(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】アグリゲーションシステム、アグリゲーション装置、およびアグリゲーション方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20231030BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J3/32
(21)【出願番号】P 2019133929
(22)【出願日】2019-07-19
【審査請求日】2022-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 賢二
(72)【発明者】
【氏名】上野 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 順一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 康弘
【審査官】新里 太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/077780(WO,A1)
【文献】特開2015-073369(JP,A)
【文献】特開2018-124674(JP,A)
【文献】国際公開第2017/009978(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H02J 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電量と需要量の予測から電力量バランスを管理する第1のアグリゲーション装置と、
前記第1のアグリゲーション装置からの要請に基づき、売電を受けた電力を提供する第2のアグリゲーション装置と、
を備えるアグリゲーションシステムにおいて、
前記第1のアグリゲーション装置は、
需給バランスを保つために必要な電力量を要求する要求情報を送信する要求情報送信部 を備え、
前記第2のアグリゲーション装置は、
前記要求情報を受信する要求情報受信部と、
前記要求情報受信部によって前記要求情報が受信された場合に、蓄電池を搭載した移動可能な移動体
の、前記蓄電池の残量および前記移動体が前記移動体の目的地に到達するのに必要な電力の量を含む算出用情報を取得する算出用情報取得部と、
前記算出用情報取得部によって取得された前記算出用情報に基づいて、前記目的地までの前記移動体の移動に対して余剰な前記移動体の前記蓄電池の電力が有るかを判定する余剰電力判定部と、
前記余剰電力判定部によって前記余剰な電力が有ると判定された前記移動体と関連付けされた端末装置に、前記蓄電池の
余剰な電力の提供を勧める通知情報を送信する通知情報送信部と、
を備え
る
アグリゲーションシステム。
【請求項2】
前記アグリゲーションシステムは、更に道路事業者を含むアグリゲーションシステムであって、
前記算出用情報取得部は、前記道路事業者から提供を受けた、道路の交通状
況に応じた前記移動体の電力消費量を算出する、
請求項
1に記載のアグリゲーションシステム。
【請求項3】
前記アグリゲーションシステムは、前記移動体の前記蓄電池から提供を受けた電力を蓄電する蓄電池を備えた、
請求項1に記載のアグリゲーションシステム。
【請求項4】
前記第2のアグリゲーション装置は、前記電力の提供に対する対価を提供するための対価提供処理を行なう対価提供部を、更に備え、
前記通知情報は、前記対価を示す対価情報を含む、
請求項1に記載のアグリゲーションシステム。
【請求項5】
前記通知情報は、前記余剰な電力の提供を受け付ける場所を示す場所情報を含む、
請求項1に記載のアグリゲーションシステム。
【請求項6】
第2のアグリゲーション装置は、前記需要
量が前記発電量より大きくなる場合
に、前記端末装置に
対して、前記移動体の前記蓄電池への充電の時期
または当該充電の場
所の少なくとも一方の変更を要請する要請情報を送信する、
請求項1に記載のアグリゲーションシステム。
【請求項7】
第2のアグリゲーション装置は、前記需要量
が前記発電量より小さくなる場合
に、前記端末装置に
対して、前記移動体の前記蓄電池への充電を要請する要請情報を送信する、
請求項1に記載のアグリゲーションシステム。
【請求項8】
前記アグリゲーションシステムは、更に前記移動体の位置を認識する位置情報事業者を含むアグリゲーションシステムであって、
前記算出用情報取得部は、前記位置情報事業者から前記移動体の位置を取得する
、
請求項
1に記載のアグリゲーションシステム。
【請求項9】
前記移動体は、当該移動体の前記蓄電池の電力の残量を前記第2のアグリゲーション装置に送信する
、
請求項1に記載のアグリゲーションシステム。
【請求項10】
前記アグリゲーションシステムは、更に道路事業者を含むアグリゲーションシステムであって、
前記移動体の前記蓄電池から供給された電力が前記道路事業者の設備に供給される
、
請求項1に記載のアグリゲーションシステム。
【請求項11】
発電量と需要量との予測から電力量バランスを管理する事業者からの要請に基づき、売電を受けた電力を提供するアグリゲーションシステムのアグリゲーション装置において、
需給バランスを保つために必要な電力量を要求する要求情報を受信する要求情報受信部と、
前記要求情報受信部によって前記要求情報が受信された場合に、蓄電池を搭載した移動可能な移動体
の、前記蓄電池の残量および前記移動体が前記移動体の目的地に到達するのに必要な電力の量を含む算出用情報を取得する算出用情報取得部と、
前記算出用情報取得部によって取得された前記算出用情報に基づいて、前記目的地までの前記移動体の移動に対して余剰な前記移動体の前記蓄電池の電力が有るかを判定する余剰電力判定部と、
前記余剰電力判定部によって前記余剰な電力が有ると判定された前記移動体と関連付けされた端末装置に、前記蓄電池の
余剰な電力の提供を勧める通知情報を送信する通知情報送信部と、
を備え
る
アグリゲーション装置。
【請求項12】
前記算出用情報取得部は、道路事業者から提供受けた、道路の交通状況を応じた電力消費量を算出する、
請求項11に記載のアグリゲーション装置。
【請求項13】
前記アグリゲーション装置は、前記電力の提供に対する対価を提供するための対価提供処理を行なう対価提供部を、更に備え、
前記通知情報は、前
記対価を示す対価情報を含
む、
請求項11に記載のアグリゲーション装置。
【請求項14】
前記通知情報は、前記余剰な電力の提供を受け付ける場所を示す場所情報を含む、
請求項11に記載のアグリゲーション装置。
【請求項15】
前記要求情報受信部は、他のアグリゲーション装置から送信された、供給可能な電力量を要求する要求情報、を受信
し、
前記通知情報送信部は、前記要求情報受信部によって前記要求情報が受信された場合に、前記通知情報を送信する、
請求項11に記載のアグリゲーション装置。
【請求項16】
前記アグリゲーション装置は、前記通知情報に対する前記端末装置からの応答に基づいて、前記供給可能な電力量を算出し、算出した前記供給可能な電力量を前記他のアグリゲーション装置に送信する応答部を
、更に備え
る、
請求項15に記載のアグリゲーション装置。
【請求項17】
前記アグリゲーション装置は、前記需要
量が前記発電量より大きくなる場合
に、前記端末装置に
対して、前記移動体の前記蓄電池への充電の時期
または当該充電の場
所の少なくとも一方の変更を要請する要請情報を送信する、
請求項
11に記載のアグリゲーション装置。
【請求項18】
前記アグリゲーション装置は、前記需要量
が前記発電量より小さくなる場合
に、前記端末装置に
対して、前記移動体の前記蓄電池への充電を要請する要請情報を送信する、
請求項
11に記載のアグリゲーション装置。
【請求項19】
前記算出用情報取得部は、前記移動体の位置を認識する位置情報事業者から前記移動体の位置を取得する
、
請求項
11に記載のアグリゲーション装置。
【請求項20】
前記移動体から送信された、当該移動体の前記蓄電池の電力の残量を、受信する、
請求項
11に記載のアグリゲーション装置。
【請求項21】
要求情報受信部が、需給バランスを保つために必要な電力量を要求する要求情報を受信する受信ステップと、
算出用情報取得部が、前記要求情報受信部によって前記要求情報が受信された場合に、蓄電池を搭載した移動可能な移動体
の、前記蓄電池の残量および前記移動体が前記移動体の目的地に到達するのに必要な電力の量を含む算出用情報を取得する算出用情報取得ステップと、
余剰電力判定部が、前記算出用情報取得部によって取得された前記算出用情報に基づいて、前記目的地までの前記移動体の移動に対して余剰な前記移動体の前記蓄電池の電力が有るかを判定する判定ステップと、
通知情報送信部が、前記余剰電力判定部によって前記余剰な電力が有ると判定された前記移動体と関連付けされた端末装置に、前記蓄電池の
余剰な電力の提供を勧める通知情報を送信する通知情報送信ステップと、
を備え
る
アグリゲーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アグリゲーションシステム、アグリゲーション装置、およびアグリゲーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
EV(Electric Vehicle:電気自動車)については、走行時の電欠を防ぐため、電池残量の消費量を、道路の区間ごとに生成された電費推定モデルに基づき、予測することで走行支援する技術が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-125825号公報
【文献】特開2011-247816号公報
【文献】特開2012-80748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EV車について電力を満充電に近い量を充電することで走行中の電欠を防ぐことができるが、走行に必要以上の充電を行って走行するEV車に余剰電力を抱えているケースも多い。この種の技術では、EVの余剰電力の有効活用の促進が図れれば有意義である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のアグリゲーションシステムは、例えば、第1のアグリゲーション装置と、第2のアグリゲーション装置と、を備える。前記第1のアグリゲーション装置は、発電量と需要量の予測から電力量バランスを管理する。前記第2のアグリゲーション装置は、前記第1のアグリゲーション装置からの要請に基づき、売電を受けた電力を提供する。前記第1のアグリゲーション装置は、要求情報送信部を備える。前記要求情報送信部は、需給バランスを保つために必要な電力量を要求する要求情報を送信する。前記第2のアグリゲーション装置は、要求情報受信部と、算出用情報取得部と、余剰電力判定部と、通知情報送信部と、を備える。前記要求情報受信部は、前記要求情報を受信する。前記算出用情報取得部は、前記要求情報受信部によって前記要求情報が受信された場合に、蓄電池を搭載した移動可能な移動体の、前記蓄電池の残量および前記移動体が前記移動体の目的地に到達するのに必要な電力の量を含む算出用情報を取得する。前記余剰電力判定部は、前記算出用情報取得部によって取得された前記算出用情報に基づいて、前記目的地までの前記移動体の移動に対して余剰な前記移動体の前記蓄電池の電力が有るかを判定する。前記通知情報送信部は、前記余剰電力判定部によって前記余剰な電力が有ると判定された前記移動体と関連付けされた端末装置に、前記蓄電池の電力の提供を勧める通知情報を送信する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1の実施形態のアグリゲーションシステムの概要構成ブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態の第1のアグリゲーション装置のブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態の第2のアグリゲーション装置のブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態の経路情報のネットワーク構造の例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の経路情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態のトラフィックカウンタ管理情報の例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の気象情報の例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態の道路管制情報の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態の車両情報の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態の充放電装置情報の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態の走行データの例を示す図である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態の第1のアグリゲーション装置、第2のアグリゲーション装置、カーナビゲーション端末、および携帯端末のハードウェア構成を示す図である。
【
図13】
図13は、第1の実施形態のアグリゲーション処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、第1の実施形態の余剰電力情報収集処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、第1の実施形態のEVの電力消費量の予測およびEV500の余剰電力の算出を行なう具体例を説明する。
【
図16】
図16は、第1の実施形態の対価実行処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、第2の実施形態のアグリゲーションシステムの概要構成ブロック図である。
【
図18】
図18は、第2の実施形態の余剰電力情報収集処理の一例を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、第3の実施形態のアグリゲーションシステムの概要構成ブロック図である。
【
図20】
図20は、第4の実施形態のアグリゲーションシステムの概要構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<第1の実施形態>
次に、図面を参照して、第1の実施形態について詳細に説明する。
【0008】
<アグリゲーションシステム1>
図1は、第1の実施形態のアグリゲーションシステム1の概要構成ブロック図である。
図1に示されるアグリゲーションシステム1は、VPP(バーチャルパワープラント)アグリゲータ1000、EVユーザ管理事業者1001、および道路事業者1002等に分散して配置され、高速道路等の道路を移動するEV500の余剰電力を売電してもらうための処理を行なう。この際、VPPアグリゲータ1000は、EVユーザ管理事業者1001に対して売電要請を行なう。そして、EVユーザ管理事業者1001が、EV500の運転者に売電の推奨を行なう。EV500は、移動体の一例である。
【0009】
以下、各事業者および構成について詳細に説明する。
【0010】
<VPPアグリゲータ1000>
VPPアグリゲータ1000は、自己が管理する電力網の需給バランスを管理する業者である。
【0011】
発電事業者1003は、発電を行なう事業者である。発電事業者1003によって発電された電力は、電力網に供給される。また、リソースアグリゲータ1004Aは、各需要家1005と直接VPPサービス契約を締結している業者である。
【0012】
VPPアグリゲータ1000は、リソースアグリゲータ1004Aを介して、各需要家1005に電力の削減の要請や促進、電力提供の要請、すなわち電力調整要請を行なう。また、VPPアグリゲータ1000は、自己の電力網に対して、電力を供給する発電事業者1003の発電量と、自己が電力を供給する需要家1005の需要量とのバランスを監視し、電力量が不足する場合は発電事業者1003に対して発電量を増やすように要求する。しかしながら、発電事業者1003が発電量を増やしても、電力が不足すると予想されるときに、EVユーザ管理事業者1001に対しても売電要請を行なう。
【0013】
本実施形態のVPPアグリゲータ1000は、リソースアグリゲータ1004Aが制御する電力をまとめて、発電事業者1003と直接電力の取引を行なうアグリゲーションコーディネーターである。上記の処理は、VPPアグリゲータ1000に設けられた第1のアグリゲーション装置102によって行なわれる。以下では、VPPアグリゲータ1000による電力売買の金額(買取金額)が固定である例を説明する。第1のアグリゲーション装置102の詳細は後述する。また、第1のアグリゲーション装置102は、他のアグリゲーション装置の一例である。
【0014】
<EVユーザ管理事業者1001>
EVユーザ管理事業者1001は、VPPアグリゲータ1000から電力供給の依頼があった場合に、EV500に対して、余剰電力の売電をEV500の運転者に要請する業者である。具体的には、EVユーザ管理事業者1001は、発電量と需要量との予測から電力量バランスを管理する事業者であるVPPアグリゲータ1000の第1のアグリゲーション装置102からの要請に基づき、売電を受けた電力をVPPアグリゲータ1000の電力網に提供する。このとき、EVユーザ管理事業者1001に設けられた第2のアグリゲーション装置101が、道路を移動するEV500の余剰電力を売電してもらうための処理を行なう。
【0015】
具体的には、EVユーザ管理事業者1001は、所定のアプリ等でEV500の運転者から提供を受けた現在地、目的地、車種、充電残量他の情報に基づき、売電の協力を受けられそうなEV500を検出(特定)して売電の要請を行うことで、アグリゲータ(VPPアグリゲータ1000、リソースアグリゲータ1004A)とEV500の運転者との間の仲介を行う。第2のアグリゲーション装置101の詳細は、後述する。なお、これに限られず、車両を特定することなく、後述のEV向けのナビシステムサービスを受けている端末装置(カーナビゲーション端末201B、携帯端末201C)の全般に対し、売電してほしい場所および時間等を通知するようにしてもよい。また、○○Kw/Hが必要等を通知してもよい。また、ぎりぎりまで売電しても良いと考える人、BCP(Business Continuity Plan)の観点から半強制的に売電させる車両等もあるので、売電を広く募集してもよい。また、EVユーザ管理事業者1001は、リソースアグリゲータ1004Bと通信可能に接続されている。第2のアグリゲーション装置101は、アグリゲーション装置の一例である。
【0016】
<充電サービス会社と自動車会社>
リソースアグリゲータ1004Bは、自動車会社1006および充電サービス会社1007から各種の情報を取得して、当該情報をEVユーザ管理事業者1001に提供する業者である。例えば、リソースアグリゲータ1004Bは、自動車会社1006からEV500の車両に関する情報(例えば、車種毎の電池容量、電池の減り方等の情報)を取得して、当該情報をEVユーザ管理事業者1001に提供する。また、リソースアグリゲータ1004Bは、充電サービス会社1007から充放電装置221A~221Nの混雑状況や予約状況等の情報を取得して、当該情報をEVユーザ管理事業者1001に提供する。
【0017】
自動車会社1006は、例えば、EV500等を製造する会社(以後、EVメーカとも称する)である。自動車会社1006は、EV500の車両に関する情報(例えば、車種毎の電池容量、電池の減り方等の情報)を保有する。
【0018】
充電サービス会社1007は、EV500に対する充放電を行なう充放電装置221A~221Nの設置および管理等する会社である。充電サービス会社1007には、充放電装置221の情報である充放電装置情報を管理する充放電装置管理サーバ225Eが設けられている。ここで、充放電装置221A~221Nの少なくとも一部は、道路のサービスエリアやパーキングエリア等においてEV500が充放電を行なう供給地点に設けられている。なお、以下の説明においては、充放電装置221A~221Nを識別する必要が無い場合には、充放電装置221と総称するものとする。また、充電サービス会社1007、充放電装置221A~221Nの混雑状況や予約状況等も管理する。
【0019】
<道路事業者1002>
道路事業者1002は、高速道路等の道路の管理等を行っている事業者である。道路事業者1002は、道路事業者1002には、交通管制を行なう交通管制システム211Aと、道路施設の管理を行なう道路管理システム211Cと、料金の収受を行なう料金収受システム211Bと、が設けられている。
【0020】
交通管制システム211Aには、例えば、道路管制情報を管理する道路管制情報管理サーバ225Aが設けられている。道路事業者1002は、交通管制を目的として、交通状況の情報を収集し、交通需要予測や渋滞予測を行なう。道路事業者1002は、収集した情報、交通需要予測情報、および渋滞予測情報をEVユーザ管理事業者1001等に提供することができる。
【0021】
また、高速道路には、例えば高速道路の料金所等に路側装置223が設置される。EV500と通信することが可能である。料金所の路側装置223は、料金所を通過するときに、EV500の入場時刻、出場時刻、入場台数および出場台数を検出することができる。
【0022】
また、高速道路には、ETC(Electronic Toll Collection System)/DSRC(Dedicated Short Range Communications)車載器201A等と路車間通信を行うためのITS(Intelligent Transport Systems)スポット224が配置されている。ITSスポット224は、道路の路側やサービスエリア等の所定の場所に設置され、通過する車両に対して交通情報等の情報提供を行ったり、車両の走行経路の把握に使用される。
【0023】
<EV500>
EV500は、当該EV500に搭載された蓄電池202の充電電力(充電エネルギー)を使用して、交通路である道路を走行する車両である。EV500の地点としては、エネルギー供給地点に限られずに、地図上の任意の地点で構わず、例えば自宅でもよいし、飲食店でもよいし、販売店でもよいし、EV500のユーザが任意に指定した地点でもよいが、本第1の実施形態のEV500の地点としては、EV500が充電を行う地点であるエネルギー供給地点を扱うものとする。
【0024】
EV500は、エネルギー供給地点(以下、供給地点または充電地点とも記載する)において、蓄電池202に充電し、EV500は蓄電池202に蓄積された電力を使用して移動する。EV500は、各供給地点で充電を行いつつ、目的地へ移動することとなる。なお、供給地点には一つまたは複数の充放電装置221A~221N(エネルギー供給装置)が設置されており、EV500は、任意の充放電装置221と有線または無線で接続して、電力の供給を受ける。また、EV500は、任意の充放電装置221と有線または無線で接続して、電力を出力することができる。すなわち、EV500は、充放電装置221A~221Nに放電することができる。つまり、本第1の実施形態では、エネルギー供給地点は、エネルギー出力地点でもある。EV500から充放電装置221に放電された電力は、充放電装置221から電力網に供給される。すなわち、EV500から放電された電力は、VPPアグリゲータ1000に提供される。エネルギー供給地点およびエネルギー放電地点は、充電地点および放電地点とも称される。
【0025】
また、EV500には、EV500の運転者等が所有する携帯端末201Cが持ち込まれると、EV500に持ち込まれた携帯端末201Cは、EV500と一緒に移動する。携帯端末201Cは、例えば、スマートフォン、タブレット装置、携帯電話、ノートPC等である。カーナビゲーション端末201Bおよび携帯端末201Cは、情報を入力する入力部と、情報を出力する出力部と、他の装置の通信を行なう通信部と、を備えた情報処理装置である。カーナビゲーション端末201Bおよび携帯端末201Cは、例えば、通信ネットワーク220を介して、第2のアグリゲーション装置101等と通信可能である。通信ネットワーク220は、有線または無線またはこれらのハイブリッドのネットワークである。通信ネットワーク220は、無線LANのアクセスポイント等の中継装置を含んでいてもよい。また、通信ネットワーク220は、第5世代(5G)の無線通信システムやWi-Fi(登録商標)を含んでいてもよい、
【0026】
<VPPアグリゲータ1000:第1のアグリゲーション装置102>
図2は、第1の実施形態の第1のアグリゲーション装置102のブロック図である。
図2に示されるように、第1のアグリゲーション装置1021は、通信部111、制御部121、電力管理部131を備える。
【0027】
通信部111は、通信ネットワーク220を介して、第2のアグリゲーション装置101等と通信を行なう。
【0028】
制御部121は、第1のアグリゲーション装置102の各部を制御することで、第1のアグリゲーション装置102全体の制御を行う。
【0029】
電力管理部131は、電力網に対する電力の需給を管理する。すなわち、電力管理部131は、電力を管理する。例えば、電力管理部131は、発電量と需要量の予測から電力量バランスを管理する。発電量と需要量の予測から電力量バランスの管理は、公知の方法によって行なうことができる。また、電力管理部131は、発電事業者1003から電力の需要の削減や促進、電力の提供(売電)の依頼を受信すると、リソースアグリゲータ1004Aを介して、各需要家1005に電力の削減の要請やの促進、電力の提供(売電)の要請、すなわち電力調整要請の指令を出す。すなわち、電力管理部131は、電力の需給バランスを監視し、各需要家1005に情報を提供する。また、このとき、電力管理部131は、EVユーザ管理事業者1001に対しても売電要請を行なう。具体的には、電力管理部131は、第2のアグリゲーション装置101に対して、需給バランスを保つために必要な電力量を要求する要求情報を送信する。電力管理部131は、要求情報送信部の一例である。
【0030】
電力管理部131は、例えば、発電事業者1003から電力の提供(売電)の要請を受けた場合等に、自己が管理する電力網の電力が不足するかを算出する。電力網の電力が不足する場合には、各需要家1005に対して電力の提供(売電)を依頼する。また、このとき、電力管理部131は、例えば、EV向けのナビシステムサービスのユーザに対しても第2のアグリゲーション装置101を介してEV500の余剰電力の提供を依頼する。
【0031】
<EVユーザ管理事業者1001:第2のアグリゲーション装置101>
図3は、第1の実施形態の第2のアグリゲーション装置101のブロック図である。
図3に示されるように、第2のアグリゲーション装置101は、通信部11、ユーザID登録部12、ナビシステム利用登録部13、ユーザDB(データベース)14、地図情報管理部15、道路管制情報管理部16、充放電装置管理部17、気象情報管理部18、車両情報管理部19、システムDB20、制御部21を備える。
【0032】
また、第2のアグリゲーション装置101は、モデル管理部31、モデルDB32、予測部41、走行状態管理部51、走行管理DB52、を備えている。また、第2のアグリゲーション装置101は、要求情報受信部71、算出用情報取得部81、余剰電力判定部82、通知情報送信部84、対価提供部85、応答部86を備えている。その他、第2のアグリゲーション装置101は、オペレータが第2のアグリゲーション装置101に指示またはデータを入力する入力手段、データをオペレータに表示する表示手段を備えていてもよい。入力手段の例としてキーボード、マウス、タッチパネル、音声入力用のマイク等がある。表示手段の例として、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、CRT(ブラウン管)、およびPDP(プラズマディスプレイ)等がある。第2のアグリゲーション装置101は、道路(有料道路)を利用するEV500に対してエネルギー供給地点を推奨するEV向け情報提供システムである。
【0033】
通信部11は、第1のアグリゲーション装置102、カーナビゲーション端末201B、携帯端末201C、路側装置223、ITSスポット224、サーバ225、充放電装置221等と通信を行なう。
【0034】
ユーザID登録部12は、カーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cからユーザ登録要求を受信し、本第1の実施形態に係るEV向け情報提供システムのサービス(EV向けのナビシステムサービス)のユーザ登録を行う。例えばユーザはカーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cを操作して、EV向けのナビシステムサービスのユーザ登録を行うためのアプリケーションまたはウェブページを開き、ユーザID登録部12にアクセスする。ユーザID登録部12は、ユーザの個人情報やユーザが利用するEV500の情報(識別情報、車種、蓄電池202の容量である電池容量、蓄電池202の劣化度である電池劣化度、累計走行距離、タイヤの種類等)を取得し、これらをユーザ情報とする。ユーザID登録部12は、ユーザに対してユーザID(EV_ID)を発行し、ユーザIDとユーザ情報とを関連づけて、ユーザDB14に登録する。また、ユーザID登録部12は、ユーザ登録要求に付帯するカーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cの識別情報をユーザ情報に含める。これにより、カーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cの識別情報記とEV500の識別情報とが関連付けされる。カーナビゲーション端末201Bおよび携帯端末201Cは、端末装置の一例である。
【0035】
ナビシステム利用登録部13は、カーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cから利用登録要求を受信し、EV向けのナビシステムサービスを開始するための利用登録を行う。例えば、ユーザは外出時に自宅またはEV500の中等で、カーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cを操作して、EV向けのナビシステムサービスを受けるためのアプリケーションまたはウェブページを開き、カーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cから、本サービスを受けるために必要な情報を含む利用登録要求をナビシステム利用登録部13に送信する。例えば、走行日時(出発IC(インターチェンジ)の出発予定日時、現在日時、自宅の出発予定日時等)、出発地(道路の出発IC等)、目的地(目的IC等)、EV500の電池容量(ユーザ登録時に通知済みの場合は省略してもよい)、電池劣化度(ユーザ登録時に通知済みの場合は省略してもよい)、EV500の電池残量(エネルギー残量)、エアコン使用状況(オン/オフ、設定モード、温度設定等)、累積走行距離(ユーザ登録時に通知済みの場合は省略してもよい)、タイヤの種類(ユーザ登録時に通知済みの場合は省略してもよい)、乗車人数等の情報を送信する。これらの情報は、カーナビゲーション端末201Bに設定されている情報を送信してもよいし、カーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cにユーザが入力した情報を送信してもよい。取得したこれらの情報を利用登録情報と称する。ナビシステム利用登録部13は、今回のサービス利用に対してID(走行ID)を発行し、走行IDを利用登録情報と関連づけて、ユーザDB14に格納し、また後述する走行状態管理部51またはモデル管理部31またはこれらの両方に通知する。また、第2のアグリゲーション装置101は、利用登録後のユーザのカーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cと通信して、GPSの位置情報、現在時刻、蓄電池202の残存電力量(電池残量)、エアコン使用状況等の情報を取得し、後述する走行状態管理部51またはモデル管理部31またはこれらの両方に通知する。通信のタイミングとして、リアルタイム、一定時間毎のタイミング、ユーザが登録した出発IC等所定のICを通過したタイミング、第2のアグリゲーション装置101が要求を出してその応答を取得するタイミング、サービスエリア/パーキングエリア(SA/PA)に入ったまたは出たまたはタイミング、SA/PAの近くを通過したタイミング等がある。
【0036】
ユーザDB14は、ユーザID登録部12およびナビシステム利用登録部13により登録される情報を保持する。ユーザDB14は、例えばメモリ装置、ハードディスク装置、SSD装置等、ハードウェア記憶装置である。
【0037】
制御部21は、第2のアグリゲーション装置101の各部を制御することで、第2のアグリゲーション装置101全体の制御を行い、EV向け情報提供システムの動作を実現する。
【0038】
地図情報管理部15は、地図情報管理サーバ225Bから地図情報を取得し、取得した地図情報をシステムDB20に保持および管理する。地図情報は、地図要素の位置(緯度、経度)やサイズ、範囲等の情報を表した情報である。例えば地図上の各位置に関連づけられた標高情報、各経路(道路の各経路、一般道等の各経路)の距離情報、勾配、カーブの角度、路線、方向、KP(キロポスト)、JCT(ジャンクション)の形状、トンネル、明かり部(トンネル以外の場所)、路面の状況(舗装状況等)を含む。また、地図情報は、道路における車線数、インターチェンジ(IC)、サービスエリア/パーキングエリア(SA/PA)の場所等を含む。
【0039】
また、地図情報は、上記の地図要素として、供給地点やSA/PA地点、ICやJCT地点の情報を含む。また、地図情報は、供給地点やSA/PA地点、ICやJCT地点間の経路情報として、経路の距離情報および当該経路の所要走行時間の情報を含んでもよい。
【0040】
図4は、第1の実施形態の経路情報のネットワーク構造の例を示す図である。供給地点Q1~Qnを表すノード間が、破線で示すリンクにより結合されている。リンクは、互いに隣接する供給地点同士を結合する。供給地点Q1は、供給地点Q3と、Q2にそれぞれ隣接していることが分かる。また、供給地点Q1から供給地点Q3への経路は1つであり、供給地点Q1から供給地点Q2への経路も1つである。リンクには、当該リンクで結合される両ノードにより表される供給地点間の経路の特性が割り当てられる(
図4においては経路の特性の表記は省略されている)。本例では、供給地点のみのネットワーク構造を示しているが、供給地点のほかにSA/PA地点、ICやJCT地点をノードとして含んでもよい。
【0041】
図5は、第1の実施形態の経路情報の一例を示す図である。所要走行時間は、過去の計測値の平均でもよいし、距離を所定速度で走行した場合に要する時間でもよい。また、当該経路の走行に要する所要エネルギーや電費の情報でもよい。所要エネルギーや電費は、実績の統計値(平均値、中央値等)でもよいし、計算式またはシミュレーションにより算出した値でもよい。経路情報を、一般的なネットワーク構造で表現してもよい。
【0042】
図6は、第1の実施形態のトラフィックカウンタ管理情報の例を示す図である。1番目のエントリのデータでは、供給地点Qjと、隣接する供給地点Qj’との区間に、トラフィックカウンタTC1、TC2、・・・が配置されている。なお、TC1、TC2、・・・の順序でトラフィックカウンタが配置されている必要はない。
【0043】
図3に戻り、地図情報管理部15は一定期間ごとまたはリアルタイムに地図情報管理サーバ225Bから地図情報の全部または一部を取得し、更新してもよい。
【0044】
気象情報管理部18は、気象情報を管理する気象情報管理サーバ225Cから気象情報を取得し、取得した気象情報をシステムDB20に保持および管理する。
【0045】
図7は、第1の実施形態の気象情報の例を示す図である。気象情報は、例えば予め定めた各地域および各日時の気温、降雨有無、降水量、風速、風向、総日射量、降雪量、路面温度、光度、視程(霧)、放射線、ゲリラ豪雨等の情報を含む。気象情報は、過去および現在までの気象情報のほか、将来の予測の気象情報が取得可能な場合は、予測の気象情報を含んでもよい。気象情報管理部18は、気象情報管理サーバ225Cから一定時間ごとまたはリアルタイムに気象情報を取得してもよい。
【0046】
図3に戻り、道路管制情報管理部16は、道路管制情報管理サーバ225Aから、各経路(区間)に関する道路管制情報を取得し、取得した情報を、システムDB20に保持および管理する。道路管制情報として、例えば、トラフィックカウンタ(TC)情報、ETC情報(流入台数、流出台数、EV500の車種、EV500の電池残量等)がある。トラフィックカウンタ(TC)は、供給地点間の区間の交通に関する情報を取得する装置である。その他、発生事象に関する情報として、通行止、渋滞、事故、故障車、工事、落下物、火災、災害、速度規制等がある。また、予測情報の例として、渋滞予測、事故発生予測、ゲリラ豪雨予測、土砂災害予測等もある。トラフィックカウンタの設置位置は上記の地図情報(
図6参照)において予め分かっている。
【0047】
図8は、第1の実施形態の道路管制情報の一例を示す図である。トラフィックカウンタの情報は、例えば速度[km/h]、占有率(オキュパンシー)[%]、交通量[台/h]、車両密度[台/km]等の情報である。速度は、例えば一定時間毎の、平均速度、最高速度、最低速度等である。道路管制情報管理部16は、道路管制情報管理サーバ225Aから一定時間ごとまたはリアルタイムに道路管制情報を取得してもよい。また、道路管制情報が更新される毎に道路管制情報管理サーバ225Aから道路管制情報を取得してもよい。なお、道路管制情報管理部16は、道路管制情報管理サーバ225Aからではなく、トラフィックカウンタから直接、トラフィックカウンタ情報を取得してもよい。行名に時刻、列名にTCのIDが割り当てられている。表の各要素には速度(平均速度)の値が格納されている。以下では主に道路管制情報としてトラフィックカウンタ情報の場合を想定する。
【0048】
図3に戻り、車両情報管理部19は、車両情報管理サーバ225Dから車種ID、EVメーカー、電池容量、蓄電池202の種類である電池種類(リチウムイオン電池等)、総重量(EV500に定員まで載ったときの重量やEV500自体の重さ)、電費、電池劣化速度、発売年等の情報(車両情報)を取得し、取得した情報をシステムDB20に保持および管理する。
【0049】
図9は、第1の実施形態の車両情報の一例を示す図である。車種IDは、車種ごとに異なる値を有する。車両情報を管理する車両情報管理サーバ225Dは、EVメーカーのサーバでもよいし、複数のEVメーカーの車種情報をまとめて管理するサーバでもよい。車両情報管理部19は、車両情報管理サーバ225Dから一定時間ごとに車種情報を取得してもよい。あるいは、車種情報を車両情報管理サーバ225Dではなく、カーナビゲーション端末201B、路側装置223、ITSスポット224等から取得してもよい。
【0050】
図3に戻り、充放電装置管理部17は、充放電装置管理サーバ225Eから、各供給地点に設置された1つまたは複数の充放電装置221(エネルギー供給装置)についての充放電装置情報を取得する。充放電装置管理部17は、取得した充放電装置情報をシステムDB20に保持および管理する。充放電装置管理部17は、各供給地点の充放電装置221の数を把握している。
【0051】
図10は、第1の実施形態の充放電装置情報の一例を示す図である。充放電装置情報は、例えば、充放電装置221で充電または放電を行ったユーザのユーザID(EV_ID)、供給地点ID、充電/放電フラグ、開始充電量、終了充電量、充電/放電開始時刻、充電/放電終了時刻を含む。その他、充電効率、充電回数、放電回数等の情報が保持されてもよい。充電/放電フラグは、供給地点において充電と放電とのうちどちらが行なわれたかを示す情報である。
図10において、充電/放電フラグの右側にある項目は、充電/放電フラグが示す情報に応じた内容にて識別される。具体的には、充電/放電フラグが充電を示す場合、充電/放電開始時刻および充電/放電終了時刻は、それぞれ充電開始時刻および充電終了時刻を示す。また、充電/放電フラグが放電を示す場合、充電/放電開始時刻および充電/放電終了時刻は、それぞれ放電開始時刻および放電終了時刻を示す。開始充電量は、充放電装置221での充電/放電開始時刻でEV500の蓄電池202に蓄積されている電力量である。終了充電量は、充放電装置221での充電/放電終了時刻でEV500の蓄電池202に蓄積されている電力量である。終了充電量と開始充電量との差分がEV500で充電または放電された電力量である。開始充電量および終了充電量の代わりに、開始充電量および終了充電量のいずれか一方と、充電または放電された電力量との情報を充放電装置情報が含んでもよい。充放電装置情報は、該当する供給地点におけるエネルギー供給履歴を表す。充放電装置管理部17は、充放電装置管理サーバ225Eから充放電装置情報を一定時間ごとまたはリアルタイムに取得してもよい。
【0052】
充放電装置管理部17は、充放電装置情報を充放電装置管理サーバ225Eからではなく、充放電装置221から直接通信により取得してもよい。または、充放電装置情報(GPSの位置情報と充電や放電した電力量等)をユーザがカーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cに入力し、カーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cから充放電装置情報を充放電装置管理部17が取得してもよい。あるいは、カーナビゲーション端末201B(車載装置)が、充電や放電した電力量の情報をEV500から読み出して、充放電装置情報を第2のアグリゲーション装置101に送信してもよい。
【0053】
同一ユーザについての充放電装置情報を時系列に用いることで、供給地点間の区間毎の当該ユーザの消費電力量、走行時間および走行速度等を表す消費履歴情報が得られる。走行時間は、一例として、ある供給地点の充電/放電開始時刻から1つ前の供給地点の充電/放電終了時刻を減算することで得られる。走行速度(平均走行速度)は、当該走行時間を当該区間の距離で除算することで得られる。なお、EV500と通信して、リアルタイムに走行速度や走行時刻の情報を取得し、EV500から取得される情報から走行速度および走行時間を把握する構成も可能である。
【0054】
図3に戻り、システムDB20は、上記の各管理部により取得される情報(外部情報と呼ぶ場合がある)を保持する。各管理部により取得される外部情報は、各管理部内のバッファで保持してもよい。バッファは例えばメモリ装置、ハードディスク装置、SSD装置、ハードウェア記憶装置である。また、システムDB20には、オペレーティングシステムや、情報処理プログラム、情報処理に使用される各種のデータが格納されている。オペレーティングシステムは、第2のアグリゲーション装置101の全体的な動作を制御するためのコンピュータプログラムである。情報処理プログラムは、第2のアグリゲーション装置101が後述する情報処理の各機能を実現するためのコンピュータプログラムである。システムDB20は、例えばメモリ装置、ハードディスク装置、SSD装置、ハードウェア記憶装置である。
【0055】
モデル管理部31は、EV500の予測消費電力量を計算する複数のモデル(予測モデル)を管理する。複数の予測モデルは、例えば、経路毎の電費を示す。当該予測モデルは、例えば、特徴量としては、EV500の予定移動距離、カタログ電費や、乗車人数、荷物の重量、渋滞予測情報等がある。これらの特徴量をモデルに入力することにより、これらの特徴量に応じた電費が算出される。複数の予測モデルは、電費マップとも称される。予測モデルは、例えば、複数の学習データを用いて、生成される。学習データは、一例として、上述の消費履歴情報(充放電装置情報)、気象情報、地図情報(地理情報)、車両情報、道路管制情報、情報装置(スマートフォン、カーナビ等)から取得した情報の全部または一部等である。これらの情報は、地図情報管理部15、道路管制情報管理部16、充放電装置管理部17、気象情報管理部18、車両情報管理部19、カーナビゲーション端末201B、携帯端末201C、路側装置223、ITSスポット224等から取得される。モデル管理部31は、予測モデルを作成してもよいし、外部から取得してもよい。モデル管理部31は、各予測モデルをモデルDB32で管理する。
【0056】
予測部41は、予測モデルと予測用データとを用いて、予測対象の走行区間におけるEV500の消費電力量を予測する。予測用データは、例えば、EV500の電池残量、渋滞予測情報等である。予測対象の走行区間は、例えば、次の充電候補となる供給地点までの区間である。
【0057】
走行状態管理部51は、走行中のEV500の走行区間の走行状態(例えば区間毎の消費電力量等)を管理する。走行状態管理部51は、走行中のEV500について、充電を行った拠点間の走行区間の走行データを取得し、走行管理DB52で管理する。走行データは、各管理部15~19やナビシステム利用登録部13で取得されるデータ(移動体の走行状態に関する情報)に基づき生成できる。
【0058】
図11は、第1の実施形態の走行データの例を示す図である。各EV500について、1回目充電/放電地点と、2回目充電/放電地点と、各種変数とを管理する。充電/放電地点は、EV500の充電または放電を行なった地点である。3回以上充電/放電を行った場合は、1回目充電/放電地点の列に2回目の充電/放電地点の値が、2回目の充電/放電地点の列に3回目の充電/放電地点の値が入る。4回以上の充電/放電を行った場合も同様の方法で値が入れられる。
図11中の1回目充電/放電地点の右側の欄の充電/放電フラグは、1回目供給地点において充電と放電とのうちどちらが行なわれたかを示す情報である。また、
図11中の2回目充電/放電地点の右側の欄の充電/放電フラグは、2回目供給地点において充電と放電とのうちどちらが行なわれたかを示す情報である。また、時間は走行区間の走行に要した時間、消費電力量は、走行区間の走行で使用した消費電力量(実績値)であり、距離は、走行区間の距離である。上り坂は、走行区間において一定値以上の勾配があった経路の長さである。下り坂は、走行区間において一定値未満の勾配があった経路の長さである(負の値で表現している)。ここで示した変数は一例に過ぎず、様々な種類の変数が可能である。例えば、総充電量として、2箇所の充電の合計充電量を追加してもよい。走行状態管理部51は、走行完了後のEV500について、各走行区間で予測した消費電力量を当該EV500の走行データに追加してもよい。また、1回目充電/放電地点と2回目充電/放電地点は、消費電力量を求めたい任意の2地点でも構わない。任意の2地点は、例えば、TC間やIC間、IC~充電/放電地点間等、複数の組み合わせも考えられる。
【0059】
また、走行状態管理部51は、予測部41を用いて、EV500の電池残量から到達可能な範囲にある供給地点の候補を見つけ、見つけた候補の中から当該EV500の次の供給地点を決定する処理を行うことができる。予測対象の走行区間の開始地点は、例えば任意の供給地点でもよいし、走行中の任意の地点でもよい。走行区間の終了地点は、例えば候補となる供給地点である。
【0060】
走行状態管理部51は、各候補について計算した消費電力量から、EV500の電池残量で到達可能な供給地点を絞り込み、この中から次の供給地点を決定する。供給地点を決定する方法は、現在の電池残量で到達可能な供給地点を選択する限り、何でもよい。例えば、目的地までの経路が1つの場合に、各供給地点の混雑状況を考慮して、できるだけ待ち時間の少ない供給地点を選択してもよいし、目的地までに複数通りの経路が存在する場合、最も短い経路上の供給地点を選択してもよいし、最も渋滞が少ない経路または最も勾配が小さい経路上の供給地点を選択してもよい。目的地のICを降りた後に次に到達可能な供給地点の箇所を考慮して、目的地のICを降りる前の供給地点を決定してもよい。決定した供給地点の情報をユーザのカーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201C(EV500)に送信する。送信された情報がカーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cの画面に表示され、ユーザは、次に向かうべき供給地点を把握する。
【0061】
図3に戻って、要求情報受信部71、算出用情報取得部81、余剰電力判定部82、通知情報送信部84、対価提供部85、応答部86について説明する。以下で説明する、要求情報受信部71、算出用情報取得部81、余剰電力判定部82、通知情報送信部84、対価提供部85が行なう各処理は、例えば、走行IDが発行され規定の時刻(時間帯)に道路を走行する全てのEV500に対して行なわれる。すなわち、走行IDが発行され規定の時刻(時間帯)に道路を走行するEV500が複数の場合には、当該複数のEV500に対して処理が実行される。なお、当該処理は、例えば、走行IDが発行され規定の時刻(時間帯)に道路を走行する複数のEV500の一部に対してのみ行なわれてもよい。
【0062】
要求情報受信部71は、第1のアグリゲーション装置102から送信された要求情報を受信する。
【0063】
算出用情報取得部81は、EV500の電力の残量およびEV500が当該EV500の目的地に到達するのに必要な電力の量(以下、必要電力量とも称する)を含む算出用情報を取得する。必要電力量は、予測部41が算出した消費電力量の予測値とする。なお、算出用情報取得部81は、EV500の基準地点からEV500の目的地迄の距離とEV500の電費(電力消費率)とから必要電力量を算出してもよい。EV500の電費は、例えば、カーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cから取得される。また、算出用情報取得部81は、道路事業者1002の交通管制システム211Aから提供を受けた、道路(高速道路等)の交通状況、に応じたEV500の電力消費量(必要電力量)を算出することができる。
【0064】
余剰電力判定部82は、算出用情報取得部81によって取得された算出用情報に基づいて、EV500の目的地までのEV500の移動に対して余剰なEV500の電力が有るかを判定する。
【0065】
通知情報送信部84は、第1のアグリゲーション装置102から送信された、供給可能な電力量の送信を要求する要求情報、を要求情報受信部71が受信した場合に、余剰電力判定部82によって余剰電力量が有ると判定されたEV500と関連付けされたカーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201に、余剰な電力の提供を勧める売電レコメンド情報を送信する。
【0066】
売電受付場所情報は、余剰な電力の提供を受け付ける場所を示す場所情報である。余剰な電力の提供を受け付ける場所は、例えば、EV500の基準地点と目的地との間、すなわち目的地の手前のエネルギー供給地点である。この場所は、例えば、余剰電力判定部82が決定してもよいし、通知情報送信部84が決定してもよいし、走行状態管理部51が決定してもよい。このとき、EV500の基準地点と目的地との間に複数のエネルギー供給地点が有る場合には、当該複数のエネルギー供給地点全てを通知しもよいし、当該複数のエネルギー供給地点のうち任意の一つを通知しもよい。上記のエネルギー供給地点を決定する構成(余剰電力判定部82、通知情報送信部84、または走行状態管理部51)は、決定部とも称される。
【0067】
対価提供部85は、電力の提供(売電)に対する対価を提供するための対価提供処理を行なう。対価提供処理の詳細は後述する。
【0068】
応答部86は、売電レコメンド情報に対するカーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cからの応答に基づいて、供給可能な電力量を算出し、算出した供給可能な電力量を第1のアグリゲーション装置102に送信する。この供給可能な電力量の算出方法の詳細は、後述する。
【0069】
<ハードウェア構成>
図12は、第1の実施形態の第1のアグリゲーション装置102、第2のアグリゲーション装置101、カーナビゲーション端末201B、および携帯端末201Cのハードウェア構成を示す図である。第1のアグリゲーション装置102、第2のアグリゲーション装置101、カーナビゲーション端末201B、および携帯端末201Cは、それぞれ、コンピュータ装置100により構成される。コンピュータ装置100は、CPU151と、入力インタフェース152と、表示装置153と、通信装置154と、主記憶装置155と、外部記憶装置156とを備え、これらはバス157により相互に接続されている。
【0070】
CPU(中央演算装置)151は、主記憶装置155上で、第1のアグリゲーション装置102、第2のアグリゲーション装置101、カーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cの上述の各機能構成を実現するコンピュータプログラムを実行する。CPU151が、コンピュータプログラムを実行することにより、各機能構成は実現される。
【0071】
入力インタフェース152は、キーボード、マウス、およびタッチパネル等の入力装置からの操作信号を、第1のアグリゲーション装置102、第2のアグリゲーション装置101、カーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cに入力するための回路である。
【0072】
表示装置153は、第1のアグリゲーション装置102、第2のアグリゲーション装置101、カーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cから出力されるデータまたは情報を表示する。表示装置153は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、CRT(ブラウン管)、およびPDP(プラズマディスプレイ)であるが、これに限られない。コンピュータ装置100から出力されたデータまたは情報は、この表示装置153により表示することができる。
【0073】
通信装置154は、第1のアグリゲーション装置102、第2のアグリゲーション装置101、カーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cが外部装置と無線または有線で通信するための回路である。通信装置154を介して外部装置から情報を入力することができる。外部装置から入力した情報を、DBに格納することができる。通信部11は、通信装置154上に構築されることができる。
【0074】
主記憶装置155は、本第1の実施形態の処理を実現するプログラム、およびプログラムの実行に必要なデータ、およびプログラムの実行により生成されたデータ等を記憶する。プログラムは、主記憶装置155上で展開され、実行される。主記憶装置155は、例えば、RAM、DRAM、SRAMであるが、これに限られない。各第1の実施形態における記憶部は、主記憶装置155上に構築されてもよい。
【0075】
外部記憶装置156は、上記プログラムおよびプログラムの実行に必要なデータ、およびプログラムの実行により生成されたデータ等を記憶する。これらのプログラムやデータは、本第1の実施形態の処理の際に主記憶装置155に読み出される。外部記憶装置156は、例えば、ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、および磁気テープであるが、これに限られない。各第1の実施形態における記憶部は、外部記憶装置156上に構築されてもよい。
【0076】
なお、上述のプログラムは、コンピュータ装置100に予めインストールされていてもよいし、CD-ROM等の記憶媒体に記憶されていてもよい。また、当該プログラムは、インターネット上にアップロードされていてもよい。
【0077】
また、コンピュータ装置100は、CPU151、入力インタフェース152、表示装置153、通信装置154、および主記憶装置155を、それぞれ1つまたは複数備えてもよいし、プリンタやスキャナ等の周辺機器を接続されていてもよい。
【0078】
また、第1のアグリゲーション装置102、第2のアグリゲーション装置101、カーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cは、単一のコンピュータ装置100により構成されてもよいし、相互に接続された複数のコンピュータ装置100からなるシステムとして構成されてもよい。
【0079】
<動作の説明>
次に、本実施形態の動作を説明する。
まず、アグリゲーションシステム1が実行するEV電力アグリゲーション処理の全体の流れを
図13に基づいて説明する。
図13は、第1の実施形態のEV電力アグリゲーション処理の一例を示すフローチャートである。
【0080】
アグリゲーションシステム1は、余剰電力情報収集処理を行なう(S1)。余剰電力情報収集処理は、VPPアグリゲータ1000が管理する電力網において電力が不足すると予想される場合に、EV500の運転車に売電を呼びかけて、EV500の余剰電力のうち電力網に供給可能な量を集計する処理である。
【0081】
<余剰電力情報収集処理>
図14を参照して余剰電力情報収集処理を詳細に説明する。
図14は、第1の実施形態の余剰電力情報収集処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下では、第2のアグリゲーション装置101と通信を行なう端末装置として携帯端末201Cの例が示されているが、第2のアグリゲーション装置101と通信を行なう端末装置は、カーナビゲーション端末201Bであってもよい。
【0082】
第1のアグリゲーション装置102の電力管理部131は、例えば、発電事業者1003から電力の供給量と、需要家1005の使用予測量から、自己が管理する電力網の電力が不足するかを算出する(S701)。電力管理部131は、自己の電力網の電力が不足すると算出した場合に、EV500の余剰電力の提供が必要と判定する(S701:Yes)。一方、電力管理部131は、自己の電力網の電力が不足しない算出した場合に、EV500の余剰電力の提供は不要であると判定する(S701:No)。
【0083】
電力管理部131は、EV500の余剰電力が必要であると判定した場合には(S701:Yes)、供給可能な電力量の送信を要求する要求情報を第2のアグリゲーション装置101に送信する(S702)。一方、電力管理部131は、EV500の余剰電力は不要であると判定した場合には(S701:No)、要求情報を送信しない。
【0084】
第2のアグリゲーション装置101の要求情報受信部71が、要求情報を受信すると(S711)、第2のアグリゲーション装置101の算出用情報取得部81が、算出用情報であるEV500に関する情報を取得する(S712)。EV500に関する情報は、例えば、予測モデルの特徴量である電池残量、カタログ電費や、乗車人数、荷物の重量等がある。また、EV500の情報は、EVの目的地に対する基準地点も含まれる。基準地点は、EV500の出発地やEV500の現在地である。具体的に、算出用情報取得部81は、例えばEV500の電池残量、EV500の基準点、およびEV500の目的地をカーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cから取得する。
【0085】
また、算出用情報取得部81は、道路管制情報管理部16から交通状況に関する情報を取得する(S713)。交通状況に関する情報は、例えば、予測モデルの特徴量である渋滞予測情報等である。なお、予測モデルの特徴量に、交通需要予測情報が設定されている場合には、算出用情報取得部81は、道交通需要予測情報も道路管制情報管理部16から取得する。
【0086】
次に、第2のアグリゲーション装置101の余剰電力判定部82が、EV500の電力消費量の予測およびEV500の余剰電力の算出を行なう(S714)。
【0087】
<EV500の電力消費量の予測およびEV500の余剰電力の算出例>
図15を用いて、第2のアグリゲーション装置101の余剰電力判定部82が、EV500の電力消費量の予測およびEV500の余剰電力の算出を行なう具体例を説明する。供給地点A、B、C、D、E、F、G(以下、地点A~G)が、道路に配置されている。これらの地点A~Gは、EV500の目的地(目的IC)までのある経路に沿って配置されたSA/PAである。EV500は、地点Cで充電を行っており、充電完了後の電池残量(SOC(State Of Charge)でもよい)を、充放電装置情報、カーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cから取得する情報から走行状態管理部51は把握している。電池残量をEaと表す。また、走行状態管理部51は、カーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201CのGPSからEV500の速度および時刻の情報を取得できる。EV500は、現在走行中であり、地点DとEとの間に位置している。2つの供給地点XとYの区間を、区間XYを記載する。走行状態管理部51は、EV500が現在の位置にいるときに、区間CD、区間DE、区間EF、区間FGの消費電力量を計算する例を示す。予測モデルに用いる特徴量の例として、区間の速度(平均速度)、区間の走行に要した走行時間を用いる。
【0088】
区間CDはEV500がすでに走行した過去の区間である。区間CDの走行距離DIScd、および地点Dから現在位置Nまでの走行距離DISdnは、地図情報から把握できる。地点Cで充電完了した時刻は、充放電装置情報、カーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cから取得した情報から把握できる。現在位置での時刻は第2のアグリゲーション装置101の内部のタイマーから取得できる。したがって、地点Cで充電完了した時刻を地点Cの出発時刻とみなせば、地点Cから現在位置Nまでの走行に要した時間tcnを計算できる。なお、EV500のGPSから取得する情報に基づき、EV500が地点Cを出発した時刻を決定してもよい。地点Cから地点Dまでの走行速度(平均速度)vcdを、(DIScd+DISdn)/tcnとして計算すると、区間CDの走行に要した時間tcdは、DIScd*vcdにより計算できる。よって、vcd、tcdおよびその他の必要な特徴量を予測モデルに入れて、区間CDの消費電力量(^ycd)を計算(推定)できる。なお、地点Dを走行時の時刻を取得できている場合は、区間CD間の距離を、地点Cから地点Dまでの走行に要した時間で除算することにより、vcdを計算してもよい。
【0089】
区間DEは、EV500が既に走行した区間(過去の区間)DNと、まだ走行していない区間(未来の区間)NEとを含む。区間DNの速度vdnを、区間CDと同様に、(DIScd+DISdn)/tcnとして計算すると、区間DNの走行に要した時間tdnは、DISdn*vdnにより計算できる。また、区間NEの速度vneとして、当該区間に配置されているトラフィックカウンタ(TC)の値を利用する。例えばTCの速度の最新値でもよいし、過去一定期間(例えば30分)の平均でもよい。区間NEの走行に要する時間tneは、DISne/vneにより計算できる。DISneは、区間NEの距離である。よって、区間DEの走行に要する時間tdeは、tdn+tneにより計算できる。また、区間DEの走行速度(平均速度)vdeは、(DISdn+DISne)/tdeにより計算できる。なお、DISdn+DISneの代わりに、区間DEの距離DISdeを地図情報から直接取得してもよい。よって、vde、tdeおよびその他の必要な特徴量を予測モデルに入れて、区間DEの消費電力量(^yde)を計算(予測)できる。また、vde、tdeおよびその他の必要な特徴量を予測モデルに入れて、区間DEにおける供給地点Dから現在位置Nまでの消費電力量を計算できる。したがって、地点Cでの電池残量から、区間CDの消費電力と、供給地点Dから現在位置Nまでの消費電力量を、を減算することにより、現在位置Nでの電池残量が得られる。
【0090】
区間EFは、EV500がまだ走行していない区間(未来の区間)である。区間EFの速度vefは、当該区間に配置されているトラフィックカウンタ(TC)の値を利用する。例えばTCの速度の最新値でもよいし、過去一定期間(例えば30分)の平均でもよい。区間EFの走行に要する時間tefは、DISef/vefにより計算できる。よって、vef、tefおよびその他の必要な特徴量を予測モデルに入れて、区間EFの消費電力量(^yef)を計算(予測)できる。
【0091】
区間FGは、EV500がまだ走行していない区間(未来の区間)である。よって、区間FGの消費電力量(^yfg)は、区間FGと同様にして計算(予測)できる。
【0092】
以上のようにして、未来の区間のEV500の消費電力量を計算(予測)できる。よって、EV基準地点での電池残量から未来の区間のEV500の消費電力量を減算することにより、EV500の目的地での余剰電力量が得られる。
【0093】
図14に戻って、第2のアグリゲーション装置101の余剰電力判定部82は、EV500に余剰電力が有るかを判定する(S715)。余剰電力判定部82は、EV500の電力の残量からEV500の目的地に到達するのに必要な電力の量を引いて、EV500の電力の残量とEV500の目的地に到達するのに必要な電力の量との差分値を得る。上記の差分値が零よりも大きい場合は、その差分値がEV500の余剰電力である。差分値が零以下の場合には、EV500に余剰電力はない。余剰電力判定部82は、上記の差分値が零以下の場合には、EV500に余剰電力はないと判定する。したがって、一例として、余剰電力判定部82は、上記差分値が零よりも大きい場合に、EV500に余剰電力があると判定し(S715:Yes)、上記差分値が零以下の場合に、EV500には余剰電力がないと判定する(S715:No)。なお、他の一例として、余剰電力判定部82は、上記差分値が規定の正の値よりも大きい場合に、EV500に余剰電力があると判定し、上記差分値が規定の正の値以下の場合に、EV500には余剰電力がないと判定してもよい。すなわち、余剰電力判定部82は、上記差分値が零以上の規定の値よりも大きい場合に、EV500に余剰電力があると判定し、上記差分値が当該規定の値以下の場合に、EV500には余剰電力がないと判定してもよい。余剰電力判定部82は、算出部とも称される。
【0094】
余剰電力判定部82によってEV500に余剰電力が有ると判定された場合には(S715:Yes)、第2のアグリゲーション装置101の通知情報送信部84が、余剰電力が有ると判定されたEV500と関連付けされた携帯端末201Cに、売電レコメンド情報を送信する(S716)。売電レコメンド情報には、余剰な電力の提供を勧める情報の他に、余剰電力量情報、対価情報、売電受付場所情報を含む。余剰電力量は、余剰電力判定部82によって算出された余剰電力量を示す情報である。
【0095】
売電受付場所情報は、余剰な電力の提供を受け付ける場所を示す場所情報である。余剰な電力の提供を受け付ける場所は、例えば、EV500の基準地点と目的地との間、すなわち目的地の手前のエネルギー供給地点である。この場所は、例えば、余剰電力判定部82が決定してもよいし、通知情報送信部84が決定してもよいし、走行状態管理部51が決定してもよい。このとき、EV500の基準地点と目的地との間に複数のエネルギー供給地点が有る場合には、当該複数のエネルギー供給地点全てを通知しもよいし、当該複数のエネルギー供給地点のうち任意の一つを通知しもよい。上記のエネルギー供給地点を決定する構成(余剰電力判定部82、通知情報送信部84、または走行状態管理部51)は、決定部とも称される。対価情報は、電力の提供(売電)に対する対価を示す情報である。対価は、例えば、金銭である。
【0096】
一方、余剰電力判定部82によってEV500に余剰電力が無いと判定された場合には(S715:No)、第2のアグリゲーション装置101は、S718に進む。
【0097】
携帯端末201Cは、第2のアグリゲーション装置101から売電レコメンド情報を受信すると(S721)、UI部431が、売電レコメンド情報を表示や音声によって報知する(S722)。ユーザは、報知された売電レコメンド情報を確認し、携帯端末201Cを操作して、売電(余剰電力の放電)するか否か、すなわち、売電(余剰電力の放電)の申し込みをするか否かを示す応答情報を携帯端末201Cに入力する。携帯端末201Cは、入力された応答情報を第2のアグリゲーション装置101に送信する(S723)。
【0098】
第2のアグリゲーション装置101は、応答情報を受信すると(S717)、応答部86が応答情報に基づいて供給可能な電力量を集計(算出)する(S718)。具体的には、応答情報にて売電する旨を示した各携帯端末201Cに関連付けされたEV500の余剰電力の合計値を算出して、当該合計値を供給可能な電力量とする。そして、応答部86は、供給可能な電力量(情報)を第1のアグリゲーション装置102に送信する(S719)。
【0099】
第1のアグリゲーション装置102は、第2のアグリゲーション装置101から送信された供給可能な電力量を受信する(S703)。
【0100】
なお、S712~S717、S721~S723の処理は、EV500毎に行なわれる。すなわち、処理の対象のEV500が複数存在する場合には、S712~S717、S721~S723の処理は、複数のEV500に対して行なわれる。これにより、複数のEV500の蓄電池202(電力)を群として管理することができる。
【0101】
<対価実行処理>
図13に戻って、余剰電力情報収集処理(S1)の後に、対価実行処理を行なう(S2)。この対価実行処理の一例を
図16に基づいて説明する。
【0102】
図16は、第1の実施形態の対価実行処理の一例を示すフローチャートである。
図14の例と同様に、以下では、第2のアグリゲーション装置101と通信を行なう端末装置として携帯端末201Cの例が示されているが、第2のアグリゲーション装置101と通信を行なう端末装置は、カーナビゲーション端末201Bであってもよい。
【0103】
対価実行処理の前提として、携帯端末201Cに売電(余剰電力の放電)する旨の応答情報を入力したユーザが、売電レコメンド情報によって指定されたエネルギー供給地点の充放電装置221にEV500の蓄電池202を接続して、充放電装置221に対して、放電操作を行なう。この操作にて放電量すなわち売電量が指定される。これにより、充放電装置221が指定された放電量分だけ蓄電池202の放電を行なう(S801)。蓄電池202から放電(出力)された電力は、電力網に供給される。このとき、充放電装置221は、接続された蓄電池202を搭載したEV500の識別情報をEV500から取得する。充放電装置221は、蓄電池202の放電が完了すると、第2のアグリゲーション装置101に放電情報を送信する(S802)。放電情報には、蓄電池202の放電をしたEV500の識別情報、放電量、日時等を含む。
【0104】
第2のアグリゲーション装置101は、放電情報を受信すると(S811)、対価提供部85が対価提供処理を実行する(S812)。具体的には、対価提供部85は、電力提供の対価である金銭を、ユーザによって予め指定(登録)された金融機関の口座に振り込む振り込み処理を実行する。当該金銭は、例えば、VPPアグリゲータ1000がEV500から提供される電力の販売先への販売によって得る利益から、ユーザに対して支払われる。
【0105】
次に、第2のアグリゲーション装置101は、放電情報によって特定されるEV500に関連付けされた携帯端末201Cに対価情報を送信する(S813)。対価情報は、対価を示す情報であり、本実施形態では、対価としての金銭の金額を含む情報である。
【0106】
携帯端末201Cは、対価情報を受信すると(S821)、対価情報を表示や音声等によって出力する。
【0107】
以上のように、本第1の実施形態では、第2のアグリゲーション装置101は、算出用情報取得部81と、余剰電力判定部82と、通知情報送信部84と、を備える、算出用情報取得部81は、蓄積した電力によって移動可能なEV500(移動体)の電力の残量およびEV500が当該EV500の目的地に到達するのに必要な電力の量を含む算出用情報を取得する。余剰電力判定部82は、算出用情報取得部81によって取得された算出用情報に基づいて、目的地までのEV500の移動に対して余剰なEV500の電力が有るかを判定する。通知情報送信部84は、余剰電力判定部82によって前記余剰な電力が有ると判定されたEV500と関連付けされたカーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201C(端末装置)に、余剰な電力の提供を勧める売電レコメンド情報(通知情報)を送信する。よって、本第1の実施形態によれば、よって、ユーザにカーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cを介してEV500の余剰な電力の提供を勧めることができるので、EV500の余剰電力の有効活用の促進を図ることができる。
【0108】
また、売電レコメンド情報は、電力の提供に対する対価を示す対価情報を含む。よって、ユーザにカーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cを介して対価情報を知らせることができる。
【0109】
また、第2のアグリゲーション装置101は、対価を提供するための対価提供処理を行なう対価提供部85を備える。よって、ユーザに対価を提供することができる。
【0110】
また、売電レコメンド情報は、余剰な電力の提供を受け付ける場所を示す場所情報を含む。よって、ユーザにカーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cを介して余剰な電力の提供を受け付ける場所を知らせることができる。
【0111】
また、通知情報送信部84は、第1のアグリゲーション装置102から送信された、供給可能な電力量の送信を要求する要求情報、を受信した場合に、売電レコメンド情報を送信する。よって、第1のアグリゲーション装置102が要求情報を送信することにより、売電レコメンド情報がユーザにカーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cを介して知らされる。
【0112】
また、第2のアグリゲーション装置101は、売電レコメンド情報に対するカーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cからの応答に基づいて、供給可能な電力量を算出し、算出した前記供給可能な電力量を第1のアグリゲーション装置102に送信する応答部86を備える。よって、第1のアグリゲーション装置102が、供給されうる電力量を把握することができる。また、VPPアグリゲータ1000は、道路上のEV500の余剰電力を活用することができる。
【0113】
また、例えば、EV500から売電(放電)された電力が他のEV500の充電に使用されることにより、他のEV500の電欠が抑制される。よって、電欠の心配の少ない快適な道路ネットワークを提供することができる。
【0114】
また、例えば、道路の周囲で災害が発生した場合には、当該災害が発生した自治体に、EV500から売電(放電)された電力を共有することができる。よって、道路周辺の自治体に貢献することができる。
【0115】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態は、EVユーザ管理事業者1001に蓄電池が設けられている実施形態である。
図17は、第2の実施形態のアグリゲーションシステムの概要構成ブロック図である。
図17は、
図1と比較すると、EVユーザ管理事業者1001に蓄電池600が設けられている点が異なる。蓄電池600は、電力網と接続されている。蓄電池600は、EV500の売電された余剰電力が電力網を介して供給される。すなわち、蓄電池600は、EV500から出力された余剰電力を蓄電する。蓄電池600は、電力バッファの一例である。
【0116】
図18は、第2の実施形態のアグリゲーションシステムが実行する余剰電力情報収集処理の一例を示すフローチャートである。
また、
図18に示されるように、本実施形態は、余剰電力情報収集処理の一部が第1の実施形態と異なる。第2のアグリゲーション装置101は、EV500に余剰電力が有ると判定した場合には(S715:Yes)、電力量のバランスを計算する(S731)。具体的には、第2のアグリゲーション装置101は、VPPアグリゲータ1000からの電力要求量を賄える電力量が蓄電池600にあるかを計算する。第2のアグリゲーション装置101は、VPPアグリゲータ1000からの電力要求量を賄える電力量が蓄電池600に無い場合、すなわち蓄電池600の電力量で足りない場合に(S732:Yes)、売電レコメンド情報を送信する(S716)。
【0117】
一方、第2のアグリゲーション装置101は、VPPアグリゲータ1000からの電力要求量を賄える電力量が蓄電池600に有る場合、すなわち蓄電池600の電力量で足りる場合には(S732:No)、売電レコメンド情報を送信せずに、S718に進む。
【0118】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。本実施形態は、ネガワット取引が行なわれる実施形態である。
ネガワット取引とは、需要家1005がアグリゲータ(VPPアグリゲータ1000、リソースアグリゲータ1004A)等との事前の契約に基づき、電気のピーク需要のタイミングで節電を行う、インセンティブ型の下げデマンドレスポンスのことを言う。
【0119】
図19は、第3の実施形態のアグリゲーションシステムの概要構成ブロック図である。
図19は、
図1と比較すると、自然エネルギー発電事業者1008が設けられている点が異なる。自然エネルギー発電事業者1008は、自然エネルギー(太陽光、風力、波力、地熱等)によって発電を行なう事業者である。
【0120】
自然エネルギーによる発電は、発電量が安定しないため、電力需給バランスが、逼迫するときや、過剰のときがある。すなわち、電力需給バランスが、エリア毎や時間毎に顕著に変動するときがある。
【0121】
このため、本実施形態では、電力需給において電力網の電力が逼迫する場合には、すなわち、発電量より需要量の方が大きくなる場合には、例えば、ユーザがEV向けのナビシステムサービスによってある充電地点(充放電装置221A~221N)による充電の予約を取っていたとしても、当該充電を見送ってもらう。また、当該ユーザに、充電を行なう充電地点(場所)を別の充電地点に変更してもらったり、充電時間を待ってもらったり、電力需給バランスが逼迫する時間が終了するまで、充電を待ってもらう等をしてもらってもよい。EVユーザ管理事業者1001の第2のアグリゲーション装置101は、ユーザの端末装置(カーナビゲーション端末201B、携帯端末201C)に対して、上記要請内容を示す情勢情報を送信(通知)する。以上のように、本実施形態では、電力網において発電量より需要量の方が大きくなる場合、第2のアグリゲーション装置101は、端末装置(カーナビゲーション端末201B、携帯端末201C)に、EV500の蓄電池202への充電の時期と当該充電の場所との少なくとも一方の変更を要請する要請情報を送信する。
【0122】
また、本実施形態では、電力需給において電力網の電力が過剰のとき場合には、すなわち電力網において発電量より需要量の方が小さくなる場合には、EV500への充電に対するインセンティブとして、充電料金に対する大きい割引を行うことにより、充電を要請する。この要請において、例えばEV向けのナビシステムサービスのユーザ(会員)には、ほぼ無料に近い価格で充電させてもよい。この場合、EVユーザ管理事業者1001の第2のアグリゲーション装置101は、ユーザの端末装置(カーナビゲーション端末201B、携帯端末201C)に対して、上記要請内容を示す要請情報を送信(通知)する。このとき、要請情報の送信対象(通知対象)は、所定の対象のエリアに入ってくるEV500に対してのみであってよく、当該所定のエリアから出て行くEV500は送信対象でなくてよい。このように、本実施形態では、電力網において発電量より需要量の方が小さくなる場合、第2のアグリゲーション装置101は、端末装置(カーナビゲーション端末201B、携帯端末201C)に、EV500の蓄電池202への充電を要請する要請情報を送信する。
【0123】
また、本実施形態では、例えば、電力が過剰になると予想される場合に、EVユーザ管理事業者1001の第2のアグリゲーション装置101は、カーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cに、電力の提供を断わる情報(推奨しない情報)を送信する。電力の提供を断わる情報は、電力の放電をしないことを要求する情報である。この場合、例えば、「○○:○○~△△:△△の時間帯(ある時間帯)は放電しないで下さい」を示す情報をカーナビゲーション端末201Bまたは携帯端末201Cに送信してもよい。すなわち、VPPビジネスにおけるネガワット取引に関する情報を送信してもよい。
【0124】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について説明する。
図20は、第4の実施形態のアグリゲーションシステムの概要構成ブロック図である。
本実施形態は、
図20に示されるように、道路事業者1002(
図1)に替えて位置情報ASP(Application Service Provider)サービス事業者1009が設けられた実施形態である。位置情報ASPサービス事業者1009は、位置情報事業者の一例である。
【0125】
位置情報ASPサービス事業者1009は、インターネットサービスでEV500の位置を認識(把握)する事業者である。位置情報ASPサービス事業者1009は、例えば、地図情報を有するとともに、GPS(Global Positioning System)のデータに基づきEV500の位置を特定するシステム(装置)を有する。位置情報ASPサービス事業者1009のシステムは、EV500の位置を示す位置情報をEVユーザ管理事業者1001の第2のアグリゲーション装置101に送信(提供)する。これにより、第2のアグリゲーション装置101の算出用情報取得部81が、位置情報ASPサービス事業者1009からEV500の位置を取得することができる。
【0126】
<第5の実施形態>
次に、第5の実施形態について説明する。本実施形態は、第4の実施形態においてEV500にSOC(State Of Charge)自動通知機能を追加した実施形態である。
【0127】
SOC自動通知機能は、EV500の蓄電池202の残容量(SOC)を自動的に検出し、検出した蓄電池202の電力の残量である残容量を示す情報を、端末装置(カーナビゲーション端末201B、携帯端末201C)等を介して、EVユーザ管理事業者1001の第2のアグリゲーション装置101に通知(送信)する機能である。この機能は、例えば、EV500に設けられた装置によって実現される。第2のアグリゲーション装置101(算出用情報取得部81)は、EV500から送信された、当該EV500の蓄電池202の残容量を示す情報を、受信する。
【0128】
このように位置情報ASPサービス事業者1009とSOC自動通知機能とをと組み合わせることで、第2のアグリゲーション装置101が、EV500の位置とEV500の蓄電池202の残量とを逐次把握できるので、端末装置(カーナビゲーション端末201B、携帯端末201C)に、売電レコメンド情報を送信(売電募集の通知)できる。
【0129】
<第6の実施形態>
次に、第6の実施形態について説明する。本実施形態は、EV500の蓄電池202から放電された電力が、道路事業者1002が自ら使用する電力に充当される実施形態である。
【0130】
本実施形態では、第2のアグリゲーション装置101の通知情報送信部84は、高速道路等の道路に設置された照明や電光掲示板、路側装置223、ITSスポット224等の設備に電力を供給するために、第1のアグリゲーション装置102からの要求情報の送信が無くても、売電レコメンド情報を送信する。そして、EV500の蓄電池202から放電された電力は、高速道路等の道路に設置された設備に供給される。よって、例えば、道路の設備の電力消費のピーク時に、EV500の蓄電池202から放電された電力を当該設備に供給することにより、当該ピーク時の電力消費量を下げることができる。これにより、例えば、道路事業者1002が電力会社と契約している電力料金(契約料金、基本料金)を下げることができうる。このように、本実施形態では、EV500の蓄電池202から電力網に供給された電力が道路事業者1002の設備に供給される。
【0131】
<変形例>
また、上記各実施形態では、第2のアグリゲーション装置101が、EVユーザ管理事業者1001に設置されている例が示されたが、これに限定されない。例えば、第2のアグリゲーション装置101は、道路事業者1002に設置されてもよい。すなわち、道路事業者1002がEVユーザ管理事業者1001を兼ねてもよい。
【0132】
また、上記各実施形態では、VPPアグリゲータ1000とEVユーザ管理事業者1001とが、別々の事業者の例が示されたが、これに限定されない。例えば、VPPアグリゲータ1000とEVユーザ管理事業者1001とは、一つの事業者が兼ねてもよい。すなわり、VPPアグリゲータ1000の事業とEVユーザ管理事業者1001の事業とが、一つの事業者によって運営されてもよい。
【0133】
また、上記各実施形態では、VPPアグリゲータ1000による電力の買取金額、すなわち余剰電力の提供に対する対価としての金銭の額が、固定である例が示されたが、これに限定されない。例えば、VPPアグリゲータ1000による電力の買取金額は、需給バランスに応じて変化してもよい。例えば、VPPアグリゲータ1000が欲する電力量(不足分電力量)が大きい程、買取金額が大きくなってもよいし、電力の提供を受けるタイミング(期限)に近い程、買取金額が大きくなってもよい。
【0134】
また、上記各実施形態では、余剰電力の提供に対する対価として金銭の例が示されたがこれに限定されない。例えば、対価は、道路の通行料を減額したり無料にすることであってもよい。また、対価は、充放電装置221における次回以降のEV500の充電の料金を減額したり無料にすることであってもよい。また、対価は、道路の走行距離等に応じてマイレージ(ポイント)が付与されるマイレージ制度(ポイント制度)が有る場合には、当該マイレージ(ポイント)の付与であってもよい。また、対価は、サービスやパーキングエリア等での飲食物の無償提供や割引であってもよい。また、対価は、個人に対するものであってもよいし、法人(企業、団体)に対するものであってもよい。法人としては、例えば、運送会社等を挙げることができる。この場合、EV500であるトラックでの荷物の配送途中で売電(放電)を行なって、配送が完了してトラックが会社に戻るまでの間に充放電装置221によって充電してもよい。
【0135】
また、上記売電におきるユーザとの契約対象は、VPPアグリゲータ1000、EVユーザ管理事業者1001、道路事業者1002のいずれであってもよい。
【0136】
また、上記各実施形態では、移動体がEV500の例が示されたが、これに限定されない。例えば、移動体は、ハイブリッド車、飛行機、ドローン、電動バイク、船等であってもよい。移動体が飛行機またはドローン等の場合には、上記各実施形態の道路を航空路、船であれば航路と読み替えればよい。
【0137】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0138】
1…アグリゲーションシステム、71…要求情報受信部、81…算出用情報取得部、82…余剰電力判定部、84…通知情報送信部、86…応答部、101…第2のアグリゲーション装置(アグリゲーション装置)、102…第1のアグリゲーション装置(他のアグリゲーション装置)、201B…カーナビゲーション端末(端末装置)、201C…携帯端末(端末装置)、202…蓄電池、600…蓄電池、1002…道路事業者、1009…位置情報ASPサービス事業者(位置情報サービス事業者)。