(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】インクジェット座標系に対する基板座標系の精密アライメント
(51)【国際特許分類】
B05D 5/00 20060101AFI20231030BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20231030BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20231030BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20231030BHJP
G01B 21/20 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
B05D5/00 Z
B05D5/00 A
B05D1/26 Z
B05D3/00 D
G01B11/00 C
G01B21/20 F
(21)【出願番号】P 2018560859
(86)(22)【出願日】2017-05-19
(86)【国際出願番号】 US2017033584
(87)【国際公開番号】W WO2017201431
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-02-26
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-26
(32)【優先日】2016-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(72)【発明者】
【氏名】スリニーヴァッサン,シトルガタ ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】シンハル,シュラワン
【合議体】
【審判長】門前 浩一
【審判官】関根 裕
【審判官】安積 高靖
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-4794(JP,A)
【文献】特表2016-528741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00- 7/26
G01B 11/00-11/30
G01B 21/00-21/32
B29C 53/00-53/84
B29C 57/00-59/18
H01L 21/027
H01L 21/30
H01L 21/46
H01L 21/67-21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板における望ましくない表面形状を補償するために調整された薄膜を形成する方法であって、
インクジェット及びスーパーストレートチャックを支持している固定ブリッジに対して計測ツールを正確に配置する工程と、
前記計測ツールに対して前記基板を正確に配置する工程と、
前記固定ブリッジに対して前記インクジェットを正確に配置する工程と、
前記固定ブリッジに取り付けられた下方視顕微鏡、及び、ステージに取り付けられた上方視顕微鏡上のアライメントマークが整列されるのに応じて、前記下方視顕微鏡及び前記上方視顕微鏡の最適な配置のための前記ステージ上の第1位置を識別する工程と、
前記ステージ上の前記上方視顕微鏡が前記計測ツール上のアライメントマークと整列されるのに応じて、前記ステージ上の第2位置を識別する工程と、
前記インクジェットに付随したインクジェット座標系に対する前記計測ツールに付随した計測座標系の相対位置を、前記第1位置及び第2位置間の差により取得する工程と、
前記計測ツール上で基板形状を測定する工程と、
前記計
測座標系における前記計測された基板形状を、プロセッサによって、前記固定ブリッジによって支持された前記インクジェットに付随した
前記インクジェット座標系にマッピングする工程と、
前記基板における前記望ましくない表面形状を補償するために必要
な膜厚を識別する工程と、
前記基板形状のマップ及び前
記膜厚に基づいて、最適なインクジェット滴の位置及び体積を取得する工程と、
前記基板における前記望ましくない表面形状を補償するために必要な前
記膜厚を達成するために、ナノスケール薄膜のプログラマブルアダプティブインクジェット(PAINT)処理を実行する工程と、
を備え
、
前記第1位置及び前記第2位置は、x、y及びシータ位置を備える
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記上方視顕微鏡が、ベストフィットラインを決定するためにインクジェットノズルを撮像するのに応じて、前記ステージ上の第3位置を識別する工程と、
前記ステージにチャックで固定された前記基板の表面上の一以上の識別可能な特性を測定する工程と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記下方視顕微鏡及び前記上方視顕微鏡上の前記アライメントマークは、ボックスインボックス特性及びクロスインクロス特性のうちの一以上の特性を備えることを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前
記第3位置は、x、y及びシータ位置を備えることを特徴とする請求項
2に記載の方法。
【請求項5】
前記計測ツールに固定されたプレートは、前記計測ツール上の前記アライメントマークを備えることを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記下方視顕微鏡及び前記上方視顕微鏡上の前記アライメントマークを用いて相対配置及び方位誤差を決定する工程を更に備えることを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記チャックで固定された
前記基板の前記表面は、識別可能な特性である平面、ノッチ、及び既存アライメントマークのうちの一以上の特性を備えることを特徴とする請求項
2に記載の方法。
【請求項8】
前記基板を研磨する工程を更に備えること特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記基板をマイクロスケール又はナノスケールパターンで平坦化する工程を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
計測ツールに付随し、アライメントマークを有するプレートと、
インクジェット、下方視顕微鏡、及びブリッジに固定されたスーパーストレートチャックを有するブリッジであって、前記スーパーストレートチャックにスーパーストレートが固定されているブリッジと、
上方視顕微鏡を備えたステージと、
前記ステージにチャックで固定及び設置された、識別可能な特性を有する基板と、
を備え
、
前記ステージの第1位置は、前記下方視顕微鏡及び前記上方視顕微鏡上のアライメントマークが整列されるのに応じて、前記下方視顕微鏡及び前記上方視顕微鏡を最適に配置するために識別され、
前記ステージ上の第2位置は、前記ステージ上の前記上方視顕微鏡が前記プレート上の前記アライメントマークと整列されるのに応じて識別され
インクジェット座標系に対する計測座標系の相対位置は、前記第1位置及び第2位置間の差により取得され、
前記第1及び第2位置は、x、y及びシータ位置を備える
ことを特徴とするアライメントシステム。
【請求項11】
前記下方視顕微鏡及び前記上方視顕微鏡上の前記アライメントマークは、ボックスインボックス特性及びクロスインクロス特性のうちの一以上の特性を備えることを特徴とする請求項
10に記載のアライメントシステム。
【請求項12】
前記チャックで固定された基板の表面が測定されることを特徴とする請求項
10に記載のアライメントシステム。
【請求項13】
基板座標系及び計測座標系間の変換は、前記第1
位置及び第2位置と、前記チャックで固定された基板の前記測定された表面とを用いて、取得されることを特徴とする請求項
12に記載のアライメントシステム。
【請求項14】
前記ステージ上の前記上方視顕微鏡は、複数のインクジェットノズルを撮像するために用いられることを特徴とする請求項
10に記載のアライメントシステム。
【請求項15】
前記複数のインクジェットノズルの正確な位置及び方位は、前記上方視顕微鏡によって観察される前記複数のインクジェットノズルの画像を用いて、前記インクジェットに付随した座標系で識別されることを特徴とする請求項
14に記載のアライメントシステム。
【請求項16】
前記識別可能な特性は、平面、ノッチ、及び既存アライメントマークのうちの一以上の特性を備えることを特徴とする請求項
10に記載のアライメントシステム。
【請求項17】
前記ステージは、前記基板を前記計測ツールへ移動させ、前記基板を前記スーパーストレートチャックへ移動させることを特徴とする請求項
10に記載のアライメントシステム。
【請求項18】
前記上方視顕微鏡を備えた前記ステージは、前記基板を前記スーパーストレートチャックへ移動させ、第2ステージは、前記基板を前記計測ツールへ移動させ、前記上方視顕微鏡を備えた前記ステージは、前記第2ステージとは異なっていることを特徴とする請求項
10に記載のアライメントシステム。
【請求項19】
システムが、基板における望ましくない表面形状を補償するために調整された薄膜を形成する
ためのコンピュータプログラム製品であって、
当該該コンピュータプログラム製品は、具現化されるプログラムコードを有するコンピュータ読取可能記録媒体を備え、
前記プログラムコードは、
インクジェット及びスーパーストレートチャックを支持する固定ブリッジに対して、計測ツールを正確に配置するプログラミング命令と、
前記計測ツールに対して前記基板を正確に配置するプログラミング命令と、
前記
固定ブリッジに対して前記インクジェットを正確に配置するプログラミング命令と、
前記固定ブリッジに取り付けられた下方視顕微鏡、及び、ステージに取り付けられた上方視顕微鏡上のアライメントマークが整列されるのに応じて、前記下方視顕微鏡及び前記上方視顕微鏡の最適な配置のための前記ステージ上の第1位置を識別するプログラミング命令と、
前記ステージ上の前記上方視顕微鏡が前記計測ツール上のアライメントマークと整列されるのに応じて、前記ステージ上の第2位置を識別するプログラミング命令と、
前記インクジェットに付随したインクジェット座標系に対する前記計測ツールに付随した計測座標系の相対位置を、前記第1位置及び前記第2位置間の差により取得するプログラミング命令と、
前記計測ツール上で基板形状を測定するプログラミング命令と、
前記計
測座標系における前記計測された基板形状を、前記固定ブリッジによって支持された前記インクジェットに付随した
前記インクジェット座標系にマッピングするプログラミング命令と、
前記基板における前記望ましくない表面形状を補償するために必要
な膜厚を識別するプログラミング命令と、
前記基板形状のマップ及び前
記膜厚に基づいて、最適なインクジェット滴の位置及び体積を取得するプログラミング命令と、
前記基板における前記望ましくない表
面形状を補償するために必要な前
記膜厚を達成するために、ナノスケール薄膜のプログラマブルアダプティブインクジェット(PAINT)処理を実行するプログラミング命令と、
を備え
、
前記第1位置及び前記第2位置は、x、y及びシータ位置を備える
ことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
前記プログラムコードは
、
前記上方視顕微鏡が、ベストフィットラインを決定するためにインクジェットノズルを撮像するのに応じて、前記ステージ上の第3位置を識別するプログラミング命令と、
前記ステージにチャックで固定された前記基板の表面上の一以上の識別可能な特性を測定するプログラミング命令と、
を更に備えることを特徴とする請求項
19に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項21】
前記下方視顕微鏡及び前記上方視顕微鏡上の前記アライメントマークは、ボックスインボックス特性及びクロスインクロス特性のうちの一以上の特性を備えることを特徴とする請求項
20に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項22】
前
記第3位置は、x、y及びシータ位置を備えることを特徴とする請求項
20に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項23】
前記計測ツールに固定されたプレートは、前記計測ツール上の前記アライメントマークを備えることを特徴とする請求項
20に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項24】
前記プログラムコードは、前記下方視顕微鏡及び前記上方視顕微鏡上の前記アライメントマークを用いて相対配置及び方位誤差を決定するプログラミング命令を更に備えることを特徴とする請求項
20に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項25】
前記チャックで固定された
前記基板の前記表面は、識別可能な特性である平面、ノッチ、及び既存アライメントマークのうちの一以上の特性を備えることを特徴とする請求項
20に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項26】
前記プログラムコードは、前記基板を研磨するプログラミング命令を更に備えることを特徴とする請求項
19に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項27】
前記プログラムコードは、前記基板をマイクロスケール又はナノスケールパターンで平坦化するプログラミング命令を更に備えることを特徴とする請求項
19に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により全てが本明細書に援用される、2016年5月20日出願の「インクジェット座標系に対する基板座標系の精密アライメント」と題する米国仮特許出願第62/339,454号の優先権を主張する。
【0002】
(政府支援)
本発明は、助成金第ECCS1120823号の下、米国国立科学財団による助成を受けたものである。米国政府は、本発明に対する一定の権利を有する。
【0003】
(技術分野)
本発明は、一般には、座標フレームの不一致に起因する不要な寄生シグネチャ(parasitic signatures)に関し、より詳細には、インクジェット座標系に対する基板座標系の精密アライメントの構築に関する。
【背景技術】
【0004】
ナノスケール薄膜のプログラマブルアダプティブインクジェット(Programmable Adaptive Inkjetting of Nanoscale Thin-Films:PAINT)処理等の処理は、材料の無駄が殆ど無く厚さが調整された膜を堆積させるために用いられる。PAINTは、基板の種類、厚さ又は材料の選択にはほとんど捉われず、広範囲に渡って膜を堆積できる。PAINTは、意図的に、表面形状(トポグラフィ)やインクジェット滴体積変化等の系統的寄生の影響も遮断可能であり、最終膜厚の悪化も防止できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、そのような処理において、平坦化時等、基板の表面が最も重要である際には、基板の名目及び寄生形状のマップを得るために表面プロファイル計測が必要である。表面プロファイル計測では、PAINT処理の実施直前に、(インクジェットにより分配された有機材料液滴に、基板を横切って横方向に結合することを促すために用いられる)「スーパーストレート」に最も近い最終表面の形状を測定する必要がある。
【0006】
基板及び基準表面間、並びに実質的には基板及びスーパーストレート間、又は基板及びインクジェット間の座標フレームの如何なる不一致も、不要な寄生シグネチャを生じる可能性がある。この全アライメントにより、典型的には、液滴堆積やその後のPAINTが正しい位置で実行されることが保証される。アライメントの許容誤差は、基板の名目形状の性質や単一のPAINTステップで望まれる補正量に依存する。典型的には、これらの誤差は、100μm未満、50μm未満、10μm未満又は1μm未満である必要があろう。
【0007】
この結果、特にインクジェット座標系に対する基板座標系において、適切なアライメントの構築が必要となる。全座標系(即ち、基板座標系、計測座標系及びインクジェット座標系)の位置及び方位は、ミクロンスケールの精度で既知である必要がある(用途にもよるが、100μm未満、50μm未満、10μm未満又は1μm未満である必要があろう)。実際の基板形状とインクジェットにより補正される形状との間のずれに由来する寄生形状誤差の誘導を最小にすることが重要である。
【0008】
しかしながら、現在は、そのような寄生形状誤差の誘導を最小にする技術は存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の実施形態では、基板における望ましくない表面形状を補償するために調整された薄膜を堆積させる方法は、固定ブリッジに対して計測ツールを正確に配置する工程を備え、ここで、前記固定ブリッジはインクジェット及びスーパーストレートチャックを支持している。この方法は、前記計測ツールに対して前記基板を正確に配置する工程を備える。加えて、この方法は、前記ブリッジに対して前記インクジェットを正確に配置する工程を備える。更に、この方法は、前記計測ツール上で基板形状を測定する工程を備える。更に、この方法は、プロセッサによって、計測ツール座標系における前記測定された基板形状を、前記ブリッジによって支持された前記インクジェットに付随した座標系にマッピングする工程を備える。加えて、この方法は、前記基板における前記望ましくない表面形状を補償するために必要な所望の膜厚を識別する工程を備える。この方法は、前記所望の膜厚及び前記基板形状のマップに基づいて、最適インクジェット滴の位置及び体積を取得する工程を更に備える。この方法は、前記基板における前記望ましくない表明形状を補償するために必要な前記所望の膜厚を達成するために、ナノスケール薄膜のプログラマブルアダプティブインクジェット(PAINT)処理を実行する工程を更に備える。
【0010】
上述した方法の実施形態の他の形態は、システム及びコンピュータプログラム製品にある。
【0011】
本発明の他の実施形態では、アライメントシステムは、計測ツールに付随したアライメントマークを有するプレートを備える。このアライメントシステムは、インクジェットを有するブリッジ、下方視顕微鏡、及び該ブリッジに固定されたスーパーストレートチャックを更に備える。ここで、スーパーストレートは、前記スーパーストレートチャックに固定されている。このアライメントシステムは、上方視顕微鏡を備えたステージを更に備える。更に、このアライメントシステムは、前記ステージにチャックで固定及び設置された、識別可能な特性を有する基板を備える。
【0012】
以下に続く本発明の詳細な説明をより良く理解するために、本発明の一又は複数の実施形態における特徴及び技術的利点について概説した。本発明の特許請求の範囲の対象事項を構成する本発明の更なる特徴及び利点を、以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮すると、本発明のより良い理解が得られる。
【
図1】本発明の実施形態に係る、ナノスケール薄膜のプログラマブルアダプティブインクジェット(PAINT)を用いた所定の厚さ変動を有する膜堆積方法のフローチャートである。
【
図2】
図2Aから
図2Fは、本発明の実施形態に係る、
図1に示す各加工ステップ中の基板への薄膜堆積の断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る、スーパーストレートのリロード可能なロール-ロール構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る、寄生形状誤差を最小にするための、その場(in-situ)アライメントシステムを示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る、
図4のその場アライメントシステムを用いて寄生形状誤差を最小にする方法のフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態に係る、表面ナノ形状が存在する場合のパターンの平坦化を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る、異なるスケールの表面ナノ形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、名目上平坦な基板上における二種類の精密表面形状最適化、即ち、研磨及び平坦化に対する汎用的な処理を提供する。研磨に関しては、所望値から、実表面の低、中又は高空間周波数寄生を望ましく補正することを含むが、周波数特性については以下に更に記載する。平坦化に関しては、上面が平坦な膜を取得することを含み、高空間周波数特性を平坦化しながら、低及び中空間周波数基板形状に一致させることを含む場合もある。
【0015】
ここで、上述した処理群は、プログラマブルアダプティブインクジェット(PAINT)と称される。本発明は、先に用いられたPAINT法を活用且つ飛躍的に向上させる。
【0016】
PAINTを用いた所定膜厚変化の方法について、
図1及び
図2と関連させて以下に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る、PAINTを用いた所定の厚さ変動を有する膜堆積方法100のフローチャートである。
図1について、
図2Aから
図2Fと関連させて説明する。
図2Aから
図2Fは、本発明の実施形態に係る、
図1に示す各加工ステップ中の基板への薄膜堆積の断面図である。
【0017】
ここで説明するように、「スーパーストレート」は、「最適柔軟性」を有する必要がある。但し、その剛性は、(1)有機材料液滴に、スーパーストレートで周りを包まれた島状で個々の液滴を閉じ込めるよりはむしろ横方向に結合することを促せるほど高く、(2)変形に起因してスーパーストレート内に保有されるひずみエネルギーが、モノマーの硬化又は架橋前に、薄膜流体力学挙動にあまり影響を与えないほど低い。この特徴により、スーパーストレートは、基板上の低空間周波数形状特性、時には中空間周波数形状特性に対して、選択的に鈍感でありうる。
【0018】
図2Aから
図2Fと併せて
図1を参照すると、ステップ101において、
図2Aに示すように、マルチジェット203によって、基板202上の所望位置に材料の液滴201を分配する。マルチジェット203は単一ジェットで表されているが、マルチジェットアレイが
図2Aの面に伸びているからである。液滴の所望位置は、逆最適化フレームワークに由来する。一の実施形態では、分配された液滴201の最小体積は、ピエゾジェット又は電気流体力学ジェットを用いて、5ピコリットル未満である。他の実施形態では、分配された液滴201の最小体積は、ピエゾジェット又は電気流体力学ジェットを用いて、1ピコリットル未満である。一の実施形態では、基板202は、1GPaよりも高いヤング率の材料からなる。一の実施形態では、基板202は、シリコン、二酸化シリコン、及び窒化ガリウムのうちの一以上の材料からなる硬質ウェハである。
【0019】
ステップ102において、
図2Bに示すように、分配された液滴201上に最適に柔軟なスーパーストレート204を降ろす。
【0020】
ステップ103において、
図2Cに示すように、スーパーストレート204が分散された液滴201上に降りるのに応じて、流体界面205が生じる。スーパーストレート204の形状及び降下速度は、液滴201が横方向に結合可能となって気泡の閉じ込めを最小にして連続膜を形成できるように選択されてよい。有機液体に可溶なCO
2や大抵の基板202及び/又はスーパーストレート204に迅速に拡散するHe等の気体の局所雰囲気は、この処理における気泡の閉じ込め回避を更に支援するために、基板-スーパーストレートに挟まれた領域で用いられてよい。スーパーストレート204の材料は、ガラス(例えば、水晶、溶融シリカ等)、プラスチック(例えば、PMMA、ポリカーボネート、PET、PEN等)、又は高分子薄膜を備えたセラミックスを含むセラミックス(Zerodur(登録商標))を含む、複数の選択肢を含んでよいが、これらに限定されない。プラスチック及びセラミック材料は固有の多孔性を有しており、これが気体の透過を更に支援し、気泡の閉じ込めを回避する。スーパーストレート204は、典型的には局所的に平滑になるように研磨される。即ち、表面粗さが低い(粗さは、ミクロンスケールの空間波長に渡る振幅変動として規定される)。スーパーストレート204の表面は、FOTS又はテフロン(登録商標)等の低表面エネルギー塗料で被膜されてよく、一方、基板202の表面は、BARC、ValMat、又はTranSpin等の接着促進剤で被膜されてよい。スーパーストレート及び/又は基板塗料を使用すると、処理の終わりに基板202上へ硬化材料を残す性能が向上する。インクジェット材料は、Molecular Imprints,Inc.のMonoMat(登録商標)及びSilMat(登録商標)材料やMicro-resist technologiesのmr-UVcur**等のUV硬化材料を含んでよい。
【0021】
ステップ104において、
図2Dに示すように、スーパーストレート-流体-基板サンドは、ある期間後に非平衡過渡状態まで成長でき、液滴201は、連続膜206上にスーパーストレート層204があるような連続膜206を形成する。
【0022】
ステップ105において、
図2Eに示すように、高分子内に連続膜206を架橋させるように、スーパーストレート-流体-基板サンドをUV露光207で硬化させる。
【0023】
ステップ106において、
図2Fに示すように、高分子からスーパーストレート204を分離し、高分子膜208を基板202上に残す。基板202は、研磨又は平坦化が必要な形状を有すると想定されるが、スーパーストレート204は、本質的にPAINT処理を達成するための媒体である。一の実施形態では、高分子膜208は、更に以下に説明されるように、下地機能膜又は基板202に膜厚プロファイルを転写可能とするようにエッチングされてよい。
【0024】
ある実施態様では、方法100は、明快にするために示していない他の及び/又は更なるステップを含んでよい。更に、ある実施態様では、方法100は、提示された順番とは異なる順番で実行されてよい。加えて、ある実施態様では、方法100の一定のステップが実質的に同時に実行されてよく、又は省略されてよい。
【0025】
上述のPAINT処理は、以下の更なる利点を有する。このような処理は、高速処理速度でナノメートルスケール精度のユーザ定義調整膜厚プロファイルを可能とする。カスタマイズを提供する大抵の製造処理は、処理速度が低く、従って、多くの場合、費用効果の高いカスタマイズは行われにくい。PAINTは、最適スーパーストレートとプログラマブルインクジェットとの併用により、カスタマイズと高速処理が可能である(従って、低コスト処理の可能性がある)。
【0026】
更に、このような処理は、材料の無駄を殆ど無くす又は低くすることにより消費コストを非常に低くできる。(高速処理に起因する)低資本コストと低消費コストとにより、PAINTは、多種の用途に対して費用効果の高い処理となる可能性がある。
【0027】
加えて、ソフトウェア及び低コストに基づいて、実行可能性とカスタマイズ可能性とを組み合わせると、半導体の平坦化領域における表面形状の補正ドメインで顕著な利点を有する可能性がある。これは、異なる長さスケールで更なる寄生を誘導せずに、所望値から、実表面における低、中、又は高空間周波数寄生を望ましく補正することも包含する。故に、この方法は、更なるソフト又はハードラッピングや、研磨ツール或いは超精密予備成形モールドの必要無しに、本質的に表面「研磨」も可能とする。しばしば、平坦化、研磨及び望ましくない寄生の補正は同時に達成できるが、これらは同じカテゴリの他の処理では達成が難しい。
【0028】
PAINTは、基板の種類、厚さ又は材料の選択についても実質的に鈍感であり、広範囲に渡って膜を堆積できる。意図的に、表面形状や系統的インクジェット滴体積変化等の系統的寄生の影響も遮断可能であり、最終膜厚の悪化を防止できる。
【0029】
仮に、この処理が薄膜を形成する材料の堆積に依存するならば、このような膜形成が、現在業界でどのように実施されているかを知ることは有益である。半導体、フォトニック及び光量子装置、マイクロ電気機械システム/ナノ電気機械システム(MEMS/NEMS)、電子ディスプレイ(液晶ディスプレイ(LCDs)等)等を含む大抵のマイクロ及びナノ装置の加工では、複数の薄膜の形成が必要である。現在、業界では堆積について選択肢が幾つかある。液相析出法は、典型的にはスピンコーティングのような処理によって実施されるが、これは、所望の薄膜を取得するために以降の液体凝固反応への前駆体としてよく用いられる。気相で最も良く用いられる技術は、化学蒸着法(CVD)である。通常のCVD処理において、基板は、反応又は分解して基板表面に所望膜を形成する気相の前駆体に曝される。CVD処理は、数種類存在する。用いる圧力に応じて、常圧CVD(APCVD)、減圧CVD(LPCVD)又は超高真空CVD(UHVCVD)として分類できる。低圧は、不要の反応を低減させる傾向があり、膜厚の均一性を向上させる。プラズマ強化CVD(PECVD)やリモートPECVD等の、化学反応を高めるプラズマに基づく方法も、堆積温度を低減し且つ基板を高温効果から保護するために、半導体業界において薄膜の形成に用いられる。原子層堆積(ALD)と称される技術も、一又は異なる材料の共形単分子膜を製造するために頻繁に用いられる。物理蒸着(PVD)法も、重要な薄膜堆積法である。その名の通り化学反応には依存しないが、真空環境において凝縮形状の蒸発物質を基板上に堆積する。蒸着法及びスパッタリングは、PVDにおいてよくみられる二例である。前者は、堆積すべき材料を高蒸気圧まで加熱するが、後者は、堆積すべき材料を基板表面に衝突させるためにプラズマ放電を用いる。
【0030】
上述した処理では、全て、単位面積あたりの堆積材料量が実質的に同じになるように、薄膜が堆積される。材料を調整して意図的に不均一な膜を形成することは、典型的にはこれらの処理では不可能である。或いは、基板形状や所望の膜厚プロファイルの変動に対応するハードウェアやツーリングの頻繁な変化が必要である。また、スピンコーティング等の処理は材料の無駄が多く、一方、真空処理は、処理が実行されるチャンバをポンプダウンする必要があるため高価である。PAINTは、これらの処理に係る特有の性能とコスト面の有利性を提供する。
【0031】
より持続可能な処理へのニーズと共に、インクジェットも、その直接描画「マスクレス」性により、安価なパターニング及び材料の堆積に対して魅力的な技術になる。しかしながら、堆積液滴の実質的な気液界面の存在により、蒸発及び表面張力勾配は局所的膜厚に不均一性を引き起こし、悪名高い「コーヒーリング効果」を生じうる。しかしながら、膜厚の均一性は、個々の液滴の体積、分配液体及び基板の表面特性、連続液滴間の間隔、又は液滴が広がって結合できるほど低くされるべき液滴ピッチにも多大に影響を受ける。故に、非常に低い材料消費にも関わらず、上述の要因により、インクジェットに基づく広範囲のナノスケール厚さ膜の堆積の処理制御が困難となる。
【0032】
米国国立標準技術研究所(NIST)において、速度勾配ナイフエッジコーティング処理としてフローコーティングが開発された。高分子溶液滴が、一定の加速度で移動する基板に堆積される。基板の速度勾配作用の結果としての摩擦抵抗と、基板の移動中に基板の約200μm上に配置された静止ナイフエッジに起因する毛細管力との間の競争により、膜の厚さ勾配が生じる。以降の蒸発により、サブミクロン厚さの膜が達成される。サブ100nmの範囲のポリスチレン薄膜についてはこの装置を用いて実証されたが、非単調プロファイルの膜がこの装置を用いて取得できたかは不明である。
【0033】
電気化学堆積の変形も用いられたが、そこでは、厚さが変動する高分子電解質膜が、空間的に調整可能な電場勾配を用いて堆積される。加えて、薄膜の厚さ勾配を実現するために材料の除去量を空間的に制御する高分子電解質膜の可変塩エッチングも実証された。しかしながら、そのような技術は、広範囲の領域で適用可能とするために必要な膜厚範囲及び解像度を有していない。
【0034】
機能勾配を有する超薄膜の堆積は、生体組織工学に含まれる様々な要因の研究に係る生物医学領域で活動的な研究領域である。この目標を達成するために、レイヤーバイレイヤー(交互積層:LBL)累積処理によって、バイオミメティック(生体模倣)膜が加工された。ここで、機能勾配は、タンパク質吸着や細胞接着等のふるい分け事象に対して分子レベル以上で付加可能である。LBL技術は、静電力、ファンデルワールス力、水素結合等を含む、各種の表面相互作用の組み合わせを介して、主に進行する。温度勾配を有する機能化基板上でのポリマー分子のグラフト化も、結果として厚さ勾配を生じる。
【0035】
上述の方法に加えて、蒸気に基づく技術も、主に厚さが変動する無機膜の堆積に利用可能である。これらの技術は、必要な厚さプロファイルを生じる動作制御マスクを用いる。或いは、各シャワーユニットを制御する離散化シャワーヘッドを用いる。このような方法は、達成可能な膜厚の変化を制限しており、また様々なプロファイルを生じるためにはハードウェアの変化が必要であるので、各種の用途に渡る汎用性が制限されている。
【0036】
上述のように、PAINTは、インクジェットを用いて前駆体モノマー滴を基板上に堆積する。基板表面は、モノマーの広がりを向上及び/又は高分子化材料を付着させるために前処理されてよい。インクジェットが複数のノズルを備える場合は、スキャンステージが基板に対してインクジェットを駆動する状態で、所望の基板領域を数秒以下で必要液滴を用いて被覆できる。この間、堆積液滴の夫々の体積及び位置の制御が保持される。所望の各膜厚プロファイルに対する最適な滴体積及び位置は、簡易化又は直線化薄膜潤滑モデルに包含される逆最適化ルーチンから取得される。液滴の堆積に続き、背面横圧又は重力によって曲がった最適に柔軟な基板を、液滴への最初の接触が界面で行われるように降ろす。これにより、外側に迅速に広がり液滴と結合して連続膜を生じる液体界面が生じる。そして、この基板-流体-スーパーストレート「サンド」は、所望の期間成長し、その後、モノマーがフォトニック又は熱エネルギーによって硬化され、高分子へと架橋される。そしてスーパーストレートはサンドから分離され、高分子薄膜が基板上に残される。
【0037】
処理が基板表面上で実施されている状態で、スーパーストレートが基板の上に位置すると仮定されたが、本発明の原理は、二つの表面の相対位置が逆にされる、即ち、基板がスーパーストレート上に位置する実施形態に適用する。同様に、インクジェットステップでは、基板又はスーパーストレート上で、これらの表面の相対位置に応じて液滴が分散してよい。また、分離ステップでは、処理の性質を変えずに、スーパーストレート又は基板のどちらか一方を他方から離すことができる。以下に「塗装」される必要がある表面を有する基板について説明するが、本発明の原理はこれに限定されず、「塗装」される必要がある他の表面を含んでよい。
【0038】
(以下に掲げる)キー概念が幾つかあり、その一部又は全ては、可変PAINT処理を作成するために統合する必要がある。これらの態様を簡単な説明とともに以下に挙げる。
【0039】
(1)基板、スーパーストレート及びインクジェット流体材料の材料特性を含む流体構造物相互作用を有する動的薄膜潤滑モデル。所望の堆積領域、スーパーストレート-流体界面と流体-基板界面との表面特性、並びに厚み関数や基板及びスーパーストレートの表面形状性を含む基板及びスーパーストレートの幾何学。
【0040】
(2)基板、インクジェット及び流体材料の特性に基づくスーパーストレート幾何学におけるモデルベースデザイン。
【0041】
(3)基板及びスーパーストレート形状の計測とモデルベースソリューション(解)への統合。
【0042】
(4)形状情報を含む改良潤滑理論モデルの直線化。
【0043】
(5)離散液滴及び時には液滴位置由来の整数の制約がある直線化モデル周囲の液滴位置及び体積を得るための逆最適化ルーチンの解。
【0044】
(6)膜厚プロファイルがPAINT後処理の問題を引き起こさないことを保証する上述の逆処理最適化に包含される機能最適化。
【0045】
(7)所望体積や所望位置に対する分散滴の精密さ。
【0046】
(8)液体フリー表面からの蒸発損失に対抗且つエアポケットの閉じ込めも回避しながら、連続膜の形成を可能にする最適な柔軟なスーパーストレート及び基板の組み合わせを使用。
【0047】
(9)逆最適化ルーチンによって決定されるように、UV硬化前に予め定義された時間まで基板-液体-スーパーストレートサンドが成長可能。
【0048】
(10)凝固させるために液体を硬化。
【0049】
(11)基板上で所望の薄膜を得るために互いからスーパーストレート及び基板の分離。
【0050】
適切なスーパーストレート及び基板の組み合わせを用いることが重要である。一般に、基板の特性は不変であり、処理に合うようには変更できない。故に、典型的にはスーパーストレートの特性のみが変更される。しかしながら、一般には、プロセス動力学に影響を与えるのはスーパーストレートと基板との両方である。よって、実際にはどちらか一方に対して自由に変更されるのは他方のみであるかもしれないが、これらは組み合わせとして提供されている。このスーパーストレート及び基板の組み合わせは、「最適柔軟性」を有する必要がある。但し、その剛性は、モノマー滴に、スーパーストレート/基板で周りを包まれた島状で個々の液滴を閉じ込めるよりはむしろ横方向に結合することを促せるほど高く、変形に起因してスーパーストレート及び基板内に保有されるひずみエネルギーが、モノマーの硬化又は架橋の前には、薄膜流体力学挙動にあまり影響を与えないほど低い。また、寄生又は望ましくない形状シグネチャの存在を実質的に軽減するほど、またそれに対して鈍感であることにより、その剛性は低いはずである。
【0051】
一般に、スーパーストレート及び基板のいずれか又は両方が、用途によっては硬質でなくてもよい。しかしながら、本発明の説明上、基板は硬質でチャックに対して保持されるが、スーパーストレートは屈曲可能であると仮定する。基板は、PAINT処理の裏にある基本概念を乱さすに屈曲可能とされてもよい。
【0052】
スーパーストレートは平面状表面を有しており、所望の柔軟性を与えるのに適切な厚さを有する、ガラス、セラミック又は高分子等の材料で構成されてよい。他の実施形態では、加工又は自然発生の孔を有するより硬質の裏材に付着した薄いフレキシブル膜を使用してよい(陽極酸化アルミニウム(AAO))。裏材は、例えば一つが外環に沿い、一つが内側に向くような、二つの真空ゾーンを有するスーパーストレートチャックに付着している。真空の制御は、多孔性裏材を介して、それに付着する薄膜へと移る。スーパーストレートを広がりステップで用いる際には、全ての真空ゾーンが連動するので、薄膜は硬質裏材に付着できる。広がりが得られると、内側真空ゾーンは解放され(又は正圧を吹き出すことさえも可能)、よって薄膜は、外側真空ゾーンによってのみ支持されうる。これにより、有効スーパーストレート厚さ(及び故に剛性)は実質的に減少し、これは一時的な前平衡過渡変化の成長及び捕捉に望ましい(以下に更に説明する)。薄膜スーパーストレートの厚さは、高分子、ガラス、セラミック等の材料に対して100nmほど薄く、100μmほど厚くてもよい。多孔性裏材は、100μmから5mmの厚さを有してよい。
【0053】
他のスーパーストレートの実施形態は、スーパーストレートのどの部分が流体及び基板とのサンドの形成に関わっているかに応じて異なるスーパーストレート断面で変化する厚さを有することにより実現できる。
【0054】
他の望ましいスーパーストレートのアプローチは、ロール間スーパーストレートの使用を含む。このロール間スーパーストレートは、非常に柔軟であり、液滴の強固な結合を保証するほど高い有効曲げ剛性の張力で保持される。この張力は、一旦液滴が結合し、曲げ剛性を最小にして前平衡過渡変化を捕捉する能力を高めれば、低減されてよい。柔軟なロール間スーパーストレートは、粒子汚染により繰り返される欠陥を防ぐために、迅速な再搭載を可能にするという更なる利点を有する。スーパーストレートの実施形態はプラスチックロール上であるので、比較的安価であり、加工費を大幅に削減できる。これを
図3に示す。
【0055】
図3は、本発明の実施形態に係る、スーパーストレート204の再搭載リロード可能なロール-ロール構成を示す図である。
図2Aから
図2Fと併せて
図3を参照すると、本実施形態では、スーパーストレート204は、張力(矢印302を参照)下で保持されるプラスチックロール301である。ロール301の一部のみがスーパーストレート204として使用される。PAINT処理を繰り返す際に、使用部分は、プロセス欠陥と同じく粒子状物質により汚れうる。一旦それが確認されると、ロール301は回転されて、汚れていないスーパーストレート領域にされる。そして、全ロールが使用された後、ロールは処分され、プロセス転換を速やかにするために新たなロールが搭載される。
【0056】
しかしながら、面内張力を加えると、スーパーストレート-流体-基板サンドの成長の動力学が変化する。一般に、プラスチックスーパーストレートの厚さが100μm以下では、面内応力は高く、よって臨界張力又は座屈破壊の可能性が生じる。よって、薄いスーパーストレートは、該スーパーストレートをより柔軟にするためにも望ましく、処理時間の尺度も長いが、張力で操作が停止するほど薄くされるべきではない。
【0057】
スーパーストレート204の他の重要な特徴は、硬化前に脱ガス材料の広がり及び溶解を促し、そして硬化後に分離させることを含む。これは、スーパーストレート204が、前駆体液と良好な湿潤性を有し、後硬化高分子とはディウェッティング性を有することを必要とする。このような特性は、スーパーストレート204を金属酸化物又は金属の薄膜で被膜することで得られる。スーパーストレート204の表面も処理されてよい。
【0058】
この処理の他のステップは、ここで説明するアラインメントである。
【0059】
スーパーストレート204の形状は、基板202の形状と比べると無視してよいと仮定する。この仮定が真でない場合は、独立してスーパーストレート204の形状の補足も重要であり、それをモデリングの枠組みに含めることが重要であろう。
【0060】
一般に、平坦化時等の基板202の表面のみが重要である際には、基板202上の名目及び寄生形状のマップを得るために表面プロファイリングが実行される。このマップは、シグネチャを最小にする逆最適化の枠組みに対する入力として用いられるので、重要である。一の実施形態では、表面プロファイリング法は、高平坦基準面を用いた光干渉法である。平坦化基板202は、寄生形状の研磨に由来する形状、又は以前のリソグラフィステップからの既存パターンに由来する形状、又はこれらの二種類の組み合わせを有してよい。既存パターンの場合には、PAINT処理を実行する前に、パターン上に、(CVD、PVD、スピンコーティング、浸漬コーティング、スロットダイコーティング、ALD等を介して)更なる膜が堆積されてよい。表面プロファイル計測は、PAINT処理の実施直前にスーパーストレート204に最も近い最終表面の形状を測定する必要がある。
【0061】
基板202及び基準表面間、並びに実質的には基板202及びスーパーストレート204間、又は基板202及びインクジェット間の座標フレームの如何なる不一致も、不要な寄生シグネチャを生じる可能性がある。この全アライメントにより、典型的には液滴堆積が保証され、その後のPAINTが正しい位置で実行される。アライメントの許容誤差は、基板の名目形状の性質や単一のPAINTステップで望まれる補正量に依存する。典型的には、これらの誤差は、100μm未満、50μm未満、10μm未満又は1μm未満である必要があろう。
【0062】
PAINT処理は、半導体の平坦化等の高精度プロファイリング用途に適用される際には、堆積ステップの前に計測ステップを備えており、そこで基板202の形状は、光干渉計、表面プロファイラ、又はその他の同様の機器を用いてナノスケール垂直解像度で測定される。場合によっては、この機器はin-situ配置されてよく、よって、インクジェット堆積を実行する前に、設置された(チャックされた)基板202上で形状は測定されてよい。計測中の基板202の設置は、これらの精密表面の機能的(使用中)設置と実質的に同じであるべきである。この設置により計測及び機能的使用中に引き起こされるのは、最小限の歪み(又は同様の歪み)であることが望ましい。これはキネマティックマウント等のアプローチに基づいてよく、そこでは、歪みのみが、モデル化及び補償の比較的容易な重力たわみに由来する。計測設置スキームに歪みを一致させる制約の重要性は、PAINT処理の実施中は、より低い。なぜなら、基板202の歪みが基板202の局的勾配を大きく変化させない限り(勾配変化は約0.25ラジアン)、PAINT処理は基板202の歪みを許容するからである。
【0063】
この目標を達成するために、インクジェット座標系に対する基板座標系の適切なアライメントの構築が必要となる。全座標系(即ち、基板座標系(SCS)、計測座標系(MCS)及びインクジェット座標系(ICS))の位置(x,y)及び方位(シータ)は
、ミクロンスケールの精度で既知である必要がある(用途にもよるが、100μm未満、50μm未満、10μm未満又は1μm未満である必要があろう)。実際の基板形状とインクジェットにより補正される形状との間のずれに由来する寄生形状誤差の誘導を最小にすることが重要である。このような寄生形状誤差を最小にする戦略について、
図4のその場アライメントシステムを用いて以下に説明する。
【0064】
図4は、本発明の実施形態に係る、寄生形状誤差を最小にするその場アライメントシステム400を示す図である。
【0065】
図4を参照すると、アラインメントマーク(
図4の「+」を参照)を有する環状板401は計測ツール402に固定される。
図4は、良好な方位(シータ)較正を得るために板401の異なる領域に渡ってアラインメントマークがオフセットであることを実証する平面図を更に示す。ノッチ413又はその他の識別可能な特性を有する基板202はチャック403で固定され、上方視顕微鏡(ULM)405を備えたx-y-シータステージ404上に設置される。ブリッジ406は、インクジェット407と、下方視顕微鏡(DLM)408と、及びスーパーストレート204が固定されたスーパーストレートチャック409とを備える。ULM405及びDLM408における同様の平面図は、方位較正及び補正を可能とする二重構成であることを描写するために示す。一の実施形態では、ステージ404は、二つの別個のステージを含んでよく、それらステージの一方は基板202をスーパーストレートチャック409まで移動させるために用いられ、他方のステージは基板202を計測ツール402まで移動させるために用いられる。
【0066】
その場アライメントシステム400を用いて寄生形状誤差を最小にする処理について、
図5に関連させて以下に説明する。
【0067】
図5は、本発明の実施形態に係る、その場アライメントシステム400を用いて寄生形状誤差を最小にする方法500のフローチャートである。
【0068】
図4と併せて
図5を参照すると、ステップ501において、DLM408及びULM405上のデュアルアラインメントマーク(ボックスインボックス及び/又はクロスインクロス特性)を用いて、相対配置及び方位誤差を決定する。特に、このような誤差は、ステージ404に装着されたULM405を眺めるようにインクジェット407及びスーパーストレートチャック409と同じブリッジ406に固定されたDLM408を用いることで発見される。これらの特性のサイズ、デュアルマーク間の距離、及びX-Y-シータステージの精密性により、達成できる位置決め精度のレベルが決定される。
【0069】
ステップ502において、デュアルアラインメントマークが整列される際に、二台の顕微鏡の最適配置(補正後)のステージ404上の位置(「d1」)を、ステージ位置センサ(例えば、エンコーダ)等により識別する。但し、位置「d1」はx、y及びシータ位置を含む。
【0070】
続いて、ステップ503において、in-situであると仮定して、ULM405を用いて計測ツール402を見るためにステージ404を移動させる。一の実施形態では、計測ツール402は、
図4に示すような基準表面410に対して固定された相対位置にある環状表面、即ちDLM/ULM408/405と同様なアラインメントマークを有する環状板401を用いて変形及び改造される。
【0071】
ステップ504において、再度、最適ステージ配置及び方位が補正後に達成されるが、ステージ404上のULM405が計測ツール402上のアラインメントマーク(計測ツール402に固定された環状板401のアラインメントマーク)と整列される際に達成される。このステージ位置は、「d2」(x、y、シータ位置)とする。即ち、ULM405が計測ツール402上のアラインメントマークと整列される(環状板401のアラインメントマークと整列される)際に、ステージ404上の位置(「d2」)を識別する。
【0072】
ステップ505において、インクジェット座標系に対する計測座標系の相対位置を得るために「d1」と「d2」との差を求める。
【0073】
その後、ステップ506において、平面又はノッチ413又は先のパターニングステップ由来の既存アライメントマーク等の、一以上の識別可能な特性を典型的に有する、チャックで固定された基板202の表面は、計測ツール402上で測定される。測定ツール402の横方向の精密さは、顕微鏡のそれと同様であってよい。あまり精度が十分でない場合には、ノッチ413を正確に配置し且つインクジェット座標系に対する基板座標系を知るために、DLM408を用いることができる。そして、インクジェット座標系に対する計測座標系を知ることで、形状測定のために基板202を正確に配置できる。一の実施形態では、特にインクジェット407が正確に配置される場合であって、毎回基板202をチャック403に搭載する際に実質的な誤差がある場合には、インクジェット407を用いて、正確な基板の位置及びアラインメントにおける誤差を解決できる。インクジェット407を用いて、調整された膜を堆積する必要のある領域から実質的に除かれた領域において、基板202上に液滴を分配(その後硬化もされる)してよく、よって、液滴が、調整された膜を堆積するPAINT処理を妨げることはない。これらの液滴は、基板ノッチ413を識別するのに用いられる同じDLM408下で解析でき、よって基板202の相対位置及び方位が得られる。このような領域が利用できない場合には、液滴は、基板202に対して正確且つ再現可能に配置されるように構造上基板チャックに接続される微小二次表面に分配されてよい。これは、実質的に基板202と同じ高さである。このアプローチにより、正確な基板の位置及びアラインメントの誤差を解決できる。
【0074】
ステップ507において、「d1」及び「d2」を有するチャックで固定された基板202の測定された表面を用いて、基板座標系と計測座標系との間のマップをミクロンスケール精度で取得する。
【0075】
この手順により、計測ツール402とインクジェット407との間に基板202をミクロンスケール精度で配置可能となる。インクジェット407自体の位置及び方位は、ステージ404に対して「ゼロ」基準を構築するために先ずDLM408を介してULM405を配置することにより、一度(ワンタイム)較正できる。そして、液滴のアレイ/マトリクスは、ダミー基板202上にインクジェットされ、硬化される。この液滴のアレイ/マトリクスは、その後DLM408下で検査できる。各液滴の位置を用いて、各ノズル位置を細かく較正できる。粗い位置合わせ及び方位較正は、アレイ又はマトリクスの中央及び両端における液滴を介して実行できる。このワンタイム較正のために、低周波数又は低いステージ速度で液滴を分配できる。インクジェットの高さは減じられてもよい。これらの測定により、インクジェットされた液滴の位置の精密性が向上し、よって、分配液滴の位置が理想的な液滴位置に実質的に一致する可能性がある。言い換えれば、インクジェットヘッド操作や、該インクジェットヘッド操作とステージの動きとの同期から生じる基板202上の液滴位置における誤差は減少する。液滴配置精度の変動に起因して液滴が十分な精密さを与えない場合には、ULM405を用いて、インクジェットヘッドとノズルのベストフィットラインとを配置できる。一の実施形態では、ULM405は、ベストフィットラインを決定するためにインクジェットノズルを撮像する。このように、ULM405がベストフィットラインを決定するのに応じて、ステージ404上の位置を識別できる。一の実施形態では、このような位置はx、y及びシータ位置を含む。そして、このラインの位置及び方位は、インクジェット座標系で利用可能である。通常、ステージ精度はインクジェット液滴配置精度よりも良好である。故に、このアプローチにより、インクジェット及び計測ツールを配置する際に高精度となる。
【0076】
また、計測ツール402がin-situ配置できない場合、基板202の形状測定はオフラインで実行されてよい。ex-situ計測は、アラインメントマークを有する同じ/類似の環状リング401を備えた同じ又は類似の計測ツールで実行されてよい。DLM408は計測ツール402にも固定でき、同じ又は類似の基板処理チャックは、ULM405を備えたx-y-シータステージ上に設置できる。先ず、グローバルチャック位置合わせ誤差を補正するためにDLM408及びULM405を整列できる。その後、ULM405及び環状板401を用いて、計測ツール402とDLM408との間のオフセットを較正できる。そして、計測ツール402上で基板202を測定できる。測定ツール402とチャックで固定された基板202との間のアラインメント誤差は、測定ツール402に固定されたDLM408下にノッチ/平面を正確に配置させることにより補正できる。測定ツール402とDLM408との間の較正済オフセットを用いて、測定ツール402から見たノッチ413(またその結果、全基板202)の正確な位置を取得できる。この手順では、測定ツール402の横方向解像度はミクロンスケール精度でノッチ413を配置するには十分ではないと仮定される。しかしながら、逆が真である場合には、この手順は必要ないであろう。同様に、PAINTツールでは、ステージ404上のULM405とブリッジ406上のDLM408とを用いて、上述のin-situ計測手順に記載したように、インクジェット407と基板202上のノッチ413とを配置する。計測ツール402上におけるノッチ413のex-situ精密配置と組み合わせる際には、これは、ex-situ測定ツールに対してPAINTツール上の基板202の正確な位置を与える。
【0077】
ex-situ及びin-situ計測の両セットアップでは、計測ツール402に固定された環状アラインメント板401が用いられる。故に、この板401の計測ツール402との精密アセンブリが必要とされ、精密アセンブリ技術の使用が必要となる。
【0078】
一の実施形態では、例えばその命令がプロセッサ412によって実施されるメモリ411に格納されるプログラムを介して、方法500におけるステップは自動化される。
【0079】
本発明は、システム、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品であってよい。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実施させるコンピュータ読取可能プログラム命令を有するコンピュータ読取可能記憶媒体(又は複数媒体)であってよい。
【0080】
コンピュータ読取可能記憶媒体は、命令実施装置による使用命令を保持及び格納できる有形装置であってよい。コンピュータ読取可能記憶媒体は、例えば、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁気記憶倒置、半導体記憶装置、又は上述の装置の適切な組み合わせであってよいが、これらに制限されるものではない。コンピュータ読取可能記憶媒体のより具体的な例の一覧は、完全に網羅しているわけではないが以下を含む。即ち、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出しメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、CD-ROM、DVD、メモリスティック、フロッピーディスク、パンチカード又は命令が記録された溝内嵩上げ構造体等の機械的符号化装置、及び上述の装置の適切な組み合わせを含む。ここで用いられるようなコンピュータ読取可能記憶媒体は、電波又はその他の自由に伝搬する電磁波、導波管又はその他の伝送媒体(例えば、光ファイバーケーブルを通過する光パルス)を介して伝搬する電磁波、又はワイヤを透過する電気信号等の、それ自体は一時的な信号と解釈されるべきではない。
【0081】
ここに記載のコンピュータ読取可能プログラム命令は、コンピュータ読取可能記憶媒体から夫々計算/処理装置にダウンロード可能であり、又は例えばインターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク及び/又はワイアレスネットワーク等のネットワークを介して外部コンピュータ又は外部記憶装置にダウンロード可能である。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバー、ワイアレス伝送、ルーター、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ及び/又はエッジサーバを備えてよい。各計算/処理装置のネットワークアダプタカード又はネットインターフェースは、ネットワークからコンピュータ読取可能プログラム命令を受信し、該コンピュータ読取可能プログラム命令を、夫々計算/処理装置内部のコンピュータ読取可能記録媒体に格納させるために転送する。
【0082】
本発明の動作を実施するコンピュータ読取可能プログラム命令は、アセンブラー命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、或いはスモールトークやC++等のオブジェクト指向プログラミング言語や、「C」プログラミング言語又は類似のプログラミング言語等の慣習的手順のプログラミング言語を含む、一以上のプログラミング言語の組み合わせで記載されたソースコー又はオブジェクトコードであってよい。コンピュータ読取可能プログラム命令は、完全にユーザコンピュータ上で、スタンドアローンソフトウェアパッケージとして部分的にユーザコンピュータ上で、部分的にユーザコンピュータ上で且つ部分的にリモートコンピュータ上で、又は完全にリモートコンピュータ又はサーバ上で実行されてよい。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザコンピュータに接続されてよく、又はその接続は(例えば、インターネットサービスプロバイダを用いたインターネットを介して)外部コンピュータになされてよい。ある実施形態では、例えば、プログラマブル論理回路構成、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブル論理アレイ(PLA)を含む電子回路構成は、本発明の態様を実行するために、コンピュータ読取可能プログラム命令の状態情報を用いて電子回路構成を個人化することにより、コンピュータ読取可能プログラム命令を実施してよい。
【0083】
本発明の態様は、本発明の実施形態に係る方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図示及び/又はブロック図を参照してここに記載される。フローチャート図示及び/又はブロック図の各ブロック、及びフローチャート図示及び/又はブロック図におけるブロックの組み合わせは、コンピュータ読取可能プログラム命令によって実施できることは理解されるであろう。
【0084】
これらのコンピュータ読取可能プログラム命令は、機械を製造するための汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又はその他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに備えられてよく、よって、コンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理装置を介して実施される命令は、フローチャート及び/又はブロック図における一又は複数のブロックで特定される機能/作用を実施する手段を作成する。これらのコンピュータ読取可能プログラム命令は、特定の方法で機能するコンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、及び/又はその他の装置を管理できるコンピュータ読取可能記憶媒体に格納されてもよく、よって、内部に命令を格納したコンピュータ読取可能記憶媒体は、フローチャート及び/又はブロック図における一又は複数のブロックで特定される機能/作用の態様を実施する命令を含む製品を含む。
【0085】
コンピュータ読取可能プログラム命令は、コンピュータ実施処理を生じるコンピュータ、その他のプログラマブルデータ処理装置、又はその他の装置で実行されるべき一連の動作ステップを生じるコンピュータ、その他のプログラマブルデータ処理装置、又はその他の装置に読み込まれてもよく、よって、コンピュータ、その他のプログラマブル装置、又はその他の装置上で実施される命令は、フローチャート及び/又はブロック図における一又は複数のブロックで特定される機能/作用を実施する。
【0086】
図におけるフローチャート及びブロック図は、本発明の各種実施形態に係るシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の考えられる実施のアーキテクチャ、機能性、及び動作を示す。この点では、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、特定された論理機能を実施する一以上の実施可能命令を含むモジュール、セグメント、また他は命令部分を表してよい。ある代替実施態様では、ブロックに特筆された機能は、図に特筆された順序から外れて生じてよい。例えば、連続で示された二のブロックは、実際には、実質的に同時に実施されてよく、或いは、関係する機能性に応じて、時々逆の順序で実施されてよい。ブロック図及び/又はフローチャート図示の各ブロック、及びブロック図及び/又はフローチャート図示におけるブロックの組み合わせは、特定機能を実行する或いは専用ハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせを作動又は実施する専用ハードウェアに基づくシステムによって実施できることも特筆されるであろう。
【0087】
スーパーストレート204の分離及び基板202からの剥離も、本発明の重要な態様である。基板202は静止したままにされ、スーパーストレート204がそれから分離されると仮定する。UV硬化後、スーパーストレート204は、該スーパーストレート204の曲げプロファイルを調整して、端部から中央に亀裂前縁を生じることにより、PAINTにて基板202から分離される。他の実施形態では、スーパーストレート204は、犠牲材料の薄膜で被膜できる。剥離処理の開始前に、犠牲膜を昇華できる周囲環境にスーパーストレート204を曝すことにより、犠牲膜はスーパーストレート-高分子-基板サンドの端部から除去できる。膜の除去により亀裂前縁が生じ、適切なスーパーストレート曲げプロファイルを用いて伝搬できる。分離処理において適宜局所ピーク(山)又はバレー(谷)が亀裂前縁を一時的に休止させる場合、上述のアプローチを用いて亀裂前縁を押し開けて伝搬できる。光化学レーザアブレーションは、上述した高分子膜の昇華を達成するために可能性のある技術として用いてよい。これは、堆積膜及びスーパーストレート/基板(204/202)材料と比べて実質的に異なるアブレーション閾値強度及び/又はレーザ波長を有する高分子薄膜でスーパーストレート204を被膜することにより実行できる。例えば、堆積材料が、波長355nmで硬化されるポリメチルメタクリレート(PMMA)又は同等のアクリレートであるならば、犠牲膜は、異なる波長248nmでレーザアブレーション閾値が40mJ/cm2であるポリイミド(PI)となり得るであろう。一方、PMMAは、248nmで500mJ/cm2と閾値がより高い。故に、低線量(約50mJ/cm2)の248nmレーザの暴露ではPIがアブレーションされるが、堆積膜(PMMA)を損なわない。そして、スーパーストレート204は消耗品として取り扱われてよく、犠牲膜を再堆積するために処分又は再処理されてよい。「R2R」構成は、一度のみ使用された後に使用済スーパーストレート204が再処理又は処分されるR2Rスーパーストレート204の所定領域で、上述の処理が自動化される際に、更なる利益を提供するであろう。
【0088】
他のアプローチは、スーパーストレート204上のハンドル又はフランジの使用であってよい。それらは、スーパーストレートチャック204によって機械的に保持されてよく、そして引っ張られて基板202からのスーパーストレート204の剥離を支援してよい。これは、スーパーストレート204(又は基板202)チャックの垂直移動と組み合わされたスーパーストレート204(又は基板202)の既存真空及び正圧に基づくプロファイル制御に加えられてよい。
【0089】
堆積膜として用いられる代表的な材料は、エッチバリア溶液、Microresist technologiesのmv-Cur、Carbon Nanotechnologiesの.のMonomat(登録商標)等のインクジェット可能な組成を含む。基板202も、湿潤性を調整するために前処理する必要があってよい。基板202及び堆積膜間の接着を促進するために用いられてよい材料は、Canon NanotechnologiesのValMat(登録商標)又はTranSpin(登録商標)を含む。ポリカーボネート等の基板材料は、所望の濡れ特性及び接着特性を自然に有しているため、前処理される必要がなくてよい。界面特性を向上させるスーパーストレート204の表面を処理するために用いられてよい材料は上述された。
【0090】
ここで、薄膜潤滑モデル及び対応するスーパーストレート204の幾何学の再設計の開発に関する説明が適当なものであると判断される。
【0091】
高さ(薄膜)と比べて横長スケールが非常に大きいドメインの流体流は、流れが表面に対して主に平行であり且つ垂直圧力勾配がゼロであると仮定する潤滑近似を用いて、解くことができる。典型的には、これは、処理機構の計算コストを減少させ且つより良く理解するために直線化できる非線形モデルを提供する。線形化は、以下のような特徴的な処理時間スケールを提供する。
【0092】
【0093】
但し、h0は平均膜厚であり、Rは水平長スケールであり、典型的には堆積領域の半径であり、a及びbは処理の本質に応じた指数であり、Deffはスーパーストレート204の有効曲げ剛性(基板202が堅い場合、逆もしかり)であり、これはヤング率E、スーパーストレート厚b及びポアソン比vに依存する。基板202も柔軟である場合には、有効曲げ剛性はこれら二つの組み合わせを含むであろう。一般的には、τpaintの値は大きい方が望ましい。なぜなら前平衡過渡変化を捕捉する時間を長くするためである。数式(1)から、Deffが小さいほどτpaintは高くなるようである。従って、適切な処理条件(τpaintの値が大きいことを示唆する)は、スーパーストレートの剛性が低いことが必要とする。
【0094】
この項(τpaint)を用いて、実際の処理流体広がり時間(τ)とτpaintとの間の比として無次元処理時間(t*)を以下のように定義できる。
【0095】
【0096】
その目的は、最終膜厚が最初の材料分布と強い相関を持つことでPAINTの「プログラマブル」性がインジェット流体滴の予め規定された位置及び体積によって達成できるように、この再分布を最小にすることである。即ち、この動的モデルは、サンドの成長時における前平衡過渡状態の捕捉が必須であるという事実を明白にする。なぜなら、平衡状態は、典型的には望ましくなく且つ基板102の寄生形状によって損なわれた、唯一の考えられる定常状態の解を可能にするからである(
図2に図示せず)。これは、薄膜のプログラマグル堆積の目的を妨げる。この、異なる空間長スケールで基板及びスーパーストレート形状の効果を最小にしながら、「インジェット流体滴と実質的に相関を持つ前平衡過渡変化を捕捉する」という概念は、PAINT処理にとって中核となる。
【0097】
平衡を遅延させる観点から、スーパーストレート204をできるだけ薄くすることが望ましい。しかしながら、スーパーストレート204を任意に薄くすることは、最適柔軟性の文脈で上述したように、実行可能ではない。加えて、薄いスーパーストレート204は、自動化、搭載等を行うには扱いにくい。
【0098】
平坦化の分野では、ナノスケールパターン等の高周波数空間形状がある場合、平均膜厚h0の適切な定義が重要となる。これは、中及び低空間周波数形状により、任意の流体分布を最小にしながら、この高周波数空間形状を解決することがここで必要であるからである。故に、平均膜厚は、局所最大及び最小膜厚値の間の適切な平均値として選択できる。例えば、最小膜厚は、残留層厚であってよく、一方、最大膜厚は、残留層厚及び最大特徴高さの和よりもわずかに厚い。適切な平均値は、面積重み平均等の中心傾向、又は最も保守的な限界値(この場合、局所最大膜厚であってよい)の統計的尺度であってよい。
【0099】
上述のように、モデルの一次特性は、次式で線形分析を実施することにより分析的に得られる。
【0100】
【0101】
但し、rは、名目上の基板表面座標系である。これは、PAINTになされた作業に影響力を行使する。モデルの線形化を不明瞭にしないために、実質的基板形状の存在を計算に入れることが重要である。しかしながら、基板形状を説明する適切な基板座標系の構築は、もっともらしい結果が線形化により生じることを保証するために必要である。線形化モデルは、分析的に解くことができ、よって顕著に計算複雑性を減少させ、PAINTの重要項目、即ち、所望の膜厚プロファイルの流体滴の最適位置及び体積、を解くことを可能にする。一の実施形態では、所望の膜厚は、光学特性、フォトニック特性、湿潤性、機械特性、構造特性、熱特性、磁気的特性、電子的特性、生物学的特性、及び化学特性のうちの一以上の特性を有するように調整される。
【0102】
処理機構に基づく最適膜厚プロファイルの逆最適化に加えて、PAINT処理の重要な対象は、包含された機能最低化スキームを含む。機能最適化スキームの目的は、所望の膜厚を、処理及び基板202の所望の機能的性能と相関させることである。例えば、半導体の平坦化においては、膜を最終的に平坦化させることが、反射防止とはならない、又はその他の所望の光学特性を有することになることを保証することは重要であろう。平坦化膜の厚さは、以降のエッチバックを妨げないことを保証することも重要であろう。これは、平坦化膜は、
図6に示す最大特徴高さを超えて伸びるからである。
【0103】
図6は、本発明の実施形態に係る、表面ナノ形状が存在する場合のパターンの平坦化(例えば、ミクロスケール又はナノスケールパターン)を示す図である。
【0104】
図6を参照すると、フラットトップ層601は、表面ナノ形状のシグネチャを含むので望ましくない。平坦化層602は、パターンの形状を解決するが、基板ナノ形状に一致するので望ましい。平坦化の前に、パターン(例えば、ミクロスケール又はナノスケールパターン)は、他の材料(図示せず)でスピンコートされてよいが、これは高周波数パターン603の幾つかを解決するかもしれないが、中及び低空間周波数寄生シグネチャ604を引き起こす可能性がある。
【0105】
この高レベルの制約の計算コストは、逆最適化スキームを減速させる可能性があり、計算コストがどのくらい高いかに基づいて、最適化の実行中に得られる準最適膜厚プロファイルの夫々に対してというよりはむしろ、計算上コスト的に禁止されない周波数で、光学性能の計算に断続的に着手するアプローチをとることができる。
【0106】
この処理における他の新規態様は、所望プロファイルを有する同じ材料又は異なる材料からなる多層膜を比較的容易に堆積できることである。薄膜モデルから、平均膜厚(h0)を小さく維持すると、非平衡過渡変化(数式2)を捕捉するのに望ましい高い時間スケールが維持されることは明白である。故に、単一ステップにおいて厚さ変動の大きい均一厚膜又は複数の均一厚膜を堆積することは問題となりうる。これは、所望プロファイルをより小さいインクリメントの和に分解することにより緩和できる。これにより、確実に、各ユニットステップの時間スケールは高いことが望ましく、よって単一ステップ処理に成立される精度が維持される。
【0107】
インクジェットを用いて堆積する場合には、多段階過程は、異なるインクジェット可能材料を用いて多材スタックの堆積に拡張でき、よって、スタックの各層は所定プロファイルを有する。可能性のある異なる材料は、Molecular Imprints,Inc.のMonomat385、Monomat353及びSilmatレジストや、Micro-resist technologiesのmr-UVcur06、mr-UVcur21及びmr-NIL600Eレジストを含む。これにより、現状では容易に利用可能ではない特徴である深さ方向の厚さ勾配と同様に材料で膜の堆積が可能となる。この処理は、異なる複数材料を各マルチジェットに備えるマルチジェットの組を有することにより達成できるであろう。全処理は、各種個々のPAINTステップ間のツールから基板を除去することなく達成できる。
【0108】
基板202及びスーパーストレート204の形状は、
図7に示す平坦化及び研磨中に寄生誤差を生じることができる。
図7は、本発明の実施形態に係る、異なるスケールの表面ナノ形状を示す図である。
図7に示すように、表面形状は、その振幅及び空間波長に応じて三つの広いカテゴリに分類できる。即ち、(i)名目形状(低空間周波数)、(ii)ナノ形状(中空間周波数)及び(iii)粗さ又はナノスケール特性(高空間周波数)である。名目形状は、最大空間波長によって与えられ、通常、典型的には0から10mmの高さ変動を有する20mmより高い空間波長である。約0.2から20mmの空間長スケールに対して、この空間波長範囲での通常約100nmから1ミクロンである高さ変動は、ナノ形状として分類される。粗さは、高さ変動が更に小さくなるより低い空間波長に対して分類される。ナノスケールパターンの存在は、通常粗さのみで表される高空間周波数形状を更に悪化させる。しかしながら、(半導体の平坦化及び研磨で見られる)他のスケールで形状における任意の寄生影響を最小にしながら、所定の空間周波数スケールで形状を補償することは困難である。これは、全体の表面形状に起因する寄生の影響を最小にしながら、異なる長さスケールで形状の補償を最適に満たすため、PAINT処理のモデルベース設計が有益となる場合である。
【0109】
本発明の各種実施形態の記載は、例示のために提示されたが、開示された実施形態に包括又は限定されるものではない。多くの修正及び変形は、開示された実施形態の範囲及び精神から逸脱することなく、当業者には明白であろう。ここに用いられた文言は、実施形態の原理、実地応用又は市場でみられる技術の技術的改良を最も良く説明するために、又は他の当業者がここに開示された実施形態を理解できるように、選択された。