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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】ラックおよびこれを備えた冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20231030BHJP
   F25D 13/00 20060101ALI20231030BHJP
   F25D 25/00 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
F25D23/00 302Z
F25D13/00 A
F25D25/00 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020045602
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021148320
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】302040054
【氏名又は名称】株式会社フリーザーシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】松下 爾仁
(72)【発明者】
【氏名】福井 祐章
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110810699(CN,A)
【文献】特開昭62-297677(JP,A)
【文献】特開2015-081704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00 ~ 16/00
F25D 23/00
F25D 25/00 ~ 25/02
F25D 27/00 ~ 31/00
H05B 6/54 ~ 6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体からなり、第1極に接続される複数の第1トレイと第2極に接続される複数の第2トレイとが交互に配置された複数のトレイであり、前記第1極と前記第2極との間に高電圧が印加される複数のトレイと、
導体からなり、前記複数の第1トレイに渡るように架設され、前記複数の第1トレイを前記第1極に接続する電極であり、導体からなり前記複数の第1トレイにそれぞれ着脱可能に掛止される複数の掛止部を備えた電極と
絶縁体からなり、前記複数の第1トレイを支持する第1トレイ受けと、
導体からなり、前記複数の第2トレイを支持する第2トレイ受けと、
導体からなり、前記第1トレイ受けおよび前記第2トレイ受けが固定されるフレームと
を有し、
前記複数の第1トレイは、前記複数の掛止部および前記電極を介して前記第1極に接続されるものであり、
前記複数の第2トレイは、前記第2トレイ受けおよび前記フレームを介して前記第2極に接続されるものであるラック。
【請求項2】
導体からなり、第1極に接続される複数の第1トレイと第2極に接続される複数の第2トレイとが交互に配置された複数のトレイであり、前記第1極と前記第2極との間に高電圧が印加される複数のトレイと、
導体からなり、前記複数の第1トレイに渡るように架設され、前記複数の第1トレイを前記第1極に接続する電極であり、導体からなり前記複数の第1トレイがそれぞれ着脱可能に掛止される複数の掛止部を備えた電極と
絶縁体からなり、前記複数の第1トレイを支持する第1トレイ受けと、
導体からなり、前記複数の第2トレイを支持する第2トレイ受けと、
導体からなり、前記第1トレイ受けおよび前記第2トレイ受けが固定されるフレームと
を有し、
前記複数の第1トレイは、前記複数の掛止部および前記電極を介して前記第1極に接続されるものであり、
前記複数の第2トレイは、前記第2トレイ受けおよび前記フレームを介して前記第2極に接続されるものであり、
前記複数の第1トレイが、前記複数の掛止部にそれぞれ嵌合する嵌合部を備えたラック。
【請求項3】
請求項1または2に記載のラックを備えた冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に高電圧を印加するラックおよびこれを備えた冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜、生肉、魚介類や果物等の生鮮食品の鮮度を保つために、冷凍保存が行われている。冷凍保存は、凍結部内で被冷凍物を常温から-35℃~-45℃まで急速冷凍することにより行われる。ところが、このような方法では、被冷凍物を解凍した際にドリップが発生してしまい、被冷凍物が水っぽくなってしまうという問題がある。ドリップの発生は、凍結時に細胞内の氷結晶が肥大化して細胞膜を破壊してしまうことに起因する。このように細胞膜が破壊されると、解凍時に、破壊された細胞膜から細胞内の水分が流出してドリップが発生することになる。
【0003】
そこで、本出願人は、例えば特許文献1に記載の連続式冷凍装置を開発している。この連続式冷凍装置では、無端環状体上の対象物に対して高電圧を印加してその組成分子を活性化させた状態で常温から凍結点を基準に0℃~-5℃の範囲の温度まで冷却することで、対象物を凍結することなく過冷却して対象物内の温度を均一化し、その後、凍結点~-40℃まで急速冷凍することにより、細胞内の水分が肥大化されることなく、微細な氷結晶の状態を維持するようになり、対象物は細胞膜を破壊されることなく冷凍される。
【0004】
また、例えば特許文献2には、庫内に配置したフレーム体にそれぞれ冷凍対象物が載置される複数のトレイ(パンケース)が支持され、各トレイの直上および最下段の直下に第1電極板と第2電極板とが一枚置きに交互に配置され、第1電極板に高圧交流電位が印加され、第2電極板にアース部が接続された超急速冷凍装置が開示されている。この超急速冷凍装置では、第1電極板に高圧交流電位が付与されると、第1電極板と対向する上下の第2電極板との間の空間に、周期的に方向が反転する電場が生起され、その空間に位置する各パンケース上の冷凍対象物に鉛直方向の電場が作用するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4853868号公報
【文献】登録実用新案第3101162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の超急速冷凍装置では、各トレイ上の冷凍対象物に電場を作用させるため、各トレイの直上および最下段の直下に第1電極板と第2電極板とを交互に配置し、一枚置きに第1電極板には高圧交流電位発生装置を接続し、第2電極板にはアース部を接続した構造である。なお、特許文献2には、各電極板と高圧交流電位発生装置およびアース部とがどのような構造で接続されているかについて、具体的な記載はない。
【0007】
本発明は、並べて配置される複数のトレイに対して簡単に電極を接続して高電圧を印加することが可能なラックおよびこれを備えた冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のラックは、導体からなり、第1極に接続される複数の第1トレイと第2極に接続される複数の第2トレイとが交互に配置された複数のトレイであり、第1極と第2極との間に高電圧が印加される複数のトレイと、導体からなり、複数の第1トレイに渡るように架設され、複数の第1トレイを第1極に接続する電極であり、導体からなり複数の第1トレイにそれぞれ着脱可能に掛止される複数の掛止部を備えた電極とを有するものである。
【0009】
本発明のラックによれば、複数の掛止部が複数の第1トレイにそれぞれ掛止されるように電極を架設するだけで、複数の第1トレイを第1極に接続することが可能となり、第1極に接続される複数の第1トレイと第2極に接続される複数の第2トレイとの間に高電圧を印加することが可能となる。
【0010】
本発明のラックは、導体からなり、第1極に接続される複数の第1トレイと第2極に接続される複数の第2トレイとが交互に配置された複数のトレイであり、第1極と第2極との間に高電圧が印加される複数のトレイと、導体からなり、複数の第1トレイに渡るように架設され、複数の第1トレイを第1極に接続する電極であり、導体からなり複数の第1トレイがそれぞれ着脱可能に掛止される複数の掛止部を備えた電極とを有し、複数の第1トレイが、複数の掛止部にそれぞれ嵌合する嵌合部を備えたものである。
【0011】
本発明のラックによれば、架設された電極の複数の掛止部に対して第1トレイの嵌合部をそれぞれ掛止部に嵌合するだけで、複数の第1トレイを第1極に接続することが可能となり、第1極に接続される複数の第1トレイと第2極に接続される複数の第2トレイとの間に高電圧を印加することが可能となる。
【0012】
また、本発明のラックは、絶縁体からなり、複数の第1トレイを支持する第1トレイ受けと、導体からなり、複数の第2トレイを支持する第2トレイ受けと、導体からなり、第1トレイ受けおよび第2トレイ受けが固定されるフレームとを有し、複数の第1トレイは、複数の掛止部および電極を介して第1極に接続されるものであり、複数の第2トレイは、第2トレイ受けおよびフレームを介して第2極に接続されるものであることが望ましい。これにより、第1トレイを第1トレイ受けに支持するとともに、第2トレイを第2トレイ受けに支持した後、複数の掛止部が複数の第1トレイにそれぞれ掛止されるように電極を架設するか、または、架設された電極の複数の掛止部に対して第1トレイの嵌合部をそれぞれ掛止部に嵌合するだけで、第1トレイは複数の掛止部および電極を介して第1極に接続され、第2トレイは第2トレイ受けおよびフレームを介して第2極に接続され、第1極に接続される複数の第1トレイと第2極に接続される複数の第2トレイとの間に高電圧を印加することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
(1)導体からなり、第1極に接続される複数の第1トレイと第2極に接続される複数の第2トレイとが交互に配置された複数のトレイであり、第1極と第2極との間に高電圧が印加される複数のトレイと、導体からなり、複数の第1トレイに渡るように架設され、複数の第1トレイを第1極に接続する電極であり、導体からなり、複数の第1トレイにそれぞれ着脱可能に掛止される複数の掛止部を備えた電極とを有するラックによれば、複数の掛止部が複数の第1トレイにそれぞれ掛止されるように電極を架設するだけで、簡単に複数の第1トレイを第1極に接続して、第1極に接続される複数の第1トレイと第2極に接続される複数の第2トレイとの間に高電圧を印加することが可能となる。
【0014】
(2)導体からなり、第1極に接続される複数の第1トレイと第2極に接続される複数の第2トレイとが交互に配置された複数のトレイであり、第1極と第2極との間に高電圧が印加される複数のトレイと、導体からなり、複数の第1トレイに渡るように架設され、複数の第1トレイを第1極に接続する電極であり、導体からなり、複数の第1トレイがそれぞれ着脱可能に掛止される複数の掛止部を備えた電極とを有し、複数の第1トレイが、複数の掛止部にそれぞれ嵌合する嵌合部を備えたラックによれば、架設された電極の複数の掛止部に対して第1トレイの嵌合部をそれぞれ掛止部に嵌合するだけで、簡単に複数の第1トレイを第1極に接続して、第1極に接続される複数の第1トレイと第2極に接続される複数の第2トレイとの間に高電圧を印加することが可能となる。
【0015】
(3)ラックが、絶縁体からなり、複数の第1トレイを支持する第1トレイ受けと、導体からなり、複数の第2トレイを支持する第2トレイ受けと、導体からなり、第1トレイ受けおよび第2トレイ受けが固定されるフレームとを有し、複数の第1トレイが、複数の掛止部および電極を介して第1極に接続されるものであり、複数の第2トレイが、第2トレイ受けおよびフレームを介して第2極に接続されるものであることにより、第1トレイを第1トレイ受けに支持するとともに、第2トレイを第2トレイ受けに支持した後、複数の掛止部が複数の第1トレイにそれぞれ掛止されるように電極を架設するか、または、架設された電極の複数の掛止部に対して第1トレイの嵌合部をそれぞれ掛止部に嵌合するだけで、第1極に接続される複数の第1トレイと第2極に接続される複数の第2トレイとの間に高電圧を印加することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施の形態における冷却装置の内部構造を示す概略平面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態における冷却装置の内部構造を示す概略正面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態における冷却装置の内部構造を示す概略右側面図である。
図4】ラックの正面図である。
図5】ラックの右側面図である。
図6図4のVI-VI断面図である。
図7図4のVII-VII断面図である。
図8図4のVIII部拡大図である。
図9図4のIX部拡大図である。
図10図5のX部拡大図である。
図11】ラックの斜視図である。
図12】(A)は電極ユニットを正面側からみた斜視図、(B)は背面側からみた斜視図である。
図13】電極ユニットをラックに架設した状態を示す斜視図である。
図14】本発明の第2の実施の形態における冷却装置の内部構造を示す概略平面図である。
図15】本発明の第2の実施の形態における冷却装置の内部構造を示す概略正面図である。
図16】本発明の第2の実施の形態における冷却装置の内部構造を示す概略右側面図である。
図17】ラックの正面図である。
図18】ラックの右側面図である。
図19】第1極ユニットの内部構造を示す概略斜視図である。
図20】第2極ユニットの内部構造を示す概略斜視図である。
図21】ラックを第1極ユニットおよび第2極ユニットへ向けて進行させる様子を示す斜視図である。
図22】ラックを第1極ユニットおよび第2極ユニットに接続した状態を示す斜視図である。
図23】ラックを第1極ユニットおよび第2極ユニットに接続した状態の内部構造を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施の形態1>
図1は本発明の第1の実施の形態における冷却装置の内部構造を示す概略平面図、図2は概略正面図、図3は概略右側面図である。なお、本明細書において、方向を示す用語としての「前」は図1を基準にして下側を指し、「後」は図1を基準にして上側を指すものとする。また、「上」「下」「左」「右」は、図2を基準にしてそれぞれ上側、下側、左側、右側を指すものとする。
【0018】
図1図3に示すように、本発明の第1の実施の形態における冷却装置1Aは、外部と断熱された冷却庫2内に、冷却対象物が収容されるラック3と、ラック3に架設される電極ユニット13と、冷却庫2内の空気を冷却する冷却器4と、冷却庫2内の空気を吸引して冷却器4へ送り込む冷却ファン5とを有する。冷却装置1Aの正面には、ラック3に冷却対象物を出し入れするための開閉扉6が設けられている。また、冷却装置1Aの上部には電極ユニット13に接続される高電圧発生器7が設けられている。
【0019】
高電圧発生器7は、高電圧、例えば800V~10000V、より好ましくは3000V~7000V、さらに好ましくは4000V~5000Vの直流パルス電圧を発生する装置である。直流パルス電圧は、0.001秒~0.2秒間隔で高電圧の印加と無印加とを断続的に繰り返すものである。あるいは、高電圧発生器7は、例えば800~10000V、より好ましくは3000~7000V、さらに好ましくは3500V前後の交流電圧(周波数50Hz~500Hz)を発生する装置としても良い。高電圧発生器7の電圧値および周波数は、冷却対象物に応じて変更する。
【0020】
図4はラック3の正面図、図5は右側面図、図6図4のVI-VI断面図、図7図4のVII-VII断面図、図8図4のVIII部拡大図、図9図4のIX部拡大図、図10図5のX部拡大図、図11はラック3の斜視図、図12(A)は電極ユニット13を正面側からみた斜視図、(B)は背面側からみた斜視図、図13は電極ユニット13をラック3に架設した状態を示す斜視図である。
【0021】
図4および図5に示すように、ラック3は、冷却庫2内に固定されるフレーム10と、フレーム10に対して上下方向に交互に配置される複数の第1トレイ11および複数の第2トレイ12と、複数の第1トレイ11に渡って架設される電極ユニット13とを有する。フレーム10、第1トレイ11、第2トレイ12および後述する電極ユニット13の電極13Aは、ステンレス鋼、鉄鋼やアルミニウム合金等の導体からなる。電極13Aは、高圧ケーブル14を介して第1極としての正極に接続、すなわち、本実施形態においては高電圧発生器7の出力端子に接続される。
【0022】
図4図5および図11に示すように、フレーム10は、例えばアングル材により直方体状に形成された本体部10Aと、本体部10Aの底部に設けられ、冷却庫2内に固定される脚部10Bとから構成されている。本体部10Aの内側には、複数の第1トレイ11の左右端部をそれぞれ支持する第1トレイ受け15と、複数の第2トレイ12の左右端部を支持する第2トレイ受け16とが上下方向に交互に固定されている。
【0023】
第1トレイ受け15は、超高分子ポリエチレン(UHPE)やポリアセタール(POM)等の絶縁体からなる。この第1トレイ受け15に支持される第1トレイ11は、図8に示すように、フレーム10とは絶縁状態となる。一方、第2トレイ受け16は、ステンレス鋼、鉄鋼やアルミニウム合金等の導体からなる。この第2トレイ受け16に支持される第2トレイ12は、図9に示すように、フレーム10と導通状態となり、フレーム10を介して第2極としての負極に接続、すなわち、本実施形態においては接地線17により接地される。
【0024】
第1トレイ11および第2トレイ12は、それぞれの底部11A,12A上に冷却対象物が載置されて、フレーム10内に挿入される。底部11A,12Aには、多数の開孔11B,12Bが設けられている。冷却ファン5により吸引されて冷却器4へ送り込まれ、冷却器4により冷却された空気は、これらの開孔11B,12Bを通じて冷却庫2内を上下に循環する。
【0025】
第1トレイ11および第2トレイ12は、それぞれフレーム10の前方から後方へ向かって第1トレイ受け15および第2トレイ受け16上をスライドさせることにより、フレーム10内に挿入可能となっている。第2トレイ12はフレーム10の奥まで挿入した状態ではフレーム10内に納まるが、第1トレイ11はフレーム10から前方に突出するようになっている。すなわち、詳細は後述するが、図6および図7に示すように、複数の第1トレイ11に電極ユニット13を取り付けた際、電極ユニット13と複数の第2トレイ12との間には隙間が形成され、電極ユニット13の電極13Aと複数の第2トレイ12とは接触せず、導通しない。
【0026】
図5図10および図12に示すように、電極ユニット13は、複数の第1トレイ11に渡るように架設され、高圧ケーブル14を介して高電圧発生器7の出力端子に接続される電極13Aと、複数の第1トレイ11にそれぞれ着脱可能に掛止される複数の掛止部13Bと、電極13Aを支持する支持部13Cと、電極ユニット13を取り付ける際に手で把持するための把手部13Dとを有する。掛止部13Bは、ステンレス鋼、鉄鋼やアルミニウム合金等の導体からなり、電極13Aと導通状態となっている。支持部13Cおよび把手部13Dは、超高分子ポリエチレン(UHPE)やポリアセタール(POM)等の絶縁体からなる。掛止部13Bはバネ材からなり、図10に示すように、電極13Aに対してステンレス鋼、鉄鋼やアルミニウム合金等の導体からなるボルト13Eにより固定されている。
【0027】
上記構成の冷却装置1Aでは、複数の第1トレイ11および複数の第2トレイ12上に冷却対象物を載置した後、開閉扉6からこれらの複数の第1トレイ11および複数の第2トレイ12を交互にラック3内の第1トレイ受け15および第2トレイ受け16上に載置する(図11参照。)。その後、図13に示すように、電極ユニット13を複数の第1トレイ11に架設する。電極ユニット13の架設は、把手部13Dを把持し、複数の掛止部13Bが複数の第1トレイ11のそれぞれの前方壁部11Cに引っ掛かるように上方から差し込むようにする。
【0028】
これにより、電極ユニット13は掛止部13Bの復元力により複数の第1トレイ11のそれぞれの前方壁部11Cに固定され、電極13Aと複数の第1トレイ11とが導通状態となり、複数の第1トレイ11と高電圧発生器7の出力端子とが接続される。一方、複数の第2トレイ12は、第2トレイ受け16上に載置するだけで、第2トレイ受け16およびフレーム10を介して接地線17により接地される。
【0029】
このように、本実施形態におけるラック3では、複数の掛止部13Bが複数の第1トレイ11にそれぞれ掛止されるように電極ユニット13を架設するだけで、簡単に複数の第1トレイ11を高電圧発生器7の出力端子に接続して、複数の第1トレイ11と複数の第2トレイ12との間に高電圧を印加することが可能となる。そして、このラック3を備えた冷却装置1Aによれば、冷却対象物に対して800V~10000Vの高電圧を印加してその組成分子を活性化させた状態で常温から凍結点を基準に0℃~-5℃の範囲の温度まで冷却することで、対象物を凍結することなく過冷却して対象物内の温度を均一化し、その後、凍結点~-40℃まで急速冷凍することにより、細胞膜を破壊することなく冷却対象物を冷凍することが可能となる。
【0030】
<実施の形態2>
図14は本発明の第2の実施の形態における冷却装置の内部構造を示す概略平面図、図15は概略正面図、図16は概略右側面図である。なお、以下において、第1の実施の形態と共通する部分については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0031】
図14図16に示すように、本発明の第2の実施形態における冷却装置1Bは、前述のラック3に代えて、移動用のキャスター9を備えたラック8としたものである。また、冷却庫2内にはラック8に収容された第1トレイ11と接続される第1極ユニット21と、ラック8のフレーム20と接続される第2極ユニット22とが設けられている。
【0032】
図17はラック8の正面図、図18は右側面図、図19は第1極ユニット21の内部構造を示す概略斜視図、図20は第2極ユニット22の内部構造を示す概略斜視図、図21はラック8を第1極ユニット21および第2極ユニット22へ向けて進行させる様子を示す斜視図、図22はラック8を第1極ユニット21および第2極ユニット22に接続した状態を示す斜視図、図23はラック8を第1極ユニット21および第2極ユニット22に接続した状態の内部構造を示す右側面図である。
【0033】
図17および図18に示すように、ラック8は、複数の第1トレイ11および複数の第2トレイ12が収容されるフレーム20の下部に移動用のキャスター9を備えたものである。フレーム20は、ステンレス鋼、鉄鋼やアルミニウム合金等の導体からなる例えばアングル材により直方体状に形成されている。フレーム20の内側には、複数の第1トレイ11の左右端部をそれぞれ支持する第1トレイ受け15と、複数の第2トレイ12の左右端部を支持する第2トレイ受け16とが上下方向に交互に固定されている。
【0034】
図19に示すように、第1極ユニット21は、複数の第1トレイ11に渡るように架設され、高圧ケーブル14を介して高電圧発生器7の出力端子に接続される電極21Aと、複数の第1トレイ11がそれぞれ着脱可能に掛止される掛止部21Bとを有する。掛止部21Bはバネ材からなり、電極21Aに対してステンレス鋼、鉄鋼やアルミニウム合金等の導体からなるボルト21Cにより固定されている。第1極ユニット21は冷却庫2内に動かないように固定されている。
【0035】
一方、第1トレイ11の後方には、図18に示すように、掛止部21Bに嵌合する嵌合部としての舌片11Dが設けられている。電極21A、掛止部21Bおよび舌片11Dはステンレス鋼、鉄鋼やアルミニウム合金等の導体からなり、舌片11Dが掛止部21Bに嵌合すると、第1トレイ11は、電極21Aと導通状態となる。
【0036】
第2極ユニット22は、接地線17に接続される電極22Aと、フレーム20が着脱可能に掛止される掛止部22Bとを有する。掛止部22Bはバネ材からなり、電極22Aに対してステンレス鋼、鉄鋼やアルミニウム合金等の導体からなるボルト22Cにより固定されている。第2極ユニット22は冷却庫2内に動かないように固定されている。
【0037】
一方、フレーム20の後方には、図18に示すように、掛止部22Bに嵌合する嵌合部としての舌片20Aが設けられている。電極22A、掛止部22Bおよび舌片20Aはステンレス鋼、鉄鋼やアルミニウム合金等の導体からなり、舌片20Aが掛止部22Bに嵌合すると、フレーム20は、電極22Aと導通状態となり、接地線17により接地される。
【0038】
上記構成の冷却装置1Bでは、複数の第1トレイ11および複数の第2トレイ12上に冷却対象物を載置した後、ラック8内の第1トレイ受け15および第2トレイ受け16上に載置する。そして、図21に示すようにラック8ごと冷却庫2内に進行させ、図22および図23に示すように、複数の第1トレイ11の舌片11Dおよびフレーム20の舌片20Aがそれぞれ第1極ユニット21の掛止部21Bおよび第2極ユニット22の掛止部22Bに嵌合するまでラック8を押し込む。
【0039】
これにより、複数の第1トレイ11はそれぞれ舌片11Dを介して電極21Aと導通状態となり、複数の第1トレイ11と高電圧発生器7の出力端子とが接続される。一方、フレーム20は舌片20Aを介して電極22Aと導通状態となり、接地線17により接地される。
【0040】
このように、本実施形態におけるラック8では、架設された電極21Aの複数の掛止部21Bに対して第1トレイ11の舌片11Dをそれぞれ嵌合するだけで、簡単に複数の第1トレイ11を高電圧発生器7の出力端子に接続して、複数の第1トレイ11と複数の第2トレイ12との間に高電圧を印加することが可能となる。そして、このラック8を備えた冷却装置1Bにおいても、冷却対象物に対して800V~10000Vの高電圧を印加してその組成分子を活性化させた状態で常温から凍結点を基準に0℃~-5℃の範囲の温度まで冷却することで、対象物を凍結することなく過冷却して対象物内の温度を均一化し、その後、凍結点~-40℃まで急速冷凍することにより、細胞膜を破壊することなく冷却対象物を冷凍することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のラックは、対象物に高電圧を印加する装置として有用であり、特に、冷凍対象物に高電圧を印加して冷却する冷却装置に好適である。
【符号の説明】
【0042】
1A,1B 冷却装置
2 冷却庫
3,8 ラック
4 冷却器
5 冷却ファン
6 開閉扉
7 高電圧発生器
9 キャスター
10 フレーム
10A 本体部
10B 脚部
11 第1トレイ
11A 底部
11B 開孔
11C 前方壁部
11D 舌片
12 第2トレイ
13 電極ユニット
13A 電極
13B 掛止部
13C 支持部
13D 把手部
13E ボルト
14 高圧ケーブル
15 第1トレイ受け
16 第2トレイ受け
17 接地線
20 フレーム
20A 舌片
21 第1極ユニット
21A,22A 電極
21B,22B 掛止部
21C,22C ボルト
22 第2極ユニット
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