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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】半導体回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/0416 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
H03K17/0416
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020092276
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021190760
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】301041553
【氏名又は名称】株式会社パウデック
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】神山 祐輔
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-061265(JP,A)
【文献】特開2015-207610(JP,A)
【文献】特開2014-187059(JP,A)
【文献】国際公開第2013/146570(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K17/00-H03K17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1トランジスタとノーマリーオン型の第2トランジスタとを有し、前記第1トランジスタのドレインと前記第2トランジスタのソースとがカスコード接続された半導体回路であって、
カスコード接続された前記第1トランジスタのドレインと前記第2トランジスタのソースとの接続部分である接続ノードと、前記第1トランジスタのソースとの間に設けられた制御回路を有し、
前記制御回路は、
前記接続ノードと、前記第1トランジスタのソースとの間に接続されたコンデンサと、
前記接続ノードと、前記第1トランジスタのソースとの間に、前記コンデンサと直列に接続されたスイッチング素子と、を含み、
前記スイッチング素子は、
前記接続ノードから前記コンデンサへ電流を流すことのできる第1状態と、
前記接続ノードから前記コンデンサに電流を流すことができない第2状態と、
前記コンデンサから前記接続ノードへ電流を流すことのできる第3状態のうち、いずれかの状態に選択的に構成可能であり、
前記制御回路は
前記第2トランジスタのゲートに付与されるバイアス電位をV BIAS とし、
BIAS 以下で、且つ、前記第1トランジスタの耐圧の負数よりも高い所定の電位を基準電位V S とした場合に、
(a)前記第1トランジスタのゲートにオフ信号が入力されて、前記接続ノードの電位V M が上昇するときには、
前記接続ノードの電位V M が、(V BIAS -V M )>V S の関係を満たしている間は、前記スイッチング素子を前記第2状態とし、
前記接続ノードの電位V M が(V BIAS -V M )≦V S の関係を満たすまで上昇したときに
は、前記スイッチング素子を前記第1状態とし、
(b)前記第1トランジスタのゲートにオン信号が入力されて、前記接続ノードの電位V M が低下するときには、前記スイッチング素子を前記第3状態とする、
ように前記スイッチング素子の接続状態を変更することにより、前記接続ノードの電位の変化を制御することを特徴とする半導体回路。
【請求項2】
前記スイッチング素子は、
前記コンデンサと前記第1トランジスタのソースとの間に接続され、そのドレインが前記コンデンサと接続されるとともに、そのソース及びそのゲートが前記第1トランジスタのソースに接続されたN型MOS-FETと、
前記N型MOS-FETのドレインとソースとの間に接続され、前記N型MOS-FETのドレイン側がカソードとなる向きで接続されたダイオードと、を有し、
前記制御回路は、
前記接続ノードと前記N型MOS-FETのゲートとの間に設けられ、前記接続ノード側がカソードとなるような向きで接続されたツェナダイオード、を有することを特徴とする請求項に記載の半導体回路。
【請求項3】
前記スイッチング素子は、
前記接続ノードと前記コンデンサとの間に接続され、そのソース及びそのゲートが前記接続ノードと接続されるとともに、そのドレインが前記コンデンサに接続されたP型MOS-FETと、
前記P型MOS-FETのドレインとソースとの間に設けられ、前記P型MOS-FETのソース側がカソードとなる向きで接続されたダイオードと、を有し、
前記制御回路は、
前記P型MOS-FETのゲートと前記第1トランジスタのソースとの間に設けられ、前記P型MOS-FETのゲート側がカソードとなるような向きで接続されたツェナダイオード、を有することを特徴とする請求項に記載の半導体回路。
【請求項4】
第1トランジスタとノーマリーオン型の第2トランジスタとを有し、前記第1トランジスタのドレインと前記第2トランジスタのソースとがカスコード接続された半導体回路であって、
カスコード接続された前記第1トランジスタのドレインと前記第2トランジスタのソースとの接続部分である接続ノードと、前記第1トランジスタのソースとの間に設けられた制御回路を有し、
前記制御回路は、
前記接続ノードと、前記第1トランジスタのソースとの間に接続されたコンデンサと、
前記接続ノードと、前記第1トランジスタのソースとの間に、前記コンデンサと直列に接続されたスイッチング素子と、を含み、
前記スイッチング素子は、
前記接続ノードから前記コンデンサへ電流を流すことのできる第1状態と、
前記コンデンサから前記接続ノードに電流を流すことができない第2状態と、
前記コンデンサから前記接続ノードへ電流を流すことのできる第3状態のうち、いずれかの状態に選択的に構成可能であり、
前記制御回路は、
前記第2トランジスタのゲートに付与されるバイアス電位をV BIAS とし、
BIAS 以下で、且つ、前記第1トランジスタの耐圧の負数よりも高い所定の電位を基準電位V S とした場合に、
(c)前記第1トランジスタのゲートにオフ信号が入力されて、前記接続ノードの電位V M が上昇するときには、
前記接続ノードの電位V M が、(V BIAS -V M )>V S の関係を満たしている間は、前記
スイッチング素子を前記第3状態とし、
前記接続ノードの電位V M が(V BIAS -V M )≦V S の関係を満たすまで上昇したときに、前記スイッチング素子を前記第1状態とし、
(d)前記第1トランジスタのゲートにオン信号が入力されて、前記接続ノードの電位V M が低下するときには、前記スイッチング素子を前記第2状態とする、
ように前記スイッチング素子の接続状態を変更することにより、前記接続ノードの電位の変化を制御することを特徴とする半導体回路。
【請求項5】
前記スイッチング素子が、
前記接続ノードと前記コンデンサとの間に設けられ、そのソースが前記接続ノードに接続され、そのドレインが前記コンデンサに接続されたMOS-FETと、
前記MOS-FETのドレインとソースとの間に、前記MOS-FETのドレイン側がカソードとなるような向きで接続されたダイオードと、を有し、
前記制御回路は、
前記第1トランジスタのゲートにオフ信号が入力されるときに、前記MOS-FETのゲートにオン信号を入力させ、
前記第1トランジスタのゲートにオン信号が入力されるときに、前記MOS-FETのゲートにオフ信号を入力させることを特徴とする請求項に記載の半導体回路。
【請求項6】
前記制御回路は、
前記第1トランジスタのゲートにオフ信号が入力されるときに、前記MOS-FETのゲートに当該オフ信号に対して遅延させて前記オン信号を入力させることを特徴とする請求項に記載の半導体回路。
【請求項7】
N型の前記第1トランジスタを備え、
前記スイッチング素子は、
前記接続ノードと前記コンデンサとの間に設けられ、そのドレインが前記接続ノードに接続され、そのソースが前記コンデンサに接続され、そのゲートが前記第1トランジスタのゲートに接続されたP型MOS-FETと、
前記P型MOS-FETのドレインとソースとの間に接続され、前記P型MOS-FETのソース側がカソードとなるような向きで接続されたダイオードと、を有することを特徴とする請求項に記載の半導体回路。
【請求項8】
前記スイッチング素子と前記第1トランジスタのソースとの間に設けられ、前記コンデンサと並列に接続された外部電源、をさらに備えていることを特徴とする請求項に記載の半導体回路。
【請求項9】
オン信号が入力されている前記第1トランジスタのゲートにオフ信号が入力されたとき、
前記コンデンサがチャージされていることを特徴とする請求項4~8のいずれかに記載の半導体回路。
【請求項10】
前記基準電位VSが、前記第2トランジスタの閾値電圧VTHであることを特徴とする請
求項1~9のいずれかに記載の半導体回路。
【請求項11】
前記第1トランジスタが、LVMOS-FETであり、
前記第2トランジスタが、PSJ-FETであることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の半導体回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1トランジスタと、第1トランジスタとカスコード接続されたノーマリーオン型の第2トランジスタを含む半導体回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1トランジスタと、第1トランジスタとカスコード接続されたノーマリーオン型の第2トランジスタを含む半導体回路がある。より詳細には、半導体回路は、第1トランジスタと、ノーマリーオン型の第2トランジスタとを有し、第1トランジスタのドレインと、第2トランジスタのソースとがカスコード接続されている(図3(a)参照)。この半導体回路は、第1トランジスタにオン信号が入力されて、第2トランジスタのゲートとソースとの電位差が、第2トランジスタの閾値電圧よりも大きくなり、第2トランジスタがオンされる。また、第1トランジスタにオフ信号が入力されて、第2トランジスタのゲートとソースとの電位差が、第2トランジスタの閾値電圧よりも小さくなり、第2トランジスタがオフされる。
【0003】
ここで、上記のような半導体回路は、第1トランジスタにオフ信号が入力されてから、第2トランジスタがオフされるまでに遅延時間が生じる。図4(a)~(c)に示すように、この遅延時間の間に、第1トランジスタのドレインと第2トランジスタのソースとがカスコード接続された接続ノードの電位が上昇し続けて、第1トランジスタ及び第2トランジスタに高い電圧がかかり、耐圧超過の可能性が生じる。
【0004】
そこで、特許文献1は、半導体回路において、第1トランジスタ及び第2トランジスタを電圧保護するために、カスコード接続された第1トランジスタ(LVトランジスタ)のドレインと第2トランジスタ(III-窒化物パワートランジスタ)のソースとが接続された接続ノードと、第1トランジスタのソースとの間、及び、接続ノードと第2トランジスタのドレインとの間に、それぞれコンデンサを接続することが記載されている(特許文献1の図4参照)。この構成では、第1、第2トランジスタがオフ時の、第1トランジスタにかかる電圧(つまり、接続ノードの電圧)、及び、第2トランジスタにかかる電圧(つまり、第2トランジスタのソースとゲートとの間の電圧)は、これらのコンデンサの分圧で決まる電圧となり、第1トランジスタ及び第2トランジスタの耐圧を超えないようにそれらの値を設計することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5492238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の半導体回路では、第1トランジスタにオフ信号が入力されてから接続ノードの電位が第2トランジスタをオフにすることができる電位に上昇するまでの間、接続ノードの電位はコンデンサの積分作用により、接続ノードの電位の上昇が緩やかになってしまい、半導体回路のスイッチング周波数が低下してしまう。
【0007】
本発明の目的は、半導体回路に含まれるトランジスタの電圧保護を行うと共に、半導体回路のスイッチング周波数の低下を防止することが可能な半導体回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る半導体回路は、第1トランジスタとノーマリーオン型の第2トランジスタとを有し、前記第1トランジスタのドレインと前記第2トランジスタのソースとがカスコード接続された半導体回路であって、カスコード接続された前記第1トランジスタのドレインと前記第2トランジスタのソースとの接続部分である接続ノードと、前記第1トランジスタのソースとの間に設けられた制御回路を有し、前記制御回路は、前記接続ノードと、前記第1トランジスタのソースとの間に接続されたコンデンサと、前記接続ノードと、前記第1トランジスタのソースとの間に、前記コンデンサと直列に接続されたスイッチング素子と、を含み、前記スイッチング素子は、前記接続ノードから前記コンデンサへ電流を流すことのできる第1状態と、前記接続ノードから前記コンデンサに電流を流すことができない第2状態と、前記コンデンサから前記接続ノードへ電流を流すことのできる第3状態のうち、いずれかの状態に選択的に構成可能であり、前記制御回路は、前記第2トランジスタのゲートに付与されるバイアス電位をV BIAS とし、V BIAS 以下で、且つ、前記第1トランジスタの耐圧の負数よりも高い所定の電位を基準電位V S とした場合に、(a)前記第1トランジスタのゲートにオフ信号が入力されて、前記接続ノードの電位V M が上昇するときには、前記接続ノードの電位V M が、(V BIAS -V M )>V S の関係を満たしている間は、前記スイッチング素子を前記第2状態とし、前記接続ノードの電位V M が(V BIAS -V M )≦V S の関係を満たすまで上昇したときには、前記スイッチング素子を前記第1状態とし、(b)前記第1トランジスタのゲートにオン信号が入力されて、前記接続ノードの電位V M が低下するときには、前記スイッチング素子を前記第3状態とする、ように前記スイッチング素子の接続状態を変更することにより、前記接続ノードの電位の変化を制御する。
【0009】
本発明によると、接続ノードの電位がある程度上昇した時点で、接続ノードから、チャージされていないコンデンサに電流を流すことができるように制御回路に含まれるスイッチング素子を第1状態にすることにより、接続ノードの電位の過剰な上昇を抑制して、第1トランジスタ及び第2トランジスタの電圧保護を行うことができる。
【0010】
一方、接続ノードの電位がある程度上昇するまでの間、コンデンサから接続ノードに電流を流すことができないように、制御回路に含まれるスイッチング素子を第2状態にすることにより、接続ノードの電位が上昇しにくくなるのを防止して、スイッチング周波数を維持することができる。あるいは、接続ノードの電位がある程度上昇するまでの間、チャージされたコンデンサから接続ノードに電流を流すことができるように、スイッチング素子を第3状態にすることにより、接続ノードの電位の上昇を早めて、スイッチング周波数を高くすることができる。
【0011】
以上のことから、本発明の半導体回路は、半導体回路に含まれる第1トランジスタ及び第2トランジスタの電圧保護を行うと共に、半導体回路のスイッチング周波数の低下を防止することができる。
【0013】
本発明によると、第1トランジスタのゲートにオフ信号が入力されて、接続ノードの電位VMが上昇するときには、接続ノードの電位VMが、(VBIAS-VM)>VSの関係を満たしている間は、スイッチング素子が、接続ノードからコンデンサへ電流が流すことのできない第2状態となる。これにより、接続ノードの電位が上昇しにくくなるのを防止して、第1トランジスタのゲートにオフ信号が入力されてから、接続ノードの電位VMが(VBIAS-VM)=VSの関係を満たすまで上昇するのに必要な時間を極力短くすることができる。つまり、接続ノードとコンデンサとの間で電流が流れようとするのを遮断して、スイッチング周波数を維持することができる。
【0014】
一方、接続ノードの電位VMが(VBIAS-VM)≦VSの関係を満たすまで上昇したときには、スイッチング素子が第1状態となり、接続ノードからチャージされていないコンデンサへ電流が流れることによって、接続ノードの電位VMの過剰な上昇を抑えて、第1トランジスタ及び第2トランジスタの電圧保護を行うことができる。
【0015】
第1トランジスタのゲートにオン信号が入力されて、接続ノードの電位VMが低下するときには、スイッチング素子が第3状態となり、チャージされたコンデンサから接続ノードへ電流が流れることにより、コンデンサにチャージされた電荷が放電される。
【0016】
の発明に係る半導体回路は、第の発明に係る半導体回路において、前記スイッチング素子は、前記コンデンサと前記第1トランジスタのソースとの間に接続され、そのドレインが前記コンデンサと接続されるとともに、そのソース及びそのゲートが前記第1トランジスタのソースに接続されたN型MOS-FETと、前記N型MOS-FETのドレインとソースとの間に接続され、前記N型MOS-FETのドレイン側がカソードとなる向きで接続されたダイオードと、を有し、前記制御回路は、前記接続ノードと前記N型MOS-FETのゲートとの間に設けられ、前記接続ノード側がカソードとなるような向きで接続されたツェナダイオード、を有する。
【0017】
本発明によると、第1トランジスタのゲートにオフ信号が入力されて、接続ノードの電位VMが上昇するときに、接続ノードの電位VMが低く、(VBIAS-VM)>VSとなっている間は、ツェナダイオードの両端の電位差が小さく、ツェナダイオードに電流が流れない。そのため、N型MOSFETのゲートの電位が低く(オフ信号が入力され)、N型MOS-FETがオフとなる。これにより、スイッチング素子は第2状態となる。これにより、接続ノードからコンデンサに電流が流れないようにして、接続ノードの電位が上昇しにくくなるのを防止して、スイッチング周波数を維持することができる。
【0018】
一方、接続ノードの電位VMが高くなって(VBIAS-VM)≦VSになると、ツェナダイオードの両端の電位差がツェナダイオードの降伏電圧を超え、ツェナダイオードに電流が流れる。そのため、N型MOS-FETのゲートの電位が上昇し(オン信号が入力され)、N型MOS-FETがオンとなる。これにより、スイッチング素子が第1状態となる。これにより、接続ノードからチャージされていないコンデンサへ電流が流れることによって、接続ノードの電位の過剰な上昇を抑制して、第1トランジスタ及び第2トランジスタの電圧保護を行うことができる。
【0019】
また、第1トランジスタのゲートにオン信号が入力されて、接続ノードの電位VMが低下するときには、スイッチング素子がダイオードを有していることにより、第3状態となる。これにより、チャージされたコンデンサから接続ノードへ電流が流れることにより、コンデンサにチャージされた電荷が放電される。
【0020】
の発明に係る半導体回路は、第の発明に係る半導体回路において、前記スイッチング素子は、前記接続ノードと前記コンデンサとの間に接続され、そのソース及びそのゲートが前記接続ノードと接続されるとともに、そのドレインが前記コンデンサに接続されたP型MOS-FETと、前記P型MOS-FETのドレインとソースとの間に設けられ、前記P型MOS-FETのソース側がカソードとなる向きで接続されたダイオードと、を有し、前記制御回路は、前記P型MOS-FETのゲートと前記第1トランジスタのソースとの間に設けられ、前記P型MOS-FETのゲート側がカソードとなるような向きで接続されたツェナダイオード、を有する。
【0021】
本発明によると、第1トランジスタのゲートにオフ信号が入力されて、接続ノードの電位VMが上昇するときに、接続ノードの電位VMが低く、(VBIAS-VM)>VSとなっている間は、ツェナダイオードの両端の電位差が小さく、ツェナダイオードに電流が流れない。そのため、P型MOS-FETのゲートの電位が高く(オフ信号が入力され)、P型MOS-FETがオフとなる。これにより、スイッチング素子は第2状態となる。これにより、接続ノードからコンデンサに電流が流れないようにして、接続ノードの電位が上昇しにくくなるのを防止して、スイッチング周波数を維持することができる。
【0022】
一方、接続ノードの電位VMが高くなって(VBIAS-VM)≦VSになると、ツェナダイオードの両端の電位差がツェナダイオードの降伏電圧を超え、ツェナダイオードに電流が流れる。そのため、P型MOS-FETのゲートの電位が低下し(オン信号が入力され)、P型MOS-FETがオンとなる。これにより、スイッチング素子が第1状態になる。これにより、接続ノードからチャージされていないコンデンサへ電流が流れることによって、接続ノードの電位の上昇を抑制して、第1トランジスタ及び第2トランジスタの電圧保護を行うことができる。
【0023】
また、第1トランジスタのゲートにオン信号が入力されて、接続ノードの電位VMが低下するときには、スイッチング素子がダイオードを有していることにより、第3状態となる。これにより、チャージされたコンデンサから接続ノードへ電流が流れることにより、コンデンサにチャージされた電荷が放電される。
【0024】
の発明に係る半導体回路は、第1トランジスタとノーマリーオン型の第2トランジスタとを有し、前記第1トランジスタのドレインと前記第2トランジスタのソースとがカスコード接続された半導体回路であって、カスコード接続された前記第1トランジスタのドレインと前記第2トランジスタのソースとの接続部分である接続ノードと、前記第1トランジスタのソースとの間に設けられた制御回路を有し、前記制御回路は、前記接続ノードと、前記第1トランジスタのソースとの間に接続されたコンデンサと、前記接続ノードと、前記第1トランジスタのソースとの間に、前記コンデンサと直列に接続されたスイッチング素子と、を含み、前記スイッチング素子は、前記接続ノードから前記コンデンサへ電流を流すことのできる第1状態と、前記コンデンサから前記接続ノードに電流を流すことができない第2状態と、前記コンデンサから前記接続ノードへ電流を流すことのできる第3状態のうち、いずれかの状態に選択的に構成可能であり、前記制御回路は、前記第2トランジスタのゲートに付与されるバイアス電位をVBIASとし、VBIAS以下で、且つ、前記第1トランジスタの耐圧の負数よりも高い所定の電位を基準電位VSとした場合に、(c)前記第1トランジスタのゲートにオフ信号が入力されて、前記接続ノードの電位VMが上昇するときには、前記接続ノードの電位VMが、(VBIAS-VM)>VSの関係を満たしている間は、前記スイッチング素子を前記第3状態とし、前記接続ノードの電位VMが(VBIAS-VM)≦VSの関係を満たすまで上昇したときに、前記スイッチング素子を前記第1状態とし、(d)前記第1トランジスタのゲートにオン信号が入力されて、前記接続ノードの電位VMが低下するときには、前記スイッチング素子を前記第2状態とする、ように前記スイッチング素子の接続状態を変更することにより、前記接続ノードの電位の変化を制御する。
【0025】
本発明によると、第1トランジスタのゲートにオフ信号が入力されて接続ノードの電位VMが上昇するときに、接続ノードの電位VMが、(VBIAS-VM)>VSの関係を満たしている間は、スイッチング素子が第3状態となり、チャージされたコンデンサから接続ノードへ電流が流れ、コンデンサの電荷が接続ノードに供給される。これにより、接続ノードの電位VMの上昇を早めることができる。
【0026】
一方、接続ノードの電位VMが(VBIAS-VM)≦VSの関係を満たすまで上昇したときには、スイッチング素子が第1状態となり、接続ノードからチャージされていないコンデンサへ電流が流れることにより、接続ノードの電位VMの過剰な上昇を抑制して、第1コンデンサ及び第2コンデンサの電圧保護を行うことができる。また、このとき、コンデンサに電荷がチャージされる。
【0027】
また、第1トランジスタのゲートにオン信号が入力されて、接続ノードの電位VMが低下するときには、スイッチング素子が第2状態となり、チャージされたコンデンサから接続ノードに電流が流れない。これにより、コンデンサが接続ノードの電位VMの変化に影響を与えないにようにすることができる。また、コンデンサにチャージされた電荷が放電されてしまうことがないため、コンデンサにチャージされた電荷を、次の接続ノードへの供給に利用することができる。
【0028】
の発明に係る半導体回路は、第の発明に係る半導体回路において、前記スイッチング素子が、前記接続ノードと前記コンデンサとの間に設けられ、そのソースが前記接続ノードに接続され、そのドレインが前記コンデンサに接続されたMOS-FETと、前記MOS-FETのドレインとソースとの間に、前記MOS-FETのドレイン側がカソードとなるような向きで接続されたダイオードと、を有し、前記制御回路は、前記第1トランジスタのゲートにオフ信号が入力されるときに、前記MOS-FETのゲートにオン信号を入力させ、前記第1トランジスタのゲートにオン信号が入力されるときに、前記MOS-FETのゲートにオフ信号を入力させる。
【0029】
本発明によると、第1トランジスタにオフ信号が入力されるときには、MOS-FETにオン信号が入力される。これにより、接続ノードの電位VMが低く、(VBIAS-VM)>VSとなっている間は、MOS-FETがオンとなり、スイッチング素子が第3状態となる。これにより、チャージされたコンデンサから接続ノードに電流が流れることによって、接続ノードの電位の上昇を早めて、スイッチング周波数を高くすることができる。
【0030】
接続ノードの電位VMが高くなることで(VBIAS-VM)≦VSとなってからも、MOS-FETがオンの状態が維持されることにより、スイッチング素子が第1状態となる。これにより、接続ノードの電位の上昇を抑制して、第2トランジスタの電圧保護を行うことができる。また、このとき、コンデンサに電荷がチャージされる。
【0031】
また、第1トランジスタにオン信号が入力されるときには、MOS-FETはゲートにオフ信号が入力されてオフになる。これにより、スイッチング素子が第2状態となる。これにより、コンデンサにチャージされた電荷が放電されてしまうことがないため、コンデンサにチャージされた電荷を、次の接続ノードへの供給に利用することができる。
【0032】
の発明に係る半導体回路は、第の発明に係る半導体回路において、前記制御回路は、前記第1トランジスタのゲートにオフ信号が入力されるときに、前記MOS-FETのゲートに当該オフ信号に対して遅延させて前記オン信号を入力させる。
【0033】
本発明によると、第1トランジスタにオフ信号が入力されるときには、当該オフ信号に対して遅延して、スイッチング素子を構成するMOS-FETにオン信号が入力される。これにより、遅延時間を調整することによって、コンデンサから接続ノードに供給する電荷を調整することができる。
【0034】
の発明に係る半導体回路は、第の発明に係る半導体回路において、N型の前記第1トランジスタを備え、前記スイッチング素子は、前記接続ノードと前記コンデンサとの間に設けられ、そのドレインが前記接続ノードに接続され、そのソースが前記コンデンサに接続され、そのゲートが前記第1トランジスタのゲートに接続されたP型MOS-FETと、前記P型MOS-FETのドレインとソースとの間に接続され、前記P型MOS-FETのソース側がカソードとなるような向きで接続されたダイオードと、を有する。
【0035】
本発明によると、第1トランジスタのゲートと、スイッチング素子を構成するP型MOS-FETとが接続されているため、第1トランジスタにオフ信号が入力されると、スイッチング素子を構成するP型MOS-FETがオンになる。これにより、接続ノードの電位VMが低く、(VBIAS-VM)>VSとなっているときには、スイッチング素子が第3状態となる。これにより、チャージされたコンデンサから接続ノードへ電流が流れることによって、接続ノードの電位の上昇を早めて、スイッチング周波数を高くすることができる。
【0036】
接続ノードの電位VMが高くなることで(VBIAS-VM)≦VSとなってからも、MOS-FETがオンの状態が維持されることにより、スイッチング素子が第1状態となる。これにより、接続ノードからチャージされていないコンデンサへ電流が流れることによって、接続ノードの電位VMの過剰な上昇を抑制して、第1トランジスタ及び第2トランジスタの電圧保護を行うことができる。また、このとき、コンデンサに電荷がチャージされる。
【0037】
また、第1トランジスタにオン信号が入力されるときには、MOS-FETはオフ信号が入力されてオフになる。これにより、スイッチング素子が第2状態となる。
【0038】
の発明に係る半導体回路は、第の発明に係る半導体回路において、前記スイッチング素子と前記第1トランジスタのソースとの間に設けられ、前記コンデンサと並列に接続された外部電源、をさらに備えている。
【0039】
本発明によると、コンデンサが外部電源によってもチャージされる。これにより、(VBIAS-VM)>VSとなっているときに、コンデンサから接続ノードに供給する電荷量をさらに大きくして、接続ノードの電位の上昇をさらに早めることができる。また、外部電源の電圧を調整することによって、コンデンサから接続ノードに供給する電荷を調整することができる。
【0040】
の発明に係る半導体回路は、第4~第8のいずれかの発明に係る半導体回路において、オン信号が入力されている前記第1トランジスタのゲートにオフ信号が入力されたとき、前記コンデンサがチャージされている。
【0041】
本発明によると、オン信号が入力されている前記第1トランジスタのゲートにオフ信号が入力されたとき、コンデンサがチャージされている。これにより、接続ノードの電位の上昇を早めて、スイッチング周波数を高くすることができる。
【0042】
10の発明に係る半導体回路は、第1~第9のいずれかの発明に係る半導体回路において、前記基準電位VSが、前記第2トランジスタの閾値電圧VTHである。
【0043】
本発明によると、(VBIAS-VM)>VTHである間は、VMの上昇を抑えないあるいは早めることができる。これにより、半導体回路のスイッチング周波数を維持する、あるいは、半導体回路のスイッチング周波数を高くすることができる。また、(VBIAS-VM)≦VTHとなった直後からVMの過剰な上昇を抑えることができる。これにより、第1トランジスタ及び第2トランジスタの電圧保護を行うことができる。
【0044】
11の発明に係る半導体回路は、第1~第10のいずれかの発明に係る半導体回路であって、前記第1トランジスタが、LVMOS-FETであり、前記第2トランジスタが、PSJ-FETである。
【0045】
本発明によると、LVMOS-FETとPSJ-FETをカスコード接続した半導体回路において、半導体回路に含まれるLVMOS-FET及びPSJ-FETの電圧保護を行うと共に、半導体回路のスイッチング周波数の低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、半導体回路に含まれる第1トランジスタ及び第2トランジスタの電圧保護を行うと共に、半導体回路のスイッチング周波数の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明の実施形態に係る半導体回路を示す図である。
図2】第1具体例に係る半導体回路の回路図である。
図3】(a)は本発明の制御回路を有さない半導体回路の回路図であり、(b)は(a)の半導体回路のLVMOS-FETのドレインとソースとの間にコンデンサを接続した半導体回路の回路図である。
図4】(a)は図3(a)の半導体回路のLVMOS-FETのゲートに入力する信号の時間変化を示すグラフであり、(b)は図3(a)の半導体回路における(a)の時間変化に対応する接続ノードの電位の時間変化を示すグラフであり、(c)は図3(a)の半導体回路における(a)の時間変化に対応する、PSJ-FETのドレインとPSJ-FETのソースとの間の電圧の時間変化を示すグラフである。
図5】(a)は図3(b)の半導体回路のLVMOS-FETのゲートに入力する信号の時間変化を示すグラフであり、(b)は図3(b)の半導体回路における(a)の時間変化に対応する接続ノードの電位の時間変化を示すグラフであり、(c)は図3(b)の半導体回路における(a)の時間変化に対応する、PSJ-FETのドレインとPSJ-FETのソースとの間の電圧の時間変化を示すグラフである。
図6】(a)は図1の半導体回路のLVMOS-FETのゲートに入力する信号の時間変化を示すグラフであり、(b)は図1の半導体回路における(a)の時間変化に対応する接続ノードの電位の時間変化を示すグラフであり、(c)は図1の半導体回路における(a)の時間変化に対応する、PSJ-FETのドレインとPSJ-FETのソースとの間の電圧の時間変化を示すグラフである。
図7】第2具体例に係る半導体回路の回路図である。
図8】第3具体例に係る半導体回路の回路図である。
図9】(a)は図8の半導体回路のLVMOS-FETのゲートに入力する信号の時間変化を示すグラフであり、(b)は図8の半導体回路における(a)の時間変化に対応する接続ノードの電位の時間変化を示すグラフであり、(c)は図8の半導体回路における(a)の時間変化に対応する、PSJ-FETのドレインとPSJ-FETのソースとの間の電圧の時間変化を示すグラフである。
図10】第4具体例に係る半導体回路の回路図である。
図11】(a)は変形例1に係る半導体回路の回路図であり、(b)は(a)のスイッチング素子の状態の変化を説明するための図である。
図12】(a)は変形例2に係る半導体回路の回路図であり、(b)は(a)のスイッチング素子の状態の変化を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0049】
図1に示すように、半導体回路1は、第1トランジスタ2とノーマリーオン型の第2トランジスタ3と制御回路4とを有する。半導体回路1では、第1トランジスタ2のドレインと第2トランジスタ3のソースとがカスコード接続される。制御回路4は、カスコード接続された第1トランジスタ2のドレインと第2トランジスタ3のソースとの接続部分である接続ノード10と、第1トランジスタ2のソースとの間に設けられる。
【0050】
制御回路4は、コンデンサ11とスイッチング素子12を含む。コンデンサ11は、接続ノード10と、第1トランジスタ2のソースとの間に接続される。スイッチング素子12は、接続ノード10と、第1トランジスタ2のソースとの間に、コンデンサ11と直列に接続される。スイッチング素子12は、第1状態、第2状態、第3状態のうち、いずれかの状態に選択的に構成可能である。第1状態は、接続ノード10からコンデンサ11へ電流を流すことのできる状態である。第2状態は、接続ノード10とコンデンサ11の間で電流が流れようとするのを遮断する状態である。第3状態は、コンデンサ11から接続ノード10へ電流を流すことのできる状態である。
【0051】
制御回路4は、接続ノード10の電位の変化に合わせて、スイッチング素子12の状態を変更させることにより、接続ノード10の電位の変化を制御する。
【0052】
本実施形態の半導体回路1は、このような構成を有することにより、以下の効果を有する。
【0053】
接続ノード10の電位がある程度上昇した時点で、接続ノード10から、チャージされていないコンデンサ11に電流を流すことができるように制御回路4に含まれるスイッチング素子12を第1状態にすることにより、接続ノード10の電位の過剰な上昇を抑制して、第1トランジスタ2及び第2トランジスタ3の電圧保護を行うことができる。
【0054】
一方、接続ノード10の電位がある程度上昇するまでの間、コンデンサ11から接続ノード10に電流を流すことができないように、制御回路4に含まれるスイッチング素子12を第2状態にすることにより、接続ノード10の電位が上昇しにくくなるのを防止して、スイッチング周波数を維持することができる。あるいは、接続ノード10の電位がある程度上昇するまでの間、チャージされたコンデンサ11から接続ノード10に電流を流すことができるように、スイッチング素子12を第3状態にすることにより、接続ノード10の電位の上昇を早めて、スイッチング周波数を高くすることができる。
【0055】
以上のことから、本実施形態の半導体回路1は、半導体回路1に含まれる第1トランジスタ2及び第2トランジスタ3の電圧保護を行うと共に、半導体回路1のスイッチング周波数の低下を防止することができる。
【0056】
[第1具体例]
以下、上述の本発明の実施形態の具体例の1つである第1具体例について説明する。
【0057】
<半導体回路の全体構成>
図1に示すように、第1具体例に係る半導体回路100は、N型のLVMOS-FET(Low Voltage Metal Oxide Semiconductor - Field Effect Transistor)102と、N型のPSJ-FET(Polarization Super Junction - Field Effect Transistor)103と、制御回路4とを備えている。なお、第1具体例では、LVMOS-FET102が、上述の実施形態の第1トランジスタ2に対応し、PSJ-FET103が、上述の実施形態のノーマリーオン型の第2トランジスタ3に対応する。
【0058】
半導体回路100では、LVMOS-FET102のドレインと、PSJ-FET103のソースとがカスコード接続されている。なお、以下では、カスコード接続されたLVMOS-FET102のドレインと、PSJ-FET103のソースとの接続部分を接続ノード10として説明を行う。
【0059】
また、半導体回路100では、その動作中、PSJ-FET103のゲートにバイアス電位VBIASが付与されている。ここで、バイアス電位VBIASは、VBIAS>VTH+RON×Idの関係を満たす電位である。VTHは、PSJ-FET103の閾値電圧である。RONは、PSJ-FET103がオンの状態での、LVMOS-FET102の内部抵抗の抵抗値である。Idは、PSJ-FET103がオンとなっている状態でPSJ-FET103のドレインとLVMOS-FET102のソースとの間に流れる電流の電流値である。
【0060】
制御回路4は、接続ノード10と、LVMOS-FET102のソースとの間に接続されている。また、LVMOS-FET102のドレインとソースとの間には、ダイオード105が接続されている。ダイオード105は、LVMOS-FET102のドレイン側がカソードとなる向きで配置されている。ダイオード105は、LVMOS-FET102に含まれるボディダイオードである。ダイオード105は、例えば、逆電圧が加わったときにLVMOS-FET102のソースからドレインに向かう方向に流れる電流をバイパスさせる還流ダイオードとして作用する。
【0061】
<制御回路>
次に、制御回路104について説明する。制御回路104は、コンデンサ111と、スイッチング素子112と、ツェナダイオード113とを備えている。なお、制御回路104は、コンデンサ111のほかに後述するコンデンサ116を備えているが、コンデンサ111が本発明に係るコンデンサに相当する。また、制御回路4は、ツェナダイオード113のほかに後述するツェナダイオード117を備えているが、ツェナダイオード113が本発明のツェナダイオードに相当する。
【0062】
コンデンサ111は、接続ノード10とLVMOS-FET102のソースとの間に接続されている。スイッチング素子112は、コンデンサ111と、LVMOS-FET102のソースとの間に接続されている。これにより、スイッチング素子112は、接続ノード10とLVMOS-FET102のソースとの間に、コンデンサ111と直列に接続されている。
【0063】
スイッチング素子112は、N型MOS-FET121と、ダイオード122とを有する。N型MOS-FET121は、コンデンサ111と、LVMOS-FET102のソースとの間に設けられている。そして、N型MOS-FET121のドレインがコンデンサ111に接続され、N型MOS-FET121のソースがLVMOS-FETのソースに接続されている。ダイオード122は、N型MOS-FET121のドレインとソースとの間に、N型MOS-FET121のドレイン側がカソードとなる向きで接続されている。
【0064】
ツェナダイオード113は、接続ノード10と、N型MOS-FET121のゲートとの間に、接続ノード10側がカソードとなる向きで設けられている。また、ツェナダイオード113は、接続ノード10に直接接続されているとともに、抵抗114、115を介してN型MOS-FET121のゲートに接続されている。
【0065】
そして、半導体回路100では、接続ノード10の電位VMが、(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たすときに、ツェナダイオード113の両端の電位差が、ツェナダイオード113の降伏電圧よりも小さく、(VBIAS-VM)≦VTHの関係を満たすときに、ツェナダイオード113の両端の電位差が、ツェナダイオード113の降伏電圧以上となるように、ツェナダイオード113の降伏電圧が設定されている。
【0066】
また、制御回路104では、抵抗114と抵抗115との接続部分と、LVMOS-FET102のソースとの間に、コンデンサ116とツェナダイオード117と抵抗118とが並列に接続されている。これにより、N型MOS-FET121のゲートは、抵抗115と、並列に接続されたコンデンサ116、ツェナダイオード117及び抵抗118とを介して、LVMOS-FET102のソースに接続されている。コンデンサ118と抵抗114とは、N型MOS-FET121が意図しないタイミングでオフの状態からオンの状態に切り換わってしてしまうのを防止するためのフィルタを構成している。抵抗118は、N型MOS-FET121がオフになったときに、N型MOS-FET121とコンデンサ116の電荷を放電するために設けられている。ツェナダイオード117は、N型MOS-FET121のゲートに耐圧を超える電圧が印加されないようにするために設けられている。
【0067】
<半導体回路の動作>
ここで、半導体回路100の動作について説明する前に、図3(a)に示すような、半導体回路1から制御回路104を除いた半導体回路150、及び、図3(b)に示すような、半導体回路150における、接続ノード10とLVMOS-FET102のソースとの間にコンデンサ161を接続した半導体回路160の動作についてそれぞれ、説明する。
【0068】
図3(a)に示す半導体回路150において、図4(a)に示すように、LVMOS-FET102のゲートにオン信号が入力され(つまり、LVMOS-FET102のゲートの電位VG=VONであり)、LVMOS-FET102がオンの状態となっているときには、(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たし、PSJ-FET103がオンの状態となっている。
【0069】
この状態では、図4(b)に示すように、接続ノード10の電位VMがほぼ0であり、図4(c)に示すように、PSJ-FET103のドレインとPSJ-FETのソースとの間の電圧VDSもほぼ0である。
【0070】
この状態から、図4(a)に示すように、時刻T1にLVMOS-FET102のゲートに入力される信号がオン信号からオフ信号に切り換わると(つまり、VGがVONからVOFFに切り換わると)、図4(b)に示すように、時刻T1から遅れた時刻T2にLVMOS-FET102がオフになり、接続ノード10の電位VMが上昇し始める。そして、その後の時刻T3aに、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VTH)に達する。すなわち、(VBIAS-VM)=VTHとなる。
【0071】
そして、図4(c)に示すように、時刻T3aから遅れた時刻T4aに、PSJ-FET103がオフになり、電圧VDSが上昇し始め、その後の時刻T5aに、電圧VDSが最大の電位V2に達する。そして、時刻T5a以降、電圧VDSはV2の状態が維持される。
【0072】
このとき、接続ノード10の電位VMは、図4(b)に示すように、時刻T3aから時刻T5aまでの期間も上昇し、時刻T5aにV1aに達する。また、PSJ-FET103がオフになるまでの時刻T2aから時刻T4aの期間と、PSJ-FET103がオフになった後の時刻T4aから時刻T5aの期間とで、接続ノード10の電圧VMの上昇の早さ(図4(b)における傾き)が異なる。
【0073】
より詳細に説明すると、電流Idは、接続ノード10の電位VMの上昇を抑える方向に作用する。一方、VDSの上昇に伴って、PSJ-FET103のドレイン-ソース間の容量とLVMOS-FET102のドレイン-ソース間の容量による容量分圧により接続ノード10の電位VMの上昇の早さが変わる。これらの要因から、時刻T2aから時刻T4aの期間と、時刻T4aから時刻T5aとで、接続ノード10の電圧VMの上昇の早さが異なる。なお、図4(b)では、時刻T4aから時刻T5aの期間において、時刻T2aから時刻T4aの期間よりも、接続ノード10の電圧VMの上昇が速くなる(図4(b)における傾きが大きくなる)場合を示している。
【0074】
後述する、図5(b)における、時刻T2bから時刻T4bまでの期間と、時刻T4bから時刻T5bまでの期間との、接続ノード10の電圧VMの上昇の早さの違い、図6(b)における、時刻T2aから時刻T4aまでの期間と、時刻T4aから時刻T5aまでの期間との、接続ノード10の電圧VMの上昇の早さの違い、及び、図9(b)における、時刻T3dから時刻T4dまでの期間と、時刻T4dから時刻T5aまでの期間との、接続ノード10の電圧VMの上昇の早さの違いについても同様である。
【0075】
また、接続ノード10の電位VMは、電圧VDSが最大のV2に到達した時刻T5aからその後の時刻T6aまでの期間に上昇又は低下する。そして、接続ノード10の電位VMは、時刻T6aに、PSJ-FET103のドレイン-ソース間に流れるオフリーク電流とLVMOS-FET102のドレインへ流れ込むオフリーク電流とが釣り合うときの電位V3に達し、時刻T6a以降、接続ノード10の電位VMがV3の状態が維持される。V3の状態が維持される。
【0076】
より詳細に説明すると、時刻T5aおいてVDSがV2に達した時点で、PSJ-FET103の上記オフリーク電流がLVMOS-FET102の上記オフリーク電流よりも大きい場合には、時刻T5aから時刻T6aまでの期間に、接続ノード10の電位VMが低下する。時刻T5aにおいてVDSがV2に達した時点で、PSJ-FET103の上記リーク電流がLVMOS-FET102の上記リーク電流よりも小さい場合には、時刻T5aから時刻T6aまでの期間に、接続ノード10の電位VMが上昇する。なお、図4(b)では、時刻T5aから時刻T6aまでの期間に、接続ノード10の電位VMが低下する場合を示している。
【0077】
後述する、図5(b)における、時刻T5bから時刻T6bまでの期間の接続ノード10の電位VMの変化、図6(b)における、時刻T5aから時刻T6aまでの期間の接続ノード10の電位VMの変化、及び、図9(b)における、時刻T5dから時刻T6dまでの期間の接続ノード10の電位VMの変化についても同様である。
【0078】
図3(b)に示す半導体回路160においても、上述と同様、図5(a)に示すように、LVMOS-FET102のゲートにオン信号が入力されている状態(つまり、VG=VONの状態)では、PSJ-FET103がオンの状態となっている。
【0079】
この状態では、上述と同様、図5(b)に示すように、接続ノード10の電位VMがほぼ0であり、図5(c)に示すように、PSJ-FET103のドレインとPSJ-FET103のソースとの間の電圧VDSもほぼ0である。なお、図5(b)及び後述する図5(c)、図6(b)、(c)、図9(b)、(c)では、電位の時間変化を比較しやすくするために、図4(b)、(c)で示している半導体回路150の電位の時間変化のグラフを、一点鎖線で示している。
【0080】
この状態から、図5(a)に示すように、時刻T1にLVMOS-FET102のゲートに入力される信号がオン信号からオフ信号に切り換わると(つまり、VGがVONからVOFFに切り換わると)、半導体回路150の場合と同様、時刻T2にLVMOS-FET102がオフになることで、接続ノード10の電位VMが上昇し始める。
【0081】
半導体回路160では、接続ノード10と、LVMOS-FET102のソースとの間にコンデンサ161が接続されているため、このとき、接続ノード10からコンデンサ161に電流が流れ、接続ノード10の電位VMの上昇が緩やかになる。そのため、半導体回路160では、時刻T3aから遅れた時刻T3bに、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VTH)に達する。すなわち、(VBIAS-VM)=VTHとなる。
【0082】
そして、図5(c)に示すように、時刻T3bから遅れた時刻T4bに、PSJ-FET103がオフになり、電圧VDSが上昇し始める。ここで、時刻T3bから時刻T4bまでの期間の長さは、時刻T3aから時刻T4aまでの期間の長さとほぼ同じである。
【0083】
そして、その後の時刻T5bに、電圧VDSが最大の電位V2に達する。そして、時刻T5b以降、電圧VDSがV2の状態が維持される。ここで、時刻T4bから時刻T5bまでの期間の長さは、時刻T4aから時刻T5aまでの期間の長さとほぼ同じである。
【0084】
このとき、接続ノード10の電位VMは、図5(b)に示すように、時刻T3bから時刻T5bまでの期間も上昇し、時刻T5bに電位V1bに達する。半導体回路160では、コンデンサ61が設けられていることにより、時刻T3bから時刻T4bの期間及び時刻T4bから時刻T5bの期間において、それぞれ、半導体回路150における時刻T3aから時刻T4aの期間及び時刻T4aから時刻T5aの期間よりも、接続ノード10の電位VMの上昇が緩やかである。したがって、電位V1bは、電位V1aよりも低い。
【0085】
そして、接続ノード10の電位VMは、電圧VDSがV2に達する時刻T5bからその後の時刻T6bまで上昇又は低下してV3まで変化し、時刻T6b以降、接続ノード10の電位VMがV3の状態が維持される。
【0086】
ここで、LVMOS-FET102とPSJ-FET103とがカスコード接続された半導体回路は、通常、接続ノード10の電位VMがV3以下であれば、接続ノード10(LVMOS-FET102のドレイン)とLVMOS-FET102のソースとの電位差が、LVMOS-FET102の耐圧を超えないように設計される。また、LVMOS-FET102とPSJ-FET103とがカスコード接続された半導体回路は、通常、接続ノード10の電位VMがV3以下であれば、PSJ-FET103のゲートと、接続ノード10(PSJ-FET103のソース)との電位差が、PSJ-FET103の耐圧を超えないように設計される。一方で、VDSがV2に達した後に接続ノード10の電位VMが低下する場合には、少なくとも、VDSがV2に達した時点で、接続ノード10の電位VMがV3よりも高くなる。
【0087】
接続ノード10の電位VMが電位V3に対して高くなりすぎと、接続ノード10(LVMOS-FET102のドレイン)とLVMOS-FET102のソースとの電位差が、LVMOS-FET102の耐圧を超えてしまう虞がある。また、接続ノード10の電位VMが電位V3に対して高くなりすぎと、PSJ-FET103のゲートと、接続ノード10(PSJ-FET103のソース)との電位差が、PSJ-FET103の耐圧を超えてしまう虞がある。
【0088】
これに対して、半導体回路160では、上記のように、接続ノード10の電位VMの上昇が緩やかである。したがって、半導体回路160においてVDSがV2に達するとき(時刻T5b)の接続ノード10の電位VMであるV1bが、半導体回路150においてVDSがV2に達するとき(時刻T5a)の接続ノード10の電位VMであるV1aよりも低い。したがって、接続ノード10の電位VMが高くなりすぎて、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の耐圧を超えてしまうのを防止することができる。すなわち、半導体回路160では、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の電圧保護が行われている。
【0089】
しかしながら、上記の通り、半導体回路160においてLVMOS-FET102にオフ信号が入力されてからPSJ-FET103がオフの状態に切り換わってVDSがV2に達するのに必要な時間(時刻T1から時刻T5bの時間)は、半導体回路150においてLVMOS-FET102にオフ信号が入力されてからPSJ-FET103がオフの状態に切り換わってVDSがV2に達するのに必要な時間(時刻T1から時刻T5aの時間)よりも長くなってしまう。すなわち、半導体回路160では、半導体回路150よりもスイッチング周波数が低くなってしまう。
【0090】
これに対して、半導体回路100では、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の電圧保護を行いつつも、スイッチング周波数を維持することができる。
【0091】
より詳細に説明すると、半導体回路100では、図6(a)に示すように、LVMOS-FET102のゲートにオン信号が入力されている状態(つまり、VG=VONの状態)で、半導体回路150、160の場合と同様、PSJ-FET103がオンの状態となっている。そして、この状態では、上述と同様、図6(b)に示すように、接続ノード10の電位VMがほぼ0であり、図6(c)に示すように、PSJ-FET103のドレインとPSJ-FET103のソースとの間の電圧VDSもほぼ0である。
【0092】
この状態から、図6(a)に示すように、時刻T1にLVMOS-FET102のゲートに入力される信号がオン信号からオフ信号に切り換わると(つまり、VGがVONからVOFFに切り換わると)、半導体回路150、160の場合と同様、時刻T2にLVMOS-FET102がオフになることで、接続ノード10の電位VMが上昇し始める。この状態では、ツェナダイオード113の両端の電位差が、ツェナダイオード113の降伏電圧よりも低いため、N型MOS-FET121がオフになっており、接続ノード10からコンデンサ111に電流が流れない。したがって、半導体回路160の場合とは異なり、接続ノード10の電位VMの上昇が抑えられることがなく、半導体回路150の場合と同様、時刻T3aに接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VTH)に達する。なお、このときのスイッチング素子112の状態が、本発明の「第2状態」に相当する。
【0093】
そして、これ以降、半導体回路100においても、半導体回路150と同様に、図6(c)に示すように、時刻T4aにPSJ-FET103がオフになり、電圧VDSが上昇し始め、その後の時刻T5aに、電圧VDSが電位V2に達する。そして、時刻T5a以降、電圧VDSがV2の状態が維持される。
【0094】
また、半導体回路100においても、接続ノード10の電位VMは、時刻T3aから時刻T5aまでさらに上昇する。さらに、半導体回路100では、接続ノード10の電位VMは、時刻T5aから時刻T6cまで上昇又は低下してV3まで変化し、時刻T6c以降、接続ノード10の電位VMがV3の状態が維持される。
【0095】
ただし、半導体回路100では、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VTH)に達した時刻T3aにおいて、ツェナダイオード113の両端の電位差が、ツェナダイオード113の降伏電圧に達し、接続ノード10から、ツェナダイオード113及び抵抗114、15を介して、N型MOS-FET121のゲートにオン信号が入力され、N型MOS-FET121がオンになる。これにより、接続ノード10からコンデンサ111に電流が流れ、図6(b)に示すように、時刻T3aから時刻T4aの期間、及び、時刻T4aから時刻T5aの期間において、それぞれ、半導体回路150における時刻T3aから時刻T4aまでの期間、及び、時刻T4aから時刻T5aまでの期間よりも、接続ノード10の電位VMの上昇が緩やかになる。したがって、半導体回路100においてVDSがV2に達するとき(時刻T5a)の接続ノード10の電位VMであるV1cは、半導体回路150においてVDSがV2に達するとき(時刻T5a)の接続ノード10の電位VMであるV1aよりも低くなる。これにより、上述したのと同様に、接続ノード10の電位VMが高くなりすぎて、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の耐圧を超えてしまうのを防止することができる。すなわち、半導体回路100では、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の電圧保護が行われている。また、接続ノード10からコンデンサ111に電流が流れると、コンデンサ111がチャージされる。なお、このときのスイッチング素子112の状態が、本発明の「第1状態」に相当する。
【0096】
また、半導体回路100では、LVMOS-FET102のゲートに入力する信号をオフ信号からオン信号に切り換えると(つまり、VGをVOFFからVONに切り換えると)、LVMOS-FET102がオンとなり、接続ノード10の電位VMが低下する。そして、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VTH)まで低下したときに、PSJ-FET103がオンとなる。
【0097】
また、半導体回路100では、スイッチング素子112がダイオード122を備えているため、このとき、コンデンサ111から接続ノード10に電流が流れ、PSJ-FET103をオンの状態からオフの状態に切り換えるときにコンデンサ111にチャージされていた電荷が放電される。なお、このときのスイッチング素子112の状態が、本発明の「第3状態」に相当する。
【0098】
<効果>
以上のように、第1具体例では、半導体回路100において、PSJ-FET103がオンの状態からオフの状態に切り換わるときに、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たしている間は、N型MOS-FET121をオフにすることによって、接続ノード10からコンデンサ111に電流が流れないようにする。これにより、半導体回路100においてスイッチング周波数を維持することができる。
【0099】
一方、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)≦VTHの関係を満たすまで上昇した後には、N型MOS-FET121をオンにすることによって、接続ノード10からコンデンサ111に電流が流れるようにする。これにより、接続ノード10の電位VMの過剰な上昇を抑えて、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の電圧保護を行うことができる。
【0100】
また、第1具体例では、上述したように、接続ノード10とN型MOS-FET121のゲートとの間にツェナダイオード113を接続することによって、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たしているときに、N型MOS-FET121をオフにし、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)≦VTHの関係を満たしているときに、N型MOS-FET121をオンにすることができる。
【0101】
また、第1具体例では、上記の通り、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たしているか(VBIAS-VM)≦VTHの関係を満たしているかによって、N型MOS-FET121のオフとオンとが切り換わる。したがって、PSJ-FET103のゲートとソースとの間の電位差(VBIAS-VM)がPSJ-FET103の閾値電圧VTHに達するまでは、接続ノード10の電位VMの上昇を抑えないようにしつつ、上記電位差(VBIAS-VM)がPSJ-FET103の閾値電圧VTHに達した直後から、接続ノード10の電位VMの上昇を抑えることとができる。
【0102】
[第2具体例]
次に、上述の本発明の実施形態の具体例の1つである第2具体例について説明する。
【0103】
<半導体回路の全体構成>
図7に示すように、第2具体例に係る半導体回路200は、第1具体例と同様にカスコード接続されたLVMOS-FET102及びPSJ-FET103と、第1具体例と同様のダイオード105と、制御回路201とを備えている。なお、第2具体例においても、LVMOS-FET102が、上述の実施形態の第1トランジスタ2に対応し、PSJ-FET103が、上述の実施形態のノーマリーオン型の第2トランジスタ3に対応する。
【0104】
<制御回路>
制御回路201は、接続ノード10と、LVMOS-FET102のソースとの間に接続されている。制御回路201は、コンデンサ211と、スイッチング素子212と、ツェナダイオード213とを備えている。なお、第2具体例では、制御回路201がコンデンサ211のほかに後述するコンデンサ216を備えているが、コンデンサ211が本発明に係るコンデンサに相当する。また、制御回路201は、ツェナダイオード213のほかに後述するツェナダイオード217を備えているが、ツェナダイオード213が、本発明のツェナダイオードに相当する。
【0105】
コンデンサ211は、接続ノード10とLVMOS-FET102のソースとの間に接続されている。スイッチング素子212は、接続ノード10とコンデンサ211との間に接続されている。これにより、スイッチング素子212は、接続ノード10とLVMOS-FET102のソースとの間に、コンデンサ211と直列に接続されている。
【0106】
スイッチング素子212は、P型MOS-FET221と、ダイオード222とを有する。P型MOS-FET221は、接続ノード10とコンデンサ211との間に設けられている。そして、P型MOS-FET221のドレインがコンデンサ111に接続され、P型MOS-FET221のソースが接続ノード10に接続されている。ダイオード222は、P型MOS-FET221のドレインとソースとの間に、P型MOS-FET221のソース側がカソードとなる向きで接続されている。
【0107】
ツェナダイオード113は、P型MOS-FET221のゲートと、LVMOS-FET102のソースとの間に、P型MOS-FET221のゲート側がカソードとなる向きで設けられている。また、ツェナダイオード113は、抵抗214を介してP型MOS-FET221のゲートに接続されているとともに、抵抗215を介してLVMOS-FET102のソースに接続されている。
【0108】
そして、半導体回路200では、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たすときに、ツェナダイオード213の両端の電位差がツェナダイオード213の降伏電圧よりも小さく、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)≦VTHの関係を満たすときに、ツェナダイオード213の両端の電位差がツェナダイオード213の降伏電圧以上となるように、ツェナダイオード213の降伏電圧が設定されている。
【0109】
また、制御回路201では、接続ノード10と、ツェナダイオード213と抵抗214との接続部分との間に、コンデンサ216とツェナダイオード217と抵抗218とが並列に接続されている。これにより、P型MOS-FET221のゲートは、抵抗214と、並列に接続されたコンデンサ216、ツェナダイオード217及び抵抗218とを介して、接続ノード10に接続されている。コンデンサ216と抵抗215とは、P型MOS-FET212が意図しないタイミングでオフの状態からオンの状態に切り換わってしまうのを防止するためのフィルタを構成している。また、抵抗215は、P型MOS-FET212がオフになったときに、P型MOS-FET212とコンデンサ216の電荷を放電するために設けられている。ツェナダイオード217は、P型MOS-FET212のゲートに耐圧を超える電圧が印加されないようにするために設けられている。
【0110】
<半導体回路の動作>
次に、半導体回路200の動作について説明する。半導体回路200では、半導体回路100と同様、図6(a)に示すように、LVMOS-FET102のゲートにオン信号が入力されている状態(つまり、VG=VONの状態)で、PSJ-FET103がオンの状態となっている。また、この状態では、半導体回路100と同様、図6(b)に示すように、接続ノード10の電位VMがほぼ0であり、図6(c)に示すように、PSJ-FET103のドレインとPSJ-FET103のソースとの間の電圧VDSもほぼ0である。
【0111】
この状態から、図6(a)に示すように、時刻T1にLVMOS-FET102のゲートに入力される信号がオン信号からオフ信号に切り換わると(つまり、VGがVONからVOFFに切り換わると)、半導体回路100の場合と同様、時刻T2にLVMOS-FET102がオフになり、接続ノード10の電位VMが上昇し始める。この状態では、ツェナダイオード213の両端の電位差が、ツェナダイオード213の降伏電圧よりも低いため、P型MOS-FET221がオフになっており、接続ノード10からコンデンサ211に電流が流れない。したがって、半導体回路100の場合と同様、接続ノード10の電位VMの上昇が抑えられることがなく、時刻T3aに接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VTH)に達する。なお、このときのスイッチング素子212の状態が、本発明の「第2状態」に相当する。
【0112】
そして、半導体回路200においても、これ以降、半導体回路100と同様、図6(c)に示すように、時刻T4aにPSJ-FET103がオフになり、電圧VDSが上昇し始め、その後の時刻T5aに、電圧VDSが電位V2に達する。そして、時刻T5a以降、電圧VDSがV2の状態が維持される。
【0113】
また、半導体回路200においても、接続ノード10の電位VMは、時刻T3aから時刻T5aまでさらに上昇し、時刻T5aから時刻T6cまで上昇又は低下してV3まで変化し、時刻T6c以降、接続ノード10の電位VMがV3の状態が維持される。
【0114】
また、半導体回路200では、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VTH)に達した時刻T3aにおいて、ツェナダイオード213の両端の電位差が、ツェナダイオード213の降伏電圧に達し、ツェナダイオード213を介して、P型MOS-FET121のゲートからLVMOS-FET102のソースに電流が流れることで、P型MOS-FET121のゲートの電位が低下し、P型MOS-FET121がオンとなる。これにより、これ以降、接続ノード10からコンデンサ211に電流が流れ、図6(b)に示すように、時刻T3aから時刻T4aの期間、及び、時刻T4aから時刻T5aの期間において、それぞれ、半導体回路150における時刻T3aから時刻T4aまでの期間、及び、時刻T4aから時刻T5aまでの期間よりも、接続ノード10の電位VMの上昇が緩やかになる。したがって、半導体回路200においてVDSがV2に達するとき(時刻T5a)の接続ノード10の電位VMであるV1cは、上述の半導体回路150においてVDSがV2の電位に達するとき(時刻T5a)の接続ノード10の電位VMであるV1aよりも低くなる。これにより、上述したのと同様に、接続ノード10の電位VMが高くなりすぎて、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の耐圧を超えてしまうのを防止することができる。すなわち、半導体回路200では、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の電圧保護が行われている。また、接続ノード10からコンデンサ211に電流が流れると、コンデンサ211がチャージされる。なお、このときのスイッチング素子212の状態が、本発明の「第1状態」に相当する。
【0115】
また、半導体回路200では、LVMOS-FET102のゲートの信号に入力する信号をオフ信号からオン信号に切り換えると(つまり、VGをVOFFからVONに切り換えると)、LVMOS-FET102がオンとなり、接続ノードの電位VMが低下し、接続ノードの電位VMが(VBIAS-VTH)まで低下したときに、PSJ-FET103がオンとなる。
【0116】
また、半導体回路200では、スイッチング素子212がダイオード222を備えているため、このとき、コンデンサ211から接続ノード10に電流が流れ、PSJ-FET103をオンの状態からオフの状態に切り換えるときにコンデンサ211にチャージされていた電荷が放電される。なお、このときのスイッチング素子212の状態が、本発明の「第3状態」に相当する。
【0117】
<効果>
以上のように、第2具体例では、半導体回路200において、PSJ-FET103がオンの状態からオフの状態に切り換わるときに、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たしている間は、P型MOS-FET121をオフにすることによって、接続ノード10からコンデンサ111に電流が流れないようにする。これにより、半導体回路200においてスイッチング周波数を維持することができる。
【0118】
一方、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)≦VTHの関係を満たすまで上昇した後には、P型MOS-FET121をオンにすることによって、接続ノード10からコンデンサ211に電流が流れるようにする。これにより、接続ノード10の電位VMの過剰な上昇を抑えて、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の電圧保護を行うことができる。
【0119】
また、第2具体例では、上述したように、P型MOS-FET221のゲートとLVMOS-FET102のソースとの間にツェナダイオード213を接続することによって、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たしている間は、P型MOS-FET221をオフにし、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)≦VTHの関係を満たすまで上昇したときに、P型MOS-FET221をオンにすることができる。
【0120】
また、第2具体例では、上記の通り、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たしているか(VBIAS-VM)≦VTHの関係を満たしているかによって、P型MOS-FET221のオフとオンとが切り換わる。したがって、PSJ-FET103のゲートとソースとの間の電位差(VBIAS-VM)がPSJ-FET103の閾値電圧VTHに達するまでは、接続ノード10の電位VMの上昇を抑えないようにしつつ、上記電位差が(VBIAS-VM)がPSJ-FET103の閾値電圧VTHに達した直後から、接続ノード10の電位VMの上昇を抑えることができる。
【0121】
[第3具体例]
次に、上述の本発明の実施形態の具体例の1つである第3具体例について説明する。
【0122】
<半導体回路の全体構成>
図8に示すように、第3具体例に係る半導体回路300は、第1、第2具体例と同様にカスコード接続されたLVMOS-FET102及びPSJ-FET103と、第1、第2具体例と同様のダイオード105と、制御回路301と、を備えている。なお、第3具体例においても、LVMOS-FET102が、上述の実施形態の第1トランジスタ2に対応し、PSJ-FET103が、上述の実施形態のノーマリーオン型の第2トランジスタ3に対応する。
【0123】
<制御回路>
制御回路301は、接続ノード10と、LVMOS-FET102のソースとの間に接続されている。制御回路301は、コンデンサ311と、スイッチング素子312と、遅延反転回路313とを備えている。
【0124】
コンデンサ311は、接続ノード10とLVMOS-FET102のソースとの間に接続されている。スイッチング素子312は、接続ノード10とコンデンサ311との間に接続されている。これにより、スイッチング素子312は、接続ノード10とLVMOS-FET102のソースとの間に、コンデンサ311と直列に接続されている。
【0125】
スイッチング素子312は、N型MOS-FET321と、ダイオード322とを有する。N型MOS-FET321は、接続ノード10とコンデンサ311との間に設けられている。そして、N型MOS-FET321のドレインがコンデンサ311に接続され、N型MOS-FET321のソースが接続ノード10に接続されている。ダイオード322は、N型MOS-FET321のドレインとソースとの間に、N型MOS-FET321のドレイン側がカソードとなる向きで接続されている。
【0126】
また、N型MOS-FET321のゲートは、遅延反転回路313を介して、LVMOS-FET102のゲートに接続されている。遅延反転回路313は、LVMOS-FET102のゲートに入力された信号を遅延させるとともに反転させてN型MOS-FET321のゲートに出力する。これにより、LVMOS-FET102のゲートにオン信号が入力されたときに、この時点から遅延されたタイミングで、N型MOS-FET321のゲートにオフ信号が入力される。また、LVMOS-FET102のゲートにオフ信号が入力されたときに、この時点から遅延されたタイミングで、N型MOS-FET321のゲートにオン信号が入力される。なお、遅延反転回路313においては、LVMOS-FET102のゲートにオン信号が入力されてからN型MOS-FET321のゲートにオフ信号が入力されるまでの遅延時間と、LVMOS-FET102のゲートにオフ信号が入力されてからN型MOS-FET321のゲートにオン信号が入力されるまでの遅延時間とが、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0127】
<半導体回路の動作>
次に、半導体回路300の動作について説明する。半導体回路300でも、半導体回路100と同様、図9(a)に示すように、LVMOS-FET102のゲートにオン信号が入力されている状態(つまり、VG=VONの状態)では、PSJ-FET103がオンの状態となっている。また、この状態では、半導体回路100と同様、図9(b)に示すように、接続ノード10の電位VMがほぼ0であり、図9(c)に示すように、PSJ-FET103のドレインとPSJ-FET103のソースとの間の電圧VDSもほぼ0である。また、この状態では、N型MOS-FET321のゲートにオフ信号が入力されており、N型MOS-FET321はオフの状態となっている。
【0128】
この状態から、図9(a)に示すように、時刻T1にLVMOS-FET102のゲートに入力される信号がオン信号からオフ信号に切り換わると(つまり、VGがVONからVOFFに切り換わると)、半導体回路100の場合と同様、時刻T2にLVMOS-FET102がオフになり、接続ノード10の電位VMが上昇し始める。また、時刻T1から遅延されたタイミングで、N型MOS-FET321のゲートに入力される信号がオフ信号からオン信号に切り換わり、N型MOS-FET321がオンとなる。なお、このときのスイッチング素子312の状態が、本発明の「第3状態」に相当する。
【0129】
そして、この状態では、N型MOS-FET321がオンであり、後述するように、コンデンサ311がチャージされているため、コンデンサ311から接続ノード10に電流が流れることによって、接続ノード10に電荷が供給される。これにより、接続ノード10の電位VMの上昇が早められ、半導体回路300において接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VTH)に達する時刻T3dは、半導体回路150において接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VTH)に達する時刻T3aよりも前の時刻となる。
【0130】
そして、半導体回路300においても、これ以降、半導体回路100と同様、図9(c)に示すように、時刻T4dにPSJ-FET103がオフになり、電圧VDSが上昇し始め、その後の時刻T5dに、電圧VDSが最大の電位V2に達する。そして、時刻T5d以降、電圧VDSがV2の状態が維持される。
【0131】
ここで、時刻T3dと時刻T4dの間の時間の長さは、半導体回路150における時刻T3aと時刻T4aの間の時間の長さとほぼ同じである。また、時刻T4dと時刻T5dの間の時間の長さは、半導体回路150における時刻T4aと時刻T5aの間の時間の長さとほぼ同じである。したがって、時刻T5dは、時刻T5aよりも前の時刻となる。これにより、半導体回路300において、LVMOS-FET102にオフ信号が入力されてからPSJ-FET103がオフに切り換わってVDSがV2に達するのに必要な時間(時刻T1dから時刻T5dまでの時間)は、半導体回路150において、LVMOS-FET102にオフ信号が入力されてからPSJ-FET103がオフの状態に切り換わってVDSがV2に達するのに必要な時間(時刻T1aから時刻T5aまでの時間)よりも短くなり、半導体回路300のスイッチング周波数が高くなる。
【0132】
また、半導体回路300では、接続ノード10の電位VMは、時刻T3dから時刻T5dまでさらに上昇し、時刻T5dから時刻T6dまで上昇又は低下してV3まで変化し、時刻T6d以降、接続ノード10の電位VMがV3の状態が維持される。
【0133】
また、半導体回路300では、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VTH)に達した時刻T3d以降、ダイオード322を介して接続ノード10からコンデンサ311に電流が流れる。したがって、図9(b)に示すように、時刻T3dから時刻T4dまでの期間、及び、時刻T4dから時刻T5dまでの期間において、それぞれ、半導体回路150における時刻T3aから時刻T4aまでの期間、及び、時刻T4aから時刻T5aまでの期間よりも、接続ノード10の電位VMの上昇が緩やかになる。したがって、半導体回路300においてVDSがV2に達するとき(時刻T5d)の接続ノード10の電位VMであるV1dは、上述の半導体回路150においてVDSがV2に達するとき(時刻T5a)の接続ノード10の電位VMであるV1aよりも低くなる。これにより、上述したのと同様に、接続ノード10の電位VMが高くなりすぎて、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の耐圧を超えてしまうのを防止することができる。すなわち、半導体回路300では、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の電圧保護が行われている。
【0134】
また、接続ノード10からコンデンサ411に電流が流れると、コンデンサ311がチャージされる。なお、このときのスイッチング素子312の状態が、本発明の「第1状態」に相当する。
【0135】
また、半導体回路300では、LVMOS-FET102のゲートに入力する信号をオフ信号からオン信号に切り換えると(つまり、VGをVOFFからVONに切り換えると)、LVMOS-FET102がオンとなり、接続ノード10の電位VMが低下し、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VTH)まで低下したときに、PSJ-FET103がオンとなる。
【0136】
また、半導体回路300では、LVMOS-FET102のゲートに入力する信号がオンに切り換わってから遅延したタイミングで、N型MOS-FET321のゲートに入力される信号がオン信号からオフ信号に切り換わり、N型MOS-FET321がオフになる。これにより、チャージされたコンデンサ311から接続ノード10の電流が流れない。すなわち、コンデンサ311にチャージされた電荷が放電されない。なお、このときのスイッチング素子212の状態が、本発明の「第2状態」に相当する。
【0137】
<効果>
以上のように、第3具体例では、半導体回路300において、PSJ-FET103がオンの状態からオフの状態に切り換わるときに、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たしている間は、N型MOS-FET321をオンにして、チャージされたコンデンサ311から接続ノード10の電流が流れるようすることで、コンデンサ311から接続ノード10に電荷が供給されるようにする。これにより、接続ノード10の電位VMの上昇が早まり、半導体回路300のスイッチング周波数を高くすることができる。
【0138】
一方、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)≦VTHの関係を満たすまで上昇したときには、ダイオード322を介して接続ノード10からコンデンサ211に電流が流れる。これにより、接続ノード10の電位VMの過剰な上昇を抑えて、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の電圧保護を行うことができる。
【0139】
また、第3具体例では、半導体回路300においてPSJ-FET103をオフの状態からオンの状態に切り換えたときに、チャージされたコンデンサ311から接続ノード10に電流が流れない。これにより、コンデンサ311が接続ノード10の電位VMの変化に影響を与えないようにすることができる。また、コンデンサ311にチャージされた電荷が放電されないため、この状態でコンデンサ311にチャージされている電荷を、次に半導体回路300においてPSJ-FET103をオンの状態からオフの状態に切り換えるときに、接続ノード10に供給する電荷として利用することができる。
【0140】
また、第3具体例では、上述したように、スイッチング素子312を、N型MOS-FET321とダイオード322とを有するものとする。そして、LVMOS-FET102のゲートにオフ信号が入力されるときに、N型MOS-FET321のゲートにオン信号が入力されてN型MOS-FET321がオンとなるようにする。これにより、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たしているときに、N型MOS-FET321を介して、チャージされたコンデンサ211から接続ノード10に電流が流れるようにすることができる。また、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)≦VTHの関係を満たしているときに、ダイオード322を介して接続ノード10からコンデンサ321に電流を流すことができるようにすることができる。
【0141】
また、LVMOS-FET102のゲートにオン信号が入力されるときに、N型MOS-FET321のゲートにオフ信号が入力されてN型MOS-FET321がオフとなるようにする。これにより、チャージされたコンデンサ311から接続ノード10に電流が流れないようにすることができる。
【0142】
さらに、第3具体例では、LVMOS-FET102のゲートにオフ信号が入力されたタイミングから遅延したタイミングで、N型MOS-FET321のゲートにオン信号が入力されてN型MOS-FET321がオンになる。したがって、遅延反転回路313における遅延時間を調整すれば、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たしているときに、チャージされたコンデンサ311から接続ノード10に供給する電荷を調整することができる。
【0143】
また、第3具体例では、上記の通り、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たしている間は、コンデンサ411から接続ノード10に電流が流れることによって接続ノード10に電荷が供給される。したがって、接続ノード10の電位VMが上昇し始めてから、PSJ-FET103のゲートとソース(接続ノード10)との電位差がPSJ-FET103の閾値電圧VTHに達するまでは、接続ノード10の電位VMの上昇を早めることができる。また、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)≦VTHの関係を満たしているときに、接続ノード10からコンデンサ411に電流が流れる。これにより、上記電位差が(VBIAS-VM)がPSJ-FET103の閾値電圧VTHに達した直後から、接続ノード10の電位VMの上昇を抑えることができる。
【0144】
[第4具体例]
次に、上述の本発明の実施形態の具体例の1つである第4具体例について説明する。
【0145】
<半導体回路の全体構成>
図10に示すように、第4具体例に係る半導体回路400は、第1~第3具体例と同様にカスコード接続されたLVMOS-FET102及びPSJ-FET103と、第1~第3具体例と同様のダイオード105と、制御回路401とを備えている。なお、第4具体例においても、LVMOS-FET102が、上述の実施形態の第1トランジスタ2に対応し、PSJ-FET103が、上述の実施形態のノーマリーオン型の第2トランジスタ3に対応する。
【0146】
<制御回路>
制御回路401は、接続ノード10と、LVMOS-FET102のソースとの間に接続されている。制御回路401は、コンデンサ411と、スイッチング素子412とを備えている。
【0147】
コンデンサ411は、接続ノード10とLVMOS-FET102のソースとの間に接続されている。スイッチング素子412は、接続ノード10とコンデンサ411との間に接続されている。これにより、スイッチング素子412は、接続ノード10とLVMOS-FET102のソースとの間に、コンデンサ411と直列に接続されている。
【0148】
スイッチング素子412は、P型MOS-FET421と、ダイオード422とを有する。P型MOS-FET421は、接続ノード10とコンデンサ311との間に設けられている。そして、P型MOS-FET421のドレインが接続ノード10に接続され、P型MOS-FET421のソースがコンデンサ411に接続されている。ダイオード422は、P型MOS-FET421のドレインとソースとの間に、P型MOS-FET421のソース側がカソードとなる向きで接続されている。
【0149】
また、P型MOS-FET421のソースと、LVMOS-FET102のソースとの間には、コンデンサ411と並列に、外部電源414が接続されている。また、P型MOS-FET421のソースと、外部電源414との間には、ダイオード415が接続されている。ダイオード415は、P型MOS-FET421のソース側がカソードとなる向きで配置されている。ダイオード415は、コンデンサ411への充電時に、外部電源414に電流が流れるのを防止するためのものである。
【0150】
また、P型MOS-FET421のゲートは、コンデンサ413を介して、LVMOS-FET102のゲートに接続されている。これにより、N型のLVMOS-FET102のゲートと、P型MOS-FET421のゲートとに同じ信号が入力され、N型のLVMOS-FET102がオフになるときには、P型MOS-FET421がオンとなり、N型のLVMOS-FET102がオンになるときには、P型MOS-FET421がオフとなる。
【0151】
なお、コンデンサ413は、電圧レベルを変更するとともに、P型LVMOS-FET421がオンになっている時間を制限するためのものである。また、PSJ-FET103のドレインと、N型LVMOS-FET102のソースとが、抵抗値の低い外部抵抗を介して接続されることがある。この場合、N型LVMOS-FET102がオフとなっている期間中、P型のLVMOS-FET421が常にオンの状態となっていると、外部電源414、ダイオード415、P型LVMOS―FET412、PSJ-FET103、及び外部抵抗のループが形成されてしまう。本実施形態では、コンデンサ413が設けられることによって、P型LVMOS-FET421がオンになっている時間が制限されているため、このループが形成されてしまう時間を減らすこともできる。
【0152】
また、P型MOS-FET421のゲートと、P型MOS-FET421のソースとの間には、並列に接続されたダイオード416及び抵抗417が接続されている。ダイオード416は、P型MOS-FET421のソース側がカソードとなる向きで配置されている。抵抗417とコンデンサ413とは、P型LVMOS-FET421がオンになった時点から、抵抗417の抵抗値とコンデンサ413の容量とによって決まる時定数の時間が経過したときに、P型のLVMOS-FET421をオフにするために設けられている。ダイオード416はN型LVMOS-FET102にオン信号が入ったときにコンデンサ413の電荷を放電するために設けられている。
【0153】
<半導体回路の動作>
次に、半導体回路400の動作について説明する。半導体回路400でも、半導体回路300と同様、図9(a)に示すように、LVMOS-FET102のゲートにオン信号が入力されている状態(つまり、VG=VONの状態)で、PSJ-FET103がオンの状態となっている。また、この状態では、半導体回路300と同様、図9(b)に示すように、接続ノード10の電位VMがほぼ0であり、図9(c)に示すように、PSJ-FET103のドレインとPSJ-FET103のソースとの間の電圧VDSもほぼ0である。また、この状態では、P型MOS-FET421のゲートに、N型のLVMOS-FET102のゲートと同じ信号が入力されており、P型MOS-FET421はオフの状態となっている。
【0154】
この状態から、図9(a)に示すように、時刻T1にLVMOS-FET102のゲートに入力される信号がオン信号からオフ信号に切り換わると(つまり、VGがVONからVOFFに切り換わると)、半導体回路300の場合と同様、時刻T2にLVMOS-FET102がオフになることで、接続ノード10の電位VMが上昇し始める。また、このとき、P型MOS-FET421のゲートに入力される信号がオフ信号からオン信号に切り換わり、P型MOS-FET421がオンとなる。なお、このときのスイッチング素子412の状態が、本発明の「第3状態」に相当する。
【0155】
そして、この状態では、P型MOS-FET421がオンであり、後述するように、コンデンサ411に電荷がチャージされているため、コンデンサ411から接続ノード10に電流が流れることによって、接続ノード10に電荷が供給される。これにより、接続ノード10の電位VMの上昇が早められ、半導体回路400において接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VTH)に達する時刻T3dは、半導体回路150において接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VTH)に達する時刻T3aよりも前の時刻となる。
【0156】
そして、半導体回路400においても、これ以降、半導体回路300と同様、図9(c)に示すように、時刻T4dにPSJ-FET103がオフになり、電圧VDSが上昇し始め、その後の時刻T5dに、電圧VDSが電位V2に達する。そして、時刻T5d以降、電圧VDSがV2の状態が維持される。また、上述の、抵抗417の抵抗値とコンデンサ413の容量とによって決まる時定数の時間は、時刻T1から時刻T5dまでの時間よりも長い。したがって、電圧VDSがV2に達した後に(時刻T5dよりも後に)、P型MOS-FET421がオフになる。
【0157】
これにより、半導体回路400において、LVMOS-FET102にオフ信号が入力されてからPSJ-FET103がオフの状態に切り換わってVDSがV2に達するのに必要な時間(時刻T1dから時刻T5dまでの時間)は、半導体回路150において、LVMOS-FET102にオフ信号が入力されてから、PSJ-FET103がオフの状態に切り換わってVDSがV2に達するのに必要な時間(時刻T1aから時刻T5aまでの時間)よりも短くなり、半導体回路400のスイッチング周波数が高くなる。
【0158】
また、半導体回路400では、接続ノード10の電位VMは、時刻T3dから時刻T5dまでさらに上昇し、時刻T5dから時刻T6dまで上昇又は低下してV3まで変化し、時刻T6d以降、接続ノード10の電位VMがV3の状態が維持される。
【0159】
また、半導体回路400では、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VTH)に達した時刻T3d以降も、P型MOS-FET421がオンとなっており、接続ノード10からコンデンサ311に電流が流れる。したがって、図9(b)に示すように、時刻T3dから時刻T4dまでの期間、及び、時刻T4dから時刻T5dまでの期間において、それぞれ、半導体回路150における時刻T3aから時刻T4aまでの期間、及び、時刻T4aから時刻T5aまでの期間よりも、接続ノード10の電位VMの上昇が緩やかになる。
【0160】
したがって、半導体回路400においてVDSがV2に達するとき(時刻T5d)の接続ノード10の電位VMであるV1dは、上述の半導体回路150においてVDSがV2に達するとき(時刻T5a)の接続ノード10の電位VMであるV1aよりも低くなる。これにより、上述したのと同様に、接続ノード10の電位VMが高くなりすぎて、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の耐圧を超えてしまうのを防止することができる。すなわち、半導体回路400では、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の電圧保護が行われている。
【0161】
また、接続ノード10からコンデンサ411に電流が流れると、コンデンサ411がチャージされる。また、コンデンサ411には、外部電源414から供給される電荷によってもチャージされる。なお、このときのスイッチング素子412の状態が、本発明の「第1状態」に相当する。
【0162】
また、半導体回路400では、LVMOS-FET102のゲートに入力する信号をオフ信号からオン信号に切り換えると(つまり、VGをVOFFからVONに切り換えると)、LVMOS-FET102がオンとなり、接続ノードの電位VMが低下し、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VTH)まで低下したときに、PSJ-FET103のゲートと接続ノード10(PSJ-FET103のソース)との電位差(VBIAS-VTH)が、PSJ-FET103の閾値電圧VTHまで上昇し、PSJ-FET103がオンとなる。
【0163】
また、半導体回路400では、N型のLVMOS-FET102のゲートにオン信号が入力されると、P型MOS-FET421のゲートに同じ信号が入力されることで、P型MOS-FET421がオフになる。これにより、チャージされたコンデンサ311から接続ノード10の電流が流れない。すなわち、コンデンサ411にチャージされた電荷が放電されない。なお、このときのスイッチング素子412の状態が、本発明の「第2状態」に相当する。
【0164】
<効果>
以上のように、第4具体例では、半導体回路400において、PSJ-FET103がオンの状態からオフの状態に切り換わるときに、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たしている間は、P型MOS-FET421をオンにして、チャージされたコンデンサ411から接続ノード10の電流が流れるようにすることで、コンデンサ411から接続ノード10に電荷が供給されるようにする。これにより、接続ノード10の電位VMの上昇が早まり、半導体回路400のスイッチング周波数を高くすることができる。
【0165】
一方、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)≦VTHの関係を満たすまで上昇した後も、P型MOS-FET421をオンの状態とすることにより、接続ノード10からコンデンサ211に電流が流れるようにする。これにより、接続ノード10の電位VMの過剰な上昇を抑えて、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の電圧保護を行うことができる。
【0166】
また、第4具体例では、半導体回路400においてPSJ-FET103をオフの状態からオンの状態に切り換えたときに、チャージされたコンデンサ411から接続ノード10に電流が流れない。これにより、コンデンサ411が接続ノード10の電位VMの変化に影響を与えないようにすることができる。また、コンデンサ411にチャージされた電荷が放電されないため、この状態でコンデンサ411にチャージされている電荷を、次に半導体回路400においてPSJ-FET103をオンの状態からオフの状態に切り換えるときに、接続ノード10に供給する電荷として利用することができる。
【0167】
また、第4具体例では、上述したように、スイッチング素子412を、P型MOS-FET421とダイオード422とを有するものとする。そして、N型のLVMOS-FET102のゲートと、P型MOS-FET421のゲートとに同じ信号が入力されるようにする。これにより、N型のLVMOS-FET102がオフとなるときにP型MOS-FET421がオンとなり、N型のLVMOS-FET102がオンとなるときにP型MOS-FET421がオフとなる。その結果、上記の通り、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たしているときに、チャージされたコンデンサ211から接続ノード10に電流が流れるようにすることができる。また、接続ノード10の電位VMが(VBIAS-VM)≦VTHの関係を満たしているときに、接続ノード10からコンデンサ321に電流を流すことができるようにすることができる。
【0168】
また、LVMOS-FET102のゲートにオン信号が入力されるときに、P型MOS-FET421がオフとなる。これにより、チャージされたコンデンサ311から接続ノード10に電流が流れないようにすることができる。
【0169】
また、半導体回路400では、コンデンサ411が、PSJ-FET103をオフにしたときに、接続ノード10からコンデンサ411に流れる電流によってコンデンサ411に供給される電荷によってチャージされるのに加えて、外部電源414から供給される電荷によってもチャージされる。これにより、時刻T3dから時刻T4dにおいて、コンデンサ411から接続ノード10に供給する電荷をさらに大きくして、接続ノード10の電位VMの上昇を早めることができる。また、外部電源414の電圧を調整することによって、コンデンサ411に供給する電荷を調整することができ、その結果、チャージされたコンデンサ411から接続ノード10に供給する電荷を調整することができる。
【0170】
[変形例]
以上、本発明の好適な実施形態および本発明の実施形態の具体例である第1~第4具体例について説明したが、本発明は、第1~第4具体例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。
【0171】
例えば、第3具体例では、LVMOS-FET102のゲートへの信号の入力のタイミングから遅延したタイミングで、LVMOS-FET102のゲートに入力された信号を反転させた信号を、N型MOS-FET321のゲートに入力させたが、これには限られない。例えば、LVMOS-FET102のゲートへの信号の入力のタイミングと同じタイミングで、LVMOS-FET102のゲートに入力された信号を反転させた信号を、N型MOS-FET321のゲートに入力させてもよい。
【0172】
また、第4具体例では、半導体回路400においてPSJ-FET103をオフにしたときに、接続ノード10からコンデンサ411に流れる電流によってコンデンサ411に供給される電荷によってコンデンサ411がチャージされるのに加えて、外部電源414から供給される電荷によってもコンデンサ411が供給されるようになっていたが、これには限られない。例えば、半導体回路400において、外部電源414及びダイオード415はなくてもよい。
【0173】
また、第1、第2具体例では、(VBIAS-VM)≦VTHとなるときに、ツェナダイオード113、213の両端の電位差が、ツェナダイオード113、213の降伏電圧以上となるように構成したが、これには限られない。例えば、VBIAS以下で、且つ、LVMOS-FET102の耐圧の負数よりも高い、VTH以外の電位を基準電位VSとして、(VBIAS-VM)≦VSとなるときに、ツェナダイオード113、213の両端の電位差が、ツェナダイオード113、213の降伏電圧以上となるように構成してもよい。ここで、「LVMOS-FET102の耐圧の負数」というのは、例えば、LVMOS-FET102の耐圧が10Vであるとした場合の-10Vなど、LVMOS-FET102の耐圧の絶対値に-1を乗じた電圧のことである。
【0174】
この場合でも、電位差(VBIAS-VM)がVTHに達した後の、接続ノード10の電位VMが上昇する期間(時刻3cから時刻5cの期間)のうち、少なくとも一部の期間において、接続ノード10の電位VMの上昇が緩やかになる。これにより、接続ノード10の電位VMが高くなりすぎるのを抑えて、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の電圧保護を行うことができる。
【0175】
また、第3、第4具体例では、(VBIAS-VM)=VTHとなるときに、コンデンサ311、411から接続ノード10に電流が流れる状態から、接続ノード10からコンデンサ311、411に電流が流れる状態に切り換わるものとして説明を行ったが、実際には、半導体回路300、400の構成によって、上記電流が流れる方向が切り換わるときの接続ノード10の電位VMが異なる。そして、第3、第4具体例では、上述の基準電位VSに対して、(VBIAS-VM)=VSとなったときに、コンデンサ311、411から接続ノード10に電流が流れる状態から、接続ノード10からコンデンサ311、411に電流が流れる状態に切り換わるようになっていてもよい。
【0176】
この場合でも、電位差(VBIAS-VM)がVTHに達するまでの期間(時刻2dから時刻3dまでの期間)のうち少なくとも一部の期間において、接続ノード10の電位VMの上昇を早めて、半導体回路のスイッチング周波数を高くすることができる。また、上記電位差(VBIAS-VM)がVTHに達した後の、接続ノード10の電位VMが上昇する期間(時刻3dから時刻5dの期間)のうち少なくとも一部の期間において、接続ノード10の電位VMの上昇が緩やかになる。これにより、接続ノード10の電位VMが高くなりすぎるのを抑えて、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の電圧保護を行うことができる。
【0177】
また、半導体回路における制御回路は、以上に説明した構成以外の構成とすることも可能である。例えば、変形例1では、図11(a)に示すように、半導体回路500の制御装置501が、コンデンサ511とスイッチング素子512とを備えている。コンデンサ511とスイッチング素子512とは、接続ノード10とLVMOS-FET102のソースとの間に直列に接続されている。なお、コンデンサ511とスイッチング素子512との位置関係は、図11(a)と逆であってもよい。
【0178】
スイッチング素子512は、例えば公知のトランジスタなどの素子の組み合わせによって形成されており、第1状態と第2状態と第3状態の3つの状態のうちいずれかの状態を選択的に構成することができるようになっている。第1状態とは、接続ノード10からコンデンサ511に向かう方向に電流が流れるのを許容する状態である。第2状態とは、接続ノード10からコンデンサ511に向かう方向に電流が流れるのを遮断する状態である。第3状態とは、コンデンサ511から接続ノード10に向かう方向に電流が流れるのを許容する状態である。なお、図11(a)では、スイッチング素子512の上記3つの状態を、矢印と、○又は×とによって示している。図中の矢印は、電流の流れる向きを示し、矢印の隣の○は、電流が流れることを許容することを示し、矢印の隣の×は、電流を遮断することを示している。
【0179】
そして、変形例1では、図11(b)に示すように、LVMOS-FET102のゲートにオフ信号が入力されることでLVMOS-FET102がオンになり、接続ノード10の電位VMが上昇するときに、(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たしている間は、スイッチング素子512が第2状態となり、(VBIAS-VM)≦VTHの関係を満たしているときにスイッチング素子512が第1状態となる。また、LVMOS-FET102のゲートにオン信号が入力されることでLVMOS-FET102がオフになり、接続ノード10の電位VMが低下するときに、スイッチング素子512が第3状態となる。
【0180】
ここで、変形例1では、例えば、制御回路501を、LVMOS-FET102のゲートに入力される信号の電圧や、接続ノード10の電位VM等の変化に応じて、スイッチング素子512の状態を上記のように切り換える適宜の回路を備えたものとする。あるいは、スイッチング素子512を外部の制御装置に接続し、制御装置の制御によってスイッチング素子512の状態を上記のように切り換えてもよい。
【0181】
変形例1においても、LVMOS-FET102のゲートにオフ信号が入力され、接続ノード10の電位VMが上昇するときに、(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たしている間は、スイッチング素子512が第2状態となり、接続ノード10からコンデンサ511に電流が流れない。これにより、第1、第2具体例と同様、接続ノード10の電位VMの上昇が抑えられないようにして、半導体回路500のスイッチング周波数を維持することができる。
【0182】
一方、(VBIAS-VM)≦VTHの関係を満たしているときには、スイッチング素子512が第1状態となり、接続ノード10からコンデンサ511に電流が流れる。これにより、第1、第2具体例と同様、接続ノード10の電位VMの上昇が抑えられ、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の電圧保護を行うことができる。また、このとき、コンデンサ511がチャージされる。
【0183】
また、LVMOS-FET102のゲートにオン信号が入力されたときに、スイッチング素子512が第3状態となる。これにより、第1、第2具体例と同様、コンデンサ511から接続ノード10に電流が流れ、チャージされたコンデンサ511から電荷が放電される。
【0184】
変形例2では、図12(a)に示すように、半導体回路600の制御装置601が、コンデンサ611とスイッチング素子612とを備えている。コンデンサ611とスイッチング素子612とは、接続ノード10とLVMOS-FET102のソースとの間に直列に接続されている。なお、コンデンサ611とスイッチング素子612との位置関係は、図12(a)と逆であってもよい。
【0185】
スイッチング素子612は、例えば公知のトランジスタなどの素子の組み合わせによって形成されており、第1状態と第2状態と第3状態の3つの状態のうちいずれかの状態を選択的に構成することができるようになっている。第1状態、第3状態は、変形例1と同様である。第2状態とは、コンデンサ511から接続ノード10に向かう方向に電流が流れるのを遮断する状態である。なお、図12(a)でも、図11(a)と同様に、スイッチング素子512の上記3つの状態を、矢印と、○又は×とによって示している。
【0186】
そして、変形例2では、図12(b)に示すように、LVMOS-FET102のゲートにオフ信号が入力されたときに、(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たしているときにスイッチング素子612が第3状態となり、(VBIAS-VM)≦VTHの関係を満たしているときにスイッチング素子612が第1状態となる。また、LVMOS-FET102のゲートにオン信号が入力されたときに、スイッチング素子612が第2状態となる。
【0187】
ここで、変形例2では、例えば、制御回路601を、LVMOS-FET102のゲートに入力される信号の電圧や、接続ノード10の電位VM等の変化に応じて、スイッチング素子612の状態を上記のように切り換える適宜の回路を備えたものとする。あるいは、スイッチング素子612を外部の制御装置に接続し、制御装置の制御によってスイッチング素子612の状態を上記のように切り換えてもよい。
【0188】
変形例2においても、LVMOS-FET102のゲートにオフ信号が入力され、接続ノード10の電位VMが上昇するときに、(VBIAS-VM)>VTHの関係を満たしている間は、スイッチング素子612が第3状態となり、後述するようにチャージされたコンデンサ511から、接続ノード10に電流が流れて、接続ノード10に電荷が供給される。これにより、第3、第4具体例と同様、接続ノード10の電位VMの上昇を早めて、半導体回路600のスイッチング周波数を高くすることができる。
【0189】
一方、(VBIAS-VM)≦VTHの関係を満たしているときには、スイッチング素子612が第1状態となり、接続ノード10からコンデンサ611に電流が流れる。これにより、第3、第4具体例と同様、接続ノード10の電位VMの上昇が抑えられ、LVMOS-FET102及びPSJ-FET103の電圧保護を行うことができる。また、このとき、コンデンサ611がチャージされる。
【0190】
また、LVMOS-FET102のゲートにオン信号が入力されたときに、スイッチング素子512が第2状態となる。これにより、第3、第4具体例と同様、コンデンサ611から接続ノード10に電流が流れず、コンデンサ611はチャージされた状態に維持される。
【0191】
また、第1具体例~第4具体例では、N型のLVMOS-FET102のドレインと、N型のPSJ-FET103のソースとがカスコード接続された半導体回路に本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。N型のLVMOS-FET以外の第1トランジスタのドレインと、N型のPSJ-FETのソースとがカスコード接続された半導体回路に本発明を適用することも可能である。また、N型のLVMOS-FETのドレインと、N型のPSJ-FET以外のノーマリーオン型の第2トランジスタのソースとがカスコード接続された半導体回路に本発明を適用することも可能である。また、N型のLVMOS-FET以外の第1トランジスタのドレインと、N型のPSJ-FET以外のノーマリーオン型の第2トランジスタのソースとがカスコード接続された半導体回路に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0192】
1 半導体回路
2 第1トランジスタ
3 第2トランジスタ
4 制御回路
10 接続ノード
100 半導体回路
102 LVMOS-FET(第1トランジスタ)
103 PSJ-FET(第2トランジスタ)
104 制御回路
111 コンデンサ
112 スイッチング素子
113 ツェナダイオード
121 N型MOS-FET
122 ダイオード
200 半導体回路
201 制御回路
211 コンデンサ
212 スイッチング素子
213 ツェナダイオード
221 P型MOS-FET
222 ダイオード
300 半導体回路
301 制御回路
311 コンデンサ
312 スイッチング素子
321 N型MOS-FET
322 ダイオード
400 半導体回路
401 制御回路
411 コンデンサ
412 スイッチング素子
414 外部電源
421 P型MOS-FET
422 ダイオード
500 半導体回路
501 制御回路
511 コンデンサ
512 スイッチング素子
600 半導体回路
601 制御回路
611 コンデンサ
612 スイッチング素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12