(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】グロメット取付け構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/22 20060101AFI20231030BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20231030BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20231030BHJP
F16L 5/02 20060101ALI20231030BHJP
F16L 5/10 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
H02G3/22
H02G3/04 018
B60R16/02 622
F16L5/02 A
F16L5/10
(21)【出願番号】P 2019235608
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】横山 悟史
(72)【発明者】
【氏名】後藤 真
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-100247(JP,A)
【文献】特開平07-063284(JP,A)
【文献】特開2007-173139(JP,A)
【文献】特開2008-206370(JP,A)
【文献】実開平04-137432(JP,U)
【文献】特開平08-185746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
H02G 3/04
B60R 16/02
F16L 5/02
F16L 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を通過させるための貫通孔が設けられた取り付け対象のパネルよりも柔軟な有底筒状に形成され、その底壁が前記電線に密着しつつ貫通され、その周壁の開口端縁が前記パネルにおける前記貫通孔の周囲面に押し付けられて密着した状態で、前記電線を保護しつつ前記貫通孔を通過させるグロメットと、
前記電線を避けつつ前記グロメットに前記パネル側とは反対側から被せられて前記グロメットを保護するように、当該グロメットよりも硬質な開口箱状に形成され、その内側に前記グロメットの前記底壁に当接する当接部が設けられたプロテクタと、
前記底壁に前記当接部が当接して前記グロメットに被せられた前記プロテクタを前記パネルに固定するとともに、前記当接部を介して前記グロメットにおける前記周壁の前記開口端縁を前記パネルの前記周囲面へと押し付けて密着させる固定部材と、
を備えたことを特徴とするグロメット取付け構造。
【請求項2】
前記グロメットと、当該グロメットに被せられた前記プロテクタと、を互いに連結する連結部材を備え、
前記固定部材は、前記連結部材によって前記グロメットに連結された前記プロテクタを前記パネルに固定することを特徴とする請求項1に記載のグロメット取付け構造。
【請求項3】
前記グロメットの前記周壁の外面には、第1連結孔が設けられた第1連結リブが突出して形成され、
前記プロテクタの側壁の内面には、第2連結孔が設けられて、前記グロメットに被せられて前記当接部が前記底壁に当接したときに前記第1連結孔と前記第2連結孔が連通しつつ前記第1連結リブと重なり合うように第2連結リブが突出して形成されており、
前記連結部材は、互いに連通した前記第1連結孔及び前記第2連結孔を貫通した状態で前記第1連結リブ及び前記第2連結リブを締結することで前記グロメットと前記プロテクタとを互いに連結する締結バンドであることを特徴とする請求項2に記載のグロメット取付け構造。
【請求項4】
前記第1連結リブが前記グロメットにおける前記周壁の外面に、当該周壁の周方向について複数が配列されて設けられ、
前記第2連結リブが前記プロテクタにおける前記側壁の内面に、複数の前記第1連結リブに一対一に対応するように複数が配列されて設けられており、
前記連結部材としての前記締結バンドは、複数の前記第1連結リブ及び複数の前記第2連結リブを前記周方向に締結することを特徴とする請求項3に記載のグロメット取付け構造。
【請求項5】
前記プロテクタにおける前記当接部が、前記内側に、前記電線の配策経路を避けつつ複数設けられていることを特徴とする請求項1~4のうち何れか一項に記載のグロメット取付け構造。
【請求項6】
前記プロテクタには、
当該プロテクタの側壁の外面から前記パネルに対面するように突出した取付けフランジが設けられ、
前記固定部材が、前記取付けフランジ及び前記パネルを貫通して両者を締結固定するボルトであることを特徴とする請求項1~5のうち何れか一項に記載のグロメット取付け構造。
【請求項7】
前記グロメットにおける前記周壁の内面と対面するように、前記グロメットよりも硬質な筒状に形成され、前記周壁の内側に一部が軸方向に突出するように嵌入されて前記グロメットの変形を内側から規制するグロメットインナを備え、
前記グロメットインナにおける前記グロメットからの突出部分には、前記貫通孔を前記グロメットとは反対側へと通過して、当該反対側から前記貫通孔の内周縁に係止する係止爪が設けられており、
前記固定部材は、前記貫通孔の前記内周縁に前記係止爪が係止するように前記グロメットインナにおける前記突出部分を前記貫通孔に押し込みつつ前記グロメットにおける前記開口端縁を前記パネルの前記周囲面へと押し付けて密着させることを特徴とする請求項1~6のうち何れか一項に記載のグロメット取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線を保護するグロメットをパネルに取り付けるグロメット取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両における金属製のパネル等に設けられた貫通孔を通過する電線を、その貫通孔の内周縁等から保護するために、ゴム等の柔軟な材料で形成されたグロメットが利用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなグロメットの中には、有底筒状に形成され、その底壁が電線に密着しつつ貫通され、その周壁の開口端縁がパネルにおける貫通孔の周囲面に押し付けられて密着した状態でパネルに取り付けられるものがある。このようなグロメットにより、パネルの貫通孔を通過する電線の保護と、その貫通孔からの水等の浸入の抑制とを図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、パネルに取り付けられた柔軟なグロメットを保護するために、硬質のプロテクタが設けられることがある。このようなプロテクタを用いる場合、電線を配策しつつパネルにグロメットを取り付け、更に、電線を避けつつグロメットにプロテクタを被せるという作業が行われることが多い。そして、このような作業が、電線の配策作業を行う作業者にとって作業上の負担となる場合がある。
【0006】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、プロテクタでグロメットを保護しつつも作業上の負担を抑えてグロメットをパネルに取り付けることができるグロメット取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、グロメット取付け構造は、電線を通過させるための貫通孔が設けられた取り付け対象のパネルよりも柔軟な有底筒状に形成され、その底壁が前記電線に密着しつつ貫通され、その周壁の開口端縁が前記パネルにおける前記貫通孔の周囲面に押し付けられて密着した状態で、前記電線を保護しつつ前記貫通孔を通過させるグロメットと、前記電線を避けつつ前記グロメットに前記パネル側とは反対側から被せられて前記グロメットを保護するように、当該グロメットよりも硬質な開口箱状に形成され、その内側に前記グロメットの前記底壁に当接する当接部が設けられたプロテクタと、前記底壁に前記当接部が当接して前記グロメットに被せられた前記プロテクタを前記パネルに固定するとともに、前記当接部を介して前記グロメットにおける前記周壁の前記開口端縁を前記パネルの前記周囲面へと押し付けて密着させる固定部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上述のグロメット取付け構造によれば、グロメットに被せられたプロテクタを固定部材でパネルに固定することで、プロテクタの当接部を介してグロメットの開口端縁をパネルにおける電線の貫通孔の周囲面に密着させて取り付けることができる。つまり、プロテクタの固定とグロメットのパネルへの取り付けとを一緒に行うことができる。このように、上述のグロメット取付け構造によれば、プロテクタでグロメットを保護しつつも作業上の負担を抑えてグロメットをパネルに取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態のグロメット取付け構造を、グロメットの取り付け対象であるパネルの側から見た斜視図である。
【
図2】
図1に示されているグロメット取付け構造の分解斜視図である。
【
図3】
図1及び
図2に示されているグロメット取付け構造において、固定部材でプロテクタをパネルに固定することを以てグロメットがパネルに取り付けられる様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、グロメット取付け構造の一実施形態について説明する。
【0011】
図1は、一実施形態のグロメット取付け構造を、グロメットの取り付け対象であるパネルの側から見た斜視図であり、
図2は、
図1に示されているグロメット取付け構造の分解斜視図である。
【0012】
図1及び
図2に示されているグロメット取付け構造1は、車両に搭載されて配策される電線2の保護のためのグロメット10をパネルP10に取り付ける構造である。このグロメット取付け構造1は、グロメット10、プロテクタ20、固定部材30、連結部材40、及びグロメットインナ50、を備えている。
【0013】
パネルP10は、車体を構成する金属パネルであって、電線2を通過させるための円形の貫通孔P11、及びプロテクタ20を固定するためのネジ穴P12が設けられている。電線2用の貫通孔P11が大径に設けられ、この大径の貫通孔P11を間に挟むように、ネジ穴P12が2つ設けられている。
【0014】
グロメット10は、パネルP10よりも柔軟なゴム等の樹脂で形成され、電線2の束を2本支持して、パネルP10の貫通孔P11の内周縁P111から保護しつつこの貫通孔P11を通過させる。グロメット10は、有底円筒状に形成され、その底壁11が電線2の2本の束に密着しつつ貫通される。底壁11には、後で参照する
図3にも示されているように電線2の束を通す円筒状のチューブ部分12が2箇所に底壁11を貫通しつつ底壁11と一体に設けられている。電線2の各束は、各チューブ部分12に挿入され、その内周面に設けられた円環リップが密着した状態で支持される。また、グロメット10の周壁13の開口端縁131がパネルP10における貫通孔P11の周囲面P13に押し付けられて密着した状態でパネルP10に取り付けられる。グロメット10は、電線2の保護に加え、電線2の束との密着、及び貫通孔P11の周囲面P13との密着により貫通孔P11からの水等の浸入を抑制する役割も担っている。
【0015】
プロテクタ20は、電線2を避けつつグロメット10にパネルP10側とは反対側から被せられてグロメット10を保護する部材である。プロテクタ20は、グロメットよりも硬質な樹脂で開口箱状に形成されている。このプロテクタ20は、グロメット10を収める有底円筒状の本体ケース部21における略円筒状の側壁211から第1電線案内部22と第2電線案内部23との2つの案内部が2方向に延出した形状を有している。第1電線案内部22は、パネルP10側が開放側となった断面略C字状で本体ケース部21と略同じ深さとなった樋状の部位である。本体ケース部21の側壁211は円筒の一部が開放された形状となっており、樋状の第1電線案内部22は、この側壁211の開放部に一対の側壁が連続し、本体ケース部21の底壁212に底壁が連続するように本体ケース部21から延出している。第1電線案内部22は、グロメット10のチューブ部分12をパネルP10側とは反対側に抜けた電線2の太束を案内する。第2電線案内部23は、断面略L字状で第1電線案内部22よりも細幅の突出部位で、本体ケース部21の側壁211に設けられて電線2の細束を延出させるための切込み211aの底側に繋がるように本体ケース部21から延出している。切込み211aは、側壁211における第1電線案内部22とは反対側に設けられ、第2電線案内部23は、この切込み211aから第1電線案内部22とは略反対方向に延出しており、側壁211の切込み211aを抜けた電線2の細束を当該方向に案内する。
【0016】
また、プロテクタ20には、その内側にグロメット10の底壁11にパネルP10側とは反対側から当接する当接部24が設けられている。当接部24は、第1電線案内部22寄りに、第1電線案内部22へと向かう電線2の太束を通す間隙を相互間に開けて2箇所設けられている。各当接部24は、本体ケース部21の側壁211に直交して内側に張り出した平坦な段部241と、この段部241から底壁212へと垂下した側部242とを有した棚状の部位であり、段部241がグロメット10の底壁11に当接する。
【0017】
また、プロテクタ20には、本体ケース部21の側壁211の外面におけるパネルP10側の端縁寄りからパネルP10に対面するように突出した第1取付けフランジ25及び第2取付けフランジ26の2つのフランジが設けられている。第1取付けフランジ25及び第2取付けフランジ26は、側壁211の外面から互いに略反対方向に張り出している。第1取付けフランジ25には固定部材30としての後述のボルトでプロテクタ20をパネルP10に固定するための円形の取付け孔251が形成されている。また、第2取付けフランジ26には、パネルP10における2つのネジ穴P12との寸法ズレを吸収しつつ固定部材30としてのボルトでプロテクタ20をパネルP10に固定するための長円状の取付け孔261が形成されている。
【0018】
固定部材30は、グロメット10の底壁11に当接部24が当接してグロメット10に被せられたプロテクタ20をパネルP10に固定する2本のボルトである。この固定部材30としての1本のボルトが第1取付けフランジ25及びパネルP10を貫通して両者を締結固定するとともに、もう1本のボルトが第2取付けフランジ26及びパネルP10を貫通して両者を締結固定する。具体的には、1本のボルトが第1取付けフランジ25の円形の取付け孔251を貫通してパネルP10における一方のネジ穴P12に捩じ込まれる。また、もう1本のボルトが第2取付けフランジ26の長円状の取付け孔261を貫通することで寸法ズレを吸収しつつパネルP10における他方のネジ穴P12に捩じ込まれる。
【0019】
連結部材40は、グロメット10と、グロメット10に被せられたプロテクタ20と、を互いに連結する部材である。ここで、この連結に資するために、グロメット10の周壁13の外面には、第1連結孔141が設けられた第1連結リブ14が突出して形成されている。第1連結リブ14は、グロメット10における周壁13の外面に、この周壁13の周方向について3つが配列されて設けられている。また、プロテクタ20における本体ケース部21の側壁211の内面には、グロメット10にプロテクタ20が被せられて当接部24がグロメット10の底壁11に当接したときに第1連結リブ14と重なり合うように第2連結リブ27が突出して形成されている。第2連結リブ27は、プロテクタ20における側壁211の内面に、3つの第1連結リブ14に一対一に対応するように3つが配列されて設けられている。各第2連結リブ27には、第2連結孔271が設けられており、各第2連結リブ27は、第1連結孔141と第2連結孔271が連通しつつ各第1連結リブ14と重なり合うように形成されている。
【0020】
連結部材40は、互いに連通した第1連結孔141及び第2連結孔271を貫通した状態で第1連結リブ14及び第2連結リブ27を締結することでグロメット10とプロテクタ20とを互いに連結する締結バンドである。この連結部材40としての締結バンドは、
図2に矢印D11で示されているように、3つの第1連結リブ14及び3つの第2連結リブ27をグロメット10における周壁13の周方向に締結する。
【0021】
グロメットインナ50は、グロメット10の変形を内側から規制する部材であり、グロメット10における周壁13の内面と対面するように、グロメット10よりも硬質な円筒状に形成され、周壁13の内側に一部が軸方向D12に突出するように嵌入される。そして、グロメットインナ50におけるグロメット10からの突出部分51には、パネルP10の貫通孔P11をグロメット10とは反対側へと通過して、当該反対側から貫通孔P11の内周縁P111に係止する係止爪52が設けられている。係止爪52は、突出部分51の先端縁側が固定端となったカンチレバーの自由端側がグロメットインナ50の径外方向に張り出したものである。突出部分51が貫通孔P11を通過する際にはカンチレバーが内側に撓むことで係止爪52が貫通孔P11を通過し、貫通孔P11を抜けると復位して内周縁P111における被係止箇所P112に係止する。グロメットインナ50の突出部分51には、このような係止爪52が周方向に3つ配列されて設けられており、これら3つの係止爪52が3つの被係止箇所P112に係止するようになっている。
【0022】
以上に説明したグロメット取付け構造1では、固定部材30でプロテクタ20をパネルP10に固定することを以てグロメット10がパネルP10に取り付けられる。
【0023】
図3は、
図1及び
図2に示されているグロメット取付け構造において、固定部材でプロテクタをパネルに固定することを以てグロメットがパネルに取り付けられる様子を示す図である。この
図3では、プロテクタ20における2つの当接部24がグロメット10の底壁11に当接している様子が見えるように、プロテクタ20については、2つの当接部24を通る断面に沿った断面図で示されている。
【0024】
この
図3に示されているように、グロメット取付け構造1では、連結部材40でグロメット10に連結されたプロテクタ20が、固定部材30としての2本のボルトによってパネルP10に固定される。このとき、ボルトが第1取付けフランジ25及び第2取付けフランジ26を貫通してネジ穴P12に捩じ込まれるに従ってプロテクタ20はパネルP10へと押し付けられる。そして、このプロテクタ20の動きに応じて、当接部24によってグロメット10の底壁11が押し上げられ、その結果、グロメット10の周壁13の開口端縁131がパネルP10における貫通孔P11の周囲面P13へと押し付けられて密着することとなる。また、このときには、グロメットインナ50におけるグロメット10からの突出部分51が貫通孔P11に押し込まれ、上述した3つの係止爪52が貫通孔P11を抜けて貫通孔P11の内周縁P111における3つの被係止箇所P112に係止する。グロメット10の周壁13の開口端縁131の周囲面P13への密着と、係止爪52の被係止箇所P112への係止を以て、パネルP10へのグロメット10の取り付けが完了する。
【0025】
本実施形態によれば、グロメット10に被せられたプロテクタ20が固定部材30でパネルP10に固定される。そして、この固定により、プロテクタ20の当接部24を介してグロメット10の開口端縁131をパネルP10における電線2の貫通孔P11の周囲面P13に密着させて取り付けることができる。つまり、プロテクタ20の固定とグロメット10のパネルP10への取り付けとを一緒に行うことができる。このように、本実施形態によれば、プロテクタ20でグロメット10を保護しつつも作業上の負担を抑えてグロメット10をパネルP10に取り付けることができる。
【0026】
ここで、本実施形態では、固定部材30が、連結部材40によってグロメット10に連結されたプロテクタ20をパネルP10に固定する。この構成によれば、連結部材40によってプロテクタ20に対してグロメット10が位置決めされた状態でプロテクタ20がパネルP10に固定される。このような位置決めにより、プロテクタ20の固定中におけるプロテクタ20の内部でのグロメット10の動きが規制されるので、プロテクタ20の内部における電線2の配策状態を維持しつつ作業上の負担を抑えることができる。
【0027】
また、本実施形態では、連結部材40が締結バンドであって、互いに連通した第1連結孔141及び第2連結孔271を貫通した状態で第1連結リブ14及び第2連結リブ27を締結することでグロメット10とプロテクタ20とを互いに連結する。この構成によれば、連結部材40としての締結バンドを用いて第1連結リブ14及び第2連結リブ27を締結するという簡単な作業でグロメット10とプロテクタ20とを互いに連結することができるので、作業上の負担を一層抑えることができる。
【0028】
また、本実施形態では、第1連結リブ14が周壁13の周方向について3つが配列されて設けられ、第2連結リブ27が3つの第1連結リブ14に一対一に対応するように3つが配列されて設けられている。そして、連結部材40としての締結バンドは、3つの第1連結リブ14及び3つの第2連結リブ27を周壁13の周方向に締結する。この構成によれば、3つの第1連結リブ14及び3つの第2連結リブ27を締結バンドで締結することで、グロメット10とプロテクタ20とを強固に連結することができる。
【0029】
また、本実施形態では、プロテクタ20における当接部24が、プロテクタ20の内側に、電線2の配策経路を避けつつ2つ設けられている。この構成によれば、2つ設けられた当接部24を介してグロメット10における周壁13の開口端縁131をパネルP10における貫通孔P11の周囲面P13へと安定した姿勢で押し付けて密着させることができる。
【0030】
また、本実施形態では、プロテクタ20には、第1取付けフランジ25及び第2取付けフランジ26が設けられ、固定部材30が、これら2つの取付けフランジそれぞれとパネルP10を締結固定するボルトとなっている。この構成によれば、2つの取付けフランジそれぞれとパネルP10をボルトで締結固定するという良好な作業性の下で、プロテクタ20を介したグロメット10の取り付けを行うことができる。
【0031】
また、本実施形態では、固定部材30は、貫通孔P11の内周縁P111に係止爪52が係止するようにグロメットインナ50におけるグロメット10からの突出部分51を貫通孔P11に押し込む。そして、グロメット10の開口端縁131をパネルP10の周囲面P13へと押し付けて密着させる。この構成によれば、グロメットインナ50を介してグロメット10の変形が抑制されるとともに、グロメットインナ50の係止爪52を介してグロメット10をパネルP10に強固に取り付けることができる。そして、この係止爪52による係止も固定部材30によるプロテクタ20のパネルP10への固定を介して行われるので、上記のような強固な取付けを作業上の負担を抑えて行うことができる。
【0032】
尚、以上に説明した実施形態はグロメット取付け構造の代表的な形態を示したに過ぎず、グロメット取付け構造は、これに限定されるものではなく種々変形して実施することができる。
【0033】
例えば、上述の実施形態では、グロメット10の取り付け対象のパネルP10が車体を構成する金属パネルとなったグロメット取付け構造1が例示されているが、グロメット取付け構造はこれに限るものではない。グロメット取付け構造は、電線を通過させるための貫通孔が設けられた取り付け対象のパネルにグロメットを取り付けるものであれば、パネルの具体的な態様を問うものではない。
【0034】
また、上述の実施形態では、電線2の束を2本支持する有底円筒状のグロメット10が例示されているが、グロメットはこれに限るものではない。グロメットは、有底の筒状であれば他の形状の筒状であってもよく、電線の束を2本以外の本数支持するものであってもよく、電線を束ではなく単線の状態で支持するもの等であってもよい。
【0035】
また、上述の実施形態では、有底円筒状の本体ケース部21から第1電線案内部22と第2電線案内部23との2つの案内部が延出したプロテクタ20が例示されているが、プロテクタはこれに限るものではない。電線を避けつつグロメットに被せられる開口箱状に形成され、その内側にグロメットの底壁に当接する当接部が設けられたものであれば、プロテクタの全体形状、電線案内部の有無、形状、及び個数等については任意に設定し得る。
【0036】
また、上述の実施形態では、固定部材30が、連結部材40によってグロメット10に連結されたプロテクタ20をパネルP10に固定するグロメット取付け構造1が例示されているが、グロメット取付け構造はこれに限るものではない。グロメット取付け構造は、例えば連結部材を設けず、プロテクタの当接部での底壁の押し上げのみによりグロメットの開口端縁をパネルに押し付けて密着させる構造等であってもよい。ただし、連結部材40を設けることで、プロテクタ20の内部における電線2の配策状態を維持しつつ作業上の負担を抑えることができる点は上述した通りである。
【0037】
また、上述の実施形態では、連結部材40として締結バンドが採用されたグロメット取付け構造1が例示されているが、グロメット取付け構造はこれに限るものではない。グロメット取付け構造は、連結部材として締結バンド以外の、例えばグロメットに係止する係止爪等によってグロメットをプロテクタの内側に保持する保持部材等を採用したものであってもよい。ただし、連結部材40としての締結バンドを用いることで作業上の負担を一層抑えることができる点も上述した通りである。
【0038】
また、上述の実施形態では、連結部材40としての締結バンドで締結する第1連結リブ14及び第2連結リブ27がそれぞれ3つずつ設けられたグロメット取付け構造1が例示されているが、グロメット取付け構造はこれに限るものではない。グロメット取付け構造は、締結バンドで締結する連結リブを設ける場合であってもその個数は任意に設定し得るものである。例えば、グロメットとプロテクタとのそれぞれに3つ以外の個数で複数ずつ連結リブを設けることとしてもよく、あるいは、グロメットとプロテクタとのそれぞれに1つずつ連結リブを設けることとしてもよい。ただし、連結リブを複数ずつ設けて締結バンドで締結することで、グロメット10とプロテクタ20とを強固に連結することができる点も上述した通りである。
【0039】
また、上述の実施形態では、プロテクタ20の内側に当接部24が2つ設けられたグロメット取付け構造1が例示されているが、グロメット取付け構造はこれに限るものではない。グロメット取付け構造における当接部の設置数は任意に設定し得るものであり、例えば、当接部を3つ以上の複数設けることとしてもよく、あるいは当接部を1つだけ設けることとしてもよい。ただし、当接部24を複数設けることで、グロメット10の開口端縁131をパネルP10に安定した姿勢で押し付けて密着させることができる点も上述した通りである。
【0040】
また、上述の実施形態では、固定部材30が、プロテクタ20に設けられた2つの取付けフランジそれぞれとパネルP10を締結固定するボルトとなったグロメット取付け構造1が例示されているが、グロメット取付け構造はこれに限るものではない。グロメット取付け構造は、ボルト以外の、例えばパネルに設けられた係止孔に係止する係止爪等によってプロテクタをパネルに固定する固定部材等を採用したものであってもよい。また、固定部材としてボルトを採用する場合でも、その本数や固定態様等は任意に設定し得るものであり、2本以外の本数のボルトを用いることとしてもよく、取付けフランジを介さずにプロテクタをパネルに固定することとしてもよい。ただし、取付けフランジを介して固定部材30としてのボルトでプロテクタ20をパネルP10に固定することで、良好な作業性の下でグロメット10の取り付けを行うことができる点も上述した通りである。
【0041】
また、上述の実施形態では、グロメット10にグロメットインナ50を嵌入し、係止爪52が被係止箇所P112に係止するように固定部材30がグロメットインナ50の突出部分51を貫通孔P11に押し込むグロメット取付け構造1が例示されている。しかしながら、グロメット取付け構造はこれに限るものではない。グロメット取付け構造は、グロメットインナを設けずにグロメットの開口端縁をパネルに密着させるものであってもよい。ただし、グロメットインナ50を設けることでグロメット10の変形が抑制される点は上述した通りである。また、固定部材30によるプロテクタ20の固定を介してグロメットインナ50の係止爪52の係止を行うように構成することで、強固な取付けを作業上の負担を抑えて行うことができる点も上述した通りである。尚、グロメットインナを設ける場合であっても、その係止爪の数は上述の実施形態における3つに限るものではなく、1つであっても、3つ以外の複数であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 グロメット取付け構造
2 電線
10 グロメット
11,212 底壁
12 チューブ部分
13 周壁
14 第1連結リブ
20 プロテクタ
21 本体ケース部
22 第1電線案内部
23 第2電線案内部
24 当接部
25 第1取付けフランジ
26 第2取付けフランジ
27 第2連結リブ
30 固定部材
40 連結部材
50 グロメットインナ
51 突出部分
52 係止爪
131 開口端縁
141 第1連結孔
211 側壁
211a 切込み
241 段部
242 側部
251,261 取付け孔
271 第2連結孔
P10 パネル
P11 貫通孔
P12 ネジ穴
P13 周囲面
P111 内周縁
P112 被係止箇所
D12 軸方向