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特許7374700電子機器および電子機器における再起動制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】電子機器および電子機器における再起動制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/24 20060101AFI20231030BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231030BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20231030BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231030BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
G06F1/24 B
B41J29/38 301
B41J29/38 501
G06F1/26
H04N1/00 002B
H04N1/00 885
G03G21/00 502
G03G21/00 398
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019190034
(22)【出願日】2019-10-17
(65)【公開番号】P2021064321
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】山本 鉄二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 通之
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-026373(JP,A)
【文献】特開平08-339243(JP,A)
【文献】特開2008-276324(JP,A)
【文献】特開2009-194641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/22- 1/24
G06F 1/26- 1/3296
B41J 29/00-29/70
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00-21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定または不定の時間間隔で生存通知信号を出力する信号出力手段と、
ハードウェア要素のみにより構成され、前記生存通知信号の入力を受け付けるとともに前記信号出力手段による当該生存通知信号の出力間隔よりも長い所定期間にわたって当該生存通知信号の入力がないときに再起動処理を行う再起動制御手段と、
前記再起動処理が実行されると不都合を生ずる所定の処理が実行されているときに当該再起動処理の実行を禁止する禁止手段と、を備え
前記信号出力手段は、CPUおよび当該CPUの動作を制御するための制御プログラムを含むソフトウェア要素により構成され、
前記再起動処理は、前記信号出力手段を含む所定の電気的手段への電源供給を一旦オフした後に改めて当該電源供給をオンする電源オフ/オン処理を含み、
前記所定の処理は、前記制御プログラムの更新処理を含む、電子機器。
【請求項2】
前記所定期間は、前記生存通知信号の出力間隔の2倍以上の長さである、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記再起動処理の実行回数を記憶する記憶手段をさらに備える、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記信号出力手段は、
前記生存通知信号の出力間隔に対応する第1期間を計測する第1計時手段と、
前記第1計時手段による前記第1期間の計測開始時点または計測終了時点が到来するたびに前記生存通知信号を出力する出力実行手段と、を有し、
前記再起動制御手段は、
前記所定期間に対応する第2期間を計測する第2計時手段と、
前記生存通知信号の入力を受け付けるたびに前記第2計時手段による前記第2期間の計測が改めて開始されるように当該第2計時手段を制御する計時制御手段と、
前記第2計時手段による前記第2期間の計測終了時点が到来するまでの間に前記生存通知信号の入力がないときに前記再起動処理を行う再起動実行手段と、を有する、請求項1からのいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
画像記録媒体に画像を形成する画像形成装置である、請求項1からのいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
電子機器における再起動制御方法であって、
前記電子機器の一部の構成要素によって、一定または不定の時間間隔で生存通知信号を出力する信号出力ステップと、
前記電子機器の前記一部の構成要素とは別の一部のハードウェア要素のみによって、前記生存通知信号の入力を受け付けるとともに前記信号出力ステップによる当該生存通知信号の出力間隔よりも長い所定期間にわたって当該生存通知信号の入力がないときに再起動処理を行う再起動制御ステップと、
前記再起動処理が実行されると不都合を生ずる所定の処理が実行されているときに当該再起動処理の実行を禁止する禁止ステップと、を含み、
前記一部の構成要素は、CPUおよび当該CPUの動作を制御するための制御プログラムを含むソフトウェア要素により構成され、
前記再起動処理は、前記一部の構成要素を含む前記電子機器の所定の電気的手段への電源供給を一旦オフした後に改めて当該電源供給をオンする電源オフ/オン処理を含み、
前記所定の処理は、前記制御プログラムの更新処理を含む、再起動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器および電子機器における再起動制御方法に関し、特に、フリーズ状態に陥ったときに自動的に再起動(リブート)する自動再起動機能を備える、電子機器および電子機器における再起動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術の一例が、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された技術によれば、電子機器としてのプリンタなどの出力装置(いわゆる画像形成装置)において、CPU(Central Processing Unit)と操作部との間で一定の周期で通信が行われる。この通信が途絶えると、出力装置がフリーズ(ハングアップ)状態にあるものと認識され、当該出力装置を再起動させるための信号が操作部からCPUへ送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-190320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、CPU自体が暴走するなど、当該CPU自体がフリーズ状態に陥った場合には、対処することができない。
【0005】
そこで、本発明は、フリーズ状態に陥ったときに確実に再起動することができる、新規な電子機器および電子機器における再起動制御方法を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、電子機器に係る第1の発明と、電子機器における再起動制御方法に係る第2の発明と、を含む。
【0007】
このうちの電子機器に係る第1の発明は、信号出力手段と、再起動制御手段と、を備える。信号出力手段は、一定または不定の時間間隔で生存通知信号を出力する。再起動制御手段は、生存通知信号の入力を受け付ける。併せて、再起動制御手段は、信号出力手段による生存通知信号の出力間隔よりも長い所定期間にわたって当該生存通知信号の入力がないときに、再起動処理を行う。この再起動制御手段は、ハードウェア要素のみにより構成される。
【0008】
ここで言う再起動処理は、信号出力手段を含む所定の電気的手段への電源供給を一旦オフした後に改めて当該電源供給をオンする電源オフ/オン処理、言わばハードウェア再起動処理、を含む。
【0009】
また、信号出力手段は、ソフトウェア要素を含み、たとえばCPUおよび当該CPUの動作を制御するための制御プログラム(厳密には当該CPUを信号出力手段として機能させるためのプログラム)を含む。
【0010】
さらに、本第1の発明においては、禁止手段が、備えられ。この禁止手段は、所定の処理が実行されているときに、詳しくは再起動処理が実行されると不都合を生ずる所定の処理が実行されているときに、当該再起動処理の実行を禁止する。ここで言う所定の処理は、制御プログラムの更新処理を含む。
【0011】
本第1の発明における前述の所定期間は、信号出力手段による生存通知信号の出力間隔の2倍以上の長さであるのが、望ましい。
【0012】
本第1の発明においては、記憶手段が、さらに備えられてもよい。この記憶手段は、再起動制御手段による再起動処理の実行回数を記憶する。
【0013】
加えてたとえば、信号出力手段は、第1計時手段と、出力実行手段と、を含む。第1計時手段は、信号出力手段による生存通知信号の出力間隔に対応する第1期間を計測する。そして、出力実行手段は、第1計時手段による第1期間の計測開始時点または計測終了時点が到来するたびに生存通知信号を出力する。併せて、再起動制御手段は、第2計時手段と、計時制御手段と、再起動実行手段と、を含む。第2計時手段は、前述の所定期間に対応する第2期間を計測する。計時制御手段は、生存通知信号の入力を受け付けるたびに、第2計時手段による第2期間の計測が改めて開始されるように、当該第2計時手段を制御する。そして、再起動実行手段は、第2計時手段による第2期間の計測終了時点が到来するまでの間に生存通知信号の入力がないときに、再起動処理を行う。
【0014】
このような本第1の発明に係る電子機器としては、たとえば画像記録媒体に画像を形成する画像形成装置がある。
【0015】
本発明のうちの第2の発明に係る電子機器における再起動制御方法は、信号出力ステップと、再起動制御ステップと、禁止ステップと、を含む。信号出力ステップでは、電子機器の一部の構成要素によって、一定または不定の時間間隔で生存通知信号を出力する。そして、再起動制御ステップでは、電子機器のさらに別の一部のハードウェア要素のみによって、生存通知信号の入力を受け付けるとともに、信号出力ステップによる当該生存通知信号の出力間隔よりも長い所定期間にわたって当該生存通知信号の入力がないときに、再起動処理を行う。さらに、禁止ステップでは、所定の処理が実行されているときに、詳しくは再起動処理が実行されると不都合を生ずる所定の処理が実行されているときに、当該再起動処理の実行を禁止する。ここで言う一部の構成要素は、CPUおよび当該CPUの動作を制御するための制御プログラムを含むソフトウェア要素により構成される。そして、再起動処理は、一部の構成要素を含む電子機器の所定の電気的手段への電源供給を一旦オフした後に改めて当該電源供給をオンする電源オフ/オン処理を含む。さらに、所定の処理は、制御プログラムの更新処理を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子機器がフリーズ状態に陥ったときに、とりわけ電子機器がCPUを有し、このCPU自体がフリーズ状態に陥ったときであっても、当該電子機器を確実に再起動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の第1実施例に係る複合機の電気的な構成を示すブロック図である。
図2図2は、第1実施例における自動再起動機能に係る部分の構成を示すブロック図である。
図3図3は、第1実施例における自動再起動機能の実現要領を説明するための図である。
図4図4は、第1実施例における状態監視タスクの流れを示すフロー図である。
図5図5は、第1実施例における自動再起動回路の構成を示すブロック図である。
図6図6は、第1実施例における自動再起動回路の動作の流れを示すフロー図である。
図7図7は、本発明の第2実施例における自動再起動機能に係る部分の構成を示すブロック図である。
図8図8は、第2実施例における自動再起動回路の構成を示すブロック図である。
図9図9は、第2実施例における自動再起動回路の動作の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施例]
本発明の第1実施例について、図1に示される複合機(MultiFunction Printer:MFP)10を例に挙げて説明する。
【0019】
本第1実施例に係る複合機10は、不特定多数の者により使用されることを前提として、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどに設置される。この複合機10は、コピー機能、プリンタ機能、イメージスキャナ機能、ファクス機能などの複数の機能を有する。これらの機能を利用して、複合機10は、コピーサービス、プリントサービス、スキャンサービス、ファクスサービスなどの様々なサービスを提供する。
【0020】
そのために、複合機10は、画像読取部12と、画像形成部14と、補助記憶部16と、外部通信部18と、外部記憶媒体通信部20と、近距離通信部22と、現金処理部24と、表示部26と、操作部28と、を備える。併せて、複合機10は、制御部100を備える。さらに、複合機10は、電源部30を備える。画像読取部12と、画像形成部14と、補助記憶部16と、外部通信部18と、外部記憶媒体通信部20と、近距離通信部22と、現金処理部24と、表示部26と、操作部28とは、制御部100に接続される。電源部30もまた、制御部100に接続される。
【0021】
画像読取部12は、画像読取手段の一例である。すなわち、画像読取部12は、不図示の原稿の画像を読み取って、当該原稿の画像に応じた2次元の読取画像データを出力する、画像読取処理を担う。このような画像読取部12は、原稿が載置される不図示の原稿載置台を有する。併せて、画像読取部12は、不図示の光源、複数のミラー、レンズ、ラインセンサなどを含む画像読取ユニットを有する。さらに、画像読取部12は、画像読取ユニットによる画像読取位置を移動させるための不図示の駆動機構を有する。
【0022】
画像形成部14は、画像形成手段の一例である。すなわち、画像形成部14は、画像読取部12から出力される読取画像データなどの適宜の画像データに基づく画像を不図示の用紙などのシート状の画像記録媒体に形成する、画像形成処理を担う。この画像形成処理は、たとえば公知の電子写真方式により行われる。このため、画像形成部14は、不図示の感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置などを有する。なお、画像形成部14は、電子写真方式に限らず、たとえばインクジェット方式によって、画像形成処理を行うものであってもよい。
【0023】
補助記憶部16は、不図示のハードディスクドライブを含む、補助記憶手段の一例である。この補助記憶部16には、必要に応じて種々のデータが記憶される。なお、補助記憶部16は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリを含む場合がある。
【0024】
外部通信部18は、不図示の外部装置との間での双方向通信を担う、通信手段の一例である。このため、外部通信部106は、不図示の通信網を介して外部装置と接続される。ここで言う通信網としては、LAN(Local Area Network)やインターネット、公衆交換電話網などがある。そして、外部装置としては、管理センタのサーバをはじめとする種々のサーバや前述のファクスサービスにおける相手方装置(ファクス装置)などがある。さらに、LANには、無線LAN(IEEE_802.11規格に従う無線LAN、いわゆるWi-Fi(登録商標))が含まれる。この無線LANを介して接続される外部装置としては、スマートフォンやタブレットなどの携帯機器がある。
【0025】
外部記憶媒体通信部20は、外部記憶媒体通信手段の一例である。すなわち、外部記憶媒体通信部20は、不図示の外部記憶媒体としての各種のメディアが装着可能な不図示の外部記憶媒体装着部を有し、この外部記憶媒体装着部に装着された当該メディアとの間での双方向通信を担う。ここで言うメディアとしては、SD(Secure Digital)メモリカードやUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの半導体メディア、ならびに、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などのディスクメディアがある。さらに、外部記憶媒体通信部20は、赤外線通信機能を備える携帯機器との間で当該赤外線通信機能による双方向通信を行うための赤外線通信部を有する。すなわち、赤外線通信機能を備える携帯機器が外部記憶媒体として取り扱われる場合がある。
【0026】
近距離通信部22は、不図示の非接触型のIC(Integrated Circuit)カードとの間での双方向通信を担う、近距離通信手段の一例である。このため、近距離通信部22は、不図示のICカード読取部を有する。このICカード読取部にICカードがセット(載置)されると、近距離通信部22は、当該ICカードとの間でISO/IEC_18092(いわゆるNFC:Near Field Communication)などの近距離無線通信規格に従う近距離無線通信を行う。ここで言うICカードとしては、たとえば電子マネーカードがある。すなわち、複合機10は、その使用料金(代金)の決済を所定の電子マネーで行うことができ、その際に、当該所定の電子マネーの決済用の電子マネーカードがICカード読取部にセットされる。また、ここで言うICカードとしては、住民基本台帳カードおよび個人番号カードもある。すなわち、複合機10は、住民票の写しや印鑑登録証明書などの所定の公的証明書を発行する行政サービスをも提供可能であり、この行政サービスの提供の際に、住民基本台帳カードまたは個人番号カードがICカード読取部にセットされる。
【0027】
現金処理部24は、複合機10の使用料金の決済を現金で行うための現金決済処理を担う、現金決済処理手段の一例である。このため、現金処理部24は、現金(紙幣および硬貨)の支払いを受け付ける不図示の現金受付部と、釣銭がある場合に当該釣銭を返却する不図示の釣銭返却部と、を有する。
【0028】
表示部26は、種々の情報を視覚的態様で出力する、表示手段の一例であり、とりわけ画像表示手段としての不図示のディスプレイを有する。このディスプレイは、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)であるが、これに限らず、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどであってもよい。また、表示部26は、ディスプレイの他に、不図示の発光ダイオード(LED)などの適宜の発光手段を有する。
【0029】
操作部28は、不図示のユーザによる操作を受け付ける、操作受付手段の一例であり、とりわけタッチ操作受付手段としての不図示のタッチパネルを有する。このタッチパネルは、前述のディスプレイの表示面上に重なるように設けられることで、当該ディスプレイと協働してタッチパネル付きディスプレイを構成する。このようなタッチパネルは、たとえば静電容量方式のパネルであるが、これに限らず、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式などの他の方式のパネルであってもよい。また、操作部28は、タッチパネル以外に、不図示の押しボタンスイッチなどの適宜のハードウェアスイッチ手段を含む。
【0030】
制御部100は、複合機10の全体的な制御を司る、総合制御手段の一例である。この制御部100は、制御実行手段としてのコンピュータ、たとえばCPU110、を有する。併せて、制御部100は、CPU110が直接的にアクセス可能な主記憶手段としての主記憶部120を有する。主記憶部120は、不図示のROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む。このうちのROMには、CPU110の動作を制御するための制御プログラムが記憶される。図1には示されていないが、制御プログラムは、後述する如くいわゆる基本ソフトウェアであるオペレーティング・システム120aや、複合機10が提供するそれぞれのサービスを実現するためのサービスプログラム120b、状態監視プログラム120cなどを含む(図2参照)。RAMは、CPU110が制御プログラムに従う処理を実行する際の作業領域およびバッファ領域を構成する。また、主記憶部120は、不図示のフラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリを含む。この不揮発性メモリには、制御プログラムが更新(アップデート)されたときに、この更新された制御プログラムまたはパッチが記憶される。
【0031】
さらに、制御部100は、CPLD(Complex Programmable Logic Device)130を有する。このCPLD130は、種々の回路を構成する回路構成手段の一例である。たとえば、CPLD130は、不図示の入出力端子(I/Oポート)の数を拡張するための、いわゆる入出力拡張を担う、入出力拡張手段としての不図示の入出力拡張回路を構成する。また、CPLD130は、次に説明する電源部30を制御するための、いわゆる電源管理を担う、電源管理手段としての不図示の電源管理回路を構成する。加えて、CPLD130は、後述する自動再起動機能を担う、再起動制御手段としての後述する自動再起動回路130aを構成する。
【0032】
電源部30は、交流電力である商用電源ACVの供給を受けて、CPLD130などの各電気的手段(駆動電源の供給を受けて駆動する手段)を駆動するための駆動電源を生成する、電源手段の一例である。このため、電源部30は、商用電源ACVを直流電力に変換する不図示の交流-直流変換回路や、当該直流電力の電圧値を適宜に変換して各電気的手段の駆動電源を生成する不図示の直流-直流変換回路などを有する。併せて、電源部30は、後述する(図2参照)電源スイッチ30aを有する。前述したように、電源部30は、CPLD130によって制御されるが、当該CPLD130による電源部30の制御要領については、後で詳しく説明する。
【0033】
さて、本第1実施例に係る複合機10は、それ自体がフリーズ状態に陥ったときに、とりわけCPU110がフリーズ状態に陥ったときに、当該フリーズ状態を解消するべく、自動的に再起動する、自動再起動機能を備える。この自動再起動機能を実現するために、図2に示されるように、CPLD130は、自動再起動回路(AR回路)130aを構成する。併せて、CPU110は、状態監視プログラム(状態監視P)120cに従って、状態監視タスクを実行する。なお、状態監視プログラム120cは、前述の如くオペレーティング・システム(OS)120aおよびサービスプログラム(サービスP)120bとともに主記憶部120に記憶され、厳密には当該主記憶部120のROMに記憶される。また、電源部30は、電源スイッチ(電源SW)30aを有する。
【0034】
具体的には、今、電源スイッチ30aがオフされた状態にあり、このオフされた状態にある電源スイッチ30aがオンされる、とする。すると、電源部30は、CPLD130を駆動するための駆動電源V0を生成する。この駆動電源V0は、CPLD130に供給される。CPLD130は、駆動電源V0の供給を受けて駆動し、まずは、当該CPLD130以外の各電気的手段を駆動するための適宜の駆動電源V1、V2、…を生成するように電源部30を制御し、厳密にはそのための電源制御信号Spを電源部30に供給する。電源部30は、この電源制御信号Spの供給を受けて、適宜の駆動電源V1、V2、…を生成する。これらの駆動電源V1、V2、…は、各電気的手段に供給される。これにより、各電気的手段のそれぞれは、駆動し、または、駆動可能となる。
【0035】
その上で、CPLD130は、CPU110に起動信号Saを供給する。これを受けて、CPU110は、オペレーティング・システム120aを起動し、厳密には当該オペレーティング・システム120aに従う処理を実行する。その後、CPU110は、サービスプログラム120bに従う適宜の処理を実行する。これにより、複合機10は、適宜のサービスを提供可能な状態になる。併せて、CPU110は、状態監視プログラム120cに従って、状態監視タスクを実行する。
【0036】
状態監視タスクを実行するCPU110は、当該状態監視タスクを正常に実行しているときには、つまりCPU110自体が正常に動作しているときには、Nという一定の時間間隔で生存通知信号としてのタイマセット信号Sbを出力する。このタイマセット信号Sbは、CPLD130に入力され、詳しくは自動再起動回路130aに入力される。自動再起動回路130a(CPLD130)は、CPU110からのタイマセット信号Sbの入力を受け付けることにより、詳しくは当該CPU110からNという一定の時間間隔で出力されるタイマセット信号Sbの入力を受け付けることにより、当該CPU110が正常に動作していることを認識する。なお、Nという時間間隔は、CPU110にとってタイマセット信号Sbを出力することが特段な負担とならず、かつ、当該CPU110自体が正常に動作している(言わば生存している)かどうかを監視するのに十分な時間間隔であり、たとえば5分間である。
【0037】
ここでたとえば、何らかの原因によりCPU110自体が正常に動作しなくなり、フリーズ状態に陥る、とする。すると、CPU110は、タイマセット信号Sbを出力しなくなり、当該CPU110から自動再起動回路130aへのタイマセット信号Sbの入力が途絶える。自動再起動回路130aは、CPU110からのタイマセット信号Sbの入力が途絶えると、詳しくはNという時間間隔よりも長いMという所定期間にわたってタイマセット信号Sbの入力がない場合に、CPU110がフリーズ状態に陥ったものと認識する。そして、自動再起動回路130aは、CPLD130以外の各電気的手段への駆動電源V1、V2、…の供給を一旦オフした後に、改めて当該各電気的手段への駆動電源V1、V2、…の供給をオンするように、電源部30を制御し、厳密にはそのための電源制御信号Spを電源部30に供給する。このような言わば電源オフ/オン処理が行われることにより、CPLD130以外の各電気的手段が一旦リセットされ、つまりは複合機10が再起動(ハードウェア再起動)される。なお、Mという所定期間は、前述の如くNという時間間隔よりも長く、好ましくは当該Nという時間間隔の2倍以上の長さであり、たとえば当該Nという時間間隔の5倍の長さに相当する25分間(M=5・N)である。
【0038】
ところで、CPU110を含む複合機10がフリーズ状態に陥ったとしても、当該複合機10が所定の処理を実行しているときには、当該複合機10を再起動させない方が適当な場合がある。言い換えれば、複合機10が再起動されると何らかの不都合が生じる可能性がある所定の処理が当該複合機10により実行されているときには、当該複合機10の再起動を禁止するのが適当な場合がある。たとえば、前述の制御プログラムが更新されている最中(アップデート中)である場合が、これに当たる。また、外部記憶媒体通信部20の外部記憶媒体装着部にメディアが装着されている場合や、近距離通信部22のICカード読取部にICカードがセットされている場合、現金処理部24の現金受付部により現金が受け付けられている場合なども、これに当たる。このことから、複合機10が所定の処理を実行しているときには、当該複合機10がフリーズ状態に陥ったとしても、当該複合機10の再起動が禁止され、厳密には自動的な再起動が禁止される。なお、所定の処理については、予め定義され、たとえば不図示のテーブルに纏められる(当該テーブルに関する情報が主記憶部120に記憶される)。
【0039】
より具体的に説明すると、状態監視タスクを実行するCPU110は、Nという時間を計測するためのソフトウェアタイマ(このソフトウェアタイマについても「N」という符号を付して説明することがある。)を構成する。このソフトウェアタイマNは、第1計時手段の一例であり、当該ソフトウェアタイマNによって計測されるNという時間は、第1期間の一例である。このソフトウェアタイマNは、たとえばカウントダウンタイマである。そして、自動再起動回路130aは、Mという時間を計測するための後述する(図5参照)タイマ回路56を有する。このタイマ回路56は、第2計時手段の一例であり、当該タイマ回路56によって計測されるMという時間は、第2期間の一例である。このタイマ回路56もまた、カウントダウンタイマである。
【0040】
その上で、状態監視タスクを実行するCPU110は、ソフトウェアタイマNによる時間Nの計測を繰り返し行う。たとえば、図3に示されるように、或る時点t0において、CPU110のソフトウェアタイマNによる時間Nの計測が開始される、とする。これと併せて、CPU110は、自動再起動回路130a(CPLD130)のタイマ回路56(タイマM)にM=25分間という時間を設定するためのタイマセット信号Sbを生存通知信号として出力する。この生存通知信号としてのタイマセット信号Sbは、自動再起動回路130aに入力される。これを受けて、自動再起動回路130aのタイマ回路56にM=25分間という時間が設定されるとともに、当該タイマ回路56による時間Mの計測が開始される。
【0041】
時点t0で開始されたCPU110のソフトウェアタイマNによる時間Nの計測が終了した時点t1において、CPU110は、改めて当該ソフトウェアタイマNによる時間Nの計測を開始する。併せて、CPU110は、改めて自動再起動回路130aのタイマ回路56にM=25分間という時間を設定するためのタイマセット信号Sbを生存通知信号として出力する。この生存通知信号としてのタイマセット信号Sbは、自動再起動回路130aに入力され、これを受けて、当該自動再起動回路130aのタイマ回路56による時間Mの計測が改めて(最初から)開始される。
【0042】
さらに、時点t1で開始されたCPU110のソフトウェアタイマNによる時間Nの計測が終了した時点t2において、CPU110は、改めて当該ソフトウェアタイマNによる時間Nの計測を開始する。併せて、CPU110は、改めて自動再起動回路130aのタイマ回路56にM=25分間という時間を設定するためのタイマセット信号Sbを生存通知信号として出力する。この生存通知信号としてのタイマセット信号Sbは、自動再起動回路130aに入力され、これを受けて、当該自動再起動回路130aのタイマ回路56による時間Mの計測が改めて開始される。
【0043】
そして、時点t2で開始されたCPU110のソフトウェアタイマNによる時間Nの計測が行われている途中の或る時点t3において、前述の制御プログラムの更新などの所定の処理が実行される、とする。すると、CPU110は、自動再起動回路130aのタイマ回路56の計時動作を一時的に停止させるべく、当該タイマ回路56にM=0分間という時間を設定するためのタイマセット信号Sbを一時停止信号として出力する。この一時停止信号としてのタイマセット信号Sbは、自動再起動回路130aに入力される。これを受けて、自動再起動回路130aのタイマ回路56にM=0という時間が設定される。これにより、タイマ回路56の計時動作が停止される。
【0044】
加えて、時点t3よりも後の或る時点t4において、前述の所定の処理が終了する、とする。すると、CPU110は、改めてソフトウェアタイマNによる時間Nの計測を開始するとともに、改めて自動再起動回路130aのタイマ回路56にM=25分間という時間を設定するためのタイマセット信号Sbを生存通知信号として出力する。この生存通知信号としてのタイマセット信号Sbは、自動再起動回路130aに入力され、これを受けて、当該自動再起動回路130aのタイマ回路56による時間Mの計測が改めて開始される。
【0045】
そして、時点t4で開始されたCPU110のソフトウェアタイマNによる時間Nの計測が終了した時点t5において、CPU110は、改めて当該ソフトウェアタイマNによる時間Nの計測を開始する。併せて、CPU110は、改めて自動再起動回路130aのタイマ回路56にM=25分間という時間を設定するためのタイマセット信号Sbを生存通知信号として出力する。この生存通知信号としてのタイマセット信号Sbは、自動再起動回路130aに入力され、これを受けて、当該自動再起動回路130aのタイマ回路56による時間Mの計測が改めて開始される。
【0046】
さらに、時点t5で開始されたCPU110のソフトウェアタイマNによる時間Nの計測が行われている途中の或る時点t6において、当該CPU110を含む複合機10がフリーズ状態に陥る、とする。この時点t6以降、CPU110から自動再起動回路130aへのタイマセット信号Sbの入力が途絶える。この状態のまま、自動再起動回路130aのタイマ回路56による時間Mの計測が終了すると、その時点t7において、当該自動再起動回路130aは、CPU110を含む複合機10を再起動させるべく、前述の電源オフ/オン処理を実行する。これにより、複合機10が自動的に再起動される。
【0047】
この自動再起動機能を実現するために、CPU110は、前述の如く状態監視タスクを実行する。この状態監視タスクは、図4に示されるような流れで実行される。
【0048】
すなわち、状態監視タスクを実行するCPU110は、まず、ステップS1において、自動再起動機能一時停止フラグFに“0”を設定する。この自動再起動機能一時停止フラグFは、自動再起動機能が一時的に停止された状態にあるかどうかを表す指標であり、換言すれば前述の制御プログラムの更新などの所定の処理が実行されている最中であるかどうかを表す指標である。たとえば、この自動再起動機能一時停止フラグFに“0”が設定されているときは、自動再起動機能が一時的に停止されていない状態にあり、つまり所定の処理が実行されていない状態にある。一方、自動再起動機能一時停止フラグFに“1”が設定されているときは、自動再起動機能が一時的に停止された状態にあり、つまり所定の処理の実行中である。このステップS1の実行後、CPU110は、処理をステップS3へ進める。
【0049】
ステップ3において、CPU110は、自動再起動回路130aのタイマ回路56にM=25分間という時間を設定するためのタイマセット信号Sbを生存通知信号として出力する。そして、CPU110は、処理をステップS5へ進める。
【0050】
ステップ5において、CPU110は、前述のソフトウェアタイマNにN=5分間という時間を設定した上で、当該ソフトウェアタイマNによる時間Nの計測を開始する。そして、CPU110は、処理をステップS7へ進める。
【0051】
ステップ7において、CPU110は、前述の制御プログラムの更新などの所定の処理が実行中であるかどうかを判定する。ここでたとえば、当該所定の処理が実行中である場合(S7:YES)、CPU110は、処理をステップS9へ進める。一方。所定の処理が実行中でない場合には(S7:NO)、CPU110は、処理を後述するステップS15へ進める。
【0052】
ステップ9において、CPU110は、自動再起動機能一時停止フラグFに“0”が設定されているかどうかを判定する。ここでたとえば、自動再起動機能一時停止フラグFに“0”が設定されている場合(S9:YES)、CPU110は、処理をステップS11へ進める。一方、自動再起動機能一時停止フラグFに“0”が設定されていない場合は(S9:NO)、CPU110は、処理をステップS7へ戻す。
【0053】
ステップ11において、CPU110は、自動再起動機能一時停止フラグFに“1”を設定する。これにより、自動再起動機能が一時的に停止された状態にあることが、つまり前述の所定の処理が実行中であることが、表される。そして、CPU110は、処理をステップS13へ進める。
【0054】
ステップ13において、CPU110は、自動再起動回路130aのタイマ回路56にM=0分間という時間を設定するためのタイマセット信号Sbを一時停止信号として出力する。そして、CPU110は、処理をステップS7へ戻す。
【0055】
CPU110は、ステップS7からステップ15へ処理を進めた場合、当該ステップS15において、自動再起動機能一時停止フラグFに“0”が設定されているかどうかを判定する。ここでたとえば、自動再起動機能一時停止フラグFに“0”が設定されている場合(S15:YES)、CPU110は、処理をステップS17へ進める。一方、自動再起動機能一時停止フラグFに“0”が設定されていない場合は(S15:NO)、CPU110は、処理をステップS1へ戻す。
【0056】
ステップ17において、CPU110は、ソフトウェアタイマNによる時間Nの計測が終了したかどうかを、言わば当該ソフトウェアタイマNがタイムアップしたかどうかを、判定する。ここでたとえば、ソフトウェアタイマNによる時間Nの計測が終了していない場合(S17:NO)、CPU110は、処理をステップS7へ戻す。一方、ソフトウェアタイマNによる時間Nの計測が終了した場合は(S17:YES)、CPU110は、処理をステップS3へ戻す。
【0057】
なお、CPU110による状態監視タスクの実行中に当該CPU110がフリーズ状態に陥ると、当該CPU110から自動再起動回路130aへのタイマセット信号Sbの入力が途絶える。この場合に、前述の如く複合機10が再起動される。
【0058】
このような状態監視タスクを実行するCPU110は、信号出力手段の一例である。特に、ステップS3を実行することで生存通知信号としてのタイマセット信号Sbを出力するCPU110は、出力実行手段の一例である。
【0059】
そして前述したように、CPLD130は、自動再起動回路130aを構成する。この自動再起動回路130aは、図5に示されるように、タイマセット信号Sbの入力を受け付ける信号受付手段としての信号受付回路52を有する。すなわち、信号受付回路52は、生存通知信号または一時停止信号としてのタイマセット信号Sbの入力を受け付ける。そして、信号受付回路52は、タイマセット信号Sbを信号判別回路54に入力する。
【0060】
信号判別回路54は、信号受付回路52から入力されたタイマセット信号Sbが生存通紙信号および一時停止信号のいずれであるのかを、つまりM=25分間およびM=0分間のいずれの時間を次に説明するタイマ回路56に設定する信号であるのかを、端的には当該時間MがM>0分間およびM=0分間のいずれであるのかを、判定する。ここでたとえば、タイマセット信号Sbが生存通知信号である場合、つまりM=25分間という時間を設定する信号である場合、信号判別回路54は、当該M=25分間という時間をタイマ回路56に設定する。一方、タイマセット信号Sbが一時停止信号である場合、つまりM=0分間という時間を設定する信号である場合、信号判別回路54は、当該M=0分間という時間をタイマ回路56に設定し、厳密にはタイマセット信号Sbが一時停止信号であることをタイマ停止回路60に伝える。
【0061】
タイマ回路56は、M=25分間という時間が設定されることで、当該M=25分間という時間の計測を開始する。このタイマ回路56によるM=25分間という時間の計測が行われている最中に、たとえば改めて信号判別回路54によりM=25という時間が設定されると、当該タイマ回路56は、改めてM=25という時間の計測を(最初から)開始する。これに対して、タイマ回路56によるM=25分間という時間の計測が終了すると、つまりそれまでの間に改めてM=25分間という時間がタイマ回路56に設定されない場合は、当該タイマ回路56は、再起動回路58に再起動処理の実行を指示する。
【0062】
再起動回路58は、タイマ回路56から再起動処理の実行の指示を受けると、当該再起動処理として前述の電源オフ/オン処理を実行し、厳密にはそのための電源制御信号Spを出力する。この電源制御信号Spは、電源部30に供給される。これにより、電源オフ/オン処理が実行され、つまり複合機10が再起動される。
【0063】
さらに、前述の如くタイマセット信号Sbが一時停止信号であることが信号判別回路54からタイマ停止回路60に伝えられた場合は、当該タイマ停止回路60は、タイマ回路56の計時動作を停止させる。これにより、複合機10の再起動が禁止される。この状態は、生存通知信号としてのタイマセット信号Sbの入力が受け付けられるまで維持され、換言すれば当該生存通知信号としてのタイマセット信号Sbの入力が受け付けられることで解除される。
【0064】
なお、タイマ回路56にM=25分間という時間を設定する信号判別回路54は、計時制御手段の一例である。そして、タイマ回路56によるM=25分間という時間の計測が終了した場合に、再起動処理としての電源オフ/オン処理を実行する再起動回路58は、再起動実行手段の一例であり、厳密には当該タイマ回路56と協働して再起動実行手段を構成する。また、タイマ回路56の計時動作を停止させるタイマ停止回路60は、禁止手段の一例であり、厳密には当該タイマ回路56と協働して禁止手段を構成する。
【0065】
このような自動再起動回路130aの動作の流れを図示すると、たとえば図6に示されるようになる。
【0066】
この図6に示されるように、自動再起動回路130aは、ステップS101において、CPU110からタイマセット信号Sbの入力を受け付けたかどうかを判定する。このステップS101の動作は、信号受付回路52が担う。ここでたとえば、タイマセット信号Sbの入力を受け付けた場合(S101:YES)、自動再起動回路130aは、ステップS103に動作を移す。一方、タイマセット信号Sbの入力を受け付けていない場合は(S101:NO)、自動再起動回路130aは、後述するステップS111に動作を移す。
【0067】
ステップS103において、自動再起動回路130aは、ステップS101で受け付けられたタイマセット信号SbがM=25分間という時間を設定する信号であるかどうかを、端的には当該時間MがM>0であるかどうかを、つまりタイマセット信号Sbが生存通知信号であるかどうかを、判定する。このステップS103の動作は、信号判別回路54が担う。ここでたとえば、時間MがM>0である場合、詳しくは当該時間MがM=25分間である場合、つまりタイマセット信号Sbが生存通知信号である場合(S103:YES)、自動再起動回路130aは、ステップS105に動作を移す。一方、時間MがM>0でない場合、詳しくは当該時間MがM=0分間である場合、つまりタイマセット信号Sbが一時停止信号である場合(S103:NO)、自動再起動回路130aは、後述するステップS113に動作を移す。
【0068】
ステップS105において、自動再起動回路130aは、M=25分間という時間をタイマ回路56(タイマM)にセットするとともに、当該タイマ回路56によるM=25分間という時間の計測を開始させる。このステップS105の動作もまた、信号判別回路54が担う。そして、自動再起動回路130aは、ステップS107に動作を移す。
【0069】
ステップS107において、自動再起動回路130aは、タイマ回路56によるM=25分間という時間の計測が終了したかどうかを、言わばタイムアップしたかどうかを、判定する。このステップS107の動作は、タイマ回路56が担う。ここでたとえば、タイマ回路56によるM=25分間という時間の計測が完了していない場合(S107:NO)、自動再起動回路130aは、前述のステップS101に動作を移す。一方、タイマ回路56によるM=25分間という時間の計測が完了した場合は(S107:YES)、自動再起動回路130aは、ステップS109に動作を移す。
【0070】
ステップS109において、自動再起動回路130aは、前述の電源オフ/オン処理を実行し、詳しくはそのための電源制御信号Spを出力する。この電源制御信号Spは、電源部30に供給され、これにより、複合機10が再起動される。このステップS109の動作は、再起動回路58が担う。このステップS109の動作の実行をもって、自動再起動回路130aは、一旦、自動再起動機能を実現するための動作を終了する。
【0071】
また、自動再起動回路130aは、ステップS101からステップS111に動作を移した場合、当該ステップS111において、タイマ回路56が動作中であるかどうかを、つまり当該タイマ回路56によるM=25分間という時間の計測が行われている最中であるかどうかを、判定する。ここでたとえば、タイマ回路56が動作中である場合(S111:YES)、自動再起動回路130aは、ステップS107に動作を移す。一方、タイマ回路56が動作中でない場合は(S111:NO)、自動再起動回路130aは、ステップS101に動作を移す。
【0072】
さらに、自動再起動回路130aは、ステップS103からステップS113に動作を移した場合、当該ステップS113において、タイマ回路56の計時動作を停止させる。このステップS113は、タイマ停止回路60が担う。そして、自動再起動回路130aは、ステップS101に動作を移す。
【0073】
以上のように、本第1実施例によれば、とりわけ本第1実施例における自動再起動機能によれば、CPLD130というハードウェア要素のみにより構成された自動再起動回路130aが、複合機10を再起動させる権限を持つ。言い換えれば、ソフトウェア要素を含む(ソフトウェア要素に関係する)CPU110は、複合機10を再起動させる権限を持たない。したがって、複合機10がフリーズ状態に陥ったときに、とりわけCPU110自体がフリーズ状態に陥ったときであっても、当該複合機10を確実に再起動させることができる。
【0074】
その一方で、複合機10が再起動されると何らかの不都合が生じる可能性のある所定の処理が当該複合機10により実行されているときには、当該複合機10の再起動が禁止される。たとえば、前述の制御プログラムが更新されているとき(アップデート中)は、複合機10の再起動が禁止される。また、外部記憶媒体通信部20の外部記憶媒体装着部にメディアが装着されているときや、近距離通信部22のICカード読取部にICカードがセットされているとき、現金処理部24の現金受付部により現金が受け付けられているときなども、複合機10の再起動が禁止される。したがって、複合機10により所定の処理が実行されているときに当該複合機10が再起動されることによる不都合の発生が、確実に回避される。
【0075】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について、説明する。
【0076】
本第2実施例においては、図7に示されるように、記憶手段の一例としての記憶部200が設けられる。この記憶部200は、CPLD130に接続され、詳しくは自動再起動回路130aに接続される。この記憶部200には、自動再起動回路130aによる再起動処理としての電源オフ/オン処理の実行回数Cが記憶される。
【0077】
より具体的に説明すると、本第2実施例における自動再起動回路130aは、図8に示されるように、更新手段としての更新回路70を、さらに備える。そして、記憶部200は、この更新回路70に接続される。更新回路70は、タイマ回路56によるM=25分間という時間の計測が終了したときに、当該タイマ回路56から再起動処理の実行の指示を受ける。この指示を受けると、更新回路70は、記憶部200に記憶されている再起動処理の実行回数Cを読み出し、この読み出された実行回数Cの値を“1”増大(インクリメント)させて、改めて当該実行回数Cを記憶部200に記憶する(書き込む)。すなわち、更新回路70は、再起動処理の実行回数Cの値を更新する。その上で、再起動回路58が、前述の如く再起動処理としての電源オフ/オン処理を実行する。
【0078】
なお、記憶部200に記憶されている再起動処理の実行回数Cの値は、複合機10が設置されて、当該複合機10の運用が開始されるときに、リセット(C=0)とされる。また、複合機10のメンテナンスが行われるときなどの所定のタイミングにおいても、当該再起動処理の実行回数Cの値はリセットされる。
【0079】
本第2実施例におけるこれ以外の構成は、第1実施例と同様であり、CPU110が実行する状態監視タスクの流れについても、第1実施例と同様である。したがって、本第2実施例における第1実施例と同様の部分には、第1実施例と同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0080】
さらに、本第2実施例における自動再起動回路130aの動作の流れを、とりわけ更新回路70の動作の流れを、図示すると、図9に示されるようになる。この図9においては、第1実施例に係る図6におけるステップS107(YES)とステップS109との間に、ステップS201~ステップS205が設けられる。
【0081】
すなわち、ステップS107において、タイマ回路56によるM=25分間という時間の計測が完了すると(S107:YES)、自動再起動回路130aは、ステップS201に動作を移す。このステップS201において、自動再起動回路130aは、記憶部200に記憶されている再起動処理の実行回数Cを当該記憶部200から読み出す。このステップS201の動作は、更新回路70が担う。そして、自動再起動回路130aは、ステップS203に動作を移す。
【0082】
ステップS203において、自動再起動回路130aは、記憶部200から読み出され得た再起動処理の実行回数Cの値を“1”増大させる。このステップS203の動作もまた、更新回路70が担う。そして、自動再起動回路130aは、ステップS205に動作を移す。
【0083】
ステップS205において、自動再起動回路130aは、ステップS203における更新後の再起動処理の実行回数Cを記憶部200に記憶する。このステップS205の動作もまた、更新回路70が担う。そして、自動再起動回路130aは、再起動処理としての電源オフ/オン処理を実行するべく、ステップS109に動作を移す。
【0084】
このように本第2実施例によれば、再起動処理の実行回数Cが記憶部200に記憶される。この記憶部200に記憶された再起動処理の実行回数Cは、将来的に複合機10の性能を向上させるための解析などに用いられる。
【0085】
[その他の適用例]
以上の各実施例は、本発明の具体例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。これら各実施例以外の局面にも、本発明を適用することができる。
【0086】
たとえば、生存通信信号としてのタイマセット信号Sbの出力間隔であるNという時間間隔は、5分間に限らない。また、このNという時間間隔は、不定であってもよく、たとえば数分間(1分間~10分間)程度の範囲内で適宜に変動してもよい。
【0087】
そして、タイマ回路56により計測される時間Mについても、前述のNという時間間隔が不定である場合には、これに合わせて、適宜に変動してもよく、つまり不定であってもよい。
【0088】
さらに、生存通知信号としてのタイマセット信号Sbについては、時間Nを計測するためのソフトウェアタイマNによる当該時間Nの計測開始時点に出力されることとしたが、これに限らない。たとえば、ソフトウェアタイマNによる時間Nの計測終了時点に、当該生存通知信号としてのタイマセット信号Sbが出力されてもよい。
【0089】
また、再起動処理として電源オン/オフ処理といういわゆるハードウェア再起動処理が行われることとしたが、これに限らない。たとえば、まず、オペレーティング・システム120aを含む各プログラムを再起動させることで、CPU110のみを再起動させる、いわゆるソフトウェア再起動処理が行われてもよい。それでも、複合機10のリブート状態が解消されない場合に、電源オフ/オン処理が行われてもよい。
【0090】
さらにまた、生存通知信号としてのタイマセット信号Sbについては、ソフトウェア要素を含むCPU110によって出力されることとしたが、当該CPU110以外によって、とりわけハードウェア要素のみによって、出力されるように構成されてもよい。一時停止信号としてのタイマセット信号Sbについても同様に、ハードウェア要素のみによって出力されるように構成されてもよい。
【0091】
加えて、自動再起動回路130aについては、CPLD130により構成されたが、PAL(Programmable Array Logic)やGAL(Generic Array Logic)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの当該CPLD130以外の回路構成手段により構成されてもよい。また、CPLD130などの回路構成手段(集積回路)に限らず、ディスクリート部品により自動再起動回路130aが構成されてもよい。因みに、CPLD130などの回路構成手段は、前述の如く種々の回路を構成するのに用いられるが、このような回路構成手段が予め設けられている場合には、たとえば当該回路構成手段の余剰部分を利用して、自動再起動回路130aが構成されてもよい。
【0092】
併せて、各実施例においては、画像形成装置の一種である複合機10に本発明が適用される場合について説明したが、複合機10以外の画像形成装置にも、また、画像形成装置以外の電子機器にも、当然に本発明を適用することができる。
【0093】
そして、本発明は、電子機器という物の形で提供することに限らず、電子機器における自動再起動方法という方法の形で提供することもできる。
【符号の説明】
【0094】
10 … 複合機
30 … 電源部
56 … タイマ回路
58 … 再起動回路
60 … タイマ停止回路
100 … 制御部
110 … CPU
120c … 状態監視プログラム
130 … CPLD
130a … 自動再起動回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9