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特許7374748光拡散シート及び液晶表示装置用バックライトユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】光拡散シート及び液晶表示装置用バックライトユニット
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20231030BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20231030BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20231030BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231030BHJP
【FI】
G02B5/02 A
G02F1/13357
F21S2/00 431
F21Y115:10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019226736
(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公開番号】P2021096335
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000165088
【氏名又は名称】恵和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】福田 忠仁
【審査官】中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-207736(JP,A)
【文献】特開2018-109748(JP,A)
【文献】特開2011-133555(JP,A)
【文献】特開2016-028272(JP,A)
【文献】特開2016-028275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/02
G02F 1/13357
F21S 2/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面に複数の突起を散点的に備え、
上記突起が、円錐台状の胴部と、この胴部の先端側に連続するドーム状の先端部とを有し、
上記複数の突起の平均高さが3.0μm以上20.0μm以下、底面の平均径が10μm以上40μm以下、高さの変動係数が0.30以下であり、
上記平均径に対する上記平均高さの比が0.225以上1未満である光拡散シート。
【請求項2】
上記裏面における上記複数の突起の占有面積率が2%以上80%以下である請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項3】
光線出射領域のサイズをS[インチ]、この光線出射領域の上記裏面における上記複数の突起の占有面積率をR[%]とした場合、以下の(1)又は(2)の条件を満たす請求項1又は請求項2に記載の光拡散シート。
(1)S<7の場合、60≦R
(2)7≦S≦15の場合、2.0≦R≦30.0
【請求項4】
光線出射領域のサイズをS[インチ]、この光線出射領域の上記裏面上において近接する3つの上記突起が入る円の平均半径をr[μm]とした場合、以下の(1)又は(2)の条件を満たす請求項1又は請求項2に記載の光拡散シート。
(1)S<7の場合、r≦40
(2)7≦S≦15の場合、40≦r≦400
【請求項5】
端面から入射された光線を表面側に導く導光板又は導光シートと、
上記導光板又は導光シートの上記端面に沿って配設される1又は複数の光源と、
上記導光板又は導光シートの表面側に配設される請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光拡散シートとを備える液晶表示装置用バックライトユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光拡散シート及び液晶表示装置用バックライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ等の液晶表示装置は、例えば液晶セル及びこの液晶セルの両面側に積層される一対の偏光板を有する液晶表示パネルと、この液晶表示パネルの裏面側に配設され、この液晶表示パネルに向けて光線を照射するバックライトユニットとを備える。
【0003】
上記バックライトユニットの種類としては、エッジライト型(サイドライト型)、直下型等が存在している。上記エッジライト型バックライトユニットは、端面から入射された光線を表面側に導く導光板又は導光シートと、この導光板又は導光シートの端面に沿って配設される1又は複数の光源と、上記導光板又は導光シートの表面側に配設される光拡散シートと、この光拡散シートの表面側に配設されるプリズムシートとを有する。
【0004】
このエッジライト型バックライトユニットでは、上記光拡散シートの裏面は導光板又は導光シートと接触している。そのため、上記エッジライト型バックライトユニットでは、光拡散シートの裏面が導光板又は導光シートと部分的に密着してスティッキングを生じることがある。このスティッキングが生じた部分では光が十分に拡散し難いため、バックライトユニットからの出射光に輝度ムラを生じる原因となる。
【0005】
このような観点から、今日では、光拡散シートの最裏層として、バインダー中にビーズが分散したスティッキング防止層を設けることが行われている(特開2004-252353号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-252353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記公報に記載の従来のスティッキング防止層によると、ビーズの突出高さを制御し難い。そのため、ビーズの突出高さが部分的に大きくなることがあり、この部分に加わる荷重が大きくなることで、導光板又は導光シートの表面に傷付きを生じるおそれが大きくなる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、傷つき防止性が高く、かつ優れたスティッキング防止性を有する光拡散シート及び液晶表示装置用バックライトユニットの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る光拡散シートは、裏面に複数の突起を散点的に備え、上記複数の突起の平均高さが3.0μm以上20.0μm以下、高さの変動係数が0.30以下である。
【0010】
当該光拡散シートは、上記複数の突起の高さの変動係数が上記上限以下であるので、上記複数の突起に加わる荷重の偏りを抑制することができる。また、当該光拡散シートは、上記複数の突起の平均高さが上記範囲内であるので、当該光拡散シートの裏面側に配設される他の光学部材とのスティッキングを抑制しつつ、上記複数の突起との当接に起因して上記光学部材表面に傷付きを生じるのを抑制することができる。従って、当該光拡散シートは、傷つき防止性が高く、かつ優れたスティッキング防止性を有する。
【0011】
上記突起が、円錐台状の胴部と、この胴部の先端側に連続するドーム状の先端部とを有するとよい。このように、上記突起が、円錐台状の胴部と、この胴部の先端側に連続するドーム状の先端部とを有することで、上記複数の突起の強度を大きくしつつ、これらの突起と上記光学部材との当接面積を小さくして、スティッキングの発生を抑制することができる。これにより、例えばスマートフォンやタブレット端末等の小型の携帯端末に用いられた場合でも十分に高精細な画像を表示することができる。
【0012】
上記裏面における上記複数の突起の占有面積率としては2%以上80%以下が好ましい。このように、上記裏面における上記複数の突起の占有面積率が上記範囲内であることによって、傷つき防止性及びスティッキング防止性を高めることができる。
【0013】
光線出射領域のサイズをS[インチ]、この光線出射領域の上記裏面における上記複数の突起の占有面積率をR[%]とした場合、以下の(1)又は(2)の条件を満たすとよい。
(1)S<7の場合、60≦R
(2)7≦S≦15の場合、2.0≦R≦30.0
【0014】
これにより、傷つき防止性及びスティッキング防止性をより高めることができる。
【0015】
光線出射領域のサイズをS[インチ]、この光線出射領域の上記裏面上において近接する3つの上記突起が入る円の平均半径をr[μm]とした場合、以下の(1)又は(2)の条件を満たすとよい。
(1)S<7の場合、r≦40
(2)7≦S≦15の場合、40≦r≦400
【0016】
これにより、傷つき防止性及びスティッキング防止性をより高めることができる。
【0017】
上記課題を解決するためになされた本発明の他の一態様に係る液晶表示装置用バックライトユニットは、端面から入射された光線を表面側に導く導光板又は導光シートと、上記導光板又は導光シートの上記端面に沿って配設される1又は複数の光源と、上記導光板又は導光シートの表面側に配設される当該光拡散シートとを備える。
【0018】
当該液晶表示装置用バックライトユニットは、当該光拡散シートを備えるので、傷つき防止性が高く、かつ優れたスティッキング防止性を有する。
【0019】
なお、本発明において、「表面」とは、液晶表示装置に組み込まれた際の視認者側の面をいい、「裏面」とは、その反対側の面をいう。「複数の突起の平均高さ」とは、任意の10個の突起の高さの平均値をいう。「複数の突起の高さの変動係数」とは、任意の10個の突起の高さの標準偏差を平均高さで割った値をいう。「光線出射領域」とは、表示画面と重なり合う領域をいう。「裏面上において近接する3つの突起が入る円の平均半径」とは、任意の10個の突起を抽出し、抽出した各突起について、この突起とこの突起以外の他の2個の突起とが入る裏面上の円の最小半径を求めたうえ、求められた10個の半径のうち1番大きい値と1番小さい値とを除いた値の平均値をいう。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の一態様に係る光拡散シート及び他の態様に係る液晶表示装置用バックライトユニットは、傷つき防止性が高く、かつ優れたスティッキング防止性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置用バックライトユニットを示す模式的端面図である。
図2図2は、図1の液晶表示装置用バックライトユニットの光拡散シートの模式的底面図である。
図3図3は、図2の光拡散シートの突起を示す模式的側面図である。
図4図4は、図3の突起の先端側から見た模式的底面図である。
図5図5は、図2の光拡散シートの突起の配置を示す模式的部分拡大底面図である。
図6図6は、図3の突起とは異なる実施形態に係る突起を示す模式的側面図である。
図7図7は、図6の突起の先端側から見た模式的底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0023】
[第一実施形態]
<光拡散シート>
図1の液晶表示装置用バックライトユニット1(以下、単に「バックライトユニット1」ともいう)は、エッジライト型バックライトユニットである。当該バックライトユニット1は、端面から入射された光線を表面側に導く導光シート2と、導光シート2の上記端面に沿って配設される1又は複数の光源3と、導光シート2の表面側に配設される光拡散シート4とを備える。光拡散シート4は、導光シート2の表面に直接(他の部材を介することなく)積層されている。光拡散シート4は、それ自体本発明の一態様を構成する。また、当該バックライトユニット1は、光拡散シート4の表面側に配設されるプリズムシート5と、導光シート2の裏面側に配設される反射シート6とを備える。なお、当該バックライトユニット1は、プリズムシート5の表面側に他のプリズムシートが配設されていてもよい。
【0024】
(光拡散シート)
当該光拡散シート4は、導光シート2に対向する光入射面と、この光入射面と反対側の光出射面とを有する。当該光拡散シート4は、上記光入射面から入射した光線を上記光出射面から出射する。当該光拡散シート4は、全体として可撓性を有する。
【0025】
当該光拡散シート4は、裏面4aに複数の突起11を散点的に備える。当該光拡散シート4は、基材層12と、基材層12の表面側に積層される光拡散層13とを備えており、基材層12の裏面に複数の突起11が散点的に形成されている。当該光拡散シート4は、基材層12の表面に光拡散層13が直接積層され、基材層12の裏面に複数の突起11が直接形成されている。つまり、当該光拡散シート4は、基材層12、光拡散層13及び複数の突起11以外の他の層を有しておらず、基材層12の裏面が当該光拡散シート4の裏面4aを構成している。当該光拡散シート4は、基材層12の裏面及び複数の突起11の外面が光入射面を構成し、光拡散層13の表面が光出射面を構成している。当該光拡散シート4は、複数の突起11が導光シート2の表面に部分的に当接することで導光シート2の表面側に配置されている。複数の突起11と導光シート2との当接部分は、接着剤等によって固定されていない。
【0026】
〔基材層〕
基材層12は、光線を透過させる必要があるので透明である。基材層12は、可撓性を有する。基材層12は、合成樹脂を主成分とする。基材層12の主成分としては、特に限定されるものではなく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等が挙げられる。中でも、透明性に優れ、強度が高いポリエチレンテレフタレートが好ましく、撓み性能が改善されたポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。なお、「主成分」とは、質量換算で最も含有量の多い成分をいい、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。
【0027】
基材層12の平均厚さの下限としては、10μmが好ましく、20μmがより好ましい。一方、基材層12の平均厚さの上限としては、200μmが好ましく、100μmがより好ましく、50μmがさらに好ましい。上記平均厚さが上記下限に満たないと、基材層12の強度が不十分となり、基材層12の裏面が部分的に導光シート2に接触するおそれがある。逆に、上記平均厚さが上記上限を超えると、当該光拡散シート4の薄型化の要請に反するおそれや、基材層12が重くなることで、複数の突起11に加わる荷重が大きくなり、導光シート2の表面に傷付きを生じるおそれが高くなる。
【0028】
〔突起〕
図2図4に示すように、複数の突起11は、基材層12の裏面から光線の入射側(導光シート2側)に突出している。複数の突起11は、基材層12の裏面上に不規則に配置されている。
【0029】
複数の突起11の平均高さH1AVGは3.0μm以上20.0μm以下である。また、複数の突起11の高さH1の変動係数は0.30以下である。当該光拡散シート4は、例えば後述するように複数の突起11の反転形状を有する複数の凹部を備える押圧ロールを用いて複数の突起11を形成することで、これらの突起11を所望の形状に形成することができる。
【0030】
複数の突起11の平均高さH1AVGの下限としては、4.0μmが好ましく、5.0μmがより好ましい。一方、上記平均高さH1AVGの上限としては、16.0μmが好ましく、10.0μmがより好ましい。上記平均高さH1AVGが上記下限に満たないと、導光シート2とのスティッキングを十分に抑制することができないおそれがある。逆に、上記平均高さH1AVGが上記上限を超えると、複数の突起11との当接に起因して導光シート2の表面に傷付きを生じるおそれや、突起11が折れやすくなるおそれがある。
【0031】
複数の突起11の高さH1の変動係数の上限としては、0.20が好ましく、0.10がより好ましく、0.05がさらに好ましい。上記変動係数が上記上限を超えると、複数の突起11の高さが不均一となり、高さの大きい突起11に荷重が偏り、これに基づいて導光シート2の表面に傷付きが生じるおそれがある。一方、上記変動係数の下限としては、特に限定されるものではなく、例えば0とすることができる。
【0032】
複数の突起11の底面(基材層12との境界面)の平均径D1AVGの下限としては、10μmが好ましく、15μmがより好ましい。一方、上記平均径D1AVGの上限としては、40μmが好ましく、30μmがより好ましい。上記平均径D1AVGが上記下限に満たないと、複数の突起11の強度が不十分となるおそれがある。逆に、上記平均径D1AVGが上記上限を超えると、複数の突起11と導光シート2との当接面積が大きくなり、スティッキングを生じるおそれがある。なお、「径」とは、等面積の真円に換算した径をいう。また、本明細書全体を通して「平均径」とは、任意の10個の径の平均値をいう。
【0033】
図3及び図4に示すように、突起11は、円錐台状の胴部11aと、胴部11aの先端側に連続するドーム状の先端部11bとを有する。胴部11aは、基端側(基材層12側)から先端側に向けて縮径している。突起11は、先端部11bの先端側で導光シート2と当接する。当該光拡散シート4は、突起11が胴部11aを有することで、突起11のサイズを比較的小さくした場合でも、突起11の強度を十分に大きくすることができる。当該光拡散シート4は、胴部11aの先端側にドーム状の先端部11bを有することで、突起11と導光シート2との当接面積を小さくして、スティッキングの発生を抑制することができる。これにより、当該光拡散シート4は、例えばスマートフォンやタブレット端末等の小型の携帯端末に用いられた場合でも十分に高精細な画像を表示することができる。なお、「円錐台状」とは、高さ方向と垂直な方向の断面が真円状又は略真円状のものの他、楕円状等のものを含む。また「ドーム状」とは、頂点を通り高さ方向に平行な任意の断面において先端側の外縁が先端側に凸な弓なり(円弧状、楕円弧状等)に湾曲した形状をいう。
【0034】
突起11は、底面の径D1に対する高さH1の比が1より小さいことが好ましい。つまり、突起11は、径D1に対して高さH1の小さい扁平状であることが好ましい。突起11は、径D1に対する高さH1の比を小さくすることで強度を大きくしやすい。また、突起11は、円錐台状の胴部11aの先端側にドーム状の先端部11bを有するので、径D1に対する高さH1の比を小さくしても突起11と導光シート2との当接面積が大きくなり過ぎることを抑制できる。
【0035】
先端部11bの外面は胴部11aの側面から連続して形成されている。先端部11bは、基端側から先端側に向けて曲率半径が段階的及び/又は連続的に漸増するよう構成されてもよい。当該光拡散シート4は、胴部11aが上述の円錐台状であることで胴部11aと導光シート2との接触が防止される。そのため、当該光拡散シート4は、先端部11bの先端側の曲率半径を大きくしても、突起11と導光シート2との当接面積を小さく抑えることができる。その結果、当該光拡散シート4は、導光シート2とのスティッキングを十分に抑制しつつ、複数の突起11との当接に起因する導光シート2の表面の傷付きを十分に抑えることができる。
【0036】
当該光拡散シート4の裏面4a(本実施形態では基材層12の裏面)における複数の突起11の占有面積率の下限としては2%が好ましい。一方、上記占有面積率の上限としては、80%が好ましい。上記占有面積率が上記下限に満たないと、導光シート2とのスティッキングを十分に抑制できないおそれがある。逆に、上記占有面積率が上記上限を超えると、複数の突起11が不必要に多くなり、導光シート2の表面に傷付きを生じるおそれがある。
【0037】
図2に示すように、当該光拡散シート4は、液晶表示装置に組み込まれた状態で、液晶表示パネルの液晶表示画面に対応する光線出射領域Aを有する。光出射領域Aは、例えば矩形状であり、典型的には長方形状である。当該光拡散シート4は、光線出射領域AのサイズをS[インチ]、この光線出射領域Aの裏面4aにおける複数の突起11の占有面積率をR[%]とした場合、以下の(1)又は(2)の条件を満たすことが好ましい。
(1)S<7の場合、60≦R
(2)7≦S≦15の場合、2.0≦R≦30.0
なお、この光線出射領域Aは、通常は当該光拡散シート4の平面面積と略等しい。光線出射領域Aが当該光拡散シート4の平面面積と略等しい場合、この光線出射領域Aは、当該光拡散シートの平面面積に換算することも可能である。また、7インチとは、対角線の長さが17.8cmであるサイズをいい、15インチとは、対角線の長さが38.1cmであるサイズをいう。
【0038】
また、S<7の場合、Rの下限としては、65がより好ましい。Rが上記下限に満たないと、当該光拡散シート4を組み込んだ装置の落下等に起因して、当該光拡散シート4に傷付きを生じるおそれがある。一方、この場合のRの上限としては、例えば90が好ましく、85がより好ましい。Rが上記上限を超える場合、スティッキング防止機能の向上効果が得られないおそれがある。
【0039】
7≦S≦15の場合、Rの下限としては、3.0がより好ましく、5.0がさらに好ましい。一方、この場合、Rの上限としては、25.0がより好ましく、20.0がさらに好ましい。Rが上記下限に満たないと、導光シート2とのスティッキングを十分に抑制することができないおそれがある。逆に、Rが上記上限を超えると、導光シート2の表面に傷付きを生じるおそれがある。
【0040】
図5に示すように、光線出射領域AのサイズをS[インチ]、この光線出射領域Aの裏面4a上において近接する3つの上記突起11が入る円(3つの突起11の側縁に接する円)の平均半径をr[μm]とした場合、以下の(1)又は(2)の条件を満たすことが好ましい。
(1)S<7の場合、r≦40
(2)7≦S≦15の場合、40≦r≦400
【0041】
また、S<7の場合、rの上限としては、35がより好ましい。rが上記上限を超えると、当該光拡散シート4を組み込んだ装置の落下等に起因して、当該光拡散シート4に傷付きを生じるおそれがある。一方、この場合のrの下限としては、例えば5が好ましく、10がより好ましい。rが上記下限に満たない場合、スティッキング防止機能の向上効果が得られないおそれがある。
【0042】
7≦S≦15の場合、rの下限としては、50がより好ましい。また、この場合、rの上限としては、70がより好ましく、60がさらに好ましい。rが上記下限に満たないと、導光シート2の表面に傷付きを生じるおそれがある。逆に、rが上記上限を超えると、導光シート2とのスティッキング十分に抑制することができないおそれがある。
【0043】
突起11は、樹脂ビーズ等の粒子を含有しない。突起11は、例えば活性エネルギー線硬化型樹脂や、基材層12の主成分と同様の合成樹脂を主成分とする。
【0044】
上記活性エネルギー線硬化型樹脂としては、例えば紫外線硬化型樹脂が挙げられる。この紫外線硬化型樹脂としては、例えばウレタンアクリレート、アクリル樹脂等が挙げられる。上記アクリル樹脂としては、例えば紫外線硬化型ポリエステルアクリレート、紫外線硬化型エポキシアクリレート、紫外線硬化型ポリオールアクリレート等が挙げられる。
【0045】
〔光拡散層〕
光拡散層13は、当該光拡散シート4の最表面を構成する。光拡散層13は、複数の光拡散剤13a及びそのバインダー13bを有する。光拡散剤13aはバインダー13bに囲まれている。光拡散層13は、複数の光拡散剤13aを分散含有することによって、裏面側から表面側に透過する光線を略均一に拡散させる。また、光拡散層13は、複数の光拡散剤13aによって表面に微細凹凸が略均一に形成され、この微細凹凸の各凹部及び凸部がレンズ状に形成されている。光拡散層13は、かかる微細凹凸のレンズ的作用によって、優れた光拡散機能を発揮し、この光拡散機能に起因して透過光線を法線方向側へ屈折させる屈折機能及び透過光線を法線方向に巨視的に集光させる集光機能を有している。
【0046】
光拡散剤13aは、光線を拡散させる性質を有する微粒子であり、典型的には樹脂ビーズである。光拡散剤13aの主成分としては、例えばアクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。中でも、透明性が高いアクリル樹脂が好ましく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が特に好ましい。
【0047】
光拡散剤13aの形状は、特に限定されるものではなく、例えば球状、立方状、針状、棒状、紡錘形状、板状、鱗片状、繊維状などが挙げられ、中でも光拡散性に優れる球状が好ましい。
【0048】
バインダー13bは、基材ポリマーを含むポリマー組成物を硬化(架橋等)させることで形成される。光拡散剤13aは、バインダー13bによって、基材層12の表面全面に略等密度で配置固定される。なお、バインダー13bを形成するためのポリマー組成物は、その他に例えば微小無機充填剤、硬化剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等が適宜配合されていてもよい。
【0049】
(導光シート)
導光シート2は、平面視略方形状に形成されており、厚さが略均一の板状(非楔形状)に形成されている。
【0050】
導光シート2の平均厚さの下限としては、100μmが好ましく、150μmがより好ましく、200μmがさらに好ましい。一方、導光シート2の平均厚さの上限としては、600μmが好ましく、400μmがより好ましい。導光シート2の平均厚さが上記下限に満たないと、導光シート2の強度が不十分となるおそれがあり、また光源3の光を導光シート2に十分に入射させ難くなるおそれがある。逆に、導光シート2の平均厚さが上記上限を超えると、当該バックライトユニット1の薄型化の要請に反するおそれがある。
【0051】
導光シート2は、透光性を有する必要があるため透明、特に無色透明の樹脂を主成分として形成される。導光シート2の主成分としては、特に限定されるものではないが、透明性、強度等に優れるポリカーボネートや、透明性、耐擦傷性等に優れるアクリル樹脂等の合成樹脂が挙げられる。
【0052】
導光シート2は、出射光を制御できるよう、表面にレンチキュラー、プリズム列等の凹凸形状を有していてもよい。
【0053】
(光源)
光源3は、照射面が導光シート2の端面に対向(又は当接)するよう配設されている。光源3としては、種々のものを用いることが可能であり、例えば発光ダイオード(LED)を用いることが可能である。具体的には、複数の光源3として、複数の発光ダイオードが導光シート2の端面に沿って配設されたものを用いることができる。
【0054】
(プリズムシート)
プリズムシート5は、基材層5aと、この基材層5aの表面に積層される複数の凸条プリズム部からなるプリズム列5bとを有する。基材層5a及びプリズム列5bは光線を透過させる必要があるので透明である。基材層5a及びプリズム列5bは合成樹脂を主成分として形成される。当該バックライトユニット1は、プリズムシート5の表面側に他のプリズムシートが配設されてもよく、この場合、プリズムシート5及び上記他のプリズムシートのプリズム列の方向は直交することが好ましい。
【0055】
(反射シート)
反射シート6としては、ポリエステル等の基材樹脂にフィラーを分散含有させた白色シートや、ポリエステル等から形成されるフィルムの表面に、アルミニウム、銀等の金属を蒸着させることで正反射性が高められた鏡面シート等が挙げられる。
【0056】
<光拡散シートの製造方法>
当該光拡散シート4の製造方法の一例について説明する。以下では、複数の突起11の主成分として紫外線硬化型樹脂を用いる場合について説明する。当該光拡散シートの製造方法は、基材層12を用意する工程(用意工程)と、上記用意工程で用意された基材層12の裏面側に複数の突起11を形成する工程(突起形成工程)と、基材層12の表面側に光拡散層13を積層する工程(光拡散層積層工程)とを備える。
【0057】
(突起形成工程)
上記突起形成工程は、例えば上述の紫外線硬化型樹脂を含有する突起形成用樹脂組成物を基材層12の裏面に塗布する工程(塗布工程)と、上記塗布工程によって塗布した塗工液上に、複数の突起11の反転形状である複数の凹部を外周面に有する押圧ロールを押圧する工程(押圧工程)と、上記押圧工程後に、紫外線照射によって上記突起形成用樹脂組成物を硬化させる工程(硬化工程)とを備える。上記押圧工程では、基材層12の裏面に複数の突起11を転写する。上記硬化工程は、基材層12の裏面に上記押圧ロールを押圧した状態で行うことが好ましい。上記押圧ロールの外周面に複数の凹部を形成する方法としては、例えばレーザー照射による方法や、押圧ロールの外周面に銅めっき層を形成したうえでエッチングを施す方法が挙げられる。
【0058】
(光拡散層積層工程)
上記光拡散層積層工程では、上記突起形成工程後に、複数の光拡散剤13a及びバインダー組成物を含む塗工液を基材層12の表面に塗布し、塗布した塗工液を乾燥及び硬化させる。
【0059】
<利点>
当該光拡散シート4は、複数の突起11の高さの変動係数が上記上限以下であるので、複数の突起11に加わる荷重の偏りを抑制することができる。また、当該光拡散シート4は、複数の突起11の平均高さH1AVGが上記範囲内であるので、当該光拡散シート4の裏面側に配設される他の光学部材(導光シート2)とのスティッキングを抑制しつつ、複数の突起11との当接に起因して上記光学部材表面に傷付きを生じるのを抑制することができる。従って、当該光拡散シート4は、傷つき防止性が高く、かつ優れたスティッキング防止性を有する。
【0060】
当該バックライトユニット1は、当該光拡散シート4を備えるので、傷つき防止性が高く、かつ優れたスティッキング防止性を有する。
【0061】
当該光拡散シートの製造方法は、傷つき防止性及びスティッキング防止性に優れる当該光拡散シート4を容易かつ確実に製造することができる。
【0062】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0063】
例えば上記複数の突起は、基材層の裏面に直接形成されたものでなくてもよい。例えば当該光拡散シートは、上記基材層の裏面側に積層される合成樹脂製の裏層を有し、この裏層の裏面に複数の突起を有していてもよい。なお、この場合、上記裏層の裏面が当該光拡散シートの裏面を構成する。
【0064】
上記光拡散層の具体的構成は、上記実施形態に記載の構成に限定されるものではない。例えば上記光拡散層は、エンボス加工等によって外面に凹凸形状が形成されたものであってもよい。
【0065】
上記突起は、必ずしも円錐台状の胴部及びこの胴部の先端側に連続するドーム状の先端部のみからなる必要はない。図6及び図7を参照して、上記突起の変形例について説明する。図6及び図7の突起21は、円錐台状の胴部21aと、胴部21aの先端側に連続するドーム状の先端部21bと、胴部21aの基端側に連続する裾野部21cとを有する。胴部21aとしては、図1の光拡散シート4の突起11の胴部11aと同様の構成とすることができる。先端部21bとしては、図1の光拡散シート4の突起11の先端部11bと同様の構成とすることができる。裾野部21cは、突起21の先端側から基端側に向けてラッパ状に拡径している。この構成によると、当該光拡散シートは、裏面と複数の突起との密着力を大きくすることができる。
【0066】
上記突起は、円錐台状の胴部及びこの胴部の先端側に連続するドーム状の先端部を有することが好ましい。しかしながら、上記突起の具体的形状としては、例えば円錐台状の胴部を有しない構成とすることも可能である。この場合、上記突起は、上記円錐台状の胴部に代えて、円柱状、多角柱状、多角錐台状等の胴部を有していてもよい。
【0067】
当該バックライトユニットは、上記導光シートに代えて、例えば平均厚さが600μm超の導光板を備えていてもよい。また、この導光板は、平板状であってもよく、断面楔形状であってもよい。
【0068】
当該バックライトユニットの具体的構成は、上記実施形態に記載の構成に限定されるものではない。当該バックライトユニットは、例えばマイクロレンズシート等の他の光学シートを有していてもよく、プリズムシートの表面側に比較的拡散機能の低い上用光拡散シートを有していてもよい。また、当該バックライトユニットは、直下型バックライトユニットであってもよい。さらに、当該バックライトユニットがエッジライト型バックライトユニットである場合でも、導光シート又は導光板の一の端面に沿ってのみ1又は複数の光源が配設された片側エッジライト型バックライトユニットである必要はなく、導光シート又は導光板の対向する一対の端面に沿って1又は複数の光源が配設された両側エッジライト型バックライトユニットや、導光シート又は導光板の各端面に沿って1又は複数の光源が配設された全周囲エッジライト型バックライトユニットであってもよい。
【0069】
当該バックライトユニットは、スマートフォンやタブレット端末等、比較的小型の携帯端末や、ノートパソコン等のパーソナルコンピュータや液晶テレビ等の比較的大型の表示装置に用いることが可能である。
【実施例
【0070】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0071】
[実施例1~3、比較例1~3]
ポリエチレンテレフタレートを主成分とする平均厚さ50μmの基材層を用意した。この基材層を一対の押圧ロール間に送りつつ、一対の押圧ロールの直前部分でこの基材層の裏面側(液晶表示装置に組み込まれた場合における裏面側)に紫外線硬化型樹脂(突起形成用樹脂組成物)を供給した。この紫外線硬化型樹脂に接する側の押圧ロールとしては、外周面に複数の凹部を有するものを用いた。この紫外線硬化型樹脂及び上記基材層を上記一対の押圧ロールで押圧したうえ、紫外線を照射することで上記紫外線硬化型樹脂を硬化させ、基材層の裏面側に、複数の凹部の反転形状である複数の突起を転写した。さらに、基材層の表面側に、複数のビーズ及びバインダー組成物を含む塗工液を塗布し、この塗工液を乾燥及び硬化させることで基材層の表面側に光拡散層を積層し、光拡散シートを得た。実施例1~3及び比較例1~3では、上記押圧ロールの凹部の平均深さを変えることで、複数の突起の平均高さを調整した。表1に、複数の突起の平均高さ及び高さの変動係数を示す。
【0072】
<傷付き防止性>
実施例1~3及び比較例1~3の光拡散シートを10cm×20cmの長方形状に打ち抜き加工し、各光拡散シートについて3つの試験片を作成した。これらの試験片について、ASTM平面圧子を有する平面型摩擦抵抗試験機(新東科学社製のトライボテスター TYPE14)を用い、ASTM圧子下部にプリズムシートを貼り付け、このプリズムシートに複数の突起が対向するように試験片を配置し、移動速度50mm/minで、圧子移動距離50mm、負荷500gとして傷付き試験を行い、試験片の傷付きの有無を以下の基準で評価した。この評価結果を表1に示す。
A:2つ以上の試験片について目視にて全く傷付きが視認できない
B:2つ以上の試験片について目視にて傷付きが視認される
【0073】
<スティッキング防止性>
実施例1~3及び比較例1~3の光拡散シートを気温40℃、湿度90%の環境下に48時間放置した後、これらの光拡散シートのスティッキングの有無を以下の手順で測定した。
【0074】
LED光源と、このLED光源から照射された光を導光する導光シートと、この導光シートの裏面側に配設される反射シートとを有する平面寸法が13cm×21cmのエッジライト型バックライト上に光拡散シートを13.5cm×22cmに切断した試験片を積層し、さらにこの試験片の表面に厚さ100μmで平面寸法が13.5cm×22cmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した積層体を、内寸が20cm×25cmのポリエチレン製の袋に入れた。この袋としては、その1辺が開口しており、この開口部分が密閉可能に構成されたものを用いた。上記積層体が入れられた状態で、上記袋の開口部分から真空排気用のホースを差し込んだうえで、この開口部分を密閉した。
【0075】
試験片の表面から法線方向に50cm離れた位置にトプコンテクノハウス社製の色彩輝度計「BM-7」を設置した状態で、ダイヤフラムポンプにて30秒間袋内の空気を排気し、この排気を停止すると同時に上述の色彩輝度計で輝度を測定した。この測定の後、ダイヤフラムポンプにてさらに30秒間袋内を排気し、輝度を測定した。最初の測定時における輝度をL1[cd/m]、最初の測定の後、30秒間袋内を排気した後の輝度をL2[cd/m]とし、以下の基準にてスティッキングの有無を評価した。この評価結果を表1に示す。
A(スティッキング無し):(L2-L1)/L2<0.14
B(スティッキング有り):(L2-L1)/L2≧0.14
【0076】
【表1】
【0077】
<評価結果>
表1に示すように、実施例1~3は、複数の突起の平均高さが3.0μm以上20.0μm以下であり、かつ高さの変動係数が0.30以下であるので、傷付き防止性及びスティッキング防止性がいずれも優れている。これに対し、比較例1は、複数の突起の平均高さが小さいため、スティッキングが不十分となっている。比較例2は、複数の突起の平均高さが大きいため、傷付き防止性が不十分となっている。比較例3は、突起の高さの変動係数が大きいため、傷付き防止性が不十分となっている。
【0078】
[実施例4~7]
複数の突起の底面の平均径を表2の通りとし、実施例1と同様の手順で、光拡散シートを製造した。なお、突起の平均径は、上記押圧ロールの凹部の開口径を変えることで調整した。また、実施例4~7における複数の突起の平均高さは9.0μm、高さの変動係数は0.15とした。
【0079】
<突起強度>
実施例4~7の光拡散シートを10cm×10cmの長方形状に打ち抜き加工し、各光拡散シートについて3つの試験片を作成した。ASTM圧子を有する平面型摩擦抵抗試験機(新東科学社製のトライボテスター TYPE40)を用意し、この平面型摩擦抵抗試験機の試験テーブルにレンチキュラーが上面に形成された導光板を接着剤にて貼り付け、さらにこの上に上述の試験片を複数の突起が導光板のレンチキュラーと対向するように接着剤にて貼り付けたうえ、移動速度50mm/min、圧子移動距離50mm、負荷500gでASTM圧子を試験片の中央部に往復させた。このASTM圧子は、まずレンチキュラーの稜線と平行な方向に5往復させ、その後試験片と貼り付けた状態のまま導光板を試験テーブルから剥がして90°回転させ、再度導光板を試験テーブルに接着剤にて貼り付けたうえ、レンチキュラーの稜線と直交する方向に5往復させた。この往復試験の後、試験片を導光板から剥がし、導光板のレンチキュラー面を目視にて確認し、突起の強度を以下の基準で評価した。この評価結果を表2に示す。なお、接着剤としては、試験片を導光板から剥離した際等に、接着剤に起因して突起の破損や導光板への突起の破片の付着が生じないよう、3M社製の粘着剤スプレー「スプレーのり55」を用いた。
A:突起の破片が視認されない
B:突起の破片が視認される
【0080】
<スティッキング防止性>
実施例1~3、比較例1~3と同様の手順及び同様の評価基準でスティッキング防止性を評価した。この評価結果を表2に示す。
【0081】
【表2】
【0082】
<評価結果>
表2に示すように、複数の突起の平均径が10μm以上40μm以下である実施例4、5は、突起強度が高く、かつスティッキング防止性にも優れている。これに対し、実施例6は、複数の突起の平均径が小さいため、突起強度が低くなっている。また、実施例7は、複数の突起の平均径が大きいため、突起の当接面積が大きくなり、スティッキング防止性が低くなっている。
【0083】
[実施例8~15]
基材層の平均厚さを38μmとし、光線出射領域のサイズ及び基材層の裏面における複数の突起の占有面積率を表3の通りとし、実施例1と同様の手順で、光拡散シートを製造した。なお、複数の突起の占有面積率は、上記押圧ロールの凹部の密度を変えることで調整した。また、実施例8~15における複数の突起の平均高さは10.0μm、高さの変動係数は0.10とした。
【0084】
<傷付き防止性>
(ボールドロップ試験)
実施例8~11について、以下の手順でボールドロップ試験を行い、傷付き防止性について評価した。厚さ5mmのステンレス板の表面に導光シートを模した厚さ475μmのポリカーボネートフィルムを積層し、その上に実施例8~11の光拡散シートを複数の突起が導光シートと当接するように積層した。さらに、この光拡散シート上にプリズム頂点が上方に突出する2枚のプリズムシートを互いの稜線方向が直交するように積層した。次に、液晶表示パネル(カラーフィルタ/液晶層/TFT基板)をTFT基板がプリズムシートに対向するように配置したうえ、直径30mmのナイロン66製の球体を液晶表示パネルの上方100cmの高さから落下させ、光拡散シートの傷付きの有無を目視にて確認し、以下の基準で評価した。この評価結果を表3に示す。なお、光線出射領域の小さい光拡散シートについては、スマートフォンやタブレット端末等に使用されることが多く、端末の落下による傷付きの有無を評価することが重要となるため、実施例8~11についてはボールドロップ試験を行っている。
A:傷が視認されない
B:傷が視認される
【0085】
実施例12~15については、実施例1~3、比較例1~3と同様の手順及び同様の評価基準で傷付き防止性を評価した。この評価結果を表3に示す。
【0086】
<スティッキング防止性>
実施例1~3、比較例1~3と同様の手順及び同様の評価基準でスティッキング防止性を評価した。この評価結果を表3に示す。
【0087】
【表3】
【0088】
<評価結果>
表3に示すように、実施例8、9、10、12、13は、光線出射領域のサイズに対する複数の突起の占有面積率が十分に調整されていることで、傷付き防止性及びスティッキング防止性がいずれも優れている。これに対し、実施例14は、光線出射領域のサイズに対する複数の突起の占有面積率が小さいため、スティッキング防止性が不十分となっている。また、実施例15は、光線出射領域のサイズに対する複数の突起の占有面積率が大きいため、傷付き防止性が不十分となり、実施例11は、光線出射領域のサイズに対する複数の突起の占有面積率が小さいため、衝撃に対する複数の突起による緩衝機能が不十分となり、ボールドロップ試験による傷付き防止性が不十分となっている。
【0089】
[実施例16~23]
基材層の平均厚さを38μmとし、光線出射領域のサイズ及び基材層の裏面上において近接する3つの突起が入る円の平均半径を表4の通りとし、実施例1と同様の手順で、光拡散シートを製造した。なお、基材層の裏面上において近接する3つの突起が入る円の平均半径は、上記押圧ロールの凹部の配置を変えること等で調整した。また、実施例16~23における複数の突起の平均高さは9.0μm、高さの変動係数は0.15とした。
【0090】
<傷付き防止性>
実施例16~19については実施例8~11と同様のボールドロップ試験によって、また実施例20~23については実施例1~3、比較例1~3と同様の手順及び同様の評価基準によって傷付き防止性を評価した。この評価結果を表4に示す。
【0091】
<スティッキング防止性>
実施例1~3、比較例1~3と同様の手順及び同様の評価基準でスティッキング防止性を評価した。この評価結果を表4に示す。
【0092】
【表4】
【0093】
<評価結果>
表4に示すように、実施例16、17、18、20、21は、光線出射領域のサイズに対する近接する3つの突起が入る円の平均半径が十分に調整されていることで、傷付き防止性及びスティッキング防止性がいずれも優れている。これに対し、実施例22は、光線出射領域のサイズに対する近接する3つの突起が入る円の平均半径が小さいため、傷付き防止性が不十分となり、実施例19は、光線出射領域のサイズに対する近接する3つの突起が入る円の平均半径が大きいため、衝撃に対する複数の突起による緩衝機能が不十分となり、ボールドロップ試験による傷付き防止性が不十分となっている。また、実施例19、23は、光線出射領域のサイズに対する近接する3つの突起が入る円の平均半径が大きいため、スティッキング防止性が不十分となっている。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上のように、本発明の一態様に係る光拡散シートは、傷つき防止性が高く、かつ優れたスティッキング防止性を有するので、種々の液晶表示装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0095】
1 液晶表示装置用バックライトユニット(バックライトユニット)
2 導光シート
3 光源
4 光拡散シート
4a 裏面
5 プリズムシート
5a 基材層
5b プリズム列
6 反射シート
11,21 突起
11a,21a 胴部
11b,21b 先端部
12 基材層
13 光拡散層
13a 光拡散剤
13b バインダー
21c 裾野部
A 光線出射領域
D1 突起の底面の径
H1 突起の高さ
r 平均半径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7