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特許7374683基板搬送装置および基板搬送装置のハンドの位置補正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】基板搬送装置および基板搬送装置のハンドの位置補正方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20231030BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20231030BHJP
   B25J 9/22 20060101ALI20231030BHJP
   G05B 19/19 20060101ALI20231030BHJP
   G05B 19/4155 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 F
B25J9/22 A
G05B19/19 H
G05B19/4155 V
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019170011
(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公開番号】P2021048270
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】橋本 光治
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-162029(JP,A)
【文献】特開平02-059289(JP,A)
【文献】特開平07-193112(JP,A)
【文献】特表2018-523288(JP,A)
【文献】特表2010-541200(JP,A)
【文献】特開2005-019963(JP,A)
【文献】特開2006-140350(JP,A)
【文献】特開平07-263518(JP,A)
【文献】特開2018-182217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/68
B25J 9/22
G05B 19/19
G05B 19/4155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対する処理を行う処理ユニットに前記基板を搬送する基板搬送装置であって、
前記基板を載置するハンドと、
前記ハンドと連動する回転体を含み、鉛直方向に沿う回転軸線のまわりで前記回転体を回転させて、平面視において前記ハンドを取り囲むように設けられた3つ以上の前記処理ユニットの各々と向かい合う位置に前記ハンドを移動させる回転機構と、
前記回転体の回転位置を検出する回転検出部と、
前記ハンドと連動する第1移動体を含み、鉛直方向と交差する第1移動方向に沿って前記第1移動体を移動させる第1直動機構と、
前記第1移動体の位置を検出する第1検出部と、
前記ハンドと連動する第2移動体を含み、前記第1移動方向および鉛直方向と交差する第2移動方向に前記第2移動体を移動させる第2直動機構と、
前記第2移動体の位置を検出する第2検出部と
を備える、基板搬送装置。
【請求項2】
基板を搬送する基板搬送装置であって、
基板を載置するハンドと、
前記ハンドと連動する回転体を含み、鉛直方向に沿う回転軸線のまわりで前記回転体を回転させる回転機構と、
前記回転体の回転位置を検出する回転検出部と、
前記ハンドと連動する第1移動体を含み、鉛直方向と交差する第1移動方向に沿って前記第1移動体を移動させる第1直動機構と、
前記第1移動体の位置を検出する第1検出部と、
前記ハンドと連動する第2移動体を含み、前記第1移動方向および鉛直方向と交差する第2移動方向に前記第2移動体を移動させる第2直動機構と、
前記第2移動体の位置を検出する第2検出部と
床部に設けられた基台部と、
前記基台部の上に設けられた支柱と、
前記支柱に取り付けられた鉛直駆動機構と、
を備え
前記鉛直駆動機構と前記ハンドとの間に前記回転機構、前記第1直動機構、および前記第2直動機構が設けられている、基板搬送装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の基板搬送装置であって、
前記回転機構は、
前記回転体に直結されたモータを含む、基板搬送装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の基板搬送装置が基板を基板保持部に受け渡す際のハンドの位置補正方法であって、
前記基板搬送装置が、前記基板を載置する前記ハンドをティーチングデータに従って移動させて、前記基板保持部よりも上方の規定位置に移動させる第1工程と、
前記規定位置で停止する前記ハンドに載置された基板をカメラによって撮像して画像データを取得する第2工程と、
前記画像データに基づいて前記基板の中心の位置を検出する第3工程と、
前記基板の中心の位置が前記基板保持部の中心軸に近づくように、前記規定位置を補正して前記ティーチングデータを補正する第4工程と
を備える、基板搬送装置のハンドの位置補正方法。
【請求項5】
請求項1に記載の基板搬送装置が基板を基板保持部に受け渡す際のハンドの位置補正方法であって、
前記基板搬送装置が、前記基板を載置する前記ハンドを前記基板保持部よりも上方の規定位置に移動させる第1工程と、
前記基板搬送装置に含まれる鉛直駆動機構によってハンドを下降させて、前記基板保持部に前記基板を載置する第2工程と、
前記基板保持部が前記基板を保持する第3工程と、
前記基板保持部によって保持された前記基板をカメラによって撮像して画像データを取得する第4工程と、
前記基板の中心を前記基板保持部の中心軸に対して、前記基板保持部による前記基板の保持時に生じる前記基板のずれ方向とは反対側にずらして得られる前記基板の載置位置を、前記画像データに基づいて求める第5工程と、
前記基板搬送装置が前記載置位置に前記基板を載置し直す第6工程と、
前記基板保持部が前記基板を保持する第7工程と
を備える、基板搬送装置のハンドの位置補正方法。
【請求項6】
求項2に記載の基板搬送装置が基板を基板保持部に受け渡す際のハンドの位置補正方法であって、
前記基板搬送装置が、前記基板を載置する前記ハンドを前記基板保持部よりも上方の規定位置に移動させる第1工程と、
記鉛直駆動機構によってハンドを下降させて、前記基板保持部に前記基板を載置する第2工程と、
前記基板保持部が前記基板を保持する第3工程と、
前記基板保持部によって保持された前記基板をカメラによって撮像して画像データを取得する第4工程と、
前記基板の中心を前記基板保持部の中心軸に対して、前記基板保持部による前記基板の保持時に生じる前記基板のずれ方向とは反対側にずらして得られる前記基板の載置位置を、前記画像データに基づいて求める第5工程と、
前記基板搬送装置が前記載置位置に前記基板を載置し直す第6工程と、
前記基板保持部が前記基板を保持する第7工程と
を備える、基板搬送装置のハンドの位置補正方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の基板搬送装置のハンドの位置補正方法であって、
前記第5工程は、
前記基板保持部の保持時に生じる前記基板のずれ量および前記ずれ方向を、前記画像データに基づいて検出する工程と、
前記規定位置を前記ずれ量および前記ずれ方向に基づいて補正して、前記載置位置と平面視の位置が等しい補正後位置を算出する工程と、
前記基板保持部が前記基板の保持を解除し、前記鉛直駆動機構が前記ハンドを前記規定位置まで上昇させて前記基板を持ち上げる工程と、
少なくとも、前記第2直動機構よりも前記ハンドの近くに設けられた前記回転機構および前記第1直動機構を駆動して、前記ハンドを前記補正後位置に移動させる工程と、
前記鉛直駆動機構が前記ハンドを下降させて、前記基板を前記基板保持部に載置する工程と
を含む、基板搬送装置のハンドの位置補正方法。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか一つに記載の基板搬送装置のハンドの位置補正方法であって、
前記第5工程において、前記画像データに基づいた機械学習を用いて前記載置位置を求める、基板搬送装置のハンドの位置補正方法。
【請求項9】
請求項に記載の基板搬送装置のハンドの位置補正方法であって、
前記第5工程において、基板の種類および複数の基板保持部の少なくともいずれか一方に対応する複数の機械学習部から、搬送対象となる前記基板の種類および搬送先の前記基板保持部の少なくともいずれか一方に応じた機械学習部を選択し、選択された機械学習部を用いて前記載置位置を求める、基板搬送装置のハンドの位置補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、基板搬送装置および基板搬送装置のハンドの位置補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板を搬送する直動式の基板搬送装置が提案されている(特許文献1~3)。特許文献1では、直動式アームを含む基板搬送ロボットが開示されている。この基板搬送ロボットは、胴体と、胴体の上に設けられた直動式アームとを含んでいる。直動式アームの先端にはフォークが設けられる。フォークの上には基板が載置される。直動式アームは、ベルトおよびモータによって駆動される。直動式アームが伸縮することにより、フォークの上に載置された基板を目的の位置に搬送する。
【0003】
また、特許文献2では、基板搬送装置は、ハンドと、昇降軸駆動部と、リニア軸駆動部と、旋回軸駆動部とを含む。ハンドの上には基板が載置される。リニア軸駆動部はハンドを水平な一方向に往復移動させる。旋回軸駆動部はリニア軸駆動部を、鉛直な回転軸線のまわりで旋回させることで、ハンドを旋回させる。昇降軸駆動部は旋回軸駆動部を昇降させることで、リニア軸駆動部およびハンドを昇降させる。このような基板搬送装置は、ハンドの位置を3次元で調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-23021号公報
【文献】特開2011-159884号公報
【文献】特許第4980978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板搬送装置が基板処理装置に基板を搬入する場合、基板処理装置内における基板の位置が問題となる場合がある。例えば基板処理装置には、基板を保持するスピンチャックが設けられる場合がある。この場合、基板の中心がスピンチャックの回転中心と一致するように、基板搬送装置が基板処理装置に基板を搬入することが望ましい。
【0006】
特許文献1では、モータから直動式アームまでの駆動力伝達系において、ベルトが設けられている。当該ベルトが弾性体であれば、直動式アームの位置精度は低下する。
【0007】
また、特許文献2では、基板搬送装置は基板の水平面における位置をリニア軸駆動部および旋回駆動部の2軸で調整している。このような2軸での調整では、ハンドの位置精度の向上に限界があった。
【0008】
そこで、本願は、より高い位置精度でハンドを移動させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
基板搬送装置の第1の態様は、基板に対する処理を行う処理ユニットに前記基板を搬送する基板搬送装置であって、前記基板を載置するハンドと、前記ハンドと連動する回転体を含み、鉛直方向に沿う回転軸線のまわりで前記回転体を回転させて、平面視において前記ハンドを取り囲むように設けられた3つ以上の前記処理ユニットの各々と向かい合う位置に前記ハンドを移動させる回転機構と、前記回転体の回転位置を検出する回転検出部と、前記ハンドと連動する第1移動体を含み、鉛直方向と交差する第1移動方向に沿って前記第1移動体を移動させる第1直動機構と、前記第1移動体の位置を検出する第1検出部と、前記ハンドと連動する第2移動体を含み、前記第1移動方向および鉛直方向と交差する第2移動方向に前記第2移動体を移動させる第2直動機構と、前記第2移動体の位置を検出する第2検出部とを備える。
基板搬送装置の第2の態様は、基板を搬送する基板搬送装置であって、基板を載置するハンドと、前記ハンドと連動する回転体を含み、鉛直方向に沿う回転軸線のまわりで前記回転体を回転させる回転機構と、前記回転体の回転位置を検出する回転検出部と、前記ハンドと連動する第1移動体を含み、鉛直方向と交差する第1移動方向に沿って前記第1移動体を移動させる第1直動機構と、前記第1移動体の位置を検出する第1検出部と、前記ハンドと連動する第2移動体を含み、前記第1移動方向および鉛直方向と交差する第2移動方向に前記第2移動体を移動させる第2直動機構と、前記第2移動体の位置を検出する第2検出部と、床部に設けられた基台部と、前記基台部の上に設けられた支柱と、前記支柱に取り付けられた鉛直駆動機構と、を備え、前記鉛直駆動機構と前記ハンドとの間に前記回転機構、前記第1直動機構、および前記第2直動機構が設けられている。
【0010】
基板搬送装置の第の態様は、第1または第2の態様にかかる基板搬送装置であって、前記回転機構は、前記回転体に直結されたモータを含む。
【0011】
基板搬送装置のハンドの位置補正方法の第1の態様は、第1から第3のいずれか一つの態様にかかる基板搬送装置が基板を基板保持部に受け渡す際のハンドの位置補正方法であって、前記基板搬送装置が、前記基板を載置する前記ハンドをティーチングデータに従って移動させて、前記基板保持部よりも上方の規定位置に移動させる第1工程と、前記規定位置で停止する前記ハンドに載置された基板をカメラによって撮像して画像データを取得する第2工程と、前記画像データに基づいて前記基板の中心の位置を検出する第3工程と、前記基板の中心の位置が前記基板保持部の中心軸に近づくように、前記規定位置を補正して前記ティーチングデータを補正する第4工程とを備える。
【0012】
基板搬送装置のハンドの位置補正方法の第2の態様は、第1の態様にかかる基板搬送装置が基板を基板保持部に受け渡す際のハンドの位置補正方法であって、前記基板搬送装置が、前記基板を載置する前記ハンドを前記基板保持部よりも上方の規定位置に移動させる第1工程と、前記基板搬送装置に含まれる鉛直駆動機構によってハンドを下降させて、前記基板保持部に前記基板を載置する第2工程と、前記基板保持部が前記基板を保持する第3工程と、前記基板保持部によって保持された前記基板をカメラによって撮像して画像データを取得する第4工程と、前記基板の中心を前記基板保持部の中心軸に対して、前記基板保持部による前記基板の保持時に生じる前記基板のずれ方向とは反対側にずらして得られる前記基板の載置位置を、前記画像データに基づいて求める第5工程と、前記基板搬送装置が前記載置位置に前記基板を載置し直す第6工程と、前記基板保持部が前記基板を保持する第7工程とを備える。
基板搬送装置のハンドの位置補正方法の第3の態様は、第2の態様にかかる基板搬送装置が基板を基板保持部に受け渡す際のハンドの位置補正方法であって、前記基板搬送装置が、前記基板を載置する前記ハンドを前記基板保持部よりも上方の規定位置に移動させる第1工程と、前記鉛直駆動機構によってハンドを下降させて、前記基板保持部に前記基板を載置する第2工程と、前記基板保持部が前記基板を保持する第3工程と、前記基板保持部によって保持された前記基板をカメラによって撮像して画像データを取得する第4工程と、前記基板の中心を前記基板保持部の中心軸に対して、前記基板保持部による前記基板の保持時に生じる前記基板のずれ方向とは反対側にずらして得られる前記基板の載置位置を、前記画像データに基づいて求める第5工程と、前記基板搬送装置が前記載置位置に前記基板を載置し直す第6工程と、前記基板保持部が前記基板を保持する第7工程とを備える。
【0013】
基板搬送装置のハンドの位置補正方法の第の態様は、第2または第3の態様にかかる基板搬送装置のハンドの位置補正方法であって、前記第5工程は、前記基板保持部の保持時に生じる前記基板のずれ量および前記ずれ方向を、前記画像データに基づいて検出する工程と、前記規定位置を前記ずれ量および前記ずれ方向に基づいて補正して、前記載置位置と平面視の位置が等しい補正後位置を算出する工程と、前記基板保持部が前記基板の保持を解除し、前記鉛直駆動機構が前記ハンドを前記規定位置まで上昇させて前記基板を持ち上げる工程と、少なくとも、前記第2直動機構よりも前記ハンドの近くに設けられた前記回転機構および前記第1直動機構を駆動して、前記ハンドを前記補正後位置に移動させる工程と、前記鉛直駆動機構が前記ハンドを下降させて、前記基板を前記基板保持部に載置する工程とを含む。
【0014】
基板搬送装置のハンドの位置補正方法の第の態様は、第2から第4のいずれか一つの態様にかかる基板搬送装置のハンドの位置補正方法であって、前記第5工程において、前記画像データに基づいた機械学習を用いて前記載置位置を求める。
【0015】
基板搬送装置のハンドの位置補正方法の第の態様は、第の態様にかかる基板搬送装置のハンドの位置補正方法であって、前記第5工程において、基板の種類および複数の基板保持部の少なくともいずれか一方に対応する複数の機械学習部から、搬送対象となる前記基板の種類および搬送先の前記基板保持部の少なくともいずれか一方に応じた機械学習部を選択し、選択された機械学習部を用いて前記載置位置を求める。
【発明の効果】
【0016】
基板搬送装置の第1および第2の態様によれば、回転機構、第1直動機構および第2直動機構により、ハンドの水平面の位置を調整できる。つまり、ハンドの水平面の位置を3軸で調整することができる。よって、ハンドの位置精度を向上できる。しかも、回転検出部、第1検出部および第2検出部が設けられているので、各軸について高い位置精度でハンドを制御することができる。
【0017】
基板搬送装置の第の態様によれば、高い精度で回転体の回転位置を制御できる。
【0018】
基板搬送装置のハンドの位置補正方法の第1の態様によれば、カメラで撮像した画像データに基づいて規定位置を補正する。よって、以後のティーチングデータに従った搬送処理により、高い精度で基板の中心を基板保持部の中心軸に近づけて基板を基板保持部に載置できる。
【0019】
基板搬送装置のハンドの位置補正方法の第2および第3の態様によれば、基板の中心を中心軸に対してずれ方向とは反対側にずらした載置位置に基板が載置し直される。よって、基板保持部が基板を再び保持すると、基板の中心がずれ方向に、つまり、基板保持部の中心軸側にずれる。これにより、基板の中心を中心軸に近づけることができる。言い換えれば、基板保持部の保持による基板のずれを吸収して、高い精度で基板の中心を基板保持部の中心軸に近づけることができる。
【0020】
基板搬送装置のハンドの位置補正方法の第の態様によれば、ハンドの近くに設けられた回転機構および第1駆動機構を優先的に駆動するので、高い精度でハンドを規定位置に移動させることができる。
【0021】
基板搬送装置のハンドの位置補正方法の第の態様によれば、機械学習を利用するので、高い精度でずれ量およびずれ方向を求めることができる。
【0022】
基板搬送装置のハンドの位置補正方法の第の態様によれば、基板の種類または基板保持部に応じた機械学習部を選択しているので、より高い精度で載置位置を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】基板搬送装置の概略的な構成の一例を示す平面図である。
図2】基板搬送装置の概略的な構成の一例を示す側断面図である。
図3】基板搬送装置の概略的な構成の一例を示す側断面図である。
図4】基板搬送装置の概略的な構成の一例を示す側断面図である。
図5】処理ユニットの構成の一例を概略的に示す図である。
図6】搬送ロボットの構成の一例を概略的に示す図である。
図7】基板処理装置の各要素と制御部との接続の一例を概略的に示すブロック図である。
図8】ハンドの位置補正方法の一例を示すフローチャートである。
図9】回転軸線の位置を求める手法の一例を説明するための図である。
図10】ハンドの位置補正方法の一例を示すフローチャートである。
図11】回転軸線および基板の中心の位置の一例を概略的に示す図である。
図12】制御部の内部構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。
図13】ハンド上の基板の一例を概略的に示す平面図である。
図14】ティーチングデータの補正処理の一例を示すフローチャートである。
図15】基板処理装置の構成の他の一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、実施の形態について説明する。図面では同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付され、下記説明では重複説明が省略される。なお、以下の実施の形態は一例であり、技術的範囲を限定する事例ではない。また、図面においては、理解容易のため、各部の寸法および数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。また、各図面には、方向を説明するためにXYZ直交座標軸が適宜に付されている。該座標軸におけるZ方向は鉛直方向を示し、XY平面は水平面である。以下では、X方向の一方側を+X側と呼び、その反対側を-X側と呼ぶことがある。Y軸およびZ軸についても同様であり、+Z側は鉛直上方を示す。
【0025】
位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」および「同軸」等)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「一致」「同一」「等しい」および「均質」等)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」および「円筒形状」等)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸や面取り等を有する形状も表すものとする。一の構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「A、BおよびCの少なくとも一つ」という表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A~Cの二者の任意の組み合わせ、および、A~Cの全てを含む。
【0026】
図1は、基板処理装置1の構成の一例を概略的に示す平面図である。図2は、図1のII-II線における基板処理装置1の内部の一例を概略的に側断面図である。図3は、図1のIII-III線における基板処理装置1の内部の一例を概略的に示す側断面図である。図4は、図1のIV-IV線における基板処理装置1の内部の一例を概略的に示す側断面図である。
【0027】
<基板処理装置>
基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、基板Wに対して洗浄処理またはエッチング処理などの各種処理を施す。図1に示すように、基板処理装置1は、+X側に向かって順に、インデクサセクション2と、処理セクション3とを含む。
【0028】
処理セクション3は、+X側に向かって順に、第1処理モジュール3A、搬送モジュール3T、第2処理モジュール3Bおよび第3処理モジュール3Cを含む。
【0029】
第1処理モジュール3Aは第1受渡部PS1を含み、インデクサセクション2はこの第1受渡部PS1に基板Wを供給する。処理セクション3は、未処理である一枚の基板Wに規定処理を施す処理ユニットP1~P18を含む。規定処理は、例えば処理用の液体またはガスを用いた流体処理、紫外線等の電磁波を用いた処理および物理洗浄処理(ブラシ洗浄およびスプレーノズル洗浄等)などの各種の処理を含み得る。インデクサセクション2は、処理セクション3における処理が完了した基板Wを第1受渡部PS1から受け取る。
【0030】
なお、図2から図4では、処理ユニットP1~P18に液体またはガスを供給する供給系、および、処理ユニットP1~P18から液体またはガスを回収する排出系の構造が示されているものの、これらは本実施の形態の本質とは異なるため、その説明を省略する。
【0031】
<インデクサセクション>
インデクサセクション2は、複数(ここでは4つ)のステージST1~ST4と、インデクサロボットIRとを含む。ステージST1~ST4は、複数の基板Wを積層状態で収容した基板収容器20をそれぞれ保持できる基板収容器保持部である。基板収容器20は、基板Wを密閉した状態で収納するFOUP(Front Opening Unified Pod)であってもよいし、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッド、または、OC(Open Cassette)等であってもよい。例えば、基板収容器20では、水平姿勢の複数の基板Wが互いに間隔を開けて鉛直方向に積層された状態となる。
【0032】
インデクサロボットIRは一対のハンドを含んでおり、ステージST1~ST4のいずれかに保持された基板収容器20から一枚の未処理の基板Wを一方のハンドで搬出して、この基板Wを-X側から第1受渡部PS1に渡すように動作する。さらに、インデクサロボットIRは、第1受渡部PS1から一枚の処理済み基板Wを他方のハンドで受け取って、いずれかのステージST1~ST4に保持された基板収容器20に収容するように動作する。
【0033】
<処理セクション>
処理セクション3の第1処理モジュール3Aは、インデクサセクション2から搬入される基板Wを一時的に保持する第1受渡部PS1、および基板Wに規定処理を行う処理ユニットP1~P6を含む。
【0034】
第1受渡部PS1は、インデクサロボットIRによって-X側から搬入される基板Wを保持する。処理ユニットP1~P3は第1受渡部PS1の+Y側に配され、処理ユニットP4~P6は第1受渡部PS1の-Y側に配されている。処理ユニットP1~P3および処理ユニットP4~P6は、それぞれZ方向に順に重ねられており、処理タワーTW1,TW2を構成する。
【0035】
搬送モジュール3Tは、第1処理モジュール3Aの+X側に隣接して配される。搬送モジュール3Tの内部には、第1搬送ロボットCR1(基板搬送装置)が設けられている。第1搬送ロボットCR1は、第1受渡部PS1から+X側に基板Wを搬出して、当該基板Wを処理ユニットP1~P6のいずれかに対して+X側から搬入する。また、第1搬送ロボットCR1は、処理ユニットP1~P6にて処理された基板Wを搬出し、当該基板Wを第1受渡部PS1に対して+X側から搬入する。また、第1搬送ロボットCR1は基板Wを第2処理モジュール3Bの第2受渡部PS2に-X側から搬入することもできる。
【0036】
第1受渡部PS1は、基板Wを水平姿勢で保持する基板保持部32を含んでいる。基板保持部32は、例えば基板Wの周縁部を下方から支持する支持具321によって、基板Wを保持する。複数(例えば2つ)の基板保持部32がZ方向に間隔を空けて設けられてもよい。これにより、第1受渡部PS1は複数(例えば2つ)の基板Wを保持できる。
【0037】
処理セクション3の第2処理モジュール3Bは、搬送モジュール3Tの+X側に隣接して配される。第2処理モジュール3Bは、第1搬送ロボットCR1によって搬入される基板Wを一時的に保持する第2受渡部PS2、および基板Wに規定処理を行う処理ユニットP7~P12を含む。
【0038】
処理ユニットP7~P9は第2受渡部PS2の+Y側に配され、処理ユニットP10~P12は第2受渡部PS2の-Y側に配されている。処理ユニットP7~P9および処理ユニットP10~P12は、それぞれZ方向に順に重ねられており、処理タワーTW3,TW4を構成する。
【0039】
第2受渡部PS2はシャトル搬送装置36を含んでいる。シャトル搬送装置36は、基板Wを水平姿勢で保持しつつX軸に沿って往復移動させる。ここでは、シャトル搬送装置36は、Z方向に間隔を空けて2つの基板Wを同時に保持可能であり、当該2つの基板WをX方向に搬送する。第2受渡部PS2では、シャトル搬送装置36によって、基板Wを、第1搬送ロボットCR1に近い-X側位置と、後述の第2搬送ロボットCR2(基板搬送装置)に近い+X側位置との間で搬送できる。このため、搬送ロボットCR1,CR2による基板Wの水平方向の移動量がインデクサロボットIRよりも小さい場合であっても、搬送ロボットCR1,CR2の間で基板Wを受け渡しできる。
【0040】
処理セクション3の第3処理モジュール3Cは、第2処理モジュール3Bの+X側に隣接して配される。第3処理モジュール3Cは、第2搬送ロボットCR2および処理ユニットP13~P18を含む。
【0041】
処理ユニットP13~P15は第2搬送ロボットCR2の+Y側に配され、処理ユニットP16~P18は第2搬送ロボットCR2の-Y側に配されている。処理ユニットP13~P15および処理ユニットP16~P18は、それぞれZ方向に順に重ねられており、処理タワーTW5,TW6を構成する。
【0042】
第2搬送ロボットCR2は、シャトル搬送装置36から+X側に基板Wを搬出して、当該基板Wを処理ユニットP7~P18のいずれかに対して搬入する。また、第2搬送ロボットCR2は、処理ユニットP7~P18にて処理された基板Wを搬出して、当該基板Wをシャトル搬送装置36に対して+X側から搬入する。
【0043】
<処理ユニット>
次に、処理ユニットP1~P18の一つの具体的な構成の一例について述べる。ここでは、代表的に、処理ユニットP10について述べる。他の処理ユニットP1~P9,P11~P18の少なくともいずれか一つは処理ユニットP10と同一の構成を有していてもよい。図5は、処理ユニットP10の構成の一例を概略的に示す図である。処理ユニットP10は、スピンチャック51(基板保持部)と、処理カップ52と、ノズル53とを含む。スピンチャック51は一枚の基板Wを水平姿勢で保持し、基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線X1まわりに基板Wを回転させる。ここでいう水平姿勢とは、基板Wの厚み方向がZ方向に沿う状態をいう。回転軸線X1はスピンチャック51の中心軸でもある。処理カップ52は筒状の形状を有し、スピンチャック51を取り囲む。ノズル53は、スピンチャック51によって保持された基板Wに対して処理液を供給する。処理液は、例えば、エッチング液などの薬液および純水などのリンス液を含む。
【0044】
スピンチャック51は、水平な姿勢をなす円板状のスピンベース51aと、スピンベース51aの上面外周部から上方に突出する複数のチャックピン51bと、複数のチャックピン51bを基板Wの周縁部に押し付けるチャック開閉機構(不図示)と、スピンベース51aの中央部から下方に延びる回転軸51cと、回転軸51cを回転させることにより、複数のチャックピン51bに保持されている基板Wを回転軸線X1のまわりで回転させるスピンモータ51dとを含む。スピンチャック51は、図5に示す挟持式のチャックに限らず、基板Wの下面をスピンベースの上面に吸着させることにより基板Wを水平姿勢で保持するバキューム式のチャックであってもよい。
【0045】
図5に示すように、ノズル53は配管54の一端に接続され、配管54の他端は処理液供給源55に接続される。処理液供給源55は配管54を介して処理液をノズル53に供給する。配管54にはバルブ56が設けられている。バルブ56は制御部7によって制御され、配管54の内部流路の開閉を切り替える。バルブ56が配管54の内部流路を開放させることにより、処理液供給源55からの処理液が配管54を介してのノズル53に供給される。ノズル53はこの処理液を基板Wに吐出する。
【0046】
図5の例では、ノズル53は、スピンチャック51によって保持された基板Wの上面の周縁部に対向する。ノズル53は不図示のノズル移動機構によって処理位置と待機位置との間で往復移動してもよい。処理位置は、図5に示すように、基板Wの上面の周縁部に対向する位置である。待機位置は、例えばスピンチャック51によって保持された基板WとZ方向において対向しない位置である。
【0047】
ノズル53は処理位置において、処理液を基板Wの上面の周縁部に供給する。基板Wが回転することにより、ノズル53は基板Wの周縁部の全周に処理液を供給することができる。処理液がエッチング液である場合には、処理液の供給により、基板Wの周縁部の不純物を除去することができる(いわゆるベベルエッチング)。
【0048】
処理ユニットP10は複数種類の処理液を供給可能に構成されてもよい。例えば複数のノズルが設けられ、複数のノズルの各々は配管を介して処理液供給源に接続される。各ノズルに接続される処理液供給源は互いに異なっている。例えば第1ノズルからエッチング液を供給した後に、第2ノズルからリンス液を供給することで、基板W上のエッチング液を洗い流すことができる。
【0049】
上述のようなベベルエッチングにおいては、基板Wの中心がスピンチャック51の回転軸線X1上に位置することが望ましい。言い換えれば、平面視において、基板Wの中心が回転軸線X1と一致することが望ましい。もし、基板Wの中心位置が回転軸線X1からずれると、エッチング液の基板Wに対する着液位置が基板Wの回転位置に応じて径方向に変動する。このような変動は望ましくない。
【0050】
よって、第2搬送ロボットCR2による基板Wの搬送精度が重要となる。つまり、第2搬送ロボットCR2は高い搬送精度で基板Wを搬送して、基板Wの中心がスピンチャック51の回転軸線X1と一致するように、基板Wを処理ユニットP10のスピンチャック51の上に載置することが望ましい。
【0051】
<搬送ロボット>
次に、第2搬送ロボットCR2の構成の一例について説明する。なお、ここでは、第1搬送ロボットCR1は第2搬送ロボットCR2と同一の構成を有している。
【0052】
図3を参照して、第2搬送ロボットCR2は、基台部41、回転機構42、第1直動機構43、第2直動機構44、鉛直駆動機構45および2つのハンド46A,46Bを含んでいる。基台部41は、第3処理モジュール3Cに設けられた板状の床部に設けられている。基台部41の上には、支柱411が設けられている。支柱411には鉛直駆動機構45が取り付けられ、鉛直駆動機構45とハンド46A,46Bとの間に、回転機構42、第1直動機構43および第2直動機構44が設けられている。
【0053】
ハンド46A,46Bの上には、それぞれ基板Wが載置される。ハンド46A,46Bは保持機構(後述)を有しており、それぞれ基板Wを水平姿勢で保持する。ハンド46A,46Bは、回転機構42、第1直動機構43、第2直動機構44および鉛直駆動機構45によって3次元的に移動する。
【0054】
図6は、第2搬送ロボットCR2の構成の一例を概略的に示す図である。第1直動機構43は第1移動体431を含み、この第1移動体431を第1移動方向D1に往復移動させる。第1移動方向D1はZ方向に交差する方向であり、より具体的には、Z方向に直交する。第1移動体431は、例えば、鉄などの金属を含む剛体で構成される。図6の例では、第1移動体431はハンド46A,46Bの基端部に連結されており、ハンド46A,46Bと連動する。つまり、第1移動体431が第1移動方向D1に往復移動することにより、ハンド46A,46Bが第1移動体431と一体で第1移動方向D1に往復移動する。なお、第1直動機構43はハンド46A,46Bを互いに独立に第1移動方向D1に移動させてもよい。つまり、ハンド46A用の第1直動機構43と、ハンド46B用の第1直動機構43とが設けられてもよい。
【0055】
回転機構42は回転体421を含み、この回転体421を鉛直な回転軸線CA1のまわりで回動させる。回転体421も、例えば、鉄などの金属を含む剛体で構成される。図6の例では、回転体421は第1直動機構43(具体的には、後述の固定体432)に連結されている。第1直動機構43はハンド46A,46Bに連結されているので、回転体421はハンド46A,46Bと連動する。具体的には、回転体421が回動することにより、第1直動機構43およびハンド46A,46Bが回転軸線CA1のまわりで回転体421と一体で回動する。この回動により、ハンド46A,46Bの向きを変更することができる。
【0056】
第1直動機構43がハンド46A,46Bを移動させる第1移動方向D1は、例えば、回転軸線CA1についての径方向である。
【0057】
第2直動機構44は第2移動体441を含み、第2移動体441を第2移動方向D2に往復移動させる。第2移動方向D2は第1移動方向D1およびZ方向と交差する方向であり、具体的にはZ方向と直交する。第2移動体441も、例えば、鉄などの金属を含む剛体で構成される。図6の例では、第2移動体441は回転機構42(具体的には、後述の固定体422)に連結されている。回転機構42は第1直動機構43を介してハンド46A,46Bと連結されているので、第2移動体441はハンド46A,46Bと連動する。具体的には、第2移動体441が第2移動方向D2に往復移動することにより、回転機構42、第1直動機構43およびハンド46A,46Bが第2移動体441と一体で第2移動方向D2に往復移動する。
【0058】
なお、図6の例では、第2直動機構44は回転機構42によって回動しないので、第2移動方向D2は回転機構42の回動に依存しない。一方で、第1直動機構43は回転機構42によって回動する。よって、第1移動方向D1は回転機構42の回転に応じて回転する。したがって、第1移動方向D1と第2移動方向D2との交差角は回転機構42の回転位置に応じて変動する。
【0059】
図3を参照して、鉛直駆動機構45は昇降体451とモータ452とを含み、この昇降体451をZ方向に沿って往復移動させる。つまり、昇降体451を昇降させる。例えば昇降体451は、支柱411に設けられた鉛直方向に延びるレール(不図示)に係合する。モータ452は、昇降体451を当該レールに沿って鉛直方向に往復移動させる。
【0060】
図3の例では、昇降体451はステージ453を介して第2直動機構44(具体的には、後述の固定体442)に連結されている。ステージ453は例えば板状の形状を有しており、その厚み方向がZ方向に沿うように配置される。ステージ453の上には、第2直動機構44および昇降体451が設けられている。昇降体451が昇降することで、回転機構42、第1直動機構43、第2直動機構44およびハンド46A,46Bが昇降体451と一体で昇降する。
【0061】
以下では、説明の簡単のために、ハンド46A,46Bをハンド46と総称する。
【0062】
<第1直動機構>
図6の例では、第1直動機構43は、第1移動体431と、固定体432と、モータ433とを含んでいる。固定体432は、第1移動体431を第1移動方向D1に移動可能に結合する。固定体432は例えば第1直動機構43の各種構成を内蔵する筐体であってもよい。モータ433は、第1移動体431を第1移動方向D1に往復移動させる駆動力を提供する。モータ433は制御部7によって制御される。
【0063】
図6の例では、第1直動機構43はベルト434を含んでいる。ベルト434は複数のプーリ(図では2つ)に掛け渡されている。各プーリは、その中心軸が第1移動方向D1に直交するように、当該中心軸のまわりで回転可能に固定体432に結合される。ベルト434は例えばゴム製の弾性体によって形成される。このようなベルト434はタイミングベルトとも呼ばれる。モータ433はベルト434を回動させる。例えば、モータ433はプーリを回動させることにより、ベルト434を回動させる。第1移動体431はベルト434に連結されており、ベルト434が回動することにより、第1移動体431は第1移動方向D1に往復移動する。このような第1直動機構43は、高価でサイズの大きいリニアモータを採用する場合に比して、安価で小さい。
【0064】
第1直動機構43は不図示のリニアガイドを有していてもよい。当該リニアガイドは、第1移動方向D1に沿って延びる第1レールと、当該第1レールに係合して走行する第1走行部と含む。第1走行部は第1移動体431に連結される。これにより、第1直動機構43はより高い直動精度で第1移動体431を第1移動方向D1に往復移動させることができる。
【0065】
<回転機構>
回転機構42は、回転体421と、固定体422と、モータ423とを含んでいる。回転体421は例えば、回転軸線CA1に沿って延びる円柱状の回転軸である。回転体421は、例えば鉄などの金属を含む剛体によって構成される。回転体421の一端は第1直動機構43の固定体432に連結される。
【0066】
モータ423は回転体421に直結されている。ここでいう直結とは、例えば、モータ423の回転子が回転体421と直接に結合されている状態を含む。この場合、モータ423が同軸で回転体421と連結される。また、直結とは、例えば、モータ423の回転子が、例えば鉄などの金属を含む剛体から成る変速機(例えば、ハーモニックギア)を介して回転体421に結合されている状態も含み得る。変速機として減速機を採用すれば、小さいモータ423を採用することができる。
【0067】
モータ423の固定子は固定体422に固定される。固定体422は回転機構42の各種構成を収納する筐体であってもよい。
【0068】
モータ423は制御部7によって制御される。モータ423は回転体421を回転軸線CA1のまわりで回動させることにより、第1直動機構43およびハンド46を一体で回動させる。
【0069】
<第2直動機構>
図6の例では、第2直動機構44は第1直動機構43と同様の構成を有している。具体的には、第2直動機構44は、第2移動体441と、固定体442と、モータ(不図示)とを含んでいる。固定体442は、第2移動体441を第2移動方向D2に移動可能に結合する。固定体442は例えば第2直動機構44の各種構成を内蔵する筐体であってもよい。第2直動機構44のモータは、第2移動体441を第2移動方向D2に往復移動させる駆動力を提供する。当該モータは制御部7によって制御される。
【0070】
図6の例では、第2直動機構44はベルト444を含んでいる。ベルト444は複数のプーリ(不図示)に掛け渡されている。当該プーリは、その中心軸が第2移動方向D2に直交するように、当該中心軸のまわりで回転可能に固定体442に結合される。ベルト444は例えばゴム製の弾性体によって形成される。このようなベルト444はタイミングベルトとも呼ばれる。第2直動機構44のモータは例えば当該プーリを回動させて、ベルト444を回動させる。第2移動体441はベルト444に連結されており、ベルト444が回動することにより、第2移動体441は第2移動方向D2に往復移動する。
【0071】
図6の例では、第2直動機構44はリニアガイド445を含んでいる。リニアガイド445は、第2移動方向D2に沿って延びる第2レールと、第2レールに係合して走行する第2走行部とを含む。第2走行部は第2移動体441に連結される。これにより、第2直動機構44はより高い直動精度で第2移動体441を第2移動方向D2に往復移動させることができる。
【0072】
<位置検出>
図6に示すように、第2搬送ロボットCR2は、さらに、回転体421の回転位置を検出する回転検出部47と、第1移動体431の位置を検出する第1検出部48と、第2移動体441の位置を検出する第2検出部49とを含む。
【0073】
回転検出部47は例えば光学式センサまたは磁気式センサであってもよい。この回転検出部47はロータリエンコーダとも呼ばれる。回転検出部47は、例えば、回転体421(あるいは、モータ423の回転軸)に固定された円板状のディスクと、当該ディスクを隔てて互いに向かい合う光源および受光素子とを含む。ディスクにはスリットパターンが形成されており、光源からの光はこのスリットパターンによって、ディスクの回転位置に応じて透過/遮断される。受光素子で受光された光のパターンによって、回転体421の回転位置が検出される。回転検出部47は、検出したモータ423の回転位置を示す検出信号を制御部7に出力する。
【0074】
第1検出部48は固定体432に取り付けられており、第1移動体431の第1移動方向D1における位置を検出する。第1検出部48は例えば光学式センサまたは磁気式センサであってもよい。第1検出部48はリニアエンコーダとも呼ばれる。第1検出部48は第1移動体431の位置を直接に検出する。例えば、第1検出部48は、第1移動方向D1に延びるスケールと、当該スケールに対して第1移動方向D1に移動可能に設けられた走査部材とを含んでいる。走査部材は第1移動体431に連結され、第1移動体431と一体で移動する。走査部材は例えばスケールに対して光を照射する光源と、スケールを透過または反射した光を受光する受光素子とを内蔵し、当該光がスケールに照射されることにより、当該スケールに対する走査部材の位置、つまり、第1移動体431の第1移動方向D1における位置が検出される。
【0075】
第1検出部48は第1移動体431の位置を直接に検出するので、高い精度で第1移動体431の位置を検出できる。第1検出部48は、検出した第1移動体431の位置を示す検出信号を制御部7に出力する。
【0076】
第2検出部49は固定体442に取り付けられており、第2移動体441の第2移動方向D2における位置を検出する。第2検出部49は例えば光学式センサまたは磁気式センサであってもよい。第2検出部49はリニアエンコーダとも呼ばれる。第2検出部49は第2移動体441の位置を直接に検出する。第2検出部49の具体的な構成は第1検出部48と同様である。
【0077】
第2検出部49は第2移動体441の位置を直接に検出するので、高い精度で第2移動体441の位置を検出できる。第2検出部49は、検出した第2移動体441の位置を示す検出信号を制御部7に出力する。
【0078】
<制御部>
図7は、基板処理装置1の各要素と制御部7との接続の一例を示すブロック図である。制御部7のハードウェア構成は、一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部7は、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)71、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM(Read Only Memory)72、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM(Random Access Memory)73、および制御アプリケーション(プログラム)またはデータ等を記憶する非一過性の記憶部74を含んでいる。CPU71,ROM72,RAM73および記憶部74はバス配線75で互いに接続されている。
【0079】
制御アプリケーションまたはデータは、非一過性の記録媒体(半導体メモリ、光学メディア、磁気メディアなど)に記録された状態で、制御部7に提供されてもよい。この場合、当該記録媒体から制御アプリケーションまたはデータを読み取る読取装置がバス配線75に接続されているとよい。また、制御アプリケーションまたはデータは、ネットワークを介してサーバーなどから制御部7に提供されてもよい。この場合、外部装置とネットワーク通信を行う通信部がバス配線75に接続されているとよい。なお、制御部7の機能は必ずしもソフトウェアで実現される必要はなく、論理回路等を含むハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0080】
バス配線75には、入力部76および表示部77が接続されている。入力部76はキーボードおよびマウスなどの各種入力デバイスを含む。作業者は、入力部76を介して制御部7に各種情報を入力する。表示部77は、液晶モニタなどの表示デバイスで構成されており、各種情報を表示する。
【0081】
制御部7は、処理ユニットP1~P18の作動部(スピンモータ51dおよびバルブ56など)、シャトル搬送装置36の作動部(モータなど)、搬送ロボットCR1,CR2の作動部(モータ423,433など)に接続されており、それらの動作を制御する。
【0082】
また、制御部7は各搬送ロボットCR1,CR2の回転検出部47、第1検出部48および第2検出部49にも電気的に接続されている。制御部7からこれらの検出部から検出信号を受け取る。制御部7は、回転検出部47によって検出された回転位置に基づいて回転機構42を制御し、第1検出部48によって検出された位置に基づいて第1直動機構43を制御し、第2検出部49によって検出された位置に基づいて第2直動機構44を制御することができる。
【0083】
記憶部74には、各搬送ロボットCR1,CR2のハンド46の移動経路を規定したティーチングデータが記憶されている。制御部7はこのティーチングデータに従って搬送ロボットCR1,CR2を制御する。
【0084】
以下では、代表的に、第2搬送ロボットCR2が処理ユニットP10に基板Wを搬送する場合について述べる。つまり、制御部7は、処理ユニットP10への搬送経路を規定したティーチングデータに従って第2搬送ロボットCR2を以下のように制御する。
【0085】
第2搬送ロボットCR2は例えば第2受渡部PS2から基板Wをハンド46で取り出して保持する。そして、回転機構42がハンド46の向きを調整しつつ、鉛直駆動機構45がハンド46の高さ位置を調整して、ハンド46を処理ユニットP10と向かい合う規定の対向位置で停止させる。次に、第1直動機構43がハンド46を処理ユニットP10に向かって移動させ、スピンチャック51の上方の規定の停止位置で停止させる。この状態において、基板Wの中心は理想的には回転軸線X1上に位置する。次に、鉛直駆動機構45がハンド46を下降させて基板Wをスピンチャック51に載置する。よって、停止位置は、平面視におけるスピンチャック51上の基板Wの載置位置に相当する。これにより、基板Wの中心が回転軸線X1上に位置する状態で、基板Wがスピンチャック51の上に載置される。次に、第1直動機構43がハンド46を処理ユニットP10の外部に退避させる。
【0086】
なお、処理ユニットP10には、複数のリフトピン(不図示)が設けられてもよい。複数のリフトピンは回転軸線X1のまわりで略等間隔に設けられて昇降する。複数のリフトピンが上昇した状態において、第2搬送ロボットCR2がハンド46を規定の停止位置から下降させることで、基板Wをリフトピンの上に載置する。第2搬送ロボットCR2がハンド46を退避させた後に、リフトピンが下降して基板Wをスピンチャック51の上に載置する。この場合でも、基板Wの中心は理想的には回転軸線X1上に位置する。
【0087】
しかしながら、ティーチングデータにおける規定の停止位置自体が水平方向の誤差を含んでいると、基板Wの中心がその誤差に応じてスピンチャック51の回転軸線X1から水平方向にずれる。このような位置ずれは好ましくないので、高い精度で回転軸線X1(理想位置)と一致する停止位置をティーチングデータにおいて規定することが望ましい。
【0088】
さて、このティーチングデータでは、ハンド46の移動経路を規定すべく、回転機構42、第1直動機構43、第2直動機構44および鉛直駆動機構45の各駆動量が実質的に規定される。駆動量とは、回転体421の回転量、第1移動体431の移動量、第2移動体441の移動量および昇降体451の移動量を示す。つまり、停止位置は、ハンド46の初期位置からの各駆動量によって実質的に規定される。よって、この規定の停止位置が理想位置に近づくように、各駆動量が規定されることが望ましい。
【0089】
本実施の形態では、ハンド46を水平に移動させる機構として、回転機構42、第1直動機構43および第2直動機構44が設けられている。よって、ティーチングデータにおける停止位置(水平面内における位置)を3つの軸の駆動量で規定することができる。3つの軸とは、第1移動方向D1に沿う軸、第2移動方向D2に沿う軸および回転軸線CA1に沿う軸である。これによれば、より高い位置精度で停止位置を規定することができる。以下、具体的な一例を説明する。
【0090】
例えば、制御部7は、次のようにしてハンド46の位置を制御することで、ハンド46の停止位置を規定してもよい。例えば、制御部7は回転検出部47および第1検出部48の検出信号に基づいて、理想位置を目標位置として回転機構42および第1直動機構43をそれぞれ駆動する。これにより、ハンド46の位置を平面視において理想位置(回転軸線X1)に近づけることができる。この理想位置(回転軸線X1)を示す情報は例えば作業員によって入力部76に入力されてもよく、あるいは、後述のように検出されてもよい。
【0091】
ここでは、回転機構42および第1直動機構43によってハンド46を第1位置に停止させたものとする。次に、制御部7は回転機構42および第1直動機構43の一方と、第2直動機構44とを駆動する。具体的な一例として、制御部7は第1直動機構43および第2直動機構44を駆動する。制御部7は第1検出部48および第2検出部49の検出信号に基づいて、理想位置を目標位置として第1直動機構43および第2直動機構44を駆動する。この駆動により、ハンド46の位置が第1位置よりも理想位置に近づいた場合には、制御部7は第1直動機構43および第2直動機構44の駆動を終了する。制御部7はこのときの回転機構42、第1直動機構43および第2直動機構44の駆動量を、停止位置を示す情報としてティーチングデータに含める。この場合、ティーチングデータにおける停止位置(水平面内の位置)は回転機構42、第1直動機構43および第2直動機構44の各駆動量によって規定される。一方で、ハンド46の位置が理想位置から遠ざかる場合には、制御部7は第1直動機構43および第2直動機構44を駆動して、ハンド46を元の第1位置に戻す。制御部7はこのときの回転機構42および第1直動機構43の駆動量を、停止位置を示す情報としてティーチングデータに含める。この場合、ティーチングデータにおける停止位置(水平面内の位置)は回転機構42および第1直動機構43の駆動量によって規定される。
【0092】
以上のように、第2搬送ロボットCR2は、3軸を適宜に調整して最もハンド46の位置が理想位置に近づくようにティーチングデータの停止位置を規定することができる。よって、2軸のみの調整に比して、高い位置精度でティーチングデータを生成できる。このティーチングデータに従って駆動する第2搬送ロボットCR2は、高い位置精度で基板Wの中心を回転軸線X1に近づけつつ、基板Wをスピンチャック51の上に載置することができる。
【0093】
ところで、図1の基板処理装置1においては、第2搬送ロボットCR2のハンド46の初期位置は、平面視において処理タワーTW3~TW6および第2受渡部PS2によって取り囲まれている。つまり、第2搬送ロボットCR2による基板Wの搬送先ユニットは第2搬送ロボットCR2の周囲を取り囲むように配置されており、水平な一方向において3つ以上の搬送先ユニットは並んでいない。このような構造によれば、第2搬送ロボットCR2は、回転機構42によってハンド46の向きを調整することにより、ハンド46を処理タワーTW3~TW6および第2受渡部PS2の各々に向かい合わせることができる。例えばハンド46が処理タワーTW3に向かい合った状態では、第1直動機構43による第1移動方向D1は、ハンド46および処理タワーTW3を結ぶ直線方向に一致する。よって、第1直動機構43がハンド46を処理タワーTW3に向かって移動させることにより、ハンド46を処理タワーTW3の一つの処理ユニット内に進入させることができる。
【0094】
以上のように、基板Wの搬送という点では、第2搬送ロボットCR2には回転機構42および第1直動機構43が設けられていれば足りる。そして、処理ユニット内におけるハンド46の水平面内の位置も、回転機構42および第1直動機構43によってある程度調整することは可能である。
【0095】
しかしながら、本実施の形態では、回転機構42および第1直動機構43のみならず、第2直動機構44が設けられている。これにより、ハンド46の位置調整のための軸数を増大でき、より高い精度でのハンド46の位置調整が可能となる。
【0096】
しかも、第1検出部48および第2検出部49はそれぞれ第1直動機構43の第1移動体431および第2直動機構44の第2移動体441の位置を直接に検出する。よって、第1移動体431および第2移動体441の位置を高い精度で検出できる。したがって、制御部7はハンド46の第1移動方向D1の位置および第2移動方向D2の位置をより高い精度でフィードバック制御することができる。例えば、上述のように、第1直動機構43において、モータ433が変速機(例えばベルト434)を介して第1移動体431に駆動力を伝達する場合であっても、第1移動体431の位置を高い精度で検出し、その検出位置に基づいて第1移動体431の位置を調整することにより、高い精度で第1移動体431の位置を制御することができる。第2移動体441も同様である。
【0097】
回転機構42は第1直動機構43および第2直動機構44と異なって、ハンド46を回転軸線CA1についての周方向に往復移動させる。よって、回転軸線CA1とハンド46との間の距離が長くなるほど、ハンド46の周方向の位置精度が低下する。
【0098】
これに関して、上述の例では、モータ423が回転体421に直結されている。よって、モータ423の回転位置は高い精度で回転体421の回転位置を示す。したがって、回転機構42は高い精度で回転体421の回転位置を制御できる。ひいては、たとえハンド46と回転軸線CA1との間の距離が長くなっても、高い精度でハンド46の周方向の位置を調整することができる。
【0099】
つまり、ハンド46の位置によって周方向の位置精度が低下する回転機構42においては、モータ423を回転体421に直結させて、位置精度の低下を抑制し、または位置精度を向上させる。一方で、第1直動機構43および第2直動機構44においては、ベルト機構を採用することで、第1直動機構43および第2直動機構44のコストおよびサイズを低減する。なお、コストおよびサイズが問題にならない場合には、第1直動機構43および第2直動機構44に直結リニアモータを採用してもよい。
【0100】
また、回転検出部47は回転体421の回転位置を高い精度で検出できるので、制御部7はハンド46の周方向の位置をより高い精度でフィードバック制御することが可能である。
【0101】
上述の例では、第2搬送ロボットCR2を例に挙げて説明したが、第1搬送ロボットCR1についても同様である。なお、図1の基板処理装置1においては、第1搬送ロボットCR1のハンドの初期位置は、処理タワーTW1,TW2、第1受渡部PS1および第2受渡部PS2によって取り囲まれている。このような構造によれば、第2搬送ロボットCR2と同様に、基板Wの搬送という点では、回転機構42および第1直動機構43が設けられていれば足りる。しかしながら、本実施の形態のように、回転機構42、第1直動機構43のみならず第2直動機構44を設けることで、ハンド46の位置調整のための軸数を増大でき、より高い精度での位置調整が可能となる。
【0102】
なお、上述の例では、第2直動機構44は回転機構42および第1直動機構43を一体で移動させているものの、必ずしもこれに限らない。例えば、第2直動機構44が回転機構42よりもハンド46に近い位置に設けられて、回転機構42が第1直動機構43および第2直動機構44を一体で回動させてもよい。
【0103】
<ティーチングデータ生成>
次に、ティーチングデータの生成方法の具体的な一例について述べる。ここでは、まず初期のティーチングデータが生成され、この初期のティーチングデータを補正することでティーチングデータを生成する。初期のティーチングデータは例えば作業員による入力部76あるいは専用の入力装置への入力によって生成される。
【0104】
まず、第2搬送ロボットCR2が初期のティーチングデータに従ってハンド46を移動させて、スピンチャック51の上方の既定の停止位置で停止させる。そして、この状態での基板Wの中心の位置をモニタしつつ、その基板Wの中心が平面視においてスピンチャック51の回転軸線X1(理想位置)と一致するように、停止位置を補正する。以下、具体的に説明する。
【0105】
図5に例示するように、処理ユニットP10にはカメラ57が設けられている。カメラ57は例えばCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサを含み、スピンチャック51の上方に設けられている。図5の例では、カメラ57の撮像方向は鉛直下方である。カメラ57の撮像領域には、スピンチャック51の周縁部の少なくとも一部が含まれている。撮像領域には、スピンチャック51の全体が含まれていてもよい。カメラ57は撮像領域を撮像して画像データを取得し、当該画像データを制御部7に出力する。
【0106】
第2搬送ロボットCR2が基板Wを処理ユニットP10に搬入するときには、基板Wを保持したハンド46がスピンチャック51の上方の規定の停止位置に移動する。図5の例では、規定の停止位置で停止した基板Wおよびハンド46を仮想線で示している。カメラ57の撮像領域には、既定の停止位置で停止した基板Wの周縁部の少なくとも一部が含まれる。言い換えれば、基板Wの少なくとも一部が撮像領域に含まれるように、カメラ57の設置位置が調整される。撮像領域には、基板Wの全体が含まれてもよい。
【0107】
なお、処理ユニットP10には、カメラ57を移動させるカメラ移動機構(不図示)が設けられてもよい。カメラ移動機構がカメラ57を移動させることにより、撮像領域を適宜に変更することができる。
【0108】
制御部7は、カメラ57によって取得された画像データに対して画像処理を行って、基板Wの中心位置を検出する。制御部7は、基板Wの中心位置がスピンチャック51の回転軸線X1と一致するように、既定の停止位置についての補正量を算出する。
【0109】
図8は、位置補正方法の一例を示すフローチャートである。初期的には、基板Wは未だ処理ユニットP10には搬入されていない。まず、カメラ57がスピンチャック51を撮像する(ステップS1)。具体的には、例えばカメラ移動機構がスピンチャック51の撮像に適した第1撮像位置にカメラ57を移動させる。そして、カメラ57が撮像領域を撮像して画像データを取得し、当該画像データを制御部7に出力する。この画像データにはスピンチャック51が含まれている。
【0110】
次に、制御部7は当該画像データに対する画像処理により、スピンチャック51の回転軸線X1の位置を検出する(ステップS2)。図9は、回転軸線X1の位置を求める手法の一例を説明するための図である。スピンベース51aは、平面視において略円形状に形成されており、その曲率半径R1は既知である。よって、スピンベース51aの周縁上の1点を通る接線Lの式を求めれば、その接線Lの式と曲率半径R1からスピンベース51aの回転軸線X1の位置(X座標およびY座標)を求めることができる。この回転軸線X1の位置が停止位置についての理想位置となる。
【0111】
次に、第2搬送ロボットCR2は、基板Wを保持したハンド46をスピンチャック51の上方の規定の停止位置で停止させる(ステップS3)。次に、カメラ57は基板Wを撮像する(ステップS4)。具体的には、例えばカメラ移動機構がハンド46上の基板Wの撮像に適した第2撮像位置にカメラ57を移動させる。例えば第2撮像位置は第1撮像位置より+Z側の位置である。そして、カメラ57が撮像領域を撮像して画像データを取得し、当該画像データを制御部7に出力する。当該画像データには基板Wが含まれる。
【0112】
制御部7は当該画像データに対して画像処理を行って、基板Wの中心の位置を検出する(ステップS5)。基板Wの中心の位置を求める手法は、例えば、回転軸線X1を求める手法と同様である。つまり、基板Wの曲率半径は既知であるので、基板Wの周縁上の1点を通る接線を求めれば、既知の曲率半径と当該接線の式とに基づいて、基板Wの中心位置を求めることができる。
【0113】
次に、制御部7は基板Wの中心位置と回転軸線X1との差を算出する(ステップS6)。次に、制御部7は、当該差の絶対値が許容値以上であるか否かを判断する(ステップS7)。差が許容値未満であれば、ティーチングデータの補正は必要ないので、後述のステップS8を実行せずに処理を終了する。つまり、初期のティーチングデータをそのままティーチングデータとして採用する。
【0114】
差が許容値以上であれば、制御部7は、基板Wの中心位置を回転軸線X1に一致させるための第1補正量と第1補正方向とを求め、当該第1補正量および当該第2補正方向に基づいてティーチングデータ(具体的には停止位置)を補正する(ステップS8)。当該第1補正量は、基板Wの中心位置と回転軸線X1との差の絶対値と等しく、当該第1補正方向は基板Wの中心から回転軸線X1へ向かう方向である。
【0115】
既定の停止位置を補正するには、その補正後の停止位置にハンド46を移動させるための各駆動機構の駆動量を補正する。ここでは、停止位置を水平面内で補正するので、制御部7は補正後の停止位置を目標位置として、回転機構42、第1直動機構43および第2直動機構44を例えば既述のように駆動する。これにより、ハンド46を補正後の停止位置に移動させるための各駆動機構の駆動量(補正量)が決定される。これにより、初期のティーチングデータが補正される。
【0116】
以上のように、制御部7は、平面視において基板Wの中心位置がスピンチャック51の回転軸線X1に一致するように、初期のティーチングデータ(具体的には、停止位置)を補正することができる。しかも、本実施の形態では、3軸の駆動量を補正して初期のティーチングデータを補正することが可能であるので、より高い精度で初期のティーチングデータを補正することができる。
【0117】
これにより、より位置精度の高いティーチングデータを得ることができる。第2搬送ロボットCR2はこのティーチングデータに従って動作するので、基板Wの中心がスピンチャック51の回転軸線X1と高い精度で一致した状態で、基板Wをスピンチャック51に渡すことができる。
【0118】
制御部7はティーチングデータに基づいたフィードフォワード制御により、第2搬送ロボットCR2を制御するとよい。つまり、ティーチングデータの生成には、回転検出部47、第1検出部48および第2検出部49の検出信号を用いたフィードバック制御を用いることで、高い位置精度でティーチングデータを生成しつつ、その後は、フィードフォワード制御により、高速に基板Wを搬送する。
【0119】
<リアルタイム補正>
上述のように、第2搬送ロボットCR2は、ティーチングデータに従って基板Wを適切な位置でスピンチャック51に渡すことができる。しかしながら、スピンチャック51が基板Wを保持する際に、基板Wが水平方向でずれる場合がある。例えば、スピンチャック51が吸着により基板Wを保持する場合、スピンチャック51が基板Wを吸引し始める時に基板Wが水平方向に滑り、基板Wの中心が回転軸線X1からずれ得る。このずれ量およびずれ方向は、処理ユニットP1~P18ごとに相違し得るし、また、各処理ユニットP1~P18の経時劣化等によっても相違し得る。
【0120】
そこで、基板処理装置1は、スピンチャック51が基板Wを保持しているときの基板Wの中心位置をモニタし、その中心位置が回転軸線X1からずれているときには、基板Wをスピンチャック51に載置し直すことが考えられる。
【0121】
図10は、位置補正方法の他の一例を示すフローチャートである。まず、カメラ57がスピンチャック51を撮像する(ステップS11)。次に、制御部7は、カメラ57から入力された画像データに対して画像処理を行って、スピンチャック51の回転軸線X1の位置を検出する(ステップS12)。
【0122】
次に、第2搬送ロボットCR2は、基板Wを保持したハンド46をスピンチャック51の上方の規定の停止位置で停止させる(ステップS13)。次に、第2搬送ロボットCR2はハンド46を下降させてスピンチャック51に基板Wを載置する(ステップS14)。次に、スピンチャック51が基板Wを吸着して保持する(ステップS15)。この吸引により、基板Wがスピンチャック51上で滑り得る。図11は、回転軸線X1および基板Wの中心Pc1の位置の一例を概略的に示す図である。図11の例では、吸引後の基板Wの中心Pc1が回転軸線X1に対して右下にずれている。
【0123】
次に、カメラ57はスピンチャック51上の基板Wを撮像する(ステップS16)。次に、制御部7はカメラ57から入力された画像データに対する画像処理を行って、基板Wの中心Pc1の位置を検出する(ステップS17)。次に、制御部7は基板Wの中心Pc1の位置と回転軸線X1との差(ずれ量)ΔHを算出する(ステップS18)。次に、制御部7は当該差ΔHの絶対値が許容値以上であるか否かを判断する(ステップS19)。当該差ΔHの絶対値が許容値未満であるときには、基板Wの載置し直しは不要であるので、後述のステップS20~S24を実行せずに処理を終了する。
【0124】
差ΔHの絶対値が許容値以上であるときには、制御部7は、基板Wの中心Pc1の位置を回転軸線X1に一致させるための第2補正量と第2補正方向とを求め、その第2補正量および第2補正方向に基づいて停止位置を補正して、停止位置SP1(補正後位置)を算出する(ステップS20)。第2補正量は当該差ΔHの絶対値の2倍と等しく、第2補正方向は平面視において基板Wの中心Pc1から回転軸線X1に向かう方向である。つまり、基板Wの中心Pc1はスピンチャック51の吸着によって回転軸線X1から差(ずれ量)ΔHの分だけ、ずれ方向にずれるので、予めそのずれ量の分だけ、回転軸線X1に対して当該ずれ方向とは反対側に基板Wの停止位置SP1をずらしておく。なお、停止位置SP1は、基板Wを載置し直したときのスピンチャック51上の基板Wの載置位置に相当する。
【0125】
次に、第2搬送ロボットCR2はスピンチャック51から基板Wを持ち上げる(ステップS21)。具体的には、スピンチャック51が基板Wの保持を解除し、リフトピンが基板Wを持ち上げ、ハンド46がこの基板Wを持ち上げる。
【0126】
次に、第2搬送ロボットCR2はハンド46を、ステップS20で求めた停止位置SP1に移動させる(ステップS22)。具体的には、制御部7は、停止位置SP1を目標位置として回転機構42、第1直動機構43および第2直動機構44を例えば既述のように駆動して、ハンド46を移動させる。これにより、ハンド46を高い精度で停止位置SP1に移動させることができる。
【0127】
次に、第2搬送ロボットCR2はハンド46を下降させてスピンチャック51上に基板Wを載置する(ステップS23)。次に、スピンチャック51が基板Wを吸着して保持する(ステップS24)。この吸引時に基板Wがずれ方向にずれ量(差ΔH)だけ滑るので、基板Wの中心Pc1が回転軸線X1に近づく。
【0128】
以上のように、平面視において基板Wの中心Pc1の位置がスピンチャック51の回転軸線X1に一致するように、基板Wをスピンチャック51の上に載置し直すことができる。しかも、本実施の形態では、3軸を用いてハンド46の位置を調整することが可能であるので、より高い精度でハンド46を停止位置SP1に移動させることができる。ひいては、吸引後の基板Wの中心Pc1を高い精度で回転軸線X1に一致させることができる。
【0129】
<機械学習>
上述のように、保持(吸引)時の基板Wのずれは処理ユニットP1~P18において相違し得る。そこで、その処理ユニットP1~P18による違いを機械学習により学習し、その機械学習を利用して基板Wを載置し直してもよい。
【0130】
図12は、制御部7の内部構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。制御部7は、機械学習部710と、搬送制御部720とを含んでいる。機械学習部710には、カメラ57によって撮像された画像データが入力される。具体的には、機械学習部710には、スピンチャック51を含んだ画像データ(ステップS11)と、基板Wを含んだ画像データ(ステップS16)とが入力される。制御部7は、両画像データに基づいた機械学習を用いて、基板Wをスピンチャック51に載置し直したときの載置位置(停止位置SP1、補正後位置)を求める。例えば、機械学習部710は両画像データに基づいて基板Wのずれ量およびずれ方向を求めてもよく、ハンド46の停止位置についての第2補正量および第2補正方向を求めてもよく、停止位置SP1を求めてもよい。ここでは、機械学習部710はずれ量およびずれ方向を求めて、これらを搬送制御部720に出力する。機械学習部710の機械学習のアルゴリズムは特に限定されないものの、例えば、ニューラルネットワーク(例えばディープラーニング)等のアルゴリズムを採用することができる。
【0131】
この機械学習部710は、教師データを用いた事前の学習ステップにより生成される。教師データは、例えば、処理ユニットP1~P18ごとに取得される。教師データとしては、いずれもカメラ57によって取得された、スピンチャック51を含む画像データと、スピンチャック51によって保持された基板Wを含む画像データとが採用される。また、このときのずれ量およびずれ方向を測定する。この一連の処理を複数回行うことで、両画像データと、当該画像データに対応するずれ量およびずれ方向の組が複数取得される。これらの各組を処理ユニットP10用の教師データとして採用する。なお、ずれ量およびずれ方向に替えて、第2補正量および第2補正方向を測定してもよく、あるいは、停止位置SP1を測定してもよい。この教師データを用いた公知の学習ステップにより、処理ユニットP10用の機械学習部710を生成することができる。同様にして他の処理ユニット用の機械学習部710も生成される。
【0132】
また、種類の異なる基板Wが基板収容器Cに収容されている場合もある。スピンチャック51による保持(吸引)の際の基板Wのずれ量およびずれ方向は、基板Wの種類、例えば基板Wのサイズ(径)および重量にも依存し得る。そこで、基板Wの種類ごとに、教師データを取得してもよい。例えば、第1種類の基板Wを処理ユニットP10に搬送して上記処理を繰り返すことにより、第1種類の基板Wおよび処理ユニットP10用の教師データを取得できる。この教師データを用いた学習ステップにより、第1種類の基板Wおよび処理ユニットP10用の機械学習部710_1を生成することができる。同様に、第2種類の基板Wを処理ユニットP10に搬送して上記処理を繰り返すことにより、第2種類の基板Wおよび処理ユニットP10用の教師データを取得できる。この教師データを用いた学習ステップにより、第2種類の基板Wおよび処理ユニットP10用の機械学習部710_2を生成することができる。
【0133】
同様にして、複数の種類の基板Wと複数の処理ユニットP1~P18との組み合わせに応じた複数の機械学習部710_3,・・・710_nを生成することができる。
【0134】
図12の例では、機械学習部710には、基板情報および処理ユニット情報も入力される。基板情報は、搬送対象となる基板Wの種類を示す情報(例えばサイズ情報)を含み、処理ユニット情報は、この基板Wが処理される処理ユニットを指定する情報を含む。機械学習部710は基板情報および処理ユニット情報に基づいて、機械学習部710_1,・・・710_nから、対応する機械学習部710_mを一つを選択する。機械学習部710_mは、カメラ57から入力された画像データに基づいて、基板Wのずれ量およびずれ方向を求め、これらを搬送制御部720に出力する。
【0135】
搬送制御部720は上述のように、ずれ量およびずれ方向に基づいて停止位置SP1を算出し、第2搬送ロボットCR2を制御して基板Wをスピンチャック51から持ち上げて、ハンド46を停止位置SP1に移動させる。このとき、制御部7は停止位置SP1を目標位置として、回転機構42、第1直動機構43および第2直動機構44を例えば既述のように駆動する。これにより、ハンド46を高い精度で停止位置SP1に移動させることができる。次に、第2搬送ロボットCR2はハンド46を下降させて基板Wをスピンチャック51上に載置する。
【0136】
以上のように、制御部7は機械学習を利用して停止位置SP1を求めている。したがって、高い精度で停止位置SP1を求めることができる。ひいては、保持後の基板Wの中心Pc1の位置をより高い精度で回転軸線X1に一致させることができる。
【0137】
しかも、処理ユニットP1~P18ごとに機械学習部710を生成しているので、制御部7(機械学習部710)は処理ユニットに応じて高い精度で停止位置SP1を求めることができる。同様に、基板Wの種類ごとに機械学習部710を生成しているので、制御部7(機械学習部710)は基板Wの種類に応じて高い精度で停止位置SP1を求めることができる。
【0138】
<位置調整>
図6の例では、回転機構42および第1直動機構43は第2直動機構44よりもハンド46に近い位置に設けられる。よって、ハンド46の位置調整は、回転機構42および第1直動機構43が優先的に行うとよい。例えば、基板Wを載置し直す際に、第2搬送ロボットCR2はハンド46を補正前の停止位置から補正後の停止位置SP1に移動させる。このときに第2搬送ロボットCR2は少なくとも回転機構42および第1直動機構43を用いてハンド46を移動させるとよい。その理由について以下に説明する。
【0139】
第2直動機構44が駆動して、第2移動体441が第2移動方向D2に移動すれば、回転機構42および第1直動機構43も第2移動体441と一体で移動する。よって、回転機構42および第1直動機構43には慣性力が作用する。この慣性力により、回転機構42の回転体421および第1直動機構43の第1移動体431がそれぞれのクリアランスの範囲内で変動し得る。これにより、ハンド46の誤差を増大させ得る。
【0140】
一方で、回転機構42が駆動して回転体421が回転すると、第1直動機構43が回転体421と一体で回転するのに対して、第2直動機構44は回転しない。また、第1直動機構43が駆動して第1移動体431が移動しても、回転機構42および第2直動機構44は移動しない。よって、回転機構42および第1直動機構43が駆動しても第2直動機構44にはほとんど慣性力が作用せず、第2移動体441の変動は小さい。したがって、ハンド46の誤差の増大を招きにくい。
【0141】
そこで、制御部7は例えば次のようにして各駆動機構を制御してもよい。即ち、制御部7は回転検出部47および第1検出部48の検出信号に基づいて、それぞれ回転機構42および第1直動機構43を駆動して、ハンド46を補正後の停止位置(目標位置)に移動させる。そして、ハンド46の位置と目標位置との差が許容範囲外であれば、制御部7は第2検出部49の検出信号に基づいて第2直動機構44も駆動してハンド46の位置を調整し、当該差が許容範囲内であれば、第2直動機構44を用いない。
【0142】
以上のように、補正前の停止位置から補正後の停止位置SP1へのハンド46の移動に際して、よりハンド46に近い回転機構42および第1直動機構43を優先的に利用する。これによれば、ハンド46の位置調整をより高い精度で実行することができる。
【0143】
<基板のサイズ>
ところで、基板Wのサイズが基準サイズと異なる場合には、ハンド46の上に載置される基板Wの位置が相違する。図13は、ハンド46上の基板Wの一例を概略的に示す平面図である。ハンド46は、一対のフィンガ461と、連結部材462と、挟持突起部463と、押圧部464と、押し込み量検出部465とを含んでいる。
【0144】
フィンガ461は長尺状の形状を有しており、その長手方向が第1移動方向D1に沿うように配置されている。両フィンガ461は間隔を空けて互いに平行に配置される。フィンガ461の上面は水平である。基板Wは両フィンガ461の上面に載置される。連結部材462は例えば板状の形状を有しており、フィンガ461の基端どうしを連結する。一対のフィンガ461および連結部材462を含む構造体は平面視においてU字状の形状を有する。
【0145】
各フィンガ461の先端部には、挟持突起部463が立設されている。挟持突起部463はフィンガ461の上面から上方に突出する。挟持突起部463は、基板Wがフィンガ461の上に載置された状態で、基板Wの周縁(側面)と当接する。
【0146】
押圧部464は連結部材462に取り付けられており、基板Wを第1移動方向D1に沿って挟持突起部463側に押圧する。押圧部464は例えばシリンダ機構を有していてもよい。押圧部464のロッドが第1移動方向D1に沿って挟持突起部463側に移動(伸長)することで、当該ロッドの先端が基板Wの周縁(側面)に当接して基板Wを挟持突起部463側に押圧することができる。ハンド46は挟持突起部463および押圧部464によって、基板Wを挟持することができる。また、押圧部464のロッドが挟持突起部463とは反対側に退避(収縮)することで、基板Wの挟持を解除できる。
【0147】
押し込み量検出部465は押圧部464の基板Wに対する押し込み量を検出する。押し込み量検出部465は、例えば押圧部464のロッドの位置を検出するリニアエンコーダであってもよい。この押し込み量検出部465は押圧部464のシリンダ機構に内蔵され得る。押し込み量検出部465は、検出した押し込み量を示す検出信号を制御部7に出力する。
【0148】
さて、サイズが大きい基板Wをハンド46が保持する場合と、サイズが小さい基板Wをハンド46が保持する場合とでは、ハンド46に対する基板Wの載置位置が相違する。図13では、基準サイズの基板Wが基板W1として示され、基準サイズよりも小さい基板Wが基板W2として示されている。図13では、基板W2、および、基板W2を押圧する押圧部464を仮想線で示している。図13では、基板W2の中心Pc2は基板W1の中心Pc1から第1移動方向D1に沿って挟持突起部463側にずれ量ΔPだけずれている。以下では、第1移動方向D1において挟持突起部463側を奥側と呼び、連結部材462側を手前側と呼ぶ。基板W2の中心Pc2は基板W1の中心Pc1よりも奥側にずれる。
【0149】
なお、第1移動方向D1に直交する直交方向における基板Wの位置は一対の挟持突起部463によって規制されるので、基板Wのサイズが相違しても、基板Wの中心の直交方向の位置はほとんど相違しない。
【0150】
ここでは、ティーチングデータは基板W1に対応して生成され、記憶部74に記憶されているものとする。よって、第2搬送ロボットCR2が基板W1を搬送する場合、平面視にて基板W1の中心Pc1は高い精度で回転軸線X1に一致する。その一方で、第2搬送ロボットCR2が基板W2を搬送する場合、基板W2の中心Pc2は回転軸線X1から奥側にずれ量ΔPだけずれてしまう。よって、ハンド46の停止位置をずれ量ΔPだけ手前側に移動させることが望ましい。
【0151】
そこで、制御部7は押圧部464の押し込み量に基づいて、ハンド46上の基板W2の中心Pc2の位置を検出し、中心Pc2の位置に基づいてティーチングデータを補正する。図14は、ティーチングデータの補正処理の一例を示すフローチャートである。
【0152】
まず制御部7は、押し込み量検出部465から入力された検出信号に基づいて、ハンド46上の基板W2の中心Pc2の位置を求める(ステップS31)。より具体的には、制御部7は基板W2の中心Pc2と、基準サイズの基板W1の中心Pc1との間のずれ量ΔPと、中心Pc2の中心Pc1に対するずれ方向とを求める。次に、制御部7はずれ量ΔPおよびずれ方向に基づいてティーチングデータを補正する(ステップS32)。具体的には、制御部7はずれ量ΔPを第3補正量とし、ずれ方向とは反対側の方向を第3補正方向として、既定の停止位置を補正する。図13の例では、中心Pc2は中心Pc1よりも奥側に位置しているので、第3補正方向は手前側である。
【0153】
制御部7は補正後の停止位置を目標位置として、回転機構42、第1直動機構43および第2直動機構44を例えば既述のように駆動し、ハンド46を補正後の停止位置に移動させる。これにより、ハンド46を高い位置精度で補正後の停止位置に移動させることができる。したがって、基板Wのサイズが相違しても、第2搬送ロボットCR2は基板Wを適切な位置でスピンチャック51の上に載置することができる。
【0154】
<基板情報>
押圧部464の押し込み量に基づいて、幾何学的に基板Wのサイズを求めることが可能である。よって、図12を参照して説明した基板情報として、押圧部464の押し込み量を採用してもよい。
【0155】
以上、実施の形態が説明されたが、この基板処理装置1はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。本実施の形態は、その開示の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【0156】
例えば、第1搬送ロボットCR1および第2搬送ロボットCR2は互いに異なる構成を有していてもよい。第1搬送ロボットCR1および第2搬送ロボットCR2のいずれ一方は第2直動機構44を含んでいなくてもよい。
【0157】
図15は、基板処理装置1Aの構成の一例を概略的に示す図である。基板処理装置1Aは、インデクサセクション2aと、処理セクション3aとを含む。インデクサセクション2aの構成はインデクサセクション2と同様である。処理セクション3aは、処理ユニットP1A~P12Aと、受渡部PSAと、搬送ロボットCRA(基板搬送装置)とを含んでいる。処理ユニットP1A~P6Aは搬送ロボットCRAの+Y側において、X方向に並んで配列されている。処理ユニットP7A~P12Aは搬送ロボットCRAの-Y側において、X方向に並んで配列されている。処理ユニットP1~P6の群と、処理ユニットP7~P12の群とはY方向で互いに向かい合っている。処理ユニットP1A~P12Aは処理ユニットP1~P18と同様の構成を有する。
【0158】
受渡部PSAは、搬送ロボットCRAとインデクサセクション2aとの間に配置されている。受渡部PSAは第1受渡部PS1と同様の構成を有している。受渡部PSAは、インデクサセクション2aと搬送ロボットCRAとの間で基板Wを中継する。
【0159】
搬送ロボットCRAは、Y方向に沿って移動可能に構成されており、処理ユニットP1A~P10Aの各々とY方向において向かい合うことができる。搬送ロボットCRAは第1搬送ロボットCR1および第2搬送ロボットCR2と同様の構成を有している。この場合、例えば第2直動機構44は第2移動方向D2としてY方向に搬送ロボットCRAを移動させてもよい。
【0160】
このような基板処理装置1Aにおいても、搬送ロボットCRAは、ハンドの位置を3軸で調整可能であり、しかも、各駆動機構(回転機構42、第1直動機構43および第2直動機構44)には、回転検出部47、第1検出部48および第2検出部49が設けれている。したがって、搬送ロボットCRAは高い精度でハンド46の位置を調整することができる。
【符号の説明】
【0161】
1,1A 基板処理装置
42 回転機構
43 第1直動機構
44 第2直動機構
45 鉛直駆動機構
46 ハンド
47 回転検出部
48 第1検出部
49 第2検出部
421 回転体
423 モータ
431 第1移動体
441 第2移動体
710 機械学習部
図1
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