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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】容量性力センサを有するカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/287 20210101AFI20231030BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20231030BHJP
   A61B 5/367 20210101ALI20231030BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
A61B5/287 100
A61B5/287 300
A61B5/33 100
A61B5/367
A61B18/14
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019095053
(22)【出願日】2019-05-21
(65)【公開番号】P2019202140
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-04-06
(31)【優先権主張番号】15/986,730
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ピユシュ・シース
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0012160(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0123749(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0283715(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/24-5/398
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気生理学的カテーテルであって、
細長いカテーテルシャフトと、
組織と接触するように構成されたシェルを有する遠位先端電極と、
前記シェルに取り付けられた第1のプレート、前記第1のプレートの遠位にあり、前記組織と接触するように構成された第2のプレート、及び前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間の弾性的に圧縮可能な誘電体を有する、容量性力センサであって、前記容量性力センサは、前記第1及び第2のプレートが第1の距離だけ離れているときに第1の静電容量を有し、前記容量性力センサは、前記第1及び第2のプレートが前記第1の距離とは異なる第2の距離だけ離れているときに第2の静電容量を有する、容量性力センサと、
前記第1のプレートに接続された第1の端子と、
前記第2のプレートに接続された第2の端子と、
を備え、
前記シェルは凹部を有し、前記容量性力センサは、少なくとも前記第2のプレートが露出した状態で前記凹部内に位置する、電気生理学的カテーテル。
【請求項2】
前記第1及び第2のプレートは、互いに平行である、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項3】
前記第1及び第2のプレートは、概ね同じサイズ及び形状のものである、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項4】
前記容量性力センサは、前記シェルの遠位面に取り付けられている、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項5】
前記第2のプレートは、前記シェルの外面の上方に突出する、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項6】
前記凹部は、前記シェルの遠位面に形成されている、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項7】
前記第1の端子は、前記シェル内に形成された第1の貫通孔を通過する、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項8】
前記第2の端子は、前記シェル内に形成された第2の貫通孔を通過する、請求項7に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項9】
前記第1の端子は、前記シェルの外面に沿って延在する、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項10】
小孔に使用するように適合された電気生理学的カテーテルであって、
膜を有するバルーンであって、前記バルーンは、長手方向軸線を画定する遠位端及び近位端と、少なくとも1つの円周方向の緯度と、を有する、バルーンと、
前記膜に取り付けられたフレックス回路電極アセンブリであって、複数のストリップを有する、フレックス回路電極アセンブリと、
複数の容量性力センサであって、各前記容量性力センサが、対応する前記ストリップ上に位置しており、各前記容量性力センサが、第1のプレート、前記小孔と接触するように構成された第2のプレート、及び前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間の弾性的に圧縮可能な誘電体を有し、前記誘電体が、前記膜から離れており、前記容量性力センサは、前記第1及び第2のプレートが第1の距離だけ離れているときに第1の静電容量を有し、前記容量性力センサは、前記第1及び第2のプレートが前記第1の距離とは異なる第2の距離だけ離れているときに第2の静電容量を有する、容量性力センサと、
複数の第1の端子であって、各前記第1の端子が、対応する前記第1のプレートに接続されている、第1の端子と、
複数の第2の端子であって、各前記第2の端子が、対応する前記第2のプレートに接続されている、第2の端子と、
を備え、前記誘電体が、波形ばねを含み、
前記フレックス回路電極アセンブリは、前記ストリップ上にコンタクト電極を備え、前記容量性力センサが、前記コンタクト電極内に形成された排除ゾーン内に位置している、電気生理学的カテーテル。
【請求項11】
記第1のプレートは前記コンタクト電極に取り付けられている、請求項10に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項12】
前記膜を貫通する第1のビアを更に備え、前記第1の端子は前記第1のビアに接続されている、請求項10に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項13】
前記膜を貫通する第2のビアを更に備え、前記第2の端子は前記第2のビアに接続されている、請求項12に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項14】
前記容量性力センサが、前記バルーンの前記円周方向の緯度に沿って配置されている、請求項10に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項15】
小孔に使用するように適合された電気生理学的カテーテルであって、
膜を有するバルーンであって、前記バルーンは、長手方向軸線を画定する遠位端及び近位端と、少なくとも1つの円周方向の緯度と、を有する、バルーンと、
前記膜に取り付けられたフレックス回路電極アセンブリであって、複数のストリップを有する、フレックス回路電極アセンブリと、
複数の容量性力センサであって、各前記容量性力センサが、対応する前記ストリップ上に位置しており、各前記容量性力センサが、第1のプレート、前記小孔と接触するように構成された第2のプレート、及び前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間の弾性的に圧縮可能な誘電体を有し、前記誘電体が、前記膜から離れており、前記容量性力センサは、前記第1及び第2のプレートが第1の距離だけ離れているときに第1の静電容量を有し、前記容量性力センサは、前記第1及び第2のプレートが前記第1の距離とは異なる第2の距離だけ離れているときに第2の静電容量を有する、容量性力センサと、
複数の第1の端子であって、各前記第1の端子が、対応する前記第1のプレートに接続されている、第1の端子と、
複数の第2の端子であって、各前記第2の端子が、対応する前記第2のプレートに接続されている、第2の端子と、
を備え、前記誘電体が、波形ばねを含み、前記ストリップは貫通孔を有し、前記容量性力センサが前記貫通孔内に位置している、電気生理学的カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用デバイスに関する。より具体的には、本発明は、電気生理学的(EP)カテーテル、具体的には、心臓における小口領域及び管状領域をマッピング及び/又はアブレーションするためのEPカテーテルを含む心臓カテーテル法の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
心房細動等の心不整脈は、心臓組織の諸領域が、隣接組織に電気信号を異常に伝導することによって正常な心周期を阻害し、非同期的な律動を引き起こす場合に発生する。
【0003】
不整脈を治療するための手技としては、不整脈を発生させている信号の発生源を外科的に破壊することと、そのような信号の伝導路を破壊することが挙げられる。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は変更することが時に可能である。アブレーション法は、非伝導性の損傷部位を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。
【0004】
心房性不整脈を治療するために、肺静脈口又はその近傍で円周方向の損傷部位が形成されてきた。両者ともLeshに対する米国特許第6,012,457号及び同第6,024,740号は、高周波電極を含む放射状に拡張可能なアブレーションデバイスを開示している。円周状の伝導ブロックを確立することで肺静脈を左心房から電気的に絶縁するために、このデバイスを使用して、肺静脈に高周波エネルギーを送達することが提案されている。
【0005】
本願と同一譲受人に譲渡され、本明細書に参照により組み込まれるSchwartzらに対する米国特許第6,814,733号は、高周波放出体としての径方向に拡張可能な螺旋状コイルを有するカテーテル導入装置について記載している。一適用例では、放出体は、経皮的に導入され、経中隔的に肺静脈口まで前進する。放出体は、放出体を肺静脈の内壁と円周方向に接触させるために、径方向に拡張されるが、これは放出体が巻き付けられている係留バルーンを膨張させることによって実現することができる。コイルは、高周波発生器によって励磁され、円周方向のアブレーションの損傷部位が肺静脈の心筋スリーブ内に生じ、これにより、肺静脈と左心房との間の電気的伝播を効果的にブロックすることができる。
【0006】
別の例は、心房から肺静脈が延在する場所において、組織の円周方向の部位をアブレーションすることによって心房性不整脈を治療する組織アブレーションシステム及び方法を提案するMaguireらに対する米国特許第7,340,307号に見出される。このシステムは、アブレーション要素を有する円周状のアブレーション部材を含み、アブレーション部材をその場所まで送達するための送達アセンブリを含む。円周状のアブレーション部材は、送達用シースを通した心房内への送達、及びアブレーション要素と組織の円周方向の部位との間のアブレーションカップリング(ablative coupling)の両方が可能になるように、異なる構成間で概ね調整可能である。
【0007】
より最近では、膨張可能なカテーテルの電極アセンブリは、フレックス回路で構成されて、複数の非常に小さい電極を有する膨張可能な電極アセンブリの外側表面を提供している。カテーテルバルーン構造体の例は、全体の内容が参照により本明細書に組み込まれる、発明の名称が「Balloon for Ablation Around Pulmonary Vein」である米国特許公開第2016/0175041号に記載されている。
【0008】
フレックス回路又はフレキシブル電子機器は、電子デバイスをポリイミド、液晶ポリマー(LCP)、PEEK又は透明な導電性ポリエステルフィルム(PET)などの可撓性のあるプラスチック製基板に実装することによって電子回路を組み付ける技術を伴う。更に、フレックス回路は、ポリエステルにスクリーン印刷された銀回路であってもよい。フレキシブルプリント回路(FPC)は、フォトリソグラフィ技術を用いて作製される。フレキシブルフォイル回路又はフレキシブルフラットケーブル(FFC)を作製する別の方法は、PETの2つの層の間に非常に薄い(0.07mm)銅ストリップをラミネートすることである。通常0.05mm厚であるこれらPET層は、熱硬化性である粘着剤が塗工され、積層プロセスの間に活性化されることとなる。片面フレキシブル回路は、フレキシブル誘導体フィルムに金属又は導電性(金属充填)ポリマーのいずれか一方で作製された単一導体層を有する。部品終端機構は、片面からのみアクセス可能である。部品リード線が、通常、はんだ付けによる相互連結のために通過することができるように、孔がベースフィルムに形成されてもよい。
【0009】
損傷部位の質は、サイズ及び深さを含む複数の要因に依存するため、電極が組織と接触する力は組織をアブレーションする際に医療専門家にとって有用である。また、アブレーション電極は、先端電極、リング電極、又はバルーン上の電極を含む多くの可能な構成を有するため、力センサは、組織に沿って引きずられている間に組織又はその側面での点接触としてカテーテルの遠位先端部で組織接触が生じるか、又は更には小孔若しくは管状領域内で円周方向に複数の組織表面位置で同時に組織接触が生じるか、力を測定することができるように、任意のそのような電極と共に使用するために適合可能であるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、電極によって組織表面に対して印加される力を測定するように構成された力センサを有する電極を有するカテーテルが望まれている。また、容量性触覚センサは、印加された力に確実に応答し、非常に小さいサイズで製造することができるため、容量性力センサを有する電極は、電極が先端電極、リング電極、又は更にはバルーンカテーテル上の電極として構成されているかどうかによらず確実に印加された力を測定することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、組織接触が発生する遠位区画内に提供された微小容量性触覚センサを有する電気生理学カテーテルを目的とし、遠位区画は、先端電極、リング電極、及び/又はバルーンカテーテルを含み得る。容量性センサは、組織に接触する際、及び組織接触中に静電容量の変化を呈するように構成され、組織接触で印加された力は測定され、印加された力を評価及び決定する際に確実に較正される。
【0012】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、細長いカテーテルシャフトと、組織と接触するように構成されたシェルを有する遠位先端電極と、シェルに取り付けられた第1のプレート、第1のプレートの遠位にあり、組織と接触するように構成された第2のプレート、及び第1のプレートと第2のプレートとの間に弾性的に圧縮可能な誘電体を有する、容量性力センサと、を有し、力センサは、第1及び第2のプレートが第1の距離だけ離れているときに第1の静電容量を有し、力センサは、第1及び第2のプレートが第1の距離とは異なる第2の距離だけ離れているときに第2の静電容量を有する。カテーテルはまた、第1のプレートに接続された第1の端子と、第2のプレートに接続された第2の端子と、を含む。
【0013】
一部の実施形態では、第1及び第2プレートは、互いに平行である。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のプレートは、概ね同じサイズ及び形状のものである。
【0015】
いくつかの実施形態では、容量性力センサは、シェルの遠位面に取り付けられている。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1のプレートは、シェルの外面の上方に突出する。
【0017】
いくつかの実施形態では、シェルは凹部を有し、容量性力センサは、少なくとも第1のプレートが露出した状態で凹部内に位置する。
【0018】
いくつかの実施形態では、凹部は、シェルの遠位面に形成されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、凹部は、シェルの周囲壁に形成されている。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の端子は、シェル内に形成された第1の貫通孔を通過する。
【0021】
いくつかの実施形態では、第2の端子は、シェル内に形成された第2の貫通孔を通過する。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の端子は、シェルの外面に沿って延在する。
【0023】
いくつかの実施形態では、小孔に使用するように適合された電気生理学的カテーテルは、膜を有し、長手方向軸線を画定する遠位端及び近位端と、少なくとも1つの円周方向の緯度とを有するように構成されたバルーンと、バルーン上の第1のプレート、組織と接触するように構成された第2のプレート、及び第1のプレートと第2のプレートとの間の弾性的に圧縮可能な誘電体を有する、微小容量性力センサであって、力センサは、第1及び第2のプレートが第1の距離だけ離れているときに第1の静電容量を有し、力センサは、第1及び第2のプレートが第1の距離とは異なる第2の距離だけ離れているときに第2の静電容量を有する、微小容量性力センサを、を含む。カテーテルはまた、第1のプレートに接続された第1の端子と、第2のプレートに接続された第2の端子とを有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1のプレートは、膜に取り付けられている。
【0025】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、コンタクト電極も含み、第1のプレートはコンタクト電極に取り付けられている。
【0026】
いくつかの実施形態では、コンタクト電極は、細長い本体と複数の横部材とを備えて構成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、カテーテルはまた、膜を貫通する第1のビアを含み、第1の端子は第1のビアに接続されている。
【0028】
いくつかの実施形態では、カテーテルはまた、膜を貫通する第2のビアを含み、第2の端子は第2のビアに接続されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、バルーンの円周方向の緯度に沿って配置された複数の容量性力センサを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1のプレート、第2のプレート、及びそれらの間の誘電体を有する容量性力センサを有するカテーテルと、メモリデバイス及び電圧源を有するプロセッサと、を有する、電気生理学的カテーテルシステム。カテーテルはまた、第1のプレート及び電圧源に接続された第1の端子と、第2のプレート及び電圧源に接続された第2の端子と、を含み、メモリデバイスは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、電圧源を作動させ、容量性力センサにわたる静電容量を決定させ、静電容量の変化を検出させる命令を保存するように構成されている。
【0031】
いくつかの実施形態では、容量性力センサは、第1及び第2のプレートが第1の距離だけ離れているときに第1の静電容量を有し、容量性力センサは、第1及び第2のプレートが第2の距離だけ離れているときに第2の容量を有し、プロセッサは、第1の静電容量と第2の容量との間の静電容量の変化を検出するように構成されている。
【0032】
いくつかの実施形態では、誘電体は圧縮可能である。
【0033】
いくつかの実施形態では、誘電体は弾性的に圧縮可能である。
【0034】
いくつかの実施形態では、容量性力センサは、組織接触のために構成されたカテーテルの遠位部分上に位置付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明のこれらの特徴及び利点、並びに他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて考慮することによってより充分な理解がなされるであろう。選択された構造及び機構が、残りの構造及び機構を見やすくするために、特定の図面では示されていないことを理解されたい。
図1】本発明の実施形態による、医療処置の概略図である。
図2】本発明の実施形態による、図1の医療処置での使用に適したカテーテルの斜視図である。
図3図2のカテーテルのカテーテル本体の端部断面図である。
図4図2のカテーテルの偏向区画の端部断面図である。
図5A】中立構成にある容量性力センサを有する遠位先端電極を含む、図2のカテーテルの遠位区画の側断面図である。
図5B】組織接触又は圧縮構成にある図5Aの容量性力センサの詳細断面図である。
図5C】線C-Cに沿って取られた、図5Aの遠位先端電極の近位端の端部断面図である。
図6】本発明の別の実施形態による、カテーテルの遠位区画の側断画図である。
図7】本発明の別の実施形態による、図1の医療処置に使用するのに好適なバルーンカテーテルの平面図である。
図8】挿入されたラッソカテーテルと共に示される、図7のバルーンカテーテルのバルーンの斜視図である。
図9】本発明の一実施形態による、バルーンを部分的に持ち上げて、その下面及び関連する要素を見せた、フレキシブル回路電極アセンブリの斜視図である。
図10A】本発明の一実施形態による、構築段階中のフレキシブル回路電極アセンブリの分解図である。
図10B】本発明の一実施形態によるバルーン膜中に形成されたビアの側断面図である。
図11】本発明の一実施形態による、容量性力センサを有するバルーン膜の詳細斜視図である。
図12】本発明の別の実施形態による容量性力センサの詳細な分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
システムの説明
以下の説明において、図面中の同様の要素は、同様の数字により識別され、同様の要素は、必要に応じて識別用の数字に文字を添えることにより区別される。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態による、装置12を用いた侵襲的医療処置の概略図である。この処置は、医療専門家14により行われ、一例として、本明細書の以下の説明における処置は、ヒト患者18の心臓の心筋16の一部のアブレーションを含むと仮定される。但し、当然のことながら、本発明の実施形態は、この特定の処置にだけ適用可能であるわけではなく、生物学的組織又は非生物学的材料に対する実質的に如何なる処置も包含し得ることを理解されたい。
【0038】
アブレーションを行うために、医療専門家14は、患者のルーメン内に事前に位置付けられているシース21の中へプローブ20を挿入する。シース21は、プローブ20の遠位端22が患者の心臓に入るように位置付けられている。以下により詳細に記載されているカテーテル24は、プローブ20のルーメン23を通って配備され、プローブ20の遠位端から出ている。
【0039】
図1に示すように、装置12は、装置の操作用コンソール15内に位置するシステムプロセッサ46により制御される。コンソール15は、プロセッサと通信するために専門家14によって用いられる制御装置49を含む。処置の間、プロセッサ46は、典型的には、当該技術分野において既知である任意の方法を使用してプローブ20の遠位端22の場所及び配向を追跡する。例えば、プロセッサ46は、プローブ20の遠位端に位置付けられたコイルにおいて、患者18の体外にある磁場発生器25X、25Y、及び25Zが信号を生成する、磁気追跡方法を使用することができる。Biosense Webster,Inc.(Diamond Bar,California)より入手可能なCARTO(登録商標)は、このような追跡方法を使用している。
【0040】
プロセッサ46用のソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して、電子形態でプロセッサにダウンロードすることができる。代替的に又は追加的に、ソフトウェアは、光学的、磁気的又は電子的記憶媒体などの非一時的有形媒体上で提供され得る。遠位端22の追跡は、典型的には、画面62上で患者18の心臓の3次元表示60で表示される。
【0041】
装置12を操作するために、プロセッサ46は、装置を操作するためにプロセッサにより使用されるいくつかのモジュールを有するメモリ50と通信する。したがって、メモリ50は、温度モジュール52と、アブレーションモジュール54と、心電図法(ECG)モジュール56と、を含む。メモリ50は、典型的には、遠位端22上の力を感知するための電圧源51を有する力センサモジュール53などの他のモジュールを含む。メモリ50は、プロセッサ46により使用される追跡方法を操作する追跡モジュール55と、プロセッサが遠位端22に向けて行われる灌注を制御することを可能にする灌注モジュール57も含み得る。モジュールは、ハードウェア要素並びにソフトウェア要素を含み得る。
【0042】
カテーテル
図2は、前述の装置12と共に使用するのに好適なカテーテル100の概略斜視図である。カテーテル100は、細長いカテーテル本体102と、偏向区画103と、遠位先端電極105を含む遠位区画104とを有する。当該技術分野において理解されるように、いくつかの実施形態では、カテーテル本体102は、図3に示されるように、補強材管材122で裏打ちされ得る中央ルーメン121を有する外壁120を有する。様々な構成要素、例えば、先端電極105及び任意のリング電極(図示せず)用のリードワイヤ130、一対の偏向牽引ワイヤ(又は引張部材)131A、131B、灌注管材132、遠位区画104に収容されたEM位置センサ(図示せず)用のケーブル133、熱電対ワイヤ又はワイヤ対151/153、及び任意の他のケーブル又はワイヤがルーメン121を通過する。
【0043】
当該技術分野において理解されるように、いくつかの実施形態では、偏向区画103は、複数のルーメンを有するマルチルーメン管材110のより短い区画を含む。図4に示されるように、ルーメンは、例えば、リードワイヤ130及び熱電対ワイヤ又はワイヤ対151/153のための第1のルーメン111と、第1の牽引ワイヤ131Aのための第2のルーメン112と、ケーブル133のための第3のルーメン113と、第2の牽引ワイヤ131Bのための第4のルーメン114と、灌注管材132のための第5のルーメン115とを含む。第2及び第4のルーメン122及び124が、偏向区画103の効果的な双方向偏向のために軸外及び正反対であり得ることを除いて、ルーメンのサイズ、形状、及び位置は重要ではない。当該技術分野において理解されるように、カテーテル本体102を通って延在する牽引ワイヤ131A、131Bの部分は、カテーテル本体102の遠位の偏向区画103のマルチルーメン管材110へのカテーテルの偏向曲率を概ね制限する各圧縮コイル116によって囲まれている。カテーテル本体102の遠位の牽引ワイヤ131A,131Bの部分は、偏向区画103が偏向されたときに、牽引ワイヤがマルチルーメン管材110の側壁に入り込むのを防ぐ、それぞれの保護シース117によって囲まれている。
【0044】
図5Aに示すように、遠位区画104の先端電極105は、シェル106と、内部チャンバ109を画定するプラグ107とを有し、これを通って灌注流体が貫通孔108を介してプラグ107を通過する灌注管材132の遠位端部区画を介して内部チャンバ109に入る。先端電極105のためのリードワイヤ130の遠位端は、プラグ107の近位面に形成された止まり穴123で終端する。1つ又は複数の熱電対ワイヤ151の遠位端は、プラグ107の近位面に形成された止まり穴124内で終端する。
【0045】
シェル106の遠位壁135の外面134上に、例えば、遠位壁135が組織表面128と接触するとき、遠位壁135上に、任意の垂直成分を有する力を含む力の印加を感知するために、容量性力センサ136が提供されている(図5B参照)。容量性力センサ136は、例えば、スタンピング(実線)又は浅い穴あけ(破線)をすることによって、遠位壁135に形成された凹部140内に位置し、2つの導電性プレート137,138と、その間に誘電体139とを有する。凹部140はまた、遠位区画104が組織に接して組織表面に沿って引きずられるときに、組織接触のためにシェル106の周囲側壁126内に形成されてもよいことが理解される。
【0046】
いくつかの実施形態では、プレートは、形状及びサイズが同様の構造であり、互いに概ね平行である。容量性力センサ136が中立状態にあるとき、プレート137及び138が距離Dだけ互いから離れている状態で、容量性力センサ136は、中立状態にある間に、任意の力又は接触を含まない厚さTを有する。しかしながら、誘電体は、容量性力センサ136が先端シェル106の遠位壁135に垂直なベクトル成分を有する力を受けたときにプレート間の圧縮を含む変形を可能にする弾性構造を有する。有利には、力センサ136の静電容量は、プレート137と138との間の距離が変化すると変化する。特に、力センサ136の静電容量は、プレート間の距離が減少すると増加する。
【0047】
図5Aに示すように、内側プレート137は、例えば接着剤141によって凹部140内の表面134に取り付けられ、いくつかの実施形態では、プレート137及び138は、遠位壁135と概ね平行である。凹部140の深さは、カテーテルがマッピング及び/又はアブレーションのために組織表面128に向かって前進させられるときに、組織表面と接触するとプレート137に押しつけられ得るように外側プレート138が遠位壁135の前に突出されかつ露出されるように、中立状態において容量性力センサ136の厚さT未満である。
【0048】
第1のプレート137は第1の端子117に接続され、第2のプレートは第2の端子118に接続され、それぞれは、シェル106の遠位壁135に形成されたそれぞれの開口127及び129を通過するリードワイヤの形態をとってもよい。絶縁シース(図示せず)によって適切に保護された端子117及び118は、内部チャンバ109及びプラグ107に形成された共通の又は異なる貫通孔119(図5C参照)を通って延在する。いくつかの実施形態では、短いシングルルーメンのコネクタ管材144は、マルチルーメン管材110の遠位端と先端電極105との間に延在して、先端電極105のプラグ107内のそれぞれのルーメンとそれらのそれぞれの止まり穴又は貫通孔との間で必要に応じて構成要素を再配向することを可能にする。
【0049】
使用中、力センサ136の静電容量は、操作用コンソールの力感知モジュール53によって測定される(図1参照)。電圧は、端子117、118を介して力感知モジュール53の電圧源51によって容量性力センサ136にわたって印加される。プレート137及び138が距離Dだけ離れている中立状態にある力センサ136(図5Aを参照)の静電容量は、Cとして力感知モジュール53によって測定される。先端電極105が組織に近づくと、組織表面128は突出した外側プレート138に接触し、誘電体139を圧縮して分離距離をDからD1に変化させる垂直力成分N(図5Bを参照)を有する力を及ぼし、ここで、D1<Dであり、CからC1まで力センサ136の静電容量を変化させ、ここで、C1>Cである。力感知モジュール53は、増加容量C1を検出し、例えば、音響信号及び/又は視覚信号を活性化するなど、医療専門家14にしるしを提供することによって応答する。測定された静電容量は、垂直力成分Nが残っている限り、C1のままである。垂直力成分が増加する場合(医療専門家が遠位先端電極を組織表面に更に押し込む場合など)、分離距離は、D2まで更に減少し、ここでD2<D1<Dであり、測定された静電容量はC2に対応して増加し、ここでC2>C1>Cである。垂直力成分が減少する場合(例えば、医療専門家が組織表面から遠位トリップ電極を後退させ始める場合、分離距離は、D3まで増加し、ここで、D1<D3<Dであり、測定された静電容量は、C3に対応して減少し、ここで、C1>C3>Cである。このようにして、C1~C3の力センサ136の静電容量出力の変化が検出され、力センサ136によって測定され、これは、例えば、オーディオ信号及び/又は視覚信号を変化させることによって、先端電極と組織表面との間の組織接触の変化を反映する先端電極105に印加される力の変化を有利に示す。
【0050】
いくつかの実施形態では、端子117及び118は、図6に示されるように、シェル106の外面134に取り付けられるフレックス回路145の電気的延長部(例えば、図示されない埋め込みリードワイヤ)に接続される。フレックス回路145又は埋め込まれたリードワイヤは、コネクタ管材144の側壁に形成された1つ以上の封止された貫通孔146を通過して、コネクタ管材144のルーメン内に入り、マルチルーメン管材110の適切なルーメン内に近位に入る。
【0051】
いくつかの実施形態では、カテーテル224は、膨張した展開構成で図7に示されるような遠位膨張式部材又はバルーン280を有する。バルーン280は、肺静脈213などのルーメンの小孔211をアブレーションするために使用される。カテーテル224の膨張可能なバルーン280は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン、又はPEBAX(登録商標)などのプラスチックから形成された生体適合性材料の、外壁又は膜226を有する。バルーン280は折り畳まれた膨張していない状態で配備され、シャフト270を通る生理食塩水溶液などの流体の注入及び排出によって膨張及び収縮することができる。バルーン280の膜226は、灌注孔又は灌注口227を備えて形成され、流体は、小孔における組織アブレーション部位を冷却するために、灌注孔又は灌注口227を通ってバルーン280の内側からバルーンの外へ出ることができる。図7は、ジェット流としてバルーンから出ていく流体を示しているが、流体は、流体がバルーンの外へ滲出する速度を含む任意の所望の流速及び/又は圧力でバルーンから出ることができることを理解されたい。適当なバルーンについては、2016年11月23日出願の米国特許出願第15/360966号に述べられており、その開示内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
膜226は、多層のフレキシブル回路電極アセンブリ284として構成される組み合わされた電極及び温度感知部材を支持及び担持する。「フレックス回路電極アセンブリ」284は多くの様々な幾何学形体を有することができる。図8の実施形態では、フレックス回路電極アセンブリ284は複数のストリップ230を有する。リーフ230は、遠位端288及びバルーン280の周りに概ね均一に分配されている。それぞれのリーフ上の1つ以上のコンタクト電極233は、アブレーション処置中に小孔211によりガルバニック収縮(galvanic contract)をきたし、アブレーション処置中に、電流は、コンタクト電極233から小孔211に流れて損傷部位231を形成する。
【0053】
簡潔化のために、フレックス回路電極アセンブリ284は図9に示すように、リーフ230の1つに対して記載されているが、以下の記載は、アセンブリのそれぞれのリーフに適用することができることを理解されたい。フレックス回路電極アセンブリ284は、例えば、ポリイミドなどの好適な生体適合性材料で構成された、可撓性があり弾力的なシート状の基板234を含む。いくつかの実施形態では、シート状の基板234は、バルーン膜226の耐熱性と比較してより大きい耐熱性(又はより高い融解温度)を有する。いくつかの実施形態では、基板234は、およそ100C以上だけ、バルーン膜226の融解温度より高い分解温度を有する熱硬化性材料から構成されている。
【0054】
基板234は、バルーン膜226の灌注口235と整列する1つ以上の灌注孔又は灌注口235が形成され、バルーンの内部の流体は灌注口235を通過してバルーンから小孔のアブレーション部位へと出ていくことができる。
【0055】
基板234は、バルーン膜226から離れる方向に対向する第1のすなわち外側表面236と、バルーン膜226と対向する第2のすなわち内側表面237と、を有する。その外側表面236上で、基板234は、小孔と接触している組織に適合したコンタクト電極233を支持及び担持する。その内側表面237上で、基板234は、配線電極238を支持及び担持する。コンタクト電極233は、アブレーション中、小口へRFエネルギーを送達し、かつ/又は小口の温度感知のための熱電対接合部に接続している。図示された実施形態において、コンタクト電極233は、長手方向細長部分240と、概ね等間隔に配置された、拡大近位端242Pと遠位端242Dとの間の細長部分240のそれぞれの横側から概ね垂直に延在する、複数の横断線状部分、すなわち、フィンガー部241を有する。細長部分240は、より大きい幅を有し、フィンガー部のそれぞれは、概ね均一なより小さい幅を有する。したがって、コンタクト電極233の形体又はトレースは、「魚の骨形」に類似している。エリアすなわち「パッチ」アブレーション電極とは対照的に、隣接するフィンガー部241間の空隙領域243により、その赤道に沿う場所において必要に応じてバルーン280を内側に折り畳むことができ、かつ/又は径方向に拡張することができる一方、コンタクト電極233のフィンガー部241は、有利なことに、小口とのコンタクト電極233の周囲接触面又は赤道接触面を増大させる。図示された実施形態において、フィンガー部241は、異なる長さを有し、長いものもあれば、短いものもある。例えば、複数のフィンガー部は、遠位フィンガー部、近位フィンガー部、及びその間にあるフィンガー部を含み、間にあるフィンガー部のそれぞれは、より短い隣接するフィンガー部を有する。例えば、それぞれのフィンガー部は、(複数の)その遠位のかつ/又はその近位の直接隣接する隣接フィンガー部とは異なる長さを有し、それぞれのフィンガー部の長さは、それぞれのリーフ230の先細り形体に概ね追従する。図示された実施形態において、最長のフィンガー部が拡大近位端242Pから3番目のフィンガー部である、(細長部分のそれぞれの側面を過ぎて)細長部分240を横切って延在する222個のフィンガー部が存在する。いくつかの実施形態では、コンタクト電極233は、金258Bと膜226との間にシード層245を有する金258Bを含む(図10A及び図10B参照)。シード層は、チタン、タングステン、パラジウム、銀、及び/又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0056】
1つ以上の排除ゾーン247がコンタクト電極233内に形成され、それぞれは、基板234において形成された灌注口227を取り囲んでいる。排除ゾーン247は、以下に更に詳細に説明されるように、これらの機能において、これらの場所で灌注口227を収容する際に、電極アセンブリ284の構成中、コンタクト電極233への損傷を避けるために、コンタクト電極233内に目的を持って形成された空隙である。
【0057】
基板234中の貫通孔(図示しない)を通って延在する導電性形成物又は金属製形成物であり、また外側表面236上のコンタクト電極233と内側表面237上の配線電極238とを接続する電線用導管として構成された、1つ以上の導電性ブラインドビア248もコンタクト電極233中に形成される。「導電性の」は、本明細書において、全ての関連する事例において、「金属製の」と互換的に使用されることを理解されたい。
【0058】
基板234の内側表面237において、配線電極238は、コンタクト電極233の細長部分240と概ね同様の形状及びサイズの細長の本体として概ね構成されている。配線電極238は、「脊柱」とやや類似し、電極アセンブリ284のそれぞれのリーフ230に対して所定の程度の長手方向の剛性を提供する観点では脊柱としても機能している。配線電極238は、ブラインドビア248のそれぞれがコンタクト電極233及び配線電極238の両方と導電接触するように位置付けられている。図示された実施形態において、2つの電極233及び238は、電極233及び238の両方と導電接触している9つ全てのブラインドビア248により、他方と長手方向に整列している。いくつかの実施形態では、配線電極238は、銅の内側部分及び金の外側部分を有する。
【0059】
配線電極238はまた、基板234における灌注口235の周囲にその排除ゾーン259が形成されている。配線電極238は、はんだパッド部分261、少なくとも1つの活性はんだパッド部分261Aが更に形成され、1つ以上の不活性(inactive)はんだパッド部分261Bが存在してもよい。はんだパッド部分261A及び261Bは、配線電極238の細長の本体の側面からの延在部である。図示された実施形態において、活性はんだパッド部分261Aは、細長の本体に沿っておよそ中間の場所に形成され、それぞれの不活性はんだパッド部分261Bは、拡大遠位端242D及び拡大近位端242Pのそれぞれの場所に提供されている。
【0060】
例えば、はんだ溶接部263によって、活性はんだパッド部分261Aに、ワイヤ対、例えば、コンスタンタンワイヤ251及び銅ワイヤ253が取り付けられる。銅ワイヤ253は、配線電極233へリードワイヤを提供し、銅ワイヤ253及びコンスタンタンワイヤ251は、接合部がはんだ溶接部263にある熱電対を提供する。ワイヤ対251/253は、膜226に形成された貫通孔229からバルーン280の内部へ通過する。貫通孔229が存在しない他の実施形態において、ワイヤ対251/253がその遠位端付近の管状シャフト側壁に形成された貫通孔(図示せず)を介して管状シャフト270に入るまで、ワイヤ対251/253は、膜226と基板234との間、更に近位には膜226と近位テール部230Pとの間を通過することができることを理解されたい。
【0061】
リーフ230及びテール部230Pを含むフレックス回路電極アセンブリ284は、バルーン膜226に取り付けられ、基板234の外側表面236は、露出され、基板234の内側表面237は、バルーン膜226に固着され、配線電極238及びワイヤ対251/253は、基板234とバルーン膜226との間に挟まれている。基板234の灌注口235は、バルーン膜226の灌注口227と整列している。配線電極238における排除ゾーン259及びコンタクト電極233における排除ゾーン247は、同心円状に互いに整列すると共に、灌注口227及び235とも整列している。
【0062】
いくつかの実施形態では、バルーン280の1つ以上の基材234はそれぞれ、例えば、図8に示されるようなバルーン280の1つ以上の緯度、例えば、L1、L2及びL3に沿って、小孔又は管状領域と円周方向に接触して、バルーン280の赤道と遠位端との間の所定の位置に戦略的に配置された少なくとも1つの容量性力センサ136を含む。例えば、プレート137及び138、並びにそれらの間の誘電体139を有する容量性力センサ136は、図11に示すように、各コンタクト電極233の遠位の緯度L1に概ね沿って配置されてもよい。いくつかの実施形態では、各容量性力センサ136は、コンタクト電極233のそれぞれの基板234に形成された貫通孔228内に位置する膜226の外面234に取り付けられたプレート138を有する。(いくつかの実施形態において、プレート138は、膜226上に取り付けられ得る。)各容量性力センサ136の端子117及び118はそれぞれ、対応する基板234及び膜226内の貫通孔(図示せず)を通って延在して、それぞれ、バルーン280の内部に、バルーンの近位端に向かって、かつシャフト270を通って延在するそれぞれのリードワイヤ267及び268に接続する導電性形成物を含む、対応する完全ビア248Fに接続されている。リードワイヤは、バルーン280の内部を通って延在するリボンケーブルに含まれてもよいことが理解される。いくつかの実施形態では、容量性力センサ136(図11に破線で示される)は、コンタクト電極233内に形成された排除ゾーン247’内に提供されてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、1つ以上の容量性力センサ136Aは、1つ以上の緯度に沿って膜226上の所定の位置Xに取り付けられ、プレート138は、図11に示されるように膜226に固定される。それぞれの容量性力センサ136の端子117及び118はそれぞれ、プラグ250によって封止された膜226内に形成されたそれぞれの貫通孔を通って、バルーン280の内部に入り、バルーンの近位端に向かって、シャフト270を通って貫通される。いくつかの実施形態では、リードワイヤ267及び268は、バルーン280の内部の端子117及び118にそれぞれ接続されてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、プレート137と138との間の誘電体139は空気であってもよく、弾性ばね部材148(例えば、波形ばね)は、プレート間に配置されて(図12)、その間の分離距離Dでプレートを支持してもよく、ばね部材148は弾性的に圧縮可能であり、組織接触時にプレートに接触力が印加されると、分離距離Dが減少することを可能にすることを理解されたい。
【0065】
いくつかの実施形態では、容量性力センサはセンサがカテーテル上に担持されるカテーテル遠位先端表面上に直接3D印刷することを含む3D印刷によって形成されること、及びプレート並びにプレートを分離し支持するための任意の機械的ばねを形成するために3D印刷を使用することができることも理解されたい。
【0066】
使用中、力センサ136の静電容量は、力感知モジュール53(図1を参照)によって測定される。プレート237及び238が距離Dだけ離れている中立状態にある力センサ136の静電容量は、力感知モジュール53によってCとして測定される。バルーン280が小孔に近づくと、バルーンの遠位周囲部分は小孔と接触し、これは、誘電体239を圧縮する垂直力成分Nを有する力を及ぼし、DからD1まで分離距離を変化させ、ここでD1<Dであり、CからC1まで力センサ136の静電容量を変化させ、ここでC1>Cである。力感知モジュール53は、増加容量C1を検出し、例えば、音響信号又は視覚信号を鳴らすなどのしるしを医療専門家14に提供することによって応答する。測定された静電容量は、垂直力成分Nが残っている限り、C1のままである。垂直力構成要素が増加する場合(医療専門家が更にバルーン280を小孔に押しつける場合など)、分離距離は、更にD2まで減少し、ここでD2<D1<Dであり、測定された静電容量は対応してC2まで増加し、ここでC2>C1>Cである。垂直力成分が減少する場合(医療専門家が小孔からバルーンをわずかに後退させる場合など)、分離距離は、D3まで増加し、ここで、D1<D3<Dであり、測定された静電容量は、C3まで対応して減少し、ここで、C1>C3>Cである。このように、力センサ236によって検出及び測定された力センサ236の静電容量出力の変化は、バルーンと小孔との間の組織接触の変化を反映する先端電極105に印加される力の変化を有利に示す。バルーンの1つ以上の緯度に沿った容量性力センサの力感知モジュールによる異なる読み取り値又は読み取りの異なる変化は、小孔の長手方向軸線に対するバルーンの長手方向軸線の軸外傾斜角などの接触角を示すことができる。例えば、接触が、緯度Laに沿った容量性力センサのx数によって感知され、接触が、緯度Lbに沿った容量性力センサのy数によって感知され、x≠yである場合、これらの信号を処理するシステムは、バルーンの長手方向軸線が小孔の長手方向軸線と位置合わせされていないという推測の指標をユーザに提供することができる。
【0067】
上記の説明は、現時点における本発明の好ましい実施形態に関連して示したものである。本発明が関連する分野及び技術の当業者であれば、本発明の原理、趣旨、及び範囲を大きく逸脱することなく、記載される構造に改変及び変更を実施し得る点は認識されるであろう。1つの実施形態に開示される任意の特徴又は構成は、必要に応じて又は適宜、他の任意の実施形態の他の特徴に代えて、又はそれに加えて組み込むことができる。当業者には理解されるように、図面は必ずしも縮尺どおりではない。したがって、上記の説明文は、添付図面に記載及び例示される正確な構成のみに関連したものとして読まれるべきではなく、むしろ以下の最も完全で公正な範囲を有するものとされる特許請求の範囲と一致し、かつこれを支持するものとして読まれるべきである。
【0068】
〔実施の態様〕
(1) 電気生理学的カテーテルであって、
細長いカテーテルシャフトと、
組織と接触するように構成されたシェルを有する遠位先端電極と、
前記シェルに取り付けられた第1のプレート、前記第1のプレートの遠位にあり、前記組織と接触するように構成された第2のプレート、及び前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間の弾性的に圧縮可能な誘電体を有する、容量性力センサであって、前記力センサは、前記第1及び第2のプレートが第1の距離だけ離れているときに第1の静電容量を有し、前記力センサは、前記第1及び第2のプレートが前記第1の距離とは異なる第2の距離だけ離れているときに第2の静電容量を有する、容量性力センサと、
前記第1のプレートに接続された第1の端子と、
前記第2のプレートに接続された第2の端子と、
を備える、電気生理学的カテーテル。
(2) 前記第1及び第2のプレートは、互いに平行である、実施態様1に記載の電気生理学的カテーテル。
(3) 前記第1及び第2のプレートは、概ね同じサイズ及び形状のものである、実施態様1に記載の電気生理学的カテーテル。
(4) 前記容量性力センサは、前記シェルの遠位面に取り付けられている、実施態様1に記載の電気生理学的カテーテル。
(5) 前記第1のプレートは、前記シェルの外面の上方に突出する、実施態様1に記載の電気生理学的カテーテル。
【0069】
(6) 前記シェルは凹部を有し、前記容量性力センサは、少なくとも前記第1のプレートが露出した状態で前記凹部内に位置する、実施態様1に記載の電気生理学的カテーテル。
(7) 前記凹部は、前記シェルの遠位面に形成されている、実施態様1に記載の電気生理学的カテーテル。
(8) 前記第1の端子は、前記シェル内に形成された第1の貫通孔を通過する、実施態様1に記載の電気生理学的カテーテル。
(9) 前記第2の端子は、前記シェル内に形成された第2の貫通孔を通過する、実施態様8に記載の電気生理学的カテーテル。
(10) 前記第1の端子は、前記シェルの外面に沿って延在する、実施態様1に記載の電気生理学的カテーテル。
【0070】
(11) 小孔に使用するように適合された電気生理学的カテーテルであって、
膜を有するバルーンであって、前記バルーンは、長手方向軸線を画定する遠位端及び近位端と、少なくとも1つの円周方向の緯度と、を有する、バルーンと、
前記バルーン上の第1のプレート、前記組織と接触するように構成された第2のプレート、及び前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間の弾性的に圧縮可能な誘電体を有する、容量性力センサであって、前記力センサは、前記第1及び第2のプレートが第1の距離だけ離れているときに第1の静電容量を有し、前記力センサは、前記第1及び第2のプレートが前記第1の距離とは異なる第2の距離だけ離れているときに第2の静電容量を有する、容量性力センサと、
前記第1のプレートに接続された第1の端子と、
前記第2のプレートに接続された第2の端子と、
を備える、電気生理学的カテーテル。
(12) 前記第1のプレートは、前記膜に取り付けられている、実施態様11に記載の電気生理学的カテーテル。
(13) コンタクト電極を更に備え、前記第1のプレートは前記コンタクト電極に取り付けられている、実施態様11に記載の電気生理学的カテーテル。
(14) 前記膜を貫通する第1のビアを更に備え、前記第1の端子は前記第1のビアに接続されている、実施態様11に記載の電気生理学的カテーテル。
(15) 前記膜を貫通する第2のビアを更に備え、前記第2の端子は前記第2のビアに接続されている、実施態様14に記載の電気生理学的カテーテル。
【0071】
(16) 前記バルーンの円周方向の緯度に沿って配置された複数の容量性力センサを備える、実施態様11に記載の電気生理学的カテーテル。
(17) 電気生理学的カテーテルシステムであって、
第1のプレート、第2のプレート、及びそれらの間の誘電体を有する容量性力センサを有するカテーテルと、
メモリデバイス及び電圧源を有するプロセッサと、
前記第1のプレート及び前記電圧源に接続された第1の端子と、
前記第2のプレート及び前記電圧源に接続された第2の端子と、を備え、
前記メモリデバイスは、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
前記電圧源を作動させ、
前記容量性力センサにわたる静電容量を決定させ、
前記静電容量の変化を検出させる
命令を保存するように構成されている、電気生理学的カテーテルシステム。
(18) 前記容量性力センサは、前記第1及び第2のプレートが第1の距離だけ離れているときに第1の静電容量を有し、前記容量性力センサは、前記第1及び第2のプレートが第2の距離だけ離れているときに第2の静電容量を有し、前記プロセッサは、前記第1の静電容量と前記第2の静電容量との間の静電容量の変化を検出するように構成されている、実施態様17に記載のシステム。
(19) 前記誘電体は弾性的に圧縮可能である、実施態様17に記載のシステム。
(20) 前記容量性力センサは、組織接触のために構成された前記カテーテルの遠位部分上に位置付けられている、実施態様17に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12