(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】車両用シート、車両、車両の制御方法及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
B60N 2/22 20060101AFI20231030BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20231030BHJP
【FI】
B60N2/22
B60N2/90
(21)【出願番号】P 2019190502
(22)【出願日】2019-10-17
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000143639
【氏名又は名称】株式会社今仙電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【氏名又は名称】江口 基
(72)【発明者】
【氏名】石原 慶隆
(72)【発明者】
【氏名】泊岩 好
(72)【発明者】
【氏名】増野 秀一
(72)【発明者】
【氏名】西村 顕次
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-068941(JP,A)
【文献】特開2011-164825(JP,A)
【文献】特開平08-052036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/22
B60N 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に駆動モータを有し、リクライニング可能な車両用シートであって、
着座状態の乗員が撮像された撮像情報を出力する撮像手段とヘッドレストへの圧力を検出する圧力センサとを備え、前記駆動モータを制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記撮影手段から出力された前記撮像情報
により乗員の睡眠欲求が強いことを推定した後、前記圧力センサから出力された圧力の値が予め定められた作動範囲内であるか否かの圧力情報
に基づいて、さらに前記乗員の睡眠欲求の強さを推定し、リクライニングさせることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
前記制御手段は、前記撮像情報に撮像された乗員の目が閉じていると判定した場合に、前記睡眠欲求が強いと推定することを特徴とする、
請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記制御手段は、前記圧力の値が予め定められた作動範囲内であると判定した場合に、リクライニングさせることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シート、車両、車両の制御方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗員のリクライニング挙動によりシートバックのリクライニング作動速度を変化させることができる車両用シートが知られている。例えば、特許文献1では、電動モータにより駆動されるシートリクライニング装置を介してシートバックをリクライニング作動させる車両用シートであって、リクライニング指示信号を、着座支持手段に配置した圧力検知手段により検出し、この検出信号によりシートバックをリクライニング作動させる車両用シートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用シートでは、車両用シートをリクライニング状態とするためには、乗員がシートバックに圧力を加える必要があり、乗員に操作を必要とする点で、十分な快適性を有していないという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、乗員の睡眠欲求を推定し、睡眠欲求(眠気)が高まった際に自動的にリクライニング状態とすることで、乗員がより快適に過ごすことができる車両用シートを提供することを主目的とする。また、乗員がより快適に過ごすことができる車両用シートを備えた車両、車両の制御方法及びそのプログラムを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の車両用シートは、
リクライニング可能な車両用シートであって、
着座状態の乗員が撮像された撮像情報を出力する撮像手段から出力された前記撮像情報に基づいて前記乗員の睡眠欲求の強さを推定し、睡眠欲求が強いと推定した場合に、リクライニングさせる制御手段と、
を備えたことを特徴とする、
ものである。
【0008】
この車両用シートは、リクライニング可能な車両用シートであって、着座状態の乗員を撮像した撮像情報を出力する撮像手段から出力された撮像情報から、乗員の睡眠欲求を推定し、睡眠欲求が強いと推定した場合に、車両用シートをリクライニングさせる制御手段と、を備えている。この車両用シートでは、撮像手段から出力された撮像情報に基づいて乗員の睡眠欲求を推定し、睡眠欲求が強いと推定した場合に制御手段が車両用シートをリクライニングさせるため、乗員の睡眠欲求が強い際に、何ら乗員が操作を行うことなく車両用シートをリクライニングすることができ、乗員に十分な快適性を提供することができる。
【0009】
本発明の車両用シートにおいて、前記制御手段は、前記撮像情報に撮像された乗員の目が閉じていると判定した場合に、前記睡眠欲求が強いと推定することを特徴としてもよい。乗員の目が閉じている場合には、睡眠欲求が強いことが推定されるため、乗員の睡眠欲求が強い際に、何ら乗員が操作を行うことなく車両用シート20をリクライニングすることができ、乗員に十分な快適性を提供することができる。
【0010】
本発明の車両用シートは、ヘッドレストへの圧力を検出する圧力センサと、を備え、前記制御手段は、前記圧力センサから出力された圧力の値を含む圧力情報に基づいてリクライニングさせることを特徴としてもよい。一般的に、覚醒状態で車両用シートに着座している場合には、乗員の頭部はヘッドレストと接触しない。このため、ヘッドレスト表面への圧力を圧力センサで検知し、圧力センサから圧力の値を含む圧力情報が出力される場合、すなわち、頭部がヘッドレストに接触している場合は、乗員の睡眠欲求が強いことが推定される。このため、圧力情報を用いることで、乗員の睡眠欲求の推定の正確性を向上させ、乗員の目が閉じた際に車両用シートをリクライニングさせることで、乗員の睡眠欲求が強い際に、何ら乗員が操作を行うことなく車両用シート20をリクライニングすることができ、乗員に十分な快適性を提供することができる。
【0011】
この態様を採用した本発明の車両用シートにおいて、前記制御手段は、前記圧力の値が予め定められた作動範囲内であると判定した場合に、リクライニングさせることを特徴としてもよい。例えば、車両が衝突したり急ブレーキをかけたりした場合には、頭部がヘッドレストと接触する可能性があるが、このような強い衝撃を受けた際は、乗員の睡眠欲求とは無関係である。このため、圧力の値が予め定められた作動範囲内であると判定した場合に車両用シートをリクライニングさせることで、乗員の睡眠欲求が強い際に、何ら乗員が操作を行うことなく車両用シート20をリクライニングすることができ、乗員に十分な快適性を提供することができる。
【0012】
本発明の車両は、
リクライニング可能な車両用シートと、
着座状態の乗員が撮像された撮像情報を出力する撮像手段と、
前記撮像情報に基づいて前記乗員の睡眠欲求の強さ推定し、睡眠欲求が強いと推定した場合に、リクライニングさせる制御手段と、
を備えたことを特徴とする、
ものである。
【0013】
この車両は、リクライニング可能な車両用シートと、着座状態の乗員が撮像された撮像情報を出力する撮像手段と、着座状態の乗員を撮像した撮像情報を出力する撮像手段から出力された撮像情報から、乗員の睡眠欲求を推定し、睡眠欲求が強いと推定した場合に、車両用シートをリクライニングさせる制御手段と、を備えている。この車両では、撮像手段から出力された撮像情報に基づいて乗員の睡眠欲求を推定し、睡眠欲求が強いと推定した場合に制御手段が車両用シートをリクライニングさせるため、乗員の睡眠欲求が強い際に、何ら乗員が操作を行うことなく車両用シートをリクライニングすることができ、乗員に十分な快適性を提供することができる。
【0014】
本発明の車両の制御方法は、
リクライニング可能な車両用シートと、着座状態の乗員が撮像された撮像情報を出力する撮像手段と、前記撮像情報に基づいて前記乗員の睡眠欲求の強さを推定し、睡眠欲求が強いと推定した場合に、リクライニングさせる制御手段と、を備えたことを特徴とする車両を制御する車両の制御方法であって、
着座状態の前記乗員が撮像された撮像情報を出力する撮像情報取得ステップと、
前記撮像情報取得ステップで取得した前記撮像情報に基づいて前記乗員の睡眠欲求の強さを推定する睡眠欲求推定ステップと、
前記睡眠欲求推定ステップで推定した睡眠欲求が強いと推定した場合に、リクライニングさせるリクライニングステップと、
を含むことを特徴とする、
ものである。
【0015】
この車両の制御方法は、リクライニング可能な車両用シートと、着座状態の乗員が撮像された撮像情報を出力する撮像手段と、着座状態の乗員を撮像した撮像情報を出力する撮像手段から出力された撮像情報から、乗員の睡眠欲求を推定し、睡眠欲求が強いと推定した場合に、車両用シートをリクライニングさせる制御手段と、を備えている。この車両では、撮像手段から出力された撮像情報に基づいて乗員の睡眠欲求を推定し、睡眠欲求が強いと推定した場合に制御手段が車両用シートをリクライニングさせるため、乗員の睡眠欲求が強い際に、何ら乗員が操作を行うことなく車両用シートをリクライニングすることができ、乗員に十分な快適性を提供することができる。
【0016】
本発明のプログラムは、上述した車両の制御方法の各ステップを1又は2以上のコンピュータに実行させるためのものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVD、コンパクトメモリなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、上述した車両の制御方法の各ステップが実行されるため、上述した車両の制御方法と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、車両用シート20の構成の概略を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、リクライニング状態の車両用シート20の構成の概略を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、車両10の電気的な接続を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、駆動制御処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態の一例として、車両10に備えられた車両用シート20について詳しく説明する。以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号を付す。また、車両10の制御方法の一例を示すことで、本発明の車両の制御方法及びそのプログラムについても明らかにする。
【0019】
本発明の実施の形態の一例である車両用シート20は、公知の車両10に備えられたリクライニング可能な車両用シートである。この車両用シート20は、
図1に示すように、座面22の一端側にシートバック24が回動可能に取り付けられており、シートバック24には、圧力センサ28を有するヘッドレスト26が着脱可能に取り付けられている。このシートバック24は、駆動モータ30(
図3参照)の駆動により回動し、起立状態(
図1参照)及びリクライニング状態(
図2参照)を採ることができる。また、
図3に示すように、車両10に設けられた車両用シート20の乗員を撮影するカメラ32から出力された撮像情報に基づいて駆動モータ30を制御する制御ユニット40と電気的に接続されており、制御ユニット40は、撮像情報や圧力センサ28から出力される圧力の値を含む圧力情報から乗員の睡眠欲求の大きさを推定し、睡眠欲求が大きいと推定した場合には、駆動モータ30を制御することでシートバック24を傾倒させ、リクライニング状態とする。こうすることにより、乗員の睡眠欲求が強い場合には、乗員が何らかの操作を行うことなく、自動的にリクライニング状態とすることができるため、乗員に十分な快適性を与えることができる。
【0020】
座面22及びシートバック24は、車両用シートとして用いられる公知の座面及びシートバックであり、駆動モータ30の駆動によってシートバック24が回動し、シートバック24が起立した起立状態(
図1参照)とシートバック24が伏臥したリクライニング状態(
図2参照)とを採ることができる。
【0021】
圧力センサ28は、公知の圧力センサであり、ヘッドレスト26の前面側に取り付けられている。この圧力センサ28は、制御ユニット40と電気的に接続されており、ヘッドレスト26の前面側から圧力を受けると、圧力の値を含む圧力情報を制御ユニット40に送信する。
【0022】
駆動モータ30は、公知の電動モータであり、シートバック24を駆動する図示しない駆動機構に連接して設けられている。この駆動モータ30は、制御ユニット40から出力される駆動信号によって駆動モータ30の駆動が制御され、駆動モータ30の駆動によりシートバック24が回動し、シートバック24を起立状態からリクライニング状態に回動する。
【0023】
カメラ32は、本発明の撮像手段に相当する公知のデジタルカメラであり、車両用シート20の前面方向側を撮像可能な位置に設けられている。このカメラ32は、車両用シート20の前面側、具体的には、少なくとも、車両用シート20に乗員が存在する場合には、乗員の顔の部分を含む領域を撮像し、撮像情報として制御ユニット40に送信する。
【0024】
制御ユニット40は、本発明の制御手段に相当し、CPU41を中心とするマイクロプロセッサとして構成されている。この制御ユニット40には、駆動モータ30の駆動を制御する各種制御プログラム等が記憶されたROM42と、圧力センサ28から送信された圧力情報やカメラ32から送信された撮像情報等を一時的に記憶するRAM43と、駆動モータ30や圧力センサ28、カメラ32等との間の各種信号の送受信を行うインタフェース44(以下、「I/F44」と言う。)がそれぞれバス45を介して電気的に接続されている。この制御ユニット40は、各種信号に基づいて車両10の動作を制御すると共に、圧力情報や撮像情報に基づいて駆動モータ30の駆動を制御する。
【0025】
続いて、駆動モータ30の駆動を制御し、シートバック24をリクライニング状態にする際の駆動制御方法について、制御ユニット40で実行される駆動制御処理ルーチンを一例に説明する。この駆動制御処理ルーチンは、ROM42に予め記憶されており、所定のタイミング(例えば、予め定められた所定のタイミングや、カメラ32からの撮像情報を受信したタイミング、圧力センサ28からの圧力情報を受信したタイミング等)でCPU41により繰り返し実行される。なお、ここで、
図4は、駆動制御処理ルーチンの一例を示すフローチャートであり、カメラ32から撮像情報を受信したタイミングで実行される場合の処理ルーチンを示す一例である。また、以下のフローチャートにおいて、ステップS120が本発明の撮像情報取得ステップに、ステップS140及びステップS150が本発明の睡眠欲求推定ステップに、ステップS160が本発明のリクライニングステップに、それぞれ相当する。
【0026】
この駆動制御処理ルーチンが実行されると、シートバック24がリクライニング状態であるか否かを判定し(ステップS110)、リクライニング状態であると判定した場合には、本ルーチンを終了する。このような場合には、既にシートバック24がリクライニング状態にあるため、本ルーチンを実行する必要がない。なお、シートバック24がリクライニング状態であるか否かは、例えば、駆動モータ30の駆動状態から判定しても良いし、シートバック24の位置を検出する位置検出センサを用いても良いし、シートバック24がリクライニング状態に位置する場合に接触する位置に設けられた接触センサを用いても良く、公知の種々の方法を用いることができる。
【0027】
一方、ステップS110でシートバック24がリクライニング状態でないとCPU41が判断した場合には、撮像情報を読み込み(ステップS120)、撮像情報に人間の顔が含まれているか否かを判定し(ステップS130)、人間の顔が含まれていないと判定した場合には、本ルーチンを終了する。このような場合には、車両用シート20に乗員が存在しないため、本ルーチンを実行する必要がない。なお、撮像情報に人間の顔が含まれているか否かを判定する方法としては、公知の種々の顔認識手法を用いることができる。
【0028】
一方、ステップS130でCPU41が撮像情報に人間の顔が含まれていると判定した場合には、撮像情報に含まれる人間の顔領域を解析し、瞼が閉じているか否かを判定し(ステップS140)、瞼が閉じていないと判定した場合には、本ルーチンを終了する。瞼が閉じていない場合には、乗員の睡眠欲求が強くないと推定されるため、シートバック24をリクライニング状態に変更しない。なお、瞼が閉じているか否かは、瞼の下端位置から判定してもよいし、瞼付近の特徴点の変化から判定するものとしてもよく、公知の種々の方法を用いることができる。こうすることにより、人間の顔(瞼)における変化から、睡眠欲求の強さを推定することができる。
【0029】
一方、ステップS140でCPU41が乗員の瞼が閉じていると判定した場合には、圧力情報に含まれる圧力の値が予め定められた作動範囲内であるか否かを判定し(ステップS150)、作動範囲内でないと判定した場合には、本ルーチンを終了する。このような場合には、乗員の睡眠欲求が強くないと推定されるため、シートバック24をリクライニング状態に変更しない。
【0030】
一方、ステップS150でCPU41が圧力情報に含まれる圧力の値が予め定められた作動範囲内であると判定した場合には、駆動モータ30に駆動信号を出力する(ステップS160)。この駆動信号に従って駆動モータ30が駆動することでシートバック24はリクライニング状態まで傾倒する。こうすることにより、乗員の睡眠欲求が強いと推定される場合には、乗員が何ら操作を行うことなくシートバック24がリクライニング状態に変更されるため、乗員に十分な快適性を与えることができる。
【0031】
以上詳述した実施の形態によれば、カメラ32で撮像された撮像情報及び圧力センサ28からの圧力情報に含まれる圧力の値に基づいて乗員の睡眠欲求を推定し(ステップS140及びステップS150)、睡眠欲求が強いと推定される場合には、シートバック24をリクライニング状態に制御する(ステップS160)ことで、乗員の睡眠欲求が強い場合に、乗員に何ら意識させることなくシートバック24をリクライニング状態に制御することができるため、十分な快適性を提供することができる。
【0032】
また、睡眠欲求の強さを推定する際、カメラ32による撮像情報と圧力センサ28からの圧力情報の両方で推定することにより、いずれか一方のみから睡眠欲求の強さを推定する場合と比較して、推定の正確性を高めることができる。例えば、カメラ32による撮像情報のみから睡眠欲求の強さを推定した場合、何らかの理由で意図的に乗員が瞼を閉じた場合、睡眠欲求の強さを推定する際の正確性が十分でない可能性がある。一方、圧力センサ28からの圧力情報のみから睡眠欲求の強さを推定した場合、外部からの衝撃等により乗員の頭部がヘッドレスト26の前面側に触れた場合等に、睡眠欲求の強さを推定する際の正確性が十分でない可能性があるため、撮像情報と圧力情報の両方から睡眠欲求の強さを推定することで、より正確に睡眠欲求の強さを推定することができる。
【0033】
更に、ステップS150で圧力センサ28からの圧力情報に含まれる圧力の値が予め定められた作動範囲内である場合に睡眠欲求が強いと推定することにより、睡眠欲求の強さを推定する正確性を高めることができる。例えば、圧力情報の値が作動範囲よりも小さい場合には、車両の移動に伴う圧力センサ28の誤検知の可能性があり、圧力情報の値が作動範囲よりも大きい場合には、車両の衝突や同乗者がヘッドレスト26に手をついた場合等が原因の可能性がある。一方、圧力センサ28の値が予め定められた作動範囲内である場合に睡眠欲求が強いと推定することにより、乗員の睡眠欲求によって表れる頭の移動以外に起因する圧力情報を排除できる可能性が高まるため、睡眠欲求の強さを推定する際の正確性を高めることができる。
【0034】
更にまた、ステップS110でシートバック24がリクライニング状態か否かを判定しているため、リクライニングである場合に、駆動モータ30をシートバック24がリクライニング状態となる方向に駆動させる可能性を未然に低減することができ、駆動モータ30の損傷や故障の可能性を未然に低減することができる。
【0035】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0036】
例えば、上述した実施の形態では、ステップS140及びステップS150で睡眠欲求の強さを推定するものとしたが、ステップS140又はステップS150のいずれか一方で睡眠欲求の強さを推定してもよいし、ステップS140及びステップS150に加え、睡眠欲求を推定可能なステップを追加しても良い。いずれの場合であっても、睡眠欲求が強いと推定された場合に駆動モータ30の駆動を制御することで、乗員の睡眠欲求が強い場合には、自動的にリクライニング状態とすることができる。
【0037】
上述した実施の形態では、乗員の瞼が閉じていると判定した場合に睡眠欲求が強いと推定するものとしたが、まばたきの回数や間隔、顔全体の動き等、睡眠欲求が強い際に現れる生体反応に基づいて睡眠欲求の強さを推定してもよい。いずれの場合であっても、睡眠欲求が強いと推定された場合に駆動モータ30の駆動を制御することで、乗員の睡眠欲求が強い場合には、自動的にリクライニング状態とすることができる。
【0038】
上述した実施の形態では、制御ユニット40で車両10の動作と駆動モータ30の駆動の両方を制御するものとしたが、車両10の動作を制御する制御ユニットと駆動モータ30の駆動を制御する制御ユニットは別々のものであってもよい。この場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
上述した実施の形態で示すように、車両用シートの制御分野、特に車両用シートのリクライニング制御手段として利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
10…車両、20…車両用シート、22…座面、24…シートバック、26…ヘッドレスト、28…圧力センサ、30…駆動モータ、32…カメラ、40…制御ユニット、41…CPU、42…ROM、43…RAM、44…インタフェース、45…バス。