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特許7374501メロキシカム組成物、製剤及びその製造方法と応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】メロキシカム組成物、製剤及びその製造方法と応用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5415 20060101AFI20231030BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20231030BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20231030BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231030BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20231030BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20231030BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20231030BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231030BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
A61K31/5415
A61K47/10
A61K47/04
A61K47/02
A61K47/22
A61K47/18
A61K47/12
A61K9/08
A61P29/00
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020556289
(86)(22)【出願日】2019-05-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 CN2019086424
(87)【国際公開番号】W WO2019214715
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】201810451076.4
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810450456.6
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520391907
【氏名又は名称】南京清普生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】王青松
(72)【発明者】
【氏名】周文亮
(72)【発明者】
【氏名】武曲
(72)【発明者】
【氏名】鄒麗敏
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102908310(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1493292(CN,A)
【文献】特表2007-534717(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103690480(CN,A)
【文献】特表2005-511720(JP,A)
【文献】国際公開第2008/062274(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2010/0137292(US,A1)
【文献】特開2011-207875(JP,A)
【文献】特表2013-507440(JP,A)
【文献】特表2013-521253(JP,A)
【文献】特表2003-535902(JP,A)
【文献】特表2008-523024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 29/00
A61P 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メロキシカムおよび潜在溶剤を含むメロキシカム組成物であって、上記潜在溶剤は、水と、有機溶媒と、を含む混合溶媒であり、
前記有機溶媒の潜在溶剤での体積濃度は15%~80%であり、
前記有機溶媒は、ポリエチレングリコールから選ばれ、
前記組成物のpHは6.5~10.0であり、
前記組成物は、可溶化剤および/または界面活性剤を含まず、
前記可溶化剤は、シクロデキストリン及びその誘導体から選ばれ、
前記界面活性剤は、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン化ヒマシ油誘導体、ポロキサマー、および15-ヒドロキシステアリン酸-ポリエチレングリコールからなる群より選ばれる一種以上を含む、メロキシカム組成物。
【請求項2】
前記有機溶媒は、
i)ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、及びポリエチレングリコール600からなる群より選ばれる一種以上;または
ii)ポリエチレングリコール300、および/またはポリエチレングリコール400;
である、請求項1に記載のメロキシカム組成物。
【請求項3】
前記組成物のpHは、下記i)~v)のいずれかである、請求項1に記載のメロキシカム組成物:
i)6.8~10.0;
ii)7.2~10.0;
iii)7.2~9.0;
iv)7.4~9.0;または
v)7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、もしくは9.0。
【請求項4】
前記シクロデキストリンは、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、またはγ-シクロデキストリンを含み、
前記誘導体は、エーテル誘導体、エステル誘導体、またはポリマーを含み、
前記エーテル誘導体は、ブドウ糖誘導体、ヒドロキシプロピル誘導体、およびメチル誘導体からなる群より選ばれる一種以上である、
請求項1に記載のメロキシカム組成物。
【請求項5】
前記潜在溶剤における前記有機溶媒の体積濃度は、下記i)~vii)のいずれかである、請求項1に記載のメロキシカム組成物:
i)15%~60%、
ii)15%~50%、
iii)15%~40%、
iv)20%~40%、
v)20%~30%、
vi)25%~30%、または
vii)15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%もしくは30%。
【請求項6】
前記潜在溶剤中の水は、下記i)~iii)のいずれかである、請求項1に記載のメロキシカム組成物:
i)医薬用に適した水、
ii)精製水、または、
iii)注射用水。
【請求項7】
前記メロキシカムと潜在溶剤との質量体積比は、下記i)~iii)のいずれかである、請求項1に記載のメロキシカム組成物:
i)10~35mg/mL、
ii)15~35mg/mL、または、
iii)20~35mg/mL。
【請求項8】
前記組成物はpH調整剤を含む、請求項1に記載のメロキシカム組成物。
【請求項9】
前記pH調整剤は、アルカリ性pH調整剤および/または酸性pH調整剤から選ばれ、
前記アルカリ性pH調整剤は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、Tris(トリヒドロキシメチルアミノメタン)、メグルミン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、およびグリシンからなる群より選ばれる一種以上であり;
前記酸性pH調整剤は、アスコルビン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、塩酸、リン酸、および酢酸からなる群より選ばれる一種以上である、
請求項8に記載のメロキシカム組成物。
【請求項10】
前記pH調整剤は、少なくともクエン酸を含む、請求項8に記載のメロキシカム組成物。
【請求項11】
前記酸性pH調整剤は、
クエン酸、または、
クエン酸と、アスコルビン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、塩酸、リン酸、および酢酸からなる群より選ばれる一種以上との組み合わせからなる混合物;から選ばれる、
請求項9に記載のメロキシカム組成物。
【請求項12】
前記pH調整剤は、水酸化ナトリウムおよび/またはメグルミン、およびクエン酸を含む、請求項8に記載のメロキシカム組成物。
【請求項13】
前記pH調整剤は、水酸化ナトリウムおよびクエン酸からなるものであり、またはメグルミンおよびクエン酸からなるものである、請求項8に記載のメロキシカム組成物。
【請求項14】
メロキシカムと、水と、有機溶媒と、を混合することを含み、
前記有機溶媒は、ポリエチレングリコールから選ばれる、請求項1に記載の組成物の製造方法。
【請求項15】
更にpH調整剤を混合することを含む、請求項14に記載の組成物の製造方法。
【請求項16】
1)水のpH値をpH≧10.0にさせるように、第一pH調整剤を、水と混合して、アルカリ性水溶液が得られ;
2)メロキシカムを、工程1)で得られたアルカリ性水溶液と混合して、メロキシカムを含むアルカリ性水溶液が得られ;
3)工程2)で得られた混合溶液を、有機溶媒と混合して、メロキシカムを含む混合溶液が得られ;
4)第二pH調整剤を使って工程3)で得られた溶液のpH値を調整することで、メロキシカム組成物が得られる;
請求項14に記載の組成物の製造方法。
【請求項17】
前記第一pH調整剤はアルカリ性調整剤であり、前第二pH調整剤はクエン酸を含む酸性調整剤である、請求項16に記載の組成物の製造方法。
【請求項18】
前記1)は以下のi)~iii)のいずれかである、請求項16に記載の組成物の製造方法:
i)水のpH値をpH≧11.0にさせるように、第一pH調整剤を、水と混合して、アルカリ性水溶液が得られること;
ii)水のpH値をpH≧12.0にさせるように、第一pH調整剤を、水と混合して、アルカリ性水溶液が得られること;または
iii)水のpH値をpH≧12.5にさせるように、第一pH調整剤を、水と混合して、アルカリ性水溶液が得られること。
【請求項19】
請求項1に記載のメロキシカム組成物を含む液体製剤。
【請求項20】
注射剤である、請求項19に記載の液体製剤。
【請求項21】
静脈内注射剤である、請求項20に記載の液体製剤。
【請求項22】
前記メロキシカム組成物を容器内に入れ込むことを含み、前記容器内に入れ込む前または後に、前記メロキシカム組成物に対して滅菌処理を行う請求項20に記載の液体製剤の製造方法。
【請求項23】
術後鎮痛、リウマチ性関節炎、疼痛型骨関節炎、または強直性脊椎炎を治療するための医薬品の製造における、請求項1に記載のメロキシカム組成物の使用。
【請求項24】
前記医薬品は液体製剤である、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
前記医薬品は、注射剤である、請求項23に記載の使用。
【請求項26】
前記医薬品は、静脈内注射剤である、請求項25に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願では、以下のような先行出願の優先権を主張する。即ち、2018年5月11日に中国国家知的財産権局に提出した特許出願番号:201810450456.6で、発明名称:「メロキシカム組成物、製剤および製造方法と応用」、ならびに2018年5月11日に中国国家知的財産権局に提出した特許出願番号:201810451076.4で、発明名称:「pH調整剤を含むメロキシカム組成物、その製造方法および応用」である。上記先行出願の全文を引用することで本出願に編み込む。
〔技術分野〕
本発明は薬品製剤分野に属し、具体的にはメロキシカム組成物、製剤及びその製造方法と応用に関するものである。
〔技術背景〕
メロキシカム(Meloxicam或は“MLX”)は、エノール系非ステロイド性抗炎症薬であり、その分子式:C14H13N3O4S2、分子量:351.40、化学名称:4-ヒドロキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1,2ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシドであり、当該化合物は次の化学構造式を有する:
【0002】
【化1】
【0003】
メロキシカムは、ほぼ非水溶性で、25℃での水中溶解度は0.003414mg/mLであり、クロロホルム、アセトン、エタノールでは微溶性である。従って、Bringer Ingelheim、Iroko、Recro Pharmなどが様々なメロキシカム剤形を開発したにも関わらず、メロキシカムの溶解度への改善は、相変わらず当該薬品の静脈内注射剤開発における難題である。
【0004】
難溶性薬品の場合、通常のやり方は、薬品の物理化学的性質を変更することで溶解度を改善する。薬品を塩したり、または薬品の結晶形を変化することが挙げられる。その例として、Ochiなどは、Tris、アルギニン、DEA、TEA等を使用し、再結晶の方法によりメロキシカムとは塩を形成する。Alladi Sarithaなどは、球形結晶技術にてメロキシカムの結晶形を球形に転換させることで、溶出速度を向上した。但し、塩形成法または結晶形を変えるなどの方法には各自の限界を抱えている。例えば、塩形成法では薬品及びその塩を分離する必要があるし、結晶形の形成は例えば攪拌速度、攪拌時間、温度、及び溶媒の種類などの多くの要素に影響されているため、製造方法及び塩または結晶形の安定性の制約がある。
【0005】
その他、製剤の観点から、例えば、混合溶媒の使用、クラスレート化合物技術の採択、または新型剤形や新型技術で、難溶性薬品の溶解度を向上させることができる。眼下、国内外では上記方法によりメロキシカムについての研究が行われているが、全て製剤の製造工程が複雑であったり、所要賦形剤の数が多すぎ、且つ多種の賦形剤が必要で、および有機溶媒が静脈注射投与には不適切などの難題に面している。
【0006】
例えば、WO2008062274A2は、ピロリドン、エタノールおよび水を含む混合溶媒を使用することでメロキシカムの溶解度を改善しているが、ピロリドンは静脈内投与には不適切である。US2010137292A1では、有機塩基であるメグルミン、N、N-ジメチルアセトアミドおよびポリエチレングリコールを混合溶媒として使いメロキシカムの可溶性を向上したが、N、N-ジメチルアセトアミドは同じく静脈内投与には不適切である。その他、CN103110575Aでは、シクロデキストリンを可溶化剤とし、安定剤、pH調整剤、抗菌剤、及び浸透圧調整剤を加え、メロキシカム濃度が1 mg/mLである眼科用製剤が製造されている。US2017157061A1でも、メロキシカムと安定剤(ポリビニルピロリドン、界面活性剤などを含む)とを混合しナノ粒子に造る方法で溶解度を改善している。US9345665B2では、少なくとも1つの界面活性剤および安定剤を含むメロキシカムナノ粒子組成物を開示しており、メロキシカムの担持量への改善を目指している。Woraphatphadungなどは、メロキシカムを含むキトサンミセルを造ることで、メロキシカムの溶解度を改善している。CN104825396Aでは、メロキシカムと粉砕マトリックスとを1μmより大きいサイズの粒子に粉砕することで、生物活性物質の溶出度への改善を目指している。
【0007】
しかし、上記方法では、数多くの有機溶剤、界面活性剤、シクロデキストリンなどの成分が使われているため、静脈注射投与における安全性問題が生まれやすく、またナノ粒子などの新型剤形や新型技術を使った製造方法は、製造工程が複雑なため、品質の管理リスクが高く産業化製造には一定の困難を抱えている。
【0008】
Neelam Seedherなどの研究では、メロキシカムの純PEG400中での溶解度は、3.763mg/mLであり、もしメロキシカムの溶解度を1.5mg/mLまでに上げるには、溶媒は必ずエタノール、プロピレングリコール、PEG400、PEG400 /エタノールの混合溶液(PEG400≧40%)である共に溶液のpH 値はpH≧9.58で無ければならないし、溶解度を3.75mg/mLまでに上げるには、溶媒は必ずエタノール、プロピレングリコール、PEG400、PEG400 /エタノール混合溶液(PEG400≧80%)である共にpH 値はpH≧9.85で無ければならないことを発見した。Zaira J. Cardenasなどの研究では、メロキシカムのPEG400水溶液中での溶解度は、PEG400濃度の増加につれ増大されており、純PEG400中での溶解度は最大で9.2mg/mLであることが明らかになった。Dattatray T. Modhaveなどの報道では、メロキシカム分子中にはアミド結合が含まれているため、加水分解を起こす可能性があることを報じている。特許CN1236774Cが開示している処方には、有機塩基、複数の潜在溶剤および界面活性剤が含んでいるが、賦形剤の安全性視点から筋肉注射にしか使えないことと、90℃で調製する必要があるため、分解生成物が増えるリスクと製造条件が過酷である課題がある。
【0009】
以上から、眼下の急用は、安全性と、安定性と、が改善された共に、製剤処方も製剤工程もシンプルなメロキシカム静脈内注射剤を開発することである。
【0010】
一方、業内で周知されているように、メロキシカム液体製剤を造ることに置いて、特に注射剤を製造するに当たって、安全性への配慮は欠かせない要素である。例えば、製剤の安定性と不純物の含有量を改善することは、一般的に技術者を悩ませる解決待ちの技術的難題である。また、メロキシカムは水中でほぼ溶解せず、25℃水中での溶解度は僅かの0.003414mg/mLであり、クロロホルム、アセトン、エタノール中では微量溶解するが、通常、このような溶解度特性は、液体を含む製剤の安定性改善には不利であると認識されている。従って、安定性と不純物含有量への改善を前提に、メロキシカム液体製剤の溶解度をさらに改善することは、メロキシカムの活用方法の拡張に有益であり、患者受容性を改善するともに、その製剤の安全性及び有効性の向上に繋がる。
【0011】
ただし、メロキシカム注射剤に置いて、通常は、混合溶媒を採用すること、またはクラスレート化合物技術を採用することにより、難溶性薬品への溶解度が向上する。眼下、上記方法を使ったメロキシカムへの研究が国内外で行われているが、どちらも製造工程の複雑や安定性欠如の問題に直面しており、静脈注射投与した場合安全性問題が発生しやすいため、注射剤の品質管理及び安全性に深刻な影響を与えている。
【0012】
従って、眼下は、安全性、安定性、不純物含有量が改善され、または溶解度まで更に改善されて、且つ製剤処方と製造工程とが簡単になるメロキシカム液体組成物を研究しあげることが急務である。
〔発明内容〕
上記の技術課題を解決するため、本発明の第一目的では、以下のような技術案を提供する。メロキシカム及び潜在溶剤が含まれるメロキシカム組成物であって、前記の潜在溶剤は水と有機溶媒とを含む混合溶媒であるメロキシカム組成物。
【0013】
本発明の実施案において、有機溶媒の潜在溶剤での体積濃度は、1%~80%であり、好ましくは5%~80%であり、例えば10%~60%、15%~50%、20%~40%が挙げられるし、実例としては15%、18%、19%、20%、25%、又は30%が挙げられる。
【0014】
本発明において、上記有機溶媒は、エタノール、プロピレングリコール、ブタンジオール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロフランポリエチレングリコールエーテル、グリセロール、ジメチルアセトアミド、ポリエチレングリコール(PEGとも呼ばれる。例えば、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600)等からなる群より選ばれる一種、二種または多種であり、好ましくは、エタノール、プロピレングリコール、ブタンジオール、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400等からなる群より選ばれる一種、二種または多種であり、例えば、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400からなる群より選ばれる一種、二種または多種である。例示的に、上記有機溶媒は、ポリエチレングリコール300及び/またはポリエチレングリコール400からなる群より選ばれる。
【0015】
本発明により、上記潜在溶剤中の水は、薬用に適した水、例えば精製水、注射用水でよい。
【0016】
本発明により、上記組成物のpH値には特に制限はないが、上記組成物を注射剤、特に静脈内注射剤として使えるようにpH値を選択することが好ましい。
【0017】
好ましくは、上記組成物は注射剤であり、例えばメロキシカム静脈内注射剤である。
本発明の実施案において、上記組成物のpH値は3.0~10.0でよく、好ましくは6.5~10.0であり、例えば6.8~9.0、7.2~9.0であり、その実例としては7.4~9.0が挙げられる。
【0018】
選択肢として、上記組成物は、更にpH調整剤を含んで良い。
【0019】
本発明の実施案において、上記pH調整剤は、アルカリ性pH調整剤および/または酸性pH調整剤、例えば注射剤または静脈内注射剤のpH値の調整に適した試剤から選ばれてよい。
【0020】
本発明の実施案において、上記アルカリ性pH調整剤は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、Tris(トリヒドロキシメチルアミノメタン)、アルギニン、リジン、ヒスチジン、およびグリシンからなる群より選ばれる一種、二種または多種である。好ましくは、上記アルカリ性pH調整剤は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、Tris、アルギニン、リジン、グリシン、及びトリエチルアミンからなる群より選ばれる一種、二種または多種である。さらに好ましくは、上記アルカリ性pH調整剤は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、Tris、またはリジンから選ばれる。例示的に、上記アルカリ性pH調整剤は、水酸化ナトリウム、またはリジンから選ばれる。
【0021】
本発明の実施案において、上記酸性pH調整剤は、ビタミンC(別名アスコルビン酸)、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、塩酸、リン酸、及び酢酸からなる群より選ばれる一種、二種または多種である。好ましくは、上記酸性pH調整剤は、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、塩酸、リン酸、及び酢酸からなる群より選ばれる一種、二種または多種である。
【0022】
本発明の実施案において、上記メロキシカムと潜在溶剤との質量体積比は、5~35mg/mLでよく、例えば7~32mg/mL、10~30mg/mL、15~30mg/mL、20~25mg/mL等が挙げられる。
【0023】
本発明の実施案において、上記メロキシカム組成物は、メロキシカムと、潜在溶剤と、pH調整剤と、を含む。
【0024】
その内に記載の潜在溶剤は、水と、有機溶媒と、を含む混合溶媒であり、上記有機溶媒は、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400からなる群より選ばれる一種、二種または多種であり、好ましくは、ポリエチレングリコール300および/またはポリエチレングリコール400である。
【0025】
上記有機溶媒の潜在溶剤中での体積濃度は、5%~80%であり、例えば10%~60%、15%~50%、20%~40%であり、その実例としては15%、18%、19%、20%、25%または30%をあげられる。
【0026】
上記pH調整剤は、アルカリ性pH調整剤および/または酸性pH調整剤から選ばれるものであり、上記アルカリ性pH調整剤は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、Tris、またはリジンから選ばれ、好ましくは、水酸化ナトリウムまたはリジンから選ばれる;上記酸性pH調整剤は、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、塩酸、リン酸、及び酢酸からなる群より選ばれる一種、二種または多種である。
【0027】
上記メロキシカムと、潜在溶剤と、の質量体積比は、5~35mg/mLであってよく、例えば7~32mg/mL、10~30mg/mL、15~30mg/mL、20~25mg/mLなどが挙げられる。
本発明が提供するメロキシカム組成物では、メロキシカムの使用量に関しては特に制限がなく、高くは例えば10g以上、50g以上、100g以上、200g以上、300g以上であってもよいものとし、その具体的な使用量は製造規模に合わせて決めてよい。
【0028】
本発明が提供するメロキシカム組成物では、潜在溶剤の使用量に関しては特に制限がなく、高くは、例えば1L以上、5L以上、10L以上、15L以上、20L以上であってもよいものとし、その具体的な使用量は製造規模に合わせて決めてよい。
【0029】
好ましくは、上記メロキシカムは、潜在溶剤に溶解される。
【0030】
本発明の実施案において、上記メロキシカム液体組成物中には、可溶化剤および/または界面活性剤を含まないことが好ましい;好ましくは、上記組成物には、可溶化剤および界面活性剤を含まない。その内、上記可溶化剤には、医薬製剤中に使われる可溶化剤が含まれるが、これらに限らない。例えば、既知の注射剤に用いられる可溶化剤であるシクロデキストリン及びその誘導体から選ばれる。実例としては、上記シクロデキストリンにはα-、β-或はγ-シクロデキストリンが含まれ、上記誘導体にはα-、β-、γ-シクロデキストリンエーテル誘導体、エステル誘導体、ポリマーなどの一種、二種または多種が含まれるが、これらに限らない;例えば、上記エーテル誘導体は、ブドウ糖誘導体、ヒドロキシプロピル誘導体、メチル誘導体などからなる群より選ばれる一種、二種または多種である。例示的に、上記誘導体は、ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチル-β-シクロデキストリンなどからなる群より選ばれる一種、二種または多種である。そのうち、上記界面活性剤には、既知の医薬製剤または組成物に使える界面活性剤が含まれるが、これらに限らない。例えば、注射剤に用いられる界面活性剤から選ばれて、例えばポリソルベート80、ポリオキシエチレン化ヒマシ油誘導体、ポロキサマー、15-ヒドロキシステアリン酸-ポリエチレングリコールからなる群より選ばれる一種、二種または多種である。
【0031】
本発明はさらに、メロキシカムと、水と、有機溶媒と、任意選択可能なpH調整剤とを混合することを含む、上記メロキシカム組成物の製造方法を提供して、その内、上記有機溶媒は上記記載の定義を満たす。
【0032】
本発明の一部の実施案に置いて、上記製造方法は、メロキシカムと潜在溶剤とを混合することを含み、前記の潜在溶剤は、水と有機溶媒とを含む混合溶媒である。
【0033】
本発明において、上記製造方法は、さらに、上記潜在溶剤を提供するステップを含んでよく、例えば水と潜在溶剤とを混合することである。
【0034】
上記組成物がpH調整剤を含む場合、上記製造方法には、まず水と第一pH調整剤とを混合し、それからさらに有機溶媒と混合することで混合溶液を得ること、又は、まず水と有機溶媒とを混合し、それからさらにpH調整剤と混合することで混合溶液を得ることも含まれる。
【0035】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、上記混合溶液とメロキシカムとを混合して、メロキシカムを含む混合溶液を得ることを含む。
【0036】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、上記メロキシカムを含む混合溶液と第二pH調整剤とを混合することを含む。ここで、前記の第一pH調整剤および第二pH調整剤は、同じかまたは異なり、それぞれ独立的に上文記載のpH調整剤定義内のものからなる群より選ばれる。好ましくは、上記第一pH調整剤はアルカリ性調整剤であり、第二pH調整剤は酸性調整剤である。
【0037】
本発明のもう一つの実施案により、上記製造方法は、メロキシカムを含むアルカリ性水溶液と有機溶媒とを混合することを含んでよい。
【0038】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、メロキシカムを含むアルカリ性水溶液を提供することを含み、例えば、先ず、第一pH調整剤と水とを混合してから、メロキシカムと混合することで、メロキシカムを含むアルカリ性水溶液を得る。
【0039】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、メロキシカムを含むアルカリ性水溶液と有機溶媒とを混合してから、メロキシカムを含む混合溶液を得て、それから第二pH調整剤と混合する。ここで、前記の第一pH調整剤及び第二pH調整剤は同じかまたは異なり、それぞれ独立的に上文記載のpH調整剤定義内のものからなる群より選ばれる。
【0040】
本発明の実施案において、上記製造方法は、以下のステップを含む:
1)水のpH値をpH≧10.0、pH≧11.0、pH≧12.0、pH≧12.5、pH≧13.0にさせるように、pH調整剤と水とを混合し、アルカリ性水溶液が得られる。
【0041】
2)有機溶媒と工程1)で得られたアルカリ性水溶液とを混合して混合溶液を得る。
【0042】
3)工程2)で得られた混合溶液中にメロキシカムを添加することで、メロキシカムを含む混合溶液を得る。
【0043】
4)工程3)で得られた溶液のpH値を調整することで、メロキシカム組成物を得る。
【0044】
または、本発明の実施案により、上記製造方法は、以下のステップを含んでよい:
1)水のpH値をpH≧10.0、例えばpH≧11.0、pH≧12.0、pH≧12.5、pH≧13.0にさせるように、pH調整剤と水とを混合し、アルカリ性水溶液が得られる。
【0045】
2)メロキシカムと工程1)で得られたアルカリ性水溶液とを混合して、メロキシカムを含むアルカリ性水溶液を得る。
【0046】
3)工程2)で得られた混合溶液と有機溶媒とを混合して、メロキシカムを含む混合溶液を得る。
【0047】
4)工程3)で得られた溶液のpH値を調整することで、メロキシカム組成物を得る。
【0048】
通常、上記製造方法の温度に関しては特に制限はない。例えば、工程1)、2)、3)または4)の温度は5℃~80℃でよく、これらの温度は、本発明を基盤に具体的な状況に合わせて調整してもよい。本発明の例示的な製造方法において、上記アルカリ性水溶液が冷めるまで待たないまま、有機溶剤を加え攪拌してよい。好ましくは、工程1)、2)、3)または4)の温度は10℃~60℃でよく、さらに好ましくは、20℃~60℃である;実例として、上記温度は20℃、25℃、30℃、40℃、50℃または60℃でよい。
【0049】
本発明の実施案において、上記各実施案中の各ステップ、例えば工程1)、2)、3)または4)で混合を促進するように、攪拌してもよい。上記攪拌時間は10分以上であってよく、例えば、20分、30分、40分、50分、60分またはその以上でもよい。
【0050】
本発明ではさらに液体製剤を提供する。例えば注射剤であり、好ましくは静脈内注射剤であるが、上記注射剤には上記メロキシカム組成物が含まれる。
【0051】
本発明の注射剤において、当該注射剤には、さらに上記メロキシカム組成物を収納する容器、例えば、アンプル、バイアルまたはマルチドーズ容器を含んでもよい。
【0052】
本発明の注射剤において、それには小容量注射剤(20mL以下、例:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20mL)および大容量注射剤((50mL以上、例:50、60、70、75、80、90、100、250、500mL等)が含まれる。
【0053】
本発明ではさらに上記メロキシカム組成物を容器内に入れ込むことを含む、上記注射剤の製造方法を提供する。好ましくは、容器内に入れ込む前またはその後に、上記組成物に対して滅菌処理を行う。上記滅菌処理は湿熱滅菌またはフィルターによる滅菌でよい。
【0054】
本発明ではさらにメロキシカム組成物の疾病治療(例:術後鎮痛、リウマチ性関節炎、疼痛型骨関節炎、強直性脊椎炎)における用途を提供する。
【0055】
本発明はさらに医薬品、特に術後鎮痛、リウマチ性関節炎、疼痛型骨関節炎、強直性脊椎炎の治療薬の製造における上記メロキシカム組成物の用途を提供する。
【0056】
好ましくは、上記医薬品は注射剤であり、特に静脈内注射剤である。
【0057】
上記の技術的課題を改善するため、本発明の第二目的として、メロキシカムと、溶媒と、pH調整剤と、を含み、上記pH調整剤には、少なくともクエン酸が含まれるメロキシカム組成物を提供する。
【0058】
本発明において、上記溶媒は、水、有機溶媒または潜在溶剤から選ばれてよく、上記潜在溶剤は、水と有機溶媒との混合溶媒である。
【0059】
本発明の実施案において、有機溶媒の潜在溶剤での体積濃度は、1~80%であり、好ましくは5%~80%であり、例えば10%~60%、15%~50%、15%~25%或は20%~40%が挙げられ、その実例としては15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%或は30%が挙げられる。
【0060】
本発明の実施案において、上記有機溶媒は、エタノール、プロピレングリコール、ブタンジオール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロフランポリエチレングリコールエーテル、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEGとも呼ばれる。例えば、PEG300、PEG400 、PEG600)などからなる群より選ばれる一種、二種または多種である;好ましくは、エタノール、プロピレングリコール、ブタンジオール、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、PEG300、PEG400 からなる群より選ばれる一種、二種または多種である;例えば、エタノール、プロピレングリコール、PEG300、PEG400 からなる群より選ばれる一種、二種または多種である;例示的に、上記有機溶媒は、PEG300及び/またはPEG400 から選ばれる。
【0061】
本発明において、上記潜在溶剤中の水は、医薬用に適する水でよく、例えば精製水、注射用水が挙げられる。
【0062】
本発明において、上記組成物のpH値に関する制限は特にないが、好ましく、上記組成物を注射剤として使えるようにさせるpH値を選択し、特に好ましく、静脈内注射剤として使えるpH値を選択する。
【0063】
好ましくは、上記組成物は注射剤であり、例えばメロキシカムの静脈内注射剤である。
【0064】
本発明の実施案において、上記組成物のpH値は、3.0~10.0でよく、好ましくは、6.5~10.0、6.8~9.0、7.2~9.0があり、実例としては7.4~9.0、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8或は8.9が挙げられる。
【0065】
本発明の実施案において、上記pH調整剤は、酸性pH調整剤または酸性pH調整剤とアルカリ性pH調整剤との組み合わせから選ばれてよいが、その条件は上記酸性pH調整剤には少なくともクエン酸が含まれることである。
【0066】
本発明の実施案において、上記酸性pH調整剤は、クエン酸であってもよく、またはクエン酸と、ビタミンC(別名アスコルビン酸)、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、塩酸、リン酸、及び酢酸からなる群より選ばれる一種、二種または多種とを組み合わせた混合物であってもよい。
【0067】
本発明の実施案において、上記アルカリ性pH調整剤は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、Tris(トリヒドロキシメチルアミノメタン)、メグルミン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、グリシンからなる群より選ばれる一種、二種または多種でよい。好ましくは、上記アルカリ性pH調整剤は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、Tris、メグルミン、アルギニン、リジン、グリシン、トリエチルアミンからなる群より選ばれる一種、二種または多種である。より好ましくは、上記アルカリ性pH調整剤は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、Tris、またはリジンから選ばれる。例示的に、上記アルカリ性pH調整剤は、水酸化ナトリウムまたはリジンから選ばれる。
【0068】
本発明の例示的な技術案において、上記pH調整剤は、水酸化ナトリウムおよび/またはメグルミン、およびクエン酸を含む。または、上記pH調整剤は、水酸化ナトリウム及びクエン酸から構成されるか、またはメグルミン及びクエン酸から構成される。
【0069】
本発明の実施案において、上記メロキシカムと溶媒との質量体積比は5~35mg/ mLでよく、例えば7~32mg/mL、10~30mg/mL、15~30mg/mL、20~25mg/mL等が挙げられる。
【0070】
好ましくは、上記メロキシカムは潜在溶剤に溶解する。
【0071】
本発明の実施案において、上記メロキシカム液体組成物には可溶化剤および/または界面活性剤が含まれないことが好ましい。好ましくは、上記組成物には可溶化剤および界面活性剤が含まれない。その内、上記可溶化剤は、薬品製剤に使われる可溶化剤、例えば、既知の注射剤に用いられる可溶化剤から選ばるもの(例えば、シクロデキストリンおよびその誘導体から選ばれるもの)を含むが、これらに限らない。実例として、上記シクロデキストリンは、α-、β-或はγ-シクロデキストリンを含み、上記誘導体はα-、β-、γ-シクロデキストリンエーテル誘導体、エステル誘導体、ポリマー等の一種、二種または多種を含むが、これらに限らない。例えば、上記エーテル誘導体は、ブドウ糖誘導体、ヒドロキシプロピル誘導体、メチル誘導体などからなる群より選ばれる一種、二種または多種である。例示的に、上記誘導体は、ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチル-β-シクロデキストリン等からなる群より選ばれる一種、二種または多種である。その内、上記界面活性剤には、既知の薬品製剤または組成物に用いられる界面活性剤が含まれるが、これらに限らない。例えば、注射剤に用いられる界面活性剤から選ばれる。例として、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、ポロキサマー、12-ヒドロキシステアリン酸-ポリエチレングリコールコポリマーからなる群より選ばれる一種、二種または多種である。
【0072】
本発明ではさらに、メロキシカムと、溶媒(水および/または有機溶媒)と、pH調整剤と、を混合することを含む、上記メロキシカム組成物の製造方法を提供する。ここで、前記の溶媒とpH調整剤とは、上文記載の定義を満たす。
【0073】
本発明の一部の実施案において、上記製造方法は、メロキシカムと潜在溶剤とを混合することを含み、ここで、前記の潜在溶剤は水と有機溶媒とを含む混合溶媒である。
【0074】
本発明において、上記製造方法は、さらに、上記潜在溶剤を造るステップ、例えば、水と潜在溶剤とを混合するステップを含んでも良い。
【0075】
上記組成物がpH調整剤を含む場合、上記製造方法は、さらに、まず水を第一pH調整剤と混合してから、有機溶媒と混合することで混合溶液を得ること、または、まず水を有機溶媒と混合してから、第二pH調整剤と混合することで混合溶液を得ることを含む。
【0076】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、上記混合溶液をメロキシカムと混合して、メロキシカムを含む混合溶液を得ることを含む。
【0077】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、上記メロキシカムを含む混合溶液と、第二pH調整剤とを混合することを含む。
【0078】
本発明のもう一つの実施案において、上記製造方法は、メロキシカムを含むアルカリ性水溶液と、有機溶媒とを混合することを含んでもよい。
【0079】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、メロキシカムを含むアルカリ性水溶液を提供することを含む。例えば、まず第一pH調整剤と水とを混合してから、メロキシカムと混合することでメロキシカムを含むアルカリ性水溶液を得る。
【0080】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、メロキシカムを含むアルカリ性水溶液と有機溶媒とを混合してから、メロキシカムを含む混合溶液を得て、それから第二pH調整剤と混合することを含む。
【0081】
本発明において、上記第一pH調整剤および第二pH調整剤は同じまたは異なるが、それぞれ独立的に上文記載定義を満たすpH調整剤から選ばれる。その条件は第二調整剤はクエン酸を含む酸性調整剤である。好ましくは、上記第一pH調整剤はアルカリ性調整剤であり、上記第二pH調整剤はクエン酸を含む酸性調整剤である。
【0082】
本発明の実施案において、上記製造方法は以下のステップを含む:
1)水のpH値をpH≧10.0、例えばpH≧11.0、pH≧12.0、pH≧12.5、pH≧13.0にさせるように、第一pH調整剤と水とを混合することでアルカリ性水溶液が得られる。
【0083】
2)有機溶媒を工程1)で得られたアルカリ性水溶液と混合して、混合溶液を得る。
【0084】
3)工程2)で得られた混合溶液に、メロキシカムを添加することでメロキシカムを含む混合溶液を得る。
【0085】
4)第二pH調整剤にて工程3)で得られた溶液のpH値を調整することで、メロキシカム組成物を得る。
【0086】
または、本発明の実施案において、上記製造方法は以下のステップを含んでよい:
1)水のpH値をpH≧10.0、例えばpH≧11.0、pH≧12.0、pH≧12.5にさせるように、第一pH調整剤と水とを混合することでアルカリ性水溶液が得られる。
【0087】
2)メロキシカムを工程1)で得られたアルカリ性水溶液と混合して、メロキシカムを含むアルカリ性水溶液を得る。
【0088】
3)工程2)で得られた混合溶液を、有機溶媒と混合することでメロキシカムを含む混合溶液を得る。
【0089】
4)第二pH調整剤にて工程3)で得られた溶液のpH値を調整することで、メロキシカム組成物を得る。
【0090】
通常、上記製造方法の温度に関しては特に制限がない。例えば、工程1)、2)、3)または4)の温度は5℃~80℃でよく、これらの温度は、本発明を基盤に具体的な状況に合わせて調整してよい。本発明の例示的な製造方法において、上記アルカリ性水溶液が冷めるまで待たないまま、有機溶剤を加え攪拌してよい。好ましくは、工程1)、2)、3)または4)の温度は10℃~60℃であり、さらに好ましくは、20℃~60℃である;実例として、上記温度は20℃、25℃、30℃、40℃、50℃または60℃でよい。
【0091】
本発明の実施案において、上記各実施案中の各ステップ、例えば工程1)、2)、3)または4)で混合を促進するように、攪拌してもよい。上記攪拌時間は10分以上であってよく、例えば、20分、30分、40分、50分、60分またはその以上でもよい。
【0092】
本発明では、さらに、液体製剤を提供する。例えば注射剤であり、好ましくは静脈内注射剤である。上記注射剤には上記メロキシカム組成物が含まれる。
【0093】
本発明の注射剤において、当該注射剤には、さらに上記メロキシカム組成物を収納する容器、例えば、アンプル、バイアルまたはマルチドーズ容器を含んでよい。
【0094】
本発明の注射剤において、それには小容量注射剤(20mL以下、例えば:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20mL)および大容量注射剤((50mL以上、例えば:50、60、70、75、80、90、100、250、500mL等)が含まれる。
【0095】
本発明では、さらに、上記メロキシカム組成物を容器内に入れ込むことを含む上記注射剤の製造方法を提供する。好ましくは、容器内に入れ込む前またはその後に、上記組成物に対して滅菌処理を行う。上記滅菌処理は湿熱滅菌またはフィルターによる滅菌でよい。
【0096】
本発明では、さらに、上記メロキシカム組成物の疾病治療(例えば:術後鎮痛、リウマチ性関節炎、疼痛型骨関節炎、強直性脊椎炎)における用途を提供する。
【0097】
本発明では、さらに、医薬品、特に術後鎮痛、リウマチ性関節炎、疼痛型骨関節炎、強直性脊椎炎の治療薬の製造における上記メロキシカム組成物の用途を提供する。
【0098】
好ましくは、上記医薬品は注射剤であり、特に静脈内注射剤である。
〔発明効果〕
本発明では、意外に、本発明の第一目的として提供した薬品組成物は、メロキシカムの液体製剤中での溶解度を著しく改善していることが明らかになった。例えば、メロキシカムが溶解する前に、溶液系のpH値を12.0以上に調整して、また潜在溶剤中での有機溶剤の体積比率が≧5%である場合、メロキシカム濃度は10mg/mL以上、乃至その以上になり、薬品の溶解度は大いに向上されている。
【0099】
それと同時に、本発明ではさらに意外と、本発明の組成物には優れた安定性をもつことが確認された。例えば、採用された有機溶剤の潜在溶剤での比率が同じてある時に、ポリエチレングリコール(例えば、PEG300或はPEG400等)を潜在溶剤成分の一つとした場合、安定性が著しく改善され、長期保存でも沈殿が発生しないため、分解生成物などの不純物の含有量を効果的に低減させ、注射剤として(特に静脈内注射として)の安定した液体組成物が得られた。言い換えると、本発明で選択した潜在溶剤は、薬品の溶解度を著しく改善する共に、薬品の安定性まで明らかに向上させた。
【0100】
本発明の組成物には可溶化剤、界面活性剤などの補助成分が含まれないため、当該組成物の刺激性を低減させ、よりよい安全性を持たせた。本発明が提供したメロキシカム組成物は、甚だしくは直接静脈内注射投与できるので、短時間内に術後鎮痛に有効な治療濃度に達する。
【0101】
その他、当該組成物は製造工程も簡単で、室温で短時間内の攪拌分散させるだけで完成されるので、量産化し易い。
【0102】
本発明でさらに意外なことは、本発明の第二目的として提供した組成物の安定性も著しく改善されており、特に、クエン酸を酸性pH調整剤として用いた場合、分解生成物Bの含有量が効果的に低下され、液体製剤の安全性が著しく向上されるともに、長時間保管しても沈殿物が生じないことが明らかになった。
【0103】
同時に、本発明組成物中のメロキシカムの溶解度は著しく改善され、10mg/mLまでに達し、乃至ではその以上に達するので、メロキシカムを注射剤(特に静脈内注射剤)として活用することに非常に有益である。
【0104】
その他、当該組成物は製造工程も簡単で、室温下で短時間内の攪拌分散させるだけで完成できるので、量産化し易い。
〔発明を実施するための形態〕
以下、具体的な実施例を持って本発明の技術案に対して、さらに詳しく説明する。以下の実施例は、本発明を例示的に解説するだけのものと理解されるべく、本発明が求める保護範囲に対する限定とは理解されないものとする。本発明の上記内容を基盤として実現されるあらゆる技術は、本発明の保護範囲内に包括される。
【0105】
特に説明のない限り、以下の実施例で使われる原料薬および試剤は全て市販品であるか、または既知の方法で製造してよい。
【0106】
その内、実施例A1-A15および比較例A1-A5中のメロキシカム原料含有量は99.9%であり、不純物総量は0.03%である。
【0107】
本発明の実施例および比較例に記載のメロキシカム含有量の測定方法は、USP40-NF35 Monographs: Meloxicamの含有量測定方法を参考する。
【0108】
〔実施例A1〕
メロキシカム組成物
処方:メロキシカム 1.0g
PEG400 15mL
水 100mLになるまで加える
NaOH/リン酸(pH調整剤) 適量
調製方法:pH12.0の水酸化ナトリウム溶液を調製し、処方量のPEG400を加え、室温で均一に撹拌してから、メロキシカムを加え、撹拌・溶解させ、リン酸にて溶液のpH値を7.8に調整することで得られる。室温放置で不溶性微粒子/可視的異物は出ておらず、2~8℃で15日間観察しても、不溶性粒子/可視的異物は出てなかった。
【0109】
〔実施例A2〕
メロキシカム組成物
処方:メロキシカム 1.0g
PEG400 15mL
水 100mLになるまで加える
NaOH /リン酸(pH調整剤) 適量
調製方法:pH12.0の水酸化ナトリウム溶液を調製し、メロキシカムを加え、室温で撹拌・溶解させてから、処方量のPEG400を加え、均一に攪拌しリン酸にて溶液のpH値を7.4に調整することで得られる。室温放置で不溶性微粒子/可視的異物は出ておらず、2~8℃で15日間観察しても、不溶性粒子/可視的異物は出てなかった。
【0110】
〔実施例A3〕
メロキシカム組成物
処方:メロキシカム 1.0g
PEG300 15mL
水 100mLになるまで加える
NaOH /リン酸(pH調整剤) 適量
調製方法:pH12.0の水酸化ナトリウム溶液を調製し、処方量のPEG300を加え、均一に攪拌してからメロキシカムを加え、室温で撹拌・溶解させてから、リン酸にて溶液のpH値を8.0に調整することで得られる。室温放置で不溶性微粒子/可視的異物は出ておらず、2~8℃で15日間観察しても、不溶性粒子/可視的異物は出てなかった。
【0111】
〔実施例A4〕
メロキシカム組成物
処方:メロキシカム 1.0g
PEG400 15mL
水 100mLになるまで加える
NaOH /リン酸(pH調整剤) 適量
調製方法:pH12.0の水酸化ナトリウム溶液を調製し、処方量のPEG400を加え、均一に攪拌してからメロキシカムを加え、室温撹拌・溶解させてから、リン酸にて溶液のpH値を8.2に調整すれば得られる。室温放置で不溶性微粒子/可視的異物は出ておらず、2~8℃で15日間観察しても、不溶性粒子/可視的異物は出てなかった。
【0112】
〔実施例A5〕
メロキシカム組成物
処方:メロキシカム 0.938g
PEG400 10mL
水 50mLになるまで加える
NaOH /乳酸(pH調整剤) 適量
調製方法:pH12.0の水酸化ナトリウム溶液を調製し、処方量のPEG400を加え、均一に攪拌してからメロキシカムを加え、撹拌・溶解させてから、乳酸にて溶液のpH値を7.8に調整することで得られる。室温放置で不溶性微粒子/可視的異物は出ておらず、2~8℃で15日間観察しても、不溶性粒子/可視的異物は出てなかった。
【0113】
〔実施例A6〕
メロキシカム組成物
処方:メロキシカム 0.938g
PEG400 10mL
水 50mLになるまで加える
NaOH /リンゴ酸(pH調整剤) 適量
調製方法:pH12.0の水酸化ナトリウム溶液を調製し、処方量のPEG400を加え、均一に攪拌してからメロキシカムを加え、撹拌・溶解させてから、リンゴ酸にて溶液のpH値を8.4に調整することで得られる。室温放置で不溶性微粒子/可視的異物は出ておらず、2~8℃で15日間観察しても、不溶性粒子/可視的異物は出てなかった。
【0114】
〔実施例A7〕
メロキシカム組成物
処方:メロキシカム 0.938g
PEG400 10mL
水 50mLになるまで加える
NaOH /酒石酸(pH調整剤) 適量
調製方法:pH12.0の水酸化ナトリウム溶液を調製し、処方量のPEG400を加え、均一に攪拌してからメロキシカムを加え、撹拌・溶解させてから、酒石酸にて溶液のpH値を8.2に調整することで得られる。室温放置で不溶性微粒子/可視的異物は出ておらず、2~8℃で15日間観察しても、不溶性粒子/可視的異物は出てなかった。
【0115】
〔実施例A8〕
メロキシカム組成物
処方:メロキシカム 1.0g
プロピレングリコール 15mL
水 100mLになるまで加える
NaOH /リン酸(pH調整剤) 適量
調製方法:pH12.0の水酸化ナトリウム溶液を調製し、処方量のプロピレングリコールを加え、均一に攪拌してからメロキシカムを加え、撹拌・溶解させてから、リン酸にて溶液のpH値を8.4に調整することで得られる。室温放置では不溶性微粒子/可視的異物は出ておらず、2~8℃で15日間観察したら、不溶性粒子が少量現れた。
【0116】
〔実施例A9〕
メロキシカム組成物
処方:メロキシカム 1.0g
グリセロール 15mL
水 100mLになるまで加える
NaOH /リン酸(pH調整剤) 適量
調製方法:pH12.0の水酸化ナトリウム溶液を調製し、処方量のグリセロールを加え、均一に攪拌してからメロキシカムを加え、撹拌・溶解させてから、リン酸にて溶液のpH値を8.6に調整することで得られる。室温放置では不溶性微粒子/可視的異物は出ておらず、2~8℃で15日間観察したら、不溶性粒子が少量現れた。
【0117】
〔実施例A10〕
メロキシカム組成物
処方:メロキシカム 1.0g
ブタンジオール 15mL
水 100mLになるまで加える
NaOH /リン酸(pH調整剤) 適量
調製方法:pH12.0の水酸化ナトリウム溶液を調製し、処方量のブタンジオールを加え、均一に攪拌してからメロキシカムを加え、撹拌・溶解させてから、リン酸にて溶液のpH値を8.2に調整することで得られる。室温放置では不溶性微粒子/可視的異物は出ておらず、2~8℃で15日間観察したた、不溶性粒子が少量現れた。
【0118】
〔実施例A11〕
メロキシカム組成物
処方:メロキシカム 1.0g または1.5g
PEG400 15mL
NaOH /クエン酸(pH調整剤) 適量
水 100mLになるまで加える
調製方法:pH12.0の水酸化ナトリウム溶液を調製し、二つの処方量のPEG400を加え、均一に攪拌してからメロキシカムを加え、撹拌・溶解させてから、クエン酸にて溶液のpH値をそれぞれpH=7.8、8.0、8.2、8.4、8.6、8.8、9.0に調整する。室温放置で不溶性微粒子/可視的異物は出ておらず、2~8℃で15日間観察しても、不溶性粒子/可視的異物は出てなかった。
【0119】
〔実施例A12〕
本発明メロキシカム組成物の拡大製造
下表に示す処方F1~F14通り、各処方の液体組成物を250mL調製した。pH13.0の水酸化ナトリウム溶液を調製し、処方量の有機溶媒を加え、均一に攪拌してからメロキシカムを加え、撹拌・溶解させてから、リン酸にて溶液のpH値を想定の値に調整することで得られる。
【0120】
【表1】
【0121】
〔実施例A13〕
メロキシカム組成物の安定性調査
実施例A12のF1~F14各サンプルの溶液を取り、0.22μm微多孔性濾過膜でろ過し、5 mLを計量して、10 mLのバイアル瓶内に密閉させる。それぞれ、室温、2~8℃の冷蔵庫、60℃の恒温恒湿箱にで保管し、結晶化及び関連物質の変化状況を調べ、結果を下表で示す。
【0122】
【表2】
【0123】
〔実施例A14〕
本発明メロキシカム組成物の拡大製造
下表に示す処方通り、各処方の液体組成物を調製した。pH13.0の水酸化ナトリウム溶液を調製し、処方量の有機溶媒を加え、均一に攪拌してから違うロットのメロキシカムを加え、撹拌・溶解させてから、リン酸にて溶液のpH値を規定値に調整し、滅菌することで得られる。
【0124】
【表3】
【0125】
〔実施例A15〕
メロキシカム組成物の安定性調査
実施例A14をサンプリングし長期及び加速安定性の調査を行い、結果を以下の表に示す。
【0126】
長期安定性調査のやり方:中国薬典2015版四部9001の原料薬品および製剤の安定性試験ガイドラインの規定に従い、実施例A14のサンプルS1及びS2に対して長期的安定性調査を実施した。試験温度は30℃±2℃、RH65%±5%、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月の調査を実施した。
【0127】
加速安定性調査のやり方:中国薬典2015版四部9001の原料薬品および製剤の安定性試験ガイドラインの規定に従い、実施例A14のサンプルS1、S2及びS3に対して加速安定性調査を実施した。試験温度は40℃±2℃、RH75%±5%、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月調査した。
【0128】
【表4】
【0129】
上記の実験結果としては、実施例A14で大規模で製造されたメロキシカム組成物の長期的安定性および加速安定性調査をした結果、分解不純物の含有量および不純物総量は、依然としてより低いレベルを維持し、優れた安定性をもつことが確認された。
【0130】
〔比較例A1〕
メロキシカム液体組成物
処方:メロキシカム 0.938g
リジン 0.730g
PEG400 10mL
水 50mLなるまで加える
リン酸(pH調整剤) 適量
調製方法:リジンと、PEG400と、を水に溶解させ、そして均一に撹拌してから、メロキシカムを加え、40℃で撹拌・溶解させ、リン酸にて溶液のpH値を7.5に調整することで得られる。室温放置で不溶性微粒子/可視的異物は出ておらず、2~8℃で15日間観察しても、不溶性粒子/可視的異物は出てなかった。
【0131】
〔比較例A2〕
メロキシカム液体組成物
処方:メロキシカム 0.938g
メグルミン 0.975g
PEG400 10mL
水 50mLになるまで加える
リン酸(pH調整剤) 適量
調製方法:メグルミンと、PEG400と、を水に溶解させ、そして均一に撹拌し、メロキシカムを加え、40℃以上で長時間撹拌・溶解させ、リン酸にて溶液のpH値を7.5に調整することで得られる。室温放置で不溶性微粒子/可視的異物は出ておらず、2~8℃で15日間観察しても、不溶性粒子/可視的異物は出てなかった。
【0132】
〔比較例A3〕
メロキシカム液体組成物
処方:メロキシカム 0.938g
アルギニン 0.870g
PEG400 10mL
水 50mLになるまで加える
リン酸(pH調整剤) 適量
調製方法:アルギニンと、PEG400と、を水に溶解させ、そして均一に撹拌し、メロキシカムを加え、40℃以上で長時間撹拌・溶解させ、リン酸にて溶液のpH値を7.5に調整することで得られる。2~8℃で7日間観察したら、不溶性粒子が少量現れた。
【0133】
〔比較例A4〕
メロキシカムのアルカリまたはアルカリ性アミノ酸溶液(メグルミン、Tris、アルギニンまたはリジン)での溶解度を検討し、その結果を下表に示す。実験から分かるように、メロキシカムの高濃度有機アルカリまたはアルカリ性アミノ酸中での溶解度は10mg/mL以上に達するが、室温では長時間製造(6時間超え)となったり、または比較的高温(40℃)で溶解されるので、製造工程が複雑で、かつ、室温で一晩放置すると結晶が析出されるため、溶液安定性は低い。
【0134】
【表5】
【0135】
〔比較例A5〕
各比例のPEG400水溶液におけるメロキシカムの溶解度を検討し、溶解度を下表に示す。結果、メロキシカムの純PEG400中での溶解度はわずかの2.27mg/mLであり、静脈内注射の要件を満たさないことが分かる。
【0136】
【表6】
【0137】
上記の実験結果から分かるように、本発明でポリエチレングリコール(例えばPEG400、PEG300)を含む潜在溶剤を有機溶媒とした組成物場合、意外に、製造された組成物中のメロキシカム含有量が著しく改善され、これはメロキシカムの液体製剤、特に静脈内注射剤のより良い活用可能性及びより幅広い応用範囲を可能とし、医療効率や患者受容性なども著しく改善された。かつ、メロキシカム含有量が同じである場合、このような効果はポリエチレングリコール濃度の増加につれ明らかになっている。
【0138】
なお、驚くことは、本発明の組成物はそれと同時に優れた安定性を持っており、長時間放置でも沈殿物が生成せず、甚だしくは分解生成物の含有量及び不純物総量も低いレベルを維持した。特に、有機溶媒の潜在溶剤での比例が同じである場合、ポリエチレングリコール、特にPEG400を含む潜在溶剤で製造されたメロキシカム組成物は、良好な安定性を表し、比較的長い時間の放置でも沈殿物は出なかった。
【0139】
実施例B1-B6、比較例B1-B4で、メロキシカムの含有量は99.2%であり、不純物総量は0.06%である。
【0140】
下記記載の「凍結融解」とは、サンプルを-20℃の冷凍庫内で2日間観察してから、40℃の加速条件で2日間観察して、毎回の凍結融解実験を3回繰り返し、最終サイクルの最後の結果に準する。
【0141】
〔実施例B1〕
メロキシカム液体組成物
処方:メロキシカム 1.0g或は1.5g
PEG400 15mL
NaOH/リン酸或はクエン酸(pH調整剤) 適量
水 100mLになるまで加える
調製方法:pH12.0の水酸化ナトリウム溶液を調製し、処方量のPEG400を加え、均一に撹拌してから、二つの処方量のメロキシカムを加え、撹拌・溶解させ、リン酸またはクエン酸にて溶液のpH値を7.8に調整することで得られる。室温保存で不溶性微粒子/可視的異物は出ておらず、2~8℃で15日間観察しでも、不溶性粒子/可視的異物は出てなかった。
【0142】
〔実施例B2〕
メロキシカム液体組成物の安定性調査
実施例B1で造った各サンプルの溶液を取り、其々0.22μmの微孔性濾過膜にて濾過してから、5mLを採集し10mLバイアル瓶内に密閉させる。60℃の恒温恒湿箱に置いて、関連物質の量の変化を調査し、その結果を表1で示す。
【0143】
【表7】
【0144】
上記実験から分かるように、他のpH調整剤と比較して、クエン酸を酸性pH調整剤として使う場合、メロキシカムの安定性が明らかに向上され、分解生成物Bの形成を効果的に減らしている。
【0145】
その他、エタノール、プロピレングリコール、ブタンジオール、イソプロピルアルコール、グリセロール、ポリエチレングリコール300などの有機溶媒を使って、実施例B1のPEG400を代替した場合、その結果は同じように、クエン酸をpH調整剤として含む組成物は、分解生成物Bの含有量及び不純物総量を低減させていることを示している。
【0146】
〔実施例B3〕
メロキシカム液体組成物
処方:メロキシカム 1.5g
PEG400 20mL
NaOH /クエン酸(pH調整剤) 適量
水 100mLになるまで加える
調製方法:pH12.0の水酸化ナトリウム溶液を調製し、処方量のPEG400を加え、均一に撹拌してから、メロキシカムを加え、撹拌・溶解させ、クエン酸にて溶液のpH値を規定値(pH=8.0、8.2、8.4、8.6、8.8、9.0)までに調整することで得られる。室温保存で不溶性微粒子/可視的異物は出ておらず、2~8℃での15日間観察でも不溶性粒子/可視的異物は出てなかった。
【0147】
〔実施例B4〕
メロキシカム液体組成物の安定性調査
実施例B3で造った各サンプルの溶液を取り、其々0.22μmの微孔性濾過膜にて濾過してから、5mLを取って10mLバイアル瓶内に密閉させる。60℃の恒温恒湿箱内で10日間保管し、関連物質の量の変化を調査した。調査結果:分解生成物Bの含有量は0.2%以下に維持していた。結果から分かるように、クエン酸をpH調整剤として使った場合、サンプルのPh値が広範囲で変化したにも関わらず、分解生成物Bの含有量を低い範囲内に抑られ、メロキシカムの組成物中での安定性及び製剤の安全性が著しく改善されていることを示している。
【0148】
〔実施例B5〕
実施例B1の調製方法を参考に、メロキシカム組成物を下記のように調製する。PEG400の体積濃度は10%で、メロキシカムの濃度は18.75mg/mlとし、メグルミン(NaOHを代替)及びクエン酸をpH調整剤として使い、組成物のpH値を8.2に調整した。室温保存で不溶性微粒子/可視的異物は出ておらず、2~8℃での15日間観察でも不溶性粒子/可視的異物は出てなかった。当該製品を1回凍結融解処理したら、底部に細かい顆粒が現れたが、振るとすぐに溶解された。
【0149】
その他、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、Tris(トリヒドロキシメチルアミノメタン)、アルギニン、リジン、ヒスチジンまたはグリシン等を、アルカリ性のpH調整剤として使い、上記メグルミンを代替した場合にも、同じように不溶性微粒子/可視的異物は現れなかった。
【0150】
〔実施例B6〕
実施例B1の調製方法を参考に、メロキシカム組成物を下記のように調製する。PEG400の体積濃度は10%で、メロキシカムの濃度は18.75mg/mlとし、水酸化ナトリウムおよびクエン酸をpH調整剤として組成物のpH値を8.2に調整する。室温保存で不溶性微粒子/可視的異物は出ておらず、2~8℃での15日間観察でも不溶性粒子/可視的異物は出てなかった。当該製品を1回凍結融解処理した場合、不溶性粒子/可視的異物は出てなかった。
【0151】
〔比較例B1〕
実施例B1の調製方法を参考に、メロキシカム組成物を下記のように調製する。PEG400の体積濃度は10%で、メロキシカムの濃度は18.75mg/mlとし、水酸化ナトリウムおよび塩酸をpH調整剤として組成物のpH値を8.2に調整する。2~8℃で1日間観察したら、組成物中に不溶性粒子/可視的異物が現れた。
【0152】
〔比較例B2〕
実施例B1の調製方法を参考に、メロキシカム組成物を下記のように調製する。PEG400の体積濃度は10%で、メロキシカムの濃度は18.75mg/mlとし、水酸化ナトリウムおよび酢酸をpH調整剤として組成物のpH値を8.2に調整する。2~8℃で1日間観察したら、組成物中には不溶性粒子/可視的異物が現れた。
【0153】
〔比較例B3〕
実施例B1の調製方法を参考に、メロキシカム組成物を下記のように調製する。PEG400の体積濃度は10%で、メロキシカムの濃度は18.75mg/mlとし、水酸化ナトリウムおよびリン酸をpH調整剤として組成物のpH値を8.2に調整する。2~8℃で6日間観察した際に、組成物中には不溶性粒子/可視的異物が現れた。1回の凍結融解処理を経て静置しても結晶が現れ、振ってもほぼ溶けなかった。
【0154】
〔比較例B4〕
実施例B1の調製方法を参考に、メロキシカム組成物を下記のように調製する。PEG400の体積濃度は10%で、メロキシカムの濃度は18.75mg/mlとし、メグルミンおよびリン酸をpH調整剤として組成物のpH値を8.2に調整する。室温保存では不溶性微粒子/可視的異物が出ておらず、2~8℃で10日間観察した際には、不溶性粒子/可視的異物が現れた。当製品を1回凍結融解処理して静置したら細かい固形物が大量に析出されたが、振るとすぐに溶解された。
【0155】
上記実験から分かるように、その他のpH調整剤と比較して、クエン酸を酸性pH調整剤としてメロキシカム液体組成物の調製に用いた場合、メロキシカムの安定性が著しく向上され、不純物の形成低減にも効果的で、製剤の安全性及び有効性も驚くほど改善された。
【0156】
以上、本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の精神および趣旨内で行われるいずれの修正、同等の置換、改良は、全て本発明の保護範囲内に含まれるものとする。