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特許7374532選択性の高いROS1阻害剤としての化合物、及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】選択性の高いROS1阻害剤としての化合物、及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 498/22 20060101AFI20231030BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20231030BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231030BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231030BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
C07D498/22 CSP
A61K31/519
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P11/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022529102
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-24
(86)【国際出願番号】 CN2020129652
(87)【国際公開番号】W WO2021098703
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】201911128342.0
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010388478.1
(32)【優先日】2020-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010995918.X
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520175190
【氏名又は名称】クワンチョウ ジョーヨー ファーマテック カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、チエンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、コアンウェン
(72)【発明者】
【氏名】スン、チーコイ
(72)【発明者】
【氏名】アオ、チーホア
(72)【発明者】
【氏名】リー、ポン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リー、チウ
(72)【発明者】
【氏名】リー、チエン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シューホイ
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/165967(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/170381(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/094143(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/206069(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IV)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【化1】


(ただし、
はH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、及び任意選択で1、2又は3個のRで置換されたC1-3アルキルから選択され;
はH、及び任意選択で1、2又は3個のRで置換されたC1-3アルキルから選択され;
構造単位
【化2】

から選択され;
及びRはそれぞれ独立してF、Cl、Br、及びCHから選択される。)
【請求項2】
はH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、及びCHから選択され、前記CHは任意選択で1、2又は3個のRで置換される、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
がFから選択される、請求項2に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
がH、及びCHから選択される、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
構造単位
【化3】


から選択される、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
下記から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【化4】


(ただし、
は請求項1~3のいずれか1項に定義された通りであり;
は-CH(CH)CH-、
【化5】

から選択される。)
【請求項7】
下記の化合物から選択される化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【化6】
【請求項8】
下記から選択される請求項7に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【化7】
【請求項9】
式(V)又は式(VI)で表される化合物。
【化8】


(ただし、
はH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、及び任意選択で1、2又は3個のRで置換されたC1-3アルキルから選択され;
はH、及び任意選択で1、2又は3個のRで置換されたC1-3アルキルから選択され;
はOH、及びO-C1-3アルキルから選択され;
は-CH(CH)CH-、
【化9】

から選択され;
及び それぞれ独立してF、Cl、Br、及びCHから選択される。)
【請求項10】
ROS1阻害剤関連医薬の調製における、請求項1~のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項11】
前記ROS1阻害剤関連医薬が癌の治療に使用される医薬であることを特徴とする、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
ROS1阻害剤関連医薬が肺癌の治療に使用される医薬であることを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は下記に優先権を主張する:
CN201911128342.0、出願日は:2019年11月18日であり;
CN202010388478.1、出願日は:2020年05月09であり;
CN202010995918.X、出願日は:2020年09月21である。
【0002】
本発明は選択性の高いROS1阻害効果を有する化合物、及びROS1キナーゼの異常な発現に関連する疾患の医薬の調製におけるその使用に関する。具体的に、式(IV)で表される化合物、及びその薬学的に許容される塩に関する。
【背景技術】
【0003】
プロテインキナーゼは人体内で重要な役割を果たしており、人体のさまざまな細胞の増殖、分化、代謝、アポトーシスなどのプロセスに広く関与している。プロテインキナーゼの発癌性形態は、さまざまな異なるヒト腫瘍タイプで豊富に発現され、いくつかの特定のキナーゼ阻害剤に非常に反応する。c-rosプロトオンコジーン1受容体チロシンキナーゼ(c-rosoncogene1receptortyrosinekinase、ROS1)は、インスリン受容体スーパーファミリーに属し、RAS/MAPK、PI3K/AKT、STAT3などの主要なシグナル経路を調節することにより、細胞の成長、増殖、及び形質転換に広く関与し、器官の発育と成熟に関与している可能性がある。遺伝子点突然変異、過剰発現、及び遺伝子融合などのROS1キナーゼの異常な発現のいずれも、そのキナーゼ活性の調節不全を引き起こすことができ、また、多くのヒトの癌タイプに関連している。
【0004】
ROS1融合キナーゼは細胞外ドメインを失い、膜貫通型、及び細胞内チロシンキナーゼドメインを保留する。それは、リガンド結合なしで構成的に活性化され、基質タンパク質をリン酸化することによって腫瘍形成を誘導し、腫瘍細胞の生存と増殖を促進する。CD74-ROS1遺伝子融合は、2007年にNSCLC患者で最初に発見され、これまでは14種を超えるパートナー遺伝子が同定された。ROS1遺伝子融合は、EGFR突然変異とALK融合後のもう1つの明確なNSCLCドライバー遺伝子であり、東アジアの人の陽性発生率は約2~3%であり、欧米は約1~2%である。2016年3月、わずか50人の患者のデータ(PROFILE1001)に基づいて、FDAはクリゾチニブ(Crizotinib)をROS1遺伝子融合NSCLCの治療薬として承認した。クリゾチニブの効果は有意であるが(客観的奏効率は72%である)、約1年後に薬剤耐性に発展し、その中で脳転移(最大47%)とROS1キナーゼの薬剤耐性突然変異(約50~60%、溶媒フロンティア突然変異G2032Rが約40%を占める)は、クリゾチニブの主な薬剤耐性メカニズムであることが証明された。脳転移のある患者の場合、脳に入る可能性のある医薬であるエントレクチニブ(RXDX-101)とロルラチニブ(Lorlatinib)はさらなるPFSメリットをもたらす可能性があるが、後天的な薬剤耐性突然変異は必然的に発生する。一次治療又は二次治療が失敗した後は、利用できる薬がない。後天性G2032R溶媒フロンティア薬剤耐性突然変異を有する患者については、現在、市販されている標的薬はない。臨床研究中のROS1阻害剤の中で、TP Therapeutics社によって開発されたレポトレクチニブ(TPX-0005)のみが、G2032R溶媒フロンティア薬剤耐性突然変異を有する患者に有効であることが証明された。しかし、他のすべての臨床ROS1阻害剤と同様に、レポトレクチニブ(TPX-0005)もマルチキナーゼ阻害剤であり、重大なオフターゲット副作用を伴う。特に、エントレクチニブ(RXDX-101)とレポトレクチニブ(TPX-0005)はどちらも強力な汎NTRK阻害剤であり、味覚障害、めまい、知覚異常、体重増加などの臨床で広範な副作用があり、これらの副作用は、それがTrkキナーゼに対する強力な阻害によるオフターゲットに関連している可能性がある。ROS1遺伝子融合のみの患者の場合、標的関連の副作用に加えて、標的外によって引き起こされる追加的な副作用にも耐える必要があり、これは治療効果と患者の体験に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、ROS1遺伝子融合によるNSCLCの臨床治療には、血液脳関門を突破し、現在の市場で薬剤耐性突然変異に効果的である可能性のある、標的外の副作用が少ない選択的ROS1阻害剤を有する化合物が緊急に必要となっている。
【0006】
【化1】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は式(IV)で表される化合物、又はその薬学的に或許容される塩を提供し、
【0008】
【化2】
【0009】
ただし、
はH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、及び任意選択で1、2又は3個のRで置換されたC1-3アルキルから選択され;
はH、及び任意選択で1、2又は3個のRで置換されたC1-3アルキルから選択され;
は-C1-3アルキル-、-C3-6シクロアルキル-、及び-C3-6シクロアルキル-C1-3アルキル-から選択され、前記-C1-3アルキル-、-C3-6シクロアルキル-、及び-C3-6シクロアルキル-C1-3アルキル-は任意選択で1、2又は3個のRで置換され;
は-C1-3アルキル-、及び-O-から選択され;
、R、及びRはそれぞれ独立してF、Cl、Br、及びCHから選択される。
【0010】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記RはH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、及びCHから選択され、前記CHは任意選択で1、2又は3個のRで置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0011】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記RはFから選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0012】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記RはH、及びCHから選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0013】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記Lは-CH-、-CH(CH)CH-、-シクロプロピル-CH-、及び-シクロブチル-から選択され、前記-CH-、-CH(CH)CH-、-シクロプロピル-CH-、及び-シクロブチル-は任意選択で1、2又は3個のRで置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記Lは-CH-、-CH(CH)CH-、
【0014】
【化3】
【0015】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0016】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記Lは-CH-、及び-O-から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0017】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記構造単位
【0018】
【化4】
【0019】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0020】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記構造単位
【0021】
【化5】
【0022】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0023】
本発明のいくつかの実施の態様では、前記変量の任意の組み合わせからなるものである。
【0024】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は下記から選択され:
【0025】
【化6】
【0026】
ただし、
、R、L、及びLは本発明で定義された通りであり;
「*」がついた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一のエナンチオマーの形態、又は1つのエナンチオマーに富んだ形態で存在する。
【0027】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は下記から選択され:
【0028】
【化7】
【0029】
ただし、
、及びLは本発明で定義された通りである。
【0030】
本発明は、更に下記の式で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、それは下記から選択される。
【0031】
【化8】
【0032】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は下記から選択される。
【0033】
【化9】
【0034】
本発明の幾つかの実施の態様において、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物であり、
【0035】
【化10】
【0036】
ただし、
はH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、及び任意選択で1、2又は3個のRで置換されたC1-3アルキルから選択され;
はH、及び任意選択で1、2又は3個のRで置換されたC1-3アルキルから選択され;
はOH、及びO-C1-3アルキルから選択され;
は-C1-3アルキル-、-C3-6シクロアルキル-、及び-C3-6シクロアルキル-C1-3アルキル-から選択され、前記-C1-3アルキル-、-C3-6シクロアルキル-、及び-C3-6シクロアルキル-C1-3アルキル-は任意選択で1、2又は3個のRで置換され;
、R、及びRはそれぞれ独立してF、Cl、Br、及びCHから選択され;
「*」がついた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一のエナンチオマーの形態、又は1つのエナンチオマーに富んだ形態で存在する。
【0037】
本発明の幾つかの実施の態様において、塩基と溶媒Aの条件下で、式(V)から式(VI)を調製し;
【0038】
【化11】
【0039】
式(VI)はリガンドと溶媒Bの条件下で式(IV-3)又は(IV-4)を調製し;
【0040】
【化12】
【0041】
ただし、
はH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、及び任意選択で1、2又は3個のRで置換されたC1-3アルキルから選択され;
はH、及び任意選択で1、2又は3個のRで置換されたC1-3アルキルから選択され;
はOH、及びO-C1-3アルキルから選択され;
は-C1-3アルキル-、-C3-6シクロアルキル-、及び-C3-6シクロアルキル-C1-3アルキル-から選択され、前記-C1-3アルキル-、-C3-6シクロアルキル-、及び-C3-6シクロアルキル-C1-3アルキル-は任意選択で1、2又は3個のRで置換され;
、R、及びRはそれぞれ独立してF、Cl、Br、及びCHから選択され;
「*」がついた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一のエナンチオマーの形態、又は1つのエナンチオマーに富んだ形態で存在する。
【0042】
がOHから選択される時、
前記塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、ギ酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、又はN-エチルジイソプロピルアミンから選択され;
前記縮合剤は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)次亜リン酸塩化物(BOP-Cl)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリス(ピロリジノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PYBOP)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、2-(7-アゾベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、及びO-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)から選択され;
前記溶媒Aは、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、及びN,N-ジメチルアセトアミドから選択され;
がO-C1-3アルキルから選択される時、
前記塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、ギ酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、又はN-エチルジイソプロピルアミンから選択される。
前記リガンドは、トリフェニルホスフィン、トリメチルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリブチルホスフィン、及びジエチルフェニルホスフィンから選択され;
前記塩基性試薬は、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、及びアゾジカルボン酸ジエチルから選択され;
前記溶媒Bは、トルエン、キシレン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びN-メチルピロリドンから選択される。
【0043】
本発明の幾つかの実施の態様において、塩基と溶媒Aの条件下で、式(V)から式(VI)はを調製し、次に、式(VI)をリガンドと溶媒Bの条件下で式(IV-3)又は(IV-4)を調製し;
【0044】
【化13】
【0045】
ただし、
はH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、及び任意選択で1、2又は3個のRで置換されたC1-3アルキルから選択され;
はH、及び任意選択で1、2又は3個のRで置換されたC1-3アルキルから選択され;
はOH、及びO-C1-3アルキルから選択され;
は-C1-3アルキル-、-C3-6シクロアルキル-、及び-C3-6シクロアルキル-C1-3アルキル-から選択され、前記-C1-3アルキル-、-C3-6シクロアルキル-、及び-C3-6シクロアルキル-C1-3アルキル-は任意選択で1、2又は3個のRで置換され;
、R、及びRはそれぞれ独立してF、Cl、Br、及びCHから選択され;
「*」がついた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一のエナンチオマーの形態、又は1つのエナンチオマーに富んだ形態で存在する。
【0046】
前記塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、ギ酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、又はN-エチルジイソプロピルアミンから選択され;
前記溶媒Aは、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、及びN,N-ジメチルアセトアミドから選択され;
前記リガンドは、トリフェニルホスフィン、トリメチルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリブチルホスフィン、及びジエチルフェニルホスフィンから選択され;
前記溶媒Bは、トルエン、キシレン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びN-メチルピロリドンから選択される。
【0047】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記RはOH、O-Me、及びO-Etから選択される。
【0048】
本発明の幾つかの実施の態様において、ROS1阻害剤関連治療薬の調製における前記化合物又はその薬学的に許容される塩の使用である。
【0049】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記使用は、前記ROS1阻害剤に関連する医薬が癌に使用される医薬であることを特徴とする。
【0050】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記使用は、前記ROS1阻害剤に関連する医薬が肺癌に使用される医薬であることを特徴とする。
【0051】
合成方法:
本発明の化合物は、当業者に周知の様々な合成方法、一連の合成ステップによって調製することができる。
【0052】
一般に、式(IV)で表される化合物は、式(V)で表される中間化合物を出発材料として、下記の反応プロセス1で調製することができる。
【0053】
反応プロセス1:
【0054】
【化14】
【0055】
又は
【0056】
【化15】
【0057】

ただし、
はH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、及び任意選択で1、2又は3個のRで置換されたC1-3アルキルから選択され;
はH、及び任意選択で1、2又は3個のRで置換されたC1-3アルキルから選択され;
はOHから選択され;
は-C1-3アルキル-、-C3-6シクロアルキル-、及び-C3-6シクロアルキル-C1-3アルキル-から選択され、前記-C1-3アルキル-、-C3-6シクロアルキル-、及び-C3-6シクロアルキル-C1-3アルキル-は任意選択で1、2又は3個のRで置換され;
、R、及びRはそれぞれ独立してF、Cl、Br、及びCHから選択され;
「*」がついた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一のエナンチオマーの形態、又は1つのエナンチオマーに富んだ形態で存在する。
【0058】
式(V)で表される化合物を反応プロセス1のステップ1における出発材料とし、
【0059】
【化16】
【0060】
と反応させる。当該反応は、適切な塩基(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、ギ酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、又はN-エチルジイソプロピルアミン)、縮合剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)次亜リン酸塩化物(BOP-Cl)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリス(ピロリジノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PYBOP)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、2-(7-アゾベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、及びO-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU))、適切な溶媒A(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、又はN,N-ジメチルアセトアミド)を必要とし、反応温度20℃~30℃で反応させる。
【0061】
反応ステップ2において、式(VI)はリガンドと溶媒の条件下で式(IV)を調製し、当該反応はリガンド(例えば、トリフェニルホスフィン、トリメチルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリブチルホスフィン、又はジエチルフェニルホスフィン)、塩基性試薬(例えば、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、又はアゾジカルボン酸ジエチル)、適切な溶媒B(例えば、トルエン、キシレン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、又はN-メチルピロリドン)を必要とし、反応温度20℃~30℃で反応させる。
【0062】
式(V)で表される化合物は、当業者に周知の一般的な反応プロセスに従って調製することができる。例えば、式(V)で表される化合物は、反応プロセス2に従って調製することができる。
【0063】
反応プロセス2:
【0064】
【化17】
【0065】

ただし、YはOTf、OTs、及びOSOPhから選択され;XはF、Cl、Br、及びIから選択され;RはOH、及びO-C1-3アルキルから選択され;
「*」がついた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一のエナンチオマーの形態、又は1つのエナンチオマーに富んだ形態で存在する。
【0066】
反応ステップにおいて、式(VII)で表される化合物と式(VIII)で表される化合物を塩基、適切な溶媒の条件下で反応させる。当該反応は、塩基(トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、又は4-ジメチルアミノピリジン)、適切な溶媒(たとえば、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジクロロメタン、イソプロパノール、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、又はN,N-ジメチルアセトアミド)を必要とし、反応温度20℃~30℃で反応させる。
【0067】
式(V-1)で表される化合物は、当業者に周知の一般的な反応プロセスに従って調製することができる。例えば、式(V-1)で表される化合物は、反応プロセス3に従って調製することができる。
【0068】
反応プロセス3:
【0069】
【化18】
【0070】
ただし、RはO-C1-3アルキルから選択され;
「*」がついた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)単一のエナンチオマーの形態、又は1つのエナンチオマーに富んだ形態で存在する。
【0071】
反応ステップにおいて、式(V-1)で表される化合物は適切な塩基(例えば、水酸化リチウム一水和物)と適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)で、反応温度20℃~30℃で反応させる。
【0072】
式(VII)で表される化合物は、当業者に周知の一般的な反応プロセスに従って調製することができる。例えば、式(VII)で表される化合物は、反応プロセス4に従って調製することができる。
【0073】
反応プロセス4:
【0074】
【化19】
【0075】
ただし、YはOTf、OTs、及びOSOPhから選択され;RはOH、及びO-C1-3アルキルから選択され;
反応ステップ4において、式(IX)で表される化合物は、適切な塩基と適切な溶媒の条件下で、3-エトキシアクリル酸エチルと反応させる。当該反応は適切な塩基(例えば、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、リン酸カリウム、又は酢酸ナトリウム)、適切な溶媒(例えば、トルエン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、又はN,N-ジメチルアセトアミド)を必要とし、反応温度110℃~130℃で反応させる。次の反応ステップ5において、シアン化第一銅を適切な溶媒(例えば、N、N-ジメチルホルムアミド)の条件下で反応させる。次の反応ステップ6において、求電子試薬(例えば、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、p-トルエンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリド)と適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の中で、反応温度20℃~30℃で反応させる。
【0076】
[技術的効果]
本発明の化合物は、ROS1キナーゼとその突然変異体ROS1-G2032Rにおいて高いキナーゼ阻害活性を示し、これは、TPX-0005の活性に匹敵する;しかしながら、本発明の化合物は、TrkAとALKキナーゼに対する阻害活性は弱く、高い選択性を示し、選択性は、TPX-0005よりも有意に優れている。本発明の化合物は、ROS1融合細胞株Ba/F3 SLC34A2-ROS1とその突然変異細胞株Ba/F3 SLC34A2-ROS1-G2032Rに対して高い細胞増殖阻害活性を示し、本発明の化合物は、Ba/F3 LMNA-NTRK1-WT細胞株に対して弱い阻害活性を示し、Ba/F3SLC34A2-ROS1細胞株とBa/F3 SLC34A2-ROS1-G2032R細胞株と比較して、特にBa/F3 SLC34A2-ROS1-G2032R細胞株に対して有意な阻害選択性を示す;本発明の化合物は、優れた薬物動態特性を示す;本発明の化合物は、有意な腫瘍抑制効果を有する。
【0077】
定義と説明
別途に説明しない限り、本明細書で用いられる以下の用語及び連語は以下の意味を有する。一つの特定の用語又は連語は、特別に定義されたいない場合、不確定又は不明瞭ではなく、普通の定義として理解されるべきである。本明細書で商品名が出た場合、相応の商品又はその活性成分を指す。
【0078】
本明細書で用いられる「薬学的に許容される」は、それらの化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対するもので、これらは信頼できる医学的判断の範囲内にあり、ヒト及び動物の組織との接触に適し、毒性、刺激性、アレルギー反応又はほかの問題又は合併症があまりなく、合理的な利益/リスク比に合う。
【0079】
用語「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物の塩で、本発明で発見された特定の置換基を有する化合物と比較的に無毒の酸又は塩基とで製造される。本発明の化合物に比較的に酸性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は適切な不活性溶媒において十分な量の塩基でこれらの化合物と接触させることで塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミン又はマグネシウムの塩或いは類似の塩を含む。本発明の化合物に比較的に塩基性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は適切な不活性溶媒において十分な量の酸でこれらの化合物と接触させることで酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の実施例は、無機酸塩及び有機酸塩、さらにアミノ酸(例えば、アルギニンなど)の塩、及びグルクロン酸のような有機酸の塩を含み、前記無機酸は、たとえば塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸などを含み、前記有機酸は、たとえば酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、ベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸やメタンスルホン酸などの類似の酸を含む。本発明の一部の特定の化合物は、塩基性及び酸性の官能基を含有するため、任意の塩基付加塩又は酸付加塩に転換することができる。
【0080】
本発明の薬学的に許容される塩は、酸基又は塩基性基を含む母体化合物から通常の方法で合成することができる。通常の場合、このような塩の製造方法は、水又は有機溶媒或いは両者の混合物において、遊離酸又は塩基の形態のこれらの化合物を化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させて製造する。
【0081】
別途に説明しない限り、用語「異性体」は、幾何異性体、シス-トランス異性体、立体異性体、エナンチオマー、光学異性体、ジアステレオマー、及び互変異性体異性体を含むことを意味する。
【0082】
本発明の化合物は、特定の幾何又は立体異性体の形態が存在してもよい。本発明は、すべてのこのような化合物を想定し、シス及びトランス異性体、(-)-及び(+)-鏡像異性体、(R)-及び(S)-鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、及びそのラセミ混合物ならびにほかの混合物、たとえばエナンチオマー又はジアステレオマーを多く含有する混合物を含み、すべてのこれらの混合物は本発明の範囲内に含まれる。アルキルなどの置換基にほかの不斉炭素原子が存在してもよい。すべてのこれらの異性体及びこれらの混合物はいずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0083】
別途に説明しない限り、用語「エナンチオマー」又は「光学異性体」とは互いに鏡像の関係にある立体異性体である。
【0084】
別途に説明しない限り、用語「シス-トランス異性体」又は「幾何異性体」とは二重結合又は環構成炭素原子の単結合が自由に回転できないことによるものである。
【0085】
別途に説明しない限り、用語「ジアステレオマー」とは分子が二つ又は複数のキラル中心を有し、かつ分子同士は非鏡像の関係にある立体異性体である。
【0086】
別途に説明しない限り、「(+)」は右旋を、「(-)」は左旋を、「「(±)」はラセミを表す。
【0087】
別途に説明しない限り、楔形実線結合
【0088】
【化20】
【0089】
を表す。
【0090】
別途に説明しない限り、用語「一つの異性体を豊富に含む」、「異性体が豊富に含まれる」、「一つのエナンチオマーを豊富に含む」又は「エナンチオマーが豊富に含まれる」とは、それにおける一つの異性体又はエナンチオマーの含有量が100%未満で、かつ当該異性体又はエナンチオマーの含有量が60%以上、又は70%以上、又は80%以上、又は90%以上、又は95%以上、又は96%以上、又は97%以上、又は98%以上、又は99%以上、又は99.5%以上、又は99.6%以上、又は99.7%以上、又は99.8%以上、又は99.9%以上である。
【0091】
別途に説明しない限り、用語「異性体の過剰量」又は「エナンチオマーの過剰量」とは、二つの異性体又は二つのエナンチオマーの間の相対百分率の差の値である。たとえば、その一方の異性体又はエナンチオマーの含有量が90%で、もう一方の異性体又はエナンチオマーの含有量が10%である場合、異性体又はエナンチオマーの過剰量(ee値)は80%である。
【0092】
光学活性な(R)-及び(S)-異性体ならびにD及びL異性体は、不斉合成又はキラル試薬又はほかの通常の技術を用いて調製することができる。本発明のある化合物の一つのエナンチオマーを得るには、不斉合成又はキラル補助剤を有する誘導作用によって調製することができるが、ここで、得られたジアステレオマー混合物を分離し、かつ補助基を分解させて単離された所要のエナンチオマーを提供する。或いは、分子に塩基性官能基(例えば、アミノ基)又は酸性官能基(例えば、カルボキシ基)が含まれる場合、適切な光学活性な酸又は塩基とジアステレオマーの塩を形成させ、さらに本分野で公知の通常の方法によってジアステレオマーの分割を行った後、回収して単離されたエナンチオマーを得る。また、エナンチオマーとジアステレオマーの分離は、通常、クロマトグラフィー法によって行われ、前記クロマトグラフィー法はキラル固定相を使用し、かつ任意に化学誘導法(例えば、アミンからカルバミン酸塩を生成させる)と併用する。
【0093】
本発明の化合物は、当該化合物を構成する一つ又は複数の原子には、非天然の比率の原子同位元素が含まれてもよい。たとえば、三重水素(H)、ヨウ素-125(125I)又はC-14(14C)のような放射性同位元素で化合物を標識することができる。また、たとえば、水素を重水素で置換して重水素化薬物を形成し、重水素と炭素からなる結合は水素と炭素からなる結合よりも強固で、未重水素化薬物と比べ、重水素化薬物は毒性・副作用の低下、薬物の安定性の増加、治療効果の増強、薬物の生物半減期の延長などの優勢がある。本発明の化合物のすべての同位体の構成の変換は、放射性の有無を問わず、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0094】
「任意の」又は「任意に」とは後記の事項又は状況によって可能であるが必ずしも現れるわけではなく、かつ当該記述はそれに記載される事項又は状況が生じる場合及びその事項又は状況が生じない場合を含むことを意味する。
【0095】
用語「置換される」とは、特定の原子における任意の一つ又は複数の水素原子が置換基で置換されることで、特定の原子の原子価状態が正常でかつ置換後の化合物が安定していれば、重水素及び水素の変形体を含んでもよい。置換基が酸素(即ち=O)である場合、2つの水素原子が置換されたことを意味する。酸素置換は、芳香族基に生じない。用語「任意に置換される」とは、置換されていてもよく、置換されていなくてもよく、別途に定義しない限り、置換基の種類と数は化学的に安定して実現できれば任意である。
【0096】
変量(たとえばR)のいずれかが化合物の組成又は構造に1回以上現れる場合、その定義はいずれの場合においても独立である。そのため、たとえば、一つの基が0~2個のRで置換された場合、前記基は任意に2個以下のRで置換され、かついずれの場合においてもRが独立の選択肢を有する。また、置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせであれば安定した化合物になる場合のみ許容される。
【0097】
連結基の数が0の場合、例えば、-(CRR)-は当該連結基が単結合であることを表す。
【0098】
置換基の数が0の場合、当該置換基が存在しないことを表し、例えば、-A-(R)は当該構造が実際に-Aであることを表す。
【0099】
置換基がない場合、当該置換基が存在しないことを表し、例えば、A-XにおけるXがない場合、当該構造が実際にAとなることを表す。
【0100】
そのうちの一つの変量が単結合の場合、それで連結している2つの基が直接連結しており、たとえばA-L-ZにおけるLが単結合を表す場合、この構造は実際にA-Zになる。
置換基の結合は交差して一つの環における2個以上の原子に連結する場合、このような置換基はこの環における任意の原子と結合してもよく、たとえば、構造単位
【0101】
【化21】
【0102】
はその置換基Rがシクロヘキシル基又はシクロヘキサジエンにおける任意の位置に置換されてもよいことを表す。挙げられた置換基に対してどの原子を通して置換された基に連結するか明示しない場合、こうのような置換基はその任意の原子を通して結合してもよく、たとえば、ピリジル基は置換基としてピリジン環における炭素原子のいずれかを通して置換された基に連結してもよい。
【0103】
挙げられた連結基に対してその連結方向を明示しない場合、その連結方向は任意で、例えば、
【0104】
【化22】
【0105】
における連結基Lは-M-W-で、この時-M-W-は左から右への読む順と同様の方向で環Aと環Bを連結して
【0106】
【化23】
【0107】
を構成してもよく、左から右への読む順と反対の方向で環Aと環Bを連結して
【0108】
【化24】
【0109】
を構成してもよい。前記連結基、置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせで安定した化合物になる場合のみ許容される。
【0110】
別途に定義しない限り、ある基が一つ又は複数の連結可能な部位を有する場合、当該基の任意の一つ又は複数の部位は化学結合を介してほかの基と連結してもよい。前記部位のほかの基と連結する化学結合は、直線形実線
【0111】
【化25】
【0112】
で表示される。たとえば、-OCH3における直線形実線の結合は当該基における酸素原子を介してほかの基と連結していることを表す。
【0113】
【化26】
【0114】
における直線形破線の結合は当該基における窒素原子の両端を介してほかの基と連結していることを表す。
【0115】
【化27】
【0116】
における波線は当該フェニルにおける1及び2位の炭素原子を介してほかの基と連結していることを表す;
【0117】
【化28】
【0118】
は当該ピペリジニルの任意の連結可能部位が一つの化学結合を介して他のラジカルに連結され得ることを表し、少なくとも
【0119】
【化29】
【0120】
の4つの連結形態が含まれ、-N-にH原子を描く場合でも
【0121】
【化30】
【0122】
は依然として
【0123】
【化31】
【0124】
結合型のラジカルを含み、1つの化学結合のみが連結されている場合、その部位のHはそれに応じて1つが減少して対応する一価ピペリジニルになる。
【0125】
別途に定義しない限り、環における原子の数は、通常、環の員数と定義され、例えば、「5~7員環」とは5~7個の原子が環状に並んでいる「環」を表す。
【0126】
用語「保護基」は「アミノ保護基」、「ヒドロキシ保護基」又は「メルカプト保護基」を含むが、これらに限定されない。用語「アミノ保護基」とはアミノ基の窒素の位置における副反応の防止に適する保護基を指す。代表的なアミノ保護基は、ホルミル基、アルカノイル基(たとえばアセチル基、トリクロロアセチル基又はトリフルオロアセチル基)ようなようアシル基、t-ブトキシカルボニル(Boc)基のようなアルコキシカルボニル基、ベントキシカルボニル(Cbz)基及び9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基のようなアリールメトキシカルボニル基、ベンジル(Bn)基、トリフェニルメチル(Tr)基、1,1-ビス(4’-メトキシフェニル)メチル基のようなアリールメチル基、トリメチルシリル(TMS)基及びt-ブチルジメチルシリル(TBS)基のようなシリル基などを含むが、これらに限定されない。用語「ヒドロキシ保護基」とはヒドロキシ基の副反応の防止に適する保護基を指す。代表的なヒドロキシ保護基は、メチル基、エチル基及びt-ブチル基のようなアルキル基、アルカノイル基(たとえばアセチル基)ようなようアシル基、ベンジル(Bn)基、p-メトキシベンジル(PMB)基、9-フルオレニルメチル(Fm)基及びジフェニルメチル(DPM)基のようなアリールメチル基、トリメチルシリル(TMS)基及びt-ブチルジメチルシリル(TBS)基のようなシリル基などを含むが、これらに限定されない。
【0127】
本発明の化合物は当業者に熟知の様々な合成方法によって製造するができ、以下挙げられた具体的な実施形態、ほかの化学合成方法と合わせた実施形態及び当業者に熟知の同等の代替方法を含み、好適な実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0128】
本発明の化合物は当業者に熟知の通常の方法によって構造を確認することができ、本発明が化合物の絶対配置に関わる場合、当該絶対配置は本分野の通常の技術手段によって確認することができる。例えば、単結晶X線回折法(SXRD)では、育った単結晶をBruker D8 venture回折装置によって回折強度のデータを収集し、光源をCuKα輻射とし、走査モード:φ/ω走査で、関連データを収集した後、さらに直接法(Shelxs97)によって結晶構造を解析することで、絶対配置を確認することができる。
【0129】
本発明に使用される溶媒は市販品として入手可能である。
【0130】
本発明において下記略語が使用される:aqは水を表し;HATUは2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファートを表し;eqは当量、等量を表し;DCMはジクロロメタンを表し;PEは石油エーテルを表し;DMSOはジメチルスルホキシドを表し;EtOAcは酢酸エチルを表し;EtOHはエタノールを表し;MeOHはメタノールを表し;Cbzはベンジルオキシカルボニルを表し、アミン保護基であり;Bocはtert-ブトキシカルボニルを表し、アミン保護基であり;r.t.は室温を表し;O/Nは一晩を表し;THFはテトラヒドロフランを表し;BocOは二炭酸ジ-tert-ブチルを表し;TFAはトリフルオロ酢酸を表し;DIPEAはジイソプロピルエチルアミンを表し;iPrOHは2-プロパノールを表し;mpは融点を表す。
【0131】
化合物は本分野の通常の命名原則又はChemDraw(登録商標)ソフトによって名付けられ、市販化合物はメーカーのカタログの名称が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0132】
図1】Ba/F3 CD74-ROS1-WT皮下異種移植モデルであり;Vehicleは溶媒対照群を表す。
図2】:ヒト肺癌LD1-0025-361019 PDX動物モデルであり;Vehicle controlは溶媒対照群を表す。
【発明を実施するための形態】
【0133】
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明の何らの不利な制限にもならない。本明細書は本発明を詳しく説明し、その具体的な実施例も開示したが、当業者には、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、本発明の具体的な実施形態に様々な変更や改良を加えることは、容易に想到できることである。
【0134】
参照例2:中間体A-2の合成
【0135】
【化32】
【0136】
ステップ1:化合物A-2-2の合成
【0137】
5Lの3つ口フラスコで、撹拌しながら、化合物A-2-1(170g、825.19mmol、1eq)をN,N-ジメチルホルムアミド(850mL)と水(340mL)の混合溶媒に加え、次に、順次に炭酸カリウム(171.07g、1.24mol、1.5eq)、テトラブチルアンモニウムアセテート(497.61g、1.65mol、2eq)と3,3-ジメトキシプロピレン(252.83g、2.48mol、3eq)を加えた後、窒素ガスで3回置換した、次に酢酸パラジウム(2.55g、11.36mmol)を加え、窒素ガス雰囲気下でゆっくりと95℃に加熱し(昇温時間は1.5時間である)、当該温度で16時間攪拌して反応させた。反応溶液を5℃に冷却させた後、塩酸水溶液(4M、860mL、4.17eq)を滴下して加え、内部温度を10~20℃に制御し(滴下時間は25分である)、滴下完了後、20~25℃で続いて30分間撹拌して反応させた。反応フラスコにゆっくりと炭酸水素ナトリウムを加えて、pHを6~7に調節し、20分間撹拌した後、反応溶液をメチルtert-ブチルエーテルで3回抽出した(1回目と2回目の抽出体積は1360mLであり、3回目の抽出体積は850mLである)。すべての有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄し(毎回850mLである)、有機相を無水硫酸ナトリウム(170g)で乾燥させ、減圧濾過し、濾液を45~50℃で真空濃縮して濃縮物を得た。当該濃縮物をn-ヘプタンとメチルtert-ブチルエーテルの混合溶媒(510mL;体積比はn-ヘプタン:メチルtert-ブチルエーテル=5.6:1である)で10分間スラリー化させ、濾過し、ケーキを真空乾燥させて粗生成物を得た。(R)-ジフェニルプロリノールトリメチルシリルエーテル(135.12g、415.09mmol、0.2eq)をジクロロメタン(1500mL)に溶解させ、0~5℃に冷却させ、攪拌しながら前記粗生成物と安息香酸(50.69g、415.09mmol、0.2当量)を加え、0~5℃で0.5時間撹拌した。次に、温度を-5~-7℃に冷却させ、ベンジルN-ヒドロキシカルバメート(416.33g、2.49mol、1.2eq)を加え、-5~10℃で続いて4時間攪拌して反応させた。反応完了後、反応溶液を0~5℃に冷却させ、次に濾過し、ケーキをジクロロメタン(500mL)で洗浄し、ケーキを45℃で16時間真空乾燥させて、化合物A-2-2を得た。H NMR (400MHz, CDCl) δ:7.98 (d, J=2.8 Hz, 1H), 7.57 (dd, J=2.8, 8.2 Hz, 1H), 7.46 - 7.37 (m, 5H), 5.86 (d, J=4.6 Hz, 1H), 5.62 (t, J=7.8 Hz, 1H), 5.30 (q, J=12.3 Hz, 2H), 4.02 (s, 3H), 3.01 (dd, J=8.5, 12.9 Hz, 1H), 2.21 - 2.13 (m, 1H);LCMS m/z=349.2 [M+H]
【0138】
ステップ2:化合物A-2-3の合成
【0139】
化合物A-2-2(50g、143.54mmol、1eq)をメタノール(250mL)に加え、撹拌し、0℃に冷却させ、バッチで水素化ホウ素ナトリウム(6.79g、179.43mmol、1.25eq)を加え、内部温度を0~10℃に制御し、添加完了後、20℃で60分間撹拌した反応させた。反応完了後、反応溶液に100mLの飽和塩化アンモニウム溶液を加えて反応をクエンチングさせ、次に50mLの水を加え、反応溶液をメチルtert-ブチルエーテルで3回抽出し、毎回200mLであった。有機相を合わせ、300mLの飽和塩化ナトリウムで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を45℃で真空濃縮して、化合物A-2-3を得た。H NMR (400MHz, CDCl) δ:7.89 (d, J=2.8 Hz, 1H), 7.68 (br s, 1H), 7.66 (dd, J=2.8, 8.4 Hz, 1H), 7.42 - 7.27 (m, 5H), 5.52 (dd, J=4.8, 10.8 Hz, 1H), 5.27 - 5.07 (m, 2H), 4.01 - 3.84 (m, 1H), 3.88 (s, 3H), 3.82 - 3.70 (m, 1H), 2.29 - 2.07 (m, 2H);LCMS m/z=351.1[M+H]
【0140】
ステップ3:化合物A-2-4の合成
【0141】
化合物A-2-3(49g、139.86mmol、1eq)をTHF(250mL)に溶解させ、反応溶液にトリフェニルホスフィン(44.02g、167.84mmol、1.2eq)を加え、0℃でアゾジカルボン酸ジイソプロピル(42.42g、209.80mmol、1.2eq)を滴下して加え、反応温度を0~10℃に制御し、-0~10℃で続いて0.5時間攪拌して反応させた。反応完了後、反応溶液を45℃で真空濃縮した。当該濃縮物をメチルtert-ブチルエーテルとn-ヘプタンの混合溶媒(100mL;体積比はメチルtert-ブチルエーテル:n-ヘプタン=1:1である)で攪拌して0.5時間スラリー化させた後、濾過し、濾液を真空で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離・精製(勾配溶出:n-ヘプタン:酢酸エチル=100:0~92:8)して、化合物A-2-4を得た。H NMR (400MHz, CDCl) δ:7.90 (d, J=3.0 Hz, 1H), 7.50 (dd, J=2.4, 8.4 Hz, 1H), 7.42 - 7.32 (m, 5H), 5.44 (dd, J=5.2, 8.6 Hz, 1H), 5.31 - 5.18 (m, 2H), 4.20 - 4.09 (m, 1H), 3.96 (s, 3H), 3.95 - 3.83 (m, 1H), 2.97 - 2.80 (m, 1H), 2.23 - 2.09 (m, 1H);LCMS m/z=333.2[M+H] 。SFC(カラム:Chiralpak AD-3、3 μm、0.46cm id×5cm L;移動相:A(CO)とB(イソプロパノール、0.05%のジエチルアミンを含む);勾配:B%=5~40%、2分、40%、1.2分間保持し、次に5%、0.8分;流量:4mL/min;波長:220nm;圧力:1500psi;保持時間:0.887min、ee%=98.94%。
【0142】
ステップ4:化合物A-2の合成
【0143】
化合物A-2-4(35g、105.32mmol、1eq)をジクロロメタン(175mL)に溶解させた後、臭化水素酸/酢酸溶液(68mL、413.24mmol、質量分率:33%、3.92eq)を加え、25℃で5日間攪拌して反応させた後、臭化水素酸/酢酸溶液(51mL、3.0eq)を追加し、続いて1日間反応させた。窒素ガス保護下で、反応液を減圧して濾過し、ケーキを30mLのメチルtert-ブチルエーテルで洗浄した後、ケーキを真空乾燥させて化合物A-2(イオンクロマトグラフィーで同定し、Br含有量は2つの塩に適合した)を得た。H NMR (400MHz, CDOD) δ:7.93 (dd, J=2.4, 7.8 Hz, 1H), 7.69 (t, J=3.2 Hz, 1H), 5.13 (t, J=8.4 Hz, 1H), 4.59 (dt, J=3.6, 7.8 Hz, 1H), 4.41 (dt, J=6.0, 8.5 Hz, 1H), 3.00 - 2.89 (m, 1H), 2.87 - 2.73 (m, 1H);LCMS m/z=185.0[M+H]。SFC(カラム:Chiralpak AD-3、3μm、0.46 cm id×5cm L;移動相:A(CO)とB(イソプロパノール、0.05%のジエチルアミンを含む);勾配:B%=5~40%、5min、次に40~5%、0.5min、最後に5%で保持、1.5min;流量:2.5mL/min;波長:220nm;圧力:1500psi;保持時間:3.624 min、ee%=98.32%。
【0144】
実施例1:化合物WX-001の合成
【0145】
【化33】
【0146】
ステップ1:化合物1-2の合成
【0147】
酢酸エチル(3000mL)と炭酸カリウム(13.36g、96.68mmol、0.05eq)を化合物1-1(300g、1.93mol、1eq)に加え、窒素ガス保護下で、反応溶液を内部温度-5℃に冷却させ、バッチでN-ブロモスクシンイミド(430.18g、2.42mol、1.25eq)を加え、反応温度を-5~5℃に制御し、材料供給時間を2.5時間にし、その後、室温(20℃)で16時間撹拌した。反応溶液に亜硫酸ナトリウム水溶液(無水亜硫酸ナトリウム400gと2300mLの水で調製)を加え、続いて10分間撹拌した後、分層し、有機相を1000mLの飽和食塩水で1回洗浄した。当該バッチと別の並行バッチの反応(同じスケール:300gの化合物1-1)を同じ処理をした後得られた有機相と水相をそれぞれ合わせて処理した。最初分層した水相(懸濁液)を濾過し、濾液を酢酸エチルで2回抽出し(毎回1500mL)、合わせた有機相を2000mLの飽和食塩水で1回洗浄した。すべての有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、ケーキを酢酸エチル(500mL)で洗浄した。濾液を45℃で真空濃縮して、880gの固体粗生成物を得、粗生成物をメタノール(3960mL)で攪拌して16時間スラリー化させ、濾過し、ケーキをメタノール(300mL)で洗浄し、濾液を45℃で真空濃縮して、780gの粗生成物を得た。当該粗生成物をメチルtert-ブチルエーテル(780mL)で室温で撹拌して3時間スラリー化させ、濾過し、ケーキを真空乾燥させて化合物1-2。H NMR (400 MHz, CDCl) δ: 5.33 (br s, 2 H), 4.26 (q, J=7.0 Hz, 2 H), 1.32 (t, J=7.2 Hz, 3 H);LCMS m/z =233.8[M+1]
【0148】
ステップ2:化合物1-4の合成
【0149】
化合物1-2(294g、1.26mol、1eq)とリン酸カリウム(399.95g、1.88mol、1.5eq)を順次にN,N-ジメチルホルムアミド(2250mL)に加え、撹拌し、次に3-エトキシアクリル酸エチル(181.10g、1.26mol、181.46mL、1eq)を加え、125℃に加熱して8時間反応させた。室温に冷却させた後、反応溶液に600mLの冷水を加え、5分間撹拌し、次に反応溶液に氷(2000mL)を加え、攪拌しながらゆっくりと塩酸溶液(3M、2000mL)を加え、pHを2に調節し、10分間攪拌した後、濾過した。ケーキを水(1000mL)で攪拌して10分間スラリー化させ、次に濾過し、得られたケーキを攪拌し、続いてメタノール(1000mL)で攪拌して20分間スラリー化させた。濾過し、ケーキをメタノール(200mL)で洗浄した後、45℃で真空乾燥させて化合物1-4を得た。H NMR (400 MHz, CDCl) δ: 9.76 (br s, 1H), 7.97 (d, J=8.0 Hz, 1H), 6.09 (d, J=8.0 Hz, 1H), 4.34 (q, J=7.2 Hz, 2H), 1.35 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
【0150】
ステップ3:化合物1-11の的合成
【0151】
化合物1-4(50g、145.06mmol、1eq)とシアン化第一銅(32.48g、362.66mmol、2.5eq)をN,N-ジメチルホルムアミド(250mL)に加え、次に125℃に昇温させて60時間反応させた。反応完了後、室温に冷却させ、反応溶液を水(500mL)に注ぎ、2時間撹拌した後、混合物液を減圧濾過し、ケーキを収集し、ケーキを真空乾燥させて化合物1-11を得た。H NMR (400MHz, DMSO-d) δ: 12.28 (br s, 1H), 8.68 (br d, J=8.0 Hz, 1H), 6.41 (br d, J=8.0 Hz, 1H), 4.34 (q, J=6.8 Hz, 2H), 1.31 (t, J=7.0 Hz, 3H)。
【0152】
ステップ4:化合物1-12の合成
【0153】
化合物1-11(34g、146.43mmol、1eq)、トリエチルアミン(44.45g、439.29mmol、3eq)と4-ジメチルアミノピリジン(3.58g、29.29mmol、0.2eq)を順次にジクロロメタン(300mL)に加え、窒素ガスで置換した後、0℃でp-トルエンスルホニルクロリド(69.79g、366.07mmol、2.5eq)のジクロロメタン(100mL)溶液を滴下して加え、添加完了後、反応溶液をゆっくりと室温20℃に昇温させて、6時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水(1500mL)に注ぎ、次にジクロロメタン(2500mL)を加えて1時間撹拌した後、静置して分層した。有機相に水(1500mL)を加えた後、1時間撹拌し、静置して分層し、水相を廃棄した。最初分層した水相にジクロロメタン(1500mL)を加えた後、1時間撹拌し、静置して分層した。2回分層した有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を真空濃縮して、粗生成物を得た。当該粗生成物をメタノール(150mL)で室温20℃で2時間撹拌してスラリー化させ、濾過し、ケーキを少量のメタノール(3mL)で洗浄し、ケーキを真空乾燥させて化合物1-12を得た。H NMR (400MHz, CDCl) δ: 8.68 (d, J=7.2 Hz, 1H), 8.36 (d, J=8.0 Hz, 2H), 7.43 (d, J=8.0 Hz, 2H), 6.87 (d, J=7.6 Hz, 1H), 4.54 (q, J=7.0 Hz, 2H), 2.48 (s, 3H), 1.52 (t, J=7.2 Hz, 3H);LCMS m/z =387.0[M+1]
【0154】
ステップ5:化合物1-14の合成
【0155】
化合物A-2(1.0g、2.89mmol、1eq)をイソプロパノール(10mL)に加え、次に化合物1-12(893.39mg、2.31mmol、0.80eq)を加え、最後にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.12g、8.67mmol、1.51mL、3eq)を加え、40℃で3時間撹拌した。反応完了後、反応系を室温に冷却させ、濾過してケーキを得、ケーキを酢酸エチル(2mL)で室温で30分間スラリー化させ、次に濾過して化合物1-14を得た。HNMR (400 MHz, DMSO-d) δ: 8.95 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.20 (s, 1H), 7.13 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.57 - 5.53 (m, 1H), 4.24 - 4.16 (m, 3H) , 4.02 - 3.96 (m, 1H), 2.84 - 2.67 (m, 1H), 2.29 - 2.21 (m, 1H), 1.18 (t, J = 7.2 Hz, 3H);LCMS m/z =399.1[M+1]
【0156】
ステップ6:化合物1-15の合成
【0157】
化合物1-14(8.7g、21.84mmol、1eq)を水(22mL)とテトラヒドロフラン(65mL)の混合溶液に溶解させ、次に水酸化リチウム一水和物(3.67g、87.36mmol、4eq)を加え、窒素ガスで置換して、反応系が混濁から透明になり、25℃で4時間撹拌した。1Mの塩酸溶液(15mL)で反応溶液をpH=6~7に調節し、固体を沈殿させた。反応系を漏斗で濾過し、ケーキを毎回4mLの水で2回洗浄した。ケーキを真空乾燥させて化合物1-15を得た。LCMS m/z=371.0 [M+ H] 。SFC(カラム:Chiralpak AD-3,3 μm,0.46 cm id ×5cm L;移動相:A(CO)とB(EtOH、0.05%のジエチルアミンを含む);勾配:B%=5~50%,3 min;流速:3.4mL/min;波長:220nm;圧力:100bar,保持時間:1.68min,ee%=100%。
【0158】
ステップ7:化合物1-16の合成
【0159】
化合物1-15(33.4g、90.20mmol、1eq)と1-アミノシクロプロパンメタノール塩酸塩(12.26g、99.22mmol、1.1eq、HCl)をN,N-ジメチルホルムアミド(334mL)に溶解させ、窒素ガスで置換した後HATU(37.73g)を加え、窒素ガスで再度置換し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(46.63g、360.79mmol、62.84mL、4eq)を加え、反応系が白色濁度から透明な黄色に変化し、更に黄色濁度に変化し、25℃で3.5時間撹拌した。反応系に飽和塩化アンモニウム溶液(3.34、0.1V)を加え、次にアセトニトリル(133.6mL、4V)を加えて30分間撹拌した後、ブフナー漏斗で濾過し、ケーキを毎回10mLでアセトニトリルで3回洗浄した。ケーキを収集し、ケーキを真空乾燥させて化合物1-16を得た。HNMR (400 MHz, DMSO-d) δ: 11.86 (s, 1H), 8.98 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.46 - 7.43(m, 1H), 7.11 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.42 (t, J = 6.8, 1H), 4.59 - 4.58 (m, 1H), 4.34 - 4.30 (m, 1H), 4.08 - 4.03 (m, 1H), 3.47 - 3.38 (m, 2H), 3.03 - 2.95 (m, 1H), 2.25 - 2.18 (m, 1H), 0.74 - 0.68 (m, 2H), 0.60 - 0.57 (m, 1H), 0.35 - 0.32 (m, 1H);LCMS m/z=440.1 [M+ H]。SFC (カラム:(S,S)-WHELK-O1,3.5μm,0.46 cm id ×5cmL;移動相:A(CO)とB(EtOH、0.05%のDEAを含む);勾配:B%=5~50%,3min;流量:3.4mL/min;波長:220nm;カラム温度:35℃;カラム圧力:1800psi,保持時間:1.65min,ee%=100%。
【0160】
ステップ8:化合物WX-001の合成
【0161】
化合物1-16(45g、102.41mmol、1eq)をテトラヒドロフラン(450mL)に溶解させ、窒素ガスで置換した後、トリ-n-ブチルホスフィン(41.44g、204.83mmol、50.54mL、2eq)を加え、更にアゾジカルボニルジピペリジン(51.68g、204.83mmol、2eq)を加え、20℃で3時間反応させた。反応系を他の2バッチの反応系(4.45g+5g)と合わせた後、反応系にメタノール(220mL、4V)を加え、30分間撹拌した後、濾過してケーキ固体を得、次にケーキ固体をメタノール(165mL、5V)で室温で3回スラリー化させ、毎回30分間撹拌した後、濾過し、ケーキを収集し、ケーキを真空乾燥させて化合物をWX-001を得た。HNMR (400 MHz, DMSO-d) δ: 9.26 (s, 1H), 8.98 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.16 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.89 (dd, J = 8.4 Hz, 2.8 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.97 (t, J = 8.4, 1H), 4.76 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 4.59 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 4.02 - 3.99 (m, 1H), 3.91 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 3.07 - 3.01 (m, 1H), 2.63 - 2.57 (m, 1H), 2.13 - 2.08 (m, 1H), 1.28 - 1.24 (m, 1H), 0.98 - 0.89 (m, 2H);LCMS m/z=422.1 [M+ H] 。SFC (カラム:Chiralcel OD-3,3 μm,0.46 cm id × 5cm L;移動相:A (CO)とB (MeOH、0.05%のイソプロピルアミンを含む);勾配:B%=10~40%,3 min;流量: 4.0 mL/min;波長: 220 nm;圧力: 100 bar,保持時間:2.03 min,ee%=100%。
【0162】
実施例2:化合物WX-002AとWX-002Bの合成
【0163】
【化34】
【0164】
ステップ1:化合物2-2の合成
【0165】
化合物2-1(0.2g、1.07mmol、1eq)を酢酸エチル(0.5mL)に溶解させ、次に塩酸/酢酸エチル(2mL、4M)を加え、室温20℃で10分間反応させた。反応溶液を45℃で減圧濃縮して、化合物2-2(粗生成物)を得た。HNMR (400 MHz, DMSO-d) δ: 8.34 (br s, 3H), 5.12 (br s, 1H), 4.47 - 4.40 (m, 1H), 3.68 - 3.60 (m, 1H), 2.35 - 2.27 (m, 2H), 2.15 - 2.09 (m, 2H)。
【0166】
ステップ2:化合物1-15Aの合成
【0167】
化合物1-14(1.4g、3.51mmol、1eq)をアセトニトリル(70mL)に溶解させ、次に酸化アルミニウム(1.47g、14.41mmol、4.1eq)とトリメチルシリコン酸カリウム(Potassium trimethylsilanolate)(901.76mg、7.03mmol、2eq)を加え、窒素ガスで置換し、80℃に加熱して3時間撹拌した。トリメチルシリコン酸カリウム(90.18mg、0.703mmol、0.2eq)を追加した後、続いて80℃で1時間撹拌した。室温に冷却させた後、反応系を濾過し、ケーキをアセトニトリルで毎回1.0mLで2回洗浄し、得られたケーキは粗生成物であった。粗生成物を混合溶媒(17.5mLのアセトニトリルと3.5mLのメタノール)で室温でスラリー化させ、濾過し、ケーキを真空で乾燥させて化合物1-15Aを得た。LCMS m/z=371.0 [M+ H]。SFC (カラム:Chiralpak AD-3,3 μm,0.46 cm id ×5cm L;移動相:A(CO)とB(EtOH、0.05%のジエチルアミンを含む);勾配:B%=5~50%,3min;流量:3.4mL/min;波長:220nm;圧力:100bar,保持時間:1.68 min。ee%=79.56%であり、当該条件下で部分的な製品がラセミ体であることを示した。
【0168】
ステップ3:化合物2-3の合成
【0169】
化合物1-15A(570mg、769.66μmol、1eq)をN,N-ジメチルホルムアミド(12mL)に溶解させた後、順次にHATU(234.12mg、615.73μmol、0.8eq)、化合物2-2(73.76mg、596.84μmol、HCl)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン(298.41mg、2.31mmol、3eq)を加え、反応溶液を室温20℃で1時間反応させた。反応系に2滴の水を加えて反応をクエンチングさせた後、反応溶液を45℃で真空濃縮して残留物を得た。残留物シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン:メタノール=100:0~90:10)で分離・精製して、化合物2-3を得た。LCMS m/z=440.1 [M+H]
ステップ4:化合物WX-002AとWX-002Bの合成
化合物2-3(70mg、159.31μmol、1eq)をテトラヒドロフラン(3mL)に溶解させた後、順次にトリフェニルホスフィン(125.36mg、477.93μmol、3eq)とアゾジカルボン酸ジイソプロピル(96.64mg、477.93μmol、3eq)を加え、添加完了後、室温20℃で1時間撹拌して反応させた。反応系に2滴の水を加えて反応をクエンチングさせた後、反応溶液を真空で濃縮して残留物を得た。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(溶離液はジクロロメタン:メタノール=100:0~90:10である)して、粗生成物を得た。前記粗生成物を1mLのジクロロメタンと1mLのメタノールの混合溶液で10分間攪拌してスラリー化させた後、濾過し、ケーキを真空で乾燥させて生成物を得た。当該生成物をSFCで分離(クロマトグラフィーカラム:REGIS(s、s)WHELK-O1(250mm*50mm、10μm);移動相:A:CO;B:[MeOH、0.1%のアンモニア水を含む];勾配B%:53%~53%)した。化合物WX-002Aと化合物WX-002Bを得た。
【0170】
WX-002A:HNMR (400 MHz, CDCl) δ: 9.14 (d, J = 10.4 Hz, 1H), 8.42 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.98 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.59 - 7.56 (m, 1H), 7.05 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 6.15 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 5.29 - 5.26 (m, 1H), 4.97 - 4.90 (m, 1H), 4.56 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 3.98 - 3.91 (m, 1H), 3.15 - 3.05 (m, 2H), 3.02 - 2.96 (m, 1H), 2.55 - 2.45 (m, 1H), 2.27 - 2.22 (m, 1H), 1.92 - 1.87 (m, 1H); LCMS m/z = 422.1 [M+H]。SFC(カラム:REGIS(s、s)WHELK-O1(50mm*4.6mm、3μm);移動相:A:CO;B:[MeOH、0.05%のジエチルアミンを含む];勾配B%は1.2分で5%から50%に増加し、1分間B%=50%を保持し、その後0.8分で50%から5%に減少);流量:3.4mL/min;温度:35℃;圧力:100bar;保持時間:2.243min、ee%=97.60%。
【0171】
WX-002B:HNMR (400 MHz, CDCl) δ: 9.14 (d, J = 10.4 Hz, 1H), 8.42 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.98 (d, J = 3.2Hz, 1H), 7.59 - 7.56 (m, 1H), 7.05 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 6.15 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 5.30 - 5.26 (m, 1H), 4.97 - 4.92 (m, 1H), 4.56 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 3.97 - 3.91 (m, 1H), 3.15 - 3.05 (m, 2H), 3.02 - 2.96 (m, 1H), 2.55 - 2.45 (m, 1H), 2.27 - 2.22 (m, 1H), 1.92 - 1.87 (m, 1H); LCMS m/z = 422.2 [M+H]。 SFC (カラム: REGIS (s,s) WHELK-O1 (50 mm*4.6 mm, 3 μm); 移動相: A: CO; B: [MeOH、0.05%のジエチルアミンを含む];勾配B%は1.2分で5%から50%に増加し、1分間B%=50%を保持し、その後0.8分で50%から5%に減少);流量:3.4mL/min;温度:35℃;圧力:100bar;保持時間:2.440min、ee%=95.98%。
【0172】
実施例3:化合物WX-003の合成
【0173】
【化35】
【0174】
ステップ1:化合物3-1の合成
【0175】
化合物1-15(200.0mg、489.73μmol、1eq)と(R)-(-)-2-アミノ-1-プロパノール(36.78mg、489.73μmol、1eq)溶液をN,N-ジメチルホルムアミド(4mL)に溶解させ、HATU(148.97mg、391.79μmol、0.8eq)を加えた後、窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルエチルアミン(189.88mg、1.47mmol、3eq)を加え、添加完了後、反応溶液を25℃で9時間撹拌した。反応溶液を直接に真空濃縮して残留物を得、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離・精製(溶離液:メタノール:ジクロロメタン=0~1:1)して、化合物3-1を得た。LCMS m/z=428.1 [M+ H]
【0176】
ステップ2:化合物WX-003の合成
【0177】
化合物3-1(67mg、156.77μmol、1eq)をジクロロメタン(2mL)に溶解させ、次にトリフェニルホスフィン(123.35mg、470.30μmol、3eq)を加え、窒素ガスで置換した後、アゾジカルボン酸ジエチル(81.90mg、470.30μmol、3eq)を加え、添加完了後、25℃で7時間撹拌した。反応溶液に3滴の水を滴下して反応をクエンチングさせた後、反応溶液を真空濃縮し、濃縮した残留物を分取薄層クロマトグラフィーシリカゲルプレートで分離・精製(展開剤:酢酸エチル)して化合物WX-003を得た。HNMR (400 MHz, CDCl) δ: 9.53 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.39 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.98 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.57 - 7.54 (m, 1H), 6.95 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.04 - 6.00 (m, 1H), 4.69 (dd, J = 10.8, 4.0 Hz, 1H), 4.61 - 4.57 (m, 1H) , 4.48 - 4.45 (m, 1H), 4.31 - 4.25 (m, 1H), 4.04 - 3.97 (m, 1H), 3.14 - 3.07 (m, 1H), 2.64 - 2.55 (m, 1H), 1.53 (d, J = 6.4 Hz, 3H);LCMS m/z=410.1 [M+ H]
【0178】
試験データ
【0179】
実施例1:TrkAとROS1に対する化合物のキナーゼ阻害活性
【0180】
TrkAとROS1に対する化合物のキナーゼ阻害活性試験は、Reaction Biology Corp.社によって完成された。反応緩衝液(20mMのHepes(pH7.5)、10mMのMgCl、1mMのEGTA、0.02%のBrij35、0.02mg/mLのBSA、0.1mMのNaVO、2mMのDTT、1%のDMSO)に順次に特定の濃度の基質、補酵素因子、キナーゼ、及び試験化合物(10個の投与量、3倍で段階希釈、2%のDMSO最終濃度)を加え、均一に混合し、混合物を室温で20分間培養し、反応混合溶液に所定の濃度の33P-ATPを加えて反応を開始させ、次に室温で120分間培養した。最後に、反応物の放射性をフィルター結合法で検出した。最終的なキナーゼ活性は、DMSO対照群のキナーゼ活性に対する試験サンプル中の残りのキナーゼ活性の比率で表した。用量効果曲線をGraphPadソフトウェアでフィッティングし、IC50を計算した。結果は表1に示される通りである:
【0181】
【表1】
【0182】
結果は:本発明の化合物が、ROS1キナーゼとその突然変異体ROS1-G2032Rにおいて、TPX-0005の活性に匹敵する高いキナーゼ阻害活性を示したことを示した;しかし、本発明の化合物はTrkAとALKキナーゼに対する阻害活性は弱く、高い選択性を示し、選択性はTPX-0005よりも有意に優れた。
【0183】
実施例2:細胞増殖に対する化合物の阻害活性
【0184】
アデノシン三リン酸(Adenosine Tri-Phosphate、ATP)は、自然界のあらゆる種類の生命活動に共有されるエネルギー担体であり、エネルギーの貯蔵と伝達の最小単位である。CellTiter-GloTM生細胞試験試薬キットは、ルシフェラーゼを検出物として使用し、発光過程でルシフェラーゼはATPの関与を必要とする。細胞培地にCellTiter-GloTM試薬を加え、発光値を測定し、光信号は反応系内のATP量に正比例し、ATPは生細胞数と正の相関がある。したがって、CellTiter-Gloキットを使用してATP含有量を検出することにより、細胞の増殖状況を検出することができる。本試験において、細胞株はBa/F3 SLC34A2-ROS1-WT、Ba/F3 SLC34A2-ROS1-G2032R、Ba/F3 LMNA-NTRK1-WT安定的にトランスフェクトされた細胞株であり、5000個細胞/ウェルであった。
【0185】
IC50試験過程:
1 細胞の培養と接種
a) 対数増殖期の細胞を採取し、血小板カウンターを使用して細胞をカウントした。トリパンブルー排除法で細胞生存率を検出し、細胞生存率が90%以上であることを確保した。
b) 細胞濃度の調節:90μLの細胞懸濁液をそれぞれ96ウェルプレートに添加した。
c) 96ウェルプレートの細胞を37℃、5%CO、95%湿度で一晩培養した。
【0186】
2薬物の希釈と投薬
a) 10倍の薬物溶液を調製し、9個濃度で3倍希釈して最高濃度は10μMであり、細胞を播種した96ウェルプレートの各ウェルに10μLの薬物溶液を加え、各薬物濃度に3つの複製ウェルを設定した。
b) 医薬を加えた96ウェルプレートの細胞を37℃、5%CO、95%湿度の条件下で続いて72時間培養した後、CTG分析を行った。
【0187】
3 エンドポイントプレートの読み取り
a) CTG試薬を溶かし、セルプレートを室温で30分間平衡化した。
b) 同じ体積のCTG溶液を各ウェルに加えた。
c) オービタルシェーカーで5分間振とうして細胞を溶解させた。
d) 細胞板を室温で20分間置いて、発光シグナルを安定させた。
e) 発光値を読み取った。
【0188】
4 データ処理
GraphPad Prism 5.0ソフトウェアを使用してデータを分析し、非線形S曲線回帰を使用してデータをフィッティングすることにより用量効果曲線を得、これによりIC50値を計算し、データは表2に示される通りである。
【0189】
【表2】
【0190】
結果は:本発明の化合物が、ROS1融合細胞株Ba/F3 SLC34A2-ROS1とその突然変異細胞株Ba/F3 SLC34A2-ROS1-G2032Rに対して高い細胞増殖阻害活性を示したことを示した。同時に、本発明の化合物は、Ba/F3 LMNA-NTRK1-WT細胞株に対して弱い阻害活性を示し、Ba/F3 SLC34A2-ROS1細胞株とBa/F3 SLC34A2-ROS1-G2032R細胞株、特にBa/F3 SLC34A2-ROS1-G2032R細胞株に対して、有意な阻害選択性を示した。
【0191】
実験例3:マウス体内における化合物のカセット(cassette)薬物動態試験
【0192】
実験目的:7~9週齢のオスCD-1マウスを試験動物とし、LC/MS/MS法を使用して化合物を単回静脈内注射(IV)及び経口投与(PO)で投与した後、異なる時点における血漿中の化合物の薬物濃度を測定して、マウス体内における本発明の化合物の薬物動態学的挙動を研究し、その薬物動態学的特性を評価することである。
【0193】
医薬の調製:化合物を5%のDMSO+10%のsolutol+85%の水を溶媒として透明な溶液に調製し、IV(静脈内注射)及びPO(経口投与)群の投与に使用した。投与方法はカセット投与(cassette dosing)であり、各化合物の投与量は:IVは0.5mg/kgであり、POの投与量は2.5mg/kgであった。薬物動態パラメータの結果は表3に示される通りである:
【0194】
【表3】
【0195】
結果は、同じ投与量で、本発明の化合物WX-001を経口投与した後の総全身曝露量とピーク濃度は、クリゾチニブ、エントレチニブ、ロルラチニブとTPX-005より有意に高く、その見かけクリアランス率は、クリゾチニブ、エントレチニブ、ロルラチニブとTPX-005より有意に低く、優れた薬物動態特性を示したことを示した。エントレチニとロルラチニブと比較して、投与の0.5時間と2時間後、本発明の化合物の脳と脳脊髄液中の濃度は、エントレクチニブよりも有意に高く、ロルラチニブに匹敵した。TPX-0005と比較して、投与の0.5時間と2時間後、本発明の化合物は2つの時点で肺、脳と脳脊髄液中の濃度は有意に高かった。
【0196】
実施例4:マウス体内における化合物の薬物動態試験
【0197】
実験目的:7~9週齢のオスCD-1マウスを試験動物とし、LC/MS/MS法を使用して化合物を単回静脈内注射(IV)及び経口投与(PO)で投与した後、異なる時点における血漿中の化合物の薬物濃度を測定して、マウス体内における本発明の化合物の薬物動態学的挙動を研究し、その薬物動態学的特性を評価することである。
【0198】
医薬の調製:化合物を10%のDMSO+10%のsolutol+80%の水を溶媒として透明な溶液に調製し、IV(静脈内注射)及びPO(経口投与)群の投与に使用した。各化合物の投与量は:IVは1mg/kgであり、POの投与量は3mg/kgであった。薬物動態パラメータの結果は表4に示される通りである:
【0199】
【表4】
【0200】
結果は:経口投与後の本発明の化合物の総全身曝露、ピーク濃度、及びバイオアベイラビリティはすべて高く、優れた薬物動態特性を示したことを示した。
【0201】
実験例5:マウス体内における化合物の有効性試験
【0202】
実験目的:Ba /F3 CD74-ROS1-WT皮下異種移植腫瘍BALB/cヌードマウスモデルにおけるWX-001の体内有効性を評価することである。
【0203】
医薬の調製:化合物を10%のDMSO+10%のsolutol+80%の水を溶媒として透明な溶液に調製し、PO(経口投与)群の投与に使用した。
【0204】
腫瘍の測定:腫瘍の直径を、ノギスを使用して週に2回測定した。腫瘍体積の計算式は、:V=0.5×a×bであり、ここで、aとbは、それぞれ腫瘍の長径と短径を表す。化合物の抗腫瘍効果はTGI(%)又は相対腫瘍増殖率T/C(%)によって評価された。TGI(%)は、腫瘍増殖阻害率を反映する。相対腫瘍増殖率T/C(%)=TRTV/CRTV×100%(TRTV:治療群の平均RTV;CRTV:陰性対照群の平均RTV)。腫瘍測定の結果に基づいて相対腫瘍体積(relative tumor volume、RTV)を計算し、計算式はRTV=V/Vであり、ここで、Vは群分け投与開始時(即ちDo)測定した腫瘍体積であり、Vは特定の測定における対応するマウスの腫瘍体積であり、TRTVとCRTVは同じ日のデータを取った。TGI(%)=[(1-(特定の治療群の投与終了時の平均腫瘍体積-当該治療群の投与開始時の平均腫瘍体積)/(溶媒対照群の治療終了時の平均腫瘍体積-溶媒対照群の治療開始時の平均腫瘍体積)]×100%。結果は図1に示される通りである。
【0205】
統計分析:統計分析は、実験終了時の相対腫瘍体積と腫瘍重量データに基づいてSPSSソフトウェアを使用して実行された。複数の群間の比較は、One-way ANOVA分析によって分析され、分散が均一である場合(F値に有意差がない場合)、Tukey’s検定を使用して分析し、分散が均一ではない場合(F値に有意差がある場合)、Games-Howell検定を使用して検定した。p<0.05は有意差があると見なされた。
【0206】
実験結果:Ba/F3 CD74-ROS1-WT皮下異種移植腫瘍モデルでは、投与7日後、クリゾチニブ(30mg/kg)とWX-001(10mg/kg)のTGIはそれぞれ110.40%及び112.17%であり、P値はすべて0.004であり、有意な抗腫瘍効果を有した。
【0207】
実験結論:WX-001は、Ba/F3 CD74-ROS1-WTヌードマウス異種移植腫瘍の増殖に対して有意に抑制効果があった。
【0208】
実施例6:マウス体内における化合物の有効性試験
【0209】
実験目的:ヒト肺癌LD1-0025-361019 PDX動物モデルにおけるWX-001の抗腫瘍効果を評価することである。
【0210】
医薬の調製:化合物を10%のDMSO+10%のsolutol+80%の水を溶媒として透明な溶液に調製し、PO(経口投与)群の投与に使用した。
【0211】
腫瘍の測定:腫瘍の直径を、ノギスを使用して週に2回測定した。腫瘍体積の計算式は、:V=0.5×a×bであり、ここで、aとbは、それぞれ腫瘍の長径と短径を表す。化合物の抗腫瘍効果はTGI(%)によって評価された。TGI(%)は、腫瘍増殖阻害率を反映する。TGI(%)=[(1-(特定の処理群の投与終了時の平均腫瘍体積-当該処理群の投与開始時の平均腫瘍体積)/(溶媒対照群の治療終了時の平均腫瘍体積-溶媒対照群の治療開始時の平均腫瘍体積)]×100%。結果は図2に示される通りである。
【0212】
統計分析:すべてのデータはMean±SEMで表し、One-way ANOVA LSD testを使用して、治療群の腫瘍体積と腫瘍重量を対照群と比べて有意差の有無を比較した。すべてのデータはGraphpadで分析した。p<0.05は有意差があると見なされた。
【0213】
実験結果:ヒト肺癌LD1-0025-361019 PDX動物モデル(CD74-ROS1融合&G2032R突然変異)は21日間投与した時、クリゾチニブ(50mg/kg)投与群、WX-001高用量(20mg/kg)投与群、WX-001中用量(15mg/kg)投与群とWX-001低用量(10mg/kg)投与群において、その腫瘍増殖阻害率TGIがそれぞれ35.43%、82.38%、70.03%と60.83%であった。溶媒対照群と比較して、WX-001 20mg/kg投与群、WX-001 15mg/kg投与群とWX-001 10mg/kg投与群はいずれも有意な抗腫瘍増殖効果を表した(P<0.01)。
【0214】
実験結論:ヒト肺癌LD1-0025-361019 PDX動物モデルにおいて、WX-001は有意な抗腫瘍効果を有し、抗腫瘍効果は用量依存的な傾向があった(低用量群と比べて、高用量群p<0.05)。
図1
図2