IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パク、ドングァンの特許一覧

<>
  • 特許-人体屈伸補助装置 図1
  • 特許-人体屈伸補助装置 図2
  • 特許-人体屈伸補助装置 図3
  • 特許-人体屈伸補助装置 図4
  • 特許-人体屈伸補助装置 図5a
  • 特許-人体屈伸補助装置 図5b
  • 特許-人体屈伸補助装置 図6
  • 特許-人体屈伸補助装置 図7
  • 特許-人体屈伸補助装置 図8
  • 特許-人体屈伸補助装置 図9
  • 特許-人体屈伸補助装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】人体屈伸補助装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 11/00 20060101AFI20231030BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
B25J11/00 Z
A61H1/02 G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022081494
(22)【出願日】2022-05-18
(65)【公開番号】P2023004887
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】10-2021-0083193
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519103355
【氏名又は名称】パク、ドングァン
【氏名又は名称原語表記】PARK, DONGGWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100217836
【弁理士】
【氏名又は名称】合田 幸平
(72)【発明者】
【氏名】パク、ドングァン
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/105430(WO,A1)
【文献】特開2019-051280(JP,A)
【文献】特許第6241863(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
A61H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の背中に密着されることができるように、少なくとも一部が曲面であり、所定の長さで延長されて形成される板ばねと、
前記板ばねの一側に備えられ、前記人体の上体に着用可能に構成される上体ベルトと、
前記人体の骨盤を支持することができるように、前記板ばねの下側で両方向に所定の長さで延長されて形成される中心フレームと、
前記板ばねの後方と前記中心フレームの後方に両端が連結される気体ばねと、
所定の長さで延長されて形成され、前記中心フレームの両側でそれぞれ左右方向の軸を中心として回転可能に連結される一対の下肢フレームと、
前記一対の下肢フレーム下側のそれぞれに備えられ、足に固定することができるように構成される下肢ベルトと、
前記下肢フレームの回転を選択的に制限することができるように構成されるギアボックスと
前記板ばねの後面に後方及び下側に向かって延長されて形成される第1ブラケットと、
前記中心フレームで後方及び上側に向かって延長されて形成される第2ブラケットと、を含み、
前記気体ばねの両側端部は、前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットに回転可能に連結される、人体屈伸補助装置。
【請求項2】
上体の傾斜度を検出することができるように構成される傾斜度センサと、
前記下肢フレームのうち前記足と密着される面に備えられて、圧力を測定することができるように構成されるロードセンサと、
前記傾斜度センサ及び前記ロードセンサから測定された信号に基づいて、前記上体に荷重が作用されたことと判断された場合、前記ギアボックスで回転を制限するように、前記気体ばねの伸縮を制御する制御ユニットとを含む、請求項1に記載の人体屈伸補助装置。
【請求項3】
前記ギアボックスは、
ラチェットギア及び歯止めを含んで構成され、
前記歯止めの位置を調節することができるように構成される駆動部を含む、請求項2に記載の人体屈伸補助装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは、
前記荷重が作用することと判断する場合、前記歯止めが前記ラチェットギアを拘束するように前記駆動部を制御する、請求項3に記載の人体屈伸補助装置。
【請求項5】
前記制御ユニットは、
前記荷重が作用しないことと判断する場合、前記歯止めが前記ラチェットギアを拘束しないように前記駆動部を制御する、請求項4に記載の人体屈伸補助装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは、
前記人体が歩いたり座る時に作用する荷重、及び傾斜度に対する情報に基づいて荷重が作用しないことと判断する、請求項5に記載の人体屈伸補助装置。
【請求項7】
前記板ばねは、前記上体の角度によって変形可能に構成される弾性部材で構成される、請求項に記載の人体屈伸補助装置。
【請求項8】
前記上体ベルトは、
肩に着用できるように構成される一対の肩ベルトと、
胸に着用できるように構成される胸ベルトとを含む、請求項2に記載の人体屈伸補助装置。
【請求項9】
前記人体の上体が曲がることによって、前記板ばねが曲がり、
前記気体ばねが伸長され、
前記人体の上体を立てる時に、前記板ばね及び前記気体ばねの復元力が作用して、前記肩ベルトと前記胸ベルトを牽引するように構成される、請求項に記載の人体屈伸補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体屈伸補助装置に関し、より詳しくは、人体に着用した状態で腰の曲げ動作によって発生するエネルギーを保存し、逆に、腰を伸ばす動作でエネルギーを発揮して、屈伸動作を支援する補助装置に関する。
【発明の背景になる技術】
【0002】
日常生活で主な腰及び骨盤の動きは、前方に向かって曲げたり、腰を真っ直ぐに伸ばすことである。このような人体屈伸動作の代表的な例として、座ったり、立ったり、重量物を持ち上げる動作がある。
【0003】
このような人体の屈伸動作は、日常生活で頻繁にする動きであり、負傷した場合、生活の質に大きな影響を及ぼすという点から、保護する必要性が高い。また、筋肉及び関節に負傷したり、弱くなった場合には、これを補助してこそ日常生活での不便感を最小化することができる。
【0004】
このような人体屈伸補助装置と係わって、日本登録特許第6241863号公報が開示されている。しかしながら、このような従来技術は、支持可否を能動的に決めることができなくて、不必要な場合まで補助力を提供するという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本登録特許第6241863号公報
【発明の概要】
【解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の人体屈伸補助装置の問題点を解決し、能動的に腰の動きに対する補助可否を決めることができる人体屈伸補助装置を提供することをその目的とする。
【課題の解決手段】
【0007】
前記課題の解決手段として、人体の背中に密着されることができるように、少なくとも一部が曲面であり、所定の長さで延長されて形成される板ばねと、板ばねの一側に備えられ、人体の上体に着用可能に構成される上体ベルトと、人体の骨盤を支持することができるように、板ばねの下側で両方向に所定の長さで延長されて形成される中心フレームと、板ばねの後方と中心フレームの後方に両端が連結される気体ばねと、所定の長さで延長されて形成され、中心フレームの両側でそれぞれ左右方向の軸を中心として回転可能に連結される一対の下肢フレームと、一対の下肢フレームの下側のそれぞれに備えられ、足に固定することができるように構成される下肢ベルトと、下肢フレームの回転を選択的に制限することができるように構成されるギアボックスとを含む人体屈伸補助装置が提供されることができる。
【0008】
一方、上体の傾斜度を検出することができるように構成される傾斜度センサと、下肢フレームのうち足と密着される面に備えられて、圧力を測定することができるように構成されるロードセンサと、傾斜度センサ及びロードセンサから測定された信号に基づいて上体に荷重が作用されたことと判断された場合、ギアボックスで回転を制限するように制御する制御ユニットとを含むことができる。
【0009】
一方、ギアボックスは、ラチェットギア(ratchet gear)及び歯止め(pawl)を含んで構成され、歯止めの位置を調節することができるように構成される駆動部を含むことができる。
【0010】
制御ユニットは、荷重が作用することと判断する場合、歯止めがラチェットギアを拘束するように、駆動部を制御することができる。
【0011】
また、制御ユニットは、荷重が作用しないことと判断する場合、歯止めがラチェットギアを拘束しないように、駆動部を制御することができる。
【0012】
さらに、制御ユニットは、人が歩いたり座る時に作用する荷重及び傾斜度に対する情報に基づいて、荷重が作用しないことと判断することができる。
【0013】
一方、板ばねの後面に後方及び下側に向かって延長されて形成される第1ブラケット、及び中心フレームで後方及び上側に向かって延長されて形成される第2ブラケットを含み、気体ばねの両側端部は、第1ブラケット及び第2ブラケットに回転可能に連結されることができる。
【0014】
一方、板ばねは、上体の角度によって変形可能に構成される弾性部材で構成されることができる。
【0015】
一方、上体ベルトは、肩に着用できるように構成される一対の肩ベルト、及び胸に着用できるように構成される胸ベルトを含むことができる。
【0016】
一方、人体の上体が曲がることによって、板ばねが曲がり、気体ばねが伸長され、人体の上体を立てる時に、板ばね及び気体ばねの復元力が作用して、肩ベルトと胸ベルトを牽引するように構成されることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る人体屈伸補助装置は、腰を曲げる動作によってエネルギーを保存し、能動的に反対に腰を伸ばす動作にエネルギーを伝達して役に立つようにして人体を補助することができる。
【0018】
また、現在人体の動作を判断して、下体に補助力が伝達される時期を決めることができ、補助力が不必要な場合、自在な下体の動きが可能で、不便感を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る一実施形態である人体屈伸補助装置の斜視図である。
図2】本発明に係る一実施形態である人体屈伸補助装置の側面図である。
図3】本発明に係る一実施形態である人体屈伸補助装置の分解斜視図である。
図4】ギアボックスの部分切開図である。
図5a】板ばね及び気体ばねの作動状態図である。
図5b】板ばね及び気体ばねの作動状態図である。
図6】気体ばねの制御概念を示した図面である。
図7】下肢フレームの回転が自在な時の作動状態図である。
図8】下肢フレームの角度が拘束される時の作動状態図である。
図9】本発明に係る一実施形態である人体屈伸補助装置の使用状態図である。
図10】本発明に係る一実施形態である人体屈伸補助装置の他の使用状態図である。
【発明を実施するための具体的な内容】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る人体屈伸補助装置に対して、添付図面を参照して詳しく説明する。そして、以下の実施形態の説明において、それぞれの構成要素の名称は、当業界において他の名称に呼称され得る。しかしながら、これらの機能的類似性及び同一性がある場合、変形された実施例を採用しても均等な構成と見なすことができる。また、それぞれの構成要素に付加された符号は、説明の便宜のために記載される。しかしながら、これら符号が記載された図面上の図示内容がそれぞれの構成要素を図面内の範囲に限定しない。同様に、図面上の構成を一部変形した実施形態が採用されても機能的類似性及び同一性がある場合、均等な構成と見なすことができる。また、当該技術分野において通常の知識を有する者のレベルから、当然含まれるべき構成要素と認められる場合、これに対しては説明を省略する。
【0021】
図1は、本発明に係る一実施形態である人体屈伸補助装置の斜視図であり、図2は、本発明に係る一実施形態である人体屈伸補助装置の側面図であり、図3は、本発明に係る一実施形態である人体屈伸補助装置の分解斜視図である。
【0022】
図1及び図2を参照すると、本発明に係る人体屈伸補助装置1は、一側が人体の上側に着用できるように構成され、他側には人体の下肢に着用して補助することができるように構成されることができる。
【0023】
本発明に係る人体屈伸補助装置1は、板ばね100、気体ばね200、上体ベルト120、ヘッドレスト140、中心フレーム300、骨盤ベルト310、下肢フレーム400、下肢ベルト410、ギアボックス500、制御ユニット600及びセンサ部を含んで構成されることができる。
【0024】
板ばね100は、背中で脊椎に沿って少なくとも一部が背中に密着されることができるように構成され、脊椎の解剖学的角度に対応する形状に構成されることができる。一例として、板ばね100は、腰部分が前方側に凸出した曲面経路に沿って延長されて形成されることができる。板ばね100は、所定幅で形成されるが、人体の拗じれ動作の時、邪魔にならないほどの幅に決められることができる。また、適切な弾性を有することができる厚さに決められることができる。
【0025】
気体ばね200は、板ばね100の両側に連結されて、外力の変化によって板ばね100とともにエネルギーを保存したり、エネルギーを伝達することができるように構成されることができる。
【0026】
気体ばね200は、ハウジングとハウジングの内部に挿入されるピストンを含んで構成されることができる。気体ばね200の一側は、板ばね100で後方下側に延長されて形成される気体ばね第1ブラケット111に回転可能に連結されることができる。気体ばね200の他側は、後述する中心フレーム300から後方及び上側に延長されて形成される気体ばね第2ブラケット112に回転可能に連結されることができる。気体ばね200は、板ばね100が原位置された位置で伸縮され、板ばね100が曲がることによって伸長されることができるように構成されることができる。気体ばね200は、ピストンが伸びながら内部に収容されているガスとオイルに圧力が加えられ、外力が気体ばねの設定された引張力以下に減少する場合、ピストンが後退しながら原位置されることができるように構成されることができる。この時、気体ばね200による力は、板ばね100を支持台として作用して、適切な力で上体を伸ばすことができる牽引力を提供することができるようになる。
【0027】
一方、板ばね100と気体ばね200による補助力(または支持力)は、曲げ角度によって類似するように保持されることが便宜性と安全性の側面で有利である。この時、曲げ角度によって板ばねの復元力は強くなるので、気体ばねの収縮力による作用点の位置を調節して、曲げ角度による復元力の変動を最小化することができる。本発明では、第1ブラケットと第2ブラケットが気体ばね100の後方側に、そして互いの端部が近くなる方向に延長されて、気体ばねが連結されるように構成されて、曲げ角度による補助力の差を最小化することができるようになる。
【0028】
上体ベルト120は、板ばね100の上側に備えられて、人体の上体に着用できるように構成されることができる。上体ベルト120は、肩ベルト121と胸ベルト122を含むことができる。肩ベルト121は、一対で構成され、一対の肩ベルト121の上側を固定することができるように、連結ハブが備えられることができる。連結ハブ131は、板ばね100の上側に備えられ、左右方向に所定長さで延長されて形成されることができ、左右側のそれぞれに一対の肩ベルト121の一側がそれぞれ連結されることができる。胸ベルト122は、大体板ばね100の中間支点に一側が固定され、人体の胸の周りに着用できるように構成されることができる。一方、前述した肩ベルト121と胸ベルト122は、一つに連結されて構成されることができ、また、長さが調節できるように適用されることができる。また、板ばね100上でスライディングしながら、位置が調節されることができるベルトスライド132上に一側が固定されることができる。ただ、このようなベルトの構成は、公知の広く用いられる方式に変形されて適用されることができる。
【0029】
ヘッドレスト140は、板ばねの上側端部に備えられ、使用者が人体屈伸補助装置1を着用して、後屈動作をする時に、頭を支持することができるように構成されることができる。ヘッドレスト140は、板ばね100と左右方向の軸を中心として角度が調節されることができるように連結されることができる。また、伸長の差によって、ヘッドレストの上下位置を調節することができるように構成されることができる。
【0030】
中心フレーム300は、着用時に骨盤の後方側を支持することができるように構成されることができる。中心フレーム300の中心部分には、前述の板ばね100の下側が固定されて設置されることができる。中心フレーム300は、前方が開放されたC状に構成されることができる。すなわち中心フレーム300は、後方から左右側で前方を向けて所定曲面で延長されて形成されることができる。
【0031】
骨盤ベルト310は、中心フレーム300の左右端部の前方側に備えられることができ、使用者が人体屈伸補助装置1を着用した時に腹部側を固定することができるように構成されることができる。骨盤ベルト310は、左右側に対応する一対で構成されて結合して連結されるように構成されることができる。ただ、このようなベルトの構成は、広く知られた多様な構成に変形されて適用されることができる。
【0032】
下肢フレーム400は、下肢、すなわち太ももに支持力を伝達することができるように構成されることができる。下肢フレーム400は、一対で構成されて、中心フレーム300の左右側でそれぞれ左右方向の軸を中心として回転可能に連結されることができる。下肢フレーム400は、中心フレーム300の左右側で略下側方向に延長されて形成され、3次元的曲線経路に延長されて形成されることができる。下肢フレーム400の下側には、少なくとも一部が太ももの前方と密着されることができるように、一部が螺旋経路に沿って曲げられて備えられることができる。
【0033】
ギアボックス500は、下肢フレーム400と中心フレーム300の連結部分に備えられ、後述する制御ユニット600の駆動によって選択的に角度が調節されるか、角度が拘束されることができるように構成されることができる。一方、ギアボックス500に対しては、図4を参照して後述する。
【0034】
下肢ベルト410は、下肢フレーム400の下端に備えられ、使用者が下肢、すなわち太ももに着用できるように構成されることができる。したがって、使用者が人体屈伸補助装置1を着用して使用する途中に、下肢フレーム400が太ももに着用した位置を保持することができるようになる。
【0035】
制御ユニット600は、中心フレーム300の一側に備えられ、後述する下肢フレーム400の動きを選択的に拘束することができるように構成されることができる。制御ユニット600は、後述するセンサ部からセンシングした値に基づいて、下肢フレーム400に連結された駆動部を駆動して、一側移動方向を拘束することができるように構成されることができる。制御ユニット600は、電源部(図示しない)及びプロセッサを含んで構成されることができる。一方、制御ユニット600の詳細な構成に対しては後述する。
【0036】
センサ部は、人体の動作を感知できるように構成されることができる。センサ部は、傾斜度センサ610及びロードセンサ620を含んで構成されることができる。センサ部は、上体の角度及び角度の変化量を測定して制御ユニット600に送信することができる。また、ロードセンサ620は、下肢フレーム400上で太ももと密着される部分に備えられて、圧力を測定することができるように構成されることができる。傾斜度センサ610は、ジャイロセンサ、加速度センサなど広く知られた多様な構成で備えられることができる。また、ロードセンサ620は、圧力または力を測定することができる広く知られた多様な構成で構成されることができる。
【0037】
一方、センサ部と制御ユニット600、そして駆動部を連結する配線が備えられることができる。配線は、少なくとも一部が下肢フレーム400または中心フレーム300に沿って配置されることができる。
【0038】
以下では、図4を参照してギアボックス500について詳しく説明する。
【0039】
図4は、ギアボックス500の部分切開図である。図4には使用者が着用した時に人体屈伸補助装置1の左側に備えられたギアボックス500について説明するが、右側にも左右対称的にギアボックス500が備えられることができ、これに対しては、説明を省略する。
【0040】
図4を参照すると、ギアボックス500は、下肢フレーム400と中心フレーム300の連結部分に備えられることができる。ギアボックス500には、ラチェットギアスカート510、ラチェットギアシャフト520(ratchet gear shaft)、ラチェットギア(ratchet gear)、歯止め540(pawl)、駆動部及び手動制御ノブ560を含んで構成されることができる。
【0041】
ラチェットギアスカート510は、ラチェットギア530に連結されて一緒に回転することができるように構成されることができる。ラチェットギアスカート510は、所定の長さで延長されて形成され、上側がラチェットギア530と連結され、下側が下肢フレーム400と回転可能に連結されることができる。ラチェットギアスカート510と下肢フレーム400との間には回転可能にヒンジが備えられることができる。ヒンジは、前後方向の軸を中心として下肢フレーム400がラチェットギアスカート510と相対的に回転可能に連結されることができる。したがって、使用者が左右方向に下肢を広げたり閉じる時に抵抗がなしに下肢フレーム400の左右方向の角度が自然に調節されることができる。一方、この時、垂直方向の支持力はラチェットギアスカート510を通じて伝達されることができる。
【0042】
ラチェットギアシャフト520(ratchet gear shaft)は、ラチェットギア530が中心シャフト上で左右方向の軸を中心として回転することができるように構成される。ラチェットギア530は、所定の長さで形成されて、ラチェットギア530及びメインシャフトの少なくとも一つに回転可能に連結されることができる。
【0043】
ラチェットギア(ratchet gear)は、所定外径を有するように構成され、歯止め540(pawl)とともに作用して、一側方向への回転は許容するが、他側への方向は拘束することができるように構成されることができる。ラチェットギア530の許容される方向は、使用者が人体屈伸補助装置1を着用した時に太ももを後方に動く方向に決められることができる。逆に、太ももを前方に動く方向は、歯止め540によって拘束されて、ラチェットギア530が回転されないように構成されることができる。この場合、下体が固定されている時、逆に腰を曲げる方向への動きは拘束し、腰を伸ばす方向への動きは自在に行われるようになる。
【0044】
歯止め540(pawl)は、前述のラチェットギア530と作用して、ラチェットギア530の回転方向を決めるように構成されることができる。歯止め540は、ギアボックス500上の一地点を基準として回転可能に連結されることができる。歯止め540は、一側が後述する両方向ソレノイド550と連結されて、ラチェットギア530との連関(engaging)される作用が行われたり解除されることができる。すなわち、歯止め540の角度が調節されて、ラチェットギア530と接触しない状態では、ラチェットギア530は自在に回転することができ、歯止め540の角度が調節されて、ラチェットギア530と接触される場合、前述のように、下肢フレーム400が一方向のみに回転可能になる。
【0045】
駆動部は、制御ユニット600の制御入力によって2つの位置に調節されることができるように構成されることができる。駆動部は、一例として、両方向ソレノイド550で構成されることができる。両方向ソレノイド550は、歯止め540の一側と連結されて、外部の制御入力によって選択的に歯止め540の位置を調節することができる。したがって、ラチェットギア530との作用が実行されたり、解除されることができる。両方向ソレノイド550は、内側にプランジャー(plunger)が備えられて、作動方向に移動されることができる。プランジャーの一側は、作動方向に延長されて形成され、歯止め540の一側と回転可能に連結されることができる。
【0046】
手動制御ノブ560は、前述のプランジャーの他側と連結されることができる。手動制御ノブ560は、所定長さで延長されて、ギアボックス500の外部に露出されることができるように構成されることができる。使用者は、別途の制御入力がない場合でも選択的に手動制御ノブ560を引っ張たり押し入れることにより、歯止め540の位置を調節することができる。すなわち手動でラチェットギア530の回転方向を拘束したり解除することができる。
【0047】
以下では、図5a及び図5bを参照して、本発明に係る人体屈伸補助装置1で補助力を提供する時の作動について説明する。説明の便宜のために、板ばね100及び気体ばね200のみを側面図に示し、残り構成要素は省略されている。
【0048】
図5a及び図5bは、板ばね100及び気体ばね200の作動状態図である。
【0049】
図5aを参照すると、外部からの力が作用されない場合の初期状態が示されている。この場合、上体の背中の屈曲に対応して、板ばね100が適切に密着されることができるように構成される。
【0050】
図5bを参照すると、中心フレーム300が固定されている時、使用者が上体を曲げると、板ばね100が上体について前方側へ曲がるようになり、また、気体ばね200が伸長しながらエネルギーを保存するようになる。この時、板ばね100は、上体が曲げられるにつれて、これに対応して適切に変形されながら、背中に支持力を伝達するようになる。板ばね100と気体ばね200は、保存されたエネルギーを図5aの状態に修復するための復元力を提供する。板ばね100は、自らの弾性によって復元力を提供し、気体ばね200は伸縮されながら復元力を伝達するようになる。この時、気体ばね第1ブラケット111と気体ばね第2ブラケット112が板ばね100から所定距離離隔され、また、互いに向かって延長されて、気体ばね200から力を受ける地点が決まる。また、気体ばね第1ブラケット111と気体ばね第2ブラケット112に気体ばね200が連結される地点が板ばね100から所定距離離隔されるので、板ばね100にトルクが発生されて、使用者の腰を伸ばす動作を助ける。この時に発生された復元力は、肩ベルト121及び胸ベルト122を通じて上体に伝達されることができる。
【0051】
図6は、気体ばねの制御概念を示した図面である。
【0052】
図6を参照すると、気体ばねは、ロックキング(locking)機能が備えられた引張気体ばねで備えられることができる。すなわち気体ばねが伸長された後、逆方向にシリンダー内部で力が作用する時に、流路を遮断して、ロッキングされることができるように構成されることができる。一例として、ピストンを挟んで二つのチャンバの間の流路、すなわちピストン上に形成された流路を選択的に遮断することができるように構成されるパイロットスピンドル(pilot spindle)201を含むことができる。パイロットスピンドルの下側には、ソレノイドが備えられて、制御部の制御によってパイロットスピンドルの位置を調節することができる。したがって、気体ばね200が伸長された時に自動にロッキングされ、その後、気体ばね200を原位置に復帰させる時には、制御部がソレノイドを作動させて、パイロットスピンドル201を押し出して、気体ばねをアンロックさせることができる。したがって、制御部の判断によって能動的に気体ばねによる引張力の作用時点を決めることができる。このような場合、使用者が腰を曲げた時、気体ばね200で腰を伸ばすことができる支持力を即時に作用せず、制御部が使用者が腰を伸ばすための動作を行うと判断された場合、気体ばね200に保存された引張力が発揮されて、初めて腰を伸ばすことを支援する力を伝達することができるようになる。
【0053】
以下では、図7及び図8を参照して制御ユニット600及び下肢フレーム400の作動について詳しく説明する。図7及び図8には下肢フレーム400の位置が固定されている時、板ばね100の角度が調節された状態を仮定して説明する。また、図7及び図8に示した状態で、ギアボックス500の内部状態を示した部分拡大図が一緒に示されている。
【0054】
図7は、下肢フレーム400の回転が自在な時の作動状態図であり、図8は、下肢フレーム400の角度が拘束される時の作動状態図である。
【0055】
図7を参照すると、使用者が椅子のような構造物に座る時の作動状態が示されている。使用者が椅子に座る時には、座る姿勢、すなわち下肢が上体から所定角度で前方を向けて曲げる動作が行われるべきであり、この時には大きな支持力を要求しない。したがって、制御ユニット600はソレノイド550を作動して歯止め540とラチェットギア530との連結を解除して、下肢フレーム400が中心フレーム300から自在に回転可能に制御する。一方、制御ユニット600は、傾斜度センサ610及びロードセンサ620からの値を受けて、現在使用者が座る姿勢であるか、起きるか、または重量物を持ち上げるのか否かを判断することができるようになる。一例として、制御ユニット600は、ロードセンサ620値が所定数値以下であり、上体の傾斜度が所定角度に曲がり、また下げたい場合には、座る過程と判断することができる。したがって、この場合には下肢フレーム400の回転を自在に制御する。
【0056】
図8を参照すると、制御ユニット600は、傾斜度センサ610及びロードセンサ620の測定値に基づいて、起きる動作及び重量物を持ち上げる動作であるか否かを判断して、支持力が伝達されることができるように、ラチェットギア530の回転角度を拘束させるようになる。制御ユニット600は、支持力の伝達のために、ソレノイド550を作動させ、歯止め540をラチェットギア530と連関させる。したがって、上体を伸ばすための復元力、すなわち板ばね100と気体ばね200で発揮される復元力は、下肢フレーム400と中心フレーム300を基準として板ばね100を伸ばす方向に作用する。この時、使用者に作用する復元力は、骨盤側に密着された中心フレーム300と下肢側に密着された下肢フレーム400によって同時に支持されて発揮される。したがって、支持力を分散させることができて、安定的に支持することが可能となる。
【0057】
一方、制御ユニット600は、傾斜度センサ610の角度が、上体を曲げてから上げるような典型的な起きる動作によって発生される値である場合、これに基づいてソレノイド550を制御して、歯止め540をラチェットギア530に作動させることができる。
【0058】
以下では、図9及び図10を参照して、本発明に係る一実施形態である人体屈伸補助装置1の使用例について説明する。
【0059】
図9は、本発明に係る一実施形態である人体屈伸補助装置1の使用状態図である。
【0060】
図9を参照すると、制御ユニット600は、歩くことと判断される場合、ソレノイド550を制御して、歯止め540とラチェットギア530との連関を解除することができる。この場合、制御ユニット600は、ロードセンサ620から測定される値が所定数値以下であり、傾斜度センサ610の値が所定数値以上の場合、すなわち使用者が典型的に歩く動作から測定されたデータに基づいて、現在歩く状態であるか否かを判断することができる。この時、ラチェットギア530の回転が拘束されなくて、屈伸補助装置1によって支持力が伝達されないので、使用者は自在に下体を動かして歩くことができるようになる。
【0061】
図10は、本発明に係る一実施形態である人体屈伸補助装置1の他の使用状態図である。
【0062】
図10を参照すると、制御ユニット600は、傾斜度センサ610から測定された値が所定数値以上である場合、使用者が歩かないで、上体を曲げて座るか、重量物を持ち上げることに判断して、ソレノイド550を作動させて、歯止め540をラチェットギア530に連関させるようになる。すなわち、ラチェットギアを一方向のみ回転可能に固定(locking)させるようになる。ラチェットギアが固定された状態での人体曲げは、板ばね100を曲げて弾性反撥力として保存され、同時に気体ばね200を伸ばして引張力として保存される。この時、伸長された状態の気体ばねはロッキングされることができる。一方、重量物を持ち上げる場合、上体に伝達された負荷は、肩ベルト121、胸ベルト122を通じて板ばね100に伝達され、また、中心フレーム300と下肢フレーム400に伝達される。結局、下肢フレーム400と太ももとの間に備えられたロードセンサ620の値が上昇するので、制御ユニット600は、これに基づいて人体の屈伸可否を判断することができる。
【0063】
制御ユニット600が人体の前屈動作、すなわち、重量物を持ち上げる動作と判断して、気体ばねコントロールソレノイド630を作動させて、気体ばねのロッキングを解除して、引張力を発揮するようになる。したがって、使用者の上体は、下体を基準としてさらに下げられないように支持力が発揮される。すなわち、重量物を持ち上げる時に一度持ち上げた高さ以下に下がらないように保持する支持力が発揮されることができる。使用者が腰を伸ばす動作では、使用者が発揮する力、板ばね100及び気体ばね200によって上体を牽引する力によって、上体を真っ直ぐに伸ばすことができ、板ばね100及び気体ばね200による牽引力が消えると、歯止め540がラチェットギア530の回転を許容して、下肢フレームの動きは自在な状態になる。
【0064】
一方、前述の図7図10では、制御ユニット600によって下肢フレーム400の回転方向が拘束される例について説明したが、使用者は、ギアボックス500に露出された手動制御ノブ560を押し入れたり引っ張って、手動でラチェットギア530の回転方向を拘束することができる。
【0065】
以上で説明したように、本発明に係る人体屈伸補助装置は、腰を曲げる動作によってエネルギーを保存し、逆に腰を伸ばす動作にエネルギーを伝達して役に立つようにして人体を補助することができる。
【0066】
また、現在人体の動作を判断して、下体に補助力が伝達される時期を決めることができ、補助力が不必要な場合、自在な下体の動きが可能で、不便感を最小化することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 人体屈伸補助装置
100 板ばね
111 気体ばね第1ブラケット
112 気体ばね第2ブラケット
120 上体ベルト
131 連結ハブ
132 ベルトスライド
140 ヘッドレスト
200 気体ばね
201 パイロットスピンドル
300 中心フレーム
310 骨盤ベルト
400 下肢フレーム
410 下肢ベルト
500 ギアボックス
510 ラチェットギアスカート
520 ラチェットギアシャフト(ratchet gear shaft)
530 ラチェットギア(ratchet gear)
540 歯止め(pawl)
550 両方向ソレノイド
560 手動制御ノブ
600 制御ユニット
610 傾斜度センサ
620 ロードセンサ
630 (気体ばね)コントロールソレノイド
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10