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特許7374763作業機械、計量方法、および作業機械を含むシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】作業機械、計量方法、および作業機械を含むシステム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20231030BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20231030BHJP
   G01G 19/10 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
E02F9/20 M
E02F9/26 A
G01G19/10 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019238196
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021105320
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山脇 翔太
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-099701(JP,A)
【文献】特開平02-085725(JP,A)
【文献】米国特許第05226496(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
E02F 9/26
G01G 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バケットと、
前記バケット内の荷重に関連するパラメータが時間に対して変動する周期を決定し、前記パラメータのピークから次のピークまでの期間における複数の時刻における前記荷重を平均して平均荷重を算出する、コントローラと、を備える、作業機械。
【請求項2】
前記コントローラは、前記バケット内の瞬時荷重を算出し、前記瞬時荷重に関連するパラメータの前記周期を決定する、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記コントローラは、前記周期を複数決定し、複数の前記周期毎に算出された複数の前記平均荷重をさらに平均する、請求項1または請求項に記載の作業機械。
【請求項4】
前記バケットを昇降するブームと、
前記ブームを駆動するブームシリンダと、
前記ブームシリンダのシリンダ圧力を検知するシリンダ圧力検知部とをさらに備え、
前記コントローラは、前記シリンダ圧力検知部により検知された前記シリンダ圧力を前記パラメータとして用いる、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項5】
前記バケットを昇降するブームを備え、
前記コントローラは、前記ブームの角速度を前記パラメータとして用いる、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項6】
前記バケットを昇降するブームを備え、
前記コントローラは、前記ブームの上昇中に、前記荷重を算出する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項7】
前記作業機械は、装輪車両であり、
前記コントローラは、前記装輪車両の走行中に、前記荷重を算出する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項8】
車体フレームと、
前記車体フレームに取り付けられた走行輪とをさらに備え、
前記バケットは前記車体フレームの前方に配設されている、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項9】
バケットを備える作業機械の、前記バケット内の荷を計量する計量方法であって、
前記バケット内の荷重に関連するパラメータが時間に対して変動する周期を決定するステップと、
前記パラメータのピークから次のピークまでの期間における複数の時刻における前記荷重を平均して平均荷重を算出するステップと、を備える、計量方法。
【請求項10】
バケットを有する作業機械と、
前記バケット内の荷重に関連するパラメータが時間に対して変動する周期を決定し、前記パラメータのピークから次のピークまでの期間における複数の時刻における前記荷重を平均して平均荷重を算出する、コントローラと、を備える、作業機械を含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械、計量方法、および作業機械を含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2001-99701号公報)には、ホイールローダにおいて、積荷積載部に積載された荷の重量を計測する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-99701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献には、ブームを上昇させる油圧シリンダの油圧を所定サンプリング時間にわたってサンプリングし、このサンプリングを複数回繰り返し、ブーム角と、サンプリングした油圧のサンプリング時間における平均値とに基づいて積荷積載部に積載されたサンプリング重量を求め、複数回のサンプリングごとのサンプリング重量を平均して積載重量を算出する、と記載されている。
【0005】
上記文献に記載の手法では、複数回のサンプリングごとのサンプリング重量にバラツキが生じるため、このバラツキを解消して積載重量を精度よく算出するためには長時間平均を取る必要があった。
【0006】
本開示では、バケット内の荷を短時間で精度よく計量できる、作業機械、計量方法、および作業機械を含むシステムが提案される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に従うと、バケットと、コントローラとを備える作業機械が提供される。コントローラは、バケット内の荷重に関連するパラメータが時間に対して変動する周期を決定する。コントローラは、周期内の複数の時刻における荷重を平均して、平均荷重を算出する。
【0008】
本開示のある局面に従うと、バケットを備える作業機械の、バケット内の荷を計量する計量方法が提供される。計量方法は、バケット内の荷重に関連するパラメータが時間に対して変動する周期を決定するステップと、周期内の複数の時刻における荷重を平均して平均荷重を算出するステップと、を備えている。
【0009】
本開示のある局面に従うと、バケットを有する作業機械と、コントローラとを備える、作業機械を含むシステムが提供される。コントローラは、バケット内の荷重に関連するパラメータが時間に対して変動する周期を決定する。コントローラは、周期内の複数の時刻における荷重を平均して、平均荷重を算出する。
【発明の効果】
【0010】
本開示に従えば、バケット内の荷を短時間で精度よく計量することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に基づく作業機械の一例としてのホイールローダの側面図である。
図2】実施形態に従うホイールローダを含む全体システムの構成を示す概略ブロック図である。
図3】第1処理装置内の機能ブロックを示す図である。
図4】瞬時荷重ごとのブーム角度とブーム圧力との関係の一例を示すグラフである。
図5】あるブーム角度における、ブーム圧力と瞬時荷重との関係を示すグラフである。
図6】ホイールローダの掘削動作の例を示す模式図である。
図7】実施形態に基づくバケット内の荷を計量する計量方法を示すフロー図である。
図8】時間に対するブーム圧力の変動を示すグラフである。
図9】ホイールローダを含むシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
<全体構成>
実施形態においては、作業機械の一例としてホイールローダ1について説明する。図1は、実施形態に基づく作業機械の一例としてのホイールローダ1の側面図である。
【0014】
図1に示されるように、ホイールローダ1は、車体フレーム2と、作業機3と、走行装置4と、キャブ5とを備えている。車体フレーム2、キャブ5などからホイールローダ1の車体(作業機械本体)が構成されている。ホイールローダ1の車体には、作業機3および走行装置4が取り付けられている。
【0015】
走行装置4は、ホイールローダ1の車体を走行させるものであり、走行輪4a、4bを含んでいる。ホイールローダ1は、車体の左右方向の両側に走行用回転体として走行輪4a、4bを備える装輪車両である。ホイールローダ1は、走行輪4a、4bが回転駆動されることにより自走可能であり、作業機3を用いて所望の作業を行うことができる。
【0016】
本明細書中において、ホイールローダ1が直進走行する方向を、ホイールローダ1の前後方向という。ホイールローダ1の前後方向において、車体フレーム2に対して作業機3が配置されている側を前方向とし、前方向と反対側を後方向とする。ホイールローダ1の左右方向とは、平坦な地面上にあるホイールローダ1を平面視したときに前後方向と直交する方向である。前方向を見て左右方向の右側、左側が、それぞれ右方向、左方向である。ホイールローダ1の上下方向とは、前後方向および左右方向によって定められる平面に直交する方向である。上下方向において地面のある側が下側、空のある側が上側である。
【0017】
車体フレーム2は、前フレーム2aと後フレーム2bとを含んでいる。前フレーム2aと後フレーム2bとにより、アーティキュレート構造の車体フレーム2が構成されている。
【0018】
前フレーム2aには、作業機3および左右一対の走行輪(前輪)4aが取り付けられている。作業機3は、車体の前方に配設されており、ホイールローダ1の車体によって支持されている。作業機3は、作業機ポンプ25(図2参照)からの作動油によって駆動される。作業機ポンプ25は、エンジン20により駆動され、吐出する作動油によって作業機3を作動させる油圧ポンプである。作業機3は、ブーム14と、作業具であるバケット6とを含んでいる。バケット6は、作業機3の先端に配置されている。
【0019】
ブーム14の基端部は、ブームピン9によって前フレーム2aに回転自在に取付けられている。バケット6は、ブーム14の先端に位置するバケットピン17によって、回転自在にブーム14に取付けられている。
【0020】
前フレーム2aとブーム14とは、一対のブームシリンダ16により連結されている。ブームシリンダ16は、油圧シリンダである。ブームシリンダ16の基端は、前フレーム2aに取り付けられている。ブームシリンダ16の先端は、ブーム14に取り付けられている。ブームシリンダ16が作業機ポンプ25(図2参照)からの作動油によって伸縮することによって、ブーム14が昇降する。ブームシリンダ16は、ブーム14を、ブームピン9を中心として上下に回転駆動する。ブーム14の昇降に伴って、ブーム14の先端に取り付けられたバケット6も昇降する。
【0021】
作業機3は、バケットシリンダ19をさらに含んでいる。バケットシリンダ19は、油圧シリンダであり、作業具であるバケット6を駆動する作業具シリンダである。バケットシリンダ19が作業機ポンプ25(図2参照)からの作動油によって伸縮することによって、バケット6が上下に回動する。バケットシリンダ19は、バケット6を、バケットピン17を中心として回転駆動する。
【0022】
後フレーム2bには、キャブ5および左右一対の走行輪(後輪)4bが取り付けられている。キャブ5は、ブーム14の後方に配置されている。キャブ5は、車体フレーム2上に載置されている。キャブ5内には、オペレータが着座するシートおよび後述する操作装置などが配置されている。
【0023】
図2は、実施形態に従うホイールローダ1を含む全体システムの構成を示す概略ブロック図である。
【0024】
ホイールローダ1は、エンジン20、動力取り出し部22、動力伝達機構23、シリンダ駆動部24、第一角度検出器29、第二角度検出器48、および第1処理装置30(コントローラ)を備えている。
【0025】
エンジン20は、たとえばディーゼルエンジンである。エンジン20は、エンジンフード7(図1)に覆われた収納空間内に収納されている。エンジン20の出力は、エンジン20のシリンダ内に噴射する燃料量を調整することにより制御される。エンジン20には、回転センサ32が設けられている。回転センサ32は、エンジン20内部の回転軸の回転数を検出する。回転センサ32は、回転数を示す検出信号を第1処理装置30に出力する。
【0026】
動力取り出し部22は、エンジン20の出力を、動力伝達機構23とシリンダ駆動部24とに振り分ける装置である。動力伝達機構23は、エンジン20からの駆動力を前輪4aおよび後輪4bに伝達する機構であり、たとえばトランスミッションである。ホイールローダ1においては、前フレーム2aに取り付けられた前輪4aと、後フレーム2bに取り付けられた後輪4bとの両方が、駆動力を受けてホイールローダ1を走行させる駆動輪を構成している。動力伝達機構23は、入力軸21の回転を変速して出力軸23aに出力する。
【0027】
シリンダ駆動部24は、作業機ポンプ25および制御弁26を有している。エンジン20の出力は、動力取り出し部22を介して、作業機ポンプ25に伝達される。作業機ポンプ25から吐出された作動油は、制御弁26を介して、ブームシリンダ16およびバケットシリンダ19に供給される。
【0028】
ブームシリンダ16には、ブームシリンダ16の油室内の油圧(シリンダ圧力)を検出するための第一油圧検出器28a、28bが取り付けられている。ホイールローダ1は、第一油圧検出器28a、28bを含んでいる。第一油圧検出器28a、28bは、ブームシリンダ16のシリンダ圧力を検知する、実施形態のシリンダ圧力検知部に相当する。第一油圧検出器28a、28bは、たとえばヘッド圧検出用の圧力センサ28aと、ボトム圧検出用の圧力センサ28bとを有している。
【0029】
圧力センサ28aは、ブームシリンダ16のヘッド側(ブームシリンダ16のピストンロッドが出ている側)に取り付けられている。圧力センサ28aは、ブームシリンダ16のシリンダヘッド側油室内の作動油の圧力(ヘッド圧)を検出することができる。圧力センサ28aは、ブームシリンダ16のヘッド圧を示す検出信号を第1処理装置30に出力する。
【0030】
圧力センサ28bは、ブームシリンダ16のボトム側(ブームシリンダ16のピストンロッドが出ていない側)に取り付けられている。圧力センサ28bは、ブームシリンダ16のシリンダボトム側油室内の作動油の圧力(ボトム圧)を検出することができる。圧力センサ28bは、ブームシリンダ16のボトム圧を示す検出信号を第1処理装置30に出力する。
【0031】
第一角度検出器29は、たとえば、ブームピン9に取り付けられたポテンショメータである。第一角度検出器29は、ブーム14の持ち上がり角度を表すブーム角度を検出する。第一角度検出器29は、ブーム角度を示す検出信号を第1処理装置30に出力する。
【0032】
具体的には、図1に示すように、ブーム基準線Aは、ブームピン9の中心とバケットピン17の中心とを通る直線である。ブーム角度θ1は、ブームピン9の中心から前方に延びる水平線Hと、ブーム基準線Aとの成す角度である。ブーム基準線Aが水平である場合をブーム角度θ1=0°と定義する。ブーム基準線Aが水平線Hよりも上方にある場合にブーム角度θ1を正とする。ブーム基準線Aが水平線Hよりも下方にある場合にブーム角度θ1を負とする。
【0033】
第一角度検出器29は、ブームシリンダ16に配置されたストロークセンサであってもよい。第一角度検出器29は、ホイールローダ1の車体に対するブーム14の角度を表すブーム角度θ1を検知する、実施形態のブーム角度検知部に相当する。
【0034】
第二角度検出器48は、たとえばポテンショメータである。第二角度検出器48は、ブーム14に対するバケット6の角度を表すバケット角度を検出する。第二角度検出器48は、バケット角度を示す検出信号を第1処理装置30に出力する。第二角度検出器48は、近接スイッチであってもよい。または第二角度検出器48は、バケットシリンダ19に配置されたストロークセンサであってもよい。
【0035】
図2に示されるように、ホイールローダ1は、キャブ5内に、操作装置49を備えている。操作装置49は、オペレータによって操作される操作部材49aと、操作部材49aの位置を検出して検出結果を第1処理装置30に出力する検出センサ49bとを含んでいる。操作装置49は、車両の前進および後進の切り換え、エンジン20の目標回転速度の設定、ホイールローダ1の減速力の操作、ブーム14の上げ動作および下げ動作、動力伝達機構23における入力軸21から出力軸23aへの変速の制御、バケット6のチルト動作およびダンプ動作、前フレーム2aの後フレーム2bに対する屈曲(アーティキュレート)などを指示するために、オペレータによって操作される。
【0036】
第1処理装置30は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの記憶装置と、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置を含むマイクロコンピュータで構成されている。第1処理装置30は、エンジン20、作業機3(ブームシリンダ16、バケットシリンダ19など)、動力伝達機構23、表示部40などの動作を制御する、ホイールローダ1のコントローラの機能の一部として実現されてもよい。
【0037】
第1処理装置30には、第一角度検出器29によって検出されるブーム角度θ1の信号と、第二角度検出器48によって検出されるバケット角度の信号と、圧力センサ28aによって検出されるブームシリンダ16のヘッド圧の信号と、圧力センサ28bによって検出されるブームシリンダ16のボトム圧の信号と、が主に入力される。
【0038】
第1処理装置30は、記憶部30jを有している。記憶部30jは、ホイールローダ1の各種の動作を制御するためのプログラムを格納する。第1処理装置30は、記憶部30jに格納されているプログラムに基づいて、ホイールローダ1の動作を制御するための各種処理を実行する。記憶部30jは、不揮発性のメモリであり、必要なデータを記憶する領域として設けられている。
【0039】
ホイールローダ1は、表示部40を備えている。表示部40は、キャブ5に配置された、オペレータが視認するモニタである。表示部40は、情報を表示する。表示部40はたとえば、第1処理装置30によって算出されたバケット6内の荷の重量に関する情報を表示する。
【0040】
<第1処理装置30内の機能ブロック>
図2に示される第1処理装置30は、ブーム圧力、すなわち、圧力センサ28aにより検出されたヘッド圧と圧力センサ28bにより検出されたボトム圧との差圧を算出する機能を有する。第1処理装置30は、ブーム圧力およびブーム角度θ1に基づいて、バケット6内の瞬時荷重を算出する機能を有する。また第1処理装置30は、瞬時荷重を平均することにより、バケット6内の荷の重量を算出する機能を有する。以下、上記機能を有する第1処理装置30の機能ブロックについて説明する。
【0041】
図3は、第1処理装置30内の機能ブロックを示す図である。図3に示されるように、第1処理装置30は、圧力取得部30aと、角度取得部30bと、瞬時荷重算出部30cと、周期決定部30dと、平均荷重算出部30eと、荷重出力部30fと、記憶部30jとを主に有している。
【0042】
圧力取得部30aは、圧力センサ28aから、ブームシリンダ16のヘッド圧を示す検出信号の出力を受ける。圧力取得部30aは、圧力センサ28bから、ブームシリンダ16のボトム圧を示す検出信号の出力を受ける。圧力取得部30aは、取得したブームシリンダ16のヘッド圧およびボトム圧を示す信号を、周期決定部30dへ出力する。また圧力取得部30aは、ブームシリンダ16のヘッド圧とボトム圧との差圧(ブーム圧力)を算出する。圧力取得部30aは、その算出したブーム圧力の信号を、瞬時荷重算出部30cへ出力する。
【0043】
角度取得部30bは、第一角度検出器29から、ブーム角度θ1を示す検出信号の出力を受ける。角度取得部30bは、取得したブーム角度θ1を示す信号を、瞬時荷重算出部30cへ出力する。
【0044】
瞬時荷重算出部30cは、角度取得部30bから出力されたブーム角度θ1を示す信号と、圧力取得部30aから出力されたブーム圧力を示す信号とに基づいて、バケット6内の瞬時荷重を算出する。瞬時荷重算出部30cにおける瞬時荷重の算出方法は、図4および図5を用いて後に詳細に説明する。瞬時荷重算出部30cにおいて算出されたバケット6内の瞬時荷重を示す信号は、周期決定部30dへ出力され、また平均荷重算出部30eへ出力される。
【0045】
周期決定部30dは、瞬時荷重算出部30cにおいて算出された瞬時荷重、または、圧力取得部30aにおいて算出されたブーム圧力の、時間に対する変動を特定する。周期決定部30dは、当該特定した変動に基づいて、時間に対する変動の周期を決定する。
【0046】
たとえば周期決定部30dは、横軸を時間、縦軸をブーム圧力とするグラフに、各時刻において算出されたブーム圧力をプロットする。周期決定部30dは、ブーム圧力の時間に対する推移から、ブーム圧力が時間に対して変動する周期を決定する。たとえば、ブーム圧力が減衰振動する波形を示す場合に、その波形の極大値から次の極大値までの期間を、ブーム圧力の変動の周期とすることができる。
【0047】
周期決定部30dは、このようにして決定した周期を、平均荷重算出部30eへ出力する。
【0048】
平均荷重算出部30eは、周期決定部30dにおいて決定された周期内の、複数の時刻における瞬時荷重を平均して、平均荷重を算出する。平均荷重算出部30eは、算出した平均荷重を、記憶部30jおよび荷重出力部30fへ出力する。
【0049】
記憶部30jは、平均荷重算出部30eから出力された平均荷重を記憶する。荷重出力部30fは、平均荷重算出部30eから出力された平均荷重を、表示部40に出力する。表示部40は、平均荷重を画面などに表示する。
【0050】
<瞬時荷重の算出方法>
次に、瞬時荷重の算出方法の一例について説明する。
【0051】
図4は、瞬時荷重ごとのブーム角度θ1とブーム圧力Pτとの関係の一例を示すグラフである。図4のグラフにおける横軸はブーム角度θ1、縦軸はブーム圧力Pτである。図4において、カーブA、B、Cはそれぞれ、バケット6が空、1/2積載、満杯積載の場合を示している。予め計測された2個以上の瞬時荷重におけるブーム角度θ1とブーム圧力Pτとの関係のグラフに基づき、図4に示すように、ブーム角度θ1ごとの瞬時荷重とブーム圧力Pτとの関係のグラフを求めることができる。
【0052】
ある時刻におけるブーム角度θ1とブーム圧力Pτとが判明すると、その時刻での瞬時荷重を求めることができる。たとえば、図4に示されるように、ある時刻mkにおいてブーム角度θ1=θk、ブーム圧力Pτ=Pτkであったとすると、図5からその時刻mkにおける瞬時荷重WNを求めることが可能となる。図5は、ブーム角度θ1=θkにおける、ブーム圧力Pτと荷重Wとの関係を示すグラフである。図5のグラフにおける横軸はブーム圧力Pτ、縦軸は荷重Wである。
【0053】
図4に示されるように、PτAとは、ブーム角度θ1=θkにおける、バケット6が空の場合のブーム圧力である。PτCとは、ブーム角角度θ1=θkにおける、バケット6が満杯積載の場合のブーム圧力である。図5に示されるWAとは、ブーム角度θ1=θkにおける、バケット6が空の場合の荷重である。またWCとは、ブーム角度θ1=θkにおける、バケット6が満杯積載の場合の荷重である。
【0054】
図5に示されるように、PτkがPτAとPτCとの間に位置する場合、線形補間を行うことにより、時刻mkにおける瞬時荷重WNを決定することができる。または、このような関係を予め記憶した数値テーブルに基づいて、瞬時荷重WNを求めることも可能である。
【0055】
バケット6内の瞬時荷重の算出方法は、図4,5に示される例に限られない。ブーム圧力およびブーム角度θ1に加えて、またはこれらに代えて、バケットシリンダ19のヘッド圧とボトム圧との差圧、バケット角度、作業機3の寸法などを、バケット6内の瞬時荷重を算出するためのパラメータとして考慮することができる。これらのパラメータを考慮してバケット6内の瞬時荷重を算出することにより、より精度の高い荷重の算出が可能になる。
【0056】
<掘削動作>
実施形態のホイールローダ1は、土砂などの掘削対象物100をバケット6に掬い取る掘削動作と、バケット6内の荷L(掘削対象物100)をダンプトラックの荷台(被積込み対象)などの運搬機械に積み込む積込動作とを実行する。ホイールローダ1は、掘削動作と積込動作とを繰り返して、掘削対象物100を掘削し、ダンプトラックなどの運搬機械に掘削対象物100を積み込んでいる。図6は、実施形態に基づくホイールローダ1の掘削動作の例を示す模式図である。
【0057】
図6(A)に示されるように、ホイールローダ1は、掘削対象物100に向かって前進する。この前進工程において、オペレータは、ブームシリンダ16およびバケットシリンダ19を操作して、作業機3をブーム14の先端が低い位置にありバケット6の底面が水平を向いた掘削姿勢にして、ホイールローダ1を掘削対象物100に向けて前進させる。
【0058】
図6(B)に示されるように、バケット6の刃先6a(図1)が掘削対象物100に食い込むまで、オペレータはホイールローダ1を前進させる。その後オペレータは、ブームシリンダ16を操作してバケット6を上昇させるとともに、バケットシリンダ19を操作してバケット6をチルトバックさせる。この掘削工程により、バケット6内に掘削対象物100が掬い込まれる。そして、図6(C)に示される、掬込み完了後のバケット6が所定の高さ以上となった状態、たとえばバケット6が上がりきった状態となり、掘削完了となる。
【0059】
ホイールローダ1の現在の作業工程が掘削工程であり作業機3が掘削作業中であるか、現在の作業工程が掘削工程ではなく作業機が掘削作業中でないかは、たとえば、ホイールローダ1を前後進させるオペレータの操作、作業機3に対するオペレータの操作、および作業機3のシリンダの現在の油圧についての判定条件の組み合わせを用いることにより、判定することができる。
【0060】
<バケット6内の荷Lの計量フロー>
本実施形態のホイールローダ1は、上記の掘削動作においてバケット6内に積載された荷Lの重量を計測し、計測した荷Lの重量を出力(表示部40に表示)する。たとえば、掘削完了後のホイールローダ1の走行中に、バケット6内の荷Lの計量が実行されてもよい。たとえば、ブーム14の上昇中に、バケット6内の荷Lの計量が実行されてもよい。ホイールローダ1が走行を停止している間に、ブーム14を上昇させて計量が行なわれてもよい。
【0061】
図7は、実施形態に基づくバケット6内の荷を計量する計量方法を示すフロー図である。
【0062】
図7に示されるように、まず、ブーム圧力Pτが取得される(ステップS1)。圧力取得部30aは、圧力センサ28aから、ブームシリンダ16のヘッド圧を示す検出信号の出力を受ける。圧力取得部30aは、圧力センサ28bから、ブームシリンダ16のボトム圧を示す検出信号の出力を受ける。圧力取得部30aは、ブームシリンダ16のヘッド圧とボトム圧との差圧(ブーム圧力Pτ)を算出する。圧力取得部30aは、その算出したブーム圧力Pτの信号を、瞬時荷重算出部30cへ出力する。
【0063】
次に、ブーム角度θ1が取得される(ステップS2)。角度取得部30bは、第一角度検出器29から、ブーム角度θ1を示す検出信号の出力を受ける。角度取得部30bは、取得したブーム角度θ1を示す信号を、瞬時荷重算出部30cへ出力する。
【0064】
次に、瞬時荷重が算出される(ステップS3)。図4を参照して、瞬時荷重算出部30cは、角度取得部30bから出力されたブーム角度θ1における、バケット6が空の場合、バケット6が満杯積載の場合、およびバケット6が1/2積載の場合のブーム圧力Pτを求める。図5を参照して、瞬時荷重算出部30cは、バケット6が空の場合の荷重WA、バケット6が満杯積載の場合の荷重WC、およびバケット6が1/2積載の場合の瞬時荷重を、適宜線形補間することにより、圧力取得部30aから出力されたブーム圧力Pτに対応するバケット6内の瞬時荷重Wを算出する。
【0065】
次に、瞬時荷重Wに関連するパラメータが時間に対して変動する周期が決定される(ステップS4)。実施形態における、瞬時荷重Wに関連するパラメータとは、瞬時荷重W自身、またはブーム圧力Pτを指す。
【0066】
図8は、時間に対する瞬時荷重の変動を示すグラフである。図8のグラフにおける横軸は時間、縦軸は瞬時荷重Wである。周期決定部30dは、各時刻において算出された瞬時荷重Wをプロットすることで、図8に示されるグラフを作成する。
【0067】
図8に示されるように、瞬時荷重Wは、時間に対して周期的に変動している。瞬時荷重Wは、一定周期で揺らぐように変動している。周期決定部30dは、瞬時荷重Wが極大となる第1のピーク点PK1から次に極大となる第2のピーク点PK2までの時間T1を、瞬時荷重Wの時間に対する変動の周期として決定する。
【0068】
次に、平均荷重が算出される(ステップS5)。平均荷重算出部30eは、前のステップS4で決定された周期内の、複数の時刻における瞬時荷重Wを平均して、平均荷重(図8に示される平均荷重AV1)を算出する。平均荷重算出部30eは、図8に示される第1のピーク点PK1から第2のピーク点PK2までの時間T1内において算出された瞬時荷重Wを平均することにより、平均荷重を算出してもよい。
【0069】
ステップS4の処理において、横軸を時間、縦軸をブーム圧力Pτとするグラフに、各時刻において算出された瞬時荷重Wをプロットして、瞬時荷重Wの時間に対する変動の周期を決定してもよい。この場合、ステップS5の処理では、その決定された周期内に算出されたブーム圧力Pτを平均することにより、平均荷重を算出してもよい。または、図8に示される第1のピーク点PK1から第2のピーク点PK2までの時間T1内に算出されたブーム圧力Pτの平均値に対応するバケット6内の荷重値を、図5に示されるグラフを用いた線形補間によって、平均荷重として算出してもよい。
【0070】
次に、荷重暫定値が表示される(ステップS6)。平均荷重算出部30eは、ステップS5で算出した平均荷重を、荷重暫定値として荷重出力部30fへ出力する。荷重出力部30fは、平均荷重算出部30eから出力された荷重暫定値を、表示部40に出力する。表示部40は、荷重暫定値を画面などに表示する。
【0071】
次に、計量が終了したか否かが判断される(ステップS7)。図8には、上述した第1のピーク点PK1および第2のピーク点PK2に加えて、第3のピーク点PK3、第4のピーク点PK4、第5のピーク点PK5が示されている。ステップS7の判断の時点で、第5のピーク点PK5が見られる時刻を既に経過していれば、5つのピーク点間の時間に対応する4周期分の平均荷重が既に算出されており、この4周期分の平均荷重の算出をもって計量が終了したと判断される。
【0072】
ステップS7の判断の時点で第5のピーク点PK5が見られる時刻を未だ経過していなくても、変動が収束してピーク点が観察されなくなった場合には、計量を終了する判断がなされる。また、ブーム角度θ1が計量に適した範囲から外れる、ブーム14の上昇が停止するなど、ホイールローダ1の動作が計量に適さないものとなった場合にも、計量を終了する判断がなされる。
【0073】
短時間でバケット6内の荷Lの計量を完了できれば、ホイールローダ1による掘削積込動作の生産性を高めることができるので好ましい。平均荷重を4周期分算出しなくても十分な精度の平均荷重が取得できたと判断された場合に、ステップS7の判断で計量を終了すると判断してもよい。たとえば、1周期目の平均荷重と2周期目の平均荷重とが、一致するか、厳密に一致はしないが十分に差が小さい場合には、2周期分の平均荷重の算出をもって十分な精度の平均荷重が取得できたと判断して、計量を終了してもよい。またたとえば、1周期のみの平均荷重で荷Lの重量を確定させて計量を終了してもよい。
【0074】
ステップS7の判断において、計量が未だ終了していないと判断された場合(ステップS7においてNO)、ステップS1~S6の処理が繰り返される。
【0075】
2回目のステップS4での処理では、第2のピーク点PK2から第3のピーク点PK3までの時間T2が、2つ目の周期として決定される。2回目のステップS5での処理では、時間T2内に算出された瞬時荷重Wを平均する、時間T2内に算出されたブーム圧力Pτの平均値に対応する荷重を算出するなどの処理により、時間T2内における平均荷重(図8に示される平均荷重AV2)が算出される。さらに、時間T1内における平均荷重AV1と、時間T2内における平均荷重AV2とを平均して、この時点での荷重暫定値とする。
【0076】
3回目のステップS4での処理では、第3のピーク点PK3から第4のピーク点PK4までの時間T3が、3つ目の周期として決定される。3回目のステップS5での処理では、時間T3内に算出された瞬時荷重Wを平均する、時間T3内に算出されたブーム圧力Pτの平均値に対応する荷重を算出するなどの処理により、時間T3内における平均荷重(図8に示される平均荷重AV3)が算出される。さらに、時間T1内における平均荷重AV1と、時間T2内における平均荷重AV2と、時間T3内における平均荷重AV3とを平均して、この時点での荷重暫定値とする。
【0077】
4回目のステップS4での処理では、第4のピーク点PK4から第5のピーク点PK5までの時間T4が、4つ目の周期として決定される。4回目のステップS5での処理では、時間T4内に算出された瞬時荷重Wを平均する、時間T4内に算出されたブーム圧力Pτの平均値に対応する荷重を算出するなどの処理により、時間T4内における平均荷重(図8に示される平均荷重AV4)が算出される。さらに、時間T1内における平均荷重AV1と、時間T2内における平均荷重AV2と、時間T3内における平均荷重AV3と、時間T4内における平均荷重AV4とを平均して、この時点での荷重暫定値とする。
【0078】
ステップS7の判断において、計量が終了したと判断されると、ステップS8に進み、荷重確定値が表示される。荷重出力部30fは、計量が終了したと判断された時点での荷重暫定値を、荷重確定値として、表示部40に出力する。表示部40は、荷重確定値を画面などに表示する。
【0079】
表示部40は、荷重暫定値と荷重確定値とを、異なる表示とすることができる。たとえば表示部40は、荷重暫定値と荷重確定値とを、異なる色で表示してもよい。たとえば表示部40は、荷重暫定値を点滅表示し、荷重確定値を連続表示してもよい。
【0080】
<作用および効果>
上述した実施形態に係る作業機械の特徴的な構成および作用効果についてまとめて説明すると、以下の通りである。なお、実施形態の構成に参照符号を付すが、これは一例である。
【0081】
図2に示されるように、ホイールローダ1は、第1処理装置30(コントローラ)を備えている。図3に示されるように、第1処理装置30は、瞬時荷重算出部30cと、周期決定部30dと、平均荷重算出部30eとを有している。図7に示されるように、瞬時荷重算出部30cは、バケット6内の瞬時荷重を算出する。周期決定部30dは、瞬時荷重に関連するパラメータが時間に対して変動する周期を決定する。平均荷重算出部30eは、周期内の複数の時刻における瞬時荷重を平均して平均荷重を算出する。
【0082】
バケット6内の瞬時荷重を平均して平均荷重を算出する期間を、時間に対して変動するパラメータの周期に対応させることにより、算出する期間毎の平均荷重のバラツキが低減される。平均荷重のバラツキを解消するために長時間平均を取る必要がなく、短時間の処理でバケット6内の荷を精度よく計量することができる。
【0083】
図8に示されるように、周期決定部30dは、瞬時荷重に関連するパラメータのピークから次のピークまでの期間を変動の周期として決定する。平均荷重算出部30eは、パラメータのピークから次のピークまでの期間における瞬時荷重を平均して、平均荷重を算出する。これにより、瞬時荷重に関連するパラメータが時間に対して変動する周期を、容易に決定することができる。
【0084】
図7,8に示されるように、周期決定部30dは、瞬時荷重に関連するパラメータが時間に対して変動する周期を、複数決定する。平均荷重算出部30eは、各々の周期内の複数の時刻における瞬時荷重を平均して複数の平均荷重を算出し、複数の周期毎に算出された複数の平均荷重をさらに平均する。このようにすれば、平均荷重の精度を向上できるので、バケット6内の荷をより精度よく計量することができる。
【0085】
図2,3に示されるように、圧力センサ28a,28bは、ブームシリンダ16の油室内の作動油の圧力を検出する。図8に示されるように、周期決定部30dは、圧力センサ28a,28bにより検知された圧力を、バケット6内の瞬時荷重に関連する、時間に対して変動するパラメータとして用いる。これにより、周期決定部30dは、ブームシリンダ16の油室内の油圧が時間に対して変動する周期を、精度よく決定することができる。
【0086】
バケット6内の瞬時荷重に関連する、時間に対して変動するパラメータは、上記の圧力に限られない。圧力センサ28a,28bによって検出されるシリンダ圧力と第一角度検出器29によって検出されるブーム角度θ1とに基づいて算出される瞬時荷重自身を、パラメータとして用いてもよい。ブーム14の角速度をパラメータとして用いてもよい。ブーム14の角速度は、第一角度検出器29によって検出されるブーム角度θ1を時間で微分して算出することができる。または、ブーム14にIMU(Inertial Measurement Unit)に代表される角速度センサを取り付けて、この角速度センサによってブーム14の角速度を直接検出してもよい。
【0087】
図6に示される掘削完了後のホイールローダ1の走行中または停車中に、ブーム14が上昇する。バケット6内の瞬時荷重は、ブーム14の上昇中に算出されてもよい。バケット6内の瞬時荷重の経時的な変化が比較的小さい期間に瞬時荷重を算出することで、より正確な瞬時荷重の算出が可能となる。
【0088】
図6に示される掘削完了後に、ホイールローダ1は、ダンプトラックなどの運搬機械へ向かって、バケット6に荷Lを積載した状態で走行する。バケット6内の瞬時荷重は、ホイールローダ1の走行中に算出されてもよい。バケット6内の瞬時荷重の経時的な変化が比較的小さい期間に瞬時荷重を算出することで、より正確な瞬時荷重の算出が可能となる。
【0089】
車体フレーム2と、車体フレーム2に取り付けられた走行輪(前輪4a、後輪4b)とを備え、バケット6は車体フレーム2の前方に配設されているホイールローダ1に、上述した計量方法を適用することで、ホイールローダ1のバケット6内の荷Lを精度よく計量することができる。
【0090】
これまでの実施形態の説明では、時間に対して変動するパラメータの極大値から次の極大値の期間を変動の周期として決定する例について説明した。パラメータの変動の周期は、他の手法によって決定されてもよい。たとえば、時間に対して変動するパラメータの極大値から極小値までの期間、または極小値から極大値までの期間を決定して、この決定された期間の2倍の時間を、変動の周期として決定してもよい。
【0091】
パラメータの変動の周期を決定するために、変動の極値(ピーク)を必ずしも用いなくてもよい。たとえば、時間に対して変動する瞬時荷重が、荷重暫定値として設定されている荷重値よりも大きくなる時点から、荷重暫定値よりも小さくなる時点を経過して、次に荷重暫定値よりも大きくなる時点までの期間を、変動の周期として決定してもよい。
【0092】
実施形態では、パラメータが変動する周期内の複数の時刻における瞬時荷重を平均して平均荷重を算出した。平均荷重を算出するために平均される複数の瞬時荷重は、特定の時刻に算出されたものであってもよい。たとえば、変動するパラメータが極大となる時刻と次に極小となる時刻とを計測点として、これら2点の計測点において算出された瞬時荷重を平均して、平均荷重を算出してもよい。複数の瞬時荷重の算出は、算出の時間間隔を短くして時間に対して連続的に行なわれてもよく、算出の時間間隔を比較的長くして時間に対して離散的に行なわれてもよい。
【0093】
実施形態では、ホイールローダ1が第1処理装置30を備えており、ホイールローダ1に搭載されている第1処理装置30がバケット6内の荷を計量する制御をする例について説明した。バケット6内の荷を計量する制御をするコントローラは、必ずしもホイールローダ1に搭載されていなくてもよい。
【0094】
図9は、ホイールローダ1を含むシステムの概略図である。ホイールローダ1に搭載された第1処理装置30とは別に設けられた外部のコントローラ130が、バケット6内の荷を計量する制御をするシステムを構成してもよい。コントローラ130は、ホイールローダ1の作業現場に配置されてもよく、ホイールローダ1の作業現場から離れた遠隔地に配置されてもよい。
【0095】
実施形態では、ホイールローダ1はキャブ5を備えており、オペレータがキャブ5に搭乗する有人車両である例について説明した。ホイールローダ1は、無人車両であってもよい。ホイールローダ1は、オペレータが搭乗してホイールローダ1を操作するためのキャブを備えていなくてもよい。ホイールローダ1は、搭乗したオペレータによる操縦機能を搭載していなくてもよい。ホイールローダ1は、遠隔操縦専用の作業機械であってもよい。ホイールローダ1の操縦は、遠隔操縦装置からの無線信号により行なわれてもよい。
【0096】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0097】
1 ホイールローダ、2 車体フレーム、2a 前フレーム、2b 後フレーム、3 作業機、4 走行装置、4a 前輪、4b 後輪、6 バケット、14 ブーム、16 ブームシリンダ、19 バケットシリンダ、20 エンジン、24 シリンダ駆動部、25 作業機ポンプ、26 制御弁、28a,28b 第一油圧検出器、29 第一角度検出器、30 第1処理装置、30a 圧力取得部、30b 角度取得部、30c 瞬時荷重算出部、30d 周期決定部、30e 平均荷重算出部、30f 荷重出力部、30j 記憶部、40 表示部、48 第二角度検出器、100 掘削対象物、200 ダンプトラック、L 荷、P ブーム圧力、PK1~PK5 ピーク点。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9