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特許7374621調整されたDI/DTおよび/またはDV/DTと組み合わせてパワースイッチを駆動するシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】調整されたDI/DTおよび/またはDV/DTと組み合わせてパワースイッチを駆動するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/16 20060101AFI20231030BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20231030BHJP
   H03K 17/695 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
H03K17/16 H
H02M1/08 A
H03K17/695
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019111862
(22)【出願日】2019-06-17
(65)【公開番号】P2019220955
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】16/011,311
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516153409
【氏名又は名称】インフィニオン テクノロジーズ オーストリア アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Infineon Technologies Austria AG
【住所又は居所原語表記】Siemensstr. 2, A-9500 Villach, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス グレーガー
(72)【発明者】
【氏名】カール ノアリング
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー シュライバー
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート ヴィヒト
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0015571(US,A1)
【文献】特開2017-229151(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0375362(US,A1)
【文献】特開2004-304929(JP,A)
【文献】特開2012-039460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00-17/70
H02M 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路であって、前記回路は、
ゲートドライブ回路と、
動的コントローラと、
加算回路と、
少なくとも1つのフィードバック回路と、
アンチワインドアップ回路と、
を含み、
前記ゲートドライブ回路は、ゲート駆動端子に結合された出力部を有し、前記ゲート駆動端子は、スイッチングトランジスタのゲートに結合されるように構成されており、
前記動的コントローラは、前記ゲートドライブ回路の入力部に結合された出力部を有し、
前記加算回路は、前記動的コントローラの入力部に結合された出力部と、基準信号を受信するように構成された第1の入力部と、を有し、
前記少なくとも1つのフィードバック回路は、電圧測定端子と前記加算回路の第2の入力部との間に結合されており、前記スイッチングトランジスタの負荷経路電圧の微分および前記スイッチングトランジスタの負荷経路電流の微分のうちの少なくとも一方に比例する信号を、前記加算回路の前記第2の入力部に供給するように構成されており、
前記アンチワインドアップ回路は、前記ゲートドライブ回路の前記出力部と前記加算回路の第3の入力部との間に結合されており、前記ゲートドライブ回路の出力電圧の微分に比例する信号を、前記加算回路の前記第3の入力部に供給するように構成されており、
前記アンチワインドアップ回路は、
前記ゲートドライブ回路が前記スイッチングトランジスタをターンオンする際には、前記ゲートドライブ回路の出力電圧の微分に比例する信号に第1の利得を適用し、
前記ゲートドライブ回路が前記スイッチングトランジスタをターンオフする際には、前記ゲートドライブ回路の出力電圧の微分に比例する信号に第2の利得を適用する、
ようにさらに構成されており、
前記アンチワインドアップ回路は、
前記加算回路の前記第3の入力部に結合された出力部を有する第1のカレントミラーと、
前記ゲートドライブ回路の前記出力部と前記第1のカレントミラーの入力部との間に結合された第1のコンデンサと、
を有する、
回路。
【請求項2】
前記回路は、前記スイッチングトランジスタをさらに含む、
請求項1記載の回路。
【請求項3】
前記少なくとも1つのフィードバック回路は、
第1のフィードバック回路と、
第2のフィードバック回路と、
を含み、
前記第1のフィードバック回路は、負荷経路電圧の微分に比例する第1の信号を、前記加算回路の前記第2の入力部に供給するように構成されており、
前記第2のフィードバック回路は、前記スイッチングトランジスタの負荷経路電流の微分に比例する第2の信号を、前記加算回路の第4の入力部に供給するように構成されている、
請求項1記載の回路。
【請求項4】
前記回路は、前記第2のフィードバック回路の出力部と前記加算回路の前記第4の入力部との間に結合されたクリッピング回路をさらに含む、
請求項3記載の回路。
【請求項5】
前記アンチワインドアップ回路はさらに、
前記加算回路の前記第3の入力部に結合された出力部を有する第2のカレントミラーと、
前記ゲートドライブ回路の前記出力部と前記第2のカレントミラーの入力部との間に結合された第2のコンデンサと、
を有する、
請求項1記載の回路。
【請求項6】
前記第1のカレントミラーは、前記第2のカレントミラーとは異なるミラー比を有する、
請求項5記載の回路。
【請求項7】
前記第1の利得は、第1の極性を含み、
前記第2の利得は、前記第1の極性とは反対の第2の極性を含み、
前記第1の極性および前記第2の極性は、負のフィードバックを提供するように構成されている、
請求項1記載の回路。
【請求項8】
前記回路は、外部のブースタ段をさらに含み、
前記外部のブースタ段は、前記ゲート駆動端子に結合された入力部と、前記スイッチングトランジスタの前記ゲートに結合されるように構成された出力部と、を有する、
請求項1記載の回路。
【請求項9】
スイッチングトランジスタを駆動する方法であって、前記方法は、
前記スイッチングトランジスタをゲート駆動信号によって駆動するステップと、
前記スイッチングトランジスタの負荷経路電圧の微分および負荷経路電流の微分のうちの少なくとも一方を測定するステップと、
前記ゲート駆動信号の微分を測定するステップと、
基準信号と、測定された前記ゲート駆動信号の微分と、測定された前記スイッチングトランジスタの負荷経路電圧の微分または測定された前記スイッチングトランジスタの負荷経路電流の微分のうちの少なくとも一方と、に基づいてエラー信号を形成するステップと、
前記ゲート駆動信号を形成するステップと
を含み、
前記ゲート駆動信号を形成するステップは、動的コントローラを使用して前記エラー信号を処理するステップを含み、
前記方法はさらに、
前記スイッチングトランジスタをターンオンする際には、前記エラー信号を形成する前に、測定された前記ゲート駆動信号の微分に第1の利得を適用するステップと、
前記スイッチングトランジスタをターンオフする際には、前記エラー信号を形成する前に、測定された前記ゲート駆動信号の微分に第2の利得を適用するステップと、
をさらに含み、
前記方法はさらに、
ゲートドライブ回路の出力部を、カレントミラーが後続するコンデンサを含むフィードバック回路によって監視するステップをさらに含む、
方法。
【請求項10】
前記ゲート駆動信号を形成するステップはさらに、
前記動的コントローラを使用して制御信号を生成するステップと、
前記制御信号によって前記ゲートドライブ回路の入力部を駆動するステップと、
前記ゲートドライブ回路を使用して前記ゲート駆動信号を生成するステップと、
を含む、
請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記スイッチングトランジスタをゲート駆動信号によって駆動するステップは、前記ゲート駆動信号によってブースタ段を駆動するステップを含み、
前記ブースタ段の出力部は、前記スイッチングトランジスタのゲートに結合されている、
請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記動的コントローラは、比例積分(PI)コントローラである、
請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記方法はさらに、
前記スイッチングトランジスタをターンオンする際には、前記エラー信号を形成する前に、測定された前記ゲート駆動信号の微分の第1の極性のみを提供するステップと、
前記スイッチングトランジスタをターンオフする際には、前記エラー信号を形成する前に、測定された前記ゲート駆動信号の微分の第2の極性のみを提供するステップと、
を含み、
前記第2の極性は、前記第1の極性とは反対である、
請求項9記載の方法。
【請求項14】
前記第1の極性は、前記ゲート駆動信号の正のスルーレートを表しており、
前記第2の極性は、前記ゲート駆動信号の負のスルーレートを表している、
請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記第1の利得は、第1の極性を含み、
前記第2の利得は、前記第1の極性とは反対の第2の極性を含む、
請求項9記載の方法。
【請求項16】
前記方法はさらに、
スイッチ制御信号を受信するステップと、
受信した前記スイッチ制御信号に基づいて前記基準信号を生成するステップと、
を含む、
請求項9記載の方法。
【請求項17】
前記スイッチ制御信号は、パルス幅変調信号を含む、
請求項16記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、調整されたdi/dtおよび/またはdv/dtと組み合わせてパワースイッチを駆動するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、接合ゲート電界効果トランジスタ(JFET)、および高電子移動度トランジスタ(HEMT)のようなパワー半導体のための一般的なドライバ回路を、パワー半導体のスイッチング勾配を制御するように構成することができる。スイッチング勾配とは、パワー半導体の負荷経路にわたる電圧が上昇または下降する際に生じる時間当たりの電圧変化(dv/dt)、およびパワー半導体の負荷経路を通る電流が増加または減少する際に生じる時間当たりの電流変化(di/dt)のうちの少なくとも一方である。一般に、勾配は、特定の値または範囲に調整されることはなく、制限されるだけであり、多数の用途にとってはこれで十分であろう。しかしながら、勾配を制限するということは、例えばdv/dtを最大電圧変化値に制限すること、またはdi/dtを最大電流変化値に制限することを意味し得る。di/dtの制限は、電流の減少に関して特に重要である。なぜなら、寄生インダクタンスに関連している過度の(負の)di/dtは、それぞれのパワー半導体の最大定格電圧を超過し得る電圧を生成するおそれがあるからである。
【0003】
パワー半導体を駆動するために使用される信号が閉ループ制御下にある場合には、パワー半導体の駆動電圧が半導体のターンオン閾値を下回った際に生じ得るオーバーシュートに関して別の問題が発生する。この動作領域では、それぞれの半導体デバイスの出力部を含んでいるフィードバック経路が、実質的にディセーブルされ、パワー半導体の駆動電圧を調整するために使用される制御ループの少なくとも一部が、開ループ条件下で動作することがある。そのような開ループ挙動は、電圧誤差およびオーバーシュートを引き起こす可能性があり、これらの電圧誤差およびオーバーシュートは、ループが完全に閉成されるとループによって修正される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの実施形態によれば、ゲート制御型コンポーネントを制御するためのゲートドライブ回路は、動的コントローラと、動的コントローラのための少なくとも1つのコンポーネントフィードバック回路と、動的コントローラのためのゲート駆動フィードバック回路と、を含み、動的コントローラは、入力された基準信号を受信し、ゲートドライブ回路の出力端子を介してゲート制御型コンポーネントのゲート電圧を制御するように構成されており、少なくとも1つのコンポーネントフィードバック回路は、ゲート制御型コンポーネントの負荷経路電圧の時間微分または負荷経路電流の時間微分のうちの少なくとも一方からのフィードバックを、動的コントローラに提供するように構成されており、ゲート駆動フィードバック回路は、ゲートドライブ回路の出力端子における電圧の時間微分からのフィードバックを提供するように構成されている。
【0005】
別の実施形態によれば、本回路は、ゲートドライブ回路と、動的コントローラと、加算回路と、少なくとも1つのフィードバック回路と、アンチワインドアップ回路と、を含み、ゲートドライブ回路は、ゲート駆動端子に結合された出力部を有し、ゲート駆動端子は、スイッチングトランジスタのゲートに結合されるように構成されており、動的コントローラは、ゲートドライブ回路の入力部に結合された出力部を有し、加算回路は、動的コントローラの入力部に結合された出力部と、基準信号を受信するように構成された第1の入力部と、を有し、少なくとも1つのフィードバック回路は、電圧測定端子と加算回路の第2の入力部との間に結合されており、スイッチングトランジスタの負荷経路電圧の微分およびスイッチングトランジスタの負荷経路電流の微分のうちの少なくとも一方に比例する信号を、加算回路の第2の入力部に供給するように構成されており、アンチワインドアップ回路は、ゲートドライブ回路の出力部と加算回路の第3の入力部との間に結合されており、ゲートドライブ回路の出力電圧の微分に比例する信号を、加算回路の第3の入力部に供給するように構成されている。
【0006】
さらなる実施形態によれば、スイッチングトランジスタを駆動する方法は、スイッチングトランジスタをゲート駆動信号によって駆動することと、スイッチングトランジスタの負荷経路電圧の微分および負荷経路電流の微分のうちの少なくとも一方を測定することと、ゲート駆動信号の微分を測定することと、基準信号と、測定されたゲート駆動信号の微分と、測定されたスイッチングトランジスタの負荷経路電圧の微分または測定されたスイッチングトランジスタの負荷経路電流の微分のうちの少なくとも一方と、に基づいてエラー信号を形成することと、ゲート駆動信号を形成することと、を含み、ゲート駆動信号を形成することは、動的コントローラを使用してエラー信号を処理することを含む。
【0007】
ここで、本発明および本発明の利点をより完全に理解するために、添付の図面と併せて以下の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】外部の出力ブースト回路を有さず、アナログおよびデジタルのdv/dtフィードバック経路を備えた集積回路を有する、例示的なドライバ回路を示す概略図である。
図2】外部の出力ブースト回路を有し、アナログおよびデジタルのdv/dtフィードバック経路を備えた集積回路を有する、例示的なドライバ回路を示す概略図である。
図3】外部の出力ブースト回路を有さず、アナログおよびデジタルのdv/dtおよびdi/dtフィードバック経路を備えた集積回路を有する、例示的なドライバ回路を示す概略図である。
図4】外部の出力ブースト回路を有し、アナログおよびデジタルのdv/dtおよびdi/dtフィードバック経路を備えた集積回路を有する、例示的なドライバ回路を示す概略図である。
図5】アナログおよびデジタルのフィードバック経路を有する例示的なドライバ回路を示す概略図である。
図6】修正されたアナログおよびデジタルのフィードバック経路を有する例示的なドライバ回路を示す概略図である。
図7】さらに修正されたアナログおよびデジタルのフィードバック経路を有する例示的なドライブ回路を示す概略図である。
図8A】ゲートドライブ回路の出力電圧の閉ループスルーレート制御を提供する、実施形態のゲート駆動システムの性能を示す線図および波形図である。
図8B】ゲートドライブ回路の出力電圧の閉ループスルーレート制御を提供する、実施形態のゲート駆動システムの性能を示す線図および波形図である。
図8C】ゲートドライブ回路の出力電圧の閉ループスルーレート制御を提供する、実施形態のゲート駆動システムの性能を示す線図および波形図である。
図8D】ゲートドライブ回路の出力電圧の閉ループスルーレート制御を提供する、実施形態のゲート駆動システムの性能を示す線図および波形図である。
図8E】ゲートドライブ回路の出力電圧の閉ループスルーレート制御を提供する、実施形態のゲート駆動システムの性能を示す線図および波形図である。
図9A】実施形態のゲートドライブ回路の概略図である。
図9B】実施形態のゲートドライブ回路の概略図である。
図10A】実施形態のゲートドライブ回路の性能を示す波形図である。
図10B】実施形態のゲートドライブ回路の性能を示す波形図である。
図10C】実施形態のゲートドライブ回路の性能を示す波形図である。
図11A】実施形態のゲートドライブ回路を実装するために使用することができるフィードバック回路を示す図である。
図11B】実施形態のゲートドライブ回路を実装するために使用することができるフィードバック回路を示す図である。
図12A】実施形態のゲートドライバ集積回路を示す図である。
図12B】実施形態のゲートドライバ集積回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図7は、概して、2016年6月22日に出願された独国特許出願第102016111449号明細書(DE 102016111449.9)に記載されているようなパワースイッチの電圧変化の調整(dv/dt調整)と、電流変化の調整(di/dt調整)と、を説明したものである。本発明の実施形態の詳細な説明は、図8A図12Bを参照しながら行われる。本発明の実施形態では、パワースイッチドライバ回路は、負荷経路電流の微分(dI/dt)と、負荷経路電圧の微分(dVCE/dt)と、ゲート駆動電圧の微分(dVout,Driver/dt)と、を、フィードバック制御回路を使用して調整するように構成されている。いくつかの実施形態では、dI/dt、dVCE/dtおよびdVout,Driver/dtのフィードバックを、比例積分(PI)コントローラのような単一の動的コントローラに提供するために、3つのフィードバック経路が使用される。dI/dtおよびdVCE/dtに加えてdVout,Driver/dtを提供することによって、ゲート駆動電圧のオーバーシュートを低減および/または排除することが可能となる。このオーバーシュートを、「ワインドアップ(windup)」作用と呼ぶこともできる。これらの実施形態は、図8A~8E、図9A~9B、図10A~10C、図11A~11B、および図12A~12Bに関連して説明される。
【0010】
ターンオフ中の電圧オーバーシュートを主に制限する単純な一般的なドライバ回路では、フィードバック信号が半導体デバイスの制御端子に、例えば半導体デバイスのゲートに直接的に作用する。フィードバック信号は、低いゲート抵抗(1オーム未満から数オーム)に対して作用する場合には、ゲートにおける電圧の有効な変化を生じさせるためにある程度の電流量を必要とするので、この直接的なフィードバック構造は、好ましくない。他の一般的なドライバ回路では、フィードバック電流が、半導体デバイスのゲートを直接的に駆動する電力増幅段の入力部に作用するので、フィードバック電流が比較的小さい。フィードバック電流によって電圧を発生させなければならない電力増幅段の入力部における入力インピーダンスは、半導体デバイスの制御端子におけるインピーダンス、例えばゲート抵抗よりも最大で数倍高い。このようなドライバ回路は、一般に、例えばエミッタフォロワ型の構成において電流増幅器として接続されたディスクリートトランジスタを使用する。電流増幅を大きくするために、例えばダーリントン構成において2つまたは3つの増幅段が必要とされ得る。時間当たりの電圧変化dv/dtおよび/または時間当たりの電流変化di/dtを評価するために、一般に、標準的な受動ディスクリートコンポーネントが使用されている。
【0011】
図1は、制御可能な半導体デバイス106、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)または任意の他の適切な半導体デバイスを駆動するための例示的なドライバ回路を示す。半導体デバイス106のエミッタを、寄生インダクタンス107を介してグラウンド108に接続させることができ、半導体デバイス106のコレクタは、負荷(図示せず)に接続されている。半導体デバイス106を、ゲート制御型コンポーネントまたはスイッチングトランジスタと呼ぶこともできる。半導体デバイス106の負荷経路とは、半導体デバイス106のエミッタとコレクタとの間の経路であり、寄生インダクタンス107を含むことができる。ドライバ回路は、制御入力信号100のような外部の制御信号を受信し、信号前処理段101と、内部出力段のような後続の信号後処理段102と、を含む。少なくとも信号前処理段101と後処理段102とを1つの集積回路装置103に集積することができる。集積回路装置103は、制御入力信号100と、少なくとも2つのフィードバック信号、例えば外部のアナログdv/dt監視段105からのアナログフィードバック信号104と、外部のアナログ-デジタル変換器112からのデジタルフィードバック信号114と、を受信することができ、なお、外部のアナログ-デジタル変換器112は、電圧を、デジタルフィードバック信号114を形成するバイナリワードに変換する。アナログ-デジタル変換器112は、集積回路装置103内に配置されている内部のdv/dt監視段115の上流に接続されている。
【0012】
フィードバック信号104(例えば電圧および/または電流)を、集積回路装置103において、後処理段102の入力部において、内部の前処理段101からの内部の制御信号111(例えば電圧および/または電流)と組み合わせる(例えば合計する)ことができる。監視段105は、半導体デバイス106の負荷経路にわたる電圧から、例えば半導体デバイス106のコレクタにおける電圧から、時間当たりの電圧変化dv/dtのアナログ計算を実施する。監視段115は、半導体デバイス106の負荷経路にわたる電圧を表しているデジタルフィードバック信号114から、時間当たりの電圧変化dv/dtのデジタル計算を実施する。監視段115は、入力信号100およびデジタルフィードバック信号114に依存して、アナログ信号(例えば電圧および/または電流)を出力する前処理段101を制御する。
【0013】
さらに、外部のdv/dt監視段105および内部のdv/dt監視段115は、制御対象である半導体デバイス106の負荷経路にわたる電圧の時間当たりの電圧変化を評価する。電圧の評価は、電圧変化の監視、フィードバック信号のゲーティング、電圧の上昇および下降の検出、少なくとも1つのフィードバック信号の増幅または減衰等、のうちの少なくとも1つを含むことができる。出力段102は、半導体デバイス106の制御経路(ゲート)における電圧変化dv/dtを調整するために、制御入力信号100とフィードバック信号104および114とに依存している制御出力信号116、例えば制御された電圧および/または電流を供給する。
【0014】
任意選択的に、集積回路装置103を、抵抗109を介して半導体デバイス106のゲートに接続させることができる。任意選択的に、信号前処理段101と後処理段102とを、抵抗110を介して接続させることもできる。抵抗109は、半導体デバイス106の制御経路(ゲート)における振動を減衰させるため、ひいては回路全体を安定させるためにちょうど十分に小さい抵抗を有することができる。この例では、半導体デバイス106の制御経路(ゲート)への電流は、集積回路装置103の信号後処理段102の一部を成している出力段へのフィードバックを介して間接的に制御される。抵抗110は、(信号104を成している)フィードバック電流が、前処理段101によって供給された電圧に対する電圧差を生成することを可能にし、このようにして、半導体デバイス106の勾配制御を提供するために、信号後処理段102の出力段の入力を調整している。
【0015】
信号前処理段101は、レベルシフト、ガルバニック絶縁および信号形状処理のうちの少なくとも1つを実施することができる。この例では、信号後処理段102は、出力電圧を達成するために必要とされる任意の電流を供給する電圧-電圧増幅器であるが、代替的に、図示のような電流-電圧増幅器、電流-電流増幅器、または電圧-電流増幅器とすることもでき、その場合には、それぞれの増幅器の上流の回路および下流の回路が相応に適合されている。集積回路装置103は、寄生インダクタンス107の一方の端部、例えば寄生インダクタンス107の外側の端部であるグラウンド108を基準とすることができる。見て取れるように、電圧変化dv/dtを表しているフィードバック信号104および114は、抵抗110に対して作用する。
【0016】
図2を参照すると、図1に示されたドライバ回路を、集積回路装置103の代わりに集積回路装置200が使用されるという点で修正することができ、この集積回路装置200では、抵抗110の代わりにデジタル制御可能な電流源201が使用される。見て取れるように、フィードバック信号104(電流)は、理想的には無限のDC抵抗を供給する電流源201に対して作用する。電流源201は、デジタルdv/dt監視段208によって制御されており、このデジタルdv/dt監視段208は、半導体デバイス106の負荷経路にわたる電圧の時間当たりの電圧変化をデジタルに評価する。アナログ監視段207は、半導体デバイス106の負荷経路にわたる電圧から時間当たりの電圧変化dv/dtのアナログ計算を実施する。アナログ監視段207とデジタルdv/dt監視段208との間に接続されたデジタル-アナログ変換器112は、アナログ監視段207から結果的に得られたアナログdv/dt信号を、デジタルdv/dt監視段208のためのデジタルdv/dt信号に変換する。電流源201をさらに、種々の半導体デバイス106に特定の電流を供給するように調節可能にすることができる。
【0017】
さらに、後処理段102と抵抗109との間に外部の電力増幅器202を挿入することができる。この例では、電力増幅器202は、1つの増幅段を含み、この1つの増幅段は、負電圧供給線205と電圧供給線206との間に相補的なエミッタフォロワ構造で接続されている(例えばpnpバイポーラトランジスタ203およびnpnバイポーラトランジスタ204を有する)相補的なトランジスタ対によって形成されている。例えば、後処理段102は、最大で1または2アンペアの電流駆動能力を有することができ、電流増幅器202は、この能力を10~50倍に増加させることができ、これによって抵抗109を、図2に示された回路において低減することができる。代替的に、後処理段102および/または電流増幅器202は、正電流から負電流へのハンドオーバが実施される速度を増加させるためにA級またはA/B級の増幅器構造を有することができる。代替的または付加的に、後処理段102および/または電力増幅器202は、非常に低い寄生ドライバインダクタンスを達成するために2つ以上の増幅器段を有することができる。内部のdv/dt監視段115の代わりにデジタル監視段208が使用されており、このデジタル監視段208は、デジタル入力信号をデジタル処理して、デジタル出力信号を供給する。
【0018】
集積回路装置の内部出力段の入力部へのアクセスを提供することにより、寄生容量がより小さくなると共に、集積回路によって提供可能な速度および柔軟性が増加することに起因して、フィードバック段によって供給される電流を、さらに(数10mAまで)低減することができる。それと同時に、カスケード接続される所要の外部出力段の数を低減することができる。出力段は、一般に、0.5A~2Aの最大電流、場合によっては最大で6Aの最大電流を供給することができる。さらに、フィードバック経路は、さほど大きな電流を供給する必要がないので、必要とされるフィードバックコンデンサが小さくなり(高電圧スイッチングノードにおける追加容量が小さくなる)、これによって電力消費量およびサイズに関して回路全体がより効率的になる。この電流を1つまたは複数の外部段によって増幅することにより、非常に大型のIGBTデバイスやパワー半導体モジュール等を駆動するために十分な電流を供給することができる。制御可能な電圧源および抵抗を介して内部電力段の入力部を駆動する代わりに、正電流および負電流を供給することができる制御可能な電流源によって、この内部電力段の入力部を駆動してもよい。これにより、より線形の(dv/dtフィードバック容量が線形である場合)、負荷に依存しないdv/dt(および/またはdi/dt)調整が可能になる。
【0019】
図3に示されるように、図2に示されたドライバ回路を、集積回路装置200の代わりに集積回路装置300が使用されるという点で修正することができ、この集積回路装置300では、電流源201が省略されており、前処理段101と後処理段102との間にフィードバック処理兼重畳段301が接続されている。デジタルdv/dt監視段207は、デジタル入力信号、例えば半導体デバイス106の負荷経路にわたる電圧を表しているバイナリ信号をデジタル処理し、デジタル出力信号、例えば半導体デバイス106の負荷経路にわたる電圧の微分を表しているバイナリ信号を供給する。さらに、少なくとも1つの他の外部のフィードバック段、例えば外部のアナログdi/dt監視段302が半導体デバイス106の負荷経路に接続されている、および/または、外部のデジタルdi/dt監視段303がアナログ-デジタル変換器304を介して半導体デバイス106の負荷経路に接続されている。フィードバック処理兼重畳段301は、dv/dt監視段105および207と、信号前処理段101とから、さらにはアナログdi/dt監視段302と、デジタルdi/dt監視段303とから、信号を受信する。デジタルdi/dt監視段303は、デジタル入力信号、例えば半導体デバイス106の負荷経路を通る電流を表しているバイナリ信号をデジタル処理し、デジタル出力信号、例えば半導体デバイス106の負荷経路を通る電流の微分を表しているバイナリ信号を供給する。
【0020】
図4に示されるように、図3に示されたドライバ回路を、後処理段102と抵抗109との間に電力増幅器400が挿入されるという点で、修正することができる。この例では、電力増幅器400は、1つの増幅段を含み、この1つの増幅段は、負電圧供給線403と電圧供給線404との間に相補的なエミッタフォロワ構造で接続されている(例えばpnpバイポーラトランジスタ401およびnpnバイポーラトランジスタ402を有する)相補的なトランジスタ対によって形成されている。代替的に、電力増幅器400は、非常に低い寄生ドライバインダクタンスを達成するために2つ以上の増幅段を有することができ、かつ/または正電流から負電流へのハンドオーバが実施される速度を増加させるためにA級またはA/B級の増幅器構造を有することができる。さらに、デジタルdv/dt監視段207の代わりにデジタルdv/dt監視段405が使用されており、デジタルdi/dt監視段303の代わりにデジタルdi/dt監視段406が使用されている。dv/dt監視段405およびdi/dt監視段406は、デジタル入力信号をデジタル処理して、デジタル(バイナリ)出力信号を供給する。
【0021】
図5を参照すると、別の例示的なドライバ回路は、低電圧回路部分と、低電圧回路部分からガルバニック絶縁された高電圧回路部分と、を有する集積回路装置500を含んでいる。低電圧回路部分は、不足電圧ロックアウト(UVLO)ブロック501を含み、この不足電圧ロックアウト(UVLO)ブロック501は、集積回路装置500の(正の)供給電圧VCC1と第1のグラウンドGND1とを受信し、なお、集積回路装置500は、第1のグラウンドGND1を基準としている。不足電圧ロックアウトブロック501は、供給電圧VCC1が動作値を下回った場合に集積回路装置500のための電力をディセーブルおよび/またはターンオフするために使用される電子回路ブロックである。例えば、集積回路装置500では、不足電圧ロックアウトブロック501は、供給電圧VCC1を監視し、この供給電圧VCC1が特定の閾値を下回ると回路をターンオフすることができ、これによって集積回路装置500を保護すると共に、場合によっては半導体デバイス、および/または集積回路装置500に関連する負荷も保護する。集積回路装置500の低電圧回路部分はさらに、論理ブロック502を含むことができ、この論理ブロック502は、例えばスイッチ制御のための入力(制御)信号INと、例えば論理ブロック502、集積回路装置500またはドライバ回路全体をイネーブルまたはディセーブルするためのイネーブル信号ENと、を受信する。
【0022】
論理ブロック502は、特定の制御データ、状態データ、サービスデータ等のようなデジタルデータDIOを他のユニット(図示せず)と交換するためのデジタル入力/出力インターフェースを提供することもできる。さらに、クロック信号発生器503によって供給されるクロック信号によって論理ブロック502をクロッキングすることができ、また、論理ブロック502をガルバニック絶縁双方向信号結合器504に接続させることができ、このガルバニック絶縁双方向信号結合器504は、(図示のように)誘導的、容量的、光学的、またはその他の適切な根拠に基づいて絶縁を提供することができる。任意選択的に、他の信号結合器505、例えば単方向結合器によって、低電圧回路部分と高電圧回路部分とを信号に関しては結合させることができ、しかしながらガルバニック絶縁させることができる。
【0023】
高電圧回路部分では、信号結合器504と、存在する場合には信号結合器505と、が制御ブロック506に接続されており、この制御ブロック506は、プロセッサ実装における論理ブロックまたはソフトウェアブロック、もしくはその両方の組み合わせとすることができる。制御ブロック506は、クロック信号発生器507からのクロック信号と、高電圧回路部分のための不足電圧ロックアウトブロック508からの信号と、を受信する。制御ブロック506は、中央信号処理ブロック509とデジタルデータを交換し、この中央信号処理ブロック509は、負荷経路電圧/電流の勾配の後処理、調整および適合を提供することができる。例えば、比例制御機構(P)、積分制御機構(I)、微分制御機構(D)、または例えばPIまたはPID制御機構のようなこれらの組み合わせ、のうちの少なくとも1つを含むデジタルループコントローラが実現されるように、中央信号処理ブロック509を適合させること、またはプログラミングすることができる。さらに、制御ブロック506は、中央信号処理ブロック509およびメモリ510にオン/オフ信号を送信し、2つのアナログ-デジタル変換ブロック511および512にサンプリング制御信号を送信し、別のオン/オフ信号および勾配形状データをレベルシフトブロック513に送信する。アナログ-デジタル変換ブロック511および512は、メモリ510にデータを送信する。アナログ-デジタル変換ブロック511は、第2のグラウンドGND2を基準とする電圧検知信号VSD(例えば電圧または電流)を受信し、アナログ-デジタル変換ブロック512は、第2のグラウンドGND2を基準とする電流検知信号IS(例えば電圧または電流)を受信する。
【0024】
レベルシフトブロック513は、適応ドライバブロック514に制御データを送信し、この適応ドライバブロック514は、2つのデジタル制御可能な電流源515および516を含むことができ、これら2つのデジタル制御可能な電流源515および516は、(負)供給電圧VEE2と(正)供給電圧VCC2との間で直列に、2つの電流源515と516との間のノード517に接続されている。供給電圧VEE2およびVCC2のうちの少なくとも一方を、不足電圧ロックアウトブロック508によって監視することができる。電流源515および516は、レベルシフトブロック513によって提供されるデジタルデータによってそれぞれ制御される。ドライバ出力段518は、ノード517と、電圧検知信号(例えば電圧または電流)を搬送する線路と、トランスコンダクタンス増幅器ブロック519の出力部と、に接続されている。トランスコンダクタンス増幅器ブロック519の非反転入力部は、第2のグラウンドGND2に接続されており、トランスコンダクタンス増幅器ブロック519の反転入力部は、電流検知信号IS(例えば、測定対象である電流の変化に対応するインダクタンスにわたる電圧)を受信する線路に接続されている。
【0025】
集積回路装置500の外部配線は、2つのコンデンサ520および521を含み、これら2つのコンデンサ520および521は、半導体デバイス106のコレクタ線路を、電圧検知信号VSDを搬送する線路および電圧検知信号VSAを搬送する線路にそれぞれ結合させる。2つのコンデンサ520および521は、負荷経路にわたる電圧からdv/dtを獲得するために使用される。第2のグラウンドGND2は、半導体デバイス106のエミッタと、寄生インダクタンス107の一方の端部と、の間のノードによって確立されている。電流検知信号ISは、寄生インダクタンス107の他方の端部においてピックアップされる。インダクタンス107は、di/dtを獲得するために負荷経路を通る電流を微分し、電流を、測定対象である対応する電圧に変換するために使用される。半導体デバイス106のゲートは、抵抗522を介して出力段518に接続されている。供給電圧VEE2およびVCC2は、バイポーラ電圧源523によって提供することができ、このバイポーラ電圧源523のグラウンドは、第2のグラウンドGND2に接続されている。任意選択的に、出力段518と抵抗522との間に電力増幅器524が接続されており、この電力増幅器524にも、供給電圧VEE2およびVCC2を供給することができる。図5に示された例示的なドライバ回路では、ブロック501~509,513が前処理段を形成し、ブロック510~512,519がフィードバック処理兼重畳段を形成し、ブロック515~518が信号後処理段を形成することができる。
【0026】
外部のフィードバック容量(例えばコンデンサ520および521)を追加し、電流源ドライバ(例えばドライバブロック514)をバッファする電力段(例えば出力段518)を設けることによって、dv/dtフィードバックおよび/またはdi/dtフィードバックが電流源ドライバにおいて必要とするピーク電流が格段に小さくなる。このようにして電流源ドライバを、より低電力の要素を使用して設計することが可能となり、電流源の電流値を変化させる際に、電流源をより正確かつ高速にすることが可能となる。電流源ドライバをさらに、dv/dtおよび/またはdi/dtを変化させるためにデジタルにプログラミングすることができる電流出力デジタル-アナログ変換器として構築することができる。図5に示されるように、dv/dtおよび/またはdi/dtをさらに制御するために、追加的な外部のデジタルサイクル調整ループを追加することができる。dv/dtまたはdi/dtアナログフィードバックネットワークを変化させることなく、dv/dtおよびdi/dtのプログラミングを独立して変化させることができる。デジタルループは、dv/dtとdi/dtとの間でハンドオーバが発生する正確な時間にデジタル-アナログ変換器の出力電流を変化させるために、負荷経路電圧および負荷経路電流の変化を追跡することができる。一般に、アナログフィードバック経路は、比較的高速である(信号処理による遅延時間が比較的短く、臨界周波数が比較的高い)が、比較的低い精度および柔軟性を提供する。これとは対照的に、デジタルフィードバック経路は、比較的低速である(信号処理による遅延時間が比較的長く、臨界周波数が比較的低い)が、比較的高い精度および柔軟性を提供する。
【0027】
図5に示されたドライバ回路は、高電圧レベルシフトと、アナログおよびデジタルのdv/dtおよびdi/dtフィードバック経路と、を有する集積ドライバを、どのようにして実装することができるかを示した一例である。(例えば信号ISに対応する)di/dtフィードバック経路は、エミッタインダクタンス(例えば寄生インダクタンス107)における電圧を検知し、電流源プリドライバ段(例えばトランスコンダクタンス増幅器ブロック519)およびdv/dtアナログフィードバックコンデンサ(例えばコンデンサ521)から生じる基準電流の加算ノード(例えばノード517)に対応する(例えば比例)電流を注入する/加算ノード(例えばノード517)から対応する(例えば比例)電流を吸入する。加算ノードは、ユニティゲイン増幅器(出力段518のような1つの内部段単独、または電流増幅器524のような外部のカスケード接続段と組み合わせて)の入力部を制御し、ユニティゲイン増幅器自体が、外部の半導体デバイス(例えば半導体デバイス106)のゲート電圧を駆動する。dv/dtデジタルフィードバック経路は、アナログ-デジタル変換器(例えばアナログ-デジタル変換器ブロック511)によって実装することができ、このアナログ-デジタル変換器は、dv/dtデジタルフィードバックコンデンサ(例えばコンデンサ520)を流れる電流をサンプリングする。di/dtデジタルフィードバック経路は、アナログ-デジタル変換器(例えばアナログ-デジタル変換器ブロック512)によって実装することができ、このアナログ-デジタル変換器は、エミッタインダクタンスによる電流変化を表している、エミッタインダクタンス(例えば寄生インダクタンス107)にわたる電圧変化をサンプリングする。
【0028】
図6は、図5に関連して上述したドライバ回路を、いくつかの修正および代替的な実装態様と共に示す。2つのデジタル制御可能な電流源515および516は、1つまたは複数のダイオード(例えば4つのダイオード)のダイオード直列接続600を介して互いに接続されており、それによって、電流源515とダイオード直列接続600の一方の端部との間にノード601を形成し、電流源516とダイオード直列接続600の他方の端部との間にノード602を形成している。それぞれのデジタル制御可能な電流源515,516は、それぞれ定電流源603および604と並列に接続されている。電圧検知信号VSAを搬送する線路は、ノード601に接続されており、電流検知信号ISを搬送する線路は、(トランスコンダクタンス増幅器ブロック519の代わりに)抵抗605およびダイオード606を介してノード602に接続されている。
【0029】
図5に示された出力段518の代わりに、A/B級の増幅段が使用されており、このA/B級の増幅段は、nチャネル型の金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)607と、pチャネル型の金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ608と、を含み、トランジスタ607のゲートは、ノード601に接続されており、トランジスタ607のドレインは、供給電圧VCC2に接続されており、トランジスタ608のゲートは、ノード602に接続されており、トランジスタ608のドレインは、供給電圧VEE2に接続されている。トランジスタ607および608のソースは、少なくとも1つのダイオード(例えば2つのダイオード)を有する別のダイオード直列接続609を介して互いに接続されている。さらに、nチャネル型の金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ610が、自身のゲートを介して第2のグラウンドGND2に接続されており、自身のドレインを介して電圧検知信号VSAを搬送する線路に接続されている。トランジスタ610のソースは、線形化抵抗611を介して電流検知信号ISを搬送する線路に接続されている。さらに、電圧検知信号VSDを搬送する線路と第2のグラウンドGND2との間に抵抗612を接続させることができ、また必要に応じて、それぞれのアナログ-デジタル変換器の入力部における電圧振幅を減少させるために、第2のグラウンドGND2と電流検知信号ISを搬送する線路との間に、直列接続された2つの抵抗613,614が含まれる分圧器が接続されている。
【0030】
ここでは、アナログ-デジタル変換器ブロック512の入力部は、(電流検知信号ISを搬送する線路に直接的に接続される代わりに)抵抗613と614の間のノードに接続されている。任意選択的に、抵抗612に並列に外部抵抗615を接続させることができる。電流増幅器524は、この例では、nチャネル型の金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)616と、pチャネル型の金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ617とによって実現することができ、トランジスタ616のゲートは、トランジスタ607のソースに接続されており、トランジスタ616のドレインは、供給電圧VCC2に接続されており、トランジスタ617のゲートは、トランジスタ608のソースに接続されており、トランジスタ617のドレインは、供給電圧VEE2に接続されている。トランジスタ607および608のソースは、互いに接続されていると共に、抵抗522に接続されている。
【0031】
図6のドライバ回路では、ユニティゲインバッファ段(図5の出力段518)の代わりに、2つのカスケード接続されたA/B級の増幅器段(図6のトランジスタ607,608,616,617およびダイオード直列接続609)と、2つのバイアス電流源(図6の定電流源603および604)とが使用されている。アナログdv/dtフィードバック経路は、同じままである。アナログdi/dtフィードバック経路の代わりに、ターンオンのため(トランジスタ610および抵抗611)およびターンオフのため(図6の抵抗605およびダイオード606)の2つの別々のフィードバック経路が使用されている。
【0032】
図6に関連して上述したドライバ回路では、抵抗605およびダイオード606の代わりに、nチャネル型の金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ700と、抵抗701と、pチャネル型の金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ702~704と、電流源705とを使用することができる。図7に示されるように、トランジスタ700を、自身のゲートを介して電流検知信号ISを搬送する線路に接続させることができ、自身のソースおよび線形化抵抗701を介して第2のグラウンドGND2に接続させることができ、これによって電圧-電流変換が提供される。トランジスタ702は、自身のドレインを介して供給電圧線路VEE2に接続されており、自身のゲートを介してトランジスタ700および704のドレインに接続されており、自身のソースを介してトランジスタ703および704のゲートに接続されている。電流源705は、供給電圧線路VCC2とトランジスタ703および704のゲートとの間に接続されている。トランジスタ703および704のソースも供給電圧線路VCC2に接続されている。トランジスタ703のドレインは、ノード602に接続されている。電流源705に関連しているトランジスタ702~704は、トランジスタ700からのターンオフdi/dtフィードバック電流を反転させるカレントミラー回路を形成する。トランジスタ703および704を有するカレントミラーの速度は、ソースフォロワとして作用するトランジスタ702を追加することによってブーストされる。カレントミラーを両方の方向にスピードアップさせるために、電流源705が追加されている。さらに、電圧検知信号VSAを搬送する線路とトランジスタ610のドレインとの間にダイオード706が挿入されている。
【0033】
図7に示されたドライバ回路は、グラウンドGND2と供給電圧VEE2とが同じではない場合における動作も可能にし、したがって、ゲートドライバに給電するためにバイポーラ電源を使用することも可能である。さらに、ターンオフdi/dtフィードバックは、抵抗を介して、電流を加算ノードに直接的に供給するわけではない。この抵抗によってフィードバック負荷は、例えば半導体デバイス106の負荷状態および/またはそのミラープラトーに依存することとなる。例えば、電圧変化dv/dtが半導体デバイス106のコレクタからコンデンサ(コンデンサ520)を介して加算ノードに直接的にフィードバックされる場合には、フィードバックコンデンサ(コンデンサ520)を通るフィードバック電流は、半導体デバイス106のゲート電圧がミラープラトーにある場合、半導体デバイス106のコレクタにおける電圧変化dv/dtに依存するであろう。しかしながら、電流変化di/dtが、抵抗(例えば図6の抵抗605)を介して直接的にフィードバックされる場合には、この電流変化di/dtは、インダクタンス(寄生インダクタンス107)のdi/dt誘導電圧と、半導体デバイス106のゲートの実際の電圧レベル(またはバッファ段の入力部)と間の電圧差に依存するであろう。
【0034】
図7に示されたドライバ回路では、半導体デバイス106は、バイポーラ電源と、負荷に依存しないdi/dtフィードバックとによって駆動される。ターンオンdi/dtの場合には、加算ノード(トランジスタ607のゲートを含む)が第2のグラウンドGND2より下に引き下げられると、単純なダイオード(ダイオード706)が逆バイアスに設定される。抵抗611を介してソースフォロワとして接続されたトランジスタ610は、正から負への電流調整のハンドオーバを自動的に生成する。コンデンサ521を介したdV/dtと、インダクタンス107にわたるdi/dtと、を有する(トランジスタ607のゲートを含む)電流加算ノードは、dV/dt調整からdi/dt調整へと自動的にハンドオーバする。ターンオフ時のフィードバックを負荷から独立させるために、トランスコンダクタンス増幅器を、寄生インダクタンス107にわたって微分的に電圧を測定し、次いで、加算ノード電圧から独立しているハイサイド電流を加算ノード602に注入するように構成することができる。半導体デバイス106がターンオフする際に、寄生インダクタンス107にわたる電圧に比例する電流を生成するために、ターンオン電圧変化di/dtフィードバックと同様の概念を実装することができる。しかしながら、この電流は、極性が間違っている。正しい極性の電流を獲得するために、ハイサイドカレントミラーが使用される(トランジスタ703および704)。トランジスタ702および電流源705は、カレントミラーにおいて必要とされる帯域幅を達成するために使用される。上で概説したアプローチを、ディスクリートデバイスを使用して実装することもできるが、速度の制御と、寄生素子の制御とを、1つの集積回路において実現するとより好適であろう。
【0035】
図1図7に関連して上述した例では、アナログフィードバック段およびデジタルフィードバック段は、各自の信号処理に起因した信号遅延時間を含む。デジタルフィードバック段の信号遅延時間は、対応するアナログフィードバック段の遅延時間よりも長くなり得る。しかしながら、デジタルフィードバック段の精度は、対応するアナログフィードバック段の精度よりも高くなり得る。さらに、デジタルフィードバック段または経路は、デジタル回路だけでなく、アナログおよびデジタル(混合)回路を含み得る。
【0036】
場合によっては、実施形態のドライバ回路は、図8Aの波形図に示されるようにゲートドライバがターンオンまたはターンオフされる際に、電圧オーバーシュートをもたらす傾向があることがある。図8Aの波形図に示されたトレース801は、ドライバ電圧を供給するために使用される実施形態のゲートドライブ回路、例えば半導体デバイス106のゲートの出力電圧Vout,driverを表している。図示のようにドライバがアクティブにされると、出力電圧Vout,driverは、期間tdelay,onの最初の部分の間に最小電圧Vssから最大電圧Vccまで上昇する。最終的に、ドライバ出力電圧Vout,driverは、実施形態のドライバ回路の制御ループが応答する機会を得た後、ミラープラトー電圧VMillerまで減少する。出力電圧Vout,driverが初期段階でオーバーシュートする理由は、期間tdelay,onの初期の部分の間には半導体デバイス106がオフであるからである。半導体デバイス106がオフであるので、この時間の間にはdVCE/dtおよびdI/dtフィードバックが提供されず、半導体デバイス106がターンオンされてdVCE/dtおよびI/dtフィードバックループが閉成されるまで、ドライバ出力電圧Vout,driverは、実質的に調整されずに増加することとなる。初期の遅延フェーズの間、dVCE/dtおよびdI/dtの両方のフィードバック信号はゼロであるが、その一方で、非ゼロの基準信号は、既に印加されている。コントローラは、非ゼロの基準に従って、非ゼロのdI/dtを達成するために懸命にワインドアップする。ワインドアップに起因してゲートドライバの出力は、ドライバ供給電圧(ここではVccと表記)まで制限され得る。ゲート電圧が自身の閾値に到達し、スイッチを流れる電流が上昇し始めると(正のdI/dtフィードバック信号に影響を与える)、ドライバの出力は、ドライバ電源からdI/dtの定常値へと整定する必要があり、これによって遅延時間が長くなる。この時間の間、dI/dtは、調整されていない。この電圧オーバーシュート現象は、本明細書では「ワインドアップ」または「ワインドアップ作用」とも呼ばれる。
【0037】
状況によっては、コントローラがドライバ出力電圧Vout,driverを整定させること、および/またはコントローラが所要のdVCE/dtおよびdI/dtを提供することを困難または不可能にするような方法で、コントローラがワインドアップまたはオーバーシュートするおそれがある。極端な状況では、ドライバ出力電圧Vout,driverが、スイッチングサイクルの全体にわたって整定しないままとなることがある。
【0038】
いくつかの従来のシステムでは、スイッチング装置のゲートに供給されるゲート電流を監視および制御することによってワインドアップ作用が軽減される。そのようなシステムでは、スイッチング装置のゲートに直列に結合された電流検知抵抗にわたる電圧を測定することによって、ゲート電流が監視される。このようなシステムでは、電流検知抵抗にわたる電圧の監視を支援するために追加的なピンが必要になることがある。さらに、そのようなシステムのためのゲート駆動電流を、種々のサイズを有する複数のスイッチング装置に対して再較正する必要があることがある。
【0039】
本発明の実施形態では、ターンオンおよび/またはターンオフのスイッチング遅延フェーズ中に、ドライバ出力電圧のスルーレート(dVout,Driver/dt)を制御することによって、ワインドアップ作用が軽減および/または除去される。この制御されたスルーレート制御の効果は、図8Aの波形図のトレース803によって表されており、このトレース803は、出力ドライバのスルーレートがフィードバック制御下にある場合のドライバ出力電圧Vout,Driverを表している。図8Aに見て取れるように、ドライバ出力電圧のスルーレートdVout,Driver/dtを、ドライバ出力電圧Vout,driverがオーバーシュートなしに滑らかにミラープラトーVMillerに近づくように制御することができる。しかしながら、図8Aの波形図は、ただ1つのシナリオを簡単に説明したものであることを理解すべきである。本発明のいくつかの実施形態では、特定のシステムの環境および構成に応じて、わずかなオーバーシュートが存在する可能性がある。本提案によるdVout,Driver/dt制御を使用することによって、ゲート電圧およびゲート電流における差を小さく抑えることができ、これによってゲート電圧の整定時間が短縮される。その結果、ターンオン時のdI/dtまたはターンオフ時のdVCE/dtは、より早期に自身の定常状態値に到達することが可能となる。
【0040】
実施形態のゲートドライバシステムおよび方法の利点は、電力的にも空間的にも効率的な方法で「ワインドアップ」作用を軽減することが可能となることを含む。いくつかの実施形態では、電流検知抵抗の監視を支援するための追加的な外部のピンを必要とすることなく、かつ/または種々のサイズを有する複数のスイッチング装置に対するシステムの再較正を必要とすることなく、ワインドアップ作用を軽減することが可能となる。
【0041】
動作中に、実施形態のスルーレート制御方法を使用することによってゲート電圧がミラープラトー電圧VMillerに整定すると、dI/dtおよびdVCE/dt制御ループがアクティブになる。この時点には、増幅器出力のスルーレート(dVout,driver/dt)がもはや制限されずに迅速に整定され得ることを保証するために、実施形態のdVout,Driver/dtフィードバック経路をディアクティブにすることができる。このディアクティブ化は、例えばフィードバック経路をコントローラから電気的に切断することによって達成することができる。代替的に、例えばdI/dtおよびdVCE/dtフィードバック経路の出力の大きさが、dVout,Driver/dtフィードバック経路の出力を超過している状況では、dVout,Driver/dtフィードバック経路をアクティブのままにすることができる。いくつかの実施形態では、dVout,Driver/dtフィードバック経路を、単一方向にのみフィードバックを提供するように構成することができる。例えば、Vout,Driverの正の勾配に対してはフィードバックを提供するようにして、Vout,Driverの負の勾配に対しては提供しないようにすることができ、逆もまた同様である。
【0042】
図8Bは、実施形態のdVout,Driver/dtスルーレート制御方法を使用したターンオン挙動と、実施形態のスルーレート制御方法を利用しない例示的な例との比較を示す波形図を含む。例えば、トレース801は、例示的な例に関するゲートドライバ出力電圧を表しており、その一方で、トレース803は、実施形態のdVout,Driver/dtスルーレート制御方法を利用した実施形態に関するゲートドライバ出力電圧を表している。見て取れるように、実施形態のdVout,Driver/dtスルーレート制御方法を利用したゲートドライバに関するオーバーシュート量ΔVは、例示的な実施形態よりも格段に少ない。
【0043】
トレース805は、実施形態のdVout,Driver/dtスルーレート制御方法を利用しない例示的な例に関する半導体デバイス106のコレクタ電流Iを表しており、トレース807は、実施形態のスルーレート制御方法を利用した実施形態に関するコレクタ電流Iを表している。見て取れるように、トレース807は、トレース805よりも少ないワインドアップを示しており、したがって、実施形態のスルーレート制御方法を利用したシステムは、より簡単に制御され得る。トレース809は、実施形態のスルーレート制御方法を利用しない例示的な例に関する半導体デバイス106のコレクタ-エミッタ電圧VCEを表しており、トレース811は、実施形態のスルーレート制御方法を利用した実施形態に関するコレクタ電流Iを表している。
【0044】
図8Cは、実施形態のdVout,Driver/dtスルーレート制御方法を使用したターンオン挙動と、実施形態のスルーレート制御方法を利用しない例示的な例との比較を示す波形図を含む。実施形態のスルーレート制御方法を利用しない例示的な例に関して、トレース821は、ゲートドライバ出力電圧Vout,Driverを表しており、トレース831は、コレクタ電流Iを表しており、トレース841は、半導体デバイス106のコレクタ-エミッタ電圧VCEを表している。dVout,driver/dtの制御が恒久的にイネーブルにされている実施形態に関して、トレース823は、ゲートドライバ出力電圧Vout,Driverを表しており、トレース833は、コレクタ電流Iを表しており、トレース843は、半導体デバイス106のコレクタ-エミッタ電圧VCEを表している。遅延フェーズ後にdVout,driver/dtの制御が必要でない場合にはディアクティブにされる実施形態に関して、トレース825は、ゲートドライバ出力電圧Vout,Driverを表しており、トレース835は、コレクタ電流Iを表しており、トレース845は、半導体デバイス106のコレクタ-エミッタ電圧VCEを表している。図8Cに見て取れるように、dVout,driver/dtの制御が必要でない場合にディアクティブにされる場合を表しているトレース825は、dVout,driver/dtが恒久的にイネーブルされている場合を表しているトレース823よりも、時間tDelay,offの後により迅速な整定時間を有する。したがって、いくつかの実施形態では、dVout,driver/dt制御は、dVout,driver/dtが正である場合にはディアクティブにされ、dVout,driver/dtが負である場合にはアクティブにされる。しかしながら、他の実施形態において、dVout,driver/dtが正である場合にも負である場合にもdVout,driver/dt制御がアクティブにされる場合には、許容可能な性能を達成することができる。なぜなら、波形823および825のdv/dtが、ミラープラトーの後に同じ値を有しているからである。
【0045】
種々の実施形態において、ターンオン中に半導体デバイス106の閾値に到達するまでの時間である遅延時間tDelay,onを、ドライバのスルーレートdVout,driver/dtを制御することによって直接的に制御することができる:
Delay,on=(Vth-Voff+ΔV)/(dVout,driver/dt)
(1)
ここで、Vthは、半導体デバイス106のゲート閾値電圧であり、Voffは、オフ状態のゲート電圧(例えば頻繁に使用される値は、0V,-8V,または-15Vなど)であり、ΔVは、以下により詳細に説明される誤差電圧である。
【0046】
ターンオフ時、遅延時間tDelay,offは、ゲートがオン状態電圧Vonからミラープラトー電圧VMillerまで放電される時間である。このゲートターンオフ時間を、以下のように適切なスルーレートを選択することによって制御することが可能である:
Delay,off=(Von-VMiller-ΔV)/(dVout,driver/dt)
(2)
【0047】
方程式(1)および(2)における項ΔVは、遅延中に累積される電圧差に合わせてdVout,driver/dtを適切に調節しないことに起因して生じる誤差電圧を表している。遅延中のゲート電流が、後続の制御のために後々必要とされるゲート電流のレベル(ターンオン時のdI/dtおよびターンオフ時のdVCE/dt)になるように、制御下のdVout,driver/dtが適合されている場合には、このdVout,driver/dtは、後続してアクティブになる調整への滑らかな移行をもたらす値にある(ターンオン時のdI/dtおよびターンオフ時のdVCE/dt)。dVout,driver/dtがミラープラトー電圧VMillerとは異なるゲート電圧の最終値をもたらす場合には、非ゼロの誤差電圧ΔVが生じることとなり、これによって遅延後の整定時間tsettleがもたらされる。したがって、dI/dt調整またはdVCE/dt調整のループ追従は、制御を確立するために増加された時間(例えばtsettle)を必要とする。誤差電圧ΔVは、以下のように表現することができる:
ΔV=R(IG,Delay-IG,dI/dt)(ターンオン時) (3)
ΔV=R(IG,Delay-IG,dV/dt)(ターンオフ時) (4)
ここで、Rは、半導体デバイス106のゲートに直列に結合された抵抗であり、IG,Delayは、dVout,driver/dtの制御ループがアクティブである間のスイッチング遅延中に半導体デバイス106のゲートに流入する電流の値であり、IG,dV/dtは、dVCE/dtの制御ループがアクティブである間のVCE過渡期中に半導体デバイス106のゲートに流入する電流の値である。図8Dおよび8Eは、制御されたdVout,driver/dtの絶対値が高すぎるドライバ出力電圧Vout,driver(トレース851)と、ゼロ誤差電圧ΔVを生成するdVout,driver/dtを有するドライバ出力電圧Vout,driver(トレース853)との間の比較を提供する波形図を示す。図8Dは、ターンオン時のドライバ出力電圧Vout,driverを示し、図8Eは、ターンオフ時のドライバ出力電圧Vout,driverを示す。いくつかの実施形態では、dVout,driver/dtは、誤差電圧ΔVがゼロに近くなるように調節される。しかしながら、いくつかの実施形態では、小さな残留誤差が、いくつかの実用的な用途をもたらす場合がある。
【0048】
いくつかの実施形態では、ドライバ出力電圧のスルーレートdVout,Driver/dtの調整は、半導体デバイスのdI/dtおよびdVCE/dtの調整に加えて、dVout,Driver/dtの調整のための専用の追加的なフィードバック分岐を既存の実施形態のドライバ回路に追加することによって達成され、これにより、単一のPIコントローラを使用してdI/dt、dVCE/dt、およびdVout,Driver/dtを調整することが可能になる。この追加的なスルーレート制御の基本的な着想は、ターンオンおよびターンオフのスイッチング遅延フェーズ中に増幅器出力のスルーレート(dVout,Driver/dt)を制御することによって、ドライバが飽和すること(電圧飽和または電流飽和)を防止することである。そのような実施形態の回路の1つの一例が図9Aに示されており、この図9Aは、スイッチングシステム900の概略図を示している。
【0049】
図示のように、スイッチングシステム900は、抵抗918に直列に結合された出力部を有する出力増幅器914によって駆動されるゲートノードGを有する半導体デバイス106を含む。増幅器914を、バッファ回路と呼ぶこともできる。コンポーネントフィードバック回路は、半導体デバイス106の負荷経路電圧および負荷経路電流の時間微分を提供する。いくつかの実施形態では、このコンポーネントフィードバック回路は、半導体デバイス106の負荷経路電圧の時間微分のための専用の第1のフィードバック経路と、半導体デバイス106の負荷経路電流の時間微分のための専用の第2のフィードバック経路とを含む。dVCE/dtフィードバックをシステムに提供するように構成された第1のフィードバック経路は、半導体デバイス106のコレクタノードCと加算回路910との間に結合された微分器902および利得ブロック904を含む。dI/dtフィードバックをシステムに提供するように構成された第2のフィードバック経路は、半導体デバイス106のエミッタノードEと加算回路910との間に結合された微分器920および利得ブロック922を含む。いくつかの実施形態では、利得ブロック922と加算回路910との間にクリッピング回路924が結合されており、その一方で、他の実施形態では、クリッピング回路924が省略されており、利得ブロック922の出力部が加算回路910に結合されている。
【0050】
本回路は、dVout,Driver/dtフィードバックをシステムに提供するように構成された第3のフィードバック経路として実装することができるゲート駆動フィードバック回路も含み、このゲート駆動フィードバック回路は、増幅器914の出力部と加算回路910との間に結合された微分器916および利得ブロック906を含む。このゲート駆動フィードバック回路を、アンチワインドアップ回路と呼ぶこともできる。加算ブロック910の出力部と出力増幅器914の入力部との間に、単一のPIコントローラ912が結合されている。加算ブロックの出力を、エラー信号と呼ぶことができる。代替的な実施形態では、PIコントローラ912を、当技術分野において公知の他の動的コントローラ構造、例えばPまたはPIDコントローラを使用して実装することができる。種々の実施形態において、種々のフィードバックループおよび加算回路910によって提供されるフィードバック信号の極性は、それぞれのループが負のフィードバックを提供するように構成されている。
【0051】
種々の実施形態において、制御ループのための入力された基準信号を供給するために、加算回路910の入力部において基準信号Vref,d/dtおよび/またはIref,d/dtが導入される。いくつかの実施形態では、信号Vref,d/dtが、ドライバ出力電圧の目標スルーレートdVout,Driver/dtに比例する値に設定される。いくつかの実施形態では、基準信号Vref,d/dtおよび/またはIref,d/dtが、パルス幅変調(PWM)信号のようなスイッチ制御信号に応答してアサートされる。
【0052】
それぞれのフィードバック経路の全体的な極性の決定を、それぞれのループの信号経路内の任意の場所で設定および規定することができる。例えば、dVCE/dtにおける負のフィードバックは、微分器902の極性、利得ブロック904、および/または加算回路910の極性を構成することによって設定することができる。代替的な実施形態では、加算回路910へのフィードバック入力が、それぞれの負符号「-」によって示唆される反転入力によって示されるが、負のフィードバックおよび/または安定した動作を保証するために、フィードバック加算ブロックのそれぞれの入力を、必要とされる極性(正または負)を有するように構成することができることを理解すべきである。
【0053】
いくつかの実施形態では、利得ブロック906と加算回路910との間にスイッチ908が結合されている。1つの実施形態では、スイッチ908は、信号ENSR-Ctrlがアサートされた場合には、利得ブロック906の出力部を加算回路910に結合し、信号ENSR-Ctrlがアサートされない場合には、加算回路910にゼロ出力(またはグラウンド)を供給する。そのような実施形態では、信号ENSR-Ctrlは、初期の期間tdelay,onの間に、ゲートノードの電圧がミラープラトーVMillerに近づくとアサートされ、その後、ディセーブルされる。他の実施形態では、スイッチ908を省略してもよい。
【0054】
加算回路910は、演算増幅器または電流加算ノードに基づいて、加算器回路のような当技術分野において公知のアナログ加算回路を使用して実装することができる。いくつかの実施形態では、加算回路910を、図11Aおよび図11Bに関して以下で説明されるように電流が加算されるノードとして実装することができる。
【0055】
種々の実施形態において、微分器902,916,および920は、当技術分野において公知の微分器構造を使用して実装されており、利得ブロック904,906,および922は、上記の実施形態で説明したように利得または減衰を提供するための当技術分野において公知の種々の回路を使用して実装されている。例えば、微分器902,916,および920は、コンデンサまたはインダクタンスを使用して実装することができ、利得ブロック904,906,および922は、増幅器またはカレントミラーを使用して実装することができる。いくつかの実施形態では、それぞれの微分器902,916,または920の利得がそれぞれのフィードバック経路に対して適切な利得を提供する場合には、利得ブロック904,906,および922のうちの1つまたは複数を省略してもよい。以下に説明する1つの実施形態では、微分器916がコンデンサを使用して実装されており、利得ブロック906がカレントミラーを使用して実装されている。
【0056】
図9Bは、本発明の代替的な実施形態によるスイッチングシステム930を示す。スイッチングシステム930は、スイッチ908の代わりにダイオード952および954を含むスイッチ932が使用されていることを除いて、図9Aに示されたスイッチングシステム900と同様である。1つの実施形態では、それぞれのダイオード952および954は、dVout,Driver/dtからのフィードバックが単一方向(例えば単一極性)で加算回路910に提供されることを保証する半波整流動作を表している。例えば、半導体スイッチ106がターンオンされている場合には、ダイオード954を選択するために制御信号ENSR-CTRLを第1の状態に設定することができる。したがって、ダイオード954は、正方向のdVout,Driver/dtフィードバックが加算回路910に到達することを可能にするが、負方向のdVout,Driver/dtフィードバックをブロックする。他方で、半導体スイッチ106がターンオフされている場合には、ダイオード952を選択するために制御信号ENSR-CTRLを第2の状態に設定することができる。したがって、ダイオード952は、負方向のdVout,Driver/dtフィードバックが加算回路910に到達することを可能にするが、正方向のdVout,Driver/dtフィードバックをブロックする。
【0057】
種々の実施形態において、ダイオード952および954を、ソリッドステートダイオード装置を使用して実装することができる。代替的に、信号を整流する、かつ/または単一極性で信号を供給する、他の公知の回路およびシステムを使用してもよい。例えば、以下でさらに説明するように、ダイオード952および954を実装するために単一極性で動作する電流源のような回路を使用することができる。
【0058】
図10Aは、半導体デバイス106がターンオンされる際の、スイッチングシステム930内の種々の信号を示す波形図を示す。図示のように、トレース1002は、半導体デバイス106のコレクタ-エミッタ電圧VCEを表しており、トレース1004は、半導体デバイス106の負荷電流を表しており、トレース1006は、増幅器914によって半導体デバイス106のゲートに供給されるゲート駆動電圧Vout,drvを表しており、トレース1008は、増幅器914によって半導体デバイス106のゲートに供給されるゲート電流Iを表しており、トレース1010は、スイッチ932内のダイオード952または954を選択するスイッチ制御信号ENSR-Ctrlを表しており、トレース1012は、基準信号として加算回路910に導入される基準電流Irefを表している。
【0059】
時間tにおいて、基準電流Iref(1012)がゼロから電流Iref,onに遷移し、スイッチ制御信号ENSR-Ctrl(1010)がローに遷移すると、半導体デバイス106をターンオンするプロセスが開始し、これによって、正方向のdVout,Driver/dtフィードバックが加算回路910に到達することを可能にするが、負方向のdVout,Driver/dtフィードバックをブロックするような、ダイオード952または954のうちの一方が選択される。時間tとtとの間であるフェーズIの間、ゲート駆動電圧Vout,drv(1006)が、一定のスルーレート(例えば一定のdVout,Driver/dt)によって制御された状態で増加し、その一方で、ゲート電流I(1008)が、半導体デバイス106のゲートを充電する。フェーズIの間、半導体デバイス106のコレクタ-エミッタ電圧VCE(1002)は、ハイのままであり、半導体デバイス106の負荷電流は、ゼロのままである。なぜなら、ゲート駆動電圧Vout,Driver(1006)がまだ半導体デバイス106の閾値電圧に到達していないからである。
【0060】
フェーズIIaの開始時点tにおいて、ゲート駆動電圧Vout,Driver(1006)が半導体デバイスの閾値に到達し、半導体デバイスは、ターンオンし始める。時間t1Aとt1Bとの間のフェーズIIの間、半導体デバイス106の負荷電流I(1004)は、コントローラによって設定された制御されたレートdI/dtで増加し、この増加は、殆どの場合において、ゲート駆動電圧Vout,drv(1006)のスルーレートdVout,Driver/dtを減少させる効果を有する。
【0061】
時間t1Bとtとの間であるフェーズIIIの第1の部分の間、ゲート駆動電圧Vout,Driver(1006)は、ミラープラトー電圧VMillerをわずかにオーバーシュートし、これによって、半導体デバイス106の負荷電流I(1004)にわずかなオーバーシュート
【数1】
を引き起こす。時間tとt2Aとの間であるフェーズIIIの第2の部分の間、ゲート駆動電圧Vout,Driver(1006)は、ミラープラトー電圧VMillerに戻り、半導体デバイス106のコレクタ-エミッタ電圧VCEは、コントローラによって設定された制御されたレートdVCE/dtで減少する。時間t2Aとtとの間のフェーズIVの間、半導体デバイス106のコレクタ-エミッタ電圧VCE(1002)は、コレクタ-エミッタ電圧VCE(1002)がゼロに到達するまで、制御されたレートdVCE/dtで継続する。時間t3の後、基準電流Iref(1012)はゼロに戻り、これによってゲート電流I(1008)を有効にターンオフする。
【0062】
図10Bは、半導体デバイス106がターンオフされる際の、スイッチングシステム930内の種々の信号を示す波形図を示す。時間tにおいて、基準電流Iref(1012)がゼロから電流Iref,offに遷移し、スイッチ制御信号ENSR-Ctrl(1010)がハイに遷移すると、半導体デバイス106をターンオフするプロセスが開始し、これによって、負方向のdVout,Driver/dtフィードバックが加算回路910に到達することを可能にするが、正方向のdVout,Driver/dtフィードバックをブロックするような、ダイオード952または954のうちの一方が選択される。時間tとtとの間であるフェーズVIの間、ゲート駆動電圧Vout,drv(1006)が、一定のスルーレート(例えば一定のdVout,Driver/dt)によって制御された状態で減少し、その一方で、ゲート電流I(1008)が、半導体デバイス106のゲートを放電する。フェーズVIの間、半導体デバイス106のコレクタ-エミッタ電圧VCE(1002)は、ローのままであり、半導体デバイス106の負荷電流は、ILoadのままである。なぜなら、ゲート駆動電圧Vout,Driver(1006)がまだミラープラトー電圧VMillerに到達していないからである。
【0063】
フェーズVIIaの開始時点tにおいて、ゲート駆動電圧Vout,Driver(1006)がミラープラトー電圧VMillerに到達し、半導体デバイスは、ターンオフし始める。時間t6Aとtとの間のフェーズVIIの間、半導体デバイス106のコレクタ-エミッタ電圧VCE(1002)は、コントローラによって設定された制御されたレートdVCE/dtで増加し、その一方で、ゲート駆動電圧Vout,Driver(1006)は、ミラープラトー電圧VMillerのままである。時間tとt7Aとの間のフェーズVIIIの間、ゲート駆動電圧Vout,Driver(1006)は、半導体デバイス106の閾値電圧Vthに近づき、その一方で、半導体デバイス106の負荷電流I(1004)は、コントローラによって設定された制御されたレートdI/dtで減少する。
【0064】
時間t7Aとtとの間のフェーズIXの間、ゲート駆動電圧Vout,Driver(1006)は、時間tにおいてゲート駆動電圧Vout,Driver(1006)が最小値に到達するまで減少し続ける。時間tにおいて、フェーズXが開始し、基準電流Iref(1012)がゼロに戻るように遷移し、これによってゲート電流I(1008)を有効にターンオフする。
【0065】
図10Cは、半導体デバイス106がターンオンされているか、またはターンオフされているかに基づいてスイッチ932内のダイオード952および954を選択することの効果をさらに説明する概略的な波形図である。図示のように、スイッチ制御信号ENSR-Ctrl(1010)がローであり、正方向のdVout,Driver/dtフィードバックは可能であるが、負方向ではブロックされるターンオンフェーズの間、ゲート駆動電圧Vout,drv(1006)は、固定のスルーレートによって制御された状態で正方向に増加する。しかしながら、ゲート駆動電圧Vout,drv(1006)がミラープラトー電圧VMillerをオーバーシュートすると、ゲート駆動電圧Vout,drv(1006)は、ミラープラトー電圧VMillerに負方向に近づく際に、ミラープラトー電圧VMillerに向かってより迅速に(例えばより大きい勾配で)減少する。このより迅速な整定は、負方向のdVout,Driver/dtが存在しないことに起因する。
【0066】
同様にして、スイッチ制御信号ENSR-Ctrl(1010)がハイであり、負方向のdVout,Driver/dtフィードバックは可能であるが、正方向ではブロックされるターンオフフェーズの間、ゲート駆動電圧Vout,drv(1006)は、固定のスルーレートによって制御された状態で負方向に減少する。しかしながら、ゲート駆動電圧Vout,drv(1006)がミラープラトー電圧VMillerをアンダーシュートすると、ゲート駆動電圧Vout,drv(1006)は、ミラープラトー電圧VMillerに正方向に近づく際に、ミラープラトー電圧VMillerに向かってより迅速に(例えばより大きい勾配で)増加する。
【0067】
図11Aは、実施形態dVout,Driver/dtフィードバックループの回路実装を示す。図示のように、増幅器914の出力部は、カレントミラー1104が後続するコンデンサ1102を含むフィードバック回路によって監視されており、このフィードバック回路の出力部は、電流加算ノード1106において増幅器914の入力部に結合されている。いくつかの実施形態では、図9Aおよび9Bに示されるように、コンデンサ1102が微分器916の機能を実施し、カレントミラー1104が利得ブロック906の機能を実施し、電流加算ノード1106が加算回路910の機能を実施する。カレントミラー1104は、例えば当技術分野において公知のカレントミラーおよび/または電流増幅回路を使用して実装することができる。
【0068】
基準電流Iref,onは、任意の定電流源によって調整ループに注入され、ターンオン/ターンオフ信号によって制御される。電流は、次に、バッファの入力部における加算ノードにおいて電圧に変換される。正の基準電流は、正のdVout,driver/dtをもたらし、負の基準電流は、負のdVout,driver/dtをもたらす。
【0069】
図11Aに示されるように、増幅器914の出力電圧Voutが変化するとすぐに、容量Cfb,SRを有するコンデンサ1102を介して変位電流Ifb,SRが生成される。この電流は、
fb,SR=Cfb,SR・{(dVout,drv)/dt} (5)
によって定義される。したがって、変位電流Ifb,SRは、ドライバ出力のスルーレートdVout,driver/dtに対して比例しており、ドライバ出力のスルーレートdVout,driver/dtに関する情報を含んでいる。この電流は、N倍にミラーリングされ、負のフィードバックを有する閉ループにおいてスルーレートを制御するために増幅器914の入力部にフィードバックされる。したがって、この追加的な制御ループのフィードバック利得は、コンデンサ1102の容量Cfb,SRと、カレントミラー1104の比N:1と、によって決定される。出力電圧Vout,driverが下降しており、したがってdVout,driver/dtが負である場合には、フィードバック電流Ifb,SRおよびIfb,SRNが自身の方向を変化させ、下降するスルーレートが制御される。したがって、値dVout,driver/dtは、上述したこれらのループ利得パラメータ(コンデンサ、カレントミラー比)と、基準電流Iref,onとに依存している。
【0070】
代替的な実施形態では、増幅器914の出力電圧のスルーレートを、半導体デバイス106のゲート(ゲート抵抗918とパワースイッチとの間のノード)において直接的に制御することもできる。さらなる実施形態では、ゲート抵抗918を除去する(ゼロに設定する)こともでき、したがって、増幅器914の出力部とIGBTのゲートとが同一のノードであり、そのスルーレートが制御される。
【0071】
図11Bは、本発明のさらなる実施形態によるdVout,Driver/dtフィードバックループの回路実装を示す。図示のように、図9Bに示された利得ブロック906およびスイッチ932の機能(ダイオード952および954の機能を含む)は、NMOSトランジスタMN1,MN2,およびMN3と、PMOSトランジスタMP1,MP2,およびMP3とを含む選択可能な電流源を使用して実装されている。図9Bに示された微分器916の機能は、コンデンサ1112および1114を使用して実装されている。
【0072】
制御信号ENSR-CTRLがローである場合には、NMOSトランジスタMN1およびMN2によって実装されたローサイドカレントミラーが、NMOSトランジスタMN3をターンオフすることによってイネーブルされ、PMOSトランジスタMP1およびMP2によって実装されたハイサイドカレントミラーが、PMOSトランジスタMP3をターンオンすることにより、PMOSトランジスタMP1およびMP2のゲートをVcc2に結合させることによってディセーブルされる。動作中、増幅器914の出力部は、コンデンサ1114を介してNMOSトランジスタMN1に接続されたダイオードに結合される。NMOSトランジスタMN1のゲートに結合されたゲートを有するNMOSトランジスタMN2は、正のスルーレート制御を提供するために、トランジスタMN1を流れる電流を増幅器914の入力部にミラーリングする。いくつかの実施形態では、NMOSトランジスタMN2の幅は、Nの電流利得を達成するために、NMOSトランジスタMN1の幅よりもN倍大きくなっている。
【0073】
制御信号ENSR-CTRLがハイである場合には、NMOSトランジスタMN1およびMN2によって実装されたローサイドカレントミラーが、NMOSトランジスタMN3をターンオンすることによってディセーブルされ、それによってNMOSトランジスタMN1およびMN2をシャットオフする。PMOSトランジスタMP1およびMP2によって実装されたハイサイドカレントミラーが、PMOSトランジスタMP3をターンオフすることによってイネーブルされる。動作中、増幅器914の出力部は、コンデンサ1112を介してPMOSトランジスタMP1に接続されたダイオードに結合される。PMOSトランジスタMP1のゲートに結合されたゲートを有するPMOSトランジスタMP2は、負のスルーレート制御を提供するために、トランジスタMP1を流れる電流を増幅器914の入力部にミラーリングする。いくつかの実施形態では、PMOSトランジスタMP2の幅は、Nの電流利得を達成するために、PMOSトランジスタMP1の幅よりもN倍大きくなっている。
【0074】
種々の実施形態において、カレントミラー比Nは、所望のdVout,Driver/dtフィードバックレベルを提供するように選択される。いくつかの実施形態では、カレントミラー比Nを、プログラミング可能および/またはトリミング可能とすることができる。さらなる実施形態では、PMOSトランジスタMP1およびMP2の幅の比を、NMOSトランジスタMN1およびMN2の幅の比とは異ならせることができる。いくつかの実施形態では、dVout,Driver/dtフィードバックの量を、コンデンサ1112および1114のサイズを選択することによって設定することもできる。
【0075】
増幅器914の出力部と入力部との間に電流フィードバックを提供するためのカレントミラーを使用することにより、単一方向のフィードバックを提供する能力が提供されることを理解すべきである。例えば、NMOSカレントミラーが選択された場合には、増幅器914の出力電圧の正の偏位のみが増幅器914の入力部にミラーリングされ、その一方で、増幅器914の出力電圧の負の偏位は、NMOSカレントミラーを実質的にシャットオフする。同様にして、PMOSカレントミラーが選択された場合には、増幅器914の出力電圧の負の偏位のみが増幅器914の入力部にミラーリングされ、その一方で、増幅器914の出力電圧の正の偏位は、PMOSカレントミラーを実質的にシャットオフする。したがって、図11Bの実施形態の回路におけるカレントミラーを使用することにより、実質的に、図9Bの実施形態に示されたダイオード952および954の整流機能が実施され、図10Cに関して上述されたシステム性能に影響が及ぼされる。図11Aおよび図11Bに示された回路実装の例は、多数の可能な実装例のうちの2つの具体例に過ぎないことをさらに理解すべきである。本発明の代替的な実施形態では、実施形態のdVout,Driver/dtフィードバック回路を実装するために、当技術分野において公知の種々のタイプのトランジスタおよび種々のトポロジのカレントミラー/電流増幅器を使用することができる。
【0076】
図12Aは、実施形態のdVout,Driver/dt制御技術を実装した、半導体デバイス106に結合されたドライバ集積回路1200の実施形態を示す。図5,6,および7の実施形態と同様に、ドライバ集積回路1200は、低電圧回路部分1201と、低電圧回路部分からガルバニック絶縁された高電圧回路部分1203とを含む。低電圧回路部分1201は、不足電圧ロックアウト(UVLO)ブロック501を含み、この不足電圧ロックアウト(UVLO)ブロック501は、図5に関して上述したように、集積回路装置500の(正の)供給電圧VCC1と、第1のグラウンドGND1とを受信し、なお、集積回路装置500は、第1のグラウンドGND1を基準としている。低電圧回路部分1201は、図5図7に関して上述したように、論理ブロック502と、クロック信号発生器503と、ガルバニック絶縁された信号結合器505も含む。ドライバ集積回路1200の高電圧回路部分1203は、同様にして図5図7に関して上述したように、制御ブロック506と、クロック信号発生器507と、不足電圧ロックアウトブロック508とを含む。いくつかの実施形態では、集積回路1200は、単一の半導体基板上に実装されている。代替的に、低電圧回路部分1201は、第1の単一の半導体基板上に実装されており、高電圧回路部分1203は、第2の単一の半導体基板上に実装されている。さらなる代替的な実施形態では、集積回路1200を種々に区分化することができる。例えば、集積回路1200の全部または一部を、ディスクリート回路素子を使用して実装することができる。
【0077】
高電圧回路部分1203は、増幅器914も含み、この増幅器914は、抵抗918を介して半導体デバイス106のゲートに結合された出力部と、動的コントローラ1220に結合された入力部と、を有する。動的コントローラ1220は、PIコントローラとして記載されているが、当技術分野において公知の任意の適切な動的コントローラを使用することができることを理解すべきである。加算ノードは、動的コントローラ1220への入力部において電流加算ノードとして実装されている。3つのフィードバック経路は、増幅器914の出力部から、または半導体デバイス106から、増幅器914の入力部へと帰還するフィードバックを提供する。dVCE/dtフィードバック経路は、半導体デバイス106のコレクタと動的コントローラ1220の入力部との間に結合されたコンデンサ520を含み、dI/dtフィードバック経路は、半導体デバイス106のエミッタと動的コントローラの入力部との間に結合された、寄生インダクタンス107およびdI/dtフィードバックブロック1208を含み、実施形態のdVout,Driver/dtフィードバック経路は、増幅器914の出力部と動的コントローラ1220の入力部との間に結合されたdVout,Driver/dtフィードバックブロック1206を含む。基準電流が、デジタル制御される電流源1204を介して動的コントローラ1220の入力部に導入され、このデジタル制御される電流源1204は、制御ブロック506によって生成され、レベルシフタブロック1202を介してレベルシフトされたデジタルワードに基づいて、電流を生成するように構成されている。図12Aに示されるように、デジタル制御される電流源1204は、デジタル-アナログ変換器を含み、基準電流Irefを生成するための制御可能な電流源がこれに続いている。レベルシフタブロック1202は、制御ブロック506から獲得されたデジタル信号をレベルシフトし、デジタル制御される電流源1204と、実施形態のスイッチ/極性信号ENSR-Ctrlとへのデジタル入力を生成するように構成されている。
【0078】
種々の実施形態において、dI/dtフィードバックブロック1208は、寄生インダクタンス107にわたる電圧を監視し、半導体デバイス106のコレクタ電流の一次微分に比例する電流比例量を提供する。dI/dtフィードバックブロック1208の構造は、寄生インダクタンス107を介してdI/dtを監視するために、図1図7に開示されている種々の回路およびシステムを使用して実装することができる。
【0079】
dVout,Driver/dtフィードバックブロック1206は、図9A,9B,11A,および11Bに関して上述された、実施形態のdVout,Driver/dtフィードバック回路を含む。例えば、いくつかの実施形態では、dVout,Driver/dtフィードバックブロック1206は、図9Aに図示されたカレントミラーのような制御可能な電流源に直列に結合されたコンデンサを含む。半導体デバイス106がターンオンされているか、またはターンオフされているかに依存して単一方向のdVout,Driver/dtを提供する実施形態では、dVout,Driver/dtフィードバックブロック1206は、一対の選択可能なカレントミラーを含むことができ、この一対の選択可能なカレントミラーは、図11Bに関して上述したような、それぞれのカレントミラーの入力部に直列に結合されたそれぞれの入力コンデンサを有する。アクティブなカレントミラーを、制御信号ENSR-CTRLに従って選択することができる。いくつかの実施形態では、dVout,Driver/dtフィードバックブロック1206は、利得ブロックに直列に結合された微分器と、図9Aおよび9Bに関して上述したようなスイッチとを含む。このスイッチを、dVout,Driver/dtをイネーブルまたはディセーブルするように構成することができるか(図9A)、または制御信号ENSR-CTRLに基づいてダイオードおよび/または整流方向を選択するように構成することができる。
【0080】
図12Bは、本発明のさらなる実施形態による半導体デバイス106に結合された1つの実施形態のドライバ集積回路1200を示す。図12Bの実施形態は、増幅器914の出力部と半導体デバイス106のゲートとの間に結合された外部のブースタ段1222が追加されている点を除いて、図12Aの実施形態と同様である。半導体デバイス106が非常に大型であり、かつデバイスを動作させるために追加的な駆動が必要とされる実施形態において、外部のブースタ段1222を使用することができる。図12Bの実施形態の1つの利点は、外部ブースタ段1222の出力を監視するための追加的なピンを追加することなく、外部のブースタ段を支援して、ワインドアップ作用を防止(または軽減)することが可能となることである。
【0081】
図12Aおよび12Bに示された実装形態は、実施形態のゲート駆動システムを実装するために使用することができる多数の可能なシステム実装例のうちの2つに過ぎないことを理解すべきである。
【0082】
ここで、本発明の例示的な実施形態を要約する。他の実施形態も、本明細書全体および本明細書に添付された特許請求の範囲から理解することができる。
【0083】
例1. ゲート制御型コンポーネントを制御するためのゲートドライブ回路であって、前記ゲートドライブ回路は、動的コントローラと、前記動的コントローラのための少なくとも1つのコンポーネントフィードバック回路と、前記動的コントローラのためのゲート駆動フィードバック回路と、を含み、前記動的コントローラは、入力された基準信号を受信し、前記ゲートドライブ回路の出力端子を介して前記ゲート制御型コンポーネントのゲート電圧を制御するように構成されており、前記少なくとも1つのコンポーネントフィードバック回路は、前記ゲート制御型コンポーネントの負荷経路電圧の時間微分または負荷経路電流の時間微分のうちの少なくとも一方からのフィードバックを、前記動的コントローラに提供するように構成されており、前記ゲート駆動フィードバック回路は、前記ゲートドライブ回路の前記出力端子における電圧の時間微分からのフィードバックを提供するように構成されている、ゲートドライブ回路。
【0084】
例2. 前記ゲートドライブ回路は、バッファ回路をさらに含み、前記バッファ回路は、前記動的コントローラの出力部に結合された入力部と、前記ゲートドライブ回路の前記出力端子に結合された出力部と、を有する、例1記載のゲートドライブ回路。
【0085】
例3. 前記バッファ回路と前記動的コントローラとは、単一の半導体基板上に配置されている、例2記載のゲートドライブ回路。
【0086】
例4. 前記動的コントローラは、比例積分(PI)コントローラを含む、例1から3までのいずれか1つの例に記載のゲートドライブ回路。
【0087】
例5. 前記ゲート駆動フィードバック回路は、前記ゲートドライブ回路が前記ゲート制御型コンポーネントをターンオンする際には、第1の極性の第1の利得を有し、前記ゲート駆動フィードバック回路は、前記ゲートドライブ回路が前記ゲート制御型コンポーネントをターンオフする際には、第2の極性の第2の利得を有し、なお、前記第1の極性および前記第2の極性は、負のフィードバックを提供するように構成されている、例1から4までのいずれか1つの例に記載のゲートドライブ回路。
【0088】
例6. 前記ゲート駆動フィードバック回路はさらに、前記ゲートドライブ回路の前記出力端子における電圧の時間微分からの前記フィードバックを整流するように構成されている、例5記載のゲートドライブ回路。
【0089】
例7. 前記ゲート駆動フィードバック回路は、前記ゲートドライブ回路が前記ゲート制御型コンポーネントをターンオンする際には、前記ゲートドライブ回路の前記出力端子における電圧の正のスルーレートを制限するように構成されており、前記ゲート駆動フィードバック回路は、前記ゲートドライブ回路が前記ゲート制御型コンポーネントをターンオフする際には、前記ゲートドライブ回路の前記出力端子における電圧の負のスルーレートを制限するように構成されている、例5または6記載のゲートドライブ回路。
【0090】
例8. 回路であって、前記回路は、ゲートドライブ回路と、動的コントローラと、加算回路と、少なくとも1つのフィードバック回路と、アンチワインドアップ回路と、を含み、前記ゲートドライブ回路は、ゲート駆動端子に結合された出力部を有し、前記ゲート駆動端子は、スイッチングトランジスタのゲートに結合されるように構成されており、前記動的コントローラは、前記ゲートドライブ回路の入力部に結合された出力部を有し、前記加算回路は、前記動的コントローラの入力部に結合された出力部と、基準信号を受信するように構成された第1の入力部と、を有し、前記少なくとも1つのフィードバック回路は、電圧測定端子と前記加算回路の第2の入力部との間に結合されており、前記スイッチングトランジスタの負荷経路電圧の微分および前記スイッチングトランジスタの負荷経路電流の微分のうちの少なくとも一方に比例する信号を、前記加算回路の前記第2の入力部に供給するように構成されており、前記アンチワインドアップ回路は、前記ゲートドライブ回路の前記出力部と前記加算回路の第3の入力部との間に結合されており、前記ゲートドライブ回路の出力電圧の微分に比例する信号を、前記加算回路の前記第3の入力部に供給するように構成されている、回路。
【0091】
例9. 前記回路は、前記スイッチングトランジスタをさらに含む、例8記載の回路。
【0092】
例10. 前記少なくとも1つのフィードバック回路は、第1のフィードバック回路と、第2のフィードバック回路と、を含み、前記第1のフィードバック回路は、負荷経路電圧の微分に比例する第1の信号を、前記加算回路の前記第2の入力部に供給するように構成されており、前記第2のフィードバック回路は、前記スイッチングトランジスタの負荷経路電流の微分に比例する第2の信号を、前記加算回路の第4の入力部に供給するように構成されている、例8または9記載の回路。
【0093】
例11. 前記回路は、前記第2のフィードバック回路の出力部と、前記加算回路の前記第4の入力部との間に結合されたクリッピング回路をさらに含む、例10記載の回路。
【0094】
例12. 前記アンチワインドアップ回路は、前記ゲートドライブ回路が前記スイッチングトランジスタをターンオンする際には、前記ゲートドライブ回路の出力電圧の微分に比例する信号に第1の利得を適用し、前記ゲートドライブ回路が前記スイッチングトランジスタをターンオフする際には、前記ゲートドライブ回路の出力電圧の微分に比例する信号に第2の利得を適用するように構成されている、例8から11までのいずれか1つの例に記載の回路。
【0095】
例13. 前記アンチワインドアップ回路は、前記加算回路の前記第3の入力部に結合された出力部を有する第1のカレントミラーと、前記ゲートドライブ回路の前記出力部と前記第1のカレントミラーの入力部との間に結合された第1のコンデンサと、を有する、例12記載の回路。
【0096】
例14. 前記アンチワインドアップ回路はさらに、前記加算回路の前記第3の入力部に結合された出力部を有する第2のカレントミラーと、前記ゲートドライブ回路の前記出力部と前記第2のカレントミラーの入力部との間に結合された第2のコンデンサと、を有する、例13記載の回路。
【0097】
例15. 前記第1のカレントミラーは、前記第2のカレントミラーとは異なるミラー比を有する、例14記載の回路。
【0098】
例16. 前記第1の利得は、第1の極性を含み、前記第2の利得は、前記第1の極性とは反対の第2の極性を含み、前記第1の極性および前記第2の極性は、負のフィードバックを提供するように構成されている、例12から15までのいずれか1つの例に記載の回路。
【0099】
例17. 前記回路は、外部のブースタ段をさらに含み、前記外部のブースタ段は、前記ゲート駆動端子に結合された入力部と、前記スイッチングトランジスタの前記ゲートに結合されるように構成された出力部と、を有する、例8から16までのいずれか1つの例に記載の回路。
【0100】
例18. スイッチングトランジスタを駆動する方法であって、前記方法は、前記スイッチングトランジスタをゲート駆動信号によって駆動することと、前記スイッチングトランジスタの負荷経路電圧の微分および負荷経路電流の微分のうちの少なくとも一方を測定することと、前記ゲート駆動信号の微分を測定することと、基準信号と、測定された前記ゲート駆動信号の微分と、測定された前記スイッチングトランジスタの負荷経路電圧の微分または測定された前記スイッチングトランジスタの負荷経路電流の微分のうちの少なくとも一方と、に基づいてエラー信号を形成することと、前記ゲート駆動信号を形成することと、を含み、前記ゲート駆動信号を形成することは、動的コントローラを使用して前記エラー信号を処理することを含む、方法。
【0101】
例19. 前記ゲート駆動信号を形成することはさらに、前記動的コントローラを使用して制御信号を生成することと、前記制御信号によってゲートドライブ回路の入力部を駆動することと、前記ゲートドライブ回路を使用して前記ゲート駆動信号を生成することとを含む、例18記載の方法。
【0102】
例20. 前記スイッチングトランジスタをゲート駆動信号によって駆動することは、前記ゲート駆動信号によってブースタ段を駆動することを含み、前記ブースタ段の出力部は、前記スイッチングトランジスタのゲートに結合されている、例18または19記載の方法。
【0103】
例21. 前記動的コントローラは、比例積分(PI)コントローラである、例18から20までのいずれか1つの例に記載の方法。
【0104】
例22. 前記方法はさらに、前記スイッチングトランジスタをターンオンする際には、前記エラー信号を形成する前に、測定された前記ゲート駆動信号の微分に第1の利得を適用することと、前記スイッチングトランジスタをターンオフする際には、前記エラー信号を形成する前に、測定された前記ゲート駆動信号の微分に第2の利得を適用することとを含む、例18から21までのいずれか1つの例に記載の方法。
【0105】
例23. 前記方法はさらに、前記スイッチングトランジスタをターンオンする際には、前記エラー信号を形成する前に、測定された前記ゲート駆動信号の微分の第1の極性のみを提供することと、前記スイッチングトランジスタをターンオフする際には、前記エラー信号を形成する前に、測定された前記ゲート駆動信号の微分の第2の極性のみを提供することと、を含み、なお、前記第2の極性は、前記第1の極性とは反対である、例22記載の方法。
【0106】
例24. 前記第1の極性は、前記ゲート駆動信号の正のスルーレートを表しており、前記第2の極性は、前記ゲート駆動信号の負のスルーレートを表している、例23記載の方法。
【0107】
例25. 前記第1の利得は、第1の極性を含み、前記第2の利得は、前記第1の極性とは反対の第2の極性を含む、例22記載の方法。
【0108】
例26. 前記方法はさらに、スイッチ制御信号を受信することと、受信した前記スイッチ制御信号に基づいて前記基準信号を生成することとを含む、例18から25までのいずれか1つの例に記載の方法。
【0109】
例27. 前記スイッチ制御信号は、パルス幅変調信号を含む、例26記載の方法。
【0110】
本発明を、例示的な実施形態を参照しながら説明してきたが、この説明は、限定する意味で解釈されることを意図したものではない。例示的な実施形態の種々の修正および組み合わせ、ならびに本発明の他の実施形態は、明細書を参照することによって当業者には明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、あらゆるそのような修正形態または実施形態を包含することが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B