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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】無線センサシステム及びセンサタグ
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/00 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
G08C17/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020048695
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021149498
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】512319232
【氏名又は名称】株式会社KMC
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】安部 新一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 声喜
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-227646(JP,A)
【文献】特開2016-95683(JP,A)
【文献】特開2018-97445(JP,A)
【文献】特開2008-126701(JP,A)
【文献】特開2004-102828(JP,A)
【文献】特開2014-191807(JP,A)
【文献】特許第5235235(JP,B1)
【文献】特開2017-28434(JP,A)
【文献】特開2014-64121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 15/00-19/48
G01D 21/00-21/02
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形機又は工作機械の所定部位に配置されたセンサが接続される複数の接続部と、
各前記接続部に前記センサが接続されたことを識別し、前記識別された1又は2以上センサより送信された複数の検出結果を、各前記接続部を介して受信し、受信した各前記センサからの検出結果を同期したタイミングで抽出し、前記抽出した複数の検出結果を1つの電文にまとめる処理部と、
前記検出結果が1つにまとめられた前記電文を無線送信する送信部と
を有するセンサタグ
を具備する無線センサシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線センサシステムであって、
当該無線センサシステムは、前記センサを含むものであり、
前記処理部は、各前記接続部を介して各前記センサに検出結果の送信要求を同時に送信し、
各前記センサは、前記送信要求に応じて、各前記接続部を介して前記検出結果を前記センサタグに送信する
無線センサシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の無線センサシステムであって、
前記センサは、前記送信要求に応じて前記検出結果を前記センサタグに送信するタイミングをずらすことが可能なように構成された
無線センサシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の無線センサシステムであって、
前記センサは、
センサ本体と、
前記センサ本体による検出結果を前記センサタグに前記送信するタイミングをずらすための時間が設定されたタイマと、
前記送信要求に応じて前記検出結果を前記タイマに設定された時間だけずらしたタイミングで前記センサタグに送信する検出結果送信部と
を有する
無線センサシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の無線センサシステムであって、
当該無線センサシステムは、前記センサを含む
無線センサシステム。
【請求項6】
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の無線センサシステムであって、
各前記センサは、それぞれ固有のIDが設定されており、
前記センサタグは、前記センサが前記接続部に接続されたとき、前記固有のIDを読み取って、前記読み取った固有のIDに基づき前記センサを識別する
無線センサシステム。
【請求項7】
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の無線センサシステムであって、
前記センサタグは、前記センサが前記接続部に接続されたとき、前記センサによる検出結果である出力信号の態様に基づき前記センサを識別する
無線センサシステム。
【請求項8】
請求項1から7のうちいずれか1項に記載の無線センサシステムであって、
前記送信部より送信される電文は、ヘッダと、各前記センサに応じて予め定められた順番で各前記センサの送信結果が並べられた電文本体と、フッダとを有する
無線センサシステム。
【請求項9】
請求項1から8のうちいずれか1項に記載の無線センサシステムであって、
1又は2以上の前記センサタグより送信された電文を受信する無線受信部と、コンピュータとの間でデータのやりとりを行うためのインターフェース部と、固有のIDが設定されたID設定部とを有する親タグをさらに具備し、
各前記センサタグは、それぞれ固有のIDが設定されており、
前記親タグと各前記センサタグとは、それぞれの固有のIDを用いて通信を確立し、前記親タグは前記センサタグより前記電文を受け取る
無線センサシステム。
【請求項10】
請求項9に記載の無線センサシステムであって、
前記センサタグは、前記親タグからの送信要求に応じて前記電文を前記親タグに送信するタイミングをずらすことが可能なように構成された
無線センサシステム。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の無線センサシステムであって、
前記センサタグと前記親タグとの無線通信は、送信タイミング、送信周波数、電波形式又は送信電力を前記親タグと各前記センサタグとの間でそれぞれ異なるように設定して行う
無線センサシステム。
【請求項12】
請求項9から11のうちいずれか1項に記載の無線センサシステムであって、
当該無線センサシステムは、前記コンピュータを含むものであり、
前記コンピュータは、前記工作機械又は前記成形機の専用コントローラとの間でデータ通信を行い、前記専用コントローラから取得したデータをCSV形式で出力する通信部を有する
無線センサシステム。
【請求項13】
成形機又は工作機械の所定部位に配置されたセンサが接続される複数の接続部と、
各前記接続部に前記センサが接続されたことを識別し、前記識別された1又は2以上センサより送信された複数の検出結果を、各前記接続部を介して受信し、受信した各前記センサからの検出結果を同期したタイミングで抽出し、前記抽出した複数の検出結果を1つの電文にまとめる処理部と、
前記検出結果が1つにまとめられた前記電文を無線送信する送信部と
を具備するセンサタグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形機又は工作機械に配置されたセンサから検出結果を収集するのに好適な無線センサシステム、センサタグ及び親タグに関する。
【背景技術】
【0002】
成形機又は工作機械の分野では、各部位にセンサが配置される。センサの検出結果はPLC(Programmable Logic Controller)を有する配電盤を介して専用コントローラやコンピュータに入力される。近年では、様々なセンサを用いてしかもリアルタイムに時々刻々と変化するデータを収集することが要求されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-46293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなセンサシステムでは、各機器間を有線で接続してデータ伝送を行っているため、センサ数の増大によって工場内の配線が膨大で複雑化している。そのため、無線化したシステムが要望されているが、成形機又は工作機械の分野では通信の信頼性の要求が極めて高いことから、その点で導入が躊躇されていると考えられる。具体的には、成形機又は工作機械が設置された工場内では、データ通信のためのパケットが大量に飛び交って混信が多発し、通信の信頼性が損なわれると考えられる。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、成形機又は工作機械が設置される環境において、成形機又は工作機械の所定部位に配置されたセンサのデータ伝送を、通信の信頼性を損なうことなく行うことができる無線センサシステム及びセンサタグを提供することにある。
【0006】
本発明の別の目的は、複数の親タグとセンサタグとの間で電文の受け取りを簡単な構成で実現できる親タグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る無線センサシステムは、成形機又は工作機械の所定部位に配置されたセンサが接続される複数の接続部と、各前記接続部に前記センサが接続されたことを識別し、前記識別された1又は2以上センサより送信された複数の検出結果を1つの電文にまとめる処理部と、前記検出結果が1つにまとめられた前記電文を無線送信する送信部とを有するセンサタグを具備する。
【0008】
本発明では、センサタグにおいて複数の検出結果を1つの電文にまとめて無線送信するように構成したので、成形機又は工作機械が設置された環境での通信量を削減できる。このため、混信がなくなり、成形機又は工作機械の所定部位に配置されたセンサのデータ伝送を、通信の信頼性を損なうことなく行うことができる。
【0009】
本発明に係る無線センサシステムでは、当該無線センサシステムは、前記センサを含むものであり、前記処理部は、各前記接続部を介して各前記センサに検出結果の送信要求を同時に送信し、各前記センサは、前記送信要求に応じて、各前記接続部を介して前記検出結果を前記センサタグに送信してもよい。
【0010】
これにより、時間軸が一致した複数の検出結果を1つの電文にまとめて無線送信することができる。
【0011】
本発明に係る無線センサシステムでは、前記センサは、前記送信要求に応じて前記検出結果を前記センサタグに送信するタイミングをずらすことが可能なように構成してもよい。
【0012】
これにより、本発明に係る無線センサシステムは、各センサからの検出結果が同じタイミングでセンサタグに送信されることを回避でき、センサタグの処理負荷の集中を避けることができる。
【0013】
本発明に係る無線センサシステムでは、前記センサは、センサ本体と、前記センサ本体による検出結果を前記センサタグに前記送信するタイミングをずらすための時間が設定されたタイマと、前記送信要求に応じて前記検出結果を前記タイマに設定された時間だけずらしたタイミングで前記センサタグに送信する検出結果送信部とを有してもよい。
【0014】
これにより、本発明に係る無線センサシステムは、各センサからの検出結果が同じタイミングでセンサタグに送信されることを回避でき、センサタグの処理負荷の集中を避けることができる。
【0015】
本発明に係る無線センサシステムでは、当該無線センサシステムは、前記センサを含むものであり、前記処理部は、各前記接続部を介して受信した各前記センサからの検出結果を同期したタイミングで抽出し、前記抽出した複数の検出結果を1つの電文にまとめてもよい。
【0016】
本発明では、通信の信頼性を損なうことなく、時間軸が一致した複数の検出結果を1つの電文にまとめて無線送信することができる。
【0017】
本発明に係る無線センサシステムでは、各前記センサは、それぞれ固有のIDが設定されており、前記センサタグは、前記センサが前記接続部に接続されたとき、前記固有のIDを読み取って、前記読み取った固有のIDに基づき前記センサを識別してもよい。
【0018】
これにより、本発明に係る無線センサシステムは、センサタグに様々の種類のセンサを接続することが可能となる。
【0019】
本発明に係る無線センサシステムでは、前記センサタグは、前記センサが前記接続部に接続されたとき、前記センサによる検出結果である出力信号の態様に基づき前記センサを識別してもよい。
【0020】
これにより、本発明に係る無線センサシステムは、センサに固有のIDが設定されていなくても、センサタグに様々の種類のセンサを接続することが可能となる。
【0021】
本発明に係る無線センサシステムでは、前記送信部より送信される電文は、ヘッダと、各前記センサに応じて予め定められた順番で各前記センサの送信結果が並べられた電文本体と、フッダとを有してもよい。
【0022】
本発明では、センサに応じて予め定められた順番で各センサの送信結果が並べられているので、電文を受信して処理する側での処理負担を低減することができる。
【0023】
本発明に係る無線センサシステムでは、1又は2以上の前記センサタグより送信された電文を受信する無線受信部と、コンピュータとの間でデータのやりとりを行うためのインターフェース部と、固有のIDが設定されたID設定部とを有する親タグをさらに具備し、各前記センサタグは、それぞれ固有のIDが設定されており、前記親タグと各前記センサタグとは、それぞれの固有のIDを用いて通信を確立し、前記親タグは前記センサタグより前記電文を受け取るように構成してもよい。
【0024】
これにより、本発明に係る無線センサシステムは、複数の親タグとセンサタグとの間で電文の受け取りを簡単な構成で実現できる。
【0025】
本発明に係る無線センサシステムでは、前記センサタグは、前記親タグからの送信要求に応じて前記電文を前記親タグに送信するタイミングをずらすことが可能なように構成してもよい。
【0026】
これにより、本発明に係る無線センサシステムは、各センサタグからの電文が同じタイミングで親タグに送信されることを回避でき、混信及び親タグの処理負荷の集中を避けることができる。
【0027】
本発明に係る無線センサシステムでは、前記センサタグと前記親タグとの無線通信は、送信タイミング、送信周波数、電波形式又は送信電力を前記親タグと各前記センサタグとの間でそれぞれ異なるように設定して行ってもよい。
【0028】
これにより、本発明に係る無線センサシステムは、混信を避け、通信の信頼性を高めることができる。
【0029】
本発明に係る無線センサシステムでは、当該無線通信システムは、前記コンピュータを含むものであり、前記コンピュータは、前記工作機械又は前記成形機の専用コントローラとの間でデータ通信を行い、前記専用コントローラから取得したデータをCSV形式で出力する通信部を有してもよい。
【0030】
これにより、本発明に係る無線センサシステムは、専用コントローラから取得したデータの汎用性を高めることができる。
【0031】
本発明に係るセンサタグは、成形機又は工作機械の所定部位に配置されたセンサが接続される複数の接続部と、各前記接続部に前記センサが接続されたことを識別し、前記識別された1又は2以上センサより送信された複数の検出結果を1つの電文にまとめる処理部と、前記検出結果が1つにまとめられた前記電文を無線送信する送信部とを具備する。
【0032】
本発明では、成形機又は工作機械が設置される環境において、成形機又は工作機械の所定部位に配置されたセンサのデータ伝送を、通信の信頼性を損なうことなく行うことができる。
【0033】
本発明に係る親タグは、成形機又は工作機械の所定部位に配置されたセンサの検出結果が含まれる電文をそれぞれ固有のIDが設定された1又は2以上のセンサタグより受信する無線受信部と、コンピュータとの間でデータのやりとりを行うためのインターフェース部と、固有のIDが設定されたID設定部とを有し、各前記センサタグとの間で、それぞれの固有のIDを用いて通信を確立し、前記センサタグより前記電文を受け取る。
【0034】
本発明では、複数の親タグとセンサタグとの間で電文の受け取りを簡単な構成で実現できる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、成形機又は工作機械が設置される環境において、成形機又は工作機械の所定部位に配置されたセンサのデータ伝送を、通信の信頼性を損なうことなく行うことができる。
【0036】
また、本発明によれば、複数の親タグとセンサタグとの間で電文の受け取りを簡単な構成で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の一実施形態に係る無線センサシステムの構成を示す図である。
図2図1に示したセンサ及びセンサタグの構成を示すブロック図である。
図3】センサとセンサタグと親タグとの間での検出結果のやりとりのタイミングチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係る電文の一例を示すデータ構成図である。
図5図1に示した親タグの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線センサシステムの構成を示す図である。
【0040】
図1に示すように、無線センサシステム1は、1又は2以上のセンサ10、1又は2以上のセンサタグ20と、1又は2以上の親タグ30と、コンピュータ40とを有する。
【0041】
センサ10は、成形機2の所定部位に配置される。センサ10は、例えば温度センサ、pHセンサ、小規模サーモグラフセンサ、圧力センサ、湿度センサ、距離センサ、気圧センサ、カラーセンサ、加速度センサ、振動センサなどである。1つのセンサが複数の種類、例えば気圧、加速度、振動などの項目を検出するものであってもよい。
【0042】
センサタグ20は、複数のセンサ10が接続され、それぞれのセンサ10の検出結果を入力し、その検出結果を無線通信によって親タグ30に送信する。
【0043】
親タグ30は、典型的にはUSBによりコンピュータ40に接続される。親タグ30は、センサタグ20より上記の受信結果を無線通信により受信して蓄える。
【0044】
コンピュータ40は、親タグ30にアクセスしてセンサ10による検出結果を取得する。
【0045】
図2は上記のセンサ10及びセンサタグ20の構成を示すブロック図である。
【0046】
図2に示すように、センサ10は、典型的にはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems(微小電気機械システム))により構成され、センサ本体11と、タイマ12と、ID設定部13と、接続部14と、配線15と、スイッチ16とを有する。本実施形態では、センサ10をMEMSにより構成し、タグセンサ20を無線化したので、例えば工作機械のスピンドルなどの回転する部分に、センサ10及びタグセンサ20を配置してこれらの部分の温度や加速度などを検出することができる。
【0047】
センサ本体11は、例えば気圧、加速度、振動などを検出する素子に相当する部分であり、例えば検出結果に応じたアナログ電圧信号を出力する。センサ本体11は、デジタル電圧信号を出力するものであってもよい。
【0048】
タイマ12は、センサ本体11による検出結果をセンサタグ20に送信するタイミングをずらすための時間が設定される。この時間は、予め設定されてもよく、またセンサタグ20側から設定可能としてもよい。
【0049】
ID設定部13は当該センサ10の固有のIDが設定される。
【0050】
接続部14は配線15を介してセンサタグ20と接続するための部位である。センサ10の所定の部位は接続部14を介してセンサタグ20との間で信号のやりとりをして、センサタグ20より電源が供給される。
【0051】
スイッチ16は、センサタグ20より検出結果の送信要求に係る信号(以下、単に「送信要求」とする。)に応じてセンサ本体11に電源を供給するかを切り替える。センサ本体11はスイッチ16を介してセンサ本体11に電源が供給されると、センサ本体11はその供給された電源に基づき作動し、検出結果に係る電圧信号(以下、単に「検出結果」とする。)を出力する。
【0052】
この送信要求に応じてセンサ本体11から出力された検出結果は、接続部14及び配線15を介してセンサタグ20に送信される。
【0053】
センサタグ20は、複数の、例えば5つの接続部21と、接続部21ごとの増幅器22及びA/D変換器23と、処理部としてのCPU24と、メモリ25と、送信部としての無線通信部26と、固有のIDが設定されたID設定部27とを有する。
【0054】
接続部21は、センサ10が接続される。接続部21は、典型的にはmicroUSB端子により構成する。
【0055】
増幅器22は接続部21を介してセンサ10から入力された信号を増幅する。増幅器22の増幅率は固定値でもよいが、信号のレベルに応じて自己調整できる構成としてもよく、またCPU24経由で調整可能な構成としてもよい。
【0056】
A/D変換器23は、増幅器22で増幅された信号についてアナログ信号からデジタル信号に変換する。A/D変換器23は入力信号がデジタル信号である場合にはその信号をスルーするように構成してもよい。例えば、A/D変換器23が入力信号をデジタル信号か否かを判断してデジタル信号の場合には自律的にその信号をスルーするように構成してもよいし、CPU24経由でスルー設定するように構成してもよい。
【0057】
CPU24は、接続部21にセンサ10が接続されたときそのセンサ10を識別する。具体的には、CPU24は、接続部21にセンサ10が接続されたとき、センサ10に設定された固有のIDをセンサ10より読み取り、そのセンサ10を識別する。
【0058】
メモリ25は、このセンサタグ20に接続される可能性のあるセンサ10の固有のIDと、各センサ10の種別(温度センサ、加速度センサ、振動センサなど)、信号のレベルと測定値との関係(例えば温度センサであれば電圧と温度との関係など)、製造会社などとの関係のデータである対応リストを記憶する。
【0059】
CPU24は、上記の読み取った固有のIDとメモリ25に記憶された対応リストに基づきセンサ10の種別などを識別する。なお、センサタグ20は、センサ10が接続部21に接続されたとき、センサ10による検出結果である出力信号の態様に基づきセンサ10を識別してもよい。出力信号の態様とは、例えば出力信号の波形である。出力信号の波形は、温度センサ、加速度センサ、振動センサなどに応じて異なる。CPU24は、その信号の波形とメモリ25に予め記憶された各センサの波形との関係に基づきセンサ10を識別する。出力信号の態様とは、波形だけではなく、信号の大きさや周期などであってもよい。
【0060】
CPU24は、各接続部21を介して受信した各センサ10からの検出結果を1つの電文にまとめる。
【0061】
無線通信部26は、検出結果が1つにまとめられた前記の電文を無線送信する。
【0062】
ここで、CPU24は、図3に示すように、各接続部21を介して接続された各センサ10に送信要求を同時に送信する(ST301)。
【0063】
各センサ10は、送信要求に応じて、検出結果をセンサタグ20に送信する。各センサ10は、送信要求に応じて検出結果を各センサ10のタイマ12に設定された時間ずらしてセンサタグ20に送信する(ST302~304)。
【0064】
CPU24は、各センサ10からの検出結果を同期したタイミングで抽出し、抽出した複数の検出結果を1つの電文にまとめて無線通信部26を介して無線送信する(ST305)。すなわち、センサタグ20は、それぞれのセンサ10から同じ時間に抽出した検出結果を1つの電文にまとめて無線送信する。
【0065】
図4はこの電文の一例を示す図である。電文400は、ヘッダ410と、各センサに応じて予め定められた順番で各センサ10の検出結果421、422・・・が並べられた電文本体420と、フッダ430とを有する。
【0066】
図5は親タグ30の構成を示すブロック図である。
【0067】
図5に示すように、親タグ30は、センサタグ20より送信された電文400を受信する無線受信部31と、コンピュータ40との間でデータのやりとりを行うためのインターフェース部32と、固有のIDが設定されたID設定部33とを有する。親タグ30は、さらに、CPU34と、メモリ35とを有する。
【0068】
上記のように各センサタグ20にはそれぞれ固有のIDが設定されており、親タグ30と各センサタグ20とは、それぞれの固有のIDを用いて通信を確立し、親タグ30はセンサタグ20より電文400を受け取る。図1に示したように、所望の親タグ30は、所望のセンサタグ20より電文400を受け取ることが可能である。例えば、第1の親タグ30及び第2の親タグ30は、それぞれ別個に同一のセンサタグ20から電文400を受け取ることが可能である。なお、センサタグ20と親タグ30との無線通信は、送信タイミング、送信周波数、電波形式又は送信電力を親タグ30と各センサタグ20との間でそれぞれ異なるように設定して行ってもよい。
【0069】
コンピュータ40は、成形機2の専用コントローラ3との間でデータ通信を行い、専用コントローラ3から取得したデータをCSV形式で出力する通信部41(図1参照)を有する。
【0070】
コンピュータ40は、成形機2の温度や振動などをセンサ10が検出し、その検出結果をセンサタグ20及び親タグ30を介して受け取り、また成形機2の専用コントローラ3(図1参照)よりログデータや検出結果などを受け取り、これらの検出結果やログデータなどを統合して蓄積する。統合とは、例えば同一の時間軸上にあるデータを1つのまとまったデータとすることである。ユーザは、コンピュータ40にアクセスして蓄積したデータを得ることができる。ユーザは、このデータに基づき、成形機2の動作異常判定や、成形機2自体や成形機2で使われる金型のメンテナンス時期などを推定することができる。
【0071】
本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内で様々な変形や応用をして実施が可能である。その実施の範囲も本発明の技術的範囲に属する。
【0072】
例えば、上記の実施形態では、センサ10においてスイッチ16を介してセンサ本体11に電源を供給して所望のタイミングで検出結果を得ていたが、センサタグ20においてセンサ10より随時伝送される検出結果を所望のタイミングで取り出して所望のタイミングの検出結果を得るように構成してもよい。
【0073】
また、上記の実施形態では、成形機2の各部位にセンサ10が配置するものであったが、工作機械に同様にセンサ10を設置して同様の無線センサシステム1を構成してもよい。
【0074】
更に、上記の実施形態では、1つの成形機2を対象とするものであったが、工場内には通常、複数の成形機や工作機械が設置される。その場合には、これらの第1の機器及び第2の機器から例えば第1のセンサタグが検出結果を得て、また第2の機器及び第3の機器器が第2のセンサタグが検出結果を得るように構成してもよい。つまり、本発明に係る無線センサシステムでは、1つのセンサの検出結果を2以上のセンサタグで共用するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 :無線センサシステム
2 :成形機
3 :専用コントローラ
10 :センサ
11 :センサ本体
12 :タイマ
13 :ID設定部
14 :接続部
15 :配線
16 :スイッチ
20 :センサタグ
21 :接続部
24 :CPU
25 :メモリ
26 :無線通信部
27 :ID設定部
30 :親タグ
31 :無線受信部
32 :インターフェース部
33 :ID設定部
34 :CPU
35 :メモリ
40 :コンピュータ
41 :通信部
400 :電文
410 :ヘッダ
420 :電文本体
421 :送信結果
422 :送信結果
430 :フッダ
図1
図2
図3
図4
図5