わらず、対応するフィルムF1はいずれも共通の帯幅W1で、共通のカット長さK1とした矩形のフィルムF1を使用する。
【0047】
フィルムF1のカット長さK1が共通となる大容器Taと小容器Tbは、大容器Taにあっては、逆さにしても高く盛り込まれた内容物Pが漏れ落ちないよう、カット長さK1を、両側が開口部の内側端縁T3よりも外側となり、且つフィルムの両側は開口部の外側端縁T2から食み出さないように大容器Taの長手外法La1よりも短くする。
又、小容器Tbにあっては、逆さにしても高く盛り込まれた内容物Pが容器Tbから漏れ落ちないよう、カット長さK1は、両側が開口部の内側端縁T3よりも外側となり、且つフィルムの両側は開口部の外側端縁T2から食み出さないように小容器Tbの長手外法Lb1よりも短くする。
【0048】
そして、小容器Tbは大容器Taよりも小さいので、大容器Taの開口部の外側端縁T2は、大容器Taの開口部の内側端縁T3よりも外側にないと、フィルムF1のカット長さK1が、大容器Taでは両側が開口部の内側端縁T3よりも内側となってしまい、小容器Tbでは両側が開口部の外側端縁T2よりも外側となってしまうので好ましくない。
又、小容器Tbは大容器Taよりも小さいので小容器Tbの長手外法Lb1は、大容器Taの長手外法La1よりも小さいものとなる。
従って、2種類の容器は、小容器Tbの長手外法Lb1が、大容器Taの長手内法La2よりも大きく、且つ、大容器の長手外法La1よりも小さい関係とする。
即ち、La
2
<Lb1<La
1
の式が成り立つ関係とする。
この関係において小容器Tbの長手外法Lb1が、大容器Taの長手内法La2に近いほど、カット長さK1の許容値が小さくなり、フィルムF1は正確なカット長さK1が求められる。
【0049】
例えば、大容器Taは、長手外法La1を200mm、長手内法La2を180mm、短手外法Ra1を125mm、短手内法Ra2を105mmとし、深さDaを30mmとした容器Taが使用でき、又、これに対する小容器Tbは、長手外法Lb1を180mm、長手内法Lb2を160mm、短手外法Rb1を110mm、短手内法Rb2を90mmとし、深さDbを44mmとした容器が使用できる。
なお、カット長さK1が長手内法La2である180mmより短い場合であっても、内容物Pによっては漏れ出る可能性がないものもあり、その場合のカット長さK1は180mmよりも短いものであっても内容物Pが漏れ出ない寸法として使用できる場合がある。
【0050】
次に、使用するフィルムF1の帯幅W1と大容器Taと小容器Tbとの関係について説明する。
使用するフィルムF1の帯幅W1は、大容器Taと小容器Tbとに共通し、平面的に広げたときには、いずれも容器の両外側に粘着層Nを含めて長く食み出す大きさとするが、その食み出し部分の端辺は、大容器Taと小容器Tbの側面T1をいずらも包むように容器の底面T4に向かって引き下げられたとき、
図5の(ロ)及び
図6の(ホ)に示すように、粘着層Nが容器の側面T1に必ず正常な状態で付着されなければならない。
このとき、内容物Pが容器Ta,Tbの開口部より上へ高く盛り上がり、内容物Pの盛り上がりによって底面T4からの内容物Pの盛り上げ高さHa、Hbは容器Ta、Tbの深さDa、Dbよいも大きくなる。
【0051】
そして、大容器Taの深さDa内にあって、フィルムF1の両側の粘着層Nは、容器両側の側面T1に適度な位置で付着できなければならないので、フィルムF1の帯幅W1は、大容器Taの上に被さる内容物Pの盛り上げ寸法を含めた短手方向のフィルムの幅mRa1と、両方の側面T1を包む貼り付け寸法を含めたフィルムの幅との合計である貼り付け寸法を含めたフィルムの帯幅tDaとなる。
一方、小容器Tbの方も深さDb内にあって、フィルムF1の両側の粘着層Nは、容器両側の側面T1に適度な位置で付着できなければならず、このため、フィルムF1の帯幅W1は、小容器Tbの上に被さる内容物Pの盛り上げ寸法を含めた短手方向のフィルムの幅mRb1と、両方の側面T1を包む貼り付け寸法を含めたフィルムの幅との合計である貼り付け寸法を含めたフィルムの帯幅tDbとなる。
【0052】
従って、第1系統に対応した大容器Taと小容器Tbの両方に用いるフィルム1は、両側の端辺が底面T4より下に食み出さないように小容器Tcの貼り付け寸法を含めた帯幅tDbよりも小さいくし、且つ、大容器Taの側面T1に粘着層Nが正常に付着するように、貼り付け寸法を含めた帯幅tDaよりも大きい関係とする。
即ち、tDa<W1<tDbの式が成り立つ関係とする。
例えば、上記数値を示した大容器Taと小容器Tbの場合、帯幅W1は、210mmのフィルムF1が使用できる。
【0053】
次に、フィルムF1のカット長さK1と、大容器Taの長手内法La
2及び小容器Tbの長手外法Lb
1との関係について説明する。
フィルムF1のカット長さK1は、大容器Taの長手外法La
1に対して、
図5の(イ)及び
図6の(ニ)に示すように、フィルムF1のカット両端部は両端辺が外側端縁T2から外へ食み出さないように小容器Tbの長手外法Lb
1以内にあって、大容器Taから内容物Pが漏れ出ないように開口部の内側端縁T3の内側にとはならいようにする。
従って、第1系
統に使用するフィルムのカット長さK1は、大容器Taの長手内法La
2よりも大きく、且つ、小容器Tbの長手外法Lb
1よりも小さい関係とする。
即ち、La
2<K1<Lb
1の式が成り立つ関係とする。
例えば、上記数値を示した大容器Taと小容器Tbの場合、カット長さK1は、180mmとすることができる。
【0054】
又、上記第2系統については、他の容器Tcを上記第1系統の大容器Taと小容器Tbとは独立に選定する。
そして、例えば、該第2系統に使用するフィルムF2の帯幅W2は、粘着層Nが他の容器Tcの側面T1に正常に貼着されるように、他の容器Tcの貼り付け寸法を含めたフィルムの最小の帯幅tDcよりも大きく、且つ、他の容器Tcの貼り付け寸法を含めたフィルムの最大の帯幅tDcよりも小さい関係とすることができる。
【0055】
この場合、例えば、他の容器Tcは、長手外法Lc1を235mm、長手内法Lc2を215mm、短手外法Rc1を155mm、短手内法Rc2を135mmとし、深さDaを30mmとした容器Tcを使用する場合、フィルムF2の帯幅W2は220mm、カット長さK2は220mmのフィルムF2を使用することができる
【0056】
次に、上記容器TとフィルムFとの関係において、本発明の作用効果について説明する。
例えば、予め、第1系統に対応した上記容器とフィルムF1の関係を満足する2種類の容器の各部の規格寸法と、第2系統に対応する上記容器とフィルムF2の関係1種類の容器の各部の規格寸法を制御部5のメモリーに記憶させておくことができる。
又、装置の稼働制御の指令も第1系統と第2系統の2つの系統で行うので、事前にその手順を系統別に容器のデータとして記憶させておく。
この他に記憶させるデータは、各ベルトコンベア11a、12a、13aの可動時間、アームの33の上下左右への移動距離、左右の側部アーム33a、33bの開閉間隔、上爪35aと下爪35bの開閉時間及びそれらの可動タイミング等であり、それらを制御するため数値は事前に制御部5に入力しておく。
そして、例えば、センサ11bの容器Tの一部の形状の測定により、その実測値を、予め記憶させてある既定値の規格寸法に照合して、3種類の容器Tのうちの1つの容器であることを認識させることができる。
該センサ11bの容器の検出で、認識された容器の種類が決まると、その容器Tに対する系統が自動的に選択される。
そして、両側のロール状フィルムFrのうち一方が選択されるとその系統による制御が始まり関連する各機構の駆動部が起動され、各機構は関連して自動制御されることとなる。
【0057】
本装置の包装を開始すると、先ず、ベルトコンベア11aに載った容器Tが搬入部11から搬入され、そのベルトコンベア11aの近傍に設けたセンサ11bで容器の形状が検出さ、その検出された搬入中の容器Tに応じた第1系統又は第2系統のいずれかの系統が起動される。
例えば、センサ11bで大容器Taが識別されて第1系統が起動した場合、
図1に示すよう、搬入部11のベルトコンベア11aから位置決め部12のベルトコンベア12aに容器が渡されと、位置決め部12の位置センサ11bで大容器Taの位置が検出され、ここからフィルム供給部21側の設定したカットしたフィルムの直下位置まで大容器Taが搬送されて自動的に停止する。
一方、フィルム包着機構3では、第1系統である上記容器とフィルムF1の関係を満足する帯幅F1のロール状フィルムFrが使用され、爪35付きアーム33が移動し、フィルム供給部21のロール状フィルムFrから引き出された引出し面21c上のフィルムFの両辺を上爪35aと下爪35bで掴む。
そのときの左右の側部アーム33a、33bは、使用されるフィルムFの帯幅W1に合うように制御部5に設定されている第1系統によって、その設定された位置に移動した上爪35aと下爪35bでフィルムFの両辺が掴まれることとなる。
【0058】
そして、
図1に示すよう、上爪35aと下爪35bでフィルムFの両辺を掴んだ状態でスライダ32により、引出し面21cから設定したカット長さK1でフィルムFを引き出し、さらにカッター21dで、上記容器とフィルムF1の関係を満足する決まったカット長さK1に該フィルムFをカットする。
このとき、カットされたフィルムF1は両辺を上爪35aと下爪35bで掴まれた状態で大容器Taの直上の位置にある。この大容器Taの位置は、前記位置センサ11bによる位置の検出によって予め設定されていたベルトコンベア12aの停止位置である。
【0059】
そして、そのままアーム33をシリンダ31で上下の爪35を大容器Taの側面T1へ粘着層Nが正常に貼れる位置まで降下させ、大容器Taの上から内容物Pに当ったフィルムF1に軽く張力が発生するようフィルムF1を被せる。
この降下位置は、容器の深さ等の形状によって異なり、フィルムを貼るに最適な高さとなるよう設定された位置である。
そして、2種類の容器Tの長手外法La1、Lb1や、深さDa、Dbに大差がない場合には、その2種類の容器に対して、降下位置を1つの標準の既定値に設定することで位置の設定変更が省略できるので包装作業の高速化に寄与することとなる。
【0060】
上記の関係にあって、本発明では、上記第1系統に対応した2種類の容器は、小容器の長手外法Lb1が、大容器の長手内法La2よりも大きく、且つ、大容器の長手外法La1よりも小さい関係、La
2
<Lb1<La
1
の関係とする。
そして、フィルムF1のカット長さK1を、大容器Taの長手内法La2よりも大きく且つ、小容器Tbの長手外法Lb1よりも小さい関係、La
2
<K1<Lb
1
の関係とする。
前者は、大容器Taの長手内法La2と小容器Tbの長手外法Lb1との間に特定の関係を求めることによって、使用するフィルムFに共通する特性を付与せんとするものである。
後者は、前者の関係を利用して、大容器Taと小容器Tbの形状の違いがあるに拘わらず、フィルムF1のカット長さK1を大容器Ta及び小容器Tbの長さを単一なものとして、上記制御に関わる機構を簡素化せんとするものである。
この結果、大小の異なる2種類の容器Ta、Tbを対象とする第1系統における制御機構を、実質的に単一の容器であるか如くに扱うことができ、大幅な装置の簡略化を実現することが可能となる。
同時に、フィルムF1のカット両端部が、小容器Tbに対しては、開口部の外側端縁T2内に内容物Pを十分に包み込み、且つ、大容器Taに対しては、開口部の内側端縁T3の内側に食い込まず内容物Pがはみ出すことのないものとなり、包装形態としても正常な形態となる。
【0061】
そして、アーム33の左右の側部アーム33a、33bをモータ33eで閉じて左右の側部アーム33a、33bの下端にある上下の爪35でフィルムF1を掴んだ状態のまま大容器Taの側面T1へパッド36bが当るまで進行させる。このときパッド36bが粘着層Nを大容器Taの側面T1に押し付けてフィルムFを確実に付着させる。
左右の側部アーム33a、33bは、事前に、容器Tの短手外法Ra1、Ra1や深さDa、Db等に合って正常に包装されるように最適な閉じ幅に設定しており、2種類の容器Tの短手外法Ra1、Rb1や、深さDa、Dbに大差がない場合には、その2種類の容器に対して、閉じ位置を1つの標準設定とすれば、位置の設定変更が省略できるので包装作業の高速化に寄与することとなる。
このとき、前記第1系統に使用するフィルムの帯幅W1は、大容器Taの貼り付け寸法を含めたフィルムの帯幅tDaよりも大きく、且つ、小容器Tbの貼り付け寸法を含めたフィルムの帯幅tDbよりも小さい関係、tDa<W1<tDbの関係とする。
フィルムFの帯幅W1を統一し、且つ、それが大容器Ta及び小容器Tbの側面に対応することができるようにする為である。
その結果、粘着層Nのある両側が大容器Ta及び小容器Tbの側面T1に確実に付着でき、容器の底面T4から外れることもない正常な包装となる。
【0062】
そして、上下の爪35a、35bを開いてフィルムF1を離し、上記の如く正常に包装された大容器Taの側部T1から上下の爪35a、35bが左右に移動し、包装が完了した大容器Taは前記フィルム包着機構3から分離される。
前記位置決め部12で包装が完了した大容器Taは、搬出部13へ送られ、該搬出部13のベルトコンベア13aよって支持枠4外の集積場所へ搬出される。
以上で第1系統の一連の操作が終了する。
小容器Tbを包装する場合も、上記大容器Taの場合と同様な進行となる。
又、第2系統では、後側フィルム供給部22から異なる帯幅W2のフィルムF2が供給され、その後の設定された一連の操作でその他の容器Tcの包装が行われる。
【0063】
本発明は上記の如く、形状の異なる3種類の容器を恰も2種類であるかの如く包装処理することが可能となり、本来3つの系統の制御が必要であるはずの機構を、2つの系統で対応させることができ、大幅な装置の簡略化が可能となった。その際の包装形態も、通常の包装と変わりのない正常な包装形態とすることができる。
又、本発明では、上述の如く、容器の種類を3種類とする一方で、操作を2つに系統化することで、制御の演算の省略化と、例えば、予め記憶させた容器のサイズに応じた既定値による自動制御とすることもでき、作業を遅らせる要因となっているセンサで検出したデータからの駆動部の作動命令を出すまでの演算時間を短縮化し、形状の異なる3種類の容器を不規則に搬入しても、極めて素早い反応で包装作業を進行させることが可能となる。
【符号の説明】
【0064】
1 容器搬送機構
11 搬入部
11a ベルトコンベア
11b センサ
111 マイクロスイッチ
12 位置決め部
12a ベルトコンベア
12b 位置センサ
121 マイクロスイッチ
12c 緩衝構造
13 搬出部
13a ベルトコンベア
13b 容器集積板
2 フィルム供給機構
21 前フィルム供給部
21a ロール載置台
21b 載置ローラ
21c 引出し面
21d カッター
22 後フィルム供給部
22a ロール載置台
22b 載置ローラ
22c 引出し面
22d カッター
3 フィルム包着機構
31 シリンダ
32 スライダ
33 アーム
33a 側部アーム
33b 側部アーム
33c 中央アーム
33d 側部アーム開閉用スライド軸
34 フィンガー
35 爪
35a 上爪
35b 下爪
36 フィルム押当部
4 支持枠
5 制御部
P 内容物
T 容器
T1 側面
T2 開口部の外側端縁
T3 開口部の内側端縁
T4 底面
Ta 大容器
La1 長手外法
La2 長手内法
Ra1 短手外法
Ra2 短手内法
Da 深さ
Ha 底面からの内容物の盛り上げ高さ
Tb 小容器
Lb1 長手外法
Lb2 長手内法
Rb1 短手外法
Rb2 短手内法
Db 深さ
Hb 底面からの内容物の盛り上げ高さ
Tc 他の容器
Lc1 長手外法
Lc2 長手内法
Rc1 短手外法
Rc2 短手内法
Dc 深さ
Hc 底面からの内容物の盛り上げ高さ
F フィルム
F1 フィルム
W1 帯幅
K1 カット長さ
mRa1 内容物の盛り上げ寸法を含めた短手方向のフィルムの幅
mRb1 内容物の盛り上げ寸法を含めた短手方向のフィルムの幅
tDa 貼り付け寸法を含めたフィルムの帯幅
tDb 貼り付け寸法を含めたフィルムの帯幅
F2 フィルム
W2 帯幅
K2 カット長さ
mRc1 内容物の盛り上げ寸法を含めた短手方向のフィルムの幅
tDc 貼り付け寸法を含めたフィルムの帯幅
Fr ロール状フィルム
N 粘着層