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  • 特許-多目的スペース提供システム及び施設 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】多目的スペース提供システム及び施設
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231030BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20231030BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
G06Q50/10
F21V23/00 140
G08G1/14 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019143281
(22)【出願日】2019-08-02
(65)【公開番号】P2021026459
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】町井 章
(72)【発明者】
【氏名】國嶋 匡
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-310560(JP,A)
【文献】特開2008-310559(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0297740(US,A1)
【文献】特開2002-286471(JP,A)
【文献】特開2015-069561(JP,A)
【文献】国際公開第2019/138763(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/14
F21V 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービス提供の対象となるスペースの中から抽出された領域と、利用目的及び日時の情報とを対応付けた利用情報を管理する管理装置と、
前記利用情報に基づいて、所定の時刻において前記領域に対して前記利用目的に応じた発光パターンを表示する表示装置と、を備え
前記スペースを撮像するカメラを更に備え、
前記管理装置は、前記カメラにより撮像された撮像データに基づいて前記領域の利用目的に応じた混雑度を算出し、前記領域が利用される時刻において前記領域の前記混雑度が基準以上である場合、前記領域に進入予定の対象に混雑情報を通知すると共に、前記スペースの中から空きスペースとなる他の領域又は他の施設を抽出し、前記他の領域を又は前記他の施設を利用させるように前記利用情報を更新することを特徴とする、
多目的スペース提供システム。
【請求項2】
前記管理装置は、前記利用情報に基づいて前記スペースを複数の小領域に分割して管理し、前記利用目的に応じて前記小領域の数を変化して前記領域を設定する、
請求項1に記載の多目的スペース提供システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の多目的スペース提供システムを備える施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転車両を利用したサービスを提供する多目的スペース提供システム及び施設に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転車両を利用した様々なサービスが研究されている。例えば、自動運転車両を利用すれば、需要者が望む時間に所定の場所に車両を配車するというオンデマンド型の配車サービスを提供できる。例えば、特許文献1には、カーシェアリングに用いられる車両を所定の駐車スペースに配車するサービスを提供することについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-102055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の乗降空間は人と車両の衝突を避けるため、人が待機するスペース、車両が走行する通路、及び駐車スペースは、それぞれ予め定められた領域に分離されている。しかしながら、従来の乗降空間は、人車のゾーン、ルートが固定されると共に、需要が高い時間帯に利用されているが、需要が低い時間帯には利用されていないなど、時間帯やニーズの状況の変化に対応して有効に利用されていないという課題がある。
【0005】
本発明は、車両と人とが存在する屋内外に設けられたスペースの利用効率を向上させる多目的スペース提供システム及び施設を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達するために、本発明は、サービス提供の対象となるスペースの中から抽出された領域と、利用目的及び日時の情報とを対応付けた利用情報を管理する管理装置と、前記利用情報に基づいて、所定の時刻において前記領域に対して前記利用目的に応じた発光パターンを表示する表示装置と、を備え、前記スペースを撮像するカメラを更に備え、前記管理装置は、前記カメラにより撮像された撮像データに基づいて前記領域の利用目的に応じた混雑度を算出し、前記領域が利用される時刻において前記領域の前記混雑度が基準以上である場合、前記領域に進入予定の対象に混雑情報を通知すると共に、前記スペースの中から空きスペースとなる他の領域又は他の施設を抽出し、前記他の領域を又は前記他の施設を利用させるように前記利用情報を更新することを特徴とする多目的スペース提供システムである。
【0007】
本発明によれば、施設内のスペースを日時に応じて利用目的を変えて管理すると共に、利用目的に応じて発光パターンで区切ることができ、車両と人とが存在する屋内外に設けられたスペースの利用効率を向上させることができる。
また、スペースに含まれる利用対象となる領域が使用開始時刻においても使用中であると判定された場合は、スペースの未使用の他の領域の中から空きスペースを抽出して利用対象となる領域を新たに設定し直すことができるため、状況に応じてスペースの利用効率を向上させることができる。
【0008】
また、本発明は、前記管理装置が前記利用情報に基づいて前記スペースを複数の小領域に分割して管理し、前記利用目的に応じて前記小領域の数を増減して前記領域を設定するように構成されていてもよい。
【0009】
本発明によれば、スペースを小領域に分割して管理することにより、利用目的に応じた自由なレイアウトに変更することができる。
【0014】
また、本発明は、上記に記載の多目的スペース提供システムを備える施設であってもよい。
【0015】
本発明によれば、施設内に設けられたスペースの利用効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車両と人とが存在する屋内外に設けられたスペースの利用効率を向上させる多目的スペース提供システム及び施設を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る多目的スペース提供システムの構成を示す図である。
図2】多目的スペース提供システムが有する管理装置の構成を示すブロック図である。
図3】スケジュール情報の内容の一例を示す図である。
図4】利用情報の内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る多目的スペース提供システムの実施形態について説明する。
【0019】
図1に示されるように、多目的スペース提供システムは、広場的に利用されるスペースSに管理用の管理装置10により管理された自動運転の車両Mを配車するサービスを提供するものである。ユーザUは、スマートフォン等の端末装置Dを操作して車両Mの配車の予約を行い、車両Mを呼び出す。車両Mは、手動運転車両であってもよい。そして、安全を確保するために車両MがスペースSに入場する一定時間前からスペースSの舗装面H上の指定場所に車両Mの進入路、回転スペース乗降スペース等の表示パターンが表示装置Rにより表示される。また、車両Mの利用が連続する場合は表示パターンが一定時間継続して表示される。
【0020】
車両Mは、スペースS外の保管場所や近隣の路上から自動運転によりスペースSを利用する。スペースSは、ユーザUが移動用の車両Mを乗降する配送用の車両Mで荷下ろしや荷揚げを行う等、利用目的が固定されていない多目的な空間である。スペースSは、例えば、人及び車両Mが入場可能な施設Pであり、ビルや駅等の建物内に構築されている。スペースSは、公園等の屋外の施設Pであってもよい。
【0021】
スペースSの床面には、平坦な舗装面Hが施工されている。スペースSには、乗降スペース、車両が走行する通路及び駐車スペース等の目的毎の領域は特に定められていない。即ち、舗装面Hは、ライン、段差、色分け等により領域の区別がされていない。
【0022】
スペースSの近傍には、舗装面Hに光線を投射する表示装置Rが設けられている。表示装置Rは、スペースSが屋内であれば天井等のスペースSが見渡せる場所に設置され、スペースSが屋外であればスペースSが見渡せるようにポール等を設けて設置される。また、スペースSが屋外の場合は、スペースSに投射効果を確保するための直射光を遮るための屋根、庇等を設けてもよい。
【0023】
表示装置Rは、LED光源やレーザ光源により、舗装面Hや壁面に視認性の高い光線を投射して表示する装置である。表示装置Rは、直線の他、円環、円弧、矢印、文字、模様等の任意の発光パターンを投射できる。表示装置Rは、スペースSの大きさに応じて複数個設けられていてもよい。表示装置Rは、乗降スペース、車両が走行する通路及び駐車スペース等の目的毎の領域Aを区別するための光線を色や線種等の発光パターンを変えて舗装面Hに照射する。
【0024】
表示装置Rの他に、スペースSには、ユーザUや車両Mの状態を監視するためのカメラCが設けられていてもよい。カメラCは、スペースSの大きさに応じて複数個設けられていてもよい。
【0025】
表示装置Rは、ネットワークW等により接続された管理用の管理装置10により制御される。また、カメラCで撮像された撮像データは、管理装置10に送信される。管理装置10は、表示装置Rを制御して、時間帯、ユーザUの利用状態、車両Mの供給状態等の状況に応じて領域Aを変化させて投射させる。管理装置10は、例えば、スペースSを所有する施設の管理者や車両Mの配車サービスを提供する業者により管理される。管理装置10は、例えば、スペースSが構築された施設P内に設けられている。管理装置10は、ネットワークWを介して施設P外に設置されていてもよい。
【0026】
図2に示されるように、管理装置10は、例えば、情報を送受信する送受信部12と、スペースSの利用に関するスケジュールを管理する管理部14と、スケジュールやスペースSの状況に基づいて表示装置Rを制御する制御部16と、スケジュールに関するスケジュール情報を記憶する記憶部18と、スペースSの利用状況を表示する表示部20とを備える。管理装置10は、パーソナルコンピュータ、タブレット型端末、スマートフォン等の端末装置により実現される。
【0027】
送受信部12は、ネットワークWに接続された通信インタフェースである。送受信部12は、カメラCから情報を取得すると共に、表示装置Rに制御情報を送信する。また、送受信部12は、ユーザUが操作した端末装置Dから配車依頼等の情報を受信する。
【0028】
管理部14は、スペースSの利用に関するスケジュール情報を記憶部18から読み出し、スペースSの領域に対応付けて管理する。スケジュール情報は、日時、目的、車両、業者等のパラメータが対応付けられた情報である(図3参照)。スケジュール情報については後述する。管理部14は、スペースSは、所定範囲の領域A又は、所定範囲の領域をマトリクス状に配置された複数の小領域Sn(nは自然数)に分割し、領域A又は各小領域Snの利用に関するスケジュール情報と各小領域Snとを対応付けて管理する。管理部14は、スペースS内であれば、領域A及び各小領域Snを自由に設定することができる。
【0029】
領域A又は小領域Snの利用目的は、車両Mの乗降スペースの他、配送スペース、飲食スペース、商品販売スペース、イベントスペース、宿泊スペース等であってもよい。これらの利用目的は、キッチンカーや移動販売車等の車両によって利用されてもよいし、サービス提供者が資材をセッティングして実現するものであってもよい。
【0030】
管理部14は、利用目的に応じて複数の小領域Snを一つの領域Aとして管理してもよいし、領域Aを複数の小領域Snに分割して管理してもよい。管理部14は、例えば、車両Mのサイズに応じて複数の小領域Snの数を変化させて一つの領域Aとして管理してもよい。また、管理部14は、車両Mの誘導路として複数の小領域Snを繋げた領域Aを管理してもよい。
【0031】
また、管理部14は、カメラCから取得した撮像データに基づいて画像解析を行い、各小領域Snの利用状況を判定する。管理部14は、例えば、ディープラーニングによる機械学習により、画像解析を行い領域A又は各小領域Snが空きスペースとなっているか否かを判定する。管理部14は、解析結果に基づいて領域A又は各小領域Snのうち空きスペースとなっている領域A又は小領域Snを検出する。
【0032】
管理部14は、スケジュール情報に基づいて空きスペースとなっている領域A又は小領域Snに利用目的を割り当て、日時、小領域Sn、利用目的、車両、業者、投射装置、発光パターン等のパラメータを対応付けた利用情報を生成する。管理部14は、撮像データの解析結果に基づいて小領域Snの利用状況とスケジュール情報とが異なる場合、解析結果を反映した利用情報を生成する。
【0033】
管理部14は、例えば、領域Aの利用目的に応じて撮像データの解析結果に基づいて領域Aの混雑度を算出し、混雑しているか否かを判定する。混雑度は、例えば、領域Aが車両スペースに割り当てられた場合、領域Aの面積に対する車両Mの面積の比や、領域Aに対する車両Mの台数等で示される指標である。領域Aが人のスペースに割り当てられた場合も領域Aの面積に対する人の面積の比や、領域Aに対する人の人数等を解析して混雑度が算出される。
【0034】
管理部14は、領域Aが利用される時刻において混雑度が予め定められた基準以上である場合、領域Aが混雑していると判定し、進入予定の対象となる車両Mや人に混雑情報を提供すると共に、空きスペースとなる他の領域A又は他の施設を抽出し、他の領域A又は他の施設を利用するように利用情報を更新する。
【0035】
これにより、管理部14は、リアルタイムで変化するスペースSの利用状況に対応して柔軟にスペースSを管理することができる。管理部14は、利用情報に基づいて、小領域Sn又は領域Aの位置と時刻とを対応付けた呼出情報を生成し、ネットワークWを介して対象となる車両M又は車両Mを管理する管理者に対して呼出情報を通知する。呼出情報には、上記の混雑情報が含まれていてもよい。
【0036】
呼出情報を受信した車両Mは、予定された時刻に到着するようにスペースSに向かって走行しスペースS内において呼出情報に含まれる情報に基づいて小領域Sn又は領域A内に停止し、ユーザUを乗車又は降車させる。車両Mは、混雑情報を受信した場合、目的地を変更し、他の小領域Sn、他の領域A、他の施設に停止し、ユーザUを乗車又は降車させる。ユーザUが人の領域Aを利用予定であり、混雑情報を受信した場合、他の小領域Sn、他の領域A、他の施設に向かえばよい。
【0037】
制御部16は、管理部14により生成された利用情報に基づいて、表示装置Rを制御する。制御部16は、利用情報に応じて制御信号を表示装置Rに送信し、表示装置Rに利用目的に応じた発光パターンを投射させる。これにより、発光パターンが投射された小領域Snに予定外の人、他の車両等が侵入することを抑止する。発光パターンは、利用時間内において常に投射されていてもよいし、車両Mが移動する際等の利用時に一時的に投射されるものであってもよい。
【0038】
管理部14及び制御部16の構成要素のうち少なくとも一つは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。これらの各機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0039】
記憶部18は、スケジュール情報や利用情報等の情報を記憶する記憶媒体である。記憶部18は、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶媒体により構成された記憶装置である。記憶部18は、管理装置10に内蔵されていてもよいし、外部装置やネットワークに接続されたサーバにより構成されていてもよい。
【0040】
表示部20は、管理部14により生成された情報に基づいてスペースSの利用状況に関する画像を表示する。表示部20は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示装置である。表示部20は、必ずしも管理装置10に設けられていなくてもよく、管理装置10と無線又は有線で接続されるパーソナルコンピュータ、タブレット型端末、スマートフォン等の他の端末装置により実現されてもよい。
【0041】
次に、管理部14が管理する情報について説明する。
【0042】
図3に示されるように、スケジュール情報Jは、スペースSの利用に関するスケジュールが時刻と使用目的とが対応付けられて記憶されている。スケジュール情報Jは、例えば、日時、目的、車両、業者等の複数のパラメータが対応付けられた情報である。日時は所定の時間帯であってもよい。
【0043】
図4に示されるように、利用情報KはスペースSの利用に関するスケジュールが時刻と小領域Snと使用目的とが対応付けられて記憶されている。利用情報Kは、例えば、日時、領域、目的、車両、業者、投射装置、発光パターン等の複数のパラメータが対応付けられた情報である。ここで、領域とは、少なくとも1つ以上の小領域Snを含むスペースS内の一部であり、領域Aを含む。利用情報Kは、領域Aの利用を一定時間管理する領域管理情報と、小領域Snの利用を分割して管理する小領域分割管理情報とを含む。スケジュール情報J及び利用情報Kは、予定の変更が生じた場合、管理部14により適宜更新されて記憶部18に記憶される。
【0044】
スペースSの利用形態には、以下のパターンが想定される。平日の朝の通勤時間帯においては、例えば、スペースS内にバスの乗降スペース、転回スペース、通路の領域Aや自動運転の車両Mの乗降スペースと通路の領域Aが確保され、表示装置Rによりそれぞれの領域Aに応じた発光パターンが投射される。
【0045】
平日の昼の時間帯においては、例えば、スペースS内にキッチンカーを用いた飲食スペースと通路の領域Aや販売車両を用いた販売スペースと通路の領域Aが確保され、表示装置Rによりそれぞれの領域Aに応じた発光パターンが投射される。
【0046】
平日の夕方の時間帯においては、例えば、スペースS内にバスの乗降スペースと通路の領域Aや自動運転の車両Mの乗降スペースと通路の領域Aや販売車両を用いた販売スペースと通路の領域Aが確保され、表示装置Rによりそれぞれの領域Aに応じた発光パターンが投射される。
【0047】
平日の夜の時間帯においては、例えば、キッチンカーや屋台を用いた飲食スペースと通路の領域Aや自動運転の車両Mの乗降スペースと通路の領域Aが確保され、表示装置Rによりそれぞれの領域Aに応じた発光パターンが投射される。
【0048】
平日の深夜の時間帯においては、例えば、宿泊用の車両を用いた宿泊スペースの領域Aや自動運転の車両Mの乗降スペースと通路の領域Aが確保され、表示装置Rによりそれぞれの領域Aに応じた発光パターンが投射される。
【0049】
休日の朝の時間帯においては、例えば、朝市などの販売車両を用いた販売スペースと通路の領域Aが確保され、表示装置Rによりそれぞれの領域Aに応じた発光パターンが投射される。休日の昼の時間帯においては、イベントスペースの領域AやスペースS内にキッチンカーを用いた飲食スペースと通路の領域Aや販売車両を用いた販売スペースと通路の領域Aが確保され、表示装置Rによりそれぞれの領域Aに応じた発光パターンが投射される。
【0050】
上記の領域Aは、平日、休日、時間帯に応じて拡大又は縮小されてもよい。管理部14は、領域Aの利用時間、大きさに応じて業者に課金する。このようにして、多目的スペース提供システムによれば、一つのスペースSを日時と利用目的に応じて有効利用することができる。
【0051】
管理部14が管理する情報の更新及び生成について説明する。
【0052】
管理部14は、先ず、1週間程度の所定期間におけるスケジュール情報Jを生成する。管理部14は、予め契約された長期的な契約の情報に基づいてスケジュール情報Jを生成する。長期的な契約とは例えば、バス事業者による日常的なバスレーンの利用、飲食業者による日常的な飲食スペースの利用、販売業者による日常的な販売スペースの利用、運送会社による日常的な荷捌きスペースの利用等を含む。
【0053】
管理部14は、利用目的と日時に応じて複数の小領域Snを重複しないように割り当て、スケジュール情報Jを生成する。管理部14は、生成したスケジュール情報Jに基づいて利用情報Kを生成する。管理部14は、スケジュール情報Jに基づいて領域Aを選択し、選択した領域Aに最も適した位置の投射装置を選択し、選択した投射装置から投射する発光パターンを決定し、利用情報Kを生成する。
【0054】
管理部14は、短期的な契約の情報に基づいてスケジュール情報Jを更新する。長期的な契約とは例えば、ユーザUによるオンデマンドサービス等を利用したタクシー等の車両Mを配車する一時的な配車スペースの利用、ユーザUによる配達用の車両Mを配車する一時的な荷捌きスペースの利用、イベント業者による特定日におけるイベントスペースの利用等を含む。
【0055】
管理部14は、スケジュール情報Jを参照し、利用目的と日時に応じてスペースSの空き領域を抽出し、複数の小領域Snを重複しないように割り当て、スケジュール情報Jを更新する。管理部14は、例えば、1日単位の所定のタイミング及びユーザUのスペースSの利用の申し込みのタイミングにおいてスケジュール情報Jを更新する。例えば、ユーザUが端末装置Dから所定の日時にスペースSにおいて車両Mの配車を希望する情報を送信した場合、管理部14は、所定の日時におけるスペースSの中から配車に必要な空きスペースとなる領域を抽出し、配車スペースとして割り当てる。
【0056】
管理部14は、更新したスケジュール情報Jに基づいて利用情報Kを更新する。管理部14は、ユーザUの要求に基づいてスケジュール情報Jが更新された場合、ユーザUの端末装置Dに予約完了の旨の通知を送信する。
【0057】
管理部14は、所定の日時におけるスペースSに配車に必要な空き領域が無い場合、ユーザUの端末装置Dに空き領域が無い旨の通知を送信する。管理部14は、所定の日時におけるスペースSに配車に必要な空き領域が無い場合、端末装置Dに他の施設Pの利用を促す通知を送信する。管理部14は、所定の日時に近い予約可能な時間帯を抽出し、ユーザUの端末装置Dに通知をしてもよい。
【0058】
制御部16は、利用情報Kに基づいて予定された日時において表示装置Rを制御して領域の利用目的に応じた発光パターンを照射させる。管理部14は、カメラCから取得した撮像データに基づいて、予定された日時において領域Aの混雑率が基準以上の場合、混雑率が基準未満の各小領域Snの中から領域Aを確保し、又は他の施設Pの中から領域Aを確保し、領域Aの位置を変更し利用情報Kを更新する。
【0059】
管理部14は、所定のタイミングで領域Aの配置パターンを変更して利用情報Kを更新し、カメラCから取得した撮像データに基づいて、ディープラーニングを用いた学習により車両M及び人の動きを解析し、車両M及び人の動きが最適化されるように領域Aの配置を変更し利用情報Kを更新してもよい。管理部14は、学習結果に基づいて、領域Aの配置及び時間帯に応じてランク付けを行い、ランクに応じてテナント料を変更してもよい。
【0060】
上述したように、多目的スペース提供システムによれば、施設内に設けられたスペースSを日時と利用目的に応じて自由にレイアウトを自由に設定すると共に、領域を発光パターンで表示することができ、スペースSの利用効率を向上させることができる。また、多目的スペース提供システムによれば、カメラCで撮像した撮像データに基づいて利用状況を判定するため、次の利用目的の対象となる領域の状況に変化があっても柔軟に対応して領域を変更することができる。
【0061】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、発光パターンは投射する以外に床面に埋め込まれた複数の発光体が発光するものであってもよい。また、管理部14は、利用情報Kに基づいて、スペースSの中から空きスペースを抽出し、テナントに対して領域Aの使用権を販売する情報を提供してもよい。また、多目的スペース提供システムは、新設の施設に適用されるだけでなく、スペースがあれば既存の施設に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 多目的スペース提供システム
10 管理装置
12 送受信部
14 管理部
16 制御部
18 記憶部
20 表示部
A 領域
C カメラ
D 端末装置
H 舗装面
J スケジュール情報
K 利用情報
M 車両
R 表示装置
S スペース
Sn 小領域
U ユーザ
W ネットワーク
P 施設
図1
図2
図3
図4